資料4‐3 学校教育法施行規則の一部を改正する省令の制定等について(通知)

26文科初第1339号
平成27年3月27日

各都道府県教育委員会 殿
各指定都市教育委員会 殿
各都道府県知事 殿
各指定都市市長 殿
附属学校を置く各国立大学法人学長 殿
構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた地方公共団体の長 殿

文部科学事務次官
山中伸一

 学校教育法施行規則の一部を改正する省令の制定、小学校学習指導要領の一部を改正する告示、中学校学習指導要領の一部を改正する告示及び特別支援学校小学部・中学部学習指導要領の一部を改正する告示の公示並びに移行措置等について(通知)

 このたび、平成27年3月27日文部科学省令第11号をもって、別添1のとおり、学校教育法施行規則の一部を改正する省令(以下「改正省令」という。)が制定され、また、文部科学省告示第60号、第61号及び第62号をもって、それぞれ別添2、別添3及び別添4のとおり、小学校学習指導要領の一部を改正する告示(以下「小学校一部改正告示」という。)、中学校学習指導要領の一部を改正する告示(以下「中学校一部改正告示」という。)及び特別支援学校小学部・中学部学習指導要領の一部を改正する告示(以下「特別支援学校小学部・中学部一部改正告示」という。)が公示されました。
 また、小学校学習指導要領(平成20年文部科学省告示第27号)、中学校学習指導要領(平成20年文部科学省告示第28号)及び特別支援学校小学部・中学部学習指導要領(平成21年文部科学省告示第36号)から小学校一部改正告示による改正後の小学校学習指導要領(以下「改正後の小学校学習指導要領」という。)、中学校一部改正告示による改正後の中学校学習指導要領(以下「改正後の中学校学習指導要領」という。)及び特別支援学校小学部・中学部一部改正告示による特別支援学校小学部・中学部学習指導要領 (以下「改正後の特別支援学校小学部・中学部学習指導要領」という。)に移行するために必要な措置(以下「移行措置」という。)について、文部科学省告示第63号、第64号及び第65号をもって、それぞれ別添5、別添6及び別添7のとおり、平成27年4月1日から平成30年3月31日までの間における小学校学習指導要領の特例を定める件、平成27年4月1日から平成31年3月31日までの間における中学校学習指導要領の特例を定める件及び平成27年4月1日から平成31年3月31日までの間における特別支援学校小学部・中学部学習指導要領の特例を定める件が公示され、これらにより、小学校及び特別支援学校小学部にあっては平成27年4月1日から平成30年3月31日までの間、中学校及び特別支援学校中学部にあっては平成27年4月1日から平成31年3月31日までの間における学習指導要領の特例が定められました。
 今回の改正は、平成26年10月の中央教育審議会答申「道徳に係る教育課程の改善等について」を受け、道徳教育の改善・充実を図るため、道徳の時間を教育課程上、特別の教科である道徳として新たに位置付けるとともに、いじめの問題への対応の充実や発達の段階をより一層踏まえた体系的なものとする観点からの内容の改善、問題解決的な学習を取り入れるなどの指導方法の工夫を図ることなどを示したものです。このことにより、「特定の価値観を押しつけたり、主体性をもたず言われるままに行動するよう指導したりすることは、道徳教育が目指す方向の対極にあるものと言わなければならない」、「多様な価値観の、時に対立がある場合を含めて、誠実にそれらの価値に向き合い、道徳としての問題を考え続ける姿勢こそ道徳教育で養うべき基本的資質である」との中央教育審議会答申を踏まえ、発達の段階に応じ、答えが一つではない課題を一人一人の児童生徒が道徳的な問題と捉え向き合う「考える道徳」、「議論する道徳」へと転換を図るものです。
 ついては、改正の概要及び留意事項等は、下記のとおりですので、十分に御了知の上、道徳教育の改善・充実に取り組んでいただきますようお願いします。
 また、各都道府県教育委員会におかれては、所管の学校及び域内の市町村教育委員会その他の教育機関に対して、各指定都市教育委員会におかれては、所管の学校その他の教育機関に対して、各都道府県知事及び構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた地方公共団体の長におかれては、所轄の学校及び学校法人等に対して、附属学校を置く各国立大学法人学長におかれては、その管下の学校に対して、本改正の内容について周知を図るとともに、必要な指導等をお願いします。
 なお、本通知については、関係資料と併せて文部科学省のホームページに掲載しておりますので、御参照ください。

1 改正の概要

(1)学校教育法施行規則の一部を改正する省令の概要

 学校教育法施行規則において、小学校、中学校及び特別支援学校小学部・中学部の教育課程における「道徳」を「特別の教科である道徳」と改正したこと。
 なお、私立学校において、宗教をもって道徳に代えることができる特例について変更はないこと。

(2)学習指導要領の一部改正の概要

  1. 学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育に関することは、「第1章総則」に、道徳の時間に代えて位置付ける特別の教科である道徳(以下「道徳科」という。)に関することは、「第3章特別の教科道徳」にそれぞれ示したこと。
  2. 学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の目標については、児童生徒の道徳性を養うという趣旨を明確にするとともに、道徳科の目標については、育成すべき資質・能力を明確にしたこと。
  3. 内容については、いじめの問題への対応の充実や、児童生徒の発達の段階を一層踏まえた体系的なものとする観点から改善を図ったこと。
  4. 道徳科における指導上の配慮事項については、問題解決的な学習、道徳的行為に関する体験的な学習等を適切に取り入れるなど指導方法を工夫することなどを示したこと。
  5. 道徳科における教材の留意事項については、児童生徒の発達の段階に即し、ねらいを達成するのにふさわしいものであることや、多様な見方や考え方のできる事柄を取り扱う場合には、特定の見方や考え方に偏った取扱いがなされていないものであることなどの観点に照らし適切と判断されるものであることとしたこと。
  6. 評価については、児童生徒の学習状況や道徳性に係る成長の様子を継続的に把握し、指導に生かすよう努める必要があることとしたこと。なお、数値などによる評価を行わないことは、従前通りであること。
  7. 各教科等の指導計画の作成と内容の取扱いにおいて、道徳の時間に代えて道徳科が位置付けられたことに伴い、所要の改正を行ったこと。
  8. 特別支援学校小学部・中学部学習指導要領については、改正後の小学校学習指導要領及び中学校学習指導要領に準じて一部改正したこと。
  9. 特別支援学校小学部・中学部学習指導要領については、道徳科の内容を前各学年の内容によって替えることができるなど、障害の状態等に応じた弾力的な取扱いを示したこと。なお、知的障害者である児童生徒等を教育する場合において、各教科等を合わせた指導が可能となっていることは、従前通りであること。

(3)施行期日

 改正省令のうち小学校及び特別支援学校小学部関係部分並びに改正後の小学校学習指導要領及び特別支援学校小学部・中学部学習指導要領のうち小学部関係部分は平成30年4月1日から、改正省令のうち中学校及び特別支援学校中学部関係部分並びに改正後の中学校学習指導要領及び特別支援学校小学校・中学部学習指導要領のうち中学部関係部分は平成31年4月1日から施行されること。

2 移行措置の概要

(1)平成27年4月1日から平成30年3月31日までの間における小学校の教育課程の編成及び指導について、平成27年4月1日から平成31年3月31日までの間における中学校の教育課程の編成及び指導について、小学校及び中学校学習指導要領の各規定にかかわらず、その全部又は一部について、改正後の小学校学習指導要領及び中学校学習指導要領の各規定によることができること。

(2)平成27年4月1日から平成30年3月31日までの間における特別支援学校小学部の教育課程の編成及び指導について、平成27年4月1日から平成31年3月31日までの間における特別支援学校中学部の教育課程の編成及び指導について、特別支援学校小学部・中学部学習指導要領の各規定にかかわらず、その全部又は一部について、改正後の特別支援学校小学部・中学部学習指導要領の各規定によることができること。

3 留意事項等

(1)学習指導要領は大綱的な基準であることから、改正後の学習指導要領の意味や解釈などの詳細について、文部科学省が作成・公表する学習指導要領解説において説明する予定であること。また、評価の在り方や指導要録の取扱い等については、平成27年度において、文部科学省において有識者会議を設けて専門的に検討する予定であり、その検討を踏まえて、指導要録の取扱い等も含め、道徳に係る評価の在り方についての考え方や事例等を取りまとめ、通知や教師用指導資料等の形で周知する予定であること。

(2)移行措置期間においては、改正後の学習指導要領の全部又は一部について実施可能であり、例えば、問題解決的な学習を取り入れるなど指導方法の工夫を行うなどして、その実施に向けて積極的に取り組むことが望まれること。実施の際には、各教科等との関連を十分図り、学校の教育活動全体を通じて適切な指導計画を作成し指導するなど、改正後の学習指導要領の趣旨が実現されるよう努めること。なお、学校教育法施行規則の一部改正は、小学校及び特別支援学校小学部関係部分については平成30年4月1日から、中学校及び特別支援学校中学部関係部分については平成31年4月1日から施行されるため、移行措置期間における道徳の時間の教育課程上の位置付けについては、従前の例によること。

〔参考〕文部科学省ホームページアドレス
 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/index.htm
 (ホーム>教育>小学校、中学校、高等学校>現行学習指導要領・生きる力)

本件担当:文部科学省電話:03(5253)4111(代表)
(小・中学校関係)
初等中等教育局教育課程課(内線2903)
(特別支援学校関係)
初等中等教育局特別支援教育課(内線2003)

別添1 文部科学省令第十一号

 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第三十三条、第四十八条、第六十八条及び第七十七条の規定に基づき、学校教育法施行規則の一部を改正する省令を次のように定める。

平成二十七年三月二十七日
 文部科学大臣 下村博文

 学校教育法施行規則の一部を改正する省令
 学校教育法施行規則(昭和二十二年文部省令第十一号)の一部を次のように改正する。
 第五十条、第五十一条、第七十二条、第七十三条、第七十六条、第百七条、第百二十六条及び第百二十七条中「道徳」を「特別の教科である道徳」に改める。
 第百二十八条第二項中「、道徳」を「及び道徳」に改める。
 第百三十条第二項中「道徳」を「特別の教科である道徳(特別支援学校の高等部にあつては、前条に規定する特別支援学校高等部学習指導要領で定める道徳)」に改める。
 別表第一、別表第二及び別表第四中「道徳」を「特別の教科である道徳」に改める。

附則

施行期日

  1. この省令の規定は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める日から施行する。
    一 第五十条、第五十一条、第百二十六条及び別表第一の改正規定並びに次項の規定平成三十年四月一日
    二 第七十二条、第七十三条、第七十六条、第百七条、第百二十七条、第百二十八条第二項、第百三十条
     第二項、別表第二及び別表第四の改正規定平成三十一年四月一日

経過措置

  1. 平成三十年四月一日から平成三十一年三月三十一日までの間における学校教育法施行規則第百三十条第二項の適用については、同項中「道徳」とあるのは「道徳(特別支援学校の小学部にあつては、特別の教科である道徳)」とする。

別添2 文部科学省告示第六十号

 学校教育法施行規則(昭和二十二年文部省令第十一号)第五十二条の規定に基づき、小学校学習指導要領(平成二十年文部科学省告示第二十七号)の一部を次のように改正し、平成三十年四月一日から施行する。平成二十七年四月一日から平成三十年三月三十一日までの間における小学校学習指導要領の必要な特例については、別に定める。

平成二十七年三月二十七日
 文部科学大臣 下村博文

 小学校学習指導要領(平成20年文部科学省告示第27号)の一部を次のように改正する。
 目次中「第3章道徳」を「第3章特別の教科道徳」に改める。
 第1章第1の2を次のように改める。
 2 学校における道徳教育は、特別の教科である道徳(以下「道徳科」という。)を要として学校の教育活動全体を通じて行うものであり、道徳科はもとより、各教科、外国語活動、総合的な学習の時間及び特別活動のそれぞれの特質に応じて、児童の発達の段階を考慮して、適切な指導を行わなければならない。
 道徳教育は、教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に基づき、自己の生き方を考え、主体的な判断の下に行動し、自立した人間として他者と共によりよく生きるための基盤となる道徳性を養うことを目標とする。
 道徳教育を進めるに当たっては、人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念を家庭、学校、その他社会における具体的な生活の中に生かし、豊かな心をもち、伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛し、個性豊かな文化の創造を図るとともに、平和で民主的な国家及び社会の形成者として、公共の精神を尊び、社会及び国家の発展に努め、他国を尊重し、国際社会の平和と発展や環境の保全に貢献し未来を拓(ひら)く主体性のある日本人の育成に資することとなるよう特に留意しなければならない。
 第1章第2の1中「道徳」を「道徳科」に改め、同章第2の2中「すべて」を「全て」に、「道徳」を「道徳科」に改め、同章第2の3及び5中「道徳」を「道徳科」に改め、同章第2に次のように加える。
 6 道徳科を要として学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の内容は、第3章特別の教科道徳の第2に示す内容とする。
 第1章第3の1中「道徳」を「道徳科」に改め、同章第4の2中「以上のほか」を「各教科等の指導に当たっては」に改め、同章第4に次のように加える。
 3 道徳教育を進めるに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
 (1)各学校においては、第1の2に示す道徳教育の目標を踏まえ、道徳教育の全体計画を作成し、校長の方針の下に、道徳教育の推進を主に担当する教師(以下「道徳教育推進教師」という。)を中心に、全教師が協力して道徳教育を展開すること。なお、道徳教育の全体計画の作成に当たっては、児童、学校及び地域の実態を考慮して、学校の道徳教育の重点目標を設定するとともに、道徳科の指導方針、第3章特別の教科道徳の第2に示す内容との関連を踏まえた各教科、外国語活動、総合的な学習の時間及び特別活動における指導の内容及び時期並びに家庭や地域社会との連携の方法を示すこと。
 (2)各学校においては、児童の発達の段階や特性等を踏まえ、指導内容の重点化を図ること。その際、各学年を通じて、自立心や自律性、生命を尊重する心や他者を思いやる心を育てることに留意すること。また、各学年段階においては、次の事項に留意すること。
 ア 第1学年及び第2学年においては、挨拶などの基本的な生活習慣を身に付けること、善悪を判断し、してはならないことをしないこと、社会生活上のきまりを守ること。
 イ 第3学年及び第4学年においては、善悪を判断し、正しいと判断したことを行うこと、身近な人々と協力し助け合うこと、集団や社会のきまりを守ること。
 ウ 第5学年及び第6学年においては、相手の考え方や立場を理解して支え合うこと、法やきまりの意義を理解して進んで守ること、集団生活の充実に努めること、伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重すること。
 (3)学校や学級内の人間関係や環境を整えるとともに、集団宿泊活動やボランティア活動、自然体験活動、地域の行事への参加などの豊かな体験を充実すること。また、道徳教育の指導内容が、児童の日常生活に生かされるようにすること。その際、いじめの防止や安全の確保等にも資することとなるよう留意すること。
 (4)学校の道徳教育の全体計画や道徳教育に関する諸活動などの情報を積極的に公表したり、道徳教育の充実のために家庭や地域の人々の積極的な参加や協力を得たりするなど、家庭や地域社会との共通理解を深め、相互の連携を図ること。
 第2章中「及び第3章道徳の第1」を削り、「道徳の時間」を「道徳科」に、「、第3章道徳」を「、第3章特別の教科道徳」に改める。
 第3章を次のように改める。

第3章特別の教科道徳

第1 目標

 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき、よりよく生きるための基盤となる道徳性を養うため、道徳的諸価値についての理解を基に、自己を見つめ、物事を多面的・多角的に考え、自己の生き方についての考えを深める学習を通して、道徳的な判断力、心情、実践意欲と態度を育てる。

第2 内容

 学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の要である道徳科においては、以下に示す項目について扱う。

A 主として自分自身に関すること

[善悪の判断、自律、自由と責任]
  • 〔第1学年及び第2学年〕
     よいことと悪いこととの区別をし、よいと思うことを進んで行うこと。
  • 〔第3学年及び第4学年〕
     正しいと判断したことは、自信をもって行うこと。
  • 〔第5学年及び第6学年〕
     自由を大切にし、自律的に判断し、責任のある行動をすること。
[正直、誠実]
  • 〔第1学年及び第2学年〕
     うそをついたりごまかしをしたりしないで、素直に伸び伸びと生活すること。
  • 〔第3学年及び第4学年〕
     過ちは素直に改め、正直に明るい心で生活すること。
  • 〔第5学年及び第6学年〕
     誠実に、明るい心で生活すること。
[節度、節制]
  • 〔第1学年及び第2学年〕
     健康や安全に気を付け、物や金銭を大切にし、身の回りを整え、わがままをしないで、規則正しい生活をすること。
  • 〔第3学年及び第4学年〕
     自分でできることは自分でやり、安全に気を付け、よく考えて行動し、節度のある生活をすること。
  • 〔第5学年及び第6学年〕
     安全に気を付けることや、生活習慣の大切さについて理解し、自分の生活を見直し、節度を守り節制に心掛けること。
[個性の伸長]
  • 〔第1学年及び第2学年〕
     自分の特徴に気付くこと。
  • 〔第3学年及び第4学年〕
     自分の特徴に気付き、長所を伸ばすこと。
  • 〔第5学年及び第6学年〕
     自分の特徴を知って、短所を改め長所を伸ばすこと。
[希望と勇気、努力と強い意志]
  • 〔第1学年及び第2学年〕
     自分のやるべき勉強や仕事をしっかりと行うこと。
  • 〔第3学年及び第4学年〕
     自分でやろうと決めた目標に向かって、強い意志をもち、粘り強くやり抜くこと。
  • 〔第5学年及び第6学年〕
     より高い目標を立て、希望と勇気をもち、困難があってもくじけずに努力して物事をやり抜くこと。
[真理の探究]
  • 〔第5学年及び第6学年〕
     真理を大切にし、物事を探究しようとする心をもつこと。

B 主として人との関わりに関すること

[親切、思いやり]
  • 〔第1学年及び第2学年〕
     身近にいる人に温かい心で接し、親切にすること。
  • 〔第3学年及び第4学年〕
     相手のことを思いやり、進んで親切にすること。
  • 〔第5学年及び第6学年〕
     誰に対しても思いやりの心をもち、相手の立場に立って親切にすること。
[感謝]
  • 〔第1学年及び第2学年〕
     家族など日頃世話になっている人々に感謝すること。
  • 〔第3学年及び第4学年〕
     家族など生活を支えてくれている人々や現在の生活を築いてくれた高齢者に、尊敬と感謝の気持ちをもって接すること。
  • 〔第5学年及び第6学年〕
     日々の生活が家族や過去からの多くの人々の支え合いや助け合いで成り立っていることに感謝し、それに応えること。
[礼儀]
  • 〔第1学年及び第2学年〕
     気持ちのよい挨拶、言葉遣い、動作などに心掛けて、明るく接すること。
  • 〔第3学年及び第4学年〕
     礼儀の大切さを知り、誰に対しても真心をもって接すること。
  • 〔第5学年及び第6学年〕
     時と場をわきまえて、礼儀正しく真心をもって接すること。
[友情、信頼]
  • 〔第1学年及び第2学年〕
     友達と仲よくし、助け合うこと。
  • 〔第3学年及び第4学年〕
     友達と互いに理解し、信頼し、助け合うこと。
  • 〔第5学年及び第6学年〕
     友達と互いに信頼し、学び合って友情を深め、異性についても理解しながら、人間関係を築いていくこと。
[相互理解、寛容]
  • 〔第3学年及び第4学年〕
     自分の考えや意見を相手に伝えるとともに、相手のことを理解し、自分と異なる意見も大切にすること。
  • 〔第5学年及び第6学年〕
     自分の考えや意見を相手に伝えるとともに、謙虚な心をもち、広い心で自分と異なる意見や立場を尊重すること。

C 主として集団や社会との関わりに関すること

[規則の尊重]
  • 〔第1学年及び第2学年〕
     約束やきまりを守り、みんなが使う物を大切にすること。
  • 〔第3学年及び第4学年〕
     約束や社会のきまりの意義を理解し、それらを守ること。
  • 〔第5学年及び第6学年〕
     法やきまりの意義を理解した上で進んでそれらを守り、自他の権利を大切にし、義務を果たすこと。
[公正、公平、社会正義]
  • 〔第1学年及び第2学年〕
     自分の好き嫌いにとらわれないで接すること。
  • 〔第3学年及び第4学年〕
     誰に対しても分け隔てをせず、公正、公平な態度で接すること。
  • 〔第5学年及び第6学年〕
     誰に対しても差別をすることや偏見をもつことなく、公正、公平な態度で接し、正義の実現に努めること。
[勤労、公共の精神]
  • 〔第1学年及び第2学年〕
     働くことのよさを知り、みんなのために働くこと。
  • 〔第3学年及び第4学年〕
     働くことの大切さを知り、進んでみんなのために働くこと。
  • 〔第5学年及び第6学年〕
     働くことや社会に奉仕することの充実感を味わうとともに、その意義を理解し、公共のために役に立つことをすること。
[家族愛、家庭生活の充実]
  • 〔第1学年及び第2学年〕
     父母、祖父母を敬愛し、進んで家の手伝いなどをして、家族の役に立つこと。
  • 〔第3学年及び第4学年〕
     父母、祖父母を敬愛し、家族みんなで協力し合って楽しい家庭をつくること。
  • 〔第5学年及び第6学年〕
     父母、祖父母を敬愛し、家族の幸せを求めて、進んで役に立つことをすること。
[よりよい学校生活、集団生活の充実]
  • 〔第1学年及び第2学年〕
     先生を敬愛し、学校の人々に親しんで、学級や学校の生活を楽しくすること。
  • 〔第3学年及び第4学年〕
     先生や学校の人々を敬愛し、みんなで協力し合って楽しい学級や学校をつくること。
  • 〔第5学年及び第6学年〕
     先生や学校の人々を敬愛し、みんなで協力し合ってよりよい学級や学校をつくるとともに、様々な集団の中での自分の役割を自覚して集団生活の充実に努めること。
[伝統と文化の尊重、国や郷土を愛する態度]
  • 〔第1学年及び第2学年〕
     我が国や郷土の文化と生活に親しみ、愛着をもつこと。
  • 〔第3学年及び第4学年〕
     我が国や郷土の伝統と文化を大切にし、国や郷土を愛する心をもつこと。
  • 〔第5学年及び第6学年〕
     我が国や郷土の伝統と文化を大切にし、先人の努力を知り、国や郷土を愛する心をもつこと。
[国際理解、国際親善]
  • 〔第1学年及び第2学年〕
     他国の人々や文化に親しむこと。
  • 〔第3学年及び第4学年〕
     他国の人々や文化に親しみ、関心をもつこと。
  • 〔第5学年及び第6学年〕
     他国の人々や文化について理解し、日本人としての自覚をもって国際親善に努めること。

D 主として生命や自然、崇高なものとの関わりに関すること

[生命の尊さ]
  • 〔第1学年及び第2学年〕
     生きることのすばらしさを知り、生命を大切にすること。
  • 〔第3学年及び第4学年〕
     生命の尊さを知り、生命あるものを大切にすること。
  • 〔第5学年及び第6学年〕
     生命が多くの生命のつながりの中にあるかけがえのないものであることを理解し、生命を尊重すること。
[自然愛護]
  • 〔第1学年及び第2学年〕
     身近な自然に親しみ、動植物に優しい心で接すること。
  • 〔第3学年及び第4学年〕
     自然のすばらしさや不思議さを感じ取り、自然や動植物を大切にすること。
  • 〔第5学年及び第6学年〕
     自然の偉大さを知り、自然環境を大切にすること。
[感動、畏敬の念]
  • 〔第1学年及び第2学年〕
     美しいものに触れ、すがすがしい心をもつこと。
  • 〔第3学年及び第4学年〕
     美しいものや気高いものに感動する心をもつこと。
  • 〔第5学年及び第6学年〕
     美しいものや気高いものに感動する心や人間の力を超えたものに対する畏敬の念をもつこと。
[よりよく生きる喜び]
  • 〔第5学年及び第6学年〕
     よりよく生きようとする人間の強さや気高さを理解し、人間として生きる喜びを感じること。

第3 指導計画の作成と内容の取扱い

1 各学校においては、道徳教育の全体計画に基づき、各教科、外国語活動、総合的な学習の時間及び特別活動との関連を考慮しながら、道徳科の年間指導計画を作成するものとする。なお、作成に当たっては、第2に示す各学年段階の内容項目について、相当する各学年において全て取り上げることとする。その際、児童や学校の実態に応じ、2学年間を見通した重点的な指導や内容項目間の関連を密にした指導、一つの内容項目を複数の時間で扱う指導を取り入れるなどの工夫を行うものとする。

2 第2の内容の指導に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)校長や教頭などの参加、他の教師との協力的な指導などについて工夫し、道徳教育推進教師を中心とした指導体制を充実すること。
(2)道徳科が学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の要としての役割を果たすことができるよう、計画的・発展的な指導を行うこと。特に、各教科、外国語活動、総合的な学習の時間及び特別活動における道徳教育としては取り扱う機会が十分でない内容項目に関わる指導を補うことや、児童や学校の実態等を踏まえて指導をより一層深めること、内容項目の相互の関連を捉え直したり発展させたりすることに留意すること。
(3)児童が自ら道徳性を養う中で、自らを振り返って成長を実感したり、これからの課題や目標を見付けたりすることができるよう工夫すること。その際、道徳性を養うことの意義について、児童自らが考え、理解し、主体的に学習に取り組むことができるようにすること。
(4)児童が多様な感じ方や考え方に接する中で、考えを深め、判断し、表現する力などを育むことができるよう、自分の考えを基に話し合ったり書いたりするなどの言語活動を充実すること。
(5)児童の発達の段階や特性等を考慮し、指導のねらいに即して、問題解決的な学習、道徳的行為に関する体験的な学習等を適切に取り入れるなど、指導方法を工夫すること。その際、それらの活動を通じて学んだ内容の意義などについて考えることができるようにすること。また、特別活動等における多様な実践活動や体験活動も道徳科の授業に生かすようにすること。
(6)児童の発達の段階や特性等を考慮し、第2に示す内容との関連を踏まえつつ、情報モラルに関する指導を充実すること。また、児童の発達の段階や特性等を考慮し、例えば、社会の持続可能な発展などの現代的な課題の取扱いにも留意し、身近な社会的課題を自分との関係において考え、それらの解決に寄与しようとする意欲や態度を育てるよう努めること。なお、多様な見方や考え方のできる事柄について、特定の見方や考え方に偏った指導を行うことのないようにすること。
(7)道徳科の授業を公開したり、授業の実施や地域教材の開発や活用などに家庭や地域の人々、各分野の専門家等の積極的な参加や協力を得たりするなど、家庭や地域社会との共通理解を深め、相互の連携を図ること。

3 教材については、次の事項に留意するものとする。
(1)児童の発達の段階や特性、地域の実情等を考慮し、多様な教材の活用に努めること。特に、生命の尊厳、自然、伝統と文化、先人の伝記、スポーツ、情報化への対応等の現代的な課題などを題材とし、児童が問題意識をもって多面的・多角的に考えたり、感動を覚えたりするような充実した教材の開発や活用を行うこと。
(2)教材については、教育基本法や学校教育法その他の法令に従い、次の観点に照らし適切と判断されるものであること。
 ア 児童の発達の段階に即し、ねらいを達成するのにふさわしいものであること。
 イ 人間尊重の精神にかなうものであって、悩みや葛藤等の心の揺れ、人間関係の理解等の課題も含め、児童が深く考えることができ、人間としてよりよく生きる喜びや勇気を与えられるものであること。
 ウ 多様な見方や考え方のできる事柄を取り扱う場合には、特定の見方や考え方に偏った取扱いがなされていないものであること。

4 児童の学習状況や道徳性に係る成長の様子を継続的に把握し、指導に生かすよう努める必要がある。ただし、数値などによる評価は行わないものとする。
 第4章第3の1(7)中「及び第3章道徳の第1」を削り、「道徳の時間」を「道徳科」に、「、第3章道徳」を「、第3章特別の教科道徳」に改める。
 第5章第3の1(6)及び(7)中「道徳」を「道徳科」に改め、同章第3の1(9)中「及び第3章道徳の第1」を削り、「道徳の時間」を「道徳科」に、「、第3章道徳」を「、第3章特別の教科道徳」に改める。
 第6章第3の1(1)中「道徳」を「道徳科」に改め、同章第3の1(4)中「及び第3章道徳の第1」を削り、「道徳の時間」を「道徳科」に、「、第3章道徳」を「、第3章特別の教科道徳」に改め、同章第3の2(2)中「第3章道徳の第3の1の(3)」を「第1章総則の第4の3の(2)」に改める。

別添3 文部科学省告示第六十一号

 学校教育法施行規則(昭和二十二年文部省令第十一号)第七十四条の規定に基づき、中学校学習指導要領(平成二十年文部科学省告示第二十八号)の一部を次のように改正し、平成三十一年四月一日から施行する。平成二十七年四月一日から平成三十一年三月三十一日までの間における中学校学習指導要領の必要な特例については、別に定める。

平成二十七年三月二十七日
 文部科学大臣 下村博文

 中学校学習指導要領(平成20年文部科学省告示第28号)の一部を次のように改正する。
 目次中「第3章道徳」を「第3章特別の教科道徳」に改める。
 第1章第1の2を次のように改める。
 2 学校における道徳教育は、特別の教科である道徳(以下「道徳科」という。)を要として学校の教育活動全体を通じて行うものであり、道徳科はもとより、各教科、総合的な学習の時間及び特別活動のそれぞれの特質に応じて、生徒の発達の段階を考慮して、適切な指導を行わなければならない。
 道徳教育は、教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に基づき、人間としての生き方を考え、主体的な判断の下に行動し、自立した人間として他者と共によりよく生きるための基盤となる道徳性を養うことを目標とする。
 道徳教育を進めるに当たっては、人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念を家庭、学校、その他社会における具体的な生活の中に生かし、豊かな心をもち、伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛し、個性豊かな文化の創造を図るとともに、平和で民主的な国家及び社会の形成者として、公共の精神を尊び、社会及び国家の発展に努め、他国を尊重し、国際社会の平和と発展や環境の保全に貢献し未来を拓(ひら)く主体性のある日本人の育成に資することとなるよう特に留意しなければならない。
 第1章第2の1中「道徳」を「道徳科」に改め、同章第2の2中「すべて」を「全て」に、「道徳」を「道徳科」に改め、同章第2の3中「道徳」を「道徳科」に改め、同章第2に次のように加える。
 8 道徳科を要として学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の内容は、第3章特別の教科道徳の第2に示す内容とする。
 第1章第3の1中「道徳」を「道徳科」に改め、同章第4の2中「以上のほか」を「各教科等の指導に当たっては」に改め、同章第4に次のように加える。
 3 道徳教育を進めるに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
 (1)各学校においては、第1の2に示す道徳教育の目標を踏まえ、道徳教育の全体計画を作成し、校長の方針の下に、道徳教育の推進を主に担当する教師(以下「道徳教育推進教師」という。)を中心に、全教師が協力して道徳教育を展開すること。なお、道徳教育の全体計画の作成に当たっては、生徒、学校及び地域の実態を考慮して、学校の道徳教育の重点目標を設定するとともに、道徳科の指導方針、第3章特別の教科道徳の第2に示す内容との関連を踏まえた各教科、総合的な学習の時間及び特別活動における指導の内容及び時期並びに家庭や地域社会との連携の方法を示すこと。
 (2)各学校においては、生徒の発達の段階や特性等を踏まえ、指導内容の重点化を図ること。その際、小学校における道徳教育の指導内容を更に発展させ、自立心や自律性を高め、規律ある生活をすること、生命を尊重する心や自らの弱さを克服して気高く生きようとする心を育てること、法やきまりの意義に関する理解を深めること、自らの将来の生き方を考え主体的に社会の形成に参画する意欲と態度を養うこと、伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重すること、国際社会に生きる日本人としての自覚を身に付けることに留意すること。
 (3)学校や学級内の人間関係や環境を整えるとともに、職場体験活動やボランティア活動、自然体験活動、地域の行事への参加などの豊かな体験を充実すること。また、道徳教育の指導内容が、生徒の日常生活に生かされるようにすること。その際、いじめの防止や安全の確保等にも資することとなるよう留意すること。
 (4)学校の道徳教育の全体計画や道徳教育に関する諸活動などの情報を積極的に公表したり、道徳教育の充実のために家庭や地域の人々の積極的な参加や協力を得たりするなど、家庭や地域社会との共通理解を深め、相互の連携を図ること。
 第2章中「及び第3章道徳の第1」を削り、「道徳の時間」を「道徳科」に、「、第3章道徳」を「、第3章特別の教科道徳」に改める。
 第3章を次のように改める。

第3章 特別の教科道徳

第1 目標

 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき、よりよく生きるための基盤となる道徳性を養うため、道徳的諸価値についての理解を基に、自己を見つめ、物事を広い視野から多面的・多角的に考え、人間としての生き方についての考えを深める学習を通して、道徳的な判断力、心情、実践意欲と態度を育てる。

第2 内容

 学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の要である道徳科においては、以下に示す項目について扱う。

A 主として自分自身に関すること

[自主、自律、自由と責任]

自律の精神を重んじ、自主的に考え、判断し、誠実に実行してその結果に責任をもつこと。

[節度、節制]

 望ましい生活習慣を身に付け、心身の健康の増進を図り、節度を守り節制に心掛け、安全で調和のある生活をすること。

[向上心、個性の伸長]

 自己を見つめ、自己の向上を図るとともに、個性を伸ばして充実した生き方を追求すること。

[希望と勇気、克己と強い意志]

 より高い目標を設定し、その達成を目指し、希望と勇気をもち、困難や失敗を乗り越えて着実にやり遂げること。

[真理の探究、創造]

 真実を大切にし、真理を探究して新しいものを生み出そうと努めること。

B 主として人との関わりに関すること

[思いやり、感謝]

 思いやりの心をもって人と接するとともに、家族などの支えや多くの人々の善意により日々の生活や現在の自分があることに感謝し、進んでそれに応え、人間愛の精神を深めること。

[礼儀]

 礼儀の意義を理解し、時と場に応じた適切な言動をとること。

[友情、信頼]

 友情の尊さを理解して心から信頼できる友達をもち、互いに励まし合い、高め合うとともに、異性についての理解を深め、悩みや葛藤も経験しながら人間関係を深めていくこと。

[相互理解、寛容]

 自分の考えや意見を相手に伝えるとともに、それぞれの個性や立場を尊重し、いろいろなものの見方や考え方があることを理解し、寛容の心をもって謙虚に他に学び、自らを高めていくこと。

C 主として集団や社会との関わりに関すること

[遵法精神、公徳心]

 法やきまりの意義を理解し、それらを進んで守るとともに、そのよりよい在り方について考え、自他の権利を大切にし、義務を果たして、規律ある安定した社会の実現に努めること。

[公正、公平、社会正義]

 正義と公正さを重んじ、誰に対しても公平に接し、差別や偏見のない社会の実現に努めること。

[社会参画、公共の精神]

 社会参画の意識と社会連帯の自覚を高め、公共の精神をもってよりよい社会の実現に努めること。

[勤労]

 勤労の尊さや意義を理解し、将来の生き方について考えを深め、勤労を通じて社会に貢献すること。

[家族愛、家庭生活の充実]

 父母、祖父母を敬愛し、家族の一員としての自覚をもって充実した家庭生活を築くこと。

[よりよい学校生活、集団生活の充実]

 教師や学校の人々を敬愛し、学級や学校の一員としての自覚をもち、協力し合ってよりよい校風をつくるとともに、様々な集団の意義や集団の中での自分の役割と責任を自覚して集団生活の充実に努めること。

[郷土の伝統と文化の尊重、郷土を愛する態度]

 郷土の伝統と文化を大切にし、社会に尽くした先人や高齢者に尊敬の念を深め、地域社会の一員としての自覚をもって郷土を愛し、進んで郷土の発展に努めること。

[我が国の伝統と文化の尊重、国を愛する態度]

 優れた伝統の継承と新しい文化の創造に貢献するとともに、日本人としての自覚をもって国を愛し、国家及び社会の形成者として、その発展に努めること。

[国際理解、国際貢献]

 世界の中の日本人としての自覚をもち、他国を尊重し、国際的視野に立って、世界の平和と人類の発展に寄与すること。

D 主として生命や自然、崇高なものとの関わりに関すること

[生命の尊さ]

 生命の尊さについて、その連続性や有限性なども含めて理解し、かけがえのない生命を尊重すること。

[自然愛護]

 自然の崇高さを知り、自然環境を大切にすることの意義を理解し、進んで自然の愛護に努めること。

[感動、畏敬の念]

 美しいものや気高いものに感動する心をもち、人間の力を超えたものに対する畏敬の念を深めること。

[よりよく生きる喜び]

 人間には自らの弱さや醜さを克服する強さや気高く生きようとする心があることを理解し、人間として生きることに喜びを見いだすこと。

第3 指導計画の作成と内容の取扱い

1 各学校においては、道徳教育の全体計画に基づき、各教科、総合的な学習の時間及び特別活動との関連を考慮しながら、道徳科の年間指導計画を作成するものとする。なお、作成に当たっては、第2に示す内容項目について、各学年において全て取り上げることとする。その際、生徒や学校の実態に応じ、3学年間を見通した重点的な指導や内容項目間の関連を密にした指導、一つの内容項目を複数の時間で扱う指導を取り入れるなどの工夫を行うものとする。

2 第2の内容の指導に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)学級担任の教師が行うことを原則とするが、校長や教頭などの参加、他の教師との協力的な指導などについて工夫し、道徳教育推進教師を中心とした指導体制を充実すること。
(2)道徳科が学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の要としての役割を果たすことができるよう、計画的・発展的な指導を行うこと。特に、各教科、総合的な学習の時間及び特別活動における道徳教育としては取り扱う機会が十分でない内容項目に関わる指導を補うことや、生徒や学校の実態等を踏まえて指導をより一層深めること、内容項目の相互の関連を捉え直したり発展させたりすることに留意すること。
(3)生徒が自ら道徳性を養う中で、自らを振り返って成長を実感したり、これからの課題や目標を見付けたりすることができるよう工夫すること。その際、道徳性を養うことの意義について、生徒自らが考え、理解し、主体的に学習に取り組むことができるようにすること。また、発達の段階を考慮し、人間としての弱さを認めながら、それを乗り越えてよりよく生きようとすることのよさについて、教師が生徒と共に考える姿勢を大切にすること。
(4)生徒が多様な感じ方や考え方に接する中で、考えを深め、判断し、表現する力などを育むことができるよう、自分の考えを基に討論したり書いたりするなどの言語活動を充実すること。その際、様々な価値観について多面的・多角的な視点から振り返って考える機会を設けるとともに、生徒が多様な見方や考え方に接しながら、更に新しい見方や考え方を生み出していくことができるよう留意すること。
(5)生徒の発達の段階や特性等を考慮し、指導のねらいに即して、問題解決的な学習、道徳的行為に関する体験的な学習等を適切に取り入れるなど、指導方法を工夫すること。その際、それらの活動を通じて学んだ内容の意義などについて考えることができるようにすること。また、特別活動等における多様な実践活動や体験活動も道徳科の授業に生かすようにすること。
(6)生徒の発達の段階や特性等を考慮し、第2に示す内容との関連を踏まえつつ、情報モラルに関する指導を充実すること。また、例えば、科学技術の発展と生命倫理との関係や社会の持続可能な発展などの現代的な課題の取扱いにも留意し、身近な社会的課題を自分との関係において考え、その解決に向けて取り組もうとする意欲や態度を育てるよう努めること。なお、多様な見方や考え方のできる事柄について、特定の見方や考え方に偏った指導を行うことのないようにすること。
(7)道徳科の授業を公開したり、授業の実施や地域教材の開発や活用などに家庭や地域の人々、各分野の専門家等の積極的な参加や協力を得たりするなど、家庭や地域社会との共通理解を深め、相互の連携を図ること。

3 教材については、次の事項に留意するものとする。
(1)生徒の発達の段階や特性、地域の実情等を考慮し、多様な教材の活用に努めること。特に、生命の尊厳、社会参画、自然、伝統と文化、先人の伝記、スポーツ、情報化への対応等の現代的な課題などを題材とし、生徒が問題意識をもって多面的・多角的に考えたり、感動を覚えたりするような充実した教材の開発や活用を行うこと。
(2)教材については、教育基本法や学校教育法その他の法令に従い、次の観点に照らし適切と判断されるものであること。
 ア 生徒の発達の段階に即し、ねらいを達成するのにふさわしいものであること。
 イ 人間尊重の精神にかなうものであって、悩みや葛藤等の心の揺れ、人間関係の理解等の課題も含め、生徒が深く考えることができ、人間としてよりよく生きる喜びや勇気を与えられるものであること。
 ウ 多様な見方や考え方のできる事柄を取り扱う場合には、特定の見方や考え方に偏った取扱いがなされていないものであること。

4 生徒の学習状況や道徳性に係る成長の様子を継続的に把握し、指導に生かすよう努める必要がある。ただし、数値などによる評価は行わないものとする。
 第4章第3の1(6)及び(7)中「道徳」を「道徳科」に改め、同章第3の1(9)中「及び第3章道徳の第1」を削り、「道徳の時間」を「道徳科」に、「、第3章道徳」を「、第3章特別の教科道徳」に改める。
 第5章第3の1(1)中「道徳」を「道徳科」に改め、同章第3の1(4)中「及び第3章道徳の第1」を削り、「道徳の時間」を「道徳科」に、「、第3章道徳」を「、第3章特別の教科道徳」に改め、同章第3の2(2)中「第3章道徳の第3の1の(3)」を「第1章総則の第4の3の(2)」に改める。

別添4 文部科学省告示第六十二号

 学校教育法施行規則(昭和二十二年文部省令第十一号)第百二十九条の規定に基づき、特別支援学校小学部・中学部学習指導要領(平成二十一年文部科学省告示第三十六号)の一部を次のように改正し、平成三十年四月一日から施行する。ただし、中学部については、平成三十一年三月三十一日まで、なお従前の例によるものとし、また、平成二十七年四月一日から平成三十一年三月三十一日までの間における特別支援学校小学部・中学部学習指導要領の必要な特例については、別に定める。

平成二十七年三月二十七日
 文部科学大臣 下村博文

 特別支援学校小学部・中学部学習指導要領(平成21年文部科学省告示第36号)の一部を次のように改正する。
 目次中「第3章道徳」を「第3章特別の教科道徳」に改める。
 第1章第2節第1の2を次のように改める。
 2 学校における道徳教育は、特別の教科である道徳(以下「道徳科」という。)を要として学校の教育活動全体を通じて行うものであり、道徳科はもとより、各教科、外国語活動、総合的な学習の時間、特別活動及び自立活動のそれぞれの特質に応じて、児童又は生徒の発達の段階を考慮して、適切な指導を行わなければならない。
 小学部における道徳教育は、教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に基づき、自己の生き方を考え、主体的な判断の下に行動し、自立した人間として他者と共によりよく生きるための基盤となる道徳性を養うことを目標とする。
 中学部における道徳教育は、教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に基づき、人間としての生き方を考え、主体的な判断の下に行動し、自立した人間として他者と共によりよく生きるための基盤となる道徳性を養うことを目標とする。
 道徳教育を進めるに当たっては、人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念を家庭、学校、その他社会における具体的な生活の中に生かし、豊かな心をもち、伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛し、個性豊かな文化の創造を図るとともに、平和で民主的な国家及び社会の形成者として、公共の精神を尊び、社会及び国家の発展に努め、他国を尊重し、国際社会の平和と発展や環境の保全に貢献し未来を拓(ひら)く主体性のある日本人の育成に資することとなるよう特に留意しなければならない。
 第1章第2節第1の4中「道徳」を「道徳科」に改める。
 第1章第2節第2の1中「道徳」を「道徳科」に改め、同節第2の2中「すべて」を「全て」に、「道徳」を「道徳科」に改め、同節第2の3、6及び7中「道徳」を「道徳科」に改め、同節第2に次のように加える。
 9 道徳科を要として学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の内容は、小学部においては第3章において準ずるものとしている小学校学習指導要領第3章第2に示す内容、中学部においては第3章において準ずるものとしている中学校学習指導要領第3章第2に示す内容とする。
 第1章第2節第3の1中「道徳」を「道徳科」に改め、同節第4の2中「以上のほか」を「各教科等の指導に当たっては」に改め、同節第4に次のように加える。
 3 道徳教育を進めるに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
 (1)各学校においては、第1の2に示す道徳教育の目標を踏まえ、道徳教育の全体計画を作成し、校長の方針の下に、道徳教育の推進を主に担当する教師(以下「道徳教育推進教師」という。)を中心に、全教師が協力して道徳教育を展開すること。なお、道徳教育の全体計画の作成に当たっては、児童又は生徒、学校及び地域の実態を考慮して、学校の道徳教育の重点目標を設定するとともに、道徳科の指導方針、第3章において準ずるものとしている小学校学習指導要領第3章第2に示す内容又は中学校学習指導要領第3章第2に示す内容との関連を踏まえた各教科、外国語活動、総合的な学習の時間、特別活動及び自立活動における指導の内容及び時期並びに家庭や地域社会との連携の方法を示すこと。
 (2)小学部においては、児童の障害の状態及び発達の段階や特性等を踏まえ、指導内容の重点化を図ること。その際、各学年を通じて、自立心や自律性、生命を尊重する心や他者を思いやる心を育てることに留意すること。
 また、各学年段階においては、次の事項に留意すること。
 ア 第1学年及び第2学年においては、挨拶などの基本的な生活習慣を身に付けること、善悪を判断し、してはならないことをしないこと、社会生活上のきまりを守ること。
 イ 第3学年及び第4学年においては、善悪を判断し、正しいと判断したことを行うこと、身近な人々と協力し助け合うこと、集団や社会のきまりを守ること。
 ウ 第5学年及び第6学年においては、相手の考え方や立場を理解して支え合うこと、法やきまりの意義を理解して進んで守ること、集団生活の充実に努めること、伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重すること。
 (3)小学部においては、学校や学級内の人間関係や環境を整えるとともに、集団宿泊活動やボランティア活動、自然体験活動、地域の行事への参加などの豊かな体験を充実すること。また、道徳教育の指導内容が、児童の日常生活に生かされるようにすること。その際、いじめの防止や安全の確保等にも資することとなるよう留意すること。
 (4)中学部においては、生徒の障害の状態及び発達の段階や特性等を踏まえ、指導内容の重点化を図ること。その際、小学部における道徳教育の指導内容を更に発展させ、自立心や自律性を高め、規律ある生活をすること、生命を尊重する心や自らの弱さを克服して気高く生きようとする心を育てること、法やきまりの意義に関する理解を深めること、自らの将来の生き方を考え主体的に社会の形成に参画する意欲と態度を養うこと、伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重すること、国際社会に生きる日本人としての自覚を身に付けることに留意すること。
 (5)中学部においては、学校や学級内の人間関係や環境を整えるとともに、職場体験活動やボランティア活動、自然体験活動、地域の行事への参加などの豊かな体験を充実すること。また、道徳教育の指導内容が、生徒の日常生活に生かされるようにすること。その際、いじめの防止や安全の確保等にも資することとなるよう留意すること。
 (6)学校の道徳教育の全体計画や道徳教育に関する諸活動などの情報を積極的に公表したり、道徳教育の充実のために家庭や地域の人々の積極的な参加や協力を得たりするなど、家庭や地域社会との共通理解を深め、相互の連携を図ること。
 第1章第2節第5の1(2)及び(3)中「各教科」の次に「及び道徳科」を加え、同節第5の3中「道徳」を「道徳科」に改める。
 「第3章道徳」を「第3章特別の教科道徳」に改める。
 第3章中「の道徳」を「の道徳科」に改める。
 第7章第3の3中「道徳」を「道徳科」に改める。

別添5 文部科学省告示第六十三号

 学校教育法施行規則(昭和二十二年文部省令第十一号)第五十二条の規定に基づき、平成二十七年四月一日から平成三十年三月三十一日までの間における小学校学習指導要領(平成二十年文部科学省告示第二十七号)の特例を次のように定め、平成二十七年四月一日から施行する。

平成二十七年三月二十七日
 文部科学大臣 下村博文

1 総則

 平成27年4月1日から平成30年3月31日まで(以下「平成27年度から平成29年度まで」という。)の教育課程の編成に当たっては、小学校学習指導要領(平成20年文部科学省告示第27号)第1章の規定にかかわらず、その全部又は一部について小学校学習指導要領の一部を改正する告示(平成27年文部科学省告示第60号)による改正後の小学校学習指導要領(以下「改正後の小学校学習指導要領」という。)第1章の規定によることができる。

2 各教科

 平成27年度から平成29年度までの第1学年から第6学年までの各教科の指導に当たっては、小学校学習指導要領第1章から第3章までの規定にかかわらず、改正後の小学校学習指導要領第1章から第3章までの規定によることができる。

3 道徳

 平成27年度から平成29年度までの第1学年から第6学年までの道徳の指導に当たっては、小学校学習指導要領第1章及び第3章の規定にかかわらず、その全部又は一部について改正後の小学校学習指導要領第1章及び第3章の規定によることができる。

4 外国語活動、総合的な学習の時間及び特別活動

 平成27年度から平成29年度までの第5学年及び第6学年の外国語活動、第3学年から第6学年までの総合的な学習の時間及び第1学年から第6学年までの特別活動の指導に当たっては、小学校学習指導要領第1章及び第3章から第6章までの規定にかかわらず、改正後の小学校学習指導要領第1章及び第3章から第6章までの規定によることができる。

別添6 文部科学省告示第六十四号

 学校教育法施行規則(昭和二十二年文部省令第十一号)第七十四条の規定に基づき、平成二十七年四月一日から平成三十一年三月三十一日までの間における中学校学習指導要領(平成二十年文部科学省告示第二十八号)の特例を次のように定め、平成二十七年四月一日から施行する。

平成二十七年三月二十七日
 文部科学大臣 下村博文

1 総則

 平成27年4月1日から平成31年3月31日まで(以下「平成27年度から平成30年度まで」という。)の教育課程の編成に当たっては、中学校学習指導要領(平成20年文部科学省告示第28号)第1章の規定にかかわらず、その全部又は一部について中学校学習指導要領の一部を改正する告示(平成27年文部科学省告示第61号)による改正後の中学校学習指導要領(以下「改正後の中学校学習指導要領」という。)第1章の規定によることができる。

2 各教科

 平成27年度から平成30年度までの第1学年から第3学年までの各教科の指導に当たっては、中学校学習指導要領第1章から第3章までの規定にかかわらず、改正後の中学校学習指導要領第1章から第3章までの規定によることができる。

3 道徳

 平成27年度から平成30年度までの第1学年から第3学年までの道徳の指導に当たっては、中学校学習指導要領第1章及び第3章の規定にかかわらず、その全部又は一部について改正後の中学校学習指導要領第1章及び第3章の規定によることができる。

4 総合的な学習の時間及び特別活動

 平成27年度から平成30年度までの第1学年から第3学年までの総合的な学習の時間及び特別活動の指導に当たっては、中学校学習指導要領第1章及び第3章から第5章までの規定にかかわらず、改正後の中学校学習指導要領第1章及び第3章から第5章までの規定によることができる。

別添7 文部科学省告示第六十五号

 学校教育法施行規則(昭和二十二年文部省令第十一号)第百二十九条の規定に基づき、平成二十七年四月一日から平成三十一年三月三十一日までの間における特別支援学校小学部・中学部学習指導要領(平成二十一年文部科学省告示第三十六号)の特例を次のように定め、平成二十七年四月一日から施行する。

平成二十七年三月二十七日
 文部科学大臣 下村博文

1 総則

 平成27年4月1日から平成30年3月31日まで(以下「平成27年度から平成29年度まで」という。)の小学部及び平成27年4月1日から平成31年3月31日まで(以下「平成27年度から平成30年度まで」という。)の中学部の教育課程の編成に当たっては、特別支援学校小学部・中学部学習指導要領(平成21年文部科学省告示第36号)第1章の規定にかかわらず、その全部又は一部について特別支援学校小学部・中学部学習指導要領の一部を改正する告示(平成27年文部科学省告示第62号)による改正後の特別支援学校小学部・中学部学習指導要領(以下「改正後の小学部・中学部学習指導要領」という。)第1章の規定によることができる。

2 道徳

 平成27年度から平成29年度までの小学部及び平成27年度から平成30年度までの中学部の道徳の指導に当たっては、特別支援学校小学部・中学部学習指導要領第3章の規定並びに同章によって準ずることとしている小学校学習指導要領(平成20年文部科学省告示第27号)第3章及び中学校学習指導要領(平成20年文部科学省告示第28号)第3章の規定にかかわらず、その全部又は一部について、改正後の小学部・中学部学習指導要領第3章の規定並びに同章によって準ずることとしている小学校学習指導要領の一部を改正する告示(平成27年文部科学省告示第60号)による改正後の小学校学習指導要領第3章及び中学校学習指導要領の一部を改正する告示(平成27年文部科学省告示第61号)による改正後の中学校学習指導要領第3章の規定によることができる。

3 自立活動

 平成27年度から平成29年度までの小学部及び平成27年度から平成30年度までの中学部の自立活動の指導に当たっては、特別支援学校小学部・中学部学習指導要領第7章の規定にかかわらず、改正後の小学部・中学部学習指導要領第7章の規定によることができる。

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)

-- 登録:平成27年07月 --