資料2-1 学校において作成する計画等について

学校において作成する計画等について

【検討の視点】

・各学校は、法令等の定めにより、学習指導、生徒指導、学校運営等に関する学校の全体計画や個別の児童生徒に対する計画を作成することとされている。
・各種全体計画は、それぞれの分野における各学校の基本方針を明確にし、人材や予算、時間、情報、施設や設備、教育内容といった学校の資源をどう効果的に配分するかを考え組み立てていく上で大変重要である。また、学校が目指す方向性や方策を保護者や地域住民等にも共有し、学校に対する理解と協力を得るための手段としても有効であると考えられる。
・個別の児童生徒に対する計画は、支援を必要とする児童生徒に対し、学校と家庭、地域及び福祉等の関係機関との連携を図り、きめ細やかな支援を組織的・継続的かつ計画的に行うために重要な役割を担っている。
・一方、これらの計画作成業務には多くの時間を必要としている(※1)。教育委員会から学校宛ての調査・照会例の中にも、計画の作成に関するものが一定程度含まれている。また、計画の数が増加するのに伴い、計画間の整合性やバランスをとるために更に時間を要することになる。
・また、それぞれの計画についても、過度に複雑かつ詳細な計画を作成した場合、計画作成自体が自己目的化し、実施、評価、改善というPDCAサイクルの中で活用されず、結果として、教育活動の質の向上という、本来の目的を達成できなくなるおそれもある。保護者や関係者との認識を共有化するための手段としての機能も低下してしまう。
・上記の観点から、まずは、別紙(※2)のとおり、法令等により学校が作成することとされている計画を全て網羅的に列挙した上で、教育活動の質の向上のために、真に効果的な「計画」の在り方を検討する必要がある。

(※1)これらの業務は、教員勤務実態調査上、主として「事務(その他)」又は「学校経営」に含まれるものと考えられる。
(※2)・学校において作成する計画等(一覧)【概略図】
   ・学校において作成する計画等(一覧)【概要】、本体

【これまでの主な意見】
・計画を立てて教育委員会に出すにあたっては、前年度踏襲の形のものも多くあるが、年度末から年度初めにかけて、担当者を中心にして時間をかけて見直しを行っているものであるため、簡略化、廃止、統合できるものがあればありがたい。
・それぞれの計画は、何かしらの背景があって作成が義務付け等されているものだとは思うが、理念的には良かったとしても、作成する計画の数が増えれば増えるほど、現場の作業は形骸化してしまう。形骸化して使われない計画であれば必要無いという考え方も成り立ちうるし、計画の中身や重みによって見直す頻度等は変わってくるので、そういう観点から何らか作成等の負担を減らすことが考えられるのではないか。
・これらの計画は、学校の自主的、自律的な教育活動を担保する根拠として、必要なものとなっている。しかし、形骸化している面もあるので、計画の作り方、活用の仕方等については、「カリキュラム・マネジメント」の観点からも、相応の改善の必要性があるのではないか。
・それぞれの計画は個別に作られているというところがあって、それを統合するような考え方を導入しないと、学校は事務作業で追われて、PDCAが回っているように見えるけれども、それは校長の机の上だけで回っているということになりかねない。
・学校において作成する計画等(一覧)について、結構任意のものがあるが、そこを教育委員会の運用として必須に近い形にしていたり、これら以外のいろいろな計画を求めたりするようなところがあるので、教育委員会の方でより精査、仕分けをしていくことが大事なのではないか。

【考えられる対応策】
児童生徒ごとに作成される計画については、学校や児童生徒の状況等に応じて複数の計画を1つにまとめて作成することで、業務の効率化を図ることができるのではないか。例えば、ある外国人の児童生徒について、不登校かつ特別支援が必要など複数の支援計画の作成が求められている場合は、1つの支援計画でまとめて作成することができるのではないか。
・学校単位で作成される計画については、計画の内容や学校の実情に応じて、業務の効率化の観点や、計画の機能性を高め、カリキュラム・マネジメントの充実を図る観点から、統合して作成することも考えられるのではないか。
・各教科等の指導計画については、年間指導計画や2年間にわたる長期の指導計画から、学期ごと、月ごと、週ごと、単位時間ごと、あるいは単元、題材、主題ごとの指導案に至るまで各種のものがあるが、計画の機能性を高めるためにも、計画の内容や必要性、学校の実情に応じて、簡略化して作成することも考えられるのではないか。
・教育委員会においては、教育委員会として学校に作成を求めている計画等を網羅的に把握した上で、その計画の必要性を含め、整理・合理化をしていくことが重要ではないか。また、教育委員会において計画等のひな形を提示する際には、過度に複雑なものとせず、PDCAサイクルの中で活用されやすいものとすることが必要ではないか。


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