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2 教育内容等の改善の方向

(1)   人間力の向上を図る教育内容の改善

1   基本的な考え方

  言葉や体験などの学習や生活の基盤づくりの重視

 現行学習指導要領の総則では、「生きる力をはぐくむことを目指し、創意工夫を生かし特色ある教育活動を展開する中で、自ら学び自ら考える力の育成を図るとともに、基礎的・基本的な内容の確実な定着を図り、個性を生かす教育の充実に努めなければならない」とされている。
  教育に求められているのは、生涯にわたる学習の基礎を培うという観点に立って、子どもに基礎的・基本的な内容を確実に身に付けさせ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力(確かな学力)、自らを律しつつ、他人と共に協調し、他人を思いやる心や感動する心などの豊かな人間性(豊かな心)、たくましく生きるための健康や体力(健やかな体)などの「生きる力」をはぐくむことである。
 教育課程部会においては、教育課程の構造を明確化することが、学校教育の目的や目標を実現する基本的な手立てとなるのではないかとの考えの下、「確かな学力」や「生きる力」の育成に関する議論を整理し、その実現のための道筋を示そうと取り組んでいる。
 義務教育答申においては、学習指導要領全体の見直しについて、例えば、次のような点を重視する必要があるとしている。
 「読み・書き・計算」などの基礎・基本を確実に定着させ、教えて考えさせる教育を基本として、自ら学び自ら考え行動する力を育成すること
  将来の職業や生活への見通しを与えるなど、学ぶことや働くこと、生きることの尊さを実感させる教育を充実し、学ぶ意欲を高めること
  家庭と連携し、基本的な生活習慣、学習習慣を確立すること
  国際社会に生きる日本人としての自覚を育てること
 この四つの点は互いに密接に関連しており、一体となった体系的な指導がなされてこそ効果が上がると考えられる。「豊かな心」と「健やかな体」をはぐくむことは学習への意欲を生み出し、「確かな学力」の育成につながる。また、「確かな学力」の育成は、将来の職業や生活の基礎を培うものであり、他の人々とともに豊かな人生を生きる力へとつながるものである。
  子どもの心と体や学習の状況を見ると、「生きる力」を育てるためには、まずは、1生活習慣、学習習慣、読み・書き・計算など、学習や生活の基盤を培うことが重要である。そして、2将来の職業や生活への見通しを与える国際社会に生きる日本人としての自覚を育てるなど、実生活を視野に入れて、学習や生活の目標を持たせることが重要である。子どもの発達の段階に応じて、こうした学習や生活の基盤づくりを重視する必要がある。
 その際、言葉を重視することが大切であるとの意見、体験を充実することが重要であるとの意見が数多く示されている。
 言葉は、「確かな学力」を形成するための基盤であり、生活にも不可欠である。言葉は、他者を理解し、自分を表現し、社会と対話するための手段であり、家族、友だち、学校、社会と子どもとをつなぐ役割を担っている。言葉は、思考力や感受性を支え、知的活動、感性・情緒、コミュニケーション能力の基盤となる。国語力の育成は、すべての教育活動を通じて重視することが求められる。
  体験は、体を育て、心を育てる源である。子どもには、生活の根本にある食を見直し、その意義を知るための食育から始まり、自然や社会に接し、生きること、働くことの尊さを実感する機会を持たせることが重要である。生活や学習の良い習慣をつくり、気力や体力を養い、知的好奇心を育てること、社会の第一線で活躍する人々の技や生き方に触れたり、自分なりの目標に挑戦したりする体験を重ねることは、子どもの成長にとって貴重な経験となることが指摘されている。
 学習や生活の基盤づくりを進めていくためには、学校の教育内容及び教育方法について、実生活と一層意識的に関係付ける必要がある。具体的には、発達の段階に応じて、自然体験、社会体験、職場体験、文化体験等の適切な機会を設定することが求められる。身近な実生活とのかかわりの中で、実感を持って各教科等の知識や技能を習得できるようにすることが重要である。また、その知識や技能を実生活において生かしていくという視点を持たせることも重要である。
 教育と社会との連携は学校教育の側からのみ語られるべきものではない。家庭や社会の側においては、生活習慣の確立を図ることや、子どもに身近な人々とのかかわりを実感させ、豊かな社会的経験を得させることが必要である。そのためには、家庭教育の充実を図っていくことや学校外の人材(地域の人材や専門家など)が学校教育や地域での教育活動に参画することが重視されなければならない。家庭での学習課題を工夫し生活や学習の良い習慣づくりを支援することや、家庭や地域での体験的な学習、主体的な学習を学校でも積極的に評価することなどを検討していく必要がある。

(「人間力」の向上)

 現行学習指導要領が目標としている「生きる力」を実社会や実生活との関係でより具体化し、社会との関係で学校教育に求められているものは何かについて、学校と社会との間の共通認識を形成することが重要である。
 教育課程部会では、例えば、「将来的に国民として自立し、納税や勤労の義務を果たせるようになることが義務教育の最大の到達目標」といった意見に見られるように、学校教育の目指すべきものとして、子どもの社会的自立、職業的自立を重視することが求められているとの意見が示されている。
 こうした考え方を踏まえて、社会の側からの視点、国際的な通用性の視点も参考としつつ、学校教育の目標を整理し、教育課程の構造を明確化する作業を行っている。学校や教師が力を入れて取り組む方向を明確にすることで、学校力、教師力を十分に発揮できるよう支援することとしたい。
 社会の側からの視点としては、内閣府人間力戦略研究会の「人間力戦略研究会報告書」(平成15年4月)を基にした「人間力」という考え方、文部科学省の「キャリア教育の推進に関する総合的調査研究協力者会議報告書(児童生徒一人一人の勤労観、職業観を育てるために)」(平成16年1月)で示されている「職業観・勤労観を育む学習プログラムの枠組み(例)」などがある。
 国際的な通用性という視点としては、「OECD生徒の学習到達度調査」(PISA調査)の概念的な枠組みの基本であるOECDの「主要能力(キー・コンピテンシー)」という考え方がある。
 例えば、上記の内閣府の研究会の報告によれば、「人間力」は、知的能力的要素、社会・対人関係力的要素、自己制御的要素などで構成されており、自立した一人の人間として生きていくための総合的な力を育成することを目指すという意味において、「生きる力」と同じ趣旨のものである。
 この「人間力」という考え方を用いることは、現実の社会で大人がどのように生き、そこでは何が必要とされるのかを見せることによって、学ぶことの意義を子どもたちに伝え、何のために学ぶのかという目的意識を明確にすることをねらいとしている。こうした視点から学校教育を見直してみることによってその足らざるところを補い、より充実したものに改善していこうとするものである。
 これまでのところ、具体的には、例えば、
  主体性・自律性
(例)   自己理解(自尊)・自己責任(自律)、健康増進、意思決定、将来設計
  自己と他者との関係
(例)   協調性・責任感、感性・表現、人間関係形成
  個人と社会との関係
(例)   責任・権利・勤労、社会・文化・自然理解、言語・情報活用、知識・技術活用、課題発見・解決
などの構成要素に整理することができるのではないかとの検討を行っている。
 この場合において、「個人と社会との関係」ということをとらえるに当たっては、政治経済や産業という観点に偏ることなく、文化や生活という観点も重要である。また、グローバル化が進展する中で、社会・国家のみならず国際社会に積極的に参加し、その発展に貢献していくとの視点も重要である。自国の社会、文化、伝統への理解を図り、国際社会に生きる日本人としての自覚を育てることが重要である。
 なお、ここでは、実社会とのかかわりの中で、「生きる力」をより具体化し発展させるという観点から、「人間力」という考え方を用いて見直しを行っているが、今後も、学校教育において「生きる力」を育成することが重要であることに変わりはない。

  子どもの社会的自立の推進

 子どもの社会的自立を推進するに当たっては、上記で記した「確かな学力」の育成とともに、「豊かな心」と「健やかな体」をはぐくみ、社会的自立の基礎を培うことが、その基盤となる。学力の低下傾向の一つの原因として、子どもの学習意欲や学習習慣の問題が指摘されている。

豊かな心と健やかな体をはぐくみ、社会的自立の基礎を培う

 今日、子どもたちは、社会と豊かにかかわる機会を持てなくなりつつある。子どもが、大人とかかわる機会は、本来、家庭や地域において、自然に恵まれるものであるが、今日、学校教育がそのきっかけづくりをすることが求められている人と人との交流の様々な場面、家庭、地域社会、国家、ひいては国際社会に至るまで、その一員としての自覚(具体的には、協調性、責任感、権利、勤労など)を身に付けることが重要である。また、社会的事象を考えるために必要な科学的な知識を身に付けることが求められる。
 子どもたちに、基本的な生活習慣を確立させるとともに、遵法意識をはじめとする社会生活を送る上で人間として持つべき最低限の規範意識を青少年期に確実に身に付けさせることが重要である。その際、人間としての尊厳や健全な倫理観などの道徳性を養い、それを基盤として、主体的に判断し、適切に行動できる人間を育てることが大切である。また、生涯にわたって芸術に親しむ態度を育成するとともに、他者の気持ちを理解したり、人生をより豊かなものとするため、感性や想像力、表現力の育成も重要な課題である。
 子どもたちの体力の低下が懸念される中で、人間の心の発達・成長を支え、人として創造的な活動をするために、幼いころから体を動かし、生涯にわたって積極的にスポーツに親しむ習慣や意欲、能力を育成するとともに、心身の健康の保持・増進のために必要な知識、習慣や生活を改善する力を身に付けさせることが求められる。また、子どもの生活の安全・安心に対する懸念が広まっており、安全教育の充実も課題である。

(個性や能力を伸ばし、主体性・自律性を育成する)

  我が国の子どもは、国際的に見て自尊感情に乏しいとの指摘がある。同時に、規範意識の低下やいわゆるキレる子どもの存在など自己統制の面での課題も指摘されており、自己実現を目指す自立的な人間の育成が課題である。
 とりわけ、主体性や自律性の育成は、人格の形成や自己実現を目指す上で核となるものであり、人間関係や社会参画の基盤となる重要な要素でもある。
 この場合において、自己理解(自尊・自己肯定)の考え方と自己責任(自律・自己統制)の考え方を調和の取れた形で総合的に身に付けさせていくことが課題である。
 「確かな学力」を育成する上でも、このことは重要である。例えば、学習を進める上では、知的好奇心を働かせることや学ぶことの楽しさを味わうことが基本となるが、同時に、学習目標を設定してその実現のために忍耐力を持って粘り強く取り組むことも必要である。
  知的好奇心や夢を大切にしながら、学校生活や家庭生活・社会生活全体を通じて、子どもが実体験を重ね達成感を得ていく中で、人生や生活を前向きにとらえる姿勢や目標の実現に向けて努力を重ねる態度を身に付けさせたい。
 夢と現実とを結ぶためには、夢を目標に目標を計画に具体化してそれを現実のものとするそういう機会を学校の教育活動全体を通じて数多く経験させることが重要であるとの指摘がある。
 また、夢と現実とが異なる場合に、現実を忌避するのではなく、自らがやるべきこと、やれることを誠実に行い、夢や目標に近づくために計画を立て少しずつでも前進する気持ちが大切であるとの意見もある。
  学習・生活の両面にわたって、目標を立て、それに挑戦し、試行錯誤を重ねながら、達成する体験を重視する必要がある。

2   具体的な教育内容の改善の方向

 文部科学大臣からは、教育内容の改善の観点として、「社会の形成者としての資質の育成」、「豊かな人間性と感性の育成」、「健やかな体の育成」、「国語力の育成」、「理数教育の改善充実」、「外国語教育の改善充実」という六つの観点が示された。
 これらの観点については、各教科等ごとの専門部会において専門的な議論を行っている。

1)   国家・社会の形成者としての資質の育成等

 教育の目的は、国民の人格の形成と国家・社会の形成者の育成にある。また、子どもたちの健やかな心と体の育成も重要な課題である。学校生活を通じて社会性や集団性を育成すること、健康で安全に生活できる能力を身に付けさせること、子どもたちの創造性や体力をはぐくむ教育活動の充実を図ることが必要である。
 ここでは、今回の審議において具体的な手立てを講ずる必要があると考えられる、1子どもたちに身に付けさせようとする資質・能力の育成、2知識・技能の確実な定着、といった課題を軸に各教科等ごとに議論を行い意見を整理している。

  国家・社会の形成者としての資質の育成

(資質・能力の育成)

  自分たちの力でより良い国づくり、社会づくりに取り組むことは、民主主義社会における国民の責務である。また、大人の世代から子どもの世代へと文化や伝統を継承していくことは教育の重要な役割である。さらに、現代社会のグローバル化の進展を考えると、世界の地域的枠組みを踏まえて異文化を理解し国際貢献をすることのできる国際社会に生きる日本人としての自覚を育てることも重要である。
  日本人あるいは社会人としての素養を身に付ける必要がある。そのためには、我が国の伝統、文化、歴史に関する教育が重要である。これらは、我が国の伝統、文化、歴史の継承・発展の基礎である。
 少子化に伴う人口減少社会となる21世紀を生きる子どもたちには、例えば、自他の権利を尊重して義務を果たす社会・国家・国際社会に積極的に参加し、その発展に貢献するなどの資質・能力を身に付けることが期待される。
 社会科、家庭科、技術・家庭科などの教科においては、社会や家庭生活を客観的な視点から理解するための具体的な資質・能力を育成することが求められる。例えば、家庭の一員として衣食住や消費、技術活用などの生活を自分で管理・工夫できること、身近な人々と協調性を持って責任ある行動をとることができること、子育ての大切さや親の役割を理解し行動できること、社会的な見方や考え方を身に付けること、各種の資料や新聞記事などから必要な情報を読み取ることができること、社会的事象について調べたり発表したりできること、自分の考えやその根拠を具体的・論理的に説明できること、などが重要である。
 このような教育を通して、民主主義社会、経済社会、あるいは家庭、地域や学校の一員として主体的・文化的な生活を送るとともに、職業生活についての前向きな見通しを持ち、社会、国家、ひいては国際社会を理解し、そこに積極的に参加し貢献していく意欲を育てることが求められる。
 近年、ニートの問題など若者たちの社会とかかわろうとする意欲に低下が見られる中で、働くことに対する実感的な理解を深めることが大切であり、各教科等を通じて、協調性や責任感など他者とかかわる力の育成社会生活の中での責任や勤労などの観念の理解・定着を図る必要がある。
 具体的には、小学校・中学校・高等学校を通じて、奉仕体験、長期宿泊体験、自然体験、文化芸術体験、職場体験、就業体験(インターンシップ、デュアルシステム)などの体験活動を計画的・体系的に推進することが必要である。特に、ニートの問題が指摘される中、キャリア教育の推進が求められている。例えば、中学校において5日間以上の職場体験を行う「キャリア・スタート・ウィーク」などを通じて社会や職業を体験させ、生活や人生の実感を持たせることが重要であり、このことが学習意欲の喚起や自尊感情の形成につながる。
 今日、子どもたちが社会の変化に主体的に対応できるようにするためには、情報、環境、法や経済などに関する教育の充実が求められている。また、科学技術教育については、理数教育の改善(後述)を図るととともに、科学が発達し様々な技術が活用される社会において、科学技術と社会との関わりについて、安全、リスク等の問題も含めて理解させること、ものづくりなどを通して技術を適切に評価し、管理できる力を育てることが重要である。

(知識・技能の定着)

 知識・技能の側面では、社会や家庭生活を客観的な視点から理解するための基礎的・基本的な知識・技能を身に付けることが必要である。
 国家・社会の成り立ちや機能、地域構成などを理解させるために必要な基本的な事項、例えば、都道府県の位置と名称や我が国の領土など国土の地域構成、主な国々の名称や世界の地域構成、我が国の産業や歴史の年代の表し方や時代区分、日本国憲法の基本的な原則などを確実に定着させることが重要である。
 衣食住の基礎的・基本的な知識、例えば、栄養素の基本的な働きなどを確実に定着させることや、技術を理解するために必要となる社会や環境との関係や技術の価値(知的財産等)などについて知ることも重要である。
 例えば、地図帳を用いて地名を検索できること、相手に応じた接し方ができること、法や社会のルールをしっかり守ることの重要性を認識すること、マナーの基本を理解し身に付けていること、日常の衣食住、情報機器や道具の適切な活用、家庭生活・経済生活に関する基本的な技能、特に食育の充実が求められる中で、食の重要性を理解し基本的な調理の技能を身に付けることなどが期待される。
 民主主義や法、自他の権利と義務、公正さといった基本的な概念について体験的に理解することが、実生活への活用を視野に入れた場合、特に重要であると考えられる。例えば、学校や学級での集団生活の中で、正義や公正さを重んじて身近なトラブルを解決していく態度や実践などが期待される。
 情報、環境、法や経済など社会の変化に伴って国家・社会の形成者として新たに必要とされる知識・技能の定着のための教育については、学校外の人材や学習機会を有効に活用し、各教科等の関係部分を相互に関連付けながら理解させることが重要である。

  豊かな人間性と感性の育成

(資質・能力の育成)

 社会の激しい変化の中で、子どもが、「豊かな人間性」を持ち感性を高めながら主体的に生きていくことができるようにすることが重要である。そのためには、社会の中で主体的に生きるための基本となる価値観や自主的・実践的態度を形成するとともに、豊かな情操を養う必要がある。
 子どもの実情を踏まえると、自他の生命を尊重し、学習や生活などに前向きに取り組む力を育てることを重視し、その前提となる健全な自尊感情や人間関係を築く力などを高めることが求められる。
 具体的には、幼児教育の段階から、人生や身近な人々との生活をより豊かなものとするために、集団活動を通して自分自身のよさや個性を見いだすこと学びや生活の目標を立てたり、その実現に向けて粘り強く取り組んだりすること弱いものいじめをしないなど他者を思いやる気持ちを持ったり、他者に感謝したり、協力したりする態度や実践が重要である。
 学校と家庭との連携を密にして、子どもに対して、「早寝早起き朝ごはん」など正しい生活リズムを持たせるなど、基本的な生活習慣を確立するとともに、社会生活を送る上で人間として持つべき最低限の規範意識を青少年期に確実に身に付けさせることが重要である。
 あいさつや社会的マナー他者の痛みを理解する心感情を適切な方法で表現する力など人間関係を形成するために必要な力を育てるとともに、将来を見通して主体的に判断し、適切に行動できる能力を育てることが必要である。
 また、自然や芸術、人間の気高い行動などのよさや美しさを子どもが感じ取ること、感じ取ったことを基に自分の思いや意図を持って言葉や歌、絵、身体などで創造的に表現することが求められる。
 このような教育を通して、人生についての前向きな見通しや他者への思いやりを持って、身近な人々との豊かなかかわりを築くことができるようにすることが求められる。また、自然や美しいものなど人間の力を超えた崇高なものに対する畏(い)敬の念を持つことも重要である。
  道徳においては、例えば、自尊感情を持って自分自身を大切にする「自助」、社会の中で助け合って生きる「共助」、そして充実した人生を実現するといった順序立てが必要なのではないか。人間の尊厳と自尊感情を基盤にして、主体的に自己実現をすることを重視する必要がある。
  自尊感情を肥大化させないようバランスが必要ではないか。人のものを盗んではいけないなど基本的な内容は、十分に教えることが大切である。健全な倫理観などの育成について発達の段階等を踏まえて、適切に指導内容を設定する必要がある。
  発達や学年の段階に応じた指導に関しては、心身の急激な変化の中でストレスを感じることの多い中学校期において、例えば、道徳の時間の取組と体験活動(特別活動等)とをより関連付けた指導などの充実が重要ではないかと考えられる。
  特別活動においては、生活を改善する話し合い活動、異年齢の集団活動、社会体験活動が重要である。その際、発達の段階に応じて内容を系統的に示すことが必要ではないか。キャリア教育で、好きなことを探すだけでは働く意欲に結び付かない面があるので、生きる力、働く力に結び付ける取組が必要と考えられる。
 音楽、図画工作、美術などにおいては、感性を高め、思考・判断し、表現するという一連のプロセスを働かせる力、主題を発想し、構想を立て、創意工夫をしながら創作活動を行ったり、作品を評価したりする力が重要である。
 一人一人の子どもが人間として成長・発達していく過程を大切にしながら、豊かな人生を形成していくために、想像力を働かせて自分の思いをかたちにしていくことが必要である。
 表現する楽しさや喜びを味わうことを通して、生涯にわたって音楽や美術などに親しむ態度を育成することが大切である。また、芸術文化のよさを味わったり、生活や社会に生かしたり豊かにしたりする態度や実践も重要である。特に、鑑賞は創造行為であり、自分なりの意味、新しい美、自分を発見するなどを大切にする必要がある。
  「豊かな人間性」や感性の育成については、例えば、算数・数学においてねばり強く考え抜くことによる達成感や自信が自尊感情をはぐくむ上で重要であるなど、各教科等を横断して、学校教育活動全体で自覚的に図っていくことが求められる
 このことは、我が国の強みであるものづくりを支える緻密さへのこだわり「もったいない」という考え方など日本人の伝統的な感性についても同様である。

(知識・技能の定着)

  人間や文化・芸術の美しさや尊さ、生命のかけがえのなさなどについては、単に事柄としての知識だけではなく、実体験を通して実感的な理解を持つ必要がある。
 このため、例えば、乳幼児や人生の先輩たちと触れ合ったり、医師や看護師などから生命に関する話を聞く機会を持ったりすることが重要である。
 幼いころから国民が広く親しんでいる文章や詩歌を音読したり暗唱したり長い間親しまれてきたうたを歌ったり、自然や作品の形や色の美しさを感じたりするなどして実感を持って理解することが重要である。

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