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初等中等教育分科会(第82回) 議事録

1.日時

平成25年1月17日(木曜日)10時~12時

2.場所

中央合同庁舎第7号館(文部科学省)東館3F1特別会議室

3.議題

  1. 大阪市立桜宮高等学校における体罰事案について
  2. 平成24年度教員の免許状授与の所要資格を得させるための大学の課程の認定に係る諮問について
  3. 通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について
  4. 第6期初等中等教育分科会の審議の状況について
  5. その他

4.議事録

 【小川分科会長】  おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会の第82回目の会合を開催したいと思います。
 本日、議題に入ります前に、文部科学省で人事異動があったということですので、まず事務局からその件について御報告をお願いいたします。

【塩原教育制度改革室長】  よろしくお願いいたします。文部科学省の人事異動についてでございます。1月15日付けの人事異動によりまして、高橋前大臣官房審議官(初等中等教育局)担当に替わりまして就任いたしました山下審議官でございます。

【山下審議官】  引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

【塩原教育制度改革室長】  また、千原前特別支援教育課長に替わり就任いたしました大山課長でございます。

【大山特別支援教育課長】  よろしくお願いいたします。

【塩原教育制度改革室長】  なお、山下の後任として初等中等教育企画課長に就任しました藤原につきましては、本日、遅れての参加とさせていただく予定でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【小川分科会長】  ありがとうございました。では、今日の議事に関係する配付資料について、事務局から説明をお願いいたします。

【塩原教育制度改革室長】  本日の配付資料につきましては、お手元の議事次第にあるとおりでございます。不足等ございましたら、事務局へお申し付けくださいますようよろしくお願いいたします。

【小川分科会長】  配付資料、よろしいでしょうか。それでは、今日の議事に入りたいと思います。最初に、議題1ですけれども、大阪市立桜宮高等学校における体罰事案について、これは児童生徒課からの説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

【池田生徒指導室長】  おはようございます。児童生徒課生徒指導室長の池田です。よろしくお願いします。
 お手元に大阪市立桜宮高校の男子生徒の自殺事案についてという紙をお配りしてございます。この事案でございますが、平成24年、昨年の12月23日、日曜日、午前6時30分でありますが、桜宮高校の2年生の生徒、バスケットボール部のキャプテンを務めていた生徒でございますが、この方が自宅で亡くなっているのが発見されて、その後、死亡が確認されたという事案であります。
 市教育委員会が校長に事実確認を行った結果、家族に宛てた遺書のほかに、自殺の数日前にバスケットボール部の顧問を務めていたこの高校の教員宛てに書いた、しかし実際には渡せていなかった手紙が見つかりました。また、自殺数日前にも、バスケットボール部の顧問教諭による当該生徒への体罰があったことも判明しております。家族に宛てた手紙の中には、顧問教諭の厳しい指導や体罰があったこと、それからキャプテンとしての責任に苦しんでいたことなどの記載がありました。御遺族との説明や御家族の御意向を踏まえて、1月8日、これはこの高校の始業式の日でございましたが、全校生徒への報告が始業式で行われました。また合わせて、本事案が公表されました。また、この日に市長と教育委員との間でも会合が行われまして、市長と教育委員との間で本事案に関わるやりとりがあったということでございます。また、1月9日には保護者説明会が実施されました。
なお、この教諭につきましては、資料の真ん中ぐらいの四角に囲ってありますけれども、一昨年、23年度の9月に大阪市の公益通報制度を通じて、桜宮高校のバスケットボール部において「体格のよい男性教諭が体罰を加えている」旨の情報が寄せられていまして、それに基づいて学校長が調査を行ったのですが、事実が確認できなかったということで、市の公正職務審査委員会においては勧告を行わなかったという過去の経緯もございます。
 それから、もう1件、下から二つ目の丸でございますが、事案公表後の10日になりまして、これも同じく23年9月なのですが、男子バレーボール部の顧問が、当時、これも体罰によりまして3か月の停職処分を受けていたのですが、その後、職場に復帰して、また昨年の暮れに体罰事案を起こしていたのですが、校長らがそれを市教委に報告していなかった、そういったことも明らかになっております。
 その後、一昨日、大阪市の教育委員会が行われまして、教育委員会会議では、本事案の真相の解明と実態調査の実施、大阪市の教育委員会に大阪市教育委員会体罰・暴力行為等対策本部を設置する。それから、桜宮高校のバスケットボール部とバレーボール部については、無期限の活動停止、その他の運動部についても、緊急の実態調査を行いますが、その結果を踏まえて活動再開の可否を判断するというような流れになっております。
 そして、この事案につきましては、大阪市の方も教育委員会と協力いたしまして、1か月以内に本事案に係る事実調査を行って、関係者に対する対処を行うということにしております。
 また、全市立の小・中・高、それから特別支援学校において、体罰の実態調査、それから運動部における暴力行為、暴言やハラスメントなどの実態調査を実施します。これらの調査については、大阪市が外部監察チームを作っておりますので、ここへ「調査を依頼」と書いてありますが、連携して調査をしていくということでございます。
 文部科学省における対応の状況でございますが、報告を受けまして、1月11日には、大臣から、主体的に体罰の調査を行うよう、各都道府県教委に対して求めるよう方針を示されました。1月15日には、義家大臣政務官が市教育委員会へ出張いたしまして、状況を聴取するとともに、今後の実体解明の徹底を指導してまいりました。
 なお、今後、義家政務官の大阪市の現地調査を踏まえて、体罰の禁止と都道府県における主体的な実態把握の徹底を求める指導通知を発出する予定で、現在、作業をしております。以上でございます。

【小川分科会長】  ありがとうございました。報道等でも、皆さん、いろいろな情報等々は御承知かと思いますけれども、今の事務方からの御説明に関して、何か御質問や御意見などがあれば、御自由に。梶田委員、よろしくお願いします。

【梶田委員】  今日、資料1として配っていただいておりますが、私、どうしてもこういうものを見させてもらうと、この前の大津市のいじめ自殺事件も同じですけれども、やるだけのことはみんなやっていますよというような言い訳にしか聞こえないのですよ。やはり再発を本当に防止しなければいけないのです。三つ問題があるのですね。
 一つは、学校設置者である大阪市教育委員会が、これまでいろいろとこういう情報があったのにもかかわらず、結局、学校側からの何も問題がないという報告をうのみにしてというか、当事者意識を持っていない、責任感を持っていないということが問題です。
 それから2番目には、校長あるいはそれを助ける副校長、あるいは教頭をはじめ、うちの学校で起こったことを全部把握して、本当に子供のためになるようにやるのが学校現場の責任でしょう。私は多くの学校はそれをやっていると信じております。だけれども、今回の事件については、大津市のいじめ事件もそうでしたが、学校も無責任なのではないかと思います。大体、体罰について通報が寄せられて、先生たちからだけ聞き取りして、それで分かりますか。みんなかばい合いますよ。これは無責任。これをどうするか。それから、やっぱり現場で見て見ぬふり。やはり先生方が本当に体罰とか暴言とか、やっていいこと、言っていいことというのがあるわけです。これは普通の常識のある社会人だったらみんな分かるわけですが、結局、同僚たちが見過ごした。これも残念で仕方がありません。多分かなり心を痛めていた先生方がいるはずなのです。絶対いるはずですよ。ただ、そういうことを、学校の問題として、教師集団として防ぐことができなかったことが非常に残念です。
 こういう3点をどうするかということを本気で考えなければ、また同じようなことが起こり、また、今回の資料1のような資料が配られ、関係者は皆やるだけのことをやってきました、というふうになってしまうのではないでしょうか。やるだけのことをやったかどうかじゃないですよ。絶対にこういうことを二度と起こらないようにするにはどうしたらいいかということを、考えていかなければならないのではないかと私は思います。
 ついでに言いますと、体罰の禁止についての別紙がありまして、私は、これはこれでいいと思いますけれども、この最後のページの(4)を見てください。何か抜け穴を作るような、つまり、言い訳の口実を作るようなことがやっぱり忍び込んでいるのではないのか。「児童生徒に対する有形力(目に見える物理的な力)の行使により行われた懲戒は、その一切が体罰として許されないというものではなく」、「慎重な教育上の配慮のもとに行うべきであり、このような配慮のもとに行われる限りにおいては、状況に応じ一定の限度内で懲戒のための有形力の行使が許容される」という昭和60年の浦和地裁の判決をなぜここでわざわざ持って来なければといけないのか。そういう判例もあるでしょう。だけれども、こんなことを言っていると、結局は、いや、慎重な教育上の配慮のためにやっていますと、そういうことを言って終わりにしてしまったら、どうにもならないじゃないですか。
 ですから、私は、例えば、本当に体罰でこれが問題になったというレベルの話ではなくて、子供が死んでいるのです。しかも報道によると、繰り返し繰り返しそういうことが習い性になっていてという、こういういわば本当に繰り返されたものをどうやってストップされるかということを、是非私は、これから新しい初等中等教育分科会にもなるでしょうから、そこでも本当に皆さんに議論していただいて、いやしくも、繰り返しますが、言い訳して、やるだけのことをやっています、で終わるような、そういう学校教育にはしてほしくないと思いますので、ちょっと意見を申し上げておきます。

【小川分科会長】  ありがとうございました。何か事務局からございますか。

【池田生徒指導室長】  御指摘の三つの点について、よく解明するようにこれから我々も考えていくつもりでやっております。

【小川分科会長】  ありがとうございました。他に、どうぞ。御意見、御質問がございましたら。
 渡久山先生、どうですか。では、渡久山委員、どうぞ。

【渡久山委員】  今、梶田先生が言われたのですけれども、僕ももっともだと思いますね。そのとおりだと思います。
 資料1の中に、公益通報を受けたが、学校としては体罰についての事実が確認できなかったとか、あるいは、大阪市公正職務審査委員会において勧告を行わなかったといった記述があります。教育行政そのものが誰をかばっているのかは分からないけれども、何となく隠蔽体質があって、民主主義的ではないというところに問題があるのではないかということが一つです。
 もう一つ、戦前の学校には随分体罰があって、私も小学生のときは随分先生から殴られました。殴られるのが良かったかどうかは分かりませんが、今でも痛かったなという印象が残るくらいなのですが、ただ、自分が悪かったときに殴られたときはそれほど痛くはないですけれども、あまり理由もなく殴られた場合は今でも恨みを持つものですよね。体罰そのものは、もちろん許されることではないと思います。今回の事案もそうですが、学校現場でそういうことが起こっているのは体育関係が割と多いのですよね。何かお互いに合意をされているような雰囲気も実際はあることはあると思います。また、あまりにも暴力そのものの質が悪いというようなものもありますし、極めて教育的配慮がないものもあります。私は、今回の事案や私自身の学校現場での経験を踏まえての反省としまして、児童の権利に関する条約などで守られている子供の人権そのものに対する教員の配慮が極めて意識的な形で少ないような気がします。子供の人格、あるいは人権に対する意識が非常に欠落しているという部分があると思います。ですから、今後、もしも指導される場合は、体罰そのものよりも、やはり子供の人間としての尊厳、人格を尊重するというような意識の在り方、物の考え方、価値観、そういうものが大きく問われているんじゃないかという気がいたします。以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。他にいかがでしょうか。相川委員、そして熊坂委員ということでお願いします。

【相川委員】  私は保護者の立場で、前回、大津市の事案のときに、やはり学校支援というか、特別なチームを作ってこれを支えていく以外にないだろうという話をちょっとしたことがあるのです。
 保護者は子供たちの話を意外と聞いています。ですから、学校と保護者の考え方とか受け止め方が違う部分がかなりあったりするのです。今回、調査をしたら、いじめ、引きこもりが大分いるということが表に出てきたという結果の公表がありました。以前から多くあるのです。ただ、それが表面化してこなかったというだけの話だと思うのです。やはり今回の大阪市の事案と同じようなことが繰り返されている。これは実際に行動を起こさなければ、なかなか調査だとか、いろいろな対応を進めていると言っても、行政側の対応では、解決しない。積極的な対策として、保護者を含めた、地域の人を含めた、そういう対応をする組織を作って、学校へいろいろな相談に行ったり、学校と常に連絡を取り合ったりするような体制作りが必要ではないか。子供たちもそういうところの保護者なり地域の人に相談ができるような、そういう身近な組織を作っていただければ、こういう問題も少なくなっていくような気がします。是非そのようにしていただきたいと思います。

【小川分科会長】  ありがとうございました。では、熊坂委員、どうぞ。

【熊坂委員】  梶田先生がおっしゃったことは、本当に私もそのとおりだと思っておりますけれども、もう一つ、背景として考えなければいけないのは、部活動における勝利を目指す至上主義みたいなところではないかという感じがいたします。勝利至上主義を突き詰めて行くと、最後は叱咤(しった)激励を通り越していくというのは目に見えているわけです。部活動を指導する者の中には一般の教科の先生もいますし、文化部でも、ひょっとすると、コンクールを目指しているような吹奏楽部などでも体罰問題は起こり得る。部活動における勝利至上主義というようなところを少しどうしていくかということを考えないと、なかなか解決をしないのではないでしょうか。以上でございます。

【小川分科会長】  ありがとうございました。では、佐々木委員、長南委員、そして向山委員ということでお願いします。

【佐々木委員】  今回、体罰、体罰と、この分科会の資料にも意見の中にも出てきますけれども、体罰ではない、暴力であるというように思います。なので、体罰の有無というのは学校でも議論されていますけれども、これは暴力である、虐待であるということをしっかりと言葉にしながら、きちっと対応をしていっていただきたい。
 そして、先ほどから出ておりますが、どうしたらいいかという防止策をしっかりと検討してほしいと思います。これからきっと多くの意見が出て、提案が出ていくことだと思いますけれども、教育だけではなく、日本の様々な制度の中で欠けているのは対応策です。防止だけすると、そのような問題はもう起こらないという前提の下で動くことになりますけれども、大切なことは、もし問題が起きたときには、どういう手順で、どのように調べるのか、対応するのかといった対応策です。こちらもしっかりと練っていただきたいと思います。

【小川分科会長】  ありがとうございました。長南委員、どうぞ。

【長南委員】  学校の教育活動に対する責任を取れるのは、最終的には私は校長だろうと思います。この体罰の問題は、校長を動かさないことには解決しないのではないのかというのです。私は、ほとんどの校長は、ちゃんとやっていると思います。一部にこういう方がいらっしゃるところに対しては、校長を何とかしなければならない。文科省が出ていくのも私はいいかと思いますけれども、その出方、行政の在り方なんかも、これで調査をするとなると、普段にはあまり問題になっていない学校がその調査に巻き込まれてしまうということで、手法を少し考え直して、校長を何としても責任を持って学校教育に当たらせるという、そういう仕組みをこれから考えていく必要があるのではないかというように思います。

【小川分科会長】  では、向山委員。

【向山委員】  桜宮高校の事案は大変残念ですけれども、学校設置者である大阪市教育委員会において真相を究明していただきたいと思うし、文科省もそれに伴って対応策を検討するのは、それはそれとしていいのですけれども、我々は、やっぱり多面的な見方が必要だなと思っているのです。
 例えば、今回の事案を踏まえ、学校においてかなり萎縮して腰の引けた生徒指導が多くなってしまう可能性がある。そうしたことがもし仮に蔓延(まんえん)すると、校内暴力とかいじめの増発というようにつながる可能性があるわけです。
 30年ほど前に、例えば金八先生が流行していた時代、問題を起こす子たちは、例えば、教師に向かって、「あなたは学校教育法第11条を知っていますか、俺たちには手を出せないでしょう」というような言い方をして教師に向かって行き、校内暴力により学校が荒れた時期もありました。いろいろな形で学校が秩序を維持したり、毅然(きぜん)とした指導をしたりしてきているわけであります。そういう中で大津市の事件が発生した。大津市の事件のことは、今後また真相究明が進むのではないかと思いますけれども、もしかしたら教師の毅然(きぜん)とした指導というのが欠けていたのかもしれないわけであります。
 大津市の事件と、例えばこういった今回の桜宮高校の事件とはもしかしたら裏腹なのかもしれない。問題が発生したときに、それに対する処方箋は、その問題に対しては効果があるかもしれないけれども、もしかしたら別の副作用を及ぼす可能性があるということであります。
 したがって、今回のこの桜宮高校のことも、繰り返しますけれども、やはり多面的に慎重に考えていく必要があるのだろうなというように思います。

【小川分科会長】  ありがとうございました。他にいかがでしょうか。貝ノ瀬委員、どうぞ。

【貝ノ瀬委員】  結局、僕に言わせますと、今回の問題と同じようなことがまた起きるのではないかと危惧しております。いいですか、体罰は禁止なのですよ、法律で決まっているのだから。それを前提に出発しないと、状況によってはあり得るかもしれない、毅然(きぜん)とした指導の中には体罰もあるかもしれないというような含みを持たせた切り口で考えていますと、必ずまた起きる。駄目なのですよ。ですから、体罰は駄目なのだという構えを持って教師は、どうすれば問題のある子を指導できるのかという、そういう工夫改善を真剣になって必死になって対応しなければならない。考えなければいけない。場合によってはチームでやらなければいけない、または学校の外の力を借りなければいけないかもしれない、保護者の力を借りなければいけないかもしれない。そういういろいろな工夫をして、それこそマネジメントですよ。そうしませんと、大体学校の中というのは、かばい合いなのです。そして、教育委員会との関係もやはりかばい合い。教育界はどうしても上下関係が付いてまわります。いい面もたくさんあるのですけれども、いろいろしがらみがあります。例えば、問題が起きたときに、上司はなぜ我々を守らないのか、部下を守るのが上司だとかという、そういうことを主張する教員もいるわけですよ。
 ですから、そういう関係の中でも、立場にある者はいかに正義感を持ってしっかり対応していくかという、そういうことを確認しなければいけませんし、体罰は駄目だという、今こそそういうところから出発して議論をしていく必要があるというように私は思います。以上です。

【北條委員】  私も自分自身が学校、そして大人になるまで、いろいろな場面で、自分がいわゆる体罰を受けたこともありますし、また、体罰は、あるいは先生による暴力といっていいようなものは、日常茶飯的に目にしてまいりました。今回の事案は氷山の一角であり、例外的なケースであるというように捉えることはやめなければいけないというように思います。相当広範に、公立学校にも私立学校にも存在するというように捉えなければならないというように思います。
 驚くべきことでありますけれども、私が教員になって最初の赴任校での初任者研修の一番最初に、生徒に対するビンタの仕方というのを教わったのです。今から40年以上前のことであり、そんな学校は今はないとは思いますけれども、要するに、教師による体罰あるいは暴力というようなことは、相当広範に行われていることです。
 私自身もそういう中で教員生活をスタートいたしましたから、やはり暴力はいけないということは根本に持っておりましたし、学校の主人公は児童生徒だということも思っておりましたけれども、しかし、時と場合によっては、恥ずかしながら体罰を加えた経験が私もあります。その生徒が後に成人してから私を訪ねてきて、「先生、僕のこと嫌いだったでしょう。」と言われたときは、本当に身の縮む思いでした。子供の側からすれば、絶対的な力を持っている人間からの圧力を受けるわけですから、本当に深い心の傷になるわけです。訴えに来てくれて、本当に良かったと、有り難かったと思いますけれども、本当に申し訳ないことをしたと思っております。恥ずかしい思いでございます。
 ですから、やはり体罰は広範に行われているということを前提にして、先ほど、渡久山先生が、子供の権利ということをしっかり先生方に身に付けてもらわなければならないということをおっしゃいましたが、そのような対応が重要であると思います。
 それで、一つ伺いたいと思いますが、教員養成の中で、学校教育法第11条をどう考えるのかとか、あるいは児童の権利に関する条約で、児童の最善の利益を優先するんだという理念があるわけですけれども、この辺りはどのように取り扱われているのかということをもしお教えいただければお願いしたいと思います。ありがとうございます。

【小川分科会長】  ありがとうございました。他に。では、市川委員。あと、輿水委員。

【市川委員】  私も、今回の事件が例外的なものなのか、今、先生がおっしゃったように氷山の一角なのかというのが一番気になったことです。私自身は、中学、高校、大学と運動部でしたが、体罰を受けたというような体験はなかったものですから、部活動における体罰に関する話を大学生としてみました。ちょっとびっくりしたのですが、かなり普通にあるということを言い出した学生がいました。いわゆる進学校で、特にスポーツにばかり力を入れて勝利至上主義というほどでもないと思うのですが、やはりこういうことはあるようです。やはり体罰が当たり前のようになっていて、そして、子供たち本人も、すごく辱めを受けたとか、つらかったとも言っていないというところもまたちょっと気になりました。例えば、OBが部活動の指導に際して体罰のようなことを行うこともかなり当たり前のこととしてあり、そういうものだと思っていたが、自分は何とかそれに耐えてやってきたのだ、というようなことを学生たちは割と普通に話していたりするのです。
 今回の事案のように相当の精神的な苦痛を受けて死に至るということになったというケースは相当例外的なものかもしれませんけれども、もしかしたら、部活動における体罰はそんなに珍しいことではないのかもしれないと思うと、改めてびっくりした次第です。
 ただ、やはり大事なことは、きちっと調査を行うことです。私はそういう調査があるのかどうかも知らないのですが、特に生徒、そして卒業生に対して、実際に部活動において体罰が行われていたのかについて、実態を把握するということが大事であろうと改めて思っております。大人のスポーツの世界では、大分減ると思います。少なくともプロ選手の世界とか、それからオリンピックに出場するような選手に対していろいろな体罰が行われているというような話は少なくともあまり聞きません。勝利を目指していても、決して即体罰ということにはならない指導はちゃんとあるのだと思いますので、とにかく実態というのをきちっと調べていただきたいと思います。

【小川分科会長】  ありがとうございました。では、輿水委員、どうぞ。

【輿水委員】  「体罰」という言葉はどうなのかなと思います。佐々木委員もおっしゃいましたけれども、これは体罰とは言わないのではないのかなというのがすごく率直な感想でした。本件については本当に暴行だろうと思いましたので。
 今、様々な事象が起こる中で、どういうように子供に対応して、そして子供のエネルギーをどう吸収しながら、それをあるべき方向というか、望ましい方向に伸ばすかという、そういう意味では指導力が問われるのだろうと思うのです。指導者がどのように指導して良いか分からないから、力ずくで行ってしまうところがあるのだと思います。とするならば、教室の中やグラウンドで起こる子供たちの激しい反応にどう対応すればいいのかというところを現場の教員にきちっと指導することが必要ではないかと思います。子供のことをきちんと理解し、分かるように教え諭すような指導ができる力や、そのような指導ができるような自己コントロール力をどこでどのように身に付けるのかということを考えていかなければ、結局同じような問題を繰り返すだろうというようにつくづく思うところです。
 今回の事件についても、多面的に考えるべきであるというような御意見、または、実態をきちんと把握すべきであるというような御意見がありましたけれども、ただ、体罰だからどうこうというような直線的な見方だけではなくて、このお子さんがどういう状況にあったのかということを含めて考えないと、また、ある意味、白か黒かというような、していいのか悪いのかみたいな形でやっていったら繰り返すことになるのだろうというようにも思います。
 難しいとは思いますけれども、是非詳細な調査を行い、そして問題点はどこにあるのかということをきちんと分析していただけたらと思います。以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。では、どうぞ、佐々木委員。

【佐々木委員】  すみません、短く追加したいと思います。今、皆さんのお話を伺っていて、御自身が体罰を受けた方が多いということにちょっと驚いております。児童虐待の場合、自分が虐待を受けた経験があると、自分の子供に対して虐待をしてしまう可能性が高いと言われておりますが、今の教員の中で、体罰を見てきた、自分がされたという経験を持つ方が多いということになると、少しぐらい体罰を行っても許されるのではないかという気持ちが出てきてもおかしくないのかもしれません。今回の件が例外的なことではなく、もしかすると学校現場において蔓延(まんえん)しており、先ほどの市川委員の話のように、子供たちの間でも、「そんなの、見たことあるよ」というふうに当たり前になっているということであれば、体罰についても、児童虐待と同様に、いわゆる「連鎖」が起こり得るのではないかと思います。やはり、体罰は一切いけないということを徹底していただきたいと思います。
 それから、教員が体罰を行った、あるいは暴力を振るった背景として、もしかすると、子供が教員の言うことを聞かない、あるいは教員が思ったとおりに動かないということがあるのかもしれません。教育の在り方が随分変わってきて、昔は先生の言うことを聞き、教科書に書いてあることを覚えるように子供に指導をしてきたのだろうと思いますが、今は、自分で物を考え、クリエイティブにいろいろなことをし、自分で道を開く子供を育てましょうという方向で、この分科会でも議論をしてきています。そもそも暴力がいい悪いの前に、現在の学校現場における教員の子供に対する指導姿勢がどのような状態なのかというということをきちっと調査し、考えていかないといけないのではないかと思います。仮に、教員が子供に対して、自分の言うことを聞かせることが教員だということになると、今後の教育自体がおかしくなるのではないかというように思います。

【小川分科会長】  ありがとうございました。では、五十嵐委員、どうぞ。

【五十嵐委員】  今回の事件については、本当に多くの学校が心を痛めたと思います。そして、多くの学校の校長も自分の学校を振り返り、今回のケースについて本当に悲しく思ったと思います。
 残念ながら教員の服務違反は絶えません。校長宛てに服務違反に関するいろいろな報告が回ってきますが、運動部における体罰に関するものは多く含まれています。都内の全ての学校では、学期ごとにテキストを活用して服務研修を行っています。いろいろなデータを見せながら指導をしています。本校でも毎月、職員会議の中で必ず服務について話しています。今はもう法律上、体罰は絶対駄目であるということを確認しております。また、子供の命を大事にすること、子供に愛情を注ぐこと、それから、やはり保護者との信頼関係をしっかり築き、保護者の悩みについてもいろいろと相談に乗ったりして、連携を図ることを大事にしてきています。先ほどありましたが、教員の言うことを一方的に子供に言い聞かせるというような指導はもう終わっています。時代は変わっていますから、授業中の指導もそうですけれども、怒鳴って押さえてということではなく、子供が自ら考え、主体的に行動するようにするために、どうやったら分かるだろうか、考えさせられるだろうかと、全ての教育活動を通じてそういった子供の指導方法、学び方というものをみんなで考え直しているところです。にもかかわらず、今回の事件のようなことが起こっているということを本当に悲しく思いますし、絶えず私たち教員は、もう一度原点に返って子供を育てるということを真剣に保護者と一緒に考えていきたいと思っています。
 もう一つ、やはりどうしても気になるのですが、中学校、高校と、上の学校に行くに従って、部活動というのは本当に大事な意味を持ってくると思います。例えば、教員が部活動の指導のために教科の教材研究をする暇がない、休み返上でずっと部活動の顧問をしているというような話も聞きます。一方で、こういう部がこんな活躍をして、ここまでの成績を収めたんだというのは、ある意味、学校の特色にもなりますので、その期待に応えて頑張っている教員もいるのではないかと思います。そういった意味では、もう一度、部活動の在り方について、考える必要もあると思います。それから、各学校では、児童虐待についても、子供たちを暴力から守ることに取り組んでいるところですが、そのときに気になるのは、世の中で放映されているテレビです。お笑い番組でも平気で人をたたいたりしています。軽い気持ちで、それはいじめにもつながる危険性があると思われますが、大人が笑ってそういうものを放映しています。そういう世の中の風潮も気になるところです。体罰はいけないということ、この当たり前のことをいつも振り返ると同時に、部活動の在り方、それから社会全体のそういった暴力を容認する風潮、そういうものをお笑いにしてしまっているようなことも全て含めて、みんながそれぞれの立場でもう一回、駄目なことがなぜ起こるのかということを自分自身の問題として考えることも必要ではないかなと考えています。
 ともかく、学校現場では本当に心を痛めるところですし、あってはならないことをみんなでもう一回考えている、そんな状況です。以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。中川委員、よろしくお願いします。

【中川委員】  私立学校の場合には、学校法人ごとに、それぞれ自分の学校の管理をきちっとしませんと、生徒募集に影響いたします。こういったいじめの問題、暴力の問題も学校管理に直結いたします。このところで一番問題になるのは、例えば、学校法人ごとにそれぞれの理事長先生、校長先生が、自分の過去の経験に基づいて自分の価値観でやっているケースが多い。そこにものすごい大きなばらつきがあって、場合によってはその判断が時代に合わなかったりするのだろうと思います。
 ちょうど明日、19日に、全国の理事長、校長を集めまして、そしてこの問題について大臣官房の子ども安全対策支援室と連携をして緊急の説明会を開いて、対策等を検討しようと思っています。このことについてはゴールがありませんので、これからも繰り返しやっていきたいと思っております。以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。よろしいでしょうか。では、今まで多くの方からの御意見とか御要望を頂きましたけれども、事務局から何かありますか。よろしくお願いします。

【松本教員免許企画室専門官】  教職員課の松本と申します。
 北條委員から、教員養成におけるいじめ、また体罰等の取扱いについてどのようになっているのか教えていただきたいというような御質問がありました。
 教員養成課程では、少なくとも生徒指導の理論及び方法、また教育相談と、そういうものが各大学では2単位程度で開設されているところが多いと思います。特に生徒指導については、正にいじめ、また体罰等も含めた生徒指導法のことについて学んでいるところでございます。教育相談については、学校現場における不登校等の課題について、どのように対応するかということを学ぶ科目でございますが、このような教育相談の中では、カウンセリングに関する基礎的な知識、そういうものについても学ぶということとなっております。
 その他、教職課程については、教職論や学級経営論、また教育実習、そのようなものを学ぶこととなっております。そういう中でも今回のような事柄について学んでいるというような実態がございますけれども、その内容をどの程度学んでいるかということについては、各大学で濃淡があるのが現状でございます。以上になります。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 では、時間も少しオーバーしましたので、この辺りでこの事案については終わらせていただきたいと思います。
 今後、恐らく大阪市及び文部科学省での事実の解明、そして実態把握等が進むと思いますので、それと並行して、是非次期の中教審の初等中等教育分科会では、この問題については少しじっくり再発防止策及び対応策等について議論を進めていっていただければと思います。先ほど、多くの委員から御意見があったように、単なる体罰という事象だけではなくて、部活動の在り方、学校経営の在り方、管理職の在り方、そして教育委員会の学校へのサポート、指導の在り方と、かなり多面的な課題を含んだ問題ですので、是非この事象を一つの契機として、再度こうした悲劇が起こらないような再発防止、そして対応策等を次期の分科会では是非じっくり議論していただければとお願いいたします。よろしくお願いいたします。森田委員、では、一言。

【森田委員】  終わったところで大変申し訳ないですが、私、梶田委員のおっしゃった3点目のこの別紙、ここのところの再検討は是非ともお願いしたいと思います。佐々木委員もおっしゃいましたが、単なる体罰ではなくて、これはもう明らかに暴力行為あるいは強要行為と言われる刑法に関わる条項でございます。この別紙があるために現場の中で、梶田委員が御指摘になったように、少し抜け道が、許容度が非常に広がっている、こういう部分がございますので、この点も是非とも御検討いただきたい。これは国が出したものでございますので、国がその始末をつけるべきところだという具合に考えております。よろしくお願いします。

【小川分科会長】  ありがとうございました。

【安彦分科会長代理】  では、一つちょっと付け加えて。

【小川分科会長】  安彦委員、どうぞ。

【安彦分科会長代理】  もう一つ、私から、部活動のことで、先ほど、勝利至上主義というのがありましたけれども、ちょっと心配しておりますのは、東京オリンピックをもう1回日本でという、そういう動きがある中で、高校の部活動その他に対しては、やはり外から、体育系を中心にして、今までも非常に期待がかかってきておりますし、この20年ぐらいの間、外からのそういう要請は強まってきて、弱まっていくことはないと思うのです。そういう中でやはり学校の外の組織からのいろいろな要求、とりわけこういう勝利至上主義的なところに関わるものについては、この問題をやはりしっかりと押さえて、その上で対応していっていただきたい。そうしないと、また隠れた形でそういう要望に応える活動を展開する、結果としてこういうことがまた出てくるというようなことが起きはしないかと心配いたします。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 では、また委員の方からもいろいろな御発言等々を希望される方があるかと思うのですけれども、まだ多くの議題が残っておりますので、この件についてはこれで終わらせていただきたいと思います。では、議題2に移りたいと思います。
 平成24年度教員の免許状授与の所要資格を得させるための大学の課程の認定に係る諮問についてです。これは教職員課からお願いいたします。

【松本教員免許企画室専門官】  失礼いたします。平成24年9月19日の教員養成部会において、教員の免許状授与の所要資格を得させるための大学の課程の認定について諮問されましたので、資料2-1及び資料2-2に基づいて、御報告をさせていただきます。
 教員の免許状授与の所要資格を得させるための課程、これはいわゆる教職課程のことでございます。これは大学に置かれるものでございますが、教育職員免許法という法律に基づき、文部科学大臣の認定が必要とされているところでございます。
 また、文部科学大臣の教職課程の審査に当たっては、中央教育審議会に諮問することとされており、文部科学大臣は中央教育審議会の答申を踏まえてその認定を行うということとなっております。
 諮問については、中央教育審議会の会議の運営に係る申合せというものがございまして、総会の会議を経ないで諮問する場合には、あらかじめ会長にその諮問の内容を報告するとともに、諮問した場合については、事後に審議会にその内容を報告するということとされており、今回は事後の報告ということになります。
 平成24年度申請のあった大学については、資料2-1のとおりでございます。国公私、また大学の種類別に全ての諮問のあった大学について列記しております。また、教職課程の認定については、学科ごとに認定をする、基本的には各学科又は専攻コース、そのような単位で認定をするということにしているところでございます。
 資料2-2を御覧いただければと思います。
 平成24年度は、真ん中から少し下の辺りでございますが、116の大学から申請がございました。また、申請課程数、これは免許状の種類と一致するわけでございますが、申請課程数については430というような数の申請でございました。
 資料2-2の2枚目を御覧いただければと思います。
 2枚目については、各学校の種類、また中高については教科ごとに、昨年度との申請の数の比較が載っているところでございます。平成24年度は、幼稚園については21課程の申請がございました。小学校は19、そして中学校は各教科ございますが、合わせて138の申請がございました。また、高等学校については228、特別支援学校12、養護学校、養護教諭の免許状については3、そして栄養教諭9、合わせて430の申請ということでございます。
 教職課程に係る審査については、具体的には教員養成部会の下に設置されている課程認定委員会において、その認定を受けようとする学科と免許状との関係、免許と教科の相当関係と申し上げておりますが、そのような関係、また、教育課程、履修方法、教員組織、施設設備、教育実習の実施計画等について審査を行っているところでございます。特に昨今は、学際的な学科等の増加に伴い、認定を受けようとする学科等の目的、性格と免許状との相当関係が薄いと見られる申請も増えてきており、そのような申請に対しては慎重に審査を行っているところでございます。
 平成24年度に申請のあった案件については、現在、審査中でございまして、1月30日開催予定の教員養成部会において答申を行う予定となっております。
 以上、御報告させていただきます。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 今の説明について、何か御質問等ございますでしょうか。では、五十嵐委員、どうぞ。

【五十嵐委員】  すみません、ちょっと伺います。ちょうど1年前に、認定された大学について、教員養成部会かどこかの検討の場で、現地視察に行ったときに課題として挙げられていたこと、例えば小学校課程で理科を教えるということが前提なのに実験室が整備されていなかったり、あるいは教職に関係する科目で情報機器の操作というものがあるにもかかわらずそれが修められていなかったり、そういった課題があったということが挙げられていたと思うのですけれども、今回また新たに認定というところで、その辺りの課題は改善されているのかどうかがとても気になっています。その状況はどうでしょうか。

【小川分科会長】  よろしくお願いします。

【松本教員免許企画室専門官】  申請に当たりましては、大学から申請書が提出されるわけでございまして、そこには教育課程の状況、またそれぞれの教員のリスト、また、それぞれの先生の業績、そして施設設備の状況などについても資料として添付した上で申請をするということとされております。そのため、小学校課程を置く場合における施設の整備状況、そういうものについては確認をした上で審査を行っていただいております。また、情報機器の操作などについても、シラバスを数年前から提出していただくようにしておりまして、そこでどのような情報機器の操作について扱われているかということも確認をしているところでございます。
 認定後におきましては、実施視察を行っておりますけれども、中には、長年の大学における教職課程の運営の中で、扱われる内容が少しずつ変わってきている場合がございまして、そういう中で法令の要件を満たしていないような授業が行われている場合もございます。その場合は、その都度、個別の大学に対して、法令に従った内容を扱うようにという指導をさせていただいているところでございます。以上になります。

【小川分科会長】  よろしいですか。

【五十嵐委員】  その辺りが、新採で入ってきた教員が、理科の実験ができない、情報機器の操作ができず、それを活用した授業のイメージが持てないケースが多くなってきているので、気になって質問させていただきました。以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。他に御質問ございますか。では、よろしいですか。ありがとうございました。
 では、次の議題に移りたいと思います。次は議題3です。これは通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果が昨年末に公表されました。その内容について、特別支援教育課からお願いいたします。

【大山特別支援教育課長】  お手元の資料3を御覧ください。
 本調査の目的でございますが、特別支援教育が平成19年に本格開始されてから5年ほどが経過しまして、また、昨年7月に初中分科会でおまとめいただきました報告にも掲げられておりますインクルーシブ教育システムを今後構築していくに当たって、障害のある子供の現状把握をして、今後の施策の在り方等の検討の基礎資料としたいということでございます。調査に当たりましては、資料、1ページ目の真ん中以降にございますようなメンバーから成ります協力者会議で調査の実施方法等について御意見を伺いながら進めたところです。
 資料、2ページを御覧ください。
 質問項目につきましては、大きく二つの柱がございまして、一つは、児童生徒の学習面、行動面の困難の状況、もう一つは、困難のある児童生徒の受けている支援の状況という柱です。
 調査時期は、昨年平成24年2月から3月にかけて。調査対象は、被災3県、岩手、宮城、福島を除きまして全国の公立小中学校の通常学級に在籍する児童生徒を母集団としておりまして、標本児童生徒数5万3,882人、回収状況につきましては、このうちの97%という高い回収率となっております。
 それから、調査に当たっての困難の状況の把握の基準、調査のやり方ですが、お手元の資料、16ページ以降に実際の質問項目を掲げてございます。この質問項目に沿って、担任の教員がチェックをして、一定のポイント以上になった児童生徒の数をカウントしまして、全体の中で何%かという割合を出しております。
 留意事項がございまして、お手元の資料、3ページの(8)のところに記載していますが、この調査は、このように担任の教員が記入をして、教頭などが確認をして提出した回答に基づくものですので、医師による診断ではございません。ですので、発達障害の可能性のある特別な支援を必要とする児童生徒の割合を示すというものです。
 それでは、調査の結果ですが、お手元の資料の3ページの真ん中以降でございます。
 表1にございますように、「知的発達に遅れはないものの学習面又は行動面で著しい困難を示す」とされた児童生徒の割合ですが、「学習面又は行動面で著しい困難を示す」の割合が6.5%という結果になっております。学習面、行動面それぞれの内訳も記載してあるとおりでございます。
 また、表2では、表1の行動面のところを更に細かく内訳として、Bの「「不注意」又は「多動性-衝動性」の問題を著しく示す」、Cの「「対人関係やこだわり等」の問題を著しく示す」というように示しております。
 Aの学習面を含めまして、A、B、C別の児童生徒全体の分布状況は、次の4ページ、図1から図3というグラフに示してございます。
 このグラフで言いますと、黒く塗っています右側の方の部分が表2で示しました著しい困難を示すとされた児童生徒と対応しております。したがいまして、「学習面又は行動面で著しい困難を示す」6.5%の児童生徒に対応しております部分は、この図1から図3の黒く塗られたグラフの部分ということになります。
 例えば、学習面、図1で申し上げますと、12ポイントというところにまでは達していないけれども、11ポイント、10ポイントというところに、教員の目から見て一定の困難がある児童生徒がいるということでございまして、行動面、学習面、全体を含めて6.5%という数字ですが、この6.5%以外にも何らかの困難があって支援が必要な児童生徒がいる可能性があるという現状が見てとれるということでございます。
 続きまして、資料、5ページ、表3、表4では、更に細かい内訳を示してございます。また表5では、男女別の集計、それから資料、6ページ、表6では、学校種、小中学校、それから学年別の集計結果を示してございます。
 お手元の資料、7ページを御覧いただきますと、大きな柱の二つ目、児童生徒の受けている支援の状況についての結果でございます。ここでは「学習面又は行動面で著しい困難を示す」とされた6.5%の児童生徒の受けている支援の状況ということですが、まず表7を御覧いただきますと、校内委員会で現在支援が必要と判断されているかという問いに対しまして、「必要と判断されている」が18.4%、続いて表8で、著しい困難を示すとされた児童生徒6.5%の受けている支援の状況の概観ですが、現在、過去で、いずれかの支援がなされている、あるいは、なされていた児童生徒が6割ほどということになっております。
 以下、表9-1以降で、様々な形態の支援の状況について記載してございます。
 また、お手元の資料、9ページを御覧いただきますと、この著しい困難を示すとされた6.5%の児童生徒のうちで、校内委員会で、現在、特別な教育的支援が必要と判断された児童生徒18.4%の受けている支援の状況につきまして、表10に記載がございますが、現在、過去いずれかの支援がなされている、あるいは、なされていた児童生徒で9割を超えているという状況になっております。
 最後に、お手元の資料、11ページ以降で、本調査に当たっての協力者会議の座長の大南全国特別支援教育推進連盟理事長の座長の、考察が付してございます。協力者会議での議論を踏まえての考察でございますが、特に最後、13ページの下の辺りを御覧いただきますと、今回、結果としてこういうデータが出たところですが、この状況の要因について様々考えられるということで、必要な事項については、今後、詳細な調査研究を行うことで明らかにしていくということが求められているところでございます。
 概要は以上でございます。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 かなり膨大なデータが入っているので、今の説明だけではなかなか一度に頭に入ってこないところもあるかと思いますけれども、何か御質問とか御意見がございますでしょうか。
 長南委員、どうぞ。

【長南委員】  ただいまの説明の5ページの表5について質問したいと思います。
 男子と女子に分けて、「学習面又は行動面で著しい困難を示す」、男子が9.3%、女子が3.6%と、以下、A、B、Cも見ていくと、男女の差がありますよね。これはどんな原因なのでしょうね。

【大山特別支援教育課長】  表5のところの男女差についてでございますね。

【長南委員】  そうです。

【大山特別支援教育課長】  男子の方が結果として多いという数字になっていますが、どうしてかといった要因的なところについては、今回の調査では質問していないということでございまして、現状としてこうなっていることも踏まえながら、今後の指導に生かしていただくことを考えているところです。

【長南委員】  分かりました。

【小川分科会長】  よろしいですか。では、佐々木委員、どうぞ。

【佐々木委員】  とても詳細なデータをありがとうございます。この後のアクションはどのようになるのでしょうか。私の間違っているかもしれません知識では、アメリカなどだと、各学校、公立の学校全てに進路を指導するカウンセラーのほかに、スクールサイコロジストという人たちが必ず一人以上いて、こういった生徒たちがどのような心理状態なのかということをきちっと専門家として調査をしたり、指導をしたり、判断をするというシステムがあります。私もそういう学校を訪問したことがあるのですけれども、これからどのような方向に行くのでしょうか。

【小川分科会長】  よろしくお願いします。

【大山特別支援教育課長】  ありがとうございます。現在、平成25年度の予算要求の中で、発達障害に関する教職員の専門性向上事業も計上しております。この中で拠点校を設けまして、校内研修を行う、あるいは地域、保護者を対象としたセミナーを開くといったことですとか、あるいは、発達障害に関して、先生方お一人お一人、知識をしっかり持っていただくということが重要であろうということで、教職員の育成プログラムの開発を大学に委託しまして、教員の養成段階、あるいは中核的な現職教員の方々についても発達障害について知識を身に付けていただくということを考えております。開発されたプログラムについては、都道府県の教育委員会などで御活用いただいて、先生方の研修に役立てていただくことを考えております。
 それ以外にも、来年度の予算要求の中で、インクルーシブ教育システム構築事業において、モデル事業の展開など障害のある子供たちをサポートするための取組を予定しており、しっかりとした対応を取っていくことを考えております。

【小川分科会長】  更に何か御意見はございますでしょうか。

【佐々木委員】  そうですね、現在の教員や保護者も含めて、発達障害を含め、こういった障害のことを理解し、対応の仕方を学習するということは重要だと思うんですが、先ほどの部活動のことも含めて、教員一人の負担が大きくなるだけでない方法も考えることが大切だと思います。アメリカが良い事例なのかということは別にしまして、心理学の専門家がそれだけのためにきちっと学校に配置されるなど、その他の仕組みということも是非御検討頂ければと思います。

【小川分科会長】  ありがとうございました。宮崎委員、どうぞ。

【宮崎委員】  後の今回の中教審の審議の状況の中で取り上げていただけるので、そこでお話をしようと思ったんですが、佐々木委員からお話があったので、先にお話をさせていただきます。
 今回のこの調査は、初等中等教育分科会に設けられましたインクルーシブ教育システム構築のための特別委員会の審議の中で調査をすべきであるということが大きな話題になっておりました。平成14年度にこの調査の第1回目を行ったのですが、それから10年経過している。特に新しい特別支援教育を推進していくためには、どうしてもエビデンス・ベースドという観点からもこれが必要であろうということになったわけです。この審議報告からは少し遅れたのですが、今回の調査結果は大体私どもが想定していた範囲で収まっていると。
 ただ、問題になるのは、今お話があった男子と女子の差異でありますとか、小学校が7.7%、特に1学年、2学年の比率が極めて高いといったような問題と、これまでいろいろ論議されてきたことがこの調査から明らかになっているわけです。
 審議の中でもそういったようなことなども随分論議していただきまして、資料4の中で後でお話が出てくると思うのですが、参考2のところの2ページ目に、特別支援教育の推進について書かれているのですが、特別支援教育を推進していくことが、子供たちの教育ニーズを把握して適切な指導及び必要な支援を行うという観点から、特に発達障害なども含めて障害のある子供が周囲から認識されていないものの学習上、又は生活上の困難のある子供に対して、あるいは全ての子供にとって良い効果をもたらすよう進めていくんだということで私どもは整理をさせていただいて、その中に今、佐々木委員からあったような考え方、一つは、関係機関との連携強化、それから学校の体制の整備といったようなことが1点目。2点目が、地域との関係というのでしょうか、交流を進めていくという限りなく共に学ぶことができるような配慮をしていくのだと。そして、障害者理解を進めていくのだというようなことなどを盛り込ませていただいております。
 具体の手立てについて、更に詳細なことは、今、大山課長からお話があったようなことで次善の策をまた取っていただくことになるかというように思っております。この調査がとても大きなインパクトをもたらすであろうということは私も思っております。今年の年賀状の中で、ある区の指導主事さんから、既に9.8%の対応を頑張りますと書いてきてくださったのですが、それは小1の問題を何とかするという教育委員会の決意の表れかと思って私も大変嬉しく思ったのです。この調査を生かしながら、特別支援教育の更なる推進を今後進めていただければ有り難いなと思っております。以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。では、輿水委員、どうぞ。

【輿水委員】  97%の回収率というのは、本当にすごいと思うのですね。それだけ現場が何を本当に切実に求めているかということの現れではないかなというように思います。是非この調査結果が具体施策に生きるようにお願いしたいというように思います。一点、細かいことなのですけれども、今、小1プロブレムというお話が出ました。当然そういうこともあろうかと思いますが、この表6を見ますと、発達、成長に従って、又はそこに加えた支援に従って数値は段々下がっているのですけれども、小学4年生で足踏みがありますよね。昔から9歳の壁、10歳の壁と言われているけれども、小1プロブレム、確かにそれは大きいことですけれども、この中学年の、特に10歳、9歳のところの足踏み状態を、古くから言われている何とかの壁ということも含めて、もう少し細かく分析していけば、何かしら方策が見えてくるのではないかなというように感じました。以上です。

【大山特別支援教育課長】  御指摘ありがとうございます。今回の調査は、背景等までは調べていないというところでもあり、要因等については、今後、調査研究、分析をしたいと思っております。
 学年が上がるにつれて数字が下がっているという現象についてですが、お手元の資料の11ページ、12ページにかけて、この辺りをどう見るかということについて、協力者会議での指摘なども書いてございます。学年進行とともに困難自体が解消していくことは必ずしも示していないという御意見も頂いておりまして、更なる調査研究に委ねる必要があるということで、協力者会議での見方としては、一方では周囲の理解が深まって子供が落ち着く、あるいは子供自身が学校に適応できるようになっている、そういう可能性もあるものの、他方では、低学年では学習面、行動面の問題は見やすいけれども、高学年になると様々な問題が錯綜(さくそう)して見えにくくなる可能性もあるといったような御指摘も頂いているところでございます。

【小川分科会長】  ありがとうございました。無藤委員、どうぞ。

【無藤委員】  ただいまの上の学年、特に中学になって割合が減っていくということについてですけれども、専門家の御指摘どおりだとは思うんですが、そして一般に症状が軽減するというのは教育的な対応でそうだとも思いますが、もう一つ、少し要因として関係すると思うのは、中学校段階になると特別支援学校、特別支援学級に通学、通級する率が少し上がるので、それが一つあるのではないか。
 それからもう一つは、不登校などの割合が増える中に、不登校生徒の中にこういった障害を抱えたお子さんが入っている可能性も多少あるだろうと思います。
 さらに、もちろん見えないという可能性が非常にあると思うのは、例えばADHD(注意欠陥多動性障害)のような場合でも、ある程度、年齢が上がってくると、多動性は落ち着くけれども、注意などの衝動性はやはり残るという場合に、一見、授業の中に座っている程度においては落ち着く。しかし、実際問題として、学習が困難な状況にある。それがこの数字に上がってくる場合もあるし、上がってこない場合もあるので、単純に軽減というように楽観的には言いにくいのではないかと私も思います。

【小川分科会長】  ありがとうございました。では、議題3についてもこれで終わらせていただきたいと思います。
 では、次に、議題4に入りたいと思います。
 御承知のように、本日は第6期中教審の最後の初等中等教育分科会となっていますので、第6期における本分科会のこれまでの取組、成果と、次期第7期への課題の引継ぎといいますか、申し送りといいますか、そうしたことについて少し皆さんから御意見を伺いたいと思います。これは初等中等教育企画課から御説明をお願いいたします。

【塩原教育制度改革室長】  資料4を御覧ください。資料4は、第6期、2年間におけます初等中等教育分科会の審議の状況について、分科会及び各部会等の審議事項や、その審議の成果、更に継続審議とされている事項等につきまして、全体概要をまとめさせていただいているものでございます。
 まず、初等中等教育分科会、本会議でございますが、第2期教育振興基本計画につきまして、教育振興基本計画部会におけます審議と並行して、本分科会におきましても、社会を生き抜く力の養成等の基本的方向性や成果目標・成果指標の在り方、「確かな学力を身につけるための教育内容、方法の充実」等の基本施策の内容、教育投資の必要性等について審議をいただいたところでございます。
 続いて、教育課程部会でございます。
 教育課程部会におかれましては、理科教育設備基準及び産業教育の施設・設備の基準の改定につきまして、新学習指導要領を踏まえた省令の改正案についての御審議をいただきまして、理科教育振興法に基づく理科教育のための設備の基準に関する細目を定める省令の一部改正案、産業教育振興法施行規則の一部改正案につきまして、御了承いただいたものでございます。
 また、小中一貫教育に係る教育課程の基準の特例につきまして、学校段階間の連携・接続等に関する作業部会の「主な意見の整理」において提案されております小中一貫教育に係る教育課程の基準の特例について、その内容、意義、特例の活用に係る要件等について御審議をいただきまして、御意見を賜ったところでございます。
 続いて2ページ、教員養成部会でございます。
 教員養成部会におきましては、教育課程の質の向上等につきまして、大学からの教職課程の設置申請に対して審査をいただいております。
 また、既に認定された教職課程の運営状況を確認する観点から、実地視察を行っていただきまして、平成23年度に行った合計43大学等の実施視察についての報告書も取りまとめていただいたところでございます。
 続いて、高等学校教育部会でございます。
 高等学校教育部会は、今後の高等学校教育の在り方について審議をするために、平成23年9月に設置されたものでございまして、同年11月以降、次回1月28日に予定されます会議を含めまして17回の会議を開催し、これまでの高校教育改革の成果や課題について総覧するとともに、今後の課題について検討いただいているところでございます。
 その成果としては、平成24年8月には、「課題の整理と検討の視点」を取りまとめいただいているところでございまして、さらに平成24年8月以降は、この「課題の整理と検討の視点」で示された論点の中から、特に高校教育を通じて生徒に共通に身に付けさせるべきコアについての考え方、さらには、高校教育の質保証の在り方を中心に御審議を賜っているところでございまして、次回1月28日の会議では、第6期におけます審議の経過についての審議結果の取りまとめについての御検討もいただくところでございます。
 続いて3ページ、特別支援教育の在り方に関する特別委員会でございます。
 同特別委員会におきましては、第5期に引き続きまして11回の会議が開催され、障害者の権利に関する条約の理念を踏まえた特別支援教育の在り方について審議をいただきました。
 その成果としては、平成24年7月に、「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進」報告をお取りまとめいただいたところでございまして、この報告を受けまして、文部科学省におきましては、就学手続に関する学校教育法施行令の改正等について、現在、検討中でありますとともに、更に、平成25年度の概算要求におきましては、インクルーシブ教育システム構築に向けた早期からの教育相談・支援体制の構築、合理的配慮の充実、教職員定数、施設設備等の充実を図り、特別支援教育を推進するための所要の経費を要求いたしているところでございます。
 続きまして、学校段階間の連携・接続等に関する作業部会でございます。
 まず、中高一貫教育制度についてでございますが、中高一貫教育制度については、第5期に引き続き3回の会議を開催され、「中高一貫教育制度に関する主な意見等の整理」を平成23年7月に御報告いただいたところでございます。
 この御報告を受けまして、文部科学省では、中高一貫教育校における教育課程の基準の特例の拡充をするための告示改正等を行っておりまして、平成24年から既に実施されているところでございます。
 続いて4ページでございます。小中連携、一貫教育についてでございますが、平成23年10月以降、小中連携、一貫教育についての検討のための10回の会議を実施して、小中学校間の連携・接続に関する全国的な取組の検証を行うとともに、その支援の在り方等について審議をいただいたところでございます。
 その成果といたしましては、平成24年7月に、「小中連携、一貫教育に関する主な意見等の整理」を御報告頂いておりまして、これを受け、文科省は現在、小中一貫教育に関する教育課程の基準の特例を制度化するための省令改正等について検討を進めているところでございます。
 以上、今期の審議事項でございましたが、来期に継続して審議する事項といたしましては、まず初等中等教育分科会でございます。第2期教育振興基本計画につきましては、引き続き、教育振興基本計画部会との連携を図りながら、計画に盛り込むべき内容についての御審議を賜りたいと思っているところでございます。
 また、高等学校教育部会でございますが、今後の高等学校教育の在り方につきまして、質保証の在り方等についての御審議を引き続きいただく予定となっているところでございます。
 以上でございます。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 今、事務局から第6期の本分科会で扱ってきたテーマ、審議、成果、また第7期に継続して審議する事項等々について説明いただきました。今日はもうこの今の資料4に基づいて、自由に、第6期でいろいろ審議いただいて、いろいろな成果も上げてきたのですけれども、詰め切れなかった課題もあったかと思いますので、そうしたことも含めて少し御意見を頂いて、第7期、次期の初等中等教育分科会に引き継いでいただきたいと思いますので、そうした要望、御意見などもあれば自由に伺いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。どなたからでも構いませんので、どうぞよろしくお願いいたします。
 市川委員、どうぞ。

【市川委員】  さっきの部活動の問題に戻ってしまうのですけれども、今改めて考えますと、部活動というのが非常に大きな、特に中学校、高校で生徒にとっても大きなもの、学校にとっても非常に大きな位置付けで戦後確かに役割を果たしてきた。にもかかわらず、学校の教育課程の中できちっと位置付けられていなかったということもあって、この前の指導要領の改訂で、初めてある意味での位置付けをきちっと与えられたという非常に社会一般から見たら不思議なものだと思うのですけれども、これだけ学校で力を入れているものが、実は学校の活動として位置付けられていなかった、それが初めて位置付けられた、必須ではないのですけれども位置付けられたわけです。
 ということは、それまでいわば正式の活動ではなかったということもあって、教員養成課程の中でも見過ごされてきた。先ほど、教育相談とか、生徒指導という話はあったのですが、部活動における指導についてというようなことは、多分、教員養成課程で正面から取り上げていなかったと思うのです。普段の生徒指導とも違うし、教育相談とも明らかに違うこと。しかし、非常に大きな影響力があって、いわば学校の、比重は大きいのだけれども、裏の活動と言うとちょっと語弊がありますが、私も本当に部活動にはお世話になってきた、部活動の影響はすごくあったと思うのですけれども、教員養成の中ではきちっと取り上げられないまま、何らかの伝統によって動いてきたもの。多分、私たちの中にも、部活動は生徒にとっても必須ではないですから、そんなにつらければ辞めればいいというくらいにちょっと思ってしまったのではないか。実際にはなかなか辞めたくない、辞められないというような事情もある中で今回のようなことが起こってしまって、初めて自由な活動なんだからといって部活動のことを取り上げないということはまずいのだろうと。
 これは私もちょっと不勉強でよく分かっていないのかもしれないのですけれども、やっぱりこういう初等中等教育分科会とか、私も教育課程部会ではずっと入っていましたけれども、部活の問題というのが、教員養成も含めて取り上げられたことがほとんどなかったのではないかという気がしています。これは今後、非常に大きな問題として、明らかに影響力は非常にあるものですから、今度、学校の活動の一つとして取り上げ、明文化されている以上は、必須ではなくても、相当大きな取り上げ方、どういう取り上げ方がいいのか私はまだよく分からないのですけれども、今後大きな課題にしないといけないのではないかと改めて思いました。

【小川分科会長】  ありがとうございました。梶田委員、どうぞ。

【梶田委員】  今の部活動の問題は、第3期と4期の中教審教育課程部会でかなり議論いたしました。だから、今回の学習指導要領で位置付けがはっきりしたわけです。もちろん更にこれをどうするかというのは、是非第7期も検討していただきたいと思いますが、これがずっと、特に今回の学習指導要領改訂、中学、高校の中で大きな課題として委員の皆さんの念頭にあったということだけは申し添えて、次にまた引き継いでほしい、これを一つ申し上げておきたい。
 それからもう一つ、次期の分科会に申し送る事項が資料4の4ページにありますが、ちょっと寂しいなと思っております。いっぱい課題が残っているはずなのです。ですから、例えばですが、第5期、つまり2年前に、初等中等教育分科会において「今後の学級編制及び教職員定数の改善について(提言)を出しました。もっと教職員定数の改善を図らないといけない、また、教員の待遇についてもきちっと必要な措置を講じていかなければいけないというようなことも含めて提言として出したはずです。これが残念ながらこの2、3年、財政の問題もあるとは思うけれども、やはり不十分なままになっていたのではないかと思います。これは次期の初等中等教育分科会でもやっぱりプッシュしなければいけないのではないでしょうか。今、地方公務員もまた待遇を引き下げるべきではないかという意見が出てくることも分からないでもないですけれども、教員の待遇を引き下げる、それから教員の数を減らすという方向の議論ではなくて、やはり「教育は人なり」ですから、第5期で出した提言を引き継いで、実現の方策を模索してもらうということが必要ではないかと考えております。
 それからもう一つ、小中連携、中高連携についてです。高等学校教育部会も設置されましたが、第3期、4期、5期において、私もかなり何度も発言していると思うんですけれども、今の6・3・3制というのが、やはり子供たちの成長発達の実態からもうずれてしまっているのではないかと思います。これについては、昭和46年の中教審答申で既に詳細なデータを添えた指摘があるわけですけれども、子供たちの精神の成長、発達の実態ということと、今の学校の区切り方、もっと言うと、カリキュラムの在り方、指導の在り方、これについてはやはりどこで議論するのか。この中教審でやらなければいけないと思うんです。参議院選挙の前に思いつきの議論がいっぱい出てくると私は困るなと思っております。きちっとした専門家の議論の積み重ねが必要だと思っております。
 くどく言いますけれども、1946年に、教育使節団がアメリカから来て、6・3制を、当時、占領下ですから、日本は主権がありませんから、日本に押し付けたときには、アメリカで6・3・3制というのが95.6%だったのです。ところが、今やほんの数%になっている。イギリス連邦諸国も、例えば、幼児教育の段階から始めて第0学年を作り、かなり大きく考え方を変えているわけですね。そういうことをこの分科会の場で提起していただきながら、あるいは資料も出していただきながら、専門的な議論の積み重ねができていないということが私は非常に残念だと思います。思いつきの議論にならないように、中教審の場で、特に初等中等教育分科会の場で、幼・小・中・高の全体のトータルな在り方ということを問い直していただきたい。こういうことも次期分科会に引き継ぐべきこととして是非入れておいてほしいなと思います。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 今の梶田委員の御意見に関わって、ちょっと事務局にお尋ねしたいのですけれども、確かに中教審、この初等中等教育分科会では扱わなかったのですけれども、例えば教職員の定数改善等については、前の民主党政権の下では、副大臣裁定の下で設置された教職員定数の適正化の検討会議がありますね。あそこでは今度の予算編成に向けてというか、前の政権では5年間の定数改善計画を作っていたのですが、そういう定数改善のマターの扱いというのは政権交代により、どのように扱われ、また、現在の政権の下ではどのように捉えられているのかというのも少しお聞きしたい。それから、6・3・3制の議論というのは、梶田委員がおっしゃるように極めて重要なテーマなのですが、今期の分科会では、全体的なところについてはなかなか難しくて、小中連携、一貫教育や中高一貫教育に関する検討に絡めて議論してきたわけです。今後、教育再生実行会議においては6・3・3制について議論するというようなことにもなっていますが、次期中教審の本分科会の課題にも関係することですので、今後の見通しのようなことについて少し何かコメントを頂ければと思うんですが、その2点について何か、よろしいでしょうか。

【布村初等中等教育局長】  初等中等教育局長でございますが、一つ目の教職員定数の改善計画につきましては、今、小川分科会長からおっしゃっていただいたとおり、専門家の検討会議を設置し、そこで御議論・御提言いただきまして、法律改正の下に小学校1年生では35人学級が実施でき、小学校2年生は予算措置で35人学級を進めてきているという状況です。小3から中3まで残り7学年については、5年間の教職員定数改善計画というものを、法律改正ではなくて、予算措置、あるいは、今、作成中の教育振興基本計画第2期に位置付けた形で計画的な改善を図りたいという提言をいただき、それを基に平成25年度予算でその計画の中の初年度分について、予算要求しているという状況でございます。今、財政当局と最終の調整局面に差しかかっておりますけれども、極めて厳しい状況にはある中で、政権交代後も引き続き何とか計画的な改善につながるように努力はしていきたいというのが今の状況でございます。
 それから、教育再生実行会議につきまして、1月15日に設置が閣議決定されたところでございます。来週にも第1回の会議が始まる予定になっていると伺っておりますけれども、そこで議論いただく中身としても、当面はまずいじめの問題へのいかに対応するのかということ、あるいは、その後は、教育委員会制度の在り方について見直しの議論があると。またその後は、大学の在り方、グローバル化に対応した教育の在り方、それから、参議院選の後のようでございますけれども、6・3・3・4制の在り方もテーマとして上がってくると伺っております。この教育再生実行会議と中央教育審議会との役割分担ということは、今後きちっと整理をして明確にしていく必要があると思っております。教育委員会の在り方につきましても、例えば教育再生会議で在り方論、見直しの方向性を御提言いただいたとすれば、中央教育審議会の中で、それを踏まえた教育委員会制度の在り方、制度設計の御議論をしていただく必要があると、そういう流れになろうかと思いますし、6・3・3・4制につきましても、同じような形で役割分担をして、具体的な制度の見直し、制度設計が必要であれば、また中央教育審議会で御審議いただいていくという流れになろうかと思います。

【小川分科会長】  ありがとうございました。他にいかがでしょうか。渡久山委員、どうぞ。

【渡久山委員】  4ページです、これは今後継続して審議する事項の中に、第2期の教育振興基本計画がございます。やはりそれは第1期のときにもいろいろ意見が出たのですが、ほとんど数値目標がなくて、マスコミからも含めて非常に大きな不満が随分出たのですけれども、是非とも第2期の場合は、具体的な数値目標を作ってもらいたいと思います。ただ、今までの経過から見ますと、非常に総花的なものになっていますよね。そうではなくて、例えば10年間くらいの計画を立てておいても、最初の5年間では何をどうするのだという、目標をきちっともう少し絞り込んで、その中で数値目標を作ってもらうというようなことをされたらどうかなと思うのです。
 例えば、今、話題になりました教職員定数、これも基本的には学級規模をどう縮小していくかというような問題から始まってくるわけであり、日本はそういう面では先進各国の中で非常に遅れているわけです。ですから、それをいつまでもそのままで現場の教員の努力によってという話にはならないですよね。今、布村局長からも説明がございましたけれども、小3から中3までの教職員定数改善の実現に向けて、長期的かつに計画的な目標を設定し、第2期振興計画の中に5年計画できちっと位置付けていくということは良いのではないかと思います。かつての自民党政権のときに、40人学級というのも10年計画に基づき計画的に実現させていったことがありました。ですから、それは今度は5年間でどこまでやっていくのかということはあってもいいから、計画を立ててもらいたいというのが一つです。
 もう一つは、やはり子供の学力の問題です。現行の学習指導要領においては、ある程度、授業時数も増やしてきたし、教育内容も豊富になってきました。しかし、それが子供たちの学力として定着しなければ何の意味もないわけですよね。PISA(OECD生徒の学習到達度調査) の結果などを見ていますと、我が国においては、習熟度レベル上位層の人数が減り、逆に下位層の人数が非常に増えているのですね。下位層の子供たちにどう学力を付けていくかということは非常に大事なことなのですね。ですから、そういう形で絞り込んでこれをやってもらったらどうだろうかというような気がいたします。
 それから、高等学校の問題についてですが、僕もかつて高等学校の教員をしていたんですが、今でも中途退学者が非常に多いのです。その問題をもっと中長期的に真剣に取り組んでいくということは非常に大事じゃないかと思います。今まで高等学校教育部会から出た議論の中でも、中途退学対策というのはあまり出ていないのですよ。今後、是非とも焦点を当てて議論していただければと思います。
 以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 他にいかがでしょうか。最後ですので、言い残しのないようにお願いします。では、井上委員、どうぞ。

【井上委員】  ありがとうございます。
 最後ということで、申し上げたいことは、一つは、先ほど議論になりましたいじめの問題についてでございます。これは以前から多くのいじめ問題が発生し、直接私も平成7年度にいじめ問題の対応したときに、専門家による調査検討会の結果を全国の学校に通知したことがございます。そのときの前提としては、いじめはどこにでも起こる可能性があるだけに、いじめを見つけた場合は事実関係を迅速に把握して、それに対していかに適切に対応するかということを学校としてやっていただきたいということを当時申し上げたわけでございます。その後しばらく落ち着いてきておりましたが、最近また先般の大津市の問題、あるいは今回の教員の体罰の問題で生徒が不幸にして自殺するという大阪市の問題等が出てきたわけでございます。いじめ問題をなくそうとする場合、学校におけるコミュニケーション能力、児童生徒同士のコミュニケーションを更に活発にさせることや、教員が子供たちに対して大きな教育愛で包み込み、何でも先生に相談できるような学校の体制作りをするということがやはり基本にあるのではないかと思っています。
 近年、少子化が問題となっておりますが、一人っ子が増えてきたこと等も背景として、子供たち同士のコミュニケーションが十分ではないということから、いじめが依然としてかなり起こっているという実態があるのではないかというように考えています。
 それから、体罰の問題、特に大阪市の問題についてですが、私も実は学生野球協会において、学校のいじめ、あるいは部長、監督の暴力行為等に対する審査事案で、学校の野球部の出場停止等について決定する審査会の委員を務めているのですが、先ほどからお話があるように、団体競技の場合、どうしても勝利至上主義的な考え方が監督や部長にあると、そういう指導者が一時的な感情に基づいて暴力行為を行い、場合によっては子供に怪我をさせ、傷害罪に当たるような事案も出てくることがございます。やはり、特に団体競技における部活動指導においては、指導者が心して暴力行為等を行わないよう抑制してもらわないといけないということから、学生野球協会等では絶えず高野連等からそういう通達を指導者に出してもらっているわけです。今回はバスケットボール部ということですが、部活動における指導については、指導者側の意識改革をもっと徹底して行う必要があるのではないかと考えております。先ほどお話があったように、大抵部活動の指導教員は、中学、高校あるいは大学で部活動をやっており、自分が体験したことをまた繰り返しているという可能性が非常に高いわけですし。今後、初等中等教育分科会あるいは教育再生実行会議等で検討されるそうですが、専門家の意見を十分に聞きながら、適切な対応策を検討してもらいたいと思います。
 それからもう1点は、実は平成20年度の学習指導要領の改訂についての答申を受けて、新しい学習指導要領が小学校、中学校で既に実施されており、そして今年度から高等学校で全面的に実施されているわけでございますが、その場合に、授業時間も増え、教育内容も非常に多量になってきているということから、それらを円滑に実施するための教職員定数の改善というのもこれは必須であるということで、先ほど分科会長からお話がございましたように、専門家会議で35人学級の小1からの計画的な実施、あるいは新たな教育課題に対する指導教員の配置について定数改善計画を計画的に行うという提言を既に本分科会でも出しておりますし、また、それを小1、小2における実施の実証、エビデンス・ベースドで更に小3以降も計画的に進めるという報告も出しているわけでございますので、そのような教育環境の整備、特に「教育は人にあり」であり、資質の高い教員を養成し、確保していくということが教育の質的向上にはどうしても必要でございますので、かねてから申し上げておりますが、引き続き教育振興基本計画の中でも、計画的な教職員配置の推進について明確な位置付けをしていただきたいということを、引き続きお願いしたいと思います。
 特に、以前から何度も言って恐縮ですが、先進諸国のOECDの中で、日本の初等中等教育段階あるいは高等教育段階のGDPに対する公的教育投資の規模がここ3年ほど最下位になっているわけでございまして、今の状況で言えば、更に最下位が続くのではないかということを危惧しているわけでございますので、そういう意味で、教職員定数改善とか、あるいは新しい学習指導要領を円滑に実施するための施設設備の整備等についても、更に振興計画等で明確な位置付けを是非お願いしたいと思います。
 以上、2点申し上げました。よろしくお願いします。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 他にいかがでしょうか。
 五十嵐委員、どうぞ。

【五十嵐委員】  ありがとうございます。
 本分科会でいろいろと議論を聞かせていただいた中で、今、痛感しているのは、本当に目の前にいじめで苦しんでいる子供を作らないということです。体罰はもってのほかです。あとは、特別支援教育という点からも、一人一人の子供の特性や発達、そのニーズに応じた教育や、全ての子供たちに分かりやすい学びの場を提供していかなければいけないということです。目の前の子供たちのことに寄り添いながらも、将来に向けた課題も多いですから、子供たちが未来を生きていく力も同時に身に付けさせていかなければいけないということを痛感しています。
 未来を生きていく子供たちには、何よりも命を大事にしながらも、先ほども話題に出たように、一方的に教員が教えるだけでは生きる力は身に付きませんので、やはり互いに学び合って主体的に知恵を獲得していくような、そんな学びというものが必要になってくると思います。
 そういう意味では、中高一貫、小中連携というようなことが話題になりましたが、もっと生きる根本で幼児教育の大事なところに学びの芽がありますので、幼・小・中・高と続くように、先ほどの設備のことももちろんそうですし、設備を備えた上で、学ぶ内容もまた新たに見直さなければいけないのではないかなと思っています。
 また、防災教育やキャリア教育など、時代の変化とともに求められる教育は多くなっていますが、そういう教育内容、そして、もっと大事なのは、学び方だと思いますので、それらも含めて、次期の学習指導要領の改訂に向けてというよりも、学習指導要領そのものが、あの列挙で良いのかということも今少し疑問に思っています。
 これからの社会を生きていく子供たちが、様々な困難を解決していかなければならないことも踏まえて、これからどのように子供たちを育てるかといったことを考える際に、学習指導要領が拠り所になりますが、学習指導要領は教科内容の列挙になっており、子供たちの学び方について触れておらず、ちょっと抽象的になり過ぎている面もあると思います。学習指導要領の在り方というものも踏まえて、幼児期から大学につながる教育の在り方というものをしっかりと検討すべき時が来ているのではないかなということを痛感しています。次期の分科会の方にそれを期待したいと思います。以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 残りの時間もなくなってきていますけれども、いかがでしょうか。

【小川分科会長】  市川委員。

【市川委員】  もう大事な問題は先生方もたくさん指摘してくださったので、これはちょっと言うのがはばかられる話題なのですが、東大が秋入学ということを言い出して、恐らく多くの先生方は違和感を抱いたり、荒唐無稽な話だと思われたりした方も多いと思います。私もそうでした。
 ただ、学内で1年以上話をしてきて、他の大学とも、あるいは産業界の人たちとも話をしていく中で、例えば50年先、100年先を考えたときに、日本がいわゆる先進国と言われる中で、グローバル化が進んでいるということもこれだけ言われている中で、日本が春入学を通しているということにより既にいろいろな問題が生じてきたということもかなり実感されているんですね。
 しかし、例えば就職活動、公務員試験、教員採用試験などの時期が春入学、春卒業に合わせている。小・中・高も動いていないという中で、大学だけが秋入学の方向に行くということは、やっぱりリスクが大きいということで、今かなりこの話題は鎮静化していますが、行くのであれば、やっぱり遠い将来を見据えた場合には、小・中・高から大学・大学院まで、秋入学、そして6月卒業というようなことがどこかで議論されてもいいのではないかと思います。今はいろいろなネックになることが多いので諦めざるを得ないけれども、例えば小・中・高でもどうなのでしょうか。例えば帰国児童生徒もたくさんいると思います。国際的な人的移動がどんどん増えているときに、学事暦については問題にはなってこないのでしょうか。また、大学や大学院において秋入学の導入が必要だということで実施した場合に、どうしてもギャップタームというようなやや不自然なものができてしまう。そういう中で遠い将来を見据えた場合には、このことはどこかで議論をしていただいてもいいかなと思います。私は例えば、20年かけて秋入学を導入するというような選択肢もあり得るのだろうと思います。
 急に東大がやろうとしたので、恐らく非常に空回りしてしまっている状態だとは思いますが、やるのであれば、どこかで議論をしっかりして、長い期間をかけて動いていくという手もあり得るのではないかと思いました。

【小川分科会長】  最後、大きなテーマの投げかけで、ありがとうございました。
 では、安彦分科会長代理、よろしくお願いします。

【安彦分科会長代理】  皆さんがもうかなり御意見を出してくださっているので、私はちょっと大きいことだけ一つ申し上げたいのですけれども、改めて、学校と社会との関係について正面からちょっと吟味していただきたいなと思うのです。今お話があったような秋入学の問題もそうなのですけれども、学校の外の社会的な状況が大きく変わってきていている中で、大学入試等で前提になっている学歴社会が、それなりに形骸化、あるいは硬直化しているような状況も生まれているにもかかわらず、一部には相変わらず、高校なんかですと大学入試に何人合格させるかというような話になっていて、中身の子供の育ちということについてはほとんど見ていない。ところが、実際に産業界が学生に求めているコミュニケーション能力なんていうのは、本当に今、高校から大学へ入ってくる学生を見ていても、かなり深刻な状況が見られます。
 社会が求める人材像に、学校が応えて何とか合わせようとしているだけでは、ちっとも子供のためにはならないし、最終的にも産業界その他社会のためにもならないような状況が、ますます進行しそうな気がします。形骸化されたままの人間形成が行われていくのではないかと危惧しております。表向きの学歴だけは得られるけれども、中身は伴わないような人材を育成する、そういう学校教育でいいのかという思いがかなり強まってきているんです。
 学校と社会の関係などでも、今回のいじめや体罰の問題にしても、学校はもうたたかれっぱなしなわけですね。しかし、先ほどの体罰でも、仮にこういう問題が起きないときに例えばアンケートしたら、果たして保護者は体罰を絶対に許されないと言うだろうかと、改めて保護者に問い返してみたいですよね。やはり社会全体の風潮として、何となく一定の体罰はあってもいい、ある程度厳しくやってくださいと部活動の先生にまで保護者が求めるような雰囲気がないわけではない状況があったのではないかと思います。そういう意味では、社会の在り方に対して、逆に教育的な観点から問い返すようなことがもっとないと、全体としてどんどん形骸化や沈滞化が進むような気がいたします。今の社会の在り方を揺るがす深刻な問題が起きれば、正論に立ち返なければならないとそのときは思いますけれども、数年も経つと忘れてしまうというようなことが続きはしないだろうかと思います。もう少し、中教審レベルで、社会に向かって学校教育あるいは教育の在り方について問い返すような発言なり発信をしていただきたいと思います。
 改めてそういう観点からすると、6・3制にしても、8年ぐらい前に私は中教審の教育制度分科会で、依頼されて6・3制についてどうかということについてプレゼンを行った記憶がありますが、中教審はずっと、先ほど、梶田先生がおっしゃったように、学校制度に対する関心を持ち続けてきたわけです。そういう意味では、初等中等教育分科会において、学校制度の基本線について、本来の教育論に立ち返りながら、社会に向かって、こうでなければ今の状況というのは本当に悪くなるばかりじゃないですかというような発信を是非していただきたいと思います。また、学校と社会との在り方をもう一度問い直すことも必要ではないかと思います。私などは、社会は社会でやるべきことがあるはずであり、学校にばかり何もかも求めてくるという風潮は非常におかしいと思っています。学校教育の本来の在り方について、制度上の問題、接続の問題等も含めて議論していただくほか、学校と社会との関係について、学校論的なことも含めて是非今後継続的に審議をして、独自の観点を打ち出していっていただきたいと思います。以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。
 他の委員の方にも一言ずつと思ったのですけれども、ちょっと時間がもう差し迫っていますので、今日はこれくらいにさせていただければと思います。
 では、最後、今日は第6期の分科会の最後ということでありますので、布村初等中等教育局長から御挨拶いただければと思います。お願いします。

【布村初等中等教育局長】  本日もありがとうございます。本日の初等中等教育分科会が第6期の中央教育審議会の最終回に当たりますので、一言御礼の御挨拶を申し上げたいと思います。
 平成23年2月から2年間にわたりまして、委員の皆様方におかれましては、御多用のところ御出席をいただき、また、本日も含めまして、熱心な御議論をいただきましたことを厚く御礼申し上げたいと思います。
 また、小川分科会長、また各分科会の部会長の先生方におかれましては、多くの重要な課題につきまして取りまとめを進めていただきましたことを重ねて御礼申し上げたいと思います。
 先ほど、資料4にも整理させていただいておりましたけれども、インクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進ですとか、中高一貫教育制度の検証、今後の改善方策、また小中連携、一貫教育の推進に向けた改善方策ということをはじめ、多くの御提言をいただいたところでございます。
 また、基本計画、あるいは高等学校教育部会、高大接続特別部会におきましては、高等学校教育の質保証の在り方、大学入試の在り方、それから大学教育の質の改善という連動したテーマが今、重要な審議を継続してきていただいております。これらがいずれも次の期にまた引き継がせていただく。そしてまた、本日、来期に継続して審議いただく事項、していただきたい事項についても、今日頂いた御提言も含めて、またきちっと来期につなげさせていただきたいと思います。
 それからもう一つは、先ほども教育再生実行会議の設置を申し上げましたけれども、これまで中教審で御審議いただいたものが教育再生実行会議の審議の基盤となることはもとよりでございますけれども、教育再生実行会議で今後提言をいただいた事項につきまして、制度として実現していく際には、中央教育審議会で制度設計を含めてまた御審議をいただくと、そういうことになろうかと思っております。
 今期はこれで最後になりますけれども、委員の皆様方には、引き続き、初等中等教育全般にわたりまして、御指導をいただきたいということをお願い申し上げまして、御礼の御挨拶とさせていただきます。本当にありがとうございました。

【小川分科会長】  局長、ありがとうございました。
 私からも最後に一言、皆さんに御礼の言葉を述べさせていただきたいと思います。本当に皆さんお忙しいお仕事を抱えていらっしゃる方ばかりですけれども、そういうお忙しい中、時間をやりくりして2年間分科会に参加いただきまして、本当にありがとうございました。
 この分科会は、初等中等教育分野を扱うということで、かなり広範囲にわたる領域をカバーする分科会ですので、2年間という限られた中で、その時点、その時点で重要なテーマや課題を取り上げるというようなことでやってきました。先ほどお話があったように、この分科会においてこれまでの2年間でできたことというのは、いろいろ成果もあるのですけれども、やはりやり残したことも非常に多くあったように思います。そうした皆さんの思いを次の第7期中教審の初等中等教育分科会に是非とも引き継いでほしいということから、いろいろなテーマが先ほど各委員の方から出されたように思います。部活動の在り方、6・3・3制の在り方、そしてまた、学習指導要領の見直し、特に学びというのがこれからの社会にとって、学びの在り方というものをもう少し根本から議論していいのではないかとか、そういうようなかなり重いテーマを投げかけられたように思います。
 次期、どういう方がまた委員として引き継ぐか分かりませんので、事務局としては、今日、皆さんから出た意見については、是非重く受け止めていただいて、第7期の中教審の本分科会で、今日委員から出されたテーマの幾つかについては、是非新しくテーマ設定して議論を進めていっていただければなという、これは分科会長として強く希望したいと思います。よろしくお願いいたします。
 第7期の分科会のメンバーはどうなるか本当に分かりませんが、初等中等教育分科会が扱うテーマというのはかなり広範囲ですし、課題も非常に山積しております。今後はそれぞれのお立場で、委員の皆さんにおかれましては、是非お力添えを今後ともいただければと心から希望しております。
 本当に2年間、ありがとうございました。それでは、今日の分科会を終わりたいと思います。

―― 了 ――

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-- 登録:平成25年07月 --