学校・教職員の在り方及び教職調整額の見直し等に関する作業部会(第3回) 議事録

1.日時

平成20年12月1日(月曜日)15時~17時

2.場所

文部科学省東館3F1特別会議室

3.議題

  1. 国立大学法人静岡大学及び学校法人玉川学園からのヒアリング
  2. その他

4.出席者

委員

小川主査、石塚委員、植田委員、小林委員、金井利之委員、金井洋子委員、島田委員、曽我委員、角田委員、渡久山委員、根本委員、服部委員、若井田委員

文部科学省

玉井文部科学審議官、合田総括審議官、前川審議官、久審議官、常盤初等中等教育企画課長、関財務課長、濱口企画官、他

オブザーバー

国立大学法人静岡大学教育学部 塩川亮教授、学校法人玉川学園中学部長 石塚清章委員

5.議事録

○ では、今日の議事に入りたいと思います。前回、群馬県と東京都のヒアリングを行いました。それに引き続いて今日も、学校の業務改善、勤務時間管理などの審議にかかわるテーマについて、先進的な取り組みをしている、静岡大学と、私立学校の学校法人玉川学園の2つからヒアリングを予定しております。前回と同じように、ご報告いただく時間、大体25分から30分程度、その後、質疑30分程度ということで、1時間1時間というタイムスケジュールで行っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず静岡大学からご報告をいただきたいと思います。

 

【静岡大学】  

 今日お話しする内容は、資料1の1ページ、プロットという形でしたためてございますが、これに沿って説明させていただきたいと思います。

 まず、本学の附属学校園について、(1)設置状況でございますけれども、裏返しにしますと、静岡大学教育学部附属学校組織図がございます。これをもとに、本学の附属学校の現状について簡単にお話ししたいと思います。

 本学の附属学校は、静岡市に幼稚園、小学校、中学校、特別支援学校の4学校園、それから浜松市に小・中学校、島田市に中学校ということで、全部で7学校園ございます。幼稚園は2年保育、3年保育、両方ありまして、そこに書かれているクラス数、児童生徒収容定員、教員数となっております。それから、静岡小学校につきましては、1学年3クラスでございます。静岡中学校については、1学年4クラスでございます。同じようにクラス数、定員が書かれております。浜松市のほうは、小学校が1学年2クラス、静岡より1クラス分小さくなっております。中学校は3クラスになっております。それから、島田も同様でして、1学年3クラスになっています。1クラスの児童生徒の数は、40人学級でございます。附属学校の教員数は全部で132名ございます。平均年齢は39.8歳でございます。132名の中で、そのうち女性が占める割合は約28%でございます。

 (2)になりますけれども、教員についてなんですが、大部分の教員が静岡県、あるいは、近年政令市になりました静岡市並びに浜松市と人事交流協定を結んでおります。幼稚園の3名だけは大学採用でございますけれども、それ以外は静岡県、政令市との交流で成り立っております。例えば、静岡県の場合ですと、静岡市の幼稚園を除く3つの学校と、浜松市の2つの学校、島田の中学校ということで、全部で6学校に派遣されております。それから、政令市の静岡市の場合は静岡市内の4学校園、ここだけでございます。浜松市のほうは、浜松市内の2学校ですね、小学校と中学校でございます。交流の期間ですが、これはやはり多少個人によって差がありますけれども、大体5、6年としております。

 続きまして、附属学校の使命ですけれども、他の国立大学でも同様ですので、ご存じの方もいらっしゃるかとは思いますが、まず公立学校と同じように、幼児とか、初等、中等の普通教育、並びに特別支援学校においては、特別支援教育を行うということを使命の第1としております。それから、教育学部の附属学校でございますので、教育学部学生の教育実習を行う、これを第2といいますか、1も2も順番はなくて、みんな重要なことなんですけれども、使命としております。もう一つ大事な使命としては、大学と連携して学校教育に関する研究を行うことでございます。この3つを附属学校の使命としております。

 続いて4番目ですが、附属学校に対する地域からの期待でございますけれども、まず、使命の中でも今、お話ししましたが、教育研究の面で地域、公教育に貢献しております。例えば、各附属学校では、年1回研究発表会を行っておりますけれども、これには公立の先生方、あるいは県教委、市教委の先生方も参加なさっているということで、そういう面での貢献を行っております。実際にこの研究発表会の中で、公立の先生方が研究発表にかかわるということもありますし、研究発表会に至る前に、研究協力校と密接に研究の打ち合わせをする形で、地域の公教育に貢献しております。これも研究の一環ですけれども、公立学校と共同で授業研究についても実施しております。それから、近年、これは全国的な傾向ですが、養護学校を特別支援学校に名前を変えるとともに、特別支援について出張相談等も受けておりますし、専門研修のために講師の派遣も行っております。そのほか、幼稚園の子育て教室等、地域に対してはいろいろな形でかかわっておりまして、それだけ地域からも期待されている存在でございます。

 次が5番目ですが、附属学校に対する関係機関からの期待ということですけれども、先ほどもお話ししましたが、本学の附属学校園は静岡県と静岡市、浜松市と人事交流を行っているわけです。派遣元としては、こういう交流を促進させる中で、地域の教育の質を高める期待があるわけです。これは具体的には、いろいろな形があるわけですけれども、派遣されている先生方が附属学校で研修を積む形で、教員の資質向上の面で寄与しているということでございます。そういった面で、関係機関からの期待が大きいわけでございます。

 続きまして、勤務状況についてお話ししたいと思います。法人化前の状況ですけれども、実は私、今は附属学校園統括長をやっておりますが、法人化前後の15年、16年、17年度にかけては、静岡にある附属静岡中学校の校長も務めておりました。法人化前の状況ですが、時間外勤務について、基本的には教職調整額による対応をしております。これは公立学校と同様に、法律に基づいて教職調整額で対応してきたということでございます。

 (2)の勤務の状況ですけれども、ご存じのように、附属学校というのは、公立学校と比べて、教育実習あるいは教育研究にかかわる業務量が多い状況でございます。これは私どもの大学附属にかかわらず、他の国立大学についても同様の状況かと思うわけですが、先ほど任務でもお話ししましたけれども、学校園教育のほかに研究とか教育実習とか、こういう仕事が公立と比べて多いという事情がございます。こういったようなさまざまな行事の準備等で、先生方、勤務が深夜に及ぶ場合もございます。教員の勤務時間に関する認識というのは、どちらかというと薄いほうでして、必要と思えば納得いくまで勤務していたということです。附属の先生方は非常に教育熱心で、もちろん公立の先生方も教育熱心なんですけれども、やはり附属に来て研修を積んでいるという意識が、深夜までの勤務になっていたのかなと思います。時間外の業務については、自主的な取り組みとして、各教員に任されておりました。それから、時間外の業務については、校長などが、関与することにためらう雰囲気がありました。

 続きまして、法人化後の状況でございますけれども、これにつきましては2枚目の裏表、ですから3ページ目になりますが、ここに資料が1、2、表裏で3枚あります。1つが1年単位の変形労働時間制についての文書です。後は、第1四半期、4月から6月までの勤務表でございます。それから、棒グラフでございます。国立大学の法人化に伴って、健康管理上の必要性を考慮して、時間ごとの繁閑に合わせた所定労働時間が短縮できる、1年単位の変形労働時間制を導入いたしました。この棒グラフですが、白黒なのでわかりにくいかもしれませんが、左側はいわゆる変形労働時間制でない、調整前の状況でございます。また、月によって、多少でこぼこがありますけれども、これを右側の変形労働時間制の形にしたときに、例えば8月については、白い部分が約半分ぐらいありますけれども、この白い部分を各月に上乗せをしているというか、逆のことも言えるのですけれども、変形労働時間制の形で、4月から6月あたりを黒い部分が少しプラスになっている部分です。9、10、11月にもありますけれども、この黒い部分を8月と3月にあるような白い部分の労働時間を減らして調整する形になるわけです。この1年単位の変形労働時間制を導入するとともに、勤務状況の把握を行いました。

 それから(2)の時間外勤務の縮減と時間外勤務手当のところですけれども、1年単位の変形労働時間制を導入するとともに、勤務状況の把握を行い、勤務時間管理の厳格化と勤務状況の改善、すなわち時間外勤務の縮減を行いました。健康管理上、時間外勤務の縮減が第1に取り組むべきこととされたわけでございます。変形労働時間制で時期ごとの業務量に合わせた体制をとってはおりますけれども、それでもなお、勤務時間を超えてしまう勤務状況に対応するため、時間外業務手当の支給を決定いたしました。

 続きまして(3)勤務の状況でございますが、まず会議資料の事前配付を徹底するなどの工夫を行って、会議の効率的運営を行い、会議時間の短縮を図りました。附属学校の場合は、これは学校によって違いますけれども、大体月1回ぐらい職員会議を開くわけですが、私が勤務していた学校では、直前になって分厚い資料が配られるということで、例えば最初10分ぐらい時間を与えてそれを読んでもらって、それから会議に入るという、いささか非効率的な形であったわけですけれども、これを事前に資料を配付して、目を通した上で会議に入るという、効率的な会議運営を行いました。会議時間の短縮を図ったわけでございます。変形労働時間制をとることにより、勤務時間が延長しておりまして、生徒の下校後であっても勤務時間内に会議、打ち合わせ等を設定することが可能になったわけです。普通、学校はそうだと思うのですけれども、附属学校も子供たちがいる中で先生方だけ集まって会議ということはできないわけですので、そういった下校時間というのはどうしても一つの縛りになって、会議が夜遅くになるということだったわけですが、そういったことが変形労働時間制の導入によって可能になったということです。それから、教員が個人またはグループで行っている自主・自発的な研修・研究については認めております。しかし、これらは自主・自発的なものでありますので、時間外勤務命令の対象とはしておりません。

 次が(4)勤務命令及び勤務時間の把握について。附属学校園の場合には、校長、副校長が管理職なわけですけれども、校長に関しては私どものところですと、大学の教授が兼務しており、学校にいないことも多いわけです。ということもありますので、副校長が勤務時間について管理しておりまして、変形労働時間制の割振表を作成し、各教諭の勤務状況を把握しております。時間外勤務を要する場合は、副校長が命ずる形をとりますが、本人からの申し出を承諾する形も認めております。日々の状況はその都度記録しております。日々の記録を、1ヵ月ごとにまとめて給与担当へ報告する形になっております。

 今までの報告をまとめたものが資料の最後にございます。

 まず、1年単位の変形労働時間制を導入して改善されたことなんですけれども、繁閑に応じた所定勤務時間の配置が行われ、繁忙期の時間外労働時間を縮小、減少させたということがございます。1年単位の変形労働時間制により、労働力の適正配分が可能になったということでございます。2番目として、下校時間後の会議設定が可能になったことです。3番目ですが、長期休暇がとれる環境が整備され、海外旅行、心身リフレッシュ等の機会が増大したということがございます。変形労働時間制によって、夏休み等、閑散期に休日を増やしたわけで、そのことにより長期休暇をとれる環境が整備されて、気兼ねなく長期休暇をとることが可能になったこと、家族と一緒に海外旅行に行くという、あるいはそれ以外にも家族に触れ合う時間等が確保されたということがあります。さらには、心身リフレッシュのチャンスが拡大したということがございます。変形労働時間制に関しては、先生方からもいろいろ意見を聞くのですが、夏休みにちゃんと休みが堂々ととれるということで、その期間を利用して海外旅行をなさっているとか、家族と一緒に過ごすとか、そういう先生が結構おりまして、これが一番好評です。今後の課題として挙げるべきものは、特にございません。

 勤務時間管理について改善されたことですが、教員が勤務時間に関心を持つようになり意識改革が進んだということがございます。それによって、校内での諸会議、打ち合わせ等における会議運営の効率化による勤務時間の短縮が図られました。先ほど資料の事前配付という話もいたしましたけれども、教員が自らいろいろと工夫するようになった点が1つございます。それから、今の話とも関連がありますけれども、会議運営の効率化による勤務時間の短縮が図られたということがございます。それから、研究協議会や学内諸会議について効率的な会議運営と会議時間の短縮がございます。それから、健康管理上のリスクが軽減されたということがございます。

 今後の課題ですけれども、勤務時間の管理を行うことによって、勤務時間の短縮が進んだわけでして、より密度の高い業務を行っている点は評価されるのですが、反面、勤務密度が高くなったため気が抜けずに、公立学校にいた頃に比べて多忙感を抱く教員がいるということがございます。特に、先ほどお話しましたけれども、本学の附属学校園の先生方はほとんど公立学校園から派遣されているわけですが、附属の仕事が公立よりも多い中で環境が変わり、ストレスを感じることが多々あると聞いております。そういった意味では、業務量軽減のためのシステム開発、体制整備が求められているわけです。ただ、公立学校から派遣された先生方のお話をいたしましたけれども、入ってきた直後はそういった面でストレスを感じるみたいですが、だんだん慣れてきていることも認められます。

 以上が私ども静岡大学での勤務状況についての報告でございます。

 

○ 2つ質問があるんですが、1つは教育実習生を受け入れるわけですけれども、この教育実習生の期間や数によって、普通の公立の学校とは、勤務の状態が変わってくると思うんです。この辺、教育実習期間中どのようにされているのかをひとつお話しいただければということ。それから、もう一つ違うことは、夏休み中に1年単位の変形労働時間制ということでやっているわけですが、公立の学校ですと、プール指導であるとか、あるいは宿泊行事ですね。場合によっては、このごろは家庭訪問週間だとか親子面談だとか、いろいろなことを工夫しているところがあるわけです。結局、完全に休みにするということがなかなかできない状況があるんですけれども、夏休み期間中、7月20日ぐらいから8月いっぱいぐらいまでの中での学校行事といいましょうか、そういったようなことがわかりましたならば教えていただきながら、結局完全に夏休み期間として、例えば8月1日から20日までは自由に休んでいいよとか、全員がそのようにしているのか、その辺のとり方をお話しいただきたいと思います。

 

【静岡大学】  それでは、教育実習についてなんですが、大まかになるんですけれども、私どもの教育学部の学校教育教員養成課程、これが現在260名でございます。教育実習全体の流れを説明してから数字の説明をいたしますと、まず、実習1と言われる1週間の実習を2年生のときに実施いたします。それから実習2という3週間、実習3という2週間の、計5週間の実習を3年生のときに実施いたします。それで、実習1は260名の教員養成課程の学生すべてが、この7附属学校園で実習を行います。それから実習2、3につきましては、約3分の2の学生が附属学校園で実習をする、3分の1の学生は公立の学校、協力校と申しておりますが、県内の公立の学校で実習を行っている形でございます。

 それで、もちろん附属の先生方、大体1人当たり学生が3人ぐらいから5、6人ぐらい、実習2、3に関しては先生1人当たり何人かの学生がつくことになります。一方、私どもの附属は教育学部がある静岡市内のみならず、浜松とか島田にもございますので、そういった関係でできるだけ早く附属の先生は帰るように指導しております。実際に、教育実習にどれぐらいの時間かかわっているかというのは、具体的にはちょっとわかりません。

また、自分が校長をしたところの学校の夏休みの行事について申し上げれば、家庭訪問等も普通の時期にやっておりますし、夏休みには行事らしい行事はほとんどないです。

夏休みの一定の時期は、校長や教員全員が休みをとることになります。もちろん学校によって違いはあるんですけれども、そういう形をとっております。

更に補足しますと、資料で変形労働時間制のグラフがあって、8月が半分ということになっているのですが、これは日数を見ていただくと、勤務日数は13日になっています。それから時間数で82時間ぐらいですが、これは1日6時間ということで、後半のところを休みで固めて、これは一つの中学校の場合ですが、そのような形でまとめて先生方が休みをとれるようにしています。ただ、ほかの小学校等の話を聞くと、幾つかのグループに分けて少しずらしながらとっているところもあると聞いております。

 

○ 5点質問をさせていただきたいと思いますが、まず単なる確認なんですが、学校週5日制であることの確認が1点目でございます。2点目は、1年単位の変形労働時間制についてというペーパーを用意していただいているんですが、その9番に、変形労働時間制適用者に対する時間外労働の制限は、通常より厳しくなっていると書いてあるんですが、変形労働時間制適用者と適用していない方とに分かれているのかどうか、もし分かれているとすればどのぐらいの比率なのかが2点目です。それから3点目は、変形労働時間制の適用者につきまして、その適用者が、自分は変形労働をしたいと申請するタイミングといいますか、例えば学期ごとに申請するのか、1年の年度の初めに申請するのか、それとも管理職で指示しているのかについて教えていただきたいと。4点目は、勤務命令のところでお話がありましたが、副校長先生が命じているか、または申請があったものを許可するということでございますけれども、命じているまたは許可をしていないものは、すべて自主研修、研究と見なしているのかどうか、それで、命じているまたは認めている状況はどの程度なのかということです。5点目は、特に中学校の場合、日曜日・祝日の部活指導等があった場合の勤務状況はどのように対応されているのかと。

 以上です。

 

【静岡大学】  まず最初のご質問ですが、学校週5日制は実施しております。 1年単位の変形労働時間制のことですが、附属学校の体制は、事務職員と先生方の2つに分かれていまして、事務職員は変形労働時間制をとっていなくて普通の勤務です。先生方は、1年単位の変形労働時間制を事前に了解した上で適用しています。労使協定というのがございまして、これを届け出る時期が4月頭になります。ですから実質的に割り振りを行うのは、例えば2月とか3月という形になります。1年間のものを全部決めるわけではなくて、第1四半期、4、5、6と3ヵ月分の勤務の日にち、時間、各それぞれ何時に出てきて何時に帰るということを全部決めます。決めるときには、1人ごとに決めることも可能ですし、グループで決めることも可能です。例えば、資料の2枚目のものは割振表ですが、この場合は全員を1つのグループとして、同じ割振表を適用しているということです。これは先生方が、同時に休むとか、同時に出てくる形になります。このような状況ですから、タイミングとしてはその前年度の末に決めることになります。そして、年度当初に、労基署に届け出るということになります。それから、適用としては、先生方については全部この1年間のものを適用しております。基準日が4月1日で、4月1日から1年間となっております。労使協定の有効期限は1年間ということで、毎年新たに更新してきているということです。

 次に、勤務命令ですが、時間外業務については、手当を支給するということがございますので、当然勤務命令が必要です。勤務命令されているものについて手当を支給しているという解釈です。それから、日曜・祝日の部活動関係ですが、これは手当として、外に遠征というか、試合とかで土日なんかに引率したような場合には、引率の手当を支給しております。

 

○ 部活の件ですが、手当が出るので特に平日の振りかえとか、そういうことはしないということですか。

 

【静岡大学】   部活は、基本的に平日、下校時間までです。大会とかが土日にある場合もありますけれども、基本的には平日ですので、下校時間までに、勤務時間内に終わります。

 

○ 2つありまして、一つは仕事をやっている中で、実際に時間外をやられていると思うんですが、なぜマネジメントする側が時間外の勤務に口を出すことについて少しためらってしまうのかが1点。あと、先ほどの資料の最後のほうに教員の意識の改革というのが載っておりましたけれども、意識改革のために特に何かされたことがあるのか。例えば労働時間についても、企業であれば労働時間についての研修であったりとか、教員であったりとかもしくはマネジメント層に対して何かされていることがあるのかどうか。その2点を少し聞けたらと。

 

【静岡大学】  附属学校の先生方は公立から選ばれた先生方で、附属に来て非常に生きがいを感じている、それが高じて深夜までの勤務になるわけで、私どもが心配だったのは健康のこと、あるいは普段の授業に差しさわりがあるのではないかということです。ただ、それをやめるように言うことにはためらいを感じていたということです。

 法人化以降、変形労働時間制をとるということで、それ以前とは状況が変わってきたわけですので、特に研修は設けなかったのですけれども、会議等をできるだけ早く終えて、「早く済ませて帰ろう」という語りかけをお互いにして、例えば職員会議なんかですと、「今日は何時までに終わりましょう」という感じで目標時間を定めてやるようにしました。これを校内の教頭が率先してやるようになったことなどから、これらの取組が一種の意識改革にはつながったのではないかと思います。

 

○ 最初に、これは情報だけです。1年単位の変形労働時間制の資料の9に、時間外労働の制限はより厳しくなっているとあるのは、これは厚生労働省が定める時間外労働の上限基準がございまして、それの基準が、通常が左の

四角で右のはこれだということで、必ずしも法律でこれを超えてはいけない定めではなくて、一種のガイドライン、それを多分注意的にご記入になっていると受けとめました。それはそうなんですが、その上で1年単位の変形労働時間制について何点かお聞きしたいんですけれども、1点目は過半数代表者との協定というのは、これは過半数組合とされているのか、あるいはそうではなく、組合がなくて過半数代表者ということなのかが1点です。それから、先ほどご説明のあった8番のところで、第1四半期の対象者と労働時間数の割振表の添付、これは協定で出して、その後については、法律上は30日前にそれぞれの時期にまた合意をして決めるとなっていると思うんですが、現実にはその辺はいつごろ、どういう形でされているのかが2点目でございます。

 それから、これはご質問なんですが、1年単位の変形労働時間制で非常にうまくいっているお話を伺いまして、個人的には非常に心強い思いをして聞いていたんですが、しかし他方で、時間外勤務が発生するということもございます。そういうこととの関係で、今高校の教員の場合は、実際にはなかなかそれに該当するのがないんで使えないんですけれども、考え方の問題として、例えば大学の教員に認められているような、専門業務裁量労働制という制度がございますね。ああいう形のほうが、高校教員についても、1年単位の変形労働時間制よりは適応的なのか、あるいはそうではないと、むしろ1年単位の変形労働時間制のパターンがよろしいのか。その辺ご意見があればぜひお伺いしたいと思っております。あと、もう一点だけ確認でございますが、先ほどクラブ活動との関連で手当のお話がございましたが、これは要するに何らかの手当を出すということで、休日勤務という取り扱いにはしていないということなのか、あるいは要は休日勤務という仕切りをされているのか、その点もお教えいただければと思います。

 

【静岡大学】  1点目、1年単位の変形労働時間制ということで、過半数代表者かあるいは組合かということなんですが、組合はございますが、過半数組合ではございませんので、実際職場ごとに過半数代表者を定めて、その方と取り交わしております。

 

○ 恐れ入りますが、その場合はどういう選出のされ方をしていますか。

 

【静岡大学】  附属学校一つ一つが事業所になりますので、その事業所ごとに選出していただいています。職員会議等で選出するなどの形で選出されていると思っています。

それから、2、3、4の第4、第2四半期以後のものについては、30日前に示していると承知しております。

 

○ あれは法律上、一応合意の上ってなっていますよね。そこはまだあまり確認されていない、あまりこだわってやっていないということでしょうか。過半数代表者でも合意の上というのが制度になっているんですよね。

 

【静岡大学】  それぞれの附属学校ごとに過半数代表者がいますので、そこで当然話し合われているというふうに承知しています。

 

○ これについて、なぜいっぺんにはやらないんですか。四半期ごとに繁閑が変わるということですか。1年まとめてやってもいいわけですね。

 

【静岡大学】  その辺は制度に則って実施しているということです。

 

○ 裁量労働制でなくていいかという、これはご質問ですが。

 

【静岡大学】  今の変形労働時間制も一定の効果を上げていますし、また、裁量労働制にした場合は、勤務時間の管理が非常に難しくなるという問題があります。実質、各教員のそれぞれの方に全部任せられてしまうので。

 

○ 教員の労働の質からいくと、そちらのほうが適合的なんじゃないかと個人的には思っているものですからお伺いしたんです。

 

【静岡大学】  その辺は判断がつきません。

 

○ 一つは、法人化前と法人化後の超勤の状況です。大体、今縮減されたということですが、非常に大きく変わったのでしょうか。それからもう一つは、まとめのところにいろいろありますけれども、下校時は学校によって違うかもしれませんが、大体何時に決めていらっしゃるんですか。それから、このまとめのところを見ますと、結局、法人化前と法人化後、あるいは1年単位の変形労働時間制を導入して超勤がある程度把握されたことによって、超勤の縮減と、あるいは教員の意識が変わったということを見ますと、大体、法人化後のほうが勤務が一定程度整理されたと見ていいんでしょうか。3番目は、この超勤手当というのは、法人化前は教職調整額ですよね。しかし、その後は今の手当になっているんですけれども、これはどれくらいで、労働法制との関係でどうなっていますかという、3点をお願いします。

 

【静岡大学】  法人化前は勤務時間管理をあまり厳密には行っておりませんでした。ただ先ほどお話ししました意識改革もありまして、法人化後、勤務時間は縮減されたということです。それから、下校時間に関しては、今みたいに暗くなるのが早い時期は大体5時ごろです。ただ、これも学校によって違いますので一概には言えません。それで、夏の時期ですと6時ぐらいまでというところです。これもまた、実は曜日によって違ったりとか、一律ではないです。

 先ほど勤務効率が上がったという話をいただいて、勤務密度といいますか、ですので法人化後はそういった面では効率がよくなったということです。ただ一方で、勤務密度が高まったことをストレスに感じている教員もいるという部分もありますので、それはまとめのところと同じになります。

 

○ 変形労働時間制のことでございますけれども、教員の中で8時間を超えて勤務時間を増やす場合、1日2時間まで増やせることになっていますが、全員一律なのか、人によって違うのかが1点目です。2点目は、その増える時間数は、年間にするとどれくらいなのか、休日の日数に換算すると何日ぐらいになるのかをお聞きしたいんですけれども、よろしくお願いします。

 

【静岡大学】  一律かどうかというのは、学校ごとに違うようです。ある学校では、全部一律でやっています。それから休日の関係は、資料を見ていただかないとわからないかもしれませんが、勤務日数の資料として棒グラフで整理してある部分があります。例えば8月を見ていただくと、正規でいえば21日です。これは通常の、普通で言うと月曜日から金曜日までの日数と見ていただいても結構です。これが13日になっていますので、8日間、休日が増えているということです。8月については6時間勤務ということなので、トータルの勤務時間数で見れば、約半分になっているということです。それから、1年単位の変形労働時間制は、もとの労働日数、労働時間数を超えてはいけないということがございまして、日数的には、今言ったような話で休みが増えているものですから、かなり減っている話です。時間数は、変形前と同じ時間数で割り振りをしているという状況です。

 

○ 各地域にある大学の附属学校というのは、研究開発校的な役割で、学習内容とか指導方法等の研究の各学校に及ぼす影響力が非常に大きいわけですけれども、例えばこういう教員の勤務の状況等についても、県内あるいは関連する市町村等での波及効果というか、そういうものをどのように感じておられるか、そこへ研修に来られた先生はまた戻られるわけですね。そういうようなことが今までに効果的に影響を与えていると思われるかどうか、意見としてでも結構ですが、あるいはこれは附属学校だからできると感じておられるのか。率直な意見を伺えたらと思うんです。

教員の勤務として、ある意味では非常に効果を上げておられるんですね。改善の視点とか、先ほどお話しいただいたんですが、研究開発校としての教育の内容とか指導方法だけではなくて、教員の勤務についても、できれば私は、こういう方法が他の公立学校のほうへどんどん広がっていくことが望ましいと思っているんですが、そういうところがどのように波及効果があらわれていると感じておられるかどうかといったことが聞きたいんですけれども。

 

【静岡大学】  附属学校は、先ほどもお話しましたけれども、非常にいろいろな任務があるわけですので、公立学校にいたときと同じペースで仕事をやっていると、もうすごく勤務時間が長くなるため、できるだけ効率的にやらないといけない部分があると思うんです。

 ですので、戻ったときには、多分他の公立の先生よりもすごく、そういった面は効率的になっているのではないかと思います。公立の先生にどの程度、そういうことがいい影響を与えているかというのは、わかりません。

 

○ 2点ほど、確認、質問させていただきたいと思います。

 1点目でございますが、先ほどのお話の中で、生徒下校後に会議をされるという、ご説明がありました。部活とのかかわり、兼ね合いになるんでございますが、先ほどの表では、終業時刻の一番遅いものが午後6時20分ですね、私たちのところは、夏場では6時半まで部活をします。そうしますと、部活を終えて会議をするということが、もうこの時間では到底できない、ということでありまして。また、試合前になれば、部によっては30分くらい延長することもあり、おそらく、その部活の終了がお早いんだろうと思うんですが、その辺を一つ聞かせていただきたいのがあります。

それから、もう一つでございますが、公立学校での教育というものは、来るもの拒まず、という原則を持っていると私は思っているんです。つまり、いろいろな家庭の子どもがやってまいります。その、子どもたちに教育を施す、我々の仕事だと思うんですが、問題行動への対応、これは非常に頭を抱えることがございます。ただ、附属の場合は、私のイメージでございますが、非常に粒がそろっておられますので、その辺の頭を抱える状況はおそらくないと思うんですが、あるのかどうか、お聞かせ願いたいと思います。

 

○ 部活の時間は先ほど、夏は大体6時ごろ、冬は5時ごろとお話ししたのですが、よろしいですか。

 では、2番目の点だけ、お答えいただければ。

 

【静岡大学】  公立学校に比べれば、問題行動は少ないのかもしれませんけれども、附属の組織の中で、生徒指導部というのがございます。公立とは内容は違うかもしれないけれども、生徒指導部は非常に忙しいです。職員会議でも、先ほど事前の資料って言いましたけれども、分厚い資料を出してくるのは、生徒指導部なんです。そういう状況から、ご理解いただければと思います。

 

○ 時間外勤務手当について昨年度、時間外と認めた勤務時間は1人当たりどの程度認めたのか、お聞かせいただければと思います。大体でよろしいです。

 

【静岡大学】  平均すると、1人、10時間程度だと思います。

 

○ これからの審議に、非常に役立つ、有意義な情報等々、提供いただきました。 では、引き続き、2番目に入っていきたいと思います。学校法人玉川学園から、よろしくお願いいたします。

 

【玉川学園】  それでは、私立学校の玉川学園の例をご紹介させていただきます。

 私立学校ですので、何分仕組みがそれぞれの学校によって、工夫をしているところがありますので、玉川学園では、こういうふうにやっているという報告、紹介をさせていただきます。

 資料2の1ページ目から、順に、紙に沿って説明をしてまいります。

 まず、玉川学園の教職員数という表を、ごらんください。玉川学園は、幼稚部、小学部、中学部、高等部、それに、付置機関として、学園マルチメディアリソースセンター、学園国際交流センター、学園生活センター、学園教学部というもので、できあがっております。

 もちろん、学校法人玉川学園としては、玉川大学も含んでいるわけですけれども、幼稚部から高等部までのところでは、こういう組織になっております。

 この組織体のあり方としては、先生方の業務を分散するということで、例えば、私どもが力を入れております、国際交流については、別立てで、事務的な処理、窓口、事務処理、生徒派遣のための手続き等を、今までは教員がやっておりましたけれども、こういうふうにして、組織づくりをして、教員の仕事を少し分散させようということ、それから学園マルチメディアリソースセンターというのも、図書館業務をまとめて1カ所でやるということで、図書資料のみならず、画像の資料とか、それからコンピューターの資料とか、そういうものを全部この部門で、教員の仕事から別立てで、事務職員を当ててやっているということです。学園生活センターも同様に私立学校として、検定試験の奨励とか、課外活動の奨励とか、そういう部門について、今まで体育教員が中心にやっていた部分を、こちらで別立てで事務職員がやっているということになります。

 学園教学部というのは、それぞれの学部にはりついている事務方がおりますけれども、それを統括している部署であります。ですから、学園教学部専任職員16名とありますが、このうちの、12名ほどは、それぞれの校舎にはりついて、事務連絡をしていることになります。総勢で262名の体制の組織でおこなっています。

 主に、事務職員は、これまでも時間管理をされてきましたけれども、教員については、新たに時間管理を始めたところであります。

 2番目に入ります。勤務時間管理のお話です。開始時期は、平成16年10月より、健康管理の目的のため、1回打刻を2回打刻に改めました。具体的には、大学の職員に、健康被害が少し出始めたのをきっかけに、幼稚部から高等部までの教員についても、朝の出勤簿への捺印ではなくて、時間管理を始めましょうということになりました。それが、1回打刻だけでは、出勤簿の捺印の形式をなぞりまして、朝の1回打刻ということにしたわけですけども、これでは一体何時間働いているのかわからない、ということになりまして、出勤時、退勤時の2回の打刻になりました。これが、平成16年の10月からということになります。

 (2)に移ります。具体的な時間管理の方法。お手元の資料には、ICカードリーダというのを、写真で紹介してございます。ここに、私が手元に持ってまいりましたけれども、各教職員が、それぞれICフォトIDを持っております。ICチップ入りのフォトIDですので、SuicaとかPASMOと同じように、非接触型の身分証明書をカードリーダに当てることによって、打刻となります。この身分証明書は、構内に入るときには、全員が首からかけておりまして、例えば、わたくしは中学校の教員ですけども、顔も見たこともない小学生たちが何かあると、先生、と平気で寄ってくる。大学の教員もつけていますので、このストラップ付きのIDを携帯をしていると、どこかで困ったときには、みんな玉川学園の職員であることがわかって、声もかけますし、子どもたちも助けを求めにくると、いうことがあります。場合によっては、一般の方も、あなた先生でしょ、と言って、苦情を言ってこられる方もいらっしゃいます。こういうものを使って、打刻をしております。

 2ページ目にお進みください。ハードウェアの面ですが、いまご紹介しましたICカードリーダが、各校舎に一カ所ずつ設置してあります。幼稚部、小学部、中学部、高等部の校舎だけでなく、大学の校舎にも設置をしておりまして、なかには、教育実習の授業等で、大学で授業をしますと、そこで打刻をしても、同じように管理がされます。

 今、ご紹介した、ICチップ入りの教職員カードを使って、打刻をしています。このICカードリーダに関するサーバは、本学のサーバルームに設置して、構内で管理をしております。打刻された時間については、勤退管理者が専用PCにて、処理をしております。勤退管理者といいますのは、人事部に専門の労務担当者がおりますので、そこが事務職員と同様に、教員についても管理をしています。具体的な運用としては、打刻情報が一時間ごとにカードリーダからサーバに転送されまして、その転送されたデータが個人画面にて、確認ができます。個人画面はこの下にありますので、追って紹介いたします。

 カードリーダで管理されるのは、打刻データだけですので、超勤の申請、それから駅の当番、またはカードを忘れた、打刻漏れ、出張による打刻できない場合、休暇取得などの場合は、別途申請用紙をもって、管理者の承認を受けることになっています。これも後ほど簡単にご紹介いたします。

 ソフトウェアについては、市販のものを利用しております。Webによって、個人コード、パスワードを入力して、個人画面にアクセスいたします。個人画面はそこに紹介してあるとおりですけれども、個人の打刻時間、それから休暇の取得状況、超過勤務時間などが把握できるようになっております。画面が小さいですけれども、左から、日時、曜日、それから、36協定で登録をしてあります、平日なのか法定休日なのか、または、指定の休日なのかが明示されています。

 次に、勤務時間。勤務時間は、36協定で決められたものになっています。それから、出勤時刻、退勤時刻、小さな字でMCと書かれているのは、勤退管理者、事務的な管理者が、ここに何時間、もしくは何分の超過勤務が生じているということを書き残す欄です。それから、所定内の残業時間、実早出時間、実残業時間、それから、出勤場所、ここではUPと書かれていますけれども、これは、カードリーダが置かれている校舎の記号になっています。この個人画面を、各自が確認をして、打刻漏れ、もしくは出張届けの確認などをして、月末に各学校の学務主任に提出をいたします。

 それぞれ担当者が整理をして、労務担当者に上げていくというふうになります。また、今、申し上げましたように、個人が月末にその勤務状況などを確認して、1月分の内容を申請します。管理者が労務担当者に提出した承認内容を、労務担当者がWebに反映します。その教員の業務命令者、業務命令者というのは、管理監督者、つまり、私どもで言う、教育部長になりますが、それは、各個人の勤務状況を把握できます。今、ここにお示ししている画面で一人ずつ見ることもできますし、今日だれが残っているのか、昨日だれが何時間残っていたのかを把握しながら、主に働きすぎの場合ですね、遅くまで残っている者には注意を与えて、あまり遅くまで残らないようにという話をいたします。

 3ページ目をご覧ください。超過勤務の命令方法ですが、これは、個人が超過勤務命令簿に、必要事項を記載して5時までに提出する仕組みをとっています。その下にお示ししてありますのが、超過勤務命令簿となります。通常、土曜日、または、日曜日に、私立ですので、生徒募集のための行事やら、父母参観日等の出勤があるわけですけれども、こういう場合は、命令ということで、全員この日は出勤日ですよ、ということがありますけれども、毎日毎日の超過勤務に対しては、それぞれが申請をして承認を得るという形をとっています。勤務命令の申請は、30分単位で記載をしておいて、5時までに承認を受けるということになります。提出されたもの、超過勤務命令簿は、管理監督者が確認、つまり、命令印を押して、各自に返却をいたします。各自のロッカーがありますので、そこに返しておくと、それぞれが、退勤時にそれを取り出すことになります。

 翌日、それぞれ個人が、超過勤務命令時間、実績を記載して、もう一度、提出をします。管理者はそれを確認して、確認印を押します。月々の合計時間も本人が確認をして、記入をしたのち、管理者が確認して、労務担当者へ提出いたします。その、総時間数に対して、超過勤務手当が発生するということになります。教員の業務命令者は、私のような、管理監督者の場合、教育部長とそれから教務主任、学務主任、生活主任と呼ばれる、三名の主任がおります。計4名で命令確認ができるようになっています。

 その超過勤務命令簿を見ていただくとわかりますが、実際には勤務時間、勤務命令時刻が、30分単位で出しておりますけれども、多くの場合はその時間内に終わると、いうことが前提です。ただし、突発的な事柄もあります。保護者との電話連絡が延びたとか、または予定していた時間よりも少し延びてしまったということも起きます。そういう場合は相談をして、超過勤務いいですよ、という場合もありますし、もしくは、これはちょっと何をしてたんですか、と注意を与える場合もあります。それらが、確認された後に、管理者が確認印を押して、毎日、これのやりとりをしています。

 超過勤務命令内容について、3ページの下に参考として挙げておきました。超勤4項目があるのは承知しているのですけれども、実際には、様々なことを超過勤務の中でもお願いしなければなりませんので、実際に先生方がどんな仕事で残っておられたのかということを調べて、それで該当するもの、これはそうですね、というものを項目としてあげて、それに充てています。ですから、かなり幅広くなっています。

 それでは、4ページ目にお進みください。先ほどの静岡大学の例と同じようになりますが、私どもも1年単位の変形労働時間制をとっております。年間勤務日と休日日数を過半数代表者とあわせて、4月1日からのものとして、合意をとっております。休日については、土曜日、日曜日、祝日という通常のものと、それから夏季一斉休暇で7日間、冬季一斉休暇で7日間というものがあります。

 勤務時間の割り振りですけれども、一週間の勤務時間は原則40時間としています。そして、その下の表にありますけれども、1週当たりで見ていきますと、水曜日の時間が18時までとなっています。これは、この日に定例の職員会議を開催するために、勤務時間を45分間延長して、そのなかで会議が終わるように工夫をしているものです。

 それから、先ほどお話しましたけども、休日に出勤を要する場合、保護者会、学校行事、生徒募集などについては、1日分の勤務時間を割り振って、そのかわりに、夏休みや冬休みに長期休暇期間に振りかえ休日を充てております。ですので、土曜日、日曜日を使った、あらかじめ決めてある休日出勤というのは、年間10日程度にして、夏休みの所定の日時に振りかえ休日を充てるというふうになっています。問題点は、多々あるのですけれども、こういう割り振りで進めてきています。

 4番目、勤務時間管理を行うことによる効果および課題など、ということに進みますけれども、効果としては、まず、一番上にあります、勤務時間管理による、教員の長時間勤務を把握でき、健康管理の指導ができるようになりました。先ほども、静岡大学の例がありましたけれども、どうしても、教員たちは足し算の志向で進んでいきますので、子どもたちの成長がそうであるように、やればやるほどよくなるという習慣が身についてしまっています。従いまして、手をかけてこだわって、教材を作ったり、また、丸つけをして、一言でも多くコメントをつけて、となります。私立学校では、特に、こまめに面倒見よくということがありますので、これまでもそういうふうに手をかけることが、いい教員だという慣習が残っています。ところが、そのために、ついつい、遅くまで働いてしまい、健康を害するということがありました。時間管理をしない場合は、早く帰りましょうという呼びかけだけでしたけれども、今は具体的に出勤退勤の時間がわかりますので、その数字をもとに、説明をすることができます。

 2つ目に、勤務時間管理により、校務分掌の平準化、効率化ができ、仕事の偏りが修正できています。実際にあった例では、一昨年になりますが、たまたま一人の教員が体調を崩しまして、その代行を他の教員が割り振りました。うまく進んでいるものと思って、私は見ておりましたけども、先ほどの個人のWeb画面を見ていくと、大変超過勤務が多くなって、それは、もちろん必要な仕事であるわけですけども、明らかに、ある一人の教員に仕事が集まっていたことがわかりましたので、すぐに年度途中ですが、校務分掌の改善をして、その方の仕事への偏りを修正することができました。現在でも、勤務時間の把握によりまして、想定外の偏りが起きている場合、すぐに修正をすることができます。例えば、学校行事等の準備、どうしても、職人芸といいますか、この先生でなければということがありますので、偏りが出てしまいます。そういう場合は、その数字をもとに少し応援の教員を足すですとか、または、行事の中身を修正するということができるようになってきました。

 3つ目に、教員に、仕事の計画性、効率性が求められるようになってきました。これは、どうしても学校の教員っていうのは、先ほどのお話と同じように、足し算足し算の志向できていますが、実社会はやはり、計画性とか、効率性とか、様々なことが求められていて、ある意味、実社会で起きている仕事の進め方を教師たちが感じられるようになってきました。どこまで、実際にというと、まだまだ、わたくしがかけ声をかけているレベルですけれども、それでも、全体の総量が決まっているなかで、いかに効率的やっていくかと、またいかにチームを組んで仕事を進めていくかという考え方が、少しずつ浸透してきていると思っています。精神性の問題なんですけれど、そういうことが先生方にも少しずつわかることによって、子どもたちの教育にも、やればやるほどよくなる時期もありますが、能率よくやっていくことの事例を、価値観を、知らず知らず伝えることもできるようになるのかなとも思っています。社会の風が少しずつ、教員の中にも吹いてくることはいいことなのかなとも思っています。

 4つ目は、残業時間に関する意識が芽生えて、不用意な残業は減ってきたということです。不用意な残業というのは、これも教員の長い慣習ですが、放課後に先輩教師とよく語り合いながら、伝承技能を受け継ぐということが、今までもありました。ついつい、一緒に学校の中で、教育談義に花を咲かせるということもありましたけれども、そういうことは残業ではありませんので、そういうのは上手に時間をとって、必要なことですけれども、あまり遅くまで残らないように、ということです。また、あの費用対効果で残っていることが、お金に繋がっていますよ、ということも、世の中ではみんなそうなんですよ、ということが少しでも学校の先生方にも芽生えてきたかとは思っています。ただ、残業が減ればいいとばかりも言っていられませんので、このあたりはバランスの問題と考えていて、後ほど出てきますけれども、コミュニケーションをどうやってとるか、新しい方策が必要になっていると思います。

 それから、5つ目ですけども、有給休暇の取得ですとか、また、振りかえ休日も含めて、休暇の取得を学校の中でも奨励しているわけです。どのくらいできているのか、そして、積極的に夏休み等の休暇を利用してください、という話を推奨できるようになっています。このあたりも、考え方として先生方の中に、一般社会のあり方が入ってきたことはいいことと思っています。

 (2)として、課題ですけれど、教員に時間管理というなじみがありませんので、打刻時間が勤務時間と考えてしまう教員が若干おります。「打刻時間=勤務時間」ではなくて、36協定で決まっている時間の中でやることになっているわけで、この辺の勘違いは、これからも周知をしていく必要があると思います。

 もう一つは、私どもは、朝8時15分からの勤務となっているんですが、朝は交通事情の関係、電車の乗り継ぎや、車通勤の込み具合などもありまして、早く来たいという教員もいます。ですから、朝については特に8時15分が、7時半に来ても、超過勤務とはしない、交通事情による、それぞれの事情ということで、超過勤務にはしておりません。特別、わたくしどもで命令として出しているのは、最寄り駅の乗り降りの、朝の指導ですね。一般の乗客の方々との混乱を避けるために、毎朝2人ずつ駅の見回りというか、交通整理をしておりますので、それは、必ず早出超勤としてください、それ以外は、早く来ても8時15分からの勤務ですよ、としています。それを上手に利用して、そこで生徒を呼んで、ちょっと教えてあげる先生方もいるんですけれども、そういうふうになっています。

 2番目のポツですけども、これまで業務の時間配分や進め方に個人の裁量が大きかったために、業務の偏りが勤務時間の偏りになってあらわれています。超過勤務時間を平準化させる必要がまだまだあります。これは、3番目のポツと同じです。超過勤務申請に個人差があって、適切に申請させる必要があります。具体的には、30分ちょっと延びてしまったけれど、申請しないでいいという先生方もいらっしゃいますし、きっちり申請されて、管理者から注意を受ける場合もありまして、人それぞれ、予定していた時間を若干延びたり、または、このくらいだからいいや、ということもあって、必ずしも公平になっているかどうかはこれからも見ていかなければならないと思っています。

 その他として、繰り返しになりますけども、超過勤務時間管理を行うことは、公立私立に関係なく、際限なく学校に残り仕事をする状況を改善するためには必要じゃないかと思っています。実際に、先ほど、そういうコミュニケーションの例を挙げましたけれども、実習生のことも静岡大学の例にもありましたように、実習生を熱心に指導するあまり、遅くなってしまったり、実習生の様々な質問や疑問に答えるあまり、遅くなってしまって、一生懸命さのあまり、常識を逸脱してしまうことが、ないこともありません。そういう意味で、この時間管理をすることで、少しずつ意識が変わってきてるということが挙げられると思っています。

 以上、簡単でしたけれども、全体の説明とさせていただきます。5枚目に資料として、年間の超過勤務時間数をお知らせしておきました。

 それぞれの4月を見ていただきますと、一番左が14.4時間というのが幼稚園の教員、10.5時間が小学校の教員、17.2時間が中学校の教員、8.4時間が高校の教員とごらんください。

 こうやって見ますと、大体中学校で1日1時間程度の平均的な残業が発生していると言えると思います。もちろん、管理監督者が残業が多すぎますよというところは若干へこんでいますし、注意の仕方があまり強くないと、高くなっているところもあると思いますけれども、こういうような時間で今、推移をしております。これはお知らせまでということで、参考資料として掲載しておきました。

 以上です。

 

○ とてもわかりやすいお話をいただき、新しい学校のあり方の取り組みをされたことによって、教職調整額という問題をどのように取り組むといいのかというのが、見えた気がいたします。

 つまり、一人ひとりの職員の中で、能力があって、なおかつその仕事をせねばならないために多くの時間を働いている者と、能力の改善がいかないために、それだけの時間を要してしまう、これが同じ教職調整額のままでいいのかというと違うのではないかということが非常に見えてきたお話をいただいた気がします。

 その中で1つ質問です。この中で時間を管理されて、さまざまな方々、先生方がいろいろな能力の中で仕事をされるわけですが、仕事の能力を向上していくために非常に使われている気がいたします。教員に仕事の計画性、効率性が求められるようになった中で、先生方に負担なく一番改善された状況はどうであるかをお聞かせいただくことによって、この教職調整額の効果がどのようになしてくるかもはかり知れると思いますので、ぜひその辺をどのようにお感じいただいたかを、取り組みの中でお知らせいただければ大変ありがたいと思います。

 

【玉川学園】 仕事の効率性、計画性というのは、時間管理をしたからできたものではありません。私のほうで、先生方に考え方を変えてくださいと。決められた時間の中で効率よくやるために、先生方の仕事は足し算でいかないので、新しいことをやるんだったら何かを減らしていただきたいということも申し上げなければならない場合もありました。

 それから能力の問題ですけれども、どうしても平均時間を超えてくるのは、仕事が多い教員です。ですから能力がないから遅くなるとは考えにくいかもしれません。能力がある、30代くらいの年齢層の方々に仕事が集中してまいりますので、経験を積んでもらう、幅広く視野を広げてもらう、続いて管理職になってもらおうと思う場合には、いろいろな校務を当ててまいりますので、そうするとこちらの期待がついつい業務過多ということにもなりかねません。その辺のバランスが今までは、若いんだからやりなさいということが、数字としてあてがいすぎ、または能力を超えてあてがってしまったことが数字として見えてくることは、業務改善のためには、わかりやすいと。お互いに理解しやすいということが出てきております。

 具体的には、ある大きな学校行事を若い教員にできるだろうと思ってあてがいましたけれども、現実には残業が増えたので、無理ですかと言う声をかけて、はい。と言いましたから、じゃあわかりました。別な人に回しましょうということで、今までだったら頑張りなさいと言っていたと思うんですが、改善することができました。

 

○ 幾つか追加で教えていただければと思います。一つは、3ページの超過勤務命令の内容です。これを決めるのは非常に重要と思うんですけれども、先ほどのお話ですと、実態を調べながら最終的には36条協定の問題で決めたということなんですが、ここら辺、実際に決める手続きをお教えください。教員の方と、これは超過勤務にあたって、これは超過勤務にあたらないのかという仕分けを、どういう議論で、お決めになられたのかをぜひ教えていただければというのが第1点です。

 それから第2点目は、大体結果的に見ますと、1日1時間程度の残業です。要は超過勤務命令が認められる意味での残業だと思うんですけれども、ただ、お話にありましたように、打刻時間とずれがあるということなんです。実際問題、早出は除いて打刻という観点から見て、平均すると何時間くらい学校に残っていて、そのうちのどれくらいが超過勤務の対象になるのかをもし教えていただければと思います。

 それから3点目は、公立学校の場合に、教職調整額から移行できるかが非常に大きなポイントであるとともに、実際にどれくらいの金額が配分されるのかが大変関心の高いテーマと思うんです。玉川学園の場合は、大体、給料総額に対して超過勤務の割合が大体何%くらい実際問題として超過勤務手当の総額になっているのか、マクロ的な予算の状況ですね。お金がないから結局皆、サービス残業にしてよ、ということになるんじゃないかというのは一番大きな心配だと思うんです。そこら辺、どれくらいのお金の配分をあらかじめ考えた上で運用をうまくされたのかと。もし昔から超過勤務手当制度をとっていたのであれば、あまり問題なかったかもしれませんが、多くの私立学校はしばしば教職調整額をとっておられたんで、かつて教職調整額的な丸めたお金であったとすれば、どういうふうに移行したのかを教えていただければというのが3点です。

 それから4点目は、先ほどから超過勤務命令の内容の是非にかかわるものです。一応36協定でおおまかな枠はできているんですけれども、ただ、毎日5時までに皆さん出してきて管理者の側はいいとか悪いとか判断して、さらに次の日、妥当だったかを判断しなくてはいけないということなんです。ここら辺は実際どうやっているんでしょうか。まず項目にあたるかどうかというのが一応基準があるとしても、何時間くらいにあたるのか確認するのはどうやっておられるのか。先生との間でコンセンサスと言いますか、お互い納得しているものがないと、一々もめていたのでは仕事にならないと思うんですが、そういうものをどうやって構築されていったのかを教えていただければと思います。

 

【玉川学園】 ではまず、36協定の命令内容の決め方です。私どもがこれを決めるにあたっては、教員が全部集まってこういうふうに移行しますという会合を持ちました。それから何が妥当かということについては、全体の前で案を出しながら意見調整をしてやってきました。基本的には、無意味に残業手当のために残っているということは、私立学校ですので、お互いの了解の中でそういうことは基本的にないと考えています。

 逆に学校側としても、実際に子供たちのためにやっている、例えば、家庭との連絡ですとか、子供のけがで病院に運んでいるということも実際に起きるわけなので、それらについて超過勤務ではありませんというのは、学校側としても考えませんでした。ですからあくまでも子供たちのためにやっている。それが今日、今現在、子供のためなのか、明日授業で役立つことなのか、1週間後の学校行事なのか、時間的な問題はありますけれども、子供たちのためにやっていることについては、これまでどおりやっていくださいと。子供たちのものをやらずに残業時間が減っていく考え方はしませんでした。

 プロセスとしては、全体で集まった会合と何人かの代表者が集まって素案をつくる段階となっています。

 

○ 代表者には教員も入っているんですか。

 

【玉川学園】  教員が入っております。この36協定の教員の超過勤務の中身につきましては、教員が決めました。

 2点目です。実際の打刻時間と超過勤務の命令とのことです。これは先ほどコミュニケーションの話もいたしましたけれども、お互いに情報交換したり、お茶でも飲みながらとか、1日の緊張をほぐすために少し先生方同士で10分、20分時間を取りたいということもあります。

 それからどうしても、仕事としては終わったんだけれども、後片づけの時間はどうするんですかということは話題になりました。仕事はデスクで終わって、それから後片づけをして、カードリーダがあるところまで移動する、1分2分なんていう話も出たんですけれども、そういう時間は残業はつくんですかということになりまして。そういう意味で打刻はあくまでも退勤、校舎を出る時間ですと。中身についてはそれぞれ申請をしてくださいということになっております。

 ですから申請していただいたものについては、よっぽどのことがない限り、お互いに信頼関係の中で、わかりましたということにしています。事前命令が出せない1時間というのも発生しますので。事前命令が出せない場合、例えば、私が5時で確認をしたんですけれども、その後、家庭からまだ帰って来ないと連絡があった場合もありますので、それについては、そこに主任がいれば主任がじゃあやってくださいとなりますけれど、席をはずしていてだれもいない場合は、翌日、事後報告になっている場合も運用としてはあります。

 3点目の金額の話です。金額について、今日は申しわけありません、具体的な資料が用意できていません。サービス残業についてのお話もありましたけれども、サービス残業がないように管理監督者としては、働き過ぎではありませんかと。これはほんとうに申請しなくていいんですかと声をかける場合もあります。できるだけそういうことがないように信頼関係が崩れないような工夫、声がけはしていっております。

 毎日申請されてきた超過勤務の申請と、こちらの判断ですが、これについてもこの業務は何分ということは具体的には取り決めていません。その都度申請してもらった時間で基本的には認めていくようにしています。

 ただ、今日の私の報告の中で終始一貫しているのは、健康管理の問題ですので、4時間、5時間やらなければならない場合には、大丈夫ですかと。昨日も4時間やっていましたよと。もし仕事が多いんだったら言ってくださいねと声がけをしながら進めているということは日常あります。

 翌年の校務分掌の割り振りにも影響を与えてます。

 

○ 例えば、Webの事例を見ますと、1日1時間というと大体20時間というイメージなんですが、この人だと55時間という感じなんです。大体こんなようなイメージだと考えていいんですか。打刻時間で見ると、55時間が出てくるけれども、実際上は20時間くらいが超過勤務手当の認められる相場という感じでしょうか。

 

【玉川学園】  大体そうです。これは金額の問題もあります。超えてしまうと、私より手取りが多くなる。それはちょっと、という紳士協定はお互いにあります。笑い話でいつもそう説明しますけれども。あくまでも健康管理、業務の偏りということを言いながら進めております。

 

○ 相場感として1日1時間くらいという感じですか。

 

【玉川学園】  1時間くらいまではあるでしょうねということです。

 

○ 勤務時間管理ですが。開始時期というのが平成16年になっていますね。その以前は、超勤とか勤務状況はどういうような形で把握をしていらっしゃって、それがなぜそれじゃいけないということでこれから変えられたか、ここに健康と書いてありますけれども、主な理由は何かほかにあるんでしょうか。

 

【玉川学園】  16年以前は、通常の出勤簿の捺印でやっていました。16年のきっかけは、事務職員の健康管理の問題でした。事務職員の、特に大学の職員が入試時期になると、とてつもなく遅くまで残業が続くと。幾つか学部を持っていますので、その学部の入試が連続して続くということで、健康面で病んだ人がいて、長期に休まなければならないことがありまして、時間管理が始まりました。

 幼・小・中・高の教員については、16年にそういうふうに始まっていますけれども、そのあと、健康面の進む中で、もう1つは私立学校なので、時間管理をして超過勤務手当の問題が発生してきていました。それとリンクして話は進んでいています。時間管理だけで進んできているということではありません。

 

○ 教員の勤務の状況を把握する上では、一つのモデルをお聞かせいただいた気がするんですが。伺いたいんですけれども、1ページの資料と5ページの資料に関連するんですが、幼稚園から小学校、中学校、高校までの教員の配当の定数は、公立学校だと標準法ということで、学級数に応じて教員の配当がある程度決められているんですが、公立学校と同じように配当されているのかどうか。

 そうだとすると、例えば5ページの勤務の状況を見ると、ほんとうにいい資料なんですが、幼稚園、小学校、中学校、高校、これだけ超過勤務の差が出てくるんです。こういったことは先ほどもおっしゃっていましたが、教員の勤務状況は時間数だけではなくて、教育の内容とかにも関連するということを申し上げましたが、単純に見ると、これは明らかに幼稚園から小学校、中学校、高校によって配当にアンバランスがあると思わざるを得ない状況が出ています。その辺について、最初の配当基準がどのような状況か、公立学校と比べてどのようになっているのかということと、こういう結果等を比べてどのように考えておられるかをお聞かせいただきたいと思います。

 

【玉川学園】  教員の人数の配当については、所定のものと準拠してやっておりますので、特段偏りはありません。具体的に学校段階による超過勤務時間の違いについては、やんちゃな世代の中学生は生活指導に時間がかかります。また、保護者との連絡に時間がかかるのもあります。私どもは保護者と学校の中ので、Eメールのネットワークを持っていますので、小学校の保護者たちは電話よりもメールを使いますので、メールで済んでしまう。勤務時間内にやりとりが済んでしまうこともありますが、中学生の場合は、電話を使う場合が多い。また、放課後にさまざまな指導があったりする。全体に学校を幼から高までを見ますと、中学校の教員は放課後は忙しいというのが一致した認識になっています。

 だから中学校に異動したくないという教員もいるくらいなんです。高校生になりますとほとんど自分たちで授業を受けて、放課後先生方に質問をして、下校していくと。課外活動は抜いてですね。そういう状況ですので。これはやむを得ないとは思っています。かえって幼稚園の先生方が遅くまで準備に残ってしまうというのはあるので、女性が多いこともありますけれども、幼稚園の先生方の超過勤務を抑えていくことは管理者が気をつけているところであります。

 

○ 幼小中高と一貫教育になっているんですけれども、例えば、幼稚園と交流があるということはないと思いますが、小中とか中高とかは例えば高校の先生がある年に中学校にいくということはなされているんですか。そういうふうに順番に代わるということはあるわけですね。

 

○ 今、教職員定数の範囲内というお話を承りながら、小学校は専任の教員は54人なんですよね。それで非常勤は8人ですから、非常勤にはどういう方は入っているかは別問題として、小学校は何学級あるのかと、通常、54人という数字は小学校では考えられないくらい相当に大きな数で、教科担任制を導入していることにもなるかと思うんですが、その辺の学級数と、それから、54人の内訳、クラス担任だとか専科制を導入しているとかをお話をいただきたいんですが。

 

【玉川学園】  小学校の場合は、今、6クラス編成の6学年になっています。実際には6クラス編成は完成するのがあと2年。4年前に移行しましたので、6クラス編成は第4学年まできています。

 それから教科担任制というお話でしたけれども、教科担任制をひいていますので、私立としては英語の科目も特別に入れていますし、それから音楽のために人数をふやしていったりとか、芸術関係でふやしていたりというのもあります。必ずしも担任の数、プラスアルファということではありません。もう少し増えているということになります。それは中学でも同じようになります。

 中学校の場合も、6クラス編成は3学年になっています。高校段階では、これもまだ移行期間なんですけれども、10クラス編成3学年から段階を経て6クラス編成3学年に移行しているところでありまして、教員数の数を減らしつつある時期にはなっています。

 

○ まだ移行途中となると、学級数としては小学校では大体30学級くらいと考えていいですか。

 

【玉川学園】  そうです。

 

○ そうすると、専任の教員が54人ですから、20人以上は担任以外の人がいて、なおかつ非常勤講師の方が8人くらいいると。これはあくまでも教諭としてですよね。ですから事務だとか用務主事だとかは一切なしということですね。

 

【玉川学園】  教員として入っています。教育部長とか主任になりますと、担当する授業数が減ったり、それから兼担で中学の教員が小学校のある一科目だったり、小学校の教員が幼稚園のあるコマを持ちにいったりと交流をしていますので、数的にはこういう数になっているんです。

 

○ その場合に、担任と担任外の超過勤務の持ち方の違いとか担任がすごく長くなるからその人の分をほかの人たちに少し仕事の割り振りをして軽減をしているとかいうことはあるんでしょうか。

 

【玉川学園】  特にはないと思います。小学校の保護者の皆さんは担任に頼ってきますので、担任窓口でいろいろなことが入ってきます。それをほかの人たちにちょっと手伝って調べてくださいということは日常あるかもしれませんけれども、特段制度として担任はここまでで、それ以外はここまでという割り振りはしておりません。残業時間についても特段違いはないと思います。

 

○ 事前の命令簿の導入で業務の項目とか内容が非常によく見えるようになったと思うんですけれども、当然教員も変わったと思いますけれども、マネージャーのほうが教員への業務の関与の仕方、先ほども教員への仕事の計画性だとか効率性を求めるようになっただとかのお話がありましたけれども。そういう解釈でよろしいでしょうか。

 

【玉川学園】  そういうことを求めるようにはなっております。確かにそういうことを口にしていますけれども、あまり無機質に働き過ぎだから困りますとか、働かないでくださいとは言いにくい職種ですので、そこは私のほうでバランスを見て、今は必要な時期でこういう問題が起きているのでこれはやってくださいとなる場合もあります。必ずしも一律に業務改善、残業なしということにはしていません。加えて言うならば、子供たちが来ない職員会議だけの日とか、そういう日はノー残業デーにしましょうという申し合わせはして、むやみに残る、むやみにあとへあとへ、昼間ゆっくりしゃべってコミュニケーションして、夜仕事をするようなことはないようにしてくださいというようにはしています。

 

○ 1点だけご質問させてください。管理監督者と教員が非常に共通理解しながら、うまく時間管理をしているモデル的な職場と思いましたが、例えばどうしても試験のときに、採点を家でやるというような家への持ち帰りについて、これを始めたときにどのような話し合いがあったのか、また、現実にどうなのか教えていただきたいと思います。

 

【玉川学園】  持ち帰りについては、個人情報保護法との関連がありましたので、原則持ち帰りはなしとしています。USBなどの記録媒体も持ち出さないということで申し合わせをしております。

 今現在、個人情報保護法のPマークの取得更新の時期になっているんですけれども、改めて全体にどうですかと聞いてみると、持ち帰りはできるだけしないように学校の中で業務が終わるようにしているということがあります。

 ですから数年前までの、先生方がたくさん手をかけてあげればという仕事の仕方ではなくなってしまうのがベテランの先生方は若干歯がゆいというところはあります。

 

○ よろしいですね。1、2分時間が押しましたけれども、今日はこれで審議を終わります。ありがとうございました。

 

―― 了 ――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お問合せ先

初等中等教育局学校マネジメントプロジェクトチーム

(初等中等教育局学校マネジメントプロジェクトチーム)