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初等中等教育分科会(第43回) 議事録

1.日時

平成18年9月6日(水曜日) 10時~12時

2.場所

KKRホテル東京 10階「瑞宝」

3.議題

  1. 高等学校の目標について

4.出席者

委員

 木村分科会長、赤田委員、安彦委員、衛藤委員、加藤委員、角田委員、中村委員、増田委員、市川委員、井上委員、河邉委員、黒須委員、甲田委員、高倉委員、高橋委員、渡久山委員、永井委員、野村委員、平出委員、北條委員、横須賀委員

文部科学省

 尾山審議官、銭谷初等中等教育局長、合田審議官、布村審議官、徳久初等中等教育企画課長、常盤教育課程課長、藤原企画官、岸本学校評価室長、その他関係官

5.議事録

【木村分科会長】
 おはようございます。時間になりましたので、ただいまから中央教育審議会第43回の初等中等教育分科会を開かせていただきます。
 本日はお忙しい中、またお暑い中、ご出席を賜りましてありがとうございました。前回から、第41回の分科会でお配りいたしました初等中等教育制度をめぐる主な課題として挙げられている論点に沿ってご審議をいただいているところであります。前回は教育基本法を踏まえながら、義務教育の目標と年限についてご審議をいただきました。本日は高等学校の目標ということについてご審議をいただきたいと考えております。
 残念ながら国会で継続審議となりました教育基本法には高等学校だけを取り上げた条文はございませんが、教育の目標や学校教育について条文が新設されております。義務教育の目標を新たに設けるだけではなく、我々としては高等学校や幼稚園の目標についてもあわせて検討する必要があると考え、本日は高等学校の目標という議題を取り上げさせていただきました。
 4月の第39回分科会におきまして、高等学校のあり方について一度、ご意見をいただいておりますが、しばらく時間がたちましたので、今回はまず事務局からご説明をいただき、東京都は非常に積極的に高等学校改革をやっておりますので、東京都の教育長で本会のメンバーでもある中村委員からお話を伺いたいと思います。
 私も東京都の教育委員長を務めておりますが、ここのところ、東京都の都立高校の改革は非常に進んでおります。昨日も東京都の校長先生方の集まりがありましたが、思い出してみますと、1967年、例の学校群制度が導入されました。あの当時は受験戦争が加熱状態にあり、都立高校間に非常に差ができたということで、当時の教育長が学校群制度を導入したということのようです。
 私、ちょうどそのころ助手で毎日、実験で遅くなりまして、車でラジオを聞いて帰ることが日課のようになっておりましたが、ラジオで盛んに学校群制度導入の是非について議論されておりました。その議論を聞いていて、「ああ、これで都立高校は完全に壊滅するな」という思いを強くしたのを覚えております。
 教育の行政といいますか、教育に対する措置というのは、ある1面についてだけやったのではだめなんですね。当時友達にも、家族にも「これで三流の私立が一流になるぞ」とということを何度も言いました。また、「親の経済状態の良くない子ども達は大学に行けなくなるよ」ということを何度も言った覚えがあります。
 1992年にこれが改正をされまして、大分時間がたちましたけれども、ここのところ、都立高校が非常に活発化しております。そういうことも含めて、中村委員からお話をいただきたいと思います。
 それでは、初めに藤原企画官からご説明を頂き、引き続き中村委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【藤原企画官】
 それでは、失礼いたします。お手もとの資料につきましてご説明を申し上げます。
 まず、最初に資料1でございます。本日は高等学校の目標ということでございますが、1つ目の丸、「高等学校の在り方」についてと書いてございます。進学率が97パーセントを超えて、非常に多様化をしている現在の状況の中で、今後、「高等学校の在り方について」どのように考えるかといった論点。
 それから、また2つ目の丸でございますが、「進路を見据えた高等学校の役割について」ということで、高等学校というのは進路を具体的に決定していく教育段階ということでございまして、その中でインターンシップでありますとか、あるいはキャリア教育でありますとか、そういったものを含めまして、高校の役割をどのように考えるかということがございます。
 それから、また3つ目といたしましては、「高等学校における学校評価の在り方について」ということで、義務教育につきましてPDCAサイクルの中で質の向上を図っていくということがうたわれておるわけでございますけれども、高等学校につきましても同様に、その質の向上のための評価のあり方、これについてさらに考えていく必要があるのではないかといった論点などがあろうかと考えております。
 それから、引き続きまして資料2は、教育基本法案と現行の教育基本法の比較表でございます。
 それから、資料3は現在の学校教育法におきます各学校種の目的・目標規定の抜粋でございます。2ページ目に、高等学校の目的、目標がございます。何度かご紹介したところでございますけれども、高校の目標規定というのは第42条に規定があるわけでございますが、小学校が比較的詳細に規定しておりますものに比べまして、中学校、高等学校はかなりあっさりした規定になっているわけでございまして、高等学校は3つの内容を掲げております。
 第1号が、「中学校における教育の成果をさらに発展拡充させて、国家及び社会の有為な形成者として必要な資質を養うこと」。第2号が、「社会において果たさなければならない使命の自覚に基き、個性に応じて将来の進路を決定させ、一般的な教養を高め、専門的な技能に習熟させること」。第3号が、「社会について、広く深い理解と健全な批判力を養い、個性に確立に努めること」。
 3号立てでございますけれども、この規定の改正をする必要があるということでございます。
 それから、資料4は教育基本法案と現在の学校教育法の対比表でございます。
 それから、資料5が評価に関します各学校段階の設置基準の抜粋でございますけれども、高等学校につきましても、小学校や中学校と同様に、「自ら点検及び評価を行い、その結果を公表するよう努めるものとする」ということで、自己評価とその公表が努力義務という形で規定をされているところでございます。
 それから、続きまして資料6でございますが、こちらは中教審の関係の抜粋でございます。ご参考にしていただければと存じます。
 それから、資料7が4月に行いました第39回の初等中等教育分科会におきまして、高等学校のあり方についてご議論をいただいたわけでございますけれども、そのときに出された主な意見をまとめたものでございます。
 幾つかかいつまんでご紹介を申し上げますと、2つ目の丸でございますけれども、「学校教育法には小学校の目標を詳しく書いていることを踏まえて、高等学校の目標もきちんと明記することが必要」。あるいは、その2つ下、4つ目の丸でございますが、「義務教育における普通教育とは、国民の最低の共通教養という趣旨であるのに対し、高校教育の目的である高等普通教育とは、卒業後に大学に進学するにせよ、就職するにせよ、レベルの高い専門的な教育に進む上で必要な基礎教育、一般教養という趣旨だと考えられる」と。
 あるいは、その2つ下でございますけれども、「高等学校の目標には、市民教育の完成の面があり、これを全員に必要な最低ラインとした上で、各高校の多様化を認めていくべき」。
 さらに、その下でございますが、「高等学校の中には、大学進学を目標とする高校、就職を目標とする高校、その混合型の学校がある。生徒の実態にあわせて、目的を学校ごとに多様にすることを認めるべき」。
 さらに、もう1つ下の丸でございますけれども、97パーセントの高校進学率を前提にすると、専門基礎的な教育を教える高校もあっていいし、中学校の補習をする高校があってもいい。社会のセーフティネットを守るため、中退者をいかに出さないようにするかを考えていくべきであり、高校教育の最低ラインをがちがちに決めるべきではない」といった意見などが出されたおったところでございます。
 それから、続きまして資料8でございますが、こちらの横表は戦前から戦後にかけて、各学校段階がどういうふうに変遷をしてきたかというところを示す表でございます。ご承知のように、戦前の制度は最初、尋常小学校、中学校、高等学校、大学とあったわけでございますけれども、戦後になりまして、中学校を新設でつくりまして、旧制の中学校が高等学校へ移行したと。その段階で、若干、その制度が複雑になったといった状況があるわけでございます。
 続きまして、資料9でございます。これは何度かご紹介したものもございますので、簡単にご紹介をしたいと思います。この冊子の9ページ目をお開きいただきたいと存じます。朝食欠食の児童生徒の割合という表でございますけれども、高校生の数字が一番下から2つ並んでおります。この表を見ていただきますと、小中高と学年段階が上がるにつれて、朝食をほとんど食べない。あるいは、食べない日のほうが多いと答えた児童生徒の割合が大きくなっていくということがご覧になれるかと思います。
 具体に申しますと、高校生の男子であれば、下から2つ目でございますけれども、ほとんど食べないが5.5パーセント、食べない日のほうが多いが5.5パーセントで、あわせますと11パーセント。それから、一番下の高校生女子につきましては、その2つを合わせまして7.8パーセントが食べない場合が多いと答えているということでございます。
 それから、2枚めくっていただきまして、11ページでございます。子どもの体力の推移ということで、高校生も加えたグラフとしております。50メートル走、持久走といった体力につきましては、13歳、16歳、19歳で比較をしているわけでございますけれども、全般的に見ればやや低落の傾向にあるということが言えますけれども、とりわけ19歳の数値が非常に大きく落ちてきているという状況がございます。また、下の走り幅跳び、握力につきましても、同様でございますけれども、若干低落の傾向がある。とりわけ19歳の落ち幅が走り幅跳びなどでは大きくなっているという状況でございます。
 それから、12ページ以下はその他の資料でございますけれども、12ページが中高一貫教育校の推移でございます。
 それから、16ページでございます。こちらが高校への進学率の推移ということで、ご承知のように現在は97パーセントを超える進学率になっておるということでございます。過去からその推移を見てみますと、昭和49年の段階で既に9割を超えているというのが高校進学率でございます。
 続きまして、17ページでございますが、高等学校の課程別・学科別の生徒数の内訳ということでございまして、左の円グラフが全日制、定時制、通信制の課程別生徒数ということでございます。全日制が92.1パーセントということで、大きなシェアを占めております。また、右のグラフが普通科、専門学科等の割合ということでございますが、普通科が72.3パーセント、それから専門学科が23.5パーセント、総合学科が4.2パーセントという内訳になっております。また、専門学科の中では工業科が8.3パーセント、商業科が7.1パーセント等となっております。
 18ページは総合学科・単位制高校の推移ということで、総合学科は平成17年度現在で286校。それから、単位制が684校となっております。
 19ページは高校以外での学修の成果を単位認定している学校数ということで、左のグラフが大学または専修学校などにおける学修の内容の単位認定の実施と。それから、右のグラフはボランティア活動等に関する学修の単位認定の実施ということでございます。
 それから、20ページは高校と大学との連携の推移ということで、左側のグラフが大学の科目等履修生等の制度を活用している高校数ということで、ちょっと古いんですけれども、平成15年度現在で414校、それから右のグラフは大学教員が高校にやってきて大学紹介や講義を実施しているという高校の数でございまして、1,654校となっております。
 それから、続きまして21ページは高校の中途退学者の推移ということで、最近は若干、中退率が下がってきておりまして、平成16年度現在では2.1パーセントという中退率になっているところでございます。
 また、次の22ページは学科別の中退率の推移を記載しております。普通科が1.6パーセントということで、一番下の緑の折れ線グラフでございますけれども、一番低い数字でございます。それから、総合学科と専門学科はともに2.3パーセントという数字になっているところでございます。
 それから、23ページが高校の卒業生の進路の推移ということでございまして、大学と短大をあわせました進学率が49.3パーセント、それから専修学校等の進学者が25.5パーセント、就職率が18パーセントという数値でございます。
 それから、続きまして24ページがそれを学科別に見た場合の数値ということでございますが、普通科の場合は大学・短大進学率が57.9パーセント、専修学校等が25.7パーセントで就職率が9.1パーセント、その他が7.4パーセントとなっております。それから、専門学科の場合は、同じく大学の場合が、大分数字が低くなっておりまして、大学進学率が25.1パーセント、就職率が44.2パーセントでございまして、専修学校などが24パーセント、その他が6.9パーセントとなっております。
 次の25ページはインターンシップの体験の高校生の割合の推移ということでございます。数値的には順調に伸びてはきているということでございますが、普通科が低い数字にとどまっております。
 何ページがめくっていただきまして、27ページでございます。最終学歴別の卒業後3年以内の離職率という数値でございますけれども、中卒者の場合は72.3パーセントが3年以内に離職しておりますが、高卒の場合は49.0パーセント、大卒の場合は35.4パーセントとなっております。
 続きまして、32ページでございますけれども、学校評価を実施する公立学校の割合ということでございます。高等学校につきましては、左のグラフで上から4つ目のグラフでございますけれども、直近の数字で95.9パーセントが自己評価を実施しております。また、外部評価の実施率は右のグラフで76.7パーセントという数字になっております。
 その次のページ、33ページでございますが、評価の結果の公表の割合ということでございますけれども、自己評価につきましては高校は69.7パーセント、外部評価の公表割合は73.8パーセントとなっているところでございます。
 以上、資料についてご説明を申し上げました。

【木村分科会長】
 はい、ありがとうございました。ただいまの資料のご説明に関しまして、何かご質問ございますか。よろしゅうございますか。

(「了承」の声あり)

【木村分科会長】
 それでは、引き続きまして、東京都の教育長をお務めであります中村委員から東京都の都立高校改革推進計画についてお話をいただきたいと思います。資料としては10-1と10-2をご準備いただいているかと思いますので、中村委員、よろしくお願いいたします。

【中村委員】
 それでは、資料10-1から10-3までございまして、10-3というのが新たな実施計画の概要版ということでございます。それをさらに概要版にまとめたのが10-1の資料でございまして、この10-1の資料は高校についてあまりご存じでない都民の方々、保護者の方々に向けた資料でございますので、言葉の定義だとか、そういうのをわりと細かく書いてございますので、もし何とかスクールと言ってもわからないということであれば、この10-1をお開きいただきますと、東京都で使っている言葉の定義が載ってございます。
 それから、10-3は概要版でございますけれども、これの本文はさらにこれの5倍ぐらいの厚さがございまして、これをもしご必要の方がございますれば、東京都教育委員会のホームページに掲載されておりますので、ぜひご覧いただく、あるいは打ち出してご覧いただけたらと思います。
 10-1は片わきに置いていただいて、時々ご覧いただきたいと思いますけれども、説明は10-2の、この大きな資料でご説明をいたしたいと思います。
 もともとこの高校改革は東京都では平成9年に都立高校改革推進計画という計画を発表いたしまして、同時に第一次の実施計画、こういうものを発表しております。それから、3年後の平成11年10月に第二次の実施計画。それから、さらに3年後の平成14年10月に今、お手もとにお配りしてあります、新たな実施計画ということで、おおむね3年をローリングして、実施計画を定めてきているということでございます。
 何でこんなことをやったのかということでございますけれども、この席でも問題になっておりますように、生徒一人一人の能力だとか、あるいは適性、興味関心、これに即した対応で弾力的な教育が必ずしも実施できておらなかった。端的に言えば、退学率が非常に高まっておった。それから、退学はしないまでも学業よりも違うことに興味を持って、あれが高校生なのかなと言われるような時代がありました。そういう中で、本当に都立高校というのは子どもの需要に応じた教育を提供できているのかなと。こういうことがあって、ぜひそれを改善したいということでございます。
 それから、これは財政面も絡みますけれども、将来、少子化の時代ですから中学校の卒業生が減るだろうというときに、ただ単に高等学校の数を減らせばいいということだけではなくて、数を減らすときに、特色ある高等学校をつくっていこうと、こういうふうな考えがございました。財政面だけで考えれば、受け皿は数の問題ですから、数だけ減らせばいいということであろうかと思いますけれども、それだけではいかんのではないのかなということが1つございます。
 それから、生徒の進路の希望、あるいは学習希望に応じた教育が十分に、残念ながら実施できておりませんでした。先ほど、木村委員長から、私どもの教育委員長でございますが、お話がありましたように、学校群制度を一時導入したということで、各高校ともまあまあこんな程度だろうということで、必ずしも生徒の進路希望に応じた、あるいはそれにこたえられるような教育ができていたんだろうかという反省がございます。
 それから専門高校、それから定時制です。ここでは、いわゆる不本意入学といいますか、「本当はこの高校に入りたくなかったんだけれども、親が言うから、世間体で高校ぐらい入学してくれよ。入れるところへ入りなさいよ」ということで、不本意入学の生徒が増加しているという実態がございました。ということで、沈滞化、あるいは学力低下という傾向が見られました。
 それから、産業界が求める人材の育成、あるいは工業系大学へ進学するという、特に専門高校でありますが、工業系を卒業したんだけれども、大学へはなかなか受からないと。それでは、高校で勉強をやってもしようがないよという風潮もございまして、工業系大学等への進学が十分に実現できていない状況がございました。これを何とかしたい。
 それから、夜間定時制に通学する生徒。昔はほとんどが勤労学生でございましたけれども、現在の実態を見ますと、勤労青少年ではない。先ほど言いましたような、不本意入学であるとか、入学しても不登校になってしまうとか、あるいは中学校時代に既に不登校経験のある生徒。こういう生徒が定時制に入ってくるという実態もございました。
 こういう中で、生徒の実態に応じた教育体制を整備していく必要があるだろうということで、後で大きな表をご覧いただきますと、定時制課程の学校数の合計欄をご覧いただきますと、改革を始める平成9年には103校あったんですが、今の計画ですと、完成年度が平成23年度になっております。現在は平成18年度、途中経過ですが、103校が現在96校になっておりまして、平成23年度、完成形では55校に減らすと。こういう計画になっております。
 それから、これは学校の体質なんでしょうけれども、保護者だとか、地域社会に対して開かれない。「我々は学校なんだ。何を言うんだ。外からいろいろ言われたくない」という風潮もございまして、いわゆる開かれた学校づくりが十分できていない。それから、学校教育と、最近、特に話題になっております家庭教育、これの連携がなかなかできていない。これも何とかしたいということで、この教育活動を外部から評価する制度を、そういう仕組みが不十分だろうということで、都民に信頼される学校経営が実現できるような改善を行うべきではないかと思っております。
 それから、学校改革をやろうと思って、「校長が変われば学校が変わる」という本もございますけれども、校長一人が幾ら頑張っても学校というのはなかなか変わらない。学校を経営する上で、校長、教頭だけではなくて、教職員全員が一体となって、「うちの学校はこういうふうにしよう。子どもたちにこういうことを教えよう」という熱意が結集しないと、なかなか実現できないということがございまして、教員の質的向上が今後必要であろうということで、学校の数を調整し、あるいは特色ある学校をいろいろつくりましたけれども、最終的にはやっぱり教育というのは教員であろうということで、教員の資質を高めるための改善も私どもはやってきたところでございます。
 学校の統合、改廃によりますハード面の整備は、その大きな表を見ていただきますと、例えば普通科でありますと、進学指導重点校を指定する。あるいは、エンカレッジスクール、これは解説を見ていただければわかると思いますけれども、従前は下位の高等学校で不本意入学の典型的な高等学校。入学しても退学するとか、勉強よりも外で遊んだほうがいいとか、そういう生徒が集中していた高等学校に勇気づけて、一生懸命やればいいんだよというエンカレッジスクール、こういうものも指定しております。これも現在3校ですけれども、来年から蒲田高校を指定するということで、毎年、毎年、これを見直しておりますが、こういう改革もやっているわけです。
 それから、専門高校につきましては、その右のほうにいろんなことが書いてありますけれども、これも後ほど解説をご覧いただきたいと思います。
 全日制過程では、普通高校が152校あったものが、完成形では109校に減ります。児童生徒数の変更に伴うことと、それから総合学科高校等、いろんな特色ある学校に普通高校から切りかえるという作業も私どもはやっております。単位制普通科について言えば、1校だったものが11校に増えるということで、その単位制もただ単位制というだけではなくて、進学を重視した単位制の高校ですよという指定をしている高校もございます。それから、総合学科は1校であったものが10校に増えるということでございます。
 それから、先ほど申し上げましたように、定時制課程につきましてはいろいろな問題、課題がございましたけれども、約半分の学校数に減らし、それぞれの学校でデュアルシステムを採用したり、チャレンジスクールを設置したりということで、今までの高等学校教育とは違う、子どもたちがやめない、やる気のある子は一生懸命できる。この時代の高校生というのは先生の言うことも気にしますけれども、どちらかというと友達、周りのことも気にしますので、そういう周りのことに左右されないで、やる気のある子どもたちにやる気を発揮させるような高校教育をしたい。こういうふうに考えております。
 そのほかに、中高一貫教育校は将来、10校を私どもは設置していきたいと思っております。
 その下に、最近の都における主な教育改革ということで書いてありますけれども、これは上のほうで学校数、あるいは学校の種類をいろいろ変えて、結果的に97パーセントいる高校生に、「おれたちは高校生なんだ。やれば何とかなるんだ」という気を引き起こさせるために、学校の数だとか、種類を変えるばかりではなくて、いろんな制度を取り入れております。
 例えば、真ん中に人事制度というのがありますけれども、人事考課制度を取り入れて、教員の評価を行っております。それから、民間人校長を導入したりとか、これは全国で一番早いと思うんですけれども、指導力不足教員の対応を、委員会を設けて指定し、研修の後、効果が上がらなければ分限免職にするという制度を取り入れています。
 それから、教員の公募制。教員は東京都の場合、小中高校で6万人余いますけれども、人事異動のときになかなか目が届かない。あるいは、校長先生が自分の高校、あるいは自分の中学をこういうふうに変えたいと。そのためには、こういう先生が欲しいんだということを言ったとしても、従前はその制度がなかったんですけれども、「それは聞きましょう。校長先生の学校経営方針に従った人事についてなるべく聞いていきたい」ということで、1つとして公募制を取り入れました。
 それから、先ほど言いましたように、高校改革、あるいは中学校、小学校もそうですけれども、学校を変えようとするときに、教員の資質、あるいは教員の意識が変わらないとだめだという問題と、よく学校組織というのは鍋ぶた組織だと言われて、ほとんどがみんな平等で、校長と教頭だけぴょこっと鍋のふたみたいに出ているということです。こういうふうな組織であると言われておりましたけれども、私どもの経験からすると、それだけではやっぱり組織として学校経営ができないと思います。こういう実態がわかりましたので、主幹職を取り入れまして、監督層という位置づけをしておりますけれども、給料表も2級職の上に特2級という職務級をつくりまして、それを位置づけています。こんなふうにしております。
 そのほか、ご覧のとおり、学校の数だとか以外に、いろんなことをやっておりまして、特に新聞紙上等で騒がれておりますけれども、平成15年度の指導内容のところをご覧いただきますと、国旗国歌の適正な実施通知だとか、あるいはこれに伴って処分をたくさん出しているということで、新聞等で批判もされておりますが、教員の意識改革として私どもはこういう施策もしているということでございます。
 特に、高等学校について言いますと、道徳という科目がないもんですから、よく事件、事故が起こると、最近の高等学校教育はなっておらんと、こういうご批判もあります。道徳ではありませんけれども、私どもは来年度から全都立学校におきまして、奉仕という科目を必履修に、これはわずか1単位でございますけれども、奉仕という科目を設けたいと思っております。これによりまして、自分が動くことによって他人が喜ぶんだ、あるいは他人の笑顔がもらえるんだと。自分が動かないとだめなんだと。社会のために何ができるか、日本のために、郷土のために何ができるんだということを実感できるような科目を来年度から必修化したいと考えております。
 それから、97パーセントの子どもたちですから、これは学力的に言えば非常に差が大きくなっている。そういう中で、日本の高等学校を卒業して、よく国際化社会の中でとか、こういう言葉を使っておられますけれども、日本人として、あるいは私どもであれば東京都立の高等学校を卒業した子どもたちが、日本だとか、東京だとか、郷土、これが全くわからない。あるいは、小学校、中学校程度の知識しかないということではいかにも寂しいということで、これも来年度からですけれども、日本の伝統・文化という科目を設けまして、現在、テキストをつくっております。
 例えば、組ひもだとか、三味線だとか、折り紙だとか、いろんな文化が形として残っているものがございます。そのほかに、神社のしめ縄だとか、結界という言葉がありますけれども、そういう日本独特の文化もある。少なくとも、そういう文化があるということを、あるいはそれのうちの1つでもいいから、世界に行った場合に、「折り紙くらい、こういうことだよ」とか、「組ひもっていうのはこういうことだよ」とか、ふろしきのたたみ方というのは、この1枚の紙がこうなるんだよとか、いろんな契機になればいいのかなということで、そんな科目も設定したいと考えております。
 したがって、東京都の高校改革といいますのは、学校の種類を変える、あるいは学校数を減らすというだけではなくて、教員の資質を高めていきたい。それから、生徒に教える内容も変えていきたいということでございます。
 その成果でございますけれども、現在、この改革の途中でございまして、確たる、こういうふうになったよという明々白々な成果はありませんけれども、例えば先ほど言いました進学指導重点校、これを指定しまして、3年たちますけれども、国公立大、あるいは難関私立大学への現役合格実績、これは指定前の5年間に比較しまして、4割向上しております。それから、全日制課程の中途退学率、これは平成8年度には3.6パーセントでありましたけれども、平成17年度、昨年は2.4パーセントに減少しております。
 それから、定時制課程ですか。これは平成8年度は19パーセントの退学率でありましたけれども、この平成17年度は15.9パーセント。先ほどの資料で全国的にも減ってはいますけれども、私ども、これは高校改革の成果なのかなと考えております。
 それから、改革をした高等学校へ現実に私ども、行ってみますと、まず違うのが子どもたちの目ですね。エンカレッジスクールに指定した高等学校が、昔の高等学校の生徒に比べて、今、通学している子どもたちの目が輝いています。これは直感的な、あるいは感覚的な感想で申しわけないですけれども、それを見ておりますと、「あっ、成果はまあ、上がりつつあるのかなと」ということが実感でございます。
 ただ、残念ながら都立高校全体の、97パーセント目に入った子どもたちの底上げができているかというと、学力的な底上げということまでは、我々、実証もできませんし、どうしてもエンカレッジに指定するとだんだん、学力が上がっていくわけです。そうすると、どうしてもその下の学校ができる。それをどういうふうにしていくのか。さらに、エンカレッジ校に指定して、底上げを図るのかと。これが今後の課題でございます。
 それから、中堅校ですか。いわゆる、中堅校に対してどういうふうに、もうちょっと、幾らかでもレベルアップを図っていくのか。この2つが今後、我々に課せられた課題であろうなと考えております。
 限られた時間でございますので、以上で終わりにしたいと思います。

【木村分科会長】
 中村委員、ありがとうございました。
 それでは、まず質問から始めたほうがよろしいかなと思いますが、何かご質問、東京都の施策に対して、ご質問等ございましたら、お願いしたいと思っております。
 どうぞ、井上委員。

【井上委員】
 ありがとうございました。高等学校が97パーセントという多様な生徒を受け入れているということから、都の教育委員会としてそれぞれの生徒に応じた学校のあり方ということを十分検討されて、今、ご説明があったような施策を講じられているということは、高等学校のあり方ついて大変参考になる実証例だと思って、大変興味深く聞かせていただいたわけでございます。
 その中で、恐縮でございますが、2点だけお尋ねを申し上げたいと思います。
 1点目は、平成14年度に学区の撤廃をされたわけでございまして、それまではある程度学区制を設けて、地域社会との協力関係、生徒指導のあり方、そういうものについてかなり地域社会との結びつきがあったと思うのですが、学区を撤廃しますと、どうしても全都的に自分の学力に合った学校選びというのが進行すると思いまして、全体としては学力の充実の上では学区の撤廃というのは非常に大きく機能していると思うのですが、生徒指導面で何か問題は起こらないのかどうか。特に、遠距離通学者等がかなり増えたのではないと思いますので、そういう点について教えていただけたらと思っております。
 それから、もう1点は主幹制でございます。これも義務教育特別部会でも主幹制についての議論が行われたのですが、いま1つはっきりしないのでお尋ねしたいのでございます。先ほど、中村委員から主幹制は管理職として位置づけて、特2等級の給与表を新たにつくったというお話がございました。これが学校教育法上の位置づけからいうと、校長、教頭、それから教諭ということになっているわけでございまして、都のほうで条例なり、教育委員会の規則で明確にそれを管理職として位置づけた場合に、特に教頭との関係をどういうような職務分担にしているのかどうか。それから、主幹が管理職になりますと、校長、教頭の補佐役なのか、あるいは独自の役割分担があるのか。それと、教務主任、学年主任等の主任との関係をどのように役割分担をされているのか。その辺について教えていただきたいと思います。
 以上、2点でございます。

【木村分科会長】
 中村委員、よろしくお願いします。

【中村委員】
 まず最初の学区の撤廃と地域社会との関係でございますけれども、これは各都道府県によって地域性はあろうかと思いますけれども、東京の場合は従前の学区と、通学時間というのは必ずしも同じ学区の中だから近い、あるいは隣、あるいは1つ隔てた学区だから遠いという感じではありませんで、むしろ交通機関によっては学区撤廃によって近くなった子どもさんもいるという状況にございます。
 それから、地域社会との関係では、遠くから通ってくる生徒さんも、当然、高校生ですから、地域の商店街なり、自治会なり、地域コミュニティーの中で学校が生きているということを大前提にいたしまして、地域の奉仕活動だとか、あるいは地域のお祭りだとか、あるいは地域の防災訓練だとか、ということで学校がある地域での行事に参加するように、あるいは、最近、小学生の通学時間帯におけるいろんな不安がございますので、その地域にある高校生が、地域にある小学校1、2年生の送り迎えの立ち会いをしろとか、こういう地域との密着性を私どもも指導して、それを現にやっている高校が非常に多うございます。
 それから、2番目の主幹制度ですけれども、これはちょっと言葉足らずだったかもしれませんけれども、私どもは、管理職ではなくて、監督層という呼び方をしております。だから、一般行政職で言えば係長だとお考えいただければいいと思います。したがって、行政系の場合もそうですけれども、係長には決定権はございません。ただ、組織決定をする上で、行政系もそうですけれども、一般職員が係長のリーダーシップのもと、あるいは組織のもとに属して、係長の指示に基づいて行動をし、それを決定権者である管理職に上げるという仕組みになっております。ただ、それですと、従前の主任制度との違いが不明確ですし、主任手当をもらっているんではないかということもございまして、処遇上、この主幹については特2級ということで、月収にして約2万円程度多くしているところです。
 それから、主任制度との関係ですけれども、この主幹は教務主任等を兼務するという形をとっております。それから、企画調整会議にはこの主幹級がメンバーとして入るとしております。だから、校長先生が組織決定をする上で、当然、この主幹級に全員入っていただいて、その主幹級は主任も兼ねておりますので、その中で役割分担なり、意見を聴取し、主幹はそれぞれ主任の立場、あるいは主幹の立場として自分の部に属する職員たちに意見を聞き、あるいは行動する場合もみんなで役割分担を決める。こんなふうな組織になっています。
 だから、わかりやすく言えば、決定権はちょっとあれですけれども、一般役所の課長が校長で、係長が主幹であると考えていただければと思います。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。どうぞ、高倉委員。

【高倉委員】
 ただいま議論になっておりました学区の撤廃絡みのことでございます。実は私、地教行法の改正にあわせて学区の撤廃を全国に先駆けて実行するという、これの検討委員会の委員長を務めさせていただいたというようなことがございますので、その後のことをちょっとお伺いしたいと思います。
 学区制を撤廃した後、従来の学区の仕切りといいますか、壁を越えた学校選択による流れですね、それが大まかに言って、どういうふうな流れになってきているのか、島嶼部も含めてご説明をお願いいたします。それが第1点です。
 学区制の撤廃そのものが、高等学校の改革ということ、いろんな中身をご説明いただきましたけれども、それとどういうふうにかかわってきていると考えられるのか、大まかに説明いただければありがたいと思います。
 以上です。

【中村委員】
 学区を撤廃した後、従前の学区以外から通ってこられる生徒さんというのは大体2割くらいですかね。それ以前から東京都の場合の隣接区からの特例受験を認めるとか、いろんな制度を経過的にやっておりましたけれども、結果的に我々、サラリーマンの場合もそうですが、長時間かけて通うというのはなかなか難しいわけです。
 例えば、日比谷高校に行きたいと言っても、奥多摩から通うというのは現実問題として朝晩の相当な拘束時間になってしまいますし、無理だろうということで、2割から、学校によって3割、4割というところもございますけれども、平均的に言えばそんな数字かなと思います。
 それから、島嶼部という話ですけれども、島は全然別個でございます。島は都内から行ってもいいんですけれども、これは下宿になってしまいますし、相当経済的な負担もあるということで、やっぱり島でお生まれになって、島の中学校の生徒がその島にある高校に通うということが多かろうと思っております。
 それから、学区を撤廃したことによって、大体、学力が各高校によって収れん化されると言いますか、今までは1から10までの生徒がいて平均的に5だったのが、大体1から8くらいまでの生徒に収れん化させて、平均化されると6だとか7になるという結果がございます。その結果、子ども同士はお互いに切磋琢磨するんですね、お友達が増えると。そういうこともございます。
 それから、平均値が上がりますから、教員のほうも授業の内容、あるいは密度も従前よりはちょっとポイントを上げた授業ができるということで、授業はやりやすくなっていると聞いております。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。どうぞ、黒須委員。

【黒須委員】
 中村教育長にお尋ねしたいんすけれども。私は基本的に東京都の今の高等学校改革は支持しているんですよね。非常に先駆的に取り組んでいるなと思っているんです。今まで長い間時間をかけて、いろいろ検討してきた結果だろうと思っているんですけれども、今、97パーセント進学しているということは、当然、多様なニーズがあるわけですから、それにこたえられるような都立高校をつくるということ、これは私、基本的には大賛成であります。特に、全日制と定時制の併置校、これは今、ほとんど意味がないと私は思っておりますから、全定併置校の解消ということ、そして単位高校への移行ということ、これは私は特に高く評価したいと思います。
 いろんな新しい学校をつくっても、今、世の中の変化というのは激しいから、またニーズも変わってくるし、そういう中で一定の時間をかけてそういう学校をつくるわけですけれども、実際にやってみて、地域性とか、それに合わない学校というのも出てくるんではないかと思うんですね。
 ですから、例えば総合学科は、今、5校も開校し、平成23年度までには10校、これは全域に配置をしなければいけないということでやっているんでしょうけれども、実際、これの言うならば検証というものをどういうふうにされているのか。つくる計画だから、これはどうも時代に合わないのかな、あるいはニーズも多少変わってきているかなと思ったときに、計画を変更する勇気も必要なんではないかなと。その辺のところをどんなふうに考えているのかが1つ。
 それから、先日、新聞に出ていたんですけれども、都教委は部活も教育だと。これは国に先んじてそういう位置づけをすると。私はこれはすごく大事なことだと思っているんですね。先ほども触れましたけれども、97パーセント、ほとんど全入の時代で多様な学校ができているけれども、学校へ入ってみて、言うならば勉学というのは基本的には社会人として生活をしていく上では、義務教育で、もちろんそれで十分だとは言えないが、最低限の教育というのは受けられるわけだから、あとは子どもたちの特性といいますか、適性、こういったものをどう引き出していくか。
 勉強はあまり得意ではなくて、いつも下を向いているけれども、スポーツになると生き生きして、そして頑張るというような子どもたちもたくさんいるわけです。学校の教科として教える学校があるわけですけれども、それ以外に部活を重視して、部活で子どものいいところを伸ばせるようなという、それはすごく大事なことだと思うんですね。それには、位置づけというのが必要なわけで、今はそんなことまでおれはやる必要はないというような先生方が多いわけですよ。
 その中で、都の教育庁では、これは代休というのか、振替休日でやっているわけですよね、やろうとしているわけですか。手当が1日1,700円。これではやっぱり十分ではないのではないか。これを本当に重視するんだったらば、もっと予算をつけるべきではないか、こう思うんですよ。十分な待遇をして、これは教育に位置づけているんですから、名実ともに位置づけて、その力というか、発揮できるような体制をつくるべきではないかと思うんですけれども、それについてどんなふうにお考えになっておられるのか、お聞きしたいと思います。

【中村委員】
 よろしいですか。最初に、この高校改革の検証の問題ですけれども、ご覧いただきますと平成9年に始まって、完成が平成23年です。何でこんなに長くかかるかといいますと、1つは統廃合して、ハード面の整備をしなければいけない。だから、校舎を新たに整備します。あるいは、取り壊すとか、そのハード面がありますので、なかなか難しい。それから、一遍にやりますと、財政負担が膨大になりますので、ある程度、平準化をしてやらなければなりません。さはさりながら、黒須委員、ご指摘のとおり、時代の変化はまたまた素早いといいますか、すごいものがございます。
 したがって、私ども、教育委員会でも、当初の見込みどおりつくってしまっていいのかどうなのか、これは常に検証しております。それから、先ほど言いました進学指導重点校というのは指定したんだけれども、本当に成果が上がっているのかどうなのか。成果が上がらないのであれば、これを見直さざるを得ない、というようなことを常に考えております。たまたま、現在の計画ですと、改革のハード面では、例えば校舎を建てるという高校については、平成18年度までにすべて手をつけるというところまではしてまいりますので、内容面は今後も毎年、毎年、検証をして、決してこの時代の流れにさおを差すとか、逆行するようなことではなくて、むしろ先取りをしていきたいなということを考えております。
 それから、部活の問題ですけれども、これはおっしゃられるように、97パーセントの子どもさんの中には、確かにいろんな生徒さんがいらっしゃいます。ただ、部活を我々、重視しておりますのは、勉学にそれほど興味がなくても、部活で何か興味を持って、何か1つでも興味を持って、それに打ち込むということは、ひいては隣の科目なり、隣の部活なり、あるいは近似の学科なりになるべく近づいてもらいたい。どちらかというと、白けて部活さえやらない、何にもやらない、おれは一人だ、私は一人だという子どもをなるべく少なくしたいということで、特に学校教育では部活というのは非常に大事ではないのかなと。ましてや、就学率が高まっている現在では特に重要だなと。
 それにしては、正式な科目でもございませんし、学校の教員にすれば部活というのはボランティアなんだろうという声もあります。暇のある先生がやればいいんだろうとか、相変わらずそういう考えの先生が多いもんですから、これは我々は「教員の本務である、本職なんだよ、あなた方の」ということを言いまして、したがって、今までは「顧問になる人、手を挙げて」というやり方だったんですけれども、先ほど言いましたように、学校組織の中でこの部活をどういうふうにやるのか。だれが顧問になって、だれが指導者になるのか。
 最大の問題は指導者がだんだん少なくなっている。特に、中学校あたりは小規模化になりまして、学級数が少なくなると先生の数も減ってくる。そうすると、定数が減り、野球部の顧問さえいなくなるということで、学校内の先生だけでもって部活の指導をすべてやろうと思っても無理だろうということで、私どもでは外部の講師を雇ってもいいよと。ちゃんと予算措置をしますよというような、部活を活性化するために仕組みをつくっております。
 したがって、職務でありますから、通常の土日に部活で勤務すれば、その代休を今までは前後2カ月間にとれといっていたものを、現実問題として4月に部活があって、その分を2カ月間でとれと言っても、これはとれないんですね。部活を一生懸命やる先生ほど熱心ですから、代休をとれと言ってもなかなか学期中にはとれない。そういう問題がありますので、長期休業中、夏休み中になるべく工夫をして、振替休日をとってください。こういう制度もつくりました。これもすべて子どもたちに何か1つでもいいからやる気を、おれはこれができるんだとか、それによって仲間をつくり、あるいは規律規範を覚えてもらい、あるいは日本の文化に触れてもらう。こんなふうな観点から、運動部系に限らず、文化系についても同じことを考えております。
 以上です。

【木村分科会長】
 はい、ありがとうございました。
 東京都のプレゼンテーションに対しての質問を越えて、既に今日の議題であります高等学校の目標についての議論も出ておりますので、その辺も含んでご発言をいただければと思います。渡久山委員、どうぞ。

【渡久山委員】
 今、中村教育長の話、私、全国的にはなかなか東京のまねはできないような感じで、非常にすばらしい改革だと思うんですよ。ただ、今までの高等学校の多様化というのは何かというと、教科を中心にした多様化ですね。普通科と工業科とか、商業科とかというような、教科を中心にした多様化というのがあったんですが、この東京都の場合は、子どもたちのニーズというか、質に目指した多様化だという形で僕は非常にすばらしい試みだと思うんです。
 そこで、1つは中退が非常に減ったというエンカレッジスクールなんかは僕は非常に新しい試みだと思うんです。ただ、ほかの県でおそらくこれを参考にしているんですけれども、金がかかっていると。だから、東京のように金がないとできないというのが普通のようでございまして、これはどれくらい財政的な負担があるのか。これを少し教えていただきたいと思います。
 それから、もう1つ、これを見ますと、平成23年からチャレンジスクールとか、あるいは総合学科ですね。中高一貫校、これがだんだん増えていくと。こういうような形がとられていくんですが、それは1つのニーズにこたえていくものだとは思いますが、ただチャレンジスクールがあるかと思えば、進学校もあるわけですね。そういう中で、1つお聞きしたいんですが、総合学科、あるいは中高一貫高校、これが増えているんですが、これはやっぱり進学ということにシフトした学校づくりに将来なっていくのかどうか、この辺の問題はどうだろうかという感じで、少し教えていただきたいと思います。
 それから、3つ目は、先ほどありました主幹と主任の関係ですが、主任制度というのは人確法から来て、国の制度ですよね。ですから、国が「その制度を廃止します」と言わない限り、ちょっと廃止できないような状況ですから、これは文部科学省にお聞きしたほうがいいのかもしれません。率直に申し上げて、今、教員のいろいろな待遇の面から見ても、主幹をつくって、給与表を増やしているというのは僕は一考すべき考えだと思います。その際には、大胆に今の制度主任は外していく。今、手当が1日200円ぐらい出ているんですが、この辺との兼ね合いで、どんな議論がされて、今のように、兼務もあるそうですけれども、どういうご意見をお持ちかということが1つです。
 3つ目が、今の部活動ですね。これは私は部活動は教員の本務ではないと思います。ただ、やらなければいけないというのは、本当にそうなんですね。ですから、学校で特に高等学校ではそれほどでもなくても、中学では部活をすることによって子どもたちの非行の面、あるいは素行の面、あるいは体力づくりという面では非常に有効なことになっています。今、教育長も言われましたように、子どもたちが一人で集団的な遊びができない、あるいは友達ができない子どもたちが部活を通して生き生きとしてきているというようなものもいます。
 ただ、甲子園の野球なんかを見ていますと、異常な状況もあるわけですよ、裏には。ですから、ああいうものは私も何回か批判をしたことがありますけれども、全くマスコミが取り上げないんですよ。朝日と毎日がやるわけでしょう。そして、卒業生は読売と中日が持っていくわけですね。そうすると、マスコミは自分たちの商売になっているわけですから、変な意味で。これに対して、子どもたちは、ハンカチ王子が出たかと思えば、そうではない、泣いている子どもたちもたくさんいるんですよ、甲子園に行けなくて。そういうような状況もあります。私は石垣島の出身ですから、八重山商工なんか非常にさわやかな感じもあって、なかなかいいなという面もあるんですが、それは別として。
 部活をするというのは、今の学習指導要領にはないですから、載っていませんから、特に高等学校の場合。これをやるなら、先ほどもありましたように、それなりの手当をきちっとつけるか、あるいは40時間労働というものをどう考えるか。土曜、日曜もなくやっている教員がいますからね。生徒だけではなくて、教員もそれに生きがいを感じているのもいるわけだから、そういう生きがいをとるわけにもいかないから、これも現実的には無理だと思いますが、そういう条件整備もきちっと同時に提起していただくということをお願いしたいと思いますが、この辺、いかがでしょうか。
 以上です。

【木村分科会長】
 それでは、中村委員、お願いします。

【中村委員】
 最初の、まずエンカレッジの件ですけれども、これは金がかかるのはたしかですが、エンカレで私どもがやっているのは、複数担任制という制度をしいておりまして、担任が2人という制度をとっております。
 この制度をしくためには、各学校に教員の加配をすることで複数担任制が実施できます。複数担任制になりますと、個々の児童生徒に、より親身になって相談できますし、というふうなことをねらっております。
 ただ、高等学校普通科の場合は、生徒1人当り年間、あらあらで大体100万円。工業、商業、専門学校の場合は大体200万円から、学校によっては300万円。盲ろう養護の場合は一人、大体800万円から1,000万円と。こういうふうな統計資料がありますけれども、100万円かかっているのが、授業料をどの程度取るかという問題もあります。
 それから、総合学科高校、あるいは中高一貫教育校ですね。これは進学との関係ですけれども、今97パーセントの子どもが高校生ですが、当然、今後はどういう形であれ、みなさん大学ということを目指すんだろうと思います。したがって、総合学科におきましても、いろんな選択科目がございますけれども、子どもたちが大学進学をしたいと言えば、それに対応できるような科目もセットしております。
 中高一貫教育校はまだ始まったばかりで、卒業生を出しておりませんけれども、こっちのほうが当然、大学というのを目指しているんだろうと思います。したがって、それにふさわしいような教育を目指していきたいなと思っております。
 問題は、これの受け皿となる大学がどういう大学に将来なるのかと、むしろ私どもはそっちのほうを、きちっと受け皿がこうなるんだよというのがあれば、それに目指した高校教育、大学進学を希望している子どもたちにこういう大学もあるから、君はこういう……、という進路指導もできるんだろうなと考えております。
 それから、主幹制度と主任の関係ですけれども、この主幹制度を東京都で導入したときに、それ以前に長い歴史のある主任制度の反省からまず始まったわけです。当時、どうしても主任というのは持ち回りで、今年は私、来年は君、再来年はあなたと、こういうふうな順番で、持ち回っており、つまり、責任は負いたくない。校長から何か言われても今年、あの人にこういうお願いをしたら、命令をしたら来年は逆の立場だから、そんなことはしたくないということで、なかなか機能しない。もともと主任制というのは組織としてとらえておられたのかどうか、私も昔のことはわかりませんけれども、そういうことで東京都の実態は持ち回りで機能をしていないということもあり、主幹制を導入したわけです。
 それから、部活の問題はまさにおっしゃるように、勤務条件をどうするのか。私どもはちゃんと時間内に、変な話、事故が起こった場合にどうするかというのが最大の課題でして、私どもは正規の、皆さんの本務であるから、何が起こっても面倒を見ますよという、いわば宣言をしたとお考えいただいてもいいわけですけれども、そういう勤務条件は全国一律で今後、位置づけて考えていただこうという必要が当然あろうかと考えております。
 以上です。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。ほかにございますか。市川委員。

【市川委員】
 今の東京都の学校改革の動きというのは、私も全体としては非常にいい方向に向いているなと思っているんですけれども、2つ質問させてください。
 1つは、高校側から今の指導要領についてどんな要望が出ているだろうかというようなことをお聞きしたいです。指導要領と言っても、中学までの指導要領について、前回、かなりの削減を行ったということについてです。選択科目も増えて、必修が減ったというようなことがあります。当時の説明としては、中学校までは相当内容的に削減するけれども、高校を出るときにはこれまでと同じような学力がついているようにする。ですから、高校で加速していくというようなことが言われたと思うんですが、そのことについて実際にはかなり高校に負担が強いられているので、もうちょっと中学までの内容を増やしてほしいというような要望が出ているのかどうか。
 それから、高校の指導要領についてですけれども、入ってくる子どもたちの学力がかなり多様化している中で、どうも指導要領に書いてあることが、はるかにそれを超える学力の子どももいれば、なかなかそれが達成できない子どももいる。一律、ある程度、同じような指導要領を目標としてやっていく。教科書も大体同じレベルのようなものが使われるということに対して、相当、やりにくさというようなものがあって、何とかその指導要領にもうちょっとめり張りみたいなものが必要だというような要望とか声が出ているのかどうかというあたり、指導要領に関して伺いたいと思いました。
 それから、もう1つは、これは国の方向として確かな学力ということが言われて、小学校、中学校を見ますと学力向上ということをスローガンにして、学校が一丸となって取り組むということは、かなり全国的にも多いと思います。それで、高校でどうなんだろうかということを考えますと、高校というのはなかなか学校が一丸となってあるテーマに取り組むということがしにくいのかもしれませんが、小中に比べると非常に少ないような気がしています。研究授業の数であるとか、どれくらい学校としてのテーマのもとに研究紀要をつくっていかとか、学校として研究を進めていくということが、この学力向上に関して、最近はどういうふうに行われているのか。
 特に、東京都ではと言うと失礼かもしれないんですけれども、学校が一丸となって教員が教科を超えて何か取り組むということは、わりと少ないように、私の主観かもしれませんが、感じていて、これが地方にいきますと、結構、そういうところもあるなと思っているんです。高校としての研究体制、特に学力向上に関する研究体制のようなものがどんなふうになっているのかというあたりは伺いたいと思いました。

【木村分科会長】
 どうぞ、お願いします。

【中村委員】
 まず、1点目の指導要領の関係ですけれども、これは高校の先生方に言わせると、高校1年生で入ってくる子どもたちというのは、何でこんなにだめといいますか、昔に比べて何とかしてほしいな、中学までに。これは実感のようですね。高校の先生方は負担増になったという感じを持っている方々が多いんではないかという気はします。ただ、さはさりながら中学校でもうちょっとやってくれよ。自分のところを学校5日制を6日制に戻せよという声にまでは、自分の勤務条件の問題ですから、なかなか上がってこないという問題があります。
 それから、科目で言いますと、特に校長先生なんか、管理職の方々は何で高校で道徳だとか、規範意識だとか、規律だとか言われていながら、それを系統的に教える科目が高校ではない。政治倫理だとか、ああいうところでもってちょこちょこと言わざるを得ない現状があります。例えば、道徳だとか、あるいは国際化社会に向けて世界史の必修もいいんだけれども、日本史も必修にしてほしいなとか、いろんな学習指導要領に対する意見はあります。ただ、私ども、全都立高校に対してアンケート調査をまだやっておりませんので、総体としてどういう声になるかというのはちょっと自信は持てませんけれども、今まで聞いた意見ではそんな感じです。
 それから、学校としての研究ですけれども、これは現実問題、例えば現行制度でも、総合的な学習の時間で何か学校全体で取り組んで教科を超えた先生たちが何かひとつ、うちの学校はこういうことをやろうではないかということでもって実践しているという例を私も、寡聞ですけれども、あまり聞いたことがないですね。
 ただ、学校として私ども、校長先生方によく言っているのは、学校の経営方針をしっかりしなさい。しっかりつくって、子どもなり、保護者に示しなさい。どういう学校にして、どういう生徒をつくるのかということを公表しなさい。その成果を報告しなさいよと言っておりますから、当然、学校として子どもを育てるために、こういう方向に行こうということであれば、先ほど言いました主幹を中心に、それでは教科を超えてこういう分担で何かをやろうではないかという高校もあると承知しております。ただ、全体としてそういう方向に行くかというと、日々の生活指導に追われている学校もありますし、なかなか難しいなという状況はあります。
 したがって、総合的な学習の時間等をどういうふうに個々人に、あるいは学年に任されているふうな感じで先生方、とっておりますけれども、これをどういうふうに位置づけていくかなんですね。それも今後の課題だなと考えております。
 以上です。

【木村分科会長】
 はい、ありがとうございました。平出委員。

【平出委員】
 幾つかお尋ねも含めて発言させていただきますけれども。神奈川県は東京のお隣なものですから、ときには東京の高校教育改革を横目で見ながら、ことを進めていますが、各方面から東京でできることをなぜ神奈川でできないのかとかなり強く苦情を申し立てられてきているわけなんです。
 東京都で行ってきた改革の幾つか後追いの感じで神奈川県でも実行してきております。その中で、例えば学区の撤廃は2年前に行ったんですけれども、大変おもしろい現象があらわれてきました。それは都心部の底辺校と言われているところに進学していた、都心部の子どもたちがどういうわけか、遠方の県境のかつて底辺校と言われていたところに通うんですね。つまり、とんでもない遠くの底辺高校に通う者が、少数ながら出てきているという現象です。
 2時間ぐらいかけて、1人だけではなくて何人か仲間で通学するもんですから、待合時間を含めますと、長時間になりますので、朝食はとってこないですね。電車の中で食べる。部活動はしない。そういう少数ながら、学区を撤廃したことで、通学圏がとんでもない遠くに行って、生活実態が崩れて、おそらく中学生のころも崩れていたんだろうと思うんですけれども、さらに一層、崩れてきているということが予想されるのです。そういう子どもたちの生活実態の調査をしなければならないのではないかと思います。中退率がどのくらい、不登校率がどうであるか、卒業後、どうなるかということを検証をしてみる必要があるだろうということになってきております。
 それと、専門学科とか、総合学科をたくさんつくっていくわけなんですけれども、専門学科、総合学科で開校する授業科目を見ますと、大学で開講するような名称のものが並んできているんですね。果たして従来の高校の教員で十分に担当できるかどうかという新たな問題も起きてきております。特別講師を任用するとか、あるいは研修を強化するということで、今、手当てしておりますけれども、そういう問題があります。
 それと、神奈川県は180校程度の県立高校を統廃合して、150校台に持っていくわけなんですけれども、統廃合をする学校には新しい校名をつけて、従来とは違う特色を鮮明に出す。そうしますと、入ってきた子どもの満足度というのは、これは高いですね。父兄も満足しています。この限りでは、まあまあ改革はうまくいっているんだろうと思うんですけれども。
 いずれにしろ、高校改革を行っていく場合は、自己点検、評価、これはしっかりやらなければならないんではないかと思います。
 以上でございます。

【木村分科会長】
 それでは、加藤委員、どうぞ。

【加藤委員】
 若干の質問と、それから先ほど分科会長も本日のテーマの高校の目標についても触れるようにというお話しでしたので、その点についてちょっと述べたいと思うんですけれども。
 まず、質問のほうについてですが、先ほど東京都の例で改革の結果として、生徒のほうの変化というのがどうであったかということに少しお触れになりましたけれども、それでは教員側の変化というのはどのようにお考えになっているのかということなんですが、一般的に言えば、ルールとか仕組みを変えますと、いろいろと摩擦も起こるだろうと思いますし、それはいい摩擦もあれば、そうでない場合もあるだろうと思いますので、その辺と、それからそれによって教員側の意識というのはどうふうに変化をしてきたとお感じになっているのか。
 それから、もう1つは、こうした制度を変える際に、私は以前、ほかの例でもお聞きしたことがあるんですけれども、教職員組合がありますが、そういうところとの協議というのは行われているのか、あるいはどのように行われたのかという点をお伺いできればと思います。
 それから、今日のテーマについての話なんですけれども、先ほどの全体の実態の数字を見せていただいたときに、約2割の子どもたちが就職をしているという実態があります。こうした実態が今後どうなっていくのかということなんですが、私は必ずしも大学進学が目標にはならないといいますか、世の中全体が多様化していますので、こういった数字がそれほど下がっていかないというようになったほうがいいんではないかと個人的には思っているわけですけれども。高校側が就職をする人たち、大学に行かないで社会に出ていく人たちをどのようにして送り出していくのかということを、やはりもっと考えていただきたいなということでございます。
 社会の側はものすごい勢いで今変わっておりますので、高校を卒業した人たちを迎え入れる、あるいは迎え入れたい企業も非常に多いわけですね。ところが、企業サイドにしてみますと、高校生の卒業生が減ってきたということももちろんあるんでしょうが、昨今、景気も戻ってきて、高校卒業の新卒の子どもたちを採用したいと言っても、なかなか来てもらえないという実態がございます。その辺が高校と企業とのパイプといいますか、ニーズをうまくとらえているのかどうかということで、パイプが細っているんではないかということを非常に感じるわけです。その辺をまず改善していかなければいけないんではないかということ。
 それから、高校側として昨今の社会の側の大きな変化というのは、1つはいわゆる人事処遇制度。企業が現実に企業の中で人をどういうふうに育てていくのかというような考え方が大きく変わってきているわけです。かつては、会社にある意味で白紙の状態で入ってもらって、それを会社の中で年功処遇によって育てていくと。そういう時代でありましたけれども、今や成果主義のほうにどんどん変わってきております。
 これはどういうことを意味するかというと、個々人の能力を伸ばしていくことはもちろんなんですけれども、社内の制度としても仕事や役割に応じて賃金を決めていくというような、これは企業の中だけではなくて、例えば派遣業だとか、請負業だとか、こういったようなものが非常に増えているわけですね。そういうところは、もう明らかに仕事や役割や専門的な職業能力でもって処遇等も決まっていくというふうに変わってきております。それに対応した形で、こういった職業関係の高校が対応できているのかどうかという点はやはり検証が必要なんではないのかなと思います。
 就職をする方々を受け入れる実業界の側で見ますと、かつては会社に就職するという、就社であったわけですけれども、昨今は就業をするといいますか、会社に勤めるという意識は非常に薄くて、好きな仕事がなるべくしたいと。そして、いい仕事がほかにあれば、移っていきたいという気持ちも非常に強いわけです。それが必ずしもいいということで言っているわけではないんですけれども、そういう変化を踏まえた高校側の対応というのも必要であろうと思いますので、その点について、特に目標ということでありますので、そこで考慮をしていくべきなんだろうと思います。
 以上でございます。

【木村分科会長】
 それでは、前半の部分、中村委員、お願いいたします。

【中村委員】
 まず、制度改革に伴います教員側の変化の問題ですけれども、教員が今まで社会が変化しているんだとか、あるいは住民の方々の要望が変化しているということに、わりと疎いといいますか、世間離れしているというのか、そういう感じが非常に強うございました。
 私どもがこういう改革をするということで、当然、組合等を通じて一般の教員の方々にお話をする。その中で、「あっ、社会も変わっている。じゃ、自分たちも変わらなければいけない」ということ。それから、結果として、子どもたちが生き生きと目を輝かせて学校に通ってきて、先生を見つめて、授業を聞くというのは、これは教員冥利に尽きる話でございます。したがって、これをやっていく中で、先生方も「ああ、やっぱり社会も変わっているし、自分たちも変わらなければいけない」という感じになってきていると思います。
 それから、組合との関係ですけれども、例えば学校数を減らすとか、定数をどうするかというのは管理運営事項でございますので、話はしますけれども、私どもの責任としてやっております。ただ、先ほど申し上げましたように、部活のために、土日の休みを夏休みに振り替えるというのは、これはまさに勤務条件ですので、これは組合との合意を経てやっているという状況でございます。
 いずれにしても、組合、あるいは教員個々人も自分の殻に閉じこもっているという時代から、我々はその殻をとりたい。なるべく殻を薄くしたいという政策をやっておりますけれども、徐々にではありますけれども、そういう感じになっているのかなという感じはします。
 それから、後半の話題にも触れるかもしれませんけれども、産業界との、特に専門高校だとか、産業界との窓口、あるいはパイプの関係ですが、私ども、典型的な学校の六郷工科高校というのはデュアルシステムを採用しています。これは地元の中小企業の方々、社長さん方と協定を結びまして、よければ採用してくださいということを前提に職業教育をしてもらうと。この間、社長さん方に表彰状をお渡ししたんですけれども、「大変、お世話になっています」とお礼を申し上げたら、むしろ社長さんたちが「この制度は我が社にとって非常にいい制度だ」と。何がいいかというと、高校生が来るんで、正社員に「おまえが責任を持って、高校生を預かれよ」と言うと、だめ社員だった者が一躍、やる気を起こして、すばらしい社員に変化すると聞いております。これは最初、思ってもみなかった効果があるんで、ぜひとも長期間にわたって生徒を送り込んでほしいと伺っております。
 それから、そういう実態を見ておりますので、これは大田、品川地区にありますけれども、大田、品川の中小企業の社長さん方が、「私も仲間に加えてください」。こんなふうなことで、我々、名簿をつくっておりまして、ご協力を願っております。そのほかに、経済同友会だとか、商工会議所だとか、いろんな窓口を今開発して、ご協力を願っているということでございます。産業界も現在、高校生、あるいは大学生もそうかもしれませんけれども、そういう窓口を設けていただいて、非常にご協力を願っている状況でございます。
 ただ、私ども工業、商業もそうですけれども、今、教えている内容がこの子たちが高校を卒業したとき、あるいは大学を卒業したときに陳腐化している知識なり、技能ではないんだろうかなと。したがって、これは文部科学省にお願いしても無理だとは思いますが、日本の産業行政として、例えば5年後、10年後、20年後に必要とする技術、あるいはその知識というのはこういう方向ですよということであれば、私ども教員の養成から始めなければならないと考えております。
 例えば、簿記の、一々紙に書き入れるなんていう時代では現在、ないんですけれども、30年前に商業高校で採用した簿記の先生はそれが専門でございますので、なかなか変えづらい。したがって、方向性をぜひ示していただきたいということを考えております。
 以上です。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。どうぞ、安彦委員。

【安彦委員】
 それでは、都立高校の改革に1つ、まず質問を出させていただいて、あとちょっと意見的なものをつけ加えさせていただきたいんですけれども。
 この推進計画の実施計画(概要)の2ページ目に、市民向けの説明として、都立高校の改革について4つ課題を掲げてありますが。この4つのこと、例えば「かけがいのない存在となることを目指す教育の実現」。それから、「豊かな人間性の育成」。「学ぶ力と確かな学力の向上」。「生きる力の基盤となる健康・体力づくりの推進」。
 この4つの視点と、今、この場で話題にというか、問題にされる学校教育法の高等学校の目標ですね。言ってみれば、42条なりの目標の関係を一応、議論された上でこの4つが今後の都立高校の改革の方向として出されてきたのか、その辺の議論の中身というのがもしありましたら、出していただければ、今後、42条を扱う場合に、参考になるかと思います。
 それで、私、正直言って、中学校のほうが専門で、高校はそんなに詳しくはないのですけれども、意見になるんですが、今後、この改革の方向として、例えば都立のような場合でも、中等教育学校ができて、中等教育というコンセプトがどれほど確かなこととしてというか、あるいははっきり念頭に置くべきコンセプトとして維持されるのか。つい、私たちは中学校教育、高校教育とやってしまいまして、中高一貫もその2つをつなげるという発想しかないんですけれども、やはり中等教育学校という言葉に出てくるという初等教育、中等教育、高等教育というカテゴリー、本来、これは学問的なカテゴリーですけれども、そちらのほうのカテゴリーで見るということを、今後どうしていったらいいのかなと。
 私は42条の規定というのはそれなりにちゃんと読むとよく書けていると思うんですが、このことについて逆に言うと意外と今までの中高はあんまり真剣に考えていなかった、結びつけていなかったかなと。
 例えば、よくここにも社会とか、教養とか、特に社会という言葉は度々出てくるわけですけれども、社会とのつながりということで、今の加藤先生のお話もそうですが、どうも社会とのつながりのパイプが小さくなっていたんではないかということは、逆に言うと、自覚的に、しっかり目標規定を読んで、進学志向一辺倒だったような、そういうこととの絡みで言えば、そういう子どもたちだって、社会とのつながりというのはちゃんと考えさせておく、そういう場を設けるべきだという言葉だって、もっともっとあってよかったんではないかと。
 中等教育というのは初等教育と一番違うのは、要するに社会がより身近になってくるわけですね、子どもにとって。そういう意味では、その通路が1つは個性だったりするわけですが、もう1つが自立ということですね。初等教育では自立はちょっと考えられないですけれども、中等教育で初めて自立ということがはっきり出てくる。ですから、自立と個性というのは私は中等教育のキーワードだと思っているんですけれども、そういう視点というものを持って、例えばこれからの高校というものを高校として、従来の小中高大という単線系の学校制度の中にきちっと位置づける位置づけ方を固めなければいけない。
 そうしないと、私が前から申し上げているように、各種学校、専修学校、専門学校等と多様化という言葉でもってどこがどう違って、逆にほとんどこの時期の子どもたちの学校として、高校もワン・オブ・ゼムで、その中の1つにしてしまえ、ぐらいな議論だって十分あり得る。私はそういう方向だって議論としては十分あり得ると思っていますが、そうではなくて、私は単線系の学校制度というのを基本的に維持すべきだと思っているものですから、そうだとすると、多様化、多様化という言葉はあまり乱発せずに、もう少し高校における、むしろ高校としての独自性というのを何に置くのか。それを社会との関係、あるいは個性や自立との絡みで、一方でしっかりと高校は高校としての独自性というものを打ち出さないといけないだろうと。
 そういう意味では、多様化ということは安易に言葉としても使い過ぎると、子どもの現実には合っているという言い方になるかもしれませんけれども、例えば私は自立の中には高校の段階では、よく言うんですが、観の形成というのがあると思います。人生観、人間観、社会観、職業観というその観の形成。中学まではまだ形成できない、断片的にいろんなことを考えはしますけれども、なかなか観のところまでシステムとしてつくるところまでにはいかない。しかし、高校になると、本当にそれを自分の問題にせざるを得なくなってくる。そういう意味で、ここの42条に、一般的な教養と書いてありますけれども、こういう教養ということの中には観の形成がはっきり入っていると思うんですね。
 そういう意味で、中学とは違う、小学校とも違うだろうと。そういうものをもう少し詰めていただきたいし、そういう議論なしに、例えば都で1から4までのようなことが行われているとすると、ますますただの多様化。専門学校や専修学校と区別がつかない高校になって行くような気がする。
 これは中村先生には恐縮ですけれども、中高一貫の都立高校の会議に私、臨時の委員として参ったときに、実は教養教育をやりますと文言も書いてあるので、「教養教育って何ですか」と、並みいる先生方に聞いたんですけれども、どなたも答えていただけなかった。そういう意味で、高等学校の教育の目標、42条あたりからちゃんと引いてこられたんだと思うんですけれども、これをどういうものかということについてしっかり固めておいていただかないと、本当に高校の独自性というものは何なのか。あるいは、高校生というものの、僕は前々から高校生が持つアイデンティティーと言っていますけれども、高校生として社会も求め、自分も納得できるような、そういう高校生としての自覚というものが保障されたい、してほしい。
 そういう意味で、改めて中等教育というもので中高一貫などの場合に何で大きく前期と後期を考え、後期の場合の高校というのをどう押さえるかということを考えるべきではないか。まずは今の段階で理論的なところへ戻るんですけれども、そういうことを考えてから条文なり、あるいは改革なりということについても進めていただきたい。
 最初の部分について、都のほうはどういうふうに検討されたかをお聞きできたらいいなと思います。

【木村分科会長】
 中村委員、お願いします。

【中村委員】
 今のお話ですけれども、学校教育法42条との関係ですが、これは平成9年よりも前に議論が始まっておりまして、当時の議事録、私も読んだことがありませんけれども、推測しますに、42条でこういうふうに書いてあるけれども、現実がどうだこうだという議論よりも、現実問題として、かつて高校全入運動があり、その中でいろんな高校生が生まれ、それがいろんな社会から不満、あるいは問題を起こすと。こういう実態面から議論が進んだんだろうと思っております。
 また帰りまして、また当時の議事録を読み直しますけれども、多分、そうではないのかなと、こんな感じはしております。ただ、おっしゃられるように、少なくとも法律改正だとか、規則改正だとかということになりますと、過去の42条に対して新たな条文を設けるんであれば、42条がどうだったからこうだとか、こういう議論は当然必要であろうと思います。ただ、片方では今の高校生をあなた方……、ここに書いてあるとおりに読むと、大体3分の1ぐらいの高校は、ここに書いていない高校に、多様性の結果、待っているという現実問題がありますので、その現実をどうするかということも踏まえて、議論をしていかないと、ある保護者にとってみれば去年まで高校生だった子どもが、「何だ、専門学校の生徒におまえ、格下げになったのか」とか、いろんな議論を生むんではないかという感じがしております。

【木村分科会長】
 それでは、永井委員と野村委員、それから渡久山委員、井上委員。時間が来ておりますので、手短にお願いいたします。

【永井委員】
 東京都のお話、あるいは安彦先生の話とも重なるであろうと思いながら、申し述べるのですが。これからの高校教育の目標を考えるに当たって、3つの視点が必要であると考えております。
 その第1の視点が、既にお話に出ていますけれども、いわゆる市民的教育といいましょうか、42条にあるところの教養であるとか、国家、社会の形成者であるとか、あるいは社会に対する批判的な目であるとかといったような観点、これを少し前面に出す必要があるのではないかという気がします。
 と申しますのは、新制高校発足以来、市民としての完成教育であるとか、あるいは普通教育の完成段階を目指す学校であるとかといった観点から、高校のあり方を全面的に議論をしたという経緯が、実はなかったと思われます。その意味でも、このことを前面に出して、議論する必要があるのではないか。
 言い換えれば、市民としての完成教育を目指す学校なのか、あるいは大学教育の準備機関なのかといった性格づけの点で、あいまいなまま現在に至っている感がある。このことは当然、改正教育基本法の中身とも連動する話だろうと考えております。
 2つ目のキーワードが接続と連携だろうと思います。大学との接続、あるいは中学校との接続、あるいは他の高校との連携、あるいは地域社会、企業との連携といったようなキーワードから高校教育の目標を考えていくという視点が必要なのではなかろうかと。先ほど出ましたデュアルシステムであるとか、あるいはキャリア形成教育などもそのような観点から連携というキーワードが浮上してくるのではなかろうかと思います。
 それから、3つ目のキーワードが、これは直接的には目標設定とは関係ありませんけれども、私は社会の活力の維持といいましょうか、あるいは持続可能な社会といいましょうか、少子高齢化の中でますます少なくなっていく子どもの一人一人のポテンシャルを高めていく以外に、社会の活力の維持というのははかれないという側面から、もっとこの辺のところで考える必要があるだろうと思います。
 もう1つ言えば、中退率の関係も今、2.1か2.0パーセントですけれども、アメリカなどに比べれば、よくこの程度にとどめているという言い方もできます。けれどもこれが仮に5パーセント、10パーセントになった場合、社会問題化することは間違いないですし、その解決のために、あるいは対応のためにかかる社会的コスト、財政的コストは、大変なことになってしまうのは間違いない。
 そういったようなことも含めて、持続可能な社会というキーワードを踏まえながら、高校全体のあり方を議論していく必要があるのではないか。

【木村分科会長】
 はい、ありがとうございました。それでは、野村委員、手短にお願いいたします、後3人、いらっしゃいますので。

【野村委員】
 高等学校教育の目標について、端的に言えば、大学、短大進学が50パーセント以上になっている現状から考えると、高等教育を受けられる資質、能力、学力を持つことを、高等学校の教育の目標にすべきである。極めて具体的ですがそういうふうに思います。
 現在高等教育は、科学技術が革新して、国際競争が激化し、社会的要求も非常に高度化している中で、高等教育の質の変化が起こっております。今、東京都の中村教育長が言われましたように、科学・技術の革新に伴い、学習した知識・技術の陳腐化が起こっています。高等学校の教育を考える場合の受け皿として、大学教育はどうあるべきか、ということを具体的に考えていかなければならない。ところが、現状では定員割れが起こっている大学が増えてきています。その中には、高等教育を受けるにふさわしい学力を持っていない者まで受け入れている現状があります。そういうところでは高等教育を実際はしていないし、できないわけです。そういう学力を持っていない者まで受け入れて、高等教育をしていないにもかかわらず、大学であるという、まさに羊頭狗肉の状況が今、多くの大学で起こりつつある。高い学力の者を受け入れている大学でも、受験科目以外の科目の学力は低く、高等教育を受けさせることができないため補習授業をしています。
 そういうことから考えると、大学教育、高等教育の内容について厳しく吟味した上で、高等学校教育の目標を考えていかなければならないのではないか。現実に今大学では、JABEEという工業教育の問題が起こっておりますし、私も関係しました教員の免許制度改革の中で、これからは教員の免許状を乱発するようなことは、答申どおりに実施されれば、それは許せません。このように、現在高等教育が非常に質的に厳しくなってきている。その教育を受け入れられる者だけを入学させる、例えば、ドイツのアビトゥアのように、高等学校はそういう資質を持った者だけを卒業させる、高校教育の課程を卒業したことを認定するという、卒業証書は、そういう資質、能力を持った者であるということを、保証するものにすべきであろうと思います。
 第2は、大学に進学しない場合の、50パーセントの者についても現代の職業生活は高度化しているわけですから、現代の専門的職業人として生きていける資質能力者としての教育が必要です。また、市民生活も高度な消費者能力を持った者でないと、人間として生きられないような状況が起こってきている。家庭人として、家庭生活者として生きる場合も、今、親になれないような低い資質、能力の者でも親になって、幼児虐待などを起こしている。つまり、親になる教育がちゃんとなされていない。97パーセントの者が高校教育を受けるわけで、大人になる教育、親になる教育が高校教育の目標の一つです。
 これは大学に進学した者も同様ですけれども、今、安彦委員がおっしゃったような、観の問題、人間観だとか、社会観だとか、世界観だとか、そういうものを含めて、高等教育を受ける者も、高等学校を卒業して職業生活に入る者も、市民社会の形成者として、家庭生活をする者としての資質、能力を持って、その中で自己の責任を果たしていけるような水準を高等学校教育の中で求めていかなければならないのではないか。それは「新しい時代の義務教育を創造する」という答申の中で、「学力の質の保障と向上」ということがうたわれております。
 義務教育も国家戦略として学力保証をするということから、その前提に立ったときに、高等学校の教育もそういう学力を持った者でなければ卒業させない。あるいは、大学は受け入れない。受け入れたとしても、高等教育をするのでなくては、高等教育を受けた者として卒業させるべきではないと思います。現実は、先ほども申しましたように、高等教育を受けていないにもかかわらず、定員割れを起こしている大学は低学力な者を受け入れて、高等教育としての学力をつけないまま、単位を認定して社会に送り出している。こういうことに対してはその教育機関は無責任だと思うのです。
 高等学校に通学していながら、全く高等学校の学力のついていない者たちのことを考えますと、彼らが日本の社会を構成していくことについて不安であるという前に、あの無学力なまま高等学校を卒業した子どもたちの姿を見たときに、あの子たちの人生はこれからどうなるのだろうかとその将来を考えたときに慄然とします。高等学校の学力保障といういうことを徹底して追求していかなければならないのではないだろうか。現在の問題・ニートの問題とも絡んで、そういうふうに思います。時間が短いので、端的に申し上げました。

【木村分科会長】
 はい、ありがとうございました。それでは、渡久山委員。3人ですか。すみませんが、手短にお願いいたします。

【渡久山委員】
 1つは、現在の学校教育法の42条ですね、目標を書いていますけれども、これにもしもつけ加えるとすれば、小学校にありますように、教科の問題でしょうね。教科の問題を入れるかどうかということが1つだと思います。
 それから、今、東京都からありましたように、高等学校そのものが多様化して、非常に個性的な、特徴のある学校ができてきている。それを肯定して、そういうものにある程度、抽象化したディスクライブするかどうかですね。この辺の問題だと思います。
 ただ、東京都の例を見て、今の現在の高等学校を見ても、私はあまりにも受験のための準備機関になり過ぎていないかと。これは数学教育なんかでも言われているんですね。大学受験のための数学。生活のための数学ではないというような形が起きてきますね。それから、また英語でもそうですよ。この間も、中学の英語でさえ高等学校受験のための英語になりつつあると。そうすると、高等学校の英語もそうなってくる。リスニングが入りましたから、少しビビドなものになるかどうかわかりませんけれども。
 そういうような状況が出てきているということを考えますと、今の小中高校の場合、落ちこぼれ等を含めて、受験が何となく重しになって、これで学校教育が大きくゆがめられている。だから、学習指導要領の問題というよりも、実際に行われている学校での教育というのがそうなっているんではないかという気がいたします。ですから、抜本的にその辺のことを考えていかなければいけない。
 だからこそ、東京都があれだけ多様化して、結局、チャレンジスクールなんかつくって、高等学校で中学の教科を教えざるを得ないというのは、まさに7、5、3という、要するに学習指導要領と到達度の乖離した状況ですね。これを目の前にいる子どもたちには如実にあらわれているということですね。しかし、改革した高等学校では、先ほど中村教育長が言われたように、子どもたちの目が輝いていると。そうすると、本当にどの学校に行っても、この子どもたちの目の輝きが見られるような学校づくりのためのものにしていくということで、目標についてもそういう状況です。実態としてつくっていくということが必要ではないかと思います。

【木村分科会長】
 はい、ありがとうございます。それでは高橋委員、井上委員でおしまいにしたいと思います。

【高橋委員】
 ありがとうございます。中村教育長のお話をお聞きしての感想というようなことになってしまうことについては恐縮でございますけれども、発言をさせていただきました。
 私は、中学校の現職の校長ということで、自省を込めて申し上げるわけですけれども。さまざまな生徒を送り出しているという、またそれを高等学校のほうで受け入れてもらっているということの事実を踏まえて、高等学校教育に共通する目標というようなものはあるんではないかなというようなことを感じてお話をお聞きしておりました。
 例えば、教育基本法の改正案ですね。今、私が手元に置いているのは資料で申しますと、資料4なんですけれども、その第2条、教育の目標のところで、「豊かな情操、道徳心」、そんなことがございました。先ほどの中村教育長のお話の中で、どうしてそういったことがないんだろうかと。平成19年度から奉仕というようなことを加えたいというお話をされていましたが、私はこのことに関する目標というものは何らかの形でお出しするということが必要なことではないかと思ってお聞きしておりました。
 それから、この資料の順番で申し上げれば、私は教育基本法案の中の2とか3に関係することかと思うんですが、このことについてニートの問題も含めて考えますと、自己理解ということが高校生でありながらなかなかできていない。大学でこの自己理解という講座というんでしょうか、そういったところを開いているところもあるやに聞いております。私はこの自己理解があるから自己実現もあるということを高等学校できちんとやっていくということは、目標設定としてもあってよろしいことかなと思ってお聞きをいたしました。
 それから、教育基本法案の5ですね。3ページになるんですが。そこに「伝統と文化云々」。締めくくりの言葉が「国際社会の平和と発展に寄与する」、こうなっているわけですが。先ほどの教育長のお話の中にも、伝統と文化といった科目を設けたいんだといったようなお話がありました。私はやっぱり高校においてもそういったことは必要ですし、そういうことを踏まえた上での国際社会におけるありようとの関係ですね。そんなことも目標として必要なんではないかなと思っておりました。
 それから、もう1つ。4ページのほうに学校教育第6条の2項ですね。そこに「学校生活を営む上で必要な規律を重んじる」。あるいは「学習に取り組む意欲を高めることを重視している」。こういったことを受ける目標も必要ではないかなと思ってお聞きしたところでございます。
 そんなところをちょっと感想ということではなはだ恐縮なんでございますが、お話をさせていただきました。ありがとうございました。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。それでは、井上委員、最後によろしくお願いします。

【井上委員】
 今日は東京都からの具体的な高等学校の改革計画。特に、生徒のニーズを踏まえた改革の方向というのは高等学校教育を考える上で、大変参考になったと思うわけでございますが、そこで高等学校の役割について申し上げたいと思います。
 高等学校への進学率が97パーセントとなっておりますし、先ほど東京都からご説明があったように、高等学校のあり方が多様になっているとは申せ、高等学校には義務教育の基礎をまず定着させて、さらにこれを発展させ、生徒が社会に参画し、自立して生きていけるだけの能力を養うことが求められていると思うわけでございます。
 また、39回の議論でもございましたが、高等普通教育とは何かということの議論がございました。高等学校はやはり生徒が自らのあり方とか、あるいは生き方を深く考えて、将来の進路を選択、決定するという教育段階でありまして、高等学校には大学等での専門の教育に入っていく前の一般的な共通の教育という意味での普通教育を行う役割があると考えられるわけです。
 そこで、高等学校の目標についてですが、現在、継続審議となっております教育基本法案の第2条において、5つの教育目標が掲げられておりまして、高等学校の目標について規定を充実する場合にもこのことについては参考にすべきではないかと考えています。
 具体的に、現在の学校教育法42条の高等学校の目標の規定について、そのあり方を考えた場合に、教育基本法第2条に掲げられている5つの教育目標を義務教育と高等学校教育に書き分けるのは非常に難しいわけですので、5つの教育目標を義務教育の目標に盛り込むものであれば、高等学校については同じことをすべて書くのではなくて、義務教育全体を踏まえて、高等学校教育を行う形になっていればよいのではないかと考えております。
 また、高等学校のあり方、あるいは高等学校が非常に多様となっているということから、教育内容も多様になっているわけでございますから、先ほど渡久山委員からもご意見が出たんですが、現行の小学校の目標のように、教科すべてを列挙する形は高等学校については法律の規定としては細かくなり過ぎると思いますので、そういう意味では現行の規定を踏まえて、まとめて規定したほうがよいのではないかと考えております。
 以上です。

【木村分科会長】
 はい、ありがとうございました。それでは、時間が少し過ぎましたが、本日の議論は以上としたいと思いますが、私のほうから一言だけ申し上げたいと思います。他の道府県の教育委員会の実情は必ずしも私、存じ上げているわけではないのですが、東京都の場合は教育委員会と教育庁とで極めて激しいやりとりをすることがあります。教育庁から出てきた原案を教育委員会が抜本的に修正してしまうというようなこともしょっちゅうあります。
 月に2回、原則として2時間でありますけれども、2時間で済まずにもっと長くなることもありますし、そのほかに集中審議と称して、1年間に4回午後一杯を使ってまでかけて、重要な議題について徹底的に議論致します。私、教育委員長をお引き受けして2年目ですが、教育委員会が非常に機能しているという感じを持っております。
 それから、もう1つ、さきほど安彦委員から42条の関係でご指摘がございました。私、教育委員になってまだ2年ですので、過去の経緯はわからないですが、印象として中央教育審議会の答申を咀嚼して、答申を少しでも教育行政に活かそうということを考えているなという印象をもっております。委員もそういう意識を持っております。
 例えば、資料10-1の2ページの4つの項目ですね。これはまさしく中央教育審議会がずっと言ってきたことをそのままかみ砕いて東京都なりにやっていこうという意志の現れだと思います。
 もう1つ、加藤委員がおっしゃったことで、高等学校側で社会に送り出す準備をして出せという話なんですが、私はこの点は企業にも相当問題があると思っています。前にここで申し上げたかもしれませんが、我が国の高等専門学校は国際的にも高く評価されています。、先日来日しましたOECDの高等教育のレビュアーも激賞して帰りました。私も高等専門学校の卒業生は日本のエンジニアリング、技術の世界で非常に機能していると思っています。にもかかわらず、社会的なステータスがものすごく低い。企業が高い地位を与えない。そのためか、最近高等専門学校に入ってくる若者のクオリティが下がってきている。その辺は日本の企業の責任だと思います。
 寺島実郎さんが中教審で、我が国の高等教育の世界は随分多様化しているが、それを受け取る企業の世界は全然多様化していないという指摘をされました。私も全くその通りだと思います。どんどん労働を平準化して、若者に希望をなくさせているのではないかという気がします。この辺の問題は企業と一体になって考えていかなければいけないのではないか思います。
 今日は話題が東京都中心になりましたが、ご質問の中に相当、高等学校の目標についてのご発言もありましたので、それはそれで良かったのではないかと思います。本日の議論は以上とさせていただきたいと思います。
 事務局、次回以降の予定につきましてよろしくお願いいたします。

【猪股教育制度改革室長補佐】
 次回の日程につきましては、資料11にありますように、9月21日(木曜日)、午前10時から幼稚園の目標などについてご審議いただく予定でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【木村分科会長】
 毎回、話題が小学校から中学校、中学校から高等学校、高等学校から幼稚園と日がわりになりますが、よろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。

─了─

お問合せ先

初等中等教育局教育課程課教育制度改革室

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-- 登録:平成21年以前 --