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初等中等教育分科会(第72回) 議事録

1.日時

平成22年12月10日(金曜日)14時~16時

2.場所

三田共用会議所1階 講堂

3.議題

  1. 特別支援教育の在り方に関する特別委員会における論点整理について
  2. 今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について(答申案)について
  3. 幼保一体化について
  4. その他

4.議事録

【梶田分科会長】
 定刻になりましたので、まだ一、二、おいでになる委員の方はおられると思いますが、ただいまから第72回初等中等教育分科会を開会したいと思います。
 まず配付資料につきまして、事務局からお願いいたします。

【小谷教育制度改革室長】
 本日の配付資料は、議事次第にありますとおり、資料1から資料8まで、そして参考資料となっております。不足がございましたら、事務局までお申しつけください。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。それでは本日の議事に入りたいと思います。本日は、今の配付資料のリストを見ていただきますと分かりますように、本当にたくさん報告をしていただきます。御承知のように、第5期中央教育審議会、来年の1月の終わりまでということになっておりますので、この来年の1月の終わりまでに、今まで取り組んできたことにつきまして御報告もし、また、最終的に皆さんの御意見を伺って、終わりのところまでに何らかの形で皆さんの御意見を反映させたいということでございます。
 本日はまず、大きな御報告が3点ございます。特別支援教育について、それからキャリア教育・職業教育について、そして幼保一体化について、この3つの大きな報告を伺って、意見交換をするということになります。
 そしてその後、この初中分科会関係の会議が幾つか動いておりますし、また御承知のように、PISAの調査結果なども発表されました。あるいは文科省としてのヒアリングの動きなどもございます。これらについても報告していただくことになるかと思います。
 それでは最初に、特別支援教育の在り方に関する特別委員会が論点整理をしておられます。この件につきまして、座長の宮﨑先生及び事務局から御報告をお願いしたいと思います。宮﨑先生、お願いします。

【宮﨑委員】
 宮﨑です。ありがとうございます。資料2の「特別支援教育の在り方に関する特別委員会における論点整理(案)」を御覧いただければありがたいです。本初等中等教育分科会で、7月12日に設置をお決めいただきました特別委員会は、これまで、12月3日までに8回ほど開催をいたしました。初等中等教育分科会からも、青山委員、安彦委員、新藤委員、髙橋委員、向山委員に御参画いただいているところでございます。第8回会議におきましても、たくさんの委員の方々から大変たくさんの御意見をちょうだいいたしました。委員長として論点整理を取りまとめてよいということで一任をいただきまして、今調整をしている分もございますが、本日の資料には、第8回の議論の反映は、まだ今のところはされておりません。おおむね方向性は変わらないという御理解をいただいて結構かと思います。そこで、本分科会に御審議をお願いする次第でございます。
 私といたしましては、今回の論点整理につきましては、障害者の権利に関する条約の理念を基本に置きつつ、その理念を具現化するための具体的、現実的な対応をどのくらい現在の教育の現場が行えるか、実践できるかという視点を持って、特別委員会の各委員に検討をいただいたと理解をしております。今回の論点整理では、まず特別委員会として、方向性を出すことを重点としております。
 それにつきましては、1のところで、「インクルーシブ教育システム構築に向けての特別支援教育の方向性について」という形で整理をいたしました。
 次に、本年3月までに行われた特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議の審議経過報告、本年6月に内閣府でまとめられた障がい者制度改革推進会議の第一次意見といった議論のベースがあります。2番目に挙げております「就学相談・就学先決定の在り方について」は、具体的な方向性について示したというふうに思っております。
 それに伴う3の「インクルーシブ教育システム構築のための人的・物的な環境整備について」というところにつきましては、特別委員会において今後時間をかけて検討していくことが必要ということになっております。
 また、4の「教職員の確保及び専門性向上のための方策について」の部分は、現在、中教審に設けられております教員の資質能力向上特別部会の審議状況との兼ね合いで検討を進めていく必要があろうかと考えてございます。後ほど事務局から説明をしてもらいますが、私の方は大きく2点について御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、今回の特別委員会の1つの大きなポイントとして、インクルーシブ教育システムという障害者の権利に関する条約に掲げられている概念をどのように踏まえるかということでございます。
 3ページを見ていただければと思います。3ページの丸1のところにありますように、これは障害者の権利に関する条約の第24条の規定を抜き書きしているところでございますが、特別委員会におきましては、この第24条に関して、人間の多様性の尊重、精神的・身体的な能力を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加するとの目的の下、障害のある者と障害のない者が共に教育を受ける仕組みづくりというふうにとらえております。
 2ページの四角囲みの2つ目の丸でございます。特別委員会では、そのようなインクルーシブ教育システムにおいては、「同じ場で共に学ぶことを追求するとともに、特別な教育的ニーズのある児童生徒に対して、その時点で教育的ニーズに最も的確にこたえる指導を提供できる多様で柔軟な仕組みを整備することが重要。子どもの学習権を保障する観点から、通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった連続性のある「多様な学び場」を用意しておくことが必要」としております。
 5ページを御覧いただきたいと思います。5ページの(3)のところでございます。「インクルーシブ教育システムと地域性」の丸1と丸3では、地域資源と教育資源の活用といった概念を盛り込んでおります。インクルーシブ教育システムを支える仕組みとして、先ほど触れました多様な学びの場とともに、特別委員会といたしましては、障害のある子どもに対応するため、一定規模の地域内で、その地域の持っている地域資源と教育資源を組み合わせて、有効に活用し、障害のある子どもの教育的ニーズにこたえていく仕組みが必要と考えております。
 2つ目は2の「就学相談・就学先決定の在り方について」でございますが、7ページを御覧いただきたいと思います。就学先の決定につきましては、就学基準に該当する障害のある子どもは、特別支援学校に原則就学するという従来の就学先決定の仕組みを改め、障害の状態、教育的ニーズ、本人・保護者の意見、専門家の意見聴取などにより、総合的な判断をするのですが、その際には、本人・保護者に対して十分な情報提供をしつつ、本人・保護者の意見を最大限に尊重し、本人・保護者と教育委員会、学校等が教育的ニーズと必要な支援について合意形成を図り、最終的には市町村教育委員会が決定するという仕組みが適当であろうと整理をしております。
 この場合に、本人・保護者と教育委員会、学校等の意見が一致しない場合の調整の仕組みが重要になってこようかと思います。また、早期からの教育相談のところにありますが、対峙的なものではなく、円滑に合意形成を図る観点から取り組まれることが重要だと考えております。また、国、地方公共団体が責任を持って教育を実施するという日本の制度からすれば、教育委員会が最終的に決定するということが適当と考えられます。さらに、就学先は、一度決められたら変えられないということではなく、柔軟なものだということを明記いたしました。そのためには、例えば9ページの丸3を御覧いただきたいんですが、そこにございますように、定期的に教育相談や個別の教育支援計画に基づく関係者による会議を開催することや、就学相談の初期の段階で就学先決定に係るガイダンスを設けることが考えられる、と述べさせていただいております。
 以上、簡単ですが2点にわたって私の方から要点だけお話をさせていただきました。

【梶田分科会長】
 はい。ではお願いします。

【千原特別支援教育課長】
 特別支援教育課長の千原でございます。主なポイントは、ただいま宮﨑委員長から御紹介がありましたとおりでございますけれども、事務局から若干つけ加えさせていただきたいと思います。
 まず1ページでございます。「はじめに」でございますけれども、ここには今回、本分科会の下に特別委員会を設置していただいて、議論をしていただいた背景、経緯が記されてございます。
 恐縮ですが2ページをおめくりください。こちらは「1.インクルーシブ教育システム構築に向けての特別支援教育の方向性について」ということでございます。この下に四角囲みが書かれておりまして、ここがそれぞれの項目のポイントということになってございます。1つ目の白丸ですけれども、特別委員会といたしましては、インクルーシブ教育システムの理念と、それに向かっていく方向性には賛成、ということを打ち出しておられます。
 またその上で、委員長が触れられましたように2つ目の白丸でございますけれども、特別な教育的ニーズのある児童生徒に対して、その時点で教育的ニーズに最も的確にこたえる指導を提供できる多様で柔軟な仕組みを整備することが重要というような方向感を打ち出してございます。
 また3つ目の白丸でございますけれども、「障害のある子どもと障害のない子どもが共に学ぶことは、共生社会の形成に向けて望ましい」、また、「個人の価値を尊重する態度や自他の敬愛と協力を重んずる態度を養うことが期待できる」というふうになっております。
 また、4つ目の白丸ですが、今後の進め方ということで、「短期と中長期に整理し段階的に実施していく必要がある」としておりまして、ここのところについては、3ページの丸6のところで、具体的に記述がなされているところでございます。時間の関係で省略をさせていただきます。
 次に7ページを御覧ください。「2.就学相談・就学先決定の在り方について」のところでございます。四角の囲みの中の1つ目の白丸でございますけれども、「一人一人の教育的ニーズを保障する就学先を決定するため、また、本人・保護者、学校、教育委員会が円滑に合意形成を図るため、障害のある子どもの教育相談・支援を乳幼児期を含め早期から行うことが必要」ということでございます。このことによって、本人・保護者に十分な情報を提供し、信頼関係を醸成していく、また、早期からの対応あるいは個別の教育支援計画の作成につなげていくということを指摘されているところでございます。
 また2つ目の白丸、3つ目の白丸は、先ほど委員長が御指摘をされたとおりでございます。
 また4つ目の白丸は、市町村教育委員会が障害のある子ども本人・保護者に対して十分な相談・情報提供ができる体制を整備する、また、都道府県教育委員会は、その支援のために専門的な相談・助言機能を充実・強化するということが大事だという御指摘をされてございます。
 また、12ページを御覧ください。「3.インクルーシブ教育システム構築のための人的・物的な環境整備について」でございます。1つ目の白丸でございますが、「発達障害も含め、特別支援教育の更なる環境整備が必要」ということでございます。その下の「現状と課題」のところにもございますけれども、通常の学級には発達障害のある子どもを含めて、教育的ニーズの異なる様々な障害のある子ども、あるいは学習面又は行動面で困難を抱えている子どもが学んでいるということが推測されていて、十分な支援がなされていない場合があるということで、人的・物的な環境整備を行うことが課題であるという認識を示された上で、指導方法の充実、人的・物的な環境整備、現場での意識改革等、これは13ページの(1)、丸1のところの冒頭のところですが、そういったことを総合的に進める必要があるとされてございます。
 また少し戻りまして、12ページの四角囲みの中の2つ目の白丸でございますけれども、「合理的配慮については、今後、障害種ごとや、ソフト・ハードの両面から検討をしていくことが必要」ということで、ここは半年弱の、現在までの御議論でございますので、十分御議論いただけなかったということもありまして、今後の検討課題となってございます。
 また、3つ目の白丸は、いわゆる交流及び共同学習の一層の促進の必要性ということでございまして、例えば現在、東京都あるいは埼玉県で行われているような、副次的な学籍を持たせるといった一層の工夫の必要性について指摘をされております。
 また4つ目ですが、これは特別支援学校のセンター的機能を一層活用することが必要ということでございまして、具体的にはページをめくっていただきまして、15ページ、(4)のところに「特別支援学校のセンター的機能の活用」ということでまとめをされてございます。
 最後に16ページでございます。「4.教職員の確保及び専門性向上のための方策について」ということでございますが、四角の中にありますように、インクルーシブ教育システムの構築のため、教職員の確保や教員の専門性の向上を図るための具体的方策ということで、大学での教員養成の在り方、現職教職員の研修体系、採用・配置などについて今後検討していくというふうになってございます。
 本件につきましては、特別委員会の方でも様々な御意見、御議論がございました。委員長から御指摘がございましたように、教員の資質能力向上特別部会での御議論との兼ね合いで、今後検討を進めていかれると承知しております。
 以上で説明を終わらせていただきます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。今御説明いただきましたように、インクルーシブ教育という理念を大事にして、この理念の上に立って、具体的にこれから学校教育をどう前進させていったらよいかということで、いろいろと御議論をいただきました。今の段階で方向付けをまとめようということで、この論点整理が出されております。これは最終決定ではございませんけれども、非常に重要な方向付けでありまして、いろいろな議論をこういう形でまとめていただいたということでございます。
 これは大事なことでございますので、あまり時間はありませんが、もし皆さんの方で御意見があれば、ここで御発言いただきたいと思います。いかがでしょうか。
 何人かの初中分科会の委員の先生は特別委員会に出ていただいておりますが、委員の先生方で、もし何か補足的な御発言があればと思いますが、いかがでしょうか。はい、じゃ、渡久山先生。

【渡久山委員】
 いろいろ御説明、あるいは検討をどうも御苦労さまでした。確かに今、梶田先生からありましたように、あるいは宮﨑先生からありましたように、これは障害者の権利条約の国内批准ということを前提にして、じゃあ国内での体制をどうとるかということが、非常に大きな原則課題ですよね。そういう意味では、一つ大きな問題としては、やっぱり国内法の改正というもので、今、もちろん内閣でも議論されているようですけれども、ほとんど改正されないでいいのかという面では、例えば特別支援学校の目標や目的について、今は触れられていませんが、それはどうなのかという問題があると思うんです。これは今後の検討課題として、是非とも検討していただいて、やっぱり日本も障害児や障害者の教育について、きちんとした取組ができるような国にしていくということが大事ではないかと思います。
 そういうことを前提にしながら、一、二、お願いをしたいと思うのは、一つはやっぱり、障害児の子どもたちの在籍をどうするかという問題がありますよね。だから今、今まで検討してきたものの中に、例えば通常の学級に在籍することを原則とするのか、そうじゃなくて今の多様性の中でなのか、あるいはここに書いていますように、今後そういうことについて検討するという課題になっていますから、この辺の部分についてはやっぱり一つの課題ではないかなという気がいたします。
 それからもう一つは、就学先決定です。これは宮﨑先生もおっしゃっていたように、最終的には教育委員会が決定する。これは教育行政上必要な措置ですよね。だがしかし、たまたま今までは、教育委員会が、別に横暴とは言いませんけれども、結局、同意をあまり得られていない中でも、いわゆる便宜的に決定せざるを得ないという幾つかの課題もあったように感じています。
 ですからそういう場合に、やっぱり教育委員会が決定することを前提にしても、万が一親や子どもの同意を得られない場合の決定の仕方の第三者機関みたいなものができるかどうかですね。これは何かというと、障害児や障害者の権利を守るためにどうするかというわけですから、単なる行政のニーズだけでは決定できない部分もあるのではないかという気がいたしますので、そういうことを是非お願いしたいなと思います。
 これは最後の問題ですが、条件整備の問題です。ここにもいろいろ書かれています。やっぱりこの特別支援教育の場合は、人的資源が非常に必要だと思います。ですからサポートするための教職員の数を徹底的に増やしていくということが一つと、もう一つは、やっぱり今、特別支援学校はある程度、施設設備もバリアフリーになっていますよね。しかし、もしも通級とかあるいは普通学校、普通学級に子どもたちを受け入れるとすれば、やっぱり普通学校にもっと設備の改善が必要だと思うんです。
 ですから例えば、僕なんかも現場でいたときに、今はもう何十年もたっていますから分かりませんが、障害を持った教員が5階建ての建物に、エレベーターもない高校でしたが、いたんですね。そういうことであっちゃいけないわけですよね。だから、生徒が逆に下りてきて授業を受けるという形をとっていたんですが、果たしてそれでいいかどうかです。だからやっぱり普通学校も、もっとバリアフリーの観点を入れて、設備制度の改善に努力してもらいたいと要望したいと思います。
 以上です。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。ほかにいかがでしょう。じゃ、まず角田先生。

【角田委員】
 ありがとうございます。この理念につきましては、今もずっと説明があったとおりでございますので、これはもう守っていかなければいけない大事なことだろうと思います。
 7ページのところに、「就学相談・就学先決定の在り方について」というところがございますけれども、乳幼児期の早期から支援について行うことが必要であるという記述がございます。これは全く賛成なんですけれども、今幼保一体化の話があって、今後どうなるかわかりませんけれども、小学校に入ってくる段階で教育委員会がどれだけ把握ができているかということについて、幼稚園の場合には可能だけれども、それが私立の幼稚園であったりあるいは保育所であったりする場合には、なかなかそういうことが入ってこない。
 したがって、受け入れるときの体制が十分にできていない、お子さんの一人一人の状況がつかめないままに小学校で迎えなければならない。これは子どもにとっても学校にとっても大変大きな負担になるわけでございますので、是非そういうところでの、文言では早期から行うことが必要であるというけれども、今の体制で、あるいはこれから幼児教育がどうなるかということを含めて、どういうシステムをとれば、そういうことがスムーズに上がってくるのか。この辺のところを更に御検討いただければありがたいと思います。
 それからさらに2番目のポツのところの、継続的な指導といいましょうか、相談ということなんですけれども、これも現在もそういうことで行われようとしているわけですが、実際には、一度決定をすると、その決定が途中で変更になるということがなかなか難しい状況にあります。
 それはなぜそういう状況にあるのかというと、結局は、子どもにとってどちらがいいのかということについての考え方が、必ずしも学校や教育委員会や、あるいは保護者の方とで一致しないところに問題点が出てくるんだろうと思いますので、是非その辺を、場合によっては教育委員会、学校でなしに第三者のそういう人たちが、きちんと認定をしながら措置をどうしていったらいいのか、その子どもにとってどうすればいいのかという視点で、きちんとお話し合いができるシステムについても、是非お願いをしたいと思います。
 それから3点目ですが、最後になりますけれども、今もお話がありましたように、条件整備というものが欠かせないことだと思います。ただ、こういう答申が出ると、いつからスタートするかということが、体制が十分整わないうちに答申が出たんだからすぐいくんだという論調が、つい多くなってくる感じがしますので、その辺のところの、閣議決定をしているわけですから、もう即スタートということになろうかと思いますが、条件整備との兼ね合いを十分考えた上でスタートを決めていただけるとありがたいなと思います。
 以上でございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。では佐々木委員、お願いします。

【佐々木委員】
 障害者の教育ということを考えていく際に、このインクルーシブ教育という概念は、本当にこういう視点で改善、改良していくのは正しい、いいことだと思うんですけれども、ちょっと視点を逆にして、インクルーシブ教育ということだけを考えると、これは当然障害者だけをインクルーシブしようという概念ではないはずで、インクルーシブ教育というのは様々な、多様な人たちをどうやって教育の現場に受け入れていくのかということだと思うんです。
 30ページのパーセンテージを見ますと、特別支援教育の恩恵を受けている障害のある子どもというのが、イギリスで20%、アメリカで11%、日本で2%というのを見ると、圧倒的に少ない。そうすると、インクルーシブ教育ということを考えたときに、だれをインクルーシブするのかをいちいち考えていくという概念を、もしかしてそもそも捨てなくてはならず、多様な人を受け入れるという教育概念――障害者の視点からではなくて、インクルーシブ教育という概念からすると、それはもう教育全般に入れていく必要もあるのではないかなと思います。
 経済界でいうと、グローバル企業は、今、ダイバーシティー・アンド・インクルーシブの経営を取り入れていこうということが、世界的にここ10年、20年なっていますが、このときには、男女の性別だけでなく、年齢や国籍や宗教や、それから同性愛とか、そういうような性的な嗜好までも含んで、各企業の中に担当役員がいて、就職の採用であったり、研修であったりということをやってきているわけなんです。なので教育の現場でせっかくのインクルーシブ教育という言葉が出てくるわけですので、そちらの概念がもっと幅広く、教育全般に使われていくことを期待したいと思います。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。本当は障害というよりは、ダイバーシティーという方が、私は今の時代いいんじゃないかと思います。だからダイバーシティー・アンド・インクルーシブなんですね、多分、教育においても。はい、ほかにいかがでしょうか。
 私は方向性については、初中分科会から異存はないと思います。ただ、具体的にどの辺りを仕組みとして工夫するかとか、あるいは人や施設設備の充実を財政的にどうバックアップしてもらえるかとか、そういう具体の問題はまだ残ると思います。これは論点整理の段階ですので、本日はこの辺りにしまして、中央教育審議会の総会が今月下旬にございますので、この論点整理の内容につきまして、今日も出ました先生方の御意見を十分に踏まえた上で私から報告させていただきます。ありがとうございました。
 それでは、次の議題に参りたいと思います。キャリア教育・職業教育特別部会が設置されて、もう2年近く審議されてまいりました。田村先生がこの特別部会の部会長としてやってきておられますし、木村先生も副部会長として参加されております。それからこの分科会からもたくさん委員の方が参加されているわけですが、今のところでどういうふうになっているか。ほぼまとまってきておりますので、これにつきまして、まず、事務局の方から御報告いただきたいと思います。お願いします。

【山下生涯学習企画官】
 よろしくお願いいたします。生涯学習政策局政策課の山下でございます。
 それでは、お手元の資料3「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」と題した資料を御覧いただきたいと思います。また、参考資料といたしまして、先月29日の特別部会で配布した答申案の本体も、お配りさせていただいております。
 今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方についてでございますが、平成20年12月に、文部科学大臣より諮問を受けまして、その後、総会の下にキャリア教育・職業教育特別部会を設けまして、先ほど分科会長からも御紹介がございましたが、田村部会長、木村副部会長の下で、これまで約2年間にわたって、30回にわたる審議を行ってまいりました。
 その間、平成21年7月には、第一次の審議経過報告をまとめ、それから平成22年5月には、第二次審議経過報告をまとめ、初等中等教育分科会におきましても御報告をさせていただいたところでございます。
 その後、本年の夏以降は、高等教育段階におきまして、幾つか検討課題がございましたので、そちらの方について集中的に審議をし、先月29日の特別部会におきまして、答申案として大筋の了解を得たところでございます。
 資料3の1ページ目でございますが、まず「キャリア教育・職業教育の課題と基本的方向性」ということで、1の「若者の現状」ということでございますが、現在の若者につきましては、「学校から社会・職業への移行」について、大きな困難に直面しているということが指摘されてございます。そこの枠囲みにもございますように、若年者の完全失業率が約9%で、全年齢の平均の2倍近く、あるいは非正規雇用率が約32%、無業者が約63万人、そして早期離職者が高卒4割、大卒3割という状況にございまして、社会全体を通じた構造的な問題が存在しているということが言われております。
 そうした中でこうした若者の現状を改善していくためには、社会全体として取組を行っていかなければいけないわけでございますが、特に学校教育におきましては、社会的・職業的自立に向けた能力等を養っていくために、キャリア教育・職業教育を充実していかなければいけないと提言されております。
 そして、右側に「キャリア教育・職業教育の基本的方向性」ということで、まずキャリア教育については、幼児期の教育から高等教育まで、発達の段階に応じ体系的に実施をしていくこと、それから、その下にございますように、様々な教育活動を通じ、基礎的・汎用的能力を中心に育成をしていくこと、また、職業教育につきましては、実践的な職業教育、実践力を養っていくような教育を充実させていくこと、それから、職業教育の意義を再評価していくことが必要だといったこと、加えて生涯学習の視点に立ったキャリア形成支援ということも重要ということが基本的方向性として示されております。これらについて、学校を中心としながらも各界が各々の役割を発揮し、一体となった取組が必要であるということが提言されております。
 次に、2ページでございますけれども、こうした基本認識の下、「発達の段階に応じた体系的なキャリア教育」ということで、ここでは幼、小、中、高、大までを通じたキャリア教育の基本的な考え方や、各学校段階のポイントについて示させていただいておりまして、特に左側の(1)、基本的な考え方というところでは、キャリア教育については、マル1にございますように、社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる能力・態度を育成する、幼児期の教育から高等教育までの体系的な取組が必要であるとか、あるいはマル2にございますように、子ども・若者一人一人の発達状況の的確な把握ときめ細やかな支援、それからマル3にございますような、能力・態度の育成を通じた勤労観・職業観等の価値観の自己形成・自己確立といったところが重要であるということを基本的な考え方と位置づけつつ、(2)にございますような充実方策といたしまして、教育方針の明確化と教育課程への位置づけ、重視すべき教育内容・教育方法と評価・改善、それから教職員の意識・指導力向上と実施体制の整備などが提言されております。
 さらに、右側には、各学校段階の推進の主なポイントを示させていただいておりますが、その中で特に、後期中等教育修了までに、生涯にわたる多様なキャリア形成に共通して必要な能力や態度を育成し、また、これを通じて、勤労観・職業観等の価値観を形成、確立していくことが重要、などということが提言されております。
 さらに、3ページにおきましては、とりわけ後期中等教育においては、キャリア教育のほかに職業教育が入ってくるわけでございますけれども、その具体的な取組などについてまとめさせていただいております。左側におきましては、特にそれぞれ後期中等教育の各学科等における課題等を整理させていただいて、さらに右側のところでは、各学校段階の推進の主なポイント、あるいは具体的な施策の方向性といったところを示させていただいております。
 その中で、高等学校、特に普通科におけるキャリア教育ということで、1つ目のポツにございますように、キャリア教育の中核となる教科等の明確化の検討を図っていくということ、それから2つ目のポツにございますように、就業体験活動の効果的な活用といったこと、それから、進路指導の改善・充実といったことがここでは提言されてございます。
 さらに、その1つ下でございますけれども、高等学校専門学科における職業教育ということで、1つ目のポツにございますような、基礎的・基本的な知識・技能の定着と問題解決能力等の育成、あるいは最後のポツにございますように、特に専攻科の在り方と高等教育機関との接続ということで、設置基準の明確化、高等教育機関への編入学等の検討といった事項についても提言がなされてございます。
 それから最後のページ、こちらは参考でございますけれども、高等教育におけるキャリア教育・職業教育につきましても提言がまとめられてございまして、1の(1)の「課題」にございますように、高等教育については約8割が進学していて、しかも社会に出る直前の教育段階ということで、同様にキャリア教育・職業教育の充実を図っていかないといけない。
 その中で、特に3にございますように、高等教育の段階において、職業実践的な教育に特化した新たな枠組みを検討していくことにつきましても提言をいただいておりますので、御参照いただければと思います。
 私からの説明は以上でございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。以前にもこの分科会で、審議経過の報告について御意見を伺いました。いよいよ、これは答申ということで、総会で、今ここに出ているような形でのまとめを出していっては、という運びになっております。ということで、皆さんの方でこれだけは、ということがございましたら、御発言いただきたいと思います。天笠先生。

【天笠委員】
 今御説明いただきました、そしてこの答申案としてまとめられた基本的な方向性あるいは含み込まれた考え方、理念は、是とさせていただきたいと思います。その上でありますけれども、これが具体的になったときに、この記述にもありますように、教育課程における在り方ということと、どうしても関係せざるを得なくなってくる。理念とかそういうものはわかりますけれども、これがそれぞれの学校の具体的な教育活動の場にいったときには、どうしたって教育課程という形の中での位置付けというんでしょうか、そういうものが課題になってくるわけであることはもう皆さんお分かりのとおりだと思います。けれども、その辺りのところについての言及というんでしょうか、教育課程全体がキャリア教育なんだという、確かにそれはそれでよくわかるわけなんですけれども、そういうことと、ここにありますように中核となる教科等の明確化という辺りのところをどんなふうに詰めていかれるのかどうなのか。その辺のところについて、更に御検討というんでしょうか、詰めていただきたいなと思っております。
 そういう点においては、私は研究開発学校の積極的な活用というんでしょうか、研究的な開発を進めながらその在り方を探っていくというのが基本的な方向としていいのかなと思っております。
 このテーマを研究開発学校がそれぞれ引き受けていただいて、そしてその中で検討しながら、より成案を得ていくとかいうところの中核となる教科の在り方あるいは教育課程の在り方等々を進めていただくという、そういう意味において、この提案は改めて研究開発学校の充実、あるいは研究開発学校の発展的な展開ということをあわせて期待したいと思います。そういう意味で、この答申の中で、その辺りのところについて、御検討いただくとか言及いただくということもお願いしたいなと思います。
 以上です。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。今のお話は非常に重要な御提案です。研究開発学校、今枠が広がっておりますので、初中局の関係のところでまた御検討いただければと思います。
 それでは、大嶺先生。

【大嶺委員】
 私も天笠先生のおっしゃるとおり、教育課程の中にどう位置づけていくのか、ここがポイントかなと思います。キャリア教育をしっかりと根付かせていくために、特別活動とか、あるいは総合的な学習の時間に位置付けてやっていくというのが通常あるわけですけれども、それ以上にやはり、私は義務教育の方ですけれども、キャリア教育を通して子どもたちがその理念を自分自身の心の中にしみこませていくということと同時に、行動の変容となって変わっていく。そこまで持っていくためには、やはり日常的な取組、キャリア教育の視点に立った教育活動というのがとても大切かなと思います。
 そのためには、各教科や科目において、キャリア教育の視点を置いて、授業をどう組み立てていったらいいのか。その辺のところまで考えていかなければいけないんだろうなと思います。そうなってくると、キャリア教育をしっかりと指導して、そういう視点を持って、授業を組み立てていけるような力を持った教師でなければいけないだろうなと思います。教師がよく言われますように、あんな人間、大人にはなりたくないやなんて子どもが言う場合がありますよね、反面教師のような。ですから、やはりそれなりにちゃんとした生き方、キャリア教育という形でしっかり教えていける教師としての研修が必要になってくるだろうなと。これが2点目です。
 それから3点目は、ここにはどこか書いてあるんでしょうか。やはりキャリア教育をやっていくに当たっては、保護者や地域の方々との連携は絶対不可欠だと思います。保護者の方、地域の方というのが、学校教育の中に一緒になって入ってくる。そういう方々の姿を見ていて、子どもたちというのは学んでいく部分がたくさんあるんです。それがキャリア教育につながっていくだろうと。いわゆる人間力とか社会力、生きる力、そういうところをやはり大人が子どもたちにかかわることによって、学びとっていくというところがたくさんありますので、是非とも地域との連携の部分というのも書き込んでいただければありがたいなと思います。
 以上です。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。じゃ、佐々木先生。次に渡久山先生で。

【佐々木委員】
 ありがとうございます。1つは、答申の中にどういう言葉を入れるかちょっとまだわからないんですけれども、キャリア教育というものを実際やっていくときには、今のお話にもありましたように、現場、職業を持っている、外で働いている大人たちがどんどん教育の現場に入れるという仕組みをつくるということに尽きると思いますので、これを積極的に様々な機会で、保護者やほかの大人たちが入っていけるようにしていくのが一番いいかなと思います。
 それからキャリア教育というのは、どんな職業につくかとか、どうやってお金を稼ぐかということではなくて、自分がどうやって社会に貢献するかだということを、小さいときから教えていただきたいと思っています。小さいときから、将来何になりたい?というのを、意外と保育所や幼稚園、小学校の現場でも耳にするんですが、何になりたいかというよりも、どう貢献したいかということを先生方に教えていただく、働く人の志というものを育てるようにしていきたいと思っています。
 それから1点、「学校から社会・職業への移行」が円滑に行われていないという文字を見るとちょっと気になるのが、今、私を含め何人かが問題だと思っていることが、新卒者の一括採用というんですか、全員が大学3年で就職活動をするという、ここのところの問題です。日本特有の新卒でなくてはならない、だから就職できない。学校に授業料を払って留年してまで新卒というものをねらうという、異様な就職活動と就職へのシステムというか、概念というんですか、ここを是非壊していただきたい。なので、貢献するということを考えるわけですけれども、必ずしも大学4年ですぐに就職できなくても、そのほかの勉強をしてから戻ってくることの有意義さや、社会が受け入れる、企業側はそうなってきているので、学校側も教えるときに、就職できないと困るわよみたいな発言がないといいなと思っております。

【梶田分科会長】
 はい、ありがとうございます。では渡久山先生。

【渡久山委員】
 学校のカリキュラムの問題もいろいろあると思うんです。今ありましたように、それから兵庫県で、梶田先生も御承知の、トライやる・ウィークというのを作って、やっぱり子どもたちが実際会社に行ったり地域に出て、大人の生活を体験する。あるいは会社の動きをきちんと体で覚える。こういうのもありますし、総合的な学習の時間等を作って、カリキュラムの中でも努力をしてきたと思います。
 また学校教育のシステムとしても、例えば高等学校は非常に多様化してきましたよね。それから高等専門学校を作ったりしてきました。もちろん大学も非常に多様化して、いろいろな学科ができている。そういうような教育行政としての努力というのは、今までもやられてきたと思うんです。ただしかし僕の感じとしては、ここにも指摘されておりますように、失業率が非常に高い、就職ができないというのは、ひょっとすると学校の限界かもしれないですね。だから学校だけではできない。学校の限界というものがあるような気がするんです。
 例えば今でも、100%就職を誇っている大学もありますし、高等学校でもほとんど就職するところもあるんです。ですから学校自身の努力もないわけではないでしょうけれども、ここにも指摘されていますように、社会全体を通じた構造的な問題というのがどうしてもあるような気がします。ですからこれを解決しなければ、今の子どもたちには希望がない。勉強したって、就職ができないんじゃないかという子たちですね。
 例えば大学の2年生が3年生になるときに、そんなに専門教育を受けても就職先があるかないか、わからない。それならできるだけ早く出て、何らかの形で職業を身に付けた方がいいとかいうような、非常に今の子どもたちに希望がない。そういうことを考えますと、学校教育の限界というものを我々は逆にきちんと理解して、ここの資料の3の1ページの右手側にありますように各界の役割、それぞれの任務を指摘し、啓発をして、一体となって取り組むということをどういう形で進めるのかというようなことを、大所高所から考えていかなくてはいけないだろうということで、やっぱりこれに対してプラスして、そういうようなものもひとつ今後、中教審で議論しているときには、そういう社会にアピールするというようなことも大事じゃないかなと思います。
 以上です。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。それでは、今日はこの辺りにいたしますが、今、各委員の先生方から出ました御指摘、これが答申としてまとまった後、これを踏まえて実際に行政の中でこなしていただくときに、また十分御参考にしていただきたいと思います。特に最後に出ました、今年は大学卒の就職内定率がまだ五十何%しかないと。異常な状態なんです。つまり求人がなければ就職できようがないわけでして、そういう中で、どこの大学でも今は本当に頭を悩ましておられるということもございます。そういう全体的なトータルな仕組みの在り方みたいなものも、文科省としてまた御発言を続けていっていただければと思います。
 それでは、急ぐようですが、次の議題に移りたいと思います。幼保一体化につきまして、濵谷幼児教育課長から御説明をお願いいたします。

【濵谷幼児教育課長】
 幼児教育課長でございます。それではお手元の資料4-1、4-2に基づきまして御説明をさせていただきます。前回の本分科会におきまして、これまでの幼保一体化の経緯と、それからワーキングチームができまして、そこでこれから検討することになるということを御報告をさせていただきましたけれども、本日はそのワーキングチームにおける資料について御説明をさせていただきます。まずワーキングチームにおきましては、そもそも幼保一体化の目的とは何だろうかということ、それに基づいて具体的にはどのような案が考えられるんだろうかということで議論をしてまいっております。
 まず資料4-1、「幼保一体化の目的について(案)」でございます。おめくりいただきまして、6ページでございます。これは前回の本分科会におけます資料とほぼ同じでございますけれども、これまでの幼児教育の振興と次世代育成支援改革の流れを図示したものでございます。おさらいでございますが、幼児教育の振興につきましては、中教審、教育基本法、学校教育法の改正などにおきまして、幼児期の教育が生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであることが新たに規定され、この中には保育所、家庭、地域における教育も幅広い概念として規定されたこと。それから幼稚園から大学までの体系的・組織的教育の確保が必要なことなど、あるいは家庭・地域・幼稚園等、三者が連携しながら幼児教育を手を携えて進めていくべきこと、小学校との接続を中心とした体系的な教育を図るべきことなどが幼児教育の振興の流れであるわけでございます。
 一方で、次世代育成支援改革につきましては、一番下でございますけれども、保育制度改革を中心に育児休業から保育、放課後対策までの切れ目のないサービス保障ということで、社会全体で子育てを支えていくという流れがございます。また、その両方の流れをくむものといたしまして、認定こども園の創設やその改革の流れがあったわけでございます。こういった流れを踏まえまして、平成21年度になりまして、この1月の子ども・子育てビジョン、あるいは6月の基本制度案要綱におきまして、こども園(仮称)に一体化するといったことが決定されているわけでございます。
 7ページでございます。このように、これまでの幼保一体化の取組につきましては、流れを整理しますと大きく3つの視点があるのではないかということでございます。第1点目といたしましては、仕事と子育ての両立のための支援が進みまして、就学前の子ども(5歳児)の約6割が幼稚園から小学校に入学する一方で、保育所からも約4割の子どもが小学校に入学する中で、幼稚園・保育所を問わず、希望するすべての子どもに対し、生涯にわたる人格形成の基礎である質の高い幼児教育・保育を保障するという、主として幼児教育の振興の視点。
 それから2点目といたしましては、仕事と子育てを両面で支援するなど、社会全体で次代を担う子どもの育ちを支えるという、主として次世代育成支援の視点。
 それから3点目といたしましては、これは幼児教育の振興・次世代育成支援共通でございますけれども、家庭や地域の教育力・子育て力が低下している中で、また保護者の多様なニーズがある中で、家庭や地域の実情、保護者の多様なニーズ等に応じ、希望するすべての子ども、あるいはすべての子育て家庭を支援するという共通の視点、計3つの視点があるということではないかということであります。
 8ページでございますけれども、こういった3つの視点を踏まえれば、目的については3つに整理できるのではないかということでありまして、1点目は幼児教育の視点でございますが、世界に誇る質の高い幼児教育・保育を希望するすべての子どもに提供するという視点、目的。2点目といたしましては、支援を必要とするすべての親子がすべての地域であらゆる施設において支援を受けられるようにという視点、目的。それから3点目といたしましては、男女が共にあらゆる場面で活躍できる社会を目指し、女性の就労率向上や多様なニーズに対応する保育の量的拡大を図る。こういう3つの目的に整理できるのではないかということでございます。
 こういった目的を踏まえまして、こども園(仮称)について具体的にどのような案が考えられるかというのが資料4-2でございます。「こども園(仮称)について考えられる複数案(案)」ということでございます。
 1ページおめくりいただきまして、目次とございますけれども、6月の基本制度案要綱におきましては、幼稚園、保育所、認定こども園を、こども園(仮称)に一体化すると決定されているわけでございますけれども、そのこども園(仮称)についての具体的な在り方についての5案でございます。
 まず、全案共通のものといたしましては、いずれにいたしましても、子ども・子育て新システムの給付制度におきまして、前回申し上げましたけれども、幼保一体給付ということで、幼児教育、保育を共通した給付体系にする給付システムによりまして、一体化施設に移行するための財政的なインセンティブを与えていくということでございます。その上で具体的な幼稚園、保育所と施設の在り方について複数案があるということであります。
 まず案の1でございますけれども、これは新システム全体が平成25年度実施を目指すということで、すべて25年度実施ということを前提にいたしておりますが、25年度に新たにこども園(仮称)制度を創設するということであります。こども園(仮称)につきましては、幼児教育・保育、家庭の養育支援を一体的に提供する施設とするということでありまして、今で言いますと認定こども園のような総合機能を持った施設を25年度に創設するということでございます。
 現行の幼稚園制度・保育所制度につきましては、法律上一定期間後、10年程度のめどということでございますけれども、一定期間後に、すべてこども園(仮称)制度に移行するというのが案1でございます。
 それから案2でございますけれども、これは平成25年度に新たにこども園(仮称)制度を創設するというのは案1と共通でございますけれども、このこども園(仮称)につきましては、いわゆる総合施設のみならず、幼児教育のみを提供する施設、保育のみを提供する施設など、多様な類型を設けるということでございます。そういたしますと、機能といたしましては、現行の幼稚園あるいは保育所の同じ機能のままで、いわば25年度にはこども園(仮称)に移行できるということでありまして、現行の幼稚園制度・保育所制度につきましては、法律上25年度にすべてこども園(仮称)制度に移行するということでございます。
 それから案3につきましては、平成25年度に新たにこども園(仮称)制度を創設すること。それからこども園(仮称)については、いわゆる総合施設、一体的施設であるということについては、案1と共通でございます。ただ、施設の機能といたしましては、多様な施設が残るという考え方でございまして、こういったこども園(仮称)のほかに幼稚園制度・保育所制度も存続するという案でございます。
 それから案4につきましては、今まで案3までは新たにこども園(仮称)という施設を作る前提でございましたけれども、案4につきましては、新たな施設ということではなくて、いわば新システム法上の指定施設とありますけれども、新たな給付を受けるためのいわば施設、名称といたしまして、こども園(仮称)というものを創設するいうことでございます。いわば幼稚園、保育所は、幼稚園であり保育所であり、こども園であるという、二枚看板的な位置付けということであります。現行の幼稚園制度、保育所制度については存続ということでございます。
 それから最後に案5でございますけれども、平成25年度に新たにこども園(仮称)制度を創設すること、それからいわゆる一体的施設であることは案1、案3と共通でございますけれども、保育所につきましては、幼児教育を普遍化するといいましょうか、学校教育を保育所の中にも正式に位置づけるという観点から、法律上一定期間後にすべてこども園(仮称)制度に移行するという案でございます。一方で幼稚園につきましては、財政的なインセンティブを通じて、こども園(仮称)制度に移行するよう、政策的に誘導するということでございますけれども、制度といたしましては、幼稚園制度は存続という案でございます。
 2ページでまずその前提でございますけれども、2ページの1つ目の※でございますが、この案の前提につきましては、現行の認定こども園と同様に、満3歳未満児の受入れを義務付けているという案ではございません。満3歳未満の子どもの受入れについては、種々いろいろな論点がございまして、その場合にはこの案で示すスケジュールとすることは困難ではないかと考えております。
 具体的なイメージといいましょうか、案が3ページからでございます。かいつまんで申します。案の1で申しますと、平成25年度にこども園(仮称)制度を創設すること、一体的提供施設であることは先ほど申し上げたとおりでございますけれども、このこども園(仮称)の位置付けでございますけれども、こども園(仮称)については、学校教育法上の1条学校、それから児童福祉法上の児童福祉施設、社会福祉法上の第2種社会福祉事業ということで、いわば複合的な性格を持つ施設ということであります。先ほど申し上げましたけれども、案の1については、幼稚園・保育所はすべてこども園(仮称)制度に移行するという案でございます。
 それから案2につきましては、先ほどと同じでございますが、こども園(仮称)制度を設けるわけでございますが、多様な類型を設けるという案でございまして、平成25年度にはすべて幼稚園・保育所はこども園(仮称)に移行するということであります。
 それから5ページでございますけれども、案の3につきましては、新たにこども園(仮称)制度を創設し、こども園(仮称)は一体的施設でありますけれども、現行の幼稚園・保育所制度は存続し、財政的なインセンティブによりまして、各施設が一体的機能を果たし、こども園(仮称)に移行するよう政策的に誘導していこうという案でございます。
 案の4につきましては、先ほど申し上げましたけれども、幼稚園・保育所は存続し、その上にといいましょうか、新システム法上の指定施設として、いわば二枚看板的にこども園(仮称)を創設するという案でございます。
 それから案の5につきましては、保育所はすべてこども園(仮称)に移行、幼稚園についてはこども園(仮称)制度に移行するよう、政策的に誘導するという案でございます。
 それをイメージ図にしましたのが13ページでございます。一番最後の裏表紙でございます。平成35年のところの最終形のイメージを見ていただきますとわかりやすいかと思いますが、黒囲いで全体がくくられておりますが、案の1から案の4につきましてはこども施設(仮称)の指定、あるいはこども園(仮称)の指定ということで、幼稚園・保育所あるいはこども園(仮称)すべてがいわば新システムの指定施設になり、すべて幼保一体給付という、財政措置が統一されるという前提でございます。
 その中で、案の1については、施設類型としては基本的にはこども園(仮称)に一本化される。最終形としては、こども園に一本化される。案の2につきましても、こども園(仮称)に一本化されるわけですが、一体的施設のほかに幼児教育型という幼児教育のみのもの、保育型という保育のみのものが残るという案、案の3については、多様な類型がありますけれども、それがこども園(仮称)ということではなくて、幼稚園、保育所、こども園(仮称)という形で残るということでございます。ただ、いずれの案についても、幼稚園・保育所もこども園(仮称)と一体化型施設に移行するように財政的に誘導していこうというのは共通であります。
 それから案の4については、施設類型としては幼稚園、保育所、あるいは幼稚園・保育所の2つの認可を持つものということで、制度としては幼稚園・保育所制度と2つの制度ということ。
 それから案の5については、幼稚園は従来の財政措置に残る一方で、保育所は新たな給付体系に一本化される、施設類型として一本化される中で、幼稚園についてもこども園(仮称)に移行するよう、財政的インセンティブを与えると、おおむねそういう案でございます。
 現在、この複数案を提示し、2回ほど議論をいただいております。また、資料4-3でございますけれども、本日は説明は省略いたしますが、「こども園(仮称)の具体的制度設計に関する論点(案)」ということで、例えば新たなこども園(仮称)という施設について、どのような設置主体まで認めるのか。株式会社などの参入が可能なのかどうかとか、認可はだれがするのか、あるいは身分関係が、教育公務員なのかどうかなど、具体的に制度設計する場合の論点の資料を提示いたしておりまして、次回、こういった具体的な制度設計についても御議論いただくという予定になっております。
 説明は以上でございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。それでは、この幼保一体化のワーキングチームの座長をお務めいただいております大日向先生からコメントがあればお願いしたいと思います。

【大日向委員】
 コメントと申しましても、今、濵谷課長が御説明くださったとおりですので、私からは、少しワーキングチームの議論の模様などを御説明させていただきます。幼保一体化に関しましては、様々な期待と不安が寄せられていることは御承知のとおりかと思います。幼稚園制度、保育所制度、現行制度が施行されて60数年の中で、何度か幼保一元化とか、総合施設化ということが言われ、検討がなされてまいりましたけれども、これほど本格的な議論がなされたことはおそらく初めてだということで、当然、期待、不安が大きいことはそのとおりかと思います。
 私がここで御説明させていただきたいのは、具体的な内容ではなくて、なぜそもそも今、幼保一体化を議論しようとしているのかというところで、ワーキングチームの中である程度合意された点について申し上げたいと思います。御存じのように、親の生活状況によって、今、子どもの生活が分かれております。そこから生じる問題点は是正が必要ではないか。今の日本の子ども、親、家族が置かれている状況というのは非常に多くの困難と矛盾に満ちている。例えば、具体的に申しますと、子どもの貧困に象徴される格差の拡大とか、働くことを希望する親の前に立ちはだかる待機児問題、あるいは学童期の小一の壁、さらには子ども自身には学習態度等に見られる問題の小一プロブレム、学力低下、いじめ等々、いろいろな問題があります。乳幼児期からの良質な発達環境を整備するということが、人生のスタートとして重要であるということは論を待たないところでして、人材の育成というのは国の重要課題でもあります。それにOECD加盟国の多くが国家戦略として取り組んでいます。
 ただ、日本の現状を見ますと、今申しましたように、就学前の子どもが過ごす環境は親の生活、就労状況によってまちまちです。また、都市部は待機児問題もあり、設置基準問題の低下も危ぶまれております。一方、地方にいきますと、子どもの数が減少して、人口5,000人未満のところでは67%強が、1万人のところに行きましても50%のところに幼稚園がないというようなこともございます。また、そもそも過疎とか限界集落では、子どもたちが集団で遊びながら育つ場も保障できない。都市部、地方、それぞれの課題は異なっておりますけれども、子どもの発達に必要な養護と教育が必ずしも十分に保障されていないという実態を直視すると、やはり何らかの手を打つということが必要だろうということは、委員の皆が共通に認識しているところです。
 繰り返しになりますが、親の就労や生活状況にかかわらず、すべての子どもを対象に、その中には社会的養護を必要とする1%の子どもも排除することなく、世界に誇れる良質の教育、保育を提供することが必要だろう。そのためには、これまで幼稚園が培っていらしたすばらしい実践に加えて、今、幼稚園は地域によっては定員割れ等もあり、あるいは親のニーズから預かり保育もしておられます。そういうところにもう少し保育、養護の一層の充実が図られることが必要ではないか。
 他方保育所でも、これまでのすばらしい実践、蓄積がありますけれども、そこに幼児教育の視点を入れた取組が更に目指されることも、重要な課題ではないかということです。一方、もちろん子どもが小さいときは専業主婦として育児に専念したいという、そういうライフスタイルを選ぶ親、女性もいることは当然ありますし、そうした親の多様なニーズに配慮しつつ、他方で働くことを希望する女性が増加していることへの対応は、やはり急がれるべきでしょう。それが結果的に、男女があらゆる場面で活躍できる社会の実現となって、女性の就業率の向上、少子化対策、待機児問題の解消に貢献することも期待できるのではないかということがいろいろ議論はされております。
 しかしながら、先ほども申しましたように、この改革は60数年の中で非常に大きな改革です。今申し上げたような子どもや親が直面している危機的状況を見ると、本当に対策が急がれるだろうという意見が一方である中で、やはり現場が混乱してはならない、現場が混乱しないように、丁寧に丁寧に議論を重ねていくことが必要だろうという意見も当然たくさんあります。私たちはこういう議論をいたしましても、実際に幼保一体というのはどういうことなんだろうかというのがなかなかイメージもわかないというのも、何回か回を重ねてございました。そこで、ここのお隣に座っていらっしゃいます田村副分科会長が実践的に取り組んでいらっしゃいます青葉学園の野沢こども園の実践例等なども前回は御紹介いただきまして、そのほかにも3つほどの地域の先進事例なども私たちはヒアリングをさせていただきながら、少しずつ少しずつ幼保一体化のイメージ、こども園(仮称)の具体的なイメージなどを固めつつ、今、濵谷課長が御紹介くださいました5つ案のどこに収れんするというところにはまだ至っておりませんが、子どものため、親のために今一番何が必要かということを慎重な議論を重ねているところです。
 最後に、2つほど委員の意見を紹介させていただきたいと思いますが、まず1つは、幼稚園、保育園、長年培っていらした文化が違うということ、この文化を大事にするということは当然だろうということです。ただ、その文化の違いというのが本質的なものであるならば仕方ないけれども、もしそれが、人間が、制度が、社会が生み出したものであるならば、おそらく新たな社会の構築に向けてよりよいものを構築するのも人間の力ではないかという御意見がありました。
 それから、最後に御紹介したいのは、これは田村先生がおっしゃってくださったことなんですが、田村先生の実践例の後、委員との質疑応答がありまして、実際に研修はどうなっているのか、職員のシフト体制はどうなんだろうか、疑問点がいくつか出されました。それに対して、田村先生はこうお答えくださいました。「確かに苦労はたくさんあるけれども、こうしたものはすべて大人の事情ではないか。大人が工夫して努力すれば解決できるものが多い。子どもは親が就労しているかどうか関係がない。子どものためにも、保育機能と教育機能の双方を有する施設をつくることが必要ではないか。」こういうお言葉もちょうだいしたことが私は大変印象的だったことを最後に御紹介したいと思います。
 いずれにいたしましても、拙速にすぎないように、丁寧にしかし精力的に、今、議論を進めているということ。そして、何よりも子どものために、今以上の質の維持向上を図りたい、そのためには職員の方の研修とか雇用とか、そうしたことも十分に配慮をしながら進めていこうということを考えております。
 幼保一体化に関しては、もう一つ、指針のことがございまして、教育と保育の問題をどう考えるかというところは、無藤先生が座長をお務めくださっていらっしゃることを最後に御紹介しておきたいと思います。
 以上です。

【梶田分科会長】
 では無藤先生、お願いいたします。

【無藤委員】
 今の大日向委員の御説明と少し重なりますけれども、簡潔にお話ししたいと思います。
 幼保一体化の目的というのは、先ほど何度も御説明がありましたが、大都市圏の待機児童の問題、あるいは過疎地の幼稚園・保育所の統合の問題といったことがあるわけですけれども、もう一つ大事なことが、質の高い幼児教育・保育を実現するということだと思います。我が国は、幼稚園を中心として質の高い幼児教育を作ってきて、既に幼稚園の歴史は130年以上であります。そういうものを今後も維持したい。しかし同時に、小学校就学前の子ども、5歳児について言えば、半分強は幼稚園、半分弱は保育所でありますので、今後を考えると、保育所も含めて幼児教育の充実を図る、そのためには、学校教育法第1条の幼稚園の規定を保育所にも及ぼすという意味で、こども園という形で幼保両方を学校教育法の下に置く。
 しかし同時に、幼稚園もまた、7、8割ぐらいだと思いますけれども、預かり保育を行っており、それはどちらかといえばむしろ児童福祉法上でいうところの保育に近いものだと思います。そういう意味では、幼稚園にも児童福祉法上の規定を及ぼすという形で、こども園としてその両方の規定の下で充実した幼児教育・保育を行う。しかもそれを我が国のこれまでの成果である質の高さというものを維持、さらに向上できるような何らかの仕組みを入れていただきたいという方向で努力していきたいと思います。
 以上です。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 では、向山先生。

【向山委員】
 今の無藤委員の説明で大分分かってきたんですが、そもそも私は幼稚園の園長を兼ねていて、それで私の孫を保育所に預けていまして家内が送り迎えをするんですが、そういう利用者の立場と園長の立場で見てきていても、この議論はなかなか分かりにくいんです。それで今、課長と大日向委員の説明があってもなかなか分かりにくかったので、改めて丁寧な議論ということなので教えてもらいたいと思ったんですが、この資料4-1の8ページで、先ほど、一体化の取組があって、3つ視点がありました。それを踏まえると、目的について次のように考えられる。
 1つは、世界に誇る質の高い幼児教育だと。これはだから、かなり現状をいいとしているわけですね。私も小学校教育というのは世界に誇るものと思っているんですが、幼児教育もそうなんだということでありますからそうなんだろうと、かなり肯定的に言っています。2つ目が、かなり希望的な、ある意味理想論的な目的を言っている。そして3つ目も、これはちょっと別の観点からこういったようなことが大事なんだと、これも分からないではないんです。
 このことを言ったときに、この資料4-2の、さっき課長が説明していただきましたけれども、平成35年になると、案としてこの5つが考えられるんですよという論理が、私はよく分からないんですよ。これでは、国民とか一般の人は本当に分からないなと思いますので、もう少し分かりやすい説明がもしどなたかできるなら、教えていただきたかったんです。
 ただ、先ほどの無藤委員の説明で大分分かりかけてはきたんですが、もしどなたかつけ加えがあれば、説明していただければありがたいと思いました。

【梶田分科会長】
 では、もしよろしければ課長、簡単に言ってください。

【濵谷幼児教育課長】
 保育所を含めて質の高い幼児教育を共通にしていこうと。先ほどの無藤委員と同じですが、幼稚園の、特に預かりのところとか、そういうところは保育機能を充実していこうということで、いずれにしても、すべての施設で質の高い幼児教育・保育を保障していこうという視点と、あとはあらゆる家庭云々というのは、地域におられる、家庭にいるお子さん、子育てを支援していこうということで、これは今でも認定こども園では義務になっておりますし、幼稚園や保育所でも努力義務でありますけれども、そういったことも含めて、各施設で一体的な機能を持つことを目指していこうというのは共通でございます。ただ、その目指していく中で、一律に法律で一体化型施設にいくのか、あるいは財政的なインセンティブ、地域の実情に応じて徐々に目指していくのかという、いわば政策的な手法の違いが5つの案の中であるというような考え方でございます。

【梶田分科会長】
 10月6日にこの初中分科会を開いて、そのときに報告いただきました。そのときは、幼稚園と保育所を廃止してこども園に一本化するということでした。そして、そのためのタイムスケジュールまでお話しいただいた。
 それが、11月16日に変わったということなんです、これは。ですからこれは、この資料4-2を見てください。変わったのはどういうことかというと、複数の案を十分に、いろいろと現実を踏まえて検討していくということであって、今日のお話と前回の話は違うということを皆さん、頭に置いて御理解ください。そうしないと、何が何やら分からなくなります。
 それからもう1つは、これは中教審の名誉のために申し上げておきますけれども、大日向先生は初めて本格的なこういう議論がされたとおっしゃいましたが、この問題についての一番大きなこれまでの答申は昭和46年の46答申であります。46答申を見ていただきますと、幼児教育を抜本的にどうするかということは、大きく、極めてたくさんの資料を添えて出してあります。その後、ずっと厚生省と文部省の間で、いろいろな共同の委員会を作ったり、あるいは専門家会議をやったりして、私も30年ぐらい前に参加しておりますが、ずっとやってきております。
 そして、中教審のその後のいくつもの答申にもこのことは書かれております。ただ、ぱっと思いついて、これとこれをこうやって統合すればできる、というような簡単な話ではない。だから、これだけ時間がかかっているんですね。だからそのままにしていいという意味ではないですよ。ですから、例えばこの幾つもの案が11月16日に出てきて、現実的に一歩でも前進させるにはどうしたらいいだろうかということを、ワーキングチームで考えてほしいという、そういう流れではないかなと、私自身もこれまでずっといろいろな意味でこの問題にも関係してきましたので、そういうふうに受けとめております。
 これに反論がある人も含めてもし御意見があれば、いただきます。
 どうぞ。

【北條委員】
 このたびの問題は、一つには、学校教育制度を根本的に変更するという問題を含んでいると考えております。であるとすれば、学校としての幼稚園教育というものがどこに改善すべき課題があるのかということをまず明確にお示しいただいて、その上で学校教育体系の入り口のところである幼稚園教育について、具体的には学校教育法第1条の改正ということになろうと思いますが、そういう改正の手続をとると、こういうことになるはずであります。
 しかしながら、ここまでのワーキングチーム等の議論では、幼稚園教育が改善しなければならない課題というものがただの一度も示されておらないということは明白な事実でございます。こういうことが、私は非常に乱暴なやり方だと思います。
 それで、幼稚園と保育所との一元化とか一体化というのは、今、梶田先生がおっしゃいましたように長い経緯がございますし、私自身も無藤先生、あるいは田村先生と共に、いわゆる認定こども園、当時は総合施設というふうに言っておりましたが、それを作り上げていく中教審と社会保障審議会との合同の検討会議の作業にも参加いたしまして、相当突っ込んだ議論を積み重ねて認定こども園の仕組みというものを作ったわけでございます。
 先ほどの御報告の中でも、田村先生の実践というものが高く評価されていることは大変結構なことだと思いますが、であるとすれば、今日の御説明をいただいたところにおいても、認定こども園という仕組みが平成18年の10月にスタートしたというふうに記憶しておりますが、5年たったら検証するということになっているわけであります。その検証の時期にもまだ至っていないのに、どうして認定こども園の仕組みとは違うものがばたばたと出てくるのか、認定こども園というものをよりよく発展させていくというのが筋であると思います。そういう御提案で、幼稚園と保育所の質を共に高めていく、そういう方向であれば私は当然賛成いたしますが、今回の行き方というのは、今のところ何をおっしゃっているのかさっぱりわからない。目的を含めて私は同意しかねるということでございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。まだこれは最終結論ではございません。これからまた、ちょうど認定こども園を作ったときの案と似ているんですけれども、新しい幾つかの案が並行して今検討されておりますので、御指摘のように、例えば今の幼稚園教育に、ここに問題があるからこうするとか、あるいは認定こども園という滑り出したばかりの制度、ここに問題があるからこうするというラショナーレをきちんと踏まえた上で、次にまた出していただく。そうすれば前進につながっていくだろうと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 関連いたしまして、幼稚園ということで関連するんですが、初中局長の下に、有識者会議として「幼児期の教育と小学校教育の円滑な接続の在り方に関する調査研究協力者会議」が置かれておりまして、この協力者会議からレポートが出ております。これにつきまして、内容を濵谷幼児教育課長から御説明をお願いいたします。

【濵谷幼児教育課長】
 それでは、お手元の資料5-1、「幼児期の教育と小学校教育の円滑な接続の在り方について(報告)のポイント」で、簡単に御紹介いたします。
 これは今御紹介がございましたけれども、去る11月11日に出された報告でございます。まず、課題でございますけれども、幼小接続の課題でございますが、これはアンケート調査をした結果でございますけれども、ほとんどの地方公共団体で幼小の接続の重要性は認識されております。都道府県で100%、市町村でも99%でございました。
 ただその一方で、幼小接続の取組は十分実施されているとはいえない状況でございます。その理由を聞いてみますと、「接続関係を具体的にすることが難しい」というのが約半分。「幼小の教育の違いについて十分理解・意識していない」というのが約3割。その結果でございますけれども、「接続した教育課程の編成に積極的ではない・なれない」というのが約2割でございました。
 こういった結果も踏まえまして報告をいただいております。ポイントは3つございます。1点目は、幼児期の教育と小学校教育の関係を「連続性・一貫性」でとらえる考え方を示すこと。2点目は、幼児期と児童期の具体的な教育活動をつながりでとらえる工夫を示すこと。3点目は、幼小接続の取組を進めるための連携・接続の体制づくり等を示すこと、この3点でございます。
 まず1点目の「連続性・一貫性」でとらえる考え方を示すということでございますが、教育基本法、学校教育法におきましては、幼小の教育の目的・目標(知・徳・体)については、連続性・一貫性をもって構成されております。また、幼小接続を体系的に理解するため、幼小の接続の構造を「3段構造」、教育の目的・目標、教育課程、教育活動でとらえるべきではないかということでございまして、幼小の教育の目標を「学びの基礎力の育成」という一つのつながりでとらえることが必要ではないかということが指摘されております。
 幼児期の教育と小学校教育では、互いの教育を理解し、幼児期においては小学校教育を、小学校教育においては幼児期の教育を見通すことが必要ではないかということであります。ただその際には、幼児期の教育と小学校教育はそれぞれの発達の違いを踏まえて教育を充実させることが重要であるということで、一方が他方に合わせるものではないことに留意が必要ということであります。
 2点目の幼児期と児童期の教育活動をつながりでとらえる工夫を示すという点でございますけれども、幼小を通した学びの基礎力の育成を図るため、幼児期の終わりから児童期にかけては「三つの自立」、学びの自立、生活上の自立、精神的な自立を育成するものととらえております。
 また、2つ目の丸でございますけれども、幼児期を学びの芽生えの時期ととらえ、児童期については自覚的な学びの時期ととらえ、発達の段階の違いから来る、遊びの中での学びと各教科等の授業を通した学習という違いはございますけれども、共通するものとして、「人とのかかわり」、「ものとのかかわり」という直接的・具体的な対象とのかかわりで幼児期と児童期の教育活動のつながりを見通して円滑な移行を図ることが必要ではないかということであります。
 「人とのかかわり」といいますのは、ここに書いてございますけれども、幼児期の終わりにおきましては、幼児の興味・関心、生活、協同性の育ち等の状況を踏まえて教職員が方向付けた課題を自分のこととして受けとめ、クラスやグループみんなで達成感を持ってやり遂げる活動を計画的に進めることが必要ということであります。幼児期については、基本的には個々とのかかわり、それが小集団になり、次第に大きな集団になりということでございますけれども、幼児期の終わりについてはクラス、グループみんなという、集団の単位での活動を計画的に進めるという考え方であります。
 また、「ものとのかかわり」につきましても、幼児の興味・関心、生活等の状況を踏まえ、教職員が方向付けた課題について、発達の個人差に十分配慮しつつも、クラスやグループみんなで経験できる活動を計画的に進めることが必要というふうに指摘がされております。
 また、小学校入学時におきましては、スタートカリキュラムが導入されておりますけれども、その編成の留意点といたしまして、幼稚園・保育所・認定こども園との連携協力を図るべきこと。授業時間、学習空間などについて、例えば15分単位でのモジュールによる時間割の構成などの工夫をするべきことが必要ではないかということであります。
 また、幼児期と児童期の教育双方が接続を意識する期間を「接続期」というつながりとしてとらえる考え方の普及を図るべきではないかというふうに指摘されております。この接続期については、基本的には幼児期の年長から児童期(低学年)の期間における子どもの発達や学びの連続性を踏まえた接続期という考え方でございますけれども、具体的な実際の始期・終期については各学校・施設について、それぞれの施設におきまして適切な期間を設定すべきではないかということであります。
 最後に、幼小接続の取組を進めるための具体的な方策でございますけれども、教育委員会を中心とした体制づくり、教職員の資質向上、家庭や地域社会との連携・協力についてのポイントが示されております。
 以上でございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。この協力者会議の座長を無藤先生にお務めいただいております。無藤先生のほうからコメントをお願いいたします。

【無藤委員】
 この報告でございますけれども、なぜこういう報告をそもそも考えたかということでありますが、直接的には、いわゆる小一プロブレムへの対応をどうすればいいかということがあると思いますが、もう少し広く考えてみると、幼小、小中等々の校種間の接続の問題、これは非常に大きな課題かと思いますが、その一環でもあります。つまり、幼児教育全体と小学校教育全体をどうつなげていくかという課題のもとで考えました。
 もう少し具体的には、幼児教育、幼稚園教育というのが、基本的には遊びを大事にしながらその中における学びを育てていくというものかと思います。それに対して、小学校はいわゆる授業において子どもが学習活動に自覚的に取り組むということだろうと思いますので、その間はかなり質が異なりますけれども、それをどうつなげていくかということです。そのために接続期というものを設けて、幼児教育の年長を中心として、例えば、グループで協同的に様々な課題を教師の指導の下で行っていく等のことを行う。また、小学校の低学年におきましては、1年生の1学期のスタートカリキュラムを始めとして、幼児教育の成果を受け止めながら小学校の授業学習の在り方へと導いていく、その組み合わせを考えたらどうかという提案をいたしました。
 以上です。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。この幼小連携を一層進めるということで、皆さんの方から何か御意見等ありましたらお願いしたいと思いますが。
 よろしいでしょうか。これも根の深い話で、先ほど言いました46答申以降、1970年代の終わりには当時の文部省初中局に教育研究開発室ができて、幼小連携、小中連携、中高連携を大きな課題として、たくさんいろいろなところで研究もしていただきまして、研究開発学校のテーマにもしていただいてきております。そして、最近でいえば2008年1月の教育要領、学習指導要領の改正のための中教審答申、これにもその趣旨がうたってございます。これは非常にいいレポートが出ておりますので、初中局幼児教育課、教育課程課を中心に是非よろしく推進をお願いしたいと思います。
 それでは、次にまいります。同じように、学校段階間の連携・接続でございますが、作業部会ができました。これにつきまして、事務局から御報告をお願いいたします。

【小谷教育制度改革室長】
 それでは、資料6-1、6-2を用いて御報告をさせていただきます。この資料6-1にございます学校段階間の連携・接続等に関する作業部会の設置につきましては、当時の金森初等中等教育局長からの審議要請に基づきまして、また各学校段階間の円滑な連携・接続等のための取組について検討するとされた教育振興基本計画ですとか、中高一貫教育に関する実態把握、そして中教審における検証と改善方策について検討することを求められた規制改革推進のための3カ年計画といった閣議決定の内容も踏まえていただきまして、資料6-1にございますように、昨年の7月に初等中等教育分科会としてこの作業部会の設置をしていただきました。
 その後、事務局の方で高校無償化等の対応もございまして、閣議決定で指摘された実態把握等の作業がなかなか進まないでおりましたけれども、そういったものも整いましたので、先月11月11日に資料6-2の委員の形で第1回の作業部会が開催されたところでございます。
 本作業部会の主査には、本日は御欠席でいらっしゃいますが、小川正人委員が選出されまして、副主査はこの小川主査から無藤委員を指名されたところでございます。
 この作業部会の主な検討事項といたしましては、資料6-1の紙の3のところに主な検討事項としてございますように、学校段階間の連携・接続と、優れた才能や個性を伸ばす学習機会についてでございます。
 学校段階間の連携・接続につきましては、初等中等教育段階では幼小、小中、中高とあるわけでございますが、このうち幼小の連携・接続につきましては、先ほど御報告がございましたとおり御検討いただいているところでございます。したがいまして、本作業部会では、残る小中連携、中高一貫教育について御審議いただくわけでございますが、まずは中高一貫教育制度の検証と改善方策について御審議をお願いしております。
 中高一貫教育制度につきましては、生徒や保護者の選択肢を増やすとともに、我が国の中等教育の複線化構造を進める観点から、平成11年度から導入されておりまして、学校数は年々増えておりまして、最新の数字ですと現在402校が設置されているところでございます。
 制度創設から約10年が経過しておりますので、果たしてこの制度導入当時にねらいとしていた成果が上がっているのか、あるいは、制度導入当時指摘されていた課題がどのように克服されているのかなどにつきまして、当面年度内くらいを目途に、その検証と改善方策についての検討をお願いしております。
 その後、また委員の追加、交代などをしていただきながら、小中の連携・接続、さらに3の(2)でございますような優れた才能や個性を伸ばす学習機会について御審議いただくことを予定しております。
 以上でございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。この件につきまして何か御質問、あるいは御意見あればお願いしたいと思いますが。
 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、次に国際学力調査であるPISAの2009年調査の結果について、これにつきましては皆様御承知のように、先日12月7日の夕方7時に発表ということで、その日のテレビやら、あるいは次の日の朝刊に概要が報告されております。この詳細につきまして、下間参事官から御報告をお願いいたします。

【下間参事官】
 御説明申し上げます。ただいま御説明がございましたとおり、12月7日に世界同時解禁で公表されましたPISA2009年調査の結果の概要でございます。お手元の資料7のポイントを使いまして御説明を申し上げたいと存じます。
 おおむね各国で義務教育の修了段階でございます15歳児を対象として実施をする調査で、日本の場合には、ほぼ年齢と学年が対応しております高校1年生相当の方が対象となってございます。知識や技能を実生活の様々な場面で直面する課題にどの程度活用できるかと、いわゆる知識や技能を活用する力を評価するということで、読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3分野につきまして、2000年以降、3年ごとに調査を実施しております。このほか、生徒質問紙、学校質問紙といったものにそれぞれの生徒が取り組んでおります。
 2009年調査には、OECDの非加盟国の参加がだんだん増えておりまして、65の国と地域から約47万人の15歳児が参加をいたしました。我が国では、全国の高等学校、中等教育学校後期課程、高等専門学校の1年生約117万人のうち、185校約6,000人が調査に参加をしております。平成21年の6、7月に実施をいたしまして、本年の公表に至ったということでございます。
 分野別の結果を御覧いただきますと、報道では読解力で若干順位を上げたことなどが中心となってございますけれども、そのような観点で言いますと、国際的な位置づけは読解力が上位グループ、65か国・地域中では8位、前回2006年の15位から順位を上げております。数学的リテラシー、科学的リテラシーにつきましてもそれぞれ御覧いただいているような順位ということでございますけれども、順位というのは相対的なものであり、参加する国や地域が毎回増えているという状況もございますので、平均得点ということで見ていただきますと、2006年調査との比較につきましては、読解力が498点から520点と、統計的に有意に上昇しております。数学的リテラシーは523点から529点、科学的リテラシーが531点から539点、それぞれ若干得点が上昇してございますが、統計的には有意差がないと評価されているところでございます。
 2枚目以降が2009年調査の読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーに関するそれぞれの順位を表にしたものになりますが、3枚目の読解力の国際比較を見ますと、得点、順位ともに、2000年の水準に回復をしている状況にございます。
 後ろから3枚目の資料に、これまでの施策と調査の結果についてまとめてございます。下のピンク色のところでございますとおり、読解力を中心に我が国の生徒の学力は改善傾向にあります。
 1枚めくっていただきますと、読解力、数学・科学的リテラシーのそれぞれの習熟度レベル別の生徒の割合の経年変化がございますが、レベル5あるいは6の生徒が成績が上位であり、レベル1、1未満といった生徒が成績が下位ということでございますが、読解力のグラフを見ていただきますと、左から2000年調査、2003年、2006年、2009年と、それぞれ調査の結果が棒グラフになっております。レベル1あるいはレベル1未満の生徒の割合が、2000年調査に比べて2003年、2006年と多くなっており、成績が上位の生徒の割合を見ましても、例えばレベル4の生徒の割合が2003、2006と減っており、読解力の低下が懸念されたわけでございますが、今回、2009年の青色の棒グラフを御覧いただきますと、レベル1、1未満のところが減り、またレベル4、レベル5以上といった成績が上位の生徒の割合が伸びております。また、数学・科学的リテラシーについても、若干数字としては、多寡はございますが、各リテラシーとも2006年調査と比べてレベル2以下の成績が下位の生徒の割合が減少し、レベル4以上の成績が上位の生徒の割合が増加しているということを含めまして、改善傾向ととらえてございます。
 しかしながら、韓国、フィンランド、香港を例としてとっておりますけれども、レベル1以下といった成績下位の層の割合を見ますと、トップレベルの国々に比べて多いということが課題としてございます。
 また、読解力につきましても、問題冊子の中に答えがある問題のように、情報を取り出すことは得意ではあるが、そこに答えが直接に記載のない、類推をしたり、それまでの経験、知識と結びつけて考えたりということが若干苦手であるということや、数学的リテラシーがOECDの平均を上回っておりますものの、まだまだトップレベルの国々と差があるといったようなことが課題としてございます。
 こうした中で、一番最後の資料でございますけれども、文部科学省といたしましては、今後、小中学校において授業時数を増加いたしました新学習指導要領の着実な実施、習熟度別指導、少人数指導など、「個に応じた指導」の推進のための教育条件の整備充実、それから全国学力・学習状況調査の実施、またその調査結果を活用した教育の改善、子どもの読書活動の推進といった施策に引き続き取り組んでまいりたいと思います。
 以上、調査結果の概要及び今後の取組について、簡単に御説明申し上げました。どうぞよろしくお願いいたします。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。皆さんの方で御質問、御意見あればお願いしたいと思いますが。
 御承知のように、2000年、2003年が期待よりも低かったものですから、PISAショックということが言われて、フィンランドに学べという大合唱が起こって、2006年になりましたら韓国が上になりまして、まだ韓国に学べという大合唱は起こっていないみたいですけれども、今度は多分、上海に学べという大合唱が起こるんじゃないかと思いますが、ただ、今御説明がありましたように、着実に回復しているんじゃないかという部分がこれから読み取れるだろうと。ただし課題が、例えば低位層がかなり多いという課題も残るということですから、まだ一層の取組がやはり必要ではないだろうかという御説明だったと思います。
 皆さんの方で何かございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。これは次の中教審の関係の分科会や部会での議論にはやはり土台になっていくのではないかと思います。
 ありがとうございました。それではもう一つございます。最後の議題でありますが、「今後の高校教育の在り方に関するヒアリング」ということがございます。これにつきまして、袖山主任視学官から報告をお願いいたします。

【袖山主任視学官】
 それでは私の方から、「今後の高校教育の在り方に関するヒアリング」について御報告をさせていただきたいと思います。資料8を御覧いただきたいと存じます。
 既に御案内のとおり、高等学校は進学率が約98%ということで、国民的な教育機関というふうになっているわけでございまして、今年4月には、こういう状況を踏まえまして、高等学校の授業料の実質無償化制度、これまでの高校教育制度の大きな転換が図られたところでございますが、一方で、ここにきて高等学校については様々な多くの課題も抱えているところ、あるいは高校生を取り巻く環境の変化といったものがあるわけでございます。こういった状況を踏まえて、高校教育の理念を実現するために、高等学校の改革の取組といったものを一層進めるとともに、教育の質の更なる向上を図る必要があるということを考えている次第でありまして、このような観点から、今後の高校教育の在り方について幅広い観点から有識者の意見を聴取し、意見交換を行うということで、ヒアリングを開始したところでございます。
 具体的には、高校教育の現状や高校生を取り巻く環境、あるいはこれまでの高校教育改革の成果と課題、そしてこういったものを踏まえた今後の高校教育の在り方というようなことにつきまして、大局的な見地から様々な御意見を承るということで開始をしているところでございます。
 裏面を御覧いただきたいと存じますが、既に2回開催をしてございます。毎回3名ないし5名、1回目、2回目には4名の方に御出席いただいてございますけれども、鈴木副大臣を筆頭といたしましてヒアリングをしてございます。3回目は来週、12月16日に開催をする予定でございますが、当面月1、2回程度開催、大体年度内程度を予定して開催することとしてございます。
 また、このヒアリングに加えまして、都道府県の教育委員の方々を始めとする有識者の方々に、書面による意見募集というものを行うことでございますとか、あるいは私ども担当職員が学校現場に直接お伺いいたしまして、学校長を始めとする方々に様々な形でインタビューをするということを通じまして、様々な高校教育に係る御意見というものを聴取いたしまして、今後の議論の参考にしてまいりたいと考えている次第でございます。
 以上でございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。中教審でもそうですけれども、これまで国のレベルでの議論が、高校は少し少なかったんじゃないか、ということがございまして、今回、少し高等学校ということに絞ったヒアリングを行っていると、このように伺っております。何かこの件につきまして、皆さんの方で御質問、御意見があればお願いしたいと思います。
 よろしいでしょうか。それでは、本日は非常に盛りだくさんの多岐にわたる、しかし非常に重要な、いろいろな御報告をいただきました。本日の会はこの辺りにいたしますが、最後に本日は金森文部科学審議官に御出席いただいておりますので、本日のこの会につきまして、最後のごあいさつをお願いしたいと思います。

【金森文部科学審議官】
 初等中等教育分科会の委員の先生方には大変御熱心な御審議をいただきましてありがとうございました。先ほど、OECDのPISA調査の結果の御紹介もございましたけれども、確かな学力の育成を目指して、中央教育審議会でこれまでお取り組みいただいた成果がようやくこういう形で表れつつあるのかなと、心から感謝申し上げる次第でございます。
 また一方では、本日の議題になりました特別支援教育の在り方でございますとか、キャリア教育・職業教育、また幼保一体化など、これまでいろいろな議論もございましたけれども、なお検討を深めていかなければならない課題も多々あるところでございます。この初等中等教育分科会、今年は今日が最終回でございますけれども、今後ともどうぞ御指導よろしくお願い申し上げまして、お礼のごあいさつにさせていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。

【梶田分科会長】
 どうもありがとうございました。
 それでは、本日のこの初等中等教育分科会はこれで終わりにしたいと思います。次回の予定等につきまして、事務局からお願いいたします。

【小谷教育制度改革室長】
 次回の初等中等教育分科会でございますが、来年、年を改めまして1月28日金曜日の15時から、フロラシオン青山にて開催する予定でございます。詳細が決まりましてから、追って御連絡させていただきます。
 どうぞよろしくお願いいたします。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。それでは皆さん、本当に御苦労さまでした。これで終わります。
 よいお年をお迎えください。

─ 了 ─

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(初等中等教育局初等中等教育企画課)

-- 登録:平成23年01月 --