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初等中等教育分科会(第39回) 議事録

1.日時

平成18年4月25日(火曜日) 13時~15時

2.場所

如水会館 2階 「スターホール」

3.議題

  1. 教育基本法案(骨子)について
  2. 今後の初等中等教育の在り方について
  3. 歳出改革について
  4. その他

4.出席者

委員

 木村分科会長、梶田副分科会長、安彦委員、衛藤委員、加藤委員、中村委員、野依委員、市川委員、井上委員、大橋委員、甲田委員、高倉委員、田村委員、渡久山委員、永井委員、西嶋委員、野村委員、北條委員、横須賀委員

文部科学省

 近藤文部科学審議官、樋口政策評価審議官、坂東官房審議官、山中初等中等教育局担当審議官、前川初等中等教育企画課長、藤原財務課長、藤原企画官、その他関係官

オブザーバー

(国立教育政策研究所)
 尾山国立教育政策研究所次長

5.議事録

【木村分科会長】
 それでは、説明をしていただく方がお着きになりましたので、少し遅くなりましたが開催をさせていただきます。第39回の初等中等教育分科会でございます。よろしくお願いいたします。
 去る2月に開催いたしました37回のこの分科会におきまして、当面の検討課題として4つの事項を確認し、前回の会議におきまして、学校外の教育施設での学修を就学義務の履行とみなすことのできる仕組み等について、審議を始めたところであります。しかしながらご承知のとおり、教育基本法改正の動きが具現化してまいりましたので、本分科会の審議予定を変更させていただいて、すべての検討課題の根幹であります教育基本法改正関係について本日はご議論をお願いしたいと思っております。したがいまして、前回からの審議案件でございます就学義務の弾力化につきましては、次回以降に延期させていただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

【木村分科会長】
 それでは、そのように進めさせていただきます。
 本日は3点の議題を設けております。まず、去る13日、与党教育基本法改正に関する協議会からの最終報告が政府に対して報告され、それを受けて、教育基本法案(骨子)が示されておりますので、その内容について、ご報告をお願いをいたします。次に、教育基本法の改正に関係する課題として、今後の初等中等教育の在り方について説明をお願いをいたします。最後に、歳出改革について説明をお願いいたしますが、本日は主として議題の2番目、今後の初等中等教育の在り方について、ご議論を賜りたいと存じます。よろしくお願いいたします。
 それでは、まず議題の1、教育基本法案(骨子)につきまして、藤原企画官からご説明をお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【藤原企画官】
 それでは、失礼いたします。先ほど遅れてまいりまして、まことに失礼をいたしました。それでは早速でございますが、資料の2をご覧いただきたいと存じます。皆様、報道等でもご承知のとおり、4月13日に与党の最終報告の取りまとめというのが行われたわけでございます。そして、それを踏まえまして、お手元のような形で政府提案としてこの法案を国会に提出すべく、教育基本法(骨子)というものが取りまとめられている状況でございます。
 簡単にこの内容についてご説明を申し上げます。お手元の資料の2番が新旧の対照というような形になってございますので、こちらの表をご覧になりながら聞いていただきたいと存じます。まず、前文でございますけれども、「我々日本国民は」という形で書き出してございますけれども、おおむね現行の前文とそう大きな相違はないわけでございますけれども、概念といたしましては、例えば棒線を引いてございます「公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備えた」といったふうな事柄でありますとか、「伝統の継承」あるいは「未来を切り拓く」と、そういった文言が追加になっているということでございます。
 また、第1章、教育の目的及び理念でございますけれども、その第1が教育の目的でございます。現行法にある基本的な条文を生かしながら、例えば「真理と正義を愛し」といった文言は、これは前文に入っておりますし、あるいは「勤労と責任を重んじ」といったふうな文言につきましては、これは第2の教育の目標で整理をしているというふうなことで、そう大きな変更はございません。
 それから、第2が教育の目標でございます。従前の規定では教育の方針という形で大まかな方針を書いているにとどまっていたわけでございますけれども、これを具体的に教育の目標として、1から5まで列記をしているわけでございます。1つ目が、「幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと」ということで、知徳体、そのバランスのとれた人間の育成という理念をうたったものでございます。それから第2項が、「個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養うとともに、職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと」ということで、これは専ら個々人の個に関する規定というふうなことでございます。また第3項が、「正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと」ということで、これは個人と社会との関係を規定したものということでございます。それから第4項が、「生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと」ということで、生命、自然との関係でございます。それから第5項が、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」ということで、1から5までを規定しているわけでございます。
 それから次のページが、第3、生涯学習の理念でございます。これは新たに新設をしたものでございます。「国民一人一人が自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、その生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図られなければならない」ということでございます。
 それから、第4が教育の機会均等でございます。第1項と第3項は現行の規定とほとんど同じでございますが、第2項が新設でございまして、障害者の関係の規定でございます。「国及び地方公共団体は、障害のある者が、その障害の状態に応じ、十分な教育を受けられるよう、教育上必要な支援を講じなければならないこと」、そういう規定を設けております。
 それから次のページ、第4ページでございますけれども、第2章、教育の実施に関する基本でございます。第5、義務教育ということで、「国民は、その保護する子に、別に法律で定めるところにより、普通教育を受けさせる義務を負う」ということで、現行の規定では9年の普通教育というふうに年限が明記されておったわけでございますけれども、改正案におきましては、今後、将来的な義務教育年限の延長といったことも視野に入れて、それは下位法令にゆだねるという形で、9年というのを削除しておるわけでございます。
 それから、第2項が新設でございますが、「義務教育として行われる普通教育は、各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培い、また、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うことを目的として行われるものとすること」という義務教育の目的規定でございます。
 それから第3項、こちらも新設でございますが、「国及び地方公共団体は、義務教育の機会を保障し、その水準を確保するため、適切な役割分担及び相互の協力の下、その実施に責任を負うこと」ということで、国と地方公共団体の責任を明記したということでございます。
 それから、授業料の不徴収規定、これは同様でございます。
 それから、現行規定の第5条、男女共学、この規定は削除をしております。男女の平等という文言自体は、先ほどの目標のところにも書いておるわけでございます。
 それから、第6が学校教育でございます。第1項は現行規定とほぼ同様でございますが、第2項が新設でございます。「前項の学校においては、教育の目標が達成されるよう、教育を受ける者の心身の発達に応じて、体系的な教育が組織的に行われなければならないこと。この場合において、教育を受ける者が、学校生活を営む上で必要な規律を重んずるとともに、自ら進んで学習に取り組む意欲を高めることを重視して行われなければならない」ということで、学校教育の組織的な実施、それから規律と学ぶ意欲の重視といったふうな規定が新設をされておるわけでございます。
 それから、続きまして第7が大学でございます。これはこのたび新設をされた規定でございます。「大学は、学術の中心として、高い教養と専門的能力を培うとともに、深く真理を探究して新たな知見を創造し、これらの成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとすること。大学については、自主性、自律性その他の大学における教育及び研究の特性が尊重されなければならないこと」。
 それから、第8が私立学校でございます。こちらも新設の規定でございます。「私立学校の有する公の性質及び学校教育において果たす重要な役割にかんがみ、国及び地方公共団体は、その自主性を尊重しつつ、助成その他の適当な方法によって私立学校教育の振興に努めなければならないこと」。
 それから、第9が教員でございます。こちらは現行規定を一部改正をしてございます。「法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならないこと。前項の教員については、その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるとともに、養成と研修の充実が図られなければならない」ということが規定をされております。
 続きまして6ページ、こちらが第10、家庭教育でございます。こちらも新設でございます。「父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとすること。国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならないこと」ということでございます。
 それから、第11が幼児期の教育でございます。こちらも新設の規定でございます。「幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであることにかんがみ、国及び地方公共団体は、幼児の健やかな成長に資する良好な環境の整備その他適当な方法によって、その振興に努めなければならないこと」ということでございます。
 それから、社会教育はほぼ同様の規定でございます。
 続きまして7ページが、第13、新設の規定で、学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力でございます。「学校、家庭及び地域住民その他の関係者は、教育におけるそれぞれの役割と責任を自覚するとともに、相互の連携及び協力に努めるものとすること」。
 それから、政治教育は現在と同様の規定でございます。
 それから、第15が宗教教育でございまして、宗教に関する一般的な教養と、その尊重というのが新たに追加をされたという点が変更点でございます。
 続きまして8ページが、教育行政でございます。第16、教育行政、「教育は不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならないこと」ということで、現行の規定を一部生かしながら、現行の規定の「国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである」といった規定が削除されております。また、第2項の「教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない」といった規定も、この中からは削除されているということでございます。
 一方、2項、3項、4項が新設でございまして、「国は、全国的な教育の機会均等と教育水準の維持向上を図るため、教育に関する施策を総合的に策定し、実施しなければならないこと」、第3項が、「地方公共団体は、その地域における教育の振興を図るため、その実情に応じた教育に関する施策を策定し、実施しなければならないこと」、第4項が、「国及び地方公共団体は、教育が円滑かつ継続的に実施されるよう、必要な財政上の措置を講じなければならないこと」ということでございます。
 それから最後のページ、9ページ、こちらが第17、教育振興基本計画でございます。「政府は、教育の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、教育の振興に関する施策についての基本的な方針及び講ずべき施策その他必要な事項について、基本的な計画を定め、これを国会に報告するとともに、公表しなければならないこと。地方公共団体は、前項の計画を参酌し、その地域の実情に応じ、当該地方公共団体における教育の振興のための施策に関する基本的な計画を定めるよう努めなければならないこと」、こういった条項になっておるところでございます。
 説明は以上でございます。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。あまりこれについては時間をとっておりませんけれども、特にご発言の希望がございますれば、いただきたいと思います。よろしゅうございますか。どうぞ、渡久山委員。

【渡久山委員】
 これは、1つはこの要綱といいますか、それを使って、実際は法文化を政府で文科省を中心にしてなさると思いますから、そういうことを前提にして質問なり意見をちょっと申し上げたいと思いますが、1つは、これは義務教育があるかと思ったら、学校教育があるんです。学校教育というのは義務教育もフォローして全部出てくるはずなんだけれども、その辺に整合性なり、なぜそういうようにわざわざ義務教育と学校教育を分けたかというのが1つの問題です。
 同時に、義務教育は現行規定では9年という修養年限が出ていますよね。これは出ていない。先ほどの企画官の話では、将来延長もあり得ると言ったけれども、果たして延長があるという保障がどこにあるのか、これは全くわからないんです。同時に法律が出ていたらいいんですよ。出ていないものですから、わからない。ですから、それは非常に荒っぽいんじゃないかと思います。私は義務教育は9年以上であっていいという考え方を持っているんですけれども、なぜ今回は削除する積極的な意味があるのか、これが僕はわからない。
 それからもう1つ、この学校教育でフォローしているんですけれども、大学とか、あるいは幼児教育については書いてあるんです。しかし、高等学校の教育についてはないんです。これは学校教育の中に入るのかと思うんだけれども、学校教育に入れるというわけでも、ほかのところは全部学校教育ですから、その辺が非常にあいまいになっていますよね。だからこの辺はどういうような考え方か。
 それから最後に、その振興計画を含めてあるんですが、やっぱり財政的な裏打ちをきちっとしておかないと、例えば教育基本法のときにも、教育振興基本計画をつくったんですけれども、あれも全く財政措置はないんです。ですから、それであってはやっぱり日本の教育はよくなっていかないという、あるいは財政保障がないのではいけないという感じがしますので、そういうことについてもちょっと教えていただきたいし。
 以上です。

【木村分科会長】
 事務局が答えるのが適当かどうかわかりませんが、どうぞ。

【藤原企画官】
 それでは、簡単にお答え申し上げます。1点目の学校教育と義務教育等の関係でございますけれども、基本的な考え方といたしましては、義務教育はこれは憲法に規定をされた国民の権利であり、義務であるわけでございますので、その重要性にかんがみて特段の規定を置いたということでございます。そして学校教育の中には、当然、高等学校も含めて、小中高等学校等のいわゆる学校教育法の1条校が含まれているというふうに理解をされるわけでございます。
 そして、高等学校はなぜないのかという説明につきましては、これは、要するに、義務教育については特出しをしておるわけでございますけれども、基本的に各学校種をこの教育基本法には特出しをして規定をしていないというのが整理だと伺っておるわけでございます。すなわち、幼児教育というのは、これは幼児期の教育のことであって、必ずしも幼稚園における教育のことを言っているわけではないと、そのことだけではないということでございまして、例えば小中学校という規定について特段の定めがないと、その中で高等学校の規定も特段の定めが置かれていない、ただ、1点だけ、大学だけは国際的な通用性でありますとか、教育と研究の一体的な実施、そういった観点などから、特別の学校種についての規定を置いていると、そういう整理であるということでご理解をいただきたいと思います。
 それから、9年がなくなったことについてということでございますが、これは議論がございました。しかしながら、最終的には現行の学校教育法、ずばり9年という数字はないわけでございますけれども、6歳から15歳まで、小学校あるいは中学校への就学義務が具体的に規定をされておりまして、その規定で担保されておるというのが法政的な整理ということで現在は整理がなされておるということでございます。
 それから、最後の振興基本計画、ここに財政的なものが必要だというご意見は、全くもっともなご意見だと思います。これはまだ全く検討はこれからということでございますけれども、そういった点も踏まえて検討してまいりたいと、こう考えている次第でございます。
 以上でございます。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。高倉委員。

【高倉委員】
 細かいところで大変申しわけございません。お教えいただければと思います。5ページの第9、教員のところでございますが、研究と修養に努めという、研究と修養というのが、世間一般にはそれを短縮して研修だと、こういうふうによく使っているようでございます。その後段に、養成と研修の充実という表現になっておりますが、研究と修養というワードと研修というワードは中身が同じなのか、あるいはかなり違うコンセプトなのか、そのあたりはいかがでございましょうか。

【藤原企画官】
 ちょっと明確にはお答えしづらいところなのでございますが、おそらく研修というのはある程度、後段の研修は、そういった機会を養成をする側がきちんと設けなければならないという観点で書いておりますし、前段は、まさしく自主的に自ら研究するとともに修養するということでございますので、おのずからその語義は若干隔たりがあるということだと思います。それ以上のご説明はちょっと今の段階では。恐縮でございます。

【高倉委員】
 ありがとうございました。

【木村分科会長】
 安彦委員、何かありますか。いいですか。どうぞ。

【安彦委員】
 これは言葉の問題を1つ。前文にも伝統がありますが、目標のところも伝統が出てきますが、この点、実は私は地方議会などの様子を見ていますと、伝統という言葉がある意味では簡単に使われておりまして、日本の伝統であれば何でももう正しいみたいな前提になっておりまして、そういう意味では、私の若いころというのは、日本にも望ましい伝統と乗り越えるべき伝統があるのだと言われました。ところが、伝統という言葉が今では地方議会なんかで絶対視されて、日本の伝統になじまないとかといってすぱっと切られることがあるんですけれども、そういう意味での議論が伝統という言葉についてあったのかどうか、それが1点、それから、私は前から現行の基本法に対しても疑問があったんですけれども、それは7ページになりますが、政治教育と宗教教育です。この2項については、現行の基本法でも、本来は戦前の反省に立って、いわば大原則として打ち出したはずなんです。ですから、これが後ろのほうに置かれているという、条文自体が後ろのほうに取ってつけたように置かれていることについては大変疑問がありました。そういう意味では、目的・目標の後、あるいは今回、生涯学習の理念が入りましたから、これも目的ですが、第4の機会均等以降というのはむしろ方策なわけです。方策の前に、いわば内容を決める大原則として、政治教育や宗教教育の規定というのがある、内容的な性格としてはあるわけです。そういう意味では、この条文がやはり現行のように後ろに置かれたこと、あるいは位置づけそのものに対して何か議論があったのかどうか。
 以上です。

【藤原企画官】
 伝統と文化につきましては、ご承知かと思いますが、中央教育審議会の答申におきましても、伝統文化を明記すべきという答申をいただいておるところでございます。
 それから、宗教教育、政治教育の位置についてはどういったご議論があったかというのは、恐縮ですがちょっとつまびらかにすることができないのでございますけれども、一般的な目標、それから各学校段階、あるいは教員とかの一般的な規定に続けて、そういった政治教育、宗教教育については最後のところで1つの特別に配慮すべき事項というような観点でここに置かれているものであろうと理解をしているところでございます。

【梶田副分科会長】
 この案は、この中教審がもう3年前に、平成14年3月扱いで、「新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画の在り方について」ということで答申を出したわけです。その前に1年間、基本問題部会をつくって、かなり論議して、それを関連の分科会や部会でまた議論してということで最終的にこういうのができました。ですから私は、これはもう質問ということではなくて、コメントといいますか、感想を一言申し上げたいと思うんですが、その中へ結局、ご承知のように、基本法の問題というのは戦後60年、政治的な問題になってきたわけです。もう中教審としては、政治的に発言するということではなくて、教育的にあくまでもいろいろな、前向きにといいますか、これからの教育の在り方をきちっと方向づけるために、基本法をやはりここでこういう形で一度見直したほうがいいだろうということでこの答申を出したという記憶を持っております。政治的なものではないという。しかし現実には、それから3年間、与党の間で協議を続けてこられた。ご存じのように、与党で中心になって、特に自民党で中心になってこられた方々が郵政国会、選挙でかわられまして、またいろいろな仕切り直しがあったりして、やっとここに来たと私は見ております。やっとここまで来た。で、私たちがここでやはり注目していかなきゃいけないのは、中教審で議論してきたことがここにどういう形で反映されているだろうかということだろうと思うんです。1つは、この答申に書いてありますけれども、やはり理念そのものの根幹は大事にしていこうということです。今の教育基本法の理念そのものは大事にしていこうと。これは私はあると思っております。ただし、それから60年たって、基本法で想定した教育の具体ということと、現在の教育の具体がかなり違っていると。当時は大学のことも考えていないし、生涯学習のことも考えていないし等々とあるわけです。それを今度新設ということで随分入れてあると、これも私はいいことだなと思います。
 そして最後に、これは実は教育改革国民会議で田村先生が非常に強く主張された教育振興基本計画、私もこれはどうしても必要で、振興計画というのは財政的な裏打ちのある話ですよね。これは木村先生が科学技術振興基本計画をつくる上で非常にご苦労なさったわけですけれども、これは結局は単年度予算を超えたお金の枠をきちっとつくるという点で画期的だったと私は思っておりますが、それの学校教育版といいますか、教育版を教育振興基本計画でつくろうということで、田村先生も、木村先生も、国民会議のときも基本問題部会のときも非常におっしゃってきた。これが根拠法としてこの教育基本法の原案に入っているということは、非常に大事なことだろうと思います。1年1年、この前の義務教育特別部会みたいに、お金の問題でもう一喜一憂せんといかんわけです。ああいうことをやっていたのでは、教育論はできないわけです。財政的なある程度の見通しがあった上で、どういう教育をするかということをやらなきゃ、ないそでは振れなくなってしまう。したがって、教育振興基本計画は極めて重要な意味を持つわけですが、これが3年前の中教審答申で言われたように、きちっと位置づいている。これもとても大事なことだなと思います。与党の協議の中で、これは政治的な面があるわけですから、多分それを事務局として支えられて、私は文部科学省の担当の方が随分ご苦労なさったと思いますが、結果として、非常に中教審で議論してきたこと、あるいはそこで大事だなと確認してきたことが、細かいことを言えばまだまだ十分でないという議論はあるとは思いますけれども、私はきちっと一応は表現されたと見ておりまして、もちろん渡久山先生がご指摘の幾つかの点は、これが実際の法案になってくるときに、何かの形で事務局からまたしかるべき筋へおっしゃっていただければありがたいとは思いますが、根幹としては、中教審で議論してきたことがこういう形で一応のルートに乗ってきた、軌道に乗ってきたということは喜ぶべきことだと、そういうふうに思っております。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。それでは、時間がありませんので、ここで切らせていただきますが、ただ今のご議論のポイントのいくつかは2番目の検討課題の中でも出てまいりますので、そこでお伺いをしたいと思います。
 それでは、大変恐縮でありますが、議題1につきましてはここで切らせていただきまして、議題の2、「今後の初等中等教育の在り方について」藤原企画官から資料を使って説明をいただきます。よろしくお願いいたします。

【藤原企画官】
 それでは、引き続きましてご説明を申し上げます。お手元の資料3をご覧いただきたいと思います。「今後の初等中等教育の在り方について」ということでタイトルをしてございますが、今回の基本法の改正案、これを踏まえますと、今後の初等中等教育について、その在り方を議論していくことが必要と考えておるわけでございます。とりわけ教育基本法に目的・目標規定がこういった形で設けられるという中で、義務教育の目的・目標はどうあるべきか、それからまた、最近あまり議論をされておりませんでした高等学校の位置づけ、これをどう考えるか、先ほどもなぜ教育基本法に高校の項目がないのかというご質問がございましたけれども、そういったことも1つのきっかけといたしまして、実は自民党の中で高等学校教育小委員会というのが設けられて、そういった問題も含めて議論が行われているような状況でございます。そういうことも踏まえまして、ぜひ本日のこの場で今後の高校教育の在り方、そういった問題についてもご議論をいただければと、こう思っておるところでございます。
 お手元の資料4でございます。こちらは現在の学校教育におきます各学校種の目的・目標規定を抜粋したものでございます。若干かいつまんでご説明をいたしますと、小学校につきましては、「小学校は、心身の発達に応じて、初等普通教育を施すことを目的とする」ということを書いておりまして、続いて第18条で、その目標を各号列記で書いております。「前条の目的を実現するために、次の各号に掲げる目標の達成に務めなければならない」ということで、1から8まで具体の目標を掲げてあるわけでございます。
 一方、中学校につきましては、「中学校は、小学校における教育の基礎の上に、心身の発達に応じて、中等普通教育を施すことを目的とする」という規定になっております。そして、具体的には1号から3号まで掲げてあるわけでございますけれども、従前より小学校に比べて中学校の規定振りが非常に薄いと、義務教育トータルで考えた場合に、一体何を目指すのかというふうな議論がなされているわけでございます。
 それから、次のページは高等学校の目的・目標が書いてございます。高等学校につきましては、「中学校における教育の基礎の上に、心身の発達に応じて、高等普通教育及び専門教育を施すことを目的とする」というふうに目的を書いておりまして、それに続けて、目標規定が1から3まで掲げられておるということでございます。
 そのほか中等教育学校、盲・聾、養護学校、それから幼稚園の目的を資料では掲載をしております。
 そういう状況でございますが、その中で義務教育の目標、それから高等学校の位置づけ、在り方ということを考えていく必要があるということでございますけれども、若干資料がなくて恐縮でございますが、自民党の議論を1つご紹介申し上げますと、先日の委員会で配付された骨子というのがございますのですけれども、そこでは次のような5つを今後の高等学校教育の目指すべき方向ということで記載をしてあったわけでございます。1つ目が義務教育の成果の確実な定着とその発展、拡充、それから2つ目が、社会の形成に主体的に参画する態度、3つ目が自立した社会人として必要な能力の育成、進路の決定、それから4つ目が職業生活に必要な知識、技能、それから5つ目は大学教育を受けるに当たっての基礎となる知識や教養といったふうなことなどを列記して、キャリア教育が特に重要なんじゃないかというふうなことなどが言われておるわけでございます。
 それからまた、基本法の検討の中でございますけれども、普通教育の概念とは何だろうかということが議論をされておったところがございます。普通教育というのは、一般的に専門教育に対置される概念でございまして、国民に共通して必要とされる一般的、基礎的な教育をいうわけでございますけれども、そうした普通教育というのは義務教育段階で修了すると考えるべきなのか、そうでないのか、高等学校も含めて考えるべきかどうかといったふうなことなども1つの論点になっておるという状況があるわけでございます。
 それから、続きまして資料5でございます。こちらでは中教審のこれまでの答申など、関連するものを抜粋してまとめてあるものでございます。この初等中等教育分科会におきましても、昨年の1月に審議のまとめをおまとめいただいているわけでございますけれども、その中で、義務教育につきましてはある程度目的・目標についてまとまった議論をいただいているわけでございます。この資料5の3ページをご覧いただきたいと思いますけれども、その下のほうでございますけれども、義務教育の目的についてはおおむね2点を中心にとらえることができるというふうになっております。国家・社会の形成者として共通に求められる最低限の基礎的な資質の育成、それから、国民の教育を受ける権利の最小限の社会的保障と、そういった2つの観点があるということでございます。
 それから、続きまして資料の4ページ、(2)で義務教育の目標について、さまざまなご意見がございました。今後の義務教育の目標として具体的に何を求めるべきかということについてでございますけれども、かいつまんでご紹介いたしますと、例えば、最初の1つ目の丸でございますけれども、義務教育では次の点が必要と。日本国民として必要な基礎学力を身につけさせること、公民として必要なルールを身につけさせること、「国家・社会の形成者」としての大人になるために具体的に必要な資質とは何かについて具体的に検討する必要があるといったご意見、それから1つ丸を飛ばしまして、義務教育を通じて、一人前の人間として自立の意識を養うことが必要、あるいは、生涯学習社会における基礎づくりの観点から義務教育をとらえることが必要といったご意見などがあったところでございます。
 それから、同じくその資料の8ページでございますけれども、平成11年の答申がございました。「初等中等教育と高等教育の接続の改善について」ということでございます。この答申では、その抜粋しておりますページで、各学校種段階において、それぞれの目標についてある程度のまとめをしておるわけでございます。例えば、イの小学校教育段階及び中学校教育段階のところでございますけれども、小学校では日常生活に必要な各般の能力を養うことにより、社会生活を営むために必要な資質・能力の基礎を身につけると、あるいは、また中学校では、社会的自立のために必要な資質・能力の育成を図るということが言われております。また、ウの高等学校教育段階につきましては、生徒が自らの在り方、生き方を深く考え、将来の進路を選択し、決定する能力や態度を身につけるとともに、各自の興味・関心、能力・適性、進路等に応じて選択した分野の学習を深める等といったふうなご指摘がなされております。
 それから、その後ろにつけておりますけれども、横のカラー刷りの表がございますが、平成9年の答申、こちらは中高一貫教育を提言した答申でございます。その資料の後ろに横のカラーの表をつけてございますが、その別冊でございます。それから、また、平成3年の答申では、これは総合学科を提言した中教審答申ということでございます。詳しくは省略をさせていただきます。
 それから、続きまして資料の6でございますが、こちらでは高等学校に関連いたします若干のデータを抜粋をしてお配りをしてございます。詳しい説明は省略をさせていただきますが、最初の1枚をはぐっていただいて、高等学校教育の改革ということでございますが、進学率が97パーセントを超えたと、そうした中で、多様化した実態があるということを記載しております。
 それから、次のページが近年の主な制度改正を列記をしております。昭和63年には単位制高校の導入、それから、平成5年にはその単位制高校の全日制への拡大ということがございました。また、平成6年からは総合学科の導入、平成11年からは中高一貫教育の導入等という状況でございます。
 それから、その次のページは高校への進学率の推移ということで、昭和20年代には40パーセントあまりだった高校進学率が、直近のデータでは98パーセント近くに上昇してきておるという状況でございます。
 それから、次のページが高等学校教育制度についてということで、申し上げるまでもございませんが、課程といたしましては、全日制、定時制、通信制の課程があります。学科としては、普通科、専門学科に加えて、総合学科ができておりますというような制度的なものでございます。
 それから、次のページが学科別生徒数の推移ということでございます。直近のデータで、普通科が72.6パーセントを占めております。それから、職業教育を主とする専門学科が20.8パーセント、それから総合学科が徐々に増えてきておりまして、直近では3.8パーセントまで数字的には増えてきたという状況でございます。
 それから1ページ飛ばしていただきまして、高等学校卒業後の進路状況でございます。これは高3修了段階での進路ということでございますけれども、大学・短大などに進学した数値が47パーセント、それから専門学校が19パーセント、就職者が17パーセント、その他が8パーセントというふうな状況になっておるわけでございます。
 それから、次のページがいじめ、校内暴力などでございますけれども、いじめの件数は、ご覧いただけますように、小中高、いずれも大まかには減少傾向にあるわけでございますけれども、高校のいじめの件数は若干増というふうな傾向にあるということでございます。一方、暴力行為でございますけれども、最近ではほぼ横ばい状況が続いておるわけでございますが、高等学校につきましては若干減少傾向という状況でございます。
 それから、次のページが中退・不登校でございます。中退者の割合は、若干これも減少してきているという状況でございます。いっときは10万人を超えた中退者数でございますけれども、直近では8万人足らずというふうな数字になってきております。また、中退率も2.1パーセント、これは私立と公立で分けてございますけれども、私立が2.3パーセント、公立が2.0パーセントの中退率で、合わせますと2.1パーセントの中退率という数字になってございます。また、不登校という数字も最近データをとったわけでございますけれども、1.82パーセントというデータになってございます。
 それから、最後の資料は各学校種における制度の概要ということで、これはご覧いただければと存じます。
 それから、恐縮でございます。お手元の資料の最後のほうに参考資料2と3というものがございます。赤い冊子の上に載っておる、下からめくっていただいたほうが早いのでございますけれども、ございまして、参考資料の2というのは、教育課程部会の高等学校部会で出された意見、それをまとめたものをお配りしております。また、参考資料3では、諸外国の教育目標に関する規定を幾つか抜粋をしてまとめたものでございます。
 ちょっと駆け足で恐縮でございましたが、私からの説明は以上でございます。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。この件については少し時間をとってあります。資料3として、1枚紙にまとめてあります、義務教育の目標と、高等学校の問題、これについてご議論をいただければと思います。義務教育の目標については、先ほどご紹介いただきましたように、教育基本法の骨子案にかなり詳しく書きこまれていますが、高等学校については一切記述がないということもございますので、その辺について、ご意見を賜ればと思います。よろしくお願いいたします。いかがでございましょうか。お願いいたします。

【安彦委員】
 先ほど高校で普通教育が必要なのかどうかというようなことで議論があったと伺いましたけれども、一般的には義務教育が国民の最低の共通教養という趣旨で、普通教育というものを念頭に置いて考えるという。私は高等学校で高等普通教育といっているその高等普通教育とは何かということを考えたときに、これは義務教育じゃありませんから、それじゃ何だというと、これは専門の基礎だと思うんです。専門に入っていく上での基礎教育として、一定の普通教育が要るんだと。目標規定、学校教育法にも少しそういうニュアンスの言葉がありますように、義務教育じゃないわけですから、やはり国民としての最低共通教養という意味ではもうないわけです。しかし、職業に入っていく、あるいは大学へ、さらにレベルの高い専門的な教育に進んでいくという、その上で必要な基礎教育としては、その普通教育が要るんです。すぐに基礎というんじゃなくて、そしてまた国民共通というわけでもなくて、やはり専門に入っていく上である程度の幅のある見方、そして専門の基礎として、ほぼどういう若者にも必要な一般教養というか、それがやっぱり高等普通教育の趣旨だと思います。そういう意味で、私は専門基礎教育という言葉でとらえられるんじゃないかなと思っております。つい義務教育という言葉が共通というばっかりにいってしまいますと、差がなくなってしまうんですけれども、国民の最低共通という、そっちの観点でぐっと義務教育を押さえるならば、そこではっきり非義務の高校の場合は違ってくると、そういうニュアンスで理解しております。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。ほかにございませんでしょうか。どうぞ、渡久山委員。

【渡久山委員】
 1つは、今もありましたけれども、先ほどの資料、高等学校の現状、それを見ますと、やはり中退者、不登校者率は依然として80万、100万ですね。そうすると、やっぱり高等学校が、普通で言うと100校ぐらいなくなっていくわけです。そういう数。ということは、逆にそこから見てみますと、高等学校教育が成功しているかどうかというような問題が非常に問われることだと思うんです。ですから、それはなぜだろうかというようなことがいつも言われるわけですけれども、僕は1つは中高との接続の問題です。これは非常に問題が出ていないかということが1つあるんです。それからもう1つは、今、安彦先生からもございましたけれども、内容の問題です。教育課程の問題が、果たして後期中等教育と言われていて、果たしてどうだろうか。これはアメリカなんかでも非常に中退率が高いですよね。ですから、六十何パーセントぐらいしか卒業しないんじゃないですか。だから、そういうことからいいますと、本当に後期中等教育と見た場合の高等学校教育が成功しているかどうかというのは、世に問われるべきだと思うんです。そういう面で見ますと、先ほどの説明にもありました資料4の中にも、要するに、学校教育法の中にきちっと位置づけられているとはあまり言えないんです。ですから、この際、学校教育法は小学校は非常に詳しく書いていますから、そういうようなことを踏まえて、それぞれの高等学校の目標まできちっと明記するということが必要になってくるんじゃないかと。先ほどの教育基本法、あれは与党案ですから、我々中教審が答申したのは行政官としての文部科学大臣に答申したので、やはり責任は政府がつくるべきですよね。ですから、それと与党との対案がどうなのかと、あれはそのネゴシエーションをすべきでしょうけれども、そういうことで考えてみますと、やっぱりこれは教育行政に第一義的に責任のある文部科学省がきちっとこの辺は整理するべきだと、あるいは、逆に言うと、つくるべきのはつくるべきだと。そういう面で見ますと、今の高等学校も何かというとわりとあいまいになっていますが、ここに高等学校の先生がたくさんいらっしゃいますからこんなことを言ったら失礼になりますが、1つだけ現実的に言えることは、今、説明もありましたように総合学科、これは非常に増えておりまして、成功しています。それが1つです。それから、中高一貫で1つのカリキュラムをつくっていくという、要するに接続の問題です。これは97パーセント高等学校に行っていますから、そうしますと、積極的に僕はこれは高等学校を無試験にして、接続をきちっとしていくと、それから連続的なカリキュラムをつくっていくというようなことも考えていく、その際は小学校も入れて、どういうように学年といいますか、学制を区切っていくか。例えば、安彦先生の論文あたりは4、4、4で区切っていくという、12年を3つに区切って、そういうこともやっぱり学者の研究成果を踏まえて、抜本的な改革ということをしていかなければ、今の高等学校は非常に厳しい、子どもたちも、ですから厳しいし、教育制度としても必ずしも成功しないというような感じがいたします。
 ですから、そしてただ1つだけ言えることは、東京都の実験です。実験というか、実際やられていますね。例えばエンカレッジスクールだとか、あるいはまた幾つかの、それで、そういうような試みで東京都はいいところもあれば、悪いところもあるかもしれませんね。審査で進学校にシフトしているところもあるかと思えば、もう東大を何人が受けたかだけに興味があるような高等学校もつくっていますから、これは僕はあまりいいことではないと思うんだけれども、ただ、本当に中学の課程が十分でない子どもたちに対して、一人一人中学の課程から履修させるように高等学校でしているという、東京都の都立ですね、そういうことについては、僕は非常にこれは大事なことだと思います。そういう意味では、やはり後期中等教育と言わずに、中等教育という形で視野に入れて、中高を見たらどうだろうかと思います。
 以上です。

【木村分科会長】
 どうもありがとうございました。それでは、中村委員。東京都の話が出て、少し悪口も言われましたのでお願いします。

【中村委員】
 今、東京都の話が出ましたので。確かに97パーセントが高校に進学してくるということになりますと、いろいろな子どもを受け入れざるを得ないといいますか、受け入れているということになりますと、中学校で、いわば算数、数学が不得意な子ども、中学校レベルまで達しないような子どもも受け入れているということになりますと、一律的に高校の最低レベルはこうすべきだとかということを決めちゃいますと、現在の高校の3分の1はそれに達していないんじゃないかと、こういう議論になってしまいますので、現在97パーセント進学して高校生がいるということを前提に考えれば、場合によっては中学の補習をせざるを得ないという高校もあるでしょうし、先ほど委員からご意見がありましたように、本当の専門的な、基礎的な、まさに学問的な前提を高校で教えるというところもあってもいいと。我々の立場で言うのもおかしな話ですけれども、97パーセントの中で、落後者あるいは中退者をいかに出さないかということも我々が考えていかないと、社会のセーフティーネットも守られていかないだろうと、こういうことも片隅に置かないと、したがって、高校教育はこうあるべきだ、最低線はこうあるべきだというのは、あまりがちがちに決めてほしくないなというのが私の意見でございます。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。井上委員。

【井上委員】
 高等学校教育につきましては、高等学校への進学率が現在97パーセントということは、高等学校に多様な生徒が進学していて、いわば、義務教育である中学校の延長線上でほとんどの生徒が高等学校で学んでいるという実態をまず考えなければいけないと思うわけです。その場合に、この高等学校の現状の学科別の生徒数の推移を見ましても、50年代までは職業科、現在は専門学科といっておりますが、専門学科が約4割近かったのが、普通科志向が強いために、各県で高校生の減少傾向に応じて、普通科志向で普通科が現在では72.6パーセントまで多く増えてきたという実態があって、平成8年ごろから普通科でも専門学科でも学べるような総合学科ができて、一応の成果を上げているとは思います。
 そういうことを考えますと、今のフリーターとか、ニートとか、そういう問題を考えると、高等学校で普通科で学んで、いわゆる高等普通教育で果たして社会に出て職業に身につけるかというと、そこにギャップがあるんじゃないかと。高等学校の卒業後の進路状況が、高等学校の現状の資料の中にございますが、専門学校にそのうち19パーセントが進学し、就職者が17パーセント、その他が8パーセントというのを見ますと、ある程度高等学校でも専門教育、専門学校はスペシャリストへの道ということで、専門的なそういう技能を身につけるような教育というのが高等学校でも、もっと必要ではないか。こういう実態を考えると、やはり7割近くの高等学校の生徒が、普通科には行っても、実際に就職するとなると、それが高等学校卒業だけじゃ十分社会で活動できないということになると、そういう実際に職業的な、実践的な教育を受ける専門学校等にもう一度行くことになるわけで、そういう点で高等学校の在り方を考えた場合に、普通科が72.6パーセントという割合で果たしていいのかどうか。そういう点は、いじめとか、暴力行為とか、中退者・不登校を通じて、それが普通科とそれ以外の学科、それらがどういう状況にあるかというのを、一度文部科学省でこれを分けてデータを示してもらわないと、実態がどうなっているかというのはちょっとわからないんです。普通科も専門科も総合科もみんな一緒くたの資料では、それでは高等学校教育では本当に何が成功しているのか、そういう点を現状を正確に把握して、その上で高等学校教育を今後どういう方向で持っていくかというのを議論しないと、やはり多様な高等学校の生徒が何を高等学校教育に求めてい、そして、高等学校教育でどういう成果が上がっているかというのが必ずしもはっきりしていないんじゃないかと思いますので、その点のデータも今後ひとつ分析して出していただきたいと思っております。

【木村分科会長】
 今の件、ぜひよろしくお願いします。私も非常に気になったので、田村委員。

【田村委員】
 ありがとうございます。今の議論されているテーマに関して、私見を少し申し上げさせていただきたいと思います。1つは、義務教育ということに対してなんですけれども、先ほどからも意見が出ておりましたが、義務教育というのは全員が同じことをやるという考えからそろそろ抜け出たほうがいいんじゃないかというのが1つございます。だから、その部分はもちろんある程度あってもいいんですけれども、それをやると、子どもの発達段階に応じたレベルというのは、社会の変化とともに変わっていくわけです。何年か、10年とか20年ぐらいの時間を考えてみると、そのころのいわゆる中学生と、中学年代の子どもと、今の同じ年代の子どもというのは、もう明らかに変わっています。これは環境が変わっているからだろうと思います。つまり情報が過多で、いろいろな情報伝達手段が発達して、小さなうちからそういうことをやっている子たちの精神発達というのは、もう明らかにそうでない時代と比べて違っているわけですから、ですからそういう意味では、どんどん子どもがもし変わっていくとすれば、変わっていくという実感があるんですけれども、制度を決めても、いつも後追いになってしまうわけですから、そういうきちっとリジッドな全員が同じようなことをやるという仕組みを前提とした義務教育というのは、かなり無理がどうしても出てくるのではないかと思っているわけです。実際、私の率直な感じで言うと、全員が共通にできるのは、今の年代で言えば中学校1年、2年になると、もうそろそろ無理になるなという、そんな実感があります。
 それじゃ、どうしたらいいのかという話なんですけれども、そのことがあると同時に、高等学校というのがまたあると、それで全員が行くということになっているんです。全員が行くという学校種なんだけれども、試験があるという不思議なことがあるわけです。全員が行くのなら、試験は要らないはずですよね。でも、あるんです。しかも、その試験が、いろいろ多様化してきているけれども、結局いわゆる学力というんでしょうか、知識の量をはかるような試験が、大人数をやる場合にはそうせざるを得ませんから、そういうふうになってきます。そうすると、高等学校の試験というのは、学力の点で、おまえはできる、おまえはできないという区分けをする試験になってしまう。だから、できなくても高校には行けるけれども、しかし、できないんだよというレッテルを張られるという、こういうようなことで高校生活を始めなきゃならない大量の高校生を毎年生み出しているわけです。ですから、そこのところをどう考えるかというのは、やっぱり大人の立場で真剣に考えなきゃいけないと思っているんです。
 で、どうしたらいいかというのは、義務教育を共通である程度全員同じことをやっているということをやめてしまえば、高校入試は多様にせざるを得ないんです。全員やっているのが決まっていると、入試がそういう一番やりやすい学力でやるという話になるわけです。全員学んでいるはずだというから、文句が出ないわけです。学習指導要領。学習指導要領の到達みたいなものを決めるのは大事だと思うんです。税金を使ってやるんですから。だからそれはもう絶対やらなきゃいけないけれども、それも多様なものを許容するという仕組みにしておいていくと、高校入試は多様にならざるを得ないです。そうすると、いろいろ特徴を生かした高校入試というのが生まれてこざるを得ない。ですから、レッテルを張られるということはそこで少し防御できますから、そうすると、高校生として生活を始めるときに、おまえはだめなんだよということを言われちゃって始めるんじゃ、これは十五、六歳の青年にとってはもう屈辱的ですよね。やっぱり自分は何か一かどのものを持っているんだと思いたいわけですから、そういうのを援助してやるという仕組みにやっぱり高校の入試を少し変えていかなきゃいけないんじゃないかと率直に感じております。それは制度的にはそれがうまくいくかどうかはちょっとわからないんですけれども、しかし、それをやらないと、この問題は永久に続くような気がしております。
 以上です。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。ほかにございませんか。どうぞ、加藤委員、それからその後、高倉委員。

【加藤委員】
 私も高校の現状と、今いろいろと皆様のご意見を伺って、初めて考える部分もあるんですが、従来から申し上げてきたこととの関連で言えば、確かに高校は98パーセント近くが中学から高校へ進学をしているわけですけれども、中学から社会に出るというルートもゼロではないし、私は義務教育は基本的には社会人になっていいという、そこまでを前提として考えていくことも必要だろうとかねてから申し上げてきたんですけれども、先ほどご説明の中で、高校の目的のところで、あるいは目標でしたか、自民党が5つの目的ですか、分けて考えておられるということで触発された部分もあるんですけれども、今、このデータを見てみますと、就職者が17パーセントで、専科でももちろんその大学に行く人もいるわけですけれども、そういう意味で少し、今、田村先生からもあったような意見で、多様化をしていっている現状と、それから社会もかなり、何ていいますか、社会の側もニーズが多様化しておりますので、高校自体をそれにマッチをしたように少し幅広く考えていったほうがいいのではないかと。例えば、今、自民党が挙げているこの5つの目的なんですが、これらが1つの高校の中ですべて達成されるということではおそらくないだろうと思います。専ら大学進学を目標とするような高校も、今、現実にはあるわけですし、あるいは専ら就職を目的とする、あるいはその混合型もあるかもしれませんが、そういう意味で、少し今までの分け方、普通科の中ででも就職をする子どもはいるわけですから、そういう意味で少しそれを幅広く考えて、多様に認めていったほうがいいのではないか。いろいろとニートの問題あるいはフリーターでも、その意思を持ってやっておる人もいますから一緒くたにしてはいけないんですけれども、減らして行くにはやっぱり社会に出ていくためのハードルをあまり高くしないで、もう少し社会に出るときのハードルを下げていくということが私は必要だと思っております。そういう意味で、なかなか言い方は難しいんですけれども、今の多様な実態を考えた上で、少し目的を学校ごとに多様にすることを認めてはどうか。いっとき、例えば私なんかが卒業してからの話ですけれども、高校の中で競争率の高い進学率の高い高校を平準化しようというような動きがあって、あれはどこの県も失敗したわけですけれども、それはそういった平均的なところを求めると、高校という中間的な存在はやはりうまくいかないんだということを証明していたような気がするんです。ですから、少しそこは勇気を持って、レベル差も含め多様なものを認めていくということを考えていったほうがいいのではないかと思います。
 以上でございます。

【木村分科会長】
 高倉先生、お願いします。

【高倉委員】
 すいません。昨年1月の初中分科会の審議のまとめの前にまた戻ってしまうようなこと、あるいはまた言葉にこだわるようなことで大変申しわけございませんが、簡潔に発言させていただきます。先ほど普通教育についての概念につきまして、藤原企画官から非常に明確に、専門教育に対置されるコンセプトであるというようなご説明をいただきまして、非常によくわかります。ただ、もう一遍またぶり返しになるかもしれませんが、第1点は、先ほどお配りいただいた資料の5番目の4ページ、つまり昨年の初等中等教育分科会の審議のまとめでございますけれども、それに普通教育という言葉の概念についてもっと詰める必要があると、審議のまとめではそういったことが示されている、これが第1点です。それから第2点は、高等学校の普通教育につきまして、先ほど安彦委員から専門教育の基礎というような意味内容のご発言がございまして、そういうふうに考えていけば、これは普通教育と専門教育を対置するというよりは、むしろ連続性がそこで強調されているのではないかと、そういうように思うわけでございます。それから第3番目に、これはかなり古いころの考え方かもしれませんけれども、普通教育というのは、場合によっては専門教育と対置され、場合によっては職業教育と対置され、場合によっては、かつては特殊教育と対置されるというような時代もあった。もちろん今日、特殊教育から特別支援教育への転換ということが言われておりますので、第3番目の話というのは今日では問題になりませんけれども、いずれにせよ、何と対置して考えるか、非常に考えやすい発想ではございますけれども、その場合に、必ずしも普通教育を専門教育とだけ単純に対置するということではなさそうな気がいたしますので、もちろん藤原企画官もそのあたりは十分内容を含み込んだ上でのご発言だったと思いますが、やはり普通教育という言葉の概念についてもっと詰める必要があるというように昨年の1月に審議の取りまとめをした、このことはやはり生きているのではなかろうかという気がいたします。
 以上でございます。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。どうぞ、野村委員、それから永井委員。

【野村委員】
 少し暴論になるかもしれません。これまでも義務教育について、私は現在平均年齢が80年、人生80年、とにもかくにも人間として生きていくことができる力をつけて、社会に送り出すのが義務教育だということについて、ずっとこの分科会で言い続けてきました。今までの論理は、小学校は心身の発達に応じて、初等普通教育を施すことを目的とする、そして中学校は、小学校における教育の基礎の上に、心身の発達に応じて、中等普通教育を施すことを目的とする、そして高等学校は、中学校における教育の基礎の上に教育を、という発達の論理に立ってできているわけです。そこでひとつその発想を全く逆転させてみてはどうだろうかと思うのです。これが暴論という意味です。発達段階に即した教育を考えないわけではないんですけれども、今の高校の教育を考えてみますと、大学入試のための高校教育であって、それ以外の何ものでもないと言ったほうがいいかもしれません。これも非常に極論ですけれども。大学というところは何をするところなのか、今や大学は専門教育どころか専門基礎教育だ、大学院で初めて専門的職業人としての教育をやるべきだと、言われています。それぐらいに、技術革新の中で、社会の変化に応じて、大学教育が変わってきているわけです。そのような大学教育を十分受けることのできる人間を、大学は入試で判定をして入れるべきです。各大学はこういう教育をするので、これだけの資質・能力を持った人間を大学に入れる、だから、その大学教育に対応できるような教育を高等学校はすべきだという理論です。そうあるべきであるにもかかわらず、現在の大学入試の試験問題は大学の教育内容とは関係なく、選抜のためにやっていてそうなっていないところに問題がある。そういうことでから、高等学校はそのような大学教育を受けるためにこのような教育をやるんだ、だから、中等学校の教育はこういう内容を持った教育をすべきだという発想の転換です。大学入試のための1本の線だけではなしに、多様化も考えるべきですが、発想の転換をして、そこから高等学校教育は何をすべきなのかを問うべきです。今、私は大学だけの話をしましたけれども、大学に行かずに約半数の子どもたちは職業人として社会に出ていくわけです。今、現代の社会はどういう職業人を要求しているのか、それに対して、高等学校の教育は何をやればいいのか、そのためには中学校教育はどうあればよいのかという発想をすべきではないでしょうか。
 例えば、ドイツの大学の場合の、アビトゥアがそうです。アビトゥアはギムナジウム卒業資格であるとともに大学入学資格でアビトゥアを取った者は、大学教育を受ける資質能力のある人間として認められる。大学も卒業判定試験がある。ということは、現代の社会を生きることができる高等教育というのはどうあるべき、それに入るための高校教育はどうあるべきかという理論です。この理論に立って議論を進めてのそれだと思いますから、あえて暴論とは申しましたが、一決して暴論ではないと思います。ドイツのアビトゥアにその例があり、フランスのバカロレアもその理論です。
 高等学校の入学者が94パーセントも行っているけれども、非常に難しい試験に通る子どもたちがいるかと思ったら、全く無学力な子どもたちが、今、いる。低学力どころか、全く学力のない子どもたちも入っている。かつて田村委員委員が、日本がアメリカと戦争をしたのを知らない青年がいて、原子爆弾を落としたのはアメリカであることに驚いた青年がいたという話を田村委員委員が紹介されましたけれども、現代の国際化社会の中で、しかも普通の青年の中は、そういうある面の無学力な青年がいるという問題です。そういうことを見ますと、大学で教育を受けるのに、あるいは職業人として職業生活をするときに、高等学校で何を教育しなければならないのかということを突き詰めていくべきであり、そういうところから高等学校の教育の内容を考え、義務教育の在り方を考えるという論理や1つの方法論も、発想として大事じゃないだろうかと考えます。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。永井委員、どうぞ。

【永井委員】
 皆さんのお話とも少し重複しますが、高等学校というのは、あらゆる学校種の中で最も一くくりに論じることができないほど多様化の極致といいましょうか、学力のレベルも、学生のタイプも、学習意欲や興味関心も様々である。しかしながら、よく考えてみると、高校からの進路を考えると、大まかに言って3つ、つまりより高度なものを求めて大学へ、職業的な能力をつけるために専門学校へ、そしていきなり就職をするという3つのパターンに大別できるわけです。となってくると、ある種、単純化を図るような作業を最低ラインのものとして置くということが必要なのではないか。例えば、言ってみれば、先ほど申し上げましたように、大学、専門学校あるいは就職ということを考えれば、従来からもそうであったと私は理解しているんですけれども、高等学校の目標は、やはり完成市民教育あるいは普通市民教育ではなかろうかと思われます。その意味で、現在の学校教育法の高等学校もしくは中等教育学校の目的にある3つの条文なんかを読んでみますと、単純化すると、完成市民教育と理解できる。ここのところを最低ラインにした上で、より多様化を、さまざまな各学校ごとの多様化を認めていく方向を模索すべきではないかと考えます。
 それからもう1点、これは質問ですが、かつて高校に関連して適格者主義というのが人口に膾炙していた時期があって、その後、たしか各学校ごとの適格者主義というふうに切りかわったという経緯があるんですが、その適格者主義という言葉自体が日本語としてもう既に消滅をしたような感がある。これは教育界もしくは文部科学省内においてはその後どういうことになっているのか、お聞かせいただければ幸いです。
 以上です。

【木村分科会長】
 どなたかお答え……。市川委員、質問ですか。

【市川委員】
 質問です。すみません。

【木村分科会長】
 ちょっと待ってください。

【藤原企画官】
 それでは、ちょっと私の知る限りのことでということで恐縮でございますが、かつてと違って98パーセント近い進学率の中で、適格者主義と言えるのかどうかといえば、確かに疑問な点はあるわけでございますけれども、しかしながら、義務教育との最大の違いは何かというと、行きたい人だけが進学するというのが大原則というところは今もって変わりはないのかなと、こう思っておるわけでございます。それから、それがゆえに、高等学校はそれぞれの高校にある意味適格性を有する方を選抜をして入試をやっているということなのでござましょうから、その大原則自体は変わらないということなのかなと私は理解をしておりますが。

【木村分科会長】
 では市川委員、時間がなくなりましたので、渡久山委員を最後にしたいと思います。

【市川委員】
 日本の高校生が、今は随分いろいろな多様な子どもたちが入ってくるということは事実だと思うんですが、私は、基本的には高校での教育というのは生徒が自分の可能性を探る、あるいは広げるところではないかと思っています。その観点から見たときに、今、2つのことがちょっと私は特に問題ではないかと思っています。1つには、確かに多様な子どもたちがいるわけですけれども、だからそれをすぐに科目選択ということに結びつけてしまいますと、どうも食わず嫌いで、もう物理は受けないとか、もう英語はたくさんだとかということで取らないという子が非常に増えている。私が高校に入ったころから、これはグラフを見ますともう9割をはるかに超えていたんです。でも、高校であれば、一通りの教科、これは文科系に行こうが、理科系に行こうが、相当受けてきて、それがある意味では自分の可能性を探ったり、広めたりすることになった。で、今、早いところではもう高校1年が終わると、2年になるときに理科系、文科系を分けてしまって、もう全く文系の人は理科系的な科目をどんどん捨てていくような現象が起きて、結果的には可能性が非常に狭まっているのではないかと思います。ですから、私はある程度は共通に課していくということは求めていいのではないかと思っています。
 しかし、だからといって、同じレベルを求めるとなってしまうと、これは大きな問題がやはり出てくるだろうと。同じ指導要領で中学までに同じような力がついていることを前提として、同じような教科書を与えて学ぶということになりますと、もうとてもその教科書など使えない、読めないということになる。高校の先生もよくおっしゃるのは、確かに高校に入ったんだから、高校の教科書は持ちたがるわけです。で、持つんだけれども、実際にはまるで使えない、使わない。これはある意味では大きなむだをしていることになると思います。ある程度指導要領の中でもグレード別といいますか、ここはぜひ共通にやってほしいこと、で、プラスアルファ、プラスベータみたいな形で、中身としてはグレードをつけて、教科書もそれに応じたものをという可能性は考えてもいいのではないかと。そのかわり、ある程度広く課していくということが、それからの可能性を広げることにもなるのではないかと思います。
 それからもう1つの問題ですが、高校生というのは、人間力の育成みたいなことを考えますと、もう社会の一歩手前にいるわけですから、社会における職業生活とか、市民生活とか、あるいは学校の教科以外の文化生活というものも、自分がこれからどういうふうに生きていきたいかということに接する場ではないかと思います。ところが、市民団体などに聞いても、高校生がとにかくもう一番出てこないと。部活とか塾で忙しいということもあるんでしょうが、例えば環境問題についてとか、ボランティア活動というようなこともやってほしいと思う、で、力もあるんですが、一番出てこないのが高校生。今、総合が入ってきて、キャリア教育なども随分やられるようになって、これはいいことだと思うんですが、やはりもっと社会人が入ってくる、あるいは自分たちが出ていって社会的な活動をすることを、少し単位としても認めていくようなことで、社会人とかかわるということが学校の内外で増えていって、その中から自分の生き方を模索していくというような機会が増えることが、高校生にとって非常に大事な教育ではないかと思っています。
 以上です。

【木村分科会長】
 ありがとうございます。渡久山委員、お願いします。

【渡久山委員】
 今、高等学校がどんな社会的な位置づけをされているかというと、1つは、例えば会社の入試試験も、高等学校卒業程度となっているんです。それから大学も、高校を卒業しないと大学に入れないと、18歳以上ですね、というふうになっているんです。そうなってくると、進路や、あるいは進学指導の場合、高等学校が基礎資格になっちゃっているのが多いでしょうね。そうであれば、それにこたえた高等学校教育というのが逆にあっていいわけです。今、市川先生が言われたように、例えば大学進学するのに、医学部に入って、入ったけれども、生物は全然取っていなかったというような学生なんかもいて、だから高等学校が多様化していく面もあるけれども、逆に、職業選択あるいは大学での専門教科を取るのに、どの程度から選択されているかというと、中学校段階だというんです。そうすると、中学校段階ではまだ十分な発達とか、あるいは自分の可能性とか能力なんかを十分知らないうちから、もうそういうようにされている。それで、高等学校ではまさに多様化の中でも、1つのコースにはめられていくから、大学で例えば文科系を取る、理科系を取るといったって、もう非常に遅い、あるいは基礎教科が履修されていないということのようですから、そうなってくると、やっぱり高等学校卒業時点で、どういうような社会的な、あるいはどういうような付加があるのかということを十分にこれは検討をしないといけないだろうと思うんです。基礎資格という面では、田村先生が責任者になって、高等学校卒業程度試験という制度をつくりましたね。そういう形で、どうも高等学校が基礎資格になっているということは、今の高等学校教育の在り方の検討にはなっていかないのかなという気がいたします。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。それでは、まだご意見もおありになるかと思いますが、もう1つ議題が残っておりますので、ここで切らせていただきます。皆様方のご議論を伺っておりまして、私が感じましたのは、教育のシステムだけを考えた場合、中学校から高等学校へ進む段階を考えるだけではもうどうにもならなくなっているのではないかということです。さきほど永井委員が、高等学校の卒業者について、大体3つの進路があると言われました。。我々はともすると、その進路を固定して考えがちなんですけれども、そうではなくて、問題はその後ですね。例えば専門高校に行った人も、モチベーションをもてるようになったら大学なり何なりが受け入れる、そういう社会にしないと、この問題は私は片づかないと思います。それが比較的成功しているのはイギリスだと思います。オックスフォード、ケンブリッジは別ですけれども、あとの例えばインペリアルカレッジのような一流の大学でも、一度社会へ出た人をどんどん受け入れている。イギリスでは大学の入学者の年齢が上がっています。そういうことによって英国の高等教育がまずくなったかというと、決してまずくなっていない。非常に社会のダイナミズムが増して、ここ20年近くずっと良い経済状態を保っているのは、そういうシステムを作ったことが大きく寄与しているのではないかと思っています。日本で40歳ぐらいまで先生をして、突然勉強したくなって、日本で探したけれども一流の大学は入れてくれないので、ロンドン大学に願書を出してみたら、入れてくれたという話しもあります。それで学位を取って、向こうで先生をしている。そういう人はたくさんいます。やはりそういう社会にしないと、この問題は片づかないのではないでしょうか。
 やや余計なことを申し上げましたが、それでは3番目の議題、歳出改革について説明をして頂きます。今度は藤原財務課長からお願いし、その後少し質疑をしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【藤原財務課長】
 それでは、私から資料の7、それから資料の8に基づきまして、歳出改革について、最近の状況、動きを中心にご報告を申し上げたいと思います。
 歳出改革の問題につきましては、経済財政諮問会議におきまして、3月までいろいろ議論をしてきた経緯はあるんですが、4月に入りまして、政府から与党、特に自民党に対して、歳出改革についての具体的な案をつくるよう検討が依頼されております。この動きにつきましては、6月の今年の骨太の方針の作成に向けてつながっていくということなので、非常に要注意であるということでございます。
 自民党におきましては、中川政調会長をキャップといたしまして、歳出改革に関するプロジェクトチームを設置いたしております。そのメンバーが本日お配り申し上げております資料の7であります。文科省関係の予算については、このプロジェクトチームの中で、2ページ目なんですが、一般(文科・ODA・防衛)ということで、このチームで検討がなされるという段取りになっております。この一般の主査は河村建夫元文科大臣ということでございまして、文科副大臣あるいは政務官など、関係省庁の関係者を中心にメンバー構成されているということであります。ただし、例えば義務教育国庫負担金の問題につきましては、資料7の1ページの公務員・総人件費の担当のチームなどにも関係してくるということでありまして、いずれにしましても、このプロジェクトチームでの議論の動向が非常に今後のポイントになるということであります。
 このチームは、まず全体会合につきまして、4月13日に開いておりまして、それを受けて、各分野別のグループがそれぞれの議論を開始しているということであります。この文科関係の一般のチームにつきましては、4月14日に第1回会合を開いて、4月20日に第2回会合を開いているということであります。14日の第1回会合では財務省からの説明がありまして、第2回、4月20日の会合では文科省を含めた関係省庁からの説明をしております。
 その際の文科省が扱った説明資料の抜粋を資料8で本日お配り申し上げております。この際、4月20日には、国立大学の問題とか、私学助成の問題とか、文科省全体の歳出改革について官房長から説明をしておりますが、その際、教職員定数、それから給与についても、配付資料のように説明していると。行革推進法案、これは現在国会で審議中でありますが、ご案内のとおり、教職員定数については第55条3項というところで、教職員その他の職員の総数について、子どもの自然減を上回る数の純減をするというための必要な措置を講ずると書いてありますが、この趣旨は、ここに書いてありますとおり、教育条件の悪化をさせることなく、標準法対象の教職員の自然減、これも仕方ないということなんですが、その他の教育関係職員、これは学校の用務員とか給食調理員などですが、そういった者の純減を図ることで総人件費の改革を図ると。
 それから教職員の給与の関係ですが、同じく同法案の56条3項で、人確法の廃止を含めた見直し、その他教職員の給与の在り方について検討を行い、18年度中に結論を得て、20年4月を目途に必要な措置を講ずると。これを受けまして、文科省としては、教員の勤務実態調査等を今年度いたしまして、その結果を踏まえて、教職員給与の在り方等について総合的な検討を行い、18年度、今年度中に文科省としての結論を出した上で、政府与党としての結論も出していくということになるわけであります。
 この配付資料の次のページなんですが、これは4月14日に財務省が説明した資料の中で、義務教育国庫負担金について、児童生徒1人当たりの増加率が平成16年度は平成元年に比べて約8割近い増加をしているというようなことで、いかにも義務教育国庫負担金がどんどん増えているというような主張をしているんですが、これは右側の文科省の分析にありますとおり、およそ教員だけではなくて、一般の公務員、それから民間も給与のベースアップあるいは平均年齢の上昇に伴って、1人当たりの単価というのは42パーセント程度増えているということであります。これはまさにほかの公務員等と同様であると。それから、それ以外の33パーセント分については、これは教職員定数の改善で、まさに少人数指導などを政策的に行ってきたということでありまして、78パーセントの増のうち、政策増が約33パーセントと。ただ、それをやった結果として、右の下のほうにありますとおり、まだまだ教員1人当たりの児童生徒数でもOECD平均にも行っていませんし、アメリカ、フランス、ドイツと比較しても、まだ日本は教育条件は劣っているという状況だという説明をいたしました。
 それから次のページで、やはり財務省の配付資料の中で、教員の給与がいかにも一般公務員より高いと、一般行政職より11パーセントも高いんだというようなことの説明をしていますので、文科省から反論をしているということで、財務省の資料では教員の本給だけの比較なんですが、教員の手取りで、本給と諸手当を含めれば、一般行政職と比較してわずか4パーセントしか教員給与は高くないと。しかも、一般行政職、それから教員の間で平均年齢の違い、それから学歴の構成の違いというものがあるので、それを同一条件で比較すれば、優位性はわずか2パーセントにすぎないと文科省としては試算しているということの説明をしたわけであります。
 当日、4月20日の一般グループの議論に際しましては、文科省の説明を受けて先生方からのご意見が出されましたが、幾つかの議論を紹介いたしますと、例えば、現在の人材確保法、人確法に対する不満があると、要するに、教員の給与を高くしても、いい人材が集まってきていないのではないかと、そういう指摘がありました。また、人件費以外についても、文科省予算全体の中では、教科書無償の制度は廃止してはどうかと、あるいは、私学助成については削減してはどうかと、こういった議論もなされたわけであります。今後、このプロジェクトチームは、各グループでの議論を重ねまして、おそらく5月末、来月中には自民党としての方針を取りまとめて、それを6月の骨太に反映させていくということになると思います。
 ご覧になった方も多いかもしれませんが、先週の週末の日曜日の日経新聞の1面にも、公立小中学校の教員の給与の引き下げについて、政府として、具体的には教員給与の一般職と比較した優遇分について、4パーセント程度を引き下げることを検討する方針を固めたというような報道が日経新聞の1面にあったわけでありますが、そういった報道あるいは財務省の主張、さらには自民党の中での議論、こういった諸般の情勢を踏まえますと、教員の給与水準について、今回の骨太で引き下げるように打ち出すべきではないか、特に人材確保法に基づく優遇措置の廃止、これはすなわち人確法の廃止にもつながるんですが、そういった動きが出てくる可能性が極めて高いと思われるわけであります。
 今後の文科省としての対応でありますが、まず、人確法の意義、それから必要性というものをきちんと関係方面に説明して、理解を求めていくということが当然必要になってくるわけでありますが、他方、現在の教員について、問題教員も含めて一律に優遇しているということに対する批判というのが、特に自民党内を中心に強いということもあるわけなので、めり張りがある教員の給与システムの構築ということがおそらく求められていくと思いまして、そういった観点から、文科省としても何らかの改革案を打ち出す必要性もあるのではないかと感じているところでございます。
 以上でございます。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。ただいまのご説明に対しまして、何かご質問、ご意見はございますでしょうか。どうぞ、加藤委員。

【加藤委員】
 これは大変国民にとっても重要な問題を含んだものだと思いますので、ぜひ文科省として、その水準の問題だけではなくて、特に義務教育特別部会でも苅谷先生が将来の人数の試算等をされて、それがどのようになっていくのかというようなことを明確にされたと思うんですが、そういう、国民の側からすれば、どのような、例えば30人学級の実現の方向に行くんだというようなことが一方で方針として出される中で、人員の削減がこういうふうに打ち出されるということは、一体何を意味しているのかというのは極めてわかりにくいわけです。で、国会での議論がどういうふうに行われていくのかというのは、これもまた非常に不透明なんですけれども、やはり文部科学省として、そこのところをきちんとエビデンスを出しながら議論をしていくべきであろうという、ぜひしていただきたいということが1つございます。
 それから、ちょっと幾つか質問なんですが、1つは給与の水準のことで、40歳以上の教員は一般行政職よりも低いんだということがデータで出ていますけれども、これは一般行政職、これは全部大学卒で補正をしてあるということなんですが、役職が少ないというか、そういうことから来ているのかどうか、ちょっとなぜこうなっているのかというのは教えていただきたいなと思います。
 それから、説明の中で、定員関係で言いますと、教職員の自然減を図るとともに、その他の教育関係職員の純減を図るというようなことが書かれているわけですが、こういうことで教職員の自然減も、いわゆる自然減に任せた場合に、一体、1年後なり2年後なり5年後なり10年後にどういう姿になるのかと、教育関係職員の数と教職員の数の減らし方の関係はどのようになっていくのかという、その辺はおそらく文部科学省側のお考えと政府の考えというのは違うのではないかと思うんですが、その辺も明確にしていく必要があるのではないか、反論をしていくというのか、いずれにしても、きちんとしたデータを示して、という必要があるのではないかと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。

【中村委員】
 関連して。給与の関係についてなんですけれども、一般行政職に比べて40歳以上が高い、あるいは優位性があるという、これはどうも一般国民に対してこういう説明をしても、例えば東京都の島嶼部に行って、島でもって高額所得者というのは教員なんです。村役場の職員は格段に低い。だから、こういう素朴な疑問にどう答えるかということと、それから、これは東京都の場合ですけれども、教員の2級職ですよね、一般教員、一般教員だけをとってみますと、大体45歳以上になりますと、一般行政職の課長補佐よりも給料は高くなる、こういう実態があるわけです。したがって、職位を局長、部長、係長だとか、満遍なくやるとそうかもしれませんけれども、2級職一般教員が一般行政職に比べてどうなんだというふうな数字もとらえておかないと、すぐ反論を食っちゃうんじゃないのかなと、こういう感じがしますので、で、東京都ではその2級職を二分化しようということで、今、調査、検討に入っていますので、また文科省とはいろいろな数字の打ち合わせ等をしないといけないと思いますけれども。
 以上です。

【木村分科会長】
 じゃあ、よろしくお願いします。

【藤原財務課長】
 まず、教員の場合、40歳以上が一般の行政職よりも平均給与が低いという理由でありますが、これは行政職の場合は、1級から10級、11級まで級が分かれておりまして、それで年をとっていくに従って昇進もして、どんどん給与が上がっていくという、全体的に見るとそういうことなんですが、教員の場合ですと、校長、教頭、管理職にならない限りはずっと2級の給与でいくということから、平均値を見ると、こういう形で40歳以上で逆転現象が起きるということであります。
 それから、自然減のお話でありますが、今後5年間で、義務教育の教職員につきましては約9,000人の自然減が出ると。これは子どもの数が減ることに伴いまして、クラスが減っていって、学級担任が減ると、こういうのが主な要因でありますが、約9,000人が今後自然減という形で出てくると。ただ、これは子どもの数が減って、クラスが減ることに伴う担任の数の減などですから、そのまま減らしてもそれは教育条件の悪化にはつながらないと。それから、高等学校について言えば、今後5年間で約1万3,000人の自然減が出ると。したがいまして、公立の小中高等学校全体として見れば、現在、約100万人近くの教職員がいますが、5年間の自然減というのは約2万2,000人という数字になるわけであります。今回の行革推進法では、その自然減ということを図るということですが、それ以上に教職員を減らすということはしないと、それをやってしまうと、教育水準の低下になりますので、それはやらないで、その標準法の対象外の先ほど申し上げました用務員とか、学校給食調理員などの職員、これが全体で約現在10万人おりますが、それをいろいろ民間委託等を図ることで減らして、人件費の抑制を図ると、そういうのがこの行革推進法の趣旨であります。
 それから、確かに教員の場合、これは身分は市町村の職員でありますが、教員の給与については、これは都道府県の職員と同水準ということになるわけでありまして、そういう都道府県と市町村の間の給与の差、格差があるわけなので、特に過疎地域に行けば、村役場の職員よりも教職員のほうが給与水準は高くなってしまうと、そういう実態があるわけであります。今後、給与についての在り方を検討するということになっておりますので、現在の教職員の1級から4級までというシステムが果たしていいのかどうかということも含めて、総合的に文科省としても検討をしていきたいと考えております。

【木村分科会長】
 渡久山委員、それから井上委員、それから北條委員、お願いします。そこで終わりにしたいと思います。

【渡久山委員】
 1つは、先ほど説明もありましたように、日本における国の教育予算というのは、OECD各国と比べてGDP比で非常に悪いですよね。OECDでは平均が3.5だというのに、日本の場合は2.7、特に高等教育に対しての支出というのは非常に悪いです。ですから、私はまず日本の政府の教育に対する姿勢が、ずばり言って、教育予算にあらわれているんじゃないかというのが1つです。ですから、基本的には、これは国民的な関心を実は持つべきだと、こういうように思います。これは非常に大きな問題ですよね。これが1つです。
 事実、今度の地方交付税が減らされてきたのもありますけれども、学校では消耗品や図書費も、今、10パーセント全部削減して予算をつくりなさいと、4月からの予算はもう既に始まっているんです。そういうようにして、また少し減ったら、8パーセントぐらいしか減っていないですけれども、10パーセント減らすというような形で、学校現場が極めて劣悪な条件をまた強いられてくるというのが1つです。
 それからもう1つ、今、地方の教員の給料が高いというのがありました。これは僕は同一労働同一賃金という観点から見たら、それはやむを得ない部分があると思うんです。これは国家公務員だってそうですよね。東京でやっている国家公務員も、地方へ行っている国家公務員も、同じ公務員としての仕事をしていますから、そういうように、そういう労働の対価としての賃金の在り方というような形になれば、必ずしも地場の賃金だけにはいかないだろうと思います。
 3点目は、今、総人件費の改革といって、日本の教員の給与水準を下げようとしているんですけれども、アメリカもイギリスも逆に上げているんです。例えばアメリカの場合だったら、ブッシュ政権になって、今年の場合、初中教育費は1兆円増えているんです。2001年では3.1兆円だったのが、2006年度では4.2兆円と1兆円増えているんです。そしてアメリカの場合、システムとして連邦政府が1出しますと、プラスしてもう1を地方政府が出さなくちゃならないんです。そういうような関係にありますから、教育予算は全体的に増えているというのがブッシュ政権の実態です。それからもう1つ、イギリスの場合も、実はブレア政権になって、教育費が随分増えているんです。例えばその中の今、教員賃金のものが出ていますから、この部分だけ見てみますと、イギリスの場合は初任給が年収で380万円です。日本の場合の初任給を比較してみますと、337万円です。そうすると、既に初任給、これは本邦で19万1,100円ですけれども、それから比較しても、日本の教員の給与は、イギリスと比較しても既に悪くなっているということが言えるわけです。ですから、そういうことから見ますと、イギリスにしろ、アメリカにしろ、非常に教育に大きな予算を出している。そういうふうにして将来の国の戦略というような形が出ているわけです。やはり教育をもっと国家戦略としてどういう形で見るかということは大きな問題だと思うんです。こういうことについては、外国で既にデータが出ているんですけれども、文部科学省もこれは把握しているんじゃないですか、そういう実態ですね。ですから、ただ日本の公務員との比較とか何とかだけじゃなくて、やっぱり外国とのそういう比較等もぜひやってもらいたいと思うんですが、その辺はどうですか。

【木村分科会長】
 お願いします。

【藤原財務課長】
 今、ご指摘がありましたとおり、アメリカあるいはイギリスで教育予算を増やしているという状況、それから特にイギリスの場合、教員の給与について格段に改善しているという状況については把握をしております。ただ、具体的にさらに詳細に今年度海外の状況は調査した上で、文科省としても必要な反論をしていきたいと考えています。

【木村分科会長】
 井上委員。時間がなくなりつつありますので手短にお願いします。

【井上委員】
 教育投資の問題については、昨年10月の義務教育特別部会の答申でOECDが3.5パーセントに対して日本の初中関係では2.7パーセント、高等教育は先進国は1.0パーセントに対して日本は0.5パーセント、そういう教育投資をもっと拡大すべきだという基本的な概念のもとに、教育条件の整備というのが前提条件だということは、義務教育特別部会でも既に指摘しているところだと思うわけでございます。そして我が国では、教育は国家100年の計と言われているように、天然資源のない我が国においては、教育によって人材を育成するというのが国家の基本的な戦略であったはずでありまして、したがって、教員には優秀な人材を確保するということで、明治時代の師範学校では給費制だったし、戦後は教育学部になって、教育職についた場合には育英会の奨学金等についても返還免除制度等があったわけですが、昭和49年にこの人確法ができたので、そのような優遇措置は、優秀な教員の確保策として講じられた施策は全部なくなってきて、今、残っているのは、実は人材確保法だけになっているわけです。そういう点からいうと、我が国の将来の在り方を考えた場合に、まさに教育こそは我が国の国家戦略という位置づけが変わらないとすれば、やはり教育界に優秀な人材を確保するための施策として、人材確保法というのはどうしても必要な施策じゃないかと私は思っているわけで、そういうような政策的な、我が国の将来の在り方にかかわる、そういう基本戦略としての政策的な意味合いというのは、やはりもっと強調すべき事柄じゃないかと思っているわけでございます。
 それから地方の場合、先ほどちょっと離島等のお話が出ましたが、これはある程度へき地教育手当がかなり優遇されてついているということから、基本給にへき地手当が加算されるために、例えば、5級だと25パーセント、そのために給与が役場の職員よりは上になっているので、基本的な教育職の俸給表自体は、先ほど事務局が説明したとおりではないかと思います。
 それから、定数改善の話ですが、従来から自然減の範囲内で定数改善を7次までやってきているわけですが、今の学校現場の実態、二極化の実態とか、いじめ、不登校等の実態、そういうのを見た場合に、教育効果を上げるためには、やはり学級規模を小さくするという課題もありますが、学習集団を小さくして少人数教育をやるという場合に、どうしても今の定数では十分カバーできないという現状があると思うわけで、そういう点にも、やはり十分学校現場の実態を踏まえた教員の定数の在り方ということも、文科省として主張すべきは主張していただきたいと、思います。

【木村分科会長】
 ありがとうございます。北條委員。

【北條委員】
 教育投資全体をOECDの標準といいますか、平均並みにこれは増やしていっていただきたいというのは、これは私どもの願いですし、国民の願いとも一致するものだと考えます。したがいまして、先ほどの教育振興基本計画の問題とも関連いたしますが、教育投資というのは、その年々の経済状況などによって左右されないような仕組みというのをつくっていかなければならないと思います。これは大前提だと思いますが、しかしながら、そのことが教員の人件費の問題に直結するとは必ずしも言えないんだろうと思います。積極的に教育公務員の給与を引き下げることに私は賛成ではございませんけれども、しかし、一般の国民の目から見て、教育公務員、公務員全体にも言えることだと思いますが、給与の仕組みが、手当が複雑であるとか、それから賞与の問題が期末・勤勉手当等も含めて、民間に比べますと複雑でわかりにくいという点があるわけですから、そこら辺を改善して、国民の理解が得られるような形にしていくと、こういう努力は求められることだろうと考えます。
 また、そのことと直接は関係ないんですが、ちょっと気になっていることで伺いたいのでございますが、このところ義務教育の現場で外から見ていますと、常勤の先生とほとんど同じにしか見えないんですが、非常勤の先生が相当に増えているように思います。民間で非常勤という場合には、典型的にはパートのような形で、ある意味では大変わかりやすいわけでございますが、義務教育現場でお見受けする非常勤の先生と常勤の先生は、外側からはほとんど見分けがつかないんですけれども、伺うところによると、その待遇には相当な格差があると伺っております。そこら辺が近年どんなふうに増えているのか、あるいは変わっていないのか、そこら辺をちょっと教えていただきたいと思います。

【木村分科会長】
 事務局、お願いできますか。

【藤原財務課長】
 非常勤職員が増えているということについては、確かにご指摘のとおりでございます。ちょっと手元にデータがないんですが、実際増えている傾向はございます。これはいろいろな理由はあるんでしょうが、1つには、16年度から総額裁量制ということで、教職員給与について、定数を割って非常勤で何人か雇うということによって少人数教育を実施するというような形のシステムもできましたので、そういったことも含めて、非常勤が若干増加傾向にあることは事実であります。確かに、正規職員に比較して給与も低いということではありますが、限られた財源の中でできるだけ教育条件を向上させるという観点で少人数教育を推進するということを各都道府県でご努力いただいているわけなんですが、そういったことによって若干非常勤の職員が増えているという状況でございます。

【木村分科会長】
 大橋先生、最後に手短にお願いします。

【大橋委員】
 ありがとうございます。今、教育の問題がいろいろな分野の各論で語られているわけでありますけれども、やはり教育振興基本計画みたいなものを、この法案の成立を待たずに、早く文科省の戦略のためにもつくっていただけたらなというお願いであります。今、どちらかといいますと、財源の問題でかなり攻め込まれてきているわけでありますけれども、今、国民が教育に何を求めているのか、あるいは、そのために学校は何をしなきゃいけないのか、そのために教員として何をしなきゃいけないのかといったような、やっぱりそういったいろいろなものを織りまぜた基本計画をつくっていただきながら、ぜひ、現在も教員の勤務実態調査等もやっていただいておりますので、そういったものも踏まえながらお示しいただけると大変ありがたいなと思っております。

【木村分科会長】
 ありがとうございました。それでは、時間が参りましたので、本日の議論は以上とさせていただきます。今後、教育基本法の議論がどう進むのかによりまして、我々中教審としても、学校教育法、それの議論もここでしていくことになろうかと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 それでは、今後の日程等について、事務局からご紹介をお願いします。

【関崎教育制度改革室長補佐】
 失礼します。次回の議題及び日程につきましては、調整をいたしまして、追ってご連絡申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。

【木村分科会長】
 それでは、本日はここまでとさせていただきます。ありがとうございました。

─了─

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