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初等中等教育分科会(第70回) 議事録

1.日時

平成22年7月12日(月曜日)11時~14時

2.場所

学士会館 210号室

3.議題

  1. 障害者権利条約の理念を踏まえた特別支援教育の在り方について
  2. 子ども・子育て新システムの基本制度案要綱について
  3. 今後の学級編制及び教職員定数の改善について
  4. その他

4.議事録

○ 会議の公開方法について審議がなされ、テレビカメラによる会議全体の撮影について了承された。

【梶田分科会長】
 それでは、本日は午前中に2つの議題が準備されております。そして、一旦休憩した後、午後からは鈴木副大臣も御出席いただきまして、前回まで集中審議しておりました教員の増をめぐっての提言を今日は最終的に審議したいと考えております。
 それでは、配付資料の確認をお願いいたします。

【小谷教育制度改革室長】
 それでは、配付資料の確認をさせていただきます。
 お手元にまず議事次第がございます。そして、資料1が委員名簿でございます。
 資料2-1から2-7までございますが、これは午前中最初の議題の障害者権利条約の理念を踏まえた特別支援教育の在り方についての関連の資料でございます。
 資料3が3-1から3-3までございますが、これは2番目の議題の関係、子ども・子育て新システムの基本制度案要綱についての関係でございます。
 資料の4-1、4-2、資料の4は2点ございますが、これは午後の議題でございます今後の学級編制及び教職員定数の改善についての資料でございます。
 不足等ございましたら、事務局までお申しつけいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 それでは、本日の午前中の議題、最初に障害者権利条約の理念を踏まえた特別支援教育の在り方についてということで、皆さんに御意見をいただきます。
 まず、事務局から御説明いただきまして、皆さんで少し意見交換をいたしまして、本日はそれを踏まえて、特別支援教育の在り方に関する特別委員会の設置についてもお諮りしたいと考えております。
 それでは、まず最初に、障害者権利条約の理念を踏まえた特別支援教育の在り方について、御説明をお願いいたします。
 まず、金森初中局長からこの問題につきまして御説明いただきました後、引き続き、斎藤特別支援教育課長から御説明いただくというふうにしたいと思います。
 それでは、局長、お願いいたします。

【金森初等中等教育局長】
 金森でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 障害者権利条約の理念を踏まえた特別支援教育の在り方につきまして、御説明とお願いを申し上げたいと存じます。
 中央教育審議会では、特別支援教育につきまして、平成17年12月に「特別支援教育を推進するための制度の在り方について」という答申をお取りまとめいただきました。その答申では、「障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち、幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し、それに対応した適切な指導及び支援を行う」という理念や制度改正の方向性をお示しいただきました。これを踏まえまして、文部科学省では、平成18年に学校教育法の改正を行いまして、障害種別を超えた特別支援学校への一本化や特別支援学校のセンター的機能の付与など、新たな制度としての特別支援教育を、平成19年4月からスタートさせたところでございます。
 現在、都道府県や市町村、各学校における特別支援教育の体制整備につきましては、一定程度進みつつありますが、特別支援教育の理念の実現という観点から申しますと、特別支援教育体制の更なる整備のほか、障害のある幼児児童生徒の将来を見通し、一人一人の教育的ニーズに応じた計画的かつ適切な指導及び必要な支援を行うことなど、特別支援教育の更なる質的充実を図っていくことが求められております。
 一方、国際的には、「障害者の権利に関する条約」が平成18年12月に国連総会で採択されまして、平成20年5月に発効いたしました。日本政府は、平成19年9月に署名を行いましたが、多くの先進各国が批准を行う中、まだ国会の承認を得て行う批准には至っておりません。現在、この条約の批准に向けた国内法令の整備等につきまして、全閣僚をメンバーとする「障がい者制度改革推進本部」や、その下に設置された「障がい者制度改革推進会議」におきまして、議論・検討が進められているところでございます。教育関係では、この条約に規定されております障害のある子どもが障害のない子どもと共に教育を受けるインクルーシブ教育システムへの対応等が課題となっておりまして、推進会議でも、この条約の理念を踏まえた教育分野を含む制度改革の基本的な方針が議論されたところでございます。
 今年の6月7日には「障がい者制度推進会議」の「第一次意見」が取りまとめられまして、これを踏まえて、6月29日には「障害者制度改革の推進のための基本的な方向について」という閣議決定がなされたところでございます。この閣議決定では、「障害者権利条約のインクルーシブ教育システム構築の理念を踏まえ、体制面、財政面も含めた教育制度の在り方について、平成22年度内に制度改革の基本的方向性について結論を得るべく検討を行う」という方向性が示されたところでございます。このため、こうした方針を踏まえ、初等中等教育分野におけるこれらの課題につきまして、当分科会において専門的見地から御審議を深めていただく必要があると考えているところでございます。
 具体的には、第1に、インクルーシブ教育システムの構築という障害者権利条約の理念を踏まえた就学相談・就学先決定の在り方及び必要な制度改革について、第2には、当該制度改革の実施に伴う体制・環境整備について、第3には、障害のある幼児児童生徒の特性・ニーズに応じた教育・支援の実施のための教職員等の確保及び専門性の向上のための方策について、それぞれ御審議をいただきたいと考えております。このほかにも、特別支援教育の推進に当たりまして検討が必要と思われる事項につきましては、御審議をいただきたいと考えているところでございます。
 なお、これらのことにつきましては、閣議決定を踏まえまして、今年度中に一定の御提言を賜れば幸いと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
 論点と詳細につきましては、担当の斎藤課長から引き続き御説明をさせていただきたいと存じます。

【梶田分科会長】
 では、斎藤課長、お願いいたします。

【斎藤特別支援教育課長】
 特別支援教育課長でございます。
 お手元の資料、たくさんございまして恐縮ですが、資料の2-1から2-6までを用いまして、これから御議論、御検討をいただく際の前提、参考情報について、私から補足をさせていただきます。
 まず、資料2-1でございますが、障がい者制度改革推進会議につきましては、前回、6月18日の分科会で御報告申し上げたところですが、その後、6月28日に推進会議が開催されまして、6月29日に、先ほど局長から申し上げました閣議決定がなされております。推進会議はこれから後も一月2回ぐらいのペースで、年末の第二次意見取りまとめに向けた検討を進めていくということで、現在、内閣府からは、7月26日の月曜日に教育関係のヒアリングということで、文部科学省その他学校団体によるヒアリングを予定していると聞いてございます。その際に、この中教審の検討につきましても御紹介をさせていただければと考えてございます。
 資料2-2でございますけれども、これが閣議決定されたものの概要でございます。横長の工程表という形になっておりますけれども、右の「個別分野における基本的方向と今後の進め方」の2番目に、教育という項目がございます。この中身は前回の分科会で御説明したとおりの内容で閣議決定がされておりまして、具体的には、「障害のある子どもが障害のない子どもと共に教育を受けるインクルーシブ教育システム構築の理念を踏まえた制度改革の基本的方向について、22年度内に結論を得るべく検討を行う」という点が決定をされております。
 あわせて、これは時間的にはもう少し時間をかけてということになりますが、手話・点字等に通じた教員等の確保・専門性向上に係る方策についても検討を進めていく、ということになってございます。
 今の資料2-2をめくっていただきまして、閣議決定の中身の3ページ目に、「個別分野における基本的方向と今後の進め方」というものがございますが、ここにありますとおり、以下の各個別分野については、改革の集中期間内である平成21年度から5年間に、必要な対応を図るべく改革の工程表等を定め、事項ごとに関係府省において検討しとのくだりを受けまして、今回の中教審での審議検討をお願いするということに至った次第でございます。
 資料2-3でございますけれども、これは先日、6月18日に御報告をした障がい者制度改革推進会議の第一次意見の中で教育関係部分の抜粋ということでございます。点線の中にありますのが推進会議側の主な意見ということでまとめがされております。
 資料2-4以下が文科省の特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議で本年度、今年の3月まで検討を進めてまいった報告書の提言の概要でございます。これについても3月の初中分科会で一度御報告申し上げたところでございますけれども、確認のためにもう一度御紹介させていただきますと、この協力者会議の中でも資料2-4の1枚目の2ポツ、「早期からの教育支援、就学相談・指導」というところにございますように、特別支援教育の更なる充実につきまして、昨年2月に中間まとめを行っておりますが、例えば早期からの教育相談・支援の充実、就学指導の在り方ということで提言がなされておりまして、これらについては今後の政府全体の検討状況も踏まえつつ、更なる検討が必要という形で提言をまとめていただいております。
 その提言の主な内容ですけれども、2枚ほどめくっていただきまして、「特別支援教育の更なる充実に向けて」、これは昨年2月の中間まとめの概要の資料でございます。この中では、特に義務教育段階への移行ということで、2ポツのところに書いてございますけれども、市町村の教育委員会が就学移行期における個別の教育支援計画を作成することを重要なステップとして位置づけております。その際に、障害のある子どもが就学する学校について、個別の教育支援計画の作成・活用を通じ、従来のような障害の程度が基準に該当するかどうかによりまして、原則、特別支援学校、特別な事情がある場合に認定就学ということで、地域の小学校へ入学するという判断に加えまして、必要な教育的ニーズや、特に大事な項目として、保護者の意見・意向、専門家の意見、就学先学校の教育や支援の内容等を総合的に判断をして決定する仕組みにする、これが1つの大事な提言としていただいております。更には、就学する学校を決める際には、教育委員会が責任を負いながら、就学後も継続的に適切、柔軟できめ細かな指導、見直しをしていくということでございます。
 1枚めくっていただきまして、特に特別支援学校に就学する場合につきましても、4ポツにございます「居住地の小・中学校とのかかわり」ということで、居住地の小・中学校との交流を深めるための取組として交流及び共同学習という形で新学習指導要領にも位置づけられておりますけれども、更にそれを一歩進めた形で、例えば東京都の副籍制度、さらには埼玉県の支援籍というような副次的な学籍を置くということも含めて、居住地校交流のスキームをどう進めていくかについて、何らかのガイドライン等を示していくということがうたわれております。
 以上のような提言を受けまして、これから本格的な御議論をしていただくということになるわけですけれども、加えて、関連した情報や材料を幾つか御紹介したいと思います。
 まず、資料2-5でございますが、これは認定就学の最新のデータでございます。平成21年度の件数としては全国で3万7,500件の審議がなされておりまして、その中で、下の円グラフでございますが、全体の4分の3に当たる76%、2万8,000人のケースについては基準に該当せずということで、地域の小学校に進まれているということでございますが、残りの4分の1弱のうちで、就学先としては最終的に小学校に進まれた、これが狭い意味では認定就学ということになりますが、これが全体の3分の1、約3,000人のお子さんでございます。3分の2のお子さんについては特別支援学校に進まれておりますけれども、これからこういった就学プロセスについて、どのように保護者の方との共通理解を作っていくか、それを踏まえた総合的判断の在り方という点が大きな論点、検討課題になろうかと思っております。
 最後に資料2-6でございますけれども、これが実は今まで障がい制度改革推進会議のヒアリングに際して、文科省側からお出しをして議論に使わせていただいた資料でございます。この資料2-6は厚くなっておりますが、全体が意見書と追加の回答書ということで2部構成になっておりますが、この意見書の中で1点御紹介させていただきますと、ページ番号が途中で変わっておりますが、15ページまでめくっていただきまして、その次のページに別添の1がございます。このページにはいわゆる学校教育法施行令の改正の在り方と同時に、保護者の選択権の保障というものについての考え方、例えば保護者からの意見聴取を義務付けたというようなこれまでの制度改正の考え方を記しております。1枚めくっていただきまして、裏の2ページになりますけれども、協力者会議の提言を踏まえた内容について回答として記しております。
 続きまして、5ポツ、就学先決定の仕組み等々、この部分が大変重要なメッセージになっておりまして、この提言に加えて、保護者との共通理解を通じて実質的に選択権につながるような内容を保障していくべきではないかという御意見に対して、例えば体験入学をはじめとした保護者への十分な情報提供、より早期からの相談支援、県と市町村の教育委員会のより強化された連携によるきめ細かい就学相談、多様なメンバー、例えば障害当事者関係の団体にも参加をいただいて、就学に関わる検討をしていくというようなこと、更には保護者の参画が必須のものとして位置づけられております個別の教育支援計画といったものを更に充実強化していくというような改革ですとか、提言の方向性が示されたところでございます。
 さらに6ポツでありますけれども、そうは言っても実質的に保護者の意向を100%そのまま受け入れることはなかなか難しい場合もありますという事例をここでは挙げさせていただいておりまして、例えば分かりやすいケースとしては、保護者の児童への虐待が疑われるような場合には、個別の教育支援計画の作成そのものが困難でございます。更には、これも時々ございますけれども、保護者の方の障害の受入れがなされておりませんで、例えばお子さんの障害の状態について重要な手がかりになります就学前健診を拒否されるようなケースもございます。こういったケースについてはなかなかニーズに応じたきめ細かい適切な支援の判断が難しいということでございます。さらに、これは諸外国でも例がございますが、行動・情緒面の障害等がございまして、他の児童に重大なリスク、危害が及ぶような恐れがある場合。一番最後として、地域の小学校に非常に重度のお子さんが入りたいという場合に、自治体が例えば財政再建途上にあったりというようなことで、必要な環境条件整備が整わないままに受入れが行われるということは難しいのではなかろうかと、そのようなケースを挙げてございます。
 1枚めくっていただきまして、別添の2がございます。これも議論のための材料として、わかりやすい仮定に基づき検討を行ったものですが、2つの想定のもとに、例えばかなり理想に近いインクルーシブ教育システムを整備した場合の必要なコスト負担について、いわば環境体制整備の分かりやすい材料として提示をさせていただいたものでございます。
 1枚めくっていただきまして、2ページに数字がございますけれども、この第1のケースは重いお子さんの中で特別支援学校から3分の1ぐらいのお子さんが地域の小学校に移ってくるという仮定に基づいた数字でございます。この場合、諸外国の例に倣えば、20人から25人規模の学級サイズにする必要があるとか、あるいは必要なバリアフリーのためのエレベーターとかスロープとかトイレの整備を行う、この辺がなかなかコストのかかるところでございまして、必要な教員の増員等で2兆強のコスト、これは毎年かかるコストでございます。それから、施設整備等の整備には、何年でやるかによりますが、10兆円近いコストがかかるというような試算を行っておりますが、これらについてはより精査が必要な数字であろうかと思ってございます。
 それに対して想定Bの方は比較的軽度のお子さんが特別支援学級を中心に移ってくるという想定でございまして、これについては今申し上げたような大きな数字にはなってございません。ただ、これはA案をとるかB案をとるかという議論ではなくて、こういった数字もさらに掘り下げた吟味をしながら、今の財政状況とか体制の現状、見通しを踏まえて、お子さんの発達にとって最も適切な受入れの在り方はどうかということを議論していく必要があると考えております。
 それ以降の資料につきましては、諸外国のデータ、あるいは実情について紹介をしたものでございまして、これらについても推進会議の議論には一応お出しをしたところでございます。
 追加回答の中でも、権利条約のそもそもの考え方についていろいろな議論がございました。中で1点だけ申し上げますと、追加質問の回答の2ページ目にございますけれども、障害者権利条約にはそもそも3つの目的が書いてございます。教育の目的として、「自己の価値等の意識を十分に発達させ、人権、基本的自由、人間の多様性の尊重を強化させる」、「能力を可能な最大限度まで発達させる」、「自由な社会に効果的に参加する」が示されております。こういった目的に即して、今の制度はどうなんだろうかというお問いかけがありましたけれども、これらについてはまさに今の特別支援教育の考え方、対応が、障害の重度・重複化、多様化を踏まえ、一人一人の教育的ニーズに応じて将来の社会参加を目指した対応を図っていく取組を更に強化することによって、結果として権利条約の目的に即した対応がなされるのではなかろうかという点を我々から御説明しております。そういう意味で、インクルーシブ教育システムの在り方と今進めている特別支援教育が必ずしも相反するとか、矛盾するという考え方ではなくて、更に今の制度をよりしっかりした強固なものにしながら、できるだけ保護者の方との共通理解を作り、お子さんの発達にとって最もふさわしい環境なり条件とは何かということを考えて就学先の決定を図っていく、そのようなシステムの在り方を是非検討すべきと思っておりまして、そういった点についてこれから新しい検討体制のもとで検討を深めていただければと考えてございます。
 私からの補足は以上でございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 この問題と関連しまして、この分科会で一度御報告いただいておりますが、特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議、これはずっと精力的に検討を進めてきていただいております。この協力者会議の副座長として取りまとめのお世話役をやってこられた宮﨑先生が、今日御出席いただいておりますので、よろしければ一言お願いいたします。

【宮﨑委員】
 ありがとうございます。それでは私から、協力者会議を進めてきた人間として一言お話をさせていただきます。
 資料2-4を中心にお話をさせていただきますが、髙倉翔座長の下に、私が副座長を務めた特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議において、昨年の2月にまとめたもの、先ほど斎藤課長からお話があった資料2-4の3枚目をごらんいただきたいんですが、特別支援教育の更なる充実に向けての提言をさせていただきました。この提案では、障害者の権利条約が求めるインクルーシブ教育システムの理念を踏まえつつ、今後の障害のある子どもの就学制度の在り方について盛り込ませていただいたわけでございます。具体的には、現行法令上で障害の種類及び程度が学校教育法施行令22条の3に規定をされているわけでございますけれども、この就学基準に該当する場合には、原則として特別支援学校に就学をすることとされております。
 私どものこの提言では、この仕組みを改めまして、就学移行期の個別の教育支援計画の作成・活用を通じて、障害の状態や教育的ニーズ、保護者の御意見、専門家の意見、学校や地域の状況などを、教育委員会が総合的に判断して、その子どもにとってどの学校に通うことが将来の自立や社会参加につながるかと、教育の最適化ということで、そういう教育支援の機会を提供し得る、総合的に判断をする仕組みを築いていくべきだといたしました。
 加えまして、小学校あるいは特別支援学校に就学した後でも、個別の教育支援計画を定期的に見直しをして、継続的な就学相談、就学指導が必要であるとしたほか、特別支援学校に就学する子どもが居住地の小学校や中学校との交流及び共同学習を行っていくことが重要であるというようなこととしたわけです。
 このような内容については、先ほどお話があったように、学習指導要領の改訂にもつながっておりますし、更に言えば、障害者の権利条約に規定するインクルーシブ教育システムの実現にも添うものであると私どもは整理したわけでございます。
 さらに、この資料の最初のところに戻っていただきまして、本部会にも御報告を申し上げましたが、本年の3月の協力者会議で審議経過報告をさせていただいたところですが、これらの提言を基に、今後、障害者の権利に関する条約の批准のために政府全体の障害者制度改革の検討状況を踏まえつつ、更なる検討を加える必要があるといたしたところでございます。
 今回、障害者の権利条約の理念を踏まえて、特別支援教育の在り方についての検討を行う際には、この協力者会議の提言をベースとしつつ、障がい者制度改革推進本部、同推進会議における議論、検討や今回の閣議決定等を踏まえて、改めて検討を加えることになると思っておりますし、是非とも中教審で御検討いただければありがたいと思っております。
 以上でございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 この問題、理念的な意味では委員の皆さん、全く異論はないと思っております。障害者の権利の条約、閣議決定、各分野で障害者ができるだけフルに生活していける、あるいは持っている能力をフルに発展させていくことができる社会にしていこうという、ここまでは皆さん、理念的には、ベースとしては、同じお考えを持っておられると思います。また、これを教育におろしたときの原理原則についても、つまり、障害の有無にかかわらず、あるいは障害の中身にかかわらず、できるだけ十分な教育の機会が与えられて、サポートをされていく、ここまでは皆さん同じだと思うんですね。
 中教審でこれから議論していかなければいけないのは、理念倒れになってもいけませんので、現実の日本の学校制度の中にうまく位置付いて、そういう理念が生きた、ちゃんとした中身のあるものとして展開されていくにはどうしたらいいか、ということだろうと思います。
 今、宮﨑先生からも御報告がありましたように、これまでは調査研究協力者会議でずっと議論してもらっていたわけですけれども、これをまた新しい形で、この議論を踏まえながら、しかし、閣議決定で強調されたような点、あるいは障害者の権利条約などで強調されている点をもう一度考えながら、具体の学校教育の中でどう展開したら本物になっていくかということであります。
 ということで、今、金森局長、斎藤課長、宮﨑先生からお話があったところを踏まえて、自由に御意見をまずいただいて、それを中教審の初中分科会の意見として踏まえていただいた上で、具体の特別委員会の発足につなげていきたいと思っております。
 それでは、皆さんの方で御意見、よろしくお願いいたします。

【向山委員】
 これまで障害者制度改革について、教育の関係者の意見がなかなか取り入れられないところがあったので、こうして中教審で取り上げていただいたことは大変ありがたいなと思いながら3点申し上げます。
 1点目は、我々、全連小で行った調査に見る全国の現状であります。我々、全連小では特別支援に関わる調査を毎年実施しています。全国2万1,000の小学校のうちの4%程度を抽出して調査をかけています。「現場で一番困っていることはどういうことですか」という質問の中で、3つ選んでもらった中で、友達とのトラブルが絶えない、という回答が66%あります。それから、その子どもの行動が原因となって学級の授業に支障が生じる、これが62%の回答があります。それから、集団行動ができず、指導ができない、これが52%。こんな結果があるんですね。一方、「だれが対応しているんですか」ということで、これは1つずつ選んだ調査なんですが、学級担任の個別的な指導が57%で、補助員が15%、別の教員が5%、こういう現状なんです。
 ここから見る限り、我々ももちろん理念としてはいいんですけれども、現場の中で指導上の一線に立っている教員が苦労している現状が伝わってきます。あわせて、条件整備がまだまだ進んでいないということがうかがえるわけです。
 したがって、条件整備というのは裏腹で重要だということを申し上げたいと。これが1点目です。
 2点目ですけれども、インクルーシブ教育、理念としてはいいんですけれども、特別支援のお子さんの権利保障と合わせて、通常の学級のお子さんたちの権利保障をどうしていくかと、これは両方権利保障をしていかなければいけない。これは学校の管理職の立場で我が国の教育全体を考える上でも、その辺の視点をこれからも吟味、検討、議論していく必要があるだろうと思っています。
 3点目ですけれども、先ほどの調査結果からもうかがわれるんですけれども、学校の、特に初等教育の教育活動を進めていく上では、一定程度静ひつな環境が保たれた中で教育活動が行われているわけでありますし、例えば学校行事の学芸会、音楽会、あるいは入学式、卒業式のようなものも、そういうような中で効果を上げてきているわけです。そういったお子さんが入ってきたときの別の状況が生まれたときに、これまでの効果を上げてきた教育活動をどう保障していくか、担保していくか、この辺の検討もしていかなければいけないと思います。したがって、今後十分な検討、多面的な議論、そして条件整備も考えていかなければいけないと思います。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 向山先生から、今、小学校の現状の調査を踏まえた御発言がありました。
 渡久山先生、お願いします。

【渡久山委員】
 今、斎藤課長からいろいろと御説明いただきましたが、1つは6月29日の閣議決定は非常に重いと思いますね。日本政府としての考え方が出てくるわけですので、いいと思いますね。その前文の中に、「障害者制度改革の推進のための基本的な方向(第一次意見)」を最大限に尊重するということと、障害者の権利に関する条約を踏まえて、今後、国内法の整備をすると、これは非常に基本だと思いますね。そういう意味で、これを見せてもらっているわけですけれども、その中に教育という部分が出てきます。先ほど局長からも話がありましたけれども、この教育というところを見ますと、インクルーシブ教育システムの構築というのが当面というか、非常に課題で、具体的には障害者基本法を改正する、あるいはその他の法律を作って整備するということですよね。ですから、今後はそれを5年間かけてやられていくということですから、是非ともお願いしたいと思います。
 そういうことを考えていって、焦点となるのは、今日いただいた資料2-3の推進会議の第一次意見の2ページに、「障害の有無にかかわらず、すべての子どもは地域の小・中学校に就学し、かつ通常の学級に在籍することを原則とする」と書いていますね。この原則を認めるか認めないかという問題だと思うんですね。だが、しかし、これが本当に尊重されるとすれば、認めることを前提にして議論がなされていくということになると思うんですが、今、向山先生からあったように、実際の特別支援学校でこの原則がいけるかどうかという問題があるわけですけれども、私はただ1つ、日本の今の状況を見ますと、この原則をどう生かしていけるかどうかということは真剣な課題だと思うんですよね。昔、我々が教育基本法改正の問題をやったときも、憲法の各条文が生きていくためには、教育の果たす役割が非常に大事だということがございました。そういうことを考えていきますと、現在、障害者に対する差別、障害児に対する差別の問題、例えば先ほどもちょっと触れられたんですけれども、学校現場では非常に深刻な問題があるんですね。
 例えば私も現場にいたときに、あのときは特殊学級とか言っていましたけれども、その言葉も非常に問題なんですが、特殊学級、これが今、特別支援学級となっていると思いますけれども、学習不振児というんですか、分からなくなっている子どもがいたら、あなた、あの学級に行かせるよと子どもにそういう言い方をして、あえてそこに差別を増長するような教員の態度があったんですよね。そういうことを考えていきますと、この原則をどう我々が今後生かしていくかということが非常に大事だと思うんです。
 今、課長から説明されて、特別支援教育が3年前にできました。これは長いこと特殊教育から特別支援教育という形になってきました。そのために、何かというと、言葉の中では一歩前進したと私も評価をしているわけです。その他の問題もたくさんありますね。コーディネーターの配置とかいろいろあって努力はされてきています。交流学級とか通級とか、あるいは小・中学校における特別支援学級、そういうのができてきて、私はそれぞれ前進してきている面があると思うんですね。ですから、そこは高く評価をしていかなくてはいけないだろうと。
 だが、しかし、現在ずっと見ていても、どうしても学校における差別状況、あるいは今の障害児教育の差別状況があるような気がしますね。例えば、なぜ障害児教育と言わないのか、あるいは何で障害者と呼ばないのか。これは文部科学省だけの問題かどうか、政府全体としてどうか分かりませんけれども、少なくとも厚生労働省では障害者で通っているわけですね。そうすると、政府でこの問題をどういうようにして、何で統一してできないのか、あるいは何で文部科学省がいまだに特別支援教育、あるいは特別支援学校と言うのか。もちろん養護学校から少しは変わってきているわけですから、そういうことを考えていきますと、果たして今の特別支援学校や特別支援学級、あるいは今の制度そのものが果たしてインクルーシブな教育制度になっているかどうか。私はこれは非常に疑問だと思っているんですね。ですから、この際原則を認めるとすれば、この原則に従って、今の特別支援学級や学校、あるいは教育を逆に見直していくという方向性が中教審としてとれないかどうかということを非常に気にします。
 特に課長が先ほど説明されました文部科学省の意見、いろいろな資料があった。例えば想定Aでは25人学級にして12兆円要るんですね。髙橋課長もいらっしゃるけれども、今まだ12兆円の数値目標は出ていないんだけれども、25人学級にするのかどうか。そうとはなっていない。しかし、イギリス辺りを見ていると30人学級ですね。次に出てくるのは40人学級の想定ですね。そうであれば、その資料はあまりそういうことを決定的なものとして考えないで、財政問題もあるわけですから、もっとフレキシブルに物事を考えて、その原則を生かすためにどうしていくのかということを考えなくてはいけない。
 私も体験しているところですが、地方に行くと、私のいたときには養護学校でしたが、学校がないんですよ。そうすると、子どもはどこか島を離れていくか、あるいはそこの小・中学校に行くかどうかなんですね。そういうことであって、今もそうですけれども、これを決定するのが教育委員会だったんです。しかし、それが果たしていいかどうかという問題があるんです。
 というのは、具体的な例も幾つかありますけれども、結局通うことが無理で、そのかわり、家庭で教育できるか、それは認めない。学校でといったら、それも認めない。どうするんだということでしたけれども、そういうことでもあのときの学校、30年ぐらい前なんですけれども、ある学級担任が通常の学級に障害児を入れて、それを自分が卒業するまで責任を持つという方がいて、この障害児を受け入れて教育ができていったんですね。しかし、確かにそれでどういうことが起こったか、いろいろな問題が起こりました。体育祭のときにどうするかとかありましたけれども、結局、そのことによってその子は最終的には大学まで行って、一流企業に就職しています。そういうことも起こり得るんです。だから、私は、今のインクルーシブ教育を原則としてどうするかということを真剣に考えた、そういう議論にしていただければ非常にありがたいと思います。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。非常に大事な論点を出していただきました。
 では、大嶺先生。

【大嶺委員】
 ありがとうございます。私は具体的な話をしたいと思います。
 私は教員をしておりましたので、実際にクラスに障害を抱えた子どもがおりまして、その学校に籍を置いていたんですけれども、育てて卒業させていったというちょっとした経験をお話ししたいと思います。
 向山先生は小学校ということで、全国の小学校のアンケートの数値を出されておりましたけれども、中学に入ってきた段階のときには毎日毎日がけんかで、けんかの仲裁に当たるという状態でした。でも、私はその子がクラスにいてとても良かったなというのがあるんです。それはどういう点かといいますと、周りの子がその子を認められなくて初めはいろいろとけんかになっていくわけですが、授業中も歌を歌ったりとか、ぶつぶつしゃべったりとか、とにかく落ち着きがないわけですね。最初、保護者からも結構苦情が出ておりました。でも、保護者会等で話をしていき、だんだんに理解をしていただくと同時に、周りの子どもたちもだんだん成長していくんです。成長していって、この子のこういうところを認めよう、この子が困っているときはこんなふうにフォローしてあげていったらいいんだなということを、その子の生き方を通してだんだん周りの子どもたちが学んでいくんです。私はその子を3年間見ていて、周りの子どもたちが、すごく心豊かというと大げさですけれども、優しさというんでしょうか、そういうものが育っていった。これはその子がいたおかげというとちょっと大げさですけれども、それはとても良かったなと思います。
 ただ、問題は何かというと、その通常の学級で授業を受けた、中学校の学習指導要領に基づいて授業を受けた、その受けたことがその子にとって本当にこれから社会で生きていく生きる力、自立に向けての力につながっていけたんだろうかと。私はこの子にどういう力を付けてあげたんだろうか、それが今の体制の中では非常に悔やまれてなりません。
 インクルーシブで一緒にやっていく、これはすばらしいことなんです。すばらしいことなんだけれども、相当条件整備をしていかないと、現場の教員にとってはとっても大変です。当時は保護者の方々、いろいろ理解してくださいました。子どもたちも成長していきました。だから、その子を1つの輪の中に一緒になってやっていくことができましたけれども、これからきちんとした制度としてやっていくとなると、相当条件整備をしていかないと厳しいんだろうなと思います。人を配置していくということもそうですけれども、実際に毎時間、毎時間指導に当たっている教員が、特別支援に関しての専門的な知識、能力を身に付けていかないと、絶えず何か指導してくれる方が付いていらっしゃるわけではないだろうし、そういうことを考えていくと、条件整備が重要だろうなと思います。
 以上です。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 では、角田先生。

【角田委員】
 ありがとうございます。
 このインクルーシブな教育システム、これについてはどなたも異論がないと思います。ただ、今の現状では、障害の程度が重度・重複化、あるいは多様化している中で、実際の今の通常の学級に、先ほど向山先生は3%とおっしゃられましたけれども、統計なんかでは7%近くいらっしゃるということも出ております。そういう中で、更にインクルーシブのシステムが実行されるとなれば、もっと多くなってくる可能性があるわけで、今でもなかなか難しい状況にあるということでございますので、相当の条件整備をしなければいけないだろうということを覚悟した上でやらなければいけない。これは現在の学習指導要領のときもそうなんですが、学習指導要領が発表されると、まずやれるところからやりましょうと。条件整備は一番後になってくるんですね。現場は条件整備のないままにスタートせざるを得ない。そういうことがこういう障害児の問題についても起こってくる可能性がある。今後5年間をかけて十分検討をされるということではありますけれども、検討する中で、是非その辺のところの現場に対する十分な説明、それから保護者、特に周りの子どもの保護者、そういう方たちへの理解、そういったようなものを含めて条件整備を考えていかなければいけないのではないだろうかと思います。
 それに関連するんですが、2番目ですけれども、今、大嶺先生もおっしゃられましたけれども、結局その子どもが自立をしていく、あるいは社会参加できるようにするための教育をしていくんだ、この辺のところが教育現場の考え方と、障害を持ったお子さんの保護者の方の考え方との食い違いが結構大きくて、なかなか納得がいかないというケースがあろうかと思います。そして、各市町村では、就学前の健診であったり、就学指導の体制をとっていらっしゃるんだけれども、必ずしもそれが十分に機能しているとは言えない。また、それが強過ぎると選別につながるといったようなことがあって、大きな問題を抱えているわけです。したがって、この辺のところについても国としてどういうふうに制度設計をしていったらいいのか、あるいは各市町村をどういうふうにサポートしていくのか、そういうことを十分配慮していく必要があるだろう。
 さらに、通常の学級に入学した後の子どもたちが、小学校1、2年生の段階では比較的うまくいくケースが多いんです。ところが、3年生から4年生ぐらい、つまり知的な活動が多くなる、具体的操作から抽象的な操作にいく段階になると大きなつまずきを生じてくる。これは障害の程度や種類によりますけれども、そういうものが実際問題として多くあるだろうと思います。あるいは、1、2年生はいいと言ったけれども、例えば全盲のお子さんが入ってきたときに、小さい、神経がきちっと敏感なときに、両手で点字を読める場合と、指先1本だけしか使って読めないという子どもでは、将来にわたると、本当に自立した生活をするためは、小さいうちから訓練をしておかなければいけない。そういったような途中から進路変更をする、あるいは早いうちに早期の教育できちっとしなければいけない。そういった障害の種類や程度に応じても考えていかなければいけないだろうと思いますので、5年間が一応前提としてはありますけれども、条件整備はもちろんですけれども、その辺のソフト面の充実、ハード面の充実ということを考えて推進をしていただければと思います。
 以上です。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 時間が来ておりますので、あとお一人だけということで、曽我先生から御意見をいただきたいと思います。

【曽我委員】
 いろいろな先生方からお話を聞きながら、心の中で思っていたんですが、インクルーシブ教育はとても大事だと思いますし、そういう環境はどのように整えていくかという、インクルーシブ教育がすごく大事になってくる中で、子どもたちのそれぞれの学力をつけようという話が一方にあり、そして、すべての子どもたちがいろいろな学習の機会を均等に与えられるような環境もきちんとつくり、となってくると、ある保護者は非常に学力を求めてくる。そのときに、先日も申し上げましたが、今置かれている学校は、すべてのことを体感する子どもを作って、それをトータル的に学力と言っていることを保護者にきちんと伝えないと、このインクルーシブ教育が学校現場ではできたとしても、実際やっていく中で、このような申し上げ方はいけないんですが、学校選択制度があれば、そうじゃない学力が上がりそうなところで教育ができているところに行こうとする。つまり、本当の趣旨のものがすべての学校で同じように行われる環境になるのかどうかが非常に気になります。
 そんな意味では、国民すべてがそのような気持ちになれるような環境整備をきちんとして、そういう中で子どもたちが学ぶことができる。学び方を教育というところからそれぞれの子どもたちの学習の権利と考えていくと、それぞれの子どもたちにはそれぞれの発達段階によっていろいろな状況が違う。そうすると、少人数学級も必要だったり、多くの人数で学ぶことも必要だったり、様々なことが必要となる。その方が学力が上がってくるんじゃないですかと申し上げてきていることにつながってくる。障害の児童さんたちがこのような場では一緒に学んだ方がいい、でも、ここの部分に関しては特別にきちんと障害の程度に合わせて学んだ方がいい、それを1つの学校でできる範囲内であれば、その学校で学ぶことが望ましいし、1つの学校でできない場合には交流をしながら学ぶ方がいい。その環境のところでどう過ごしていくのがいいのかと。この辺まで考えていかないといけないんじゃないかなと思います。
 基本的に我が子も、そういう子どもを授かることもあり、すべての国民にあるはずですから、逆の立場になったら理解できるんですが、でも、保護者は目の前のまず我が子となってしまうところも是非御理解いただきながら、この制度が構築されることがとても大事。ということは、まさしく学習の権利を与えながら、このような感性を持つ教育を今からどれだけしっかり次の大人になる子どもたちにできるのか、ここがものすごく大事なポイントになってくるような気がいたします。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 今、皆さんから非常に大事な論点、視点を提出していただきました。これを踏まえて、いろいろな意味で専門的な検討を進めていく、そして、具体的な学校現場で本当にうまくいきそうな制度設計に持っていく、こういうことのために、特別支援教育の在り方に関する特別委員会を設置したいと考えております。これにつきまして、事務局から御説明をお願いいたします。

【斎藤特別支援教育課長】
 特別支援教育課、斎藤でございます。
 お手元の資料2-7になります。こちらに「特別支援教育の在り方に関する特別委員会の設置について(案)」とございます。少し読み上げさせていただきますと、まず、「1.設置の目的」として、障害者の権利に関する条約の理念を踏まえた特別支援教育の在り方について専門的な調査審議を行うため、初等中等教育分科会に「特別支援教育の在り方に関する特別委員会」を設置する、ということでございます。
 「2.委員等」といたしまして、特別委員会の委員は、初等中等教育分科会長が指名する、委員長を置き、委員会の互選により選任する、それから、委員長に事故があるときに職務を代理する者を指名する、必要に応じ、特別委員会の委員以外の者の協力を得ることができる、ということでございます。
 「3.主な検討事項」といたしまして、インクルーシブ教育システムの構築という権利条約の理念を踏まえた就学相談・就学先決定の在り方及び必要な制度改革と、この制度改革の実施に伴う体制・環境の整備、さらに障害のある幼児児童生徒の特性・ニーズに応じた教育・支援の実施のための教職員等の確保及び専門性の向上のための方策、その他、ということでございます。
 「4.設置期間」につきましては、以上の検討事項に関する審議終了のときに廃止をするということでございまして、「5.その他」として、ここに定めるもののほか、必要な事項は委員長が特別委員会に諮って定めるということでございます。
 事務局からは以上でございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 今、資料2-7につきまして御説明をいただきました。何かこれにつきまして御質問ございますでしょうか。
 こういうことで、中教審の初等中等教育分科会の下にこういう特別委員会を作って、具体的な在り方を議論していきたいと思っておりますが、この設置につきまして、よろしいでしょうか。
 では、渡久山先生。

【渡久山委員】
 これは初等中等教育分科会委員といいますか、中教審の委員の中から委員を選ぶんですか。それとも部外者も選ばれるということですか。

【梶田分科会長】
 外の人も含めて選任します。

【渡久山委員】
 そうですか。それなら障害を持った当事者も入れるようにしていただければ私はいいと思います。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 これを御了承いただけたら、申し上げようと思っておりましたが、この委員のどなたに入っていただくかということにつきましては、分科会長に御一任いただきたいんですが、今、渡久山先生がおっしゃったように、障害のある方の中にはそういうことで御苦労されてきた方がいろいろとおられますので、是非そういう方にも委員としてお入りいただいて、当事者の視点といいますか、これが十分に生きるような形で持っていきたいと思っております。
 今、渡久山先生がおっしゃっていただいたことを含めて、皆さん、こういう特別委員会を資料2-7にあるような形で持っていきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。それでは、そういうことで進めさせていただきたいと思います。
 先ほども申し上げましたが、この委員の人選等につきましては、私に御一任いただきたい。ただし、私が発言したことは当然踏まえて考えたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、次の議題に入りたいと思います。子ども・子育て新システムの基本制度案要綱につきまして、濵谷幼児教育課長から御説明をお願いいたします。

【濵谷幼児教育課長】
 幼児教育課長でございます。
 お手元の資料3-1から3-3までの資料に基づきまして御説明を申し上げます。
 まず、経緯でございますけれども、資料3-3を御覧いただきたいと存じます。子ども・子育て新システム検討会議について、今年の1月29日の少子化社会対策会議の決定でございますけれども、もともと昨年12月8日の緊急経済対策におきまして、幼保一体化を含む新たな次世代育成支援のための包括的・一元的なシステムの構築について検討をするということが決定されておりまして、これに基づきまして、本年1月29日に子ども・子育て新システム検討会議が設置されております。
 構成員でございますけれども、行政刷新担当大臣、国家戦略担当大臣、少子化担当大臣、この3大臣が共同議長でございまして、その下に総務大臣、財務大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣、経済産業大臣、関係閣僚が参加して検討しているものでございます。
 具体的な作業につきましては、その下に3番でございますけれども、政務官レベルで作業グループを構成いたしまして、今年の3月ぐらいから関係団体、あるいは有識者等のヒアリング、意見交換会などを行いまして、今回の制度案要綱をまとめたということでございます。
 その下に「スケジュール」とございますけれども、1月29日の決定におきまして、本年6月を目途に基本的な方向を固めて、少子化社会対策会議等に報告することになっておりまして、今回の基本制度案要綱はこの1月29日の会議決定を踏まえたものでございます。
 それでは、内容でございます。簡潔に幼保一体化関係を中心に御説明を申し上げます。
 資料3-1でございます。「子ども・子育て新システム基本制度案要綱」とございますけれども、今年の6月29日に少子化社会対策会議として決定したものでございます。総論、目的とございますけれども、「子ども・子育て新システムでは以下のような社会を実現」ということで、まず第一に掲げておりますのは、「すべての子どもへの良質な成育環境を保障し、子どもを大切にする社会」ということで、チルドレン・ファーストという言い方もございますけれども、子どもの良質な成育環境、幼児教育、保育環境を含めてでございますけれども、そういったものを保障しようというのが第一義的な目的でございます。加えまして、「出産・子育て・就労の希望がかなう社会」、「仕事と家庭の両立支援で、充実した生活ができる社会」、「新しい雇用の創出と、女性の就業促進で活力ある社会」ということで、両立支援、あるいは新たな産業創出ということも併せて目的にしているというものでございます。
 一番下に「新システムとは」とございますけれども、新システムにおきましては、「以下のような新システムを実現」ということで、幾つか掲げておりますけれども、その4つ目に「幼稚園・保育所の一体化」も掲げられているということでございます。
 1枚めくっていただきまして、2ページでございます。全体の基本設計でございますけれども、「子どもの育ち・子育て家庭を社会全体で支えるため、市町村が制度を実施し、国・都道府県等が制度の実施を重層的に支える仕組みを構築する。」、「事業ごとに所管や制度、財源が様々に分かれている現在の子ども・子育て支援対策を再編成し、幼保一体化を含め、制度・財源・給付について、包括的・一元的な制度を構築する。」と記述されております。
 恐縮でございますけれども、11ページを御覧いただきたいと存じます。
 11ページに「制度設計のイメージ」ということで、主に財源を中心でございますけれども、今回の制度設計の全体像を模式図にしたものでございます。一番上の真ん中、仮称でございますが、「子ども・子育て勘定」、ここに労使の拠出金、あるいは国の一般会計からの負担金・補助金等を集めまして、その下でございますが、実施主体、基礎自治体である市町村に財源を一元化して交付するということでございます。これは包括的交付金ということで、この関連の事業を束ねる一元的な交付金という形で市町村に交付するということでございます。市町村におきましては、この交付金を元に、地域の実情に応じて、地域の裁量で様々な事業を実施するということでございますが、幼児教育・保育の給付のような現物給付と、子ども手当のような現金給付を、地域の実情に応じ配分していこうという内容でございます。
 給付の内容については、すべての家庭が利用、給付の対象になる基礎給付、特定の家庭が対象になる両立支援・保育・幼児教育給付という2階建て構成になっておりまして、1階の基礎給付の一番大きなところは個人給付というところの下にございますけれども、子ども手当が一番大きな事業ということでございまして、これに加えまして、様々な子育て支援拠点の相談事業などを実施するということでございます。
 幼保一体化につきましては、次の2階部分でございますが、現物給付の下に「幼保一体給付(仮称)」とございますけれども、現在の幼稚園と保育所を一体化したこども園、保育ママ等の小規模保育サービスなど、幼保一体関連の給付をここで再編しようということでございます。現在は、幼稚園、保育所で財源構成、いろいろな財政支援の仕方が分かれておりますけれども、基本的には幼保一体給付という形で共通の給付構成にいたしまして、同じ幼児教育・保育の提供、あるいはそれについての同様の財政支援を行っていこうという内容でございます。
 これが全体像でございますけれども、幼保一体化関連部分につきましては8ページでございます。8ページのローマ数字の5に「幼保一体化」という部分がございます。4点掲げてございますが、「幼稚園・保育所・認定こども園の垣根を取り払い、新たな指針に基づき、幼児教育と保育をともに提供するこども園(仮称)に一体化する。」、「すべての子どもに質の高い幼児教育・保育を保障するとともに、家庭における子育て・教育にも資するため、幼稚園教育要領と保育所保育指針を統合し、小学校学習指導要領との整合性・一貫性を確保した新たな指針を創設する。」、「こども指針(仮称)に基づき提供される幼児教育・保育について、資格の共通化を始めとしたこども園(仮称)としての機能の一体化を推進する。」それから、多様な事業主体の参入ということでございます。
 恐縮でございますが、12ページにその関連をイメージ図にまとめたものがございます。まず、基本的には一番上にございますが、幼稚園・保育所につきましては、現在は幼稚園、保育所、認定こども園という3つの類型に分かれておりますけれども、これにつきましては、幼児教育と保育をともに提供するこども園(仮称)に一体化するというのが基本的な考え方でございます。
 一体化の中身としては、1つは給付の一体化、もう一つが機能の一体化ということで、給付の一体化につきましては、先ほど申し上げましたけれども、財政支援につきまして、基本的には幼保一体給付による財政支援ということで、共通の給付構成にするということ。機能の一体化につきましては、まず第一にこども指針(仮称)という形で、現在の幼稚園教育要領と保育所保育指針の統合を図っていこうということでございます。
 この考え方でございますが、3点ございます。1つは、すべての子どもに質の高い幼児教育・保育を保障するということ。現在でも幼稚園教育要領と保育所保育指針については、先般の平成20年の改訂におきまして、主に教育面につきましてはかなりの整合性の確保が図られたところでございますけれども、これを一層進めようということでございまして、幼稚園・保育所を通じて質の高い、同じ質の幼児教育・保育を保障しようということが第1点でございます。
 第2点でございますが、家庭における子育て・教育にも資するということでございます。家庭・地域の教育力の低下が指摘されておるわけですけれども、この指針につきましては、家庭の子育て・教育にも資するようなものにしようというのが第2点でございます。
 第3点が小学校学習指導要領との整合性・一貫性の確保でございます。先般の教育基本法の改正におきまして、幼児期の教育が人格形成の基礎であることが明確化され、また体系的な教育の促進ということで、幼稚園につきまして、小学校とのつながりを明確化したところでございますけれども、この理念を踏襲いたしまして、この指針につきましては、小学校学習指導要領との整合性・一貫性を確保すべく、そういった内容のものにしようということでございます。
 機能の一体化につきましては、併せて資格の共通化を始めとした機能の一体化の推進ということも記述されております。現在でも幼稚園教諭、保育所の保育士の資格を持つ者、幼稚園では約7割の方々が既に両方の免許を持っておりますけれども、こういったことを更に進めていこうということでございます。
 4点目が多様な事業主体の参入ということで、これは主に都市部の待機児童対策に資するということでございますけれども、このこども園については学校法人、社会福祉法人、株式会社等々、多様な事業主体の参入が可能になるような仕組みにしようという内容でございます。
 戻っていただきまして、9ページでございます。幼保一体化については以上の内容でございますけれども、この新システム全体につきましては、上のローマ数字の6でございますが、「新システム実施体制の一元化」ということで、新システムを一元的に実施する子ども家庭省(仮称)の創設に向けて検討するということ。
 最後に一番下のスケジュール、ローマ数字の9で「工程」とございますが、この新システム、幼保一体化を含めてでございますけれども、この新システムにつきましては、来年、23年の通常国会に法案を提出し、25年度の施行を目指すというスケジューリングになっております。
 簡単ですが、以上でございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 新しい幼保の一体的な施設を創設して、それをうまく動くようにするという構想が今、政府の少子化社会対策会議で決定したということです。うまくいけば、来年の通常国会に法律を出して、これを本当に一体的にやるために、御説明がありましたように子ども家庭省という形での一本化を図るということです。今までも幼保一体化がずっと何十年か言われながら、文部科学省と厚生労働省との間でなかなか調整がつかないわけですが、新しい省を作って一体化してという構想でございます。構想ですから、まだどういうふうになるかわかりませんが、この考え方につきまして、皆さんで御質問等があればお願いしたいと思いますが。

【北條委員】
 失礼いたします。いろいろ御説明をいただきました。昨日の夜といいましょうか、本日の早朝といいますか、参議院選挙が終わりまして、菅総理の記者会見を見ておりましたけれども、その中で、子ども手当の話が出ました。子ども手当1万3,000円をさらに上乗せするんだと。上乗せする部分については現金給付ばかりではなくて、保育所や幼稚園の充実に使っていくことも可能とするということを明確に記者会見で述べられました。今までその部分に幼稚園という言葉を使われておられませんでしたので、このたび記者会見の中でそのようなお話が出たことは大変ありがたいことだ、結構なことだと思っております。
 ただ、このたびの子ども・子育て新システム検討会議というものは、幼稚園教育に携わる者の立場から申せば、極めて唐突に出てきた話でございます。保育制度改革が進められていたことは承知しておりますが、幼稚園教育につきましては、平成17年1月の幼稚園教育に対する包括答申を受け、そしてまた、中央教育審議会と社会保障審議会との合同の検討会議が持たれ、認定こども園制度が発足したわけでございます。そして、幼児教育振興アクションプログラム、また、現行の新幼稚園教育要領の中で認定こども園制度の推進という方向が示されてきたわけでございます。
 したがいまして、私ども幼稚園教育に携わる者の方向としては、中教審答申、そしてアクションプログラム、幼稚園教育要領の改訂という筋道の中で、幼稚園教育の改善が行われてきたと理解しておりますが、この新システム検討会議の問題は、昨年の12月にいわば唐突に持ち上がってまいりました。私どもにとってはここ数箇月の話でしかなかったわけであります。
 資料3-3の冒頭に説明がありますように、緊急経済対策としてこの方向が出されたということ、これは明白なことでございます。資料3-1の1ページ目にございますように、この中には唯一下から3番目のところに「幼稚園・保育所の一体化」という部分で幼稚園という言葉がありますが、それ以外のところに教育的な観点、教育的な視点は皆無でございます。そういうものに対して、幼稚園教育に関わる者は、公立幼稚園も私立幼稚園も今回の動きに対して非常に憂慮しているということをこの際申し上げておかなければならないと思います。幼稚園教育の場から必要があって何らかの改革の方向性が示されてきたのではないということだけは申し上げておかなければいけないと思います。
 その上で、このたびの動き、幼稚園と保育所に話は限られているわけではないということも、委員の先生方にこの場をお借りして御理解をいただく必要があろうと思っております。すなわち、「子ども・子育て」という言葉が使われておりまして、ここで「子ども」という言葉が使われており、先ほど課長の説明にもありましたように、将来的には子ども家庭省の設置が企図されていると。そして、重要な仕事として子ども手当の支給が行われると。御承知のように、子ども手当の対象はゼロ歳児から15歳児までであります。それを子ども家庭省に包括していくということでありますから、事は極めて重大だということを御理解いただいておく必要があろうと思います。
 その上で、先ほど梶田先生は新しい施設というお言葉をお述べになりましたが、少なくともただいまの課長の説明を受けている限りでは新しい施設ということではなかろうと。すなわち、制度の一体化ではなくて、給付と機能の一体化だという御説明であったと理解しております。現時点では、それぞれの言葉がどういうことを意味するのかが誠に不明確でございます。我々にとっては唐突な話でありますが、唐突であっても事がいい方向に進んでいく分には歓迎するわけでございます。現時点では具体的な内容が不明確でありますが、今後の検討の中で、少しでも良い方向に我が国の教育制度が充実したものとなっていくことを期待して、一言意見を述べさせていただきました。ありがとうございました。

【梶田分科会長】
 北條先生、ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 田村先生。

【田村副分科会長】
 ありがとうございます。今の北條先生のお話を少し補足といいますか、北條先生のお話に関わることで感想を申し上げさせていただきたいんですが、いろいろと伝わってくる話を耳にします。このことに関わってやっておられる方々が、子どもに平仮名を教える時期をそんなに早くする必要があるのかとか、そういうような議論がされているということを聞いているんですね。幼稚園と保育所で教育という議論をする場合、別に平仮名を教えたり、絵をかくことを早目にやったりということではなくて、意味としては、教育的な環境を整えるという意味なんですね。これは実際に保育所と幼稚園を御覧になると違いがわかります。幼稚園は教室みたいになっているんですね。子ども一人一人が机を用意されて、いすを用意されて、ところが、保育所はそういう形には作られていないんですね。そのことを教育という言葉で言っているわけです。もっと的確に言えば、教育を受ける準備をしているという意識が幼稚園の場合にはかなりはっきりあるわけですね。認定こども園もそういうつもりでやっています。ですから、そこのところを統合されるのは、今の北條先生の御意見と同じでして、統合されるのならいい結果が生まれてほしいと思っていますが、教育という部分はもうちょっと関係者がきちっと理解されて制度設計を進めていかないと、子どもにとって不幸な事態になる危険があるんですね。その程度の理解でこの話を進められては困るんですね。教育というと何か教え込むことだと思われているんですけれども、そうではないんです。教育を受ける準備をするという意味での幼児教育の役割はすごく大きな意味があるんですね。ですから、そのところを是非しっかりと明確に認識されて、この議論を進めて、子どもたちにとっていいような形を作り上げていっていただきたいということを心から期待しています。
 その一言だけ申し上げさせていただきました。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。非常に大事な点を出していただきました。正に中教審は幼児教育についても教育という面から議論をしてきたわけで、先ほど北條先生から御指摘があったように、その視点が薄れた形で、はっきり言うと子ども手当の現物給付ということの具体像として出てくるだけだと、なかなかこの構想には難しい点があるなと思います。
 それでは、時間がありません。あと一人だけということで、郷先生。

【郷委員】
 今、教育のシステムとしてというお話でしたけれども、もう一つ、中教審全体として、この問題は仕事と家庭の両立の問題、キャリア教育、大学院教育、いろいろなところに関わってくる問題だということを一言申し上げたいと思います。
 「新しい雇用の創出と女性の就業促進で活力ある社会」ということもここに書かれておりますけれども、女性が一度子育てで家庭に入ってから、新しい職につこうと思っても、もう一回いろいろなことを勉強しなきゃいけないということもございます。大学や大学院に入り直して、お子さんを今ですと保育所へ預けたいということになるんですけれども、現状ですと、大学院で学んでいる間には保育所に子どもを預けられないという問題もあります。幼稚園はといいますと、幼稚園は早く終わってしまいますから、とても大学や大学院で勉強する時間に合わない。そういったことを考えますと、これからの幼保一体化で幼児教育、生活指導も含めたシステムというのは、今まで本当に望んでいてできなかったことだと思っておりますし、現に今大学院、大学で学んでいる方たちにとってもそういう問題がございますし、社会人になってからもう一回教育を受け直して、社会に出て活躍するということでも大変大きなシステム改革だと思っておりますので、是非この方向で進めるように、いろいろ問題はあると思いますけれども、大きな流れといいますか、意味を見失ってはいけないのではないかと思います。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 この問題はまだ、この構想が実現していく上でいろいろとプロセスがあると思います。私たちもこの問題、中教審でずっと議論してきまして、幼児教育の根幹に関わる部分がございますので、この事態が進展していく中でまた御報告をいただきまして、必要ならば中教審としての御意見も申し上げなければいけない時期が来るんじゃないかと思います。そういうことを含みとして、今日はこういう構想が出てきているというあたりで受けとめていきたいと思います。
 それでは、午前中はこの辺りにしたいと思います。
 事務局から御連絡をお願いいたします。

【小谷教育制度改革室長】
 本日は別室で昼食を御用意しておりますので、係の者が御案内させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

【梶田分科会長】
 それでは、これで休憩に入らせていただきますが、午後は時間がありませんが、13時から再開したいと思っております。それでは、別室に御案内、よろしくお願いいたします。

( 休憩 )

【梶田分科会長】
 それでは、時間になりましたので、会議を再開したいと思います。
 この午後の会議には、鈴木副大臣、本当にお忙しい中、まさに万障繰り合わせて御参加いただいております。今日はこの午後の会議の最後に少しお話をいただこうと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、今後の学級編制及び教職員定数の改善につきまして、皆さんで審議をしていただきたいと思います。前回、学級編制・教職員定数の改善についての提言につきまして、骨子を御了承いただいております。その際に各委員の方に御発言いただいたり、また、後で事務局にお寄せいただいた御意見等々を踏まえまして、本日は木村先生、田村先生、両副分科会長と御相談いたしまして、書き直した提言の案といいますか、骨子を基にしてこういうふうな提言ではどうだろうかということで、資料4-1として皆さんのお手元にお届けしてあります。
 今日の審議の進め方でありますけれども、骨子を御了承いただき、それに基づいて提言の案にしておりますし、本日、またその中身について御意見をいただきたいと思いますが、できれば今日のこの会でほぼこの提言をまとめたいと思っております。もちろん今日の御発言を踏まえて若干の修文が必要になったりいたします。それは恐縮でありますけれども、私に御一任いただきたいと思います。ただし、大きく変えるようなことはございません。皆さんの御意見で修文させていただいてと思っております。
 3月の分科会のときに鈴木副大臣にお話しいただきましたけれども、これは単なる提言では駄目であって、概算要求にこれが盛り込まれなければ意味がないし、また、それを何とか財務省で御理解いただきまして、実際にこれが実現しなければどうにもならない、こういうものであります。そういう意味でも時期がございます。時期というのは、今日辺りでほぼまとめて、あと、省内で御検討いただいて概算要求に盛り込んでいただくということです。今日はそういう考え方で、提言の最後のまとめということで御審議をいただきたいと思います。
 それでは、まず、今日は資料4-1の提言(案)につきまして、木村先生からそのポイントについて御説明をいただきまして、事務局からそれを補足的に御説明いただきたいと思います。
 それでは、木村先生、お願いいたします。

【木村副分科会長】
 それでは、御説明申し上げます。資料4-1を御覧いただきたいと存じます。「今後の学級編制及び教職員定数の改善について(提言)」(案)となっております。
 1ページおめくりください。私から御説明申し上げるのはコアになっているポイントだけで、詳しくはただいま分科会長からお話がございましたように、事務局から説明をしてもらいます。
 目次を御覧ください。前回お示ししました骨子の構成とほぼ同様になっておりますが、ただ、3ポツの(2)の5番目に「生徒指導の充実」というのが新しく入りました。これは前回の御議論で是非このことを入れてほしいという御要望がございましたので、新たに加えました。
 次、1枚おめくりいただきまして、(4)で前回は「その他」となっておりまして、これはその他ではなく、極めて重要な事項ではないかという強い御意見が出ました。私どもも確かにそのとおりであると判断いたしましたので、そこにありますように、「学級編制・教職員定数の改善とともに取り組むべき重要課題」として項目を挙げました。
 目次について変更したところは以上でございます。
 本文の1ページにお戻りください。1ページについては前回の委員の皆様の御意見をできるだけ参考にいたしまして、当分科会としての基本的な考え方を「はじめに」として端的に記述いたしました。冒頭にもございますように、個性豊かで創造力あふれる人材の育成が我が国の成長基盤であり、学校教育に託された国民の期待が高いことを記述しております。
 続きまして、これまでの定数改善の経緯についてです。近年は改善計画が策定されない状況が続いているということ、新学習指導要領の完全実施を控え、計画的な定数改善が必要であることなどを記述いたしております。
 また、政府の来年度予算については、皆様方お聞きになっているかと思いますが、歳出増を伴う施策には恒久的な歳入確保措置により安定財源を確保する財源確保ルール、いわゆるペイ・アズ・ユーゴーという原則が適用されることになっております。今回の提言に盛り込まれた定数改善を実現するためには、ただいま分科会長からお話がございましたように、このことに対する国民の理解も不可欠と考えまして、最後のなお書き、「なお、本提言の実現には」というところでございますが、そのことについて言及いたしております。
 本提言の内容は多岐にわたりますので、特に私からは2ページにまとめてあります本提言のポイントについて簡単に御説明申し上げます。3点を要点として挙げております。
 まず1点目として、学級編制の標準については、新学習指導要領の円滑な実施、生徒指導面の課題等への対応、かねがね中教審でも言っております教員が子どもと向き合う時間の確保等の観点から、学級編制の標準を、単式学級については現行の40人から引き下げること、小・中学校の複式学級の学級編制の標準も引き下げること、画一的な取扱いにより学級規模が小さくなり過ぎないよう、柔軟な学級編制の仕組みとする必要があることを提言いたしております。
 2点目として、教職員定数の改善につきましては、1点目と同様の観点から、基礎定数の充実、学校運営体制の整備、特別支援教育の充実などのための教職員定数の改善について提言しております。
 3点目でありますが、設置者であります市町村が主体的に学校の教育条件整備に取り組む観点から、学級編制に関する権限を都道府県教育委員会から市町村教育委員会へ移譲するということ、また、計画的な教職員配置を進め、定数配分の客観性・透明性を高める観点から、加配定数の相当程度を基礎定数に組み入れることを提言いたしております。
 以上が2ページの枠で囲んでおりますポイントでありまして、これがこの提言の骨になるところであるとお考えいただいてよろしいかと思います。
 3ページ以降の提言の本文には、各委員からいただきました御意見を踏まえて、前回の骨子を文章化したものを記述いたしました。この点については事務局から補足説明をいたします。私からは以上でございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 それでは、髙橋財務課長、お願いいたします。

【髙橋財務課長】
 それでは、私から補足をさせていただきます。提言本文については、既に事前に送付をさせていただいて、委員の皆様にお読みいただいていると思いますので、網羅的に説明するのではなく、前回の分科会で皆様方からいただいた御意見が文章にどのように反映されたかを順次確認していただきたいと思います。
 まず、1ページの「はじめに」のところでございますが、前回、向山委員から、「リード文の中に創造性を豊かにしていかないと資源のない我が国の発展は望めない、そういったもっと前向きな趣旨を盛り込むべきだ」との御意見をいただき、同様の御意見をほかの委員からもいただきました。先ほど、木村副分科会長から御説明のあったリード文の第1パラグラフにその旨を記述いたしております。
 渡久山委員からは、「今後の税制抜本改革で一体何を目指していくのか、その中には当然教育を含めていくべきではないか」、そういった御指摘もいただきまして、先ほど木村副分科会長からも御説明いただきましたように、今後文科省としても国民に対して学級編制・教職員定数改善のための恒久的な財源確保について理解を求めていく必要性、これを「はじめに」の一番最後の3行に書いております。
 2ページ目は、これも今、木村先生から御説明いただいたところでございます。梶田先生、木村先生、田村先生の御指導で、このような枠組みの形に整理をいたしました。皆様方の中には、これも重要だから、この枠組みの中に入れるべきだという御意見もあろうかもしれませんが、今回は提言のタイトルであります「学級編制及び教職員定数の改善」に絞って入れたということで、御理解を賜りたいと思っております。
 少しページ数が飛んで恐縮でございますが、4ページ目から5ページ目にかけて、今回の改善は新しい学習指導要領への対応が重要だということを、るる説明いたしております。特に5ページ目の22行目ぐらいございますけれども、渡久山先生から「学力問題への対応としての教員の数の充実の視点も盛り込むべき」ということで、これは学習指導要領を議論した平成20年1月の答申にも書かれていたことでございますので、答申を引用する形でその旨を書いております。
 6ページ、7ページのところでございますが、前回の骨子では生徒指導、学級経営を中ポツでつないで1つの項目にしておりましたが、天笠先生からは、「まず学習指導、生活指導かあって、その次に学級経営という構成にした方がいい」という御意見、あるいは森田先生からも、「生徒指導、学級経営両面にもっと突っ込んだ記述をすべきではないか」、そういった御指摘を踏まえまして、それぞれの項目を独立させまして、また、特に生徒指導面の課題についてはできるだけデータを引用して、丁寧な記述に努めております。
 7ページ目の下から2行目のところになりますが、今日は御欠席でございますが、新藤委員からは「専門職的な教員については学校の実態に応じて柔軟に配置できるようにすべき」といった御意見がございました。最後の2行のところにその趣旨を書いてございます。
 途中飛びますけれども、12ページ目の25行目、「(2)教職員定数の改善」の最初の部分でございますが、天笠先生、森田先生から、「学級規模の引下げだけでは生徒指導面の課題に対応できない、学級規模を引き下げるとともに、定数改善が必要」といった御指摘がございましたので、25行目から27行目までに最初にその旨を端的に記述いたしております。
 13ページ目に移りますけれども、大嶺委員からは、「小学校における教科担任制のような将来的な動向にも配慮した記述が必要」、あるいは渡久山委員からは、「小学校高学年で理科などの専科教員を増やすべき」、そういった指摘がございましたので、13ページの25行目あたりの記述になりますけれども、理科を始めとする専科教員の配置を進めるための基礎定数の充実といった形で記述をいたしました。
 次に14ページに移ります。これは先ほど木村副分科会長からも御説明いただきましたが、森田委員等の御指摘を踏まえて、丸5、「生徒指導の充実」、この部分が項目として新規に追加になっております。したがって、前回10項目であったのが、今回は全部で11項目という形になっております。
 また、2ページ飛びまして16ページでございますけれども、16ページ目の一番上の行、丸10、前回骨子では「キャリア教育」としたところでございましたけれども、今日御欠席ですが、青山委員から、「キャリア教育の充実に関しては、特に高等学校では進路指導部の機能強化、進路指導主事の充実が必要であるので、進路指導といったことも併せて書き込んでほしい」という御指摘を踏まえまして、タイトルをこのような形で変更しております。
 17ページ目に飛びますけれども、17ページの丸3、「教職員定数算定方式への児童生徒数の反映」のところでございますが、貞広委員から、「児童生徒数を算定ベースにすると、今後の児童生徒数減によって教員数の大幅な削減につながるのではないか」といった御懸念をいただきましたので、今後も学級数を基礎としつつ、一学級当たりの児童生徒数が多い学校については教職員を加算できるような算定方式の導入の必要性についての記述という形にしまして、そういった懸念につながらないように記述をいたしております。
 同じページで、髙橋委員からは、「市町村合併を伴わない学校統合についても、統合支援の観点から激減措置を講ずるべき」という御指摘がございました。これは前回の骨子にはなかった新しい御意見でございましたので、今回丸4ということで柱を追加して、その旨を記述いたしております。
 18ページ目の(4)の見出しでございますが、これも木村副分科会長から御説明がありましたが、曽我委員から「ここを『その他』ということでは駄目だ」ということで、このような「重要課題」というタイトルに変更いたしております。
 同じ18ページ目、1、「義務教育費国庫負担制度の堅持・拡張」のところでございますが、前回は制度の堅持という骨子になっておりましたが、小川先生、渡久山先生から「国庫負担率の2分の1への復元についても検討すべきであると、そういうことも中教審として書き込むべきである」といった御指摘をいただきまして、国庫負担率の2分の1への復元についても検討することが望まれるといった記述を追加いたしております。
 最後のページ、20ページ目になりますけれども、ここについてもいろいろな御意見をいただきました。特に専門的スタッフの配置充実については多くの委員から御指摘をいただきまして、宮﨑委員からは、「定数改善と併せて専門的スタッフを充実する際には、コーディネートや研修が重要である」といった指摘をいただきましたので、例えば20ページ目の9行目、10行目に専門的スタッフに対する研修体制の整備等の検討の必要性を記述しております。また、具体的なスタッフとしては、井上委員、貞広委員、宮﨑委員からそれぞれ「外国語指導助手」、「スクールソーシャルワーカー」、「部活動の外部指導者」など、具体的な御提言もいただきましたので、そういったものも具体的に記述する形で整理をいたしました。
 最後でございますが、20ページ目の23行目、「幼稚園における学級編制等の改善」、ここは北條委員から「幼稚園についての記述を追加すべき」との指摘を踏まえまして追加したところでございます。
 必ずしも十分御意見を踏まえた記述になっているかどうか確認の上、また必要な修正等があれば御指摘を賜れればと思います。事務局からは以上でございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 随分皆さんのいろいろと御意見いただいたものをこの中に組み込んでいただいて、こういう形にまとまってきております。
 何か皆さんで御意見ございませんでしょうか。
 黒須先生。

【黒須委員】
 ありがとうございます。私どもの立場から言いますと、もうちょっと強調していただきたいなという面もあるんです。あえて申し上げますけれども、例えば本提言のポイント。ここでは現行の40人から引下げということで、前回からお話がありましたが、具体的な数字は当然出ていない。しかし実際には新聞等で35人という数字がかなり大きく出ているんですね。そうしますと、例えば議会とか住民の方から、当然35人を前提にいろいろ発言がされるわけですね。
 私ども、中学校と小学校で107校あるんです。35人ということで数字を出してみたんですが、小学校は28.3人、中学校が30.5人になるんです。そういう点ではアンケート等の枠にちょうど入っているということになりますが、単純に計算しますと、学級数で133学級増えることになるんです。そうしますと、教員が小学校で88人、中学校で69人、157人増えなければいけない。それから、教室は39教室増やさなければいけないということになりまして、財政負担を考えると、漠然とした表現では我々は立場が困るなということなんです。加配なんかでも、今日は東京都の教育長がおられますけれども、しっかり加配をしていただいて、小学校の算数とか中学校の数学、英語等は加配をしていただいているんですね。ただ、でも、これはどこの道府県でも同じようにというような、なかなかそういう条件が整っていないんじゃないかという気がするんです。
 それから、中1ギャップとか、例えばこういうところに具体的に限定をしていくとか、何かそこからスタートするというような、もうちょっと具体的な記述がないと厳しいという感じがするんです。
 もう一つは、ポイントの下の方に学校の教育条件整備に取り組む観点から、学級編制に関する権限を都道府県教育委員会から市町村教育委員会に移譲と書いてありますけれども、これは財源の移譲も明記をしていただかないと、ちょっとやりにくいなという感じがしているんです。
 もう一つ、ついでにお話しさせていただきますと、4ページの(4)に「市町村負担による教職員任用の導入」というのがありますね。市町村が地域の実情に合わせてより主体的に教育条件を向上させることができるようになった、確かにそのとおりなんですけれども、「この制度を活用して、平成21年度においては、91の市町村において840人の教員が独自の負担により配置されているとともに、46市町村において独自の少人数学級が実施されるなど、市町村の意欲的な取組が行われている」と書いてあるんですが、実際に全国的に見ると極めてまれな例ですよ。全国で今1,750ですか、市町村があります。その中での91の市町村とか46の市町村というのは極めてまれな例で、これも記述の仕方によっては、これが一般的な例だと思われがちだということを、実は私どもは危惧をしているわけでございまして、そういう点をもうちょっとお考えいただければありがたいなと思います。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。今、特に後の方、幾つか御指摘いただきました誤解を招きそうなところは、少し文章表現をまた考えてみたいと思います。
 それから、数字のことは、実はあまりはっきり言わないで、しかし、透けて見えるように書いたんですね。例えば11ページなんかに、「学級編制の標準を例えば35人に引き下げる場合を仮定してみると」というようなことはあるんですが、実際上、財務省といろいろと折衝していただく中で、あまりコンクリートにし過ぎても何かなという判断もあってやっておりますが、その辺もどう透けて見えさせるかということをまた考えてみたいと思います。そういう提言があって、それを基にして概算要求していただいて、その後、いろいろとやりとりをしていただく中で、実質、手厚く増えなければいけないなというところがあるものですから、その辺、少しまた考えさせてください。
 ほかにいかがでしょうか。

【北條委員】
 前回の意見、早速対応していただいたことをありがとうございます。
 改めて読ませていただきまして、ちょっと気になったところがあります。10ページ、下から3行目のところですが、「小学校の低学年はいわゆる『小1プロブレム』に見られるように学校教育に適応する上で重要な時期であり」という表記がございます。学校教育の始期というのは幼稚園教育に始まりますので、「小学校教育に適応する」という表現であれば何の問題もないわけでありますが、「学校教育に適応する上で」ということになると誤解を呼ぶとか、あるいはやや不適切な表現ではないかと思います。
 最後のページの20ページのところでございますが、5で正規教員の配置促進について書いていただいたのは大変ありがたかったと思います。私、地域で地元の小学校なんかによく出入りしておりますが、これは非常に多い例だとは思うんですけれども、全体の3分の1ぐらいが非正規の臨時的任用の先生がおられる例がございます。実際の仕事ははたから見ている分には同じ仕事をされておられるわけで、教員間の処遇の格差が相当大きくなっておりますので、このことへの対応をしていただけることがありがたいと思っております。また、幼稚園に関しても、従来は非正規教員はほとんど例はなかったんでありますが、ここへ来て小規模な私立幼稚園などでは財政基盤が弱いということで、苦し紛れにいわゆる非常勤講師という形で教員を非正規化する動きが、小学校の例を横目で見ながら徐々に浸透し始めておりますので、そういうことは教育の質を担保する上から問題だと存じております。これはここだけで限らず、教員予算全体の確保の問題ですので、是非とも御尽力をいただきたいと思います。
 最後でありますが、6の記載していただいたことをありがたく存じますが、しかし、先ほど子ども・子育て新システム検討会議に関する意見を述べさせていただきましたけれども、ここでの学級編制等の改善の問題は幼保一体化の問題とは別の問題であるはずですので、ここの「『子ども・子育て新システム検討会議』において検討されている『幼保一体化』の検討状況を踏まえ」という、この部分は適切ではないと考えます。
 いろいろお考え、多々あろうと思いますが、是非とも御配慮をお願いいたしたいと存じます。ありがとうございました。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。今の点で、10ページのところは確かに適切じゃないですね。「学校教育に適応する上で」ということではなくて、「小学校教育」ですね。というようなことで、この辺は少し検討いたします。
 それから、正規教員云々のこと、これも何かいい表現があれば、少し検討いたします。
 一番大事なのは、20ページの6のところですが、確かに先ほどいろいろと御意見をいただきました。子ども・子育て新システム、これはいいことなんですけれども、いろいろと中教審として考えていかなければいけない面も若干ございますので、これを出さないで、出すとまた縛られてしまいますから、例えば「今後の義務教育における学級編制の標準の動向や幼保一体化の検討などを踏まえ」とか、この辺をあまり具体的なところに深入りしないで、しかし、原則のところは押さえてというふうにしてはどうかなと今の段階では思います。あとまた全体的に調整したいと思います。
 それでは、向山先生。

【向山委員】
 私は分科会長、副会長で本当によくまとめていただいて感謝します。基本的には、この後これを概算要求にどう持っていって、その後どう査定してもらって、どう国会を通すかということですから、分科会長たち、あるいは担当者たちがやりやすいような提言が私はいいと思いますので、これで大変いいなと思ってます。
 せっかく鈴木副大臣が来ていらっしゃるので、昨日の今日でなかなか言いにくいこともあるんですが、今後の御決意を、昨日の分析結果というのはこれからまたいろいろな専門家が判断されるし、政府部内での検討もあるんでしょうが、このことについて少しまとまったお話を聞きたいので、時間が2時までということになっていますので、よろしくどうぞ。

【梶田分科会長】
 時間は私、考えて少し多目にとって、お話しいただこうと思います。
 では、髙橋先生。

【髙橋委員】
 2月のヒアリングに参加した者としまして、いろいろな団体からの要望その他をよくこれだけ見事にまとめられました。我々の要望もほぼ十分反映されていると思っております。感謝しています。
 ただ、その中で、教職員の定数、学級編制に関する権限について、市町村への権限移譲、いい面もあるんですが、ただ、それに市町村の財政負担を伴うとなりますと、財政的に脆弱な町村にとってはせっかくのいいものがなかなか実施できないということにもなりかねません。そのための財政的に豊かなところとそうではないところの教育格差が生じないよう、全国一律の教育水準の維持のためにも、国からの財政支援を是非お願いしたいと思います。
 そのために、最後にも書いてあるんですが、国庫負担率の2分の1への復元につきましては、私たちとしても是非強く要望したいと思っています。むしろこの部分は太字にしてほしいと思うくらいな要望ですので、よろしくお願いいたします。
 以上です。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。提言に書ける部分と、本日の議事録の形できちっと位置付けておく部分と両方出てくると思いますが、しかし、今の御指摘は大事だと思います。ありがとうございます。
 では、貞広先生、お願いいたします。

【貞広委員】
 ありがとうございます。これだけの、特に私に関してはまだ生煮えのような意見をここまで上手に反映していただいたことに感謝申し上げたいと思います。ありがとうございます。
 細かいことですけれども、読み手側の印象に関してということで、目次を見ていただいて、3の(2)の「教職員定数の改善」というところに1の基礎定数の充実から11まで、今日番号が変わって出ておりますが、このような形になりますと、1の基本となる基礎定数の充実とその他のものが同じような重みに見えてしまうような印象があります。あくまでもここの中教審の議論では、いかに基礎定数を充実させていき、プラスアルファ、それ以外の個々の諸課題への対応をどうするかというような議論だったかと思いますので、そうした議論の経緯が分かるような形にしていただければということが1点です。
 それとそれに関わりまして、2以下の部分の職種が違うもの、例えば食育の充実であるとか、事務処理体制の充実であるとか、その点に関してはこういう並列の仕方でよろしいかと思いますが、例えば3番の特別支援教育の充実であるとか、5番の生徒指導の充実に関してはすべての学校に共通しているものであり、できればこれは基礎定数を充実するという形で教員定数の改善が望まれることではないかと思いますので、その点についても考慮していただければと思います。
 以上です。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。すっと読んでいただければ、かなり比重の違いはわかりますが、今おっしゃるように、目次になると、というところがありまして、この辺はまた検討してみたいと思います。
 それでは、市川先生。

【市川委員】
 全体的には非常によくまとめてくださったと思うのですけれども、せっかく(4)に「学級編制・教職員定数の改善とともに取り組むべき重要課題」ということで出していただいているので、基本的には全体として数の問題を言っているわけですが、数を増やしてほしいといっているだけではないのだと、教員の資質向上の話を入れていただく方がいいのではないかなと思います。
 具体的には、教員の資質向上、特に授業力ですね。その中でも、1つは教員養成の充実という問題で、教員の基礎学力が昔に比べると落ちているのではないかというのも現場でよく聞かれる話です。これは制度的なものもあって、高校でも選択が非常に増えてしまったり、昔だったら物化生地とか全部やっていたと。理系でも社会科は全部受けていたのに今はどんどん選択になってしまって、しかも入試の軽量化が進行してきて、教育学部に来る人が物理は全くとっていないとか、地学をとっていないとか、そういう状態で小学校の先生になるということも普通になってきています。
 それと、教員養成のことで言えば、大学院を充実して修士号を持ったくらいの人が先生になってほしいという思いはあるんですけれども、実際にはなかなか修士号が評価されないといいますか、そこまで専門性を持った人が教員になるときにあまり評価されないという話も聞きます。もちろんそのためには、ただ修士号を取ればいいというのではなくて、大学院の方でももっと実践的な教育や実習をしっかりやるということが前提だと思いますが、一方では大学院の充実と、それが評価されるシステムということですね。
 もう一つ、教員養成と並んで、教員研修、実際に先生になってから授業研究とか、あるいは教育委員会主催の研修がいろいろあるんでしょうけれども、これをもっと実効あるものとして、先生になってからも、教員免許の更新制にするかどうかと関わりなく、教員の研修システムを充実させていってほしいです。教員一人一人のパワーアップといいますか、質的向上を図っていくということを1つ入れていただいた方が、数を欲しいといっているだけではなくて、質の向上を目指すことが見えてくるのではないかなと思いました。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。その辺も少し考えさせてもらいます。
 では、小川先生。

【小川委員】
 この内容についての要望というよりも、この内容をどうやって発信して国民の理解を得るか、その辺についてきちっとやってほしいなというお願いです。それと、鈴木副大臣についてもお願いなんですけれども、1つは、先ほど向山委員からもお話がありましたように、基本的にこの提言の中身をどう具体化するかということについては、文科省、政務三役を中心として、財務省とか内閣で折衝し、調整していくことにかかっているかと思いますので、そういう折衝の様々な事情もあるかと思いますので、あまり細かい書き方は要らないんじゃないかなと私は思っています。基本的には本提言のポイントを中心にして、国民に分かりやすく、その必要性をきちんと訴えるような、この提言に加えて、そうした発信の工夫をいただければなと思っています。
 もう一つは、この提言の内容は、学校現場が抱えていることとか、来年度から本格的にスタートする新教育課程の課題にしっかり対応していくための優先順位がきちんと整理されている内容になっていると思うんですけれども、問題は今の国や地方の厳しい財政事情の中で、この諸施策を実現していくために必要な恒久財源をどう確保していくかというのは、国民にどれだけそうした必要性が理解されるかどうかにかかっているかと思いますので、今、政権が抱えている強い経済とか強い社会保障を作り出していくためには、今の地域基盤社会では創造力ある人材育成が必要だ、教育は支出ではなくて投資なんだというところをしっかり発信できるような工夫を、文科省だけではなくて、中教審も様々な機会を通じて発信していけるように、少し工夫していっていただければと思います。
 特に副大臣には、来年度予算編成に向けてこれから本格的に折衝が始まっていくかと思いますけれども、是非頑張っていただければなと期待しております。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。まさにそのとおりです。
 渡久山先生。

【渡久山委員】
 どうもありがとうございました。幾らかの前回の私の発言について記述していただきまして、ありがとうございました。
 そこで、若干の補足的なお話をさせていただきますと、1つは、9ページに平成13年度からの学級編制の弾力化がありますよね。そのために各都道府県が苦慮をして、40人学級を独自な学級編制をしている。少人数学級ですね。それはそれでいいんだけれども、これが逆に各都道府県の財政負担になっているんですね。ですから、財政負担になっているということの事実と、もう一つは、ここにも書いていますけれども、地方三団体や教育関係団体からの要請で、国の責任でというんですけれども、私は義務教育は積極的に国の責任で財政負担をするというようなスタンスが必要じゃないかなということを1つお願いしたいと思います。
 もう一つは、同じ9ページにOECDの小学校20人学級というのがありますね。確かに先ほど梶田先生も言われたように、数字目標が出ていない、これは教育振興基本計画のときも数字目標を出さなかったんですね。しかし、出さなかったからどうなったかというと、ほとんど変わらなかったですよね。ですから、果たして数値目標を出さなければ出さないでうまくいくのかどうなのか、ここには副大臣もいらっしゃいますから、できるかもしれませんけれども、あのときは大臣とか何かがいらっしゃらなかったから聞かなかったと言われたかもしれませんけれども、そういうことがあるので、数値目標は一定程度必要じゃないかなと。しかし、OECDの数字が出ておりますから、必ずしも数字が理解されていないということではないと思いますけれども、第7次定数改善計画をきちんと策定するとか、そういうより具体的な問題も提起していいのではないかと思いますけれども、これはまた今後の折衝の問題もありますから、委員会の役員の皆さん方にお任せしたいと思います。
 次に、11ページに特別支援学級や学校の問題がありますけれども、これは先ほどインクルーシブ教育の話をやりましたね。これは5年間でということですけれども、特別支援教育課長は25人学級にしたら12兆円だという話がありましたけれども、そこまでいかなくてもいいんですけれども、インクルーシブ教育を政府として進めるんだったら、文部科学省もそれに対応した予算措置をある程度手をつけておく必要がないかどうかという問題が1つです。
 最後に、12ページの記述の中に定数改善の問題がありますけれども、定数改善に対してのいろいろな話が出ていますけれども、これはひとつ是非お願いしたいのは、教職員の定数の在り方を検討するに当たりということで、教員の授業だけでなく、学校運営とかいろいろ書いていますけれども、同時に幅広い職務というところなんですが、教職員の勤務の在り方を是非入れていただきたい。なぜかというと、超過勤務が常態化していますよね。月40時間と常態化している。こういう中で、そのままほっておいていいのかということで、教職員定数を考える場合に、常態化している教職員の超勤をどうするのかということについても検討の中身に入れておければいいと思います。
 先ほど向山委員から鈴木副大臣の決意とか考え方というのがありましたから、私からも是非お願いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 では、天笠先生。

【天笠委員】
 私はこれまでの教育現場における実践の継承と今回のメッセージとの接合ということについて、大切に扱っていただくという立場から申し上げたいと思います。
 3ページにこれまでの経過があって、8ページに何で今回のこの件になったのかということを丁寧に読めば理解していただけるんじゃないかと思うんですけれども、現場の立場からしますと、この間、柔軟な学習集団の編制ということで御努力されてきている。今回、学級編制の基準をこれまでよりも引き下げる、この辺りのところの継続性というんでしょうか、これまでのつながりの上にこれがあるんだということであって、要するにこれまでの取組がなしになって、今回のこれだということではなくて、基本的には柔軟な学習集団の編制の取組等々はなおかつ継承、充実を図っていただく。そのためには、基礎となる学級の核となるものが、ここに書かれていますようにいろいろな条件からすると引き下げていく必要があるんだという、そこら辺の丁寧な説明が非常に大切なのかなと思います。要するに、これまでのが切れて、今回のがそれなんだではなくて、これまでの実践を大切にしていただき、さらに継承、発展していく。それを進めていくためには、今回の措置が大きな意味を持つんだと。それが学級のサイズの縮小という指摘なんだという受けとめ方を現場の先生にお伝えすることが大切なんじゃないかと思います。
 以上です。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 では、郷先生。

【郷委員】
 私は先ほど市川委員が御指摘になったことと同じようなことを追加させていただきたいと思いますが、5ページの22行目ぐらいのところから「質・量両面での充実が図られた新学習指導要領云々」というところがございますけれども、ここではこれからの教育の中身のことが書かれているわけですけれども、突然それが教職員定数の改善を図ることにつながっていて、大きく言えばそのとおりなんですけれども、そこの途中のことが見えないと思います。大きな予算につなげていくためには、どれだけ増えたらどうなるんだ、教育の質が今までできなかった何ができるようになるのかということが見えないと、説得力が弱いのではないかと思います。これは全体を通してそういう傾向が強いので、その点をどこかで補っていただく必要があるのではないか。大変難しいですけれども、例えば具体的に理科の教員の、先ほど御指摘がありましたような問題を、今はどういうことが行われているのかという具体例が、実は今、大学の競争的資金の中でコア・サイエンス・ティーチャー・プログラムが動いておりまして、そこでは非常に具体的に、修士課程まで学生が進学して、小中高校の勉強を全部とると。研究をしてもいいような本当に優れた優秀な学生さんが、でも教員になるというのは何百人、何千人の次の世代の人たちを育成するので、そこからまた理科が好き、あるいは大きな発見をするような人が出てくるかもしれないと。むしろそういうことを選ぼうという情熱にあふれた教員を目指す人が出てきてもいいんじゃないかと。例えばそういうプログラムで、私、自分のことを申し上げますと、私が在籍しておりましたお茶の水女子大学ではそういう試みを始めておりまして、教員を目指す人のために、大学院に行くときに奨学金まで同窓会の御寄附を募って、2年間、100万円の奨学金を出すというようなこともやっております。そういうことがどうも中教審の中で今まであまり議論されていなかったのですけれども、文科省としてはそういうプログラムを走っている、その辺を是非どこかにつなげていただかないと、今一生懸命そういう努力をしたり頑張っている学生さんに、この話は全然違う世界の話のように聞こえるかと思いまして、1つその点を申し上げたいと思います。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 今、伺った大事な御意見、この提言を今日伺ったところを踏まえて、表現の上で全部もう一度見直してみたいと思います。ただ、前回の骨子のときもそうですが、本日もこの趣旨そのものにつきましては皆さん大体同じ方向でお考えいただいておると思いますので、先ほど申し上げましたように、修正につきましては、申しわけありません、私に御一任いただきまして、といっても、木村先生や田村先生とちゃんと御相談しながらやりますので、そういう意味で御一任いただきまして、修正したものを提言として決定したいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。それで、提言の中に盛り込めなかった部分については、今日の議事録にはきちんと御意見がちゃんと分かるようにしたいと思いますので、そういうことで御了承いただきたいと思います。
 それでは、そういうことで、提言として本日のこの会で皆さんの御了承を得て、初中分科会提言という形で出したいと思います。
 集中審議の形で、皆さん、この春から毎月1回、本当に精力的に審議していただきましてありがとうございました。皆さんに本当にここでお礼を申し上げたいと思います。
 そういうことで、提言ということになりましたので、先ほど申し上げたように、修正したものを私から、また文部科学省におきまして政務三役の方に提出したいと考えております。文部科学省の方では是非これを踏まえて、新しい教職員定数改善計画を作っていただいて、これは具体的なものが入っていくわけですが、弾力的な運用のためには、場合によっては法律あるいは規則等々の改正が必要になる部分がございますので、その辺も順次進めていただくようにお願いしたいと思います。
 では、本日、こういう形で提言がまとまったということにさせていただきまして、鈴木副大臣から今後のことにつきまして、決意表明も含めまして、よろしくお願いいたします。

【鈴木副大臣】
 どうもありがとうございます。
 まず、ヒアリングから含めますと年初から、今日お集まりの委員の先生方には本当に大変な御指導と御尽力を賜りましたこと、そして、この分科会におきましても、今、梶田先生からお話がございましたように、本当に皆様方お忙しい中、大変精力的な御審議をいただきましたこと、そして今日、若干の修正はあるにせよ、このような非常に中身の詰まった御提言にまとめていただきましたことを、私からも心から御礼を申し上げたいと思います。
 決意をということでございますが、今日は実はある意味で大変楽しみにしておりまして、決意表明をしたいなと、その中身も頭の中でいろいろ思いめぐらせていたわけでありますけれども、残念ながら昨日の結果によりまして、そのことを十分申し上げられなくなってしまったことは大変残念でございますが、改めて昨年の夏、私どもが政権をいただいた、そして、衆議院の任期という意味で申し上げると、その4年間の中の教育政策の中で、初等中等教育政策においては、ある意味で、今日御提言いただいたことが最重要課題であると。もっと申し上げれば、8次定数改善が行われず、それどころか、行革推進法の中で自然減を更に上回る形での教職員の定数がカットされ続けてきたと。そのことが学校現場に大変なしわ寄せをしているという認識の下で、私どもは「コンクリートから人へ」ということをスローガンに、そしてそのことが御支持をいただいたということで、第1期の政権の柱中の柱にこの教員の質と数の問題を掲げさせていただきました。
 そして、この4月からも、それを先行する形で4,200人の定数改善を一挙にさせていただいて、本格的な学級編制及び教職員定数の改善に向けて、その意気込みと、本格的にはこの提言を受けてですが、それを先取りする形で予算も組ませていただいたわけでございますけれども、それを大変に強力に推進していただいておりました鳩山総理がああいう形でいらっしゃらなくなり、そして、新しい菅政権の中で、強い経済、あるいは強い社会保障を実現するためには強い人材といいますか、人材政策の強化がその中核であるということを、川端大臣はじめ、内閣の中で強調をしながら、何とか先生方の御指導で新成長戦略にも強い人材というものが強い経済、強い財政、強い社会保障を支えていくんだと、こういうことも6月18日には位置づけることができまして、そしていよいよ、今日、本来予定をしておりました決意表明は、この御提言を受けて、近く予定されるシーリング閣議の中で、人材というものは、大変厳しい財政状況ではございますけれども、まさに支出ではなくて投資であるという観点で、一律削減の中から除外にしてもらって、そこに重点的な投資をすべく頑張っていきたい、こういうことを申し上げるつもりでやってきたわけでございますが、敗軍の将はあまり多くを語ってはいけないんですけれども、私もこの間のことをいろいろ反省も相当しなければいけないと。
 つまり、先ほど小川先生もおっしゃられましたけれども、この選挙の期間のある新聞で、民主党は教員の質と数の充実ということばかりを強調しているが、具体的でないという御指摘がありまして、どこの党とは言いませんが、他党は理数教育の充実だとか、いじめとか不登校の教育の充実だということで極めて具体的だと。ただ、私どもは、理数教育の充実はここにも書いておりますように、学習指導要領等で15.7%の増を既に中教審で決めていただいていて、それに魂を入れていくためには、理数教育を教えられる先生の質と数を確保しなければ絵に描いた餅になるではないかと。先般も生活指導を入れよと、ごもっともの御指摘だと思いますが、いじめ、不登校の対策の充実ということについても、これを実施する専門能力を有した教員の正に数と質を充実させるということがなければ、そのスローガンだけ唱えていてもだめだろうと。したがって、何をやらなければいけないかということは中教審の御専門の皆様方の、かつ多年にわたる御議論の中で理数を充実すべきであるとか、そういうことで、我々政治の仕事は、それをちゃんと着実に実施するための予算と人を確保する。
 この前、耐震については予備費を使わせていただいて、約2,000億円の学校耐震のこともさせていただきました。ちょっと自画自賛で恐縮でございますが、少なくとも初等中等教育の基盤を支える耐震の問題であるとか、教職員定数の改善であるとか、大変厳しい財政状況の中で、しかも税収が2割下がるという中で、トッププライオリティ付けでこの間、教育のこうした点についてのリソースの確保に、名実ともにといいますか、実質も伴った形で半歩を切らせていただいて、いよいよ今年から大きな1歩2歩を着実にということで進めてきたつもりでございますけれども、なかなかそのことが国民の皆様方に十分に御理解をいただけていなかったなということで、どこにその問題があるのかということを真摯に受け止め、先日も官房長官とわりと長くお話しをしていたんですけれども、そういった教育政策、あるいは医療政策等々について、かなり資源配分の転換も示唆していただいているんですけれども、そこをどうしてお伝え、御理解をいただくというところが十分にできていなかったなという反省を強くいたしておりまして、また逆に、今回の財源確保の議論も、今回の1ページのところにもあえて入れさせていただきました。
 特に教育のことについては、皆様方ももう御承知のように、この間、教育費は相当カットしてまいりましたので、どこを絞っても無駄が出てくるという状況でない状態がもう既に何年も続いてきておりまして、仕分け等々もございましたけれども、そこでいろいろ振ってみましても、なかなか早々ということはかなり明らかになったと。したがいまして、未来への投資をするためにも、財源確保についての議論を進めさせていただきたいということを、この提言を作る過程からも問題提起もさせていただいたわけでありますが、メッセージは間違ってなかったとは思っておりますが、その出し方、あるいは未来に強い人材に投資をしていくということについての納税者の皆様方の御理解をどのようにいただいていったらいいのかという方法論、あるいはそのことへのエネルギーの注ぎ方において、まだ我々が至らぬ点があったなということを多いに反省いたしているところでございます。
 しかしながら、これからの3年間は我が国の教育、あるいは我が国の将来にとって極めて大事な3年間だと思っておりまして、この国は人材と知恵で生き残っていくしか道はないわけであります。そのことについては何ら揺るぎなき信念を持って我々はさらに再スタートをしてまいりたいと思いますので、今日いただいた提言を柱に、なかなかイバラの道でございますけれども、先生方の御指導をいただきながら、頑張って提言実現のために財源を確保していきたいと思っておりますが、どうやって重要性というものを世の中に御理解を深めていただくかというのは相当知恵を出し、汗をかかないといけないなということを少し頭を痛めているというのも率直なところでございまして、またこの点もいろいろと皆様方から御指導なり御鞭撻をいただきたいと。
 熟議カケアイなどをやり始めたのもそういうことでございまして、中教審の先生方、あるいは学校現場にいらっしゃる方は、教員の質と数が教育政策の当面の課題の相当部分を占めるということについては御理解を十分いただいているわけでありますが、そのことをより多くの皆様方に共有していただくためには、ああした議論の積み重ねが必要だなということで、田村先生にはそちらと中教審のつなぎ役もやっていただいて、御自身もいろいろな現場で言っていただいて、ここにもほかにも大勢御協力いただいた先生がいらっしゃいますが、そういったことも含めてやらせていただいているわけでございます。その辺と、また、保護者あるいは地域住民は、保護者であり地域住民であるとともに納税者でありますので、そうした皆さんの御理解をいただくための手法もまた考えていきたいと思っておりますので、なかなか切れのいい決意表明になりませんが、さすがの私も昨日もほとんど寝てないものですから、御期待に沿えないごあいさつで恐縮でございますが、しかしながら、めげずに頑張っていきたいということを明るく申し上げまして、ごあいさつと御礼にかえさせていただきたいと思います。今後ともお見捨てなくよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

【梶田分科会長】
 本当にありがとうございました。本当に大変な今日という日に、非常に率直に、しかも前向きのお話をいただいて、私は力強く思いました。確かにこの教育諸条件の整備といいますか充実、中教審がずっとこれを議論し、いろいろな機会に言ってきたわけです。でも、なかなかこれが実現しなかった。これは率直に言いまして、民主党政権に私たちが非常に期待しているところであります。もちろんこれは過去形で語っておりません。期待しているという現在形で語っております。これからは率直に言いまして、国会はねじれ現象でいろいろなことをやりにくくなるとは思いますが、私は、どういう立場の方であろうと、日本の社会が発展しなくていい、つぶれてしまっていいなんて思っている人は一人もいないと思います。日本の社会が発展するためには、義務教育がきっちりしたものでなければいけない。もっと言うと、幼稚園から高等学校までの教育がしっかりしなければいけない。その上に高等教育が花開かなければいけない。教育ということが、日本の社会の10年先、20年先、30年先を考えたら根本になるわけですね。そうすると、それぞれの党でいろいろとお考えがあると思いますが、今鈴木副大臣からいろいろと語っていただいたように、真っ当なことについては、いろいろとお互い手を組んでいける部分が出てくるのではないかと思います。確かにしんどいことだろうとは思いますけれども、物理的なねじれが実はねじれでないということも出てくるんじゃないかと私は期待しております。本当に今日は万障繰り合わせて鈴木副大臣がこの場に御出席いただいたことを感謝いたします。

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【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 それでは、本日の議事はすべて終了いたしました。これで閉会したいと思います。次回以降の日程等につきましては、事務局からまた連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

─ 了 ─

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-- 登録:平成22年09月 --