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初等中等教育分科会(第44回) 議事録

1.日時

平成18年9月21日(木曜日) 10時~12時

2.場所

フロラシオン青山 1階「ふじ」

3.議題

  1. 幼稚園の目標について
  2. 学校種間の連携や接続の改善について

4.出席者

委員

 木村分科会長、梶田副分科会長、赤田委員、安彦委員、加藤委員、角田委員、中嶋委員、中村委員、市川委員、井上委員、今井委員、甲田委員、高倉委員、高橋委員、渡久山委員、永井委員、西嶋委員、野村委員、平出委員、北條委員、宮崎委員、横須賀委員

文部科学省

 尾山審議官、銭谷初等中等教育局長、合田審議官、布村審議官、徳久初等中等教育企画課長、常盤教育課程課長、田川幼児教育課長、藤原企画官、大谷幼児教育企画官、その他関係官

5.議事録

【木村分科会長】
 おはようございます。それでは、時間になりましたので、ただいまから中央教育審議会第44回初等中等教育分科会を開催させていただきます。
 本日はお忙しい中、ご出席を賜りましてありがとうございました。前回、前々回と、第41回分科会でお示しした論点ペーパー、初等中等教育制度をめぐる主な課題に沿って、義務教育の目標、義務教育の年限、高等学校の目標について、教育基本法の改正案の内容も踏まえた審議を行ってまいりました。本日は、この主な課題に沿った審議の最終回ということになるかと思われますが、幼稚園の目標並びに学校種間の連携や接続の改善、この2つをテーマとしてご議論をいただきたいと存じます。
 それでは、最初の幼稚園の目標についてのご審議でございます。ご承知のとおり、国会で継続審議となりました教育基本法案は、幼児期の教育についての条文が新しく設けられております。また、学校、家庭、地域住民等の連携協力についても新しい条文が新設されております。これらを踏まえまして、幼稚園の目標についても改めて検討する必要があると考え、本日の1つ目の議題として、幼稚園の目標について取り上げさせていただいたということでございます。
 初めに、事務局から配付資料のうち、幼稚園の目標に関する資料についてご説明いただきたいと思います。
 大谷幼児教育企画官、よろしくお願いいたします。

【大谷幼児教育企画官】
 それでは、資料に沿いまして、私から簡単にご説明させていただきます。
 資料につきましては、資料1から資料8を主に使用させていただきます。
 まず、資料1でございますけれども、3としまして、幼稚園教育に関する課題にございます幼稚園教育の目標についてでございますが、ご審議をいただくに際しまして、幼稚園関係の規定でございますとか、幼稚園教育を取り巻く状況につきましてご説明させていただきます。
 まず、現在審議中の教育基本法案の関係規定についてでございますが、この法案におきましては、教育の目標、学校教育に関する規定のほかに、第11条といたしまして、幼稚園期の教育の規定が置かれてございます。資料番号は資料4をご参照ください。この規定につきましては、生涯にわたる人間形成の基礎が培われる幼児期においては、極めて重要な意義を有するものであることから、幼稚園における教育のみならず、家庭や地域において幅広く行われる教育も含めて、その重要性を規定するために、新たに設定されたものでございます。また、第13条といたしまして、学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力についての規定が新設されているところでございます。
 次に、学校教育法の幼稚園関係の規定をご説明させていただきます。幼稚園につきましては、学校教育法の第7章に規定がございます。幼稚園の目的でございますけれども、第77条にございますとおり、「幼児を保育し、適当な環境を与えて、その心身の発達を助長すること」とされております。幼稚園も学校でございますので、教育基本法に掲げる目的に則して教育が実施されるということは申すまでもございませんが、幼児の場合は、まだ幼少であるということから、幼稚園での幼児の心身発達に応じた教育の中には、児童生徒の場合とは異なり、一定の養護や世話が必要になるところでございます。さらに幼稚園の教育が小学校以上のように教育内容を体系的に分類した教科を中心として内容の習得を行わせるというものとは異なり、幼児の具体的な生活体験に基づいた総合的な指導を行うものでございまして、その教育方法の独自性をあらわす用語として保育という言葉が使われているものであります。
 資料4の2ページ目をごらんいただきたいと存じます。
 また、幼児期におきましては、幼児期に次いで心身が著しく発達し、環境から強い影響を受けるという時期でございますので、「適当な環境」というふうに第77条で書いておりますのは、例えば幼稚園の園舎でございますとか、園具、教具等の物的環境のみならず、幼児教育に熟達した教員等の人的条件を含めた幼児に適した環境というものを指しておるところであります。このように幼児の発達段階に即して有効適切な教育作用を行うことによって、その心身の発達を助長するということが幼稚園における教育でございますけれども、この場合の「助長する」という言葉でございますが、こちらは心身の調和的な発達を図って、健康、社会、自然、あるいは言語、表現といったものに関する興味や関心を養い、学習意欲や理解しようとする態度の基礎を培うようにすることでございまして、具体的な知識の習得でございますとか、あるいは技能の習得というものを直接のねらいとするものではないというように考えられております。
 第78条でございますけれども、幼稚園の目的に沿いまして、幼稚園教育において達成すべき目標を定めております。幼稚園教育の目標は、幼児の発達の特質に応じて、主として日常生活に即した具体的なものとなっております。
 第78条の第1には「健康、安全で幸福な生活のために必要な日常の習慣を養い、身体諸機能の調和的発達を図ること」を挙げておりまして、こちらは幼児の発達の特質に応じた身体的発達の重要性を掲げたものでございます。
 目標の第2として「園内において、集団生活を経験させ、喜んでこれに参加する態度と協同、自主及び自律の精神の芽生えを養うこと」となっております。こちらは、幼児が幼稚園に入園してから初めて集団生活らしい生活を経験するものであるということでございますので、これによって進んで集団の中に入っていくという気持ちでございますとか、態度、あるいは集団生活において必要な協同、あるいは自主、自律の精神の芽生えを養うことを求めているものであります。
 目標の第3は、身辺の社会生活及び事象について興味や関心を持たせ、正しい理解力と態度の芽生えを培うこととされております。
 また、第4といたしまして、人の話をよく聞いて意味をとり、自分の意見を人に正しく伝えるように話ができることを目標としております。これは特に絵本や童話に対する興味を持たせ、言葉に対する感覚を豊かにしようとするものであります。
 目標の第5といたしまして、音楽、遊戯、絵画、その他の方法によって、自分のイメージをさまざまな形で表現する楽しみを経験させたり、それによりまして、創作的表現に対する興味を養うというものでございます。
 1枚めくっていただきますと、この間、制定されました認定こども園に関する法律を用意させていただいておりますけれども、認定こども園におきましても、満3歳以上の子どもに対しましては、学校教育法の第78条各号に掲げる目標が達成されるように教育活動を行うことが要件とされておるところでございます。
 4ページでございますけれども、幼稚園教育の目標につきましては、幼稚園教育要領におきましても規定されております。学校教育法のもとの書きぶりとは異なっておりますけれども、これは学校教育法施行後に出されました審議会答申の内容を踏まえまして、幼稚園教育の普及状況や、子どもの育ちを取り巻く変化に沿った形で規定を解釈し直した書きぶりになっているところでございます。
 なお、その対比につきましては、次の5ページに対比表をつけておりますので、こちらもご参照いただきたいと存じます。
 次に、幼稚園教育の現状につきまして、資料5をごらんいただきたいと存じます。資料5の1ページから5ページまででございますが、1ページを開いていただきますと、幼稚園の数及び園児の数が示されておりまして、平成18年5月現在で、幼稚園は約1万4,000ございます。そのうちの約6割が私立幼稚園となっております。また、園児につきましては173万人ということでございまして、その8割が私立幼稚園の園児となっております。そのほか、2ページ目以降で、幼稚園数の推移、あるいは園者の数につきまして経緯を記しておりますので、そちらもご参考いただければと存じます。
 次に、資料7をごらんいただきたいと存じます。資料7の42ページでございますが、こちらに子どもの育ちに関する現状というものがございますので、簡単にご説明させていただきたいと存じます。資料7、42ページにございますとおり、最近の幼稚園の状況について、幼稚園の園長さんから見た幼児の状況といたしまして、コミュニケーションがとれない園児、あるいは規範意識のない園児などの増加が指摘されておるところでございます。
 また、次のページをごらんいただきますと、幼児の運動能力という点におきましても、基本的な運動能力の低下傾向が見られるということでございます。
 また、次の44ページ、45ページをごらんいただきますと、子育てについての不安感ということで、母親の意識に従来とは異なる変化が見られるとともに、46ページをお開きいただきますと、児童虐待の相談件数が大幅に増えてきているという実態もございます。
 また、47ページをごらんいただきますと、室内で遊ぶという子どもが増えておりまして、外遊びの仲間がいなくなっており、自然体験の少ない、49ページをお開きいただきますと、自然体験を1回もしたことがないという子どもの割合が増えているところでございます。
 次に、資料6に戻っていただきまして、中央教育審議会の答申につきまして簡単にご説明させていただきます。この答申は、平成17年1月に答申をいただいたものでございますけれども、幼児教育に関する答申でございました。
 この答申におきましては、今後の幼児教育の取り組みの方向性といたしまして、2つの方向性を提言していただいております。1つは「家庭・地域社会・幼稚園等施設の3者による総合的な幼児教育の推進」。2番目としまして「幼児の生活の連続性及び発達や学びの連続性を踏まえた幼児教育の充実」ということが提言されております。具体的に第2章におきまして、幼児教育機能の強化として3つの点が指摘されておりました。また、第3章といたしまして「幼稚園と保育所の連携の推進及び総合施設の在り方」ということで、こちらが認定こども園制度として結実したものでございます。
 次に、資料8をごらんいただきたいと存じます。現在、幼稚園教育要領につきましては、教育課程部会において見直しが検討されておりますけれども、見直しの視点といたしまして次のような事項が掲げられております。
 先ほどご説明しましたとおり、幼児期から児童期への生活の連続性、発達や学びの連続性を確保し、小学校以降の生活や学習の基盤を培うという観点から幾つかの改善をしてはどうかというご指摘がございまして、1つは、入園から修園までに幼児が経験し、育つことが期待される内容を示してはどうかということ。それから、集団生活の中で主体性等を育てるとともに、幼児同士が共通の目的を生み出し、協力して実現していくという協同する体験、中央教育審議会の答申で言われました協同的な学びでございますけれども、こちらも指摘されているところでございます。また、教育課程上の改善につきましては、幼稚園・小学校の双方が明示をしてはどうかというご指摘もございます。
 また、最近、幼稚園に関しましては、家庭、あるいは地域社会の教育力の低下が指摘されているという中で、幼稚園における子育て支援でございますとか、預かり保育につきましても要望が高まっているということを踏まえまして、それらの意義を明確にし、その内容の充実を図ってはどうかというご指摘をいただいておるところでございます。
 このような近年の幼児教育の普及の状況、あるいは子どもの育ちを取り巻く環境の変化を踏まえまして、生涯にわたる人間形成の基礎を培う幼児期において、幼稚園教育の目標として何を求めるべきかについて、本日ご審議をいただきたいと存じております。
 なお、最後でございますが、河邉貴子委員から意見を寄せられておりますので、簡単にご紹介させていただきます。資料19でございます。一番最後の1枚ものの資料でございます。
 河邉委員より、幼稚園の目標につきまして、目標の見直しに当たりましては、第77条の「保育」という文言にあらわされている幼児期に必要な独自の教育のあり方を引き続き重視する必要があるというふうに考えておられるということでございます。その場合、家庭における経験が不足している現在、生活の中の体験を重視して、幼児が自由に試行錯誤しながら環境にかかわることができるようにする必要があるということでございます。
 また、2番目といたしまして、第78条の幼稚園教育の目標につきましては、幼児期の発達の特性を踏まえた的確な目標であると考えますが、現在の幼児の実態に応じて検討する場合には、生活における経験を重視すべきなど、幾つか留意点があるということでございます。
 その他といたしまして、幼稚園教育の目標の達成は小学校教育に接続するものであり、発達の連続性を踏まえるという観点から、学校種の規定順についても検討するべきというお考えをいただいております。以上、ご紹介させていただきます。
 以上でございます。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。それでは、資料を大変たくさん準備してございますが、そのごく一部についてだけご説明をいただきましたが、ご意見を賜りたいと存じます。よろしくお願いいたします。いかがでございましょうか。
 どうぞ、北條委員。

【北條委員】
 ただいま河邉先生のご意見を読ませていただきました。基本的に同意見でございます。それで、ただいまのご説明の中にもございましたけれども、平成17年1月28日、答申をまとめていただいております。この答申は、幼児教育に対する初めての包括的な答申でございまして、これに基づいて幼児教育、幼稚園教育にかかわるいろいろな改善の動きというものが現実に出てきております。私ども幼稚園関係者といたしましては、幼稚園教育、幼児教育重視の流れがようやく出てきてくれたことを大変感謝しております。
 また、この答申は、社会全体に対するメッセージ性というものも大変強く意識された内容でございまして、国の少子化対策、あるいは子育て支援の方向に対しましても、従来、ややもすれば、親の就労の都合とか、企業の都合というものに偏りがちであったものが、親と子を引き離さない子育て支援の方向、幼児教育を通しての子どもの育ちを保障していこうという方向を示していただいたものというふうに考えております。繰り返しになりますが、現実の動きもいろいろと出てきております。
 そうした中で、本日の幼稚園の目標でございますが、まず第1に、幼稚園は現在いい方向に動いてきているとは申しますが、国、都道府県段階の動きに比べますと、市町村段階のご認識が必ずしも十分ではございません。その大きな理由が、1つには、先ほどご説明がありましたように、教育基本法に現在では幼児教育の位置づけがないということ。それからもう1点は、河邉委員が最後にご指摘になっております学校教育法第1条の規定順でございます。小学校、中学校、高等学校、ずっとまいりまして、及び幼稚園という規定が現在ございます。この2つのことが、どうしても幼児教育、幼稚園教育の重要性というものが末端にまでなかなか浸透しなかった大きな原因であったというふうに考えております。先ほど引用いたしました中教審答申においても、学校教育法第1条の規定順の見直しの検討ということが明記されておりますので、ぜひともそのことを幼稚園教育の目的、目標の前提としてお取り組みをいただきたいというふうに考えます。
 次に、幼稚園教育の目標でございますが、5つの項目については、現行、教育要領に書かれております幼稚園教育の目標とも整合性がとれております。そういった意味では、必ずしも大きく変更を要するというふうには考えませんが、しかし78条の書きぶり、河邉先生も一部ご指摘がございますが、書きぶりがやはり現在の幼稚園教育のあり方からいってちょっと古くなった表現があるように思われます。そこら辺を教育課程部会のほうで幼稚園教育要領の幼稚園教育の目標の部分の見直しが進んでまいりますので、それを参考にしてご検討をいただければ大変ありがたいというふうに思います。
 それから、保育の問題でございますが、これは以前からある意味では大変厄介でして、幼稚園教育の現場でも、教育を使うのか、保育を使うのかということはずっと議論されてきたところでございます。ただ、河邉委員のペーパーの中にもございましたように、幼稚園教育の方法の独自性を示すという強い意思を「保育」という言葉に込めているという事実がございます。このことを幼稚園教育に携わる者は大切にいたしたいと思いますので、「保育」という言葉を残しつつ、また教育要領のほうでは「幼稚園教育」という言葉でほとんどのところが記されておりますので、いわば非常に微妙な概念でわかりにくいかもしれませんけれども、教育と保育と2つの概念を両方使用していくというのが現段階では適当であるというふうに考えております。
 以上でございます。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。
 では、渡久山委員、どうぞ。

【渡久山委員】
 1つは、今、北條委員からございましたけれども、私はもっと素直に、77条は教育及び保育としたほうがいいと思います。何でかというと、幼児教育と言ったり、幼稚園教育と言ったり、それが非常に慣習化しているわけですよね。ですから、いつも何か保育という形で、ケア・アンド・エデュケーションと、両方をそのまま1つの言葉に入れていますから、それよりは77条については教育及び保育としたほうが整合性があるんじゃないかと。
 それから、78条については、今、先生が言われたように、あるいは河邉委員から出たような感じで書きかえることについては賛成です。それが1つです。
 もう一つは、この資料6にありますけれども、やっぱり今までと違って預かり保育というのがもう常態化しているわけです。ですから、幼稚園は預かり保育は当然だというのが前提になっていると僕は思うんです。そうであれば、やっぱり幼稚園要領も、預かり保育は、学校教育法じゃないですよ、文部科学省の規定の中では教育と位置づけているんですよね。教育といって位置づけていますから、やっぱり幼稚園の要領の中に預かり保育をどのようにしてフォローするか。これを一定程度書き込むというのは、僕は大事じゃないかと。教育という観点からですね。これは非常に大事だと思います。
 それから、3つ目は、やっぱり預かり保育が常態化していって、幼稚園はもうわりと、幼稚園を中心にしたこども園をつくった場合もそうなんですけど、どうも施設設備が幼稚園らしくなっている。逆に言うと、幼稚園の域を出ていない場合もある。今、認定こども園ではどちらも共同施設になっているところも非常にありますけれども、そうじゃなくて従来の幼稚園の形を、施設の中に預かり保育をやっているというところがありますよね。そういう場合には、保育機能が果たして施設としてあるかどうかという問題があるんですね。今、資料6には、施設を有効に利用するという形にはなっていますが、今度、施設そのものを預かり保育用に改善するというような方向性があってもいいんじゃないか、こういうことを感じております。
 以上です。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。
 では、梶田先生、お願いします。

【梶田副分科会長】
 今の渡久山先生のご意見にほんとうに全面的に賛成をしたいと思います。また、先ほどの北條先生のご意見も非常に参考になるなと思います。どういうことかといいますと、幼児教育の問題、あるいは幼稚園教育の問題、関係者の方が集まってお話し合いになると、非常に古い固定観念がずっときて、それできているんじゃないか。預かり保育なんてまさにそれの典型でして、今、8割の子どもが私立に行っておりますが、私立で預かり保育をしていないところなんてほとんどないはずです。そして、公立も、例えばきょう日野学園やら品川のあれが出ておりますが、やっております。たしか日野学園なんかただでやっているんじゃなかったかな。それから、我が兵庫教育大学におきましても附属幼稚園でやっております。そういうふうな時代、これを親が手抜きのためにやっているからだみたいな言い方も、私はおかしいと思うんですよ。1つのそういう流れの中で、特に女性の就労率が高まった中で、これはやはり非常に大事な機能だろうと思っております。そういうことを前提にして考えなきゃいけないなということが1つあります。これは少し工夫を、どこかで何か、学校教育法の目標のところにまで影響するかどうかわかりませんが、少なくとも幼稚園教育要領では少し考えなきゃいけないかなと思います。
 それから、河邉先生のあれの中で、河邉さん、おられないものだから、ここで議論するわけにはいかんけれども、「主に言語を通して文化や知識を伝達する教授-学習中心の教育の考え方を幼児期に適応することについては、発達の特性上、また心理学上、正当であるという意見はどこにもない」と考えておられますが、私も一応心理学もやってきたし、一応教育もやってきた面から言うと、これはかなり問題があって、幼稚園関係の人がこういう前提でお考えになっているというのはわかります。でも、皆さん、幼稚園に行ってごらんなさい。5歳児はほとんど読み書きできますよ。早い子は4歳児で読みまでいきます。これは50年前は全くそうじゃなかったわけです。これはご承知の中教審の46答申に実証的なデータでいっぱい書いてあるわけです。もちろん学校的な意味での授業を幼稚園でやるなんてことは考える必要は全くありません。ただ、言葉を通じてとか、言葉の重要性とかいうのは、もう既に5歳児は当然のことで何かの形で考えなきゃいけない。
 だから、教え込みだとかいう言葉で一くくりにして、これを棚上げにするのではなくて、例えば読み聞かせなんかそうでしょうし、あるいはほかの形もあるでしょう。ほかの形と言いましても、具体的に言いますと、アメリカでジョンソン大統領のときにヘッドスタート計画がありましたね。その中で出てきたのが、ご承知のセサミストリートですよね。セサミストリートは幼児教育なんですよ。しかも、貧しい地域の教育的な条件が整っていない子どもたちに電波を通じて幼児教育をする。あれをごらんになってください。言葉がどれだけ入っていますか。あるいは、数の概念の基礎がどれだけ入っていますか。既に私は、簡単に言ってしまうと、46答申とヘッドスタートを持ち出すだけでも、5歳児近辺、あるいは4歳児、もっと言うと、木村先生が隣におられるから申し上げますが、イギリスの第ゼロ学年ですね。これなんかもお考えいただくといいですけれども。かなりこの辺が、いわゆる発達前傾現象とか発達加速現象と言われる、これは心理学ではいわば常識の話ですけれども、この50年間に非常に発達が早まってしまったという、この現実に対してどう対応するか。これはもう一度言いますが、46答申に詳しく書いてありますので、またお読みください。昭和46年、今から35年前の1971年ですから。
 ということで、この辺の表現の問題も「適当な環境を与え」というだけでいいのかどうかということも含めて、適当な環境を与えというんだったら何でも入ります。でも、それなら小学校には適当な環境を与えなくていいのか、中学校は要らないのかという話にもなります。今、幼稚園だけ入っていますけれども。小学校でも中学校でも高校でも、Latent Curriculumということで、いろんな物理的、社会的、文化的な環境の大事さということは、教育学ではずっと言われてきた話なので。だから、もし幼稚園の教育要領に適当な環境ということを強調したいということであれば、つじつまを合わせるためには、小学校から以降もほんとうは入れなきゃいけないだろうしとか、いろんなことを思います。
 私が申し上げたいのは、今、渡久山先生からご提起いただきました預かり保育ということがいわば一般化しているという現状にも示されるように、現場の具体というものは、この四、五十年に大きく変わってしまっているという、これをどう踏まえて、この目標表現、あるいは教育要領の主要な保育内容の決定ということを考えていくかということをぜひよろしくお願いしたい、そういうことであります。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。ほかに。
 では、角田委員。

【角田委員】
 今、学校教育法の問題であるということから幼稚園の目標ということになっているんだと思うんですが、例えば今度の教育基本法については、まだ案の段階ですから何とも言えませんけれども、しかしここでは幼児期の教育ということであらわされているわけです。幼児期の教育であって、幼稚園教育というふうに限定をしているわけではない。まさにそれこそ預かり保育も含め、保育所も含め、あるいは認定こども園も含めて幼児期の教育が重要である。そうすると、今ここでは学校教育法の議論をしているから、幼稚園教育の目標についてしなきゃいけないけれども、幼稚園教育は幼稚園教育としてだけで独立しているわけでなしに、認定こども園の場合には、保育園から継続して幼稚園に来ているわけです。そういうことから考えると、この幼稚園教育の目的というような、あるいは目標というようなことだけ考えていけばいいということではないのではないか、私はもう少し範囲を広げて考える必要があるのではないだろうかと思っています。
 その際に、1つ気になるのは、先ほど渡久山委員から保育機能が十分でない幼稚園があるというふうなお話がありましたけれども、今度、幼稚園というところから見ると、保育機能が十分でない幼稚園、幼稚園機能が十分でない保育園、こういう両方に中途半端な形で、認定こども園にしても、あるいは今のこども園にしてもあるような感じがします。それは、例えば教師の研修については、幼稚園だったらば、きちんとした研修というふうなものが位置づけてられて、初任者研修があり、10年経験者研修があったり、研修がちゃんと権利として獲得されている。あるいは、もっと言えば、職員室なんていうのがちゃんと研修、研究機関として位置づけられて施設としてあるわけだけれども、保育園の場合になると、そういうふうになっているとは必ずしも言えないし、保育園の先生方の研修というのは、幼稚園の先生方の研修ほど手厚く行われているわけではない。そのことが今度はカリキュラムのことについて見ると、保育園でのカリキュラムから幼稚園のカリキュラムになったときにスムーズに移行できているかというと、ほとんとが保育に欠ける幼児から保育園になったときにかなりギャップがあるような感じがするんですね。ですから、やっぱりここのところは幼稚園の教育目標ということだけでなしに、幼児期の教育目標ということを見据えて幅広くとらえていく必要があるのではないか。その上で、今の幼稚園教育の中で現状に合っていない部分もある。だから、そこのところはもう少しきちんと書き足していかなければならないだろうというふうには思いますけれども、私はもう少し広くとらえていく必要があるのではないかなというふうに思っています。
 以上です。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。
 高橋委員、先に。

【高橋委員】
 私は、幼稚園教育のことについては、申しわけないですが、門外漢のようなところがあるわけです。全く門外漢と言っていいわけですが、先ほど答申の資料のご説明の中で、今の幼児のありようということが出されておりました。42ページには、幼稚園長さん、あるいは保育所長さんから見た幼児の状況。自己中心とか、コミュニケーションがとれないとか、規範意識がないとか、自制心がないとか、あるいは基本的な運動能力の低下傾向が見られるとか、さらに後半のほうでは、室内遊びとか、自然体験といったようなことが不足しているとか、こういったことを読んだときに、何か中学生のことを書いているんじゃないかなというような思いを持って私は読ませてもらいました。そして、そうした幼児に対する保護者の接し方を読んだときに、負担感が大きいとか、それから「子どもといると楽しい」の割合が減って「イライラする」とか、さらに虐待のことは言われているとおりのことなので、それが増えているとか、そういうことも一つ一つ実は中学生の私どもの立場からすると重なるところが大きいんです。そうしたときに、私、前任の学校では、在籍生徒数の大体5パーセントが児童養護施設から通っている子どもたちでございまして、その子どもたちを見ていったときに心身の安定ということが非常に大きかったなと思っております。
 ご説明の中で、学校教育法なり、幼稚園教育要領なりのことを拝見して、私は大筋これでよろしいかなと思うんですが、環境ということの中に、やっぱり幼稚園において幼児が心身ともに安定した状態にあれるよう、そういうようなことが何らかの形で規定されるということは非常に重要なことではないかなと、このように思ってお聞きしておったところでございます。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。ほかにございませんか。
 では、安彦委員。

【安彦委員】
 2つだけ申し上げたいと思います。
 1つは、今、保育の概念のことがありましたが、「教育」というのを含めるべきであるというのは、私はどちらかというと、今、梶田先生がおっしゃった方向、あるいは渡久山先生がおっしゃった方向に賛成なんですけど。「保育」という言葉の中に「教育」という言葉も入っているのかどうか。どちらかというと入れたくないというのが河邉先生のお考えのようですけれども、現実には、実際に教育がなされているという梶田先生のお話もそうですし、実際に子ども自身が教えてほしいというふうに求めている、そういう時期でもありますし、そういう意味で教育そのものを全くなしにして保育だけという考えは、多分現状に合わないんじゃないか。もし分けるとしたら、保育を主、教育を副というふうにして、ある意味では教育というものの重要さというのを入れていただきたい。
 例えば検討事項例の最初の「○」の2つ目の「・」で「集団生活の中で主体性等を育てるとともに」と、こういうふうににすっと言っていて、集団生活は何か手段みたいにとられていますけれども、先ほど資料のご説明の中にありましたように、子どもにとっては家庭の外へ出て初めて非常に大きな集団というものの中で生活するという経験をするわけで、そういう意味では集団生活の仕方、決まりそのものは教えなきゃいけないわけでして、そういう意味で、そういうこと自体も主体性のほうに目がいっているようですけど、まず集団生活そのものを経験させて、その決まりを身につけていくというような、そういうことについては教えるということがどうしても抜きにできないと思います。そういう意味で、もし今までの観点が集団生活そのもののが目的でもあるということがちょっと欠けていたとすれば、主体性のほうにばかり目的意識が強かったとすれば、それは一面的ではないかという気がいたします。
 それからもう一つは、やはり親との関係ですけれども、先ほどの預かり保育もそうですが、私は基本的には大きな生涯学習時代の生涯教育の流れの中で、保護者、あるいは本人の学習、あるいは自己教育というものを考えてきますと、やはり親のかかわりというのは、基本的には子どもにとっても、子どもが求める親からの教育というものを親にはちゃんとしていただくべきことだと思いますし、それを幼稚園の先生によってとってかわるということはできない、かえがたいものだと思っておりますので、そういう意味でも、もう少し生涯教育的な本人の成長の中で基本的には親がなすべきことというものを一方できちっとやっていただく。その意識を高めるためにも、ぜひかかわりは深めていただいて、もちろん預かり保育をしていただいて結構ですし、それが必要だというふうに思っておりますけれども、基本的には全部預かり保育で引き受けますよという態度ではないだろうというふうに思っておりますので、そういう意味で、親が全部丸投げというような感じにならないように、やっぱり子ども自身が親にそういう教育を求めますので、それについてはちゃんとこたえるように親に自覚を促し、協同して支援するというふうにしていただきたいと思います。
 以上です。

【木村分科会長】
 それでは、最初に、井上委員。それから、今井委員も手が挙がっていましたね。

【井上委員】
 学校教育法上の幼稚園の目的と幼稚園教育の目標という規定の上から見ても、幼稚園でも教育活動を行うということは78条には書いてあると思うんですが、ただ河邉委員のご意見のように、保育が養護と育てるという意味で限定されているようなとらえ方だとすると、今の77条の幼稚園の目的で「幼児を保育し」というのは、かなり狭い意味で幼稚園の機能をここに規定してあるのであって、実態とはかなり離れてきているんじゃないかというようにも思うわけでございます。それとともに、17年1月の「今後の幼児教育の在り方」でも、教育、保育と。特に総合的な幼児教育を提供する認定こども園の場合に、幼稚園の機能と、それから保育所の機能を総合的に提供する場合に、幼児教育というものについては、教育と保育だということを中教審答申でもはっきり規定しているわけでございますから、そういう点で、特に77条の「幼児を保育し」という規定については「教育、保育し」と書くか、そこのところは、78条の幼稚園教育の目標との関連で見直す必要があるんじゃないかというように思います。
 従来の幼児教育についてのいろいろな議論の中で、特に少子化対策で、先ほどからお話のように、幼稚園にも預かり保育というのが実態として行われていて、そういう機能を幼稚園の役割としてどこまで規定するか。幼稚園は幼稚園、保育所は保育所として本来の役割を従来どおり果たすというのがかなりあるというような実態もございまして、すべてが幼稚園プラス預かり保育、あるいは保育所にそういう幼稚園機能を果たすということには直ちにはならないと思いますので、実際に認定こども園の実施状況等を踏まえて考えていくということも必要かと思いますが、やはり幼稚園の本来的な機能というものを、この際、17年1月の中教審答申等を踏まえて、十分この目的と目標の規定は検討する必要があるというように思います。
 もう一つは、幼稚園は、子どもの成長過程で父母の保護のもとから自分以外、他者を意識し始める幼児期というのは、社会の中で他者と生活していくためには、主体性を育てるということと必要な道徳性に目覚める時期でありますから、幼稚園や保育所などの集団生活の中で他者との協同、他者への思いやりなど、集団行動の規範を身につけて、そして子どもが社会生活を行う上で必要なルールを認識して守ることができるように、家庭とも連携して幼稚園として必要な役割を果たすべきだと思っております。これは幼稚園長や、あるいは保育所長などが、そういうところが欠けているということを今の幼児の問題点の中で指摘しておりますので、そういう役割についても重視していくべきじゃないかと思っています。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。
 では、今井委員、お願いします。

【今井委員】
 前々回の42回のときに私が全く無知であったもので、幼児教育が学校教育でないがごとくな表現を使ったことに関しまして、関係の先生方にご迷惑をかけたことをまず第一におわびしたいと思っております。申しわけありませんでした。
 今回の幼児教育に関しまして、例えば親の立場から見ますと、共稼ぎなもので、うちの娘は1歳になる前から保育園に預けました。その保育園はよいというか、面倒見のいいところだったもので、親としては非常に助かりましたが、例えば一方で、もしかしたらそういう力のあるところばかりではないのかなというふうに思うこともあります。
 それから、例えば私の友達で、これは幼稚園なんですけれども、特色ある幼稚園で、百人一首を全部覚えて、全員で唱和して、それを覚えてしまうと。非常に力のある幼稚園であったわけです。ところが、それが1年生になって入学しますと、また集団遊びから始まって、これは一体どういうことなんだよというふうな質問を友達から受けたことがあるんです。それは個々の問題というよりも、やっぱりシステムの問題がそこにあるのではないかなというふうに感じました。
 例えば中学生ではあるんですけれども、母子家庭で、お父さんが経済システムの中で夜の運転手さんをやっておられまして、教育には関心があるんですけれども、なかなか保護者会に来られなかったり、それから2日に1回しか家に帰れなかったり。ですから、もしかしたら保護者のニーズに対してシステムが対応し切れていない部分があるのかな。いろいろさまざまな工夫があるんですけれども、それ以上に社会のほうが動いてしまっているのかなという感じを持っています。細かいことは、私は知識がないものでわからないんですけれども、何らかの形で早めの幼児からの一貫したシステムづくり、体系づくり、教育内容づくりが急がれるんじゃないかと思っています。
 最後に、これは厚生労働省のほうだと思うんですが、保育園の保育所保育の指針というものをきのうじっと見ていたんですけれども、例えば2歳児の保育の内容ということに関して「発達の主な特徴」という文言で書き始めているんです。ですから、その時期の子どもたちは一体どういう特色があって、どういう特性を持って、何をしなきゃいけないのかという文章表現をなされているんです。ですから、例えば学習指導要領なり、この教育要領でも、もしかしたらそういう医学的な、または発達段階、生理学的と言うんでしょうか、そういう内容に関しても、分析して対応していく必要があるのではないかなというふうに考えました。ありがとうございます。

【木村分科会長】
 それでは、中村委員、それから加藤委員。

【中村委員】
 この資料で見ますと、幼稚園、あるいは保育所に通っているのが97パーセントなんです。高等学校も97パーセントが通っているということで、特に5歳児あたりはこういう施設に通っているということは、そこで集団生活をやっているわけですから、教育という観点を全然抜きにして、ただ預かり保育をするという観点だけで見るのでは、今の時代には子どもの発達度合い等を考えると、幼稚園長さん、あるいは保育所長さんが言っている規範性がないんだといういろんな問題点を、この時期こそ、まさに教育すべき時期じゃないのかなというふうに考えますので、義務教育を低年齢化しようという考えも片方ではあるようですけれども、教育というふうに読み書きそろばんということではなくて、まさにこの時期の子どもにふさわしい教育は授けていくべきだろうというふうに考えます。
 以上です。

【木村分科会長】
 では、加藤委員。

【加藤委員】
 一番最初の議論の保育、教育のところで言えば、今、中村委員も言われた教育の部分というのが重要性を増してきているんだろうというのは、さまざまな資料、先ほどの梶田先生のご意見を聞いていましても、私もそういうふうに思います。
 一方で、実は先般も生涯学習分科会の中で、今、取りまとめに入っている地域と家庭の教育力の問題の中で、母性とか、動物的な部分での母親の役割というのは随分議論になったんですけれども、母親がなくてはならないということも含めていろんな意見がもちろんあったわけですけれども、一方で知的能力の発達が早くなっている事実があると同時に、この資料を見ましても、非常に俗な言い方をすれば、家庭の愛に飢えているような、そういう子どもも増えているということも言えるわけで、この資料8の論点の2つ目の部分のことを言いたいわけですけれども、いわゆる家庭と幼稚園の役割を分離するということではなくて、社会全体で子どもたちを見守っていくという、そういう子どもの側に立ったときの安心感といいますか、そういうものをどういうふうにしてはぐくんでいくのか。その中で、もちろん初めて教育だろうと思うんですけど、その辺のところをどういうふうに強調していくのか。例えば私も長女が3歳のときに初めて保育園に預けるときに大変苦労したのは、不安で泣き叫ぶわけですが、園長先生に抱っこしてもらうと安心して行くという期間がかなり長く続いたわけですけれども、そういう肌の触れ合いですとか、そういうものをある意味、少し強調しながら、安心感の中で育てていく。そういう社会が少し欠けてきている、あるいは家庭で一部不十分になっているかもしれない部分も連続的に補っていくというような、そういう視点も要るのかなということを感じましたので、ほかの分科会での現状を参考に申し上げました。
 以上です。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。
 では、市川委員。

【市川委員】
 私も幼児教育に直接かかわっている立場ではないんですけれども、これまでのお話を伺っていて、やはり幼児教育、特に幼稚園、あるいは保育園の中での教育機能というものをもう少し強化していくといいますか、その方向には基本的には賛成です。ただ、中で一体どういうことをやるべきかというときに、私は2つのことが幼児教育の中で非常に大事だと思っています。
 1つは、コミュニケーション能力といいますか、大人とのコミュニケーション、それから子ども同士でのコミュニケーション力。よく社会の中で階層差というものがかなり子どもの学力を規定するという議論がありますが、実はこれは小学校に入るときからその影響は出ています。基本的にこれを完全に家庭任せにしてしまうと、家庭の親とのコミュニケーションの仕方が家庭によって随分違います。梶田先生がヘッドスタートのことも言われましたけれども、こういうことをとにかく全くやらない場合は、例えばアメリカでも、親とのコミュニケーションの仕方、親が子どもを叱るときにどうやって叱るか。きちっと説明をして、なぜそういうことをやってはいけないのかということを説明する家庭もあれば、ただ頭ごなしに叱りつけるだけという家庭もあります。それから、子どもにも自分なりの言い分をきちっとした文で言わせるという習慣の家庭もあれば、そういうことは言わせないというような家庭もあります。こういう力が実は小学校に入学してから、先生の話をきちっと聞いたり、自分で表現したりする、その学力の下地となって、もう既に就学前に形成されてしまう。そういうことを考えますと、むしろ幼稚園の中で先生とのやりとり、あるいは子ども同士で何かけんかが起きたときに、どういうふうに自分なりの言い分をしっかり言わせるかとか、こういうふだんの生活習慣が実はコミュニケーションの下地となって学力も規定していくと。そういうことを考えますと、むしろそういうことは、何も直接的に読み書き計算を教えるというわけではないですけれども、非常に重要なものとなっていくと。
 それからもう一つは、他者との調整能力です。これはこれまでの先生方もお話になりましたけれども、とにかく集団生活に入った以上、家庭でちやほやされているという状況とは相当異なってきます。やりたいことを勝手にやればいいという状況ではなくなってくる。集団で一緒に動かなくてはいけないという場面も多くなりますし、自分のやりたいことだけをやるのではなくて、人とそれを調整するという必要が出てきますので、規範意識やルールのようなことも当然出てくる。これが小学校入学時にまた既に大きな差となってあらわれてきて、きちっと小学校の中で集団生活を営めるか。特に授業をきちっと聞いていられるかというような差となってあらわれてくる。そういうことを考えますと、ある程度そういうことを意識したことも入れていかざるを得ないし、また実際に入っているんだと思います。
 ですから、ここの考え方をあまり強くしてしまうと、義務教育でもないのにそれだけのことをやるのかと言われるかもしれませんが、私は、これだけの子どもがたくさん来ている中では、日本人全体の教育を考えた場合にはやるべきであろうと思います。高等学校が義務教育ではないんですけれども日本人の教育ということを考えたときに非常に大きな役割を担っているのと同様に、幼稚園も義務教育ではありませんけれども、日本人の知徳体にわたって、どういう日本人を形成するかということに大きな影響力を持っている以上、そこでやるべきことはやる。そして、小学校に入学するまでの下地を一人でも多くの子どもには持ってもらうという方向をもう少し明確に出してもいいのではないかと思っています。
 以上です。

【木村分科会長】
 それでは、野村委員と、北條委員、最後にお願いします。

【野村委員】
 もう大分前の審議会で発言をしたんですけれども、どうも今の教育、特に幼児教育は振り子論だということについて意見を述べたわけです。問題は、教え込み教育に対しての一つの批判として、あるいは反省として、この支援ということについて非常に強調し過ぎたがゆえに、指導すべき内容が幼稚園教育要領の中で提示されているにもかかわらず、指導をしてはいけない、支援だ、支援だと言って、そのことのために実は話も聞けないような子どもができてきた。小学校の低学年から学級崩壊が起こっている。幼稚園で子どもたちが恣意性で動いているのが、あたかも自主的に活発であるかのようにしてわがままな子どもを育ててきたということから、実は文部省のほうで軌道修正をしなければならないということで、指導すべきものは指導すると。そして、子どもの主体的な芽生えをどういうふうに援助していくか、支援していくかという見きわめをしながらの指導と、そして支援ということをすべきであるというふうに方向転換をしなければならないような状況が起こってきたわけです。今、皆さんのお話、それから保育にするか教育にするかという問題についても、実はそこの整理をしていかなければならないんじゃないだろうか。
 今、幼稚園によっても、あるいは幼稚園と保育所によっても、教育の仕方で、保育の仕方で子どもの発達に差異が出てきております。非常にすぐれた保育所の場合は、幼稚園を上回るような、そういう教育的機能を果たしているところもあるかと思えば、幼稚園でもそういうことがなされていないということから、先ほどもご意見がありましたけれども、そういう子どもの発達状況をもっと緻密に分析をする必要があるんじゃないだろうか。幼稚園の先生でも、保育所の先生でも、そういう子どもの具体をよく指導して可能性を開いている場合の保育所、幼稚園と、そうでないところの差が非常にあるものですから、子どもの発達の状況が実はまだつかめていないこともあるんじゃないか。50年前とは非常に違ったという、その違いをもっと具体的に示すことによって、幼児期、就学前教育のあり方というものが決まってくるのではないだろうか。やはりそういう緻密な分析をする必要があるだろう。これが一番目の問題です。
 2番目の問題は、できるだけ幼稚園でも、公立と私立の違い、私立の中でも自由にさせるような中で、ある場合には指導すべきものも指導しないで、その幼稚園の名前を売名的に園児を集めるためにそういう特化した指導をする。この目標にもありますように「生涯にわたる人格形成の基礎」ということからすると、就学前の教育というのはナショナルスタンダード、国家が基準をちゃんと決めて、その上での特殊性というのでなければならないだろうと思います。そういう中で、公立と私立の相互が影響しながら、相互作用の中で発展をしていくということをやらなければならないけれども、今、現状では、実はそういうふうに園児集めのために特化した教育をやろうとしている節がある。これは幼稚園の公立、私立と同時に、実は幼稚園教育と保育所の教育の中でも子どもにとっては違いがあってはいけないわけです。やはり生涯にわたる人格形成の基礎をつくるわけですから、それをちゃんとやった上で、そこの特殊性を生かしていかなければならないのではないだろうか。
 そういう中で、やはり幼児期の教育というものを、子どもの可能性をこんな形の中でこそ開けるんだ。子どもというのは遊びの天才です。例えばごっこ遊びの中で役割意識が出てきたり、コミュニケーション能力が出てきたり、そういうことをしつらえていくのが就学前期の教育の特殊性で、その表現をどういうふうにするか。保育にするのか、教育的な機能を入れながら、ちょっともどかしいんですけれども、やはり幼稚園に関係している先生たちは幼児期教育の特殊性ということからすると、「保育」という言葉を使いたいという意味だと思いますが、そういう幼児期教育の特殊性に合った言葉を生み出さなければならないんじゃないか。簡単に「教育」という言葉を入れていいのかどうなのかということについては抵抗もあろうかと思います。
 それともう一つは、幼稚園の先生たちの雇用の問題です。幼児期の教育というのは、教材選択から、本の読み聞かせ、語り聞かせをする絵本の選択から、非常に質の高い資質が要求されるんですけれども、非常に大事な時期にもかかわらず、経営上の問題で若いうちに人の入れかえをするようなことが行われているという現実があります。そういうこととも絡んで考えていかなければならない問題だろうと思います。長くなりました。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。後に非常に大きな話題が1つ残っておりますので、すみません。
 では、北條委員、簡単に。

【北條委員】
 諸先生のご議論をいただきまして、それぞれごもっともなお話をいただいて大変ありがたく思いました。幾つか問題が出ました。例えば預かり保育の問題。これは教育要領の中で明記される方向で検討中でございますが、いろんな先生がいろいろなお立場から言及していただきましたが、幼稚園の預かり保育だけに目を奪われがちでございますが、現在、小学校で幼稚園の預かり保育に似た小学生の居場所づくりというような形で放課後の預かり教育のようなことが相当行われてきておりますので、小学校以降のことにも目配りをいたしませんといけないのではないかという点が1つ。
 それから、保育所保育指針のご指摘がございました。幼稚園教育要領との整合性は、どうしてもとっていかなければいけないというふうに思います。
 それから、母親の意識の問題が出ましたが、私は幼稚園でございますから、幼稚園に通う家庭は、まだまだしっかり支える手だてをとれば教育力は発揮できるというふうに考えております。だからこそ、幼児期の教育というのは家庭との連携がどうしても必要でございます。この点を教育基本法のほうでも言及していただくわけですが、先ほどちょっと言い落としましたので、もしそういうことが許されるのであれば、例えば第77条の「幼稚園は」の後に「最初の学校教育の場であり」とかという文言を入れて、そして、78条の第1項「幼稚園は、前条の目的を実現するために」の後に「家庭、地域社会との連携を図りながら」とかいうような文言を、これはもちろん幼稚園だけが大事なことではないんですけれども、幼稚園はとりわけ大事だという意味で入れていただければ、大変ありがたいなというふうに思っております。ありがとうございました。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。
 まだご意見もあろうかと思いますが、次の問題も大変大きな問題でございまして、かなりたくさんのご意見が出るように予想しておりますので、以上とさせていただきます。いろいろご意見をいただきましたが、今、最後に北條委員もおっしゃいましたように、ご意見の中には法律レベルで対応すべきものと、それから現在見直し作業中でございます幼稚園教育要領の改正の中で対応できるものという両方があるように思われます。事務局できょういただいたご意見をまとめていただくわけですけれども、そういった観点からもよろしくお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
 それでは、次の議題に移ります。非常に大きな議題で、前の議題が小さいという意味じゃないんですが、学校種間の連携や接続の改善についてという問題でございます。この問題につきましては、この審議会における昨年10月の答申「新しい時代の義務教育を創造する」におきましても、その改善のための仕組みについて検討する必要性が提言されております。本日は、先行事例や関連制度の状況等を踏まえまして、主に小中一貫教育について議論を深めていきたいと考えております。ちょっと時間が少なくなりましたので心配でございますけれども、ひょっとすると少し時間をオーバーしてご議論いただくことになるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
 それでは初めに、事務局から配付資料のうち、学校種間の連携や接続に関する資料についてご説明をいただきたいと思います。
 藤原企画官、よろしくお願いします。

【藤原企画官】
 それでは、ご説明申し上げます。
 最初に、資料9でございます。こちらが昨年10月の中教審の答申の抜粋でございます。この中で、9年制の義務教育学校を設置することの可能性等について検討する必要があるという提言がされているわけでございます。
 それから、続きまして資料10でございます。こちらが「小中一貫教育に関する検討課題(案)」ということで論点を幾つかまとめてみたものでございます。
 まず最初に、「小中一貫教育のこれまでの取組の現状と成果について」ということでございます。これにつきましては、さらに資料11-1をごらんいただきたいと存じます。「小中一貫教育に関する先行的な取組」ということで、これまでかなり多数の自治体において取り組みがなされております。少なくとも地方公共団体、それから大学、私学も含めて98の学校などで実施がされておると。そのうち研究開発学校の指定を受けて取り組んでおるものといたしまして合計41が挙げられております。その内訳といたしましては、右の括弧書きに書いておりますけれども、英語を含む複数科目について教育課程の特例を活用しながら取り組んでいる品川区や和歌山県橋本市、広島県呉市などの取り組みがございます。また、英語のみについて教育課程の特例をやっているというところといたしましては、北海道の取り組み、あるいはまた多治見市などがございます。それから、もう一つ下の構造改革特別区域、特区を活用して取り組んでいる例ということで合計54が数えられるところでございます。内訳といたしましては、その右に書いてございますけれども、英語を含む複数科目で取り組んでおられるというところで、三笠市、それから京都市、ウルスラ学院などが挙げられるわけでございます。また、英語のみということでは、郡山市や水戸市、金沢市などとなっております。それから、こういった教育課程の特例の適用を受けずに小中一貫に取り組んでおられる例ということで、三鷹市、その他の取り組みもあるということでございます。
 それから、次のページでございますけれども、小中一貫の取り組みの中では、教科担任制を導入しているというところも多数あるわけでございますけれども、例えば品川区などでは、ほぼ全教科で教科担任制を小学校段階で導入するという取り組みがございます一方で、一部の教科だけで導入しているという三笠市や三鷹市等の例があるということでございます。それから、一番下の箱でございますけれども、学年区分の区切り方につきましてはさまざまな例がございます。品川区、奈良市などの4、3、2制でやっている例もあれば、香川県直島町や香川大学の附属学校でやっておりますような5、4制の取り組み、あるいは三笠市の2、3、4制等、いろいろな形態が存在するということでございます。
 それから、また資料10に戻っていただきまして、2番目といたしましては「小中一貫教育校制度の基本的な方向性について」ということでございます。現状といたしましては、学制そのものの見直しについては、各種世論調査では慎重論が多いということなっておるわけでございますけれども、先ほど見ていただきましたように、4、3、2とか5、4とか、いろんな区切り方があるわけでございますけれども、そもそも学生についてどのように考えるべきなのかという論点がございます。
 それから、3つ目が「教育課程の在り方について」ということでございますけれども、これにつきましても、教育課程の特例を設けている場合、それからそうでない場合があるわけでございますけれども、そもそも小中一貫教育を効果的に行うためには、教育課程というのはどういう形が必要なのか、特例が必要であるのかどうかといった論点があろうかと存じます。
 それから、次のページが「4.財政措置(定数・施設等)の在り方について」ということでございます。当然ながら、小中一貫教育を効果的に行おうとする場合に、何らかの追加的な定員の措置、財政措置などが必要なのではないかということを考えるわけでございますけれども、それとともに施設についても一体型、隣接型、分離型など、さまざまな形態が存在するということがございます。そうした問題について、どのように考えるべきかという論点でございます。
 それから、5つ目が「教科担任制の在り方について」ということでございまして、小中一貫の場合には、小学校の段階から教科担任制を導入している場合が多いわけでございますけれども、その開始学年、それから導入科目については極めて多様となっておるわけでございます。それからまた、免許状の教諭の状況でございますけれども、中学校の免許状を有している小学校の教員というのは63.5パーセント。それから、小学校の免許状を有している中学校の教員は27.3パーセントということで、中学校と高等学校の免許状の教諭の率からすればやや低いという数字になっているわけでございまして、そうした問題についてどう考えるのかといった論点もあろうかと思います。
 それから、6つ目が「小中一貫教育と中高一貫教育との関係について」と書いておりますけれども、中高一貫教育につきましては、制度化がされておるわけでございますけれども、そういったものとの連携のあり方をどう考えていくのかというふうな論点もあろうかということでございます。
 それから、続きまして、資料11-2以降でございますけれども、こちらが日野学園の取り組みでございます。4、3、2でやっておる例ということでございます。
 それから、その次の資料が、にしみたか学園のパンフレット。こちらは9年一貫ということでやっておる例でございます。
 それから、その次のパンフレットが広島県呉市の例でございますけれども、4、3、2で同じくやっている例。
 それから、その次のパンフレットが香川大学の附属学校の例でございまして、5、4制でやっておる例ということでございます。
 それから、ちょっと早足で恐縮でございますけれども、資料5、この分厚い資料をちょっとお開きいただきたいと思います。8ページでございます。以前にもご説明申し上げましたが、校内暴力の数というのは、小6から中1、中2、中3と上がるに従って増えていくということでございます。
 それから、次の9ページでございますけれども、いじめの発生件数は、小6から中1になった段階で激増すると。その後、減っていくというような数字でございます。
 それから、10ページが不登校児童生徒数でございますけれども、この数は小6、中1、中2、中3と学年を追うごとに増えていくという状況でございます。
 それから、11ページが戦後の子どもの成長、発達の度合いの変化を示す資料ということでご用意を申し上げました。11ページが男子の平均身長の戦後の比較ということでございますけれども、右のグラフを見ていただけましたらおわかりいただけるかと思いますが、昭和23年、これは緑グラフでございますけれども、その当時は、中3から高1になるときに伸び幅が一番大きくて、6.7センチ伸びているという状況でございましたが、平成17年のデータでは、小6から中1になるときにぐんと身長が伸びて、7.4センチ伸びているということで、かなり成長が早まっているという状況がございます。
 また、次の12ページが女子でございますけれども、女子は発達段階はさらに早いわけでございますけれども、昭和23年当時は、小6から中1になるときに5.3センチということで一番伸び幅が大きかったわけでございますけれども、平成17年度では、小5から小6のときに6.8センチということで大きく身長が伸びておるということでございます。
 それから、続きまして13ページでございますが、「教科の勉強が好きだ」と答えた児童生徒の割合ということでございますが、国語、社会、算数・数学、理科ということでデータをとっておりますけれども、それぞれ青が成績の上位層25パーセント、緑が成績中位層50パーセント、それから赤が成績下位層25パーセントということでございますけれども、大体いずれの教科も同じでございまして、小5、小6、中1、中2と下がっていくという状況がございます。中3になると、若干改善されるという状況がございます。
 それから、次の14ページ、児童生徒の問題への無解答率ということでございますけれども、これは小6から中1に上がるときに無解答率がかなり上がるという状況になっております。社会科などでは特に顕著でございます。それから、算数・数学では、小6、中1、中2とずっと上がっていくというような状況がございます。
 それから、続きまして15ページでございますが、6-3制を5-4制などに変更することについての意識調査結果ということでございますけれども、全般的に賛成は低い割合となっております。
 それから、続きまして16ページが、9年制の小中一貫校をつくることについての意識調査結果ということでございますが、こちらのほうでは保護者ではかなり低い状況、下のほうで教育長さんや首長さんでは比較的賛成の割合が高いというふうな状況になっております。
 それから、17ページが、小学校高学年を教科担任制にすることについての意識調査結果ということでございますが、ここでは校長、教頭さん方の賛成の割合が非常に高いという状況になっております。以上がこの資料5でございます。
 あと、残りの資料、資料12は、安彦先生の論文の抜粋をお配りをしております。
 それから、資料13は、小中一貫教育全国サミット2006ということで、この夏に行われた会議の抜粋でございます。
 それから、資料14は、教員免許に関する資料。
 資料15は、教育課程部会の審議状況等となっております。
 それから、なお、お手元に品川区の小中一貫教育のカリキュラム概要という冊子をお配りしているかと思います。きょう、若月教育長さんはご欠席でございますけれども、この資料をぜひ皆様方にごらんいただきたいということで配付をしております。
 以上でございます。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。
 それでは、ご意見をいただきたいと思いますが、時間が30分ほどしかありませんので、各ご意見、できるだけ手短にお願いできればと思います。
 それでは、どうぞ、よろしくお願いいたします。いかがでございましょうか。
 どうぞ、西嶋委員。

【西嶋委員】
 とても細かいところなんでございますけれども、資料10の4に財政措置のあり方ということで書かれているんですが、この中でちょっと気になったのは、小中一貫教育に取り組んでいる学校では、個々の教員の負担が増えるのが通例であるというふうに書いてあるんですけれども、新しいことに取り組む場合には、そうやって一時的には負担が増えるのは当たり前だと思うんですが、それを物にして効果的に効率的にやっていくことによって、逆に負担が減るという方向でいろんな物事が動いていくのではないかなと思いますので、ここで負担が増えるということを問題点とするのはいかがなものかなと思って、ちょっと感じたものですから発言させていただきました。
 それから、先ほどの幼稚園と保育のことでちょっと一言だけ申し上げたかったので申しわけないんですが、先生方たちの議論、とても深いところで議論がされているんですが、教育と違う立場で保育園、幼稚園を見ている立場からすると、基本的なところで幼稚園が文部省で、保育園が厚生省の管轄下ということさえも知らないで見ている場合がかなり多い。つまり、幼稚園の差と保育園の差というのがわからないで選択している親御さんがほとんどなのではないかなというふうに感じているんです。ですから、そこら辺の深いところでの議論というのももちろんあれなんですが、実際に今、保育園と幼稚園の違いがどれだけ出ているかということから見ると、野村先生がおっしゃったように、それぞれに保育園にもいいところがあるし、幼稚園にもいいところがある。現状の問題点で見て判断している親御さんが多いということだけちょっとつけ加えさせていただきたいと思いました。
 以上です。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。
 ほかにございますか。
 どうぞ、井上委員。

【井上委員】
 学校の区切り方、すなわち学校制度については、46答申でも、小中学校については5、4制の教育研究開発校などの提言等があって、従来からその区切り方が今の6、3制でいいのかどうか。より子どもたちに教育効果が上がる、そういう区切り方については、研究も進められてきておりますが、必ずしも実証的にこういう制度が一番いいという結論が今のところまだ出ていないと思うんですが、ただ、学校教育の実態を踏まえて、それぞれ地方団体のほうでいろいろな取り組みをしていると思うわけでございます。
 本日の配付資料を見ますと、小中一貫教育の先行的な取組は、大変多様であるなと感じます。例えば品川区の日野学園のように、制度上の特例を活用して施設も一体型のものを新築する大がかりな取り組みもあれば、また三鷹市のにしみたか学園のように、制度上の特例を一切受けずに施設も既存のものを活用している取り組みもあるわけです。小中一貫教育の取り組みの背景にはさまざまな課題があるわけですが、そういった課題を解決するためには、どのような制度上の対応が必要なのかということについて、これらの多様な取り組みを踏まえて論点ごとに検討をさらに重ねていくことが必要ではないかと考えております。
 中高一貫教育制度を導入したときに懸念された点については、小中一貫教育制度を導入した場合に同様の問題が生じないかどうか、しっかりと検討する必要があるのではないかと考えております。例えば生徒が長い間同じクラスのメンバーで固定されることによって、いじめが長期化するなどの弊害が生じるおそれがないかどうか。2番目に、1つ上の段階の学校に新鮮な気持ちで進学し、多くの新しい友達と交流する機会が失われるおそれがないかどうか。3番目には、受験競争が低年齢化するおそれがないかどうかなどの点が当時懸念されていたと記憶しております。
 中高一貫教育については、教育課程の特例が設けられています。仮に小中一貫教育校においても、教育課程の特例を設ける場合には、児童生徒が転校した場合でも困らないように学習の進路や内容に生ずる差が大きくなり過ぎないようにするといった配慮も必要ではないかと考えております。いずれにいたしましても、それぞれ小中一貫教育、あるいは中高の一貫教育等を実施して、それほど時間がたっていないので、それらの教育効果が果たしてどうなのかということも、十分慎重にそれらを検証していく必要があるのではないか考えています。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。
 それでは、梶田委員。

【梶田副分科会長】
 この資料10がよくできているなと思ってずっと見させていただいております。私は、結論から言うと、制度的に中等教育学校をつくったんだから、同じように義務教育学校をつくったらどうかというふうに思っております。つまり、それで絶対やらなきゃいけないということはないんですが、そういう可能性、選択肢もあり得るということをやったわけですから、それと同じような意味で、義務教育学校という選択肢もあり得るというのをつくったらどうかなということを思っております。今は、品川区などは全部特区というものをとってやっているわけですよね。区切りを変えたり、1つの学校としてやる場合には特区をとらざるを得ない。それから、カリキュラムの上だけで工夫するんだったら、これは研究開発学校でもやれるし、いろいろとやれるとは思いますが、いずれにせよ、そういういわば例外的な措置でなくて、義務教育学校というものをつくったらいいんじゃないかと思っております。
 その理由は、幾つかあるんですけど、1つは、ご承知のように、これは去年の義務教育特別部会で文科省から出していただいたと思いますが、アメリカで今から60年前に6、3制がはやった、と言っても全部がなったわけじゃないですが、あそこはカウンティごとに違いますからね。ですけれども、非常に多数派であった6、3制という区切りが、今やアメリカでたしか10パーセント以下になっているという資料をいただいたと思っております。日本では、昭和21年にアメリカの教育使節団が来て、それで6、3制をやれという強いご指導があって、これを急遽取り入れたという経緯がありますよね。そのときは、たしかアメリカも6、3制が多かった。しかし、もう変わっている。なぜ変わったか。アメリカの場合、先ほどの資料であれしていただいたように、アメリカも日本も同じように発達加速の問題が一番大きいんですよね。心身発達の現実と、学校段階の区切りがやっぱりもうずれちゃって、少なくとも思春期発達というのは、この五、六十年で2年前倒しになっているんですね。これは厳密に言うと、何を一番メルクマールするかで違うんですが、身長が急に発達する時期とか、あるいは心のほうで言うと、道徳的な判断が、いわゆる結果論道徳から動機論道徳になるとか、いわゆる形式操作という思考様式がどこまでできるようになるかとか、いろんなメルクマールでいろんな人が議論しておりますけれども、いずれにせよ2年は早まっている。
 ということで、今、6、3制の上のほう、5年、6年というのは、やはり指導形態としても、学校運営の形態としても、小学校一、二年とは少し発想を変えなきゃいけないんじゃないかというのが、私は、今、日本の小学校現場でもかなり多くなっているだろうと思います。というようなことを考えますと、やはり結論的には、そういう選択肢、義務教育学校という選択肢をつくったらどうか。
 もう一つは、指導要領の記述の仕方の中に、一、二年と五、六年で指導のあり方といいますか、例えば五、六年では教科担任制を積極的に取り入れることができるような、これは指導要領だけではなくて、関連の幾つかのものを変えなきゃいけませんが、入れていかなきゃいけないかなと、そういうふうに思っております。

【木村分科会長】
 では、角田委員、それから高倉委員、市川委員。

【角田委員】
 小中一貫校、私もまだ完全にスタートしたばかりで定着をしていない段階で、ある意味じゃ人気があって、流行と言っちゃうといけないんでしょうと思うんですが、2学期制じゃないですが、何か流行に追われているのかなという気がしないではないです。もちろん発達の面から考えると、小学校1年生から6年生まで同じような指導形態で行うということには問題はあろうかというふうに思いますけれども、しかし五、六年生の果たす学校教育の中での小学校教育での役割というのは、私は大きいものがあるだろう。したがって、この五、六年生の発達、知能の発達だとか、体の発達だとか、心の発達だとか、いろいろあるわけですが、それに適応できるような教員の定数の措置をしていけば、小学校というくくりの中で十分にできるし、そのことによって、小学校五、六年生が低学年に果たす役割というのは十分果たせるだろう。そして、そのことがまた今いろいろ起こっている問題行動のことの解決にもつながっていく問題ではないだろうかというふうに思っています。
 今、小中一貫校を導入している学校は、一時的には人件費が増えるかもしれませんけれども、人件費の削減ということからすれば、中学校の教科担任制を小学校のほうにうまく回していくと、結果的には私は人件費は削減できるんだろうというふうな考え方もあって、今、一貫校を導入しているのかなというふうに思うわけで、根本的な本質的な解決をしていくのには、やはり五、六年生に対して教員の定数をしっかりつけて、教科担任制なり、あるいは少人数指導なりということがもっとできるようにすれば、何も学制を6、3からいじる必要はないのではないかなというふうな考え方を持っています。
 以上です。

【木村分科会長】
 では、高倉委員。

【高倉委員】
 資料10に基づきまして2点ほど発言をさせていただきます。
 1点は、2ページの4絡み、財政措置という点に関してでございます。ご案内のように、中教審からのご依頼を受けて、昨年、教員配置に関する、あるいは教員定数に関する検討の委員会をつくりまして、その答申をまとめさせていただきました。残念ながら、今日のような財政的な状況ではうまくそれが実現するということにはなっておりませんでしたけれども、その委員会の中で少人数教育やチームティーチング等々については、かなり思い切った検討をしたと。ただ、その中で、中高一貫教育にどう取り組むかというような視点からの検討ということには手が及ばなかった。そういう意味で、今後、教員配置、あるいは定数改善等々に関するそういった検討委員会を新しい形で、衣がえした形で発足させて小中一貫教育絡みの問題についてもご検討をいただければというのが第1点です。きょう小熊専門官が見えておりますが、そのときの歴戦の勇士だと、ちょっとそんなことも余計なことかもしれませんがつけ加えさせていただきたいと思います。
 もう1点は、5番目の教科担任制の在り方云々でございます。免許状の問題でございますが、これもご案内のように、平成14年に教員免許の在り方についての答申をこの教員養成部会が中心になってまとめて出していると。その中で、どうしても免許の更新制の話が先行してしまって、その中のもう一つの審議のポイントであった教員免許の弾力化の問題についてはあまり表に立ってきていないのではないか。そのことについて、きょう資料14等でもって、隣接免許取得促進のための制度改正について、この制度の面でここで説明をなさっていただいておりましてありがとうございます。これ以外に中高の免許状でもって当該科目について小学校の授業を担当できる件等々、要するに小学校の教科担任制、あるいは小中一貫というようなことに関連する問題提起、あるいは制度改正がなされているわけでございますが、その実施状況、あるいは実態、どのぐらいそれが実際的な効果を上げているのかというようなことについても、大まかでよろしいんでございますけれども、何か資料等を今後お示しいただければありがたいと思います。
 以上です。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。
 では、市川委員。

【市川委員】
 義務教育の9年間の区切り方について、まず一つですけれども、6、3制に対して、この4、3、2とか、5、4とか、2、3、4とか、とにかくいろんなパターンが出てきて、私はそれぞれに一長一短あるんだろうと思います。ただ、長所といっても、それほどの長所ではないし、短所といっても何とかカバーできないものではないというくらいが現状ではないかと思っています。これだけいろんなパターンがある中から、私は、一つ共通的に言えるのは、これは梶田先生もおっしゃったことですけれども、もう6年生ともなると相当中1と近い。これは発達加速現象のようなことがあって、確かにいろんな心理的な特性にしても、体格にしても上のほうに近くなってくる。これは事実だろうと思います。ただし、それさえも、じゃ、小学校6年生は、もう小学校でいるのはふさわしくないかというと、必ずしもそうも言えなくて、また小学校の高学年が低学年と一緒の学校にいることのメリットが強調されたり、学校の先生もその変化の激しいところを同じ先生が同じ学校でみとっていくということのメリットもあるというようなこともあると思いますので、大きな区切りがそこにあるからそこで区切ってしまおうというのも絶対的な基準ではないように思っています。ですから、これはおそらくどういう方法で区切っても、それなりにうまくいくのではないかというくらいな気持ちでいます。
 それからもう一つは、中高一貫のことなんですけれども、これは私は改めて中高一貫の公立校がこれだけいろいろできてきた段階で検証するべき点が随分多く出てきていると思います。なぜ中高一貫の公立ができたかというときに、私がちょっと気になっていたのは、例えば私立の中高一貫校が非常に人気があるので公立でもつくるべきだと。
 中高一貫の私立がなぜ人気があったかというと、一つには、例えば非常に受験エリート校のようなところが6年間でやることをもう5年間でやってしまって、6年目は受験に充てると非常に進学実績がよくなる。これはごく一部の学校だからできることでして、一般の学力レベルの子どもたちにとってみると、6年間のことを5年でやるどころか、6年のことを6年でやっても消化できないというようなことで、それはおそらくほとんどメリットにならないと思うんですが、実際にはそれが有利な点であるかのように言われたと。もう一つは、高校入試をやらないで済むではないか。これは逆の意味でなんですけれども、高校入試がなくて、子どもたちが伸び伸びと活動できる。しかし、これも一般のレベルの学校でやってしまいますと、かなり中だるみという現象が指摘されています。高校入試がないということがほんとうにそんなにいいことなのか。
 それで、逆にデメリットを考えてみますと、これは先ほど井上先生もおっしゃったことですけれども、6年間1つの学校という狭い状態に置かれることが、もし不適応を起こしたときの問題。それから、学力差がどんどん広がっていったときに、昔でしたら、そこでもう一度高校を受けるということで、何とかリフレッシュしてそれぞれの学力に応じた高校へということが日本にあったわけですけれども、それが逆にできなくなってくること。それから、興味、関心というのが、中3くらいになるとかなりはっきりしてくるということがあると思います。改めて自分はこういう特色のある学校に行きたい、あるいは専門を生かした職業学校的なところに行きたいと思っても、中1の段階から固定されてしまうと、なかなかそれができにくい。結局、小学校6年生から中1にかけてという、このときにこれから先の6年間というのをある程度固定されてしまうことのデメリットというのも逆に出てきていると思います。
 そのあたりを総合した上で、中高というのを一貫させるのがいいのか、むしろ小中で一貫させて、改めて義務教育が終わった段階で、自分で学力、もしくは興味、関心に応じてそれぞれの進学先なり進路なりを考え直していくというのがいいのかというのは、かなりデータをそろえて議論するべきときに来たのではないかと思っています。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。
 では、横須賀委員。

【横須賀委員】
 出ている課題で、小中一貫教育という課題と、義務教育の9年間をどこで区切るのかというのは、似ているところと、それから少し課題が違うところとがあるのかなという気がしています。特に社会的な関心から、例えば小中一貫とか中高一貫が出てくるというのには、保護者側の接続、アクセス、あるいは進学に関する不安があって、そこが指示されるということがあると思うんですけれども、どちらかというと、小中一貫教育ということの中に、教科内容の難しいものをできるだけ早く教えたいという分科の、分科というのは分けるほうですけれども、分けるほうの考えが強くあると、まだまだ検証の必要があるんじゃないかなという気がするということです。
 というのは、やはり日本の学校教育の歴史を振り返ると、庶民教育から発展した下から上がってくる、積み上げてくる系と、専門の大学、教育のほうからおりてくる系とがどこかでぶつかって、そこに段差ができるということがどこにも必ずあるわけですけど、日本の場合は、今の新制の中学校と高等学校の間に起きた、戦前の高等小学校と旧制中学校との間に起きていたのが、戦後に引きずっているということがあると思うんですけど、それをなるべく下げていこうとすると、段差がどんどんどんどん下に来て、いろんな難しい問題を子どもたちの中に起こすんじゃないかというふうに考えるんです。区切り方のほうの話は、やはり子どもたちの発達の状況が、6、3制設定のころから比べると、随分変わってきていることに対応していこうという発想のほうが強いんじゃないかと思うんですけど、そういう専門的な見地と、社会的な、できるだけ早く分科した内容を教えておいてもらって、進学や接続がうまくいくようにしようという要求とはちょっと違うようなところをどのように慎重に考えていくかという問題があるような気がします。
 それから、2点目は、私は長く教員養成のことをやってきた立場で見ますと、まだまだ教員養成の中身、体制から言って、小中一貫教育を支えたり、あるいは新しい区切りを支えるような教員養成の体制は、制度上も、また実態的にもできていない。意外に教員養成の教員の資質のところでは、小と中、あるいは中高と幼小との間に区切りがあるというのか、段差があるという実感を持っていますから、小中一貫や、あるいは区切りを新しく変えていく場合には、教員の資質、養成の観点からも相当慎重に検討すべき課題ではないかなというふうに思います。

【木村分科会長】
 宮崎委員、手が挙がっていましたが。

【宮崎委員】
 ちょっと変わった視点で話をさせていただきますが、私は、特殊教育小学校でこれまで長く教員をしたわけですが、ほとんどの学校が幼稚園、小学校、中学校、高等学校、聾学校や盲学校においては専攻科まで一貫した教育というか、同じ敷地の中で同じ教育をするという仕組み、これは障害の特性に合わせた教育という問題があって、そうなっているというのもありますが、現実には、ある意味で既に一貫教育のような形をとっているわけです。
 先ほど資料10の4のところで見ましたけれども、施設について、一体型、隣接型、分離型のさまざまな形態をとった対応をされていると。先ほど井上先生からお話があった中に、例えば一緒にした場合のさまざまなメリット、デメリット、問題点を指摘されたわけですが、地方において考えますと、形式的な分離型で、既に小学校も中学校もほとんど子どもたちは変わっていないんです。先日ある資料を見ましたけれども、いわゆる郊外型というか、地方型のところでは、いじめ、不登校が基本的に、陰湿なところがゼロではありませんが、もうお互いに知り合っている中ではそういうことがあまり問題にならないというところが出ているわけですけど、そういう意味ではこれまでの私の経験などから考えると、梶田先生がおっしゃった義務教育学校という、まさにそういう形で中身、つまり教育課程でどう考えるかという仕組みをつくっていくことのほうが、私は理があるのかなというふうに思っております。これまでいろいろ安彦先生の研究論文等も見せていただいて、確かに子どもたちが、先ほど来出ているように発達の加速現象、そのほかさまざま心身、精神の発達が前倒しになっていますので、その点で教育課程の仕組みを、少し仕切りを変える工夫を今後していくべきではないかと思っております。
 それから、もう一つつけ加えれば、今の現状の中で、小学校、中学校で仕切りがあるわけですけど、若月先生がお書きになっている中身の中で、一般の方々は小学校、中学校との連続性があるというふうに思っているわけですけど、連携がある意味で全くない。この仕組みは、どんなに仕切りを変えていってもその問題は出てくるので、その部分をきちんと整備する必要性があるんじゃないか。つまり、仕切りをつくったときの移行をどう考えるか。トランジッションというか、プチトランジッションみたいなものですが、ここの仕組み、教育課程を整備するときに、そこが必要になる。
 先ほど横須賀先生がおっしゃった一番問題になるのは、教員免許状の仕組みなんだろうなというふうに思います。小学校の教員は中学校免許をかなりとっているわけですが、その反対は少ないとか、あるいは中学校の先生は高校の免許を持っているけれども、高校の先生は持っていないというような問題もあるので、この小中一貫、中高一貫を考えるときに、教員免許の仕組みをきちんと整備しなければいけないのではないかと、そんなことを感じております。
 長く特殊学校にいますと、子どもたちがずっと一貫しているのが当たり前のような感覚になっていて、これのメリット、デメリットってあるわけですけど、新しく分離しようという考え方なども同時にあるものですから、その点では子どもたちがいるという仕組みをどうつくっていくか。地方なんかでは特にポイントになってくるかなと思いました。
 以上です。

【木村分科会長】
 それでは、平出委員、野村委員、それから高橋委員、安彦委員。あと4人ですが、よろしくお願いします。

【平出委員】
 私はかねてから幼稚園年長組は義務の学校に入れるべきだという主張をしておりまして、小学校4年と幼稚園年長組で5年生にすると。小学校五、六年は中学校3年で5、5、5制を主張してきていたわけなんですけれども、どうもそこを動かすことはできそうもないということですので、このたびの話題について2つほど意見を申し上げさせていただきたいと思います。
 1つは、中等教育学校がスタートして、相当人気がありますけれども、公立のものもできてきていると。しかし、それは一部私学の進学校イメージのようなものがあって、それに毒されているんではないかという気もしております。確かな検証が必要だと思うわけなんですけれども、それと同じように、このたびの中高一貫教育も、井上委員が指摘されましたように、メリットとデメリットというのは一体何かということを慎重に取り上げて比較検討するべきだろうと。緊急にそれを行わなければならないんじゃないかという気がしております。検証することと。
 6、3を4幾つかとか、4、2、3とか、区切り方というのはいろいろあるわけですけれども、思い切って6プラス3一貫の、梶田委員も指摘されましたような、義務教育学校をむしろ早急に実現するためのご検討がよろしかろうと、そういう気持ちも持っております。
 以上でございます。

【木村分科会長】
 では、野村委員。

【野村委員】
 小中一貫教育論の中には、発達論はあるけれども、学校論がないんじゃないだろうかという気がしてなりません。小学校教育の目標は一体何かという、その固有性は何かということを吟味しながら、中学校教育の目標は何か。それと、小中一貫教育の目標というのはどう違うのかという議論。私は、小中一貫教育を実践している学校がそういう学校論に立った教育の目標を打ち立てているのかなと思ったら、あまりそのことについては吟味されていないような気がしてならない。ということは、今、学校の中に学校という組織がないんじゃないだろうか。1年生があって2年生があり、1年、2年生の力を受けて3年生がいるわけで、6年生というのは、やはり1年生から5年生までの総体を受けて6年生があり、6年生にあこがれながら1年生、2年生、3年生、4年生が学ぶという。あるいは1年生、2年生のすばらしさに感動しながら、6年生が、5年生がというような学校という一つの組織体が機能している学校が非常に少ないがゆえに、安易に小中一貫教育をとらえるところがあるんじゃないだろうかと私は思います。中学校の場合でも、1年生と3年生、1年生を受けて2年生があり、3年生があるわけで、それが1つの組織として動いていなくて、1年生は1年生で横であって、全くそれは、ただ単なる発達的に言っているだけで、学校として組織されていないんじゃないだろうか。私は、実際に、今、現場の学校に入ってそういうことをやっているものですから、学校づくりというものがなされていないんじゃないだろうか。小中一貫教育を考える場合には、そういうものを受けて、9年間ではどういう学校をつくっていくんだという学校組織論が必要じゃないだろうかと思いながら見ております。
 以上です。

【木村分科会長】
 では、高橋委員、渡久山委員がまたお手を挙げになりましたから。

【高橋委員】
 私は、小中一貫校の制度化ということについては、やはり現時点では慎重であったほうがよろしいかなと、このように思っております。これは意識調査の結果を見ましても、保護者の考え方として一貫校の設置、あるいは5、4制などの変更について賛成は少ないと言うべきだと思います。保護者となっていますけれども、これは国民の大多数の声としてあるんだろうなと思います。それから、同じく意識調査のことですけれども、私どもの校長、教頭の考え方としても、決して多いとは言えない。むしろどちらとも言えないという、そのことのほうが回答結果としては多いわけですが、これは実は私が問われても、そのことについて答えるべき根拠となるデータがまだないのではないかなと。要するに、今スタートしたばかりで検証が十分できていないというところのほうが現実だろうと思います。そういう点では、まだ時期尚早かなと、こういうふうに思っております。
 以上でございます。

【木村分科会長】
 では、渡久山委員。

【渡久山委員】
 私は、義務教育延長論で、大体5歳入学で、4、3、3というのが一番いいというような考え方なんです。それは基本的には、今、梶田先生が義務教育学校と言われたんですが、そういう感じで、やっぱり義務教育を、一定程度意味を持たせるという意味では、そういう形にしたらどうだろうかと思うんです。
 しかし、それがもしも不可能だとすれば、今の発達心理学とか、いろいろな関係から、カリキュラムからしても、安彦先生のように高等学校まで視野に入れて4、4、4という感じのものを考えるというのも1つでしょうけれども、ただそれも無理だとすれば、具体的に今の小中を1つにして考えていく。その場合に、ここに出ていますように、品川だとか、あるいは広島なんか、このカラーを見たら、色刷りだからわりと迫力があるのか知りませんけれども、説得性が一定程度ありますよね。ということは、今の閉塞状態というのが何となく小学校、中学校にあるような気がするんです。それをどういう形で崩していくのか、あるいはよりいい方向に変えていくのか。そうすると、アメリカでも、今、梶田先生が言われたように、6、3がほとんど10パーセント程度だと。州によっていろいろ違いが、私も見てきて感じているんですが。そうでありましたら、今の実験校の、あるいは指定校のところを文部科学省のほうも把握して、それをどうするかということで、義務教育をほんとうに充実するためにどうするか考えられたほうがいいと思うんです。
 今、こう見たなら、文部科学省は中高の資料を出していらっしゃいますよね。この中高は、僕見ていると、中学校から高等学校の接続の関係で受験をなくしてというのは非常にいいんですけど、どうも進学にシフトし過ぎている。どこのものでもね。私立の中高もそうだし、また県でつくっても、市町村でつくっても、どうも中高は全部進学にシフトしていて、今の子どもたちを、あるいは学力を一番悪くしている受験体制をますます進めているような気がするから、これを進めるよりは、今の義務教育の9年間をどうするかというようなことで真剣にこの辺を検討するというかな。それも今の学者の皆さんも、発達心理学とか、あるいは学習心理学とか、そういうことを学生のあり方を含めて研究していただいて、その方向でぜひとも考えていただければいいんじゃないかと思います。
 以上です。

【木村分科会長】
 では、最後に安彦委員、お願いします。

【安彦委員】
 まず、小中一貫ですけれども、先生方、やはりまだそれほど情報をご存じないんだなということを思います。それで、研究開発、その他、実際にやっておられるところでは一定の結果はもう出ておりまして、学力面でも生活指導面でも、それなりにそれぞれやっているところは成果を上げているんです。これは呉の場合でも、あるいは品川の場合でもデータが出てきております。例えばそういう不登校やいじめなんかは、ほんとうに減っています。もちろん区切りをどうするかというのは、一貫という言葉でだらだらっといくというふうに考えておられるかもしれませんけど、やはり区切りはそれなりにつけているわけでして、そして、初等教育と前期中等教育の教育の質の違いみたいなのは認識しておりまして、問題はその違いのところをどうスムーズに移行させていくかということを検討しているわけです。結果を出しているところ、それのいい部分というのは見習って広げていけたらいいというふうに私は思っております。
 ただ、全体としては、今の意識調査等を見て、まだ制度までいじるのは時期尚早であるというご意見が多数派であるということもあって、私は自分の論文はむしろ制度の枠内で6というのを前提に、4、2~3というふうに申し上げているので、そういう実験的な流れ自体、私は大事なことだと思っておりまして、今お話がありましたが、私の論文の違うところに、アメリカの場合、既に6、3というのは全国規模では4パーセントしかない。ですから、それを60年かけて変えてきたわけです。そういう意味では、日本はいつも頭から上から一気に変えようとしますから、多少そういういろいろな議論が出てくるわけですけど、それにしても、下からいろいろやっている試みでいい部分というのをぜひ広げていきたい。
 先ほど野村先生からお話がありましたけど、学校論がないとおっしゃいますが、学校を学校として機能させるためには、やはり子どもの発達というのは非常に大事な部分ですから、それを踏まえていないと学校論というのは成り立たないと思っていますので、それもぜひ意識し、またある種の学校論的な観点は、さっき梶田先生から義務教育学校とか、そういう観点というのは出されたなと思います。
 いずれにしましても、この点は、今後の地方分権の流れが、ある意味では、一定の流れとして持続するなら、私はいろんな試みをそれぞれやっていただいた上で、その経験をもとにベターなものを選んでいくということをして、途中で何か慎重論だからやめたほうがいいというのではなくて、やっていっていただいてよい方向に進めていただきたい。
 中高につきましては、先ほどからおっしゃられた評価が要るというのは全くそのとおりだと思います。これも決してマイナスばかりではなくプラス面もありますので、そういうチェックを、もう200校ぐらいになっていますから、これについて全体としての状況を本省のほうが評価をきちっと計画的にやっていただければと思います。私は基本的には中高もなだらかにいくほうがいいわけですから、全体として小中高がなだらかに、しかし、めり張りがついて、そしてスムーズに子どもたちが発達していける、そういう全体としての流れをもう一度改めて考えてほしい。そういう意味では、制度にまで議論がいずれ及ぶ必要があると思いますので、その見通しをもとにして考えていただけないかなというふうに思っております。
 以上です。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。
 それでは、時間がまいりましたので、この接続の問題につきましての議論を以上で終わりたいと思います。これは非常に大きな問題でございまして、言い足りないというふうにお感じになっておられる委員の方々は多いと思います。書面でも結構でございますから、ぜひ事務局までお出しいただければと思います。それから、この接続の問題についての意見についても、事務局で取りまとめをよろしくお願いいたします。
 それから、冒頭にも申し上げましたとおり、学校種間の連携、接続の改善など、第41回の分科会でお示しした論点ペーパー、初等中等教育制度をめぐる主な課題、非常に多くの課題が盛り込まれておりますけれども、これに沿って一通りの議論は本日で終わりということにさせていただきます。
 ただ、安倍内閣も間もなく正式に発足いたしますが、我々としては、教育基本法の改正の議論が急速に進展することを期待しておりますが、その時点でまた議論を再開するという必要があろうかと思われますので、その節は一つよろしくお願いをいたします。
 事務局におかれても、次回以降の会議の開催日程の調整、その辺を教育基本法改正の議論の進展状況を見ながらよろしくお願いしたいと思います。
 事務局、何か連絡はありますか。よろしゅうございますか。
 それでは、本日はどうもありがとうございました。

─了─

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