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初等中等教育分科会(第7回) 議事要旨

1. 日時:平成14年12月16日(月)10:00~13:00

2. 場所:霞が関東京會舘シルバースタールーム

3. 議題:
中央教育審議会「新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画の在り方について」の中間報告について
構造改革特区(教育関係)の報告等
その他

4. 配付資料:
資料1―1   中央教育審議会(教育基本法及び教育振興基本計画)の今後の審議スケジュールについて
資料1―2 「新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画の在り方について」(中教審中間報告概要)
資料1―3 新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画の在り方について(パンフレット)
資料1―4 「新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画の在り方について」(中教審中間報告)(冊子)
資料2―1 特区法案の基本的枠組み(案)
資料2―2 構造改革特別区域法案の概要
資料2―3 構造改革特別区域法案における文部科学省関係事項について
資料2―4 構造改革特区における文部科学省関係の特例措置(概要)
資料3 総合規制改革会議第2次答申の概要
資料4―1 平成13年度小・中学校教育課程実施状況調査の結果のポイント
資料4―2 平成13年度小・中学校教育課程実施状況調査の結果を受けて(大臣コメント)
資料4―3 平成13年度小・中学校教育課程実施状況調査の結果概要について
資料4―4 平成13年度小・中学校教育課程実施状況調査の結果概要をみるに当たって

5. 出席者:
(委員) 木村分科会長、高倉副分科会長、荒木委員、今井委員、梶田委員、田村委員、千田委員、渡久山委員、永井(多)委員、齋藤委員、永井(順)委員、野村(新)委員、野村(萬)委員、星委員、宮崎委員
(文部科学省) 矢野初等中等教育局長、加茂川初等中等教育局審議官、金森初等中等教育局審議官、辰野初等中等教育企画課長、月岡教育課程研究センター長、大槻教育課程課長、名取主任社会教育官、布村生涯学習政策局政策課長、義本行政改革推進室長
6. 概要:
(1) 木村分科会長より挨拶が行なわれた。
(2) 事務局より配付資料の確認を行なった後、資料の説明が行なわれた。
(3) 本日の議題について、次のとおり議論が行なわれた(○:委員、●:文部科学省)。

1「特区法案の基本的枠組み(案)」及び2「総合規制改革会議第2次答申の概要」について

市町村立学校職員給与負担法は、税のあり方とセットの問題になるのか。財政が豊かなところしかできないということであれば、教育の機会均等との関係はどうなるのか。

市町村による教員の雇用は、まず都道府県の責務として県費負担教職員で標準法に基づいた定数を十分確保しているという前提のもと、それに加えて、財政力のある市町村、また、独自の企画を持っている市町村が行なえる、というスキームである。従って、一応の水準は確保できる。

その一応の水準の部分を削ってやるということではないのか。

そうではない。水準を確保した上で、プラスするということである。

地域における地域特産の産業育成のために、その産業に精通した方を非常勤講師として教育を行なっているところがある。ただ、問題点として、給与が安いということと、継続性がないということが指摘されている。特区法案ができると、これらの問題点について改善されるのか。

具体的には、市町村の企画内容が一番大事である。これから具体的に明らかになるところだが、一部には、地場産業の振興の観点から、現場の産業に経験のある方、実際にその産業に就いている方を常勤講師として雇って学校に入れ、指導させたいというプランがあると承知している。
このプランは、地元にはいずれ地場産業を担っていく人材の育成に資するという明らかなメリットがある。市町村の教育委員会の企画内容にもよるが、講師として招かれる方についても、不安のないように待遇等を明示し、混乱のない形で採用される計画があるのではないか。
ただ、その場合には、都道府県の教育委員会とも十分な連携を図った上で進めていく必要がある。我々も、県と市町村が十分に連携をとるように指導していきたいと思っている。

現在、幼稚園教育は満3歳からということになっているが、入園年齢制限が緩和され、2歳児が入園した場合、教育内容はどうすればよいのか。幼稚園教育要領に準じると考えるのか。

幼稚園で行う指導の内容については、現行の教育要領に基づいて指導をすることになるであろう。

資料2-4に地域の特性とニーズに応じたバラエティに富んだ教育という記述がある。現在、学校に行かずに集まってくる子どもたちに広い意味で教育活動を行っているいわゆるフリースクールがあり、その子どもたちは不登校児ということになっている。将来、そうではない子どもが通うフリースクールも出てくる可能性もあることについて、どのようなことを考えているのか。

今回の特例措置において要件を緩和しようとしているのは、カリキュラムと設立についてであり、設置主体については、基本的に現行制度を維持し、設置主体を学校法人以外にするというところまでは広げていない。ただ、要件の緩和に伴い、フリースクールが学校法人を設立することにより、これに参入可能になるかもしれない。

入園年齢の制限緩和は、何歳であっても入園が可能であるというニュージーランドのような形にしようとしているのか、臨時に時代の流れに応じて多少要件を緩和するということなのか。なんでも規制緩和でよいというわけにはいかない。

基本的には、全国的な一律の制度では不都合が生じるという特別な事情を持つ地域に限って、全国的、一般的な規制を排除して、特例を設けるということである。幼稚園の入園制限の緩和は、満3歳児入園が基本的考え方である。あくまでも地域特性を踏まえた特例的な措置である。

資料3に、この分科会に関連した事項もたくさんある。その中で、平成14年度中や15年度中に措置する必要のある、実施期限が迫っているものも多い。今、文部科学省ではこれを踏まえて、具体的なものをどのように取り組んでいくつもりなのか。
14年度中、15年度中という期限について、これは閣議で決定されれば、文部科学省としても「知らない」というわけにいかないだろうから、特に中教審の各分科会との関連において、どのようなお考えなのか、お伺いしたい。

14年度中の措置としている内容については、既に先行して実施しているものもある。あるいはインターナショナル・スクールのように、これから来年の3月31日までに法令等の改正をしないといけないものもあるので、それは分けて考えないといけない。
ただ、実施の行程表等については、政府全体として作るものである。文部科学省としても具体的な項目立て、あるいはスケジューリングを考えていく。その中で、個別の事柄については、必要に応じて中教審でご意見を伺うという形になっている。
他方、特に高等教育の分野について、むしろ中教審のほうで先取りして検討しており、それをベースにして総合規制改革会議が後追いしてきたというものもある。そういう中で、あわせて連携をとる予定である。

資料3の中の保育分野のことだが、幼稚園教諭免許、保育士資格の相互取得の促進ということで、相当踏み込んでいるが、厚生労働省と文部科学省ということではなくて、一本化していくべきではないか。
規制緩和であれば、両省の連携を乗り越えて、例えば文部科学省が一本化して引き受けていくというところまでは行けないのか。

資格のことか。幼保一元化のことか。

資格というよりも、その所管を文部科学省なら文部科学省が全部引き受けてしまうほうがよいのではないだろうか。

幼保一元というときに、何が一番大事かというと、幼稚園教育なり、あるいは保育についての国民のニーズに、どういう形でこたえるのが一番望ましいかということであり、単純に幼保一元ということだけが、必ずしも国民のニーズに応える道ではない。
例えば、親あるいは国民のニーズとして、一方ではよりよい教育を受けたいというものがあるが、一方では、より長く子どもを預かってもらいたいというのも最近強くなってきている。そういうニーズに幼稚園教育の側でどう応えていくかということが大事なことであって、単純に一元化すればいいという話ではない。

総合規制改革会議の議論は、国民一人一人に自分で考えさせるという方向へ動いているように感じる。イギリスなどでは既にそうなっており、例えばスコットランドでは小学校の入学年齢は親が自分の子どもの成長の度合いを考えて決めるということになっていると聞いている。幼稚園の入園年齢の話を聞いていても、まさしく日本もその方向へ動いているという気がする。


3


「平成13年度小・中学校教育課程実施状況調査の結果」について


今回の結果をみて、今までよりは一歩進んだなと思っているのは、例えば学習の意義、大切さがわかっている子は成績がよいがそうでない子は悪い、といったアンケート調査と結果とをクロスさせた分析である。そうすれば学校での指導の在り方についてきちんとフィードバックができる。
さらに、設定通過率についてだが、算数は、6割とか7割に設定されている。普通、算数、数学というのは、これがわかって初めてこれがわかる、そしてこれがわかるという構造になっているので、これでよいかもしれない。
しかし、国語は違う。国語は8割でなく、もう少し下でもよい。
教育評価の実務をやってきた人からみると、この設定通過率の設定の仕方は、極めて問題が多い。設定通過率というのは会議で決まるような話ではない。これは実際のデータで決めなければいけない部分である。
今回の設定通過率の数字の根拠はなかなか納得できない。

今回の調査はアンケートも行い、年齢別の分析もできるので非常によい。例えば、子どもたちが勉強を好きになるようにするにはどうするか、といった際に的確な対策が行えると思う。
また、まだ実施されていないティーム・ティーチング等を生かして、学級規模を小さくすることも含めて、子どもたちに勉強がわかるようなシステム作りをご検討いただきたい。
ただ、教員の資質や使命感などということだけを言っていたのでは、あまり効果は上がらない。条件整備をもう少し具体的にやっていただきたい。

小・中学校教育課程実施状況調査の結果について、教科ごと、領域ごと、さらにいえば問題ごとに、問題の所在を分析するべきであるという指摘については、当然考慮に入れている。それぞれの問題で、なぜ通過率が達成できなかったのか、なぜ前回に比べて下がったのかということも含めて、問題の所在について詳細な分析検討をして、その結果を全国の教育委員会、学校にフィードバックする予定である。

設定通過率を考える際には、前回と同じ程度にすることとしている。
というのは、例えば前回、国語は非常に高かったから、前回と同程度の水準にする。中学校の社会科は前回、非常に低かったが、それもあえて上げるような操作をしないで、前回と同じ程度のところでいこうと考えている。
それから、カリキュラムの実現状況はたぶん学年の中でも多様だと思われるので、算数、数学についても、基本的なところから比較的応用的なところまで万遍なく問題を出したほうがよいのではないかという考え方で作っており、比較的設定通過率として数値が低いものも入ってきている。
さらに、目標に準拠したところで、どれくらい正答できるであろうかということで、御指摘のような方法もあるだろうが、今回、私たちは、指導要領からどういう状況が実現できればいいと考えるのかということを中心に議論し、予備調査も行っている。よりよい方法を作っていきたいと考えている。

アメリカやフランス、イギリスの教育関係者と話をするとわかるのだが、今回のアンケートの結果は、解釈に充分気をつけなければいけない。例えば、「理科の勉強が好きだ」という子どもが69%いるが、「勉強が好きだ」という設問になると大きく減る。
日本人は、アンケートの際、「勉強が好きか」という質問に対して、全部の教科が好きでないと「イエス」と答えないということがある。
また、日本の大人のサイエンティフィック・リテラシーは世界の最低レベルで、ポルトガルとほとんど同じである。このことについて、先日アメリカの関係者と話をする機会があったが、「そんなことは絶対ない」と言っていた。日本ではタクシーの運転手さんに半導体に関する質問をしても答えられるが、アメリカでは絶対そういうことはあり得ないと強調していた。
従って、学力調査そのものはよいが、アンケートについては、日本人の場合は解釈に気をつけないと、危険だと思う。日本人は、アンケートのときにどうしても一歩引いてしまう気がする。

報道をみて大変がっかりしていたが、詳細な結果をみると必ずしも報道どおりとは言えないという気もする。
今後も分析を続けていくのは当然だが、もう少し外部の人間も入れて分析を行っていただきたい。今度も設定通過率という難しいことなので、一般の人にはちょっとわかりにくい。悪いところは悪いとはっきり指摘し、指導するべきだが、簡単に学力低下の現れだと受けとめて国民全部がこれは大変だというようにならないようにしなくてはならない。

教科ごとに問題作成委員会をつくっているが、これは基本的に大学の先生、指導主事の方、現場の先生といった外部の方である。
テストを実施した後の分析委員会は、問題作成に携わった人を半分、問題作成に携わらなかった人を半分とし、かかわっていない人にも参加していただいて、どういう点が弱かったのか、どういった点を留意すべきなのかと公平な分析をやっていきたい。
今回、いろいろな観点から、アンケートもあわせて行ったので、できるだけ子どもたちの答えていることと、指導上の工夫をすべき点を結びつけながら、学校の先生方に参考となるような情報を出していきたい。
さらに、分析委員会から出てきたデータについては、私どもの研究所で2次分析のようなものを行い、さらに詳細なところを公表していきたい。

適宜分析の結果、状況については、この分科会に御報告し、御意見を賜りたい。

最近、学習から逃避する、極端に学力の低い、無学力な子どもが増えている心配がある。通過率の問題もあるが、極端に学力の低い子どもたちは現代の複雑で高度な社会に適応できないという大きな問題がある。
どれぐらい無学力に近い子どもがいるのか。そのことによって教育政策を立てなければならない。通過率だけではなくその実態を知るような分析が必要ではないだろうか。

マスコミ報道によると、かなり否定的な論評を加えているマスコミもある。いろいろなことを言われるが、現場の教員がかなり頑張って子どもたちの教育に携わってきているその成果として、プラスの方向でできるだけ考えていきたい。
なお、正すべきところ、不足する部分はもちろんそのとおりなのだが、マスコミの報道は「学力低下だ」ということのみを取り上げて必ずしも全体的なプラスに働かない。
ぜひ国としても、その辺について、データに基づいた分析結果を国民の前に提示していただきたい。マイナスの部分は改めるとしても、プラスの方向でこの結果を活用することが大事ではないか。

経験上、クラスの1割は最初の説明だけで、問題が全部できる。が、ほとんどの子はそうではなくて、いろいろな応用問題を例題で解き、どんな問題が出てもできるようになっていく。実際、そこまで授業として問題演習で行うと、家庭における学習が極端に減ってしまう。
理解度に関しては、昔も今も変わらない。実際に、生徒の状況をみていて、応用問題ができなかったことを指して、学力低下というのは当たらない。基礎はできているわけであり、その上にプラスをする工夫をすればよいということだ。
その辺をきちんと分析して言わないと、結果だけ見て、「点が下がった、点が下がった」と言われてしまう。マスコミの方は実際教えていないから、わからない。
とにかく、状況をみると日本はかなりよい。今まで培ってきた力というのは、そう簡単に落ちていない。落ちていない今のうちに、きちんとした前向きの対応をすることが必要だ。
今の状態では家庭における勉強の時間が少な過ぎることも問題であると感じている。

今回、学習指導要領が変わって、1年が経ようとしている中で、テストの結果として現れた部分については変わっていないという点について、現場を預かる者として危惧している。
今までの指導の在り方は問題回答型であり、日本の子どもたちは学習に対する目的、あるいは応用、自分なりに組み立てる力が弱いという前からの指摘を踏まえ、その最も本質的なところを変えるべく新教育課程が出され、我々は挑んでいる。
今回の調査は旧学習指導要領の成果ということだが、私たちがいつも思うのは、そして、新指導要領の1年目を終えて考えるのは、自らの指導の方法をどう変革していくか。つまり、問題回答型から問題分析型なり課題解決型にどう変えていくのかという指導のところが、転換できないでいるということだ。

以前にこの分科会で、学力低下を議論したときに、たしか学力が二極化しているのではないかという予測をされていたと思う。しかし、今回の結果をみると、二極化しているのではなくて、真ん中あたりに集中している。その集中している部分が少し下がっているということであり、全体として下がっているという意味合いになるのか。
それから、地域により差が出ているというのも大変気になる。規制緩和の流れの中で、希望する教育の質がきちんと維持されていけるかについて、地方でももっと議論していかなくてはならない。

前回との比較についてのご質問は、前回のデータを今回のデータと比較できる形で持っていないので、説明しづらい。ただ、過去問との比較でいうと、前回の結果に達していないという教科もあるので、推測だが、特定の子どもの結果だけではなく、下がった分野や、領域、観点に注目しながら、そこを補強していく指導をこれからしていかなければいけないのではないかと思う。

ある設問に100%の子が正答を出すなどというのはあり得ない話であるが、それに近づけるために、最低基準としての学習指導要領について再検討していかなくてはいけないのではないか。

今回の結果をもって「学力が下がった」と報道されているけれども、そうでもないと感じる。日本人に一番足りないのは考える力だ。アメリカ人に対してはそれほど感じないが、イギリス系の人達はその辺りが非常に強いように思う。
ただ、考える力というのはなかなか測りがたいので、この点についてはこの場で真剣に考えていかなければいけないことだと思っている。



   (4)事務局より今後の日程の連絡があり、閉会となった。

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)