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教員養成部会(第56回) 議事録

1.日時

平成20年12月24日(水曜日) 13時30分~15時30分

2.場所

文部科学省東館3階第1特別会議室

3.議題

  1. 平成20年度教員の免許状授与の所要資格を得させるための大学の課程の認定について(答申案)
  2. 教員免許更新制の現状について
  3. 教職大学院の現状について
  4. その他

4.出席者

委員

梶田部会長、安彦副部会長、石原委員、大原委員、風間委員、狩野委員、川崎委員、川並委員、甲田委員、佐々木委員、高倉委員、巽委員、田村委員、角田委員、壷内委員、渡久山委員、永井委員、野村委員、平出委員、宮﨑委員、八尾坂委員、山極委員、横須賀委員、鷲山委員、渡辺委員

文部科学省

金森初等中等教育局長、合田総括審議官、前川審議官、久保審議官、大木教職員課長、宮内教員免許企画室長、山田教職員課課長補佐、清重教員免許企画室長補佐、神田専門教育課課長補佐

5.議事録

 【梶田部会長】
 それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会を開催いたします。
 本日は、ご多忙の中ご出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 特に、本日はクリスマスイブですので、私のようなクリスチャンの者にとっては、夜、宗教的な行事に行かなければならないのですが、本当に押し迫った中で、皆さんありがとうございました。
 それでは最初に、この部会の委員として新たに審議に加わっていただく方がいらっしゃいます。また前回からこの部会の委員になられましたけれども、今回初めてご出席という方もおられますので、事務局からご紹介をお願いしたいと思います。 

【山田課長補佐】
 それでは、新たな委員の先生をご紹介いたします。
 草野委員がご退任されまして、全日本中学校長会の会長を務めていらっしゃいます壷内明先生が委員となられました。
 また、前回より委員となられました大原正行東京都教育委員会教育長でございます。

【大原委員】
 大原です。よろしくお願いします。

【山田課長補佐】
 以上でございます。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 それでは事務局より、本日の配付資料の確認をお願いいたします。 

【山田課長補佐】
 本日の配付資料をご確認願います。
 まず、議事次第に続きまして、資料1として、教員養成部会の委員名簿。
 資料2といたしまして、第54回の議事録でございます。
 資料3といたしまして、平成20年度課程認定申請大学等数について。
 資料4といたしまして、教員の免許状授与の所要資格を得させるための大学の課程の認定に関する審査について(報告)。
 資料5といたしまして、事務体制について留意すべき事項を付すことについて(案)。
 資料6といたしまして、教職課程認定基準の改正について(案)。
 資料7といたしまして、免許状更新講習プログラム開発委託事業を踏まえ、各関係者で今後望まれる取組。
 資料8といたしまして、教員免許更新制に関する予算案の概要。
 資料9は、東京学芸大学からいただいている資料でございます。また、その後に玉川大学からいただいている資料が配付されてございます。
 また、先生方のお手元には、前回第55回の議事録(案)もお配りしてございます。
 以上でございます。 

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 本日は、これから教員免許状の授与の所要資格を得させるための大学の課程の認定に係る審議を行います。この議事につきましては、教員養成部会運営規則に基づき、議事が非公開となっております。恐れ入りますけれども、この議事の間、報道関係者など外部の方は、一たん退席をお願いしたいと思います。

○教員の免許状授与の所要資格を得させるための大学の課程の認定に係る課程認定委員会における審議の結果について、野村委員より資料3、4、5及び机上配付資料に基づき報告がなされ、答申案が了承された。

【梶田部会長】
 教員の免許状授与の所要資格を得させるための大学の課程の認定に関する審査をまとめましたので、以下に掲げる課程については認定可として答申させていただきます。

(答申書手交) 

【金森局長】
 答申をいただき、ありがとうございます。この答申に基づきまして、速やかに文部科学大臣による認定の手続きをいたしたいと存じます。
 また、今回の認定を受けた各大学において、教員養成の水準の維持・向上が十分に図られますよう、各大学の取組を指導・支援してまいりたいと考えております。どうもありがとうございました。

【梶田部会長】
 無事答申させていただきました。
 課程認定委員会の委員の方々におかれましては、本当に長期間にわたるご審査等、大変お疲れさまでした。ありがとうございました。
 続きまして、教職課程認定基準の改正につきまして、事務局からご説明をお願いいたします。 

【山田課長補佐】
 資料6をご覧ください。教職課程認定基準の改正について(案)でございます。
 まず、1点目でございます。教職実践演習が新設されることに伴いまして、基準を幼小中高共通で開設できるものとして、規定をする案としてございます。
 また、「2.」のところは、それに伴う文言の整理等でございます。
 3番目につきましては、教職の意義等に関する科目、教職の基礎理論に関する科目の開設について等々、既に運用上行われていることについて明文化をする内容でございます。
 以上でございます。 

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 今、ご説明いただきましたように、教職課程の認定基準を少し手直しをするということであります。内容の方針はこの部会で既に決まっていることでありますが、それを事務的に整理して、こういう形にしたいということであります。
 皆さんの方で、ご質問、ご意見があればお願いしたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。これは事務的な整理ですので、後で内容はもう一度チェックしておいていただければと思います。
 それでは、これを当部会として決定することにいたします。ありがとうございました。
 続きまして、来年4月からの教員免許更新制の実施に向けました取組状況につきまして、事務局からご説明、ご報告をお願いいたします。 

【山田課長補佐】
 資料7をご覧ください。
 免許状更新講習プログラム開発委託事業を踏まえ、各関係者で今後望まれる取組ということで、表の左の欄が試行を踏まえて明らかになった課題等、あるいは状況でございます。右の欄はその改善のために必要な取組ということでまとめてございます。大変に色々な課題を得られたと、我々は収穫として認識してございます。
 幾つかご紹介を申し上げます。まず、1ページ目一番左上のところでございます。各開設者にとっても更新講習が有益だったという点をご報告いただいております。例えば教育研究機関としての存在価値を高められる、卒業生等への継続的な学びの場を提供できる、学校現場での課題、状況等を適時に入手できる、現職教員とのネットワークを形成できる等々の有益な事項があったというご報告をいただいております。
 また、様々な課題も明らかになってございます。例えば、5ページの左上でございます。修了認定試験のあり方についてでございます。例えば、試験問題として一般的な感想、あるいは制度の認知状況などを問うものでございますとか、単に受講者の記憶力を試すといったものが見られたというところでございます。
 それにつきましては、右側の○のところをご覧いただければと思いますが、まず一般的な感想や認知状況を問うような試験、「今日の更新講習を受けてどうでしたか」など、そういった試験は不適当だろうということ。その次の○は、最新の基礎的な知識技能を修得しているかどうかということをはかるものでございますので、単に記憶力を試すような問題というものについては不適当だろうということでございます。
 また、左に戻っていただきまして、その次の●のところでございます。受講者が過度に試験を懸念して講習に集中できないというような状況が見られたということでございます。試行を行った大学の実績といたしまして、例えば、事前のオリエンテーションなどで修了認定試験の基準、あるいは試験の形式等について説明をしていくということが講習の進行上効果的であったというご意見があったということをご紹介をさせていただいております。
 こういったように、様々な細かいことにつきましても色々な明らかになった課題とそのために取り組むべきものをお示しをしてございます。ぜひご覧いただければと思います。
 次に、資料8でございます。
 平成21年度の政府予算案でございます。教員免許更新制に関する予算として47億円程度要求をしていたわけですが、先日予算案がまとまりまして、10億2200万円という形になってございます。
 内容のところをご覧いただければと思いますが、2点ございます。まず、10億200万円の免許状更新講習開設事業費等補助ということで、更新講習を開設する大学等を補助するという内容がまず1点でございます。具体的には、山間・離島、へき地における出張講習の補助でございますとか、少数教科の補助、障害のある教員の講習の受講の配慮のための補助、また、更新講習のプログラム開発のための補助といったものを内容としてございます。
 もう1点が、教員免許更新制理解促進事業といたしまして、教員免許更新制の制度の趣旨等につきまして、一層の周知を図るといった内容となっております。
 以上でございます。

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 資料7と8をご覧いただければと思います。皆さんよくご存じのように、今年は免許更新講習を試行しています。試みで実施しました。もちろんこれを受けた人については、実際の講習が免除されるという条件をつけて試行したわけです。
 この試行した結果、主な課題、こういうことをもう少し考えていかなければいけないなということがまとまってきたということで、資料7にまとめてあります。
 同時に、資料8にありますように、これを踏まえて本格実施が来年度からですが、これにつきまして、このような予算がついたということであります。これは見方ですが、私から言うと非常によくついたものだなと思っております。いい具合に予算をつけていただけたなと思っております。
 全国すべての教員が10年間に1度、1年間で10分の1ずつということになりますけれども、皆に受講していただかなければいけないものですから、山間・離島、へき地をどうするかとか、色々と技術的な問題がございます。それについて、随分思い切って予算をつけていただけたと思っております。
 皆さんの方で、ご質問、ご意見等々あればお願いしたいと思います。
 渡久山先生。 

【渡久山委員】
 それでは、意見と質問を申し上げたいと思います。
 今年試行された大学が104ぐらいですよね。それと受講者が大体1万を超すぐらいだと思います。その試行の関係で見ると、資料7に指摘されているように大体こういう問題が出てきたということで、私もそういう話を聞いているものですから、今後の改善について、それはぜひとも改善のできるところは改善してもらいたいと思います。
 ただ、県によって、開設されている場所が受講しようとする立場から見れば必ずしも公平でない、むらがある。これは開設している大学の問題もありますけれども、開設教科の問題もあります。来年から実施すると、今年の場合の約10倍、10万人が受講なさるわけですね。そうすると、ここに出ているだけでは非常に厳しいものがあると思います。ですから、そういう面ではきちんとした条件整備をしていただきたいと思います。
 今年の試行の中で見たときに、今年は受講料が要らなかったんですね。大学、あるいは文部科学省の方で手当てしていただきました。
 それを踏まえて考えると、今の資料8にありました予算は10億ぐらいですね。しかし、概算要求では50億ぐらいの要求をされたと思うのです。それから言うと、5分の1ぐらいにしかなっていないのですが、果たして概算要求の段階で考えられたような計画が、これで実施できるかどうかというものが一つあります。
 もしも実施ができないで、約10万の教員が受けるとしたら、今年は試行だったから受講料を出さなくてよかったけれど、来年からは受講料は自分で出せというのかという問題が一つあります。今年もご案内のとおり、交通費、宿泊費は全部自己負担でしたから、そういうことを考えると、これは一つの質問としてお聞きしたいと思います。
 それからもう一つは、試行した大学のうち鹿児島大学あたりから出ていましたように、具体的に実習船を使って実習していかなければならないような教科科目、あるいは講座について、果たしてどれぐらいの数が実施できるのか。前回の教員養成部会でのお話で、鹿児島大学は1艘7名分しかできませんよという話でしたから、これでは非常に厳しいという問題が出てまいります。そういう特殊な教科における免許更新講習のあり方について、二つ目の質問としてお願いしたいです。
 それから、大学側の先生方のお話を聞いていますと、今年は思い切って投資してソフトをつくった。だから、恐らく今後何年間かで回収できるだろうという期待があるのだそうですが、果たしてそれがどうかは別として、やっぱり大学側に対しても受講者に対しても、一定程度措置をしなければならないだろうと思います。
 特に、この免許更新制というのは、従来ありました教員免許法で取得した終身免許を持った教員も対象とすることが前提です。10年ごとに、既に終身免許を得た者が講習を受けるんです。そうしますと、権力的とは言わないけれども、前の法律で措置された期待権など色々な問題を持っているのに、後で法律をつくって、国が決めていくときに全く経過措置等を含めない、あるいはきちんとした手当てをしないという場合は、非常に厳しいと思います。受講する方も開設する方も厳しいと思います。
 そういうことについて、今後の見通し等を含めて聞かせていただきたいと思います。
 以上です。 

【梶田部会長】
 幾つかご質問がありましたが、事務局のほうからお願いいたします。 

【大木教職員課長】
 1点目、2点目も含めまして、まずお答えを差し上げたいと思います。
 今回の予算でございますが、渡久山先生のご指摘にございましたように、概算要求段階で47億円という数字でございまして、査定の結果がこの10億という数字になってございます。
 端的に申し上げまして、47億要求した段階では受講料を取らない形で大学の側にすべて経費を措置するという前提で要求をいたしましたが、その受講料の自己負担分について、認められたか、認められないかと申しますと、やはり原則論としてはこれは認められないということで、その部分が抜け落ちているのが今回の予算でございます。
 ただし、受講料の負担を国がするのか、本人負担となるのかという争点とは別に、受講機会を全国で完全に東京都心と同じ状況にするというわけにはなかなかいかない事情もございますが、さはさりながら、いかに地方の県であっても、どんな僻地に住んでいても、受講が困難な状況にならないように講習が開設されるようにするという課題もございます。この点につきましては、少なくとも資料8をご覧いただければおわかりいただけますように、山間・離島、へき地等において大学側が出張講習を行うという前提で、それが大学側にとってコスト的に非常に重荷であるというご指摘が強くあった部分につきましては、今回経費を措置することができたと思っております。
 同じく、開設する側としてコストに合わないものといたしましては、少数教科・科目、ご指摘のような実習船を使うような場合も含まれると思います。高等学校の水産、看護、商船、あるいは特別支援関係の視覚障害でありますとか、大学が教員を本部のキャンパスに集める形で40人、50人で講習を開設するよりも、外に出て行って、出張講習をしなければならず、しかもそこに集まる人間が非常に少ないというようなケースも想定されますので、人数が集まらないような教科対策という部分につきましても、大学側が開設しやすいような環境を整備することができたのではないかと思っております。予算の関係については以上でございます。
 それから、経過措置というようなお話もございましたけれども、基本的にはこうした措置を通じまして、原則といたしましては今現在免許をお持ちの方に更新講習を受けていただかなければならないわけでございます。そうした方が非常に困難を感じることがないように条件整備をするとともに、資料7にありますように、細かい課題はたくさん出てきております。この資料は11月から12月にかけて、既に各大学なり教育委員会に対しては説明会を行って配付しておりますし、さらにメールでもやりとり等をしながら、こうした課題の認識を一般化するとともに、どう対応したら良いのかということも、我々としては情報提供をしていくつもりでおります。期待権というお話がございましたが、原則はやはり原則で、法律で現職教員も対象になってございますので、受講していただかなければならないわけでございます。混乱が広がったり、いたずらに不安感をあおったりということがないように、しっかりした対応をしていきたいと思っております。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

【渡久山委員】
 結果的には、受講料は個人負担ということになるのですか。
 今年たくさんの人間が応募したのは、受講料はかからないということで、わりと多くの人が応募したのですよね。しかし、実際は多くの人が申込時点ではじかれて受講できなかったということがあります。法律が通るときには附帯決議に個人負担をできるだけ軽減するようにということが入っていましたよね。
 それから、今お話がありました少数教科の場合、余り人数が多く集まらないということではなくて、結局、設備のキャパシティーが少ないというようなことがあるのではないですか。この辺をもう一度教えてください。

 【大木教職員課長】
 今、附帯決議について正確な資料は手元に持っておりませんけれども、趣旨で申し上げますと、可能な限り受講生の負担を軽減するようにという趣旨で附帯決議がついてございました。それが結果といたしまして、受講料について国がすべて負担するという形にはならなかったわけでございますが、国の手当てがないままだと特に地方に在住の方々に非常にしわよせがいったりとか受講機会が奪われるところを、10億円という経費を措置させていただくことによりまして、そうしたところを中心に円滑に受講が進むようにしたいと、我々は考えておるところでございます。
 それから、施設・設備ということに関しまして、この予算は例えば船舶の建造費とまではいきませんけれども、抜本的にそうした施設・設備の手当てをするというような額でもございませんし、そうしたことを想定しておるわけではございません。 

【梶田部会長】
 渡久山先生、よろしいでしょうか。

【渡久山委員】
 はい。

【梶田部会長】
 ほかにいかがでしょう。
 それでは、この報告につきまして、確かに経済的な受講料の問題は、財務省がなかなかうんと言ってくれなかったわけですが、ほかの点では色々と受講者の便宜を図る方向で予算をつけてくれたということだろうと思います。
 また、資料7は私もまだ十分に目を通しておりませんが、ここにありますようなものはこれから本格的な実施をしていく上で非常に大事な点だと思います。まとめて各大学等にお知らせするなど、参考にしていただければと思っております。
 この件につきましては、よろしいでしょうか。

(「はい」の声あり) 

【梶田部会長】
 それでは、色々と報告をいただきましたが、本日は教職大学院の現状につきまして、二つの大学から色々とお話を伺って、皆さんで意見交換を行うことになっております。
 今日は、東京学芸大学と玉川大学からおいでいただいております。まず、東京学芸大学の方からお願いいたします。小林正幸先生、教職大学院長であります。よろしくお願いいたします。 

【東京学芸大学 小林正幸教職大学院長】
 東京学芸大学の小林でございます。
 今から10分少々で、本学の教職大学院でどのような取組が行われているのかというところをお話できればと思っております。よろしくお願いいたします。
 目標と理念ですが、これは本学教職大学院の特徴というお話をしていきたいと思っております。まず、本学の教職大学院では、現代の教育課題を学校、地域の人々、あるいは専門家等々と協働して解決していくことができる高度な教職専門性を備えた人を近未来のスクールリーダーとして位置づけて、そういう教員を養成していこうと考えたわけです。
 理念ですが、そのスクールリーダーは学校で現代的教育課題に取り組む中心的役割を果たすべき教員で、教職員、保護者、地域の人々、専門家と一緒に問題解決に当たることができる教員と考えました。
 そこで目指す教師像としては、学校の改革・改善に具体的なビジョンを持てる教師、それから、それに向けて人と人をつなぐことができる教師、チームの力を引き出してまとめられる教師と考えます。こういう教員を育成することで、学校教育の場で実際に組織を改善して、授業・教育活動を向上・改善していくことができる中核的リーダーの養成ができるのではないかと考えたわけです。
 スクールリーダーを考えるときに「協働する力」が一番大きなもので、これには4つの点を備えたときに「協働する力」ができるであろうということを示しています。
 一つは、自分たちが行っている実践を振り返って、つまり内省的・省察的に振り返って、それを乗り越えていこうする柔軟な実践力。
 それから、学校づくり、授業づくりに持続的に参画ができる、創造的につくり出していく力。
 そして、実践と理論のかけ橋をつくることができる高度な教職専門性。
 そして、最後4点目ですが、率先して問題を解決していこうとするリーダーシップと、それと対概念になる、リーダーシップを発揮していく人間を支え、補佐していくフォロワーシップ。学部からの進学者であるストレートマスターと、現職の教員という双方の学生がかかわる中で、これをきちんと持っている人をスクールリーダーとして育てていきましょうという考えのもとに、カリキュラム等をつくり上げていったわけです。
 カリキュラムですが、どの教職大学院も似たような形で進んでいるところではありますが、課題を発見して、こうしていったら良いのではないかということを考え、連携協力校等に実際に出かけて行ってそれにトライして、どうだったかを振り返って、それを授業の場面に戻って考えていくという、学校内外の協働とプロデュースのサイクルと呼んでいる学習の流れを大事にしていこうということでございます。
 カリキュラムは大きくは3種類で、図の下がいわゆる共通科目で、5種類7科目あります。これについては必修という形で指定されてきた非常に重きのあるものですが、本学教職大学院の特色であります。これをベースとして全体として課題研究という柱を打ち立てて、左側に「選択科目A」とあり、これにつきましては、今学校の中で特に課題となっている、注目されている教育課題。右側には「選択科目B」として、比較的普遍的にあるであろう課題を設けまして、この中から自分の課題研究を実習を通して遂行していくという流れをつくっております。
 この中で、この科目はストレートマスターには比較的向いているとか、こちらは現職向けということは、それぞれ履修モデルをつくり上げて提示はしておりますが、多くの科目はお互い一緒に学ぶという形になっております。
 考え方としては学生自らの問題意識に基づいて課題を設定し、連携協力校の実習などを通して実践的な解決を目指し、最終的には研究成果を課題研究で発表していきますけれども、課題研究だけではなくてすべての科目を通して、各自が1本の筋道を立てていくという形のものです。
 次ですが、お手元の資料の6ページは2年間を通して履修していくもの。それから、7ページにありますのが1年履修プログラムというものです。実習科目の中で何をそれぞれが目指していくのかということを、学部卒業生については下側に示しています。
 実は現職教員学生の2年履修の者は現在入学しておりません。ですが、このタイプの人たちが入ってきてくれるとありがたいと思っています。そういう受験生も出てきてはいますが、残念ながらまだおりませんでした。ということで、6ページの目標の上側のタイプは現在学んではいないということであります。まだ2年目ですので、21年度に現職教員学生はおりませんが、学部卒業生が下側で、来年はこういうことを課題達成実習を通して行っていくということでございます。
 1年履修プログラムについては、初年度に行う7単位分について免除されます。通常の入学試験とはまた別に、現職教員として1年履修プログラム、つまり7単位分の実習が免除できるかということを見た上で、1年履修ということですが、課題達成実習としては2年目の課題に連携協力校で実現していくという形になるものです。1年間で実現していくということで、相当にハードな部分があります。
 本学の連携協力校のタイプですが、東京都ではほかの県からも来ておりますから、色々なタイプがありますが、一番上は現職教員のもので、勤務校が連携協力校となり、そちらで実習を行っていただくというタイプでございます。
 それから、2番目は学校側ニーズ対応タイプ。これは学校の側でこういう教育課題に取り組んでいるのでということで、それに応じていくタイプ。それから、教育委員会が指定してくるタイプ。それから、附属学校タイプ。今2名の者が附属学校関連に行っていますが、1人は国際理解教育中高一貫に行っておりますし、もう1人は東京都に合格した者で、本学の附属の特別支援学校に行っているという者がおります。
 そういう形で様々な連携協力校に出かけていっています。2年間で540時間を超える実習を行っております。
 今回私どもが呼ばれて、丁寧に説明するようにというふうに言われている部分でございます。教育委員会との連携協力の状況ということでございます。
 これは東京都教育委員会との協定の内容でございます。共通課目20単位、我々でいいますと7科目ありますけれども、5種類の7科目、その中の30%程度を内容として指定してきました。この30%について言いますと、もともと中央教育審議会から出されてきた内容の中で、我々からどう考えても、それはなければいけないと思われるものですので、当然のごとく内容として含まれているものでございます。
 それから、実習内容の一部を指定という部分もございます。逆に、入学定員数に見合った連携協力校で教育委員会関連のものについては特に教育委員会が指定し、提供してくださいという形のもの、これは東京都内の4つの教職大学院がいずれもこの内容の協定書を結んでおります。
 3番目です。上記1、2について、第三者評価システムが評価を行うという形になっておりまして、これについても評価委員会が教育委員会とは独立に設けられて評価が行われているということがございます。
 4番目ですが、教員採用選考の特例ということで、大学が推薦した者について教員採用選考の特例を設けるということ。それから、連携協議会を設置し、より一層の連携を深めることを目的として、連携協力校、教育委員会、大学という三者で今後の進め方について話し合いを定期的に行っていくというものも実際に行われていることです。
 それから、その他の教育委員会との連携ということで、協定書には記載されていないことではありますが、東京都教育委員会は教員採用合格者が教職大学院に在学となった場合、採用を2年延期するということで、既に現在数名の者が東京都に合格しています。
 神奈川県教育委員会は、教職大学院在学中に教員採用選考に合格した場合、採用を1年延期するという形になって、これで合格している者もメンバーの中におります。
 それから、連携協力校に関してですが、他県からの派遣教員大学院生や他県への就職を希望する学生のために、我々の地元三市、小金井、小平、国分寺という市が隣接してあるわけですが、その教育委員会の協力を得て連携協力校を独自に設置するということを行っています。
 どのような学びの現状なのかということで、これは今こんな人数でおりますよという資料です。様々な学生がおりまして、これは玉川大学さんもきっとそうだと思います。
 複数の大学教員の学びがどうなっているかということですが、複数が入り込むことによって、我々ですと実習担当の教員と課題研究担当の教員と、あとは専任で、生活指導というと変ですが、生活指導面での担任という形で3名の大学教員が1名の大学院生を見ていくという形です。それがお互いにさらに現職教員、今は現職教員の枠に2年生がおりませんので、とりあえず3角形構造になりますが、お互いがお互いの足りないところを補うメンタリングという考え方を導入して行っております。
 それから、研究者教員と実務家教員の指導状況、関連性ですが、今もちょっと触れましたけれども、こういうメンバーです。実務家教員が10名、研究者教員が8名、来年度からは11名になりますが、このメンバーで学生をサポートするように動いております。キーワードが「協働する力」ですので、我々教員間も「協働する力」がないとできない授業という形になっています。
 専任の会議、我々の会議は月に4回あります。教職大学院の意思決定をしていく会議を、運営会議と呼んでいます。今それを欠席してこちらへ来ておりますが、特任教員たちとの全員の会議が月に1回あります。それから、課題研究グループ別指導が月に1回。課題研究も1人が1人を指導するのではなくて、複数が複数を指導するという形を月に1度行っています。1人の院生に3人の指導教員がつきますので、お互いの話し合いが非常に重要だということになっており、相当に忙しくやっています。
 課題研究は実は課題となっておりまして、何が課題となっているかというと、研究者教員のほうは修士論文の指導評価指標のようなものはあります。ある程度領域が違っても、これが修士論文として通用するねというものはあるのですが、課題研究がどこまでいったら良いのかということと課題研究で一体何を育てているのかということが、研究者教員間にも考え方の違いがありますし、実務家教員間にも違いがあります。
 単純に我々研究者教員が学術的なものばかりかというとそうとも限りませんし、実務家教員が現場中心で臨床中心かというと、必ずしもそうとは限りません。どのぐらいのものが課題研究として評価され得るものかが課題となっています。
 それから、指導のスタイルが我々大学人の指導スタイルと、東京都ですと、今はなくなりましたが、東京都立教育研究所という場所で行われていた、教員を研究の中で育てていくというスタイルの中で培われてきたノウハウを持っている方とで、指導方針自体もお互い共有することに問題があるということです。
 本年度になりますが、「実践的指導力育成を保証する評価指標の開発」事業を申請して、専門職大学院等GPとして、これについて研究を重ねながら、このあたりの調整を図っているというところでございます。
 駆け足ですけれども、これで終わります。

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 ご質問、ご意見は2大学のお話を伺ってから、合わせてしたいと思います。
 次は、玉川大学から、教職大学院科長、長野正先生にお願いいたします。 

【玉川大学 長野正教職大学院科長】
 玉川大学の長野でございます。よろしくお願いいたします。
 ご承知のように、まだ開設1年目も完了していない現状の中でございます。その途中での現状報告を申し上げたいと思います。いわゆる中規模校の私立大学として、この内容にどのように対応し、どのように現状が進んでいるかという形で聞いていただきたいと思います。
 私どもが今改めて感ずるのは、数年前、この教職大学院制度そのものの立ち上げが国として起きましたときに、この制度設計、内容等につきまして、極めてそちらで多くが決められていっていたということをまず感じます。それはもちろん悪い意味ではございません。縛りという意味でもございません。
 この教職大学院制度は、教師養成の一環の中で、こういったものを必要とするんだという教師養成の枠の中で、ここにいらっしゃる先生方の発意によりまして、カリキュラムの内容まで相当厳粛に、細密に決まっていて、私どもはそれを正面から受けとめていますし、しかも相当厳しい審査が行われております。今年に関しても、一層厳しい審査が行われたと耳にしております。
 そのさなかに立ち会いました人間として、私立大学として、今の制度設計のもとでこの教員養成をどのように考えていったか、言うなれば玉川らしさを、あるいは魅力をどこにつけようと考える中で、現在取り組んでいるさまを申し上げたいと思います。
 お手元資料の玉川大学教職大学院のパンフレットのみをご覧いただきながら、説明をさせていただきます。
 私どもの玉川としての特徴というところでは、そのパンフレットを開かれました1ページ、2ページ目に載っておりますが、例えば育成する人材、あるいは目指すものという理念等に関しましては、もうお気づきのとおり、制度設計の中身からの抜粋等でございます。
 スクールリーダーという言葉に代表されますような、この内実を保証していくという理念につきましては、私たちはいささかも否定するものでないどころか、むしろ正面から受けとめています。従来の学部教育の教師養成の上に今日こういったものが必要であるというところで、高度な専門的能力やすぐれた資質を有する、いわゆる高度専門職業人としての教員を養成するということで、私たちも進んでおります。
 ところが、その中で玉川のここ80年間の歴史の中で今までの実績を踏まえますときに、この制度設計の取組と玉川のそういった思いとの中で、例えば一つの典型的な例でございますが、私どもは小学校の教員養成のみに特化をしております。これは中規模ゆえの、ということでは決してございません。むしろ小学校教師こそが、資料3ページ、4ページに記載されている基本5領域を体現する、いわゆる全面的な教師であるべきであると考えます。これがややもすると、中学・高校になりますと分科的な職層になりがちだろうと思います。例えば、教科教育などに偏りがちなのに対しまして、小学校教員は教科指導と生徒指導の両面におきまして、全面的な指導能力が求められます。
 この観点を考えますときに、小学校教師こそが基本5領域を文字通り1人の教師に体現していく、そこに責任を持って保証していくことが重要であろうと考え、私どもは学長のリードのもとで、小学校教師に特化しております。かつ、その中にコースはございません。いわゆる若い教師、あるいは管理職養成のコースというようなコース分けもしておりません。
 ストレートマスターか現職教員かの違いはありますけれども、小学校教師としていかにあるべきか。時代を踏まえて、今、これからの小学校教師としての高度な専門職能力、そのプロフェッショナルエデュケーションに取り組みたいと考えてスタートしたところでございます。
 基本5領域のところは、いずれの教職大学院でも課されております。しかし、私どもはご覧のように、その一つ一つの領域に2科目ずつを配して、すべてを必修としております。この5領域で、それぞれ4単位ずつを全員ががっちり学べ、どれも過不足ないかたちとなっています。この中からの選択も許さないということで、ここにご覧のように5領域2科目ずつ10科目が一番左側に示されております。
 もちろん理論と実践との融合型というような形態も制度的にはうたわれておりますので、私どもも十分にそれを心得て、今度は我々の授業の仕方の工夫がこれを裏づけていくものだと考えております。
 また、次の枠に学校における教育実習について示しております。ここをご覧いただきましたときに、他大学との大きな違いが出ていると思います。ご承知のように、現職といえども10単位の学校における実習をということが出ておりますが、経験により一部担保、免除可能であるということも言われております。
 ここではストレートマスターの実習過程が次の枠に出ております。恐らく現在19大学の教職大学院の中で見ましたところ、私どものみが1学期に10週間の継続実習をここに置いていると心得ております。他の大学の場合は、1年次に何単位、2年次に何週間というような、いわば分散型になっていると承知しております。私どもは、小学校現場で言いますと2学期、私どもの大学で言いますと秋セメスターの一学期間をすべて実習に出しております。
 これはひとえに継続的な実習能力をそこで培いたいと考えるからであります。また現状の長期的な学校の動きを見て、学校課題もキャッチしていく。しかし、ここはフローチャートでご覧いただくとおり、何よりも基本5領域を現場で体現していくような実習と心得ておりますので、学部の教育実習との大きな違いは、左側の5領域を経験でき得る教育実習10週間という形でとらえて動いていることです。
 なおかつ、教育実習をあえて基本、発展というように分類しております。原則的には、ここに5週間、3週間、2週間という区分を設けておりまして、公立小学校A校、B校に実習に行くこととなります。一つの学校に10週間という惰性も外しております。違った公立のA校、公立のB校というところで、基本を押さえ、ここに必ず事後指導を入れて、君の次の学校での実習課題はここを特に強調して学んできなさいということで送り出しをしています。
 そして、一方で先ほど3週間、2週間と申し上げましたが、異校種での実習を組んでおります。つまり、小学校での教育実習、小学校教員特化と申し上げましたが、プロとしましては幼稚園もわかる、中学・高校も知っている、その中で小学校の発達課題は何であるかを知るために、長期的な実習の中には、上下の学校での実習も組み込んでおります。
 後ほど申し上げますが、これも日本唯一だと思いますが、1キャンパスの中に私どもは3歳児から大学院生までが同居しております。このキャンパスの利点を生かしましたときに、先ほどの5領域、それから実習の一端として、併設校等々で下から上までを体験することができる。これも1キャンパス内での大きなメリットであり、日本唯一ではないかと心得ております。
 この見開きの左側の制度設計、即ち基本5領域と実習をそのように心得て、次の4ページ目に自己の課題へのアプローチ、自己の問題解決というように組んでおります。自己の課題へのアプローチというところが、選択科目群でございます。
 私どもはもう一つの教員養成の柱に、個性豊かな教師の輩出ということも据えています。小学校の教師といえども、総合的な基本5領域の体得はもとより、さらにエキスパートとして磨きたい。これは今日の方針で言うならば、個性豊かな教師も、というところでございます。専門性、もしくはエキスパートとしての知識を深めたい。そのようなところで、玉川が責任を持てる科目をそこに配しております。
 例えば、後ほど触れますが、「脳科学と教育」という科目が典型例で、玉川が抱えている脳科学研究所とのリンクで1キャンパスの中で学んでいただけるというような事柄で、選択科目を配しております。
 最後のところが学校課題研究と呼んでおります。このフローチャートでお示ししたような体験を踏まえながら、現職教員におきましては既に抱えてきた問題、地域から要望されている問題、東京都からの課題といったところも含めまして、ここに3単位の学校課題研究を必修として義務づけております。
 平たく言いますと、かつての教育学専攻の修士論文に当たるようなたぐいととってもよろしいかと思います。もちろん教師養成の一環の中でも最後の課題研究で、全員に課しております。こういった解決方式を携えて、また現場へ帰るというような流れで見開きのカリキュラムの体系化を組んだ次第でございます。
 続きまして、5ページ、6ページを見ていただきますと、先ほどの専門性もしくはエキスパートに関係するところでございます。そこに教育経営、授業技術、心の教育実践、特別支援教育という4本の柱が出ております。ただし書きがありますように、これはコースではなくて、プログラムと言ったら良いと思いますし、複数の組み合わせが当然起きます。自分の全体的な共通科目の履修と合わせて、卓越した部分の勉学を深める一つの履修モデルでございます。このようなものも置いて、玉川大学の内容を今進めてきているというところでございます。
 先ほどから申し上げている1キャンパス内に下から上まで、あるいは多機能のそれぞれの支援部署があることが、7ページ、8ページ、挟み込みの地図も含めましてご覧いただけるかと思います。繰り返しますけれども、我々の伝統という以上に利点として、この1キャンパスの中に下から上まで、また先端の技術研究所もございますので、こういったところをフル回転させ、教師養成にこれらをリンクさせて取り組んでいる現状であるというところでございます。
 現在、率直に申し上げて、私どものところは20名の定員に17名の入学でございました。これはどこに申せばよろしいのかわかりませんが、この数字だけを見て定員割れという言葉が横行しております。この点は、他大学も含めて内実として非常に忸怩たるものがございます。私どもも二十何名の応募者の中から絞り込んで20名にしたのでありますが、入学辞退が3名出た結果、17名になったという内容を持っております。
 この17名のうちの9名が、いわゆるストレートマスターでございます。8名が現職教員でございます。現職教員については東京都との連携等もございますが、中に一例で北海道・札幌から自払いで来て、玉川大学の近くにアパートを借りて、1年学ぶというようなケースもございます。
 この札幌から来ているAさんは、教職経験が20年以上ありますが、玉川を熟知して、ぜひ学びに来たいということが入学願書の段階から極めてよく分かりました。入学する心構えとして、冒頭申し上げたこの制度設計の理念に彼女も賛同して、20年を経てもここに来ております。
 この意味では、一つの大きな課題だと思いますが、玉川の教職大学院がどういう魅力を持っているのか、教職大学院がこういう内容だという広報、周知をもっともっとするべきであると考えます。後ほどの課題としても申し上げたいのですが、こういうものに学んでいこうとする教員はもとより志の高い教員でございます。Aさんもそうでございました。逆に言いますと、そういう教員こそ学校は離したくないというところがあります。1年なり2年学校現場をあけて、それでも学びたいと考えるということは、むしろもう放っておいても質が高いのではないかという気さえしております。一方で教職大学院をより広報することによって、多くの教員が参加し、日本国の教員養成はもっと盛んになる。まだまだ一部的であるということは言わざるを得ないと思います。
 このAさんについては、私も個人的に彼女のプロフィール、ポートフォーリオをとり続けておりますけれども、例えば特別支援の授業でも現場の医者の、あるいは脳科学の話を聞けること、そして考えることは、これだけでも玉川大学教職大学院に来た甲斐があったというコメントも寄せておりますし、日本教育工学会を初めとしてiPodの漢字教材の開発をしたりもしております。私は、自払いで来ていて、金も時間も無駄にできない彼女の動きを日夜見ておりまして、極めてこの教職大学院の制度、中身によって、より優秀な理念を裏づけていく教師が育ちつつあると確信しております。
 課題として申し上げたいのが2点ございます。
 まず、私どもの内部的な課題は幾らでも考えております。文科省からも東京都からも評価の実地調査を受けております。これもまた珍しいことで、1年の途中で文科省から実地調査委員もお見えになっております。東京都からは18人の委員が調査に参りました。そんな形で受けてはおりますので、内部的には我々はもっと1年後、2年後に変えていかなければと思っていることは当然ございます。しかし、今あえて申し上げたいのは、外部的な課題でございます。
 その1点目は、先ほど申し上げたことです。入学者をもっと増やすべき制度ができないのかということでございます。現状では、1大学の魅力をアピールすることでそれを願っているしかない。ホームページはもとより、努力はしております。様々なガイダンスも行います。しかしながら、先ほど申し上げたような背景の中で、Aさんも現に自分の後にもっともっと多く来ることを期待すると言っていますが、現在、特に一般教員について、東京都の場合もそうですが、「A選考合格」の派遣が一番多いのでございまして、これは命令研修です。
 私どもはこの制度設計からいきますと、むしろ一番歓迎したいのは一般教員のレベルアップであろうと考えます。なまじA選考合格者が来ておりましても、来年から指導主事となる、その事前研修のような形で臨んでいるので、その概念区分けをしなければならない。そういうことを考えますときに、どこに訴えればよろしいのかわかりませんが、この会でもぜひ取り上げていただきたいのが、一般教員が教職大学院に行きやすい設計がさらにできないかと思うのが、入り口に関しての一つの課題でございます。
 もう一つは関連いたしますが、出口の問題が課題を抱えていると思います。あからさまに申し上げますと、教職大学院を出ると何のメリットがあるのか、ということがあまりにもずさんであるということでございます。
 せっかくこれだけの苦労をして帰った。しかしながら、結論としては、札幌のAさんも個人の財産に終わらざるを得ないのではないか。スクールリーダー、または地域のリーダーとおっしゃるならば、ここにもう一つ教職大学院を出たらこういうメリットがあるということが、制度的にあるべきと考えます。仮に給料が上がる、職位が上がるなど。ストレートマスターの場合は先ほど協定の話がありましたように、特例としての選考がある、あるいは初任者研修一部免除も考えられます。と言いましても、これは2カ年学習すれば当たり前のことです。特に気になりますのが、現職教員学生が修了するときに利点は何なのかということを目に見える形で出していかないと、せっかくのこの教職大学院が日本国的には発展していかないのではないか、ということを感じております。僭越ながら、私はあえて外部の課題としてそれを感じております。
 以上、大急ぎではございますが、玉川大学としての内容と、恐らく共通的な課題であろうというところとを強調させていただいた次第でございます。どうもありがとうございました。 

【梶田部会長】
 どうもありがとうございました。
 ただいま東京学芸大学は小林先生から、玉川大学は長野先生から現状、課題等々お話しいただきました。
 皆さんの方で、ご質問、ご意見あればお願いをしたいと思います。いかがでしょうか。どういうところに関してでも結構です。
 安彦先生。 

【安彦副部会長】
 東京学芸大学の方に、ちょっとお伺いしたいと思います。
 課題発見実習と課題達成実習、この二つのうち、発見実習の方は自分でどういう課題を見つけるかを直接体験しながら知るということだと思います。達成の方は、先ほどのお話を聞き、あるいはプリントを見る限り、課題そのものが連携協力校の方の教育課題にかかわるものだとか、その改善プランをつくるという形になっていて、比較的連携協力校が持っている課題に院生のほうが関わって、その課題を体験的、あるいは研究的にアプローチするというように受けとめられるのです。
 院生自身の課題意識とか問題発見ということについての位置づけ、あるいは連携協力校との関係はどうなっているのかなということをお伺いしたいと思います。早稲田大学の場合も、それがやはり一つのポイントになっておりますので、ちょっと伺いたいと思います。 

【小林教職大学院長】
 本年度について、連携協力校が持っている課題と、入学選考の際に審査書類の中に課題研究にどのようなことを追求したいですかという問いかけを入れていますので、合格した者については入学前に、そこで目指しているものを合わせていくということをしておりました。ですから、入学の前から連携協力校をこちらが選択していく際に、本人が持っている課題研究の方向に合う学校を見つけていくということを本年度については行っていました。
 ただ、やっていくうちに、本人が持っている課題研究の設定枠はストレートマスターは非常に甘いので、もともと考えていたようなものではとても通用しない。いかにそれをレベルアップさせていくのかが、発見実習の課題となっていき、レベルアップしていくうちに、あるいは実習をやっていくうちに次第に課題研究では別のエリアに興味が移っていくというようなことは実際には起きてきています。
 ですけれども、これを通して何を学ばせたいのかということからすると、A校だけに特化した課題ではないということがございます。ですので、今お尋ねのことで言うと、連携協力校の課題に合わせていくので、したがって追求する課題がこじんまりとしてくるのではないかと言えば、最終的にそうはなっていかないのではないかということ。そして、これを通して何を学ばせたいのかというと、ご本人が抱えている意向を達成していこうというのが課題研究なのですが、それとこの実習とをどう合わせていくのかというのは、我々にとっていつもそれを見ていないといけないという意味での課題となっているところでございます。
 それからもう一つは、例えば私は選択科目の中で子どものライフサポートというのをやっていまして、今年度はJAICAさんの協力を得て、2回だけ授業の中で取り上げたのですが、ネパール国の文科省の高官の方と厚生省の高官の方をお招きして、そちらの中で義務教育をどうやって達成していくのかということについて、2回の授業の中でプランを立てさせるというようなことをさせました。
 これをすることによって、現職教員もストレートマスターも自分が持っている体験や知識が何の役にも立たないところから、本当に役立つ課題を解決していくプランをどう立てていくかというような体験をしました。そんなことも工夫しながら、これを通して何を育てていくのかということは非常に考えながら進めて行っている気がいたします。 

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 では、横須賀先生。 

【横須賀委員】
 ご報告どうもありがとうございました。
 制度設計に加わった人間として、1年目二つの大学で大変順調に展開していること、うれしく思っています。どうもご苦労さまです。一つ伺いたいのは、玉川大学では学校における実習が既に行われているとのことですが、東京学芸大の方はまだ、ということでしょうか。 

【小林教職大学院長】
 実施しています。 

【横須賀委員】
 それでは、両方に伺いたいのですが、実習先の連携協力校の受けとめ方について、先ほどどちらからもお話がなかったので、これは順調に進んでいるということは当然だと思いますけれども、これまでの学部学生の教育実習とは性質が違うものとして、しかも重要視して設定してきたことも踏まえて、連携協力校の学校、あるいは一般教員から、実習に来ている院生の活動について、どんな評価、あるいはどんな観察がされているかということを教えていただければと思います。

【小林教職大学院長】
 まず、それぞれが違うのですが、ストレートマスターの方が実習へ行っている時間が長く、1学期の間は週に一度、丸一日という形で7回行きます。2学期、3学期は週に2回でずっと行き続けるという形になります。来年度はさらに、実際の単位数で言いますと週に一度程度で単位は充足するのですが、これは課題研究の達成がありますので、学校との話し合いで週に2回もしくは3回学校に行くという形になっています。
 連携協力校ですが、週に1回、1日行くスタイルでスタートした時点は、管理職の先生方は非常に分かっていて、指導教員の先生も分かってくれているのですが、学校全体に理解してもらうのに少し手間取った感じはありました。ただ、2学期になり、実際に彼らが学校での授業を展開していくようになっていった段階で、学校での認識が随分変わってきました。
 ただ、うっかりしますと、学校にとっては1人教員が増えたかのような感じに扱われて、副担任になったのは本人にとって良いことなのですが、こちらが目を配っていないと、部活をやってくれないかとか、授業の最中に子どもが暴れちゃったので来てくれとか、そこまで頼りにされるのもどうかなというようなことも逆に起きています。
 ある部分で非常に高く評価されてはいるところはありますが、あくまでも実習の範囲の中で収めるという意味では、学校に頼りにされ過ぎないようにという微妙なところを今保っているのが実情です。 

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 長野先生、お願いします。

【長野教職大学院科長】
 今、小林先生がおっしゃった傾向は、私も同様です。
 もうちょっとあからさまに申し上げます。連携協力校の学校、学校での温度差が極めてございます。これは学校現場で、または協力校そのものがこの制度の趣旨やこういう実習が学部生とどう違って、どうすべきなのかという受け入れ段階での理解がまだまだなされていない。
 もちろん経験がないことですので、理論的に理屈づけてというのは難しいのですが、学部段階とこう違って、こうなんだという、教職大学院の制度としての学校実習の意義をあらかじめ酌んでいただいているかどうかという温度差が極めてございます。その温度差は、学校の内部にもございまして、校長先生は分かってくれたけれども、実習生を直で、長期に指導してくれる文字どおりの担当の先生のところで、まるで学部生の実習と同じように、と言ったら良いでしょうか、そういった部分が非常に見えました。
 ただし、私どものところは申し上げたように、最低でも5週間かかわりますのと、制度設計にもございましたように、大学院側が責任を持って実習指導をするというところが大きな違いでございますので、毎週水曜日等に1名ないしは2名の教員が必ず実習校に参ります。そのことを積み重ねていくことで、学校現場がそうなんだということが見えてきたのが今年だと感じております。
 これは、もっと言うならば、東京都教育委員会の連携で言いますと、都教委が連携協力校にこの趣旨をもっと徹底させてほしいということも課題だと考えております。
 しかしながら、こうやって経てきましたときに、例えばこの前の聞き取りで出たのは、「連携協力校では一人前の新人教員という意識で受け入れています。教職大学院の実習は学部実習とは異なり、授業だけではなく、生徒指導や学級経営等教育活動全般について、より実践的な実習を行うので、修了後は即戦力として期待ができます」。これが、ある校長先生並びに教育委員会からの回答でございます。これを見ますと、時間はかかったけれども、追い追いに徹底していって、より実が上がっていくのではないかという希望は持っております。今年はやはり走りながら考えた、考えながら走ったという、1年目の温度差が出ていたように思います。 

【梶田部会長】
 ありがとうございます。
 では渡久山先生。

【渡久山委員】
 二つの大学に非常にご苦労いただいていることに対して感謝したいと思います。
 一つは、今もお話がありましたようにやっぱり教職大学院を出た後、何のメリットもないということがありますよね。これは両大学もそうでしょうけれども、マスターあるいはドクターを持った者が教育の現場に行っても、それほど優遇されたりしない。特に、現職教員が大学院に行った場合、帰ってくる職場の保証がないというのも非常にまずいですよね。
 給料の保証というのも大事でしょうけれども、現職教員が行ったときには、現場復帰がきちっとできるという保証をしていかなればいけない。そのためには、研修のための定員を別枠にとって行かなければ、これは恐らくできないと思うんです。
 これは教員政策の一つとして、今どこの国でも高学歴化していますよね。それを見ますと、やっぱり日本もだんだんそういう方向に踏み込んでいって、多くの教員がマスターぐらい持っているんだというような形を展望していただくように努力してもらいたいということを特に要望したいと思います。 

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 本日は東京学芸大学、玉川大学から、小林先生、長野先生においでいただきましてご報告いただきました。ありがとうございました。
 今、最後に渡久山先生に問題提起していただきましたけれども、教職大学院の問題は一つの大学院制度、新しい専門職大学院制度自体の問題であるだけでなくて、これからの教員政策全体の構造をどう持っていくかということでありますので、まさに我々のこの部会に与えられた使命だと思っております。色々な点で、これから議論していきたいと思います。
 教職大学院の問題につきましては、形だけですが教職大学院協会が発足しました。一応私はお世話役をさせられることになりましたが、年が明けましたら幹事大学の方々に集まっていただきまして、今日玉川大学から提起していただきました二つの問題について考えたいと思います。
 どうやって教職大学院にもっと多様な、つまり管理職候補の人だけでなくて、若い人も含めて来てもらうかということ。あるいはもっと言うと、教育界全体の中に教職大学院をどういうふうにこれから位置づけたらいいのか。これはPRも含めてですが、この問題。
 もう一つは出口です。メリットがないということで発足してしまったわけです。これは都道府県教育長協議会とこの部会との間で、やはり人事権者は都道府県教育委員会ですから、そこにあまり初めからメリットをあらかじめつくってもらうのはどうか、ということもあり、スタートしました。しかし、これが順調に発展していくためには、やはり何か目に見えるメリットがなければいけないということがございます。この問題につきましては、教職大学院協会で年が明けたら、少し焦点をまとめて、関係の方面と折衝したいと考えております。
 関連して、報告をしておきたいと思います。
 本日は以上でございます。事務局から次回以降のことについてお願いします。 

【山田課長補佐】
 次回の開催日程につきましては、別途ご連絡差し上げます。先生方の机上に第55回の議事録(案)をお配りしておりますので、ご意見等ございましたら、1月7日までに当方へお寄せください。 

【梶田部会長】
 ありがとうございました。
 それでは、本日はこれで閉会にしたいと思います。皆さん、どうもありがとうございました。

―了―

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総合教育政策局教育人材政策課

電話番号:03-5253-4111(内線2456)

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