資料2-2 学校のマネジメントの改善について(小川委員提出資料)

平成22年6月18日
小川正人

◎ 学校を取り巻く現状について業務負担の観点から概観した場合、以下のような種々の面で、課題が多様化・複雑化してきていると考えられる。

○ 児童生徒等の指導に関すること

・ 社会の高度化・複雑化等に伴い、学校で教えることが期待される教育内容が多様化している。また、それに対応するために様々な準備が必要となっている。
・ 児童生徒の規範意識の変化や問題行動の多様化等により、その指導が困難化する場合が生じている。

○ 学校の運営に関すること

・ 会議・打合せ、事務・報告書作成等子どもたちの指導に直接かかわる業務以外の業務に多くの時間が割かれるようになっている。
・ 説明責任を果たすことが求められるようになり、説明の機会が増えるとともにそのための書類の作成等が必要となることも増えている。

○ 外部との連携等に関すること

・ 家庭や地域と連携することが一層求められるようになる中、保護者や地域住民に対応する機会が増加している。
・ 学校に対する保護者や地域住民の意見や要望が多様化する中、一部理不尽な要望がなされるようになっている。

◎ 今後、学校教育の質を一層向上させるためには、これらの課題に対応するための取組を進め、学校のマネジメントについて改善を図っていくことが必要。

【組織的な学校運営】

・ 学校を従来のような鍋蓋型の組織にするのではなく、副校長、主幹教諭、指導教諭等を配置し、これらの教員の機能を活用する組織にしていくことが必要。
・ 子供に関する業務はすべて教員のものだとするのではなく、事務職員の役割を明確化し、教員との適切な役割分担をしていくことが必要。また、事務の共同実施も広がってきており、効率的な学校運営に有益。
・ 学校運営の目標を定め、それを実現するためにどういう授業準備や部活動を行っていくかを組織的に検討し、チームとして自発性・創造性を発揮しながら取り組んでいくことが必要。

【専門的な役割を担う教職員の配置】  

・ 必要な数・職種の教員を配置するなどの体制整備が必要。
・ 現在では、学校教育が学校だけで完結してしまうことには限界がある。地域の方に学校に参画してもらい、地域とともに学校で子供を育てていくことが重要。そのためには、教育委員会や学校の側ももっと地域に働きかけていくことも必要。
・ 日本は欧米に比べて教員以外の職員が少ない。教員以外の専門家を増やすことで教員の勤務負担を軽減し、授業に集中していけるようになる。
・ 教育の内容や学校運営に直接関わる業務についても専門人材、地域人材に入ってもらい、教員とは異なる考え方を持つ人が学校に関わることが重要。あらゆるマンパワーを学校に振り向けていくことが必要。

【業務の遂行方法の改善】  

・ 教員はノウハウの伝達が十分ではなく、また作成する文書も標準化されていないため非効率。文書を標準化したり、ICT化を通じて情報を共有していくことで教員の業務も効率化される。
・ 学校や教員の業務について、教育委員会も含めて誰がやると最も効率的・効果的に実施できるのかを考えて、業務の範囲を明確化し、配分していくことが必要。

【教職員の働き方の見直し】

・ 教員の働き方についてもワーク・ライフ・バランスが必要である、というメッセージを発することが必要。

 

多様な専門人材の業務と効果(参考例)

○ 特別支援教育支援員 

(業務) 小・中学校において障害のある児童生徒に対し、食事・排泄・教室の移動補助等、学校における日常生活動作の介助を行ったり、発達障害の児童生徒に対し、学習活動上のサポート等を行う。

(効果例) 特別支援教育支援員の配置により、空き時間に学習補助を行っていた教員が他の業務(授業準備等)に当たることが可能になったり、コミュニケーションに困難を抱える子どもの友人とのトラブルを事前に防止するなど、業務負担の軽減や学級経営の円滑化が図られている。

○ 外国人児童生徒支援員 

(業務) 外国人児童生徒に対し、日本語指導や教科指導における補助、外国人児童生徒や保護者からの教育相談への対応、教材・学校便りの翻訳作業等を行う。

(効果例) 外国人児童生徒支援員を配置し、教員の補助として日本語指導や教科指導等にあたらせることにより、教員と外国人児童生徒とのコミュニケーションが一層円滑になり、教員の負担が軽減している。

○ 実験・観察支援員(理科支援員) 

(業務) 小学校の理科授業において、教員と相談しつつ、観察・実験の準備や後片付け、授業中の観察・実験等の補助、実験器具・備品の整備、理科教材の開発支援等を行う。

(効果例) 準備や後片付けの時間の短縮により、児童が観察・実験にじっくり取り組めている。
 実験・観察支援員(理科支援員)が授業中の実験、観察等を支援することにより、教員がこれまで以上に計画的に指導が展開できるようになるとともに、より安全で安心な観察・実験ができる。

○ ICT支援員 

(業務) 授業や校務に関連し、教員と相談したり、指示を受けたりしながら、機器やソフトの設定・操作の指導、デジタル教材やソフトの紹介など授業等において効果的な活用のアドバイスを行う。

(効果例) ある地方自治体では、ICT支援員を配置することにより、教員のICT活用指導力が向上し(※1)、学校ホームページの充実(※2)が図られるなどしている。

(※1)
コンピュータ操作ができる教員(H13:68%→H19:100%)
コンピュータを使って教科指導ができる教員(H13:68%→H19:95%)

(※2)
学校ホームページの開設校(H12:12校→H18:全校)

* その他、スクールカウンセラー、部活動指導員、スクールガードリーダーなど

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課)

-- 登録:平成22年07月 --