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初等中等教育分科会(第81回) 議事録

1.日時

平成24年8月30日(木曜日)13時~16時

2.場所

中央合同庁舎第7号館(文部科学省)旧庁舎6階 第二講堂

3.議題

  1. いじめ問題に対する取組について
  2. 産業教育の施設・設備の基準の改訂について
  3. 小中連携、一貫教育について
  4. 教育振興基本計画部会の審議状況について
  5. 「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて」(答申)及び「大学入学者選抜の改善をはじめとする高等学校教育と大学教育の円滑な接続と連携の強化のための方策について」(諮問)について
  6. 子ども・子育て関連3法について
  7. その他

4.議事録

【小川分科会長】  定刻になりましたので、ただいまより第81回初等中等教育分科会を開会いたします。

 本日の議題に入る前に、このたび7月13日の分科会以降、文部科学省の人事異動があったということですので、事務局からその点御報告をお願いいたします。

【小谷教育制度改革室長】  それでは、文部科学省の人事異動について御報告申し上げます。新たに就任いたしました者についてのみ御紹介をさせていただきます。

 尾崎大臣官房審議官に替わり就任いたしました、高橋審議官でございます。

【高橋審議官】  高橋でございます。よろしくお願いいたします。

【小谷教育制度改革室長】  下間参事官に替わり就任いたしました、奈良参事官でございます。

【奈良参事官】  奈良でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【小谷教育制度改革室長】  以上でございます。

【小川分科会長】  ありがとうございました。

 それでは、まず今日の審議に関する配付資料について、事務局から御説明をお願いします。

【小谷教育制度改革室長】  本日の配付資料でございますが、議事次第にございますように資料1-1から資料6まで、更に参考資料として7-1から7-6まで、参考資料8、参考資料9と用意しております。また本日、議題の(3)小中連携、一貫教育につきまして、教育課程の基準の特例について御審議いたしますので、小・中学校の学習指導要領、また(4)として教育振興基本計画部会の審議状況について御審議いただきますので、現行の教育振興基本計画を、机上資料として置かせていただいております。不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。

【小川分科会長】  ありがとうございました。

 では、これから議事に入りたいと思います。今日もたくさんの議題がありますけれども、よろしくお願いいたしたいと思います。まず最初に、いじめ問題に対する取組についてです。大津市のいじめ事案と、文部科学省のいじめ問題への取組について。これは児童生徒課から、まず御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【白間児童生徒課長】  では、失礼いたします。児童生徒課長でございます。お手元の資料1-1から枝番号4までの資料を使いまして御説明させていただきます。

 資料1-1の下の1ページでございますけれども、本事案、昨年の10月11日、当時中学2年生の生徒が自ら命を絶たれたという痛ましい事案でございます。文部科学省におきましては、児童生徒の自殺事案が発生した際には、その後の自殺防止に資するという観点から、その背景調査を適切に実施するようにということで、平成23年、昨年になりますけれども、6月に通知を発出させていただいて、その周知をしてきたというところでございます。そうした中で今回の事案が発生し、これを受けて学校が実施いたしました、全校生徒を対象としたアンケート調査の結果等を踏まえまして、大津市教育委員会では、昨年の11月2日、「自殺との因果関係は不明ではあるが、いじめがあった」との見解を公表する一方、いじめの一部の内容については非公表としたということでございます。本年2月になりまして、死亡した生徒の両親がいじめを行ったとされます生徒、保護者及び大津市に対して民事訴訟を提起しているところでございます。

 資料右側に参りまして、本年の7月4日、新聞各紙におきまして、先ほど御紹介いたしました昨年11月の記者会見において公表されなかったいじめの具体的な内容に関する報道がなされ、実際のアンケート調査の結果と、その公表内容が重要な点で異なっていたということが報道されたところでございます。

 そうした中、去る7月11日、いじめの加害者とされます生徒に対し、暴行の容疑で、滋賀県警察が当該中学校及び大津市教育委員会の捜索、差押えを行ったということでございます。また大津市におきましては、本件に関する事実関係の解明を進めるために第三者委員会を立ち上げまして、去る25日に第1回会議、26日に第2回会議を開催したところでございます。この第三者委員会では、本年の12月を目途に報告書を取りまとめる予定と聞いているところでございます。また、大津市教育委員会におきましても、昨日第1回の大津市いじめ対策検討委員会を開催したところでございます。これは今回の事案を受けまして、今後の指導に生かすために、いじめ対策の改善策の策定を検討するという趣旨で開催されるものでございます。来年の1月を目途に報告書を取りまとめる予定と聞いているところでございます。以上が、本事案の経緯の概要でございます。

 一方、いじめ問題に対する文部科学省の基本的な考え方を、下の2.に書かせていただいております。基本的な考え方としましては、いじめの早期発見・早期対応について、いじめは決して許されないことであるが、どの学校でも、どの子どもにも起こり得るものであるということを十分に認識するということが必要であるということでございます。また、学校で子どもの兆候を見逃さずに、学校現場の教員等は「未然に防ぐ」という意識でしっかりとアンテナを張っていただき、児童生徒が発するサインを受け止める感性を高めていただく必要があるということです。更に市町村教育委員会は、学校の設置管理者としての責任を持って、学校とともに迅速・適切に対応していただき、都道府県教育委員会は、それをしっかりサポートしていただくといったことが重要であるという考え方でございます。

 こういった考え方に照らしますと、今回の事案については、学校において、日頃よりいじめの実態把握が適切に行われていたのかという点、生徒が亡くなった後の調査の進め方に関して、市町村教育委員会と学校が迅速・適切に連携して対応できていたのかどうかという点、また、背景調査において得られた情報を確認する方法が適切であったのかどうかという点等において課題があったのではないか、このように考えているところでございます。

 ページをおめくりいただきまして、上の2ページでございます「文部科学省における、いじめ問題に対する新たな取組」というところでございます。子どもが自ら命を絶つということは、理由の如何(いかん)を問わずあってはならないということでございます。今回の大津の事案を受けまして、改めてこれまでの対応、仕組みが十分に機能しているのかどうか、再発防止という観点から検証し、これまで以上に踏み込んだ対応が必要であると考えているところでございます。

 このため、資料左側の上にございます文部科学大臣の談話を7月13日に発表し、全ての学校関係者に対しまして、今一度いじめの問題への徹底した取組をお願いし、いじめの解消に向けては、学校で抱え込まずに、関係者一丸となって取り組むということを全国に向けて発信したところでございます。これについては、後ろの資料1-2に、文部科学省談話を載せさせていただいております。

 また、8月1日、全国の国公私立の小・中・高等学校、特別支援学校に対しまして、緊急のいじめに関する緊急調査をお願いしたところでございます。文部科学省が設置している24時間いじめ相談ダイヤルへのアクセスが急激に増加したなど、今回の事案により、非常に児童生徒、保護者の間で不安が広がっているのではないかという懸念の下、いじめの早期発見・早期対応の重要性を再確認していただくというアピールも込めまして、現時点でのいじめの状況の再確認、それから、学校教育委員会に対しましては、日頃の取組状況の総点検という、この2つのことをお願いしたというところでございます。

 資料右側にございますように、8月1日、同じ日に、子ども安全対策支援室を大臣官房に設置したところでございます。今回の事案につきましても、大津市において第三者委員会の立ち上げが先般行われましたが、これに向けて支援をし、サポートしていくということ、それから学校また教育委員会が、いじめ問題にしっかり対応いただくということが基本であることは前提としつつも、事案が起こった際の対処、また学校現場への支援、再発防止の取組、こういったことにも文部科学省として先頭に立って対応していく、現場をサポートしていく必要があるということで、このような室を立ち上げたところでございます。現在この室では、その業務に加えまして、近日中にいじめ問題対策のための総合的な取組方針を取りまとめるべく、作業を進めているところでございます。

 資料の3ページに、(参考1)となっておりますけれども、これまでの文部科学省におけるいじめの問題に関する施策の概要を述べさせていただいております。各時点時点におきまして、指導、通知、あるいは関係機関と連携等、機に応じて通知を発出するなどしてきているわけですけれども、18年度以降のポイントだけ載せさせていただいております。資料上から3つ目の○になります。平成18年度から、24時間いじめ相談ダイヤルというものを整備し、相談を受け付ける体制を整備しております。また18年度には、当時もいじめ自殺の事案が多発したということを受けまして、この通知の内容は、資料の右側の4ページの上のところにその内容を載せさせていただいておりますが、「いじめ問題への取組の徹底について」ということで、早期発見・早期対応に努めること、それから、いじめは人間として絶対に許されないことであり、き然とした指導をしていただきたい、といったことなどの留意事項を、改めて指導通知をするとともに、各学校、教育委員会に対しましてチェックポイントを示し、点検のお願いをしております。

 また、問題行動への対応という点では、これは学校だけではなくて、家庭、保護者、地域も含め、あるいは様々な関係機関も含めて、関係機関との連携体制の中で対応していくということが重要であります。翌年19年度には、例えば、校内での傷害事件といった事案等、犯罪行為の可能性のあるような場合には、学校だけで抱え込むことなく、直ちに警察に通報して協力を得るというようなことも指導してきているところでございます。また、20年度からはスクールソーシャルワーカーの事業、また22年度には、これまでもお願いしておりましたが、とにかくいじめの実態の把握をしていただくこと、このためには、全ての学校でアンケート調査を実施していただきたいというようなお願いもしてきているというような状況でございます。

 資料右側には、自殺予防に関する施策についても、載せさせていただいておりますので、御参考にしていただければと思います。また、途中で御紹介しました緊急調査と、子ども安全対策支援室の設置要綱につきましては、後ろの資料1-3、1-4を御覧いただければと思います。以上でございます。

【小川分科会長】  ありがとうございました。今、大津市のいじめ事案と、文部科学省の取組などについて、児童生徒課から御説明いただきましたけれども、委員さんから、何か今の説明に関して御質問や御意見はございますでしょうか。大津市のいじめ事案を機に、全国の教育委員会でもいろいろな点検とか、新たな取組等々も生まれているようですけれども、皆さんから何か御意見、御質問ございますでしょうか。いじめ問題に日頃長い間取り組まれてきている森田委員、何かございますか。その後、三町委員、お願いいたします。

【森田委員】  大津市の事件のみならず、このいじめというのはなかなか見えにくい現象でございますので、それだけに早く気が付くというのが大変重要なことで、それを文部科学省の方針として強調されているということは、今回の事案から適切な対応だろうと思いますが、これは随分以前から文部科学省から強調されている点であります。それがなぜ徹底していかないのかというところは、やっぱり我々も考えていかなければいけないことだと思います。これまでのいじめ対応は、ともすれば教師個人に、実際現場では担任だとか生徒指導だとか、そういうところに委ねられている傾向がございます。文部科学省からも、常に組織的対応というのは、生徒指導の観点からも重視されているわけでございますけれども、いじめ問題に関しても、組織的にそのサインに気付く体制を作り、それに続く組織的な対応というものが必要になってまいります。

 その組織的というのも、校内だけではなくて、やはり問題、事案によっては関係機関との連携というものも、やっぱり必要になってまいります。それが深刻な事態になってから、関係機関との連携を取るだけではなくて、あらかじめいじめ事件に校内で気が付き、ある意味でアセスメントをやって早い段階で、見立ての段階とよく申しますが、このアセスメントの段階から、いろいろな関係機関との協力も得ながら、組織として対応していくという体制を取りながら、学校、地域、家庭を含めて、社会ぐるみでこれに対応していくという体制を、やはりきちんと示していかないといけないと思います。

 そうでないと、教員個人、それから、それを管理・監督している校長自身の教育力というところにだけ委ねられてしまいがちな傾向になりますので、対応に限界が出てしまいます。これはどの程度事実か分かりませんが、隠蔽体質と俗に言われているようなもの、あるいは発生していてもなかなか報告しないとかよく言われますし、実際に数値としましても、文部科学省のアンケート調査、あるいは年度末にやります問題行動等調査の中では、実態とかけ離れた数値が表れているのではないかというような見方もあり、そういう調査に対する不信感とかいうのも招きかねないのも事実です。だから、やっぱり学校全体としての、あるいは地域としてのいじめの対応力という、そういう組織としての対応力、あるいは組織としての気付きの力というものを高めるという考え方も必要ではなかろうかというように思っております。

 それから、更にもう1点、これからは加害抑止と指導にも更に力を注いでいく必要があります。1985年から臨教審の会長の発言がございまして、それ以降いじめ対策に取り組んできたわけでありますが、対応の焦点は、どちらかといえば被害を食い止め、あるいは被害者へのケアを高めていくという方向の政策にありました。これは必要なことなんですが、やはり日本の社会の中で、その行為を起こした行為責任に関しては、やはりきっちりと学校でも指導し対応する。つまり、いじめることに関して、その行為の結果の責任を考えさせていかなきゃいけない。そろそろそういう時期だろうと思っております。いろいろないじめに関連して被害届が出され、警察の検挙・補導、あるいは協力、協働というものが当面出てまいりますし、日本全体の中で、そういう行為責任というものに関する教育というものは、もう一歩推し進めていかなきゃいけないところです。

 今申し上げたのは、実際に今回の事件のような深刻ないじめの対応でございますが、そもそもいじめというのはどこにでも起こり得るものでございます。とすれば、発生すること自体、そのものはもちろん教育も関わりますが、それ自体が本質的に学校の教育力を問われる事態というよりは、その発生した事態に対してどう対応するのか。あるいは、どう食い止め、被害を最小限に抑えるのか。そしてそのことによって、何を子どもたちに、このいじめという現象を通じて、教育をしていくのかという基本的なことが学校の教育力の問われるところになるという認識が必要です。起こったことに対する対処だけではなくて、そういう基本的な子どもたちへの、いろいろな自分たちで解決する能力だとか、あるいは、社会性だとか、あるいは人権の意識だとか、いろいろなものが絡んでまいりますから、そういう基本的な事柄に関しても、やっぱりしっかり押さえながらやっていかなきゃいけない。それは単に起こる頻度が高い中学校だけではなくて、小学校の段階からも、やっぱり進めていかなきゃいけない。

 そういう意味では、かねがねこの会議でも議題になっておりますが、小学校の生徒指導というものを、やはりしっかりと立てていくということが必要になってくるだろうと。もちろん皆さん御存じのように、生徒指導というのはそういう問題対応だけではなくて、しっかりとした人間の成長、発達、規範意識も含めまして、社会性の成熟というものを図るということも大きな課題でございます。そこに生徒指導はもっと力を注いでいかなきゃいけない。

 ちょっと後で課長にお伺いしたいんですが、加配というものの中で、生徒指導も若干ありますが、今年度の概算要求では、単にいじめ問題だけではなくて、もっと広い意味での児童の成長、発達というものを図っていく、そういう生徒指導というものを小学校の段階から、学級定数が少なくなって、教員の増が図られておりますが、その一方で、そういう加配の措置も考えながら充実させていく必要があるのではないでしょうか。しかし、小学校は数がございます。それを後で出てきますが、それを小中の連携、一貫という中で、どう溶かし込みながら、あるブロック、ブロックというところへ、配置していくか。いろいろな知恵があると思うんですけれども、そういう知恵を働かせていただきながら、現在の財政状況をにらみながら、その辺りにも力を入れていっていただきたいなというのが、私、今回の事件をいろいろ見ておりましての感想でございます。

【小川分科会長】  ありがとうございました。では、三町委員、よろしくお願いします。

【三町委員】  恐れ入ります。正にこの大津の該当の中学校という立場で、大変私自身もショックを受けているところでございますけれども、我々が耳にするのは、ほとんどが報道なわけです。その報道の中で、やはり学校、あるいは校長先生、あるいは教育委員会への批判だとか不信、さらには学校全体、いわゆる中学校そのものに対する不信、不安が広がってしまっているなという受け止めでございます。

 何とか払拭しなきゃいけないという気持ちでいるわけですけれども、そういう立場で、ちょうどこの事件が報道されている後辺りでしょうか、各県の校長が集まっての理事会という会がありました。そこで、18年に文部科学省から出していただいていますけれども、改めていじめに対する基本認識を確認しようじゃないかということで、いじめの問題への取組の更なる徹底をということで、全日本中学校長会見解を文書でまとめて、そして理事の先生方と議論をして、その文章の中身を確認したところです。そして、これは今、各全中学校に配付して、内容を確認し合う。また、中学校という、全日中で会報誌を持っていますけれども、そこの9月号には掲載して、改めてどの学校でも起こり得るけれども、できるだけ起こらないような全体の環境作りであったり、もしそういうことがあった場合の対応等、改めてやっていこうと思っているところでございます。

 そういう対応の中で、やはり今回のケースで、文科省の資料1-1の一番下のところに、今回の事案においてというところで、学校においていじめの実態把握が適切に行われていたのかというような、幾つかの課題があったのではないかという指摘を頂いているわけですけれども、例えば、いじめの実態把握が適切に行われていたかというようなところ、本当に何か普通に考えても、見逃すはずがないなと思うようないじめの状況も、報道の中で感じるものがございます。通常の教育活動をしているならば、やはりおかしいということで対応しているのではないかと思うんですけれども、そういうところが報道等では今後の対応を考える上での十分な情報とはいえないこともあります。是非こういうところは、本当にきちんと背景まで調べていただいて、そして、そういうものを我々の方に提供していただけるようなシステムにしていただくと有り難いです。表現上で、実態把握が十分ではなかった、だからちゃんとしましょうだけでは、実際の対応は難しいんじゃないかと思っています。

 長い長い期間、この件で言えば2年生の頃の発生でしょうけれども、その前、例えば1年生のときから、それぞれの子どもの生活がどうだったのか、その中でどういう人間関係が構築されていたのか。また、教員はそういう状況をどう見ていたのか、そういうところまできちんと見ていかないと、やはりこういう問題はなかなか解決していかないものだと思います。以前に中野富士見中学校の事件だとか、愛知県のいじめの自殺等もありました。例えば、愛知県の場合は、人間関係が一つの閉鎖された大きな課題のあるグループの中でいじめが発生した。そういう具体的な状況も頂いたので、学校としての見方がしっかりしてきたと思います。本当に残念なケースですけれども、そういったことまで調べていただきながら、学校がきちんと今後取り組めるような形の情報提供を頂けると、大変有り難いかなと思っております。以上でございます。

【小川分科会長】  ありがとうございました。ほかにどなたか。では、井上委員、そして天笠委員でお願いします。

【井上委員】  いじめ問題につきましては、以前から文部科学省をはじめ、都道府県、市町村教育委員会、あるいは学校現場で取り組んでいただいているわけですが、今度の新しい指導要領でも、特に児童生徒のコミュニケーション能力を高めるということで、子どもたちがお互いにコミュニケーション能力を高めることによって共通理解を得るようにというのが基本になっていると思うわけでございます。

 そこで、今までのいじめ問題にいろいろ対策を講じてきた中で、平成7年に、実は学校、教育委員会、あるいは地域社会といっても保護者だけでは、こういういじめ問題を適切に事実を把握し、それに基づく対策を講ずることは必ずしも十分じゃないという結論が出まして、そしていじめ問題の調査研究会議で、やはりこれには、事実関係を適切に把握するには警察の協力も必要であろうし、あるいは、児童保護センターで家庭の状況、あるいは人権擁護局との連携ということがございまして、平成7年にいじめ問題の調査研究会の結論を得まして、7年の12月に初めて全閣僚が出席する関係閣僚会議を開きまして、そのとき私が初等中等教育局長でしたので、閣僚会議に行って、そういう今後のいじめ問題に対して関係機関がお互いに連携協力した取組を行うという説明をして、各省の協力を得て御了解を得た上で通知を出したことがあるわけでございます。

 したがって、いじめ問題については、単に教育委員会、それから学校、保護者、そういう狭い世界じゃなくて、これは社会問題として、いじめはどこでも起こる。それは子どもの世界だけじゃなくて大人の世界でも起こっているわけでございますから、そういう意味で、これを適切に事実関係を把握し、対応するには、学校だけで十分でない場合は、結局警察とか、あるいは関係機関の協力を得なければいけなくなるので、それを適切にやれば、告訴というような今度の大津の事件のようなことまでは至らないで、その前に事実関係を把握した上で迅速な対応をすれば、事が大きくならず収まるんじゃないかというように考えた上で、そういう通達を出したことがあるんですが、必ずしも今までのお話を聞くと、文部科学省、教育委員会、学校、教員、保護者、そのラインしか、いじめ問題の対策に直接関わっていないんじゃないか。しかしこの問題は、やはりいろいろな社会的な問題、家庭の問題、社会の問題、いろいろ広がりがあるので、それを適切に事実関係を把握した上で適切な対応をするには、関係機関の協力を得るということを、もう少しやはり徹底した方がいいんじゃないかというように思っているわけでございます。

 いずれにしても、これは全閣僚出席の下で、関係閣僚会議で了解を得たことで、行政はそういう先例を踏まえ、それを適切に継承する。したがって、例えば学年初めなどでは、子どもたちに校長が全体の式辞の中で、子どもの教育について述べるとともに、やはり児童生徒の指導という中で、いじめ問題はどんなことがあっても子どもたち同士、弱い子をいじめるということは絶対許されないということを徹底していく。そういうことがあったら、すぐそれは担任なり、あるいは養護教諭なり、校長なり、教頭に相談するように。そして、いじめがあった場合には、学校が皆さんを必ず守るというメッセージを年度初めにすることによって、子どもたちにそういう安心感を与える。やはり学校と子どもの信頼感が欠如すると、先生に言っても何もしてくれないという、学校に対する不信感が増長して、今度のような事件が起こったと思いますので、そういうことをできるだけなくすような取組を、是非お願いしたいと思います。

【小川分科会長】  ありがとうございました。天笠委員。

【天笠委員】  失礼します。この大変残念なケースなんですけれども、この事案を検証するという観点からしますと、この間、例えば学校評価という施策が展開されて、御承知のように自己評価、学校関係者評価、第三者評価というシステムが整えられて、それぞれの地域、学校等々で、これに基づいて動き始めているわけなんですけれども、今回の事案が、このシステムとどういうような状況にあったのかどうか。どうも残念ながらうまくすくい上げきれなかったというようなことであるのかもしれませんし、少しさかのぼってみれば、学校評議員制というのも導入されたわけでありますけれども、それらの施策等々が、今回のこの事案のときに、学校の事態の対応については、どうも何というんでしょうか、うまく対応しきれなかった。あるいは、施策というか、制度化がうまく絡まることができなかったような、現在のところ、私はそんな印象を持っているわけなんですけれども、そういう意味において、今回の事案について分析するのは、例えば、今のような学校評価等々が、この事案のときにどういうような扱い方をされていたのか、そこがどうだったのか、そういうことも検証の柱として大切なんだと思うんですけれども。

 今、拝見させてもらった質問肢等々というのが、必ずしもそこら辺をうまく位置付けて、そして問いかけるというような形に組まれているのかどうなのかは、もうちょっと御検討が必要なのかなというような印象を持たざるを得なかったんですね。ですから、したがってこの回答用紙からは、回答用紙として相応のデータが取れるんじゃないかと思うんですけれども。ただ、今私が申し上げたような、そういうこととしては依然として問わせていただきたい課題として残るような感じがします。そういう意味においては、もう少し検証なら検証ということを、全体的な枠組みの中をもう少し捉える必要があるのかなと。狭い意味の生徒指導上のいじめ対応というところだけじゃなくて、もっと組み立てなくちゃいけない、捉えなければいけない、そういうふうなところとして捉えていく必要がある事案になってしまっているところ辺りを、もう一度押さえ直す必要があるんじゃないかと思います。以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。時間も余りないんですけれども、ほかにどうでしょうか。では、熊坂委員、あと安彦委員、渡久山委員、この3人でよろしいでしょうか。では、この3人でお願いします。

【熊坂委員】  私、今回の事件は本当に痛ましく、胸を痛めているわけですが、教育行政を現実に預かる者としてのお話を、ちょっとさせていただきたいなと。このことを見ながら、第三者委員会でこれからいろいろ原因等の究明はしていただけるんですが、それはそれとして、一番感じているのは、一つは先生方が子どもと向き合う時間というんですかね、見逃さないために、先生方が向き合う時間というのが、今現実にあるのかどうか。教育行政を預かっていて、本当に現場の先生方、2時間以上、11時頃まで仕事をされている先生方も見受けます。そういう中でこういう事件が起こってくると、改めて学校の先生方の責任等が問われるわけですけれども、まず根本として、向き合う時間が先生方にあるのかどうか。この辺も一つ別な観点からしっかり捉えておかないと、幾らこういう観点で予防しましょうとやっても、先生方がそれをやっていけるだけの時間とか心の持ち方、こういうものができるかどうかですね。

 これは振り返ってみますと、私たち教育委員会の事務局もしっかりしなきゃいけないわけです。ここがしっかりして、学校のサポートができないと、先生方の多忙化に拍車を掛けるだけのことで、問題は解決がなかなかできないと。ますます新たな事件が生み出されると。我々も頭を痛めているんですが、これからここのところをしっかり考えていかなければいけないと思います。

 実は昨日実施しましたが、年に10回ほど校長との会議がございます。そこでは町ですので、比較的学校と教育委員会が近い関係にある。私が、ほとんどの先生方の名前と大体の状況が分かります。そういう中で物をやりとりができますので、比較的早く状況が学校からもあります。教育委員会でも指導主事3人おりますので、我々と知恵を絞りながら、学校とすぐ協議ができる。ただ、大津の方を見ていますと、果たしてそこが、学校と教育委員会の距離がどうだったのかなという心配がございます。感想も入りましたが、先生方、根本的にそういうものを見ていく時間だとか気持ちだとか、そういうのができるものがちょっと欠けているなということを、今感じております。以上でございます。

【小川分科会長】  ありがとうございました。では、渡久山委員。

【渡久山委員】  本当に今度の事案は、特に子どもたちが自殺をするというのは非常に悲しいことなんですね。特に私も教育現場にいましたし、今もこうして教育行政に幾らか携わっている者として、非常に悲しく思っているわけです。文部科学省の大臣の談話の中にも、二度とこのようなことがないようにという形で、非常に文部科学省も大臣はじめ審議官、あるいは局長、課長、みんなよく教育委員会もやられていると思うんです。

 ただしかし、今委員からもありましたように、私が現場にいて、一番残念に思うのは、例えば今のように、子どもたちに向き合う時間がほとんどない。ちょっと周りが気付いていても、なかなかそれが解決するまでの時間を作っていけないというのがあります。ですから、それは教科指導とかを減らすとか、大きなところでは動かざるを得ないものですから、小さなケースについては見逃すという。だから、よくこういう事案が出たときに、先生は知っていて知らんふりすると言われることが非常につらいわけです。事実あるんですよ、そういうことは。なぜかというと、そうじゃなければ自分の次の仕事ができないわけですよね。そういうことが一つあるんです。

 それからもう一つは、私は学校にもう少し責任を持たせる体制が必要じゃないかなと思うんですね。特に我々中教審でもいろいろ議論しているのは、校長のリーダーシップとよく言いますね。校長のリーダーシップをもっとと言われても、校長に責任が余りないんですよね。だから、こういうところの事案はすぐ委員会にいく。あるいは、保護者も、学校では頼りにならんから、すぐ委員会に通報すると。あんな形じゃなくて、もう少し学校が責任を取れる体制がなければいけないんじゃないかという気がするんです。

 そのためには、一人一人の努力ではとても解決しませんから、例えばここにもありますように、スクールカウンセラー、あるいはスクールソーシャルワーカー、そういうことを何とか増やしていくということと同時に、やっぱり子どもたちに向き合う時間を増やすためには、もっと少人数学級で、教職員増を図っていかなければいけない。それと同時に、今もいろいろ出ていますように、教職員の感性ですね、これは非常に大事だと思います。だから、責任が取れる体制と、感性を磨いていくところというのは非常に大事なことなんで、私がいつも思うのは、やはりこういうことが起こるたびに、もう少し時間があったらな、もう少しサポートする体制があればな。これは教職員です。教育委員会でもないんですね。教育行政の責任というよりは、やはり学校現場が責任を取れる体制という意味では、教職員を是非とも増やしていただきたいと。あるいは、それなりのケースワーカーを増やしていただきたいということを、切に要望したいと思います。

【小川分科会長】  時間が迫っているんですが、ただ非常に重要な議題でもありますので、では貝ノ瀬委員、よろしくお願いします。ほかに御発言の方いらっしゃいますか。では、貝ノ瀬委員、お願いします。

【貝ノ瀬委員】  すみません、無理やり入ってきまして。大変大事な問題なので、一言申し上げたいんです。私も教員の定数改善については大賛成です。そういう立場なんですが、しかしいじめの問題について、子どもと向き合う時間がないので、いじめが見過ごされてもやむを得ないというような、もしそういうような展開になるんでしたら、やはりちょっと一言申し上げなければならない。

 私も教師をしていましたけれども、教師は授業で子どもと向き合っているわけですよ。あなた、いじめしていますかとか直接に、例えば特別な時間を取って、それこそフェイスで向き合っての時間は確かに取りにくいかもしれないけれども、毎時間毎時間の授業の中で、子どもたちのいろいろな発表とか質疑応答の中で子どもが冷やかしたり、ちょう笑したりとか、そういう場面で先生は何かを感じなきゃいけないわけですね。そういう感性がなければ、正にいい授業などできませんし、いい先生とも言えないということになるわけです。ですから、定数改善は私はもちろん賛成なんですが、その問題といじめ問題を絡めて議論を進めていくということについては、疑問を持ちますので、一言申し上げたい。

 もう一つついでに言えば、もっと強調しなければいけないのは、必ずいじめの問題が出てきますと、いじめられる子どもの方にもいろいろ問題があった、御家庭にもいろいろあったという話がでます。今回もちらちらと、そんなような報道をする向きもあったようであります。いじめられる子が、仮にどんな問題があろうと、いじめていいという理由にはならないんだということを徹底して現場に指導していくことが、これは校長の主な仕事になりましょうが、そのことを確認することも大事だと思います。以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。では、安彦委員、よろしくお願いします。

【安彦分科会長代理】  一昨日総会がありまして、何人かの方から、今回についての意見が出たわけで、それを思い出しながら、今、やはり一言申し上げたいと思ったんですけれども。

 一つは、今回の場合に限りませんけれども、最近のいじめというのは、誰がいじめていて、誰がいじめられているかが分かりにくいと言われ、毎日交代するかのように、全体として遊びのような様相を持たせながらやっている。そういう意味では簡単に見つからないということがあると言われます。

 これはある意味で、正に今お話がありました条件整備うんぬんとは別にして、そういう子どもたちの動きに対する、やはり先生方の感性というのか、感覚が問題でありまして、そういう問題の中に隠れている、これでは絶対いけないというある線なり、例えば、私も大学院の授業で言ったことがありますが、昔は「先生、これは遊びだよ」といって逃げていたケースがあるわけですけれども、そのときでも私たちの頃は、学校の先生は、「遊びでもやっていいことと悪いことがある」とはっきり言ったわけですね。そういうことが、今の若い先生が言えないんですね。こういう状況というのは、前の話のときにもありまして、正直言って今の先生方の――若い先生に限りませんけれども、私たちは「価値観は相対的で、何が良く何が悪いか分からない時代だよね」という、そういう常識的な線でどうも済ませてきているという傾向がある。改めてそうではないということについて、やはりはっきり個々の先生方が、しっかりとした自覚を持っていただきたい。本当に人間感覚というか、命に関わることに関しては、これ以上は絶対に許さんという何かが、先生方の感覚の中にしっかり入っていないと、本当の意味でいじめを捉えられない。

 ですから、いじめを予防するとか、自殺を予防するとかという言葉はありますけれども、予防といったって、何がどうだから予防できるのかについては、本当に種々様々、レベルもいろいろ分からないじゃないですか。そういう意味で、言葉は予防、あるいは何と言ってもいいですけれども、実際にそれを具体的なところでどうチェックするかといったときに、本当に分からないケースの方が多いわけです。そのときにやはり元となる、先生方の人間的な感覚がどれほどきちっと身に付いているのか、というのが問われると思うんですね。

 改めてその点については、やはり「き然とした」という言葉がありますけれども、この言葉は言葉で結構ですが、やはりこれ以上は許さないというところで、例えばこれはもう警察の問題だと。昔は本当に警察沙汰になったようないじめは、そんなになかったわけですね。恐喝やら、大きな怪我(けが)を負わせるなんていうことは普通はなかったわけで、そういうところまで先生方が見逃しているなんていうのは、やはりおかしい。

 それから、校内、校外というお話もありましたけれども、校外でも、特にサイバーブリングのように、インターネットを使ったような場合などは外でもいろいろあるわけですね。そういう意味では、これは学校だけの話ではないということを、あらかじめ保護者や地域の人に全部伝えて、大人全体が許さないということをはっきりさせなきゃいけない。そういう意味でも、ちょっとこれは意見がぶつかるんですけれども、天笠先生が学校評価と結び付けて言われましたけれども、いじめがあるからって学校評価が低くなるような、そんなことはないというぐらいでないと。つまり、どの学校にも起こり得るということが前提であれば、むしろ対処の仕方に対して評価があってしかるべきです。起こってしまったということに対して、あったからおかしい、とかというようなことにはならないようにしてほしい。
こういう部分についての押さえ方といいますか、私たちの感覚はまだまだ鈍くて、正直こういう文章を読んでいても、大変失礼ですけれども、10年前、20年前に読んだ文章とほとんど同じ文言が並んでいるような気がするわけですね。ですから、もう一歩やはりはっきりと深めていかなければいけない。代わりに結局、いじめる子もいじめられる子も基本的には、私が知り合いの方に聞くと、大体自尊感情がマイナスになっている子どもが多いわけですね。改めて子どもたちが本当に自分が尊ばれている、生きている意味がある、価値があるという思いが持てるようなクラスあるいは生活、家庭での生活、学校での生活、全体にそういう温かな社会というか学校というのが保証されなければ、なかなか子どもの自尊感情は変わらない。そういう意味での自尊感情のところにもっと手を入れていって、彼らがいじめをする代わりに、もっと何か別にやれるものを工夫して、こういうことをやったら、むしろそういう気持ちが、ある意味で発散される、というのは変ですけれども、そういう部分が解消できるという、何かもっと代替案をしっかり示さないと、ただ、駄目だ駄目だと言っているだけでは、禁止するだけでは済まないはずだと思います。改めてそういうことについて、一昨日総会でいろいろ話があったものですから、一言申し上げます。

【小川分科会長】  ありがとうございました。では、最後ということで、森田委員、よろしくお願いします。手短によろしくお願いしますね。

【森田委員】  ありがとうございます。皆さん方の御意見、もっともな御意見が随分出ておりました。先ほどから、教員の気付き、感性を高めるという意見が出ておりますが、私は余りにも教員個人に責任を押し付け過ぎて、すべての教師に完璧さを求めすぎているという、少し皆さん方とは違った認識を申し上げました。データで見てみますと、日本の教師は、学校と地域、家庭との在り方が各国によって違いますので、一概に同じデータとして比較はできませんけれども、いろいろな海外のいじめ研究者と話していますと、日本の教師というのはよく気付いているんです。大体半数ぐらいは――これはいじめられた子に聞いたんです。自分の被害を教師は知っているかどうか。そうすると、半数ぐらいは知ってくれていると。しかし、知ってくれていても、何もしないという先生が1割ぐらいいる。ここは問題です。また、気付かないという先生が、あと4割少し。皆さん方の意見では、ここを高めることを求めておられます。

 しかし、先生の中には、気付きのいい人ともうひとつという人とがあります。感性を上げていくということは非常に大事なことでございますので、これはミニマムな要件としては、皆さん方の御意見はもっともだと思うんですが、それ以上はどうしても無理な方もおられます。一般企業の中でも気付きのいい方、KYなんていう方もいろいろいらっしゃる。それを個人にだけでなく組織として、補い合いながらトータルにどう気付きの力を上げていくのか。あるいは、そこに地域や家庭、あるいは社会、関係機関というのを巻き込みながら、どうその気づきの力と対応力を上げていくかという、組織だった体勢作りというものを、もう少し考えていかなきゃいけない。

 学校の中でこうした組織化を図っていくというのは、やはり校長、教頭のマネジメント力、あるいは教育委員会の指導力というものを高めながら進めていくという対応になっていくと思います。余りにも個人化され過ぎた対策ではなくて、様々な個性や違いのある人間が組み合わされた組織によって、あるいはそういう力によって学校として、あるいは地域としての対応力を高めていくことが一番大事な点だろうと思っております。

 ただ、先ほどのデータで申しますと、気付きがいい先生が半分いるからといって、後の半分はそのままでいいというわけではなくて、絶えず感性を磨いていただくということは、やはり重要な事柄でありますので、それは決して軽視すべき事柄ではないし、皆さん方の御意見に賛成でございます。

【小川分科会長】  ありがとうございました。いろいろな意見をありがとうございました。時間も押し迫っていますけれども、最後いろいろな御意見が出ましたので、少し今までの御意見を踏まえて、要望等も少しありましたので、児童生徒課長から何かお答えを。例えば、いろいろな議論がありましたけれども、そういう問題行動等に対する定数改善を今年度どう考えているかとか、あと今出てきた、森田委員とか、あと天笠委員と同趣旨かと思いますけれども、組織としてそういう気付きの力を育成・強化していくために、例えば、今回の文科省のアンケート等々については、そういう視点が弱いのではないかという天笠委員の御意見もありましたし、あと井上委員からは、全省庁というか、他省庁との連携というものをもう一度再確認していく必要があるがその辺の取組はどうなっているのか等々、幾つかの御質問、御要望がありましたので、そうしたことを踏まえて、少し何かお答えいただければと思います。

【白間児童生徒課長】  大変重要な御指摘をたくさんありがとうございました。冒頭御説明のときに申し上げましたけれども、私ども、これまでの取組がそもそもきちんと機能しておったのかということを全般的に見直しまして、いじめ問題等に対する総合的な取組方針を、改めて今回取りまとめ、いつまでにどういうことをしていくということを示そうということで、子ども安全対策支援室で今、作業しているわけでございます。

 そうした中でも、今御指摘いただきましたように、まず教員個人が対応するということではなくて、組織的、また関係機関と早い段階から連携して対応する。また、地域として対応力を高めていくというような御指摘。また、警察だけではなくて、児童相談所や人権擁護機関、こういった関係機関ときちんと連携した対応をする必要があるというような御指摘等も頂きました。こういったことにつきましても、特に関係機関との連携ということにつきましては、これまでも進めてきたことが、実際にきちんと機能していたのかというようなことをしっかり検証し、これから取り組んでいくというようなこともきちんとやっていきたいと考えているところでございます。

 また、御指摘を幾つか頂きました中で、評価のお話もございました。今回の緊急調査におきましては、現時点での、いじめの状況をまず把握したいという緊急的なものであるということ等からこのような状態になっておりますが、御指摘のような学校評価との関係は、非常に大きな柱かなと思っております。学校でいじめが起きないことが評価されるのではなくて、学校で起きたいじめの対応がいかになされたかということが評価をされるということが、恐らく大切ではないかという視点で、評価との関係ということにも取り組んでまいりたいと思いますが、天笠委員から御指摘のあった、今回の事案と、評価という柱での検証というのは、また別途検討してまいりたいと思っているところでございます。

 また、何人かの先生から、定数改善についても御指摘いただきました。これは昨年度来、少人数学級に加え、一人一人の子どもに対応していくということで定数改善に取り組んでいるところでございます。来年度に向けましては、今、数字については精査しているところでございますが、引き続き取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

 また、教員の感性の問題の御指摘もございました。学校現場での研修に加えまして、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどいろいろな方策が考えられるのかと思います。いずれにしましても、教員の感性を高めて、現場で早く気付いていただくための取組というのも、先ほど申したような国の取組方針ということを考えていく中で、きちんと対応していく必要があるなと思ったところでございます。

 また、ソーシャルワーカーやスクールカウンセラーなど外部の方の協力を得ながら、学校現場で組織的な対応をする、また感性を高めていくということも重要だと思っています。この予算要求につきましても、これまでも取り組んできたところでございますが、一段と力を入れて取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。

 また、学校現場への検証結果の提供というような御指摘もございました。今回の事案につきましては、今大津市で、先ほど御説明させていただきました第三者委員会等の調査も行われております。こういったことも踏まえつつ、私どもとしても、学校現場で今後どのように生かしていけるのかというようなことを、きちんと検証し、それを学校にもお示しをするというような対応をさせていただければと思っているところでございます。以上でございます。

【小川分科会長】  ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 では、まだまだ皆さんからの御意見があるかと思いますけれども、ここで議題1を終わらせていただきたいと思います。

 それでは、議題2です。産業教育の施設・設備の基準の改訂についてに移りたいと思います。皆様御承知のとおり、来年度から高等学校の学習指導要領が実施されることに伴いまして、産業教育の適切な実施を図るために、産業教育振興法施行規則の一部を改正する必要があるために、中教審初等中等教育分科会の教育課程部会に諮った資料について、教育課程部会長の無藤委員から御説明を頂きたいと思います。無藤委員、よろしくお願いいたします。

【無藤委員】  では、私から御報告申し上げます。お手元の資料2という番号のものですが、産業教育の施設・設備の基準の改訂についてを御覧ください。

 今御説明ございましたけれども、産業教育の施設・設備に関しましては、産業教育振興法により、設備に必要な経費の一部を国が補助するという制度がございます。そこで産業教育施設・設備基準自体は、産業教育振興法施行令の別表で定められておりまして、その細目が中央教育審議会の議論を経て、文部科学省で定めるということでございます。そして、更に初等中等教育分科会運営規則におきまして、教育課程部会の議決をもって分科会の議決とするということになってございます。8月24日に教育課程部会を開きました。そして、本件に関することを議題といたしまして、了承を得ました。ここに報告させていただきたいと思います。

 具体的には資料2、1ページをちょっとめくっていただくと、概要というのがございます。そこにございますけれども、新しい学習指導要領において、科目の構成や内容の改善を図ったということに伴う改訂ということで、かなり微調整に近いものでございます。例えば、非常に細かい話で恐縮ですけれども、15ページを開いていただきますと、下側の表がございますが、左側が新しいもの、右側が古いものになっておりますけれども、下線が引いてございます。下から数行目ですが、福祉住環境実習機器とありますけれども、バリアフリーに配慮した建築ということで、建築に関する科目群の設備として追加されたものでございます。

 あるいは、またこれも細かい話ですけれども、資料の5ページの上の右側、古い方ですね。真ん中辺にLAN装置、下線がついておりますけれども、これは情報通信の発達に伴い、LAN装置は当然必要ですが、それがネットワーク実習装置というものに拡充する中に含めていくということになりました。ということで、情報応用に関する科目の設備としてLAN装置を出すということは削除したということでございます。

 また、科目群に属する科目の改訂というのもありまして、まためくっていただいて30ページですけれども、左側の一番上のところにやはり下線がございますけれども、環境工学基礎というのがありますが、これは新しい高等学校の学習指導要領における科目の改訂を反映したものでありまして、工業基礎に関する科目群に新たに加わったものに対応して追加したものでございます。

 ほかにもございますけれども、このような省令の改正案について、先ほど説明しましたが、教育課程部会では、情報関係の設備に関すること、品目の追加、削除に関する考え方につきまして議論をし、お手元の案のとおりに承認されました。

 今後の予定ですけれども、1ページ目のところに書いてございます。文部科学省におきまして、9月にパブリックコメントを行います。その後、特段のことがなければ10月末に公示、そして平成25年度から適用というスケジュールでございます。以上、御報告を申し上げます。

【小川分科会長】  ありがとうございました。今の御説明について、何か御質問、御意見ございますでしょうか。ございませんか。

 では、なければ、今の御報告を御了解いただいたということで、この議題を終わらせていただきます。

 では次、3つ目の議題3ですけれども、小中連携、一貫教育についての議題に入りたいと思います。この議題に関係しては、この初中分科会の下に学校段階間の連携・接続等に関する作業部会においてまとめられました、小中連携、一貫教育に関する主な意見等の整理において、小中一貫教育に関する教育課程の基準の特例に関する御提案を頂いておりました。その具体的な制度設計について、教育課程部会にお願いしておりましたけれども、8月24日の教育課程部会において、その点について御審議を頂いたそうです。今日は教育課程部会での審議経過の内容について。これは企画課でよろしいんですか。そちらから御説明をよろしくお願いいたします。

【山下初等中等教育企画課長】  それでは、資料3-1を御覧いただきたいと思います。今、小川先生からお話がありましたとおり、本分科会の下に設置されております作業部会での取りまとめ、意見等の整理につきましては、前回の初中分科会で御説明を小川先生から頂いて、御議論いただいたところでございますけれども、その当該意見の整理の中において御提言を頂きました、教育課程の基準の特例の制度の創設ということについてでございます。この作業部会の御提言を読み上げますと、学校、市町村において積極的に小中一貫教育を推進できるように、文部科学大臣の指定によることなく、設置者の判断に基づき、一定の教育課程の基準の特例を活用できるようにすべきであると、このような御提言を頂いたところでございまして、これを踏まえ、国として小中一貫教育を推進する取組を一層促しまして、小・中学校段階の児童生徒の学習指導、あるいは生徒指導上の諸課題の解決に資するという目的で、新たにこの基準の特例を創設することとしたいと考えまして、その検討を今、いたしているところでございます。

 それで、この資料3-1がその素案でございまして、先ほど先生からお話がございましたように、先般24日の教育課程部会におきまして、これと同じものをお示しして、御意見を頂いたところでございまして、この親分科会におきましても、この内容を御説明し、御意見を頂きたいというところでございます。特例の意義につきましては、今申し上げたとおりでございまして、特例の内容のところでございます。これは具体的には、学校教育法の施行規則、省令、それに基づく告示、大臣告示という形で規定をしてまいりたいと考えているところでございます。

 最初に吹き出し型で点々の箱の中に入っておりますけれども、一貫型小学校、あるいは一貫型中学校というものを、省令上規定してまいりたいと思っております。それぞれ御覧のとおり、小中一貫教育を行うための教育課程を編成する学校ということにしたいと。そして、その学校において、二つの大きな特例を設けることとしたいと。一つは学校設定教科ということでございます。一貫型の小学校、中学校において、各教科等の授業時数を減じ、学校設定教科の授業時数にあてることができるというものでございます。二点目はその下、指導内容の入替え・移行ということでございます。1は、一貫型小学校と中学校の間で相互に内容を入れ替えて指導することができる。2は、一貫型小学校の内容の一部について、中学校に移行して指導することができる。3は、一貫型中学校の内容の一部について、小学校に移行して指導することができる。4は、特定の学年において指導するものの一部について、他の学年に移行して指導することができる。このような内容を、今検討しているところでございます。

 一方、そうした教育課程の基準の特例につきまして、現在いわゆる教育課程特例校という形で大臣認定の形で、一千校を超えるところで実施をしていただいているものを、設置者の判断でできるようにするということでございますけれども、その際、義務教育における全国的な教育の機会均等、あるいは教育水準の担保という観点から、やはり幾つか要件をきっちりと設けていく必要があるということ。これは作業部会の御議論でもございましたし、教育課程部会でもそういった御指摘がございました。

 この要件、同じ資料の裏面でございますけれども、御覧のような形で設定をしてまいりたいと思っております。1から8までの基準を満たす必要があるという形にしたいということで、例えば3の部分は、小・中学校学習指導要領において、全ての児童生徒に指導すべき内容として定められている事項が適切に扱われていること。あるいは4、標準的な総授業時数が確保されていること。また6、児童生徒の負担過重となることのないよう、十分な配慮がなされていること。あるいは8、児童生徒の転出入に対する配慮等の教育上必要な配慮がなされていることというようなことを規定したいと思っています。

 また(2)にございますとおり、設置者は特例の内容及び基準を満たしている旨等について公表すること。あるいは、(3)のとおり、教育課程の実施状況の把握、検証を行い、その結果を公表するといったことを通じまして、文部科学省における事前チェックを今やっているわけでございますけれども、それを設置者に委ねても、一定の質がきちっと担保できるような仕組みとするということを検討しているところでございます。

 また、その下に配慮事項とございますけれども、そうしたことについてもきっちりと規定をするなり、あるいは通知で指導するなりといったようなことをしてまいりたいと思っているところでございます。

 このような制度設計の案を、24日の教育課程部会で御議論いただいたわけでございますけれども、恐縮でございます、ちょっと資料番号が手違いで入れ替わってしまっておりまして、資料3-3を御覧いただきたいと思います。資料3-3が、教育課程部会における主な御意見を列挙させていただいたものでございます。例えば、二つ目の丸にございますように、理念は大変賛同するものであるけれども、具体的に例えば学校設定教科の授業時数に充てるといったようなところについては、それはどれぐらいの割合で設定されるかといったようなことは、大変重要な問題だというようなこと。

 あるいは、一つ飛ばしてその下の二つ先の丸でございますけれども、社会環境の変化で転職なども多くなっているということで、転出入に関することで、やはり子どもに負担がかからないように配慮を慎重にしなければいけないというような御指摘。あるいは、一つ飛ばして下のところでございますけれども、研究開発学校、教育課程特例校でいろいろ行えるというようなところを、文部科学省に認めてもらわなくても、設置者の判断でできるようになるというところはとても良いというような御意見。

 またその下でございますけれども、小中一貫教育について、平成17年の義務教育の大きな答申がございました。ここで義務教育学校についても検討すると提起をされていたことがこういう形になったということで、一つ大きな前進だということ。あるいは、その下で、設置者判断で決められるというのは、学校現場に近いところに裁量を与えることで、教育効果を上げていくという中教審の考え方に一致すると。ただその場合にはということで、教育委員会、学校法人などの十分な認識という点が非常に重要だというところでございまして、設置者の判断によって、機会均等が損なわれるようなことがあってはならない。何のためにやるのかという認識を、一番下のところでございますが、十分徹底する取組が重要である。事務局において、周知徹底を努力いただきたい、このような御意見を頂いたところでございます。

 ちなみに、その前の資料3-2は、作業部会のレポートにつきまして、意見募集、いわゆるパブリックコメントを実施したところでございます。ここでこの教育課程に関するものも含めまして、全体で115件の御意見を頂戴したところでございます。主なものをこの資料3-2で御紹介させていただいておりますので、併せて御参照いただければと思います。どうぞよろしく御審議お願いいたします。

【小川分科会長】  ありがとうございました。では、今の説明に関して、何か御質問、御意見はございますでしょうか。いかがでしょうか。

 では、教育課程部会長、副部会長がいらっしゃいますので、では無藤委員、部会の審議状況などをよろしくお願いします。

【無藤委員】  はい。今の課長からの御説明とちょっと重なりますけれども、教育課程部会での議論、要点が書いてございました。簡単に言いますと、全体として非常にこの特例はよろしいのではないかということで、特に学校教育法では小中というよりは義務教育として位置付けてあるわけでありますが、9年間の計画的、継続的な教育課程ということをしっかりやっていただく。そのために、必要なら特例を活用する。もちろん必要ないという判断であれば活用しなくてもいいわけでありますが、それは結構であるということでございます。

 ただ、その上で幾つか、お手元の色刷りの案の資料3-1の裏側に配慮事項というのが4番で書いてありますけれども、そこにありますけれども、特例というのは、決して学習指導要領に規定されたものを一部教えなくていいとか、軽んじていいということを意味しているわけでは決してないので、それらについてしっかり指導はしていただきたい。ただその際に、小中の学年の枠を多少超えるとか、教科の枠を超えるとか、動かすとかということについては、実情に応じてやっていただいてもいいのだということであります。

 先ほどの要点には書いてありませんでしたけれども、例えば委員の中の御指摘の一つには、非常に極端な例として、総合的な学習の時間を算数のドリル用にしては、やっぱりそれはおかしいだろうと。学習指導要領の目標内容をきちんと書いてあるものについて、科目の時間の名称が変わったとしても、どこかでは当然ながら行うべきではないかという指摘もございました。

 それから、もう一つは配慮事項の3で、転学・進路変更等ということでありますが、これはいろいろなケースがあるだろうと思いますけれども、単純な意味での転学というのもあると思いますし、それから、首都圏などでは、小学校から私立中学への受験というのもかなりあるかもしれません。また一部においては、小学校学区、中学校学区のずれがいろいろあって、単純な一貫にはならない。あるいは、特定の市町村の枠を超えた学校に、中学校で進学するケースとかいろいろあります。そういう意味で、十分その場合に子どもが不利にならないように、つまり学び損なっているということが起こらないように配慮してほしい。これは具体的には、きちっと補習をどこかでしなさいという意味で、それを含めて設置者、公立学校の場合には教育委員会が責任を持ってほしい、そういう要望でございます。以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。ほかに。では、安彦委員、よろしくお願いします。

【安彦分科会長代理】  ちょっと付け加えることとして、私、教育課程部会で議論がたくさん出ましたので言えなかったことをちょっと申します。一つは1枚目の一貫型小学校とか一貫型中学校というこの言葉の定義が問題になりました。これは後ろの特例の活用に関わる要件の中に上がっているこの要件、ちょっと細かいことは申しませんけれども、これに適しているというものを、教育委員会は設置者がこういうようにタイプ分けとして行うもので、初めから自称で、自分たちは一貫型だとかいうようなものではないということであります。

 それで私の意見としてちょっと申し上げたいのは、まず今お話がありましたように、小中合わせて義務教育という発想で、新しい学校教育法の21条というのに目標規定がなされておりまして、小学校、中学校それぞれに対する目標規定はありません。全部両方とも21条を見なさいというふうになっております。そういう意味では、ある意味で一貫、あるいはむしろそこまでいかないのが連携ですが、そういう方向を強めようとする形の法律規定になっておりまして、今後そういう方向で動くことを、ある意味で容認するというか、促進するような法律規定だと言っていいかと思います。ですので、今後小中一貫まではいかないまでも、連携を強めていかなければいけない、そういう段階に入っていくと思います。この点が1点です。

 それから、2点目のことは、教育課程部会でも、渡久山先生辺りから出たと思いますけれども、中高一貫との絡みで、中学校が分裂してしまうというか、中学校が両方にまたがってやっている。そういう意味で、中高一貫とのつながりといいますか、これをそれなりに、やはり原理的に統一しなければいけない。小中は義務教育原理なんですか、中高はいわば中等教育原理で一貫させておりまして、そういう意味では、これはどちらかでというか、同じ共通の原理を通さないと、簡単には小中、中高とつながらないということがあります。この点は問題点として残っている。

 それから3点目は、9というのは、さっきの話と関係するんですが、21条は9年間の目標規定なんですけれども、中身の区分の問題は、やはり子どもの発達状況から見て、私などは6・3というのが絶対的ではないと考えておりまして、そういう意味で、中身の区切りをどうするかですね。これは今、いろいろな学校が研究開発等で行っておりますが、既に研究開発を超えていろいろ行っている動きもありますので、それについてその中身、内部区分をどうするかについては、それぞれ是非工夫を進めていただきたいということ。

 最後に、これは義務教育学校について意見があって、今回はこれに対する全体の意見は慎重にということでありました。これは総会でもそういうことで報告して、特に異論はなかったんですけれども、ちょっと私なりに教育学的なことを申し上げますと、義務教育学校という、こういう学校というレベルで、義務教育学校という学校タイプは世界的にも余り見たことがありません。つまり、普通は小・中・高というふうな形でいって、その何年目までを義務教育とするというような義務教育の押さえ方です。主としてそのときの義務教育というのは、財政的理由によって何年目までと決める。だから、場合によっては長くなったり短くなったりするということです。そういう意味で、初めから義務教育学校という学校を、一つの学校種としてつくるという発想は、普通はないわけであります。

 そういう意味では、これは小泉元首相以後の問題だと私は思っていますけれども、余りに義務教育というのを一面的に国民共通の基礎教育の場合であるということを強調し過ぎていたのではないか。義務教育というのはもう一つの面がありまして、これは先ほども出てきましたが、全ての子どもに対する均等な教育機会ということがあります。

 つまり、貧しい子にも富んだ家庭の子どもにも、経済的条件に関わりなく、それなりに力のある子どもには等しく伸ばしてやる機会を与える。そういう意味では、国民共通のという部分と同時に、それぞれの子どもが持っている個性的な力を、できるだけ同じ機会を与えて伸ばしてあげられるような、そういう場として公教育がある、ということがあるわけです。そういう部分についての押さえ方が、ちょっとこの15年間ぐらい甘い――甘いと言っては変ですけれども、これはある種、一つ前の指導要領などの規定で、個性ということを余りたたかれたものだから、個性を引っ込めたというようなニュアンスがあったのかもしれません。私はそういうことの中で、教育学者が果たした役割に責任があると思っているんですが・・・。

 やはりそういう、どんな子どもにも機会均等を義務教育が保障する、どちらかというとそういうのはイギリス型の義務教育ですけれども、子どもの持っている個性を最大限伸ばすために、どんな経済的不利益を負っている子どもにも、共通に平等の機会を与えるという部分については、もう一つの義務教育の意味があるわけでして、そういう部分について考えていきますと、余り共通基礎教育ばかりいうと、そういう面からだけで義務教育学校という学校種を作りたくなりますけれども、そういうものでないという側面も配慮しながら、今後検討していただきたいと思います。

【小川分科会長】  ありがとうございました。お二人の委員から、教育課程部会の審議状況を踏まえて少し御意見を頂きましたけれども、ほかにございますか。作業部会の委員だった向山委員、貝ノ瀬委員、何かございますか。よろしいですか。

 ありがとうございます。では、これで議題3を終えたいと思います。審議が始まって1時間20分ぐらいになっていますけれども、このまま継続してよろしいでしょうか。休憩を少し入れた方がいいんじゃないかという御意見もあるようですけれども。よろしいですか。このまま継続させていただきます。

 次は議題4、教育振興基本計画の審議状況についてに移りたいと思います。現在御承知のとおり、第2期の教育振興基本計画を、基本計画部会を中心にして審議をしていますけれども、先日の8月24日の振興基本計画部会で、審議経過報告がまとめられました。その内容について、まず生涯学習政策局の政策課から御説明を願いたいと思います。よろしくお願いします。

【森友教育改革推進室長】  失礼します。それでは、次期教育振興基本計画についてということでございますが、次期の計画につきましては、昨年計画部会等におきまして御審議を頂きまして、検討を進めてきたところでございます。本分科会におきましても、計画部会における検討状況につきまして、その都度御報告をさせていただいておりまして、先日8月24日の計画部会でこれまでの審議内容を、現段階のものということで審議経過報告として取りまとめられましたので、その内容について御報告をさせていただきます。なお、この審議経過報告につきましては、現時点での取りまとめということでございまして、今後、年内を目途に取りまとめていただくこととなっております答申に向けまして、関係団体のヒアリングなども踏まえながら、更に審議を深めていただくことになっているところでございます。

 資料4-2の厚めの本体の経過報告を御覧いただきたいと思います。1枚お開きいただきますと目次になっておりまして、ちょっと字が小さいんですが、見開きで左側が第1部、右側が第2部の目次になっております。第1部が、いわゆる総論部分の関係でございまして、これ全体につきましては、昨年末の第2期の計画の基本的な考え方というものを計画部会でおまとめいただきましたが、その内容をほぼ踏襲しているものでございます。ただ、2の我が国の教育の現状と課題の第1期基本計画の成果と課題という部分につきまして、それぞれの学校段階ごとに現状と課題を整理している部分については、より丁寧な記述を加えているところでございます。

 例えば、本体を御覧いただきたいと思いますが、9ページからお開きいただきますと、真ん中頃に白丸1ということで、義務教育修了までの段階における現状と課題(小学校就学前教育段階)ということで、ここでは例えば、認定こども園の設置促進、幼稚園就園奨励費補助の充実、新しい幼稚園教育要領の実施、更に預かり保育等の子育て支援の実施など、そういった点で教育の機会の確保としての補助を図ってきているといった現状。また他方で、依然として家計の教育費負担が高いといった指摘もあるなどの課題について整理をしております。

 更に右側のページの10ページでございますが、こちらは義務教育段階ということで、かなり丁寧に書いておりますが、新しい指導要領の実施状況などについて、現段階での評価を加えるとともに、道徳教育ですとか子どもの体力の状況についての課題などについても触れております。

 更に次のページの11ページの下の方からは、高等学校教育段階ということで、計画部会においても御指摘がございましたが、学習時間の少なさから来る状況、そしてその中での質保証をきちっと図っていくことが課題であるといった内容についてまとめております。その部分は、そこの点について丁寧な書き下しをしているところでございまして、第2部の各論が31ページ以降ございます。

 その中で、特に初等中等教育に関係の深い部分をかいつまんで御説明させていただきます。33ページをお開きいただきますと、これが基本施策の1の、確かな学力を身に付けるための教育内容・方法の充実という関係でございますが、34ページのところでは主な取組ということで、先般の本分科会におきまして、その段階での状況を御説明申し上げたときには、主な取組のゴシックのところの項目だけを書いていたところでございますが、今回その中身をそれぞれ書いてございます。

 例えば、1-1のところでは、児童生徒のコミュニケーション能力や情報活用能力の育成、そういったものの充実のために、指導体制・教材等の整備ですとか、効果的な指導方法に係る情報の収集・提供などの支援の取組といったことですとか、あるいはICTの関係で申し上げますと、ICTの積極的な活用をはじめとする指導方法・指導体制の工夫改善を通じた協働型・双方向型の授業革新を推進するといったようなことです。更に高等学校教育については、先ほど御指摘されているところですけれども、全ての生徒に共通して身に付けさせる能力の明確化を図るといった事柄について研究しております。

 それから、次のページが基本施策の2の豊かな心と健やかな体の育成の関係ですが、ここでは特にいじめの関係につきまして、左側の現状と課題の中でも一つ項目を起こしております。また、38ページの主な取組の中でも2-3として、いじめ、暴力行為等の問題への取組の徹底ということで、現段階での、今後取り組む内容について整理をしているところでございます。

 次に、施策の3、42ページですが、教員の資質能力の総合的な向上ということで答申がまとまっておりますが、修士レベルの課程の質と量の充実や、例えばカリキュラムの改革の理論的支柱となる実践的な教育を研究推進するといったような取組などについても触れております。

 またその次のページ、43、44ページでは、幼児教育の充実ということで、4-1で書いてあることで申し上げますと、幼稚園における指導上の課題等把握をして、幼児教育の改善を図る。子育て支援活動や預かり保育も含め、引き続き財政支援を行っていくといった内容でございます。

 更に次のページの45ページ、46ページでは、特別なニーズに対応した教育の推進ということで、特別支援教育などに係ります内容を書いております。5-1のところでは、例えばインクルーシブ教育システム構築に向けて、円滑な就学手続の実現をしていくといったことですとか、様々なインクルーシブ教育推進のための環境整備について記述をしております。更に幼稚園、高等学校も含めまして、発達障害のある子どもへの支援の充実ですとか、海外で学ぶ子どもたちや帰国児童生徒に係ります取組についても盛り込んでいるところでございます。

 少し飛びますが、55ページ、56ページのところでは、基本施策の9ということで、初中教育、高等教育の接続の円滑化に係ります内容でございます。後ほど御説明ございますけれども、「点からプロセスによる質保証」を構築するために、本年夏を目途に、中教審において検討開始をしていくといったことについて盛り込んでいるところでございます。

 更に63ページ、64ページでは、キャリア教育、職業教育の関係の基本施策12に関します内容について盛り込んでおりまして、各学校段階ごとに取り組む内容を整理しているところでございますが、12-1では、これも従来から取り組んでいるところでございますが、幼児期の教育から高等教育まで、各学校段階に応じた体系的・系統的なキャリア教育を充実するといったこと。また、その具体の取組を、その下に書いているところでございます。

 次は、いわゆる四つの方向性のうちの二つ目でございますが、未来への飛躍を実現する人材の養成に係ります内容でございます。67ページ、68ページのところで、基本施策の13ですが、優れた才能や個性を伸ばす多様で高度な学習機会等の提供ということでございます。13-1のところでは、例えば高等学校段階における早期の卒業を認める制度の検討などを図るといったことですとか、13-2のところでは、スーパーサイエンスハイスクールの指定校を増加させるといった、理数系人材の養成に係ります内容を盛り込んでいるところでございます。

 また、その次のページではグローバル化の関係で、英語をはじめとする外国語教育の教科に関わります取組を整理しております。

 74ページ以降は、四つの方向性のうちの三つ目の、学びのセーフティネットの構築に係ります内容でございますけれども、76ページのところでは、各学校段階におきます教育負担の軽減に係ります取組内容を、それぞれごとに整理をしているところでございます。

 また、施設面の関係では、82ページの18-1のところで、施設ですとか安全に関する教育の充実の関係ですが、特に耐震化の関係でございますと、公立学校施設については、平成27年度までのできるだけ早い授業に耐震化を完了することを目指すといったことですとか、また他方で、私立学校につきましても、公立学校施設の耐震化の状況を勘案しつつ、できるだけ早期の耐震化の完了を目指すといったことも目標として掲げているところでございます。

 また、四つの方向性で申し上げます最後の、地域づくり、絆(きずな)づくりと活力あるコミュニティの形成の関係ですが、86ページでございますが、基本施策の19でございます。19-1では、以前からお取り組みいただいておりますけれども、学校支援地域本部ですとか、放課後子ども教室などの取組などを充実させて、地域住民が子どもたちの学びに参画、支援するための体制を、全国の小・中学校に構築していくといった内容でございます。

 これらの四つの方向性全てに関わります、それを支えていく環境整備ということで、91ページ以降、それに関わります取組を書いておりますが、基本施策の22では、現場重視の学校運営、地方教育行政の改革ということで、教育委員会の改革などに関する取組を書いております。例えば、22-1の黒ポツの一つ目の最後の方では、地域とともにある学校を支える主体的かつ機動的な教育行政の一層の実現に向け、地方公共団体や教育関係者等の理解を得つつ、改革方策の検討を進めるといったことを盛り込んでおります。

 また、その次のページでございますが、基本施策の23、93ページのところでは、定数改善に関わります内容を盛り込んでおります。23-1の最初のポツの中身としては、学級規模及び教職員配置の適正化の具体的な在り方について検討し、その結果に基づく必要な措置を講じる。その検討の中では、計画的な教職員定数改善の具体的な在り方について、財政上の扱いなども含めて具体的に扱うといったことを盛り込んでいます。

 そして、その次のページでございます。基本施策の24では、良好で質の高い学びを実現する教育環境の整備ということで、24-2のところでは、真ん中のポツでございますが、ICT環境の整備に係ります具体的な数値での目標を掲げているところでございます。

 ページがちょっと戻ります。最後になりますが、29ページをお開きいただきたいと思います。審議経過報告につきましては、これまで成果目標、そしてその達成度合いを測る成果指標といったもの、それらを実現するためのどういった施策が必要かといったことにつきまして、集中的に議論をした審議経過をまとめているところでございます。29ページの下の(3)に、教育投資の在り方ということで記述をしておりますが、これらの施策を実現するためには、それに必要な教育投資を確保することが重要だということで、今後この審議経過報告に書いておりますような施策を実現するためには、どういった教育への投資の在り方を考えていくべきなのかといったことにつきまして検討を進めていき、答申の内容として盛り込んでいくということを考えているところでございます。簡単でございますが、以上でございます。

【小川分科会長】  ありがとうございました。今御説明いただきましたとおり、教育投資の在り方については、また今後検討をしていくわけですけれども、その他については今のような審議経過報告のまとめという形で、先月の24日、教育振興基本計画部会において了承されました。

 三村部会長からも、この審議経過報告について、各分科会等においてもしっかり審議していただきたいというような御意向もありましたので、今日少し時間を取って、皆さんからこの審議経過報告について御意見を伺いたいと思います。限られた時間ですけれども、御意見があれば御自由に出していただければと思います。では、向山委員、お願いします。

【向山委員】  どうもお疲れ様でした。よくまとめていただいたと思うんですが、ちょっと幾つか意見をと思っております。この「はじめに」というところで、そもそもこの振興基本計画の役割なんですが、この4行目にこう書いてありますね。「第1期計画策定後の社会情勢の変化や施策の実施状況」うんぬん。それを受けて2期を策定していくとなっているわけですね。この1期策定した以降のいろいろな条件をここに書いていただいていますけれども、この間の領土をめぐる問題、あるいは外交関係、その辺の客観情勢の指摘というのを、もう少し私は書き込むべきではないかと思っているわけです。

 そもそも今回の学習指導要領改訂、私も社会科の作業部会の一員として小学校部会をやったんですけれども、小学校の社会科の中で領土という言葉を出しながら、北方領土の問題を扱ったんですけれども、竹島の問題も領土問題があるって、私は発言なんかはしたんですけれども、残念ながら小学校ではできませんでした。結果的に皆様方御案内のとおり、中学校の指導要領の解説書で書くという形で実施したわけです。これも大変な、韓国との外交関係が出てきました。その後政権交代で、高等学校の地理とか公民からの記述はなくなってしまったわけですね。こういう一連のことを見ながら、こういった内容をどこか現状認識で書かなくていいのかどうか。あるいは、項目の中の、確かな学力とか、豊かな人間性というところで書けるのか。あるいは、国際交流のところで書けるのか、ちょっとそこら辺は分かりませんけれども、そういう議論をもう一回してもらえないかということが一つです。

 それからもう一つは、やっぱりエネルギーの確保の問題です。これは東日本大震災の後の影響を受けた書き方はしていますけれども、エネルギーの確保ということを教育でどう扱っていくのか。非常に国論が二分するような考え方もあります。正しくいろいろな知識を得て判断できる、やっぱりこれも初等中等教育段階からどうやってやっていったらいいのかというようなことを、是非議論してもらいたいと思います。間もなく、恐らく次の改訂に向けた学習指導要領の会議がこれから立ち上がってはいくと思いますけれども、この振興基本計画の中で、今後の我が国の教育施策をどうしていくのかという観点で、この間のそういったような情勢変化について、是非議論していただければ有り難いなと思っています。

【小川分科会長】  ありがとうございました。ほかにどうでしょうか。井上委員、どうぞ。

【井上委員】  ありがとうございました。今、第2期の振興基本計画の審議経過概要について御説明いただいたんですが、まず第一点、ちょっとお尋ねしておきたいのは、第1期計画を策定する際、10年を見通して、その前期としての5年計画を策定するという考え方が、振興計画基本目標にあったと思うんですが、その場合に、前期の計画の実施状況、その評価というものが全く触れられていないんですが、それらについては第2期計画では、第1期計画をそういう評価の下に、それを更に第2期計画で、10年計画だとすると、いかにそれを実現していくかという、そういう全体としての構成が必要じゃないかと思うんですが、その点をどのようにお考えなのかというのが第一点です。

 それから、第二点は、この教育振興基本計画で、教育立国を目指すということで、我が国がグローバル化の中で国際的な競争力を付けていくためには、何よりも人材育成が必要だという認識の下に、教育振興基本計画が作成されたと思うんですが、今回の振興計画の中で、特に66ページで、未来への飛躍を実現する人材の養成という項目があって、その成果目標の1に、PISAの平均得点で、調査国中トップレベルの順位にするというのがここにありまして、成果目標ははっきりそういうように書いてあるんですが、それに向けての条件整備。そのトップレベルに順位するためには、やはり条件整備が必要だと思うんですが、その辺が必ずしもまだはっきりしていない。

 例えば、93ページの基本施策で、きめ細かで質の高い教育に対応するための教職員体制の整備というのがありますが、下の主な取組で、学級規模、少人数学級の推進と、諸課題に対する学級規模、教職員配置の適正化の具体的な在り方を検討し、その結果に基づく必要な処置を講ずるというのは、第2期計画でこんなことを検討するわけじゃないと思うので、その条件整備については、学級規模と教職員配置の適正化調査検討会議が行われていると思いますから、そういう検討会議の報告をこういうところに生かして、取り入れてもらいたいということでございます。

 と申しますのは、35人学級の実施と、それから、教育課題に対応する教職員配置の適正化というのは、正に新学習指導要領の実施に伴って、教育内容の増加とか、授業時数の増加というものに伴って、以前から学校現場が非常に教員の多忙性、一月に42時間の超過勤務をしている実態、平成18年の調査ですが、そういうものを踏まえて、教職員の増加、必要な教員の配置を進めるということになっていると思います。その辺、各県が実際に教員の配置計画をする場合に、先の見通しのある、予見可能性のある採用計画をもって、それによって教員を採用し配置していく必要があるわけで、そのためには、現在の財政状況からいって、法律改正がなかなか難しいという実態は承知しておりますので、それであれば、こういう第2期の教育振興基本計画の中にそれを書き込んでいって、文部科学省の政策としてではなくて、閣議決定による国の政策として、予見可能性のある計画にしていただきたいというのが第二点でございます。

 それから、第三点で、非常に前から初中分科会でも発言させていただいて気になっておりますのは、教育投資の在り方について、まだ今後検討するということで、十分検討していただきたいのですが、先ほどのPISA調査でトップレベルを目指すということを明確に成果目標として挙げた以上、PISA調査は御存じのとおりOECD参加諸国で学力調査を行うわけです。OECD諸国の中で、昨年9月のOECDの発表では、前にも申し上げましたが、我が国の教育投資、GDPに対する財政支出の公財政支出の教育投資額は、32か国で最下位になっているわけです。一方で、成果目標はトップレベルといいながら、条件整備をせずにトップレベルになるわけがないので、その辺は少なくともOECD諸国の中ぐらいを目指した教育投資を充実するというような記述がないと、中教審として、これは見識を疑われるんじゃないかと思っていますので、その三点についてお願いしたい。

【小川分科会長】  お答えしていただいた方がいいですかね。特に2と3は御意見を伺うとして、1の第1期の総括については、井上委員、9ページ以降記述はあるんですけれども、これでは不十分だということですか。では。

【森友教育改革推進室長】  説明が足りなくてすみません。9ページの冒頭で、井上委員御指摘の、現行計画における10年を見通した教育の姿ということで、9ページの(1)のところで、第1期計画においては、20年から29年までの10年間を通して目指すべき教育の姿として、義務教育修了の前後に区分した以下二点を掲げている。第2期計画の実施に当たっては、第1期中における政策の検証結果を十分に踏まえる必要があるとして、その上で、先ほど少し触れましたが、各学校段階ごとの現行計画実施後の状況を踏まえた成果の課題というのを整理しております。

 更にそれを総括する形で、15ページの(2)のところでは、第1期計画の総括と今後の方向性ということで、かなり大きな形で総括をしておりますけれども、それぞれの学校段階の検証と課題を踏まえると、第1期計画において掲げる10年間を通じて目指すべき教育の姿の達成は、いまだ途上にあるということを評価した上で、今後きちっと、もともと10年間ということで現行計画で想定しているのは平成29年度を想定しているわけでございますけれども、これ自身は第2期計画期間中にも達成すべき目標だということで、第2期計画期間としては5年間の計画ということを考えておりますので、残りの5年間で現行計画における10年間の目標を達成しようということでの考え方の整備をしているものでございます。

【小川分科会長】  井上委員、よろしいでしょうか。

【井上委員】  はい、分かりました。結構です。

【小川分科会長】  では、天笠委員。

【天笠委員】  3ページから8ページのところを読ませていただいたんですが、ここのところでは今後の教育の全体像ということで展開されているんですけれども、それぞれ読んでいきますと、時間軸についての自覚的な記述というんでしょうか、それをもう少ししっかりする必要があるのかなというように思います。

 どういうことかというと、今お話がありました、少なくとも全体としては、この5年間で何をやるかということについての記述がありますけれども、その先の、例えば2020年に向けてとか、あるいは2030年に向けてとか、そういう今後という意味合いがあるんじゃないかと思っております。ですから、この5年で取り組むことが、その10年先とか20年先とどういう絡みを持つのか、そういう未来を想定してこの取組があるんだということが、ある程度記述されているのは、3ページから8ページ辺りのところなのかなと思うんです。

 ただここを見ると、今度は現状が書いてあったりとか、あるいは2060年という言葉が出てきたりですとか、あるいは過去に振り返ってみてどうのというようなことがそれぞれあって、そこら辺のところが時間が非常にごちゃごちゃになって書かれている。少なくともこの先は、この立場がどのように見据えているのか、見通しているのかという、そういう将来に対しての、この部会の未来像、スタンスというのが、もう少し鮮明に出されていてもよろしいんじゃないかということです。

 少なくともここでいうところの5年というのは、今後という視野の中には、この中には入っているわけで、その先を見通して、だからこの5年でこういうことに取り組むんだというようなことを、もう少し出さないといけないんじゃないかと思うんです。もちろん不確定な世の中ですから分かりづらいところはあるかと思うんですけれども、ただそれを打ち出すことが、この5年で何を取り組むかということについての記述に説得力を持たせることになってくるわけです。そこら辺の、少なくとも中期的な将来ですとか、長期的な将来ですとか、その辺りのところについてのある程度のスタンスというか、整理を少し意識して、この後のところに記述されることの必要性、大切さがあるんじゃないか。

 要は将来、少なくともこの10年先ぐらい、あるいは今の子どもたち、青年が社会の担い手となる、その社会というのをどういうような形で見据えて、この5年を取り組むのかというところを記述するという、この3ページから8ページ辺りについての整理の仕方があるんじゃないかなと思います。以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。ほかに。では、貞広委員、渡久山委員、お願いします。

【貞広委員】  ありがとうございます。大変きちっとまとめていただき、読ませていただきました。振興基本計画という考え方自体になじまない意見かもしれないという前置きで申し上げます。この基本施策29ありますが、この施策間の優先順位という考え方を、ここで取り入れる必要がないのであろうかということです。

 教育投資の在り方については、今後議論されるということですけれども、この基本施策29のニーズを積み上げていって、全て実現しましょうということになったときに、その積み上げていった教育投資が、政治的に、その財政状況の中でも実現できないような規模になってしまったときに、場当たり的にこれはできない、あれはできないというのではなくて、きちっと全体の構造の中で選択と集中していけるような形を取れるように、ここだけは絶対譲れないとか、そういう政策の優先順位づけのような考え方をこの中に入れる必要があるのではないかということです。

 恐らくそれを考えるに当たっては、正に「我が国の危機回避に向けた四つの基本的方向性」が明示されていますので、これにのっとって整理をしていくということになるかと思うのですが、非常に魅力的な29の施策であるが故に、場当たり的に実現できるものと実現できないものがあるということにならないようにというような危惧を持ちまして、意見として申し上げさせていただきました。

【小川分科会長】  ありがとうございました。なかなか難しいことかと思いますけれども。

 では、渡久山委員。

【渡久山委員】  第1回の教育振興基本計画、今日平成20年のを配っていただいたんですが、実はこれが出るときも、ほとんど財政措置がないんじゃないかというのがこれに対する総括的な批判というか意見なんですよね。ですから、今度の場合はもう少し財政計画を立てて、具体的に教育施策が実現できるような方向というのを考えていくということが非常に大事じゃないかなと思うんです。

 先ほどから出ているいじめの問題でも、最初はいじめを半減するという言葉があったんですが、半減したかどうか分かりませんけれども、そういういじめの問題を解決するためにどうするかということを、より具体的な施策を立てて、やっぱり財政的な裏打ちをしていくということが非常に大事じゃないかなと思います。特にいじめの場合は、単なるいじめの対策や、あるいは教職員の感性とか、教育行政の体制だけじゃなくて、やっぱり一つの道徳教育や道徳の問題も非常にあるわけですよね。シティズンシップというのが非常に大きくあるわけですね。ですから、そういうことは、一つのどこかの局とかどこかだけではできませんから、これをやっぱり文部科学省として総合的な施策として、この問題提起をして財政措置をしていくというのは、非常にいいんじゃないかなと思います。

 もう一つは、やっぱり今も意見がありましたけれども、今、ここにも基本政策というのがありますけれども、もっと施策を絞ってやっていくというのが非常に大事だと思います。その中で非常に重要なのは、今、学力問題じゃないかと思います。これは大学の問題もありますけれども。学士教育というのがほとんど成功していない。それは何でかというと、高校以下の学力が伴わない学生が入ってきている。こういうことが非常に言われてきて、学士教育が非常に充実しているわけですけれども、これはもちろん下の問題も、小・中学校の問題もあります。それより今度は大学、大学院、高等教育の問題もあるわけですね。

 だから、日本の大学は今、東大が一番上として、それでも国際的には20番ぐらいだとよく言われているわけですね。そういうようなことであれば、トップレベルというのはどの辺までを指すのかということを考えてくると、もっと具体的な施策を具体的に出していっていいんじゃないかと。これは非常に総花的ですよね。ですから、そういうのじゃなければならないかもしれませんが、そうではなくてもっと絞り込んで、例えば今の学力問題をどうしていくんだということで、例えば少人数学級がそのために効果があるということであれば、1年生を20人学級からやって、今年はこうする、来年はどれぐらいにするという形のものを持っていくということは、非常に大事じゃないかと思うんですね。

 例えば、30万人留学生問題があったんですね。あれもどうだったんでしょうか。要するに、受入れ体制がほとんどない。そうすると、大学も含めて、本当に外国人学生を30万受け入れる体制があるかないか。これもいつの間にかただ言葉だけになってしまうから、もっと具体的にはやっていかなきゃと思いますね。今、井上委員からも、第1次の振興計画で総括と言ったんですが、これ事実が記述ですから、文章だけだから、文章で総括だけにしかなっておらんから、評価になっていないわけですよね、ある意味では。文部科学省は評価とかテストとか非常に好きなんだけれども、自分たちの教育行政をどう評価するかということは、非常に大事なことになってくると思います。

 それから、具体的な問題でちょっと僕が気になっているのは、教員の質の向上、これは非常に大事なんですね。教職員大学の問題がありますけれども、この教職員大学も、最近では定員割れというのが、少し評判が悪くなっていますけれども、それは私は一つの理由として考えられるのは、研修のための定員が現場にない、あるいは少ないというのが一つです。もう一つは、身分保障がない。大学で2年なり、あるいは3年なり勉強して帰ってきても、これを身分保障をきちっとするということと、もう一つは待遇なんですね。

 待遇がほとんど変わらない。あるときには指摘されているように、例えば修士課程を取ったら、教員試験の一次試験を免除するとか、何らかの形。あるいは、給料の何号俸か上げるとか何かしていかないと、メリットがない。だから、そういう形で、せっかく修士レベルの教員をつくろう、あるいは養成しようというんだけれども、それに対して裏打ちする、何かメリットがないということが非常に大きな問題ですから、そういう問題も含めて、もう少し政策を絞り込んで具体化して、財政措置をするということが非常に大事じゃないかなと思います。

 それから、これは別の話なんですが、片仮名が非常に多いわけですよ、文章で。これは前からもよく言われていて、教育基本法改正のときのいろいろ議論でも、何で日本の教育基本法を改正するのに、外国の言葉が入ってこなくちゃいけないかという。しかし、ただアイデンティティだけはなかなかできないないということで残っているようなんですけれども。こういうことを、よく見たらたくさんあるんです。ガバナンスなんて、何もここで書くことないんですよ。日本語ないのかな、ガバナンスって。ないんですか、国語の先生なんですけれども。だから、そういうことを考えると、もう少し正しい日本語で、分かりやすい日本語で、これ、閣議決定したら国民向けに出すわけですよね。そうすると、日本人が日本語で物事を表現し、あるいは理解するということは非常に大事ですから、是非ともその模範を示していただきたいと思います。以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。ほかにございますか。北條委員、どうぞ。

【北條委員】  すみません、先ほど第2期がいつまでなんだというお話もございましたけれども、それで今後5年間というのが、その中で一体いつからいつだとかということですが、平成30年からの5年間だとは思いませんので、今から後ろ5年間というふうに当然聞こえますので、その理解の上で意見を言わせていただきます。43ページ、44ページ、それから46ページ、76ページの辺りについてでございます。

 幼児教育の充実につきましては、前回のこの分科会でも意見を申しましたし、また部会のヒアリングの折にも、実は意見を申し上げているところでございます。まずこれを見て、言葉の使い方として、新たな制度の構築という言葉が3か所出てまいりますが、これは一体何を意味しているのか非常に微妙なところで、ちょっと理解しにくい。それから、基本的考え方のところに、質の高い幼児教育・保育と、一般的にも使う言葉ではございますけれども、ここで保育という言葉をどういう意味内容でお使いになっているのか。子ども・子育て3法案の検討の過程でいろいろ問題になったところでありますので、文部科学省として、この保育という言葉を、振興基本計画の中でどんな意味合いでお使いになっているのかということを、まず確認をいたしたいと思います。

 その上で、基本計画ということですから、ある程度抽象的になるのはやむを得ないと思うんですが、前回意見を申し上げましたときと基本的には同じなんですが、この44ページ辺りでは、言ってみれば具体のものが何もないと言うと余りにも言い過ぎかもしれませんけれども、大変乏しいというように思います。

 4-1のところで、幼稚園における指導上の課題等を把握し、幼児教育の改善を図る。何か分かったような分からないような、一体何をおっしゃっているのかよく分からない。また、その一番最後のところは、引き続き財政支援を行うということならば、今までと同じなのかなという印象を受けてしまいます。それから、4-2の最後の2行でありますけれども、「給付」という言葉を2か所お使いになっておられます。これは恐らく新システムの施設型給付のことをおっしゃっているのかなと思いますけれども、学校教育の面で、給付という言葉は普通は使われませんので、いかなる意味なのか。また、最終行のところに、「小学校就学前」のその後に、全ての子どもに対して給付を保障するというようになっておりますが、もし給付というのが施設型給付を意味するのであれば、このたびの法律の中に書き込まれている趣旨と違うのではないかというように思うところであります。

 それから、幼児教育の充実のための具体が何もないんじゃないかなということを申し上げましたけれども、基本的な方向としては、平成17年1月28日の中教審答申、そして、それを受けましたところの平成18年10月4日の幼児教育振興アクションプログラム、この方向に沿って幼児教育の充実というのは図られてきたわけでございますが、その2つの内容と、ここに書かれていることを比べますと、これもちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、明らかに内容が後退してしまっていると思わざるを得ません。

 幼児教育本体、幼稚園教育と保育所における教育の機能も含めてでありますけれども、その本体の改善ということになれば、当然教育環境の改善とか、あるいは教師の資質向上ということがまずもって言われなければならないわけでして、学級編制の基準、あるいは教員配置の問題、それから教員免許の一種免許状の取得率の向上というようなことが既に言われているわけですが、これが進んでいない現状の中で、ここでも何も触れられていないということは、いささか理解に苦しむところでございます。

 それから、46ページのところは特別支援教育でありまして、5-1の3行目のところに、早期からの一貫した支援体制。これは協力者会議等のまとめの中でいえば、早期からのというのは、幼児期からのという定義であったというふうに記憶しておりますが、幼稚園や保育所からのという意味なんですけれども、これはただ単に早期からのと書かれてしまいますと、そこのところが大変弱くなってしまいます。少なくとも幼児期からという言葉を、この辺りに入れていただければと思います。

 5-2のところでありますけれども、ここのところで小・中学校での書きぶりが、例えば、必要な措置を講ずるとともに、集中的に実施するという書きぶりでありますが、幼稚園、高等学校のところでは、一層の整備を促すというふうに、非常にニュアンスが弱くなっておりますので、何とかもうちょっとならないかなというように思うところです。

 76ページのところでは、就園奨励費の充実、また幼児教育の無償化についての記載をしていただいております。これは大変有り難い記述であると思いますが、この関連で44ページに戻れば、やはり幼児教育部門への公費負担のこれからの在り方というものにも、44ページ辺りで触れていただけたらなと思います。長くなりまして申し訳ありません。以上でございます。

【小川分科会長】  広範囲にわたる御質問、御要望等になりますので、この場で答えるということはなかなかちょっと難しいと思いますので、今の御意見を、また振興基本計画部会の方に反映させていただいて、可能な対応を取っていただくということにしていただければと思います。森友さん、よろしいですかね、そういうことで。よろしくお願いします。

 ほかにどうでしょうか。輿水委員。

【輿水委員】  今期の第2期教育振興基本計画、先ほど井上先生おっしゃいましたけれども、今までのある意味での総括をきちんとした上でというお話がありました。私も、以前もそういうお話をした覚えがあるのですが、この前期、第1期の教育振興基本計画のときと大きく違うといいますか、ある意味では予想していなかったというのが、ここにもきちっと示されているように、東日本大震災ということだというように思います。

 項を立てて、東日本大震災から何を我々は教訓として得るのかということが書いてあるのですけれども、その中身が、大事な柱にもかかわらず、比較的精神論というか、そういう言葉が目立ちます、献身的とか、使命感とか。当然もちろんそのことが我々日本人の持っている強さにもつながってくるとは思いますけれども、この正に未曽有といいますか、予期しなかったことがもたらしたものをどういうように総括をして、そして今後に生かすかということは、大変重要なことではないかなと思っています。もう少し今の東北をどう見るのか、これからの東北をどうしていこうとするのかという、そういう視点を、これは国、国政という意味で、もう少し大事にしていただけたらいいなというのが一つです。

 それにつけて、ここに出されている三つの方向性、自立、協働、創造というのは、大変大事な柱だろうというように改めて思っています。自立した日本人を育てるためには一体何が要るのか。共に動ける日本人を育てるためには一体何が要るのかということを、是非今度の被災地からの提言というのを生かしていきたい。また、そういう意味での情報提供もあったらいいのではないかなと思います。感想です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。そろそろ時間が迫ってきましたけれども、よろしいでしょうか。では、安彦委員、よろしくお願いします。

【安彦分科会長代理】  今、輿水委員からお話がありましたが、総会でも私、一言言ったことなんですけれども、これは中教審で言うことなのか、もっと政治的レベルでの話なのか。大震災も含めて、やはりある意味で、容易ならぬ事態というんですか、要するに、今までのいろいろな問題は、それなりに今まで対策を尽くしてきて、改善していく様子というのはそれなりに見えてきたと思うんです。

 ただ、こういう大震災、最近もああやって想定をすごく高めて、被害レベルの高い地震を前提にして出していますが、ああいう事態というのが、今後いつ、どれほどの規模で起こるか分からないという、そういう状況というのは、特に環境問題ですね。気象条件、温暖化、それによる干ばつ、穀物の高騰、それを奪い合って国同士が戦い合う。そのうち本当にそれで人間の間に、ちょっと見れば地獄の状況が生まれないとは限らないという状況。そういう状況がこれまでに見えていたにもかかわらず、何とかなるだろうで済ましてきましたけれども、ある部分では何とかなるというところはありますが、少し長い目で見ると、年々悪化しているというのが実感だと思うんです。

 そういう意味では、やはりいろいろなことがある中で、本当に危機的な問題というのを、それこそ日本だけでなく、人類的な危機というのを前提に、私としては第1部の我が国における諸情勢の変化の中の、我が国が直面する危機の辺りに、日本だけでなく、人類が直面している危機というのを入れて、その中で、たまたま今回は東北の大震災ですけれども、こういう状況がいつ国全体に起こるか分からない。いろいろな意味で、人類が協働して戦わなきゃならない課題というのがあって、そういうものに対して、少しでも日本のこういうタイプの計画で芽を出しておくというか、世界的にも呼び掛けるような芽を出しておくような部分というのは要らないのか、ということを申し上げたんです。

 やはり単なる、ここにESDのことが何ページかに載っているんですけれども、ほかの問題と並べられて、並列的に環境問題を挙げるというんじゃなくて、これは非常に、人類共通に取り組むべき問題ではないか、という形で単独に出して、日本もこれについてはこう取り組むぞというようにしていかないと、本当にどうにもならない時代は、2代、3代後の子どもたちには来るんじゃないか。こういうことについて、正に基本計画の辺りで触れておいてほしいということを申したんですけれども。

 本当に哲学関係の人は、そういうことをかなり今までも警告しているんですね。それを本気になってみんな考えていない、と声を高くして言っている方がいるんですけれども、改めてそういう時代に直面した。5年前にはそれほどでなかったにせよ、大震災を経験して、この後これからこういうことが起こり得るということは、むしろ前提にして当然、想定して当然な時代に入っているわけですから、そういうことを踏まえた、そういうことにちゃんと耐えていける子どもたちを育てていくという教育に、本格的に正面から向き合わなくてはならない時代になっているという、そんなことも入れていただきたいなと思っております。

【小川分科会長】  ありがとうございました。

 では、時間も迫っていますので、一応この第4の議題の振興基本計画の審議はこれで終わりたいと思います。非常に広範囲の御意見を皆さんから頂きました。また9月から基本計画部会の審議が始まりますので、その中で今日頂いた御意見については反映できるように、お伝えしていきたいと思います。ありがとうございました。

 では、次の議題に移りたいと思います。次が議題5の、大学教育の質的な転換と、高大接続の諮問に関してです。これについては、8月28日に中教審総会がありまして、その場で「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて」という答申がまとめられ、文部科学大臣に手渡されました。また同じ総会で、「大学入学者選抜の改善をはじめとする高等学校教育と大学教育の円滑な接続と連携の強化のための方策について」という諮問が出され、高大接続特別部会が設置されることになりました。この答申と新たな諮問については、高等学校教育を含めて、この初等中等教育分科会にとっても非常に関わりのあることですので、今日は皆さんから御意見を伺いたいと思っています。

 では最初に、答申と諮問の内容について、高等教育政策室長から御説明いただければと思います。

【合田高等教育政策室長】  それでは、ただいま小川分科会長からお話がございました答申及び諮問につきまして、手短に御説明をさせていただきます。資料5-2の答申の概要、A3版の資料をお目通しいただければと存じます。

 平成20年1月には、本分科会の御議論の末、言語活動や知識を活用する学習活動の充実により、知識の習得と思考力の育成の両立を図るとする、今次学習指導要領についての中教審答申が出されたところでございますが、同年12月には、それを更に大学段階で伸ばすという観点から、汎用的な能力や専門的知識で構成される学士力を育むという中教審の答申が出されたところでございます。今回の答申は、このような教育の連続性を踏まえまして、先が見えない成熟社会の中で、汎用的な能力やチームワーク力、知識を社会の発展のために生かそうという倫理性など、学士力の中核となる能力を、大学教育においてしっかり育むための具体的な手立てをまとめたものでございます。

 資料5-2の真ん中辺り、「4.求められる学士課程教育の質的転換」というところをお目通しをいただければと思います。今申し上げた能力を育むためにも、ディスカッションやディベートといった双方向の授業や、インターンシップ等の教室外学修プログラムによる主体的な学修を促す学士課程教育の質的な転換が必要でございます。そのためには、授業時間だけでなく、質の伴った全ての学修時間の増加が必要ということでございます。「しかし」と横にございますが、「5.学士課程教育の現状と学修時間」とございますが、日本の学生の学修時間は短いというのが現状でございます。

 なぜ短いかということでございますが、「7.質的転換に向けた更なる課題」というところにございますように、四つほど背景があるのではないかということです。一つが、「プログラムとしての学士課程教育」という概念の未定着。大学の先生方の授業が、個人意見にとどまっているのではないかということです。二つには、学修支援環境の更なる整備の必要性。三つ目が、高等学校教育と大学教育の接続や連携の改善の必要性。四つ目が、同じく社会と大学との接続の改善の必要性ということでございます。

 このような観点から、「8.今後の具体的な改革方策」というところがございますように、速やかに取り組む事項として、大学の学位授与方針、つまり目の前の学生の能力を、4年間でどのように伸ばすのかという、育成する能力の明示の下、学長・副学長・学部長・専門スタッフ等がチームとなって、いわば教学のPDCAサイクルを回していくということが、強く求められているところでございます。そのために、その下に文部科学省でございますが、基盤的経費や補助金等の配分を通じて、改革サイクルの確立を支援するとなっております。あるいは、その左でございますが、大学支援組織も支援をし、そして、地域社会や企業と新たな連携をしていくということが提言されているところでございます。特に地域社会や企業との関係では、北城委員に御尽力をいただきまして、就職活動の早期化・長期化の是正について具体的な提言を盛り込んでいるところでございます。

 その一番下の、速やかに審議を開始する事項でございますが、一つ目の四角にございますように、高等学校教育、大学入学者選抜、大学教育の三局面の改善を連携しながら、同時に進めるための新たな審議の場を設置し、議論すべきであるということが、今回提言されました。これにつきましては、大変恐縮でございますが、資料5-3の答申本体について、この部分についてだけ御紹介をさせていただければと思っております。

 資料5-3の答申の18ページを御覧いただければと存じます。今回、大学分科会の審議につきましては、初等中等教育分科会の小川分科会長、安彦分科会長代理、及川委員、荒瀬委員の四名の先生に大学分科会にお運びをいただきまして、御議論を賜りました。その結果、高等教育と初等中等教育との接続についての課題として、18ページにございますように、「18歳人口減少期における大学・学部の設置に関する抑制方針の原則撤廃による進学率の上昇、高等学校教育の制度・実態両面にわたる多様化、大学入試の実施方法の多様化や評価尺度の多元化は、各大学・学部がそれぞれ入学試験を実施し、入学者を決定するという我が国固有の仕組みの下で、高等学校と大学との接続の在り方を質的に変容させ、複雑かつ多様な実態をもたらしている。その結果、高等学校では学力中間層の高校生の学習時間が大きく減少している、大学では初年次教育や補習学修等が増加している、高等学校の教育課程の弾力化への対応によって大学入試センター試験は限界と言われるほどに複雑化しているなど、改善を要する状況が生じている」という現状認識を御整理いただいているところでございます。

 その上で、飛んでいただいて恐縮でございますが、25ページを御覧いただければと存じます。25ページの真ん中辺りに(ア)というところがございますけれども、一文飛ばしまして、「高等学校教育、大学入学者選抜、大学教育は相互に関連し合っており、どれか一つにのみ課題があると捉えたり、特定の部分についてのみ改善を加えようとしたりすることでは、問題は解決しない。これからの社会を担う生徒・学生に必要な能力を育成するという観点から、高等学校教育、大学入学者選抜、大学教育という三局面の連携と役割分担を見直し、高等学校教育の質保証、大学入学者選抜の改善、大学教育の質的転換を、高等学校と大学のそれぞれが責任を持ちつつ、連携しながら同時に進めることが必要である。」そういった観点から、先ほど来申し上げておりますような、汎用的な能力を伸ばすには、マル1にございますように、高等学校から大学への移行においては、単に知識を再生する力だけではなく、広く汎用的能力を問うとともに、マル2、大学における学修成果を各大学や分野の特性に応じて可視化をするということが重要であると考える、とあります。25ページの一番下の行でございますが、そういった観点から、大学や高等学校の関係者、受験生や保護者、次のページでございますが、地域や企業の関係者などと広く国民的な対話・議論を行いつつ、審議を行うこととしたいとの御提言を頂いたところでございます。

 この提言を踏まえまして、資料の5-4にございますように、直ちに大臣から、「大学入学者選抜の改善をはじめとする高等学校教育と大学教育の円滑な接続と連携の強化のための方策について」諮問がなされ、課題例といたしまして、この資料の5-4を3枚おめくりいただきました最後のページの「(1)大学入試センター試験の在り方を含めた大学入学者選抜の改善方策について、(2)各学校段階での教育を通じ、これからの時代に必要とされる力を育む観点から、大学入学者選抜と高等学校教育の質保証、大学教育の質的転換を一体的に行うための基本的な方向性、高等学校と大学との連携強化の方策について」をお示し申し上げたところでございます。

 中教審といたしましては、諮問を受けて、これも直ちに資料5-5にございますように、高大接続特別部会を、総会直属の部会として設置いたしました。メンバーにつきましては、一任をお受けになりました三村会長の下で現在検討中でございますが、メンバーが確定次第、早速この秋から具体的な議論がスタートすることと存じますが、今回の答申におきましては、成熟社会において、職業生活や社会的自立に必要な能力を見定め、その能力を育成する上で、初等教育、中等教育、高等教育、先ほど渡久山委員からもお話がございましたけれども、それぞれの発達段階や教育段階において、有効な地域活動や体験活動とは何かという発想に基づき、それぞれの学校段階のプログラムを構築するという視点を重視してございます。これは正に五十嵐委員が総会でおっしゃいました、成熟社会において求められる能力の連続的な育成にほかならないと考える次第でございます。

 今後とも、私ども高等教育局も、初等中等教育局と一体になってまいりたいと存じておりますので、初等中等教育から高等教育を見渡し、高等教育政策につきましても御指導賜りますようにお願いを申し上げます。簡単でございますが、以上でございます。

【小川分科会長】  ありがとうございました。では、今の説明について、何か御意見、御質問ございますでしょうか。特に大学分科会の委員である北城委員や、高等学校部会の委員である及川委員もいらっしゃいますので、北城委員、及川委員、何かございますか。では及川委員、よろしくお願いします。

【及川委員】  ありがとうございます。今御説明いただいたことについての、高等学校の現場からの感想になります。今御説明いただいた25ページに、高等学校教育、大学入学者選抜、大学教育という三局面の連携と役割分担を見直すという言葉があります。三局面のそれぞれの役割分担、機能分担を見直すということですぐ思い出されますのは、6月に出た大学改革実行プランの中にあります、大学入試を志願者の意欲・能力・適正等の多面的・総合的な評価に基づく入試に変えていくという大学入試制度改革のことです。この観点から先ほどの三局面の役割分担を見ますと、高等学校教育の役割、機能としては三つ挙げられていました。学習意欲の喚起、それから幅広い学習の確保、学力の状況の把握という三点です。

 そうするとこの三つ目の学力の状況の把握ということですけれども、先ほども教育振興基本計画の47ページ、基本施策6の基本的な考え方の中に、高等学校段階においては、生徒の学力の状況を多面的・客観的に把握する様々な仕組みを構築するという文言がございます。先ほど申し上げた高等学校教育の機能の一つとして、学力の状況の把握ということが、正にこの項目であるとすれば、その仕組みというのが、例えばテストという仕組みが一つは考えられるだろうと思います。そうしますと、先ほど申し上げたような、今後、大学入試の仕組みを大きく変えていくその前提となるのが、高等学校段階の学習成果といいますか、学習状況の把握の仕組みをいかに作るかということになるだろうと思います。

 そうすると、現在高等学校の教育課程の修了、すなわち卒業の認定は校長が行うということになっていますから、テストという仕組みを作るとなると、今までになかった全く別な仕組み、つまり、大学入試のための選抜テストとは全く性格の異なる仕組みということになるわけで、これが本当に作れるかどうかということが、大学改革実行プランの中に出ている、大学入試改革が本当にできるかどうかを大きく左右すると思います。そういう意味で、高等学校に課せられた役割というのは非常に大きいと思いました。

 したがって、この新たな仕組み作りという部分は、設置者とか学校自身が主体的に取り組まなければいけない部分もあると思いますけれども、教育振興基本計画の中にも出ているわけですから、やはり国として、この仕組みを作っていくというところで動いていかないといけないと思いました。そういう意味で、繰り返しになりますけれども、高等学校教育に求められていることの大きさを、改めて感じた次第です。以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。では、北城委員、よろしくお願いします。

【北城委員】  北城です。まず今回大学分科会では、大学教育の質的転換ということに取り組んできました。その中で、一つは社会が求める人材を大学は育てているのかということに対して、産業界からの意見を含めて、必ずしもそうなっていないということを示しました。要は自ら答えがない問題に解を見いだすような、人材を育てなければいけない。 知識を吸収するだけでは、これからの社会では活躍できないということを前提にして、大学教育をどう変えていくかということが議論されましたが、的確な視点だと思いました。

 もう一つは、有力な大学の入学試験の在り方が、高校の教育に非常に大きな影響を与えているということです。今回、高大接続のための審議の場ができるということですが、大変大きなことです。ここで大学入試というか、大学の学生の選抜の仕組みが変わると、日本の教育が大きく変わる可能性があると思います。したがって、これから設置する委員会でどういう提言が出されるのかということと、その提言が出されたときに、果たして大学は変わるのかということが重要な問題です。すなわち、変わることをどう文部科学省として指導をしていくかという仕組みがないと、大学は中教審で意見が出されても、大学の独立という名の下に提言と関係ない運営をされるということでは、結果として大きな変化は起きません。新しい入学者選抜の提言が出たところで、それを支援するような仕組みをいかに作るかということが非常に大事なことだと思います。

 私も大学分科会に出て発言をしましたが、アメリカの有力な大学には、入学試験がないということです。例えば、ハーバード大学もスタンフォード大学も、入学試験はないと思うのです。ところが、日本の教育の仕組みというのは、有力な大学には入学試験があるものとして、全ての仕組みができています。大学における入学者の選抜方法の変更は、高校教育にも根本的な変化を及ぼすので、よく議論した上で、抜本的な変革が実現するような仕組み作りをしなければいけないのではないかと思っています。

【小川分科会長】  ありがとうございました。ほかにどうでしょうか。御意見ございますか。長尾委員。

【長尾委員】  私も大学分科会と大学教育部会に参加させていただいておりますが、今の高大接続特別部会で入試を考えることには、大変大きな期待を大学分科会も持っております。先ほど北城委員が、社会が求める人間像をきちんと作り上げているのかという、企業の方からの疑問を挙げられましたが、逆に大学の方から言いますと、質の高い日本を担う人材になる可能性のある高校生を、高校、初等中等の教育課程で育成してもらえているのだろうかということを思います。
 大学は今、800ほど日本にあるわけです。600の私立と、200幾らの国公立ですけれども、大変差があります。高いレベルと北城委員はおっしゃいましたけれども、低いレベルの学校もある。そしてその入試においては、現在多様な入試が行われており、大学は後期になると、入試で大変忙しくなります。そして、入試で受験生は1点を争うわけです。この1点差で落ちるか合格するかが決まります。でも私たちとしては、そういう学生の選び方をしたくないというのが本音であります。私たちは、伸びる可能性のある人の教育を担いたいわけで、ただいろいろなところで、いろいろなことがオーバーラップしてしまっている。

 文部科学省はグローバル化を勧め、高等学校もグローバル化、大学もグローバル化と言われています。そこで本当にグローバル化して留学させたい資質のある高校生は、入試があるために高校3年生では行けないのです。しかし、高校とうまく大学が連携し、入試の制度を変えることによって、可能性のある生徒を適切な時期に海外に出し、それを大学はまたきちんと受け止めて、6年間、あるいは9年間の教育ができるようなシステムが、今日本で構築できたらと思っております。ですから、大変期待しております。

【小川分科会長】  ありがとうございました。ほかにはどうでしょうか。天笠委員、どうぞ。

【天笠委員】  この部会が設置されて、そして審議が進むことを大変期待しております。ですから、そういう点で、これについて特に異論はありません。その上で私は今回の場合、こういう捉え方をさせていただきました。学校種間の連携ということについて、この間いろいろと、それぞれワーキンググループ等々設置されながらここまできたわけですけれども、幼少ですとか、あるいは先ほどの小中ですとか、ある意味その集大成、ゴールということになるのか、そこら辺のところで、これからの審議の持っていき方とかテーマの設定の仕方が随分変わってくると思います。

 高等学校と大学との接続の在り方、入試の在り方等々に限定されるのか、それとも、学校体系全体というところに論議が及んでいくのかどうなのか。私はこの円滑な接続の部会で、小中の連携の在り方ということも議論されてよろしいのではないかと思いますし、当然中高一貫とか、そういうことも議論されてよろしいのではないでしょうか。狭い高等学校と大学の関係の在り方だけではなく、ある意味で、学校体系全体に及ぶような論議にしていただきたい。そういう展開の仕方をしていくことによって、大学と高等学校の在り方、あるいは社会と大学の在り方の議論を進めていくことが大切なのではないかと思っています。ですから、部会の名前として、高等学校と大学の円滑な接続ということですけれども、むしろ私は、これは学校体系全体の見つめ直しというのでしょうか、そういう性格を帯びた審議の場として、これが位置付けられて議論がなされることを、是非期待したいと思っております。

 高大接続の認識は、部分では最適なのかもしれないけれども、学校体系全体が機能不全に陥っているような状況の中で、その象徴として大学教育の在り方ですとか、高等学校の問題があります。ですから、その部分の関係だけ議論していても、今の我が国が抱えている課題への適切な答えは余り出ない可能性が高いのではないかと、そう思っているわけです。

 そういう意味においては、審議事項として(1)、(2)というのが挙げられているのですけれども、もう少し今のことを含めた、まあ、(2)の中に今のことは含まれているといえば含まれているのかもしれませんけれども、もう少しこれは今申し上げたようなことを、しっかり(3)として、位置付けていただくとか、そういうことを期待したいと思っております。

 なお、もう一つ付け加えさせていただきますと、私、教員養成大学で仕事をしておりますので、今の一連の話では、教員養成大学というのはどのように扱われるのか、位置付けられるのかということも、また関心を持って推移を見つめていきたいと思います。以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。渡久山委員、どうぞ。

【渡久山委員】  一つは、今、大学で、国立大学は非常に財政的に貧困です。日本は非常に富める国と、外国に行くとそう言われるのだけれども、日本の大学予算というのは、私学も含めて非常に少ない。OECDの中でも、特に高等教育に対するGDP比は非常に低いわけです。これを何とかしていただかなくては、大学が良くならないのではないかという気が一つするわけです。それが一つです。

 もう一つは、学ぶ学生です。日本の場合はどうも学生は、給付型の奨学資金がなく、ほとんど貸与型です。それも問題があって、結局返せない学生が多くなっていますから、実質的には給付になっているのかもしれませんけれども、随分時間をかけて回収するとかという話もあるわけです。そうではなくて、本当に奨学資金の充実を図らないと駄目なのです。ただ、日本の場合はどうも学問は受益者負担というか、受益者的な意味があります。要するに、立身出世のために学問をするという明治時代からの風潮があって、だから資金は自分で出すべきであるということです。要するに、利益は自分に戻るのだからという話ですから、これはもう今の世の中では通用しないわけです。特に今のグローバル化といって、国際的に大学が生きていく意味で、果たして国がそのような財政的な措置でいいだろうかとなります。ですから、これがもう一つです。これは非常に真剣に考えていただきたいと思います。これは私学の学生も含めて、高等教育の問題です。これが大事ではないかと思います。

 さらに、もう一つは、接続問題が出ています。非常に大事なことですが、私はもう入り口を変えたらいいのではないかと思うのです。それは大学の入試を、今のセンター試験でなくて、高等学校を卒業しているから、大学に入学するための資格試験のような位置付けで、この試験を受ければ、大学はどこでも選択して入れるというものにした方がいい。そうすれば、もう少し高等学校の学習内容も、少し刺激が出てくると思うのです。ある程度勉強してくると思うのです。ですから、そういうことを考えていただいて、今の高大接続の中では、入試問題を集中的に議論していただいて、改善してもらいたいと思います。以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。では、五十嵐委員、そして北城委員ですね。

【五十嵐委員】  ありがとうございます。私はこの答申は大事でとてもすばらしい内容だと思っています。これを是非実現するということが大事だと思っています。そしてこれは大学だけではなくて、日本の教育のそれぞれの在り方というのを根本から考えていく、いい機会になるのではないかと思っております。

 先ほど安彦委員が、今いろいろな問題、大震災があってから、人類共通の地球規模の課題があって、それに向き合っていく、子どもたちはこれからそういう力を付けるべきだというお話がありましたが、そういった時代に、この5-2の資料にもありますが、3番のここが大事だと思って見ていました。これからの目指すべき社会像と求められる能力で、成熟社会において求められる能力ということで、ここで幾つか書かれております。これは大学教育としての求められている能力ということで、ゴールと書かれていますが、私は小学校に勤めていますので、今の子どもたち、実際にこれに近づけるように取り組んでいるのですが、生きる力の中で具体化していることをこれに絡めながら、ずっと見ていました。

 ここに書いてあるように、成熟社会において求められる能力、これを小学校から連続的に育成していくというのが、ここに盛り込まれているのだと思います。そしてそれは、私たちは幼児教育からもたくさん学びました。遊んでいるように見えて、実はそうではない、学びの基礎がある。それをやはりいきなり座らせて、一斉に教師が教えたとしても、子どもはついてきません。その遊びから学びの姿を見取るやり方を低学年に入れて、考えていくうちに、やはり子どもたちが自分たちから主体的に学び取るやり方、教師が教えるということではなく、新たな学びの方法をやはり考えなければいけないと、今取り組んでいるところです。そうするとこれは、幼児教育、小学校教育、中学校教育、高等教育、そして大学教育と全部つながる、学びの在り方を変えるということにつながっていくのではないかと思います。

 そのことについて妨げになるのが入試であるというのであれば、これは入試のやり方の根本を見直さなければならないと思いますし、そしてまたそれぞれの小学校、中学校、高等学校、大学において、学びの在り方、教育方法はこれでいいのかということを、それぞれが1回見直さなければいけないと思っています。先ほどこういう力を育てる学生になるような教育を小学校でしているのかという話がありましたが、それはしていかなければならないですし、学びの在り方というものは、初等教育から考えていかなければいけないと思っていますし、そして大学でこそ、一方通行の講義ではなくて、やはり学生が学び取って、本当にこれから目の前の社会に飛び出していく学生たちが、未来を担っていく力が発揮できるような、そんな大学の学びの在り方というものを守っていってあげなければいけないと思っています。

 ですから、先ほどの教育振興基本計画の中の基本施策の24で、良質で質の高い学びを実現する教育環境の整備ということで、新たな学びを変えていく、ICT環境というのもその手段だと思うのですが、それは数値目標で載せていただきました。今度は大学の学生たちも、そういう学べる教育環境も保障してあげなければいけないのではないかというところも、財政的にも考えなくてはいけないと思っています。

 いずれにしても、この大学教育の質的転換というのは、入試も含めて全ての教育の在り方、学びの在り方を変えていくことになっていく大事なことだと思っていますし、また元に戻るのですが、小学校教育、中学校教育、大学教育を担う教員には、それができるような教育をしていかなければいけないという意味で、教員養成は大事だと思います。ただ、教育学部だけではなくて、教員を養成する全ての部署において、学びの在り方というものを、学生にそういう学びをさせないと、また回り回って一方的な授業をして、いつまでたっても改善されない、経験したことしかできないということになってしまいますから、とりわけ大学教育の質的転換というのはすごく大事で、期待できるところだと思っております。以上です。

【小川分科会長】  ありがとうございました。では、最後、北城委員、よろしくお願いします。

【北城委員】  高大接続特別部会に関して天笠委員から、これは高大接続だけの問題ではなくて、教育全体の接続の問題ではないか、教育体系の問題ではないかという御発言がありました。私もそのとおりだと思います。しかし、まずは高大接続のところを集中的に議論してもらわない限り、高校、中学、その下のところの議論は進まないと思います。全部やるというとなかなか焦点が当たらないと思うので、まずは高大、特に日本の有力な大学の入試の仕組みの改革に焦点をあてるべきです。中教審でも、入試は難しいから議論はやめようという声が出るぐらい難しい課題だと思うので、大学の入学者選抜のところを、まず集中して取り組む必要があると思います。そこが変わると、必ず高校とか中学校、小学校、それ以下の初等中等教育の仕組みも変わってくると思うので、まずは高大の接続に取り組むべきだと思います。

 それから、これは文部科学省をすばらしいと褒めたいのですが、大学分科会の答申が出て、直ちに平野文科大臣から新しい部会を作るという発表がありましたが、これほど早く役所が動くのかと感心しました。このために、御担当の方々が大変努力されたと思います。あとは、部会ができただけでは成果が出ないので、新しい形が是非できるように、この特別部会で的確な提言が出ることを期待しています。

【小川分科会長】  ありがとうございました。時間が迫っていますので、これで議題5は終わらせていただきたいと思います。御存じのとおり、今高等学校教育部会では、高校教育のコアとは何かということと、高等学校の質保証の審議が進行しています。秋から高大接続特別部会もスタートして、正に高等学校教育部会と高大接続特別部会が並行して審議を進めていくという形になります。

 高大接続特別部会の審議内容というのは、初等中等教育にも非常に大きな影響を持ちますので、高等学校教育部会と同様に、高大接続特別部会の審議状況についても、適宜この初等中等教育分科会に御報告させていただきたいと思っています。そして、高等学校教育部会と連動しながら、この初等中等教育分科会でしっかり皆さんから御意見を伺っていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたしたいと思います。

 では、最後、議題6の子ども・子育て関連3法案について、これは幼児教育課からの御説明でよろしいでしょうか。よろしくお願いします。

【蝦名幼児教育課長】  資料6でございますが、子ども・子育て関連3法案についてお時間を多少頂戴いただきまして、簡潔に御説明いたします。

 子ども・子育てに関する新しい制度につきましては、本年の3月末に関連の法案が閣議決定をされまして、国会に提出をされました。その概要につきましては、4月に開催されました本分科会で御報告をさせていただいたところでございます。その3月に閣議決定した内容につきましては、大きく二つのことをやろうとしておりまして、一つには幼保の施設の一体化を行う。一体化の施設として、総合こども園というものを創設する。保育所については、一定期間経過後に、総合こども園に移行するということを義務付け、総合こども園には株式会社の参入も認めるとしたところでございます。

 また、幼保を通じた財政措置の一体化を図りまして、こども園給付という新しい給付を創設して、幼保それぞれに同じ条件でお金を出すということを内容とした法案を、今春国会に提出をしたわけでございますが、その後、国会における審議の過程で、国会での様々な議論もございましたし、あるいは民主党、自由民主党、それから公明党の3党間で断続的に協議が行われまして、最終的に3党が合意をした形で、内容に大きな修正が加えられまして、修正された法案につきましては8月10日に可決・成立をいたしまして、新しい子ども・子育てに関する制度が、早ければ27年の4月からスタートをすることになりました。

 お手元の資料6に、その概略をお示ししてございます。簡潔に御説明をと思いますが、修正後の子ども・子育ての関連3法についてそのポイントを、お開きを頂きました1ページ、2ページに、簡単にまとめてございます。一つには、幼保の総合的な提供を行うための施設について、従前の案では、総合こども園という新しい施設を設けるということとしてございましたけれども、修正の結果、平成18年度からスタートしている認定こども園、これも幼保を総合的に提供するための制度でございますけれども、この制度を拡充するという形で、幼児期の学校教育、保育の総合的な提供がより一層図れるようにしようというということになりました。

 また、こうした認定こども園や幼稚園、それから保育所を通じて共通の給付を創設する。施設型給付と1ページに記してございますが、こうした新しい給付を作るということが大きな改正のポイントでございます。

 また、こうした新しい制度の実施に当たっては、市町村に権限と責任を持ってもらうこととしまして、特に市町村には、地域におけます幼児期の学校教育や保育のニーズというものをきちんと調査し、把握をした上で、これを実現するための計画を策定していただく。この計画に基づいて、必要な財政措置を適切に行ったり、それから、事業を行ったりということとしていこうとしたものでございます。

 大きく二つの柱の、認定こども園制度の改正につきまして、1ページ資料をおめくりいただきまして4ページの辺りに、少し概略を御説明してございます。認定こども園は、一番左にございますように、幼保連携型、幼稚園型、保育所型、地方裁量型という4類型がございます。そのうちで最も進んだ形態である、幼稚園の認可と保育所の認可を持っている幼保連携型認定こども園というものがございます。現在は幼稚園の認可、保育所の認可に加えて、別途この二つの認可を持っていることの認定を受けるということとなっています。それによって、幼児教育、保育と双方をきちんと行うことができるわけですけれども、極めて手続が複雑で、設置が十分に進んでいないという状況にあったことも踏まえまして、この幼保連携型の認可や指導・監督を一本化して、学校と児童福祉施設の公的な性格を有する単一の施設として、幼保連携型認定こども園というものを再構築しようということとしたものでございます。

 また、既存の幼稚園や保育所から、この幼保連携型認定こども園に移行するかどうかということについては、地域の幼児教育や保育のニーズを踏まえて、各設置者が御判断を頂くことにしたということと、またこうした幼保連携型の認定こども園を設置できるのは、国、地方公共団体、学校法人、社会福祉法人を原則といたしまして、当初総合こども園ということで、株式会社の参入も認めていこうとしたわけでございますけれども、この幼保連携型認定こども園については、株式会社による設置は認めないという扱いにしたところでございます。

 1ページおめくりいただきまして5ページでございますが、新しい幼保連携型認定こども園がどういうことを行っていくかということを、下に簡単に図で示してございますが、3歳以上の全ての子どもに対しましては、幼稚園で行っている教育と同等の学校教育を、全ての受け入れた子どもに対して行うとともに、保育の必要な子どもと必要のない子どもがいると思いますけれども、保育の必要な子どもに対しては、児童福祉法に基づく保育を行うということとしているところでございます。

 また、新しい幼保連携型認定こども園については、幼稚園と保育所の存在を前提とした、現行の認定こども園とは位置付けを異にしていて、学校と児童福祉施設の公的性格を有する単一の施設であるということでありますので、例えば、このための設置基準でありますとか、あるいは教育や保育内容の基準などについては、これから改めて検討を行って設定をすることとしているところでございます。

 それから、お金の面での単一の給付を設けるということにつきましては、幼保連携型認定こども園を含めた、認定こども園の全ての類型、あるいは幼稚園や保育所に共通した新しい財政支援の仕組みとして、施設型給付という名前の給付を創設することとしております。この給付は、各施設が受け入れているこどものそれぞれにつきまして、その子一人一人にとって、教育、保育がどれだけ必要かということを基礎として、それを提供するために必要な公費を算定して、受け入れている側の施設に対して、そこで受けている子どもについての公費をまとめてお渡しをするということで、個人給付を施設側に代理的に受領をしていただくこととしております。これによりまして、幼児教育と保育の間で、お金の出し方について、一つのルールに基づいて整合性の推進を行うことを目指しております。

 以上が、この法案の概略でございますけれども、国会におきましては、消費税の関連法案として、衆議院では130時間の審議、参議院でも70時間を超える審議が行われたところでございます。この審議を通して、衆参ともに様々な附帯決議がこの法案については付されております。資料の一番最後の方にお付けしておりますけれども、例えば、「幼児教育の無償化の検討を進めるべき」、あるいは、「この新しい幼保連携型認定こども園の基準は、幼児教育、保育の質を向上させるようなものとすべきである」、あるいは、「幼保連携型認定こども園への移行の円滑化に十分配慮すべし」といったような附帯決議を頂いているところでございます。

 冒頭申しましたように、新しい制度については、施行は早ければ2年半後の平成27年4月ということでございます。今後、様々な基準の検討でありますとか、あるいはお金を出すルールにも関わってまいりますので、その水準、あるいは具体的なお金の出し方など、これから検討を詰めていかなければならない課題が多々あります。これらに政府としては速やかに取り組むこととしてございます。いずれにしましても、今後必要に応じ、本分科会に対しましても御報告なりをさせていただければと思っておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

【小川分科会長】  ありがとうございました。これに関連しては、先ほど振興基本計画部会の経過報告を受けます際、北條委員からも関係する御発言を頂きましたけれども、ほかに皆さんから何か御質問、御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。では、関連3法が成立したというか、その報告で御確認いただいたということでよろしいでしょうか。ありがとうございました。

 では、本当にちょうど時間になりましたので、今日はこの辺で審議を終わらせていただきたいと思います。

 では最後に、次回以降の予定について、事務局から御連絡をお願いします。

【小谷教育制度改革室長】  本日は、3時間にわたる御審議ありがとうございました。資料も大部になっておりますので、本日一部でも全部でも郵送を希望される場合には、こちらの封筒に入れていただきまして、下の辺りにお名前を記名いただければ、事務局から後日郵送させていただきますので、よろしくお願いいたします。また、恐縮でございますが、教育振興基本計画と学習指導要領につきましては、また次回以降の審議でも使用させていただきますので、机上に残していただければと思います。

 次回の初等中等教育分科会の日程につきましては、分科会長と御相談の上、追って御連絡させていただきます。以上です。

【小川分科会長】  3時間にわたって本当に御苦労様でした。ありがとうございました。これで今日の会は終わりたいと思います。

―― 了 ――

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)

-- 登録:平成25年03月 --