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初等中等教育分科会(第55回)・教育課程部会(第66回)合同会議 議事録

1.日時

平成19年10月24日(水曜日) 15時~17時

2.場所

ホテルグランドパレス 「白樺・鶴」

3.議題

  1. 平成19年度全国学力・学習状況調査の結果について
  2. 教育課程部会におけるこれまでの審議の概要(検討素案)について
  3. その他

4.出席者

委員

 梶田分科会長(部会長)、木村副分科会長(副部会長)、田村副分科会長(副部会長)、安彦委員、天笠委員、荒瀬委員、市川委員、井上委員、宇佐美委員、梅田委員、小川委員、黒須委員、甲田委員、高倉委員、寺崎委員、土井委員、渡久山委員、中村委員、藤井委員、北條委員、無藤委員

文部科学省

 銭谷事務次官、坂田官房長、加茂川生涯学習政策局長、金森初等中等教育局長、樋口スポーツ・青少年局長、合田総括審議官、布村審議官、前川審議官、磯田私学部長、石野スポーツ・青少年総括官、常盤初等中等教育企画課長、鬼澤企画・体育課長、高橋教育課程課長、上月生涯学習推進課長、永山特別支援教育課長、安藤参事官、藤野教育水準プロジェクトチーム総括リーダー、牛尾視学官、淵上教育制度改革室長、合田教育課程企画室長、高口学力調査室長、森友学校教育官

オブザーバー

(国立教育政策研究所)
 大槻教育課程研究センター長

5.議事録

【梶田分科会長】
 それでは、まだちょっとお急ぎの方が一、二おられますけれども、定刻になりましたので、ただいまより第55回初等中等教育分科会と第4期第13回教育課程部会の合同会議を開会いたします。特に初中分科会委員の皆様には急なご案内になりまして、申し訳ありませんでした。後でありますけれども、本日、全国学力調査の結果をきちっと皆さんにご報告し、ご説明したいということになりましたので、こういう合同会議の形で本日の会議を持たせていただきました。
 それでは、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

【合田教育課程企画室長】
 本日は、大変お忙しい中、ご参集をいただきまして誠にありがとうございます。なお、事務局の側に、国会等がございまして若干空席がございますけれども、後ほどおくれて参りますので、何卒ご寛恕ください。
 それでは、本日の資料でございますけれども、お手元に2種類のまちつきの封筒があるかと存じます。ラベルの張ってあるほうの封筒でございますけれども、そちらのほうには本日の資料ということで、1枚ものの議事次第、資料1-1といたしまして初等中等教育分科会の先生方の名簿、資料1-2といたしまして教育課程部会の先生方の名簿、資料2といたしまして平成19年度全国学力・学習状況調査結果のポイント、資料3-1でございますけれども、本日は時間の関係もございますので個別にはご紹介申し上げませんけれども、前回、10月5日のご審議の後にちょうだいいたしましたご意見を踏まえまして、前回ご審議をいただきました社会・地歴・公民、生活科、総合的な学習の時間、条件整備のうち、教科書や学校図書館の充実などを中心に修正をいたしております。お目通しを賜ればと存じます。資料3-2でございますけれども、資料3-1の審議の概要に関連するデータ集、資料4-1といたしまして道徳教育の改善の検討素案、資料4-2といたしまして特別活動の改善の方向性の検討素案、資料4-3といたしまして道徳、特別活動に関する関連資料、資料5-1といたしまして社会総がかりでの教育再生という1枚紙の資料、資料5-2といたしまして教職員をめぐる状況という資料でございます。
 また、ラベルが振っていない資料でございますけれども、これは2冊の厚い資料でございますが、後ほどご説明申し上げます平成19年度の学力・学習状況調査の小学校及び中学校の調査結果の概要でございます。
 これ以外にも紙の赤色のファイルには、学習指導要領における各教科等の目標及び内容の例、それからハードカバーのほうにはこれまでの教育課程に関する答申等、それから幼稚園の教育要領ほか各学校段階の学習指導要領等を机の上に置かせていただいております。適宜ご参照いただければと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 本日は、内容的に3つのことが準備されております。1つは、今申し上げました全国学力・学習状況調査についての報告、説明をいただいて意見交換をするということ。2つ目が、教育課程部会における審議の概要の総論部分についてはこれまでずっと検討していただいておりましたけれども、特にその中で、豊かな心をはぐくむ教育の在り方、道徳の問題ですね、これについて意見交換をするということ。そして最後に、これは時間的には短くなると思いますけれども、来年度予算の概算要求の後、これを出しておりますけれども、状況につきましてご説明を受けるということ、この3つを準備しております。
 そういうことで、本日の議事に入りたいと思いますが、まず最初に、ことしの4月24日に全国学力・学習状況調査が行われました。本当に長い期間こういうことをやってなかったのですけれども、小学校6年と中学3年、算数・数学と国語について悉皆調査、全員に対する調査という形で行われました。そういう中でもう1つ大事なのは、問題Bという形で、その一部に記述式を入れたということ。日本では、学力調査というと多肢選択でやるのが当たり前みたいな、もう少し広くしても、いわゆる客観テスト方式でやらなきゃいけないみたいな固い思いこみがあったんですけれども、やはり本当の意味での思考力を見るためには記述式も必要であるということですけれども、ということで、予算はかかるわけですけれども踏み切っていただきまして、これをやっていただいたということであります。しかし、こういうことをやったものですから、しかもこういう大規模な調査結果を処理するというのは、本当にないことだったものですから、採点途上、思いがけぬ時間がかかったということがありまして、当初考えていた時点よりも結果の公表がおくれていたわけです。しかし、本日、すべてこの作業が終わったということで、この時間をもって公表されるということになりました。
 ということでありますので、では、この全国学力・学習状況調査の結果につきまして、教育水準向上プロジェクトチームの総括リーダーである藤野さんのほうから報告をいただきたいと思います。

【藤野リーダー】
 私は、教育水準向上プロジェクトチームの総括リーダーをしております藤野でございます。よろしくお願いいたします。
 私からは、資料2の平成19年度全国学力・学習状況調査調査結果のポイント、この資料を中心にご説明を申し上げたいと思います。また、お手元のラベルを張ってないまちつきのほうに調査結果概要がございますが、それも一部使用させていただきたいと存じております。
 今回の調査でございますが、先ほど梶田分科会長からも話がございましたように、本年の4月24日に実施しております。小学校第6学年、中学校第3学年の全児童生徒を対象といたしております。参加学校数3万3,000校、230万人の児童生徒に参加していただいたわけでございます。実施した教科は、国語、算数・数学でございます。また、先ほどもご紹介ありましたように、知識に関する問題、それから活用に関する問題という2つの問題を出題したところでございます。また、あわせまして、生活習慣でございますとか学習習慣等に関します質問紙の調査を児童生徒と学校に対して行っております。
 結果の概要をご説明申し上げたいと思います。1ページめくっていただきまして2ページをお開きいただければと存じます。
 まず小学校の国語でございます。国語Aというのが知識でございますが、児童の平均正答率が8割台ということで、相当数の児童が今回出題している学習内容をおおむね理解していると言うことはできるのではないかと考えております。また、Bの活用のほうでございますが、正答率が6割台ということでございます。知識に比べまして活用のほうはやはり課題があると考えております。これは単に正答率が低いだけではございませんで、グラフを見ていただきますと、Aに比べましてBのほうがややばらつきがあるという状況もございます。そのようなことも含めまして課題があると考えております。
 1ページめくっていただきまして、小学校の算数でございます。こちらも小学校の国語と同様でございます。Aの知識のほうが8割台の正答率、Bの活用のほうは6割台の正答率ということで、比べますと、Bの活用のほうに課題があると考えております。
 1ページめくっていただきまして中学校国語でございます。中学校のほうもAの知識の問題が8割台、Bの活用のほうが7割台ということでございます。こちらのほうもほぼ小学校と同様な分布が見られておるところでございます。
 もう1ページめくっていただきますと中学校の数学でございます。数学のほうでは、Aの知識が7割台、Bの活用が6割台ということでございます。こちらにつきましては、他の区分に比べましてやや散らばりといいますか、ばらつきが全体的に見られておるところでございます。
 以上、それぞれを全体的に見ますと、知識に比べまして活用のほうが全体といたしまして10パーセント、1割程度、今回、正答率が低かったということでございます。
 なお、この辺の状況でございますが、大変恐縮でございますが、お手元のまち付きの封筒のほうに、調査結果概要が小学校のほうと中学校のほうと2つございますが、小学校の調査結果概要の16ページをお開きいただければと存じます。16ページでございますが、縦軸がBの活用のほうの正答率を並べております。また、横軸のほうがAの知識のほうでございます。0問から18問まで並べておるわけでございますが、横軸の18問というところを見ていただきますと、その上のほうにたどっていきますと、もちろん10問とか9問とか8問というところが多いわけでございますが、全体としてみますと、やや低いところまで分布があるということが分かるわけでございます。一方、縦軸のほうの10問のほうを見ていただきますと、こちらの方は全体として1カ所に集中している、ばらつきが少ないという状況がございます。これを見ますと、知識があっても必ずしも活用ができるわけではない。活用ができる人は知識のある人が多いというような、全体的な傾向でございますが、そのような図が見られるわけでございます。これは17ページの算数、あるいは、同じページにございますが、中学校のほうにつきましても同様な傾向が出たわけでございます。
 恐縮でございますが、ポイントのほうに帰らせていただきます。10ページをお開きいただきたいと存じます。10ページは、地域の規模で区分いたしまして、その状況を分析しております。公立学校につきまして、大都市、中核市、その他の市、町村、へき地の区分で比較したわけでございますが、グラフを見ていただきますと、大きな差は見られないわけでございます。もちろん、大都市とへき地を比べますと数ポイントの差があるわけでございますが、全体から見ますと大きな差は見られないということが分かります。かつて、昭和30年代、全国の悉皆調査を行ったわけでございますが、そのときには十数ポイントの差があったという状況でございましたが、今回はそういう意味ではかなりその差は縮小しているということが言えるかと思っております。
 12ページをお開きいただきたいと存じます。都道府県の状況でございます。今回は全国の状況と各都道府県の状況につきましては公表するということにしております。各市町村、各学校の状況につきましては、私どものほうから公表しないという形になっております。各都道府県の状況でございますが、この棒グラフでございますが、中心であります正答率のところを基準といたしまして、プラスマイナス5パーセントの柱をとったものでございます。全体を見ますと、この柱の中に大半の都道府県が入っておるということでございますので、全体として見ますとばらつきは小さいということが言えるかと思います。ただ、中にはそこから外れているところもあるということでございます。また、特に中学校におきましては、国語に比べまして数学のほうが都道府県の差が大きくなっているという状況も見られるわけでございます。この辺のほうも課題の1つであるかと考えております。
 14ページをお開きいただきたいと存じます。これは学校の状況について比べたものでございます。全体で見ますと、それほど大きなばらつきは見られないわけでございますが、知識に比べまして活用のほうがややばらつきが大きくなっているという状況が見られるわけでございます。また、中学校のほうを見ますと、特に国語に比べまして数学のほうがばらつきが大きいという状況が見られるわけでございます。
 16ページからは、児童生徒質問紙の関係でございます。まず、学習に対する関心・意欲・態度ということでございますが、16ページをごらんいただきますと、国語の勉強が好きな児童生徒の割合について、13年、15年、19年と書いてございますが、19年は今回の調査でございますが、13年、15年は、教育課程実施状況調査にあわせて実施した抽出調査の状況でございます。これと比較いたしますと、小学校の場合は、好きだということについては大きな変化がうかがえないわけでございますが、中学校のほうでは増加傾向がうかがわれるわけでございます。また、国語の勉強が役に立つと思う児童生徒の割合につきましては、いずれの段階でも増加傾向がうかがえるわけでございます。算数・数学の場合は、好きな児童生徒の割合あるいは役に立つと思う児童生徒の割合、いずれも増加傾向がうかがえるという結果が出ております。
 18ページをお開きいただきたいのですが、学習時間の関係でございます。これも13年、15年との比較でございますが、学習時間に増加傾向がうかがえます。また、読書時間につきましても増加傾向がうかがえるわけでございます。また、19ページにはこの状況と正答率とのクロス分析を行っておりますが、家で学校の宿題をする児童生徒の例、あるいは読書の好きな児童の例を掲げておりますが、多くの関心・意欲・態度、あるいは時間等の点につきまして正答率との相関関係が出ているという状況がうかがえております。
 20ページからにおきましては、学習塾の関係でございます。
 また、21ページは基本的な生活習慣ということでございまして、朝食を毎日食べる児童生徒の割合につきましては増加傾向がうかがえ、また、それらの児童生徒には正答率が高い傾向というものが明確にうかがえるわけでございます。
 22ページには、学校に行く前に持ちものを確認する児童生徒の割合、増加傾向がうかがえると共に、正答率との高い相関関係が見られたわけでございます。
 23ページにつきましては、家庭でのコミュニケーションの関係でございますが、家の人と学校での出来事について話をする児童生徒のほうが正答率が高いという相関関係が出ております。
 24ページからは、自尊意識・規範意識の関係でございます。自分によいところがあると思う児童生徒の割合等について掲載しておるわけでございますが、その中で、人の気持ちが分かる人間になりたい、あるいは学校の決まり・規則を守っているということにつきまして、正答率との相関関係が明確に出たわけでございます。
 26ページからは学校質問紙でございます。学校質問紙におきましては、児童生徒が熱意を持って勉強していると思っている学校、あるいは授業中の私語が少なく落ち着いていると思っている学校、児童生徒が礼儀正しいと思っている学校の割合をお出しすると共に、これらにつきましては、27ページ以降でございますが、いずれも正答率との相関関係が見られたわけでございます。
 30ページ以降でございますが、学力に向けた取組の状況等を調べております。
 最後でございますが、34ページをお開きいただければと思います。34ページにつきましては、就学援助についての学校質問紙を行っております。就学援助を受けている児童生徒の割合が高いほうが、その割合が低い学校よりも平均正答率はやや低くなっているということがうかがえるわけでございます。これは箱ひげ図という図でございますが、選択肢1のほうが在籍していない、それが選択肢6に行くに従いまして徐々にその在籍率が大きくなるわけでございますが、やや右下がりになるということはそういうことをあらわしているわけでございます。一方、この箱の部分でございますが、箱の中に入っているのはばらつきをあらわしているものでございます。箱の中に入っているのが、その選択肢の中の50パーセントが入っている。上下に伸びておりますひげと言っておりますが、ひげまで含めますと99パーセントが入るというものを示しておりますが、これを見ますと、特に一番右側のほうを見ていただきますと、かなり分散、ばらつきがあるということがうかがえるかと思います。やはり就学援助を受けている児童生徒の割合が高いからといって、必ずしもすべての学校が正答率が低いわけではない。やはりその学校の取組でございますとか、家庭との連携協力の状況、あるいは行政の支援等、様々な要因の中で正答率の高いものがかなりあるということで、かなり分散があるということがうかがえたわけでございます。
 以上、こんな概要でございますが、先ほど梶田分科会長からご紹介いただきましたように、この報告をもちまして公表をしたいと考えております。また、都道府県教育委員会、市町村教育委員会、各学校に本日付ですべて到着するような形で提供を行うこととしております。
 以上でございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。非常に膨大な資料を分析していただきまして、しかもこれが、ご承知のように、本当に教育の成果を見るための全国学力調査なんですけれども、下手をすると、何かランキングとか序列化とか、つまらぬ全く枝葉のほうで受けとめられちゃ困るということで、随分工夫をして、今回この資料をまとめていただいたなと思っております。私はこれをやるときの専門家会議の座長をやらせていただいたのですけれども、私の率直な印象は、よくできているなということなのです。もちろん、課題は随分残っております。これは今仰ったとおりです。でも、まあ私は、これも率直に言って、2001年からの現場の先生方の取組と、それから地教委の取組が本当にこういう結果をもたらしているんだなという気がいたしまして、これをひとつステップにして、次にまた新しい前進をというような気持ちで私は見せていただきました。
 それからまたよかったなというのがもう1つありまして、都道府県の差がものすごく少ないのです。昭和40年代のときは非常にあるのです。大きいのです。それから大都市、中都市、小都市、へき地を持っているところ、この地域間格差も40年代はすごかったのですけれども、この格差もなくなっております。なくなっているというか、ほんの小さいものになっております。これも私はよかったなと。ただし、この数年でこういう成果が上がってきておりますけれども、これを持続させるためには、また後で出てきますけれども、よほどきちっとした教育の諸条件の整備をやらないと、これがぬか喜びになってもいけないなと。ただ、全体としてよかったかどうかは、次に12月4日にPISAの調査が発表されますので、こういうことを見て、国際比較的にはどういうふうになるかということは受けとめなきゃいけないな、こういうことも思っております。
 皆さん、今日、後で見ていただきますが、審議の概要におきましても、141ページ、142ページに全国学力・学習状況調査の活用としまして、9の(3)効果的・効率的な指導のための諸方策という項目が設けられております。これもお目通しをいただきまして、ただいまご報告いただきました点、それからこれをどういうふうに受けとめるか、これをどう活用するか、ここからもう1歩、2歩の前進をどういうふうに引き出していくかというようなことで、どうか皆さん、率直にいろいろとご意見をお出しいただければというふうに思います。それでは、ご発言があればお願いいたします。
 非常に膨大なものですので、いろいろな切り込み方があるだろうと思います。例えば、基礎的なものができているといっても、本当に活用の力がつくためには基礎的な力がついてなきゃいけないけれども、逆はそうじゃないという点も出ていますね。
 それではお願いします。

【寺崎委員】
 膨大な調査をご苦労さまでした。全国の小学校の学校現場からの視点ということでお話をさせていただきます。
 この調査が始まるときのヒアリングで、当時の全国の小学校長会は、悉皆調査に必ずしも賛成はしていませんでした。教育課程状況調査のような形の、七、八パーセントでしたが、それでもいいんじゃないかという考えもあったわけですけれども、結果的に私どもが納得したのは、やはり全国すべての子どもに返すという、そのことで納得したというか、それでいいんじゃないかという思いで実際に実施したわけですけれども、改めて結果を見てみると、小学校の場合、基礎的な知識・技能、おおむねそういうところだろうなと。それから活用にかかわるところも、この調査をした4月の時点での学校現場の声を聞くと、やはりよくできなかったということでしたから、その数字がそのことをあらわしているんじゃないかなという受けとめだろうと思います。同時に、学力問題が出たときから、全国の小学校では様々な工夫をして基礎的な知識・技能を底上げしていくような努力をしてきたように私は思いますし、その結果が今回8割程度おおむね理解というような形になっている。ただ、これで油断してはいけないともちろん思います。
 それからもう1つは、活用の部分は、今度のこの審議の概要の中にもありますように、やはりその部分が、特に教科の中での活用といいますか、そしてそれを総合的な学習の時間の中で関連づけて発展させていくような取組は十分ではなかっただろう。まさにそのとおりであって、今後このことが、各学校において一人一人の教員がしっかり自覚をしてその取組を強めていくような、まさに先ほど分科会長が仰ったような条件整備が必要であり、これも繰り返しになりますが、この次の改訂に向けた内容がしっかりと一人一人の教員が行うための様々な条件整備、この中にも条件整備ということがかなり随所に入っていて、非常に心強い思いをするわけですが、ぜひ改めてその点を、現場の努力と同時にあわせてそれが実行できるような条件整備をお願いしていきたい。
 以上でございます。ありがとうございました。

【梶田分科会長】
 寺崎先生、ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。では、渡久山先生。

【渡久山委員】
 1つ質問なんですが、児童生徒の質問紙の中の学習に対する関心・意欲・態度のところですが、これは今までの学習指導要領の到達度調査との比較ということだったのですが、今度のA問題は、その従来の調査と問題種として非常に特徴的な違いあるいはそういうような顕著な部分があるかないか、これを教えていただきたいというのが1つです。
 それからもう1つは、A問題とB問題があって、特にB問題があったというのは非常にいいと思うのです。今、学習指導要領、教育課程の中で、新しい学力といいますか、生きる力という形で、やはりそれを基礎的学力と梶田先生が言われているような感じのものですが、それと比較したら、やはり記述問題が出てきたということはいいことなんだと思います。そうでありましたら、記述問題、B問題、まあ活用といっていますけれども、これがばらつきがあるということなんですが、ばらつきは最初からあることが前提じゃないでしょうか。ですから、ばらつきが悪と解釈する必要は何もないという気がいたしますけれども、そういう面でのこれから分析の仕方をどうするのかということが非常に大事なことだと思います。例えば大都市と地方では、それぞれ関心や生活の仕方が全然違いますから、それは、どう関心が違っていたって、僕は逆にそのほうが逆に地域の特徴なりあらわれているというか、ばらつきがあってもいい。だから、画一的なものじゃなくてもいいと思うのです。やはりPISAが求めている学力もそういうことにシフトしていっているわけですから、そういう面では、逆にその辺もばらつきがあるないという形でこれを分析するんじゃなくて、ばらつきの特徴を評価していくというのが非常にいいんじゃないかなという気がいたします。
 それから、今、梶田先生が言われたのですが、A問題の中で都道府県の格差問題というのはどうしても僕は関心はあると思うのです、各都道府県等も。ですから、これが格差を拡大した表現になっていって、序列化に対する問題があまり拡大しないような方向でやっていかんと、どうも日本の学力と言われるものが何か競争主義的な学力というようになっていって、例えば詰め込みでやっていって、知識量が多いような、そういうものにならないようにしていくことがいいと思います。ただ、3番目は、先ほど寺崎先生も言われたのですが、やはり条件整備の部分と学力との相関、この辺をもう少し今度はきちっと分析していただいて、やはり義務教育における子どもたちの学力自身の、まあ学力に対する考え方はもちろんいろいろありますけれども、これのばらつきや格差が拡大しないような方向で条件整備をしていくというような方向性を、ぜひ今度は条件整備という立場から提起していただければもっとありがたいと思います。
 以上です。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。今のご質問の部分、大槻センター長のほうからお願いします。

【大槻センター長】
 最初のご質問でございます。教育課程実施状況調査との関係でございますけれども、教育課程実施状況調査につきましては、基本的には知識・技能が中心であったわけでございますけれども、今回の活用の中にも、あるいは100字ぐらいで書かせる問題がございました。それは教育課程実施状況調査でも100字程度のものは聞いておるわけでございまして、その正答の状況は同じ傾向が出てございます。どうしても100字というのが、この時間で児童生徒に書かせる問題としては、長さとしてはこの程度かなと思うわけでございますけれども、子どもたちの現状を見るという点からしますと、更に400字でありますとか800字ぐらいの長さのものも書かせる必要があろうかと思います。そういったものは別途、特定の課題ということで、通常のペーパーテストではできないものでありますとか、通常の時間ではできないものについて、別の角度から分析をしているところでございます。
 そして、今回の問題で特徴的なものだけご紹介させていただきますと、小学校のこの厚い結果概要がございます。その109ページをお開きいただきたいわけでございますが、平行四辺形の面積を求める問題でございます。A問題の5ということで、知識・技能を問うているわけでございますが、5の(1)、底辺4センチ、高さ6センチが与えられたところで平行四辺形の面積を求めるということになりますと、その109ページの下のほうに分析概要ということで、(1)の正答率として96パーセントという数字が出ているわけでございます。こういう単純な数字が与えられた状況では96パーセントの正答率になるわけでございますが、他方、同じ小学校の結果概要の137ページをお開きいただきたいと思いますが、Bの活用の問題でございますけれども、地図の中に公園がございますけれども、その中の(3)、平行四辺形の中央公園と長方形の東公園の面積を比べてどちらが大きいか、その理由を書けという問いでございます。その解答につきましては141ページをご覧いただきたいと思いますけれども、141ページの解答類型と反応率という表がございます。一番下の段に正答率が18.2パーセントということで、先ほどの単純な計算から、このようにいろいろな情報が与えられた中で必要な情報を選び取って計算していく問題では18.2パーセントに落ちてしまいまして、誤答で一番多かったのが、そのちょっと上にございますが、5といたしまして、底辺掛ける斜辺という誤った情報を取り出してしまって、34.4パーセントの高率に至ったというような例でございます。知識と活用の端的な関係がこれが一番よく分かる問題かと思います。
 以上でございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 荒瀬先生。

【荒瀬委員】
 繰り返しになるようなことを申し上げるのですけれども、今仰ったような部分が実はとても大事なことで、これは高校生にとりましての大学の入学試験の模擬試験のことで申し上げますと、模試が返還されて、その際に、偏差値を見たり大学の合格判定だけ見ている生徒というのは力が全くつかないのです。そうじゃなくて、この返ってきた結果をきちっと自分なりに分析して、そしてどこに課題があるのかというのをきちっと見て、その課題に取り組んでいくという、これは健康診断の結果が返ってきたのと同じでありまして、健康診断の結果を総体的に漠と、AとかBとかCとかというふうにとらえる人はまずいなくて、個々に自分のどこが悪いのかというのを見る、そしてそれを改善していこうとする。同じようなことで、この結果をそんなふうにして使っていくための情報提供と、そしてそれをきちっと受けとめる教育委員会、学校の在り方でないと、自分のところがよかった、悪かったということで終わってしまっていては意味がありませんし、先ほどの都道府県別の差だって、あれは平均を比べただけであって、実際のところ、分布表をつくっていけば、もう全部重なっていくわけです。しかも、どこで切るかによって一県が横へ出てきたりとか二県が出てきたりとかするだけであって、そのところだけに終始して、誤った受け取りをしないようにしていくということが本当に大切だと思います。ここは多分、大人が問われているのであって、子どもたちに対してこの結果をきちっと返していく、先ほどもお話がありましたけれども、そのためにはそういった見方をすることが必要ではないかということを強く思います。
 それともう1つ思いますのは、結果として、A問題のほうですけれども、正答率が高かったということで、非常にこれまでいろいろと言われてはきましたけれども、学校あるいは教員は自信を持ってこれからも自分たちの取組を進めていくべきだということを思います。これは今日の後ほどの議題とかかわることですが、資料5-2の教職員をめぐる状況というのがあります。この教職員をめぐる状況を1枚めくると目次がありまして、とても大きく書いてあって、○が六つ並んでいますけれども、1つ目の○が、我が国の教育条件は国際水準に達していないという、これはPISAの結果とかを見ての話だと思うのですが、でも、少なくともこの調査の結果で言えば、経年比較といいますか、過去と比較すれば上昇している、あるいはまた意欲も上昇しているということで、まずは安心する。ただし、安心してそこでとまってしまってはいけませんので、先ほど言いましたように、結果をどう使うかということが非常に重要になってくるわけでありますけれども、あとの5つを見ていきますと、教職員を取り巻く状況というのは非常に苦しいものがある。あるいは児童生徒の指導に対してもなかなか困難な課題がある。しかし何とかここまでやってきているんだということで、よって、もう大丈夫なんだと思ってしまうと、これは大きな間違いでして、これも先ほど既にお話が出ましたけれども、ここをスタートとしてここから更に改善していく、更にB問題などの活用の力もつけていく、そのためにはどんなふうな教育活動をしていかないといけないのか、どういう条件整備をしていかないといけないのかということを考えて、教員は多分努力をしていますね。この努力がきちっと正当に子どもたちに還元されるような、そういった条件整備に向けての文科省としての取組というのもぜひよろしくお願いしたいですし、それを国民的な動きに結びつけていけたらどんなにいいかというふうに思います。
 以上でございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 天笠先生。

【天笠委員】
 失礼いたします。
 既に今、それぞれの委員の方から発言されたことと重なる部分がたくさんあるかと思いますけれども、私は、やはりこの調査結果のデータの各学校における活用の仕方というのが大変大切なのかなと思っております。それはある意味でいうと、我が校におけるカリキュラム評価、教育課程の評価に当たって、このデータをどういうふうに活用していくのかどうか。更に言うならば学校評価の位置づけというのでしょうか、学校評価においてこれを活用していくというふうな、そういうことがこの結果を生かしていくということにつながっていくんじゃないかと思っております。
 それで、そういう点では、次に検討されます検討素案の中に、PDSカリキュラム等々の考え方が出ております。そういうことを踏まえるならば、こういったことがカリキュラム評価、学校評価において具体的にどういう使い方をすることが次への改善につながっていくのかどうなのか。ある意味でそういう活用のデータを収集して、あるいは事例集というのでしょうか、そういうものをこれからまとめていくということも、1つ今後の検討の課題にしていいのかなというふうに思っております。
 以上です。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 無藤先生。

【無藤委員】
 これまでの委員の方々と重なりますけれども、この調査そのものの結果は先ほどの要点でよく分かったわけでありますが、やはりその結果をもとにどうするかが大事だと思います。大事なことは私は2つあると思うのですけれども、1つは、この資料3-1の審議の概要の26ページの一番下に1行ですけれども、いろいろ問題がある場合に、そういった大きな問題を抱えている学校を把握して、これらの学校に対する支援に努める必要があると指摘されております。これを具体的に実のあるものにするということが必要ではないかというふうに思うわけです。つまり、課題を抱えているからだめなんだということではなくて、そういった学校が仮に学力が低いとして、その背景になる要因というのは、単に先生が指導できないという話では多分なくて、様々な種類の困難を抱えていると思いますから、そういう学校こそ手厚い支援というものが要るということを明確にしていただければというふうに思います。
 それからもう1つは、そういった様々な困難がありながらも、しかし、すぐれた成果を出している学校もあるはずでありまして、やはりそういったエクセレントスクールといいますか、そういったものがおそらく地域ごとにあるだろうと思いますので、そういう学校の条件とは何かというのは、これは文部科学省が全国的にも検討するのかもしれませんけれども、やはり各都道府県、市町村でもぜひそういうものを出して、その実名を挙げることが大事ではなくて、そのすぐれた学校のよって立つ要因が幾つかあると思いますが、やはりそれを出しながらそれを普及させる努力をお願いしたいというふうに思います。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 今、ご指摘いただいた点、このポイントというものの一番最後の裏表紙といいますか34ページ、就学援助を受けている子どもの割合が多い。ですから、いろいろな意味で教育諸条件に恵まれないということが予想される、そういう学校で実は非常に学力のばらつきが大きくなっているのです。つまり、その中にエクセレントな学校もあるという、すごく力を入れてやっておられる学校もあるということ、これは私は、1つの日本の教育の可能性を示すものとして非常にいいことだなという気がいたします。ですから、このばらつきが大きいわけですから、どうやったらいい成績が出るような、これは1つのメルクマールでしかないけれども、どうやったらいい教育になったんだろうかという、これはやはり個別にケースを分析して、ほかのいろいろな学校の参考になるようになればいいなということを思いながら34ページの表を見せていただいておりました。
 ほかにいかがでしょうか。では、市川先生から。

【市川委員】
 では、私もこの調査の委員会で、梶田座長の下でその委員会にかかわった者の一人として少し話させていただきますと、まず、この調査が行われたときにも申し上げたことなんですが、今、委員の方々のご発言もあったように、とにかくこの調査をどう生かすかというのがこれからの最大のポイントであるということが出て、これはもうおそらく異論はないと思います。ただ、生かすというときに、今回のこの調査の中身から分かることもありますが、中身だけを見ていたのではどうしても分からないこともあります。例えば、実際にどのような授業が行われているのかとか、つまり、先生方の授業の方針、あるいは教育委員会の方針、学校の方針とか、それから個々の子どもがどういうふうな学び方をしているのかということについても、今回も若干のアンケートはありますけれども、十分な資料ということは言えません。ですから、これはむしろ各自治体あるいは学校が独自のデータをとったり、それを今回のこの調査の結果と突きあわせて見ることによって、どういう学校がどういう成果を出しているのかということが明らかになるんだろうと思います。つい各自治体のほうも期待し過ぎて、文科省が出してくれるデータだけを見れば、何かいろいろないい改善策が出てくるのではないかとか、何か文科省のほうがアドバイスしてくれるのではないかということだけを待っているというような形になってしまうと、なかなか改善されない。どうしても、これだけ大規模な調査ですから、個々の学校や自治体について非常に細かいところまではとても調べることができないわけでして、これは大規模な調査で非常に信頼性の高いデータではありますけれども、このデータだけを見るのではなくて、各自治体や学校も独自のデータ、独自の分析を行うことによっていろいろなことが分かってきて改善に結び付くのだろうと思います。
 それからもう1つなんですが、各都道府県の結果というのが公表されますと、ついつい見る方としても、こういうところがいいんだろう、つまり傾向ですね、何かこういう属性に基づいて、例えば過疎地はあまりよくないのだろうとか、大都市はきっといいのだろうというふうな見方をしていることが多いと思うのですが、今回を見てみると、どうもそういう属性的な見方で見ても、なかなか説明がしにくいことがたくさんあると思います。大都市だからいいと決して言えない。過疎地だから悪いというようなこともとても言えなくて、属性的な見方だけをしていたのでは解釈し切れない点が随分いっぱいあって、やはりそれぞれの都道府県なりのやり方とか、あるいはもっと落としていくと各市区町村とか各学校独自のやり方というのがかなりあって、それがきいているのではないかと思わせるようなデータだと思うのです。ですから、あまり、うちの県は何々だからよくないのだというようなとらえ方あるいは周りの見方ではなくて、それぞれが実際にどういう教育の中身になっているのか、どこの子どもがどんな学び方をしているのかということを見ていくことで、つまり教育の中身を本当に見ていくということで改善していく必要があると思います。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 安彦先生、お願いします。

【安彦委員】
 まず、今回の調査がランキングにはなじまない調査だということをはっきりと示していただきたいなということがあります。これは結局、文部科学省がやった調査ですから、自己点検、自己評価をやっているわけでして、そういう意味ではランキングという客観的に第三者がいわば公正にやるべきものという観点からは、必ず文科省がやった場合には文句がつけられます。自分でやっていることを自分で評価しているデータだったら、第三者的な客観的な評価にはならないということが言えるわけですので、もし、いちゃもんをつけられたら、そういう意味でこの調査はそういう種類のものでないとはっきり言っていただいて構わないし、そういうものでないという処理の仕方をしていただきたいということであります。
 それから、点数について、私も梶田先生とほぼ同じような感想を持ちましたけれども、特にA領域については非常に点数が高く出ております。この点については、漏れ聞きますと、子どもが時間が余ったというぐらいだったということも聞きます。ということは、少し易し過ぎたかもしれない。ですから、水準が少し易し過ぎた可能性はありますが、今回はとにかく一種の絶対評価で、到達度をこの辺でということを設定してなさったわけですから、この点は仮にそういう批評があっても、とりあえずこの時点で求めている水準から見たら、これは満足だというふうに言っていただいていいかと思います。しかし、今後ある程度、これを見て次のテストの水準をどうするかについては、十分これを踏まえて決めていっていただきたいというふうに思います。
 それから3つ目としては、意識調査があります。この意識調査との絡みが、大変興味深い、あるいは非常にこんなにはっきり出るものかというような形でも出てきているのです。とりわけそういう意味では、その部分についてぜひ、少なくともそのうちの1つとして言えるのは、私の見るところでは、やはり家庭や社会が協力的であれば子どもの学力は全体として上がるという傾向です。この点はもっとはっきり言っていただいて、そして家庭や地域の方々に協力を呼びかけるということを検討素案のほうなどでも入れていただきたい。学校だけがというのではなくて、保護者や地域の方が協力してくだされば子どもたちは伸びるんだということを、ぜひ、そういう形で、行政も社会教育というか、家庭教育その他に力を入れていく、そういうことについて検討素案のほうにもはっきり入れていただけたらいいなというふうに思います。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 それでは、今日出ましたいろいろなご意見を、これから文部科学省におかれましても、ぜひ、この結果の活用、あるいはこれを踏まえての次の施策を立てられるときにご参考にしていただければというふうに思います。
 何か私が感想を申し上げて恐縮ですけれども、やはり私は、2000年にあった、木村先生が副座長としてリーダーシップをおとりになった教育改革国民会議で、意欲の低下の問題も、あるいは学力の低下の問題、いろいろなことが議論されて、2000年12月に教育を変える17の提案が出ました。そして文部省と科学技術庁が2001年1月に合併してすぐ、レインボープランという形で本当に具体的な手の打ち方をなさったというのは、私にとっては印象的でした。その中で、学力向上推進事業だとか、意欲を持たせるためにどうするかという、これを世の中のマスコミの方々がそれほど取り上げていただいていないのが私は非常に残念なのですけれども、やはり私は、2001年からの文科省のレインボープラン、あの取組が、都道府県教育委員会、市町村教育委員会、学校、そして先生方とおりていって、片方の教師たたき、学校たたきの嵐にも負けないで、こういう成果を少しずつ出してきたという思いがして仕方ありません。くどいようですけれども、ここで気を緩めることなく、教育の条件整備をきちっとやりながら、次のステップへ向かってこれをもとにいっていけたらなと。そして私はあえて言いますが、学校の先生方は、教師バッシングの中で、かなり今、自信を失っている面がありますけれども、これで、やればやれるということを再認識していただきたいなというような気もいたします。
 それでは、この問題は一応ここまでにいたしまして、次に、教育課程部会における審議の概要、ずっとこれについて皆さんでご検討いただいておりますけれども、これに、道徳と特活の部分が組み込まれました。これはほかの専門部会はほぼ終わったのですけれども、この豊かな心をはぐくむ教育の在り方に関する専門部会だけは、先週もまた会議を開催していただきまして、重ねていろいろと議論を整理していただきました。これと関連いたしまして体験活動、キャリア教育というようなこともございます。この辺、新たに審議の概要に組み込まれた部分を中心に、森友学校教育官からご説明をお願いいたします。

【森友学校教育官】
 それでは、資料3-1の教育課程部会におけるこれまでの審議の概要(検討素案)に基づきましてご説明をさせていただければと思います。
 まず、7の教育内容に関する主な改善事項のうち、(4)の道徳教育の充実からご説明させていただければと思います。56ページをお開きください。
 まず、道徳教育の充実の1つ目と2つ目の○では、現状について記述をしております。1つ目の○では、教育は人格の完成を目指すものであって、豊かな人間性をはぐくむことは学校教育の基本であり、学校教育の重要な課題となっていること、あるいは教育基本法や学校教育法の改正におきましても所要の規定が盛り込まれたこと、道徳教育は学校教育全体を通じて行われるものであることといったことについて記述をしております。
 また、次の○では、現在の小・中学校におきまして週1時間程度設けられております道徳の時間をかなめとして道徳教育が行われていることなどについて記述をしております。
 次の○では、課題についての記述でございますが、今日、社会規範自体が大きく揺らぐといった状況の中で、生命尊重の心や自尊感情が乏しいこと、基本的な生活習慣の確立が不十分であること、更には規範意識の低下などといった指摘がなされていること。更にその下でございますが、小・中学校の道徳の時間につきましては、学年の段階が上がるにつれて子どもたちの受けとめがよくないとの指摘がなされており、実効性が上がるよう改善を行うことが重要としております。
 このような状況を踏まえまして、次の○以降で充実の内容を記述しておりまして、道徳教育について、小学校の低・中・高学年などそれぞれの段階ごとに取り組むべき重点を明確にする必要があるということを記述しております。そして、とりわけ基本的な生活習慣、最低限の規範意識、他者への思いやりなどの道徳性を培い、それらを基盤として主体的に判断し、適切に行動できる人間を育てることが大切であるとしております。
 更に次のページの上の○でございますが、教材の充実について触れております。教材の内容的な充実の観点などを中に書いておりますけれども、「なお、」といたしまして、教材の充実について国や教育委員会等による十分な条件整備が必要としております。
 また、その下の○では、道徳性の育成にも資する趣旨の体験活動の推進、更にその下では、学校、家庭、地域社会が一体となった取組の推進について記述をしております。
 そして最後の○でございますが、道徳教育の内容面での充実を図るに当たっては、小・中学校の道徳の時間の教育課程上の位置づけなども重要な課題であり、この点についても専門的な観点から検討を行っているといたしまして、豊かな心をはぐくむ教育の在り方に関する専門部会における主な意見を記述しております。道徳の時間を現在の教科とは異なる特別の教科として位置づけ、教科書を作成することが必要。多様な教材の活用が重要であり、学校や教育委員会が購入する副読本等に補助するなどの支援策が必要である。あるいは、授業時数が確保されず十分な指導が行われていないことから、教科への位置づけが議論されていることを踏まえれば、教科と同様に十分に時数が確保され、しっかりと指導されるよう内容の充実を考えるべき。その下では、道徳の時間は現在の教育課程上の扱いを前提にその充実を図ることが適当。学校では地域ごとに特色ある多様な教材が使用されており、教科書を用いることは困難といった趣旨の意見が出されていることから、引き続き検討する必要があると記述をしております。
 この点に関連いたしまして、教育再生会議の大臣報告ですとか、あるいはいわゆる骨太の方針2007におきまして、徳育を新たな枠組みにより教科化し、多様な教科書、教材を作成する旨記述をされております。この点につきまして、資料4-3、関連資料の14ページにその内容を記述しておりますので、ご参照いただければと思います。
 続きまして、体験活動の充実でございます。体験活動の充実の記述でございますが、1つ目の○、2つ目の○では、体験活動の意義、充実の必要性について言及をしております。また、3つ目の○では、体験活動をその場限りの活動で終わらせることなく、しっかりと事前、事後の指導を行うことが必要である旨記述をしております。
 次のページの上の○でございますが、子どもの発達の段階のほか、地域の大人などとの交流の場、自然体験の減少といった状況の変化を踏まえまして、小学校の時期に自然の中での集団宿泊活動、中学校の時期に職場体験活動、高等学校の時期に奉仕体験活動や就業体験活動をそれぞれ重点的に推進することが適当と記述をしております。
 その下の○では、今回の学習指導要領の改訂において、体験活動の重要性を一層明確にし、その内容に即して小・中・高等学校で重点的に行う体験活動について記述することが必要であること。また、特に体験活動は、一定期間にわたって行うことにより一層意義が深まるものであり、受け入れ先の確保、宿泊等に要する費用などについて、国や教育委員会の支援・援助の充実を図る必要があるとしております。
 最後の○では、「なお、」といたしまして、これらの体験活動を総合的な学習の時間に行うに当たっては、総合的な学習の時間の趣旨等に沿ったものとする必要があること、その際、その活動の効果として、特別活動の学校行事として掲げられている趣旨の行事などと同様の成果が期待できる場合には、総合的な学習の時間における体験活動をもって相当する特別活動にかえることができるといった弾力的な取扱いが必要であるとしております。
 この体験活動の充実に関連いたしまして、先ほどの徳育のいわゆる教科化の話と同様でございますが、教育再生会議第2次報告ですとか、いわゆる骨太の方針2007におきまして記述がございます。これにつきましても、先ほどの関連資料4-3の15ページにその内容を記述しておりますので、ご参照いただければと存じます。
 続きまして、キャリア教育についてでございますが、66ページをお開きいただきたいと思います。全部で3つ○がございます。1つ目の○では、子どもたち一人一人の勤労観、職業観を育てるキャリア教育の重要性を記述しております。また2つ目の○では、課題について記述しております。そして3つ目の○では、ちょうど中ごろからですけれども、生活や社会、職場や仕事との関連を重視して、特別活動や総合的な学習の時間をはじめとした各教科等の特質に応じた学習が行われる必要があり、特に学ぶことや働くこと、生きることを実感させ、将来について考えさせる体験活動は重要であるとして、特別活動における指導、職場見学、職場体験、就業体験などについて記述をしております。
 次に、8番の各教科・科目等の内容のうちの14道徳教育についてご説明を申し上げます。123ページをお開きください。大きな内容の構成につきましては、先ほどの道徳教育の充実についてにおきましてご説明申し上げましたが、具体的な内容といたしましては、124ページの改善の具体的事項に記述しております。(イ)では、道徳教育の学校や学年の段階ごとに重点化を図ること、そして小学校の道徳の時間では、例えば低学年で基本的な生活習慣、善悪の判断、決まりを守る。中学年で集団や社会の決まりを守り、身近な人々と協力し助け合うこと。高学年で他者との人間関係や社会とのかかわりに一層目を向け、相手の立場の理解と支え合い、集団の一員としての役割と責任などを重点の例として挙げております。
 また、(ウ)では中学校について記述をしておりまして、道徳的価値に裏打ちされた人間としての生き方について自覚を深める指導を重視し、その際、法や決まり、人物から生き方や人生訓を学んだり、自分のテーマを持って考え討論するなど、多様な学習を促進することとしております。
 また、高等学校につきましては(エ)で記述をしておりまして、道徳教育の全体計画の作成を必須化すること、社会の一員としての自己の生き方を探究するなど、生徒が人間としての在り方、生き方にかかわる問題について議論し、考えたりして、その自覚を一層深めるよう、中核的な場面となる「倫理」や「現代社会」、「ホームルーム活動」について内容の改善を図るとしております。
 そして次のページでございますが、(オ)で、特に法や決まり、人間関係、生き方など社会的自立に関する学習について指導、教材等の工夫が必要としているほか、その下の(カ)以降でございますが、書く活動や語り合う活動の機会の充実、情報モラルの関係、あるいは道徳の時間の授業公開の促進などについて記述をしております。
 続きまして最後に、その下の15の特別活動でございます。下の注釈1でございますけれども、特別活動は学級活動、児童会・生徒会活動、学校行事などの内容から構成されているものでございまして、特別活動を取り巻く課題といたしましては、例えば好ましい人間関係を築けないことや、望ましい集団活動を通した社会性の育成が不十分といった状況、そして特別活動そのものにつきまして、特別活動全体の目標は学習指導要領で示されておりますが、学級活動や児童会活動といった内容ごとの目標が示されていない、その活動を通して何を育てたいのか不明確であるといった指摘がなされているところでございます。
 このような状況を踏まえまして、改善の基本方針として、1つ目の○では、特別活動について、人間関係を築く力、社会に参画する態度、自治的能力の育成を重視するとし、その次のページでございますけれども、学級活動や児童会活動といった内容ごとに目標を示すとしております。また、ちょうど3つ目の○でございますけれども、生活を改善する話し合い活動、多様な異年齢の子どもたちから成る集団による活動を一層重視するとし、体験活動の振り返りの重視も記述しております。
 改善の具体的事項としましては、小・中・高等学校のそれぞれにつきまして内容ごとに記述をしております。例えば小学校で言いますと、学級・学校生活充実活動につきましては、話し合い活動や自分たちでルールをつくって守る活動の重視などを記述しており、その下では、より良い人間関係を築くための社会的スキルを身に付けるための活動を効果的に取り入れることなどについて記述をしております。また、(イ)の児童会活動ですとか、次のページの(ウ)のクラブ活動につきましては、自治的能力の育成や人間関係を築く力の育成の充実などの観点から具体的な内容を示すこと、(エ)の学校行事につきましては、集団宿泊体験や異年齢交流、文化的な体験などを充実する観点から改善を図るとしております。
 中・高等学校につきましても同様に、それぞれの内容項目につきまして改善内容を記述しているところでございます。
 以上でございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 それでは、今ご説明いただきましたところにつきまして、皆さんのほうからご意見、ご質問をお願いしたいと思います。何かございませんでしょうか。
 中村先生。

【中村委員】
 これは質問になるかと思いますけれども、58ページの一番上の○、先ほどご説明があったなお書きのところに、教材の充実を図り、これを活用した道徳教育の改善が図られるために、国や教育委員会等による十分な条件整備が必要であると。趣旨は分かるのですけれども、こういう場合に、国や教育委員会などと並列しちゃっては、役割分担がよく分からないという問題と、それから、教科にしないということですから、この教材というのはどこまでを指して教材の充実を図ると仰っているのか、その辺が専門部会でどういうご議論があったのかを教えていただきたいということでございます。
 以上でございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。では、森友学校教育官、お願いいたします。

【森友学校教育官】
 この点につきましては、59ページの上のほうにございます、先ほどの道徳の時間の教育課程上の位置づけなどに関する箇所でございまして、その中で、多様な教材の活用が重要であり、学校や教育委員会の購入する副読本等に補助するなどの支援策が必要といったご意見が出たこともございます。そういったことなどを踏まえまして、こういった記述を中身のほうに書いているところでございます。教育委員会において教材を作成するといったようなこともその中には含まれてこようかと思いますが、中身が明確になっているものでもございません。

【梶田分科会長】
 それでは、天笠先生。

【天笠委員】
 失礼いたします。
 125ページの特別活動の基本方針の中に、特別活動、道徳、それに総合的な学習の時間の関係を整理し、こういう文言が入っていますけれども、私は基本的にこの文言が大切ではないかというふうに思っております。そういう点で、総合的な学習の時間が必ずしも成果をこれまで上げてこなかった要因というのはいろいろあるんじゃないかと思っていますけれども、私はそれは、教育課程上の交通整理というのでしょうか、整理がしっかりできていなかったというのがその一因じゃないかと思いますし、とりわけ、ここの文言にあるように、特別活動、道徳、総合的な学習の時間の関係の整理の在り方というのがその1つの改善のポイントになってくるのではないかというふうに見ております。
 そういう点で改めて、今度はその前の体験のところ、61ページのところを拝見させていただきますと、○のところの「なお、」以下のところであるわけですし、とりわけ最後の4行というのでしょうか、これはどういうふうに読んでいったらいいのかどうかということが、この文章では大変分かりにくいと言えば分かりにくいところかと思っているのですけれども、総合的な学習の時間における体験活動をもって相当する特別活動にかえることができるといった弾力的な取扱いがということとの関係を整理するということと、それからこのあたりの扱いというのをこういう文言でするということは、何か非常にねじれたような方向を示しているような、そんな印象を持たざるを得なかったということで、この部分でいくと、特別活動と総合的な学習の時間はまさに渾然一体となるような、そういうふうな方向性がここには示されていると思いますし、前の125ページのところは、まさに整理という意味においてということになるわけで、そういう点では私は、この61ページの文言についてはもう少し検討すべき点があるのではないかと思います。
 以上です。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。何かこの辺につきましてご説明いただくことってありますでしょうか。よろしいでしょうか。
 では、ご意見をいただきます。寺崎先生、次に無藤先生お願いいたします。

【寺崎委員】
 ありがとうございます。実は今、天笠先生が仰ったことと同じことが私も読んでいてちょっと気になったのです。この弾力的な扱いというのは、学校にとってはいろいろ自由度があっていいことではありますが、特活と総合的な学習の時間に関しては、弾力化し過ぎちゃって、この中にも書いてありますけれども、本当に総合的な学習の時間を学校行事の練習などに置きかえちゃって、勝手に読んじゃっているようなところがかなりあります。ですから、そういう意味ではこの仕分けのところはきちんとして、具体的に例えば職場体験だとか奉仕体験だとか、こういうものであればいいよみたいな歯どめを入れるとか、これは弾力的ではなくてきちんと明確に示しておかないと、かなり危険だなという感じがいたします。
 それから別件でもう1点ですが、道徳のほうで、いわゆる教育課程上の位置づけの問題ですが、これまでこれに関するいろいろな議論を聞いていると、いわゆる道徳の時間の授業を様々な工夫でしっかりやっているところは、大体現行でいいんじゃないかというとらえ方が多いと思います。つまり、いわゆる郷土資料などの資料も自分たちでつくったり、それからこれは中村教育長がいて、おもねるわけじゃないのですけれども、東京都の場合ですと、道徳地区授業公開講座というのを全部の学校がやりまして、保護者もかかわって道徳教育の在り方を議論したりする。かなり学校は、平成11年に始めたころはいろいろありましたけれども、それから3年たって平成14年に全校完全実施になって以来、いろいろな工夫をするようになり、保護者も興味・関心を持ってやっております。ですから、そういうようなものを逆に変に枠組みをすることによって意欲を失うようなことのないようにすべき、要するに、やってないところのために何かするために、きちんとやっているところ、ちゃんとやっているところの足を引っ張ることのないような、そういう意味では、ここにある引き続き検討のところで、十分そういうことを検討していただきたいなと思います。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 では、無藤先生お願いします。

【無藤委員】
 私の意見も61ページのところで、お2人の委員の意見と重なりますけれども、その上のなお書きのところの○で、私は体験的な活動を行う場合に、総合的な学習の時間で行うものと特別活動で行うものと趣旨が重なる場合は当然あると思うので、弾力的な取扱いがあってよいというふうに思いますけれども、ただ、そのなお書きの最初の1行の部分で、総合的な学習の時間に行う場合に、総合的な学習の時間の趣旨を十分踏まえていくということが大事だと思います。その趣旨というのは、たしか、総合的な学習の時間を以前に議論したときにも、一部の学校で体験的な活動をいわばやりっ放しに終わっていて問題だという指摘があったと思いますので、要するに、体験的な活動を行うにしても、それについて児童生徒が十分に振り返って自分たちの考えをまとめて文章としてあらわしていくとか、現在、総合的な学習の時間の改善の方向が出ているわけですけれども、やはりそれを十分踏まえるということを強調していただければと思います。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 では、渡久山先生。

【渡久山委員】
 1つは、道徳教育のところなんですが、基本的には今の記述はそれでいいと思うのですけれども、やはり最近よく出てきたのが規範意識という、これは僕は1つの政治用語になりつつあるんじゃないかと思って、これは解釈の仕方によっては非常にいろいろあって、何か分かったような分からないような言葉になっているような気がするのです。
 それからもう1つの道徳的考え方の1つとして、やはり共生社会へ共に市民として参加し得る態度とか、あるいは生きざまとか、それが非常に求められているんじゃないかと思うのです。だから、今後は、何か道徳教育といったら今までの儒教的な徳目主義で、それが何か道徳的だというような感じがするのですけれども、そうじゃないだろうという感じがします。それから先ほど寺崎先生が言われたように、お互いに議論しながらその中からシチズンシップをつくっていくという感じの道徳観というのが非常に大事じゃないかなと。それがやはり生きる力にも出ていくんじゃないかなと思います。共生社会をどう生きるか、そしてその生きるためのルールというような感じて見ていくべきじゃないかと思うのです。
 それから体験活動の件ですが、これは総合的な学習の時間と一緒にしてやっていくのが非常に大切と思うのです。ここに樋口局長いらっしゃいますけれども、兵庫あたりでやっているトライアルウイーク、あれなんかは非常に社会教育でもあるし、キャリア教育にもなっていますし、それが職業の選択をしていく意味で非常に体験的なものになっているのです。ですから、あまりこれを縛り込まないで、もっと学校の裁量というものに生かして、これを使っていけるようなものが必要じゃないかと思います。
 それから特別活動で、今、児童・生徒会活動が非常に低調になっているのです。ということは、子どもたちの自主性とか自立性というものを育てるというような教育環境にない。なぜかというと、非常に管理的な側面が子どもたちにもずっといっているんじゃないでしょうか。ですからそういう面では、どうも自主的に自分たちでルールをつくる、あるいは自分たちで1つの社会をつくっていって、より政治的な訓練をしていくということが、機会としても、あるいはそれを支援するという学校側や教師側の態度、これも非常に今不足しているんじゃないかという気がします。もちろんこれは条件整備も必要だと思いますけれども、そういうように、総合的な形で物を見た場合に、もっともっと学校の条件を整備して、もっと裁量のことを増やしていく。ですから、よく僕も言いますけれども、事務量が非常に多いと言われているのです。学校事務量調査、そういうもので非常に多いと言われていますから、そういうことを極力なくしていくようにできないかということと、やはり教職員はもっときちっと増やして、今度もここにちょっと増やすように書いてあるのですけれども財務省がだめだと言っているようなんですが、本当に今、学校現場を見てほしいのです。これは子どもたちにそのまま響いていくのです。教職員を増やすことは国の財政が非常に厳しくなるということは当然なんでしょうけれども、ただ、将来の社会を担っていく子どもたちをどうつくっていくかということを真剣に考えないと、このままでは僕はよくないと思います。ですから、めり張りのある国家予算というのが必要になってくるんだろうというような気がいたします。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。今、最初にご指摘の、規範意識という言葉をご指摘いただいて考えますと、確かに、道徳と置きかえて言ってはこれはまずいなということを私も思います。ずっと道徳という言葉で日本で言われてきたのは、人としての在り方、生き方についての意識といいますか、価値観といいますか、これであって、これには自分自身とのかかわりをどうするか、ほかの人とのかかわりをどうするか、世の中、社会とのかかわりをどうするか、この3つの軸があるとずっと言われてきたわけですが、規範というと、どうしても社会とのかかわりというところだけがクローズアップされてしまいがちである。それからもう1つ、規範、ノームですから、外側に基準があって、あるいは何か標準があって、それをどういうふうに内側で内面化するかだけが言われそうな感じがして、そういう規範の面もあっていいのですけれども、少なくともイコールにはならないように言葉遣いを考えないといけないかなというふうに、ちょっと今思いました。これは少し後で、全体を見直すときに考えてみたいと思います。
 荒瀬先生。

【荒瀬委員】
 125ページの(オ)のところで、特に小学校高学年や中学校の段階で、法や決まり、人間関係、生き方など、というここのところで、法や決まりというのが大変具体的に出てきているというのが、私は、まさに今、梶田先生が仰ったことと深くかかわっていると思います。これは発達段階によってきっと異なると思いますので、先ほどの例えば体験活動とか総合的な学習の時間をどう整理して区分けしていくかということも、発達段階によってそれはきちっと分けておかないといけないということもあるでしょうけれども、最終的にその体験活動もキャリア教育もあるいは特別活動も、あるいはもっと言えば道徳も、社会で自立して生きていく、そしてその自立した個人が集合した社会というのがより調和のとれた進んだ社会になっていくということを考えれば、その発達段階に応じて弾力化していくというのは、当然そうではないかなということを思います。将来的には1人の個人の中にそれらすべてが培われていくということが求められているのだというふうに思っています。ですから、61ページの先ほどからお話の出ている部分は、ちょっと一文が長くて、少し整理をしていただいたほうがきっといいとは思うのですけれども、ここで言われている弾力的な取扱いというのは、発達段階に応じては私は必要なことではないかなということを思っております。もちろん、なし崩しにしていくということでは全くないということは当然のことであります。
 以上です。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 土井先生。

【土井委員】
 道徳について二、三申し上げさせていただきます。
 文章の内容自体には基本的に異論があるわけではございません。ただ主に、今、議論に出ていた規範意識のところで、規範意識というのをある方向で強調し過ぎると、いかにしてルールあるいは規範をひたすら守らせるかという議論になりますので、それはよくないだろうと思います。やはり基本的にルールを守るということも規範を守るということも、それによって自分が生かされるのであるというところを理解させる必要があるわけです。逆にいうと、それを守ることによって一人一人が生かされないようなルールは問題があるということをしっかり理解させていく。そうすることによって、ルールというものの形成に自分も参画しないといけないし、参画した以上は、それに対して責任を負わなければいかんのだということをしっかり教えるというのが規範あるいは道徳を考える上で重要ですので、何か一方的に守らせるのだというふうに誤解のないようにしていただいたほうがいいのではないかと思います。
 それからもう1点目は、先ほどの調査のところでも出ていましたが、実は道徳というのも基本的には活用のほうが重要でして、基本的な原理は、すなわち、人を殺してはいけないとか、人の物を取ってはいけないということを知らないという子どもはそれほどいるわけではございません。問題は、やはりそれが具体的な活用の段階になったときに、子どもたちが揺れるということだと思います。例えば、例として私もよく挙げるのは、約束を破ってはいけないというルール自体は一般的にみんな分かっているわけですけれども、例えば、友達から、これはだれにも言わないでねと言われた。しかし聞いた内容が、例えば2階のガラスの窓を割ったのは私だとか、あるいはどこかで悪いことをしてしまったというふうに言われたときに、じゃあ言わないでねという約束を守るのかどうかという問題に子どもたちは直面するわけです。基本的にはそういう領域というのは、おそらく先生の見えないところ、あるいは親の見えないところで発生する問題で、したがって、何か道徳教育をするというのも、固まったものを教えるわけではないし、あるいは指導あるいは監督を強化するだけでは解決になりません。本当の意味での良心というのは、監督のないところで動くものですから、それをいかに動かせるようにするかということが重要なんだろうというふうに思います。その意味では、道徳の時間は日常生活のいろいろなところで生じている問題が道徳的な問題なんだ、自分がそこで立ちどまって考えなければならない問題なんだということを気付かせるための時間にしか過ぎないわけで、本当の意味での道徳の活用というのは、ここにも書かれていますように、すべての時間の中で行われるというのがやはり原則で、どこかに、先生の授業そのものにすべてをしょわせれば何か解決が生じると考えるのはやはり適当ではないので、今回のような方向で全体を整理しながらまとめていくのがよいのだというお考えは、私は基本的に賛成です。
 以上です。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。本当に、今仰ったように、何か授業で先生がしゃべれば、みんな子どもに身につくはずだみたいな、そういうことでどうも世の中で教育の議論がされているように思って、非常に困ったなあと思うことがありますが、今、仰ったとおりだと思います。
 では、藤井先生。

【藤井委員】
 ただいまのご意見とほぼ同じようなことでございますが、先ほどから出ておりますように、この道徳の時間が創設されてもう長年たちまして、最初はこの道徳の時間の確保というようなことがさんざん言われておったのですが、まだまだ今の中身を見ても、時間の確保ができてないというようなことがありますけれども、これは相当格差がありまして、先ほど、東京都の例が出ておりましたように、本当にやっているところはしっかりやっているというふうに私も認識をしております。
 それから、今、土井委員さんが言われましたように、特設の道徳時間だけへの期待が大分議論されていて、実は教育活動全体の中で道徳的なことをどう教えるかということだと思うのです。私は今の学校現場を見ておりまして、やはり子どもたちのいろいろな生活あるいは過ごし方が、現状追認主義といいますか、子どもが自主的に考えているから、それは全部認めてしまおう、こういうような流れが結構あるわけです。例えば運動会で行進をやろうといっても、子どもたちがやらないと、じゃあそれはもうやめてしまおう、あるいは校歌を歌おうといっても、あまり声を出さないからもうやめよう、そういうような子どもたちの実態に流された指導というのが結構あるわけでして、逆に、何を学校側がきちんとやらせたいのかという、しっかりとした個々の目標に沿って先生方が子どもたちをリードしていくということが、今、非常に大事だと思うのです。それがないので、この規範意識というような言葉になっているのではないか、私はこんなふうに思うわけで、ですから、現状、子どもたちの姿を見て、ただそれに流されるだけじゃなくて、もっとしっかりと自分たちが、大人の側が、どういう子どもたちに育ってほしいかという願いをもっともっと子どもたちにぶつけていく、こういうのが教育活動全体にもっと出てくることが大事かなというふうに思っておりまして、どうも特設の時間の話ばかりで、これをどうしたらいいかというようなことなのでございますが、ですから、当然私は、教科的な扱いなどしないで、現状の中でそういった向き合いをしっかりとしていく。そのためには、先ほど渡久山委員が仰ったように、子どもと先生方がもっと向き合う時間というのは確かに必要だと思いますが、かつてに比べると、先生方が子どもと遊んであげる時間がない。昼休みでもほとんど子どもたちは子どもたちだけで遊んでいる。ですから、そういう中に先生の姿がもっと見られるような現場を、条件整備として確保していく、こういう考え方がやはり一方では必要だと思っております。
 以上です。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 では、まず安彦先生。

【安彦委員】
 道徳教育について一言申し上げますけれども、123ページでは、3つ目の○で、学校と家庭や地域社会が一体となる取組ということが、方針として書かれているのですけれども、具体的事項のほう、124ページ、125ページには、その部分があまり出てないと思います。私は、専門部会に出させていただいたときも申し上げたことなんですけれども、道徳教育の部分というのは、教科教育と違って、どうしても一般的な行動のほうの面が強いものですから、社会の影響を直接に受けやすいということです。教科は割合、学問という枠があって、それで教科の勉強は守られていますけれども、行動の方は結果として社会から非常にマイナスの影響を受ける。とりわけ中・高あたりになってくると非常にストレートにそちらとの関係が深くなって、せっかく学校で道徳教育をやって育てた徳性もどんどんはぎ取られてしまうような、そういう状況にあると思うのです。その辺はやはり社会のほうの私たちの側に、学校と一緒になって子どもの健全な発達、成長に取り組んでいただけるような意識を持っていただかなきゃいけない。そういう意味で言うと、これは市川委員が言われたと思うのですけれども、相互乗り入れというか、道徳教育についてはとりわけ家庭や地域、そういう社会の側から一緒になって学校と一体的に取り組みましょうという、そういう体制あるいはシステムをつくらないと、なかなか成果は上がらない。そういう側面がぜひ124~5ページあたりに、家庭や地域と連携し、一体となって指導に当たる体制、システムをつくる。既に一部、保護者や地域の方が学校へ来て道徳の時間に教育としてやってくださっている部分があると思いますけれども、それをもっと強化していただいて、学校だけでというよりは、むしろその中へどんどん社会の側から入ってきていただく、そして一緒になって道徳教育をしていただくということを自覚的に進めていただきたいなと。その辺をこの方針とあわせて、方針に合う形で具体的事項の中に入れていただきたい、それをお願いしたいと思います。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 では、天笠先生。

【天笠委員】
 済みません、先ほど発言してまた再びということで申し訳ございませんが、1点お願いいたします。
 これは66ページから67ページにかけてのキャリア教育にかかわってでありますけれども、ここのところに記述されていますように、特別活動や総合的な学習の時間をはじめとした各教科の云々という、いうならば教育活動全体ですとか、あるいは教育課程全体を通してということでこのキャリア教育を実施していこうというやり方というのでしょうか、それがここのところで出ているかと思うのですけれども、今日初めて各教科を横断して改善すべき事項ということがこれで全部そろった形になるわけで、そういう点ではそれぞれの各項目の記述を見ていきますと、比較的そういうことについての、どういう教育課程の中での位置づけというのでしょうか、それを捨ててそこで進めていくかという、そういうことが明示されている、例えばキャリア教育の扱い、記述の仕方とか、あるいはほかのを見ると必ずしもそういうふうな形じゃなくて、課題はありますよという、こういう明示の仕方等々があるわけですけれども、改めて私は今回、この教科を横断しての課題の部分というのが1つ大切なところかなというふうに思っておりまして、この全体を通しての扱い方と、それぞれのキャリア教育を含めた食育ですとかものづくり等々の、改めてこの部分の基本的な方針というのでしょうか、教育課程上の位置づけの扱い方等々というのを、ここのところにもう少し記述を加えられるとよろしいのかなというふうに思います。要するに、教育課程全体を通してというのは、言葉としては分かるわけですけれども、それを具体的にどういうふうに扱っていくということがそういうことにつながっていくのか、具体的になっていくのか、このあたりを丁寧に記述していくということもまた大切なことなのかなと思います。
 以上です。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 それでは、市川先生。

【市川委員】
 それでは、中学校部会とか、あるいはこの道徳関係の部会でも少し発言させていただいたことなんですけれども、改めてこの教育課程部会でも少し道徳教育等について意見を述べたいと思います。
 今度の道徳教育ということで、私はこれまでの道徳教育とちょっと一味違うものとして求められているものが3つあると思っているのです。1つは法教育的なもの、1つはキャリア教育的なもの、的なというのは、ずばりではないにしてもです。もう1つは心理教育的なもの、この3つなのです。文言の中にも既にそういうことが盛り込まれていて、例えば125ページでも法や決まりとか、あるいは人間関係、これは心理的なものも入ってきているんだと思うのです。渡久山先生は徳目的なと仰いましたけれども、いわゆるこれまでの道徳教育の、どちらかというとそういうところに重点があったのが、こういう3つの新しい側面のものが求められている。しかし、道徳の時間にすべてをというのはとても無理です。ですから、道徳の時間というのがそういうことの核になるもの、いわば理論編と実践編というのがあるとすれば、理論編のようなことを道徳の時間にしっかりやっていただいた上で、更に深めたいというときには総合的な学習の時間があります。それから実践編としては、特別活動の中で生徒会活動もありますし、更に、部活というのも今回触れられると思うのですけれども、まさにその部活の中の人間関係でいろいろなあつれきが起こったり、そういうときにどのような決まりをつくっていくかとか、なぜそのようなあつれきが起こってしまうのかということを人間関係的に理解するというような実践として身につけていく。更に安彦先生が仰ったような地域の活動にも参加していく中で、社会人と共にそういうことを実践的に身につけていくような広がりになっていけばいいのではないかと思っています。
 そういう位置づけの中で、改めて心理教育的な面ということに関しては、私も少し専門が近いので発言をしてきました。特に、中学生ぐらいになりますと、いじめはいけないということは分かっていても、やはりいじめが起こる。何で人をいじめてしまうのか、悪いと思っていても人をいじめてしまうことがあるのです。うそはいけないと分かっていてもうそをついてしまうことがあるとか、あるいは差別とか、ステレオタイプ的な見方をするというようなことが、どうしても人間の心の仕組みとしてある。心理学では、社会心理学とか臨床心理学の中でそういうことが結構研究されてきて、やはりそういう仕組みを理解した上で自分をコントロールしていくというようなことが求められます。単に人をコントロールする道具として心理学があるのではなくて、自分自身を理解して自己制御していくという面、これが非常に大事だと思っていますので、むしろ道徳教育の中で、何々をしてはいけないというだけではなくて、ついそういうことをしてしまうメカニズムを知った上で自分を律していくというようなことも含まれていくといいのではないかと思っております。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 ほかに。では宇佐見先生。

【宇佐見委員】
 全体の記述について申し上げるわけじゃないのですが、今、安彦先生も仰った、道徳なんかについて学校、家庭、地域の連携、協力が不可欠だということについては、誠にそのとおりだなと思うのですが、大変失礼な言い方をさせていただければ、これは社会情勢の変化によってだんだん離れていくし、今後もその要因がなくなるということはなかなかないかなと、こんなふうに思っているわけなんです。その具体策をもうちょっと記述しないと、先生方だけじゃできないよということを訴えていることに終わりはせぬかなと、こんな気もいたしまして、どういうことをしたら一体感といいましょうか、協力関係ができるかということの記述がより具体的に要るんじゃないかな、こんなふうに思います。かといって、じゃあ名案があるかというと、ないんですけれども、例えば企業ではこのようにみんなで問題になっているときにどうするか。いろいろなポジションのところが一緒になってやらないととてもできないというのは往々にしてあるわけですが、そのときはプロジェクトチームをつくってみたり、何とか委員会をつくってみたり、そんなことをしながら相互協力をより一層やっていくとか、そういう具体的な事例があるのかどうか分かりませんけれども、この一体的というところの具体的なことを書くわけにいかないだろうかなと、こんなふうに思いました。
 それと、この一体感といいますのは、実は道徳だけじゃなくて、安全なんかも同じだなと。それから教科横断的なところはすべてどこも関心があるところなのです。安全1つとってみても、家庭の親御さんもそうでしょうし、地域社会もそうでしょうし、そういうように、教科横断的なところがすべてそれぞれが一体感を持つにはどうしたらいいかというのを、それから環境だとかエネルギーなんていうのも地球規模で一体感がないととてもできないわけでございますので、そういう部分もあわせて考える必要があるなというふうに思うのです。
 それからこういう共通的な課題は、もう1つは、生徒個々人の自主性といいましょうか、自分で考えるにも格好のテーマじゃなかろうか。教えるということと共に、自分たちで考え、自分たちで行動するという1つの重要なアイテムで、これは大人になっても、それこそ考える力、あるいは生きる力の根元になる部分で、そういう意味でこういう教科を生かしていくという視点もどうかな、こんなふうに思う次第でございます。
 以上でございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。この問題は、また次のときまでに、少し今日いただいたご意見で少し修文をしてというふうに思っております。ただ、とても大事なのは、今、いろいろな先生方から出ましたけれども、道徳などが、下手すると表面的な話で終わってしまいがちで、一体感でも、言うのは簡単ですけれども、一緒に腹の底から笑ったり、一緒に涙を流したり、一緒に汗を流したりしないと実感としては出てこないところがあって、それを教育の中でどういうふうに実現していくかというようなところが多分あるんだろうと思うのです。今、そういう点をご指摘いただいたんじゃないかなという気もいろいろとするわけですけれども。
 ただ、今、道徳をめぐって、私はあえて申し上げますけれども、世の中で非常にいろいろな意見がありますね。大体、金と地位ができると世の中に対してお説教したがるんですよ。でも、大抵たたけばいろいろなほこりが出てくるという事例がいっぱいあります。それを見ていたら、子どもたちだって、規範だとかどうのこうの言われたってなかなか実感ではというところもあります。というようなこともありますので、私たちは地道に、本当に地道に、やはり人間としての在り方、生き方みたいなものを、やはり自分に対してとか、ほかの人に対してとか、世の中に対してという、そういう前から言われてきたようなところを、具体の教室での活動の中で、あるいは登校から下校までの学校での活動の中でどうやれるかということをもう少し考えなきゃいけないなと。この辺はなかなか難しいので、中間まとめではあまりはっきりしませんけれども、しかし、最後の答申までにはもう少しその辺の地道な取組が表に出てくるといいなと私は思っております。
 それでは、これはこのあたりにしまして、もう時間があまりありませんけれども、平成20年度予算の概算要求後の状況についてご説明をいただきたいと思っております。これまでも、教育条件の整備ということで、この審議の概要にもいろいろと入れております。頑張れ、頑張れ、あるいはこれをやるべきだ、べきだ、べきだと言うだけではどうにもならないところがあって、それが本当にスムースな形でやれるようにするためには、お金とかそのほかのものの条件整備が不可欠なわけですけれども、そのために、文科省として非常に今、ご尽力をいただいております。本日は、前川審議官から、その辺につきましてちょっとご説明をお願いいたします。

【前川審議官】
 ありがとうございます。お時間をいただきまして、教職員の定数、給与に関する概算要求の状況についてご説明したいと思います。資料5-1と5-2という2つの資料を用意しております。資料5-1はおさらいでございまして、どういう要求をしているかということでございますけれども、簡単に押さえさせていただきたいと思います。
 キャッチフレーズといいますか、キーワードは、子どもと向き合う時間の拡充ということでございますが、まず人的な措置ということで左側、A、B、Cと分けてございますが、Aというのは定数改善であります。3年間で2万1,000人余り、来年度分として7,100人余りの教職員定数を増やしたい。その要素といたしましては、主幹教諭を配置するために必要な補充教員の配置、また、事務の共同実施をはじめとする事務職員の拡充、それから小・中学校を通じた特別支援教育の充実、この中には養護教諭も含まれております。また、食育の充実のために栄養教諭の配置、更に学力の向上を期して習熟度別・少人数指導を拡充するために必要な指導方法の工夫・改善のための定数、こういったものを含めまして2万1、000人としておるわけでございます。
 Bというのは、定数改善によらずに、予算措置によって外部人材を非常勤講師の形で学校に導入するというものでございまして、3年間で全国で1万5、000校、来年度分として5,000校に配置したいということでございます。小学校高学年の理科などの専科の非常勤講師、あるいは小1プロブレム・不登校対応といったものに活用してまいりたいという考え方でございます。
 Cというのは、地域人材を活用する、地域人材の協力を求めていくということでございまして、各中学校区を1つの単位として考えまして、学校支援地域本部(仮称)といった組織を設け、コーディネーターを置いて、地域の方々に有償あるいは無償で部活動の指導、学校環境整備、登下校の安全指導といった仕事に協力していただく。これを全中学校区1万カ所で設けてまいりたい。その4分の1ということで来年度の要求をしているわけでございます。
 昨年に行いました教員の勤務実態調査によりますと、教員1人当たり平均して1カ月34時間の残業をしているということだったわけでございますけれども、こういった人的措置を行うことによって、その残業を半分に抑制できるのではないかと考えております。
 そうしたことを前提をいたしまして、給与の処遇の問題についても見直しを図る必要があるということでございます。それが右側でございますけれども、これは昨年のいわゆる骨太の方針で、教員については一律優遇に係る部分を2.76パーセント削減するという政府としての方針が決まっております。これは19年度予算では見送りにしたわけでございますけれども、20年度はこれはやらざるを得ないということで、20年度から4年間かけてこの430億円を減らしていくということになります。しかし、この一律優遇の部分について一律に下げるということはいたすつもりでございますけれども、あわせまして、めり張りのある形で処遇を改善するということにも取り組む必要があるということで考えておるのが800億円分でございますけれども、1つは、さきの学校教育法の改正で設置することができることになりました副校長、主幹教諭、指導教諭について必要な処遇を行う、これが50億円分、また部活動手当、現在は4時間以上土日に行った場合に1,200円という額でございますけれども、これを倍増の2,400円まで出るようにしていきたいということ、こういったものを含めて50億円。一番大きいのは、教職調整額の見直しでございますけれども、現在の教職調整額は、すべての教員に一律に本給の4パーセントが出ております。これは40年前の勤務実態調査の結果で、一月当たり平均8時間の残業をしているという、その8時間に見合う額として4パーセントを設定してあったわけでございますけれども、現状ではそれをはるかに上回る残業をしている実態がある。先ほど申し上げたように、月平均17時間の残業時間ということを念頭に置いて、それに見合う額を支給する必要があるだろうと考えております。ただし、これまでのようにすべての教員に一律に4パーセントという支給の仕方は見直す必要があるということで、一律支給を見直して、例えば休職中の教員については減額あるいは支給しないといった措置を含めて、めり張りをつけた形で教職調整額を出していく。
 こういった措置を講じてまいりたいということで、差し引きいたしまして4年間で370億円分、これは国庫負担ベースでございますけれども、改善を図っていきたいということでございます。
 こういった定数を含めた人的措置、それから給与面での処遇改善を含めまして、来年度の要求額としては、一番右の下でございますけれども、433億円の増額要求をしているということでございます。これが給与、定数等にかかわる概算要求のおさらいでございます。
 現在どうなっているかということでございますが、文部科学省と財務省との関係は、端的に申し上げて膠着状態ということでございます。一歩も前へ進めないということでございますが、一歩も後ろに引かずに頑張っているという状態でございます。さきの財政制度等審議会が開かれたわけでございますが、その財政制度等審議会に財務省が提出した資料がございまして、これは永田町の先生方にもかなり出回っているわけでございますが、どういうことを言っているかといいますと、教員は忙しくない、教員の数は少なくない、教員の給与も少なくない、こういったことを言っておるわけでございます。要は、定数改善も給与改善も必要ないということを説明するための資料が出回っているわけでございまして、その財政制度等審議会の後で、会長の西室先生は、文部科学省の要求にはあっけにとられる、文部科学省は悪のりしているのではないかというコメントがあったと、これは新聞情報でございますけれども、そういう状況でございまして、なかなか私どもとしては苦しい状況でございますが、5-2として用意いたしました資料は、財務省の主張に対するいわば反論ペーパーでございます。教職員をめぐる状況というのはどういうものかということを端的に説明したいということで用意したものでございます。2枚めくっていただきますと1ページでございますけれども、我が国の小・中学校の教育条件は、これまでの7次にわたる定数改善にかかわらず、まだ国際水準には達していないということでございまして、1学級当たりの児童生徒数は、OECDの平均に比べてもまだまだ小学校も中学校も高い数字である。また、教員1人当たりの児童生徒数で見た場合にも、OECD平均よりもかなり高い数字であるということで、財務省は、日本よりも悪いところと比べていいと言っていますけれども、先進国の標準と比べた場合には、まだ日本は改善の余地がある、改善すべき部分があるということでございます。
 それから2ページ以降は、学校が抱える問題が非常に困難化しているということを示す指標でございまして、幾つかピックアップしたわけでございますが、まず2ページは、不登校児童生徒の割合、これが平成3年と平成18年度を比べますと、小学校で0.14パーセントから0.33パーセントまで2.4倍に増えている。中学校では1.04パーセントから2.86パーセントまで不登校児童生徒の割合が増えている。
 また、学校内での暴力行為の件数、これは統計のとり方を改めたので、平成9年度からの比較しかできませんけれども、平成9年度と平成17年度を比べても、小学校で1.5倍、平成17年度は小学校で暴力行為が過去最高の件数をマークしたわけでございますが、中学校では1.3倍に増えているということでございます。
 また、次のページ、家庭に問題を抱える児童生徒が急増しているということでございまして、これは平成2年度と平成18年度を比べた数字ですけれども、児童虐待の相談処理件数です。これはもう実に34倍に増えているという状況がございます。
 また、学校に在籍している児童生徒の中で特別なケアが必要な子どもが増えているというのが5ページ以下でございますが、小・中学校の通常学級に在籍する障害を持った児童生徒で通級指導を受けている者の数ですが、これが平成5年度と18年度を比べて小学校で3.3倍、中学校で5.7倍に増えているという実態がございます。
 また次の6ページの数字は、日本語指導が必要な外国人児童生徒の数、これも地域的に非常に大きな伸びがあるわけでございまして、地域によっては、もう全校の児童生徒の約半分が外国人だというところも出てきておりまして、新1年生は半分以上、過半数が外国人、あるいは今、生まれている子どもの9割は外国人、そういう地域もあるわけでございまして、これはもう待ったなしの問題になってくるわけでございますが、平成3年と比べた場合に小学校で4倍、中学校で3.5倍の数になってきている。
 また、保護者との対応が非常に難しくなっているという1つの例でございますけれども、学校給食費を払わない保護者が小学校のうちの4割には存在している、中学校では5割以上の学校でそういった保護者を抱えている、こういう数字がございます。
 次の8ページから以降は、教員がどのように多忙化しているかということの指標でございますけれども、財務省は、教員は多忙ではない、教員の授業時数は少ないというようなことを言っておりますけれども、我が国の学校の場合、教員が中心になって何でもやっているという実態がございます。教員以外には事務職員1人、栄養職員1人、あと養護教諭ということで、ほとんどの職員が教員であるというのが我が国の学校の特徴であります。アメリカの場合には、半数近くが教員以外のスタッフが支えている。ということはどういうことかといいますと、アメリカでは教員以外のスタッフが支えている部分を、実は日本では教員がやっているということが言えるわけでございます。
 9ページは、昭和41年の勤務実態調査と昨年の勤務実態調査を比べたものでございますけれども、どういう業務で教員の多忙化が増えているかということですが、1つは事務的な業務でございます。薄いレモン色のところですけれども。そのほかに生徒指導、補習とか部活動といった業務が目立って増えているということが分かるわけでございまして、その結果として月34時間の残業時間になっているということでございます。
 10ページ目は、教員の勤務時間を各国と比較したものでございますけれども、アメリカ、ドイツあるいはOECD平均と比べても日本は勤務時間が非常に長い。先ほど申し上げたように、日本の教員の場合には授業以外に行っている仕事が多いということで、これは事務的な仕事もありますし、先ほどの増えてきた生徒指導とか部活動といったものもございますけれども、こういった仕事が多いということで、勤務時間の長さは世界で一番多いほうであるということでございます。
 11ページは、昭和41年度と平成18年度の勤務実態調査を比べた数字でございますけれども、1カ月当たりの残業時間、昭和41年、40年前は8時間であったものが34時間に増えている。一方、1日当たりの休憩時間は、40年前は32分とれていたのが昨年の勤務実態調査では14分、これは年間をならしてでございますので、学期中ですと10分以下という数字が出てきております。これは1つの要因は、学校給食が普及したということがあるんだろうと思います。給食指導でお昼の時間がとられてしまうというのが1つの要因としてあるだろうと思っております。
 この多忙化が教員の心身にも影響しているというのが12ページでございまして、これは精神性疾患で休職をしている教員のパーセントでございますが、平成7年度で0.1パーセントだったものが平成17年度、10年後には0.45パーセント、3.5倍までふえているという状況がございます。
 13ページは、教員の給与について、給与が高い高いと言われるわけでございますが、本当に高いのかということでございまして、人材確保法の後、格段に教員の給与が改善されたのは確かでございます。その一番ピークが昭和55年であったわけでございますが、そのとき、一般公務員を100として105.8の水準にあった。この人確法に基づく優遇というのはその後どんどんと目減りをしてまいりまして、現在では101.2まで落ちてきているというのが実態でございます。一方、他の職種と比べた場合にどうかといいますと、確かに、一般公務員と比べた場合に多少の優遇措置は講じられていますけれども、警察職、消防職と比べればかなり低い水準にとどまっているということが言えるわけでございます。先進各国と比べた場合に、勤務時間が長いということもございますけれども、1時間当たりの給与の額というのは、イギリス、アメリカ、ドイツと比べても低いということが言えるわけでございます。
 こういった給与面での状況も相まって、教職という職業が必ずしも若者、学生にとって魅力あるものになってきていない。これは教員採用試験の倍率が下がってきているという現状が示しているわけでございまして、小学校ですと、平成12年度と18年度を比べて12.5倍から4.2倍まで減っている。中学校も17.9倍から11.7倍まで試験の倍率が下がってきております。
 特に都市部の小学校教諭の確保は、もうあと数年もすると危機的な状況、もう既に危機的と言っていい状況になっているというのを示したのが15ページでありますけれども、大阪府、名古屋市、川崎市、東京都、千葉県、大阪市、これが小学校教員の採用試験の競争倍率が低いワースト6でありますけれども、この状況は更に悪化していくだろうと思われます。退職教員が増えるという事情もございますので、これから更に人材難、人材確保難ということが起こってくるだろうと思われます。
 最後は、財務省の言い分としては、対GDP比で見た場合の公教育費、これはもうここにいらっしゃる皆様方はご承知のとおり、日本は最低水準でございます。そういう主張を私どもがいたしますと、財務省としては、いや、児童生徒1人当たりで見ると低くはないのだという反論があるわけでございますけれども、構造的に児童生徒1人当たりのコストが高くなってきているという事情があるということでございます。1つは、これは教員の年齢構成に基づくものでございますけれども、現在、50歳前後のところに非常に分厚い年齢層があるわけでございますけれども、年々教員の平均年齢が上がってきております。そのせいで、平成元年と平成17年とを比べますと、平均年齢が39歳から44歳と、5歳高まっている。これは、現在この50歳前後に固まって在職している教員が、あと10年もいたしますと退職するわけですけれども、その場合には逆に平均年齢が下がるという時期が参るわけでありまして、そのときには、この意味でのコストは下がることになります。教員の平均年齢が下がる時期が必ず来る、そのときには平均給与月額という指標もまた下がっていくだろうということで、現在は、この平均年齢が高くなるということが全体のコストを押し上げているという要素がございます。
 それから次のページは、学校が小規模化しているということなんですが、学校が小規模になりますと、どうしても子ども1人当たりのコストがかさみます。1校当たりの学校規模が一番大きいのは埼玉県で、一番小さいのは高知県でございますけれども、この2つの県を比べた場合には、児童生徒40人当たりの教員数でいきますと2倍近い違い、2.08人と3.88人という違いがございます。これは標準法という法律に基づいて均等な条件を確保するという考え方のもとでこういうことが起こるわけでありまして、高知県の学校が特にいい条件の下にあるわけではないわけであります。そういう結果として、1人当たりの学校教育費も大きな違いが出てくるわけであります。
 学校の規模が小さくなってきているというのが、18ページの資料が示すとおり、平成元年と18年を比べても、約4分の3に減ってきている。もちろん、財務省が主張するように、学校統合を進めれば、この部分は効率化できるわけでありますけれども、高等学校とは違って、小・中学校の場合にはなかなか統合というのは難しい側面がある。どの地域にも子どもがいる限りは、どんなに小さくても学校は存在しなければならないという事情がありますので、学校統合というのは1つの課題ではありますけれども、にわかには進めにくい問題である。こういった構造的な問題があってどうしても1人当たりのコストが高まってきているということがあるということでございます。
 こういったことで、こういった資料を使いながら、財務省に対抗しながら、更に説明を重ねて、各方面の理解を求めてまいりたい、これが現状でございます。
 以上でございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 今日はもう時間がありませんので、話し合いというわけにはいきませんが、もし一言でもこれについてご発言という方がおられましたらお願いします。
 小川先生。では、その次に黒須先生。

【小川委員】
 済みません、ちょっと時間をオーバーしているのですけれども、少し。
 去年の勤務実態調査のデータを、あの後、私たちは、あの調査に携わった研究者を中心にして、調査の再分析と、ああいう勤務実態をどういうふうにすれば改善することが可能かというふうなことで、各都道府県のいろいろな先進的な取組をまとめて、何か提言できればいいなということで、今、追跡の調査研究をやっています。それで今、全国の都道府県に、教員のゆとりの時間をつくるための業務改善の取組を全国調査する予定でいるのですけれども、そのために今、幾つかの先進的な県の取組についてヒアリングに入っています。そういう中で、多くの県でも、自分の県の先生方の働き方がどうなっているのかということをきちっともう一度再調査して実態をつかまえようということで、昨年やった文科省の調査費をベースにして、幾つかの県はやっているのです。やはり実態を見ると、去年発表した実態とほとんどの都道府県が変わらないような状況が出ています。
 そういう中で、県の名前は言えないのですけれども、幾つかの県はかなり意欲的というか自覚的な業務改善の取組をしています。例えば、トヨタの小集団の中の業務改善のように、学年会とか教科会で、事務合理化をできることを小集団で自覚的に取り組ませる、そういうことで文書をフォーマット化して、それをフロッピーに入れて、学年の先生方がそれを共通化して使えるようにするとか、あと、学校給食の負担軽減をするために、空き教室を食堂にして、そこで複数学年を一緒に食事をさせることで、例えば専科の先生を含めて複数の先生が給食指導をやることで、担任の先生を給食指導から開放するとか、いろいろな可能なところからの取組をしようということで動き始めているのが事実なのです。
 ただ、話を聞いていると、そういうふうな努力があるにもかかわらず、大幅な改善、つまり先生方のゆとりの時間を大幅につくり出すということはやはりかなり限界があるというようなことがそうした取組の中からでも見えてきているのです。ですから、先生方のゆとりの時間、子どもと向き合う時間を大幅に確保するためには、先生方のやるべきことは何なのかということをはっきりさせた上で、分業の上に立って、先生方をサポートするようなサポートスタッフをきちっと配置するとか、事務の多くの部分については外部に委託するとかという、そのような体制づくりをきちっとしないと、先生方とか学校の中だけの事務合理化の努力では限界があるということは、幾つかの県の先駆的な取組を見ても、私自身、やはり感じました。
 その点では、先ほど前川審議官のほうから説明があった子どもと向き合う時間の拡充の中で出てきた定数措置とか、外部人材の活用とか、事務の外部化等々については、これは最低限やっていただかなければならないことだと思います。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 では、黒須先生。

【黒須委員】
 簡単に申し上げます。
 先ほど、前川さんのほうから大変ご苦労なさっているというお話もありましたけれども、確かに、政治家、永田町の人たちは、教育というものに対する本当の意味での関心というのを多く持っている人は少ないのです。というのは、常に選挙があるから、成果が簡単に見出せないものというのはあまり取り組まないのです、実際。ですから、教育というのは成果を見いだすのに時間がかかるじゃないですか。ですから票にならないのです。そういうところというのは現実の問題としてあるわけです。それで、報道されることというのは、例えばいじめで自殺したというと、テレビで校長や副校長あたりが、いや、そういう兆し、懸念というのは全く感じなかったというようなことをしゃあしゃあとして言っているじゃないですか。ああいうのを見て、一般の視聴者というのは、そんなはずはないと思うわけです。絶対分からなきゃおかしいはずだということがあるわけです。そして一方では教員の不祥事というものがたびたび報道されますね。また、例えば我々の議会なんかでもよく話が出てくるというのは、部活の指導をやりたがらない教員が多いとか、あるいはまた問題教員が研修所に送られても3年間もただ飯を食っている、こうですよね、実際。そういう例だけが取り上げられるわけです。そうすると、やはりそういった感覚でいると、教員の不足っていうのはないんじゃないか、甘いんじゃないか、こういうことにやはりなりかねないわけです。
 それから、先ほどからずっと実態の議論が出ていましたけれども、総合的な学習の時間とか道徳の時間とかというようなものが十分に活用されてないんじゃないか。あるいは高学年になれば、あまり授業がおもしろくないというような実態。これはきちっとやっている学校もたくさんあるのです。いい教員も、本当に真剣にやっている教員もたくさんいるのです。でもやはり、どちらかというと、ばらつきがあると悪いほうだけが取り上げられてしまうという。それで、こういう今の学校の現場の実態というものを財務省や政治家にいろいろな機会にもっと具体的に、今お話がありましたけれども、やはり説得力あるアピールをするべきだ。それをしないと、単純に文部省は悪のりしているんじゃないかということを言われかねない、そういう環境にあるんじゃないかというふうに思いますので、我々もバックアップしますので、ぜひ頑張ってください。
 以上です。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。本当にそのとおりだと思います。ただ、教育の問題は学校という世界、光もあれば影もあるのですけれども、今まで影ばかりが語られて、それでそれを口実にしてどんどん条件が切り下げられてきたということがあると私は思うのです。この辺で、影は影として是正する努力はしなきゃいけないわけだけれども、光の面にもっともっと注目していただいて、ともかく10年後、20年後、30年後の日本の国は、今、教育をしっかりやっているかどうかにかかってくるわけですから、はっきり言うと、年金がちゃんと我々がもらえるかどうかというのもそれにかかっているわけですから、ぜひそういうことで文科省は一段のご努力をお願いしたいと思います。
 大体時間が来ましたのでこれで終わりたいと思いますが、本日、銭谷次官がおいでになっておりますので、最後にちょっとご挨拶をいただいて終わりたいと思います。

【銭谷事務次官】
 今日も長時間にわたりましてご論議いただきましてありがとうございました。今日は、全国学力・学習状況調査につきまして、結果をご報告をさせていただいてご意見をいただきました。43年ぶりのいわば全員参加の学力調査でございましたので、この調査結果の取扱いというものについて随分いろいろとご論議をいただきまして、私どももこれを今後の指導の改善にうまく役立てるように、また広報していかなきゃいけないというふうに思っているところでございます。
 それから、教育課程部会としての次期改訂に向けての審議も今日またいただきまして、山場に差しかかったところでございます。これも随分長い時間かけてご論議をいただいてきた問題でございますが、審議のまとめに向けましてさらなるご議論をよろしくお願い申し上げたいと存じます。
 なお、最後に予算要求につきまして事務方からご説明させていただいて、今日はあまりお時間がなくて、十分なご議論をいただけなかったかもしれませんが、今日出されましたご意見を踏まえまして、本当に私どもとしては、世の中の方が教員のこの勤務の状況というものをご理解いただいて、これをサポートしていただけるような、そういう予算の立て方にしていかなきゃいけないというふうに思っておりますので、この点についても引き続きよろしくご指導いただければと思う次第でございます。本当に今日は長時間にわたりましてありがとうございました。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。今、銭谷次官のお話にもありましたけれども、審議概要のまとめ、最終段階でございます。今日も、道徳を中心にご意見をいただきましたけれども、この資料3-1、審議の概要をもう一度皆さん、お目通しいただきまして、お気付きの点を何なりと事務局に、申し訳ありません、明日までに、明日夕刻ぐらいまでにファクスでもメールでも何でも結構ですので、お願いをしたいと思います。
 それでは、事務局のほうから今後のことにつきましてお願いいたします。

【合田教育課程企画室長】
 本日は、長時間にわたるご審議、誠にありがとうございました。初等中等教育分科会の次回の日程につきましては、11月上旬に開催する方向で調整をいたしております。先生方のご日程を踏まえ、分科会長にご相談の上、追って正式にご案内を申し上げます。
 また、教育課程部会につきましては、委員の先生方には既にご案内申し上げておりますとおり、10月30日火曜日、来週の火曜日でございますが、15時から17時、場所は、初めての場所で大変恐縮でございますが、江東区の東陽町にございますホテルイースト21東京にて開催を予定してございます。何卒よろしくお願いを申し上げます。
 また、先ほど、分科会長からお話がございましたように、ペーパーによるご意見、誠に短い時間で恐縮でございますが、できましたら明日を目途に、ファクスまたはメール、郵送等にて頂戴できればと存じております。誠にご迷惑をおかけいたしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。本日はどうもありがとうございました。

【梶田分科会長】
 それでは、本当に長時間になりました。本当にご苦労さまでした。ありがとうございました。

─了─

お問合せ先

初等中等教育局教育課程課

-- 登録:平成21年以前 --