参考資料2 教育課程部会の小・中学校部会におけるこれまでの主な議論

小学校 中学校
発達や学年の段階に応じた教育課程の編成(学校間の円滑な接続を含む) 発達や学年の段階に応じた教育課程の重点化
  • 小学校低・中学年では、体験的な理解や読み・書き・計算の能力の育成を重視し、高学年以降は、概念や方法の獲得、思考、理解を重視するという審議経過報告の考え方は重要。
  • 学習や生活の基盤づくりを考える上で、小学校低・中学年においては、朗読、漢字の読み書き、古典の暗唱などに取り組むことが必要。高学年からはコミュニケーション能力や読解力に重点を置くべき。

発達や学年の段階に応じた教育課程の重点化
  • 中学校では教育内容が質・量ともに本格的になるので、うまく適応できるようにするためには全教科において学習スキルをしっかり身に付けさせることが重要。
  • 中学2年くらいになると、知識をただ覚えるということに満足しなくなる。こうした年齢に応じた学習態度の変化への対応という視点が必要。
幼稚園と小学校の円滑な接続のための具体的方策
  • 小学校低学年では、体験を重視しつつ、1.小学校生活への適応、2.基本的な生活習慣等の育成、3.教科の学習への円滑な移行などが重要。
  • 幼児教育では、1.集団とのかかわりに関する内容の充実、2.小学校低学年の教科の学習の基盤となるような経験の充実などが重要。

小学校と中学校の円滑な接続のための具体的方策
  • 中学1年の学習内容は、小学校5・6学年の学習内容に接続したものとする配慮が必要。
  • 単元に応じて、小学校で身に付けるべき教育内容を重複して指導するなどの工夫が必要。
  • 小学校と中学校の教員の相互交流を一層促進することが重要。
教科担任制
  • 小中の連携については、特に教科の学習では小学校での教科担任制など、学校システム全体で考えることが必要。
言葉の重視、体験の充実 すべての教育活動を通じた言葉の重視
  • 国語力については全ての教科を通じて育成すべき。
  • 物事を比べて考える、関連付けて考えることなどについて各教科、各学年で取り扱っているが、学年段階に応じた指導内容の明確化が必要。
コミュニケーション能力の育成
  • 討論を通じて異なる意見を聞き、他人の意見を要約しながら自分の意見を形成するといった活動が必要。コミュニケーション能力の育成は、自立や自己肯定、社会性のある人間の育成につながる。
  • 今の子どもたちの言葉を正しい日本語として育成するために、発音や発声を重視することが必要。

コミュニケーション能力の育成
  • 子どもの話す力が低下しており、各教科において話すことを意識した授業を行うことが必要。
  • 国語では単なる日常生活ではなく説明や討論といったフォーマルな場でのコミュニケーション能力の育成が重要。そのための実際的なトレーニングは、国語以外の各教科において取り組むことが有効。
  • 実社会では、コミュニケーション能力が非常に重要。評価する仕組みを作ることが必要。
すべての教育活動を通じた体験の充実
  • 各教科の基礎的・基本的な知識を身に付けさせるためには実生活との関わりの中で知識を身に付けさせることが重要。
  • 教科ごとにどのような体験が必要か整理することが必要。
  • 体験活動は、当該活動の価値付けや意味付けなど事後指導を適切に行うことが必要。
  • 体験活動については、すべてを学校のみで行うのではなく、土曜日などに学校と家庭、地域が協力して実施することも考える必要。
すべての教育活動を通じた体験の充実
  • 自分の身近な体験に即して知識を学び直すことによって実感が湧く。
  • 体験については、それぞれの教科等の中で何ができるかを整理し、効果的に学習を深めていくことが必要。
  • 学校行事の充実など体験を活かすための仕組みが必要。
  • 体験活動に企業の退職者を活用することは、社会人との接点を持たせるという意味でも大切。
確かな学力の育成 国語力の育成
  • 知識は言語で構成されており、日本語の最も知に関わる部分は漢字の熟語。授業の流れの中で早い段階で多くの漢字を覚えるようにすると自然と他の教科の学習にもよい影響を及ぼす。
  • 主語・述語や修飾・被修飾の関係などを活用して、文章を分析的に読む技術を教えることが必要。
  • 学校図書館や公共図書館の活用を一層推進する必要がある。

国語力の育成
  • 漢字については、小学校の学年配当漢字を書けるようにするという現在の目標では不十分。読み書きは一体であり、漢字の書きとりの目標を高く設定すべき。
  • 課題に対して、考えを書いてまとめ、それを基に話し合い、また書き直すといった作業を通じて「書く力」を伸ばすことが重要。
  • 読書活動は国語力の育成にとって重要である。司書教諭の配置など学校図書館の充実が必要。
理数教育の充実
  • 例えば、1平方センチメートルを敷き詰めて求積する活動や、さいころを何度もふって1の目の出る確率を求めるような活動など、考え方の楽しさを体験できるような算数的活動は、算数的な考え方を身に付けるために非常に重要。
  • アサガオの成長、セミの羽化の観察など体験活動を例示した奨励も大切。
  • 算数や理科に関する発展的・体験的活動を生活科や総合的な学習の時間で積極的に取り組むべき。
  • 小・中学校を通じ実験に慣れていない生徒が多いのは、小学校で十分な実験が行われていないから。小学校の理科については、専科の教員を配置していくことを検討することも必要。

理数教育の充実
  • 数学は、積み重ねが必要な学問であり、少人数できめ細かく指導することが効果的。
  • 理科教育で観察・実験に十分取り組める時間的な余裕が必要。
小学校における英語教育の充実
  • 小学校の英語教育は、異文化教育としての観点が必要。

外国語教育の改善
  • 外国語教育は、聞くことや書くことに力を入れることも重要であるが、その前提となる文法についても十分な取組が必要。
  • 中学校の英語教育は、小学校における英語活動との関連を踏まえたカリキュラムづくりが必要。
授業時数
  • 国語や理科・算数については授業時数の量的拡充について検討が求められる。
  • 朝の読書活動や学校図書館の活用など現在標準授業時数の枠を超えた取組について、取扱いを考えるべき。
小学校高学年の課題選択
  • 小学校高学年の社会科や理科における課題選択は、児童の主体性や物事に関する多様な見方等を育成する観点から、一定の役割を果たしてきているが、どのような内容を選択的にするかは義務教育の共通性などを踏まえ十分に検討する必要。
選択教科の在り方の改善
  • 小規模校においては、教員の不足から実施が困難。
  • 発展的な学習、補充的な学習、課題学習は必修科目でも可能。
  • 教育課程の複雑化の一因であり、必修教科の時間に充てる方向で見直すべき。教員にも大きな負担となっている。
  • 必修教科の時間や内容が減ることによって、全体として低いレベルの教育内容になっているという現状がある。
  • 教科横断型の学習は総合的な学習の時間で扱うこととすべき。
  • 選択教科については、学校週5日制の趣旨を踏まえ、地域における教育として子どもたちが様々な活動に自分で選んで参加するといった視点から土曜日の活用も検討すべき。
総合的な学習の時間の改善
  • 知の総合化が進む中で各教科に細分化された知識だけでは立ち行かないことや、市民生活において教科横断的な力が必要なことなどから教科の知識をもとに問題を追究していく力の育成が必要。
  • 総合的な学習の時間については、特別活動や選択教科との関係を整理し、その構造を明確化することが必要。
  • 総合的な学習の時間によって身に付けるべき力を明確にし、より明確な評価を行うべき。
  • 教員自身が必要性について認識し、教員相互の連携を強化する必要。
  • 学校又は地域単位において、体系的なプログラムの開発やコーディネーターの配置などが必要。
社会的自立の推進 道徳、特別活動、総合的な学習の時間における系統性の明確化
  • 道徳、特別活動、総合的な学習の時間については、小学校6年間で最終的にこういう子どもを育てたい、各学年ではここまで育てたいといった系統性や見通しを国として示す必要。
規範意識を高める教育の充実
  • 規範意識や道徳的な判断についての教育をしっかりと行うことが必要。
内容・形式両面にわたる道徳教育の見直し
  • 道徳の時間は、読み物の読解のような指導に終始したり、別の時間に充てられるなど有効に機能していない実態がみられる。人間の協同関係を成立させる最低限のルールとして法があることを認識した上で、より質の高い生き方を求める道徳を学ぶといった視点からの見直しが重要。また、名称も検討する必要がある。
  • 大人に近い中学生への道徳教育は、教える側の力量や生き方が問われるが、その重要性を十分に認識して取り組むことが必要。また、十分な時間の確保と小学校からの一貫した教育が重要。
特別活動の改善
  • 自立した子どもになるには意思決定が重要。委員会活動やグループ学習の役割分担など様々な経験を積み重ねることが重要。
  • 子どもたちが地域の人々と共に活動する場合、地域の人々がその活動の手本となる。
  • 異年齢で遊ぶ機会が減少している今日、異年齢交流に意図的に取り組むことが重要。例えば、高学年の児童が1年生の子どもも一緒にできるような遊びを考えるなど自立の基礎が培われる。
  • 対人的なスキルや協調性を育てる指導を位置付ける必要。
  • 地域と一緒になって行う活動は土曜日に行うなど、時間的に工夫できる範囲を増やす必要。
  • 小学校のクラブ活動は中学校とは性格が異なっており、体験の充実という観点から重要。
特別活動の改善
  • 社会的自立の推進に当たっては、様々な要素が含まれている特別活動の在り方を教科との関係を含めて整理する必要がある。
  • 特別活動の時間は十分に確保する必要がある。
社会の変化への対応(法教育等、情報教育、科学技術教育、環境教育、キャリア教育、食育、性教育、安全教育など) 社会の変化に伴う課題への対応
  • 「○○教育」は社会の変化に伴い、子どもが自立して生きていくために必要なものであり義務教育として教えることが必要。
  • 「○○教育」については、全国的に必要なものとして、内容を精選することが重要。
  • 小中高の各学校段階ごとにどのような内容にするかなど、体系的に考えていく必要。
  • 食育については、栄養教諭の養成も進められており、その位置付けを整理する必要。
社会の変化に伴う課題への対応
  • 「○○教育」の実施については、各教科における具体的な活動例のようなものを示すことが必要。
  • 「○○教育」は、教科横断的な課題として総合的な学習の時間において、生徒や地域の実態に応じて実施することが必要。
  • 「○○教育」については、まず、教育委員会でどのように実施するか仕分けをする必要がある。
  • 「○○教育」など教科横断的な内容の指導については、学校ですべて抱えこまず、専門家の協力が得られるようなシステム作りが重要。
その他 義務教育修了段階において身に付けるべき力
  • 社会へ出て市民として生きていくための力を身に付けることが必要。
  • 公正な判断をする力とその判断に責任を持つ態度を教科横断的にしっかりと育成することが重要。
  • 基礎的・基本的な事項を基にそれらを有機的に融合又は離散させ、創造し、自分なりの結論を導き出し、その結論を言葉・文章でまとめることが出来る力。

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初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

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