26文科初第1479号
平成27年3月31日
各都道府県教育委員会教育長 殿
各指定都市教育委員会教育長 殿
各都道府県知事 殿
附属学校を置く各国立大学法人学長 殿
小中高等学校を設置する学校設置会社を所轄する構造改革特別区域法第12条 殿
第1項の認定を受けた地方公共団体の長 殿
文部科学省初等中等教育局長
小松 親次郎
(印影印刷)
標記については、これまでも「学校と警察との連携の強化による非行防止対策の推進について」(平成14年5月27日付け14初児生第6号初等中等教育局児童生徒課長通知)等に基づき、学校において、警察をはじめとする関係機関と連携しながら、児童生徒の非行防止や被害防止等に積極的に取り組んでいただいているところです。
しかしながら、最近においても、川崎市において前途ある中学生が被害者となる痛ましい事件が発生しました。学校、行政、地域社会などの努力により事件を防げなかったかという思いや、同様な危険にさらされている児童生徒が身近にもいるのではないかという危機感などを社会共通に抱かせる事件であり、それゆえに、全国の学校や教育委員会においても、この事件を踏まえた緊急の対応が求められるところです。
このため、政府として、今回の事件の検証を行うとともに、これを踏まえた再発防止策を検討するため、丹羽秀樹文部科学副大臣を主査とし、関係府省庁と連携の上、「川崎市における中学1年生殺人事件に係るタスクフォース」を立ち上げ、本日、「川崎市における事件の検証を踏まえた当面の対応方策」をとりまとめました。
貴職におかれては、1.4月の新学期に向けて進める緊急点検の実施及び2.平成27年度に特に力を入れて取り組む方策に係る下記の事項について御留意いただき、都道府県・指定都市教育委員会にあっては所管の学校及び域内の市区町村教育委員会等に対して、都道府県知事にあっては所轄の私立学校に対して、国立大学法人にあっては附属学校に対して、株式会社立学校を認定した市町村担当部課にあっては認可した学校に対して、周知を図るとともに、適切な対応がなされるよう御指導をお願いいたします。
記
(1)学校においては、連続して欠席し連絡が取れない中で、又は学校外の集団との関わりの中で被害に遭うおそれ(以下「被害のおそれ」という。)がある児童生徒の安全の確保に向け、日頃から教職員が組織として情報共有し対応できる体制を構築しておく必要があり、具体的には、以下の状況等を4月の新学期に向けて確認し着実に対応を進めること。
(2)設置者においては、学校からの連絡に基づく迅速な対応ができるよう、日常から学校との情報共有とそれに基づく対応、関係行政機関等との連携協力のための体制を整えておく必要があり、具体的には、以下の状況等を4月の新学期に向けて確認し着実に対応を進めること。
(3)これらの緊急点検を通じ、別添「児童生徒の「被害のおそれ」に対する学校における早期対応について【指針】」に示す、1.所在不明の場合、2.家庭の協力が得にくく連絡が取れない場合、3.学校外の集団(成人が主な構成員であると思われるものを含む。)との関わりがある場合、4.欠席が続く場合のそれぞれの状況に応じた対応が円滑に実施できる体制の構築に努めること。
(1)1や2の取組を通じ、学校・設置者における組織的な対応のための体制を整備するとともに、別添「学校における早期対応について【指針】」を踏まえ、学校や地域の実情に応じた早期対応の指針を作成し、学校内や学校と設置者間の情報共有、状況に応じた具体的な対応についてあらかじめ整理し、事案に応じた円滑な対応が行えるよう備えること。
文部科学省においては、平成27年度早期に、緊急の生徒指導担当者連絡会議を開催することとしており、このような機会を通じ、この通知に示す事項に係る好事例を紹介していくこととしていることから、学校・設置者においては、そのような事例を参考に年度内においても取組の改善を図っていくこと。
※ 事件性がある場合は直ちに警察へ相談・通報、児童虐待が疑われる場合は直ちに市町村・児童相談所へ相談・通告する。
文部科学省が新たに定めた指針等を踏まえ、学校・教育委員会等において早期対応の指針を定め、円滑な対応の実施を図ること。【特に、警察庁、厚生労働省と連携】
平成27年3月31日
川崎市における中学1年生殺人事件に係るタスクフォース
(開かれた学校の推進)
(子ども・若者支援地域協議会)
(第三者的視点を取り入れた事実関係の検証と対応策の検討)
(学校警察連絡協議会)
(学警連携協定等)
(スクールサポーター、少年サポートセンターと学校等関係機関との連携)
(少年鑑別所における非行・犯罪防止の相談)
(福祉部局等との連携)
(学校・教育委員会からの取組)
(保健、福祉の機関等間の連携の徹底、地域の身近な相談拠点の拡充)
子供のSOSを受け止めるための窓口の充実と、社会全体でアンテナを高く保っていくための啓発活動について
(早期対応の指針)
(日常の体制)
(連続欠席等により「被害のおそれ」が生じたときの早期対応)
(学校・設置者による速やかな支援体制の構築)
子供は国の宝である。また、総理の国会答弁にあるとおり、子供を守る責任は大人にある。このような考え方の下、政府として、今回の事件を教訓とした再発防止策を上記のとおり取りまとめた。
ここに掲げた施策・取組は、子供たちを危険から守るために、文部科学省をはじめ、関係府省庁、都道府県、市町村、学校設置者、学校において積極的に推進されなければならない。同時に、文部科学省は、その状況を継続的にフォローアップしていかなければならない。
このような取組が真に有効なものになるかどうかは、文部科学省・関係府省庁の施策、学校や警察をはじめとする関係機関の努力とともに、保護者や地域の大人が一丸となって子供を守れるかどうかにもかかっている。
この対応方策の公表を、家庭やそれぞれ地域で子供の回りに危険が迫っていないかどうか、不安や心配な状況がないかどうかを振り返る契機、あるいは子供たちを今回のような事件の被害者にも加害者にもしないような方策について改めて考える契機としていただきたい。
初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室
-- 登録:平成27年07月 --