資料3‐3 初等中等教育分科会(第98回)議題に関する意見

横浜市長 林 文子

議題(3)川崎市における事件の検証を踏まえた当面の対応方策について関連

 横浜市においても、高校生が保護責任者遺棄致死容疑で逮捕される事件が起きました。
 未来ある少年の尊い命が失われたことを重く受け止め、事件の背景や課題をしっかりと分析し、今後同様の事件を起こさないよう、国・自治体相互に未然防止に向けた取組を強力に進める必要があると考えています。
 そこで、以下の3点につき、国におけるご検討をお願いしたいと思います。

1 児童支援専任教諭の定数化

 義務教育段階では、教員が子どもの様子をしっかりと見て、変化に気付き、悩みを抱えた子には手を差し伸べられるよう、子どもと向き合う環境を整える必要があります。本市においては、いじめ、不登校、暴力行為、いわゆる学級崩壊等、児童指導上の諸問題の未然防止・早期解決のため、平成22年度より段階的に児童支援専任教諭を市独自予算で配置し、26年度からは全小学校に配置しています。その結果、いじめの認知件数が4.7倍増加するとともに、いじめの解消率も8.2ポイント向上するなど、大きな成果が上がっています。このような児童支援専任教諭を国において定数化していただければ、全国の自治体で子どもをしっかりと見守る体制が確立できると思います。

児童支援専任教諭の配置による効果

≪横浜市における、いじめの状況≫
 22年度より専任教員を段階的に配置し、26年度から全小学校に配置

横浜市における、いじめの状況のグラフ

2 学校警察連絡協議会への児童相談所、児童支援専任教諭の参画

 学校と警察との連携について、横浜市においては、50年以上前から警察署単位に学校警察連絡協議会(学警連)が設置され、連携を進めてきました。平成16年には、個人情報のやり取りを円滑に行うための学校と警察の協定を締結し、情報の共有と管理にしっかりと取り組んできています。実質的な情報共有をできるようになったのは、学警連発足後すぐではありません。一つひとつ、経験を積み重ねていく中で相互のルールを確立し、子どもの健全育成に向けた情報共有ができるようになりました。
 横浜市内にある全警察署で組織している横浜方面の学警連には、3年前から横浜市児童相談所が参画し、今では小学校の代表として児童支援専任も参加し、具体的に小中学校と福祉、警察がつながれるようになり、実質的な行動連携ができるようになってきました。
 国においては、こうした自治体における学警連運用上の工夫等について情報収集、提供いただくと、全国の自治体で実質的な連携が進むと思います。

3 自立に向けた青少年期支援のあり方

 子どもが自立していく青少年期について、高校や専門学校等は生徒が様々な地域から通っているため、通常、生徒の居住している地域に根ざした学校となりません。このため、小中学校のように、高校等のある地域の関係機関同士が連携しても支援が行き届きにくいのが現状です。この段階については、関係機関の連携のあり方を大きく捉え直す必要があると思います。
 小中学校段階でいかに児童生徒同士が相談し合える関係を作っていくか、といったことに加え、青少年期に社会全体で子どもの自立を支援していくための具体的なアプローチのあり方について、今後、本市において関係部局が連携し、検討を進めていきます。ついては、国においても関係省庁との連携を図りながらご検討をいただき、相互の検討状況を共有しながら進めることができれば有難いと思います。

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)

-- 登録:平成27年07月 --