(資料5)学科等の目的・性格と免許状との相当関係について(案)

平成 年 月 日
中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会

1.現状

  • 今年度の課程認定申請において、経営学系の学科や心理学系の学科における保健体育の課程認定の申請が目立ったところ(申請時点で10大学)。
     これらの学科においては、すでに中学校社会や高等学校公民等の課程認定を受けており、それに加えて、保健体育の認定の申請を行うものである。
  • 教職課程認定基準(平成13年教員養成部会決定)においては、教職課程は、認定を受けようとする学科等の目的・性格と免許状との相当関係が適当であり、かつ、免許状の授与に必要な科目の開設及び履修方法が、当該学科等の目的・性格を歪めるものではないと認められる場合に認定するものとされている。
  • 経営学系の学科における保健体育の認定については、平成17・18年度において、学科等の目的・性格と免許状との相当関係が、通常の場合に比して薄いことについて課程認定委員会で議論した上、留意事項付きで認定が認められ、その後は認定が認められている。

2.学科等の目的・性格と免許状との相当関係についての問題点

  • しかしながら、平成17年度に経営学系の学科において保健体育の認定を認められた2大学の実地視察を本年度実施したところ、保健体育教員の養成のための理念が実現されていない、保健体育教員養成のための教育課程が体系的に実施されていない、教職指導体制が適切に機能していない、などの問題点が見られたところである。
  • 学科等を単位として課程認定を行う趣旨は、当該学科等における4年間(短期大学では2年間)の教育を通して修得された専門的知識を前提としつつ、認定を受ける免許教科についての教科に関する科目を一定数修得させることにより、当該免許教科を担当する教員として求められる教科専門性を確保しようとするものである。
  • この点、学科等の目的・性格と免許状との相当関係が通常の場合と比して薄い場合には、認定を受けようとする免許教科について、免許状の授与の前提となる十分な専門性を確保することが一般的に困難と言わざるをえない(注)

  (注)
 専門性の確保が困難な理由としては以下のとおりである。
(1) 大学が、経営上の採算性確保の観点から開設科目数を抑制しようとする場合、学科等の目的・性格と免許状との相当関係が通常の場合と比して薄い場合には、認定を受けようとする免許教科に関する専門科目の開設数は、通常の場合と比して少ないものとなること。
 (例)
 ・A大学経営学部経営学科【免許教科:商業】:商業に関連する科目(教科に関する科目に限られない) 146単位
 ・B大学経営学部経営学科【免許教科:保健体育】:保健体育に関連する科目(教科に関する科目に限られない) 50単位

(2) また、(1)の場合において、認定を受けようとする免許教科について十分な数の専門科目が開設されたとしても、4年間に学生が履修可能な科目数には限界があり、学生が修得する認定を受けようとする免許教科に関する専門科目の単位数も通常の場合に比して少ないものとならざるを得ないこと。

3.来年度からの課程認定の方針

  • 上記2のとおり、学科等の目的・性格と免許状との相当関係が薄い場合には、認定を受ける免許教科の専門性の確保や教職課程の適切な運営に問題が見られたことから、来年度以降は、課程認定に当たり学科等の目的・性格と免許状との相当関係の薄い申請については慎重に対応すべきであると考える。

4.今年度認定を行う課程又はこれまで認定された課程について

  • 今年度認定を行う課程又はこれまで認定された課程については、引き続き当該課程認定は有効とするが、今後、実地視察等を通して、教職としての専門性が適性に確保されるよう、フォローアップを行っていくこととする。

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