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初等中等教育分科会(第60回)・教育課程部会(第73回)合同会議 議事録

1.日時

平成20年4月18日(金曜日) 16時30分~18時

2.場所

中央合同庁舎第7号館(文部科学省)東館3階 講堂

3.議題

  1. 幼稚園教育要領、小・中学校学習指導要領等について
  2. 教育振興基本計画について
  3. 学士課程教育の構築に向けて(審議のまとめ)
  4. その他

4.出席者

委員

 梶田分科会長、田村副分科会長、木村副分科会長、安彦委員、岩崎委員、梅田委員、衛藤委員、加藤委員、角田委員、中村委員、平野委員、天笠委員、荒瀬委員、井上委員、植田委員、大南委員、黒須委員、甲田委員、佐々木委員、高倉委員、寺崎委員、渡久山委員、藤井委員、無藤委員、石井委員、宇佐美委員、毛利委員

文部科学省

 玉井文部科学審議官、加茂川生涯学習政策局長、金森初等中等教育局長、清水高等教育局長、布村審議官、前川審議官、久保審議官、川上政策課長、常盤初等中等教育企画課長、高橋教育課程課長、中岡大学振興課長、鈴木企画官、牛尾視学官、合田教育課程企画室長、淵上教育制度改革室長、他

5.議事録

【梶田分科会長】
 それでは定刻となりましたので、ただいまより第60回初等中等教育分科会、第4期第20回教育課程部会合同会議を開会いたします。
 まず、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

【淵上教育制度改革室長】
 失礼いたします。本日お配りをさせていただいております資料は議事次第にあるとおりでございますけれども、資料1‐1、1‐2といたしまして初等中等教育分科会、また教育課程部会の委員の先生方の名簿を配らせていただいております。
 また、資料2‐1として学習指導要領について。2‐2といたしまして幼稚園の教育要領。2‐3、2‐4、小学校、中学校の学習指導要領となっております。それから資料2‐5といたしましてパブリックコメント概要と、それに対する文部科学省の回答。2‐6が中央教育審議会の答申のパンフレット、教師用のもの。2‐7が指導要領の改訂パンフレット、保護者用のもの。
 それから、資料3が教育振興基本計画についての答申。資料4が「学士課程教育の構築に向けて(審議のまとめ)」でございます。
 このほかに、机上配付資料といたしまして、指導要領の改訂にかかわる中教審の答申。それから学士課程教育の構築に向けての審議のまとめの本体をおつけしているところでございます。資料の不足等がございましたら、お申しつけいただければと思います。
 以上でございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 それでは本日の議事に入ります。本日は1時間半という時間をとってあります。その中で3つの大事な報告をいただきます。1つが3月28日に公示されました幼稚園教育要領、小・中の学習指導要領につきまして報告をお願いするということになっております。
 2つ目が、本日、この会に先立って行われました中教審の総会におきまして、教育振興基本計画についての答申が取りまとめられて、渡海大臣に手渡されました。これについての報告をしていただきます。
 3つ目が、大学分科会の制度・教育部会におきまして、学士課程教育についてずっと審議をしてこられたわけですけれども、3月25日に「学士課程教育の構築に向けて」という審議のまとめを出されました。これにつきまして報告をいただくと、こういうふうになっております。
 3つとも非常に重みのある、中身のあるもので、これを本気でここで審議しておりますと、それぞれ、短くとも2時間以上かかりそうです。本日は報告というこですので、ご質問と、それから今後に向けてのご意見というあたりに絞ってご発言いただけたらと思っております。
 では、最初の報告をいただきますが、我々、昨年の12月25日、クリスマスの日に教育課程部会として指導要領、教育要領の改訂についての答申案を、一応まとめました。それを、年が明けて1月17日に初等中等教育分科会でご了承いただき、同時に総会でご了承いただいて答申ということになりました。この1月17日の答申で、我々中教審としての責任は果たしたことになるわけですけれども、これを受けとめた文部科学大臣、そして事務局である文部科学省が、その答申に基づいて、学習指導要領あるいは教育要領の具体を公表され、パブリックコメントをとられ、そして3月28日に最終的に公示された。こういう流れであります。
 我々としては、もう答申をしてありますから、ある意味では、その後のことについては文部科学省の責任ということにはなるわけですけれども、ただ、はっきり言いますと答申の趣旨がどういう形で生きているかということは、私たちとしては最後の最後まで関心を持たなくちゃいけない。私の率直な意見を先に申し上げておきますと、今回、非常に入念に、答申に沿った指導要領をつくっていただいたと思っております。ただ、諸般の事情で若干、文言の上で、いろいろと、答申にはないような、ただし精神の上では答申を踏まえていると私は思っておりますが、ものが入ったりもしております。その辺も含めて、きょうは少しご報告をいただいて、今後、この指導要領がうまく、幼・小・中、ご理解をいただいて、この線に沿った実際の取り組みが始まらなきゃいけないものですから、そういうことで、これからご報告いただきたいと思います。
 繰り返しますが、これは審議するわけではありませんで、我々がやったことがどう踏まえられて指導要領になったかということで、これを皆さんにご理解いただいて、そして、今後のことについてご意見があればご発言をいただく、こういうふうになるかと思います。
 それでは、高橋課長から幼稚園教育要領、小・中学校学習指導要領について、ご説明をお願いしたいと思います。

【高橋教育課程課長】
 それでは私のほうから、学習指導要領の概略についてご報告をいたしたいと思います。お手元の資料2‐1、学習指導要領についてと、少し資料を束ねた冊子がありますので、そちらをごらんいただきたいと思います。
 順次ページをめくっていきますが、まず、1ページ目は、今、分科会長からお話のありました、これまでの経緯と今後のスケジュールでございます。1月に答申をいただきまして、2月15日に改訂案を公表いたしました。その後、パブリックコメントを踏まえた修正を行いまして、3月28日に改訂。そして、今後の予定でございます。これはまた後ほど、少し詳しくご報告いたしますが、教科書の編集、検定、採択・供給というのが小・中、それぞれ1年ずつずれて3年かかりますので、完全実施が23年の4月、小学校。24年の4月、中学校となっております。ただ、できるものはできる限り先行実施していこうという渡海大臣からのご指示がございまして、来年の4月、できるものから先行実施をすることにしております。
 2ページ目に、今回の学習指導要領のポイントが出ておりますが、これは、私どもは中教審答申をできる限り忠実になぞって、それを指導要領という具体的な教育内容の形に落とし込んでいったつもりでございます。今回の改訂の基本的な考え方、大きく3本柱でございます。基本法改正で明確になった教育の理念をしっかりと位置づけた上で、「生きる力」を育成するという理念は継続する。2点目は、知識・技能の習得と、思考力・判断力・表現力等の育成のバランスを重視して、それを実現するために必要な授業時数の増加を図る。3点目としては、道徳教育や体育などの充実により、豊かな心や健やかな体を育成する。答申では、今回の改訂のポイントを大きく7本柱で整理していただいておりましたが、それを今回、3本柱に再構成しておりますが、7本柱の構成がすべて入って、今回の基本的な考え方といたしております。授業時数は、その次の3ページ、4ページに資料もつけておりますが、これはもう答申どおりで決定をさせていただいております。
 それから主な改善事項。ここでは大きく7つの柱で示しておりますが、これも答申の柱立てと同じでございます。ただ、答申は大きな改訂の方向性でございましたので、今回、具体的に各教科にそれぞれの指導内容について、答申がより具体化された形で指導要領は作成されております。
 例えば、言語活動の充実に関しましては、国語科について充実が図られましたほか、各教科において記録、説明、批評、論述、討論などの具体的な言語活動が、指導内容として告示レベルで盛り込まれております。それから理数教育の充実につきましても、答申がお示しいただいた国際的な通用性や内容の系統性を図るといった観点から、小学校算数で台形の面積。中学校数学では解の公式。あるいは中学校理科でイオン、遺伝の規則性、進化といった教育内容が復活するなどいたしております。それからスパイラルによる指導や観察、実験、課題学習などの記述が充実をされております。
 それから3点目の伝統や文化に関する教育は、これは基本法改正も踏まえて、全教科にわたって大幅に充実されたところでございます。例えば国語科においては古典学習の充実が図られておりまして、従来、小学校5年生からだった古典学習が、やさしいものは小1から扱うということで、広がっております。あるいは社会科では、歴史教育や宗教に関する教育、文化遺産に関する学習などの充実が図られております。そのほか、算数ではそろばんを複数学年指導する。音楽では、和楽器指導や唱歌指導の充実を図る。美術では美術文化の充実を図る。家庭科では和装の取り扱いを盛り込んだといった改訂が行われております。そのほか、中1、中2での武道の必修化。総合的な学習の時間でも、地域の伝統と文化をテーマとして例示を追加いたしております。
 4点目の道徳教育についても、答申で大いに議論をいただいたところでございます。その答申を踏まえまして、発達段階に応じた指導内容の重点化を図っております。このほか、先人の伝記や自然など、児童生徒が感動する魅力的な教材の充実といった観点から、今回は教材に関する記述も充実をいたしております。この点に関しましては、この前に行われました教育振興基本計画についての答申でも、教材充実のための国庫補助制度の創設などの、また別途の検討も行われております。それから道徳教育推進教師を指導要領に位置づけたといった充実策も講じられております。
 体験活動につきましては、発達段階に応じて集団宿泊活動、自然体験活動、職場体験活動などの充実を、特別活動に記述をしております。
 外国語につきましても、答申で示されました小学校の外国語活動、五、六年生に週1コマ必修ということですが、これは聞くこと、話すことを中心にいたしております。また、中学校が週3コマの英語が週4コマに拡充したことを踏まえまして、教える語数の増加とか、教材の題材充実なども図られております。3ページ、4ページ目は授業時数のところですので飛ばさせていただきます。
 それで、先ほど少しご説明いたしましたが、2月15日に示した案に対しましては、1カ月間で5,600件あまりの、大変貴重なご意見が寄せられました。ちょっと今日は細かくご説明する時間がありませんので、後ほどごらんいただければと思いますが、資料2‐5にその概略をまとめております。文部科学省としては、この5,600件の意見を慎重に吟味いたしました。その結果、特に今回、答申では教育基本法改正を踏まえて、新たに示された理念などをしっかり反映させるんだという、大きな改訂の方向性も出されておりましたので、教育基本法改正の趣旨を、より明確にするようなご意見については、十分吟味をした上で、一部修正をして、告示をいたしております。具体的にパブコメに寄せられたご意見、それに対する文科省の考え方は資料2‐5にございますので、これは後ほどごらんいただければと思います。
 資料2‐1に戻りまして、残りの時間で簡単に資料のご説明だけさせていただきますが、5ページ目でございます。これは告示当日に渡海大臣がお出しになった談話でございます。それから6ページ目から11ページ目にかけて、この告示にあわせまして、事務次官通知という形で、各都道府県教育委員会等に、今回の改正の趣旨、概要、それから幾つかの留意点を通知いたしております。1つだけコメントさせていただきますが、10ページのところをお開きいただきたいと思います。これは次官通知で、今回の改訂に当たっての留意事項として示されたものですが、その中で(4)新学習指導要領の周知・徹底という項目がございます。これは、答申におきましても、前回改訂のときに、生きる力という理念、改訂の趣旨やねらい、内容が、文科省の努力不足もあって、必ずしも十分、学校現場や保護者の方々に周知が徹底しなかったのではないか。意識の共有化が図られなかったのではないか、そういった反省もありまして、今回は、こういった周知・徹底につきましても盛り込んでおります。特に11ページのところの一番上ですが、平成20年度中に、集中的に周知・徹底を図ることとしておりまして、こういったことで、現在、さまざまな広報に取り組んでおります。
 この次官通知を受けた具体的な取り組みの一端でございますが、次の12ページでございます。同日付で、文部科学省に事務次官を本部長とする新学習指導要領実施本部というものを立ち上げました。これまでの改訂では、こういった取り組みは行われておりませんが、今回は授業時数や教育内容を増やす改訂でございまして、教育条件整備も大変重要でございます。今申し上げましたような周知徹底方法でありますとか、あるいは教育条件整備を省を上げて推進していくために、告示と同日付で、このような実施本部が設置をされております。ちょっと飛んでいただきまして15ページでございます。その実施本部の第1回目において、先ほど申し上げましたように、平成20年度は集中的な周知・広報の期間であると位置づけまして、そのために何をやるかという、大きな枠組みをこの実施本部で承認をいただいております。具体的には、まずは都道府県の教育委員会や、それを出発点にして、学校教育現場に十分な説明会を実施していこうということで、来週は臨時の教育長会議を開催して、周知・徹底を図ることにしております。そして6月から7月にかけて、全国小・中学校、それぞれ3カ所で、都道府県の指導主事等を対象にした説明会。前回改訂では東京だけしかしておりませんので、少しきめ細かくいたしたいと思っております。それを受けて、今度は8月以降、各都道府県で、地方説明会を開催していく予定でございます。
 それから、今日はお手元の封筒の中に、少し小さな学習指導要領のパンフレットが入っていたかと思いますが、これは保護者向けのパンフレットとして作成をしております。4月当初に全国の幼稚園、小学校、中学校等のすべての保護者に配付いただくように、教育委員会を通じて各学校に配付しておりまして、こういった形で保護者への広報も今進めておるところでございます。それから、これまで学習指導要領の冊子というのは、先生方に購入をいただいておりましたけれども、今回は、指導要領の冊子、きょう、お手元にございますが、これをもう少し見やすく、デザインも少し工夫いたしまして、A4判化したものを、すべての先生方に配付をいたしたいと考えております。そのほか、今後、学習指導要領の解説書をつくりまして、その具体的な内容、解釈などをわかりやすくお伝えしていくと。こういったことに、今取り組んでいるところでございます。
 最後の16ページでございますが、これは、今後の移行措置の概要でございます。これについては、詳細は今詰めておりますので、きょうはこのような概略で失礼いたしておりますが、基本的には内容を積み上げていく教科である算数・数学、理科については、円滑な実施のために、来年度から前倒しで教えていくということになっております。そのほか、教科書がないものについては21年度から。教科書を整備するものについては、各学校の判断で、順次実施できるような大きな方向で、今検討しております。この移行措置の詳細につきましては、来週24日の臨時教育長会議で、できれば発表したいと考えておりますので、また詳細が決まりましたら、先生方のお手元にお届けをさせていただきたいと思っております。
 以上、大変簡単ではございますけれども、今回告示いたしました改訂学習指導要領の趣旨、内容と、実施に向けての現在の文部科学省の取り組みのご報告でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 今回の学習指導要領、私が耳にしているところでは非常に読みやすいという評判もいただいております。そういうことで、幼・小・中に、まず、今年度いっぱいをかけてご理解をいただくと、理解を深めていただくと。その上で、移行措置ということで、来年4月から算数・数学、理科につきましては、実質的にやっていただくと。しかし、全面実施ということになりますと、ほかのことも全部含めてですが、小学校が平成23年度、中学校が平成24年度というところで、ここで教科書も出そろいますし、全面的に新しいものに移っていくと、こういうようなことでやっていただくということになっております。
 私ども、教育課程部会でも初中分科会でも、3年間かけて、いろいろと議論をし、積み上げてきたものが、こういう形で、具体の学習指導要領になった。これを現場でうまく受けとめてもらって、それで子どもに力がつかなきゃいけない。子どもが人間的にも成長しなきゃいけないというふうに皆さんもお考えだと思います。そのためには、答申にも書きましたように条件整備は不可欠であると。こういうようなこともございます。これにつきましては後で、この次に教育振興基本計画についての答申について、条件整備の問題も、また報告をしていただくということになっております。ここまでのところで、まず、新しい学習指導要領、それからこれの趣旨をわかっていただく取り組み、また移行措置等々につきまして、皆さんのほうでご質問、それから今後のことについて、こういうことというのがあればご発言をいただきたいと思います。いかがでしょうか。では、渡久山先生。

【渡久山委員】
 1つは質問なんですけれども、実はこの指導要領、最初に2月に公表されましたよね。で、今度また、きょう、新しく見せていただいているわけですが、3月ですけれども。一月違うんですけれども、実は総則の部分に、「郷土と国を愛する」という、いわゆる愛国心の問題が記述されています。2月のときにはなかったのですが、3月のときにはあると。しかしこれは、今度改正された教育基本法にもそういう文言があることは事実なんですが、なぜ2月にはなくて、3月に入ってきたのかというのが1つです。
 それからもう一つ、現在のものは、教育基本法の文言とは少し違うんです。例えば民主的な社会および国家の成員。その前に、教育基本法の場合は、「平和で民主的な」と「平和で」というのが出てきます。これを見ると、「国際平和の発展と」と言って、国際社会の平和ということにかかっているわけですけれども、教育基本法では、平和で民主的な国家、社会という2つになっているんです。そういうような部分が1つ、表現の違いがあるんじゃないかということと、もう一つは「主体性」という言葉が使われていますね。どちらにも主体性というのはありますけれども、教育基本法の主体性は、主体性を持って社会に参画するという意味で使われている。これでは主体性のある日本人をつくると、こういうふうになっていますね。そういうところですから、まず、この2つのことについて質問したいなと思ったのが1つです。
 それからもう一つは、発言ついでといったら悪いですけれども、やはり前倒しで実施されるということですね。今、課長から説明がありましたけれども、やはり移行期間ということになってくると、それぞれ、今の教科書に上積みした教材が出てくるんです。それは教える工夫も必要だと思うんですけれども、それと同時に、小学校の算数はやや増えてくるんですよね。まだ、小学校、中学校の理科というのは、観察あるいは実験、あるいは体験学習、そういうようなものもありますし、それから、きょうは教職員課長見えているかな、平成21年から、これは実は、現在籍のある教員に対して、免許の更新制の実施が入っているんです。そうすると、平成21年は、ほぼ10万人受けるんです。そうすると、これは夏休みとかとは言いますけれども、実際、現場の負担が非常に大きくなります。そういう意味では、これは幾つかの理由から、更新制の場合に条件整備をきちっとしていかなくちゃいけないと思うんです。ですからこれは、あと、教育振興基本計画についての答申のところはありますが、それも数値目標はほとんど出ていませんから、非常に期待できないような感じですが、このことについても、やはり質問したい。
 それから中学校の武道の必修化。これは僕もずっと主張してきたように、条件が整わないと非常に危険を伴うんです。そういうことですから、この条件整備については、十分にやっていただくことを要望しておきたいと思います。
 以上です。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 大きく2つ、今ご質問をいただきました。1つは指導要領につきまして、2月15日に、一応公表されました。こういう案ではどうだろうかというのが公表されました。そして1カ月、パブリックコメントをとって、それに基づいて文科省で3月28日に最終的に公示されたと。ま、こういうことですね。ところが公表されたものと、あとの公示されたものが、少し、総則のところの文言が違っている部分があるけれども、どういうことなんだろうかということが1つあります。これはもちろん、パブリックコメントをとるわけですから、変わるということが前提でとっているわけですけれども、どういうことなんだろうかということが1つ。
 もう一つは、移行措置の問題、あるいはそれにかかわっての条件整備の問題。これから後にも出てくるかもしれませんが、ということで2点、お願いいたします。

【高橋教育課程課長】
 まず1点目のご質問でございますが、今、お手元に現行の指導要領があると思いますので、大変恐縮ですが、その小学校の1ページ。現行の小学校の総則のところをちょっとお開きいただければと思います。今回の学習指導要領の改訂でございますが、今回も、あくまで改訂ということで、私ども総則を、全く1から書き下ろすということではなくて、現行の総則に、中教審の答申で言われたような改訂の方針から必要なことを加筆修正していくという改訂を行ったわけでございます。教育基本法の改正も、教育基本法に、従来の基本法にあった理念については、これは普遍的なものとして大事であると、その上で足らない点を書き加えていくという、そういう基本法の改正の考え方もそうであったように、今回の総則もそのような改訂をいたしました。この1ページ目の、第1の2の真ん中に、道徳教育で始まる6行ほどのパラグラフがございます。これが現行の学習指導要領でございます。私ども、今回の新しい基本法の、特に理念を書いた前文の中に、今までなかった用語として、伝統文化の尊重と、それから公共の精神。この伝統文化と公共の精神という2つの重要な理念、キーワードがございましたので、当初、2月に発表いたしました案は、この道徳教育のところに、伝統と文化、そして公共の精神、これを加えた形で発表させていただきました。それに対しまして、それだけではなくて、郷土や国を愛する、あるいは他国を尊重する、環境を保全するといった、前文よりはより具体的に書かれた基本法第2条に盛り込まれた理念も、より加えて明確にすべきだというご意見が多数寄せられました。基本法の改訂趣旨をより明確にするということでは、それはより適切であろうと判断いたしました。基本法の改訂の趣旨を踏まえるという答申にも沿うことですので、そういった形で、3月の段階では、これらをはぐくんできた、郷土や国を愛する、あるいは他国を尊重する、環境を保全する、こういったものが修正されたわけでございます。このように、現行の指導要領を改訂するという形で行っておりますので、既に、今の指導要領にある、例えば主体性のある日本人と、こういった用語はできる限り現行を生かす形で改訂しておりますので、一部、教育基本法の文言とぴったり一致しないところはございますが、そういうご理解をいただければと思います。
 それから、2点目の条件整備については、ご指摘は大変ごもっともでございまして、これは教育振興基本計画についての答申の中にも、かなり学習指導要領の円滑な実施に向けては、行数を割いて、具体的にどういった取り組みを進めるのかということを書いていただいております。その中には、定数改善をはじめとする教職員配置の問題ですとか、小学校外国語活動の問題、さらには今ご指摘がありました中学校武道についても、施設の整備と、それから教員への研修といったご指摘もございます。今後、1年間の集中的な準備期間に教員の研修もしっかりと行いまして、あわせて、各般の条件整備もしっかりと進めていきたいと思います。また今後、教育振興基本計画についての答申のときのご議論になるかもしれませんが、そういったご指摘をまたいただければと思います。
 よろしくお願いいたします。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 それでは、植田先生。

【植田委員】
 ありがとうございます。
 山口県下関市の中学校現場に勤めております植田と申します。私の発言は、ずっともう、この1点なのでございますが、このたびの改訂で、授業増。これは現状を考えれば、どなたもそうであろうと、私も思っておりますし、そういう結論になります。ただ、現場からすれば、結局、中学校でありますと教員の時間数が増えるという問題にも大きくかかわりがございます。もちろん我々の仕事は、生徒の前で授業を進めていく、指導をしていくということですので、問題はないように見えるのですが、昨年末、12月の終わりでございますが、あるニュース、文部科学省のまとめからということなんですが、平成18年度の精神性疾患で、病気休職をした公立学校の教職員は4,675人で、14年連続、過去最多を更新したというものがございます。
 さらに、平成18年の勤務実態調査。40年ぶりの調査でございまして、この会議上でもその結果が出されておりますが、我々の残業時間というのは、40年前の5倍になっているというところで、実は、我々教職員は肉体的にも精神的にもぎりぎりの状態に置かれているということを、まずご承知いただきたいと思うわけでございます。私自身も、11月7日の会議に出席して以来、たまたま中学3年生についたという関係がございまして、進路直前の生徒を置いて、ここに来るというのが非常に難しくて。今、学校の現場で1人教員が抜けると、ほかの教員がカバーする。これが大変なんです、たった1人抜けるだけで大変なんです。そういうことを考えると、こっちに来て、いろいろ発言を聞きながら、自分の考えを述べるというのも責任はあろうとは思いますが、目の前の生徒を置いてここまで来ることができませんでした。半年間をあけましたが、結局、今現場がぎりぎりなんだということをご承知いただきたいと思います。
 このニュースの後に、懲戒処分や訓告を受けた教職員は前年度比445人、10.9パーセント増。4,531人になったというふうに、教員の不祥事は、間違いなくマスコミの標的になりまして、これはもう、我々は一言もないのですが、こっちばかりスポットライトを当てられる、「教員は何をしているのか、けしからん」というふうなところで、現場の教員、我々はそういうニュースがありますと、天を仰いでため息をつくだけの現状でございます。
 先ほども申しましたように、今、ぎりぎりの状態で一生懸命踏ん張っているということがございますので、教職員定数の標準に関する法律がございますが、定数にかかわるところを、ぜひ、余裕をいただけるように。当然予算もかかわってきますし、今から出ますでしょう、教育振興基本計画についての答申の基本的方向の2の3にもあります。教員の資質の向上を図るとともに、一人一人の子どもに教員が向き合う環境をつくる。教育振興基本計画についての答申の中にもございますように、我々が、生徒にゆとりを持って、教材研究をしっかりした上で授業ができるような環境をぜひつくっていただきたいと、お願いでございます。よろしくお願いします。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 もう、ほんとうに、今ここにおる者、みんな同じように思っていると思います。条件整備なしで、頑張れ頑張れと言っても、これは限界だろうと。これは、これまでも随分出ておりまして、ということで、3年前に教職員の勤務実態調査もやっていただき、これが単なる印象ではなくて、実際に大変な、今、勤務をしていただいているということは、みんな理解していると思います。同時に、文部科学省、一生懸命、教師の定数を増やすという努力をしていただいて、今年度も、ご承知のように、財務省は「非常識だ」と、こう言っていたにもかかわらず、若干ですけれどもとれた。こういう流れを持っていかなきゃいけないと。そういうことで、文部科学省の方々に、なお一層、頑張ってくださいという、そういうことだろうと思います。
 あとお一人ぐらい、もしあればと思いますが。よろしいでしょうか。
 これはこれから、また折に触れて、この初中分科会、あるいは教育課程部会に、この学習指導要領の移行措置の実施状況であるとか、あるいはそういうプロセスの中で、新たに浮かび出てきた課題があれば、そういうことをご報告いただいて、また議論をしていきたい、そういうふうに思います。
 それでは2番目の報告にまいりたいと思います。2番目は教育振興基本計画についてであります。本日、先ほど三村部会長が、この教育振興基本計画特別部会の部会長をなさり、お隣の田村先生が、これの副部会長と同時にワーキングの、これを実質詰める作業部会の責任者をされて、これもずっと議論を詰めてこられました。私もメンバーをしたのですけれども、多岐にわたるいろいろなご意見がありました。これがやっとまとまって、本日無事に答申をし、渡海大臣が、責任を持って、これの方向で努力するというお言葉を、ごあいさつの中でいただきました。これにつきまして、内容的なこと、あるいは今後の問題につきまして、生涯学習政策局の川上政策課長からご報告をお願いいたします。

【川上政策課長】
 ありがとうございます。
 本日、資料3ということで、教育振興基本計画についての答申を用意させていただきました。これに沿ってご説明をさせていただきたいと思います。教育振興基本計画でございますが、一昨年の12月に改正されました教育基本法、ここに新たに条文が設けられ、政府が定めることとされたわけでございます。昨年の2月に、文部科学大臣から中央教育審議会に対して審議要請を行いまして、今、梶田分科会長からご発言がございましたように、特別部会を設置して審議をしていただきました。そして本日2時からありました総会において、答申を頂戴したところでございます。
 この答申でございますけれども、政府が定めます基本計画の原案となるものをつくる目的でやっていただきました。中教審は、文部科学省のもとの審議会であるわけですが、基本計画を政府でまとめるということになりますと、例えば各府省の関連する施策も取り込んでいくということになりますので、部会において関係府省の施策に関する情報の提供を行ったり、最後には閣議決定をいたしますので、ある程度、各府省のご意見も聞きながら、そういうものを参考にしつつ、部会の責任としておまとめいただいたという、性格になってございます。
 目次をご覧いただきたいのですが、この教育振興基本計画でございますけれども、平成15年に中教審からいただきました答申にもございましたように、計画の期間を5年間ということで定めるという考えでまとめてございます。その5年間の部分の中心になりますのは第3章にあります今後5年間に総合的かつ計画的に取り組むべき施策でございます。この中に、いわゆる基本的な方針と具体的な施策がございます。しかしながら、5年間の施策を考えていくに当たって、我が国の教育をめぐる現状と課題という第1章、それから今後10年間を通じて目指すべき教育の姿という第2章を前提に置きまして具体的に考えていこうということで第1章、第2章、そして5年間のものが第3章、第4章として施策の総合的かつ計画的な推進のために必要な事項という留意事項の4章構成としておるところでございます。本文でございますが、時間が限られておりますので、主要なところだけ申し上げたいと思います。
 4ページ目ですが、4ページまでは我が国の現状を述べてございますけれども、その上で、教育立国の実現に向けてという節を設けてございます。5ページ目の頭のあたりからまいりますが、人づくりこそが個人の幸福の実現、国家社会の発展の礎であり、我が国の将来の発展の原動力足り得るものは人づくり、すなわち教育をおいてほかにないという認識のもとで、今こそ、我が国は改めて「教育立国」を宣言し、教育の振興に取り組むべきという決意をまず述べさせていただいてございます。そして、次のパラグラフの最後のあたりで、国においても、また、地方においても、教育を重視し、その振興に向け社会全体で、いわゆる教育関係者のみならず社会全体で取り組むことが必要であるということを述べているわけでございます。
 6ページ目から、今後10年間を通じて目指すべき教育の姿を述べてございますが、1と2の2つに分けて述べてございます。義務教育終了までは、すべての子どもに対して自立して社会で生きていく基礎を育てていく。落ちこぼれなく、すべての子どもたちがそういう基礎的なところを備えていくということで、特にその中で公教育の質を高め、信頼を確立すること。社会全体で子どもを育てるという、この気風を回復するということ。そのようなことを、10年間を目指すべき姿というふうに考えて述べてございます。そして、義務教育後のものにつきましては、むしろ個性、能力に応じて多様化を図っていくという考え方に立ちまして、教育の質を保障すること。それから大学は、我が国の知の拠点として、世界最高水準の教育研究拠点の重点的な形成をしていくこと。また、大学の国際化を推進すること。このような考え方で10年の姿を描いてございます。また、目指すべき教育投資の方向、これは皆様方の関心の高いところでございますが、これにつきましては、よく言われておりますGDP比について、OECD諸国の5パーセントに対して3.5パーセントというようなことだけではなくて、具体的に、7ページの最後の4行から始まりますけれども、学校段階別における課題、こういったことも分析をいたしまして、8ページの真ん中に近いところの以上を踏まえ以降になりますが、「欧米主要国と比べて遜色のない教育水準を確保すべく教育投資の充実を図っていくことが必要である」というように、教育投資の充実についての必要性を述べているところでございます。
 9ページからがいわゆる5年の計画になるわけでございますが、まず基本的な考え方として、今回の教育振興基本計画は、初めてのものであるわけでございますので、教育政策を総合的にとらえて、極めて基本的なところから書こうということで、まず1「横」の連携、2「縦」の接続という、教育に対して、社会全体で連携を強化していこうという趣旨で全体をとらえる考え方を述べてございます。教育に対して、社会全体で連携を強化していこうと。特に2行目あたりのところにございますが、国、地方公共団体、学校、保護者、地域住民、企業、社会教育団体、その他あらゆるセクター、そういった関係者が教育に取り組むのだということで、主体的かつ積極的に協力し、参画するという期待感を述べているところでございます。
 また10ページ目、「縦」の接続につきましても、学校段階ごとの政策がそれぞれ関連がないということではいけないということで、一貫した理念に基づく生涯学習社会を実現していく必要があるという基本的な考え方を述べ、また、国、地方それぞれの役割の明確化を図っています。次に、11ページの最後のあたりにまいりますが、施策の基本的方向を4つに分けて、述べてございます。12ページでございますが、まず、第1の方向としまして、総合計画であるということを意識して、「社会全体で教育の向上に取り組む」という考え方を、述べております。第2の方向として、これは主として初等中等教育にかかわることでございますが、「個性を尊重しつつ能力を伸ばし、個人として、社会の一員として生きる基盤を育てる」。そして第3の方向として、高等教育に関することでございますが、「教養と専門性を備えた知性豊かな人間を養成し、社会の発展を支える」。そして第4の方向といたしまして、国及び地方公共団体が主体的に取り組まなければいけない、いわゆる教育環境の整備に関する方針を打ち出してございます。また、今回の基本計画をつくるに当たりまして、目標をなるべく明確化し、それで後の評価をしやすいようにするという方針を立ててございます。その関係で、それぞれの基本的方向に「◆」のものが幾つかあるわけでございますが、「◆」のところで、ある施策によってどのようなことを実現するかという目標に当たるものも明確に書いてございます。13ページに戻らせていただきますが、いわゆる初等中等教育の中では、3つの総体的な目標を掲げてございまして、中でも、1つ目の「◆」13ページの下から3分の1ぐらいのところでございますけれども、学力につきましては、その後半部分、例えば国際的な学力調査等において学力の高い層の割合を増やすとともに、学力の低い層の底上げを図り、その割合を減少するというような、例示としての考え方を述べてございます。
 15ページ以降に、具体的な施策を書いているわけでございます。初等中等教育に関係するところをピックアップしてご説明したいのですが、まず、基本的方向の1の1のところで、例えば施策1の1番目の「◇」にございます「地域ぐるみで学校を支援し子どもたちをはぐくむ活動の推進」ということで、いわゆる学校支援地域本部についての支援が今年始まったわけでございますけれども、このような取り組みを通じて、地域が学校を支援する仕組みづくりを広めていくというようなことが書いてございます。また、2番目の「◇」のところでコミュニティ・スクールの設置促進とともに、学校選択制についても、モデル事業を実施し、地域の実情に応じた取り組みを促すというようなことになってございます。
 それから、20ページに移りたいと思いますが、先ほどから出ております学習指導要領の改訂に関連をした条件整備についての記述を20ページにしてございます。まず、21年度からの先行実施、23年度からの小学校での実施、24年度からの中学校での実施というように、この辺のタイムスケジュールを明らかにするとともに、その次のパラグラフにおきまして、教職員定数の改善をはじめとする教職員配置、これを基本的方向2の1番目に掲げつつ、その他の条件整備を着実に実施する旨を述べてございます。また、英語教材についてもその次に書かれてございます。また、21ページの真ん中には、「全国学力・学習状況調査の継続実施とその結果を活用した学校改善への支援」というような取組みも行っていくということを書いてございます。また2は、いわゆる道徳、それから知・徳・体の「体」に当たるものでございますが、道徳教育につきましては、道徳教育の充実に向けまして、その条件整備として22ページに教材のことを書いてございまして、国庫補助制度を早期に創設するという考え方を述べているところでございます。これはここで初めて取り上げております。また22ページの後半には、体験活動・読書活動等の推進など、例えば農林水産省との連携事業については「関係府省との連携」という形で各省の事業も取り込んだかたちで書いているところでございます。
 23ページに移りまして、例えばいじめの問題でございますが、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの活用などによって必要とするすべての小・中学生が相談を受けられるというように、「すべて」という明確な到達目標をなるべく取り入れるようにしてございます。
 24ページが、もう一つの大きな問題でございますが、教員の資質向上とともに、教員が一人一人の子どもに向き合う環境をつくるという点でございます。平成20年度の概算要求でも取り組んだことでございますが、教員が子ども一人一人に向き合う環境づくりとして、必要な教職員定数の措置、支援スタッフや外部人材の活用、それから地域が支えるという3点セットに引き続き取り組む旨を書いてございます。また教員の養成及び資質向上の点については、その次の「◇」から始まりますが、教員の養成・研修に始まり、教育免許更新制の円滑な実施、教育評価の推進、優秀教員の表彰から、指導が不適切な教員に対する厳格な人事管理ということまで、その取り組みを体系的に述べているところでございます。26ページになりますが、その次が教育委員会、学校運営についてでございます。5が幼児期における教育でございますが、認定こども園の認定件数が2,000件以上になることを目指すというように明確な目標を持って取り組むつもりでございます。6が特別なニーズに対応した教育を推進するという項目で、特別支援教育と、外国人児童生徒及び海外子女に対する教育について述べてございます。
 基本的方向3以降は、主として高等教育でございますが、初等中等教育との関連で申し上げますと、29ページの冒頭部分に、高大接続に関する取組みについての記述をしてございます。そのほか、32ページ以降、教育環境の整備になりますが、ここではイの一番に、学校等の教育施設の耐震化を取り上げてございます。特に危険性の高い小・中学校施設約1万棟について、優先的に耐震化を支援するわけでございますが、現在、地方公共団体がそれに応じていただかなければいけないわけでございます。その辺がネックであるということを踏まえまして、できる限り早期に耐震化が図られるよう、地方公共団体に対して要請をするという、具体的な手順も記載させていただいてございます。そのほか、環境整備に関する記述が書かれてございますが、最後、35ページにございます教育機会の均等の確保というのも重要な課題でございまして、奨学金、フェローシップなどと並んで幼児教育の無償化についての検討についても記載をしているところでございます。また36ページからでございますが、今までの各施策というのは、これは全体で75あるわけでございますが、それでは総花的であるというご指摘を踏まえまして、75の中で特に重点的に取り組むべき事項をピックアップしてございます。初等中等教育では、確かな学力の保証や豊かな心と健やかな体の育成。37ページにいきまして、教員が子ども一人一人と向き合う環境づくり、手厚い支援が必要な子どもの教育の推進、また、37ページの一番最後にございます地域が学校を支援する仕組みづくり。38ページのキャリア教育や専門高校における職業教育の推進。39ページの安全・安心な教育環境の実現と教育への機会の保障のところでございますが、例えば耐震化、安全・安心の問題、教育機会の保障というように、この辺を重点的に取り組むものであるということでピックアップしたわけでございます。
 第4章は注意点でございまして、40ページになりますが、関係者の役割分担の中で、国の果たすべき役割、地方公共団体に期待される役割を明記するとともに、41ページの最後では、新たに検討が必要となる事項にしっかりと対応するということ。42ページには、5年の間に、事情が異なったにもかかわらず、そういうものに取り組めないということのないように、進捗状況の点検とか計画の見直しを着実にやっていくというバックアップ措置を書いてあるところでございます。
 以上、駆け足で恐縮でございますが、このような形で答申案をいただいたところでございます。今後、我々といたしましては、この答申を踏まえまして、教育振興基本計画を策定し、関係各省との調整を経て、閣議決定をし、国会にご報告をするということになるわけでございます。それに当たりましては、本日いただきました答申を極力キープいたしまして、各省と合意をし、閣議決定をさせていただきたいと考えてございます。もとより、大変な折衝が予想されるわけでございますが、先ほど総会で、大臣も決意を表明させていただいてございます。頑張ってまいりたいと思いますので、よろしくご支援のほどをお願いをしたいと思うわけでございます。
 以上でございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 皆さんよくご存じのように、政府全体としての、オーソライズされた5カ年計画といいますか、長い見通しを持った教育計画はなかったわけです。それがないから、毎年毎年、予算折衝で、先ほどの条件整備ではないけれども、毎年切り込まれて、苦しい苦しい思いをしてきたということがありまして、これが問題になって、2000年の教育改革国民会議で、そのときに江崎玲於奈さんが座長をされて、お隣の木村先生が副座長、牛尾治朗さんとお二人で副座長をして、木村先生に取りまとめをしていただいたわけです。そして、このあたりのことにつきましては田村先生が随分主張されたわけですけれども、基本法の改正の中に、きちっとそういう長期的な教育計画を入れようと。そしてそれを閣議決定してもらって、毎年毎年、どう言いますか、変なところに財政的な切り込みがないように、何とか安定した形で教育が発展していくようにしようという、そういうことで、2000年12月の、教育を変える17の提言という報告の中に、独立した項目としてこれが入れられました。その後、ずっと、これについて議論があって、きょう、答申があったわけです。ただし、これがそのまま、なかなか実現するということでは必ずしもないかもしれない。これから財務省やら何やらもご意見をおっしゃって、大体、そこである程度話がまとまったところで閣議決定していただいて、そして国会に報告ということになります。ただ、文部科学省としては非常に苦しい状況はあるけれども、しかし、何とかここに書いてあることぐらいは実現するということを、きょう、渡海大臣も決意表明をしておられます。そういうことで、この答申をもとにして、あと一踏ん張りしていただいて、閣議決定に持っていっていただいて、先ほどから出ております。もう何カ所かに教職員の定数の適正化だとか、定員の改善計画というのが何カ所にも出ているんです。20ページにもあります、21ページにも2カ所ぐらいあります、そのほかにも何カ所かありますが、そういうことが実現するようにというふうに願っているわけです。
 ということで、皆さんのほうからご質問、あるいは今後に向けてのご発言があれば、お願いをしたいと思います。

【渡久山委員】
 大きくは2つのことで考えたいと思うんです。今日は、平成15年の答申も、ここに参考に出ています。この2つを読んでみると、ほとんど変わらないです。数値目標も、どちらにもほとんど入っていない。しかし、15年のは教育基本法が改正される前の答申です。しかし、今度のものは教育基本法が変わって、17条でちゃんと教育振興基本計画を策定するという立場をとっているわけですよね。ですからこれは、ほんとうは、法的にも、あるいは体制的にも質が変わったというように感ずるわけなんです。我々はそうだろうと思うんです。ただし、これを読んでみると、環境を整備するというんだけれども、その環境というのは一体何を指すのか、そういうような問題があって、非常にあいまいな表現になっているわけです。今、梶田先生も触れられたけれども、これがだんだん実現していくときに、どういう形で数量化して実現していくのか、この答申を読んだだけではさっぱりわからないです。私の発言も随分載ってはいます。文書上の発言は。ただしかし、数値を出したものが何も載っていないんです。数値をですね、例えば学級規模を小さくすべきじゃないかと。それから大学の先生方が出された、国としての5兆円の問題も数値として載っていない。しかし、実際は教育基本法を読んでみると、政策が、きちっと計画を立てられて、施策が実行されるようにという趣旨で書いたんです。そして教育基本法の第16条は、国も地方自治体も財政措置をやらなくちゃならないと書かれているんです。そうすると、これが果たしてどのような財政措置になるのか、これが見えてこない。特に、教員は今、忙しくなってくるし、あるいはまた、教員免許の更新制の方針が出てきていますけれども、これに対してどれぐらい予算が組まれているのか、いまだにわからないですよね。1人3万円とは言っているけれども、大学にどれぐらい出すのか、あるいは補助をするのかどうなのか。特に、現在免許を持っている教員の場合は、既得権といいますか、前の法律でちゃんと免許をとっていますから、ほんとうは終身免許というのが基本なんです。それをわざわざ国が法律を変えて、そしてわざわざ更新するわけですから、何らかの経済的負担を国としてはやると僕は思いますが、こういう問題を考えてみても、これにはほとんど出てこないので、こういう努力は必要だと思います。
 それからもう一つは、千葉で、高等学校の入学金が払えなかったということで、入学式に出さなかったということがありますね。これも教育基本法の第4条を見ると、「国及び地方公共団体は、能力のあるにもかかわらず、経済的理由によって就学が困難な者に対して、奨学の措置を講じなければならない」と書いてあるわけです。そうすると、そういうことについてほんとうに具体的に、どういう形のものになっていくのか、これは明確にしていかないと、せっかく、教育振興基本計画の策定というものが、教育基本法の中で規定されていながら、十分にその目的や目標が達成されないのではないかという気がしてならないんです。
 そういう意味で、今後、これを直せと言ったって数字をこれから入れるわけにはいかないだろうから、それは無理かもしれませんけれども、閣議決定までに努力をしてもらうというようなことで、ぜひとも強く要望しておきたいと思います。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 今、ご指摘のようなことを、どこか念頭に置いていただきまして、文部科学省、これから省庁間の協議もあり、また、閣議決定に向けて、これをもう一段練り上げていくという、そういうこともあると思います。よろしくお願いをしたいと思います。
 ほかにいかがでしょうか。

【寺崎委員】
 ありがとうございます。
 冒頭、座長もおっしゃったように、この経過を考えると、ようやくここまで来たのかなという思いがいたします。そういう意味では、今、ご発言があったとおりの部分もありますけれども、ほんとうにご苦労さまでしたというふうに申し上げたいと思います。
 ただ、要するに10年を見通して5カ年のといったときに、では、その5カ年がどういうふうに展開していくのかというのがよく見えないんです。一番それがよくわかるのが、20ページの学習指導要領の改訂と着実な実施で、年次計画的にこのことが具体的に示されていて、私は小学校の現場の者だったわけですけれども、十六、七年度、これが俎上に乗ったころから、学校現場としては、そういうものが年次を追ってどういうふうに具体的に展開されていくのか、結局、それによって地方教育委員会も、おそらく、教育基本法にあるように、年次計画などを立ててやっていくだろうし、学校経営も、それに則して具体化していくということが当然求められます。したがいまして、この指導要領の改訂と着実な実施にあるような、やはり年次計画的な展開計画といいますか、そういったものを、今後具体化していくときに、明確にしていくことが必要ではないかなと思います。
 以上でございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 多分、教育振興基本計画は、これは政府のものとしておつくりになりますが、また、それを具体化した文部科学省の具体の年次的なものができてくるんじゃないかと、私は考えております。ということで、今のご発言を、ぜひまた文部科学省のほうで、念頭に置いていただきまして、工程表、ロードマップをつくらなきゃいけないと思います。よろしくお願いいたします。

【佐々木委員】
 ほんとうにすばらしいものができたのではないかと思うんですけれども、教育関係者の方々は、今、この変化に注目をして、どういう動きが出てくるのかとか、さまざまなことを、いろいろな角度から意見を言うプロセスに入っていくと思うのですが、私が一番重要ではないかと思うのは、社会を巻き込むというところだと思うんです。常々申し上げているように、保護者をどのように巻き込むというか、参加して、自分のものとしてとらえていただくか。それから子どものいない人たち、あるいはもう育て上げてしまった人たちも、いろいろな箇所で出てきた社会全体でというところを、どこまで、人ごとではなく、自分も参加するんだという意識を持って読んでいただくかだと思うんです。ですからこれから、1年から2年、3年かけて、実施に向けて緩やかにスタートしていくときに、どうしても忘れられそうなところという、言葉で終わってしまいそうなところというのは社会の全員参加というところだと思いますので、このあたりはやはり、かなり熱心に、文部科学省の方々が中心になられて、PRという言葉はちょっと合っていないようには思いますけれども、いろいろな形で、くどいほど社会参加というところを言っていっていただきたいし、より多くの大人たちが、子どもがいる、いないにかかわらず、新しい考え方に触れる機会を持てるようにしていただけたらと思います。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 それでは、非常に大事なご指摘、あるいは今後についてのご意見をいただきました。この教育振興基本計画について答申、これについてのご報告はこのあたりにしまして、もう一つご報告があります。これは「学士課程教育の構築に向けて」という、審議のまとめが出ております。これにつきまして、これは前に、この会でも、途中で皆さんに議論をしていただきましたけれども、審議のまとめが出ておりますので、それにつきまして高等教育局の鈴木企画官のほうからご報告をお願いしたいと思います。

【鈴木企画官】
 失礼いたします。
 それではお手元の資料4、裏表1枚の資料及び白表紙の冊子がございますので、そちら2点に沿いましてご報告をさせていただきたいと存じます。ただいま梶田先生からお話がございましたとおり、初中分科会に向けましては、昨年の11月7日及び今年の2月19日、2回にわたりまして、概略をご紹介させていただいたところでございます。ただ、かなり時間も経過してございますので、今般、改めて全体像についてご紹介を差し上げればと存じます。資料4の配付資料がございますが、こちらの冒頭に、審議の経緯ということが記載されてございますけれども、このような経緯を経まして、3月25日の大学分科会へ報告された文書でございます。位置づけといたしましては、今後、夏前を目途に答申をという方向でございまして、現在パブリックコメントを実施している段階ということでございます。
 2番目の点に、審議経過報告。昨年ご報告した小委員会のレベルの報告書がございますが、そちらとの変更の主立った点についてここに書いてございますけれども、大きくはOECDの国際調査、あるいは日本学術会議との連携。既にご報告した高大接続のワーキンググループの報告。そういった諸情勢の変化を踏まえる。あるいは2番目にございますような、学部の共同設置制度の創設をはじめとする、もろもろの議論の進捗を踏まえて、修正を施したということでございます。ただ、全体の構成、内容につきましては、昨年の小委員会の報告書をベースにしたものということでございますので、根本的なところに関する大きな変更はないということでございます。全体としましては、この報告書の冊子、250ページあまりの分量になっておりますけれども、本文は50ページ程度で、残りは参考資料、図表。主として国際的な動向や参考にすべきデータ、そういったものを200ページ程度掲載しているということでございますので、詳しくはまたご参照いただければと存じます。
 全体の概略につきましては、白表紙の237ページ以降に、骨子及び概要を掲載いたしております。237ページは一枚物の骨子でございますが、続く239ページから4枚の概要がございます。本日、ご紹介に当たりましては239ページの概要、四枚物に即しましてご紹介を差し上げたいと存じます。
 こちら、239ページでございますけれども、まず、今回学士課程教育という表題を掲げておるところでございますが、通常、一般的には学部教育と称するものをここでは学士課程教育と言っているわけでございます。学部という組織に着目するのではなく、授与する学位、そのプログラムというものに着目するということで、ともすれば学部・学科が非常に縦割り構造になると。それが学生のための教育活動を阻害する面もあるという観点から、学生本位の教育活動をしていくという観点から、今回、学士課程教育ということを協調して、表題としても掲げているということでございます。
 第1章におきましては、全体の時代状況に関する基本認識を示しているところでございますが、さまざまな環境が急速に変化していると。特に大学をめぐる量的な点としましては、進学率が引き続き伸びる。あるいはユニバーサル段階と呼ばれるような、若年層の5割を超える者が進学する。さらには少子化に伴う大学全入。もろもろの環境変化が急速に進んでいるということでございますが、そうした中で進学率等が過剰ではないかという見方もある一方でございますけれども、OECD、諸外国との対比で見れば、大学教育の規模は一体どう評価すべきかという点については、今回の報告書は必ずしも過大とはいえないと。むしろ、そういった量的な拡大というものを、ポジティブに、積極的に受けとめていこうと。その上で社会からの信頼にこたえる。あるいは国際的な通用性を備えた者に教育をしていこうと。言うならば量と質、その両方を追求していこうという考え方でございます。やはりこの人口減少社会ということでもございますので、学識レベルの人材供給というものは非常に大事だと、そういった意味で、その中身をあるものにする。底上げをしていくという意味合いで、「量か、質か」というような安易な二者択一はとるべきではないというスタンスを示しているところでございます。しかしながらそれは、あくまで学生数あるいは進学率の問題でございまして、大学という機関の数のことを論じているものではないということで、そこは両者の峻別が要るだろうということでございます。まず、そういった意味で質の維持向上の努力を怠る大学については、その淘汰が不可避であるということも明言をなされているところでございます。そういったさまざまな危機感を共有して改革を進めていこうということを第1章ではうたっているところでございます。
 続く第2章は改革の基本方向ということでございますが、これは全体の第3章において、いろいろな改革の具体方策を記載しておりますけれども、第2章は全体の要約に当たる部分ということでございます。サブタイトルとして競争と協同、多様性と標準性の調和ということをうたっておりますけれども、さまざまな大学間競争の促進という、そういったこと。それはそれで一定の意義があるわけでございますが、それのみでは、質の維持向上という面では限界があると。大学間の連携、協同というものが必要である。あるいはさまざまな多様性、個性の尊重ということは大事でございますが、一方では標準性というものも考えていかなければ国際通用性を失うということで、両者のバランスをとっていこうという考え方でございます。
 その上で、大学それぞれの取組、及び国による支援・取組。両者を書き分けていきるところでございますが、大学の取組につきましては、大きくは学位の授与という出口の問題、教育課程編成・実施という中身の問題。それから高等学校とのつながり、入り口の問題、そういった3つについて、基本的な大学としての方針、ポリシーというものを明確にすると。それらが統合した運用がなされていくということが基本であるということがうたわれているところでございます。
 また、国による支援・取組につきましては、先ほど申し上げた量や質、そのそれぞれを追求するということになりますれば、やはりそういった意味での、国としての財政支援をはじめとするもろもろの多角的な支援はきちんとしていかないといけない。ただ、財政事情が厳しい折でもございます。説明責任の徹底ということもあわせて進めなければならないということを強調しているところでございます。
 続く第3章が具体的な改革の方策ということでございますが、先ほど申し上げた出口、中身、入り口、そういった3つの方針ということがうたわれておりますが、この第3章の構成につきましても、そういった出口、中身、入り口、それぞれのあり方を述べる。その上で条件整備として教職員のあり方、質保証のシステムのあり方、そういった5つの節から構成がなされているというところでございます。
 第1節は、出口の学位の授与、学習の評価という問題でございますが、ここについては、先進諸外国の大学改革の動向を踏まえまして、学習の成果、ラーニングアウトカムを重視した改革を進めていくということの重要性をうたっております。一方で、我が国の大学においては、そういった学位授与の方針というのは、必ずしも確立していない。出口の管理という点が緩いという点についての不信感が強いと。ここを何とかしなければならないという問題意識でございます。
 続く240ページでございますが、枠囲いで具体的な改革の方策。以降の節も同様でございますが、大学の取組と、国による支援・取組。それぞれを書き分ける形で記載がなされております。本日は国による支援・取組の部分を中心にご紹介をと存じますが、国による支援・取組の中では、それぞれの先行分野を通じて培う、我が国の学士が保証する能力というものを明確にしようと。そのための参考指針を掲げようということで、ここでは「学士力」という名称を使っておりますけれども、そういった参考指針を提示しておるところでございます。本文におきましては16ページにございますが、ここにございますような多文化理解、コミュニケーションスキル、論理的思考力、問題解決力等々、そういった能力要素というものを参考として示しているということでございます。これらの内容につきましては、後ほど触れるOECDをはじめ、諸外国が目指そうとしているさまざまなアウトカムの流れというものとも整合するような内容として提起がなされているところでございます。
 次でございますが、日本学術会議との連携ということで、ただいま申し上げた学士力というのは分野横断的なものを基本としておるところでございますが、やはり現実のカリキュラムの改革等につなげていく上では、それぞれの分野ごとの質保証の仕組みというのが必要であるという観点から、さまざま、学術会議との連携をとりながら、学習の成果到達目標、コアカリキュラム、もろもろの開発を促進していこうということがうたわれているところでございます。これに関しましては、文部科学省といたしまして、このご提言を受けて、学術会議への審議依頼というものも手続を進めたいということで準備を考えているところでございますが、ただ、この点について誤解のないように申し上げておきますと、初等中等教育における学習指導要領の性格とは全く異なるということでございます。何か、国で策定して、法的な規範性を持たせるというようなことをねらいとするものではございません。あくまで、そういった意味で大学関係者の自主性、自律性のもとに、質の保証のためのいろいろな仕組みをつくっていただきたいと。そのために、科学者の代表機関である学術会議に対して、イニシアチブをとってご検討を進めていただきたいという趣旨のものでございますので、その点はご理解を賜れればと存じます。
 その他、OECDにおきましては、初等中等教育段階のPISAに相当するような国際的な調査、大学生に対する調査というものを検討がなされるということで、我が国としてもそれに対応していこうということがうたわれております。
 第2節におきましては、教育内容・方法でございます。教育課程に関しまして、これについてはさまざま、教育課程の多様化が進んでおる一方で、専門教育の比重が増大している、あるいは資格取得志向が増えている等の形で、幅広い学びが十分に保証されていないのではないかということなどが、課題として示されております。国としては、すぐれた個性化、特色化の教育課程、すぐれた体系化の取り組みというものを、これから財政的にも支援していこう、あるいは大学間の連携の強化を応援する、あるいはそういった連携の制度的なものを創設していくということなどを、ここでご提言をいただいております。
 教育方法に関しましては、まず、やはり単位制度というものを実質あるものにしていかなければならない。特に学習時間という点で、データの面でも我が国の学生が非常に勉強時間が少ないと。このあたり、国際的に遜色ない水準にするということを目指さなければならないということで、種々、教育方法の改善ということをうたっているところでございます。そういった意味で、条件整備にかかわりますが、教育支援人材TA等の活用というものを一層進めなければならないということなどがうたわれているところでございます。
 また、(3)の成績評価でございますが、これについては、やはり一層の厳格化、組織的なチェックというものが重要だということでございます。国においては、そういった面での積極的・先導的な取り組みを支援していく。GPAをはじめとするさまざまな成績評価のあり方、そういったものの標準というものに関する検討をしていく等、取り組みをここで記しているところでございます。
 続きまして第3節は、初等中等教育とかかわりの深い高等学校との接続に関する節でございます。第3節は入学者選抜と、それから初年次における教育上の配慮、高大連携。大きくは2つの部分から構成されております。(1)の入学者選抜につきましては、既にご報告をいたしましたワーキンググループの報告書の内容、そのうち、部会レベルで了承された内容のエッセンスを、この中に盛り込んでいるということでございます。本日の冊子の中では111ページ以降に、参考資料の7として、このワーキンググループの報告書の本文が全文記載をされておりますので、後ほどご参照いただければと存じますが、ここで、本文の、部会レベルの報告書の中で示されておりますのは、いわゆる大学全入というものを迎えて、入試の選抜機能が低下していると。そういった中で、入試による学力水準担保機能、そういったものが低下してきているということで、そういった現状の中で、高校、大学が客観的な学力を把握して、きめ細かい指導をしていく。それによって学力向上に、それぞれ協力して、手を携えてやっていこうという必要性を強調しているところでございます。
 特に入試の改善に伴って、推薦入試が普及をしてきているわけでございますが、一方ではそれらのあり方が、必ずしも本来の趣旨とは違う方向に行っている。事実上、学力不問というような状態もあるのではないか。このあたりも見直しが必要である。一方では、選抜制の強い特定の大学につきましては、この総合的な学力を問うという取り組みが、まだまだ不十分ではないかという点についても指摘がなされております。
 この点に関しましては、本年1月の学習指導要領改訂の答申の中でも入試改善に関するご指摘がございましたので、大学分科会におきましても、そのご提言を受けとめて、そういった答申を引用しながら、こういった指摘がなされているところでございます。
 具体的な改革方策に関しましては、まず、大学者として入学者の受け入れの方針、いわゆるアドミッションポリシーというものを明確にしていくと。単に漠然とした学生像を描くのではなく、何をどの程度学んできてほしいかということを、それぞれの大学の見識においてきちんと示すということを、まずもって求めているということでございます。その上で、推薦入試やAO入試に関しましても、一定の学力把握措置というものを促す。あるいはAO入試の早期化の問題に関しては、実施時期の見直しを求めるというようなことなどがございます。
 さらに高等学校段階の学力の客観的な把握という観点から、高校、大学が活用できる新しい仕組みとして、高大接続テスト、仮称でございますけれども、そういったものを高校関係者、大学関係者が協議・研究をしていくことをお願いしたいということが触れられているところでございます。
 これについてはワーキンググループの報告書の中でも、1つの提案としてあったわけでございますが、今回の部会におきましても、そういった高校関係者、大学関係者が、まずは主体的なご議論をなさるということが、非常に意義があることではないかということに触れた上で、幾つかの留意点の指摘がなされております。その上で、これからの協議・研究を促進したいというようなことを記載されているわけでございますが、あくまで、そういった意味で、これからの具体的な協議・研究の内容は、これからの当事者間にゆだねるというスタンスでございますので、ワーキンググループの報告の内容以上に、具体的に技術的な点において踏み込んだ記述はないということでございます。
 (2)は初年次の教育上の配慮、高大連携ということに関して、特に大学全入とも呼ばれるような時代の中で、大学生活への円滑な移行を図る、そういう初年時教育のプログラムの充実等が、これからは特に重要だと。あるいは高大連携についても、一層の普及・深化を図ることが必要であるということなどが課題として示され、国としても支援策などが示されているところでございます。
 続いて、第4節は教職員の職能開発及び第5節として質保証システムということで、いわゆるFD・SD、あるいは評価制度や情報公開、そういった問題などについて触れられているところでございます。昨年の小委員会からの変更点としましては、242ページでございますが、第5節の(2)としまして、大学団体等の役割・機能というところが触れられております。こういったさまざまな質保証、これから大事だというときに、その多くの役割を国と大学の中間に存する大学団体、学会を含めて触れておりますが、そういったものが、質保証の基盤として極めて重要であるということで、そういったものの存在感が発揮されること、それに対する支援ということが重要であるということが触れられているところでございます。
 最後でございますが、おわりにということで、改革の加速に向けた社会全体の支援をとございますけれども、この中では、さまざまな家計負担の問題について言及がなされておるところでございます。ともいたしますと、大学全入という言葉で誤解もございますが、やはり一方では、経済的理由によって進学等を断念する事例。これは決して見過ごしてはいけないということが触れられております。そういった意味で、個人補助を通じた家計負担の軽減。そういったさまざまな仕組みが重要であるということが課題として示されております。また、産業界に対する意見・要望ということも触れられておりますが、今後、出口管理、大学としてしっかり学力をつけていくということを目指す上では、やはり大学の学習環境の確保に向けた積極的な協力を期待したいと。特に最近では採用活動のさらなる早期化ということが懸念をされているところでございますので、そういった点の是正ということを強く求めているということでございます。
 そのようなことで、最後、末尾でございますが、先ほどの教育振興基本計画の答申にもございましたとおり、あくまで大学分科会のお立場としましては、今回学士課程というところ、そこに絞って議論がなされているわけでございますが、やはりさまざまな改善をしていく上では、学校体系全体、あるいは家庭や職業、そういったものを含めた縦の接続を重視した幅広い議論が必要であるということで、それについては、またそれぞれの場でのご議論を期待したいということで結ばれているところでございます。
 内容につきましては、概略、以上でございますけれども、今後の取り組みにつきましては、資料4に戻っていただきますと、資料4の裏側に、文部科学省としての当面の取組についての資料がございます。この中では、この報告書の内容、まだ最終答申ということではございませんが、各大学への周知、それによる主体的な改善を促すということ。そのほか、設置基準といった制度面の対応、あるいは20年度予算、各種事業の推進、そういったもので種々の具現化を図っていきたいということでございますが、大学分科会の今後の審議に関しましては、4番にございますとおり、先ほど少しご紹介しました分野別の質の保証、これに関して学術会議にお願いをすること。それ以外にも認証評価、全体としての大学評価システムのあり方の検討、あるいは設置基準、OECDへの対応。そういった問題をトータルで、質保証のあり方について、これからまた本格的に審議を進めてまいりたいということでございます。
 概略は以上でございます。冒頭申し上げましたとおり、現在パブリックコメント期間中でもございます。5月以降は、初中教育関係者を含めて団体ヒアリングも実施して、さらに審議を深めていただくということでございますが、本初中分科会の先生方をはじめ、お気づきの点がございましたらご意見を賜り、また、私どもとして大学分科会へご報告を申し上げたいと存じます。以上でございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 本日はもう時間がなくなりまして、ここでというわけにはいきませんが、今お話がありましたように、これから、いろいろと意見を募集するということでありますので、この分科会の先生方も、積極的に意見を寄せてほしいということであります。ただ、今お話があったところを少しだけ申し上げておきますと、1991年、17年前に大学設置基準の大綱化という形で、規制緩和が行われたわけです。それまでは大学をつくるのも、それから学部学科を設置するのも、事前評価が厳しかったわけですけれども、これを規制緩和した。そして、その結果として、今、4年制大学が750、それから短大・高専が500、合わせて1,250ほどの大学、短大があって、そして、5割ぐらいが行くようになったら、イメージ的に言って、世の中の人がこれで「大学を出た」と言えるかと、こういうようないろいろな問題が出てきてしまっている。規制緩和の裏には、必ず当事者の自己責任というのが当然あるわけで、そういう意味では当事者であるところの大学、短大の責任のとり方を、この辺でもう少し明確にしなきゃいけないのではないかということで、いろいろな提案がずっと出ていると、こういうふうなことだと私は理解しております。
 ただ、東アジアはみんな同じ悩みを持っておりまして、韓国も台湾も、7割から8割が日本よりもたくさん進学しております。そこで、どういうことが起こっているかというと、日本以上に、これで大学と言えるかというのが出ておりまして、今、いろいろな策を考えておられるということでございます。そういう中で、次の一歩をどうするかということでありますので、きょうは、前にこの問題を挙げたときに、荒瀬先生に幾つか大事なポイントをお示しいただきましたけれども、皆さん、ぜひ……。これは、窓口は……。

【鈴木企画官】
 窓口のほうは高等教育局の高等教育政策室でございます。

【梶田分科会長】
 高等教育局の高等教育政策室だそうですので、ぜひ、ご意見をお寄せいただきたい、そういうふうに思います。
 きょうは、この問題はまだ審議のまとめで、これからパブリックコメントといいますか、皆さんにご意見をいただいて、最後、練り上げていくという段階ですので、このあたりまでにさせていただきました。
 本日、全体を通しまして、もし、皆さんのほうでご発言がありましたら、お願いしたいと思います。高倉先生。

【高倉委員】
 ありがとうございます。
 内容的に、全体というよりも、1月17日の学習指導要領の改訂についての答申と、それから基本計画及び今日の審議のまとめ、3つにまたがるものとして、鈴木企画官からもご説明いただきましたように、1月17日の答申というのは、異例とも思えるようなことでございまして、最後に、企業や大学等に求めるものということで、特に大学に求めるものの中に、入学者選抜の改善に取り組む、そのことが示されているわけでございます。いろいろ言う必要はございませんが、それが、今日ご報告いただきました基本計画の中にも、高等学校と大学の接続ということで、きちっと書き込まれておりますし、また、審議のまとめの中にも、今、ご説明いただきましたように書き込まれている。今後に向けての期待と要望でございますけれども、いわゆる大学全入時代における入学者選抜という問題は、非常に大きな問題を含んでおりますので、どうぞこの点について、理論的かつ具体的、積極的に施策を展開していただきたいと思うわけでございます。何しろ、入学者選抜のあり方というものが、初等中等教育の実態というものを規定してくるというような事実、これはもう否めないことだと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 第2点でございますけれども、認証評価の絡みでございまして、すぐに実現する、実行する改革の方向について、認証評価特別委員会を設置し、云々ということが述べられております。このことにつきまして、平成16年からスタートした認証評価制度、4年経過いたしました。私も直接関係しておりますけれども、いろいろな思いがございます。これが第2期を迎えるんですか、どういうふうに展開していくべきなのかということを、そのことに関連して、今行っている第1期の総括というものをきちっとする。その後で、今日もご説明いただきましたように、分野別の評価システムをどうするかということ等ということですが、その等の中に、ぜひ、アメリカの例えばCHEA(高等教育基準協会)のような、いろいろな評価のアソシエーションがございますけれども、そういったアソシエーションを、連絡、調整するような、そういうふうな機関の設置も含めて、ぜひ、積極的にご検討と、実現に向けてのご努力をお願いしたいと思います。
 長くなって申しわけございませんでした。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 まだ、ご意見をいただきたいところですが、時間が過ぎまして、きょうはこのあたりにしたいと思います。今日は3つ報告をいただきまして、皆さんのほうからいろいろと、それに対して今後の、文部科学省の頑張りへのエールも送っていただき、同時に注文も若干いただいたと思います。文部科学省でも、どうかよろしくお願いしたいと思います。本日はこのあたりにしたいと思います。ほんとうに長時間、皆さんご苦労さまでした。
 それでは、今後の日程等につきまして、事務局からお願いいたします。

【淵上教育制度改革室長】
 今後の初等中等教育分科会及び教育課程部会の日程につきましては、分科会長、部会長とご相談の上、追ってご連絡をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 それでは、本日の初等中等教育分科会、そして教育課程部会の合同会議、このあたりで閉会にしたいと思います。どうも皆さん、ご苦労さまでした。

‐了‐

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