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初等中等教育分科会(第45回)・教育課程部会(第49回)合同会議 議事録

1.日時

平成18年12月22日(金曜日) 15時~17時30分

2.場所

都市センターホテル3階 「コスモスホール1」

3.議題

  1. 教育基本法の改正等について(報告)
  2. 各学校種の目標等これまでの議論を踏まえた全体討議
  3. 教育課程に関する諸課題について
  4. その他

4.出席者

委員

 木村分科会長、梶田副分科会長、安彦委員、衛藤委員、加藤委員、角田委員、市川委員、今井委員、河邉委員、甲田委員、高橋委員、田村委員、渡久山委員、西嶋委員、北條委員、宮崎委員、横須賀委員、阿刀田委員、荒瀬委員、石井委員、宇佐美委員、陰山委員、佐々木委員、深谷委員

文部科学省

 結城事務次官、辰野高等局審議官、銭谷初等中等教育局長、布村審議官、徳久初等中等教育企画課長、常盤教育課程課長、木岡児童生徒課長、田河幼児教育課長、滝本特別支援教育課長、藤原企画官、上月教育課程課担当リーダー、淵上教育制度改革室長、その他関係官

オブザーバー

 鳥居会長

5.議事録

【木村分科会長】
 それでは、時間でございますので、ただいまから中央教育審議会第45回初等中等教育分科会及び第3期第35回教育課程部会の合同会議を開催させていただきます。
 本日は、年末という大変皆様方お忙しい中ご出席を賜りまして、まことにありがとうございました。
 今回は、両会議の共通議題が多いということもありまして、初等中等教育分科会と教育課程部会との合同会議というふうにさせていただきました。この点についてあらかじめご了解は頂いておりませんので、この場でご了承いただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
 ありがとうございました。それでは、合同ということでスタートをさせていただきます。
 まず最初に、文部科学省において異動がございましたので、ご本人からごあいさつをお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【上月教育課程課担当リーダー】
 失礼いたします。11月16日付で初等中等教育局の教育課程担当リーダーとして着任いたしました上月と申します。よろしくお願い申します。

【淵上教育制度改革室長】
 失礼します。11月30日付で初等中等教育企画課教育制度改革室長を拝命いたしました淵上と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
 早速でございますが、議事に入らせていただきます。初等中等教育分科会におきましては、平成17年の中央教育審議会答申「新しい時代の義務教育を創造する」で検討課題とされました義務教育の目標や年限、学校種間の連携・接続等について、この1年間審議を行ってまいりました。
 また、教育課程部会におきましては学習指導要領の見直しということで、この1年間活発に審議を行ってきたところでございます。
 この間、教育基本法改正案が国会で審議されていたということもありまして、初等中等教育分科会については9月21日以降、教育課程部会については9月29日以降、会議を開催しておりません。この間に教育基本法改正案の審議、いじめの問題、未履修の問題など、教育に関して多くの出来事が起きてまいりました。
 本日は、まずこの辺の状況について事務局からご説明をいただき、その上で少し時間をとって審議を行いたいと思います。
 まず最初、1番目が教育基本法の改正等についてであります。初めに事務局から教育基本法改正案成立までの経過、それから、ここのところ大変世の中で大騒ぎとなりました高校の必履修科目の未履修の問題、その経過、それから3番目、いじめ、自殺問題についての経過、この3点について続けてご説明をいただき、その後、委員の皆様からご意見やご質問を受けたいと思います。質問の時間は15分ぐらいしかございませんので、二、三の方しかご発言いただけないと思いますが、よろしくお願いいたします。
 それではまず、教育基本法につきまして藤原企画官のほうからご説明を賜りたいと思います。よろしくお願いいたします。

【藤原企画官】
 それでは、失礼いたします。教育基本法につきましてご説明を申し上げます。お手元の資料1-2をご覧いただきたいと存じます。
 教育基本法につきましては、ご承知のようにさきの通常国会にその改正法案が提出されたわけでございますけれども、衆議院において49時間にわたる審議があったわけでございますが、これは継続審議という形でこの秋の臨時国会に引き継がれたわけでございます。そして9月から臨時国会が開会をされまして、その間、衆議院では合計で55時間10分ということで、6月までの通常国会と合わせますと104時間10分にわたる審議が行われたわけでございます。
 また、11月17日からは参議院で審議がスタートいたしまして、こちらのほうでは合計で85時間20分ということでございまして、合わせまして189時間30分という極めて長時間にわたる幅広い議論が行われ、そして12月25日に採決、可決されたところでございます。そしてまた、本日公布され、施行されておるということでございます。
 基本法案の国会審議の中ではさまざまな審議があったわけでございますけれども、初等中等教育の関連といたしましては、お手元に改正基本法もお配りをしておるわけでございますけれども、やはり国を愛する心、態度といった部分に関するご議論でありますとか、あるいはまた宗教教育に関連いたしまして何がどこまで学校教育で可能なのかといったふうなご議論、あるいはまた教育行政のあり方がどうあるべきか、国と地方の役割分担、それから最終的な義務教育に関する責任というのはどこにあるのかというふうなご議論など、さきの通常国会に引き続きましてそういった論点などについてご議論があったところでございます。
 それからまた、このあとご説明申し上げますけれども、あわせましていじめの問題でございますとか、未履修の問題でありますとか、そういった審議につきましてもかなりの時間を割いて国会で論戦が戦わされたということでございます。
 時間の関係上、その詳細につきましてはご紹介を割愛させていただきたいと存じます。
 極めて簡単でございますが、私からは以上でございます。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。それでは、引き続きまして高校の必履修科目の未履修の問題について、常盤教育課程課長からご説明をお願いいたします。

【常盤教育課程課長】
 それでは、資料2をご覧いただきたいと思います。高等学校における必履修科目の未履修についての資料でございます。1ページ目に概要が書かれておりますが、その前に、1枚めくっていただきまして2ページのところからご説明をさせていただきたいと思います。
 高等学校の学習指導要領におきましては、将来いずれの進路を選択する生徒にも最低限必要となる知識や技能等について、ある程度幅広い分野について学ばせる必要があるという考え方に立って、必履修教科・科目というものを設定しているわけでございます。
 この2ページの表でございますが、上から順番に教科が書かれております。例えば左側の欄の上から2つ目、地理歴史科について説明をいたしますと、2科目が必履修ということになっているわけでございますけれども、ここにございますように世界史A、または世界史Bから1科目を必履修とする。それからもう1科目は、日本史A、B、地理A、Bの4科目の中から1科目を必履修とするということでございます。そのように各教科ごとに必履修科目というものが設定をされているわけでございます。
 その前提の上で、1ページにお戻りをいただきたいと思います。今回の事実関係でございますけれども、11月下旬に各地の高等学校におきまして卒業に必要な必履修科目を生徒に履修させていない、学習指導要領に反する事例が判明をしたわけでございます。
 また、学校の教育課程につきましては、学年の始まる前に教育委員会等に対して届け出がなされるわけでございますけれども、その届け出の内容と現実の学校での運用の実態というものが異なっていたという事実も判明をしたわけでございます。
 文部科学省の調査では、この1番の事実関係のところにございますように、未履修のあった学校数といたしましては、全国の高等学校5,408校のうち663校、全体の12.3パーセントでございます。また未履修に係る生徒数でございますが、全国の、これは高等学校3年生の生徒数が記してございますが、116万人のうちの10万4,000人が該当するということが判明をしたわけでございます。
 2として、文部科学省の対応ということでございます。10月24日に公立学校における未履修の実態ということが判明をしたわけでございますけれども、翌25日には未履修の実態把握のための調査を行うということで各教育委員会に対してお願いをしたわけでございます。そして、11月2日及び8日、2度にわたってでございますけれども、教育委員会等に対して通知を発出しております。この通知におきましては、通知の概要のところに書いてございますけれども、生徒の卒業認定が困難になっているという状況を踏まえまして、処理方針という形で取りまとめたものでございます。この通知の概要のところにございますように、未履修について、その時間数が70単位時間以下の場合には当該単位時間数分の授業を行うということを基本とするわけでございますけれども、その時間数の3分の2の範囲内、約50単位時間程度まで減じて、その減じた部分はレポートの提出等を行うということ。
 2といたしまして、未履修が70単位時間を超える場合につきましては、70単位時間の授業を行って、残りの授業はレポートの提出等を要するということ。
 3つ目といたしまして、未履修者で既に卒業をしている者につきましては、卒業認定を取り消す必要はないということ。
 そして4つ目といたしまして、大学入試におきまして調査書の扱いにつきまして、調査書の記載の適正なものとするということを求めますとともに、出願や合否判定等において未履修科目があるということをもって不利益に取り扱うことのないように求めるというような内容でございます。
 そして、11月14日には、この問題の原因を探るということのために、未履修という不適切な事態がいつから始まっていたのか、開始年度に関する調査というものを行ったわけでございます。
 また、一番下の行でございますけれども、中学校の教科の解説状況に関する調査も12月20日付で始めているところでございます。
 次に、資料を少しご紹介したいと思います。3ページをお開きいただきたいと存じます。3ページ、高等学校等における未履修の状況についてということでございます。ただいまもご説明いたしましたけれども、未履修の学校数、生徒数についての実態把握を取りまとめた資料でございます。この下のほうの表の一番下の欄をご覧いただきますと、全体で未履修の生徒数、先ほど申しましたように10万4,000人ほどでございますけれども、その中で時間数ごとに内訳を記してございますけれども、全体の約4分の3に当たります7万8,000人は70単位時間以下の未履修であったということでございます。それを超える者が残りの数ということになるわけでございます。
 続きまして、5ページをお開きいただきたいと存じます。5ページでは高等学校等の未履修の開始年度についての調査の結果でございます。まず1といたしまして学校別の未履修開始年度の状況ということでございます。これは、右から2つ目の欄に合計の数が載っておりますので、そこの欄をご注目いただきたいと思います。その欄の一番下の計の欄を見ますと663とございます。これは未履修が判明した学校の数663という総数を出しております。その663校について、それぞれ未履修の開始年度が何年度入学者から未履修という事態が発生をしていたかということについて記した資料でございます。
 この右から2つ目の欄、上から順番にご覧いただきますと、平成5年度以前から未履修が始まっているという学校が11校、平成6年度入学者からの学校が37校、ずっと下におりていただいて293という数字がございますが、これは平成15年度入学者からの未履修ということでございます。
 また、その欄の中で括弧書きで293の隣に78.7という数字がございますが、これは上からの各欄のそれぞれの数を累計したものをパーセントであらわしている数値でございます。したがいまして、平成15年度の前年度、平成14年度までの累計として今回の全体663校のうちの大体3分の1、34.5パーセントの学校が平成14年度より以前から未履修が発生している。そして、平成15年度以降に残りの3分の2の学校の未履修が始まったということでございます。
 次に、6ページをご覧いただきたいと存じます。教科別の未履修の状況ということでございます。これも右から2つ目の欄をご覧いただきたいと思います。
 未履修のあった教科で一番多いのが地理歴史科でございます。460、そして全体の42.0パーセントということになっております。続いて下から2つ目の欄、247という数字がございますけれども、情報という教科です。ここの数が22.6パーセントになっているということで、これが教科別の内訳でございます。
 以降、7ページのところに高等学校におけるこの未履修の実態把握についての通知を添付させていただいております。また、9ページ以降につきましては、この必履修科目の未履修の取り扱いについての文部科学省としての考え方を示した通知の文を添付させていただいております。
 以上、未履修問題について概要をご説明させていただきましたが、今後、原因究明と再発防止等に向けた取り組みを徹底していくとともに、大学入試のあり方、あるいは高等学校教育のあり方ということについて検討していく必要があるというふうに考えております。
 教育課程部会におきましては、委員の先生方、既にご承知のとおり、高等学校教育のあり方、あるいは必履修科目のあり方ということについて既にご議論を始めていただいているところでございますので、ただいまご説明したような現状等もまた資料として供しながら、今後さらに検討を深めていただきたいというふうに考えております。
 説明は以上でございます。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。
 それでは、議題1の最後のご説明でありますが、いじめ自殺問題について、木岡児童生徒課長からご説明をお願いいたします。

【木岡児童生徒課長】
 児童生徒課長でございます。それでは、お手元に資料3をお配りしておりますので、資料3を見ながらご説明をいたしたいと思います。よろしくお願いします。
 まず、このいじめ自殺の問題についての問題点ということについてご説明をいたします。資料3の1ページ目に、いろいろといじめ自殺がこの秋続いて起きたわけでございますけれど、その中でも大きく問題になった2つの事例を掲げてございます。
 この2つの事例にかなりの問題点が集約されておるわけでございますけれど、申し上げますと、北海道の滝川の事件です。事案についてはそこに書いてあるようなものであったわけでございますけれど、ここで出てまいりました問題点というのは、1つにはいじめの把握の部分です。学校において児童がいじめられたことをちゃんと把握できておったのか、どうしてこれが把握できないのかといった問題でありました。また、この自殺のあとに学校のほうでこの件、調査をしておるんですけれど、この調査がなかなかうまく進まなかったということ、またその調査において説明する際に、十分説明をしてきていないという調査のあり方、説明のあり方といったような部分で教育委員会について、学校について物事を隠すような体質があるのではないかといったようなところがここで取り上げられたところでございました。
 また、福岡の事例なんですけれど、先ほど言いましたようないじめの把握の部分の問題点に加えまして、教師自身による不適切な言動があったということで、この辺、学校と教員との問題といったこともここで取り上げられることとなりました。
 また、これに関連してといいましょうか、ここの部分においてであるんですけれど、毎年文部科学省のほうでいじめ自殺、校内暴力等々を含めて問題行動として各学校、各教育委員会のほうにお願いをして、その実態の取りまとめをしておるところでございますけれど、その部分において、ちょうどお手元の資料の18ページになるのでありますが、特にこのいじめ自殺が続いたことなんですけれど、いじめ自殺の主な理由の部分が18ページに書いてございますけれど、平成11年から平成17年まで自殺した子供の主な理由がいじめだというものが7年間ゼロであったということが大変に問題となったところでございまして、この文科省の行っております実態把握のあり方について、大きな問題点が指摘をされたところでありました。
 また、それに加えてになるわけですけれど、いじめの実態がなかなか把握できないということにおいて、同様にいじめの部分についても文科省のほうは調査をしておるわけでありますけれど、その際に、いじめについて定義を設けて、それでもっていじめの実態を数字として各学校のほうから上げてもらっておるところではありますが、そこの部分の定義が今のままで十分か、この定義では十分でないからこそ学校のほうにおいていじめの把握ができていないのではないかといったような問題点が指摘されてきたところでございました。
 このような問題点の状況ではありましたが、これについてのこれまでの対応について、もう一度1ページ目に戻って恐縮なんですけれども、とってきた対応をまとめてございます。
 次々といじめ自殺事件が続いたわけでございますけれど、特に北海道の滝川の事件、福岡の筑前町の事件につきましては、まだまだ実態のほうについて十分にわからなかったことが多くございましたので、文科省のほうから、例えば滝川のほうにつきましては池坊副大臣を派遣し、また筑前町のほうには小渕大臣政務官を派遣して事情聴取をしたりといったような形で現地調査を実施いたしました。
 さらに、これらに基づいた部分を入れまして、10月19日になりますけれど、緊急会議を開催してその際に局長通知を発しまして、これまでの取り組みの総点検等、いじめに関する徹底した取り組みをお願いしてきたところでございます。特にこの会議におきましては、これらの事件が続いて起きましたのがいじめ問題の重大性の認識が薄くなったのではないか、特に大事なのはいじめの兆候をいち早く把握して迅速に対応することだと。問題が発生した際には、隠さず連携して対応することが大事であるといったようなことをこの会議で申し上げ、通知を発したところでございます。
 中でも、特に強調いたしましたのが、いじめはどの学校でもどの子にも起こり得る問題なので、そのいじめの数が多い少ないというよりは、いかに多く取り組んだかがポイントですよということをこの会議で強調してお願いをしてきたところでございます。
 さらにこれに続きまして、資料にも書いてございますけれど、省内に推進本部を設けたり、また有識者会議を開催したりということでこの問題に対する対応について検討を続けてきているところでございます。12ページになりますけれど、有識者会議のほうからも12月4日にいじめ問題に対する喫緊の提案という形で具体的なご提案もいただいているところでございます。
 また、この取り組みの中で特に申し上げておきたいのは、いじめについて何を一番に我々が今やったかといいますと、特に子供たちに対してはとにかくいじめられていることがあればそれをだれかに話してほしい。話してくれれば、必ずそれに対して誠実に対応いたしますよということを訴えてきているところでございまして、これを文科省の姿勢としているところでございまして、この部分におきまして、10ページになりますけれど、11月17日に文部科学大臣からのお願いという形でお願いを発表いたしております。
 また、11月6日からなんですけれど、次々といじめ自殺に関しまして予告の手紙が文科省のほうに参っておりますけれど、これについても発表しつつ誠実に対応を続けてきておるところでございます。
 また、この部分についてきちんとした対応を受けとめる仕組みづくりのために、補正予算でもちましてスクールカウンセラーの増強ですとか電話相談をしてきておるところでございます。
 これに引き続いて、先ほど申し上げましたような課題が多くございますので、現在、いじめ自殺を含めて調査の見直しを検討しております。
 また、いじめ問題に関しまして各学校などにおいてかなりいい取り組みをされているところもございます。これを今集めているところでございまして、これを集めてもう一度学校現場のほうに還元して取り組みの参考にしてもらおうということを今考えておるところでございます。
 また、先ほど申し上げましたけれど、ページ14になりますけれど、緊急に補正予算をもちましてスクールカウンセラーを増強といいましょうか、スクールカウンセラーと子供等への相談員について活動を増やせるような予算を確保いたしまして集中した面接を行いたいと考えてございます。
 また、電話相談の部分なんですけれど、これまで各都道府県の教育委員会等々で子供からの電話相談を受け付けておるんですけれど、いかんせんこの部分、夜間とか休日、十分対応ができておりませんでしたので、この部分について補正予算で手当をして、夜間、休日でも子供からの電話について対応できるような形をしていこうということを考えておるところでございます。
 いじめ自殺問題については以上のとおりでございます。以上です。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。
 以上、3点、すなわち1点目が教育基本法の件、2番目が、高校の必履修科目の未履修の問題。それから3番目が、自殺問題について、それぞれ担当課長からご説明いただきましたが、先ほどから申し上げておりますように時間はあまりありませんが、二、三の方からご意見、あるいはご質問いただく時間はあろうかと思います。いかがでございましょうか。どうぞ、加藤委員。

【加藤委員】
 未履修問題のところで申し上げたいんですけれども、実態調査をなされたということでありますが、少し厳しい言い方になるかもしれないですけれども、企業の中でもこういういろいろな、これを不祥事と言っていいのかどうかあれですが、起こるわけです。そういうものの報告、あるいは今後の対応ということで考えれば、極めて不完全なもの、承知の上でそういうふうにされているのかもしれないんですが、一番問題だと思うのは、こういうことが起こっていることをそれぞれの当事者の中でどうこれが知るところになり、なおかつ文科省としてなぜそれが掌握できなかったのか、そこの真因。つまり、本当の要因のところまできちんと追及する必要があると思うんです。
 その上で、これはおそらく体制の問題、システムの問題ですから、未履修がなぜ起こったかということもありますけれども、それと同時に、なぜこれが全体の問題として浮き上がらなかったかというところが非常に重大だと思うんです。この当事者は、おそらく現場の学校もあるでしょうし、教師全員がかかわっている問題でもあるでしょうし、あるいは生徒ということもあるかもしれない。そういうところのすべてにわたって、きちんと分析をし、今後これに限らずそういう情報がどこかでとまるということがないような再発防止策というのが必要だと思いますので、意見として申し上げておきます。
 以上です。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。他にございませんか。それでは、あと2人だけ。まず渡久山委員、そのあと陰山委員。

【渡久山委員】
 いじめ問題に関してですが、非常にこれは心の痛い問題なんです。ただ1つ、今後の施策として、やっぱり学校におけるカウンセラーの配置を、カウンセラーに相談するといったっていない学校がありますよね。ですから、もっとカウンセラーの数を増やす、あるいは生徒指導担当教官、教員を増やす。それと同時に、やっぱり現場の教員たちが子供たちに接する時間というのを十分に確保してほしい。そのために、どうしても定数のきちっとした配置が必要だということを、特にこのことについては切実に感じていますので、特に要望しておくなり、また今後検討をぜひともしてもらいたいと思います。
 以上です。

【木村分科会長】
 では、陰山委員。

【陰山委員】
 まず、必修教科の未履修の問題につきましては、背景にあるのが受験にあるということははっきりしているわけであります。それから、教育課程の連続性という点でも問題のあるところほどこういう問題が起きてきているというところから、単に現場の教職員なり学校なりの責任に期するというのはやや酷かなというような気もいたします。
 一方、中高一貫校のように6年間の中で非常に自由がきくところと、それから高校3年間だけでそれをこなさなければいけないところと、しかし大学入試においては同じ受験で臨まなければいけないというところを考えますと、今後、教育の複線化ということが言われますけれども、十分な配慮が必要ではないかなというような気がいたします。
 一方で、この問題で校長先生が自殺をされているということも、ぜひともお忘れいただかないようにしていただきたいというふうに思います。
 それから、いじめ自殺の問題につきまして一番気になっておりますのは、筑前町の問題であります。今もっていい形での情報というんでしょうか、解決の方向に動いているというような流れでの話が出てきておりません。一方で、教育がこれほどに議論される中で、今起きている問題に対していい流れが聞こえてこないということは、我々自身の全体の努力が非常に空疎にとらえられてしまうんじゃないかなというような不安を感じます。
 そういう点で、現地に職員を配置するというような形で、とにかくこの問題が早期に解決しますように、文部科学省のほうでぜひともプライオリティーの一番で臨んでいただきますようにお願いしたいと思います。
 以上です。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。もう少し時間があるようですが。どうぞ、甲田委員、それから荒瀬委員。

【甲田委員】
 私も未履修問題については、その当事者におったということで、非常に針のむしろにいるような気がしております。
 ただ、もちろん再発防止に向けて全校長が取り組んでいくということはどうしても必要であるし、また文科省にとっていただいた高校生に対する措置の問題についても適切な措置をとっていただいたなと思っております。
 今、陰山委員がおっしゃいましたように、やはり進路保証の問題というのは大きい、ここに尽きるかなという気はいたしますが、このことが中学校から上がってくる子供を受け取り、そして大学のバルブは大学に握られている、この状況がこういったことを生み出しているとこを、教育課程をこれから考えていく中で大きな大きな出来事といいますか、事実として私たちはとらえていかなければいけないだろうなと。いろんな議論というだけじゃなくて、これはもう事実だから、これをすごい出来事として私たちは胸に刻んでいかなければいけないかなというふうに思っております。
 一番大きい問題、いろんな人が言っていますけれども、例えば世界史と日本史が同じ時間にセンター試験が行われるなんてことが果たしてどうなのかと。本当にあり得ることだったのかなということを1つの事例として、みんなが考えていかなければいけないかなと思っております。
 ありがとうございました。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。荒瀬委員。

【荒瀬委員】
 私も未履修に関してなんですけれども、この間、いろいろなマスコミから取材を受けました。まずご紹介しておきたいのは、高校3年生の生徒も取材を受けまして、その際に大きく分ければ3つの意見を申しておりました。
 1つは、やはりずるいということであります。自分たちは入試科目でないものも勉強してきた。ところが、勉強していないで同じ受験に臨む人がいる。これは自分はとてもずるいと思う。私は、フェアな態度を求めるという点で正しい意見だというふうに思っています。
 2つ目は、単位を確保するために補修を受ける。でも、勉強は単位をとるために勉強するんでしょうかという意見がありました。これも非常に正しいと思っております。
 3つ目は、自分は世界史は受験科目にしていない。しかし、世界史をやって本当に役に立っている。やったことというのは役に立つんだということを生徒が指摘いたしました。これも非常に正しい意見だと思いました。
 それぞれ生徒自身もこのことにつきましては十分に考えています。ただ、先ほどからご意見出ていますように、高等学校と大学入試の問題だけということになってしまったり、あるいはまた一部マスコミにありましたように犯人探しのように、どこそこ高校が未履修か未履修でないかといったことだけに終わってしまってはいけないというふうに思っています。
 この件が、高等学校教育という小中の義務教育から50パーセント以上の生徒が大学進学するという現状の中で、大学入試ということを考えた上で、高等学校教育をどうしていくのかということのみならず、先ほどもご意見ありましたけれども、日本の教育をどういうふうに考えていくのかということを考える非常に大きなきっかけになるのではないかなと。それが単に、どこそこ高校は未履修だったということだけで終わらせてはいけないというふうに思っています。
 2000年に出された国立大学協会からの国立大学の入学試験に対する提言の中で、大学入試が結果的に学力偏重ということから次第に、いわゆるアラカルト入試であったりとか特色入試に変わっていった。その結果、受験の軽量化につながっていって、結果、高校生として必要な学びというのがどんどん少なくなっていった。生徒は受験科目に特化しようとする。学校も地域の期待なんかを受けるとそれに従わざるを得なくなっていくという、そういうところが実際にあるということであります。その点につきましては、ぜひともこの件、これで終わらせないで、今後も大きく言っていくべきだというふうに思っています。
 もう1つ、この件に関して思っておりますのは、12パーセントぐらいの高等学校は未履修であったということでありますけれども、これらの学校が履修させていた科目については、相当な内容をやっているはずだというふうに私は逆に思っております。未履修の部分はやっていないけれども、やらせていたものについては相当やっていた。ところが、実際に学習指導要領の目標がどれぐらいのパーセンテージで十分にこなされているのかということもまたあわせて考えなければいけないというふうに思っています。履修するということが単に授業時間として置かれていて、教科書を使っているということだけではないだろうと。冒頭に紹介いたしました生徒の言葉をかりれば、学んだことによって役に立つとか、単位をとるためだけに勉強をするんじゃないだろうといったようなことをもう一度我々は思い起こして、この問題に対して考えていかなければならないということを思いました。
 以上です。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。よろしゅうございますか。それでは、高橋委員、最後に。

【高橋委員】
 ありがとうございます。私はいじめ問題のことについてお話をさせていただきたいと思います。
 このことがありまして、例えば本校の例でございますけれども、臨時の保護者会を1度持っております。それから臨時の生徒集会を2度持っております。それから、改めての調査も全校挙げて行いました。その他に、放課後の時間を利用いたしまして子供との面談を組みました。なおかつ、私のおります大田区においては休日に管理職が学校待機ということで、2度ございます。
 そのようにして取り組んだということなのでございますが、そのときに改めて思ったことは、子供とのかかわりをどういったところで持つか。こうしたことがあったときにどこで持つか。やっぱり放課後しかないんです。その放課後の時間をどう学校の中において保証していくのか。これはやはり大きいことだと思っています。今度の授業時数、その他を含めました教育課程編成の中で、この放課後の時間の確保ということについてもぜひ配慮していただきたいところということで1つ申し上げました。
 それからもう1つなんですが、本校において1学級三十数名の生徒がおります。これを15分ずつ聞いていくとしても、たった15分ですが、1週間かかります。担任の他に副担任がいるわけですが、手分けをしてもやっぱり4日かかってしまう。もっと人手がいればもっと速やかな対応ができる。調査の結果出てきたことの対応も実はさまざまにあるわけです。そういったことについて、もっと速やかに迅速にやっていくためには教員も必要だと、このことをあわせてお願いをしたいと思っています。
 以上でございます。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。最後に角田委員。

【角田委員】
 ありがとうございます。いじめ問題について少し自分の考えも含めて申し上げたいと思います。
 今回の事件について、学校あるいは教員、あるいは教育委員会の対応が必ずしも適切じゃなかったということで非常に批判が強くなってきているわけでございますが、これについては甘んじて受けていかなければならないけれども、多くの学校が本当に努力をしているということはご理解をいただきたいと思っています。
 と同時に、本当に今の教育の中で、子供たちに例えばたくましい精神力であるとか、思いやる心であるとか、そういったものが本当に育てられてきているのかどうかということを、こういう機会にもう1回見直していく必要があるのではないか。今、ややもすると学力が知力であるという傾向が強くあらわれているような感じがするわけですけれども、やっぱり知徳体のバランスということを十分に考えながら、日本の教育のあり方、今後の家庭教育のあり方ということをもう1回見直していく必要があるのではないかなというふうに思っています。
 いじめという言葉の定義について、少しずつかつてのいじめの定義と変わってきているという感じがしています。何でもかんでも子供同士のトラブルはみんないじめになってきているというふうな状況があります。それについて、保護者から訴え、あるいは子供たちから訴えがあれば、それをいじめとしてきちっと把握をして学校として対応はしていくけれども、しかしいじめということについてもう1回定義も含めて検討していく必要というのはあるのではないだろうか。親御さんたちが、何でもいじめといえば、学校はそれに対していかざるを得ないし、対応していく姿勢を持っているわけですが、この辺についてもよく吟味をしていただけるとありがたいなというふうに思います。
 以上です。

【木村分科会長】
 深谷委員、最後にして下さい。

【深谷委員】
 すいません。いじめの問題は市町村の議会で、おそらく全国全部出ているはずです。私も幾つかの答弁に立ちました。時間がありませんのでばちっと言うと、私は事件が起きる大半は見えにくい学力がついていないという証拠ではないかと。先ほどと同じようなことになりますが、教育というのをトータルで一遍考え直す必要はないのかということが1点であります。
 2点目は、いわゆる先ほどもカウンセラーを雇うとおっしゃったようなことがありましたが、いじめ、不登校、学力支援、不審者問題、体力がない、学力はいかん、非行問題傾向、こういうものを全部一遍どんぶりに入れて、いわゆる時代の変化とともにどういう支援を本当にしてくれたらいいのか。ただいじめが起きるといじめだけの対応の人的な処理じゃなくて、いわゆるそういうさまざまな問題を一遍トータルにしてどういう支援をしてもらったらいいか、私たちも考えたいけれども、短絡的に事件が起きたので対応と。じゃ、不審者問題が起こると短絡的に対応ということではなくて、本当に時代の変化の多様な問題の中で、ぜひこれは文科省のほうもお考えをいただきたいし、現場を預かる身としてこういったところに人的な支援をしてくださいよということを今後申し上げていきたいと思っています。本当に多様な問題が一気に吹き出ています。
 それから、未履修問題で私は校長会で言いました。高等学校の未履修は中学校に飛び火する可能性が十分あるのではないかと。高等学校の未履修の資料2の最後に、12月20日、中学校における実態調査実施という1行がございます。私は、これも本当にデータを下から上げてくるときに、例えばの例であります。道徳の時間数何時間やっているというと、その時間数の問題の把握とともに、授業の中身がどれほど子供に食い込む道徳の授業がなされているかという二面性からチェックしない限りは、例えばの例で、ただ単にやっておりますということで本当に子供たちの心に刺さっているのかということもあわせて考えていかないと、事件の対処療法の一方で本質的な問題をどうしたらいいかということを両面で考えていく必要があるのではないかなと、こう思っています。
 以上です。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。それでは、この件については以上としたいと思います。
 私が感じておりますことを申し上げさせていただきたいと思います。英国で子供を学校に2度入れた経験がありますが、英国でもいじめはすごいようです。最近NHKで特集しましたが。彼らは、大人と子供の関係だけではいじめは解決できないと考えていますね。数字だけで見ますと、いじめはここのところ急激に減ってきています。にもかかわらず昨今の問題が出てくるということは、子供たちの間でいじめを隠してしまっているということです。
 そういうことで、英国では子供たちにカウンセリングをやらせています。英国の場合には、クラスのマジョリティーが誰かいじめていても、必ず何人か、それは悪いことだということを堂々と言う子がいます。そういう子を先生方がピックアップして、その子ども達にカウンセリングをやらせています。カウンセリング室に行く姿がなるべく見られないような工夫をして、子供たちにカウンセリングをやらせています。その成果が出てきたのかここのところ、英国の状況は、かなりよくなっているようです。
 日本の場合は、カウンセラーは大人、先生は大人、保護者も大人ということで、いじめの実態が出てこないという問題があるように思います。英国がやっていることを我が国で考えてみる価値はあるのではないかなと、先週英国にいて感じました。
 少し余計なことでありますが、一言申し上げさせていただきました。
 それでは、時間もございませんので、2番目の各学校種の目標等これまでの議論を踏まえた全体討議についての審議に移りたいと思います。
 冒頭にも申し上げましたように、初等中等教育分科会におきましては、平成17年の中央審議会答申「新しい時代の義務教育を創造する」で検討課題とされました義務教育の目標や年限、学校種間の連携・接続等について、教育基本法の改正が行われた場合の学校教育法の改正も見据えてこれまで審議を行ってきたところでございます。しかしながら、一方では教育基本法改正案が国会で審議されておりましたため、初等中等教育分科会の審議は断続的とならざるを得ませんでした。ただ、第3期の中央教育審議会委員の任期が来年1月末となっておりますので、3期の委員としての審議の整理は行っていく必要があろうかと考えております。
 このため、1月末までの限られた時間でありますが、審議を再開させていただいて、論点の整理まではこの現在の任期の委員の皆様方にお願いをしたいと考えておりますが、そういうことでよろしゅうございましょうか。
 それでは、そういうことで進めさせていただきます。
 初めに事務局から、初等中等教育分科会におけるこれまでの主な意見についてご説明をいただきたいと思います。淵上教育制度改革室長、お願いをいたします。

【淵上教育制度改革室長】
 それでは、資料4-1をご覧いただきたいと思います。初等中等教育分科会の第37回から44回までのご審議をいただきました中での主な意見というものを整理させていただいております。
 目次にございますように、大きく8つの事項に整理をしてまとめさせていただいているところでございます。1ページをご覧いただきたいと思います。
 まず、1番として各学校種の目標(総論)でございます。主な意見といたしましては、時代の変化に対応した学校教育の目標の設定というのを考える必要があるのではないかと。例えば、現在は高校教育まで国民のほぼ9割以上が教育を受ける時代、そういうことを踏まえた目標の設定をすべきではないかというふうなご意見がございました。
 また、学校教育法における目的・目標は教育基本法と学習指導要領をつなぐ基準として大綱的な目的・目標といったようなことで出してはどうかというご意見もございます。
 続きまして、2番の義務教育(小学校、中学校)の目標についてでございます。まず、義務教育の目標の必要性というところでございます。
 1つは、諸外国の状況のご意見といたしまして、イギリスやアメリカ、フランスにおいては義務教育はこうあるべきだという議論はあまり聞いたことがないといったようなご意見がございます。
 一方、イギリスについては、義務教育とは言わないけれども、16歳までにどういうことを身につけさせるかということをナショナルレベルで議論しているということはあるというふうなご紹介もいただいてございます。
 また、次の丸でございますが、義務教育9年間を見通した目標の達成を目指して、小学校、中学校も連携を一層進める必要があるという観点から、9年間全体を見通した目標をしっかり規定することが重要ではないかというご意見。
 また、義務教育9年間を見通した目標をある程度詳細に規定をした場合に、それでは小学校はその目的としては義務教育の基礎の確立、中学校はその目標の達成という位置づけになるのではないかといったようなご意見がございます。
 続きまして2ページをご覧いただきたいと思います。3つ目の丸でございます。義務教育の目標に盛り込む内容の総論的な事項でございます。
 教育基本法の第2条、教育の目標に示されております5つの目標、これは幅広い知識と教養ですとか、豊かな情操、道徳心、自律の精神等々の5つの目標がございますけれども、いずれも大変重要であると。学校教育法にも、きちんとこれを受けて盛り込んでいく必要があるのではないかというふうなご意見。
 また、社会、親や子供たちから見てわかりやすいものであることが必要だというふうなご意見もございます。
 また、義務教育の目標はミニマムを意識した目標が設定されなければけらないのではないかというふうなご意見。
 また、人間力という言葉を大事にしていいのではないかというご意見。
 また、個人が自立するための能力ということと、社会の形成者としてみんなで協力をしていくという教育、この2つのことをはっきり書いたほうがいいのではないかといったようなご意見がございます。
 続きまして、盛り込む内容:教科、道徳などの各論的な事項でございます。
 現行の小学校の目標が具体的で各教科の目標に近いのに比べまして、中学校の目標はバランスを欠く感じがするというふうなご意見がございます。
 一方で、中学校の目標に教科の部分まで入れていくのかどうか。
 あるいは、一番最後の丸といたしまして、教科別にまとめていくのがいいか、あるいはもう少し統合したほうがいいのかというふうなご意見がございます。
 3ページにまいりまして、英語など、現在の学校教育法の中にないようなものとか、国語力の育成などもつけ加えてはどうかというふうなご意見。
 それから2つ目の丸で、学校生活を営む上で必要な規律、あるいはみずから学習に取り組む意欲といったような点も重要ではないかというふうなご指摘。
 また、規律規範に関しましては、国民の教育に対する関心や批判に応えるためには、義務教育ではこういうことまで常識として教えていくんだという宣言のようなことも必要ではないかというふうなご意見でございます。
 続きまして4ページをご覧いただきたいと思います。大きな3番としまして高等学校の目標でございます。
 1つ目の丸にございますのは、高等学校は各種学校や専修学校とはどういうふうに違うのか、高等学校としての独自性というのを打ち出す必要があるのではないかというご意見でございます。
 また、高校の多様化が進んでいるわけですけれども、どういう成果を上げているのか、そういう現状把握をした上で目指すべき方向を議論する必要があるのではないかということでございます。
 それから、2つほど飛ばしまして、5つ目の丸には、高校の役割として義務教育の基礎を定着・発展させ、自立して生きていく能力を養うといったようなご指摘。
 また次の丸には、自立と個性というキーワード、あるいは人生観、人間観、社会観、職業観といった観の形成といったようなご指摘がございます。
 その次の丸でございますが、社会の形成者としての意識を育む市民としての教育。また、中学、大学、企業等との連携と接続。3つ目として個々人のポテンシャルの向上、こういう3つの観点が重要ではないかというふうなご指摘。
 下から2つ目の丸をご覧いただきますと、市民社会の形成者として、また家庭生活を送る者としての資質、能力を求めていく必要があるというようなご指摘。
 最後の丸は、高等教育を受けられる資質、能力、学力を持たせることを目標とすべきということで、高等学校の学力保証について考える必要があるというようなご指摘でございます。
 次のページでございますが、一方で、今の高等学校は受験のための準備期間になり過ぎているのではないかというふうなご指摘。
 また、高校卒業と企業との関係で、企業側の実態や子供ちたの勤労観、職業観といった変化を踏まえた対応も必要ではないかといったようなご指摘がございます。
 以下は、各論的な事項としまして、豊かな情操、道徳心ですとか規律や意欲の問題等々のご指摘がございます。
 最後の丸でございますけれども、高校改革を行っていく場合には、自己点検や評価というのをしっかりやらなければならないというご指摘もございます。
 6ページが、幼稚園の目標でございます。
 まず最初の丸でございますけれども、幼稚園教育の目標について大きく変更を要するとは考えないけれども、書きぶりが若干古くなったような表現もあるのではないかというふうなご指摘。
 2つ目の丸といたしましては、的確な目標であるけれども生活における経験の重視等に留意をすべきだというふうなご意見でございます。
 また、次の丸からは幾つか幼稚園における教育についてのご提言でございます。言語を通じた教育についてのご提言、あるいはその次の丸はコミュニケーション能力、他者との調整能力といったようなご指摘、また支援ということを強調し過ぎたことを軌道修正する必要もあるのではないかといったようなご指摘でございます。
 それから、続きまして7ページをご覧いただきたいと思います。
 2つ目の丸には、集団生活の中で規範意識などを学ぶといったような役割も考える必要があるのではないか。
 また、3つ目からは、家庭との連携というふうなことをご指摘いただいております。預かり保育の機能の重要性、あるいはその次には親が全部幼稚園に丸投げとならないようにといったようなこと、あるいは家庭、地域社会との連携といったようなご指摘もいただいております。
 それから、中断よりちょっと下の丸には、学校教育法第1条における学校種の規定順について、もう一度考えてもいいのではないかといったようなご指摘もいただいております。
 その他、保育とか教育という言葉についてのご指摘もございます。
 続いて8ページでございます。5番目といたしまして義務教育の年限についてでございます。
 最初の丸は、義務教育の年限、期間は延長すべきではないかというふうなご指摘でございます。
 2つ目の丸につきましても、義務教育を低年齢化するというのはやむを得ないのではないかというふうなご指摘でございます。
 一方で、次の丸は、意識調査の結果を見ても必ずしもメリットがはっきりしていないのではないかということ。
 あるいはその次、9年制を変えるだけの必然性やニーズ等々は若干疑問ではないかというふうなこと。
 次の丸といたしましては、財政負担の問題も考える必要があるのではないか。
 6つ目の丸には、地方公共団体にとって、国庫補助金が来るのであればいいけれども財源保障がないとなかなか難しい問題だというふうなご指摘もございます。
 それから8ページの最後の丸をご覧いただきますと、幼稚園教育では3歳、4歳、5歳、各段階に応じた教育内容の整理、充実を図ろうとしているために、5歳以上を小学校に入れるとなると若干混乱のもとになるのではないかというふうなご指摘もございます。
 9ページは時間の関係で割愛させていただきます。
 10ページをご覧いただきたいと思います。6番といたしまして、学校種間の連携・接続の改善(特に小中一貫教育)ということについてのご指摘でございます。
 学校の区切り方については従来から研究が進められているんだけれども、まだ一番よい区切り方についての結論は出ていないというふうなご意見。
 また3つ目の丸には、多様な先行的な取り組みを踏まえて更に検討を重ねていくことが必要というふうなご意見。
 また次の丸に、教員の定数をしっかりつけて、教科担任制や少人数指導を充実すれば6、3制をいじる必要はないのではないかというふうなご意見。
 また、次の丸から2つにつきましては、中高一貫教育制度についての成果を検証する必要があるのではないか。その上で、小中一貫教育についても考える必要があるのではないかというふうなご指摘。
 また、意識調査の結果では、まだどちらとも言えないといったようなご指摘がございます。
 それから、下から2つ目の丸をご覧いただきますと、思春期の発展が、この五、六十年の間に2年ほど前倒しになっているという実態を踏まえて、6、3制は実態に合わないのではないか。学校の設置者の判断で9年一貫の義務教育学校を設置できるようにするのがいいのではないかといったようなご指摘。
 最後の丸には、教育課程の仕組みの工夫で対応するということも考えられるのではないかというふうなご指摘がございます。
 以下、12ページに学校外の教育施設での学修と就学義務の在り方について、13ページにその他についていただいたご指摘をまとめさせていただいておりますが、時間の関係で詳しいご説明は割愛させていただきたいと思います。
 資料の説明は以上でございます。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。資料4-1の1ページに戻っていただきますと、そこにそれぞれのヘディングが出ております。初等中等教育分科会でいただいたご意見を、そのヘディングごとにまとめたのが資料4-1ということになります。多様なご意見が出ておりますが、これをご覧いただきながら、こういうことが抜けているのではないか、こういうことを再度言いたいということがございましたら、ご意見をいただきたいと思います。
 30分ほど時間がありますので、できるだけたくさんの方にご発言いただきたいと思います。いかがでございましょうか。どういうことでも結構ですので、よろしくお願いします。いかがでしょう。石井委員。

【石井委員】
 分科会における広範なご議論のご紹介がございまして、大変勉強させていただきました。
 これを伺っていて、あるいは常日ごろからといってもいいんですが、いつも自分で注意しなければならないと思っているのは、教育論というのは、始めると多くの場合上から物を見るという傾向に、知らず知らずのうちに行ってしまう。つまり、これだけは教えないと義務教育としてはだめだとか、こういう人間を育てたいという、皆さんそう考える。それが間違っているとは思わないんです。しかし、それで本当に子供たちの教育を考えるときに十分なのかということであります。
 これは最近の生命科学の発展によってわかりつつあることの聞きかじりでしかございませんが、例のクローニングというやつは、生命科学の発展につれてだんだんわかってきたのは、ほとんどこれは原理的に難しい、極めて確率の低いものでしかないということが結論的にわかりつつあるようであります。
 と申しますのは、例えば受精卵が、たった1つの卵、細胞ができたといたしまして、そこから個体ができ上がるまでの間には、数知れない分化が行われなければならない。皮膚なら皮膚、血液なら血液、神経なら神経、骨なら骨というそれぞれの細胞をつくり出すために、DNAの持っている情報をどう読み解くかという点について、モディフィケーション、日本語では修飾と訳しているようでありますが、その修飾が生ずる。それによって初めて体を構成する要素に応じた細胞ができ上がっていくわけであります。そのモディフィケーションだらけのDNA情報を持った細胞というものが体中に満ち満ちているわけであります。
 仮にその一部分をとって移植をしてクローニングをしたといたしますと、そのモディフィケーションをそのまま受け継いでしまう。つまり、DNAの読み方についてのあり方が修飾を受けたままの形でクローン細胞というのができ上がるわけであります。
 ところが、有性生殖による場合は、そのモディフィケーションが一たん解除されてもとに戻る。だから、ちゃんとした個体が発生するような仕組みになっている。つまり、非常に露骨な言い方をいたしますと、いびつな形でDNAの情報を伝達する仕組みを持ったままのものがクローニングによってでき上がるというものでございます。
 教育論というのは、おそらくそれぞれの先生方、50人いらっしゃれば50人のモディフィケーションを受けた、その方のこれまでの生活の歴史、履歴であるとかさまざまな条件によってモディフィケーションを受けた人間が考える教育論というのは、それぞれみんな違っているわけであります。これを1つのシステムに組み上げていくということになると、結局そこのところを中和させながらシステムをつくっていくわけでありますけれども、そのときに、どうしてもやっぱりこれだけはとか、非常に抽象的な上から見たものの考え方でシステムを構築しようとする傾向がどうしても避けられない。そういう教育論の持っている、あるいは教育システム論の持っている宿命というものを我々はいつも考えておく必要があるのではないか。
 裏から申しますと、教育を受ける子供たちがそのシステムの中でつまずいたときにどうするんだということをいつも考えてシステムを構築しておかなければならないし、つまずいたときに、それをどう救い出すかということで、そのシステムがいつも自己修正をしなければならない、そういう柔軟性を持っていなければならない。そうしないと、常にいじめであれ学力低下であれ、あるいは落ちこぼれだ何だ、とさまざまな問題が起きるわけであります。
 ですから、そういうシステムを構築しよう、あるいはこれから改善しようとするときに、いつもその問題を考えて、いわば上からだけじゃなくて下からの目線というのを、子供たちの目線というもの、あるいは子供たちがつまずいたときにどうするんだという手立てを同時に構築しながら考えていく必要があるんじゃないかなと、そういうふうに思っております。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。阿刀田委員。

【阿刀田委員】
 小中高一貫教育という問題ですが、こういうものこそ文部科学省など、とにかく総括的な立場から考えていかねばならないことだろうなと思います。
 私、素人なので、それぞれの学科によって、小中高一貫教育が非常に必要な種類の学問と、それぞれ分けながらやっていっても何とかなるというようなものがあるんじゃないかなということを漠然と感じているんですが、少なくとも英語教育というものが、特に小学校での英語教育が非常によく言われていて、文部科学大臣がおかわりになって少しトーンが変わってきたような気もするんですけれども。これは小学校でやることが絶対、私は小学校英語教育反対論者なんですが、それが絶対まずいと申し上げているんじゃなくて、これこそ一貫性があって、小学校でやったことを中学でどうとらえ、それを高校でどう反映していくかということがちゃんとできていないと、小学校だけでちょろちょろやってみたって、多少は耳が訓練できるかもしれませんけれども、教育としてちゃんとしたものはとてもできないんじゃないかと。
 ですから、小学校の英語教育があれだけこのごろ叫ばれているのであったならば、そのあとの中学、高校でどうやっていくのかということが、思ったほどきちっと出てきていないような気が見えるんです。
 このあたりは、他の教科にもきっと類似のものはあるんじゃないか。数学はどうか、国語はどうかなんて問題はあるかもしれませんが、特に英語教育というのは、小学校のことを考えるんだったら、それをどう中学、高校でつなげていくのか、こういうことを通して一貫教育というのはどうあるべきものなのかという継続性を考えていくことがとても大切なことのように思います。
 配慮されているのだろうと思いますが、あまり目に見えてこないので、ぜひそのあたりは今後にご考慮いただきたいと思います。
 以上です。

【木村分科会長】
 横須賀委員。

【横須賀委員】
 義務教育改革の課題の中に、既に学制改革と呼んでいい問題が幾つも出てきています。その中に、例えば一番大きな問題で言えば義務教育年限の延長という問題すら議論される状態になっているんですけど、例えば過去の学制改革、義務教育年限の延長の問題を振り返ってみれば、1つは就学率、就学状況が十分用意されるようになったかという面と、国際環境の中で国家的な目標でどうだろうかという2つの面。当然、教育内容的な用意が十分できているかというようなことで3年が4年になり、6年になり、戦中8年が用意されながら実現しない。戦後、すぐ国際環境の中で9年、現在に至っているという状況があるわけです。
 一方では、今の就学状況の問題から言うと、高等学校もほぼ100パーセントが見えるぐらいのところに来ているという意味では、12年制の状況が十分用意されているようにも見えるし、国際環境的に見て高い学力や見識が求められる長い教育期間が必要になっているという面もあると思うんですけれども、対応していくのは成長発達する子供であり青年であるということを考えると、必ずその人間の人生というのがどこかで、あるいは能力適正というものは分化していくのは、学制がどうとか学校がどうとかということを超える問題としてあるんだろうと思います。そういうことからすると、おそらく15歳を超えて来たところでの人間の発達とか人生というふうなものには分化が起こってこないとおかしいんじゃないかという気がするわけです。そういう議論を踏まえると、単純に学制改革議論になっていいのかどうかという点は、私なんかはわりに慎重なほう。
 一方で、先ほどの未履修やいじめというふうな事件の形で出てくる中に、あるいは不登校とかそういうことにもあらわれているように、十分就学率なんかが高くなり、表面的には教育や学校が行き渡っているように見える中に、随分空洞が起きているというのが、戦後教育が60年たった今の状況なんじゃないのかという気がしてしようがないです。
 私、きのうまで沖縄の那覇の小学校に招かれて授業研究に行ったりしてきたんですけれども、授業が大事だとみんな言いつつ、そして教科の授業が行われているけれど、本当にそれが子供たちの魂や肉体に本当に影響を与えるようなものになっているのかというと、随分疑問があるということを申し上げたし、その具体的なことについての検討に加わってきましたけど、私はやはり学制改革制度論、非常に大事だと思うけど、もう一方では充実の中に相当空洞が起きているんじゃないかという点検、それを埋めていくためにはどういう手立てが必要なのかという内容と方法にわたる検討を続けていっていただきたいし、それに参加していきたい、そういうふうに思っているところです。

【木村分科会長】
 こちらで手が挙がっておりましたが、河邉委員、最初に、そのあと市川委員。

【河邉委員】
 幼稚園教育にも時間をかけて検討をいろいろしていただいてよかったと思っています。今、就学前の教育は、幼稚園、保育所、認定こども園と、多様な運営形態が出てきている中で、幼稚園教育はどのような目標を持つべきかということをしっかりここで押さえていく必要があると思いますので、引き続き議論が進むといいなと思っています。
 その中で2点感じているところがあるんですが、1点は学校教育法の学校種の規定順について、なかなか検討が進まないようですが、幼小連携のことも考えますと見直す必要があると思いますので、引き続きの検討をお願いしたいと思います。
 それからもう1点なんですけれども、幼児は初めて家庭から集団生活に進んでいくわけですから、その最初の一歩がいい生活であるということは、その後も長く続く学校生活の基盤をつくるという意味でとても重要だと思うんです。そのときに、7ページにありますように、主体性を育てるとか自由にするということが規範を身につけないというような大局的な論理で議論が進むことに違和感をもちます。学校の中で教科学習が充実すれば生活が充実すると同じように、幼児が取り組む活動、遊びが充実することが、幼児の生活そのものが充実することだろうと。その中で、初めて自分の足で歩くわけですから、主体性とか自由ということは最も重要なこと。だけど、それは好き勝手やっていいというわけじゃありませんで、主体性の中で他者と協調したり、自分は少し我慢したり、試行錯誤して問題を解決したり、しっかり遊び込んで他者とつながるということの経験が必要だろうと思います。
 ですので、ぜひ大局的な論理の中で、規範意識をもっと早くから学ばせなければならないということにならないように、幼児が自分でしっかり遊び込んで、その中で問題を解決していくことの喜びを味わい、主体性を身につけていって、それは同時に規範意識を育てることになる。それがその後の学習の基盤になるような幼稚園教育が展開されるように教育の内容を見直していく必要があるだろうというふうに思います。
 実は、保護者の皆さんも、今、大変規範意識が強くなっていて、いい子になってほしいと強く思いますし、ここで間違うと将来にわたってまずいんじゃないかというような不安がものすごく強くて、割合と早くから失敗を恐れたり、自分の子どもが転んだりすることに先へ先へと手を出してしまうと。それは決していいことではないので、試行錯誤して、その中からみずから規範意識を学んでいく、もちろん必要なこともきちんとこちらで伝えていく、そんな生活が長い学校生活を考えると幼児期には絶対的に必要だと感じています。
 以上です。

【木村分科会長】
 市川委員。

【市川委員】
 まず全体的なことなんですけれども、これは初等中等教育分科会ですからもちろん学校でどういう教育を行うかということが話題になるんだとは思うんですが、その前提として、結局中教審としては学校教育も含めて、あるいは社会教育、生涯教育、家庭教育というようなものも含めて、どういうグランドデザインを持っているのかということをどこかで議論して、そういうビジョンの中で学校教育は何を目標として何を請け負うのかというふうに持っていったほうがいいのではないかと思っています。
 そこのグランドデザインがないままに、学校教育の目標はこうであるという議論がいきなり出てくることが、どうも議論をわかりにくくしているのではないかという気がします。
 それから2番目に、これまでの議論なんですが、昨年10月に中教審答申が出て、義務教育というのはどういうことをやる。この中で学校力とか、教師力とか、人間力という言葉も使われました。それから2月に審議経過報告が出て、そして今回の主な意見というのが出ていて、どうも議論が積み上がっていっているんだろうかという気が少ししてしまうんです。
 去年の10月の答申は、私は義務教育特別部会の委員ではありませんでしたけれども、義務教育というものはどういうものであるかについてかなり骨太の、基本的なところから議論が出されてまとまったんだと思うんです。すると、教師力とは何なのか、学校力とは何なのか、人間力とは何なのかということがもっとブレークダウンされて具体的な制度とか指導要領になっていくのではないかと思ったんですが、どうも今回の意見、さまざまなものが出ていて、そういうものが踏まえられた上での議論と言うには、ちょっと散漫になっているような気がします。
 ですから、ここをどう考えるのかです。あれを1つの基盤として考えていくというのであれば、議論をその線で詰めていくということも考え直していいのではないかと思います。
 特に私がこの目標、今回目標というのが非常に多いので、この二、三年の審議の中で大事だと思うのは、この目標の中に、生きる力、さらに人間力というような言葉が出てきて、いわゆるアカデミックな意味での学力とか目標というだけではなくて、実生活ということをもっと視野に入れて、こういう生活をしていくと。そのためにはこういう力が必要というのが、学問的なアカデミックな面だけから見るのではなくて生活の面から見ていこうという1つの動きがあって、それは私は大事だろうと思っています。ですから、この会議でもPISA型読解力とかそういう言葉が話題になりました。生活との結びつきをどうつけるか。コンテンツとしては、確かに教科の学力を学んでいるわけですけれども、それを通じて生活に生かされるような力をつけてほしいという議論が1つ目標論の中で大事なことではないかと思います。
 それから、この目標論で、先ほどの履修漏れのこととも絡むんですが、ちょっと不穏当な発言と思われるといけないんですけれども、どうしても教育の目標に建前的なものと本音的なものというのがあります。受験学力をつけるというのは、例えば高等学校にとってかなり本音としての目標になっているというところがあります。履修漏れの問題にしても、今の履修漏れが起きたところで一体どうやって対処するかだけでは全然基本的な解決になっていなくて、なぜそういうことが起きたかというと、よくおっしゃるのは、生徒の求めに応じてというようなことがあります。要するに、受験学力をつけたいので受験に関係ない科目よりは受験に関係ある科目をやってほしいというのが出てきた。制度をいかに厳正に実行しても、その要求というのはきっと残っているんだろうと思います。それを一体どう考えるのかです。
 おそらく大学進学に必要な力をつけるというのは、生徒側の求める目標として非常にあると。先生もいいところに進学させてあげたいと思っている。しかし、地方に行くと周りには予備校もないし、そういう体制ができていなければ、ついつい高校にということになって、こういうことがだんだん起きてしまう。
 そういう目標というのも、ある意味では大事なんだろうと思います。しかし、それを学校という制度の中でやろうとするからこんなひずみか出てきたのであって、必要であれば、例えば行政側が進学塾に対応するようなものを何かやったっていいのではないかと思います。必要なものならばそういう力をつけるためのことを、学校外に行政がある教育サービスとして実施するとか、そのかわり学校は決められたことをきちんと行う。周りに民間のそういう適当なものがなければ、どこかがそういうものを提供する。塾に行けない子もいるわけですから、そういうものを提供する。全体としては、高等学校でしっかり身につけてほしい学力も身につくし、プラスアルファとして受験に必要な学力と。それが何らかの意味で必要ならば、それも提供するというのが、システム全体としては提供されている。というようなものかないと、どこかにかえってひずみが起こってしまうんじゃないか。
 地域教育などでも、これは人間力などに絡んで、学校ではできないことをいろいろ担ってもらう。民間にも担ってもらった上で、全体としてはこういう環境を子供たちに提供できるというような議論の中で、学校教育は何を担っていくかということを改めて鮮明に打ち出していく必要があるのではないかと思いました。
 以上です。

【木村分科会長】
 今井委員。

【今井委員】
 よく教育の仲間で、例え話で、サーカスのピンを回している状況の中で、それが4本になり5本になり、さらに教育の要素が加わって、学校の中ではサーカスのような演技をしているなというふうなことを例え話で言うんですけれども、非常に忙しい中に加えて、例えば社会の労働時間の流動化、24時間営業だったり離婚の家庭の崩壊だったり、想像以上に家庭教育の低下があって、学校としてはそういう問題傾向、または支援を必要とする家庭に強力なバックアップをしていかなきゃならないと今感じています。
 今、市川先生もおっしゃったように、何でもかんでも学校、生徒が学校に来るもので非常に対応しやすいということで行政も学校を使ってくれることはありがたいんですけれども、非常に難しい現状が今展開されているんじゃないかなというふうに思っています。
 ですから、新しい改正後の教育基本法には家庭教育の第10条の中で、第一義的には家庭が責任を負う、そこら辺の役割分担の明確化というのをさらに一層進めていかないと、期待される学校ではあるんですけれども、なかなか難しい現状があるのかなというふうに思っています。
 学校は何をするのか、地域は何をするのか、家庭は何をするのか。もちろんイニシアチブをとるのはもしかしたら学校なのかもしれませんけれども、そこら辺を明確にしていかないともう回し切れない状況に、もしかしたら今後、突入していくのではないかなというふうにも思っています。そこら辺のご検討も願えればありがたいなというふうに思います。

【木村分科会長】
 田村さん。その次、渡久山さん、北條さん、それから陰山さん。ちょっと時間が押しておりますので、よろしくお願いいたします。

【田村委員】
 ありがとうございます。初等中等分科会で学校種の目標を議論するときに、結局ここで出てくる話になると思いましたので未履修問題のときには発言しなかったんですが、やっぱり最終的には修得と履修、どっちをとるのかという話をはっきりしないと解決しない問題があるんだろうと思うんです。目標をつくっても修得と関係があるのか、ただ履修すればいいのかという議論に必ずつながります。実は、私たちの国の仕組みは、まだそれをあまり明確に言っていないわけです。ただ、仕組みとしては履修主義をとっている。ですから、今回の処置も未履修に対してはそういう対応をなさっているわけです。
 しかし、よく考えてみれば、修得でなくていいのかという疑念は必ずあるわけです。そこをまず整理しておかないと、目標をきちっとした形で出しにくいという問題がまずもとにあるんだろうという気がします。
 実は、これを申し上げるのはアメリカのケースで、高等学校卒業程度認定試験というのを日本の国でつくったときにかかわらせていただいたものですから、そのときにアメリカのそういう例があったので、実情を調べてみました。いろいろ聞いた結果では、アメリカは50州のうちの三十幾つが卒業資格試験というのを実際問題を州ごとにつくって実施しているわけです。問題を見たら、大体高2の前半ぐらいの問題で易しい問題なんですけれども、一応全員がやっているわけです。それでもやっぱり実際にアカデミックな意味での校長の卒業証書をもらった子のパーセンテージと、易しい資格試験をとった子供のパーセンテージというのはかなりの乖離があります。しかし、それはやって、両方とも通用しているんです。そのときに実際、その関係の人たちにお聞きした話なんですが、学力試験をやっていながらアカデミックな資格試験を、卒業証書により証明された資格というのはどういう価値があるんだと聞いたら、わからなくても我慢して聞いているところは大事にしたいということで、アカデミックな証明もやっぱりそれなりの社会的な価値として認めているんです。アメリカのような実力主義の国でも、一挙にはできないんだなという実感をそのとき持ったんですけれども、そこをどの程度にやるのかということです。
 これは、もし正確にやったら、未履修問題以上の大きな問題になるだろうと思います。つまり、本当に高校卒の資格を持っている高校生がどれぐらいいるのかという話です。それは履修でやるんだという話でいくなら問題は簡単なようなんだけれども、そうすると目標をつくるときにその目標は架空の目標ということになっちゃうから、みんなまじめに議論しなくなっちゃうという難しさがあるんです。その辺の整理をどこかでしなきゃいけないんじゃないかなというふうに感じております。
 それから、基本的には、初等中等教育の目標というのは自立するということと、それが社会でいかに生かせるかという2つの大きな目標があると思います。アリストテレスという偉い人は、二千数百年前にやっぱり学ぶ内容として3つ言っているんです。1つは科学の知識、それからもう1つが技術の知識、科学と技術と今一緒にしちゃっていますけれども、彼は2つに分けています。それからあと実践的知恵ということを言っています。これは今で言うところの哲学、あるいは価値観みたいなことにつながることなんでしょうね。
 そういう部分を今度は少し整理して、指導要領を立ち上げるときに学科の整理をしておく必要があるんじゃないか。最初の話に戻りますが、修得と履修ということでいけば、この部分は必ず修得してくれと。決めているけれども、これ以上はできるところはやればいいとか、それぐらいのことをはっきりしないと実質的な議論にならないんじゃないかという気がするんです。すごく難しい問題なので、アメリカでも難しくて、すべての州が卒業資格試験をやっているわけじゃないということがそれを証明していると思うんですが、これはそろそろ日本もそういう時期に来ているのかなという感じがします。
 まとまりない話で申しわけありません。

【木村分科会長】
 渡久山委員。

【渡久山委員】
 1つは、今、説明いただきました主な意見ですが、相矛盾している意見もあるんです。しかし、ゆくゆくは、学校教育法の改正になっていくのであっていいと思うんです。
 学校教育法を見ますと、目的については小中高いい、幼稚園についてはいろいろありましたから議論がありますけれども、いいと思いますが、目標は、少し小学校のように教科をある程度中等学校、高等学校を入れるべきだと思うんです。特に高等学校の教科の未履修の問題があります。高等学校で習っていく教科の意味は何なんだというようなことが非常に大事になってくると思うんです。先ほど阿刀田委員も言われたように、そういう教科の中でも一貫性を持たせるという意味でも、これは学校教育法の中に位置づけていくという形もいいんじゃないかと。今現在、学習指導要領はそれぞれの教科、それぞれの学校によって書かれていますけれども、そこに統一性があるのかないのかという議論もありますから、そうでありましたら学校教育法の中できちっと位置づけていくということは非常に大事じゃないかというような気がいたしますので、これはつけ加えて議論させていただきたいと思います。
 それから2つ目です。ここでも幼稚園と小学校との連携の問題がよく出ています。これはある研究校で研究されたところから資料を送っていただいて読んでみたんですが、幼稚園から小学校に入ってくる子供、それから保育所から小学校に入ってくる子供、既に学習に対するレディネスが違っていると。そういう中で、そこ自身が1つの抵抗になるというようなこともありますので、今後のきちっとした検討課題として、やはり幼稚園教育のあり方というのを、今のような縦の二元化じゃなくて横にしていく。例えば5歳児、4歳児は全部幼稚園児にすると。これは他の外国でもありますから。そしてまた、3歳児以下をすべて保育園に入れるというような形にすれば、日本における幼児教育も一貫性を持たせてくるんじゃないかというようなことで、近い将来だけに、これは大きな議論かもしれませんが、ぜひともこれは今後の検討課題として、論点整理の中に入れておいていただきたいというのが2つ目です。
 3つ目、義務教育年限の問題がいろいろあります。今度の新しい教育基本法では、義務教育年限は削られたわけです。そうでありましたら、学校教育法かどこかできちっと入れなくちゃいけないです。そのために、もちろん行政としてもやられると思いますけれども、もしも議論する場合、他の国との比較もさることながら、1971年、昭和46年答申から5歳児入学というのはずっと言われているわけです。そうすると、5歳児入学をどうするかという問題を含めて、5歳児からもしも小学校に入れるとすれば、やっぱり9年間にするのか、あるいは10年間にするのか、この辺の問題は議論しておかなくてはいけないだろうと思います。また10年にしても、年限区切りをどうするかです。ここにもたくさんの学者の先生方がいらっしゃいますから、いろいろな論文も出ておりますから、それを参考にして、いつまでも同じようなことでいいのかどうなのか。非常に大きく問題提起もされておりますし、また文部科学省もたくさんの研究校で成果を上げたりしているわけです。
 そういうことを含めて考えますと、その辺もきちっとより効果的な学習形態はどうあるべきかという意味で、学年の区切りを、それは義務教育年限と同時に検討したほうがいいんじゃないかと思います。
 それから、先ほど田村先生が言われた、私はすべて履修問題とか高等学校問題も、あるいは日本の教育すべての問題はどうも大学受験とか高等受験とか、受験のためのみの学力みたいな感じになってきている。ですから、それから言うと、高等学校の場合は、フランスのバカロレアとかSATみたいな感じで、卒業資格試験という感じに今のセンター試験を変えていけるような大胆なことをしていかなければ、どうしてもこれは解決しようがないような気がいたしますので、意見を申し上げたいと思います。
 以上です。

【木村分科会長】
 北條委員。次に、宮崎委員。少し時間が押しておりますので、よろしくお願いします。

【北條委員】
 昨年来の中教審の答申で、学校と家庭と社会といいますか、空間的な押さえ方をするという考え方と、それから教育の順序性ということと、2つのことが強く押し出されてきたように思います。そして、このたびの教育基本法の改正でも、家庭教育ということが立てられるようになっております。
 こうしたことを踏まえて、先ほど来いろいろ問題になっている、学校をめぐる問題というのを考えた場合に、いくら何でも学校たたき、あるいは教員たたきが過ぎるのではないかというふうに思うところがございます。もちろん、学校にも教員にもそれ相応の責任は当然あるわけでございますが、今のような一方的に学校、教員をたたくというやり方では、生産的な、子供を本当に健やかに育てていくという方向には動かないというふうに思います。
 そういった観点からも、学校教育法ということであれば、そこでの目標というのは非常に限定されたものに当然なろうとは思いますけれども、限定された目標の背景に、家庭のあり方とか社会、これは学校の段階によって大きな社会と小さい社会があろうと思いますが、社会とのかかわりというのを押さえているんだというような観点がどうしても必要だろうと思います。
 それから、教育というのは順序性が当然大切なんでございまして、そこを中抜きして飛ぶということはできないわけでございます。そういった意味からも、先ほど学校教育法の学校種間の順序性の問題、これは現在の規定はどう考えても理屈の通らない規定になっておりますので、これはぜひ見直していただきたいというふうに思います。
 また、ただいま渡久山先生から5歳児の問題が出ましたが、これは以前初中分科会で相当議論になったところでございます。私も、そのときの意見をあえて繰り返させていただきますが、現時点で5歳児を小学校に前倒しで入れるということで、一体日本の教育の中で何を積極的に生かそうとしているのか、これが見えないわけでございます。そうした中で5歳児の1年前倒しの小学校入学ということを取り上げるならば、混乱を引き起こすだけだということをもう一度繰り返しておきたいと思います。
 以上でございます。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。宮崎委員。

【宮崎委員】
 ありがとうございます。学校種間の連携のことで一言お話をさせていただきます。
 今年の6月に学校教育法の改正が行われて、特にこれまでの第6章の特殊教育の部分が来年から特別支援教育という体制になっていくわけです。71条、あるいは75条の書きぶりで大きく今後学校のありようを変える中身になってくると思うんですが、特別支援学校という名称でこれまでの盲聾養学校が変わっていくということと同時に、各小中学校、高等学校における特別支援教育体制というのの整備をしていかなければいけないというようなことが出ています。
 これについて、特に私は障害者基本法、あるいはそれに基づく障害者基本計画などから交流及び共同学習の積極的な推進ということがうたわれておりまして、このあたりのことを今後どんなふうにこの部会で検討していただけるかということが大事な視点としてあるんだろうというふうに思っています。
 これまで障害児教育においても、いわゆる学校教育の目標として掲げられているものが社会参加自立にあったということを考えれば、方向性としては非常に重要なところであったと思いますし、同時に共同して一緒に学ぶというような視点も入れていただくというようなことが今後考えられていくのではないかと思います。幼稚園、小学校、中学校との連携のあり方をどうしていくかということについても、ぜひ今後とも検討していただければありがたいというふうに思っております。
 以上です。

【木村分科会長】
 最後に陰山委員。高橋委員、少し待ってください。陰山委員と深谷委員、そこで終わりにしたいと思います。

【陰山委員】
 ありがとうございます。改正教育基本法を読んでいまして、相当にこの議論に大きく影響を与える部分が幾つもあるなということを感じております。
 まず1つは、義務教育の中身というのが、今回の改正教育基本法によってはっきりと位置づけられて、とにかく社会的な自立、それから国家及び社会の形成者としての基本的な資質ということで、この概念でいくとかなり具体的な内容というものがリストアップできるんじゃないかなというような気がします。
 さらにもう1つ、これは大きなと思いますのは、10条のところに家庭教育ということがあるんですけれども、この家庭教育の中において、家庭が第一義的責任であるということ、これはそれでいいんですけれども、その次に、2項のところで保護者がこういうふうなことを判断するに当たって必要な情報というのを地方公共団体等が全部提示をしなければいけないということが出ております。ということは、この指導要領というものは、お父さん、お母さん方が読んですっとわかる内容でなければいけないのではないかということを要求しているように思うんです。
 そういう点からすると、指導要領に書かれている内容というのは、例えば一覧表のような形にしてぱっと見れば、大体小学校ではこういうことを学習するんだな、中学生の数学ではこんなことを学習するんだなということがわかる形で提起される必要があるのじゃないかなというふうに思います。
 そう考えますと、今起きております未履修の問題でありますとか、あるいは学力低下にかかわる幾つかの混乱のもとになった誤解、例えば3.14の問題であるとか地理学習とかの問題についても、いらぬ誤解を避けることができたのではないか。そういう点で、指導要領の提示の仕方についても抜本的なあり方を考えるべきではないのかなというふうに思います。
 そしてその中で、小中とか中高一貫校ということで伏線型のところが出てきているわけなんですけれども、おっしゃるように最終的には、大学入試のところではかなりセンター入試という一元的な入試によってこれが判定をされるという点では、伏線型でいながらアウトプットのところは非常に単純になっていると。ところが実際問題、もう一歩突っ込んでいくと、大学によって相当個性的な選抜をしているんです。ところが、ここの部分も保護者の方々は全然ご存じない。実は我々も、数年前と、例えばこの間行われた入試というのもかなり実態が違うということを関係者の方にお話を聞いて驚いたようなこともあります。
 そういう点で、ナショナルカリキュラムなり、日本の教育全体の実態がどうなのかということをきちんと共有できるということが、中教審に求められる大きな課題になっているのかなというような気がいたします。

【木村分科会長】
 深谷委員、それから高橋委員の順序でお願いします。

【深谷委員】
 すいません、1点だけにします。幼稚園教育の中の7ページに、親が全部幼稚園に丸投げにならないようにと。この1文はすごく、ひょっとしたら小も中もじゃないのかなという気がしております。丸投げ、悪く言うと、表現は不適切ですが、お金を払ったんだから責任は全部幼稚園も保育園も学校も負ってくださいよという時代が来るのではないかということを憂うわけです。
 例えば、文科省でも調査に入られたかわかりませんが、給食費の未納なんです。取り立てに教員が行っているんです。あるいは、いよいよ子供の教室ができます。文科省と厚生労働省の合体のあれがいよいよ始まります。全小学校でやっていくことになります。そうすると、授業後のことです。この子はずっと下校時間まで学校の子、帽子ぐらいかぶせて色分けせなわからないようになります。こっちの子は預かる子。学校の中で2系統の子供ができるわけです。そのときに事件が起きないという保証はないと思うんです。これも丸投げになっていくんじゃないかと。できるだけ見てくださいよと。
 そういったこと考えたときに、丸投げの一方で何か事が起きれば学校が責任だけを負わされてくるということを、私は非常に心配しています。いわゆる学校や教員、元気を出せということが、元気が出ないような状況がますます生まれてこなければいいがなということです。
 学校だけは明確に出ますが、家庭や地域の役割というのは明確に出しにくい面は十分承知しておりますが、ここら辺はもうちょっと毅然たるはっきりしたものを出さないと、おそらく学校はまた新たな事件にきゅうきゅうするときが来るような気がします。
 以上です。

【木村分科会長】
 最後に高橋委員。

【高橋委員】
 本当にありがとうございます。私は、今回の教育基本法が改正されたということについて、大方の校長は、公共の精神を尊びて、あるいは豊かな人間性と創造性とか、そうしたことが入ったことについて大変高く評価している、歓迎していると、このように思っております。
 問題は、こうしたことをこれからの学校教育法なり学習指導要領の改訂において目標の中にぜひ盛り込んでいただきたい。と同時に、その目標を実現するための教育活動、そのことを保証するということで、ぜひお考えをいただきたいということからお話をさせていただきました。
 当然のことながら、教科、道徳の時間、あるいは総合の時間等で身につけるものもある。ただ、このことについては身につけるというよりはむしろ知るということのほうが大きいかなと。それをいかにして身につけるかといったときに、子供たちの多くは学校行事であるとか部活動であるとか、あるいはさまざまな体験的な活動を通して、同年齢の子供たちの中で、人間関係の中で切磋琢磨する。あるいは地域社会の大人たちとのかかわりの中で身につけていくということが実はたくさんあるんです。そういった活動をぜひ考えていただきたいと。
 したがいまして、教育課程に位置づけられる内容的なこともありますけれども、学校の管理下において行われる教育活動全体を視野に入れて、その中で目標達成と。そのためにどうしたらいいかということでお考えいただけるようなことをぜひお願いしたい。このあとの検討においても、そのことをお考えいただきたいということで申し上げました。
 ありがとうございました。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。
 大変活発なご意見をいただきましたので、時間が大分過ぎてしまいましたが、3番目の議題に移りたいと思います。教育課程に関する諸課題についてということであります。
 ご承知のとおり、教育課程に関する諸課題については教育課程部会において学習指導要領の見直しという立場から審議を行ってまいりました。その他に専門部会が立ち上がっておりまして、そこでも鋭意議論をいただいてきております。そういうことで言いますと、今議論いたしました初中分科会での議論よりもかなりこれまでやってきて密度が濃くなっておりますので、これも委員の任期の関係で1月末までに何らかのことを申し送る必要があるんですが、やや初中分科会よりは内容が濃いものにならざるを得ないというふうに考えております。そういう形で引き継いでいくということになろうかと思いますが、それでよろしゅうございますね。初中分科会よりはもう少し具体策を含めて、次期の委員の方がどういうふうにご判断されるかわかりませんけれども、我々のやってきたプロダクトとしては少し密度の濃いものになろうかと思いますので、その辺、ご了承いただきたいというふうに思います。
 それでは、時間もなくなりましたが、初めに合田教育課程企画室長から簡単に資料についてご説明いただき、どのぐらいの時間がとれるかわかりませんけれども、少し議論したいと思います。よろしくお願いいたします。

【合田教育課程企画室長】
 それでは、時間もございませんので、ごく簡単に現在の教育課程部会の審議の状況についてご報告をさせていただきたいと思っております。
 資料につきましては、配付資料の4-2の次に、資料番号を振っていなくて恐縮でございますが、1枚紙のカラーの資料「教育課程部会の審議状況と今後の課題について」という資料が、資料4-2の次に、資料番号を振っておりませんがカラーのペーパーとして1枚入れさせていただいているものでございます。これを中心にご説明させていただきたいと思っております。
 17年4月から教育課程部会で学習指導要領の見直しについてご議論いただいたわけでございますけれども、先ほど部会長のほうからもお話がございましたように、教育課程部会においては本年2月に審議経過報告を取りまとめたところでございます。お手元のハードカバーの資料にも入ってございますけれども、かつまた初中分科会にもご報告をしたものでございますが、現行学習指導要領の理念を実現するための具体的な手立てを確立するという観点から、知識、技能の定着と、思考力、判断力の育成をともに図るということ、子供たちの社会的自立を推進するための方法として言葉と体験を重視するなどといった内容でございます。特に、このカラーの資料でございますように、具体的に国語力の充実、理数教育の改善、外国語教育の改善、伝統、文化に関する教育等、授業時数の見直し、学校週5日制の維持、到達目標の明確化、学力調査といったようなことについて、教育課程部会としての議論をまとめておるところでございます。
 その後、4月以降でございますけれども、この議論を前提に、これを踏まえまして、各学校段階ごとの具体的な議論を展開するという観点から、小中高等学校ごとの部会を設け、具体的に議論をしていただいております。
 また、既に置かれておりました各教科ごとの専門部会でも、それぞれの教科に応じた議論というものを、審議経過報告を踏まえる形で深めたところでございます。
 その結果を教育課程部会に報告の上、総括的な立場から教育課程部会で現在議論をいただいているところでございまして、このカラーのペーパーで申しますと平成18年度夏以降というふうになっているところでございます。学習指導要領の具体的な改訂事項を詰める段階の審議を18年の夏以降、教育課程部会でいただいているところでございます。
 具体的には、各教科等で改善充実する内容、教科の横断的な事項、特定の重要課題、事業時数のあり方、到達目標や評価のあり方といったことについて、引き続き審議中のものも含めて現在議論をいただいているところでございます。
 その審議状況を整理いたしましたのが、そのあと、資料番号振っております資料5-1から5-3でございますが、時間もございませんので、資料のつくりだけを簡単にご報告、ご説明を申し上げます。
 資料5-1は、小中高のそれぞれの学校段階別の部会の議論。それから教育課程部会の議論を教育課程部会の2月の審議経過報告で示された視点、それが一番左側にございますけれども、それごとにまとめたものでございます。
 それから資料5-2でございますけれども、これは審議経過報告を踏まえて、それぞれの教科の専門部会でそれぞれの教科についてどういう課題があって、目標、内容についてどのように改善していくべきで、かつ具体的な改善事項の例としてどのようなことが考えられるのかといったものを報告したものをサマライズしたものでございます。例えば国語で申しますと、一番右側の具体的改善事項の例ということで、古文、漢文の音読や暗唱の重視といったような具体的な事柄等を教育課程部会に提示をし、ご議論いただいたところでございます。国語の欄の下ごろに、四角で囲った丸で4つほどございまして、PISA型読解力の向上に対応する改善を図る必要があるといったことが書いてございますが、これはそういった専門部会の議論の報告を受けて教育課程部会で出たご意見でございます。いずれにいたしましても、専門部会、あるいは教育課程部会で既に提出された資料、あるいはご議論というものを整理させていただいたものでございます。
 それから、資料5-3というものにつきましては、各教科を通じた課題に関する議論、これも教育課程部会のもとに置かれております教育課程企画特別部会において、道徳、特活、総合的な学習の時間の分担と連携といったようなこと、それから3ページ以降は到達目標のあり方等につきまして議論し、それを教育課程部会に報告したところ、右の欄に書いてあるようなご意見をいただいておるという状況でございます。
 行ったり来たりで恐縮でございますが、1枚紙のカラーに戻らせていただきまして、審議経過報告以降は教育課程部会においてこういった具体的な議論をしていただいているところでございます。このような審議を踏まえまして、引き続き教育基本法や同法の国会審議などを踏まえて、例えば読み書き計算などの基礎基本の徹底、思考力や判断力などの具体的な育成について、各教科等にわたるさらに具体的な手立て、小学校段階の英語教育の充実などの課題、授業時数のあり方などについて引き続き審議を深めていただく予定でございます。
 なお、学習指導要領の改訂の時期につきましては、本年1月に文部科学省として取りまとめました教育改革の重点行動計画におきましては、本年度から平成19年度にかけてというふうに記述をいたしておりました。今申し上げましたように、教育基本法や同法の国会審議などを踏まえて、さらに検討を深めるということが必要でございますので、過日私どもの大臣が申し上げましたとおり、年度内の改訂は困難と考えておりますけれども、来年の大きな課題として引き続きご審議をいただきまして、その検討状況を踏まえて判断してまいりたいというふうに考えております。
 簡単ではございますが、以上でございます。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。資料5-1、5-2についてもう少し詳しくご説明いただく予定でありましたが、時間の関係から、そこのところははしょらせていただきました。委員の皆様には、それをご覧いただいた上でも結構です。何かご意見がありましたらいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。ございませんでしょうか。どうぞ、深谷委員。

【深谷委員】
 抽象論ですが、簡単に言いますと、末端部の市町村の教育委員会並びに学校も、教育基本法の改定によってどういうふうに変わってくるのかなということを非常に興味深く見ていると。だから、当然として教育課程も今のお話のように本年度ではなくて19年度に大きなまとめ。ということは、結局そういった点の整合性というかその辺を、先ほどちょっと見ておりましたが、初等中等教育分科会の主な意見の中でも、既に新しいというか改定されるであろうという論議と、どうもそうでない論議とがごちゃまぜであるのではないかなという感想を持ちました。ですから、そちらの問題も当然として、いよいよどういうふうに、教育課程もそれなりの教育課程が出てくるのではないのかなと。
 以上です。

【木村分科会長】
 おっしゃるとおりだと思います。教育基本法がどういうふうな形で進むか、ある程度予想はついていたのですが、その受け取り方が個人でばらばらでございましたので、今、深谷委員のおっしゃったようなことがこれに出ているということだと思います。教育基本法が改正されて、あとは学校教育法がどういうふうに改正されるかによると思いますが、そういうことがあったことはたしかだと思います。
 1月の末までに教育課程部会、あと2回か3回、開催する予定ですので、その辺の調整はしたいと思います。
 他に。どうぞ、陰山委員。

【陰山委員】
 先ほど言ったことと絡むんですけれども、義務教育の内容が改正教育基本法である程度こういう枠がはめられてきます。私は、これは非常にいいことだろうと思うんです。要するに義務教育というのは日本国民としての極めて基礎的なものを決めるわけですから、あんまりころころ変わるものではないと思うんです。ここ近年、学校現場の最大の悩みは、変わっていないとおっしゃっても実際現場としては随分ころころ変わっているという印象を持っておりますので、そういう点では、義務教育の部分というのはそれほど変わらないものにするのが望ましいというように思います。
 その点で、5年、10年変わらないものを義務教育の中でぴしっと押さえると。高校の部分は教育基本法の中では十分わからない部分があるんですけれども、大学との接続の中で、時代性の部分は高校とかそういうところでやっていくというふうにするという枠組みを持っていると、比較的対応がしやすいのかなと。そうすることによって、教育というものが本当に国民的なものになっていく道筋になるような、そんな気がいたします。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。渡久山委員、お手が挙がっていましたね。

【渡久山委員】
 1つは、教育課程を見ていますと、この何年間かの間にだんだん分裂というか広がってきているんです。ですから、1つは、最初に教科と教科外だったのが、教科の中でもだんだんそれぞれの教科の中にまた新しい教科ができてくるという感じがしているんです。根本的な議論をしなければいけないかもしれませんが、例えば理科なんか、高等学校の場合は理科基礎と理科総合A、Bとあるんです。それから、物理の1、2、化学の1、2、こういうようにしてだんだん分化していっているんです。そうすると、子供たちの多様なニーズにこたえているというようにも見えますけれども、もう1つは、それほど基礎的なもの、高等学校で起こる物理的な知識や問題を解く思考力、それをこんなに分けて考えていいのかどうなのか。もっと絞って考えていいんじゃないだろうかというような感じがします。ですから、そういうようなことをもっと根本的に見ていかないといけないだろうという気がします。教科外で特別活動もどんどん細分化していっているんです。
 僕は、教科で見ると、先ほど合田室長が言われたように、PISA型学力ということになってくると、やっぱりリテラシーを教科の中で教えていかなくちゃいけないと思うんです。あえて総合学習なんか持ってこないで。教科の中でこれが消化できるようにしていかないと。キーコンピテンシーとよく課長も言われていたけど、それが育つような教科学習というのに、教科の中に組み入れていくということをしていくべきじゃないだろうか。
 そうじゃなくて、最近はどうも情報が出てきたり、キャリア教育が出てきたり、金銭教育が出てきたりして、だんだん。見ると、大学での授業を下におろしてきたような感じがして、どうもリベラルアーツという考え方からして違っているんじゃないかなという気がするんです。
 そういう意味では、先ほど陰山委員からも言われたけど、義務制学校における基礎的な教科というのはそんなに変わるものじゃないじゃないかというような気がします。そういうことを考えてきますと、基礎的な教科までずっと多様化していくという必要がどこにあるんだろうかというような気がいたしますので、もう一度そういう観点、あるいは論点というものを整理していくことが必要じゃないかなという気がいたします。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。他にございませんか。甲田委員。

【甲田委員】
 今の渡久山委員の意見に、高等学校は本当にそのとおりなんだろうなということでございます。ただ、必要に応じて、あるいは中教審の議論をきちんと踏まえてこれになってきているということはわかってはおりますが、現場において、例えば理科の未履修問題、グレーゾーンですよね。グレーゾーンについては理科A、B、それをとるのか、理科基礎をとるのか、この3つのうちから1つ必修になっているわけですけれども、実際やっているのは化学、あるいは物理というものをやりたくなってしまうというのが実態なんです。
 時間がないわけですけれども、2単位科目の非常に狭い範囲でいろんなものをまぜたものというのは、やる学校があってもよいけれど、そうでない学校があってもよいというふうにしないと、つまり高等学校はひとつにくくれないんです。高等学校ではというふうに皆さんくくりますけど、そこが一番の問題になっているわけです。
 つまり、総合的なもの、あるいは横断的なものがあってもいいけれど、そうじゃない選択があってもいい、必修があってもいいというふうにしていかないと、これからの高等学校はまさに首が絞まっていってしまうということでございます。
 ちょっと難しいですけれど、そういう示し方というのは学習指導要領であるのかどうかということが一番の問題です。

【木村分科会長】
 今のグレーゾーンについては、東京都でも全く同じ悩みがあります。総合理科Aが化学と物理、Bが生物と地学ですよね。あのカリキュラムを詳細に検討してみたのですが、あれをきちんと教えられる先生はなかなかいませんね。そうするとどうなるかというと、それをブレークダウンして教えることになる。それでグレーゾーンになってしまったというケースが非常にたくさんあるんですね。高邁な理想ではあったのだけれども、そういうことをきちんとできる人がいるかということを検討せずに踏み切ったということですね。
 これは前に申し上げたかもしれませんが、大学の工学部で一時エンジニアリングサイエンスというのがものすごくはやったことがあります。工学を総合した科目でアメリカではやったものですから日本に持ち込まれた。しかし結局教えられる先生がほとんどいなかったということで、またもとに戻してブレークダウンして教えるようになってしまった。
 日本の大学の特徴は、学科間の壁が非常に高いということですが、日本の中学校も同じです。教科横断というのがなかなかできない。本当はやらなきゃいけないのですが非常に難しい。その辺の状況も考えてやらないと、なかなかうまくいかないという状況ですね。
 市川委員、どうぞ。

【市川委員】
 3点申し上げたいと思うんです。1つは、教育課程部会のほうで、今度の学習指導要領をこういうふうにしていくということ、かなり詰めた議論が出てきたわけですが、先ほど私もちょっと申し上げたことですけれども、学校教育のほうでこれだけのことをしっかりやると。当然、どうしても入れられなかったこともあるわけです。すべてを学校教育の中でやるわけにはいかないので、入れられなかったこともあると。それは他の社会教育だとか家庭教育の中でこういうふうにやってほしいんだということをむしろ訴えていくということも必要かと思います。
 これは教育課程部会の中でやるというよりは、初等中等教育分科会として、こういうことをむしろこういうところでぜひやってほしいと。特に私も厚生労働省関係の人間力の委員会というのがあっちにあるんですが、出ていますと、ほとんど人間力の育成というのはキャリア教育のことです。いろんな分野の方が、学校でこういうことをやってほしいとたくさんのことをおっしゃる。民間企業の方もおっしゃるわけです。それならば、そういう方が地域でぜひやってくれればいいではないか、学校教育の中でそんなことまでやろうとしてもとてもできない。エネルギーがあるんだったら、むしろ民間や地域教育の中でやってほしいということを打ち出していって、他に丸々教育のことがいっぱい出てきますけれども、学校教育では、これはしっかりやるかわりに他のところでこういうことをやってほしいというのを出していくべきかなと思います。
 2番目は、今回の改訂のねらいとか特色はどこにあるのかということを改めて鮮明に出す必要があるのだと思います。考えていらっしゃるとは思うんですが、どの指導要領の改訂のときでも、今回はこういうねらいがあるということが出てきました。新しい学力観が出てきたり、生きる力が出てきたり。今回はどういうところ、言葉の力とか体験というのが出ていますけど、もう少し具体的に、こういうところがこれまでは問題だったのでこういうふうに改善する方向でやっていますとか、今回、新しいことをこういう方向で入れていますということを。特にゆとり教育の見直しという話が出て、今報道もされていますが、議事録がひずめられているとかそういう話も出ていますが、常に丸々教育というのを見直すのはいいことだろうと思います。当然、どういうところはよくて、どういうところは問題だったということを見直して次のをつくっていくわけですから、見直すことは当然必要だろうと思います。じゃ、具体的に教育課程部会としては、ゆとり教育と言われる教育の中で、こういうところは大事なことなので残しておく、どういうところは問題だったので今回こう改善していくということをはっきり問われているのではないかと思います。
 3番目に、内容としてこういうことを教えていくということは、今回、指導要領に盛り込まれるわけですが、それ以上に教育課程の改訂ごときに大きな影響を与えるのは、それをどうやって教えていくのかという指導方針の変化だろうと思っています。
 ゆとり教育のときに、指導要領の内容自体も減らしたり、そういうことも起きたわけですが、それ以上に影響が大きかったのは、そのときの指導方針の変化です。これが十数年かかって、全国津々浦々、かなり子供たちにきちっと教えることがあまりよくないことであるかのような指導方針に変わってしまった。特に小学校だと思っていますが、指導より支援と言われる中で、先生が解説的にきちっと教えるということは、つまり説明することはよくないことだと。子供に考えさせて子供に発言させて、そして討論を通じて自力発見、自己解決、共同解決していくことこそがいい教育で、先生が教えるということがめっきり減ってしまったと。これが指導要領の内容削減ということ以上に、非常に悪い影響を及ぼしたと思っています。そのことをいろいろ言うたびに、やっぱり私もそう思っていたという人は多いわけなんですが、実際には90年代にそういうことを言えない雰囲気になっていた。
 去年の10月の答申で、教えて考えさせる教育のようなこともはっきり言葉として出たので、多分それは変わりつつあるんだと思います。今回、指導方針のようなことについてはどういうふうにこれが伝わっていくのかなと。おそらく教科調査官からさらに指導主事、そして学校の校長先生、現場の1人1人の先生に伝わっていく過程で、今回の指導要領は一体裏にどういう方針で教えるということがあるのかをいろいろ皆さん研究した上で伝わっていって、それが学力の大きな規定要因になっていると思います。どういうふうに教えていくのかということについても、もしこちらがメッセージとして出すのであれば、それを明確に出して、やはりきちっと教えるべきことは教えると。しかし、教えられたことをただ再生するのにとどまるのではなくて、それを使ってみずから学び、みずから考えていくというようなところに結びつけるんだということを改めて強調していかないと、バランスのとれた教育にならないのではないかと思います。
 以上、3点です。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。安彦委員、何かありましたら。

【安彦委員】
 私は、今ちょっと市川先生がゆとり教育という言葉を使われたので、一言。
 私たち教育課程部会では、ゆとり教育という言葉は基本的に使っていないと思います。文科省も使っていないと思います。むしろ教育再生会議はその言葉を平気で使っておられますけど、誤解していただきたくないというか。その点はジャーナリズムが使っているだけですので、私も基本的には括弧づきのものについてはかなり批判的な考えですけれども、本省自身はこういう言葉は使わなかったと認識しております。
 改めて、今回の基本法改正を前提にしてということですけれども、私は教育課程部会は、先ほど深谷先生からのお話もありましたけど、ある程度それを念頭に置いてやってきていて、ある意味ではそんなに大きな手直しをする必要はないんじゃないかというふうに思っております。
 この点は、もちろん個別に見ていきますと、先ほど陰山先生も言われたような部分が、大枠みたいなところでは出てくると思いますけれども、教育課程の中身を固めていくときには、大体今までやってきた議論、それほど大きな方向のずれはないというふうに思っております。
 それから、正直言ってどこまで法律というのが、学校教育法その他、具体的な形になっていくのか見えていないものですから、教育課程そのものがどれほど細かく規定され直されるのかというのがちょっとわからないんです。一応私たちは旧学校教育法の小中高の教育の目的、あるいは目標を念頭に置いて、あまり字句にとらわれて今まで改定してきたわけではないわけです。そういう意味でも、それほど大きな方向性さえ間違っていなければ細かい部分についてはあまり神経質にいじらないでもいいのじゃないかと思っております。その辺、ちょっと法律の改正の性格について、たまたま非常に改正直後にこういうふうに議論しているので神経質になっているかもしれませんけれども、今のようなことを念頭に置いて考えていいのじゃないかなというふうに思います。
 一言最後に、高校の未履修問題につきましては、私もいろんなところで話をさせていただきましたけれど、正直言って端的に言えば高校側は役割論はあるけれども教育論がなかったんだというのが1つの印象です。
 ですので、先ほどからお話があったとおりだと思います。改めてこの段階で、高校の教育というのはどうあるべきなのか、役割だけ負っていて子供がいい迷惑をしているということは十分にあり得ますから、そういう意味では保護者や何かの期待にこたえるという役割論だけでは教育というのは済まないということを、改めて今回このタイミングで考えて、そして高校のほうについて、先ほどのお話のように、私も渡久山先生と似たような認識を持っておりまして、必履修科目が細かく分かれ過ぎているという認識がありますので、むしろ大きくまとめてつくり直すというか、その辺をもう一度考えたほうがいいんじゃないかと思っております。
 以上です。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。田村委員、最後に。

【田村委員】
 先生方のご意見の中に出てこなかったので、一言だけ申し上げさせていただきます。教科書です。
 やはり、教科書内容採択いろいろな問題があって、やはりある程度は議論しておいたほうがいいんじゃないかという気がします。今のままの教科書でいいのかという。いろんな国の例がありますけれども、ものすごく大部な教科書を用意して、そのうちのこの部分とこの部分を教えるというふうにするのが一番いいような気がするんですけれども、教科書は無償だからなかなかできないというようなことがあるんでしょう。
 難しいんですけれども、教科書はとにかく一番影響があるものなんです。ぜひひとつ議論の中につけ加えていただいて考えていただければというふう思っています。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。それでは、時間がまいりましたので、最後に鳥居会長から総括的なお話を伺えればと思います。

【鳥居会長】
 ありがとうございます。大変熱心なご議論をいただきましてありがとうございました。最後に一言だけ、今日の機会でございますのでお願いをしておきたいと思います。
 教育基本法の国民に対する周知の仕方をずっとこの間見てまいりますと、ごく一部のことしか報道されておりませんで、これが報道機関だろうかと。新聞なんだろうか、テレビなんだろうかと言いたくなるような報道しか行われておりません。ご存じのとおり、今日議論した事柄は、例えば第6条の学校教育の第2項に詳しく書かれておりまして、体系的な教育が組織的に行われなければならないと書いてある条項から、我々が今日議論してきたことは発しているわけですし、また家庭教育や幼児教育が新しく加わったこと、それから教育行政についての条項が新しく加わったこと、そういった事柄を知っている国民はほとんどいないと思います。なぜならば、報道されていない。文部科学省は一生懸命教育基本法の改正の条文を国民に周知徹底する方法はとったんだろうとは思いますけれども、しょせん役所がやる広報とマスコミがやる広報とでは力の大きさが圧倒的に違いますから、国民はやはりマスコミから得られる情報だけで偏った情報を得てしまうということだと思います。
 ぜひ、このあと、改正教育基本法の全体を通じて、これが学校教育法の改正にどのように結びついていくか、学校教育法の改正が学習指導要領の改訂や教科書の改善にどうつながっていくか、それから子供たちの教育の条件、そこにどうつながっていくかということについてご議論いただきたいと思います。
 今日は議論には出ませんでしたけれども、教科書は無償で配られていますが、例えばその他の教材はみんな自己負担ですよね。その自己負担ができない生徒たちが学校によっては4割に達しています。その4割に達している子供たちの教材負担、あるいは制服を実行している地区であれば制服の負担を、いろいろな形で捻出して区市町村が負担しているわけです。そういうものに対する助成も、本来であれば読み方をちゃんと読めば、教育基本法にそのもとを読むことができるはずなんですけれども、政治家も、そしてマスコミもそういうふうにまじめに読もうとしておられる形跡は見られない。大変失礼な言い方ですが、再生会議でのご議論を見ていてもそのような話は出てこないというのが実情なんです。ぜひ、その辺まで視野を広げて、木村先生のご指導のもとでこの分科会が動いていってくださることをお願いしたいと思います。
 1つわかりやすい例を申し上げますけれども、改正教育基本法の第8条には私立学校というのが初めて設けられました。国民は、この意味は全くわかっていません。憲法89条に、公金を公の支配に属さない学校に使ってはならないと書いてある、それが問題の発端なんです。それを乗り越えるために昭和50年に私学振興助成法というものができた。だけど、それは議員立法であるがために十分に憲法89条を乗り越えることができないまま今日まで私学の扱いがきているわけです。ところが、初めて教育基本法の第8条にそれが書き込まれたので、国は私学の振興に努める責務があることが書かれたわけです。
 というようなことを、1例ですけれども、国民は全く報道されない、知らないままにおります。ぜひ、国民にこの教育基本法改正の全体を周知徹底しながら我々の議論を進めたいと思います。ありがとうございました。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。それでは、以上で本日の議論を終わりにしたいと思います。
 先ほども触れましたが、今後の日程、かなり厳しいものになっておりますが、事務局からよろしくお願いいたします。

【淵上教育制度改革室長】
 初等中等教育分科会の今後の日程につきまして、資料6-1をご覧いただきたいと思います。資料に記載のとおり、第46回の分科会を1月22日月曜日、10時から12時の予定で開催をさせていただきたいと考えております。場所につきましては、確定し次第またご連絡をさせていただきたいと思います。
 ただ、※に書いてございますように、日程につきましては、なお変更の可能性がございますことをご承知おきいただければと思いますし、また22日以降の予定につきましてはまだ未定でございます。よろしくお願いをしたいと思います。
 それからもう1点だけ、配付資料につきまして、委員の先生方には参考資料として教育再生会議に関する資料を同封させていただいております。お時間のあるときにお目通しいただければと存じますので、よろしくお願いいたします。

【合田教育課程企画室長】
 引き続き教育課程部会の日程でございますが、資料6-2でございます。次回、1月10日水曜日、10時から12時、この都市センターホテルでございます。その次を1月16日火曜日、10時から12時、フロラシオン青山でございます。ご多忙のところ恐縮でございますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。

【木村分科会長】
 本日はどうもありがとうございました。

─了─

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)

-- 登録:平成21年以前 --