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初等中等教育分科会(第59回) 議事録

1.日時

平成20年2月19日(火曜日) 16時~18時

2.場所

旧文部省庁舎6階 第二講堂

3.議題

  1. 高大接続について
  2. 教育振興基本計画特別部会の審議状況の報告
  3. その他

4.出席者

委員

 梶田分科会長、田村副分科会長、安彦委員、岩崎委員、梅田委員、衛藤委員、角田委員、中村委員、平野委員、荒瀬委員、市川委員、井上委員、大南委員、小川委員、門川委員、黒須委員、草野委員、甲田委員、高倉委員、寺崎委員、渡久山委員、藤井委員、北條委員、川嶋高大接続WG座長代理

文部科学省

 玉井文部科学審議官、加茂川生涯学習政策局長、金森初等中等教育局長、清水高等教育局長、合田総括審議官、布村審議官、前川審議官、久保審議官、常盤初等中等教育企画課長、高橋教育課程課長、鈴木企画官、澤川企画官、塩見教育改革推進室長、淵上教育制度改革室長、先崎大学入試室長、他

5.議事録

【梶田分科会長】
 それでは定刻になりましたので、お二人ほど、今急いでおいでになるということでありますが、ただいまから第59回初等中等教育分科会を開会したいと思います。
 まず、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

【淵上教育制度改革室長】
 本日お配りをさせていただいております資料は、議事次第にあるとおりでございますけれども、配付資料1といたしまして、この初等中等教育分科会の先生方の名簿、資料2-1といたしまして、大学分科会のもとに置かれております学士課程教育の在り方に関する小委員会の、さらにその下の高等学校と大学との接続に関するワーキンググループの議論のまとめ。
 資料2-2が、今の議論のまとめの概要の資料でございます。
 それから、資料3の関係が教育振興基本計画の関係でございます。
 資料3-1が2月8日の振興基本計画特別部会(第12回)の配付資料、答申の構成案(素案)でございます。
 資料3-2が、同じく第12回の教育振興基本計画特別部会の配付資料で、今後10年間を通じて目指すべき教育の姿について。
 それから、資料3-3が今後5年間に特に重点的に取り組むべき事項(素案)、同じく2月8日の資料でございます。
 資料3-4が教育振興基本計画の策定に向けた意見の募集についてということで、昨年11月8日にパブリックコメントにかけた資料でございます。
 それから、資料3-5が昨年12月27日の第11回の教育振興基本計画特別部会で配付をさせていただきました関係団体ヒアリングなどの結果の概要でございます。
 資料は以上でございます。不足等ございましたら、お申しつけいただければと存じます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。本日は、2つの議題といいますか、2つのテーマについて皆さんのご意見を伺いたいと考えております。
 1つが、いわゆる高大接続、これは大学分科会の下の高等学校と大学との接続に関するワーキンググループでずっと議論をしてこられたわけですけれども、一度この初中分科会でもご意見を伺ったことがございます。今日は、大分向こうのワーキンググループで論議が進んだということで、それを報告していただいて、皆さんから、ある意味では初中分科会の側から大学との接続ということで皆さんにご意見をいただきたいと思っております。
 もちろん、まだこれは最終の段階ではありませんので、議論いただいて、また向こうの大学分科会で、それを受けとめて論議に生かしていただくと、こういうことになります。
 もう一つが、教育振興基本計画、これもまだ最終ではないのですが、かなりまとまってきているわけです。その中の初中関係の事項について、今日はご報告いただいて、そして皆さんからご意見いただいたものを、またこれをやっておられます教育振興基本計画特別部会、今実質的に田村副部会長がまとめ役をしておられますけれども、こちらで生かしていただくと。今日は、こういう2つのテーマで皆さんにご意見を伺いたいと考えております。
 では、まず最初に、高等学校と大学との接続に関するワーキンググループの議論のまとめ、これが一応できてきているということですので、これをご報告いただきたいと思います。
 本日は、ワーキンググループの川嶋座長代理からお願いしたいと思います。

【川嶋座長代理】
 それでは、ご紹介に預かりました川嶋でございます。本日は、高大接続に関するワーキンググループの荻上座長が所用のため出席できませんので、座長代理の私が高大接続の在り方に関するまとめについて、ご説明させていただきたいと思っております。
 本ワーキンググループは、ご承知のように大学分科会制度・教育部会の中に設置されております学士課程教育の在り方に関する小委員会の中に、特に高大接続の問題に関してつくられたワーキンググループでございます。
 既に皆様方のお手元にも机上資料として置かれておりますが、学士課程教育の今後の在り方について、「学士課程教育の再構築に向けて」という審議経過報告書が出されております。この報告書の趣旨は、我が国の学士課程教育を国際的に通用するものに改善する、また社会から信頼されるものに改善していく、そういう議論をしたものでございます。
 この中では、各大学が取り組むべき事項、あるいは国に学士課程教育の改善に向けて種々の支援をお願いしたいということが書かれておりますが、学士課程教育、あるいは学士号の在り方を国際的に通用するものにするためには、大学だけではできることに限界があるということであります。
 一方で、大学学士の出口であります産業界に対してもご協力をお願いしておりますし、他方、採用活動の早期化等、学士課程教育の障害になるようなことは、ぜひおやめ願いたいという要望もしております。
 他方、入口といいますか、高等学校からの学生受入れにつきましても、やはりユニバーサル化、あるいは大学全入という時代を迎えまして、これまでのような高大接続の在り方では、学士課程教育の充実にはなかなか難しいものがあろうということで、ワーキンググループで今回審議したものでございます。
 したがいまして、今回のワーキンググループのまとめは、大学進学希望者が高校から大学に進学する高大接続の部分をどうするかという、非常に限定的なテーマを持ちまして議論したものでございます。したがいまして、このワーキンググループの議論は、大学教育全体、あるいは高等学校教育全体に関する議論として、そのまま当てはまるものではなくて、あくまでも大学進学希望者と大学教育の関係をどう整理したらよいのかということで提案させていただいております。
 ワーキンググループの議論の中でも、特に高等学校関係者からは、現在97.7パーセントの中学生が高等学校に進学して、大学以上に高等学校教育も多様化している。このことについての問題点も多々ご指摘を受けておりますので、高等学校の在り方そのものを大学の接続との観点だけで議論することは非常に問題もあろうという、そういうことには十分注意してワーキンググループでの議論を深めてまいったところでございます。
 ところで、このワーキンググループは、本日配付されております資料2-1の後ろから2枚目を見ていただきたいと思いますが、ここにワーキンググループの構成メンバーが書かれております。構成メンバーは、単に大学関係者だけではなくて、高等学校関係者、例えば全高連、中高連、教育長協議会の関係者にも参加していただいておりますし、また産業界からの有識者の方にも参加していただいております。また、本初等中等教育分科会の中から荒瀬委員にも参加していただいておりまして、多面的、多角的な議論を進めてまいったところでございます。
 初等中等教育分科会でも児童生徒の学力に関するご議論を深められているとお伺いしておりますが、本ワーキンググループにおきましても、学力につきましては、単にペーパーテストではかられるような知識だけを指すのではなくて、学習指導要領における幅広い学力のとらえ方と同じようなとらえ方をしております。すなわち、学力というものは、基礎的、基本的な知識・技能の習得、それに加えて、その知識・技能を活用して問題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力等、そして、それらの支えとなっている学習意欲等も含めて、広く学力というものをとらえております。
 まとめの中では、「学力」という言葉が頻繁に出てきますけれども、例えば4ページの3のパラグラフにおきまして、念には念を重ねまして、「基礎学力(思考力・判断力・表現力を含む)」という形で定義して議論を進めております。この際、基礎的、基本的な知識・技能の習得、あるいは学習意欲ということは記してはございませんけれども、当然了解されたものとして議論を進めております。
 資料2-1は、多少長きにわたりますので、本日はご報告を手短に済ませるために、資料2-2として配付させていただいておりますパワーポイントの資料をもとにして、本日これからご説明を差し上げたいと思います。
 まず、本委員会の基本的な考え方は、あくまでも高大接続、教育面、学習面での接続をどうこれから考えていくのか、改善していくのかという観点でございます。
 まず、資料2-1の議論のまとめの1ページに書かれていることが、パワーポイントの水色の左側の枠組みの中に書かれていることをまとめたものでございます。
 本ワーキンググループで取り上げる高大接続は、大学進学希望者が高校教育から大学教育への円滑な移行ができるように、高校、大学が連帯して責任を果たすべしということが大きな前提となっております。
 そのために高校側として取り組むべき事項は、大学進学を希望する生徒の学習状況をいかに適切に評価し指導するか。それから、生徒が能力・意欲・関心に合った大学をいかに適切に選択できるよう高等学校は指導するか、こういうことがこれから求められるであろう。
 他方、受入れ側の大学としましては、とかく抽象的と言われております大学の入学者受入れ方針(アドミッション・ポリシー)を具体的に明示するなど、大学進学希望者が大学を選択する上で必要な情報を、いかに適切に提供するか。あるいは、求める学生をいかに適切に見出すか。大学から見ると、選択するのか。
 それから、学生の入学時の情報を、初年次教育にどのように適切に生かしていくのかということが今後の大学に必要な取り組みとして求められるだろう。
 したがいまして、こういう高等学校側、大学側の取り組みを通じて、大学進学希望者の学習意欲を喚起するということが、これからは必要だろう。特に、東大の佐藤学先生がご指摘のように、今の生徒は学びからの逃走ということが強くあらわれているということもございますので、そういう状況をいかに改善するかということであります。
 例えば、学びから逃走の状況を幾つかの調査によって見てみますと、下の黄色の枠で囲ったものでございます。このもともとの資料は、議論のまとめの資料編、真ん中より後ろのあたりでございます。資料編の1ページに、これは東京大学の金子先生たちのグループが実施された高校生と大学生に関する調査からまとめたものでございます。
 金子先生たちのグループは、大学入学前の高校3年生、男女各2,000人、計4,000人、それから、それらのうち大学に入学した者だけにつきまして、さらにフォローアップの調査を行われております。
 その調査によりますと、高校生の学習状況はどうなっているかといいますと、これは高校3年の秋の時点で調査した場合ですが、学校以外の平日の勉強時間がほとんどなしという高校3年生、1ページの棒グラフにございますように約4割。また、そのうち大学進学者だけをとってみますと、ほとんど勉強しない、あるいは30分程度だというのが3割いるということであります。
 また、大学の専攻にかかわる基礎的な学習をしているかどうかということについても問いがされております。これは上の折れ線グラフで示されているものでございますが、例えば理工系学部の大学1年生のうち高校で数学3・Cを履修していない者は、理学部で3割、工学部で2割を占めている。また、医歯薬学部の大学1年生のうち、高校で生物を履修していない者が約3割いる。また、ここには書かれておりませんけれども、昨年は高校での必履修科目の未履修問題ということも起きております。
 他方、大学生、特に1年生の意識はどうなっているかということを見たものが、同じく1ページの下のほうにございますが、入学後というところ。高校のときもっと勉強しておけばよかったと考える者が約7割いる。あるいは、大学でやりたいことが見つからないというのが42.8パーセント。大学の授業についていけないという者が26.6パーセント。可能なら別の学部・学科や大学・学校へ変わりたいというのが3割弱いるという状況でございますので、このような状況を見る限り、学習面、教育面で、必ずしも現状は高大接続がうまくいってないということがおわかりになろうかと思います。
 このような状況を踏まえまして、今後、大学全入時代での高大接続をどのように考えていったらいいのかという基本的な考え方をまとめましたのが、パワーポイントの1ページ目の右側のブルーの枠内でございます。
 まず、大学全入時代でございます。ここにも書いてありますように、収容率が大体90.5パーセントという状況で、一部の大学を除いて、ほぼ進学希望者は、選り好みさえしなければ大学に入れる状況が既にあらわれているということが、大学全入と呼ばれる状況でございます。
 このような状況を迎えまして、高大接続は大学が選抜するという時代から、大学とそれから進学希望者が相互に適切な進路選択をする、相互選択をする時代へ変えていかなければならないというのが本ワーキンググループの基本的な考え方でございます。
 大学全入時代になりますと、一部の大学を除きまして過度の受験競争は緩和される一方、これまで大学入試の選抜機能がもたらして、例えば高校教育の質保証、つまり大学へ入学するためには一生懸命勉強しなければいけないという形で、学習に対する動機づけ、あるいはその結果としての学習効果というものが、もはや自明ではなくなりつつある。
 2番目に、大学側からいいますと、同様に入試の選抜機能が担ってきました入口管理、一定の基礎学力を満たした者だけを受け入れることが可能である。そういう状況も自明のものではなくなって、つまり、これまで高等学校教育にとっても、大学側にとっても、大学進学希望者は一定の基礎学力を有する、との前提がもはや自明ではなくて、成立しにくくなっているという状況が生まれているわけです。
 したがいまして、こういう認識に立った上で、今後、高大接続の適切な在り方を検討、議論していく必要があるのではないかということでございます。
 パワーポイント資料の次のページをめくっていただきたいと思います。
 このページは、現状の入試がどうなっているかということについての資料でございます。先ほどのまとめの資料でいきますと、5ページ以降になります。特に、大学入試の状況等につきましては、5ページ、6ページ、7ページあたりをごらんいただきたいと思います。
 今、現状がどのような形で入試が行われているか。これはご承知かと思いますが、大きく大学入試は3つのカテゴリーで行われております。1つは一般入試と呼ばれるもので、学力検査を重視したものと言われています。それから、2つ目が推薦入試でありまして、原則として学力検査を免除して、高等学校の推薦及び調査書等を用いて選考するものであります。それから、3番目がAO入試で、学力検査に偏らず、書類審査や面接等、丁寧な選考を行うという、大きく3つのカテゴリーに分かれて入試が行われております。
 平成19年度を見てみますと、1番目の一般入試で入学した生徒、学生は約56パーセント。平成9年度と比較しますと十数パーセント減っております。逆に、推薦入試は、平成19年度でいいますと35パーセント強でありまして、平成9年度と比較しますと10パーセント程度増えている。また、AO入試は現在6.9パーセント、AO入試は平成12年度から調査が行われておりますので、平成9年度のデータはございません。
 このように見ていきますと、全般的に言えることは、大学入学者の約4割が面接や小論文で入学している。つまり、AO・推薦入試が約4割いると。例えば、それを私立大学でいいますと、資料編の7ページでございますが、設置者別に3つの入試方式で、どの割合で入学しているかということでございますが、国立大学は85パーセントが一般入試でございますが、私立大学を見てみますと、一般入試で入ってきているものは半分を割っているというのが現状でございます。
 実際に、どういう手段で推薦入試、あるいはAO入試が、入学者、合格者を決めているのかということでございますが、これは資料11ページ以降に、まずAO入試の実施状況について、13ページからは推薦入試の実施状況について、これは大学入試室でお調べいただいたデータでございます。
 例えば、推薦入試とかAO入試で重要な要素となっております調査書がどのように使われているのかということに関して、例えば評定平均値が一定以上であることを出願要件としているかの調査をしたものが左の表にありますが、推薦入試では一定の評定平均値を求めない、出願要件としていないのが44.6パーセント。AO入試になりますと、9割弱が高等学校での一定の評定平均値を出願要件としていないと答えております。
 それから、どういう手段を用いて評価を行っているかということをまとめたものが、右側の「選抜方法」という見出しの表でございます。これによりますと、いわゆる最初の調査書等書類、あるいは面接というのが推薦入試、あるいはAO入試でも8割、あるいは9割を占める状況でございます。他方、何らかの学力検査を課している学部は、推薦入試では22パーセント、しかしAO入試では3.8パーセント。一般に、上の3つを人物重視の入試、下の3つ、学力検査、討論、口頭試問を学力重視の選考というふうに読みますと、言ってみれば学力の評価を得ることなく入学者を決めている例が、推薦やAO入試では目立っているという状況でございます。
 したがいまして、このような入試の在り方、特にAOとか推薦入試の在り方を振り返りまして、大学に学力担保についてはどのようにお感じですかという設問をしております。AO入試につきましては、資料12ページ、それから推薦につきましては、資料14ページでございます。
 ここに幾つか問題や課題点を聞いておりますが、特に学力担保について聞いてみたところ、AO入試を実施している学部では約6割、推薦入試を実施している学部の約5割が、やはり学力担保に問題点があると現状認識しているようでございます。
 もう一度、上のほうに戻っていただきますと、このような状況を受けまして、大学の約6割が高等学校教育の補習授業など、高校での履修状況に配慮した取り組みを実施しております。もともとのデータは、資料10ページに詳しいデータが書かれております。
 このような大学全入時代、あるいは高大接続における入試の在り方等を考えますと、従来のように高等学校教育の質保証や大学入学時点での質保証を大学入試の選抜機能に依存し続けると、高等学校にとっても、大学教育にとっても大きな影響を及ぼすのではないかと考えているわけでございます。
 したがいまして、このような状況を改善するために、なにがしかの方策をとらねばならないということで、一番下に解決の方向性というピンクの枠組みの中に書かれておりますように、まず大学入試の選抜機能に頼るだけではなくて、大学進学希望者の学習をさまざまな客観的指標を活用して充実することが必要である。また、その成果を高校における指導の充実、高校生の学習意欲の向上や、大学入試、大学の初年次教育に役立ててはどうかと。こういう方策をとることが、これからの高等学校と大学教育の接続をさらに充実させるためには必要ではないかということであります。
 では、具体的にどのような改善方策をとればよいのかということをまとめたものが、最後のパワーポイントの資料でございます。
 まず一つは、きちんと大学側が、生徒あるいは進学希望者の高等学校における学習状況を客観的に把握するためには、まず第一に、例えば調査書をもっと有効に活用してはどうかというのが(1)のご提案でございます。これにつきましては、議論のまとめの6ページに文章化してございます。要約しますと、調査書の有効な、効果的な活用方法がいまだ確立されていないのではないかというのがワーキンググループの結論でございます。
 高等学校の評定平均値や学習成績概評を、出願資格、または出願の目安として募集要項に明記してはどうか。そのために調査書の様式を改定しまして、より詳細に大学進学者が高等学校時代、どういう学習、あるいは課外活動等をしてきたのか、きちんと情報を書いていただいてはどうかということであります。
 また、高等学校側にあっては、各生徒さんたちの客観的な学習状況を把握するために、校内の試験に限らず、資格、検定試験や学校の枠を超えた教育活動等を適切に活用して、今申しましたように生徒の学習状況を多面的、客観的に把握して、それをもとに高等学校教育の質の充実を図ってはどうかということであります。
 2番目は、これは大学側にとっての課題でございますが、冒頭にも申しましたように、各大学が入学者受入れ方針、いわゆるアドミッション・ポリシーを掲げておりますが、とかく抽象的であって、どういう学習を高校生の大学進学希望者に求めているのかということがわかりづらいということが常々言われております。したがいまして、各大学は高校で履修すべき科目や取得が望ましい資格などを具体的に明示するなど、最低限、何をどの程度学んできてほしいかを進学希望者にきちんと伝えるべきであるということでございます。この点につきましては、まとめの7ページの上のほうに書かれております。
 また、3番目の方策としましては、先ほど来、現状をご報告申し上げておりますが、AO・推薦入試においては、大学進学者に必要な基礎学力が必ずしも客観的に把握されてない、あるいは担保されていない状況にあるのではないかということで、各大学は以下のような進学希望者の学力を把握する措置をとってはどうかということであります。この辺の議論は、まとめの7ページから8ページあたりに掲げていることでございます。
 1つは、まず各大学が学力検査を実施する。あるいは、個々の大学で負担が大きい場合には、大学間の連携・協同による実施を含む。これは既にこういうことを実施している大学もあるということが、先ほどのデータを見ていただければおわかりになります。
 また、2つ目の客観的に学習状況を把握する方策としては、大学入試センター試験の成績を出願資格や合否判定に用いる。これも幾つかの大学で既に実施されていることでございます。
 それから、3番目は、資格の取得や検定試験の成績等を出願資格や合否判定に用いてはどうか。これも既に実施されている大学が幾つかございます。
 また、これらに加えまして、高校と大学側が協力・連携して、大学入試のみならず高等学校教育における学習指導の改善等にも幅広く活用できるような学力検査、まとめの中では高大接続テスト(仮称)と呼んでおりますが、このようなものも有効な方法ではないか。しかし、これにつきましては、まだ何も具体的な中身はございませんので、今後、高校と大学の関係者が十分に協議、研究することが必要であろうということであります。
 4番目の改革方策としましては、AO入試の実施時期でございます。AO入試は、俗に青田買いとか、何でもありというふうに言われている状況も、必ずしも間違いではないという状況でございます。したがいまして、AO入試も推薦入試と同様に、実施時期等につきましては一定のルール化が必要ではないかということでございます。これにつきましては、まとめの10ページに記述されております。
 調査によりますと、これも資料編に書かれておりますが、願書受付を4月から7月の間に行うのが151学部、その間に合格発表を行う学部も40学部あるという状況でございます。
 さらに、AO・推薦入試だけではなく、一般入試の在り方にも、まだ改善を要する点があるのではないかということでございます。これにつきましては、まとめの10ページの(5)のところに書いてあります。
 先ほどから繰り返し申し上げておりますように、大学全入時代におきましては、大学進学希望者が一定の基礎学力があるという前提は成立しがたくなっている。したがって、各大学が学力検査、科目数、出題内容等が真に大学教育に必要な能力や適性を把握する上で効果的なものとなっているかということを検証する、あるいは、それらの検証に基づいて必要な改善を行うべしということであります。
 また、一部の識者の方々からは、1度のペーパーテストで能力・適性を十分把握できているのかというご指摘もございます。
 したがいまして、ここで書かれている(1)の調査書も十分活用してはどうか。あるいはアドミッション・ポリシーもきちんと一般入試については、これこれこれのことを、きちんとここで学んでくるべしというメッセージを明確に出す必要があるのではないか、まだまだ工夫するところがあるのではないかとういのが、まとめての内容でございます。
 最後に、いずれにつきましても、情報公開を徹底すべきではないか。大学入試について透明性を確保すべきではないかということであります。高大接続における相互選択の実効性を担保するためには、情報公開を徹底すべきであろう。これは高等学校側にとっても、大学側にとっても必要なことです。高等学校側、大学側ともに高大接続、あるいは大学入試について、さらに大学教育の中身、あるいは成果につきましても、きちんと情報公開していくこと、また、その姿勢自体が国民の評価の対象になるんだということをきちんと留意すべきだろうということであります。
 また、文部科学省に対しては、情報公開を高校、大学とも積極的に行えるような指導や支援や調査等をお願いしたいということであります。
 以上がワーキンググループのまとめでございますが、冒頭にも申しましたように、高大接続の問題は、接続面だけでは解決し得ない問題でございます。まとめの13ページのところにも記しています。「8.高校教育から大学教育へのより円滑な移行のために」という見出しのところで書いておりますが、大学全入時代においては、大学入試だけの改善を図っても学士課程教育の質向上、国際的な通用性を確保することはできません。大学側は体系的なカリキュラム・ポリシーや厳格な出口管理、ディプロマ・ポリシーの徹底など、大学教育、学士課程教育の質的改善に関する総合的な戦略を構築し、提示し、それを実施するということがなければ、大学進学希望者・学生の学習意欲の向上は期待できない。
 また、重要なことは、大学や高等学校など、教育側だけですべてが問題解決できるわけではなくて、最終的に採用される企業側が学生をどのような方法で評価し採用するか。この在り方が、最終的に大学、学士課程教育以下の各学校段階の教育の在り方に大きな影響を与えているわけでございます。
 このような中、大学の全入時代においては、高等学校教育から大学教育へのより円滑な移行を図るために、大学教育の質保証や社会における大学卒業者の受入れ体制の改善への努力も必要であるということを、まとめでは最後に説明しております。
 最後に、先ほどパワーポイントの最後のページで、今後の学力担保の話の中で、高大接続テスト(仮称)というものを提案させていただいております。これにつきましては、パワーポイントにも書いておりますように、まだ何も具体的な中身は決まっているわけではございません。今後、関係者の間で検討してはどうかということでございます。しかし、趣旨として幾つかの点をご説明させていただきたいと思います。
 このようなテストが必要だということを提案させていただいておりますのは、大学全入時代においては、高等学校においても、大学においても、これまで選抜というよりは相互の教育を充実するために学力を客観的に把握する必要が今まで以上に求められているということを、まず指摘させていただいております。
 その上で、ワーキンググループで議論となりましたのは、既存の客観的指標、まとめの中ではマイルストーンと呼んでおりますが、例えばセンター試験等も含まれますし、調査書等も含まれますが、そのようなものだけで、一つは高校生の客観的な学力把握ができるか。それから、先ほど東京大学の調査をご紹介したように、高校3年生の秋の時点で、約4割の高校生は学校外でほとんど勉強していない、学習していないという状況の中で、学習意欲を高めることができるのかどうかという点であります。
 具体的に申しますと、調査書、あるいはその中に書かれております成績概評というのは、高等学校教育が非常に多様化している現状を考えれば、どうしてもこうしたことにならざるを得ないという側面もございます。
 それから、資格検定試験は、ある特定の能力を評価するものでございますので、高等学校での普遍的な学習、学習の幅の広さや深さを十分評価しているのかどうかという問題もあろうかと思います。つまり、既存の客観的手法では、客観性に限界があったり、高等学校教育や大学教育、学士課程教育での活用には幾つか限界があるのではないかという議論がワーキンググループでなされたわけであります。
 そこで、高大接続テスト(仮称)という提案をさせていただいて、今後検討してはどうかということをまとめの中で書かせていただいているわけでございます。この高大接続テスト(仮称)は、従来のように選抜のために、つまり志願者の間で差をつける出題をして、とにかく合格者と不合格者を分ける、そのために活用するものではなくて、高等学校と大学教育の充実のために、接続を改善するために、高等学校における大学志願者の学習の到達度をはかる、高等学校の学習成果を把握するためのものであって、今申しましたように高等学校教育の充実、学士課程教育の改善に役立てるという趣旨のものであるべきだということでございます。
 したがいまして、高大接続テストは、実際に実施さえすれば学力の担保が図られるというものではなくて、このテストを活用して、きちんと学力を客観的に把握した上で、それを高等学校や大学が活用する。それで初めて、意味、内実を伴うということでございます。
 以上、いただいた時間を多少オーバーしたかもしれませんが、ワーキンググループの検討内容をご報告させていただきました。よろしくご審議のほど、お願いいたします。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。随分いろいろと議論していただいたようで、しかし皆さんにご意見をいただく前に、二、三ちょっと補足してくださいませんか。例えば、高大接続テスト、これが最後の切り札みたいな、そういうふうに聞こえてしまうんだけども、その前に改善方策の中で、1度のテストで能力・適性を把握できているかという指摘があると。しかも、大学全入時代には、大学進学希望者は一定の基礎学力があるという前提は困難。この2つを考えたときに、これを提案することは論理的に極めて矛盾しているでしょう、と思いませんか。
 そのほか、もう一つ、情報公開を徹底すると。今、高校や大学で出してない情報で、これを出さなければいけないというのがあれば、ぜひしていただきたい。
 それから、アドミッション・ポリシー、抽象的だとおっしゃるけども、今私が伺ったほうが、ずっと抽象的な感じがするんだけど。だから、結局何をやりたいのか。調査書の活用はもう30年ぐらい前から言われているわけです。だから、これはこれでわかる。資格や検定試験、これは調査書や何かに明記しているんです。そうでしょう。
 あるいは、AO入試は青田買いがあると。これは早くルールを決めましょう。これはごく簡単な話でしょう。関係者がルールを決めたらいいんですよ。
 ただ、一番言っておられるのは、大学全入という時代において、高校と大学、どういうふうに接続させたらいいでしょうかでしょう。少なくとも、この部分についての回答が見えにくいんだけど、もう少し。
 もう一つだけ、これを言ってもらう前に、私は、この数字の出し方は極めて乱暴だと思います。大学1年生、これは金子先生がおやりになったかもしれないけど、大学1年生といったって、東大の教育学部の学生もおれば、医学部、工学部の学生もいる。私は理学部、工学部の学生と教育学部の学生が同じだと思わないし、まして私がこの前やった京都ノートルダム女子大学の学生が、同じだと思わないです。つまり、全入時代という大前提を持たれるとすれば、少なくとも、まず大学1年生についてのいいサンプリングが、これが保証されることが一つ。
 もう一つは、平均値ではなくて、分散が出なければ、こんなもの、ほとんど意味がないわけです。佐藤学先生がおっしゃった学びからの逃走ですか、これは東大の教育学部にあるかもしれないけれども、理工系で一番言われているのは、生真面目になり過ぎて困っているというぐらいのほうが、今言われているわけでしょう。
 だから、私はこれを批判しているわけではないですよ。一番おっしゃりたいこと、そして我々初中分科会ですから、下手なことをすると、また高等学校以下の教育に歪みがくるおそれがある。例えば、高大接続テストをみんなやらなければいけないということになるということで、ごく短くて結構ですので、少し説明してください。

【川嶋座長代理】
 基本は、要は大学進学希望者を大学側がきちんと評価できる、高等学校における学びを客観的に評価できる仕組みが必要だと。これは梶田分科会長がご指摘のように、今でもそういうツールといいますか手段は多数存在している。先ほどご指摘させていただいたように調査書とか、資格試験、検定試験というものがございます。
 提案させていただいている高大接続試験もそうでございますが、まず、その結果をきちんと高等学校教育に活用していただく。それから、大学教育のほうも、とりわけ初年次教育というところで高等学校での学びの状況の情報がきちんと把握できれば、初年次教育の充実に期するのではないかということでございます。ここでは「マイルストーン」と書いてございますけれども、大学での学士取得に向けて、一つ一つ学びの階段を上っていってほしい。そのために幾つかの手がかりがあったほうがいいのではないかというのがワーキンググループのご提案の趣旨でございます。

【梶田分科会長】
 わかりました。それでは、皆さんのほうで、いろいろとお気づきの点、お願いいたします。
 ご承知のように、750の4年制大学、500の短期大学があって、今1,250。確かに全入といいますけど、それぞれ大学は苦労しているわけです。4年制大学も、4割が恒常的に定員割れのおそれがある。短大は、7割が恒常的に定員割れのおそれがある中でやっているわけで、それなりにやっている中で、どこに対して、何を訴えて、どういう仕組みをつくるのか。問題は仕組みなんです。
 我々、中教審というのは、ご承知のように、ある種の、こうあるべきだというだけでは済まないところがあって、新たな仕組みをつくる。こういうことに半歩でも一歩でも前進するのではないかというのを提案するのが、我々の任務ではないかと思っておりますので、そういう意味で今、補足的に伺った点もございますが、皆さんのほうでお気づきの点があれば、どうかお願いいたします。──甲田委員。

【甲田委員】
 ワーキンググループのほうで、もっとたくさんな議論がされたのではないかということで、もっとお聞きしたいということも含めて、ちょっとお話をさせていただきます。
 1点は、大学、あるいは高等学校教育というくくりであります。こういうくくりで議論をずっと進めてきたわけではないと感じております。特に、高等学校においては、実に多様な高等学校が存在し、多様な生徒が存在をしております。
 全入時代という言葉一つとっても、ほんとうに全入なのかと。全入が2007年度に来ると言われているが、前年度、大学の進学者というのは高校生の53.7パーセントだというのが2ページにございます。希望者は、確かに77万人いて、入学が69万人、非常に高い数値になっておりますが、高等学校の側から見ますと、果たして全入時代という言葉が使えるのかどうか、今聞いていて、そういう気がすごくいたします。一つは大学というくくり、高等学校というくくりで文章が成り立つのかどうかというところが議論されたと思うんです。それから、全入時代というもう一つのくくり方で、果たして議論ができるのかどうかというと、どうもしっくりこないということを感じました。
 各論で申し上げれば、部会長もおっしゃいましたけども、高大接続テストというところに、どうしても目が行くわけです。一つは、どういう議論になったかお聞かせ願えればと思うんですけども、例えば、希望しているのに合格に至らないで卒業期を迎えた生徒は、一体どうするんだろうかと。浪人になって、また受けるのか。そんなことは、またおかしいわけで、その辺があります。
 それから、こういったテストについて言えば、高等学校の、特にテストのレベルによっても違いますけれども、そういったペーパーテストに合格するような力をつける学習に高等学校教育が多少変質していく危険性があると。そうなれば、このたびの新学習指導要領は一体どうなるんだという話にもつながっていくわけであります。
 それから、また一面、もう一つのことを言えば、形成的な評価といいましょうか、客観的指標として高等学校で活用をしていくのだという話もありました。これについてもほとんど決まってないというお話でしたけれど、高等学校にしてみればどうなんでしょうね。そうなれば、数回受けるという話になっていくのではないかと思っております。
 もう少し理解を深めるために、いろんな議論があったと思うので、その発端として、ちょっと投げかけさせていただきました。ありがとうございます。

【梶田分科会長】
 もし、関連して……。一問一答になると、また大変でしょうが。荒瀬委員。

【荒瀬委員】
 おくれてまいりまして、失礼いたしました。
 私、このワーキンググループのメンバーでもありますので、今、甲田委員がおっしゃいましたように、いろんな議論がありました。これは全国の高等学校のPTAの代表の方もお入りですので、保護者としてのお立場ですとか、高等学校の立場、そして当然のことながら大学からのお立場ということで、どちらかといいますと、大学と高等学校は、この席では反目し合うといいますか、簡単に言ってしまえば、どうして学士課程教育の質の保証と入口の保証と質の保証とが、そんなふうに連動するのかというのも非常に漠然とした疑問です。連動するというのであれば、当然のことながら入学試験においてきちっと学士課程教育の質の保証が図られるような入学試験をなさればいいのではないか。そうでないことを、そうでない形でやっていこうという大学があるなら、それはそれでいいのではないかということが、私は主な高等学校の意見でもあるし、また保護者の方の意見でもあったように思います。
 しかしながら、全入か、全入でないかというのは、ちょっとまた生徒個々の希望がありますので一概には言えないまでも、具体的に人数を比較すれば、ほぼ入れるような状態になっているという段階で、大学に入って、そして社会に出ていくという、その出ていく段階での力というのは、果たして大学だけの力と言い切ってしまえるのかというのが、諸般の議論の分かれ目であるように思います。
 ですから、大学に入った段階で、高等学校の中の学習歴というのが、少なくとも学習指導要領のすべてというところは、なかなか学習指導要領も最低基準とは言いながらレベルが高いところもありますので、すべてをクリアしているかどうかは別だけれども、おおむね学習指導要領の内容をクリアしているという状況で大学に入れるということが必要なのではないかと。
 そのために、では大学が入試をきちっとすべきではないかということですけれども、現状そうでないという実態がある。私もその場で発言いたしましたけれども、入学試験という名のもとで入学試験が行われないで、あくまでも学生確保が行われているだけではないかという批判は、高等学校側からすればあるわけです。しかしながら、一方で高等学校はそのように批判をしつつも、自分のところの生徒たちが大学にほぼ無試験でとってもらえるというのは、これはこれで決して否定できないといいますか、進路指導、進路保証という点では大変ありがたい。お互いに、大学は学生確保かできるし、高等学校は進路先を確保できるというので、この点では利害は全く一致しているように見えるんですけれども、このままでいったら我が国の社会が十分に義務教育課程、あるいは高等学校の教育課程を習得し得ていない人たちを、どんどん社会に送り出していくということになりはしないだろうかという心配が、これは私自身の中にもあります。
 したがいまして、具体的にどういう方法がいいのかというときに、この中教審の教育課程部会の議論でもありましたけれども、高等学校の学習歴というのを、きちっと大学は見るべきであると。その見方としては、いろんな種類がある。そのうちの一つとして、具体的に、中身については詰まったものではないわけではありますけれども、接続テストというものも考えられるのではないかと。何らかの方法をとって大学に入る段階で、高等学校までの学習歴という──学習歴というのは、こんな学習をしたというだけではなくて、こういう学習をして、こういう力がついたということを出すべきではないか。
 私自身は、それぞれの段階で、それぞれの成熟があって、そして具体的にそこでの力というのを持って次に行くからこそ、例えば接続というのもスムーズに行くだろうし、また連携ということも可能になると思うんです。今は、ただ単に入口と出口の関係だけの、出します、もらいますという、それだけの接続とか連携が主になっていますけども、そうでないものが、また生まれてくるのではないか。よって、そこを通して、大学入試という個別といいますか、具体的な中身ではありますけれども、そこを通して我が国の教育全体を見ていくことはできはしないかという議論が、おおむねのワーキンググループの議論であったように思います。
 長くなって申しわけないのですけど、一つだけ。うちの生徒で、今まさに3年生の生徒なんですけれども、指定校推薦で大学に行くことが決まりました。この子は、評定平均値が4.7か8あるという、クラスでも相当高い生徒であります。ところが、この子が指定校が決まりましてから、不登校になりました。ほんとうに、みんな驚いたのです。まじめにやってきたし、しかも、その子が大学に行くところも決まったにもかかわらず不登校になってしまった。どうしてなのかということを再三再四聞いてみますと、どうも人間関係とかではなくて、この子自身のこれからの社会に対する漠然とした不安感というのが、その子の中で日増しに大きくなっていって、それが学校に行けなくなった理由です。簡単に言ってしまえば、こんなことで大学に入っていいんだろうかと。
 それは、極めてまれなケースです。私もこういう生徒に会ったのは初めてです。しかしながら、まじめに考えていけば、大学に行って、もちろん学問をするだけではなくて、技術を身につけるとか、いろいろな体験をするといったこともあるのでしょうけれども、高等学校までの学びというのを、一定きちっと身につけた上で大学に進んでいく、あるいは社会に出ていくというのが、これは本来あるべき姿ではないか。ただし、これと高等学校の卒業の認定というのを結びつけていただくのは、甚だ困る。高等学校の卒業認定の権限は校長にある。数少ない権限のうちの非常に大きな権限でありますので、これはぜひとも高等学校長に任せていただきたい。ただし、次の段階を考えるときに、そこで力をつけるというのは、高等学校から言えば、それは高等学校の責任とも言えるのではないかという議論であったと思います。失礼しました。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。では、井上委員。

【井上委員】
 きょうのワーキンググループの議論のまとめをお聞きしていて思いますのは、やはり少子化が進行して、大学が規制緩和でどんどん毎年増えていって、ユニバーサル化が進んでいるということから、大学に入ってくる学生の質が落ちるのは、ある意味では当然のことで、いつまでも、かつてのような大学教育のレベル、学生の質を期待していると思うと、どんな方法をとっても、これは期待を実行することはできないのではないかと私は思います。
 そこで、きょうのお話で問題は、高大連続テストのことは最終的には一つの課題のように思いますので、その点について考えてみますと、大学入試センター試験が始まるときの最初の理念は、高等学校の学習指導要領の理解度を適切に評価するということから始まったわけでございまして、その当時は、やはり入試センター試験と各大学が問題を作成して、それによって入試を行うというのが一般的だったと思うんですが、最近見てみると、すべて入試センター試験におんぶして、依存してしまっている。
 そのために入試センター試験が、最初の理念を変質して、何か大学入試のための試験のように変わってきているのではないか。それが、そもそも間違えでして、入試センター試験を高等学校の学習指導要領に基づく各教科の理解度を見るような内容であれば、これは別に高大接続試験は必要がないわけで、それを活用して大学側が自分の大学としてアドミッション・ポリシーに提示して、必ず理工学部は数3を学んでこいとか、医学部は生物を学んでこいとか、そういう方針を示せば、学んでこないなんて泣き言を言う必要はないわけで、これは大学側がちゃんとアドミッション・ポリシーを明示していないから、高校時代にそういう学習をしてこないということではないかと思うわけです。
 したがって、入試センター試験自体は、もう一度見直すということと、それから大学は学問の自由とか大学の自治と、憲法でそういうことを基本的に保証されているから、大学がみずから自分の大学に必要な学生をちゃんととればいいので、経営上の観点で、頭数さえそろえばいいという推薦入試とかAO入試をやっているから、そういう問題が起こるわけで、大学もやはり自分の大学の質を高めようとすれば、そういうアドミッション・ポリシーを明示して、自分の大学はこういう学生を求めているということをはっきりさせるべきではないか。
 先ほど、アドミッション・ポリシーが抽象的だと言いましたが、高等学校における履修科目との関係がどうなっているかよくわかりませんが、そういう点は各学部とか、大学に入ってきたら当然必要な科目があるわけですから、そういう点を前は共通一次と二次試験でそういうものを課していたと思うのですが、最近はそこが非常に簡素化して、推薦入試もAO入試も、ほとんど学力検査、評価平均値も求めてないのが50パーセントぐらいあるし、学力試験は推薦入試で22パーセントという状況ですから、学力保証を求めてないのが大学ではないかと思います。したがって、高校生も、先ほど荒瀬委員もおっしゃったように、別に無理しないでも大学が受け入れてくれるので学習意欲も下がってきている一面があるのではないかと思いますので、大学側の入試の在り方をもう一度見直すのが前提条件ではないかと思います。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。市川委員。

【市川委員】
 今の井上委員、荒瀬委員のご発言とも関連して、ちょっと意見を言わせていただきます。
 この問題は、7月にも一度議論されたことがあったと思うんですけれども、私もそのとき少し意見を申し述べました。
 今の井上委員がおっしゃったのが、共通一次が導入されたころの本来の趣旨だったと思うんです。基礎、基本のスタンダードな問題を共通一次で課して、そして二次試験として、各大学はより自分のとりたい学生にフィットしたような問題を出していくということだったと思うんですが、なぜそれがだんだん崩れてしまったかといいますと、おそらく2つ理由はあると思います。
 一つは、大学側がしっかりとした二次試験をやるのが大変だということで手を抜くようになってしまったと。実際、大変なんだろうと思います。入試問題をつくるというのは、相当大変な作業で、すべての大学でとてもそういうことができなくなっていったということが一つと。
 もう一つは、試験をかなり妥当性のある厳しいものにしていく、きめ細かなものにしていくと、大学を受けてくれなくなる、受験生が減ってしまうということで、現実としてはどんどん科目を削減するとか、試験を簡素化するというふうになってしまったと。推薦入試というのも、ある意味で言えば簡素化になってしまって、大学のほうは、それによって、かえって首を締めてしまうことになっているのですが、この2つの理由というのは、実は本音としては大きな理由で、そこを何とかしなければいけないのだろうと思います。
 それを前提にしての話ですが、今ここに出ています2つのことが私は大事だと思っていますが、1つは、高大接続テストとここで呼ばれているものですけれども、私は7月の時点では大学入試センターの資格化ということで申し上げました。一応これは入試としてなんですが、ある程度基礎、基本的な問題を広く浅く課していく。多少のグレードはつける。例えば、歴史の2級、1級とか、数学の3級、2級、1級くらいに、ある程度のグレードはつけて、どの科目ではどのくらいのグレードをとってきてほしいかということは大学側が指定するようなもの。これは基礎、基本をしっかり身につけてほしいということですので、高校在学中にも、ある程度複数回受けることもできるし、これを広く、ある程度浅く課していく。指導要領の基礎、基本に当たるような部分として、こういうものを課していくということが一方では必要なんだろうと思います。
 しかし、一方では、しょせんペーパーテストなわけです。それで十分な能力、適性を把握できるかと。今、小中高の指導要領でも、基礎・基本の習得ということと、思考力・判断力・表現力のようなこと、これを車の両輪といっています。車の両輪と言うからには、基礎・基本だけではなくて、両輪のもう一方、これをある程度はかるような仕組みが必要なんだろうと。
 ところが、ここで(1)(2)が必要とあるんですが、調査書でそれができるかというと、どうも調査書ではできないだろうと言うと語弊があるのですが、あまりにも各高校のレベルの違いとかあり過ぎて、大学側としては、うちの高校でこの生徒はこうですと言っても、なかなかそれを使いにくいということがあるんだろうと思います。
 それならば、何らかの基準が担保されるような検定、私がそのとき申し上げたのは、例えばレポート検定とか、プレゼンテーション検定とか、ディベート検定とか、そういうものもどこかがやればいいではないか。ほんとうは大学側が入試でできればいいかもしれませんが、大学のスタッフでやるには、かなり時間もかかると思います。丸一日がかりということになるかもしれません。そういうことを大学入試でやるのが無理ならば、第三の機関がこういうものをやって、それがある程度、社会的信頼を得るものになってほしい。
 評価するには、レポートにしてもプレゼンにしても、評価者のトレーニングが当然必要です。これは小論文などでも本来そうなんですが、ある一定の基準を設けて、その基準で訓練を受けた人が複数で採点することによって、ある程度客観性を持った採点ができる。すべての生徒にそれを課す必要はないと思いますが、少なくとも小中高で、例えば総合的な学習の時間とか、そういう活動の中でつけた力というのを評価してもらう道があって、大学入試でも、全員でないにしても、そういう力が評価されるという、これが車の両輪の中のもう一方になります。そういうことを考えていくべきではないかと思います。
 こういうことは、ある意味では選抜をきめ細かくする、それはより妥当になるんですが、先ほどの逆の面、こうやって厳しくすればするほど、逆に受けてくれる受験生が減ってしまうという問題が、まだ残ります。それについては、入試をあまりにも軽くしてしまうと、結局その大学が力のある生徒を世に送り出せなくなって、就職のときに非常に不利になるという、これがおそらく自然の力として働くと思うんですが、ただ自然に任せるだけではなくて、就職の際にも、今度は大学生に対しても、ある種のこういう検定的なものも今は使われるようになってきていると思います。ある程度しっかりとした選抜を行って、しかも大学側がしっかりした教育を行うことによって、こういう客観的な検定であるとか、何らかのテストというものを受けてくる。それによって就職のときでも、きちんと就職できる。そこまでフォローしていかないと、大学入試の入口だけを厳しくするということではいけないのではないかと思いました。
 以上です。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。ほかにいかがでしょう。渡久山委員。

【渡久山委員】
 大学入試の現状は十分分析されているような気がいたしますけれども、ただ一般入試とここに書いていますけど、本来は、要するに難関大学の受験など、実態は出ていないような気がします。ですから、一部の高校生は、ほんとうに死に物狂いで勉強しているのです。それは何でかというと、難関大学に入るために。それは塾でもやっているし、この辺が実態としてなかなか分析されていないような気がします。
 もう一つは、学力不問と書いていますけれども、結局、先ほど部会長も言われたように、私学だったら経営上、非常に困っているわけです。ですから、学生に入ってもらいたいわけです。そうすると、今のように学力不問というよりは、学力なんかを問うていると、逆に自分の学校がつぶれるかもしれない、そういう実態がありますよね。しかし、それでいいのかということを考えると、今いろいろ話もありましたように、高校卒業程度、あるいは大学を卒業して、学士、バセラーをとって、あるいはポストドクターでもいいんですけれども、結局これで学力はいいんだろうかということが、実際に日本では問われているのではないでしょうか。
 ですから、今から計画のところもやるようなんですが、結局は小学校段階から落ちこぼれがずっと出ているんです。そして、中学段階でも。だから、高等学校の入試を見ていますと、高校にほんとうに数学0点で入ってくる子がいるんですよ。果たして、それでいいだろうかと思うのです。
 そういうことを考えてみますと、やっぱり学力問題を早急に解決しないと、日本の場合、非常に困るのではないかという気がいたします。よくレーガンのときに、「ア・ネーション・アット・リスク」というのがありましたよね。そういう面で、日本も学力問題の上では、ほんとうにリスクにあるのではないでしょうか。
 そういうことで、真剣に学力問題を考えていかないと、最終的には──今だったら、どこかの大学には入れますから、例えば、ある高校生が言っていましたけど、「勉強しろ」と言ったら、「いや、どこかの大学は入れるから、勉強する必要ない」と言っているのです。そういう人もいるのです。しかし、荒瀬校長のところ、僕も見せてもらったのですが、子供たち、ほんとうに喜んで勉強していますよね。そして、自分で好きなテーマを探して、自分で勉強しているんです。それが結果的には非常に総合的な学力がついて、京大にもどれぐらい入るといったかな、5倍にもなったとか何とか先生も書かれていますけど、門川教育長みたいに市長になられる人もいらっしゃるんですけど、京都市の一部の高等学校では、そういうことが実際にできているのです。
 しかし、それだけではないです。今いろいろな学校、小学校でも、やっぱりほんとうの学力、我々が言っている生きる力をつけるためにどうするかということが出ていますから、そういうことを背景にして、難関大学を含めて、大学受験もそういうことが試せるような試験に持っていかないといけないと思います。
 そういう意味で、大学は資格試験のようなものでやって、センター試験を資格試験化して、先ほど井上委員からも言われたように、高等学校の学習指導要領をきちっとマスターしていれば、どの大学にも入る資格があるという感じに持っていくという、今ちょうどここで問題を指摘していますから、ちょうどいい機会ですから、何かそういうことを踏まえた委員会をきちっとつくって、文科省の中で議論してもらったらいいなと思います。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。草野委員。

【草野委員】
 中学校の立場から言わせていただくと、卒業式の卒業証書を中学生に渡しますが、どこでもそうですけども、中学校のすべての課程を修了したことを証すると書いてございます。仮に、修了してないんじゃないかと思っていても渡すのです。今のシステムはそうですから、時々心苦しくなります。このまま、終わってないと思われる生徒を高等学校に送っていいのだろうかという気持ちは、いつもあります。
 ただ、中学校の場合、それでも3年生は勉強しない生徒はほとんどおりません。なぜかというと、だれもが高校に行くものだと思っていますから。最近は面接でも、かなり動機を根掘り葉掘りやりますから、一時のように何でもかんでもという雰囲気ではないんですけれども、それでもやはり入試があるから勉強する。だから、本来の勉強かと言われると、そうでない場合もあるのではないか。だから、ここを何とかしないと、せっかく今回の新学習指導要領で時間増やしていただいた、あの時間がテスト勉強になってはならないわけなのです。
 そうするために考えたときに、私ははっきり言えば、事実上、日本では義務教育で留年というのはほとんどないから、高等学校とか大学はどうなんだと思うんです。本来だったら、勉強を嫌いでしたくないのが、なぜ高校に行くんだと言っても、今は保護者がどうしても行かせたい、本人も行くなんて言うと、しようがないから、それまで勉強しなくても、何とかしようと思って中学校の教員がしゃかりきになって補習しますよね、私もやりますけれども。そういうシステム。
 高等学校に入ったら、大学入試が、選ばなければ全入ということになれば、しなくなるのは当たり前だと思うんです。もし、そこできちんとしなければだめなんだということを植えつけるために、はっきり言って落第のような制度、つまり一定の学力に達しなければ卒業させないという制度があっても、高等学校は難しいかもしれませんけど、とにかくきちんと目的意識を持って、荒瀬委員の学校のようにやれば、きちんと勉強しているわけですから。
 入試のことを言えば、AO入試と言いますけど、私は調査書がきちんとついていて、しかも面接をいろいろな角度からやれば、どんどんとったっていいじゃないかと思うんです。とったって、その過程で勉強しないのをどんどん落とせばいい。素人考えですけど、何で大学は落第がないのでしょうか。一部しているのかもしれませんけど、おそらくは、ほとんどが何とかレポートか何かでごまかして上に行っているのが現実だと思うんです。そういうシステムがある限り、子供たちは勉強しないと思うんです。
 だから、極端な例を言えば、入試なんかなくていい。そのかわり、きちんと学校が調査書を責任を持ってつける。これはテストだけではありませんから、4観点でつけているわけですから、それがきちんとできないのではないかという話がありますけど、そういうふうにすれば、そういうふうになるのです。でも、今は入試があるから、そうなかなかならないだけであって、そういうシステムも私は考えていくべきではないかと思います。
 以上です。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。平野委員。

【平野委員】
 私も調査書に関しては専門家ではないので、ほんとうにわからないのですが、実は間もなく退席するので一言だけ。
 調査書という制度をもっと充実させるのであれば、とにかくその子供のいいことばかり見つけて書くというのではなくて、やはりそれは優しさを持って、その子の弱いところもきちっと見つめてあげる。そういう調査書、振るい落とすための悪い欠点を書くという意味ではないんですけれども、やはり客観的にきちんと書いてあげるということが必要ではないかなと私は思います。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 最後に、川嶋先生からちょっとコメントでいいですから、いただけますか。
 その前にちょっと一つだけ申し上げておきますけど、これは荒瀬委員が教育課程部会の中で何度もご指摘になったけども、今、高等学校といったって、それこそいろいろなんです。例えば大阪の府立高校が150ありますけれども、高校の教科書をきちっとやって、難しい大学に入っていく、そういう高校もあります。私もよく知っています。しかし、高校の教科書を使っていたら授業にならないというのも事実あるわけです。これを高校で来るなとは言えないし、98パーセント。やっぱりそこの先生は、できる子が行く高校よりも、もっと何倍も苦労してやっているわけです、ほんとうに大変な思いをして。この中で、何とかせっかく3年間来たんだからという、力をつけるということを考えている。でも、という問題。
 大学も、実はそれ以上にいろいろあるわけです。大学も学力を問わないからいけないというのは、これは今、渡久山委員がおっしゃった、難関大学と中ぐらいの大学と、それからお客さんが来てくれるだけでうれしいという大学とあるわけです。では、お客さんが来てくれるだけのうれしいというところは、いいかげんなことをやっているかと言えば、そんなことはないのです。やっぱり1991年の大学設置基準の大綱化から認められたわけです。そしたら、うちに来る子は何とかせんといかんと、一生懸命やっているわけです。こんな言い方すると何だけども、東大の先生は、それほど苦労しなくても学生に教えることはできるかもしれないけれども、小川委員もおられるし、市川委員もおられるけど、だけど大変な大学というのは、よほど苦労しなければやれません。
 そして、今ご存じだと思いますけれども、大学で何か資格を取らせるのです。資格を取らないと就職できません。就職ができなければ、これは次に志願者が来ません。ですから、出口をきちっとやることによって入口を確保する。これが、お客さんに一生懸命来てくださいというところのあれです。いいかげんなことはやってない。
 私は、これはないと思うけども、いい大学をお出になった方々が、難関大学のイメージで、なかなか大変な大学をお考えのような感じがどこかにしまして、ですから、くどく言いますけど、例えば4年制が700あって、4割ぐらいが確かになかなかお客さんが来ない。キャンパス訪問をしてくれただけでも、グッズをいっぱいあげるわけです。だけども、それがいいかげんなことをしているという見方は、私は少しおかしいと。よくできる子が来る難関大学の何倍も苦労してやっているというのが事実。これは高校も同じです。私はそういう高校をいっぱい知っていますから、高校も同じです。
 そういうことを前提にしたときに、高大連携というものを実効性のある形で、つまり今の教育の仕組みが一歩前進するというのは、ただ単に脱落者がいなくなるだけではないです。簡単な話で、子供たち一人一人が幸せになることなんです。98パーセントが高校に行く、それから半分以上が大学に行くわけだから、そういう意味で子供たちに幸せな実力のつけ方の道をどういうふうに準備してあげるかというところから、私は論議しないといけないのではないかと。
 仕組みのほうがうまく回転するということで、我々は教育制度を議論してはいけないと思います。ということを、ちょっと印象として思いました。
 荒瀬委員、どうぞ。

【荒瀬委員】
 すみません、お時間とりまして。今、梶田分科会長がおっしゃったのは、全くそのとおりだと思います。
 ただ、私もメンバーなので、あえて申し上げるわけですけれども、ワーキンググループの中で話していた中身としては、先生がおっしゃったことはもちろん踏まえつつも、ほんとうに試験を受けないといいますか、学力検査のとき、その学力というのは非常に狭い意味でとらえていますから、そういう狭い意味だけの学力では、これまた実は大学の4年間もつか、もたないかというと、なかなか厳しいところがあります。その辺も含めた上での議論がなされていました。
 私、最近いろいろな機会をちょうだいいたしまして、京都の幾つかの私立大学の先生方とお話しする機会を得ましたけれども、ある大学は、文部科学省のグッド・プラクティス、GPを取っていますけれども、それはどういう形のGPかというと、4年間やめないというGPです。学生たちがお互いに交流することによって、学びを進めていって、ちゃんと卒業して社会に出ていこうと。そこのところも、また危うくなっている。それは高等学校にいる者からすれば、私たちの生徒が大学に行ったんだけれども、しかしその後の学生生活が十分にできない。だから、学力というのを知的側面だけではなくて、精神的な側面とか、身体的な側面とか、この教育課程部会では取り上げてきたと思うんですけれども、その意味で単にペーパーテストのみの学力を見るというのではなくて、もっと幅広い学力を見ることが学習歴をきちっと見ようということの流れになってきているということを、言わずもがなですけれども、つけ加えさせていただきました。

【梶田分科会長】
 では、田村委員。

【田村副分科会長】
 今お伺いしていながら、川嶋先生にお伝えしたいことは、非常にデジャヴというんですか、既視感があるのです。高校の立場で、実はかなり前にそれをやったわけです。今それを大学がおやりになっているという感じです。
 高校も全入になるまでの間に、私は長く教員をやっていますから、高校に行くのが同世代の半分ぐらいのときから経験しているんですけれども、これはそういう苦しみをどの学校もやるわけです。
 高校と大学はどこが違うかというと、大学は確かに国際的なレベルを求められるところがあるでしょう。特に、これから国際社会になると大学の学位というのが、マスターにしろ、ドクターにしろ、そういうものを持っているか、持ってないかというのは実社会でも非常に大きな影響があるのです。名刺の中にマスターが書いてない、ドクターが書いてないというと、それだけで相手にしてくれないというのが現実のビジネスの世界ではあるわけです。そういう意味で、日本の大学がその部分で責任が持てないというものになるのは問題だと思います。
 しかし、大学の先生方に、もし私が感じることがあるとすれば、実は入学試験にもうちょっと勢力を注いでくれないかなというのが実感です。つまり、率直に言って、大学の先生方の多くは、入試は余計な仕事だという感じがあるのです。本来やるべき仕事と思っておられないのです。でも、大学の仕事が教育と研究という2つの仕事があるとすると、実は教育のかなりの部分を入試というのは占めるのです。非常に重要な部分なのです。その意識を大学の先生方はお持ちになっているんだろうかというのは、一つ心配としてあります。
 高校でも、かなり昔の時代は、入試なんていうのは希望者を、力を持っているのを選んで入れればいいだけであって、それに高校の先生が直接かかわるということは重要なことではないという意識が、かなり長い間ありました。
 今は、現実にはそんなことは成り立ちませんから、高校の先生方は、全員が入試について非常に意識を持っています。どういう生徒が来るかというのは、いつも気にしています。来てほしいということも考えるし、そのためにはどうしたらいいかということを学校全体で考えるような雰囲気になっています。これはまさに現状が、背景がそうだったからそうなってきているのです。
 ですから、その部分をもうちょっとお考えいただけないだろうか。入試というのは、簡単には絶対いかないのです。だから、共通テストみたいなものをつくって、それをやれば全部解決するというのは、もちろんお考えになってないと思いますけれども、そういうやり方ではなくて、もうちょっと各学校がきめ細かく工夫しないと、これは突破できないと思います。
 その上に立って、今度は資格をやるところで、マスターとかドクターのところ、あるいはバチラーでもいいんですけれども、その部分を国際的に通用性のあるものにするかどうかは、それぞれの大学の責任だろうと思いますから、これはまた違った問題になるんだろうと思うんです。
 だから、入ってくるときに、すごくできないから、これは4年間続かないと決めつけるのはいかがなものかという気がします。高等学校は、それで苦労して、ちゃんと名前も書けないなんて、それは極端な話ですけど、そういうのだって一生懸命やって、何とか3年卒業させているわけです。高卒という資格は、先ほどおっしゃっておられましたが、要するに校長がアカデミックな権威で授けている資格ですよね。これは今でも、こんな全入になっても、一応高校卒の資格を校長からもらっているというのは、それなりに社会で評価になっているのです。これは現実です。その苦労がそれを証明しているんだろうと思うんです。
 だから、そのところに立ち返って、もう一回お考えになっていただいたほうがいいのではないかという気がします。基本的に、それぞれの学校の問題だろうと思います。いろいろなことを申し上げまして、ご苦労されているところで余計なことを言うようですけれども、実は高校でそれを経験してきましたので、ご参考になればと思って、ちょっと申し上げさせていただきました。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。ともかく、これからです。大学分科会で議論を続けられるということなので、素材として受けとめてもらえればと思います。
 では、川嶋先生のほうから。

【川嶋座長代理】
 いろいろご意見をいただきまして、ありがとうございました。
 ワーキンググループで議論したことをもとにしてコメントさせていただきますと、まずもって、このワーキンググループが設置されたのは学士課程教育の国際的通用性を高めると。つまり出口管理を強化する、成績評価を厳格化するということをまず大学に求めている。それだけではなくて、そのためにきちんとカリキュラムや教育内容を体系的につくることも必要だと。これはカリキュラム・ポリシー。それから、当然入口のところで自分の大学がとりたい学生に対して明確なメッセージを与えるように、アドミッション・ポリシーもより具体的につくるべしということを、まず大学に向けて提案なり、提言をさせていただいている。
 そのような中で、しかしながら日本の知的な人材のレベルを上げるためには、大学だけでは必ずしも十分にその役割を果たすことはできない。したがって、先ほど荒瀬委員のほうからもご指摘がございましたけれども、やっぱり小学校、中学校、高校、大学という形で、学習というのは積み上げ、継続でございますので、そのために高等学校教育の学習成果をきちんと把握できるような仕組みがあれば、今もございますけれども、必ずしも今ご指摘のように大学も多様化しておりますので、それで全部問題は解決するということではございませんので、学習教育の接続という観点からいろいろな提言をさせていただいております。
 したがいまして、このワーキングの名前も「入試」ではなくて「接続」という名をつけさせていただいております。
 また、初めにテストありきではなくて、今申しましたように、あくまでも高等学校教育と大学教育の接続をいかに円滑に図って、最終的に日本の国民の知的レベルを高めるかという観点で議論してまいりました。
 これまでいろいろご指摘いただいた点も、ワーキンググループの中でさまざまな立場からご検討いただいたところでございます。
 本日、いろいろご意見をいただきましたので、また学士課程の小委員会ないしはワーキンググループに持ち帰らせていただきまして、さらなる検討を加えたいと思っております。本日はどうもありがとうございました。

【梶田分科会長】
 ほんとうにいろいろとありがとうございました。
 私たちも今の問題提起を受けて、根本的に考え直さなければいけない幾つかの点があっとた思います。ほんとうにありがとうございました。
 では、大体このぐらいまでの予定ということでありましたので、この問題はここまでにいたしまして、もう一つ、きょうは教育振興基本計画特別部会の審議状況の報告をいただきたいと思っております。
 これは、三村副会長が部会長になられまして、田村副分科会長が副部会長になられまして、教育振興基本計画特別部会が設置されて審議が進められております。これがずっと来ておりまして、この前の秋から新しい年にかけて大分まとまってきたということであります。
 ということで、特にその中の初中分科会にかかわるような部分について報告をいただきまして、皆さんから、きょうはあまり時間がございませんけれども、ご意見をいただきたいと思います。
 それでは、澤川企画官からお願いいたします。

【澤川企画官】
 それでは、議題2の教育振興基本計画特別部会の審議状況について、簡単にご説明させていただきます。
 お手元に資料をお配りしていますが、3-1から3-5までの5点です。先ほど、梶田分科会長からお話がございましたとおり、教育振興基本計画につきましては、昨年2月に中教審の下に教育振興基本計画特別部会を設置し、審議を行ってきたところです。初中分科会におきましては、昨年5月23日になりますが、今日と同じ形で審議の状況についてご報告させていただき、出席の皆様方からご意見を賜り、いただいた意見については、梶田分科会長から基本計画部会の場でいろいろな形でご披露いただいているところです。
 その後、特別部会では、さらに審議が進められ、昨年11月8日には、資料3-4のとおり、主に2つの事項を内容とする資料を公表しているところです。
 1つ目が、基本計画の検討に当たっての基本的な考え方についてです。これについては資料の6ページ以下、別添資料1というところで、基本的な考え方が整理されているところです。
 2つ目が、基本計画において重点的に取り組むべき事項についてです。同じく資料3-4の12ページ以下に別添資料2という形で掲げています。別添資料2につきましては、後ほど説明させていただきます。
 この公表しました資料をもとに、いろいろな形で国民の皆様方からご意見を賜ってきました。例えば、関係団体からのヒアリング、国民の皆様方からの意見募集、地方公聴会などを実施してきたところです。
 このうち関係団体からのヒアリングの概要につきましては、資料3-5でお手元にお配りさせていただいており、説明は省略させていただきます。
 さらに基本計画部会で審議を進めて、今年に入りまして、2月8日に部会が開催されました。
 本日、皆様方のお手元に資料3-1、資料3-2、資料3-3と配付しておりますが、これは去る2月8日に開催された基本計画特別部会における配付資料の一部です。
 まず、資料3-1についてです。タイトルのとおり、「答申の構成案(素案)」になっています。第1章から第4章までの4部構成になっています。
 第1章は、教育振興基本計画の基本的な考え方、教育立国の実現に向けてということについての考え方をまとめたものです。これにつきましては、先ほどご説明した資料3-4の6ページ以降のところに11月の段階での考え方を公表していますので、お手元の資料を後でご覧ください。
 基本計画の構成については、10年先を見通して5年間の計画として策定するという構成をとっています。したがいまして、資料3-1の第2章では、今後10年間を通じて目指すべき教育の姿について触れています。
 第3章では、今後5年間に総合的かつ計画的に取り組むべき施策という形で触れており、10年間を見通しつつ5年間の計画を策定するという構成をとっているところです。
 なお、第4章につきましては、振興基本計画の留意事項とご理解いただければよろしいかと思いますので、説明は省略させていただきます。
 第2章ですが、資料3-2をご覧ください。素案という形で、今後10年間を通じて目指すべき教育の姿について触れています。未来への先行投資である教育の重要性とか、国家戦略としての教育立国の実現ということについて言及しています。
 初中分科会関係では、まず第1のところに、「義務教育修了までに、すべての子どもに、自立して社会で生きていく基礎を育てる」という記述がございます。
 また、(1)で公教育への信頼を確立する、(2)で社会全体で子どもを育てるという記述で、10年後の目指すべき姿について触れています。
 2のところは、義務教育修了後となりますが、その中で高等学校についても触れています。(1)のところで、高等学校について教育の質を保証する云々の記述があります。
 1ページめくっていただき、中段以降ですが、今後の教育投資の方向については、2月8日の時点で検討中ということで、まだ特に考え方が示されていませんので、次回以降お示しすることになっています。
 資料3-1に戻っていただきますと、第3章のところで、今後5年間に総合的かつ計画的に取り組むべき施策について触れています。これも3段構成になっておりまして、(1)が施策の基本的方向、(2)が特に重点的に取り組むべき事項、(3)が基本的方向ごとの目標及び施策ということです。
 このうち、特に(3)の基本的方向ごとの目標及び施策が、この5年間に取り組むべき施策を体系的、具体的に整理したものです。私どもの間で、通称70項目と言っていますが、教育振興基本計画の中核をなす部分ということでご理解いただきたいと思っております。
 この中で、特に重点的な取り組みが求められるものについて、できるだけ数値目標を盛り込みつつまとめたものが、(2)の特に重点的に取り組むべき事項となります。(3)が具体的な施策、(2)が重点的に取り組むべき事項というまとめ方になります。
 重点的に取り組むべき事項については、資料3-3のほうに掲げていますが、1の「確かな学力の保証」、2の「豊かな心と健やかな体の育成」をはじめ、高等教育も含めまして8項目について、2月8日の時点での考え方をお示ししているところです。
 あと、70項目につきましては、2月8日の時点で資料は特に配られておらず、昨年11月の資料が現時点で公表している最新のものとなります。今後変更あり得るべしという前提ですが、若干ご説明させていただきます。
 先ほどの資料3-4にお戻りいただき12ページの別添資料2以下に、70項目と言われるものについて整理したものをまとめています。
 この70項目は、大きく4つに分かれています。第1は、12ページの一番上ですが、「社会全体で教育の向上に取り組む」という箇所でございます。この中で、特に初中教育関係といたしましては、一番上、地域ぐるみで学校を支援し子どもをはぐくむとか、コミュニティ・スクールの設置促進とか、下から2番目の青少年を有害環境から守るための取り組みなどについて触れています。
 また1ページめくっていただきますと、中ほどのところに幼稚園を活用した子育て支援とか、下のほうを見ていただきますと、キャリア教育、職業教育とか、専門高校における職業教育の充実などについて記述が盛り込まれているところです。
 70項目の第2番目の柱につきましては、めくっていただきまして、15ページの「個性を尊重しつつ能力を伸ばし、個人として、社会の一員として生きる基盤を育てる」というところです。
 これにつきましては、(1)の確かな学力を確立するというところで、学習指導要領の改訂と着実な実施、総合的な学力向上策の実施、1枚めくっていただきまして、教科書、全国学力・学習状況調査などを記載しているところです。
 (2)のところは、規範意識を養い、豊かな心と健やかな体をつくるというところです。順を追って、道徳教育の充実、伝統・文化に関する教育、環境教育、キャリア教育・職業教育の充実、1枚めくっていただきまして、体験活動・読書活動、いじめ等の問題行動への取り組み、体力向上、食育の推進等々について記述がございます。
 (3)ですが、優秀な教員の養成・確保、一人一人の子どもに教員が向き合える環境をつくるというところでございます。この中では、すぐれた教員を確保するための優遇措置、メリハリある給与体系の実現、1枚めくっていただき18ページになりますが、必要な教職員定数の措置、教員養成や研修の充実、教員免許更新制の円滑な実施等々について触れています。
 (4)につきましては、学校の組織運営体制の確立、学校教育の充実というところです。教育委員会の責任体制の明確化、1枚めくっていただき、副校長、主幹等の新しい職の設置、学校評価の推進等々についてです。
 (5)は幼児期の教育の充実について触れております。
 (6)は、特別なニーズに対応した教育ということで、1枚めくって20ページをごらんいただきますと、特別支援教育の充実とか、外国人児童生徒の教育等々について触れています。
 20ページ、第3の「教養の厚みを備えた知性あふれる人間を養成し、社会の発展を支える」につきましては、基本的に高等教育関係ですが、先ほど第1の議題でございました高等学校と大学の接続の円滑化につきましては、20ページの一番下のところで触れています。
 70項目の第4の柱ですが、23ページの「安全・安心で質の高い教育環境を整備する」となります。学校の耐震化、ボランティアの連携による学校内外の安全確保、学校図書館の整備充実、1枚めくっていただきまして、教材、学校の情報化、私立学校の振興策、教育費負担の軽減などについて触れているところです。
 この基本計画部会では、引き続き教育振興基本計画の具体的な文案について審議を進め、今年度中をめどに、政府としての教育振興基本計画の策定を目指すということで、これから大詰めの審議を迎えるというところです。
 以上で説明を終わらせていただきます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。いよいよ大詰めになってきているということですが、ちょっと皆さんにご意見をいただく前に、今気がついたんだけども、資料3-3、今後5年間に特に重点的に取り組むということ、これは非常に重要な意味を持ちます。ここで、最初に「新学習指導要領の実施」。「平成20年度に集中的に……」、これは3月に告示されれば、ここまで3行というのは既定の話ですよね。「24年度から新学習指導要領に基づく教科書を用いて完全実施する」、もしこれを書くんだったら、もう一つ書かないといけない。例えば、教員の十分な配置など、教育諸条件の整備に努めると。つまり予定を書くだけだったら、これは言ったことにならないと思うんです。これを実施するために、教育諸条件というふうに思うんです。そういうことも含みとして、ちょっと皆さん、頭に置いていただいて、皆さんどうか。では、草野委員。

【草野委員】
 今、梶田分科会長がおっしゃってくれたのですけど、私もこの部会に出させていただいて意見を言わせていただいているんですけども、とにかく1月17日に学習指導要領の改善についての答申を出されて、2月15日には学習指導要領案が公表されているわけです。だから、多くの方が知っているんですけれども、その答申の中で文部科学省が大変なご努力をされて、教職員定数の改善ということを明確にうたっていただいたのです。学校現場にとって、どれだけこの方向が心強いかと。だからこそ、授業時間は増えるけれども、頑張ろうではないかという気になるわけです、はっきり言って。
 答申の中に、明確に国と地方が協力して教職員配置、教科書教材、学校の施設設備など、教育を支える条件整備を確固たるものとする必要があり、教育振興基本計画の作成に当たっても、この点を重視すべきであると、明確に答申の中に書いてあるんです。
 教員定数の改善についても、確かな学力を確立するために年間授業時数の増加を図る場合には、定数改善を初め、指導体制の整備をする必要があると、これも明確に書いてある。
 これだけ答申のほう、教育課程部会のほうできちんと整備していただいている。本来ならば、振興基本計画が先にきちんと決まって下におりてくるのでしょうけれども、でも流れとしては同時並行でやっていますから、こちらが先にこれだけ進んだということで。
 これにかかわって、文部科学省は概算要求でもきちんと出していただいたし、そのとおりにならないまでも、1,195名という定員を確保していただいたし、おまけに加えて、7,000名に及ぶ非常勤講師の予算計上、まだ決まっていませんけれども、していただいたということがあるわけです。だったら振興基本計画には、もっと明確に条件整備のことを、教員定数の改善についても、はっきり私はうたってほしいということは部会でも言っているんですけれども、ぜひお願いしたいと思います。
 以上でございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。そしたら、渡久山委員、寺崎委員、北條委員、荒瀬委員、大南委員と、こう行きます。

【渡久山委員】
 今ありましたけど、同じようなことなんですが、要するに教育課程部会で答申をつくっていたときに、この教育課程が完全に実施されていくための諸条件の整備が、きちっと明確に答申してあるわけです。それから言うと、これはどうも質が違う感じがする。省内では努力されているだろうと思いますけれども、ごめんなさい。そんな感じがしています。
 それで、その中で、社会全体でという話を今の資料3-4にあるわけですけれども、社会全体でということもわかるんですけど、学校で何をするかということが非常に大事なんです。やっぱり学校で子供たちの、例えば確かな学力をつけるのにどうするかというのが、もっときちっと具体的にいかなければいけないと思います。
 それから、ある答申の中では、確かな学力を踏まえた活用能力のある生きる力を養成するということが前提なんです。ですから、この確かな学力だけではなくて、生きる力を養成するのにどうするんだということがあっていいと思います。
 そのために、今ありましたように条件整備というのがたくさん出ています。具体的には理科です。これの観察、実験を重視しようと。そして、より社会生活から遊離しない形のカリキュラムをつくろうと。これは中学の理科を見ていると、今度の指導要領には明記されて書かれています。そのために実験要員をつくろうではないかということが非常に大事になってきます。特別支援教育のためにも、ちゃんと支援要員を増やすべきだと。
 これは図書館の配置でも、司書教諭というのは、例えば国語の教員なんか司書教諭の免許を持っていますけど、図書館にはいないのです。だから、図書館の利用ができない。特に中学なんかそうです。図書館はあいているけれども、図書館要員がいないということですから、そういう意味で、先ほどの大学と高校との接続の問題の中でも、学力不問というのがありましたですね。そうすると学力をつけていくにはどうするんだということで、振興基本計画ではきちっとした、そういう目標を明確にすべきだと思うんです。日本の子供たちの学力を向上させるためにどうするんだ。今、学習指導要領の完全実施とありますけれども、今までも学習指導要領は非常にすばらしくできていたのですが、ただ到達度との乖離がずっとあるわけです。乖離したまま、どんどん学年進行で行っているわけです。ですから、その乖離をできるだけ少なくするという明確な目標をつくったほうがいいと思います。
 特に5年間で何をするんだと。例えば学力をどうするんだ。この学習指導要領の完全実施をしていくんだという形を持っていくべきではないか。そのために学力検査もあると思うんです。そうでなければ、学力検査も何もならないですね。ただやって、序列を決めただけだというんだったら、何の意味もないという気がいたしますので、条件整備については、答申を踏まえながら、もっと数値目標を明確にしていただきたいと思います。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。寺崎委員。

【寺崎委員】
 答申の構成案の第1章の一番最初のところに、「教育立国の実現に向けて」という、当然日本の場合には、そこが根本になるのだろとう思うんですが、今度は一省庁のものではなくて、国のものとしてですよね。ですから、当然国の在り方というか、そういうところも踏み込んでこないとつながってこないのではないかと思いますし、やっぱり国民として、そして学校現場で働く者としては、根本的にそこまで問い詰めていくことを学校現場も求めているのではないかと思います。
 それから、2つ目は、先ほどお話がありました、私は小学校の現場にいたものですから、この会でいつも申し上げたのは条件整備であって、ゆとり教育なるものは現場には存在しないと。ほんとうにゆとりある学校生活を子供たちに送らせるためには、教職員配置をより適切なものにしなければだめだ。ただし、それはこの中での表現であって、先ほどもお話がありましたように、具体的に数値目標を挙げて、これから5年なり10年をどういうふうな教員の配置をすればそうなるのかというイメージが具体的に持てるようなものにしていただきたい。多分そうなるんだろうと期待しております。
 それから、3つ目は、教職員の資質能力のことで、私は管理職の資質能力をこれからどう高めるかということを盛り込んでいく必要があるだろうと思います。これも企業では当然のことですが、公教育においても、私自身のこれまでの経験でいえば、学校長の能力が高まらない限り、この教育改革はできないだろうということを思っております。そういう意味で、どのように高めていくか。今までだと、それは本人がすべきみたいなところがありましたけど、そうではなくて、国として、システムとして、公教育での管理職の能力を高めることを推進していく必要があるのではないかと思います。
 以上です。ありがとうございました。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。では、北條委員、お願いします。

【北條委員】
 教育基本法の改正で、従来になかった点としては、家庭教育の重要性、それから幼児教育の重要性、それから私立学校教育の重要性、この3つの点が新たに条文の中に明記されたという、ここが違うわけでございます。
 教育で大切でないところはどこもないわけですから、すべて大切でございますが、従来、基本法になかった点が、やはりこのたびの振興基本計画の中でもきちんと扱っていただくことが大切だと思います。
 そういった意味で拝見いたしますと、それなりに書き込んでいただいていることを、まず御礼を申し上げたいと思います。
 ただ、諸先生がご指摘のとおり、資料3-2の2ページの最後のところ、今後の教育投資の方向性、これがまさに本体であるわけですから、この本体がまだ書かれていない。いわば前書き段階であるということだと思います。
 それで、先ほど大事ではない教育はないと申しましたが、少しあなた、ひがみ過ぎだと言われるかもしれませんが、幼稚園教育の立場から1点だけ申し上げたいと思います。
 やはり、あまりにも幼児教育段階への投資が少な過ぎる。他の学校種が十分だとは申しませんが、他と比べても、あまりにひどい状況がある。文科省の資料でOECDとの比較の資料もございますが、我が国は4分の1という惨たんたる状況でございます。
 また、幼稚園教育は8割が現在私立が担っているわけです。そのこと自体も、ある意味では幼稚園教育を安上がりに今日までしてきた大きなところだと思いますが、もう一つ、前にも申しましたが、実は幼稚園教育の教員は、他学校種に比べて二種免許所有者が圧倒的に多いわけです。しかも、養成校は私立の短大が多いという実態がございますが、これも教員養成の段階がそもそも幼稚園教育を安上がりに、ここまでしてきたということではないかと思っております。
 ぜひとも、このたびの振興基本計画において幼児教育をきちっと位置づけていただくことが、我が国の教育をしっかりとしたものにしていく第一段階だと国民は多分思うと思うんです。ぜひ、その点をしっかりとお願いしたいと思います。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。では、荒瀬委員。

【荒瀬委員】
 私の理解が十分でないからかもしれないのですけれども、教育振興基本計画という基本の計画であるということで、こういう表現になっているのかもしれませんが、先ほどから何度もご指摘がありましたように、この教育振興基本計画は、ほんとうに画期的なものができ上がろうとしているわりには総花的で、どんなふうに進んでいくのかというのが多分わからなくて、大変失礼な言い方になりますけれども、机上の何とかみたいな、こういう目標は立てました。しかしながら、財務省とのやりとりで破れましたみたいなことにならないような、ほんとうに段階的なものがないとできないのではないか。
 学校改革という高々何十人しかいない組織の中身を変えていこうとするときにも、優先順位をつけて、いつにこれをする、この時点でこうなっていなかったら、次はこんな手を打つということを考えて、初めて進んでいきます。非常に大きなことでありますので、そういった細かい仕事とは違うというのはわかるのですけれども、しかしながら、その辺の具体的なものが必要だと思います。
 先ほどから話が出ていますので、ちょっと重なるのですけれども、やっぱりここは学校で何をするのかというのが一番中心にならなければならないと思うんです。学校で何をするかというのは、文部科学省がスローガンではなく、具体的にできるからであります。家庭でとか、あるいは社会でというのは、失礼ながら文部科学省がどれだけの権限を持っておられるのか私は知りませんが、少なくとも学校にはものを言える立場であるわけですから、そこのところは、しっかりとこの国の教育をどうしていくのかというのを考えた上での段階的、かつまた優先順位もきちっとつけてやっていただかないと──例えば大学の学士課程の質の保証というのは、極端な話、10年待ってでもいいのではないかと思ったりいたします。義務教育で、こんなふうな手立てを打っていくんだ。したがって、高等学校に入学してくる生徒は、こういうふうになって、その結果、大学に入る時点では、入口の質の保証というのは完全にできているんだということでもいいと思うんですけれども、わかるような形で、ぜひお出しいただきたいと。
 かつまた教育基本法があるわけですし、はっきりとしているといえばしているんですけれども、どんな社会になっていくのか、どんな社会をつくっていこうとしているのか、そのためにどういう力が必要なのかというのをきちっと考えているはずなんです。ところが、どういう力が必要なのかばかりに終始してしまってはいけないわけで、学習指導要領も新しくつくられる学習指導要領を通して、生きる力というものを通して、どんな社会が実現するのかというのが見据えられていない限りは、結局はフラフラするものになってしまって、国民にも定着しないと思うのです。
 だから、そこのところが基本計画というのであれば盛り込まれている必要があるのではないかと。かつまた大きな段階が必要なのではないかということを思います。
 具体的なことを申し上げますけれども、資料3-3の2ページのところに大きく書いてある3番の「教員が子ども一人一人に向き合える環境づくり」。詳しいほうはもっとたくさん書いてありますが、ここでは2つ書いてあって、上のほうは質の保証をしよう。2つ目は、量の保証をしようという感じかなと思うんですけれども、ぜひその点を踏まえていただきたいと思いますのは、向き合える環境づくりというのは、教員が向き合うための準備をする環境づくり、準備をすることのできる環境づくりだと思うんです。
 だから、妙なことを言うかもしれませんけれども、教員の実働時間が週40時間だとして、その40時間授業をしてないではないかという指摘をする人がいるわけです。教員というのは、40時間授業をしたくて、子どもと向き合いたくて教員になったのであれば40時間授業すればいいではないか。でも40時間授業してないではないかとおっしゃる向きに対応していただかなければいけないわけですから、そういう点で言えば、向き合うためには、どれだけの時間が必要なのかというのを、ぜひ考えていただきたい。それは事務量を減らすということでは片づかないです。事務担当者を増やして、事務を取ったからというだけでは済まないものがあります。定員というのは決まってはいますけれども、決めたという時期と今の現状を考えてみたら、おのずと変わってきているはずだと思うんです。その辺をぜひお考えいただきたいと思います。
 以上です。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。大南委員。次に安彦委員、そして藤井委員。

【大南委員】
 今、資料3-3の2ページのお話が出ましたが、私も2ページの5の特別支援教育について、少し申し上げたいと思います。
 特別支援教育が始まって、まだ時間がたっておりませんが、資料3-4の別添の10ページに「個性を尊重しつつ」云々というところに、幼児教育、義務教育、高等学校段階の教育、高等教育、そして特別支援教育と、こういうふうに書かれていますと、多くの方の理解は幼児教育があり、義務教育があり、高等学校の教育があり、高等教育があって、特別支援教育があるとなります。そのため、並列的に読んでしまうと思います。そうではなくて、同じ資料の20ページに書かれておりますけれども、「幼稚園から高等学校までを通じて、発達障害を含む障害のある子ども一人一人の教育的ニーズに応じた適切な支援を行う」のが特別支援教育であるという前提のもとに資料3-3の2ページの5の特別支援教育のところを理解していただかないと、なぜ唐突にすべての公立小・中学校において、必要に応じて個別の指導計画を作成しなければならないかと、こうなってしまうと思うのです。
 やはり、これからは特別支援教育が幼児教育や義務教育と並列にあるものではなくて、それぞれの段階にすべて存在するというか、障害のある子供がいれば、当然そういう特別な支援をしなければならないという、そのような理解を徹底していくことが大事ではないかと思いながら、ここを読ませていただきました。ありがとうございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。では、安彦委員。

【安彦委員】
 2点だけ申し上げます。1つは、既に何人かの委員がおっしゃった第1章との絡みです。やはり基本的な、どういう国をイメージするかについて、できることならここに入れたほうがいいと思います。
 いろいろな見方があると思いますけど、この案文、その他を読むときに、出てこない言葉が自由主義という言葉です。今の日本の国が自由主義国家──自由民主主義と言っていいと思います。民主主義は出てくるのです。でも、民主主義は人民民主主義もあれば、社会民主主義もあれば、幾つか複数のタイプがあります。自由主義については、やはり日本の国が自由民主主義という建前で憲法及び基本法その他をつくっている以上は、そのイメージはしっかりと頭に置かなければいけないだろう。これが、もしきちっと立てられていないと、国家主義や民族主義や、それに反する動きというものが必ず出てくると思います。
 こういうことについての認識は、政治家は十分に持っていると思うんですけれども、自由民主党という党の名前にちゃんとあらわれているぐらいですから、もう少しそういうことについてしっかりと中心に据えていくのが必要だと思います。この点、原則的なこととして一つ、この基本計画の中に立てるというのは、できれば必要ではないだろうかと思います。
 それから、2点目は、やはり全体のつくり方の姿勢ですけれども、行政というのは、改正された基本法の行政の項目を見ても、さっきから言われているとおり、基本的には外的条件の整備だと思います。そういう意味では、行政はサービスをする、情報面、あるいは財政上の支援を、基本的にそういうところで私たちの教育活動を支援するのが国の役目だろうと思います。
 そこのところについては、規制緩和の流れの中で文科省も大分認識を深めてきていると思うんですけれども、そういう意味で、はなから強引に、頭ごなしに旗を振るようなことはなくなってきていると思いますけれども、それにしても初めてつくる基本計画、最初に出る基本計画はどういう構えで書かれるかというのは、とても大事なことで、その整備すべき条件の中に微妙な問題を含む部分もありますけども、しかし、それはとりあえず条件整備という言葉の中にすべて入れておいて、そしてそれについて国として支援するという、その姿勢が一貫して出てきてほしいと。
 この点は、先ほどからの財政的な面、あるいは個別ないろんな要望がありましたけれども、その点について一貫した姿勢というのが全体に貫かれていれば、もうちょっと書き方が変わるのではないだろうかと思っております。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。時間が来ましたので、最後、藤井委員のご発言で、きょうは終わりたいと思います。すみません。

【藤井委員】
 時間が追っておりますので、簡単に何点か申し上げたいと思いますが、教育立国という大きな前提があるわけでございますが、今、国の形というお話も出ましたけども、よく地方でも言われるように、国づくりは人づくり、まちづくりは人づくり。国の形ももちろんそうですが、それに基づいてどういう人をつくるのか。日本でも、かつて「期待される人間像」が企図されたというものもございますけども、この際どういう人をつくっていくのか、何を中心に据えるかということは、非常に大事だろうと思っております。
 それから、今度の基本計画の中で、また「社会」とか「地域」という言葉が大変使われております。学校週5日制導入のときにも、学校をスリム化して、地域の教育力、あるいは社会全体でということを言われたわけでございますが、今度の新しい学習指導要領では、生きる力についての浸透しない反省点も書かれたわけでございますが、今度この地域や社会に対しての教育力を新しい基本計画でどうとらえるか。今までの反省点があるのかどうか、そういったものが今の内容を見る限りでは、あまり出ていないのではないか。しっかりとその辺をとらえないと、また二の舞になりかねないと思っております。
 それから、先ほど何点か出たのですが、学校教育をとにかく基本に、この基本計画はできるべきだということでございますが、資料3-2の10年間の中の、大きな項目の2番目「社会を支え……」には、生涯にわたりいつでも必要な教育の機会を得ることができる環境整備、ここには生涯学習論的な記述があるわけでございまして、学校教育というのが、そういう生涯学習の一部であるという認識でこういう書き方をされているのかどうかわかりませんけれども、生涯学習との関連で言えば、その辺の区分けをしっかりしていただきたい。
 それから、ちょっと具体的なことでございますが、先ほどから資料3-3の教員の問題が出ているわけでございますが、非常に大事なことは、短い期間で教員の問題をどうするかということで、前にも私、何度か申し上げているんですが、現状は非常に教員不足ということで、臨時職員なり非常勤講師が大変使われている中で、正規の教員をどう確保し、そしてその質を高めるか。
 この中には、特に子どもたちと向き合うために外部人材の活用、再生会議でもいろいろ言われておりますように、社会人の教員という問題もございまして、特別免許による社会人の教員をどうするか、免許制を貫くのかどうか。いわゆる、ここに書いている基本計画は、先ほど梶田分科会長さんがおっしゃったように、これからどういう仕組みをこういう計画の中でつくっていくのかという仕組みづくりと条件整備、これが非常に大事だと思うんです。これから書き込んでいかれる中で、そういった点を特に意識していただけると大変ありがたいと思っております。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。きょうはいろいろとご意見をいただきました。これは振興基本計画の最終段階であります。まだ議論が続いて、きょうもまだ教育投資のところとか出てないところもあります。幸い、教育振興基本計画特別部会の実質的な推進役の田村副分科会長が、きょうもここにご出席でありますので、皆さんのご意見を受けとめていただいて、また具体の最後の仕上げのほうに生かしていただく。もちろん、私もメンバーとして出ております。それから、事務局の方々もきょうのご発言をきちっとおまとめていただきまして、それを特別部会にまたお出しいただくと思いますので、そこの場できょう皆さんからいただいたご意見が生きるように、何とか持っていきたいと思っております。
 本日は、少し時間が過ぎまして、誠に申しわけありませんでした。しかし、初中分科会として久しぶりにいろいろな根本的な問題を出していただいたような気がいたします。ということで、きょうはこのあたりにしたいと思います。
 では、事務局から後のことを。

【淵上教育制度改革室長】
 今後の分科会の日程につきましては、分科会長とご相談の上、追ってご連絡を差し上げたいと思います。
 なお、委員の皆様方のお席には、1月31日にとりまとめられました教育再生会議の最終報告と、先週2月15日に公表いたしまして、翌日16日の土曜日から1カ月間の予定でパブリックコメントにかけております幼稚園教育要領(案)と小学校学習指導要領(案)及び中学校学習指導要領(案)の冊子を封筒に入れてお配りさせていただいております。またお時間のあるときに、ごらんいただければと存じます。
 以上でございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 それでは、きょうはここまでにしたいと思います。ご苦労さまでした。

―了―

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)

-- 登録:平成21年以前 --