資料4‐4 学校教育法施行規則の一部を改正する省令案等に関するパブリックコメント(意見公募手続)の結果について

平成27年3月27日
文部科学省
初等中等教育局教育課程課

学校教育法施行規則の一部を改正する省令案等に関するパブリックコメント(意見公募手続)の結果について

 「学校教育法施行規則の一部を改正する省令案等」について、平成27年2月4日から平成27年3月5日までの期間、電子メール・郵便・ファックスを通じて、広く国民の皆様から御意見の募集を行いましたところ、合計5,993件の御意見を頂きました。
 頂いた主な御意見の概要及びそれに対する文部科学省の考え方は別紙のとおりです。
 なお、取りまとめの都合上、内容により適宜集約させていただいております。今回、御意見をお寄せいただきました多くの方々の御協力に厚くお礼申し上げます。

学校教育法施行規則の一部を改正する省令案等に関するパブリックコメントの結果【概要】

 標記について、平成27年2月4日から3月5日まで電子メール・郵便・ファックスを通じて御意見を募集したところ、計5,993件の御意見を頂きました。お寄せいただいた御意見と、それらに対する当省の考え方について、以下のとおり取りまとめました。
 なお、取りまとめの都合上、頂いた御意見のうち、同趣旨のものは適宜集約し、また、パブリックコメントの対象となる事項についてのみ考え方を示させていただいています。
 今回、御意見をお寄せいただきました方々の御協力に厚くお礼申し上げます。

総意見数:5,993件

分類 主な意見の概要 回答
1 総論「道徳の特別の教科化について」
  【賛成】 教科化することで、検定教科書を使用することや、評価を行うことに対して責任をもつことにより、道徳の時間をきちんと実施する教師は確実に増えると思うので「特別の教科 道徳」として教育課程に位置付けることを歓迎。 従来の「道徳の時間」を「特別の教科 道徳」と位置付ける今回の改正は、中 央教育審議会「道徳に係る教育課程の改善等について(答申)」(平成26年10月21日)(以下、「答申」)において、「道徳の時間は、各教科等に比べて軽視されがちで、道徳教育の要として有効に機能していないことも多く、このことが道徳教育全体の停滞につながっている」、「今回の道徳教育の改善に関する議論の発端となったのは、いじめの問題への対応であ」り、「児童生徒がこうした現実の困難な問題に主体的に対処することのできる実効性ある力を育成していく上で、道徳教育も大きな役割を果たすことが強く求められている」といった指摘があることを踏まえ、
  • いじめの問題への対応の充実
  • 児童生徒の発達の段階に応じた体系的な指導とするための内容の充実
  • 問題解決的な学習を取り入れるなど指導方法の工夫
などの改善を図りました。これにより、従来「読み物道徳」と言われたり、軽視されたりした道徳教育から、教科書を使って、子供たちが答えが一つではない問題を道徳的課題として捉え、考えたり、議論したりする道徳へと質的転換を図ってまいります。
いじめの問題に限らず、モラルの低下やマナーの悪化が大きな社会問題になっており、道徳は社会生活を送る上で不可欠。本来、道徳教育は家庭・学校・職場・地域などそれぞれの場でなされるべきものであるが、今は学校での道徳教育に大きく依存せざるを得ず、その充実は、喫緊の課題。したがって、道徳の教科化に賛成。 モラルやマナーの向上については、社会全体で取り組むことが重要であると考えます。文部科学省としても、答申において「社会のルールやマナー、人としてしてはならないことなどについてしっかりと身に付けさせることは必要不可欠」であるとともに、「こうしたルールやマナー等の意義や役割そのものについても考えを深め、さらには、必要があればそれをよりよいものに変えていく力を育てること」が重要と指摘されていることを踏まえ、今回の道徳の特別教科化を契機として、学校、家庭、地域社会が連携しながら道徳教育を推進していくことができるよう、各種施策の実施及び各自治体における取組への支援に努めてまいります。
道徳心があってこそ、自他の人権の尊重や差別問題にも向き合えるものであり、賛成。 現行学習指導要領では「公正、公平、社会正義」の内容項目に対応するものは小学校第5・6学年及び中学校に規定していましたが、今回の改正においては、小学校第1・2学年に「自分の好き嫌いにとらわれないで接すること」、小学校第3・4学年に「誰に対しても分け隔てをせず、公正、公平な態度で接すること」を新設し、指導の充実を図っています。
道徳を特別の教科とすることで家庭にもより道徳の大切さを呼びかけられるので賛成。 今回の道徳の特別教科化を契機として、学校、家庭、地域が連携し、社会全体で子供たちを育てていこうという気運を高めるとともに、各地域、各学校における道徳教育のより一層の充実が図られるよう、支援に努めてまいります。
伝統文化に基づいて良識ある大人が築いた価値観をしっかりと次世代に引き継ぐことにより、健全な社会秩序が維持され、伝承される。したがって、道徳教育の教科化には賛成。 答申の「今後のグローバル化の中では、自国の伝統や文化への深い理解はもとより、多様性の尊重や価値観の異なる他者との共生なども重要な内容」との提言を踏まえ、今後とも各教科における伝統や文化に関する教育と関連しつつ、我が国や郷土で育まれてきた伝統や文化についての理解を深めるなど、道徳教育の充実に努めてまいります。
価値の押し付けがいけないなどの空理空論はやめるべき。何が大切な価値なのか、子供たちにしっかりと教える必要がある。本来、学校教育だけでなく、家庭や地域において自然に価値は教えるべきものだが、それが難しくなっている現在、学校教育に求められるものは大きく、道徳教育の教科化に賛成。 従来の「道徳の時間」を「特別の教科 道徳」と位置付ける今回の改正は、答申において、「道徳の時間は、各教科等に比べて軽視されがちで、道徳教育の要として有効に機能していないことも多く、このことが道徳教育全体の停滞につながっている」、「今回の道徳教育の改善に関する議論の発端となったのは、いじめの問題への対応であ」り、「児童生徒がこうした現実の困難な問題に主体的に対処することのできる実効性ある力を育成していく上で、道徳教育も大きな役割を果たすことが強く求められている」といった指摘があることを踏まえ、
  • いじめの問題への対応の充実
  • 児童生徒の発達の段階に応じた体系的な指導とするための内容の充実
  • 問題解決的な学習を取り入れるなど指導方法の工夫
などの改善を図りました。これにより、従来「読み物道徳」と言われたり、軽視されたりした道徳教育から、教科書を使って、子供たちが答えが一つではない問題を道徳的課題として捉え、考えたり、議論したりする道徳へと質的転換を図ってまいります。
また、教員の資質・能力の向上方策についても、引き続き中央教育審議会における審議を踏まえて取り組んでまいります。
青少年の非行やいじめなど問題が山積みしている教育現場で、是非とも、人間としての生き方を学ぶ道徳を教科化し、教師が子供と共に学ぶことが必要。
実際に生徒の様子を見ていると、感想や意見としてはよいことを言うものの、現実には行動として現れないという現状が多くある。本当に道徳的実践力を身に付けさせているか疑問。教科化されることで、多くの教員が道徳の授業の在り方を考えることとなり、授業の質にも目が向けられる。
【反対】 検定教科書や評価が導入されることにより、一定の価値観や規範意識の押し付けにつながることが危惧されるので、道徳を教科化することに反対。 答申においては「道徳教育の本来の使命に鑑みれば、特定の価値観を押し付けたり、主体性をもたず言われるままに行動するよう指導したりすることは、道徳教育が目指す方向の対極にあるもの」、「多様な価値観の、時に対立がある場合を含めて、誠実にそれらの価値に向き合い、道徳としての問題を考え続ける姿勢こそ道徳教育で養うべき基本的資質」と指摘されています。これを踏まえ、今回の改正においては、指導に当たっての留意事項として「多様な見方や考え方のできる事柄について、特定の見方や考え方に偏った指導を行うことのないようにすること」と明記するとともに、「児童(生徒)の発達段階や特性等を考慮し、指導のねらいに即して、問題解決的な学習、道徳的行為に関する体験的な学習等を適切に取り入れるなど、指導方法を工夫すること」と規定したところです。これにより、従来、「読み物道徳」と言われたり、軽視されたりした道徳教育から、教科書を使って、子供たちが答えが一つではない問題を道徳的課題として捉え、考えたり、議論したりする道徳へと質的転換を図ることとしており、このような趣旨を広く国民の方々に周知してまいります。
また、評価の具体的な在り方については、今後、専門家会議を設けて検討していく予定です。
子供たちの人権意識を育て、差別を許さず、命を大切にすることは現行の制度でも十分に実施できるので、道徳の教科化については反対。 答申でも指摘されているとおり、従来「読み物道徳」と言われたり、軽視されたりした道徳教育から、教科書を使って、子供たちが答えが一つではない問題を道徳的課題として捉え、考えたり、議論したりする道徳へと質的転換を図るためには、道徳の時間を教育課程上、「特別の教科」に位置付ける必要があると考えています。
道徳はふだんの生活や教師の人格的垂範や言葉から学ぶもので、教科として学ぶものではない。
まず、戦前の道徳教育に対する総括や反省がなければならない。それがないままの道徳の教科化は、国の考え方を子供に植え付ける危険性が極めて高い。 答申においては「道徳教育の本来の使命に鑑みれば、特定の価値観を押し付けたり、主体性をもたず言われるままに行動するよう指導したりすることは、道徳教育が目指す方向の対極にあるもの」、「多様な価値観の、時に対立がある場合を含めて、誠実にそれらの価値に向き合い、道徳としての問題を考え続ける姿勢こそ道徳教育で養うべき基本的資質」と指摘されています。これを踏まえ、今回の改正においては、指導に当たっての留意事項として「多様な見方や考え方のできる事柄について、特定の見方や考え方に偏った指導を行うことのないようにすること」と明記するとともに、「児童(生徒)の発達段階や特性等を考慮し、指導のねらいに即して、問題解決的な学習、道徳的行為に関する体験的な学習等を適切に取り入れるなど、指導方法を工夫すること」と規定したところです。これにより、従来、「読み物道徳」と言われたり、軽視されたりした道徳教育から、教科書を使って、子供たちが答えが一つではない問題を道徳的課題として捉え、考えたり、議論したりする道徳へと質的転換を図ることとしており、このような趣旨を広く国民の方々に周知してまいります。
道徳の教科化は、偏狭なナショナリズムにつながる可能性がある。 学習指導要領の道徳の内容項目における「国や郷土を愛する心をもつ」といった規定は、教育基本法において、教育の目標として「伝統と文化をはぐくんできた我が国や郷土を愛する態度」(第2条第5号)を養うと定めているのと同様の趣旨であり、我が国や郷土を愛する「態度」と「心」は、教育の過程を通じて、一体として養われるものです。したがって、道徳の特別教科化の前後にかかわらず、学習指導要領の道徳の内容項目に規定している「国」とは、政府や内閣などの統治機構を意図するものではなく、歴史的に形成されてきた国民、国土、伝統、文化などからなる歴史的・文化的共同体としての国を意味するものです。
また、「国を愛する心をもつ」ことは、偏狭で排他的な自国賛美ではなく、国際社会の一員として自覚と責任をもって国際社会に寄与しようとすることにもつながっていくものであり、「我が国や郷土を愛する」ことと「世界の中の日本人としての自覚をもち、他国を尊重し、国際的視野に立って、その発展に努める」こととは切り離せない関係であるなど、「我が国や郷土を愛する」ことは、国際的視野に立った開かれたものであることが重要であると考えます。文部科学省としては、このような趣旨を学習指導要領解説や各種会議における説明などにより、教育関係者、保護者、教科書会社をはじめ広く国民の方々に周知してまいります。
教科化によって、道徳に関する考え方が統一され、多様な考え方を引き出すことができないのではないか。 答申においては「道徳教育の本来の使命に鑑みれば、特定の価値観を押し付けたり、主体性をもたず言われるままに行動するよう指導したりすることは、道徳教育が目指す方向の対極にあるもの」、「多様な価値観の、時に対立がある場合を含めて、誠実にそれらの価値に向き合い、道徳としての問題を考え続ける姿勢こそ道徳教育で養うべき基本的資質」と指摘されています。これを踏まえ、今回の改正においては、指導に当たっての留意事項として「多様な見方や考え方のできる事柄について、特定の見方や考え方に偏った指導を行うことのないようにすること」と明記するとともに、「児童(生徒)の発達段階や特性等を考慮し、指導のねらいに即して、問題解決的な学習、道徳的行為に関する体験的な学習等を適切に取り入れるなど、指導方法を工夫すること」と規定したところです。これにより、従来、「読み物道徳」と言われたり、軽視されたりした道徳教育から、教科書を使って、子供たちが答えが一つではない問題を道徳的課題として捉え、考えたり、議論したりする道徳へと質的転換を図ることとしており、このような趣旨を広く国民の方々に周知してまいります。
また、評価の具体的な在り方については、今後、専門家会議を設けて検討していく予定です。
学習指導要領全体の改正の時期とは別に、わざわざ前倒しして道徳の教科化を行わなければならないほど喫緊の課題とは思えない。 いじめの問題に起因して、子供の心身の発達に重大な支障が生じる事案、さらには尊い命が絶たれるといった痛ましい事案まで生じており、いじめを早い段階で発見し、その芽を摘み取り、一人でも多くの子供を救うことが喫緊の課題となっています。教育再生実行会議の第一次提言を受けて、中央教育審議会における審議が行われた結果、答申においては、「道徳教育の要である道徳の時間において、その特質を生かした授業が行われていない場合があることや、発達の段階が上がるにつれ、授業に対する児童生徒の受け止めがよくない状況にあること、学校や教員によって指導の格差が大きいことなど、多くの課題が指摘されており、全体としては、いまだ不十分な状況にあ」り、「こうした実態も真摯に受け止めつつ、早急に改善に取り組む必要がある」との指摘がなされました。これを踏まえて今回の改正を行うものです。なお、学習指導要領については、不断の見直しを行うことになっており、これまでも必要に応じて一部改正を行っているところです。
2 各論
1 目標について 道徳教育の目標に関する規定を目標と留意事項に分けて規定したことにより、読み取りやすく明確になった。 今回の改正においては、答申の「一人一人が、生きる上で出会う様々な場面において、主体的に判断し、道徳的行為を選択し、実践することができるよう児童生徒の道徳性を育成するものであることをより明確にするとともに、その育成に当たり、特に留意すべき具体的な事項を併せて示すなど簡潔な表現に改める必要がある」との提言を踏まえ、御指摘のように改めました。
特別の教科道徳の目標については、「道徳的実践力」と、それを形成する指導プロセスとしての「補充、深化、統合」を文中に明記すべき。 今回の改正においては、答申の「道徳性の育成に向けて重視すべきより具体的な資質・能力とは何かを明確化」すべきとの提言を踏まえ、「道徳的実践力」を「道徳的な判断力、心情、実践意欲と態度」と改めました。また、目標中に示されていた「補充、深化、統合」は、指導上の配慮事項として「取り扱う機会が十分でない内容項目に関わる指導を補うことや、児童(生徒)や学校の実態等を踏まえて指導をより一層深めること、内容項目の相互の関連を捉え直したり発展させたりすること」とし、明確にいたしました。
子供は道徳的価値を「理解」しただけでは変わらない。「自覚」して初めて生き方が変化するので目標の文中に「自覚」が存在すべき。 今回の改正においては、子供たちが道徳的価値を自覚できるようにするための過程をより具体的に示す観点から、「道徳的諸価値についての理解を基に、自己を見つめ、物事を多面的・多角的に考え、自己の生き方についての考えを深める学習を通して」と改めました。
2 内容について 内容項目を「正直、誠実」「感動、畏敬」のようにキーワードで示したことは分かりやすくてよい。 今回の改正においては、答申の「構成やねらいを分かりやすく示して指導の効果を上げるなどの観点から、内容項目ごとにその内容を端的に示すキーワードも併せて明示すること」、「このことにより、内容項目が多くの人に理解され、家庭や地域の人とも共有しやすいものになることが期待される」との提言を踏まえ、御指摘のように改めました。
内容項目を「自己」、「他者」、「集団・社会」、「自然や崇高なもの」という順番で整理したことは、道徳的価値を及ばせる対象の広がりが分かりやすいので賛成。小学校では、内容ごとに低・中・高学年と束ねられたことも、系統性、発展性が捉えやすくなるので賛成。 今回の改正においては、答申の「視点の順序については、児童生徒にとっての対象の広がりに即して考えれば、『自分自身』から『他の人』、『集団や社会』、『自然や崇高なもの』へと展開する流れが分かりやすく、現行の『3主として自然や崇高なものとの関わりに関すること』と『4 主として集団や社会との関わりに関すること』の順序を入れ替えた方が理解しやすいのではないか」との提言を踏まえ、御指摘のように改めました。また、指導の系統性・発展性について教師が明確に意識しながら指導に取り組めるようにする観点から、内容項目ごとに低学年・中学年・高学年と示すこととしました。
道徳の教科化を進め、豊かな人間性を育むに当たっては、動物との共生の中で、命や気持ちを大切にすることの重要性を子供たちに実感させることが必要。 現行学習指導要領の「主として自然や崇高なものとのかかわりに関すること」の視点においては、「自然や動植物を大切にすること」や「生命の尊さを理解し、かけがえのない自他の生命を尊重する」などの内容項目を示しているところです。今回の改正においては、答申の「生命尊重に関わることは、その重要性に鑑み、内容項目の最初に位置付け、生命は過去から未来へとつながっているものであることや、かけがえのない自他の生命を尊重することの大切さを一層重視した指導を行うべき」との提言を踏まえ、内容の充実を図るとともに、視点の名称も「主として生命や自然、崇高なものとの関わりに関すること」と改正しました。御指摘いただいた点も踏まえ、教科との関連も図りつつ、今後とも指導の充実に努めてまいります。
「怒りのコントロール」の項目が必要。怒りをコントロールできるスキルを教える方法が様々あり、米国で開発された教育プログラムでは、具体的に落ち着くために、深呼吸をするなどの方法を小学校低学年の子供たちに教えている。道徳の一部を具体的かつ体系的なスキルとして、子供たちに教えることが必要。 今回の改正においては、指導上の配慮事項として「児童(生徒)の発達の段階や特性等を考慮し、指導のねらいに即して、問題解決的な学習、道徳的行為に関する体験的な学習等を適切に取り入れるなど、指導方法を工夫すること」と規定しました。
「国や郷土を愛する態度」について、これまで、小学校中学年だけが、国を愛する心が国際理解と一緒に位置付けられ郷土を愛する心とは別の内容項目になっているのは分かりづらかった。「国や郷土を愛する心」とした今回の改正は改善。 今回の改正においては、答申の「道徳の内容をより発達の段階を踏まえた体系的なものに改善する」との提言を踏まえて、御指摘のように改正しました。
3 指導方法について これまでの心情理解に偏った授業形態を変えていくためには、学習過程の在り方や道徳的判断力を重点的に育成する意義等をもう少し強調する必要。これからの社会の在り方を考えるとき、シティズンシップ教育へのアプローチが道徳教育においても重要。 答申においては「道徳教育の本来の使命に鑑みれば、特定の価値観を押し付けたり、主体性をもたず言われるままに行動するよう指導したりすることは、道徳教育が目指す方向の対極にあるもの」、「多様な価値観の、時に対立がある場合を含めて、誠実にそれらの価値に向き合い、道徳としての問題を考え続ける姿勢こそ道徳教育で養うべき基本的資質」と指摘されています。これを踏まえ、今回の改正においては、指導に当たっての留意事項として「多様な見方や考え方のできる事柄について、特定の見方や考え方に偏った指導を行うことのないようにすること」と明記するとともに、「児童(生徒)の発達の段階や特性等を考慮し、指導のねらいに即して、問題解決的な学習、道徳的行為に関する体験的な学習等を適切に取り入れるなど、指導方法を工夫すること」と規定したところです。これにより、従来、「読み物道徳」と言われたり、軽視されたりした道徳教育から、教科書を使って、子供たちが答えが一つではない問題を道徳的課題として捉え、考えたり、議論したりする道徳へと質的転換を図ることとしており、このような趣旨を広く国民の方々に周知してまいります。
また、評価の具体的な在り方については、今後、専門家会議を設けて検討していく予定です。
問題解決型の道徳授業が増えれば、道徳的判断力が養われ、実践意欲や態度も向上させることが可能になるので、この観点からも道徳の教科化は必要。
今までのような心情的なものではなく、問題解決や体験的な学習を通して、子供自身で考えさせ、実践力を養い、机上でとどまるのではなく、生きる力を養える教科にすることが必要。
偉人の歩みや考え、我が国において長く育まれてきた伝統や文化に触れさせるように指導することは、道徳性を育む上で重要。 答申の「今後のグローバル化の中では、自国の伝統や文化への深い理解はもとより、多様性の尊重や価値観の異なる他者との共生なども重要な内容」との提言を踏まえ、今後とも各教科における伝統や文化に関する教育と関連しつつ、我が国や郷土で育まれてきた伝統や文化についての理解を深めるなど、道徳教育の充実に努めてまいります。
4 評価について 1時間ごとの道徳の授業における評価は、数値化や記号化を避けることなく、確実に行われるべきである。 答申においては、道徳科の評価について、「児童生徒一人一人のよさを伸ばし」、「成長を促すための適切な評価を行う」ことの必要性とともに、「数値などによる評価は導入すべきでない」と提言されています。これを踏まえ、今回の改正では、「児童(生徒)の学習状況や道徳性に係る成長の様子を継続的に把握し、指導に生かすよう努める必要がある」、「ただし、数値などによる評価は行わないものとする」と規定しているところです。このため、文部科学省では、平成27年度に専門家による会議を設け、
  • 数値による評価ではなく、記述式であること
  • 他の児童生徒との比較による相対評価ではなく、児童生徒がいかに成長したかを積極的に受け止め、励ます個人内評価として行うこと
  • 他の児童生徒と比較して優劣を決めるような評価はなじまないことに留意する必要があること
  • 個々の内容項目ごとではなく、大くくりなまとまりを踏まえた評価を行うこと
  • 発達障害等の児童生徒についての配慮すべき観点等を学校や教員間で共有すること
  • 現在の指導要録の書式の在り方を総合的に見直すこと
といった基本的な方向性を示し、それを前提に専門的な検討を行っていく予定です。
数値等では評価しないが、文章による評価に賛成。評価を記入するからこそ、意識して指導に当たることができるようになる教員が多くいるはず。
評価については、授業記録と児童の感想等による履修記録による評価をすることも必要。
評価等の取扱いについては、専門家による会議を設けて専門的な観点から検討するとあるが、子供の価値観や心情を、記述式であっても一定の規準等により評価すべきでない。
道徳教育の充実には賛成であるが、学校における授業時数は窮迫しており、教員によって差があるのが現状。評価を保護者に公表する形で行った場合、教師の求める発言をする子供が増える。道徳は、本音で語れる場とすることが重要。
道徳を教科にして、評価を行うことが求められるならば、教師は評価に当たって幾つかの文章を準備して使い回すなど形骸化した評価になる。
5 教科書、教材について 道徳については、教材開発に教員が困難を感じていることから、教科書の供給は喫緊の課題。 答申においては、「道徳教育の充実を図るためには、充実した教材が不可欠であり、「特別の教科 道徳」の特性を踏まえ、教材として具備すべき要件に留意しつつ、民間発行者の創意工夫を生かすとともに、バランスのとれた多様な教科書を認めるという基本的な観点に立ち、中心となる教材として、検定教科書を導入することが適当である」と指摘されています。これを踏まえ、道徳の時間を教育課程上、「特別の教科」に位置付け、検定教科書を導入することとしています。
道徳は人間形成上重要な科目であり、検定教科書をもって教えるべきで、教員の養成、研修も同時に行うべき。 道徳教育の充実・強化を実効性のあるものにしていくためには、教員の指導力向上を図ることも重要であることから、文部科学省としても中央教育審議会等における審議を踏まえ、引き続き施策の充実に努めてまいります。
教師が、より積極的な姿勢で教材研究・授業研究を重ね、教科用図書に限定されることなく、魅力ある補助教材を活用した道徳科が展開されることこそが、より授業が活性化し、児童の道徳性の育成につながると期待。 答申において「道徳教育の特性に鑑み、教科書だけではなく、多様な教材が活用されることが重要であり、国や地方公共団体は、教材の充実のための支援に努める必要がある」と指摘されています。これを踏まえ、今回の改正では教材についての規定を新たに設け、「児童(生徒)の発達の段階や特性、地域の実情等を考慮し、多様な教材の活用に努めること」、「特に、生命の尊厳、(社会参画)、自然、伝統と文化、先人の伝記、スポーツ、情報化への対応等の現代的な課題などを題材とし、児童(生徒)が問題意識をもって多面的・多角的に考えたり、感動を覚えたりするような充実した教材の開発や活用を行うこと」と規定しました。
教科書は、学年ごとに一冊配られることがよい。 教科書検定の申請は、学習指導要領の内容に基づき、小学校は「第1・2学年」「第3・4学年」「第5・6学年」の3区分、中学校は「第1~3学年」の1区分となりますが、実際の図書を学年ごとの分冊にするかどうかは、各教科書発行者の判断となります。
6 教員の指導力、教員養成、教員研修について 改正の趣旨を踏まえ、自らの生き方を多面的に考えることができるようにするためには、教師の指導力の向上が不可欠。道徳科における指導のノウハウを全ての教師が共有できるよう、理論研究、実践研究の充実と研修機会の充実が必要。 答申においては、「『特別の教科 道徳』の指導に当たっては、児童生徒をよく理解している学級担任が原則として担当することが適当」とされる一方で、「各学校の道徳教育推進教師には、主幹教諭や指導教諭など指導の力量のある者を充て、研修計画の充実や授業研究の活性化を図ることで、教員の指導力を向上させるなど、校内の道徳教育のリーダーとしての役割を十分に果たせるようにすることが重要」といった教員の指導力の向上に関する提言がなされているところです。
文部科学省としては、道徳教育に係る大学における教員養成課程の在り方を含めた教員の資質向上方策について、引き続き中央教育審議会等における審議を踏まえ取り組んでまいります。
学習指導要領の内容について、指導法を学ぶ教員養成課程の充実が必要。
道徳に苦手意識をもつ教師が多いと思われるので、専任の教師がいる方が子供たちのためによい影響を与えられる。
道徳教育には他の教科と同じく教員資格が必要。特に、中学段階では「道徳の免許制」を設け、大学に道徳教育の講座・コースを設置させ、教員を養成する必要。
7 各教科、外国語活動、総合的な学習の時間、特別活動について 道徳の時間以外の教科、特別活動などでの道徳の充実についても検討する必要。 御指摘の点については、従来、学習指導要領において「道徳の時間の年間指導計画の作成に当たっては、道徳教育の全体計画に基づき、各教科、外国語活動、総合的な学習の時間及び特別活動との関連を考慮しながら、計画的、発展的に授業がなされるよう工夫すること」と規定されており、今回の改正においてもその趣旨は変わりません。
また、今回の改正では、道徳科の「第3 指導計画の作成と内容の取扱い」において、「特別活動等における多様な実践活動や体験活動も道徳科の授業に生かすようにすること」を新たに規定したところです。

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