資料7‐1 教員免許更新制の導入について(中央教育審議会における検討経過)

 平成16年10月に、文部科学大臣から中央教育審議会に対して「今後の教員養成・免許制度の在り方について」諮問。
 これを受けて、中央教育審議会では、教員養成部会において計21回の審議が行われ、また、教員養成部会の下に、教員免許更新制等を専門的に審議する教員免許ワーキンググループを設置し計14回にわたって審議を行ってきた。
 審議の経過においては、関係団体からのヒアリングも実施し、平成17年12月に取りまとめた中間報告に対して意見募集を行い広く国民からの意見も伺ってきた。
 こうした様々なご意見を踏まえ、平成18年7月に「今後の教員養成・免許制度の在り方について」答申を取りまとめたところ。

平成16年10月20日

  • 諮問「今後の教員養成・免許制度の在り方について」

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平成17年3月

  • 教員養成部会に「教員免許制度ワーキンググループ」を設置して、具体的な制度設計等について検討開始

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平成17年6月

  • 教員養成部会で、関係団体のヒアリング(合計28団体)を実施

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平成17年12月

  • 中央教育審議会総会において、「中間報告」を取りまとめ

 ↓ ※  中間報告に対する意見募集を実施

平成18年5月

  • 教員免許制度WGにおいて「検討結果」を取りまとめ

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平成18年6月

  • 教員養成部会において、「答申案」を審議・取りまとめ

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平成18年7月

  • 中央教育審議会総会において、「答申」を取りまとめ
    「今後の教員養成・免許制度の在り方について」(平成18年7月11日 答申)
    教員免許更新制の導入等についての概要

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「今後の教員養成・免許制度の在り方について」(平成18年7月11日 答申)教員免許更新制の導入等についての概要

1.教員免許更新制の導入 (1)導入の基本的な考え方 1 導入の必要性及び意義
  • 教員として必要な資質能力は、本来的に、時代の進展に応じて更新が図られるべき性格を有しており、教員免許制度を恒常的に変化する教員として必要な資質能力を担保する制度として、再構築することが必要。
  • 教員免許状に一定の有効期限を付し、その時々で求められる教員として必要な資質能力が保持されるよう、必要な刷新(リニューアル)を行うことが必要であり、このため、教員免許更新制の導入が必要。
  • 更新制導入の意義としては、すべての教員が必要な資質能力を確実に修得することで、公教育の改善・充実と信頼の確立。また、専門性向上の促進も期待。
2 更新制の基本的性格
  • 更新制は、いわゆる不適格教員の排除を直接の目的とするものではなく、教員が、更新後の10年間を保証された状態で、自信と誇りを持って教壇に立ち、社会の尊敬と信頼を得ていくという前向きな制度。
  • 免許更新講習の受講により、教員としての専門性の向上も期待。また、講習を修了できない者は、免許状は失効するため、問題のある者は教壇に立つことがないようにするという効果。
  • 更新制を導入し、専門性の向上や適格性の確保に関わる他の教員政策と一体的に推進することは、教員全体の資質能力の向上に寄与するとともに、教員に対する信頼を確立する上で、大きな意義。
(2)具体的な制度設計 1 基本的な考え方
  • 更新の要件は、必要最小限のものとし、客観性を担保するとともに、更新のための負担も合理的な範囲内のものとすることが必要。
2 教員免許状の有効期限
  • 一律に10年間とすることが適当。
3 更新の要件と免許更新の実施主体
  • 教員免許状の有効期限内に、免許更新講習を受講し、修了の認定を受けることとすることが適当。免許の更新は、免許管理者である都道府県教育委員会が行うこととすることが適当。
4 免許更新講習の在り方 1)講習の開設主体と国による認定
  • 課程認定大学のほか、大学の関与や大学との連携協力のもとに都道府県教育委員会等も開設可能とする。一定水準が維持されるよう、あらかじめ国が認定基準を定めて認定するとともに、認定後も定期的にチェックを行うことが必要。
2)講習内容と修了の認定
  • 講習内容については、
    • 教職実践演習(仮称)に含めることが必要な事項と同様の内容を含むものであること
    • その時々で求められる教員として必要な資質能力に確実に刷新(リニューアル)する内容を含むものであること
    が必要。また、学校種や教科種に関わらず、およそ教員として共通に求められる内容を中心とすることが適当。
  • 修了の認定は、あらかじめ修了目標を定め、受講者の資質能力を適切に判定した上で、修了の可否を決定することが適当。
3)受講時期と講習時間
  • 有効期限の満了前の直近2年間程度の間に、最低30時間程度、受講することが適当。
4)講習の受講の免除等
  • 教員としての研修実績や勤務実績等が講習に代替しうるものと評価できる場合には、受講の一部又は全部の免除を可能とすることが適当。
5 教員免許状の失効と再授与の在り方
  • 更新の要件を満たさない場合、教員免許状は更新されず、失効する。ただし、免許更新講習と同様の講習(回復講習)を受講・修了すれば、再授与の申請を可能とすることが適当。
6 教員免許状の種類ごとの更新制の取扱い
  • 更新制は、すべての普通免許状に、同等に適用することが適当。
7 複数の教員免許状を有する者の取扱い
  • 複数免許状の保有者については、原則として、一の免許状について更新の要件を満たせば、他の免許状の更新も可能とすることが適当。
8 教員となる者及びペーパーティーチャーの取扱い
  • 更新制は、制度導入後に教員となる者を主たる対象者として想定した制度。ペーパーティーチャーは、免許状の再取得が必要となった時点で、回復講習を受講・修了することが必要。
(3)現職教員を含む現に教員免許状を有する者への適用 1 適用についての基本的な考え方
  • 現に教員免許状を有する者についても、一定期間(10年間)ごとに免許更新講習と同様の講習(定期講習)の受講を法的に義務付け、当該講習を修了しない場合は、免許状が失効することとすることは、必要性と合理性があり、更新制の基本的な枠組みを適用することが適当。
2 現職教員及びペーパーティーチャーの取扱い
  • 現職教員は、定期講習を受講・修了しなければ、免許状が失効し、失職となることから、10年ごとに定期講習を受講・修了することが必要。
  • ペーパーティーチャーは、免許状の再取得が必要となった時点で、回復講習を受講・修了することが必要。
(4)更新制等の円滑な実施のために
  • 現職教員が計画的に定期講習を受講できるよう諸準備を進めるとともに、「免許管理システム」の整備を速やかに行うことが必要。
2.その他の改善方策
  • 分限免職処分を受けた者について、明らかに教員としての資質能力に問題がある場合には、免許状の取上げを可能とすることが適当。
  • 問題のある教員が教壇に立つことのないよう、引き続き、条件附採用期間制度の厳格な運用や、指導力不足教員に対する人事管理システムの活用による分限制度の厳格な適用等に努める。

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初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)

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