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初等中等教育分科会(第56回)・教育課程部会(第68回)合同会議 議事録

1.日時

平成19年11月7日(水曜日) 15時~17時30分 15時~15時30分 教育課程部会 15時30分~17時30分 初等中等教育分科会・教育課程部会合同会議

2.場所

丸の内東京會舘 「ローズルーム」

3.議題

  1. 教育課程部会におけるこれまでの審議のまとめ(案)について
  2. 「学士課程教育の再構築に向けて」(審議経過報告)について
  3. その他

4.出席者

委員

 梶田分科会長(部会長)、木村副分科会長(副部会長)、田村副分科会長(副部会長)、安彦委員、荒瀬委員、市川委員、井上委員、岩崎委員、宇佐美委員、梅田委員、衞藤委員、草野委員、黒須委員、甲田委員、佐々木委員、角田委員、土井委員、渡久山委員、増田委員、無藤委員、植田委員、大南委員、小川委員、郷委員、高倉委員、藤井委員、北條委員

文部科学省

 銭谷事務次官、加茂川生涯学習政策局長、金森初等中等教育局長、藤嶋政策評価審議官、前川審議官、久保審議官、磯田私学部長、石野スポーツ・青少年総括官、常盤初等中等教育企画課長、鬼澤企画・体育課長、高橋教育課程課長、安藤参事官、牛尾視学官、合田教育課程企画室長、淵上教育制度改革室長、鈴木企画官、先崎大学入試室長

オブザーバー

(国立教育政策研究所)
 大槻教育課程研究センター長

5.議事録

【梶田部会長】
 それでは、定刻になりましたので、そして本日、定足数にも足りているということでありますので、ただいまより第4期第15回教育課程部会を開会したいと思います。委員の皆様におかれましては、ご多忙のところご出席いただきまして、本当にありがとうございます。
 それでは、まず、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

【合田教育課程企画室長】
 本日は、ご多忙な中、ご参集をいただきまして誠にありがとうございます。
 それでは、配付資料の確認をさせていただきます。お手元の封筒にございます資料でございますが、1枚ものの議事次第、資料1-1といたしまして、初等中等教育分科会の委員の先生方の名簿、資料1-2といたしまして、教育課程部会の委員の先生方の名簿。
 資料2-1といたしまして、教育課程部会におけるこれまでの審議のまとめ(案)、資料2-2といたしまして、教育課程部会におけるこれまでの審議のまとめ(案)の概要、資料2-3は、審議のまとめ(案)に関連する関連資料ということで、データ集でございます。
 資料3-1以降は、後ほどの初等中等教育分科会との合同会議で使う資料でございますが、「学士課程教育の再構築に向けて」、資料3-2としては、「学士課程教育の再構築に向けて」(審議経過報告)、資料3-3は、高大接続について教育課程部会でご審議をいただいた際の概要。
 資料4-1として、行革推進法施行後の状況の変化、資料4-2といたしまして、教育予算に関する論点、資料4-3として、教職員をめぐる状況でございます。
 あわせて、先ほど部会長からもお話がございましたように、本日の教育課程部会は、教育課程部会運営規則に規定いたします定足数に達している旨、ご報告申し上げます。以上でございます。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 この教育課程部会におきましては、教育課程全体の見直しにつきまして、特に平成17年4月以降、この親部会だけでも100時間の審議を重ねたということであります。16専門部会がございますが、各教科の専門部会等を含めますと400時間に及ぶ審議を重ねてきたということになっております。特に本年8月下旬からは、8回にわたって集中的・精力的に親部会の詰めの審議をしてまいりました。
 その結果、前回10月30日の部会におきまして、「教育課程部会におけるこれまでの審議のまとめ」についておおむねご了承いただいたというところであります。なお、そのときにも若干、文章が長過ぎるとか、こういう物の言い方ではわかりにくいから、こういうことを直したほうがいいという、随分文章表現上のご指摘を受けました。おおむね了承は得たわけですけれども、文章表現上の修正につきましては、部会長である私にご一任いただくということで、そういう作業をさせていただいたわけであります。
 本日は、この部会として、文章表現も含めて、一応「審議のまとめ」ということを最終的に確認していただきまして、この後開催いたします初等中等教育分科会との合同会議におきまして、報告したいというふうに考えております。
 それでは、事務局から、「審議のまとめ(案)」の概要と前回からの修正箇所について、ご説明をお願いいたします。

【合田教育課程企画室長】
 それでは、資料2-1によりましてご説明させていただきたいと存じております。
 ただいま部会長からもお話がございましたように、前回10月30日の教育課程部会で大筋においてご了解の上、その際いただいたご意見にかかる修文については、部会長にご一任となったところでございます。このため、前回の教育課程部会でございましたご意見を踏まえ、部会長のご指示のもと、主として、これから申し上げます4点にわたる修正をいたしておりますので、ご報告申し上げます。
 第1点目は、恐縮でございますが、資料2-1の13ページをお開きいただければと思っております。前回の教育課程部会におきまして、全国学力・学習状況調査の結果の活用、分析についての記述を丁寧にすべきとのご意見がございました。このため、13ページ目の1つ目の「○」の4行目でございます。「同調査については、多角的に分析し、その分析を教育の改善に生かすことが何よりも重要である。現段階においてまとめられた調査結果からは」ということで、表現を丁寧にしてございます。
 また、その下に「・」が4つ並んでおりますけれども、その3つ目、「地図で指定された場所について、必要な情報を取り出してその面積を求め、比較し、その理由を説明すること」ということで、これも全国学力・学習状況調査の実際の出題に照らし、正確な表現をさせていただいているところでございます。
 次は、37ページの上から3つ目の「○」でございます。後段でございますが、「なお、選択教科については、第2、3学年において総合的な学習の時間の一部を充て得るとすることについて引き続き検討する必要がある」と修正させていただいております。これは、前回の部会において、飛んでいただいて大変恐縮でございますが、149ページをお目通しいただければと存じます。(参考資料2)といたしまして、中学校の標準授業時数の案でございますけれども、現行の選択教科等と総合的な学習の時間を、総合的な学習の時間に一本化し、教育課程をシンプルにするとともに共通性を高めることとするということを前提にしながら、その場合、第2・第3学年において、総合的な学習の一部を選択教科に充てることができることとするかどうかについては、さまざまなご意見があったところでございます。このため、この点については、答申に至るご審議においてさらにお詰めいただく必要があることから、かような修正をいたしております。下の欄の「※」印についても、同様の修正を行ってございます。
 3つ目の修正でございますが、お戻りいただいて恐縮でございますが、143ページをお開きいただければと存じます。教育課程の改善という観点から、前回の教育課程部会におきまして、学校評価に言及する必要があるのではないかというご指摘をいただきました。このため、上から3つ目の「○」にございますように、「教育課程や指導についての評価とそれに基づく改善に向けた取組は、学校評価と十分な関連を図りながら行われることが重要である。学校評価等を通じて、学校や設置者がそれぞれの学校の教育の成果や課題を把握し、それを改善へとつなげることが求められる」旨の記述を追加したところでございます。
 最後、第4点目でございますけれども、同じ143ページの一番下の「○」でございます。前回の教育課程部会におきまして、学校のマネジメントにおける校長の役割の重要性について重ねてご指摘がございました。このため、2行目にありますように、「校長を中心としたマネジメント」と表記を修正してございます。
 主な修正は以上でございます。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 今ご説明いただいたとおりであります。前回ご了承いただいたところから変わってはいないわけですけれども、一部、前回出されましたご意見に基づきまして、記述を詳しくしたり、あるいは、今の学校評価のように、もう少しこれを入れたほうがいいんじゃないかというところを入れたりしてございます。
 そういうことでありますが、ただいまご説明いただいたもの、今日は既に冊子の形で準備されておりますが、この「教育課程部会におけるこれまでの審議のまとめ」という(案)を教育課程部会として決定したいと思いますが、ご異議ございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 それでは、お手元の資料から、(案)というところをお取りいただきますようにお願いいたします。これで、「審議のまとめ」としては決定したということでございます。
 ここで、部会長を務めてきた者として、一言ご挨拶をしたいと思います。
 先ほども申し上げましたように、平成17年4月から、第3期の教育課程部会ということで、学習指導要領全体の見直しについて本格的に審議をしてきたわけです。もちろん第1期、2001年2月から既にいろいろなご意見があって、今回の「審議のまとめ」であります、6本ほど柱がございますね。これは全部、第1期から引き続いて議論していただいたことを土台にしているわけですけれども、しかし、それを第3期で整理して、特に教科別の専門部会なども設置しまして、詰めのといいますか、学習指導要領の形になるような審議をしていただきました。前からの方はご承知のように、本当は第3期中に答申まで行きたかったんですよね。したがって、ちょうど1年ぐらい前に、1年ずれたといいますか、そういうことになると思います。
 しかし、ご承知のように、昨年の3月の終わりには教育基本法の政府案が国会に提出され、4月になったら、それに対抗して民主党の日本国教育基本法案が提出されということで、にわかに教育基本法の問題が大きな議論の的になってきまして、同時に、事務局を務めていただきます文部科学省のほうも、それにかなりの大きな、60年ぶりの教育基本法の改正ですから、時間もエネルギーもとられたという事情がございます。
 しかし何とかということをやっておりましたら、秋から冬にかけて、未履修の問題とかいじめの問題が起こってきて、この処理で追われていたということで、結果としまして、第3期の教育課程部会で上げるというわけにはいかなくなりました。拙速を慎んでよかったかなというふうに私個人としては思っております。いろいろなことがある中で、無理して上げてしまっていたら、議論のいろいろなし残しが残ったかなと思うんですけれども、そういうことで、今年2月からの第4期の教育課程部会において、これは何としてでも1年で上げなきゃいけない、当初の予定よりは1年おくれになりましたが、ということで、皆さん本当に熱心にご審議をいただいてきたわけであります。
 その間、専門部会も入れますと約400名の先生方が、非常に熱心に審議にお加わりくださった。親部会だけだと30人ほどなんですけれども、16専門部会がありましたし、同時に小学校部会、中学校部会、高校部会、これを横でつなぐ部会も活動していただきました。そういうことで、400名を超える先生方に、本当に熱心に委員としてご審議に加わっていただきました。
 そういうことで、今回、子どもたちの心身の発達ということを十分に念頭に置きながら、また、世の中の流れの中で、学校というところはきちっとした力をつけるべきじゃないかという学校教育に寄せられる声も反映しながら、そして、どうしても日本の子どもは今、弱くなっているなと言われてきた、言葉の力とか体験というようなことを、各教科横断して全部大事にしようじゃないかとか、こういうことを念頭に置きながら、もう一つ言いますと、教育基本法の昨年12月の改正を受けまして、実は政府案も民主党案も、内容的にはほとんど同じなんです。こう言うと異議があるかもしれませんが、どうぞ見比べてください。これは2003年の中教審答申を両方とも土台にしております。そういうことで、伝統文化の問題であるとか、こういうことももう一度改めて念頭に置きながら、審議のまとめに、第4期本当に熱心にやっていただきました。
 そういう中で、どうしてもある時期には、探究とかそういうことばかり言われた時期もありました。そして2001年、2002年は、習得というようなことばかりが強調された時期もありました。今回の指導要領の改訂では、習得も、活用も、探究もという、違った学習のタイプといいますか、あるいはそれによって形成される違う領域の学力とでもいいましょうか、これを全部大事にしよう。
 ですから、1つの方向からだけお考えの方にとっては、今回の指導要領の改訂は、あるマスコミの論調をかりますと、2つほどありましたね。中途半端というのがありますけれども、それは1つだけ取り出すということからすれば中途半端ですが、逆に言うと、それが今回のいいところだと思う。我々はそれを、多様な要素をまとめ上げた、そういう意味ではバランスのきちっとした学習指導要領に持っていこうとしたんだというふうに考えております。
 それによって、遠山大臣が「学びのすすめ」というアピールで言われました、「確かな学力」という言い方ですね。関心を高めるのも大事です。思考力、表現力、判断力も大事です。そして目に見える知識、理解、技能も大事です。どれか1つだけを取り出して、それだけで考えちゃいけませんよというアピールが出たわけですけれども、私は、これは第2期の中教審教育課程部会の議論を踏まえたものだったと個人的に思っておりますが、その「確かな学力」は総合的な学力というものを確立するということに向かって、議論を集約させていくことができたんじゃないかなというふうに思います。
 ちょっと長く、くどく申し上げましたけれども、一面だけで勝負するようなものであれば話はまとまりやすいわけですけれども、目配りをきちっとして、いろいろな異なった要素を全部、限られた時間数の中に、あるいは限られた教科の体系の中に何とかおさめていこうというご尽力の中で、今回の「審議のまとめ」ができたように思っております。
 この間の委員の皆様方のご尽力に対しまして、重ねて厚く御礼を申し上げたいと思います。そしてこれを、今度は国民の多くの皆様のご意見を伺いながら、中身を少し、また必要ならば見直しながら、年末から年明けにかけての最後の答申ということに持っていかなきゃいけない。そういうことでございますので、最後の直線コースに入りましたので、どうか皆さん、これまで以上のご尽力、ご協力をお願いしたいと思います。
 今回打ち出された方向につきましては、もう既に全国の小・中・高等学校において、あるいは幼稚園において、非常に関心を持って、どういう方向でこれから進めていったらいいのかということをお考えいただいているように思います。これが本当に各幼稚園、小学校、中学校、高校で実現されるためには、指導要領としてはアウトラインしか出ないわけですけれども、具体的な活動の在り方、教科書の在り方、あるいは広い意味での指導体制、整備、こういうことが重要な課題になってくるわけであります。
 これから、こういう線で指導要領を改訂する、このアウトラインができましたけれども、それに具体的な肉づけをしていく各いろいろな課題につきまして、なお一層皆様にご審議をいただき、また、大所高所からご指導もいただかなきゃいけないと思っております。どうかその点、よろしくお願いしたいと思います。
 私のほうのご挨拶はそのぐらいにいたしますが、今申し上げましたように、実は第3期、これでまとめ上げようということで、前部会長の木村先生が、非常にご尽力いただきました。先ほど言いました、ほかに事務局のほうも、エネルギーも時間もとられる中でご尽力をいただいたわけですが、これがあったから何とか今日、こういう形で審議のまとめができたと思っております。
 そういうことで、第3期、中心的にリーダーシップを発揮してこられました木村先生から、一言ご挨拶をいただきたいと思います。

【木村副部会長】
 それでは、ご指名でございますので、少しだけお話をさせていただきます。
 ただいま梶田部会長からご紹介がございましたように、私、前期の教育課程部会長をつとめました。中教審の委員そのものになりましたのは、平成7年、私が東京工業大学の学長のときであります。初中教育については全く素人でありましたが、当時の与謝野文部大臣に、中教審の委員をやるように言われました。
 平成8年、今盛んに批判の的になっております、「ゆとりの中で生きる力をはぐくむ」という答申にかかわりました。私は一委員でございましたので、それほどの役は果たせなかったのですが、あのとき驚きましたのは、週休2日制の導入ということもあり授業時間の削減ということが大きなテーマになっておりましたためか、私ごとき新米委員のもとへも、ものすごい紙爆弾が来たことです。各教科の先生方、それから教科の団体などから、自分達の教科は絶対減らすなということで、すさまじい量の手紙が来たのを覚えております。そのような状況に直面して、正直暗たんたる気持ちになりました。そのような手紙をいただいたうちのお一人として、教科全体を考慮した上での御意見を寄せられた方はありませんでした。全て自分の教科についての御意見でした。
 たまたま前期教育課程部会長を引き受けろというお話がありました時、最初に考えましたのは、ああいう状況はいやだなということです。そういうことで、まず、教科の壁をなるべく立てないで議論してほしいということをお願いいたしました。私はもともとはエンジニアで度々外国へ行きましたが、日本は大学でも、1つずつの専門の壁が非常に高いということを痛感致しました。アメリカでも、英国でも、専門が違う先生方のコミュニケーションが非常にスムーズにいっているということを身をもって体験しましたので、何か教科を横断するような共通なものを見つけて欲しいというお願いをいたしました。そういうこともあって、専門部会の先生方もあまり教科の壁を立てずにご議論いただいたと思っております。
 その結果出てきたのが、言語と体験ですね。もっと具体的なものが欲しかったのですが、まずはそれが出てきましたので、それを中心に第3期で議論を展開しました。
 先ほど梶田先生のほうからご紹介がございましたように、本当は3期で決着がついていて、もう既に新しい学習指導要領が走っていなければいけなかったのですが、いろいろな事情で第4期になってしまいました。しかし私は今はこれはこれでよかったのだと思っております。平成10年の学習指導要領の改訂のとき、あまりにも実施を急ぎ過ぎたといまでも思っております。そういうことで言うと、十分議論をする時間もありましたし、平成10年のときの失敗も反すうする時間があったということで、結果的にはよかったのではないかと思っておりますが、その分、委員の先生方には大変なご苦労をおかけしたものと反省しております。
 最後に一つだけ申し上げたいことがあります。私は今、東京都の教育委員長をしておりますその関係で、教育委員会連合会の会長もつとめております。先週1週間、全国教育委員会連合会のミッションとして、英国の小学校、中学校、それから市行政局、そういうところをかなりたくさん訪問してまいりました。ご存じだと思いますが、英国は今、教育改革にものすごい力を入れております。最大のターゲットは経済的貧困層です。このクラスの進学率を上げようということで特別な改革を実行しています。アメリカはクリントン政権のときに、ノー・チャイルド・レフト・ビハインドというポリシーを出しましたが、今、英国は、エブリー・チャイルド・マターズ、すべての子どもが大事ですよというキャンペーンを、繰り広げております。
 最後に訪れた女子のための中等教育学校、教育というのは本当にすごいものだと実感ました。この学校はロンドンのサウスワークという非常な貧困地帯、英国でも最も貧しい地帯にある、英国国教会の公立学校です。
 この学校は、もともとは非常に由緒ある良い学校だったのですが、時代の変化にに校長がついていけなかったということがあって、がたがたになってしまいました。英国の学校の中でも最低クラスの学校になってしまいました。そこへ校長の公募に応じて、12年前に一人の女性の校長が赴任してきました。12年経った今、この学校は英国の中で、最もすぐれた学校の一つになっております。
 学校の実態は驚くべきものであります。750人いる生徒の25パーセントが何らか特別支援を要する子どもたちです。つまりLD、ADHD、さらには、例えば子どものときにアフリカにいて、親が目の前で殺された。そのために言葉がしゃべられなくなった、そういう子が25パーセントもいます。それから、アジア、アフリカ、中南米のエスニックグループの子ども達が70パーセントいます。ホワイトブリティッシュが30パーセントしかいないということですね。またフリースクールミール、つまり英国は給食を出しますが、家庭の年収が少ない子どもに対しては、ただで給食が食べられるような仕組みがもうけられており、この子たちが40数パーセントいます。
 にもかかわらず、この12年間で、校長の努力で英国でも有数の成績の学校になりました。校長の情熱と努力はすごいとは思いましたが、それにしても教育というのはものすごいものだなということを実感しました。
 日本は英国に比べると環境的には問題が少ない国だと私は思っておりますが、とにかく教育というのはやり方によってどうにでもなるものだと云うことを、改めて学習しました。先生方には今度の新しい学習指導要領を使って、是非頑張っていただいて、いろいろ世間でとやかく言われているような批判を少しでもなくするようにしていただきたいと思っております。余計な話を致しましたが、最後のご挨拶とさせていただきます。どうも失礼いたしました。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。今のようなお話を聞きますと、教育熱心で知られていたはずの日本が、いつの間にか若干の、これじゃいけないなという状態になっちゃったなということをつくづく思います。今、木村先生がおっしゃったように、学習指導要領の新しいものをきっかけに、もう一度日本が、世界中の国から教育熱心な国だなというふうに言われるようになりたいなと思います。
 本日の「審議のまとめ」でありますが、あすから1カ月の期間で意見募集、パブリックコメントを行おうと思っております。これによって広く国民の皆様からご意見をいただくと同時に、「審議のまとめ」を関係団体に送らせていただいて、ヒアリングという形でご意見をお伺いしたいと思っております。教育関係の団体は挙げ出すと切りがないように思いますので、大体従来の慣例に従って、50団体ぐらいお願いしたいなと。いろいろなお立場の団体からご意見をいただきたいなと思っておりますが、もし差し支えなければ、団体の選定につきましては私にご一任いただければありがたいと思っております。よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【梶田部会長】
 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。
 それを踏まえて、この親部会、それから必要ならば専門部会を開きまして、いろいろと出てきましたご意見あるいは注文等々に基づきまして、今度の学習指導要領で何とかやれるものはやる。それから10年後の次の学習指導要領のときまでに、十分に議論をしながら考えていきたいというものは長期的な課題にするということを仕分けしながら、いろいろと寄せられたご意見についてお答えしていきたいというふうに思っております。
 ここで、本日はお忙しい中を、銭谷次官にご出席いただいておりますので、実は初中局長として第3期から、第4期の初めもですけれども、学習指導要領の事務局ということで、最高責任者でやっていただきました。ということで、銭谷文部科学事務次官からご挨拶をいただきたいと思います。お願いいたします。

【銭谷文部科学事務次官】
 文部科学事務次官の銭谷でございます。お時間をいただきまして、一言御礼を申し上げたいと存じます。
 本日は、大変ご多忙にもかかわらず、部会長、両副部会長をはじめ委員の先生方にご参集を賜りまして、まずもって心から御礼を申し上げたいと存じます。先ほど来、梶田部会長、木村前部会長からもお話がございましたように、教育課程部会におかれましては、教育課程全体の見直しにつきまして、平成17年4月以来、本日まで2年半にわたりまして、専門部会を含めますと400名を超える委員の先生方のご参加を得まして、400時間に及ぶご審議を積み重ねていただきました。
 この間、60年ぶりの教育基本法の改正や教育三法の改正など、教育史に残ると言ってもいいと思いますけれども、大きな改革が進められてまいりました。また昨年は、いじめによる子どもたちの自殺の問題や、一部の高等学校において必履修科目が未履修であったことが社会的に高い関心を集めるような状況がございました。本部会におかれましては、これらを踏まえたご検討をいただきましたが、委員の先生方には大変なご苦労をおかけしたというふうに思っております。
 そういった中で、昨年2月に、教育課程部会としての審議経過報告、また今年の1月には、第3期の教育課程部会の審議の状況についてというお取りまとめをいただいたところでございます。第4期に入りましてからも、第4期の教育課程部会では、特に今年の夏以降、学校段階別各教科等の専門部会を含めまして、大変精力的に、また集中的に詰めのご審議をいただいたところでございます。
 その成果といたしまして、本日、学習指導要領改訂の方向性を、「教育課程部会におけるこれまでの審議のまとめ」としておまとめいただいたところでございます。本当にありがとうございました。これもひとえに、本日お集まりの先生方をはじめとする、教育課程部会、各専門部会にご参画をいただいた委員の先生方のお力添えによるものと、この間の先生方のご尽力に対しまして、心から感謝を申し上げたいと存じます。
 学習指導要領の改訂につきましては、ご案内のように、今年夏の閣議決定でございます、いわゆる骨太の方針2007におきまして、本年度中に改訂するということが言われているところでございます。これから年度末にかけまして大変厳しいスケジュールとなるわけでございますけれども、文部科学省といたしましては、教育課程部会におけるご審議、ご提言を十分に踏まえまして、具体的な改訂作業を進めてまいりたいと思っているところでございます。
 言うまでもなく、学習指導要領の改訂は、教育基本法や学校教育法改正の理念と学校現場をつなぐ大変重要なものであると同時に、国民的な関心も極めて高く、公教育への信頼を取り戻す中核となる施策と考えております。「審議のまとめ」におきましても、教師が子どもと向き合う時間の確保などの条件整備が不可欠であると、大変心強いご提言をいただいているところでございます。教育条件の整備につきましては、教職員定数改善をはじめとする予算要求とともに最重要課題として、文部科学省一丸となって取り組んでまいりたいと思っているところでございます。
 終わりになりますけれども、今後、来年1月の答申に向けまして、委員の先生方にはさらなるご審議をお願いすることとなりますけれども、どうか引き続き格別のご高配を賜りますようお願い申し上げまして、大変簡単でございますけれども、お礼の言葉とさせていただきたいと存じます。本当にありがとうございました。

【梶田部会長】
 どうもありがとうございました。
 それでは、ここから初等中等教育分科会との合同会議にしたいと思います。準備をさせていただきますので、しばらくお待ちいただきたいと思います。

(休憩)

【梶田分科会長】
 それでは、初中分科会の委員の先生方もご着席いただきましたので、引き続きまして、第56回初等中等教育分科会と第4期第15回教育課程部会の合同会議を開催したいと思います。教育課程部会の先生方におかれましては、引き続きということになりますけれども、本当によろしくお願いしたいと思います。
 まず事務局から、配付資料の確認をお願いいたします。

【淵上教育制度改革室長】
 それでは、合同会議からご出席の先生方もいらっしゃいますので、課程部会の先生には重複になりますけれども、資料の確認をさせていただきたいと存じます。
 資料1-1は、初等中等教育分科会の委員の名簿、1-2は、教育課程部会の委員の名簿でございます。
 2-1は、教育課程部会におけるこれまでの審議のまとめ、2-2はその概要でございます。こちらは先ほど教育課程部会としてご審議、ご決定いただきましたので、お手元の資料から(案)が取れております。また資料2-3は、審議のまとめの関連資料でございます。
 資料3-1、3-2といたしまして、大学分科会の制度・教育部会の下に置かれております、学士課程の在り方に関する小委員会から、本年9月18日に出されました審議経過報告でございます。3-3といたしまして、本年7月13日の教育課程部会における審議の状況でございます。
 4-1は、行革推進法施行後の状況の変化について、4-2は、教育の予算に関する論点についての資料、また4-3は、前回10月24日の合同会議でご説明した資料と同じものでございますが、教職員をめぐる状況についての資料でございます。
 また、机上の参考資料といたしまして、「現行学習指導要領における各教科等の目標及び内容の例」と「言語力の育成方策について」、その他関連資料をご用意させていただいております。
 資料の不足等ございましたら、事務局までお願いいたします。以上でございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 本日の合同会議は、3つ大きな内容の議題を準備しております。1つは、ほんの先ほどでありますが、教育課程部会としてまとめていただき、決定していただきました、教育課程部会における審議のまとめをご報告いただいて、これについて皆さんで自由な意見交換をしたいと考えております。
 2番目に、これは前回の教育課程部会でも話が出ましたし、また初中分科会でもよく出ております、高大連携といいますか、高校までの教育、初等中等教育と大学教育の連携につきまして考えるということで、ちょうど、大学分科会のもとに設置されております「学士課程教育の在り方に関する小委員会」から審議経過報告が出ておりましたので、これについて報告いただきまして、高大連携といいますか、初等中等教育と大学との一貫した見通しの中での教育の在り方ということについて、皆さんで意見交換をしたいというふうに思っております。
 最後に、予算の問題ですね。ともかくいろいろと教育諸条件は、予算的にもきちっとした土台ができてこないとなかなかやれないということがございますので、現在の状況につきましてご報告をいただいて、お金の問題になりますが、これについても皆さんのご意見をいただきたい。こういうことを考えております。
 最初の2つに、少し時間を長目にしまして、最後の予算の問題は少し短目と考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、まず第1の課題といいますか、先ほど教育課程部会としてご了承、ご決定いただきました、「教育課程部会におけるこれまでの審議のまとめ」についてご報告をいただいた上で、皆さんのご意見をいただきたいと思います。
 それでは、合田教育課程企画室長からご説明をお願いいたします。

【合田教育課程企画室長】
 それでは、資料2-1に基づきましてご説明申し上げます。
 学習指導要領全体の見直しにつきましては、平成17年4月から、中教審教育課程部会でご審議をいただいたわけでございますけれども、特に今夏からは、詰めの審議をいただいたところでございます。ただいま行われました教育課程部会におきまして、審議のまとめが、決定がなされたところでございます。教育課程部会の先生方はもとより、初等中等教育分科会の先生方におかれましても、審議のまとめにつきましては、9月5日、10月24日と2度にわたる合同会議において審議にお加わりいただきましたので、私のほうからは、教育課程部会で先ほど決定、公表されました審議のまとめのポイントのみを、駆け足になりますが、ご報告申し上げたいと存じます。
 資料2-1の1ページ目の目次をご覧いただきたいと存じます。この目次にございますように、今回の審議のまとめは、大きく3つのパーツで構成されてございます。最初から「5.学習指導要領改訂の基本的な考え方」までが、いわば総論でございまして、「1.」でこれまでの戦後の改訂経緯を概観して、「2.」で現行学習指導要領の理念を確認し、「3.」で現状の課題を分析する。そして、「4.」でその背景・原因を探る。こういった現状認識、分析を踏まえまして、「5.」で、今回の学習指導要領の改訂の基本的な考え方を整理しております。ここまでがいわば総論でございます。
 これらを踏まえまして、具体的にどのような学習指導要領改訂にするのかということについて、「6.」から「8.」、すなわち「6.」で小・中・高等学校の各学校段階の枠組み、「7.」で教育内容に関する主な改善事項、「8.」で各教科・科目ごとの具体的な改善について、それぞれ整理をいただいております。
 それから、第3部に当たりますのが「9.」と「10.」でございまして、教育課程を支える条件整備、家庭や地域との連携、企業や大学の責任や役割等についてまとめていただいてございます。
 全体の構成は以上でございます。以下、順次手短にご説明申し上げます。
 6ページ、7ページでございます。内容のご紹介は省略いたしますが、戦後の教育課程の展開を概観してございます。
 8ページからは、「2.現行学習指導要領の理念」ということでございまして、「知識基盤社会」とも言われる変化の激しい時代において、基礎的・基本的な知識・技能の定着とその活用などの確かな学力、豊かな心、健やかな体といった「生きる力」はますます重要との議論をおまとめいただいております。
 また、9ページから10ページにかけては、OECDのキーコンピテンシーという考え方、あるいは改正基本法、学校教育法の改正もこのような判断の妥当性を支えている旨、整理をいただいております。
 11ページ以降でございます。「3.子どもたちの現状と課題」。現在の子どもたちは、11ページにありますように、ボランティア活動への参加意識が高いなど、積極的な側面も見られる一方で、12ページ以降にございますように、国際的な学力調査や、本年4月に実施いたしました全国学力・学習状況調査の結果からは、特に「生きる力」で重視している、知識を活用するといった思考力・判断力・表現力等に課題がある。さらにOECDのPISA調査に見られるように、成績の分散が拡大しているという課題がございます。
 また、15ページ以降は、心と体の状況ということで、自分への自信、規範意識、体力等にも課題があるという現状認識を書いてございます。
 16ページ以降でございますけれども、「4.課題の背景・原因」ということでございまして、その原因・背景については、決して学校教育だけの問題ではなく、社会、地域、家庭の変化、教育課程上の課題、条件整備などが複雑に絡んでいるわけでございますけれども、特に17ページの「(2)学習指導要領の理念を実現するための具体的な手立て」について、学習指導要領上、「生きる力」をはぐくむという理念を実現するための具体的な手だてが必ずしも十分でなかったということで、17ページ以降、端的にそれを5点に整理してございます。
 1つ目は、17ページ目の一番下の「○」にありますように、「生きる力」ということについての十分な共通理解がなされなかったということ。
 2つ目は、18ページの一番上の「○」にありますように、子どもの自主性を尊重する余り、教師が指導を躊躇する状況があったのではないか。
 3つ目は、その次に「第三に」という「○」がございますけれども、各教科において知識・技能を活用するという活動が十分ではなく、各教科と総合的な学習の時間の間に溝があったのではないかということ。
 それから19ページ目に、「第四は」とありますけれども、第三ということと関連して、現在の小・中学校の必修教科の授業時数が必ずしも十分ではなかったのではないかということ。
 最後に、19ページ目の上から2つ目の「○」でございますけれども、豊かな心や健やかな体の育成について、社会の変化や家庭・地域の教育力の低下を踏まえた対応というのが十分ではなかったのではないかということで、5つ整理をいただいております。
 この5つの背景、課題に立った、今回の学習指導要領改訂の基本的な考え方が、21ページ以降でございます。
 21ページでございますが、まず(1)として、改正教育基本法等を踏まえました学習指導要領の改訂ということでございます。下から2つ目の「○」にございますとおり、改正教育基本法で、新たに教育の目標として規定された公共の精神、あるいは伝統や文化の尊重といった視点を、各教科等の内容の改善に当たって重視する必要があるというご議論をまとめていただいております。
 また22ページには、(2)として、「生きる力」という理念の共有の重要性。
 23ページ目には、(3)として、基礎的・基本的な知識・技能の定着。これについては、23ページの一番下の「○」から24ページにかけて書いてございますように、今回は特に、発達や学年の段階に応じた指導を徹底し、例えば小学校低・中学年で、「読み・書き・計算」の繰り返し学習などを重視するといったような議論をおまとめいただいております。
 24ページの、(4)思考力・判断力・表現力等の育成でございます。一番下の「○」にございますように、知識・技能の確実な定着を土台としながら、各教科等で、観察・実験、レポートの作成、論述などの知識・技能を活用する学習活動を充実する。それを総合的な学習の時間を中心とした探究的な学習活動へと発展させていく必要がある。
 それから、25ページ目の一番下の「○」にございますように、このような習得、活用、探究、先ほど部会長からもお話がございましたように、こういった学習活動の流れの基盤となる、言語に関する能力の育成を重視するというのが、今回おまとめいただいているもののポイントでございます。
 26ページ、(5)といたしまして、「確かな学力を確立するために必要な授業時数の確保」というところでございます。今申し上げました、習得、活用、探究という学習活動の流れをしっかりと定着させるために、小・中学校においては国語・理数等の授業時数を増加し、知識・技能の定着と活用を図るための時間を確保する。他方で、総合的な学習の時間については、時数は縮減するものの、これらの教科で培った活動力をもとに学習活動の充実が図られることになる旨、おまとめいただいております。
 27ページ、(6)といたしまして、「学習意欲の向上や学習習慣の確立」でございます。PISA調査の読解力における成績分布の分散の拡大の背景にある、学習意欲や学習習慣の向上、確立につきましては、一番下の「○」にございますように、小学校低・中学年を中心とした学習習慣の確立、反復(スパイラル)する教育課程による知識・技能の確実な習得、学ぶ意欲を実感するためのキャリア教育の充実、課題を抱えた学校に対する支援が重要というご議論をおまとめいただいております。
 最後に、28ページ、(7)でございますけれども、「豊かな心や健やかな体の育成のための指導の充実」ということでございまして、一番下の「○」にございますように、コミュニケーションや感性・情緒の基盤でもある言語に関する能力の育成の重視、他者や社会と向き合う上での効果的な体験活動の充実とともに、29ページにございますように、道徳教育や体育の重視をおまとめいただいているところでございます。
 30ページ以降は、これらの基本的な考え方を踏まえて、小・中・高等学校の教育課程の枠組みについて、これまでの審議をおまとめいただいております。
 飛んでいただいて恐縮でございますが、148ページをお目通しいただければと思っております。これまでの議論を踏まえ、どの教科をどの学年で重視するか、あるいは、可能な限り年間の授業週数である35の倍数にするといった教育課程のご審議を、時数表の形でまとめたものでございます。「小学校の標準授業時数について」とございますが、左が現行、右が改訂案という形になってございます。それぞれの枠に入っております上の数字が年間の標準授業時数で、下の括弧で書いてある数字が、35週で割り戻しました週当たりのコマ数でございます。
 小学校で申しますと、国語につきましては、国語に関する能力の基礎を育成するという観点から、小学校の低学年、中学年で授業時数を増やしてございます。社会については、4年から6年において増加している。また、今回の改訂で重視しております理数教育については、算数と理科において、すべての学年で時数を増加し、重視しております。体育につきましては、基礎的な体力づくりを行うという必要がある観点から、低学年と中学年、1年生から4年生までの時数を増やしてございます。総合的な学習の時間につきましては、先ほど申し上げましたように、各教科において知識・技能を活用する学習活動を充実するということを前提に、現在の週3コマ相当から週2コマ相当にということで縮減いたしております。また、小学校の5年、6年に、新たに外国語活動、仮称でございますが、週1コマ相当、年35単位時間を置くことにしてございます。
 その結果、小学校の1、2年、低学年は週2コマ相当、3年から6年にかけては週1コマ相当、総授業時数が増えるということになっておりまして、6年間の総授業時数は5,645単位時間ということで、これまでの議論を具体的な数字としてお示ししてございます。
 また次のページ、(参考資料2)といたしましては、中学校の標準授業時数でございます。これも国語につきましては、国語力をつけていくという観点から、1、2年での国語力の重視ということがご審議をいただいておりまして、既に1年生は週4コマ相当配当されてございますので、2年生で、現在の3コマから4コマに増やす。社会につきましては、近現代史を中心に歴史の学習等の充実を図るために、3年生の時数を増やす。数学については、小学校との接続、高等学校との接続を重視して、第1学年と第3学年で授業時数を増加する。学年が進むにつれ学習が深化いたします理科につきましては、第2学年と第3学年で増加し、観察や実験を充実する。保健体育及び外国語につきましては、中学校3年間を通じて授業時数を充実するということにご議論をまとめていただいております。
 なお、総合的な学習の時間については、1年次に50単位時間、2年次、3年次には70単位時間ということで、これまでの議論を整理いただいております。
 一番下の「※」印にございますように、改訂案における選択教科等の扱いにつきましては、教育課程部会でもさまざまな議論がございまして、第2・第3学年において総合的な学習の時間の一部を充て得るとすることについて、引き続き検討するということになってございます。その結果、第1学年から第3学年まで、現在の週28コマ相当から29コマ相当ということで、1コマ相当増加し、3年間トータルでは3,045単位時間ということでご審議をおまとめいただいております。
 最後に、次のページでございますが、(参考資料3)ということで、高等学校についてでございます。高等学校につきましては、多様化している実態を踏まえまして、共通性と多様性の中で、子どもたちが社会において自立的に生きるために必要な力を確実にはぐくむための弾力性のバランスを重視すべきであるというご審議をいただいているところでございます。学習の基盤である国語、数学、外国語につきましては、現在、選択必履修科目となっておりますが、義務教育の成果を踏まえて、共通必履修科目を置く必要がある。具体的には、国語については国語総合、数学については数学1、外国語についてはコミュニケーション英語1ということで、それぞれ共通必履修科目を置くという案になってございます。
 なお、それぞれ「必履修科目」という欄に、例えば国語でございますと「2単位まで減可」となっておりますけれども、現在でも、必履修科目の単位の増減というのは各学校の実態に応じ可能でございますが、多様化する高等学校教育の実態を踏まえて、その点を強調すべきであるとの議論を踏まえて記述いたしております。
 また、地理歴史、公民、理科などにつきましては、現行どおり選択必履修科目とすることが適当であるとの議論をいただいております。特に地理歴史については、義務教育で日本史や地理をきちんと学習し、高等学校では世界に目を向けるという考え方から、現行どおり、世界史AないしBから1科目履修、それに加えて、日本史と地理から1科目選択して履修ということでお示ししてございますが、世界史の内容については、日本史との関連、地理との関連という観点から、内容を改善していくという議論をいただいております。
 また、理科につきましては、「科学と人間生活」を含む2科目、または物理、化学、生物、地学の基礎を付した科目から3科目を履修するということにいたしておりまして、現行学習指導要領の、いわゆる総合科目を必ず履修しなければならないという枠組みを弾力化しているところでございます。
 本文に戻っていただきまして恐縮でございますが、46ページにおきましては、(3)として「学校週5日制の下での土曜日の活用」、47ページは、「発達の段階に応じた学校段階間の円滑な接続」、50ページにおきましては、「教育課程編成・実施に関する各学校の責任と現場主義の重視」と、それぞれ小・中・高等学校を通じた教育課程の枠組みについて、これまでのご審議を整理いただいております。
 また52ページからは、「7.教育内容に関する主な改善事項」ということで、議論を整理いただいております。先ほどお目通しをいただきました教育課程、学習指導要領改訂の基本的な考え方を踏まえ、今回の改訂で充実すべき重要事項といたしまして、言語活動の充実、理数教育の充実、伝統や文化に関する教育の充実、道徳教育の充実、体験活動の充実、小学校段階における外国語活動の導入、この6つの点を重要事項として、それぞれ整理しております。
 また、社会の変化への対応の観点から、教科等を横断して改善すべき事項として、情報教育、環境教育、ものづくり、キャリア教育、食育、安全教育、及び心身の成長発達についての正しい理解、この7点についてご審議をいただいております。
 1つ1つのご紹介は省かせていただきますが、59ページの一番下の「○」にございますように、道徳教育の充実については、その内容についてさまざまなご議論をいただいているところでございますが、道徳の教育課程上の位置付けにつきましては専門部会でもさまざまなご意見があり、引き続きご検討を賜るということになってございます。
 70ページ以降は、「8.」といたしまして、「各教科・科目等の内容」について、その具体的な改善の方向性について整理してございます。一番上の「○」にございますように、今回の改訂におきましては、特に1にございますように、「幼稚園、小・中・高等学校を通じ、発達や学年の段階を踏まえた円滑な接続を図る」という観点、それから2として、「国語科だけではなく各教科等において、レポートの作成や推敲、論述、発表・討論といった当該教科等の知識・技能を活用する言語活動を充実する」、この2つの観点から、教科等の改善についてご議論をいただいたところでございます。
 70ページからは、幼稚園教育と小学校教育の円滑な接続など、幼稚園の教育内容の改善について、73ページからは、小・中・高等学校の各教科、科目の改訂について、例えば73ページからは、国語の能力の育成や古典の指導など、小・中・高等学校にわたる国語科の具体的な改善方策を記述してございます。
 飛んでいただいて恐縮でございますが、132ページからは、特別支援教育についての具体的な改善について記述いたしてございます。
 なお今回、138ページ以降で、特に「9.」といたしまして、知識・技能を活用する学習活動を各教科で行ったり、体験活動を充実させたりするなど、丁寧な教育を行うためには条件整備が必要であるという観点から、教師が子どもたちと向かい合う時間の確保など、教育条件の整備等について特に強調いただいてございます。
 「(1) 教職員定数の改善」、それから外部人材の活用など、138ページにございます、「(2) 教師が子どもたちと向き合う時間の確保のための諸方策」、140ページ以降では、教科書の充実など、「(3) 効果的・効率的な指導のための諸方策」、それから143ページには、(4)として、学校を支える「教育行政の在り方の改善」ということで議論をおまとめいただいているところでございます。
 最後でございますが、145ページ以降は、「10.」として、家庭や地域との連携・協力と企業や大学等に求めるものを整理いたしております。「早寝早起き朝ごはん」運動とか「放課後子どもプラン」など、具体的な形で家庭や地域との連携を推進するとともに、146ページには、企業や大学の果たすべき役割についても言及してございます。
 特に大学につきましては、146ページの一番下の「○」にございますように、「第一に、入学者選抜において、基礎的・基本的な知識・技能の習得とともに、思考力・判断力・表現力等についてもバランスよく問い、これらの力を高等学校教育と大学教育が連携してはぐくむことが重要である」。そのために、「記述式など思考力・判断力・表現力等を問う出題の充実を求めたい」。
 147ページには、「第二に」ということで、「18歳人口の減少による「大学全入時代」における大学入学者選抜の現状は、高校生の学習意欲などに大きな影響を及ぼしている。中央教育審議会全体で、高等学校の教育課程、大学入学者選抜、学士課程教育を見通し、学力の水準を確保するとともに、生徒・学生が目標をもって学習に取り組むことができるような改善・工夫について検討することが必要」ということで、これは、この次の議題にも関連する指摘でございます。
 以上、内容のご説明を申し上げました。
 教育課程部会では、審議のまとめにつきまして、明日から1カ月間、広く国民の皆様からご意見をいただくとともに、関係団体からのヒアリングを行うなど、各方面からのご意見を踏まえまして、さらに審議を深め、来年1月ごろを目途に答申をおまとめいただく方向でご審議、ご検討をいただくことになってございます。文部科学省としては、答申を踏まえ、本年度内に、小・中学校を中心に学習指導要領の改訂を行いたいというふうに考えております。引き続きご指導いただきますようお願い申し上げます。
 駆け足でございましたが、ご紹介は以上でございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 それでは、皆さんのほうでご意見、あるいはご質問、コメント等、ご発言をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
 増田委員。

【増田委員】
 今までは、教育の中で体育というと、どうしても端っこに追いやられてしまっていた感があったんですけれども、まとめていただきました教育課程部会での審議のまとめ(案)では、体力の大切さということを、気力や意欲の充実にかかわっているという面でうたっていただいて、本当にすばらしいなというふうに思います。
 それから意見なんですけれども、学力を向上させるためにコマ数や内容を変更していくこともいいのですけれども、やはり教育というのは人が人を教えるものなので、1学級当たりの児童生徒数や教員1人当たりの児童生徒数そのものを改善していかなければ、本当の問題解決にはならないと思います。それに加えて、昨今言われているように、親からの苦情への対応など、先生方が授業以外に割く時間も多くなっているということで、私は教員を、質と量をともに、言われていることなんですけれども、増やすべきだなということを強く感じます。
 まずは量を増やしていけば、自然に先生方にも余裕が出てくると思いますので、質も上がってくるというふうに思いますので、予算的なものもあると思うんですけれども、先生方がもっと現場で余裕を持っていただけるように、まずは教員の数を増やしていくことが大事ではないかなというふうに感じます。ありがとうございました。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。まさに、本当に私も同感いたします。
 ほかにいかがでしょうか。角田先生。

【角田委員】
 13ページの、学力・学習状況調査の結果について、質問やら意見を述べさせていただこうと思います。
 学力・学習状況調査の結果が公表されたのが遅かったということがあって、この「審議のまとめ」の中に反映することが難しかっただろうというふうに思います。ですから、この程度の表記でやむを得ないだろうというふうに思うわけですが、今回、悉皆調査を行った。この悉皆調査の意義ということを考えると、やはり今までのサンプリングから、違うということ。それは、各学校のデータがきちんと出てくる。そしてそれが、もっと言えば一人一人の子どもの国語、算数、あるいは生活状況があらわれてくるということですね。ですから、いわゆる知的な学力と、それから子どもたちの生活との様子がはっきり出てきますので、単純な集計だけでなしに、クロスを集計させるといろいろなことがわかってくるだろうというふうに思うんです。
 ぜひこのことについては、今回の答申まとめの中に謳うことはできないだろうと思いますけれども、できるだけわかりやすく、各学校、個人に返せるようにしていただきたい。そのことが、悉皆で調査をしたということの大きな意味であるし、そのことの評価がきちんとあらわされるもとになってくるのではないかというふうに思っております。
 教育課程の問題そのものとは違うかもしれませんけれども、この結果というのが、実は来年度の学校の教育課程を編成する、あるいは子どもの、出てきた結果に対してどういう指導をしていったらいいのか、どこにつまずきがあるのか、こういうことを判断する材料になるわけですので、このことについては、ぜひしっかりとした分析をお願いしたい。
 もちろん各学校では分析をするだろうというふうに思うんですけれども、学校の分析をする時間というのは非常に限られています。今11月の段階で来て、実は昨日も学校に行ってみたら、まだやっとCD-ROMの開き方がわかったかどうかというふうな段階なんですね。ですから、これから教育課程を編成する、あるいは個々の子どものところにデータを返して、それに対して家庭からの質問に受け答えをするということには、非常に学校としても苦労する。設置者に質問しなさいというふうなことが書かれているようですけれども、ぜひここのところを、しっかりとした分析、わかりやすい分析をお願いしたいということが1つです。
 さらにもう少し言えば、全国の学力・学習状況調査というのが今後どういうふうな形で行われるのか。毎年悉皆の形で行われるのか、あるいは数年置き、4年なり5年置きに悉皆を行い、その間にサンプリング調査を行うんだといったようなことが、学力調査の実施計画といいましょうか、そういうことを明らかにしていく必要があるんじゃないだろうかと思います。現実に学校に聞いてみますと、都道府県の調査があり、そして区市町村の調査があり、全国の調査があって、調査だけで明け暮れて、それが、分析をして子どものほうに返せないという悩みがあるようです。
 ぜひ今回の調査をもとにしながら、次年度以降の調査結果、調査の方法、時期等について十分ご検討いただいて、それが教育計画に反映できるように、まさに学習指導要領にも反映していくことだろうというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 以上です。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。まさにそうだと思います。形としては、全国学力・学習状況調査は、来年も、あるいは来年以降もこの形をしばらく続けてみて、データの蓄積あるいは推移の中で、また新たに課題も見えてくるだろうということであります。
 それから、今仰いましたように、都道府県、市町村、あるいは各学校にデータが行っておりますので、分析がこれから進んでいくと思いますが、同時に国のレベルでも、この前公表されたものだけで終わるというわけではなくて、多分、国立教育政策研究所あたりが中心になって、まだきめ細かなデータの解析までやられておりませんので、これから逐次分析をしたものが出てくるだろうと私は期待しておりますし、あれだけのお金と手間暇をかけたものですから、それでなきゃいけないなと思います。
 これが、今ご指摘のように、今回の学習指導要領そのものの文言にどこまで反映されるかは別としまして、運用していく上で、新しい学習指導要領で教育活動を全国的に展開していく上では非常に重要な基礎データになると思いますので、今ご指摘の点を関係の皆さんで踏まえていただいてというふうに考えております。
 ほかにいかがでしょうか。大南先生。

【大南委員】
 特別支援教育についてもご理解をいただきまして、かなりのことについて触れていただいております。ありがとうございます。
 その中で、2点申し上げたいと思いますが、まず第1点は、特別支援教育は、特別支援学校あるいは特別支援学級、通級指導教室という限られた場だけではなくて、136ページにも書かれておりますように、幼稚園、小学校、中学校、高等学校の通常の学級を含めたすべての学校で行われるわけでございます。したがいまして、先生方の子どもを見る目といいますか、障害がある子どもと障害のない子どもは違うんだという概念ではなくて、子どもというのは同じなんだけれども、障害があるために、指導上こういう配慮をしなければならない。そういうことを、これからいろいろな機会をとらえて研修を深めていく必要があるのではないか。
 137ページにも若干そのことに触れていただいておりますけれども、まだまだ障害がある子どもが通常の学級にいると、この子は困るんだとか大変だという話でスタートしていくわけですけれども、実は困っているのは、障害があるか、あるいはその疑いのある子ども自身だろうと思うんですね。ですから、そういう点での教員の意識改革と言うとちょっと大げさですけれども、これまでのように、障害のある子どもは特別な場で、特別な教員に任せればいいということではなくて、みんなでやっていこうという。
 そのことが、実は2つ目に申し上げたいのは、交流及び共同学習が135ページ及び136ページのところに書いてございますけれども、交流及び共同学習を進めていく上では、特に校長先生の理解がないとなかなか先へ行かない。担当教員はやりたくても、校長が、「いや、そんなことをやっている時間あるの?」と言われると、具体的にどういう成果があるからこれだけの時間を欲しいとは言いづらいという現状があるわけでございます。
 その点、校長先生方の研修を含めて、交流及び共同学習というのは、実は1979年、養護学校教育の義務制のスタートの時点から、交流教育については、文部省をはじめ各都道府県教委が力を入れてきたわけですけれども、まだもう一つ乗り切れていない部分があるのか。それが、学校経営の立場と、もう一つは、先ほどの教員の障害のある子どもと障害のない子どもの見方が、どうもこれまでは十分ではなかったのではないかというふうに思います。そのための研修を、さらに強化をお願いしたいというふうに思います。
 以上です。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 北條先生。

【北條委員】
 幼稚園教育要領につきましては、このたびは枠組みの改訂はしないということで、70ページのところに少しと、それから特別支援教育のところに少々、手際よくまとめていただいて、ありがとうございます。
 70ページのところの幼稚園と小学校の連携の問題でございますが、書きぶりはこういうことで結構だと思いますが、特に71ページの上から2番目の「○」のところに関係いたしますが、17年1月28日答申の第2章において、小学校との接続・連携の強化について、こういうくだりが文章化されております。要するに幼稚園と小学校の連携を図っていく、実施していく。「その際、例えば幼稚園においては園児の8割近くが私立幼稚園に在園していることなどを踏まえ、市町村教育委員会が積極的役割を果たすなどして、公立・私立の連携を図りつつ実施することが必要である」。このようなくだりがございます。
 これは当時の鳥居中教審会長のご発言を踏まえた記述というふうに記憶しているわけでございますが、文章の中にこういうニュアンスを書き込むということは無理だと存じますが、しかし、ここ30年間、幼稚園と小学校の連携をいろいろやってまいりましたが、最も困難なところは、今、中教審答申で触れられたところでございます。ここを市町村教育委員会が何らかの形で整理整頓していただくということが、今後どうしても必要になりますので、そこをちょっと示唆するような、文章化は無理なのかもしれませんが、施策等が今後必要であろうというふうに思うところでございます。ありがとうございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。渡久山先生。

【渡久山委員】
 今回の教育課程の答申、中間まとめの特徴というのは、1つは、「生きる力」といいましょうか、学力について、大きな一つのまとまった考え方が出てきたんじゃないかなと思うんですね。そのまとまり方は、例えばPISA的な学力と言われるでしょうか。今度の全国学力テストでも、B問題等を含めて、そういう意味で日本の子どもたちの学力について、一定の判断、あるいは望ましい学力の在り方について、きちっとした考え方がまとまったんじゃないかという意味では、新しい学力元年みたいな感じがするんですね。
 今後は、銭谷次官も言われたんですが、学習指導要領をつくる際に、ぜひともそういう考え方を生かしていただきたい。もちろんそれを踏まえた教科書づくりまで、ぜひとも今度、文部科学当局で頑張ってやっていただきたいなというのが1つです。
 もう一つの特徴は、何といっても、このような教育課程や学習指導要領ができても、これを実現していくためには条件整備が必要だというようなことで、今度のこれにも、19ページあるいは20ページにかけて、あるいは138ページにかけて言われていますね。先ほども増田委員から言われたんですけれども、これが、ぜひともそういう形で生かしていただきたい。
 特に、先ほど木村先生がイギリスの関係を言われたですね。イギリスではご案内のとおり、1999年はGDP比4.7パーセントだったのが、2007年には5.6パーセントというような、国家予算として教育予算を非常に増やしているわけですね。そういう形で、教育5カ年戦略というようなものを立ててやっているわけですね。そういう意味では、次の振興計画の中でもぜひ生かしてもらいたいと思いますが、そういう形で条件整備の問題が提起されたということは非常にいいことだと思います。
 次には、現場主義というのがきちっと位置づけられたということですね。ですから、ある程度、今までよりももっと、カリキュラム自身は非常にタイトになっている部分もあるんですよね。だからこそ逆に、現場主義といいましょうか、現場の裁量というものを、十分に生きるような形で、今度の報告が生きてくればいいんじゃないかというような気がいたしております。以上です。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 佐々木先生。

【佐々木委員】
 まず、「学習指導要領改訂の基本的な考え方」の中で、1つは、名あて人は教師だということで、教師向けに配られるものをこれからつくっていくわけですが、しっかりと教師が読んで、やる気を出すと言ったら変ですが、現場の人たちが、そうか、こういうふうにやっていこうとか、こういうことなんだなということが理解できる書き方とか、つくり方というのがあると思うんです。ですから、内容の文面だけでなく、指導要領がどんな体裁でできるのかまで気を配ることが、忙しい教員にとって、新しい指導要領の意味があるのではないかということがマル1。
 それから、以前も申し上げましたが、改正教育基本法で、家庭や地域の役割というものが明記されております。名あて人が教師だという指導要領を家庭に配るというのはちょっと違うということも耳にしたんですが、それであれば、まとめでも、サマリーでもいいんですが、子どもたちの親だけでなく、私の希望としては、子どものいない人も含めて、地域全員が手にとる、あるいはインターネットを通じて見られるということをきちっと徹底して、町ぐるみで子どもを育てることができたらいいと思っているんです。
 すごく些細なことから申し上げれば、例えば小学校2年生で掛け算を習うということは、子どもがその年齢でないとわからなくなっていて、例えば50円のガムを3個どこかから買って、「幾ら?」とレジの前で聞いて、「150円」と答えた子どもに、褒めてあげたくても、周りの人たちは、一体この親子は何の会話をしているんだ。それがすごいのか、すごくないのかと思うと、だれも褒めてくれません。しかしみんなが、それが2年生で、掛け算ができるんだねということが認識できれば、子どもたちも楽しく教育を受けていくと思うんですね。
 ですから、指導要領というのが、学校の中の先生と子どもだけでなく、親や地域が基本的な、もしかすると進度表に毛の生えたようなものかもしれないんですけれども、そういうものがきちっと配られ、手に届くといいなということ。
 それから、それに伴って、教科書づくりがこれから動くんだと思うんですが、これは大変素人考えで申し訳ないですけれども、毎回それごとに教科書が、新しいものが印刷され、つくられていくということに、環境的にも、プロセスのスローな部分も含めて、本当にそのままのやり方でいいのかということを感じまして、例えば必要な部分は追加で薄い冊子がつくとか、あるいはいろいろな部分が分解されていて、今回は1、3、5でいこうとか、次の年は1、3、8になりましたというようになっていけば、書きかえる部分、あるいはつくり直す部分というのもスピードアップできるんじゃないかなと思いますと、これからの時代の変化に感じて、教科書づくりというのもちょっと考えたらどうかということです。
 それから、あと2つ。社会のところで、新聞を読んだり、ニュースを学ぶというところがしっかりと組み込まれていくといいと思うことと、これは道徳教育ともつながると思うんですが、基本的な法律を学ぶ、それが実生活とどうかかわっているのかということを学ぶところが入ってくるといいなということ。
 そして最後、増田さんもおっしゃいましたけれども、基本は教員定数の改善だと思うので、ここをしっかりと、少し大胆に、人数が増えていくことを期待しています。以上です。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。学習指導要領が新しくなりますと、少なくとも1つは、新しいどういうものになるかというと、インターネットでということがあります。それからもう一つが、従来と同じように解説書をつくって、広く先生方、あるいは関心のある人に、その解説書でわかっていただくということがあると思います。
 その辺につきまして、事務局のほうで今お考えのことがあればお願いしたいと思います。

【合田教育課程企画室長】
 学習指導要領を、保護者、それから地域の方々にご理解いただく、いわば学びのペースメーカーとして、学習指導要領について理解を深めていただくというのは、極めて重要なことだと思っております。本日のご議論も踏まえて、私ども具体的に検討させていただきたいと思っておりますけれども、次年度の予算におきましても、新しい学習指導要領ができ上がった際に、先生方あるいは各教育委員会の指導主事の先生方にご説明するだけではなくて、それこそ地域おこしのリーダーの方ですとか、NPOの方であるとかそういった方々に、教育課程部会の先生方のお力もかりて、新しい学習指導要領の考え方なり骨格というものをご理解いただくような予算も現在要求しているところでございます。
 いずれにしても、今日のご議論を踏まえまして、先生方、保護者、地域の方々にいかに端的にご理解いただくか、工夫を重ねさせていただきたいと思っております。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。今日のこれがまとまりましたので、少なくとも今の段階の新しい学習指導要領の方向につきましては、文科省のホームページに、新しい学習指導要領についてのページみたいなものができるんですね。

【合田教育課程企画室長】
 明日から、先ほどご議論、ご審議、ご決定いただきましたように、意見募集で、中教審として、この「審議のまとめ」について国民の方々からご意見をいただくという形になっておりますが、それに合わせる形で、私どもも文部科学省の中に、新しい学習指導要領、審議まとめを中心に、広く、できるだけわかりやすい形でご紹介するページを開かせていただきたいというふうに思っております。
 これにつきましては、ぜひ先生方のメッセージも載せさせていただきたいと思っております。ご協力を賜れればと思っております。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 それでは、植田先生。

【植田委員】
 お時間いただきます。申し訳ありません。
 最初の3人のご意見でございますが、大変ありがたいと現場の教員の立場としては思っております。私自身も、これまでご発言の機会をいただいたときに、学校現場の忙しさについてお話をさせていただいております。私は中学校でございますが、学校現場には、教員には7つの役割があるというふうに言われております。1つは学習指導者としての役割、2つ目が生徒指導者としての役割、3つ目が評価者としての役割、4つ目が学級経営者としての役割、5つ目が学習者、研究者としての役割、6つ目が公務の処理者としての役割、最後7つ目ですが、部活動の指導者としての役割ということで、勤務時間を超えて一生懸命頑張っている者は、私の周りにもいっぱいおります。
 そういうときに、いろいろなことに追われまして、先ほど保護者のこともありました。いろいろな形で学校にクレームがつくというのも現実でございます。本当に定数を改善していただきたいということについても、これまでにもお願い申し上げておりました。今現実のものになりつつありまして、新聞紙上を読みますと、本当に文部省の方々、骨を折っていただきまして、定数改善を実現していただくような案を出していただいております。行革推進法の壁を打ち破って実現できるかどうか。12月から財務省の方々との折衝があるというふうに伺っておりますが、現場の教員としては、ぜひここのところを負けぬようにお願いしたいと、どのぐらいのタイミングで申し上げていいのかわかりませんが、切に望んでおります。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。今のことについて、後で前川審議官から報告をいただきます。
 では、この問題、学習指導要領の新しいものにつきましては、いろいろとまだお考えがあると思いますが、国民の皆様から、これから1カ月ご意見をいただきます。これを取りまとめをしていただきまして、また教育課程部会、必要があれば初中分科会、あるいは教育課程部会の下の専門部会に、それぞれ国民の皆様のご意見を見ていただきまして、そこでまた議論を深めたいと考えております。
 それでは、本日の2つ目の議題でありますけれども、「学士課程教育の再構築に向けて」という審議経過報告が大学分科会の小委員会で出ております。これを中心といたしまして報告をいただいて、先ほど言いました高大連携の問題等、あるいは初等中等教育と大学教育、高等教育との一貫した教育の在り方等について、皆さんのご意見を伺いたいと思っております。
 それでは、鈴木企画官のほうから、ご説明をよろしくお願いいたします。

【鈴木企画官】
 高等教育局の企画官の鈴木でございます。お手元の資料3-1と3-2に沿いまして、概略をご紹介させていただければと存じます。初中分科会の先生方に対しましては、10月初旬に冊子のほうを既にお送りさせていただいているところでございますが、本日お時間をちょうだいしましたので、簡潔にご紹介させていただければと存じます。
 まず、資料3-1で概略が書いてございますけれども、今回のこちらの報告書につきましては、この小委員会のほうから制度・教育部会--部会長は本初中分科会に所属されている郷先生が兼務されておりますが--に対する審議経過の報告、そのような位置づけでございます。したがいまして、まだ最終的な答申というようなものではございません。特に、今日ご関心でありましょうところの高大接続にかかわる節は、まだ検討の途上という性質の強い部分ということでもございます。
 こちらの報告は、9月18日に公表がなされたということでございますが、全体の構成につきましては、中ほどにございますとおり、「はじめに」、「おわりに」のほかは3章構成ということでございますが、第1章は「経緯と現状に関する基本認識」ということで、主として平成3年度の、いわゆる大学設置基準の大綱化以降の動きというものを振り返る、総括するというような性格のところでございます。
 第2章は「改革の基本方向」ということで、-競争と協同、多様性と標準性の調和を-という副題が掲げられておりますが、こちらが、続く第3章の具体方策全体の要旨というべ今日な章でございます。
 その上で、第3章の具体方策、こちちは5節から構成されておりますが、教育の出口でありますところの「学位の授与、学修の評価」、中身でありますところの「教育内容・方法等」、入り口でありますところの「高等学校との接続」、そういった出口、中身、入り口に関しての各節それぞれの改善方策を述べた上で、それらの改善を支える環境整備としての「教職員の職能開発」及び評価等を含めた「質保証システム」、そういった事柄について、それぞれ各大学に求めること及び国として行うべきことを記述している、そのような構成になっているところでございます。
 具体的な内容に関しましては、資料3-2の69ページに骨子がございます。こちらの1枚で骨子をまとめておりますけれども、ご紹介をと思います。
 まず、全体を通しましての<基本的な考え方>というところが枠囲いでございますけれども、どういう時代状況の認識かという点については、端的に申し上げれば、「知識基盤社会」というものを迎えているということの認識でございます。この点に関しましては、初等中等教育分科会でのご審議の考え方と軌を一にするものではないかと存じますが、そういった時代認識に立って考えるということでございます。
 その上で、高等教育固有の事柄としましては、既に若年層、18歳人口の同年齢の50パーセント以上が進学をする、いわゆるユニバーサル段階を迎えているという事柄の中で、果たしてこれを一体どう受けとめるべきかというところが1つ大きなポイントとなるわけでございます。
 そういった意味では、量的な拡大というのを積極的に受けとめていこうということ。ともしますと進学率50パーセントという現状を過剰だという見方も一部であるわけでございますが、そういった立場をとらないということを、ここでは明確に言っているところでございます。ただ、そうなりますと当然、大学教育の質の問題というのが一方で出てくるということでございますが、そういった意味では、量か質かという二者択一をとらない。非常に難しい課題でありますが、社会からの信頼に応え、国際通用性を備えた学士課程教育を目指していこうということでございます。
 そういった意味で、量と質のいろいろな矛盾、課題というものを、何とか財政面を含めた多角的な支援というものを充実することによって乗り越えていこうというような性格、考え方に立っているものでございます。
 その場合、どういった人材をといったときには、もちろん知的なリーダー層の育成ということも大変重要な課題でございますが、国全体としての知的市民といったものの厚みを増していく、底上げをしていくといったところにも重点を置いてご審議いただいているところでございます。
 その上で、こちらの資料におきましては、骨子の中では主として国による取り組みのところを絞って、具体的な方策の事例をご紹介しているところでございますけれども、今回は、公表いたしました際、最も外部から注目、関心を寄せられた点といたしましては、出口のところの問題といたしまして、学士課程共通の学習成果を「学士力」という形で表現したということでございます。こちらの「学士力」、まさに日本の大学が授与する学士号が保証する能力とは一体どういうものであるのか、ここを明確にしようというご審議をいただいたところでございます。
 具体的には、本文の16ページにおきまして、「学士力」というものについての中身の紹介があるわけでございますが、当然、学部段階でさまざまな専攻分野があるわけでございますが、これは、それぞれの専攻分野を通じて培うものということでの参考指針という性格でございます。いろいろな議論を経まして、ここでは約13の能力要素というものが列挙される形になっているところでございます。
 具体的には、ご覧おきいただければと存じますが、さまざまな初中教育の改革における「生きる力」等の考え方にも、方向性や流れという意味では矛盾しないような内容、要素になっているのではないかと存じますが、こういったものをそれぞれの大学の参考に示しているということでございます。あくまでこちらの能力要素について、それぞれどのような深さ、水準を目指すべきか、これについてはそれぞれの大学の自主的なご判断によるものということでございます。
 非常に抽象的な参考指針でございますが、これを受けて、それぞれの大学が全学レベル、あるいは学部、学科等のそれぞれの段階で具体化を図っていただく、そのような主体的な取り組みを期待する、一種の呼び水としてのご提案を小委員会としてなされているということでございます。
 なお、こういった「学士力」というものを、国が学習指導要領的なイメージで示して、それをまた統一的に評価する、測定する、テストをするというような誤解を与えかねない報道も一部ございましたが、意図としては、まさに今申し上げた参考指針ということでございますから、そういった性格ではございませんし、大学卒業程度の認定試験のようなもの、それはこの本文でも触れられておりますが、それぞれの大学の取り組みの一つの選択肢、オプションとしてご提案をしているということでございます。したがいまして、国のレベルで標準的、統一的に試験をしようという発想に立つものではございません。
 ただ、初中教育の段階でも既に実施されておりますPISAのようなものが、高等教育段階においても今後やっていくべきではないかというような議論がOECDの中でもございますので、そういった意味で、高等教育、学部段階のアウトカムをどのように測定、評価していくのか。これについては、引き続き大学分科会としても注視しながら、議論をこれからもしていく、そのようなテーマになっているということでございます。
 いずれにしましても、出口のところが今回かなり着目されているところでございますが、報告書の全体としましては、骨子の次の70ページにチャートがございますけれども、全体の柱立てからお察しいただけますとおり、出口、中身、入り口それぞれについての事柄を述べているといったものの、いわば三位一体となった大学経営の改革を目指しているということでございます。
 そういった意味で、それぞれの大学が掲げる学習成果の達成目標を目指して、カリキュラムを体系化、構造化していく。あるいは多様な学生に対応した双方向型の教育方法を導入していく。さらには成績評価を厳格に、さらにきめ細かくやっていくということ等々が提言なされているわけでございます。
 これに対して、文科省行政に対しては、各大学の取り組みに対してさまざまな多角的支援を、財政面を含めやっていくべきである。ただしその意味で、質保証にかかわるさまざまなアカウンタビリティーを果たせないような場合には厳格に対処していこうというようなことが打ち出されているところでございます。
 今回、初中分科会と最もかかわりの深い点でございます、高大の接続に関しましては、本文でございますと第3章の第3節ということで、28ページから34ページにかけて記述がなされているところでございます。
 3節におきましては、「入学者選抜」にかかわる事柄と、もう一つは「初年次における教育上の配慮、高大連携」という、大きく2つのパーツになっているわけでございますが、「入学者選抜」に関しまして、まず現状課題に関する認識、分析というものがなされているところでございます。ご承知のとおり、ユニバーサル段階に加えて、今、「大学全入」という時代が到来している。志願者の9割超が入学するという状況の中で、それぞれの大学の中身も多様化している。入学者をめぐる状況というのは、一定の選抜性の高いところ、そうでないところ、二極化が生じてきているということが示されております。
 その上で、全般的に数の上で多数を占めている状況としましては、入り口段階の選抜機能が低下する。それによる質保証の機能が不十分になってくるという点、そういった状況を放置していては、「学士力」等を掲げての出口の学習成果といった達成も期し得ないであろうということで、大きな見直しが要るのではないかという問題意識でございます。
 その際、これまで過度の受験競争の問題等の中で、選抜方法の多様化というものを、入試に関しては改革を進めてきたところであるわけでございますが、それに関する現状課題の検証が必要であろうということでございます。特に選抜方法の多様化の中では、推薦・AO入試等が拡大・普及してきたところでございますが、これが、ともすると学生確保の安易な動きにもなっているのではないか、あるいは、本来AO入試等のもともとの発祥でありますアメリカに見られるような、外形的・客観的基準が乏しいのではないか等々の結果としまして、事実上の「学力不問」状態というものが生じているのではないか。そういった厳しいご批判についても記されているところでございます。
 ただ、その一方で、特定の大学をめぐっては、過度の競争というものが依然としてあるわけで、そういった大学についての選抜方法の多様化の余地というものは残されているということで、大学の二極化している中において、それぞれに応じた手だてが必要ではないかというようなことでございます。
 また、高等学校の必履修科目の未履修問題という事柄を踏まえたご審議もなされておりまして、大学の入学者選抜という観点からは、選抜資料としての調査書の信用というものが失墜してしまった、失われてしまったということを重く受けとめて、検討がなされているところでございます。
 そのようないろいろな現状課題認識を踏まえて、30ページから、枠囲いの中で、大学レベルでの取り組み、それから国による取り組み、支援、それぞれ記述がなされているわけでございますけれども、大学については、まずはやはり入学者受け入れの方針、いわゆるアドミッション・ポリシーというものを明確化していく。習得しておくべきさまざまな内容・水準を具体化する。また、それに即した形での推薦・AO入試、入試科目内容、選抜資料といった在り方をきちっと定めていくべきである。そういったことが強く提言されているところでございます。
 その際、高等学校段階の学習成果をきちっと評価していこうという観点からも、高等学校に対して、調査書の信頼性や精度を高める取り組みを期待するということが記されているところでございます。
 その上で、31ページの下のほうでは、国による取り組み、支援というところの記述がございますけれども、さまざまな状況、現状を踏まえますと、個々の大学、あるいは個々の高等学校の努力というものに、もちろん期待すべき点はあるわけですが、そういった努力だけに委ねるのではなく、やはりシステム全体としての見直しが必要ではないか。そういった意味で、高等学校の出口管理と大学の入学者選抜の在り方をあわせて検討することが必要ではないか。そのような問題認識に立ってのご提言がなされているところでございます。特に、31ページの末尾でございますが、「高等学校段階の基礎的な「学習成果」を評価し、客観性の高い選抜資料として広く活用する新たな仕組みの在り方について、高大接続の観点から検討を進める」というようなことが提言されているところでございます。
 ただ、冒頭申し上げましたとおり、この審議経過報告につきましてはまだ検討の途上ということでもございますので、ここで言われているような具体的な仕組みの在り方について、具体的な成案を大学分科会の中で得たという段階ではございませんで、それはむしろこれからの議論の課題ということでございます。
 そのほか、32ページ以降は「初年次における教育上の配慮、高大連携」ということで、最後の34ページの末尾で、「国による支援・取組」も書いてございますが、やはり多様な入学生を受け入れる初年次の教育について力を入れていく必要がある。そういったすぐれた実践を国としても支援していこうということ。さらには、高等学校までの学習歴に関する情報がきちんと大学に引き継がれていく。それがやはり初年次教育のきめ細かな対応にも必要であろう。そのような観点からご提言をいただいているところでございます。
 最後でございますが、審議経過報告後の動き、今後の対応に関してでございますけれども、こちらの審議経過報告を9月に公表いたしました後、約3週間にわたりまして意見募集を実施したところでございますが、まだ初中教育関係者の方々からの意見は特段寄せられなかったということでございますが、私立学校関係の団体からは、高大接続にかかわるご提言を含め、おおむね積極的なご評価をいただいているところでございます。
 そういったさまざまなご意見、反応を踏まえまして、大学分科会といたしましては、年度内の審議の取りまとめに向けて、もう一回議論を再開したところでございます。高大の接続の問題を含めまして、残るさまざまな重要課題があるわけでございますが、本文の46ページで、そういった今後の検討課題ということが例示されているところでございます。
 そのようなことで、今後さまざまな初等中等教育分科会でのご議論というものも踏まえながら、大学分科会としてのご審議を深めていただくというようなことで、現在取り進めているところでございます。
 簡単でございますが、以上でございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。高等教育局の鈴木企画官からご説明いただきました。
 ご存じだと思いますけれども、1991年に大学設置基準大綱化というのがありまして、つまりそれ以降は、はっきり言うと何でもありの、そういう大学の設置が可能になったんですね。ですから、いろいろなおもしろい学科もいっぱいできますし、それから先生のそろえ方も基本的にチェックがありませんから、大学院はありますし、教職課程を持っていればチェックがありますけれども、そういうことで、いろいろな大学ができたり、いろいろなことがあったわけですけれども、16年たちますと、こんなことでいいだろうかと。私は、個人的な印象ですけれども、何かの形でちょっと基準を、設置基準大綱化に逆行しますが、ある種のネットのかぶせ方をしなければ、大学というものの社会的信用が失われてしまうんじゃないかというところに来ているんじゃないかというのが、全体を貫くモチーフじゃないかなと見ております。
 そういう中で、しかし700も800も4年制大学がありますと、ご存じのように恒常的に定員割れしている大学がいっぱい出てきました。私も弱小の私立大学の学長を6年やりましたから、嫌というほどよくわかっておりますけれども、そういう中では、定員まで来なければ経営できませんからね。そうすれば、学力なんか言っておれんということにもなりますし、いろいろなことが起こっております。
 しかしそれでは、先ほど言いましたように、社会的な大学というものについての信用とかそういうことがどうなるだろうかということで、基本的には、上から全部網をかぶせて、これでやろうということではないけれども、ある種の基準を出して、各大学がいろいろと工夫をしてもらえないかなという第一歩で出てきたように思っております。
 そういうことが大学分科会のほうで出てまいりました。後で郷先生あたり、その辺のことをご説明いただければと思いますが、教育課程部会でも、関連した議論が7月に出ておりました。7月13日に、大学入試の改善の問題を高等学校の教育課程とどう関連づけて考えるか、あるいは高等学校卒業程度の学力の確保の問題、どう評価していったらいいか、これが出ておりました。
 ということで、皆さんにご意見をいただく前に、これについてもあわせてご報告を、教育課程部会の方にはもう一度ということになりますけれども、この辺の復習をしていただきまして、今の大学分科会での議論と、そして教育課程部会で既に出た議論と両方あわせて、皆さんからご意見をいただきたいというふうに思っております。
 それでは、淵上教育制度改革室長、少しお願いします。

【淵上教育制度改革室長】
 それでは、お手元の資料3-3をご覧いただきまして、7月13日の教育課程部会における議論の状況をご紹介させていただきたいと思います。
 教育課程部会で7月13日に、「教育課程の基準の見直しと併せて検討すべき事項」といたしまして、ここにございます2つの論点についてのご審議を行っていただきました。その1つは、高等学校の教育課程の改善を踏まえた大学入試の改善について、もう一つは、高等学校段階の学習成果の評価の在り方についてでございます。当日出ました主な意見について、以下のとおり、事務局の責任において取りまとめさせていただいたものが、ここにあるものでございます。
 1点目の、大学入試の改善といたしましては、入試の在り方として、最初の2つの「・」がございました。1つ目の「・」としては、「大学入試は、2、3日のペーパーテストでは限界がある。高等学校における学習状況や面接を重視するなど、丁寧でバランスの取れた大学入試をやる必要があるのではないか」。
 また、類似のご意見ですけれども、「大学側が高等学校での学習歴を見ていない。大学側が学習歴を丁寧に見ることは、調査書の信頼性や精度の向上にもつながる」というご意見がございました。
 一方で、大学側の負担の問題も、ご発言がございます。「大学は大学における教育の充実に一番力を入れるべきであり、大学入試の改善を考える際には、大学側の負担も考慮する必要がある」ということでございます。
 また4つ目は、それらの背景というご意見でございますけれども、「学士課程教育の充実が求められる中、社会が学士課程教育に何を求めているかがわかりにくく、依然として、社会が大学を大学入試のレベルで評価している部分が大きいことが、大学入試がなかなか変わらないことにつながっているのではないか」というご意見でございます。
 大きな2つ目の論点の、高等学校段階の学習成果の評価の在り方についてのご意見でございます。
 1つ目、2つ目は、高等学校や大学が多様化しているという状況でございます。1つ目は、「高等学校、大学の双方が多様化する中、高等学校段階における学習成果の評価の在り方、大学入試の改善の双方について、一律に論ずることは難しい」というご意見、また、「高等学校の教育内容は、大学入試の影響も受けるが、その一方で、学習指導要領の内容のレベルを維持することが難しい生徒もいる」という現状のご意見がございます。
 2ページでございますけれども、「高等学校段階で身につけるべき素養と、大学進学に必要な素養を全く同じであると考える必要はないのではないか」というご意見。
 ただ、高校の実態としては、「生徒の大学進学希望に応えることも重要であり、大学進学に必要なものが重視される実態にある」というご発言がございます。
 一方で、「「大学全入」時代を迎えて受験競争が緩和する中、高校生が一生懸命勉強するという風潮が薄れてきたのではないか」といったようなご意見もございます。
 また、今後の在り方の一つのご意見として、次のようなご意見もございます。「各教科・科目の基礎学力を見るためのグレードをつけた試験のようなものを創設してはどうか。基礎学力はそれで確認し、各大学の試験では、それに加えた学力をしっかり見るものにすれば、大学入試の改善にもつながる上、大学の負担も減る」のではないかというご意見。ただ、「その際には、生徒の学習負担や学校の教育活動への影響を考慮することが必要」ということでございます。
 また、最後のご意見として、「高等学校側が高等学校教育の質をどのように保証していくかという問題と、大学側が学士課程教育を充実していく上で入学者選抜をどのようにするかという問題は、ある程度関連付けて議論する必要はあるが、大学側の入試改善のビジョンが見えない中では」、それぞれ「独立に考える必要があるのではないか」といったようなご意見もいただいたところでございます。
 以上が、7月13日の教育課程部会で出されました主なご意見のご紹介でございます。このご意見もご参考にしていただきながら、ご審議を深めていただければと存じます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。本当に小・中・高の教育と大学の教育は結びつけて考なきゃいけないんですけれども、どうしても両方が区別、区分されて、別々のところで別々の議論があって、場合によっては別々の、あまり相互に関連がない形での仕組みの改革が行われてきたという経緯があるものですから、この辺を絡めて考えておく必要があるのではないか。これが教育課程部会で7月に出た議論でもありました。
 そういうことも踏まえていただきまして、この辺で皆さん、ご意見、ご質問、あるいはコメントがあれば、お願いしたいと思います。
 荒瀬先生。

【荒瀬委員】
 大学入試が高校教育に影響を与えているというのは、高等学校にいる者としては非常に大きな影響力というのを感じています。これは大きく2つありまして、1つには、入学試験が難しくて、難関と言われている大学の影響力というのがあります。未履修問題というのは、そちらの影響力によって起きたことだというふうに思っています。
 ところがもう一つは、大学が、大学に入学後の必要な基礎学力というのを全く見ないで、ともかく大学経営のために入学試験をやっているというようなことがあって、大学を存続させるための入学試験で、そこで教育をしていくとか、あるいは将来どういう人材を育成して社会に出していくのかということが明確でなくて、その結果、高等学校教育が、ちょっと言葉を強く言えば、ねじ曲げられているというふうな現状というのもあるのだと思っています。
 だから、その両方を1つにして、大学入試とか、あるいは高等学校と大学との接続というふうにまとめ切れないところがあるというのが実態だろうというふうに思っています。
 あるいはまた、大学入試について言うならば、実際問題、入学試験というのは、学力検査を一切受けないで入れる大学というのがこのごろ増えてきておりまして、大学入試に学力検査がないから、よって高等学校の学習がどうでもいいんだというふうなことにはならないんですけれども、実際のところ、生徒のそういった意識といいますか、低い意識に引きずられてしまって、高等学校教育が十分に行われていないという現状もあるというふうに思います。
 どんなふうにしていくのかというのは、これは、先ほどご説明でも、中途の話であって、今後詰めていかなければならないということでありますけれども、大学というのがこれだけたくさんできて、ユニバーサル化と言われていますが、それぞれの大学が一体どういう学生を育てて、社会に送り出すためにあるのかということがもっと明確にされなければ、入り口の話だけでは済まないだろうというふうに思いますのと、高等学校の立場からいたしますと、現行の大学入試というのが文・理に分かれた形で実施されているということが大変強くありまして、よって高等学校の多くは、2年生段階ぐらいから文系、理系に分けてやっていく。
 したがって、かつてのように幅広く基礎学力を身につけて、そして大学で専門的な学びをやっていくということにはならなくて、むしろ最初からシフトしていく。そのシフトしていくというのがさらに進んでいくと、非常に科目数の少ない入学試験が行われる、ないしは実質的な試験が行われないという入学試験もあったりして、そちらのほうに傾斜していく、その影響を受けていくというところがありますので、文・理に分けるという発想を、大学のほうではぜひ変えていただきたい。一部の大学では、文系、理系を問わないような入学試験をやっていこうというふうな動きもありまして、そういったことも含めて、ぜひ考えていただきたいなと。
 大学の負担ということを、常にこういう場合出てくるんですけれども、高等学校から申し上げますと、大学の負担というのは当然のことながら、大学を設置して学生を募集する以上は負担をしていただかなければならないと思うんですね。それをなさるのが困難だということであるならば、すべて入れていただいたらいい。その中で、ふさわしい学生というのを選んでいっていただいたらいい。ですから、負担が大きいから入学試験についてはあまり傾斜をかけられない、力を入れられないというのであれば、ぜひそういったことも考えていただいたらどうかなと思います。
 ある国立大学の総長の方とお話をいたしましたときに、大学入試の改革というのが現状、学部の壁にぶち当たってしまって、実際に総長としては改革をしようと思っているんだけれども、各学部から代表者に来てもらっても何ら進まないといったようなことがあります。ですから、これは入学試験の問題、単なる入り口の問題ということに閉じ込めてしまわないで、大学のありようはどうなのか、大学の社会に対する責任のありようはどうなのかといったようなことも含めて、話が大きくなっていきますと、ますますすぐには決まらなくなっていくところもありますが、そういったことも考えていただきながら進めていただいたらどうかなと。
 一方、高等学校としては、卒業するに当たって、各高等学校の目標にふさわしい生徒に育てて卒業させるというのは当然のことでありますので、そこのところを怠った段階で大学にいろいろ言っているというのはよくありませんから、したがいまして、その責任というのは、高等学校はきちっと持っていかなければいけませんが、ぜひ大学にも考えていただきたいというふうに思います。以上です。

【梶田分科会長】
 非常に大事なご指摘をいただいております。
 甲田先生。

【甲田委員】
 高等学校教育と大学教育を絡めて改革を考えていくということにつきましては、非常に重要なことであると思いますが、大変大きな日本の教育、これまでやってきた教育を根底から変えていくような大きな力が要るのではないかなと思います。これは高等学校側からすれば、97パーセントが進学してくるということで、義務化している。これはもう言い古された言葉でありますが、高等学校において、やはり問題は履修主義であって、習得主義ではないというところが一番のやむを得ない高等学校教育の在り方として、ずっと存在してきたわけです。
 そういった中で、それは義務教育にとってもそうですよね。もちろん自己完結型で次へ送り出したいんだが先送りというような、我々教師としては非常に忍びがたいような状況で先送りしてきたわけであります。したがって、そういった教育の形の中で、大学が高等学校教育に対して、俗な言葉で言うと高等学校卒業認定試験のようなものができないかと言われても、それは無理な話でございます。到底不可能というふうに、私のほうからは申し上げなければいけないなと思います。
 であれば、大学進学資格試験というようなものが高等学校の中で何度かありますよと、その程度だったら、まあいけるかなというふうに感じております。今のセンター試験の改善等で対応できれば一番いいんですけれども、それが無理だということであれば、譲ってといいましょうか、やれることといえば、大学進学資格試験を3年間の中で2回か3回、できるようにするということは可能ではなかろうかなと思っております。
 とにかく高等学校の卒業ということが何を意味するのかというのは、国民全体がもう知っているわけです。そういう中で、高等学校に卒業程度というものを求めても、なかなか無理があるんじゃないかなと思います。以上です。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 渡久山先生。次、衞藤先生。

【渡久山委員】
 先ほど提起がありました大学の関係で、28ページに高校との接続の問題がありますけれども、ここで、「過度の受験競争は、知識の詰め込みを助長する」、みずから学び、考えるなど、「生きる力」をはぐくむことを妨げていると書いてありますね。まさにこの分析は正しいと思うんですね。ということは、今の大学入試は、ややもすると詰め込みの受験学力を見ているというのが多いんじゃないでしょうか。
 まず、特に入試センター試験ですね。前に比べて非常に改善されていますけれども、いまだに入試センター試験にシフトした高等学校の受験教育というのができたり、あるいはカリキュラムもそうなっているんですね。特に学術会議でも数学部会なんかだったら、今の高等学校の数学はセンター試験の数学にシフトしてつくられているという極端な言い方があるわけですよ。だから、そこでは全く数学が求めている基礎的な考え方が生きてこないというようなことで、非常に問題があるわけですね。もちろん数学については、分数や小数のできない大学生までいるという話まであるわけですけれども、これは別としても、そうなんですね。
 そういうことで考えると、本当の接続ということであれば、高等学校で一定程度の学習をし、勉強した者が大学にそのまま入っていけるというようなものでないといけないだろうと思いますね。
 『内外教育』の最新号なんですが、東大の名誉教授の天野郁夫先生が書いているんですけれども、日本の大学入試は極めて多様化し過ぎているというんですね。国際的にも非常に多い。これはもっと単純化すべきだというような話が出ているわけですね。識者からもある程度そういうふうに指摘されているわけですね。
 ですから、先ほどのいろいろ問題もありますけれども、私としては、やっぱり資格試験のような形にしていって、それに受かれば、だれでも大学を自分から選択できる。今は大学が選抜することになっていますね。あるいは高等学校が選抜するという形になっていますね。そうではなくて、自分が大学を選択する。全入時代になっていますから、キャパシティーはあるわけですから、子どもたちが、本当に高校卒業程度の試験でもいいし、あるいはまた大学入試試験でもでもいいんですが、受かったらどの大学でも選択できるというような形に持っていく必要が非常に大きくあるんじゃないかなという気がいたします。
 そのためには、大学側が大学入試を改善するというのは難しいと思うんですね。大学の先生方は、難問奇問じゃないけれども、自分が出した試験がわりとうまくいったら、それを誇りにしている先生がいるんですね、ざまを見ろと言っているような感じで。それは別として、そういうこともありますから、抜本的に、大学、高等学校、あるいは教育行政等、きちっとした大学入試や高等学校入試の在り方の委員会みたいなものをつくって、やはり国としてきちっと検討していったほうがいいんじゃないかなという気がしますね。
 例えば田村先生のところで、子どもがハーバードに受かっているんですね。あれはおそらく、センター試験のようなもので傾向と対策だけやっていたら、受からないんじゃないですかね、ハーバードに。エールやハーバードを受けるためには、そういう学力ではないような気がいたしますね。
 そういうことを感じていますので、ぜひとも新しい解決のための委員会などをつくって、国としてやっていくというシステムが必要じゃないかと思います。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 では、衞藤先生、草野先生。

【衞藤委員】
 中学校と高等学校の間に壁のない、中等教育学校という学校の学校長をしている立場で申し上げます。
 私どもの附属中等教育学校というのは、中等教育学校に移行して8年目を迎えておりますが、大学の進学に関してどういうことが起こっているかというと、AO入試とか推薦入試を利用して、そういう方法、方式で大学に入学していく子どもたちが増えてきた。これは当初意図していたことではないんですが、結果としてそういうことになっているということです。
 その内容を分析してみますと、私どもの学校では、いわゆる総合学習に相当するものを3通りに分けまして、2年ずつやっておりまして、総合学習、それから課題別学習という、グループで個別の課題を検討する学習、そして最後の2年間は卒業研究という、個人でする学習ということなんですけれども、そこで得た成果を、推薦入試あるいはAO入試の際、面接等のときにはかなりそれを売りにして、結果的にはよい結果が出ているというようなことがございます。
 これは、大学入試の改革をしたわけではありませんけれども、この「学士課程教育の再構築に向けて」という報告書の29ページには、AO入試等について、若干わかりにくいとかそういった批判的な観点で書いてございますけれども、中高一貫教育との関連では、そういったような成果が出てきているという側面もあるということを、お話ししたいと思いました。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 草野先生。

【草野委員】
 私は、先ほどの荒瀬先生のご意見にすごく共感できるものでございますけれども、大学入試というのはすごく影響があるなと思っています。やはり大学入試があるから、それに合わせて高等学校の教育、カリキュラムがシフトするのは当たり前であるし、また高等学校がそうであると、高校入試の関係で中学校に当然影響するわけでございます。中学校を見ていても、かなりの生徒が今、塾に行っております。その塾も、補習塾のような塾もありますけれども、大手の進学塾もありますし、大体日本のように大手の進学塾があれだけ繁盛するというのは、私は異常な世界ではないかと思うんですね。
 中学校にしてみれば、公立学校のほとんどは妥当な問題をつくっておりますけれども、どうしても塾に行かなきゃできないような、つまり学習指導をひっくり返して、教科書を使って、どんなに詳しく教えても解けないだろうという問題を、明らかにそれをねらってつくる問題、高校があるわけですね。そうなると塾がはやるという繰り返しだと思うんですね。
 私は、高等学校が多様化して当たり前だと思うし、それはすごくいいことだと思います。だから、いろいろなレベルの生徒がいて当たり前だけれども、大学入試を改めない限り、幾ら学習指導要領で決めても変わっていかない。私学のこともある。私学は、学習指導要領が定められたって、当然そうはやらないわけですから。附属は別として、大学が上にない私学の高等学校というのは、当然のことながら難関と言われる大学を、合格者がたくさん出るようにやっていくのは当たり前だし、ですから一番大きな大もとというのは、やはり大学入試そのものにあると思っています。大学入試を変えることによって高校のカリキュラムが変わるし、高校の指導も変わるし、中学の指導も変わっていくと私は思いますので、ぜひ将来的には大学入試の在り方というのを考えていかなきゃいけないんじゃないかなと思っています。以上でございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 では、佐々木先生。その次、市川先生。

【佐々木委員】
 まず、高校についてですけれども、先日たまたま私の出身校の文化祭に行ってまいりました。神奈川県立外語短期大学付属高等学校という、当時入学したときは、普通科でも職業科でもなく、日本で唯一の外国語科に属していて、英語の学習と、フランス語とスペイン語を公立高校なのに行い、上履きもなく、学校の校則もなく、チャイムも鳴らずという大変自由な学校でした。
 なぜ行ったかというと、今度、国際高校という名前で他の学校と合併するということで、最後の文化祭ということで卒業生も呼ばれて、行ったわけですが、ここでみんなが大変感動したのは、非常に伸び伸びした教育を受けさせていただいて、どんな子どももすべてを先生が受け入れ、育てたということで、本当に高校時代、だれ一人不満を持つ人がいないという夢のような高校だった。そして随分そこから、さまざまな世界で活躍している人たちが出ているという学校です。レベルはどうかというと、私たちが入ったときよりもさらにどんどん上がって、今、大変偏差値も高く、難しい学校になっているようでした。
 つまり高校は、先生の力量と言ったら大変失礼ですが、小さな子どもたち以上に個性的になってくる子どもたちを受け入れ、育てていくわけですから、先生の力や指導力や寛容さというものが大変重要になって、個性的な子どもたちを、そして大人になる直前の最後の3年というふうに考えると、本当に重要な役割で、ここをあまりがんじがらめにしないということはとても重要じゃないかと再認識したわけです。
 ですから、高校での評価と大学への入試に関して言えば、学力だけでなく、以前申し上げましたが、音楽や美術、体育といったようなところ、あるいはボランティアをしているのかとか、いろいろ考えているのかとか、社会的なところみたいなものの2つ、3つの柱で、きちっと子どもを評価するというようなことを、高校でも大学でも、していくのがいいなと思っています。
 それから、大学の入試なんですが、私はまた変わっていて、上智大学の外国語学部の比較文化学科というところを受けまして、これは上智大学の入学と全然違って、GREとかSATを受けて、アメリカの大学に行くような形で、エッセイを書いて、面接を受けて入りました。大学がすべて英語で授業を行うという学科だったので、そういうことでしたが、そのときにいいなと思ったのは、年に何回も試験があることだったんですね。
 今、大学の入試というのが、2月の寒い、雪が降るわ、インフルエンザははやるわ、いつもどうしてあの時期に、1年に1日の、もしかすると人にとっては、一生に非常に重要だと思う試験が、そもそも寒い日にやっているのかがよくわからなくて、どうせ1日やるなら夏にやればいいのにというのが、一つの提案なんですけれども、1日しかやらないとか、1回しかチャンスがないみたいにしていること自体が、大学入試というものを異様に盛り上げているというか、もう少し、アメリカ式がいいかどうかわかりませんが、年に何回も、別に高校2年で受けても、3年で受けてもよくて、それが受けられれば、あとは大学1つ1つの個性で採ってくれるというようなことになっていけば、大学入試に関する熱とか、先ほどの学習塾の過熱みたいなものも冷めていくだろうし、子どもにもたくさんのチャンスがあると思います。
 そうするとどういうことが起こるかというと、多分、大学に行ってから、私の上智大学もそうでしたが、ものすごい分量の本を読み、大学に入ってから人生で一番勉強したという時期を迎え、それこそこの資料にもありましたが、C平均が3学期続くと退学ですから、ものすごく一生懸命取り組むわけですね。この余裕はなぜかというと、入試でエネルギーを使い果たしていないということにもあると思うのです。
 ですから、やはり根本的に大学の入試が一回勝負でない、あるいはそんなに寒いときではないということから始まって、大学に行ってからも学習意欲が続くような教育の在り方を考えていく必要があるんじゃないかと思っています。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 市川先生。

【市川委員】
 審議経過報告の資料3-2ですけれども、70ページに、学士課程教育の改革というのがあって、私もここを見て改めて感銘を受けたのは、21世紀型の市民を育てるということを大学のほうでも考えている。今日教育課程部会のほうで「審議のまとめ」が通ったばかりなので、改めて思うんですが、小・中・高を通じて、「生きる力」とか人間力を育てる。それから習得だけではなくて、探究の力を育てるとかこういうことをねらっている。
 ところが、これは多分昔からそうだったと思うんですが、どうも、その延長としてうまくいかない。1つには、大学に入るところ。これが、幾ら小・中・高のほうで、いろいろな新しい学力観とかそういうことを言ってきても、どうも入試になると、そういうことをやっているよりは問題集でもやっていたほうが得であるというような形に、どうしても制度上なってしまっているというところがある。ここで、ひずみのようなものがどうしても出てきてしまうという問題が1つですね。
 これは、今幾つかのご発言がありましたように、私も大学入試というのが、かなり難しい問題を二、三日の一発試験、一発勝負でやるという形よりは、もう少し高校にいる間に、幾つかの必要なテストなどで取ってくる。さらにそれだけではなくて、ボランティア活動というようなお話も出ましたけれども、今、部活や生徒会活動はある程度評価されるのかもしれませんが、そのほかの面についても、社会でこんな活動をしてきたとかいうことも含めて、評価されるようなシステムができていくことが望ましいのではないかと思っています。
 ただ、これはあくまでも入り口の問題で、もう一つ、社会に出るまでに、どうも小・中・高の構想がひずんでしまうというのは、私も自分で大学にいながら変ですけれども、大学教育の中身そのものも、市民を育てるというような発想でなされているだろうか。どうしても大学というのは、その学問を中心にやっているところがあって、ここで言う市民生活・職業生活・学究生活、これが、実は人間力戦略研究会で出た報告書の、市民生活、職業生活、文化生活というのと非常によく似ています。これは、私たち人間力戦略研究会で、人間力というのを、一体どういう力なのか、どういう場で発揮される力なのかと考えると、社会の中でやっていることは、市民生活、職業生活、あと、学究に限らず、もうちょっと広い趣味的なものも含めた、文化生活なんですね。
 これを営めるような市民を育てたいという思いは同じなんですけれども、今、大学の中で、市民生活や職業生活にもかかわるような教育というと、自分も大学にいながらそう思うんですが、あまりなされていないように思います。学生たちは、市民として、例えばボランティア活動に参加しようというような意識がどれぐらいあるかとか、選挙になったら投票に行くかとか、自分たちが社会をつくっていくというような意識とか、あるいは社会に出たら、仕事を通じてこんなふうに社会にも貢献したいというような意識、これがどんどん低くなっているので、ニートとかフリーターの問題というのがますます大きくなってしまった。
 そういうことが、産業界からももちろんいろいろ問題として挙がってきますし、市民生活という面から考えても、どうも大学教育の中でそこまでうまく視野に入れていないんじゃないか。小・中・高でそういうことを目指したのであれば、それの延長として、大学の中でも、例えば大学自体は社会貢献を今、随分求められています。地域の中で、大学がどのような働きをするか。そこに大学生も加わっていく仕組みとか、要するにボランティアをやってきて地域貢献したような学生は、入り口でも評価すると同時に、入ってきてからもやっぱりやってもらうような仕組みとか、自分が市民としてとか、あるいは世の中でいろいろな仕事を見ながら、自分も仕事を選んでいく、キャリアを積んでいくということとか、こういうことが従来の大学だとどうしても視野に入りにくいのかなと、私も大学にいて本当にそう思います。
 そういうことが、大学でも大事にしているということがあって、小・中・高・大と通じて社会に出ていくという形になっていくのではないかなと思います。自戒を込めてということになるんですが、そういうことも視野に入れて、大学での入り口の入学試験ということと、入ってからのカリキュラムや制度ということを考えていかないといけないと思っています。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 今日はもう時間がありませんので、このぐらいにしたいと思いますが、郷先生、もし何か一言。

【郷委員】
 いろいろなご意見を伺って、考えるところが多くございました。今、大学も非常に変わっているという事実がございますし、それから入試も、本当に多様な入試をやっておりまして、例えば国立大学協会の入試のやり方も、今はAO入試と推薦入試を定員の5割まではやってよろしいというふうに変わってきております。
 国立大学のことだけ申し上げると、大学750のうちの86しかないので、一部分のことになりますけれども、法人化の後、大学の個性化というのは、どこの大学も一生懸命やっていると思いますし、その中で、これは一般に言えることなんですが、こういう審議会の委員にいらっしゃる先生方は、どうしてもご自分の昔の大学のことを覚えていらっしゃるものですから、今の大学を、いいことも悪いことも含めて、実態を把握していただくところから議論を進める必要があるのではないかというのが、1つ私が申し上げたいことでございます。
 確かに大きい大学は、なかなか入試のやり方も変えにくいですけれども、梶田先生も私も小さい大学におりまして、予算なんかは厳しいですけれども、こういう時期に、本当にAO入試をやろうと、今年はご無理を申し上げて、初めてAO入試をやりましたが、時間をかけて、例えば実験を見せて、それに対してグループ討論をしてもらう、そしてレポートを書いてもらうとか、それを2日ほどかけてやりまして、その感想を受験生からお聞きしますと、とても楽しかったと。
 何がよかったかというと、高等学校ではやらないような実験を見せて、先生がそれに対して少しヒントを与えたり、考え方を与えたりして、そして、会ったことがない友達と受験という場を通して友達になれたというんですね。また受けたいという、もしうまくいかなくても、こういう場は大事にしたいという声を私は聞きまして、大学も随分変わっているということ、一生懸命高大接続のことを考えていると申し上げたい。
 国大協のほうでも、入試委員会で今議論しておりますが、まとめという形ではまだ外に出るような状況ではありません。ありがとうございました。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。大学の在り方が、そして大学入試の在り方が、高校以下の全部の初等中等教育に大きく影響しますので、この問題をまた考えていきたいと思います。
 ただ、本当に皆さん、どこかでまた頭に置いてほしいんですけれども、AOといったって、日本にはアドミッション・オフィサーはいないんです。専門家が、アメリカで、例えばハーバードでもスタンフォードでも、5人も10人もいて、それが多面的な材料を持ち寄って、一人一人の、入学許可かどうか判断するんです。そういうものは日本にありませんので、ですから非常に簡便な方法で今までやってきた。
 それから入試センター試験も、皆さん、我々は、今度の新しい学習指導要領で、習得、活用、探究ということを言いましたけれども、やっぱり習得のところしか見ていないんですね。A問題的なんですよ。ご覧になってください。工夫はしていますけれども、B問題へなかなか行かない。B問題を本当にやろうと思ったら、記述式でやらなきゃいけないです。アメリカのETS、SATは、35年ぐらい前から記述式を入れております。B問題的なものも入れております。日本では、これは手間暇がかかる、金がかかるからやれないというのが、入試センターができたときからのあれなんです。
 そういうことでやってきて、まして探究というのは、ギルフォードなんかがいろいろとテストの試案をつくっていますけれども、拡散思考ですから、これはやりようがないわけはないけれども、すごく手間暇、金がかかるわけですよ。でも、こういうものがない。
 そうすると、習得型の学力だけで入試センター試験をやって、あるいはそれと類似のもので、いろいろと高等学校の卒業程度の、何とかはかるとかいえば、これだけでも小・中・高の教育をゆがめてしまうのは目に見えておりますので、こういう議論は我々、せっかく皆さんのご議論によって、少なくとも学力というのを膨らみのある形でとらえよう。違う習得、活用、探究、これだけでいいかどうかは別として、少なくともその3つの概念に含めて言おうということで、我々合意したわけですから、どうかこれを土台にして、大学入試の在り方、あるいは、もし高校の卒業程度を何かの形でチェックするというんだったら、そういうことについて、また議論したいなと思っております。
 それでは、時間がなくなりましたけれども、皆さんちょっとだけ延長を我慢していただきまして、非常に大事なお金の話ですので、前川審議官から、予算の問題をよろしくお願いします。

【前川審議官】
 お時間をいただきまして、義務教育の教職員の定数と給与の改善に関する概算要求後の状況につきまして、改めてご説明させていただきます。
 前回の初中分科会でご説明申し上げましたときに、今回の概算要求の中身をご説明した上で、財務省との関係につきましては、折衝の状況といたしまして、一歩も前進していないが一歩も後退していないと申し上げたわけでございますけれども、本日は、一歩も後退していないけれども一歩も前進していないというご報告を申し上げたいと思います。
 概算要求に関する予算折衝の膠着状態というのはずっと続いているわけでございますけれども、これは実は、教職員の定数・給与の改善要求に関する部分で膠着しているだけではございませんで、文部科学省の概算要求の戦線全般にわたって膠着しているわけでございます。すべては義務教育費のせいであるということになっておりまして、義務教育費の増額を求めるのであれば、ほかのすべての予算、スポーツ、文化、科学技術も含めて、すべてゼロ査定だというふうに財務省から言われておりまして、なかなか役所同士の間では打開できないような状態にあるというのは、率直に認めざるを得ない状況でございます。
 ただ、教職員の定数・給与の改善について、これを求める声というものはいろいろと私どもにも届いておりまして、各都道府県からの要望書の中にも、教職員定数あるいは給与の改善といったことを求める内容が含まれております。これは、学力テストの結果を受けた、沖縄県、大阪府などからの要望の中にもございますし、その他の都道府県からも続々と声が届いております。また、PTAをはじめまして教育関係の20団体がご相談になりまして、近々20団体の連名で、各方面に定数・給与を含む改善についての要請活動をされるというふうに伺っております。
 それから、与党の中でも、こういった予算を支援していこうという動きがございまして、自由民主党の政務調査会の中の文部科学部会、文教制度調査会では、10月5日に文教・科学技術予算の充実に関する決議ということをされまして、「教育の成否を決する優れた教員を確保すべく、人材確保法を堅持し、メリハリがある給与体系を実現するとともに、教職員が児童生徒に向き合う時間を確保するため、行革推進法第五十五条第三項の見直しを含めた教職員定数の改善措置を講じること」といった内容の、そのほかにも文教予算全般にわたる中身があるわけでございますけれども、こういった決議をしてくださっているということがございます。
 これはまた自由民主党の中の動きでございますけれども、中堅、若手の先生方が中心になりまして、「頑張る学校 応援団」というものを結成されまして、塩谷立先生、遠藤利明先生、松野博一先生、橋本聖子先生といった先生方が呼びかけ人になりまして、先ごろ第1回の会合を開かれまして、子どもと向き合う時間の拡充に向けてということで、この先生方のフリーな立場で同志を募って、各方面に働きかけていきたいという動きがあるわけでございます。
 また、もう一つの与党でございます、公明党の中でも、文部科学部会を中心にいたしまして、現場からの声を聞いて勉強会をしようという動きもございまして、定数・給与の改善を応援するという動きが出てきております。
 民主党などの野党がどうなっているかは、詳らかではございませんけれども、民主党の中では、ある情報によりますと、人材確保法の改正ということが検討されているというふうに聞いております。人材確保法に、教職員定数の確保というような趣旨を含めた改正というものを検討したらどうかという動きがあるように聞いているわけでございます。
 こういった形で、役所同士の間ではなかなか話が進んでいかないわけでございますけれども、周りから応援する声というものは出てきている状況があるということでございます。
 次に、前回のご説明の後、当分科会の委員を含めまして各方面から、幾つかご質問をいただいたわけでございます。この場をお借りしまして、改めてご説明しておきたいと思います。
 1つ大きなご質問というのは、先ほど植田委員からもお話がございましたけれども、行政改革推進法との関係はどうなるのかというご質問でございます。ご承知のとおり、先ほども自民党の文章の中に出てきておりましたけれども、行政改革推進法第55条第3項という条文がございまして、端的に申し上げると、児童生徒数の減少に見合う教職員定数の減少を上回る純減を図りなさいというふうに書いてございまして、児童生徒数の減少に見合う数以上に教職員を減らせということでございますから、文字どおり、このままやりますと、定数改善を逆回しにして、元に戻していくという話になるわけでございますけれども、こういう内容の条文を含む法律でございます。
 これは小泉内閣の当時、昨年6月でございますけれども、歳出削減のために総人件費の削減を図っていくという大きな方針のもとで、特に教職員の削減について、具体的な方針を書き込まれたというものでございます。私どもとしては、その後大きく状況は変化しているというふうに理解、認識しているわけでございまして、その認識についてまとめましたのが、資料4-1でございます。
 まず、何よりも大きな変化というのは、内閣が2度変わったわけでございますけれども、小泉内閣から安倍内閣に変わった。そこで教育再生が優先的な政策課題として掲げられたということが1つございます。そのもとで新たな立法措置が講じられた。まず教育基本法の改正が行われた。さらに、その改正教育基本法を踏まえて、さきの通常国会では、教育三法が改正されました。中でも、学校に置く新たな職として、主幹教諭その他の職が設けられたわけでございますけれども、その際の衆参両院の委員会における附帯決議の中で、資料4-1にございますように、新たな職の設置について、その処遇、あるいは定数の改善、定数の確保といったことを図りなさいという趣旨の附帯決議を、国会の意思として示されているということでございます。
 それから2番目にございますのは、これは行政改革推進法と同時に成立して、行政改革推進法の後に施行された、昨年の学校教育法の改正でございますが、特別支援教育の充実ということでございます。特別支援教育に関する事情というものも、行政改革推進法立法当時には盛り込まれていないものでございます。その際の、特別支援教育について制度化いたしました、学校教育法改正の際の衆議院、参議院のそれぞれの委員会の附帯決議でも、特別支援教育の充実に向けて、必要な教職員定数の確保といったことが必要だという国会の意思が示されているわけでございます。
 また昨年の、いわゆる骨太の方針、基本方針2006というものをまとめた際に、教職員の給与について見直すということがうたわれたわけでございますけれども、その前提として、教員勤務実態調査を行うこととされていたわけでございます。これを踏まえて、昨年7月から12月にかけまして教員勤務実態調査を実施いたしました。その結果、この4-3に含まれているような結果が出てきたわけでございますけれども、特に残業時間について、教員1人当たり、1月当たり34時間の残業をしているという実態が出てまいりまして、40年前の調査の際には1人当たり月8時間であったということを考えますと、多忙化が進んでいるという実態がわかったということでございます。
 その後、この10月には福田内閣が成立いたしましたけれども、所信表明演説の抜粋にもございますとおり、教育再生という優先課題というものは引き継いでおられるということでございます。中でも、信頼できる公教育の確立が必要という考え方のもとに、「先生が子どもたちと十分に向き合える時間を増やすとともに、メリハリのある教員給与体系の実現に取り組みます」ということを言明されているということでございます。
 こういった形で、行革推進法の施行後に大きな状況の変化があった。これを踏まえて今回の定数・給与の改善の要求をしているということでありますから、行政改革推進法の条文について、一定の見直し、あるいは凍結、適用除外といったことが部分的に必要になるということは当然のことではないかというふうに考えているわけでございます。
 あと幾つか、委員を含めた皆様方からもご質問がございましたのは、財政サイドからいろいろと主張があるけれども、それにどう反論しているのかということでございます。財政サイド、特に財務省が主張しておりますのは、1つは、教職員定数、あるいは公教育費は大幅に増えてきていて、現在十分足りている状態であるという主張をしております。次に、教職員は給与が高過ぎるのではないかという主張もしております。それから3番目には、教職員の勤務の在り方についてはむだが多いのではないか、もっと有効に活用できる時間があるのではないか、こういった議論があるわけでございます。
 これに対して、私どもとしては反論しなければならないわけでございますけれども、まず、資料4-2でございますが、1ページ目の議論といたしまして、「平成元年以降、小中学校の児童生徒一人当たりの公教育支出は1.5倍以上」になっているじゃないかと。この数字としては確かでございます。1.51倍になっているというのは確かでございますけれども、これはいわば不可避的な当然の増というものを多く含み込んだ、名目的な上昇率であるということでございます。
 どういうことかといいますと、資料4-3の16ページから18ページを見ていただければと思いますけれども、資料4-3「教職員をめぐる状況」の、一番後ろの3ページでございますが、まず、教職員給与費、これは公教育費の大部分を占めるわけでございますけれども、この給与費が名目的に上がっている。これは教職員の平均年齢が上がっているからです。教職員の平均年齢はなぜ上がっているかというと、昭和50年代後半あたり、生徒急増期に大量に採用した年代の教職員が、平成元年当時は30代の後半ぐらいだったものが、現在は50歳前後まで年齢が上がってきております。これは非常に大きな塊としてございます。平均年齢が、平成元年から平成17年の間に39歳から44歳と、5歳上がっている。それに伴って平均給与月額は、当然の増として15パーセント近く上がっているわけでございまして、この部分は、いわば不可避的な当然の増でございます。
 そのほかに当然の増として考えられますのが、学校の小規模化に伴うものでございまして、学校というのは、小規模になればなるほど、子ども1人当たりのコストはかかります。17ページ、18ページに、それを実証する数を置いているわけでございますけれども、学校の小規模化に伴って必然的に生じてきているコスト増というものが、正確には計算できませんけれども、50パーセント増えているという中の10パーセントから20パーセント部分は、こういったものに当たるだろうと考えられます。
 さらに、もう一つの要因としてございますのは、障害を持つ子どもの絶対数が非常に増えてきているということでございます。子どもの数は確かに全体として減ってきておりますけれども、そのうちで特別支援学校に在籍する子どもの数、それから小・中学校の特別支援教室に在籍する子どもの数は、絶対数として増えてきているわけでございまして、一般の学級の場合ですと1学級40人という標準で学級編成をいたしますけれども、特別支援学級の場合ですと8人、特別支援学校の場合ですと1学級6人で編成するわけでございまして、特別支援教育を受ける子どもの比率が増えれば増えるほど、生徒当たりの教員の数というものはどうしても増えるということがございます。この部分が相当あるだろう。
 実際に、実質的に増えている部分というのは、定数改善をしてきた部分は確かに増えてきております。しかし、平成元年というのは、実はまだ45人学級の時代でございまして、40人学級が完成していない時期でございます。平成元年から平成4年までの間に4万人近く増やした結果として、40人学級がやっと完成したということでございまして、その後、第6次、第7次の定数改善をしておりますけれども、これは少人数指導、習熟度別指導、あるいは不登校、いじめといった問題に対する対応といったことのために、5万人余りを増やしてきている。この部分は確かに教育条件は改善してきた部分でございました。
 ただこれは、名目的な1.51という数字とはかけ離れた部分であって、大体定数改善で増えた部分というのは20パーセントに満たないだろうと思います。1.51倍になっているという数は、この数だけ見ると大変なお金をかけてきているというふうに見えるわけでございますけれども、実は空積みされている部分が非常に多いということでございます。
 それから、教員の給与は高過ぎるという主張があるわけでございまして、資料4-2の枠囲いの中を見ていただきますと、日本が4万7,855ドルであるのに対して、アメリカが4万734ドルである。OECDの平均が4万2,716ドルであるということで、アメリカに比べても、またOECDの平均に比べても多いではないかということでございますけれども、私どもに言わせれば、アメリカが低過ぎるんだということでございまして、アメリカの場合には、もともと12カ月のフルタイムということではなくて、夏期休業中はそもそも教員の身分を離れるといった勤務体系になっているということもございまして、12カ月分の給与になっていないということが言えると思いますし、また、ここにまとめてございますように、1時間当たりの給与に直した場合には、アメリカよりもドイツよりも、日本は低いということが言えるわけでございます。
 教員の給与につきましては、前回も申し上げたわけでございますけれども、資料4-3の13ページをご覧いただきますと、人材確保法のもとで、一般公務員に対して優遇されているということでございますけれども、人材確保法制定当初の昭和55年の水準が、一般公務員100に対して105.8だったのに対して、平成18年度では、101.2まで相対的な水準は落ちてきているという実態がございます。また、警察職あるいは消防職と比べても、格段に低いという状態にある。
 こういうことであって、決して教員の給与が、国際的に見ても、また他の職種と比べても、高いということではないというのが私どもの主張でございます。
 それから、もう一つ財務省サイドが主張しておりますのが、教員の勤務時間にはむだが多いということでございますけれども、その例として挙げてきておりますのが、教員の授業時間数が日本の場合少ないではないかと。資料4-2の枠囲いの中の2つ目の「・」を見ていただきますと、「教員一人当たりの年間授業時間数は、主要先進国平均より3割少ない」という主張をしているわけでございます。その根拠として、OECDの調査で、小学校教員の年間授業時数は、日本の場合578時間であるのに対して、アメリカが1,080時間である。OECD平均が846時間であるという数字でございます。
 ただ、この数字は本来比較できない数字を比較しているものであって、この調査自体が、OECDが一定の調査方法を示しておりませんものですから、各加盟国がそれぞれの集計方法で計算しているということで、単純に比較することはできないわけでございます。必要な補正を行った場合には、日本の授業時間数は各国を上回る結果となります。アメリカやフランスの場合、授業時間数というのは、休憩時間とか昼食時間、あるいは教室の移動の時間、すべて含んだ時間であって、こういったものを含んだ計算をいたしますと、日本の場合、大体1,400時間になります。こういう計算の仕方をした場合には、アメリカの1,080時間を大きく上回る時間数の授業をしているということになります。
 ドイツの場合には、これはフルタイムの教員のみを対象としているということで、この時間数になっているわけですけれども、パートタイム、短時間勤務の教員を含めて、年間の授業時数にならして計算した場合にはどうなるか。こういう計算を日本とドイツで比較した場合には、やはりドイツよりも日本のほうが多くなるということでございまして、同じ条件で比較した場合には、日本の教員の持っている授業時間数というのは各国を上回っているということでございます。
 のみならず、日本の教員については、授業以外に携わっている勤務時間というのが長いということでございまして、その状況は、資料4-3の9ページで見ていただきますと、これは40年前の勤務実態調査と今回の勤務実態調査を比較したものでございますが、授業時間数というものは40年前と大きく変わっておりません。大きく増えているのは、事務的な業務、これが勤務時間内も外も増えてきております。それから生徒指導等が非常に増えてきております。さらに部活動や補習にかかる時間が非常に多く増えている。この3つが、教員の勤務時間を多くしている3大要因であると思われるわけでございますが、こういった業務については、他の諸外国の場合、教員以外の専門的なスタッフが担っている場合が多いわけでございます。
 1つ前の8ページをご覧いただきますと、日本とアメリカの、学校の中にいる教員以外の専門スタッフと教員の比率を見たものでございますけれども、日本の場合は8割近くが教員であるのに対して、アメリカの場合は半分近くが、教員以外の専門スタッフが支えている。日本の場合、逆に言いますと、さまざまな専門のスタッフが本来担ってもいいような部分についても、教員がその仕事をやっているということでございまして、勤務時間に占める授業時数というものの比率が低くなるというのは、こういったほかの業務が多いということの裏返しであるということでございます。
 こういったことで、私どもとしては、財政当局の主張にもきちんと反論してまいりたいと思っているわけでございまして、委員の皆様方におかれましても、この辺を十分ご了知いただきたいと思うわけでございます。以上でございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。我々、今ご説明いただいたことは十分に頭に置いてと思っても、今日は時間が過ぎましたので、意見交換は割愛させていただきまして、実は、小川先生にバウチャーの問題でいろいろとお話をいただこうと思っておりましたが、これは次の機会ということにしたいと思います。
 ありますか、渡久山先生。1つだけ。

【渡久山委員】
 答えは次でもいいんですけれども、ちょっとお願いしたいのは、少人数学級を各都道府県の負担でやっているんですよね。それが実態としてどうなっているかというようなことについて、ぜひお聞かせいただきたいというのが1つです。
 もう一つは、せっかく先ほど教育課程をやったんですが、学習指導要領が改訂されますね。それには随分条件整備が出ていたんですが、教職員定数の見直し、それは行われるようなつもりでいらっしゃるのかどうなのかですね。

【梶田分科会長】
 一言。

【前川審議官】
 各都道府県が行っている少人数学級は、現在のところ東京都を除く46道府県で行われております。やり方はばらばらでございますので、統一したことはないわけでございますけれども、小学校の低学年でやっているということが多いわけです。
 それから、都道府県で行っている少人数学級とは別に、市町村単位で行っている少人数学級がございます。これは義務教育に熱心で、かつ財政力もあるところ、例えば京都市のようなところでございますけれども、こういったところでは非常に進んだ少人数学級の取り組みがございまして、京都市を例にとりますと、京都市独自の市費による教員を167名採用して、これを配置することによって、小学校低学年の35人学級のみならず、中学校3年生で30人学級を実施するといった取り組みをやっておられると聞いております。
 こういった形で、都道府県別、あるいは市町村別に見た場合に、少人数学級の取り組みがかなり進んでおりますけれども、ある意味で格差といいますか、ばらつきが出てきているという状況があるということが言えると思います。
 それから、今回の学習指導要領の見直しに伴う条件整備ということでございますが、私どもの認識といたしましては、今のままの定数では、新しい学習指導要領の改訂には対応できないだろうと考えています。今回の概算要求の中には、教育三法、あるいは勤務実態調査に伴う改善というものは含めておりますけれども、学習指導要領の見直しに伴う改善というものは含まれておりません。
 しかし、学習指導要領の改訂につきましても、先行実施される部分があるかもしれませんし、そういったことに対応するためには、やはり一定の改善をしておかなければ先行実施にも対応できないだろうと思いますし、本格実施をする際には、改めてそのための定数改善を求めていかなければならないだろうと思っております。以上でございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 それでは、本日はこのあたりにしたいと思います。
 事務局から、今後のことにつきまして、お願いいたします。

【淵上教育制度改革室長】
 長時間のご審議ありがとうございました。
 初等中等教育分科会の次回の日程につきましては、分科会長とご相談の上、追ってご連絡をさせていただきたいと存じます。
 教育課程部会の今後の日程につきましては、本日会議開催前にご了承いただきました関係団体からのヒアリングを、11月27日と29日の2日間に分けて開催することを予定しております。詳細につきましては、また部会長とご相談の上、追ってご案内申し上げます。以上でございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 昨日、渡海大臣と対談する機会があったんですが、自分としては、今のお話にありました、行革推進法等いろいろとあるけれども、予算の獲得、教育諸条件の改善に向けて全力を尽くしたいということをおっしゃっておりましたので、このこともあわせてお伝えしておきたいと思います。前川審議官をはじめ事務局の人に、一段のご努力をまたよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、本日はこれで終わりたいと思います。皆さん、遅くまでどうもありがとうございました。

─了─

お問合せ先

初等中等教育局教育課程課

-- 登録:平成21年以前 --