資料2-5 中央教育審議会初等中等教育分科会(3/24、5/17)で出された主な意見(「今後の学級編制及び教職員定数の改善」関係)

少人数学級について

○学級規模は30人を目標にしてほしい。

○近年、学校では小中一貫やコミュニティスクールの取組など新たな取り組みが始まり、学校の抱える問題も変化しているのに、学級規模は40人のままであり見直す必要。

○一定の児童生徒数がいる方が効果がある教科、少人数の方が効果がある教科があるので、学力の向上を図るためにはどのような学級編制がよいのかという点を考えるべき。

○単に学級規模を何人にするかということだけでなく、どういう教育を行うために改善するかという議論が必要。

○学級規模を下げるだけでなく、教員の持ち時間数、指導時数も適切かあわせて考えていく必要。

○第6次改善計画以降は指導方法の改善をしてきているが、現在の40人学級では、いじめや不登校など教科指導の他に生活指導の議題が問題となっており、学級規模を引き下げることが必要ではないか。

○小規模すぎる学級では、社会性が培えるか懸念があるので、学級規模の下限を設けることが必要ではないか。

教職員定数の改善について

○教員は多忙感に苛まれており、ぜひ計画的な定数改善をお願いしたい。

○OECD調査結果でも、日本は国際的に教員一人当たり児童生徒数は多い。学級の人数を減らし、それに基づいて教員を増やすこと重要。一クラスにおける教員数は、小学校は1.5人以上、中学校は2.0人以上をお願いしたい。

○第7次改善計画でも自然減と同数の定数改善を行っており、今回も自然減を活用して少なくとも自然減以上の定数改善をお願いしたい。

○今は小学校1~中3まですべて同じ学級編制の標準。厳しい財政状況を踏まえ、学年ごとにより有効な定数の確保の在り方を考えてはどうか。

○特に小学校で理科の専科教員を配置してほしい。専科教員は他の科目を教えられないので専科教員を置きたくないとの声があるが理科の面白さを子供に伝えることは重要。

○学校の職員構成をどうするかという観点から、標準法そのものを抜本的に見直す必要があるのではないか。

○日本の教員は、教科指導だけではなく、生活指導も行っており、多様な問題を抱えているので、その点を勘案した定数改善が必要。

○どのような教員が必要か、必要な優先順位を付けて、増員した結果について検証し、説明責任が果たせるようにする必要。

○学級単位で対応できない問題が増加しており、学校単位で自由に使える加配が必要。

○定数改善の「達成目標」の要素は、学力だけではなく、教員が教材研究などに使える時間がどれだけ増えたかということも要素にすべき。

○標準を35人に引き下げても、その効果はある一定規模以上の学校に限られてしまう。小規模校への補正措置が必要ではないか。

○学校単位で最低限必要となる教員数を示すことも必要ではないか。

新学習指導要領の円滑な実施について

○新学習指導要領の「質」「量」の改訂への対応が必要。授業時数増に対しては、当然定数改善が必要。また、現行では、「言語活動の重視」を打ち出しており、すべての教科において言葉による思考力を充実させる必要がある。そのためには、児童生徒の話し合いの時間などを設ける必要があるが、その際40人では難しく、少人数学級のための定数改善をぜひお願いしたい。

○新学習指導要領で授業時数が増加するのに教員定数は増えないというのは大変な問題である。ぜひ教職員定数の改善をお願いしたい。

○新学習指導要領の改訂で理数教科の充実がいわれており、日本学術会議でも専科教員を置いてほしいという提案をしているので、そこに力点をおいてはどうか。また、言語力の重視が言われており、司書の配置も検討する必要がある。

教員が子どもと向き合う環境づくり等について

○現場の教員として、教員が子どもと向き合う時間を確保するため、仲間と、時間的・精神的なゆとりがほしい。

○精神疾患による教員が増えており、我々教員はギリギリの状態で頑張っている。

○学校現場は児童生徒の問題行動、小1プロブレム等、様々な問題があり、教員が子供と向き合う時間を確保するため必要な定数の確保をお願いしたい。

○学校現場で先生が頭を痛めているのは、教員が子どもと接する時間がないということ。少人数学級や少人数指導により、より効果的な授業が行える態勢を作ることが重要。

○少人数学級や教職員定数だけではなく、教員の中で役割分担をできるような態勢を整え教科教育にもっと時間をかけ、教材研究をできる時間のゆとりを持てるようにすべき。

○教員が教科指導の他に生活指導にも取り組んでおり、教員の負担軽減が必要であるにも関わらず、現状は不足しているという実態を、勤務実態調査の内容も含めて、国民に説得力をもって説明することが中教審の役割である。

地方や学校の裁量について

○国で決まったことが、県に、県から市町村、市町村から学校に行くと、自由な発想がなくなる。学校や校長・教職員の創意工夫を大切にできるような仕組みにすべき。

○学校や学科によって望ましい教職員の配置は異なるので、できるだけ地方や学校に裁量を与えるべき。

外部人材の活用について

○スクールカウンセラー、地域の方々の協力を得て、教員の環境を整えることが非常に重要。単に人数の問題にとどまらず、内容を高めることを進めて欲しい。

○日本は欧米と比較しても、専門スタッフの割合が少ない。

○市町村によって異なる課題に対応できるようにするため、外部とのコーディネーターの役割を果たす人も必要。

○民間企業から見ると学校は閉鎖的に感じるので、外部人材の活用を進めてほしい。

義務教育費国庫負担金について

○危惧するのは、義務教育費国庫負担金は国の負担率が3分の1であるため、都道府県は残りの3分の2が負担となり、全体の3分の1の県が負担金を使い切れずに返してしまっているという現状がある。義務教育費国庫負担率の2分の1の復元を進めてほしい。

○国庫負担金については、3分の2を地方が負担しており、負担率2分の1回復を目指してほしい。また、現在、地主権戦略として行われている一括交付金の議論は、義務教育費国庫負担金の廃止、一般財源化につながる話であり、我々が期待するものではない。負担金、補助金、地方交付税で措置されているものすべてが教育に限定して措置されるような教育一括交付金を望む。これらのことについて、ぜひ中教審で議論してほしい。

○事業仕分けでは、国庫負担率を全額に戻すべきとの意見もあった。3分の1ではなく、 国が全額負担して、国が義務教育に責任を持っているという姿勢をぜひ出して欲しい。

施設整備について

○施設整備は大変な作業が必要となる。結論としては、地域の実情に応じて運用を任せていただきたい。必ずしも35人にしなければならないとなると、自治体では直に対応できないので、段階的にできるようにしてほしい。

○少人数学級に伴う教室数の増加に必要な施設整備の財源保障がないと自治体間で格差が生じる。財源が確保できるよう、国の配慮が必要。

その他

○限られた予算の中で戦略をもって重点的に金を投入するという、政治的な判断が必要。

○各政党とも、少人数学級に対する関心が高い。人、学校、子供たちにどのような教育をしていくのか国民的な課題。より効果的な政策に盛り込んでいただくことを期待。

○学校全体でどのような仕組みにすれば、効果的な学習ができるか、という観点から、専門家の力量を発揮できる態勢をどのようにつくるか考える必要がある。

○民間企業では、徹底的に業務分析して、改善したら結果はこう良くなる、と示すのが普通。勤務実態調査を分析して、これだけ定数を増やしたらどのような結果があるかを明確に示し、成長戦略に盛り込んでいく必要。

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課)

-- 登録:平成22年07月 --