学校における働き方改革特別部会(第14回) 議事録

1.日時

平成30年6月20日(水曜日)14時00分~16時00分

2.場所

都道府県会館 101大会議室

3.議題

  1. 学校の組織運営体制の在り方について
  2. 学校の労働安全衛生管理の在り方について
  3. その他

4.議事録

中央教育審議会初等中等教育分科会
学校における働き方改革特別部会(第14回)
平成30年6月20日


【小川部会長】  2時前ですけれども、もう委員の方もそろっていますし、皆さんお忙しいので、時間前ですけれども始めさせていただきたいと思います。その分早めに終われるのであれば早めに終わりたいと思いますので、そのようによろしくお願いします。
 それでは、きょうで14回目になりますけれども、学校における働き方改革特別部会を開催いたします。
 まず、議事に入る前に、本日の配付資料について事務局から確認をお願いいたします。

【鈴木初等中等教育企画課課長補佐】  お配りしています議事次第にありますとおり、机上には資料1から資料3、参考資料1から4をお配りしております。あわせて、御参考までに前回までの配付資料を机上に置かせていただいております。過不足等ございましたら、事務局までお申し付けください。
 なお、参考資料3といたしまして、前回まで昨年度の経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太の方針を配付しておりましたけれども、先週6月15日に今年度の同方針が閣議決定されましたので、該当部分を抜粋して配付しております。学校における働き方改革につきましては、引き続き政府全体の方針に位置付けられておりますので、皆様のお力添えを頂けますと幸いでございます。
 事務局からは以上でございます。

【小川部会長】  ありがとうございます。
 それでは、議事に入りたいと思います。きょうの議題は、議事次第に記載されておりますとおり、学校の組織運営体制の在り方について、もう一方が学校の労働安全衛生管理の在り方についての2件です。
 中間まとめの公表以降、この間、本部会としますと、学校の組織運営体制の在り方、学校の労働安全衛生管理の在り方、そして、時間外勤務抑制に向けた制度的措置の在り方、今の3つをこの部会の柱として、後半の審議として設定しておりました。
 この間、第1の論点である、学校の組織運営体制の在り方について議論を進めてきましたけれども、きょうはこの論点に関して議論を頂いて、できればきょう、学校の組織運営体制の在り方についての議論を整理して、一区切りにしたいというふうに考えております。
 それが終わった後に、第2番目の議題であります学校の労働安全衛生管理の在り方について議論を進めていきたいと思います。
 きょうは、日本学校保健会の弓倉整専務理事にお越しいただいております。後ほど御報告を頂いて意見交換をしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、最初に、学校の組織運営体制の在り方について議論を進めていきたいと思います。この間の議論を整理した資料を事務局の方から用意していただいておりますので、その説明を最初頂いた後に、皆さんからの御意見を伺いたいと思います。それでは、初中局の佐藤企画官から説明をお願いいたします。

【佐藤初等中等教育局企画官】  よろしくお願いいたします。
 学校の組織運営体制の在り方についてでございますけれども、前回の部会におきまして、資料1-2の資料でございますけれども、論点の整理ということで4枚ものを出させていただいて御議論を頂いたところでございます。その場で委員の方々からたくさんの御意見を頂きまして、また、部会終了後におきましてもメール等で追加の御意見を頂いておりますので、事務局の方でそれらの意見を踏まえまして、再度整理をさせていただいたものが資料1-1、学校組織運営体制の在り方についてのこれまでの議論の整理というペーパーでございます。委員の皆様からの御意見を踏まえて、修正、追記させていただいた部分を中心に御説明をさせていただきます。
 資料1-1ですけれども、まず、1ページ目の方から基本的考え方の部分でございます。まず、2つ目の白丸のところをごらんいただければと思います。そこの中で、前半で、業務負担の軽減を図るために、中間まとめで示された学校・教師の業務の役割分担・適正化を進めるということをまず行うということを明らかにさせていただいております。また、適正な労務管理の観点からも、個業型の組織運営を見直すということを書かせていただいた上で、そういったことによって目指すところとして、そこにございますとおり、長時間勤務を是正し、教師が児童生徒としっかりと向き合い、子供の可能性を引き出し、育てるといった教師本来の業務に専門性を発揮し、やりがいを持って働き続けられる環境を整えていくことが必要であるという部分を追記させていただいております。
 また、その下の白丸でございますけれども、最後の行から2行目に掛けまして、学校組織マネジメントという言葉を使っておりまして、その部分につきまして、下の注釈において学校組織マネジメントとはということで、一般的な考え方と、特に学校における働き方改革に関してはこういう観点から捉えることができるということを注釈として入れさせていただいております。
 続けて1枚めくっていただいて2ページでございます。2ページにつきましては、2つ目の白丸の下からマル1、マル2ということでございます。まず、マル1の部分ですけれども、主幹教諭等のミドルリーダーがそれぞれリーダーシップを発揮できるような組織運営という文脈の部分でございます。前半につきましては、皆様方からの御意見を踏まえて幾つか文言修正をさせていただいておりまして、また、2ページ目の下から5行目あたりからですけれども、若年者層が確実に増加していく中で、若年層の教師に対する支援ということで書かせていただいておりましたけれども、新しい学習指導要領の対応ということを含めて、若年層に限らず全ての教師に対しての支援を総合的に行っていくということについても、ミドルリーダーの果たす役割ということで追記をさせていただいたところでございます。
 また、次の3ページに行っていただきまして、マル2の事務職員について記載している部分でございますけれども、マル2の下から4行目、5行目あたりですけれども、事務職員に過度に業務が集中することにならないようということで、教育委員会との連携により学校事務の適正化、そして事務処理のさらなる効率化等を図っていくという部分を追記させていただいております。
 また、3ページの一番下の白丸ですけれども、これにつきましては新たに付け加えさせていただいたものでございまして、前回の部会におきまして、学校において、学校行事や部活動等の見直しなど、働き方改革を進めるためには、これまで学校及び教師が担ってきた業務の一部を家庭・地域の役割として見直すなど、保護者、地域住民の理解を得て連携・協働を図ることが重要であると。そのために、学校運営協議会制度などを活用して、保護者、地域住民等が参画するプロセスを経て進めていくことも重要であり、そのための人材を確保していくことも求められるという部分について追記をさせていただいております。
 1ページめくっていただいて、4ページからが目指すべき学校の組織運営体制の在り方という部分でございます。前回の部会の資料では1ページでありましたけれども、この部分について委員の皆様から多数の御意見を頂きましたので、大幅に加筆をさせていただいております。
 まず、1つ目の白丸でございますけれども、その中で下から5行目ぐらいからの部分でございますけれども、校長や教育委員会等の組織や担当者等の校務分掌について果たす役割と、国の果たす役割という部分について、御意見を踏まえまして整理をさせていただいております。校長や教育委員会の方で主導して、各学校や地域の実情を踏まえつつ、そういった委員会等の組織や担当者等の校務分掌について、整理・統合を積極的にまずは図っていく必要があると。その上で、国におきましても、それらの整理・統合を加速させるように具体的なモデルを示していくということで整理をさせていただいております。
 続けて、2つ目の白丸でございますけれども、4行目ぐらいからの部分でございますけれども、グループの責任者として、権限と責任及び専門性を持った主幹教諭の配置につきまして、地域ごとに状況が異なりますので、ここは地域の実情に応じて促進することが適当であるとさせていただいております。その上で、平成28年度の学校教員統計調査における、これは授業担任ありの教員についての比較ですけれども、一般の教諭と主幹教諭についての持ちこま数ということで記載をさせていただいておりまして、小学校については、教諭が24.5こまに対して主幹教諭は19.0と、中学校については、教諭が18.2こまに対して主幹教諭は15.8こまという状況がございます。このような状況を踏まえて、引き続き負担軽減措置を講じつつ、教師の適切な役割分担と連携の中で、主幹教諭がその役割を十分に果たすことのできる環境整備が重要であるというふうにさせていただいております。
 また、その下の「その際」の部分ですけれども、国が好事例・成果を収集・提示する際に、主幹教諭を配置することで副校長・教頭を含め教師の業務負担が軽減され、実際に長時間勤務是正につながる効果的な事例、成果についての収集・提示するということを明確にさせていただいております。
 4ページの下の2つの白丸につきましては、今回新たに追記をさせていただいております。下から2つ目でございますけれども、ここの部分につきましては、主幹教諭や指導教諭について、新規に採用された教師をはじめとする若手教師の指導力向上に向けての校内研修等において果たし得る役割にも焦点を当てるということ、そして、新規採用された教師が自信を持って教育活動ができるための必要な体制整備を進めていくべきということを追記させていただいております。
 また、一番下の白丸につきましては、現在、学校内における連絡調整及び関係教職員に対する指導、助言に当たる役割を果たしている主任についても、その在り方について検討していくべきというふうな御意見を頂きましたので、追記をさせていただいております。
 最後の5ページにまいります。5ページ目の一番上の白丸の部分で、事務職員について記載しておりますけれども、まず1行目からの部分ですが、学校における事務職員の職務の専門性・重要性を踏まえ、事務職員の校務運営への参画を拡大し、学校における働き方改革を進めることが必要であると。そして、国や教育委員会は、権限と責任を持った事務長をはじめとした事務職員の配置の充実を図るとともに、庶務事務システムの導入、共同学校事務室の設置・活用などを推進し、学校事務の適正化と効率的な処理、事務機能の強化を更に進めるべきということで追記をさせていただいております。
 また、その下の段落につきましても先ほどの主幹教諭と同様でございまして、2行目からですが、国は、事務職員が校務運営に参画することで、副校長・教頭を含め教師の業務負担が軽減され、実際に長時間勤務是正につながる効果的な学校運営が行われている好事例・成果を収集・提示するということを明示させていただいております。
 また、5ページ目の下から2つの白丸につきましても、新たに追記をさせていただいております。下から2つ目の白丸ですけれども、前回の部会におきまして、学校組織マネジメントにおける校長、校長以外の管理職も含め、そういった方々についての記載が不十分であるというふうな御指摘を頂きましたので、新たに追記をさせていただいております。その中で、校長をはじめとした管理職について、各都道府県教育委員会等は校長及び教員としての資質の向上に関する指標において求められる能力を明確化し、その能力の育成に努めるとともに、培われた能力が十分に発揮されているかどうか適確に評価を実施していくべきであり、国は必要な支援・助言を行っていくべきである。また、各教育委員会・学校においては、校長等が行う学校組織マネジメントの手法を確認し、改善する仕組みを設けることも積極的に進めるべきであるということを追記させていただいております。
 また、最後の白丸でございますけれども、先ほどの3ページと同様の趣旨でございますけれども、保護者や地域住民等が一定の責任を持って学校運営に参画し、学校と地域が適切な役割分担の下で連携・協働を進めることにより、学校・教師の業務の適正化を図っていくことも可能となる。そのためにも、学校運営協議会制度を積極的に活用した学校運営や地域学校協働活動を進めていくべきであり、国及び教育委員会は必要な支援を行うべきであるということを追記させていただいております。
 事務局からの資料の説明は以上でございます。

【小川部会長】  ありがとうございました。
 前回の部会から、そしてまた、部会終了後に頂いた意見をかなり丁寧に反映させていただいているかと思いますけれども、皆さんの方から御意見を頂ければと思います。なお、学校の組織運営体制の在り方についての議論は、きょうの部会で一応一区切りとさせていただきますので、きょう頂いた意見については、最終的な取りまとめの際に反映するというふうなことを考えておりますので、その点は御了承いただければと思います。
 それでは、何か御意見等々があれば、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。では、こちらから行きましょうか。冨士道委員から、どうぞ。こちらから順番に行きたいと思います。どうぞ。

【冨士道委員】  では、失礼をいたします。今説明いただきましたこの資料につきましてですが、5ページのところになるかと思いますけれども、特に一番上の白丸のところには、副校長・教頭の業務の軽減のためのスタッフの充実を図るんだというようなことが書いてございまして、大変これはもう是非進めていただきたいことだと思いますが、この点に関しては2つ、実は危惧をしている点がございます。
 1つは、このスタッフが入る、外の外部人材が入るために、今度は逆に、その方の管理であるとか、またその方のいろんな業務報告をしなさいというような形の仕事が副校長・教頭に掛かっていけば、結局、マイナス1の仕事のつもりでマイナスをしたわけですが、プラス1が入って差し引き同じでした、逆に増えましたということにならないように、管理、そして方法等含めて、やり方の工夫が必要なのかなと思っています。
 もう1点はスタッフにつきましては、最終的には学校の方で探しなさいということにもしなれば、やはり、これも結局何のための軽減が分からない。今回、最後に学校運営協議会制度含めて、国、そして教育委員会が必要な支援を行うという形で、応援をしていただくというようなことが書いてございますので、これは1つの救いかと思いますけれども、間違っても各学校で探しなさいという形にならないように、是非そこは配慮していっていただきたいと考えております。

【小川部会長】  ありがとうございました。
 妹尾委員、どうぞ。

【妹尾委員】  ありがとうございます。たくさん反映していただいて、御検討いただいてありがとうございました。その上で更に踏み込むならばということで、事前に少し関連する意見出しはしましたけれども、4点ほど申し上げておきたいと思います。
 1点目は、4ページ目の下から2番目の丸だったと思いますが、新規採用された教師が自信を持って教育活動ができるための必要な体制整備を進めていくべきであるということがありまして、これは恐らく、主幹教諭とか指導教諭が、もっと指導者としてしっかり機能を果たすようにという文脈で語られているのだとは思いますが、恐らくそれだけでは不十分ではないかなということを感じております。ですから、このあたりはまた具体策を是非検討いただきたいと思います。
 もう少し踏み込んで申し上げますと、前も申し上げたかもしれませんが、小学校ではほとんどの場合、初任者でも4月の最初から学級担任を持ちます。文科省さんの統計によりますと、95.9%が新卒採用であっても学級担任です。中学校であれば57.6%、これが高等学校になると19.1%ということで、高校と小学校の状況はかなり違うということであります。教員定数の話もそうなんですが、やはり、小学校では、4月1日から、あるいは入学式のときから、非常に重たい学級担任という非常に難しい仕事を負わされる。あるいは、校務分掌なんかにつきましても、少ない人数でやっておりますので、初任者の方、あるいは臨時採用の方にとってもかなりの重要な役割を担うということだと思います。これは正直、僕みたいな企業人からすると、非常にむちゃぶりといいますか、まだ採用されて間もない方にそんなに重い仕事が任せられるのかということは、これは昔から言われることですがあると思います。さらに、御案内のとおり、いろんな子供の様子、あるいは家庭の難しさ等々で課題が難しくなっている中で、小学校の学級担任を新卒採用がやるということが、そろそろ大分限界に近いのではないかということも考えていますので、そもそもそういうところも含めて、初任者へのケアをどうしていくのか、定数改善の部分も含めて、指導教諭の部分は随分定数の面でも大分充実してきたという話は聞いているんですけれども、そもそも学級担任を任せなくてもいけるぐらいにしないといけないのではないかということを考えていただきたいのが1点目です。
 あと2点目なんですが、5ページ目です。5ページ目のこれも下から2つ目の丸で、校長等の組織マネジメントの手法を確認し、改善する仕組みを設けることも積極的に進めるべきであるというふうに書いていただきました。これも私も関連するコメントもしましたので、こういう文言が加わったのは非常に有り難いことですが、ただ、この文言だけだとやはり教育委員会さんとか各学校からすると、何をすればいいのやらということが分からないということかと思いますので、このあたりは佐古先生なり、天笠先生なりも御専門だと思いますし、あるいは自治体については、稲継先生もよく御存じなので、また関連する具体策があれば是非教えていただきたいという要望を伝えておきたいと思います。私は前から申し上げているように、やはりこれは、360度評価ではないですけれども、教職員の声をもう少し校長に届きやすい仕組みを作らないと、なかなか教育長とかだけが校長のパフォーマンスを見るというのは限界があると思いますので、うまく教職員の声を生かして、校長先生等が組織マネジメントの改善策をしっかり立てていけるような、そういった方策も含めて考えるべきかなというのは前から申し上げているとおりです。これが2点目です。
 3点目は、全体にも関係することなんですが、今回、主幹教諭への期待が大きくなっております。ここは別に反対ではないんですが、前も申し上げましたように、本当に主幹教諭がうまく機能しているかどうかについては、基礎的なデータも実は余りないし、きちっと検証されているようには見えません。国とか都道府県、政令市等につきましては、やはり、モデル事業等を通じて、本当に主幹制度が機能するためには何が必要なのかということをしっかり検証したり分析していただきたいなと思っております。前も申し上げましたが、主任制度が中途半端ですねと。主幹制度も中途半端にならないという保証はどこにもないのでありまして、そこもよく考えていただきたいなと思っております。これが3点目です。
 4点目なんですが、事務職員の負担軽減につきましても言及していただいて有り難(がた)いと思いますが、これも前も申し上げましたが、やっぱり、旅費とか給与とか、ルーティンワークの一部につきましては、思い切って事務職員から離すというようなことも含めて、これも是非、国とか都道府県等のモデル事業でさっさと何かどこか実証していただいて、うまくいくのであれば広げていただきたいというようなこともお願いしておきたいと思います。そうしないと、経営参画、校務参画といってもなかなか絵に描いた餅になるのではないかという心配を申し上げておきたいと思います。
 以上です。

【小川部会長】  ありがとうございます。
 佐古委員、どうぞ。

【佐古委員】  ありがとうございます。私、前回欠席いたしましたので、議論の流れをよく把握できていないところがあるかと思いますが、個々のものというよりも、全体を通して幾つか少し論点を整理していただきたいと思っています。というのは、きょうの資料の説明でございましたように、組織状況の改善については、働き方改革そのものに限らず、かなり多方面にわたって議論が展開されているようで、なかなか本部会との関連が見えにくいようなところもございますので、その辺ちょっと明確にしたいと思っています。
 主幹の配置とも関わることなんですが、1点目は、やはり、教員の働き方の中でも特に目立って労働時間というか勤務時間が長いのは教頭さんなので、もちろん教職員全体の見直しを図るということが課題であるにしても、特に教頭さんをどうするかということは、学校の組織運営上非常に大きな課題になっていると思いますので、その点についてはもっと明確に、教頭先生の勤務の実態と、その負担軽減を図るということは特に緊急を要するということだということは打ち出してもいいのではないかと思っています。
 それから、2つ目は、冨士道先生のおっしゃったこととも関わるんですけれども、この部会で、昨年あたりの議論の中心は学校の仕事の仕分けでして、その論点の主なものは、学校でやらなくてもいい仕事というものをあぶり出して、それを地域あるいは支援人材の方にお任せしようという方向だったと思うんですけれども、そこでも議論されましたが、それはそれでいいとしても、外部人材あるいは支援人材にお願いするというときに、それとの連携、調整という作業が必ず出てくるので、そういうことを推進できる人材を置かないと、外部人材や支援人材の活用に至らないということが多分あると思いますので、そういうことを学校で行えるような人の配置というのがこれからの学校に必要だということははっきりさせるべきだろうと思っています。
 それから3点目は、今後も議論されると思いますが、勤務時間等の管理、把握と改善という観点に立ったときに、教職員の一人一人任せて実行できるかというのはなかなか難しい、これは個業型の組織の特徴だと思いますけれども。そうすると、学校の中の先生方の仕事の仕方、配分、それから勤務状況の改善について具体的なアドバイスを行えるような、これもミドルリーダーになると思いますが、そういうものの配置といいますか、働きが大きいと思います。
 ちょっと横道に話がそれるようですけれども、あるベテランの校長先生にお聞きしましたら、働き方改革は分かるんだけれども、教職員に早く帰れと言うと、先生の方が、校長先生、これだけやらせてくれということで残ってしまうと、これが学校の仕事なんですとおっしゃるんです。それは分かるんだけれども、いわば教育の論理にとりつかれてしまった学校の状況をいかに改善するかとなると、これは教育委員会がモデルを示すだけでは直らないと思いますので、具体的に学校の中でやはり勤務状況を把握して、きちんと教職員にアドバイスできるような、そういう働きといいますか、機能を詰めていかないと、なかなか直らないと思っています。それが3点目です。
 それから4点目は、これは先ほどの妹尾先生のお話ともちょっと関連するんですが、組織マネジメントについての今後の在り方を述べていただいておりますが、これも一般論ではなくて、この部会との関連でいうと、教育活動の重点化と構造化をいかに図るかという点で、やはり、先生方の組織マネジメントを促していくということが大事だと思います。つまり、あれもこれもてんこ盛りにするというのが学校のマネジメントではなくて、その学校の課題や実情に合わせて、教育課題を焦点化していくということができるような組織マネジメントを実現することで、働き方改革につなげていくというような方向性をもう少し出していただければと思っております。
 それから、最後なんですけれども、これは何ページでしたっけ、主幹の先生の勤務負担の軽減措置について言及がありましたけれども、これはもう少し明確にしていただきたい。つまり、どれぐらい、非常に分かりやすく言うと、主幹教諭については0.5人分ぐらいの受持ちぐらいにしまして、0.5人分は代替の教員を充てると。つまり、前々回のこの部会で、時久先生が主幹教諭を定数化するというようなお話をされましたけれども、そこまではっきりしなくても、主幹教諭の負担軽減を明確にしまして、その負担軽減分を担う人材を学校にちゃんと付けるということを通して、これからの学校に必要な機能を担う人材と、それとともに学校に入る教員の数を1人でも増やすという方向で何か提案していただきたいと思っております。
 以上です。

【小川部会長】  ありがとうございました。
 相原委員、どうぞ。

【相原委員】  ありがとうございます。
 4ページの2ポツのところの2つ目の丸のところです。先ほど御説明にもありましたとおり、2つ目の丸の5行目のところに、地域の実情に応じて促進ということを補強いただいたように説明いただきました。この点は適切かなと思っております。そのパラグラフの一番下の十分に果たすことのできる環境整備が重要であるという点も補強されたように説明があったように伺いましたので、この点については、一律ではなしに、十分環境を整えた上での重要性を説いたということで適切かなというふうに思っているところです。
 ただ、一方で主幹教諭のところをめぐっては、学校現場の実情もあるというふうに承知をしているところでして、例えば、主幹教諭が担当していた授業はほかの先生が持ったり、若しくは非常勤講師を雇うわけですけれども、その雇用自身が難しかったり、さらにはその主幹教諭が担任となって代わりに授業を受け持つことだったり、そうしたことを踏まえて、主幹教諭の皆さんの大変多忙化もあって、最終的にはなかなかその背中を見ているとなり手がないという、こういう循環も学校現場にはあるように承知をしておりまして、したがって、地域の実情に応じて、一律ではなくてということは適切だと思いますし、環境整備が重要であるということもそのとおりなんですが、主幹教諭がその役割を十分に果たすことができる環境整備の中には、学校現場の実情に十分留意しつつというのが入ってきた方が、環境整備の中では説得力があるのではないかと思っておりまして、最終的にはそうしたことを総点検の機会としていくような捉え方も必要なのではないかというふうに思っているところです。佐古委員が先ほど最後におっしゃった定数の関係も関わってくるところだというふうに思っておりまして、もう少し議論を最終的には踏まえていく必要があるのではないかと、このように思っております。

【小川部会長】  ありがとうございます。
 では、天笠委員、どうぞ。

【天笠委員】  3つ申し上げさせていただきたいと思います。
 まず1つ目なんですけれども、どこのところにどういうふうに入れていいのかどうなのかというのは、ちょっと場所が何とも見当たらないところもあるんですけど、私は今回の学習指導要領に関わって、小学校で外国語の時数の増ということについては、基本的に専科の担任で対応するということが必要なのではないかというふうに思っています。また、更にそれをきっかけにして小学校の高学年における専科、一部教科担任制のさらなる普及拡大ということを進めていくべきではないかと思っております。もちろん、これまでも折々にこの種の会議では、小学校においてどの教科がどのぐらい分担しているかどうかという調査を拝見させてもらったりしているわけで、このことについて無関心であるということではないというふうに認識しておりますけれども、とりわけ、このたびの小学校における外国語の時数増ということを、専科担任としてそれを引き受けて、そして対応していくという1つの具体策というか、方向性として明示するという、そういう意味というのは私はあるのではないかというふうに思っています。
 そういうことを考えるときに、先ほど佐古先生が、教育活動の重点化と構造化とか言っていたんですけれども、まさに教育活動をどこのところを重点化するとか、あるいはどういうふうに構造化していくかというところについて、もっと入り込んでいく必要があるのではないかと思いますし、私は、教育活動の協業と分業というんでしょうか、分担というんでしょうか、協働と分担という、そういう言い方でもまたいいのではないかと思うんですけれども、チーム学校という言葉の中に、何となく全てが溶け込まされたような形で、そのことについて異論は当然ないんですけれども、教育活動を協働するところと分担するところをもう少しめり張りをはっきりさせてということで、そうしないと、この他の文言の中には学級経営という言葉が入っているわけですけれども、方や学級経営の中に全てが取り込んだりですとか、というふうな形で大変それをチーム学校で更に上塗りしていくというと、要するに今のままの現状について、なかなか入り込めないような、そういう構成になってしまっているというところがちょっと気になるところで、まさに本丸中の本丸として、指導をどういうふうに分担していくのか、象徴的に小学校の高学年と申し上げましたけれども、低学年からそれこそ中学校、高等学校でも、様々な分担構造化ということを検討する必要があるのではないかということを1つ目として申し上げたいというふうに思います。
 続きまして、2つ目なんですけれども、1ページのところに個業型ということが出てくるんですけれども、私も学校の組織の例えとして、例えば連合商店街の集まりというのを例えて言うときがあったりですとか、まさに個業が集合してというふうな、そういうことを言うんですけれども。一たび、こういう公式の文書になったときに、個業型ということが大変定義が曖昧な形になるということについて、これが今度はまた、ある種の一人歩きするような形になってしまうというあたりのところは、少しこの言葉の言い回しについては丁寧に扱われるというのも1つかなというふうに思います。学校でお仕事をされているからどこが個業なんだと、全く自分の思いとは違う形で仕事をせざるを得ないというような、そういう思いを持たれて仕事をされている方も恐らくいらっしゃるのではないかというふうに思いますし、方や外から見ていると、随分お一人お一人が別の方向を見てお仕事をしているようにも見えるわけなんですけれども、そういうことを個業という言葉の中でこれを使ってしまうことについては、少し慎重な方がいいのかなというふうに思っています。
 むしろ、私は、この文章の中にない言葉があるとすると、組織文化というんでしょうか、そちらの方がいろんな学校の今の状態を説明する言葉としてはあるのかなというふうに思っております。組織文化の見つめ直しと新たなる組織文化の構築ということがこの働き方改革で問い掛けられているというような、そういう捉え方も1つあるのではないかと思うんですけれども、何で今学校が先生方の働き方がそうだというと、いわく言い難しとか、なかなか説明がつけ難(がた)いというあたりのところが、ある意味では長年の蓄積の中でそういうふうになってきたという、そういうふうになってきたというところこそ、実は見直さなければいけないというところがテーマだと思うんですけれども、それは、組織文化という言葉がその1つの言葉としてあるのではないかというふうに思っておりまして、そのあたりのところを、この時代の、あるいは次の社会の時代に向けての新しい職場における組織文化の構築というふうなことの中に、この働き方改革の提起すること、求めるところというのを込めていくというのも1つではないかというふうに思います。
 それから、最後です。5ページ目の最後の文章なんですけれども、国及び教育委員会は必要な支援を行うべきだということなんですけど、これはコミュニティ・スクールのことを言っているわけなんですけれども、必要な支援という言葉というのは、随分漠然とした言葉なのかなというふうに思っていまして、というのはどういうことかというと、この間振り返ってみれば、国は、例えばコミュニティ・スクールを3,000校設置を目指すとか、あるいは既にコミュニティ・スクールについては努力義務化という法制化されているというような状況からすると、必要な支援というのは何とも曖昧な言葉であって、むしろ、ここのところは教育委員会が決断しなければいけなというふうな段階に来ているのではないかということであって。というふうなことからすると、この文言の言い回し自体は、前に時間が戻ってしまったようなところであって、今の時点でというふうなあたりの書きぶりというのがあるのかなと思いますので、御検討いただければと思います。
 以上です。

【小川部会長】  清原委員、どうぞ。

【清原委員】  ありがとうございます。三鷹市長の清原です。
 学校における働き方改革特別部会でこれまで議論してまいりました学校組織運営体制の在り方について、一定の取りまとめをしていただいたものとして受け止めています。したがいまして、述べられております点については委員の皆様の御意見をかなり反映していただいていますし、きょうの御意見なども踏まえて最終的な取りまとめをするタイミングであると認識し、部会長におかれまして、「きょうで」とおっしゃったことはタイミング的には私もそうなのかなと感じております。その上で改めて今回の取りまとめの意義等について感じていることを幾つか申し上げます。
 1点目は、「基本的な考え方」でございますが、丸の2つ目の後半に、改めて、「長時間勤務を是正し、教師が児童生徒としっかりと向き合い、子供の可能性を引き出し、育てるといった教師本来の業務に専門性を発揮し、やりがいを持って働き続けられる環境を整えていくことが必要である」とあり、これは当たり前のようですが、やはり、しっかりとそこに書いていただいた上で、改めて、校長を中心に副校長・教頭も含めた管理職が、リーダーシップを持って学校組織マネジメントを行っていくことが不可欠であると思います。しかし、その「リーダーシップを持って」の前に、教育活動を遂行するためには、「教職員の意識や取組の方向性の共有を図る」こと、単なる私についてきなさいというようなリーダーシップではなくて、まさに「学校組織マネジメント」として、「一人一人の教職員意識を共有しながら」ということが協調されているということ。また、私たちは、副校長・教頭に大きな着眼点を置きましたが、改めて「校長を中心に」というところにも私は本来的意義があると思っております。その上で、具体的な点について3点申し上げます。
 1点目は、例えば、4ページの「目指すべき学校の組織運営体制の在り方」の1つ目の丸に、例えば、「学校運営等に関する委員会についても各学校や地域の実情を踏まえて整理・統合を積極的に図っていく必要がある」と、このようにされていますし、次の「校務分掌の見直し」につきましては、「主幹教諭の配置についても、地域の実情に応じて促進することが適当である」とされています。これは、いろいろな改革を進めるときに、私たち各地域が、それぞれの実情に応じて教育委員会を中心に望ましい教育の在り方を検討している立場から、相原委員もおっしゃいましたけれども、やはり、「学校や地域の実情を踏まえつつ」というところが極めて重要なポイントだと思っています。一定の方向性がこの働き方改革特別部会で示されたとしても、それを具体化する現場の皆様に当事者意識を持って実情に応じた取組を創意工夫していただく、これは極めて重要なポイントですので、各所に書かれておりますが、改めて重要であるということを私からも申し上げます。
 2点目でございますが、2の「目指すべき学校の組織運営体制の在り方」の1つ目の丸にも、最後の3行目から、「国においても、それらの整理・統合を加速させるように具体的なモデルを示していくべきである」とか、4ページ目の下から2番目の丸にも、「その際、国は、主幹教諭云々(うんぬん)というふうな体制整備を進めていくべきである」ということで、「国」という主語がある部分が一定程度示されています。例えば5ページにもございまして、最初の丸の事務職員の点につきましても、下から5行目に、「国は、事務職員が校務運営に参画することで、副校長・教頭を含め教師の業務負担が軽減されるような好事例・成果を収集・提示する」、そして「標準的な職務内容を具体的に整理し、事務職員の配置と校務運営への参画を促進していく必要がある」と、主語として「国」があります。地域や学校の実情に応じて進めていくべきという趣旨とともに、しかし、それを進めていく上でヒントとなるような取組については、しっかりと国がモデルや好事例・成果を示していくという、この役割分担が示されているという点については、是非実現されればよいと願っています。
 3点目に申し上げます。3点目は3ページ目の最後の丸でございます。「学校においてこうした組織体制の強化の取組、あるいは改善の取組をしていくときに、学校運営協議会制度などを活用して、保護者、地域住民等が参画するプロセスを経て進めていくことも重要である」と、そして、「そのための人材を確保していくことも求められる」とあります。それに呼応するように、最後の5ページの一番下の丸でございますが、「改めて学校運営協議会制度を積極的に活用した学校運営や地域学校協働活動を進めていくべきであり、国及び教育委員会は『必要な支援』を行うべきである」とあります。これにつきましては、表現はいろいろな受け止め方があるかと思っているんですが、私は、一方でこういう声を市民の皆様から聞くわけです。
 すなわち、三鷹市は「コミュニティ・スクールを基盤とした小中一貫教育」をしておりますけれども、それをしていることによる教員への負担はないか、副校長への負担はないかという問題提起でございます。私自身はそれを負担と捉えるのではなくて、地域に開かれた学校教育を進めていく上で、「コミュニティ・スクールを基盤とした小中一貫教育」のメリットを、多々実践の中から感じているわけでございます。それを一方で負担と感じる市民の皆さん、あるいは教員の負担を懸念する市民の皆様がいらっしゃるというのは残念なことでございますので、この点につきましては、私たちもコミュニティ・スクール推進員(地域学校協働活動推進員)をお願いしたり、あるいは副校長に過度な負担が掛からないように副校長補佐を置くというモデル事業を進めているわけでございます。
 したがって、この『必要な支援』の中身の中に、改めて学校における働き方改革で、教員の負担、管理職の負担を減らすという発想だけではなくて、コミュニティ・スクールを進めていくのであれば、あるいは学校運営協議会制度を円滑に進めていくのであれば、必要なほかの人材に掛かる財源については保証していくということも当然必要だという思いが、この『必要な支援』という言葉には反映されているのではないかと読み込んでしまったわけでございます。教員についても、もちろん適正な教員の規模、教員の質を確保するためにも、私は定数についても考えていくべきであるという立場でございますが、教員だけではなくて、よりよいコミュニティ・スクールを実践していく上で必要な人材に掛かる在り方についても含めた学校組織運営体制の在り方の提案ができたのであれば、これは極めて未来志向の前向きなものであるというふうに受け止めているところでございます。
 以上です。ありがとうございました。

【小川部会長】  ありがとうございました。
 川田委員、どうぞ。

【川田委員】  私は、大きなところでは、資料1-1の内容に意見はございませんで、組織運営体制というある意味大きな話を教職員の負担軽減という部会の趣旨に添った点にウエート置く形でまとめていただいたものだというふうに思っています。
 その上で、1点コメントというか意見として、1ページ目のところで、脚注の1で、学校組織マネジメントという言葉について説明がされているんですけれども、もし可能であれば、これを誰が行うのかという主体を明確に示すということができたら、そうした方がいいのではないかということです。私自身がこの概念をよく理解していないだけなのかもしれませんが、この提言で目指すところを具体化する上で一定の意義はあるのではないかということで、もし教育の分野でこの概念についての確立した理解があれば、それに沿った内容を記載することを検討していただくということでいいのではないかと思います。
 また、もしそういうことがないということであれば、私自身としては、学校の組織の在り方を踏まえて、ここで提言しているようなことをよりよく実現していくために、どういう方向で考えたらいいのかということを考えてみた場合に、この部会の中でも、個業型の仕事を、組織性を高める方向で考えていくときに、統制型、協働型という考え方がある中で、協働型の方がより適切なのではないかというような議論がされてきたことなども考えますと、中心になるのが管理職で、それを主幹教諭等が支えるというのは、誰が主体になるかという点で、ウエートの掛かり方には違いがあるということを押さえた上で、主体としては学校の教職員全体というような考え方がいいのかなとは考えておりますが、いずれにしても、意見なりコメントとしては、もし可能であれば、学校組織マネジメントの主体をより明確に示すということを御検討いただきたいということです。
 以上です。

【小川部会長】  ありがとうございました。
 それでは、嶋田委員、お願いします。

【嶋田委員】  私自身はこのまとめについては、これまで参加させていただいた会議の部分を非常によくまとめていただいて、よく分かるなというふうに思った次第なんですが、先ほど天笠先生の方から専科のことについて触れていただいたので、小学校の立場から一言だけ付け加えさせていただければと思います。
 今後、労働安全衛生体制とか流れがそちらになっていったときに、専科について触れるところはもうないのかなというふうに思いましたので、一言、もし、こういうふうに、国のこういう部分のまとめの中にどこまで入れるのかなというのはちょっと現場としてはよく分からないんですけれども、実際これを読ませていただいたときに、現場の先生方は、自分の業務は何が変わるのだろうというふうに思われるのではないかなというふうに思いました。管理職としての立場で、例えば、事務職の学校経営の参画といった言葉という部分については、これからの方向性を示していただいていますし、主幹教諭の全国的な配置についての必要感というところは示していただいているところなんですが、一担任が26時間を持っている中で、29こまの中で26時間ぐらいしか今専科が入っていない、14学級以下の東京都の場合の学校ではそういうふうになっているところなんですけれども、小学校は、毎時間毎時間違う授業をしていく、そこが中高との違いだというふうに感じているところでございます。ここの中で新たな外国語科になり、そこでの評価といった部分についても非常に大きく私としても課題だし、先生方も思っている中で、学校の組織運営といったときに、専科教諭の在り方の部分について、いま一度考えていただけるところがどこかでないかなというのが率直な感想でございます。
 以上です。

【小川部会長】  ありがとうございました。
 では、最後にしたいと思います。橋本委員、どうぞ。

【橋本委員】  主に4ページの資料に関してでございます。2つ目の丸で主幹教諭のことが書かれておりますけれども、グループの責任者として主幹教諭の配置を促進していくということになりますと、そこそこの数の配置につながっていくのかなと思うんですけど、少し意見でも申し上げていたんですけど、なかなかミドル層というのが現実には非常に今、年齢構成上薄いという中で、そんなにたくさんの主幹教諭の配置ができるかというと非常に難しい。そういうこともありまして、今回地域の実情に応じてという言葉を入れていただいたことは本当に有り難いなというふうに思います。
 その上で、主幹教諭が本当に機能していくためにはどうかと、何が必要かという中で、この資料にありますように、余り主幹教諭自体がたくさんの授業を持つといったようなことになりますと、想定されるような役割がなかなか果たせない。したがいまして、資料に書いてあるとおりですけれども、十分果たすことのできる環境整備というのが私も何よりも重要だなというふうに思います。
 その際に、佐古委員会からもありましたけれども、今は主幹教諭も教諭も同じ教諭の定数の中の措置になりますので、主幹教諭を増やしていって、そのあおりが教諭の方にしわ寄せが行っては何もならないと。できれば、もちろん別の定数になればいいですけど、なかなかそこまでいくのは難しいなと。そういう中では、佐古委員のように、4人に1人といいますか、10時間分の加配措置ではなくて、もしこれを拡充していく、そんな形で実際に機能するような環境整備を果たしていくことが大切ではないかなというふうに思っております。
 それから、一番下に主任の在り方についての検討ということが書かれているんですけれども、恐らく主幹教諭の配置を促進していくこととの裏腹の関係かなというふうには思うんですけれども、主任につきましても、主幹教諭と同様、地域の実情が異なる面はありますので、一律的に考えるのではなくて、検討自体はもちろんあっていいですけれども、地域の実情を踏まえた検討ということが大切になるのではないかなと、そんなふうに思います。
 それともう1点、専科の話がありましたので、これは文部科学省さんの方に言うことなのかもしれませんけれども、働き方改革の視点からしますと、本当に小学校は大変な中で、英語について増えた部分については別途専科で対応していただくというのは非常に有り難いなと思うんですけれども、これまで恐らく担任が持つ方が教育的にはいいのではないか、そういう考え方が根底にあったというふうに思いますが、カスケード方式という形で、小学校の担任がどんどん下におろしていく形で専門性を高めていくという研修をしてきたということで、この先本当に小学校の担任が中心的に担っていくのか、専科の方でやっていくのか、どうも我々の立場からしますと、文部科学省さんの考えていらっしゃる方向がいま一つはっきり見えないなという気がしておりますので、こういったあたりはしっかり方向性を示していただけたら有り難いなというふうに思っております。
 以上です。

【小川部会長】  ありがとうございました。
 多くの意見を頂きました。最初に述べましたとおり、きょう頂いた意見については、学校の組織体制の在り方の議論は、一応きょうで一くくりさせていただくというようなことですので、きょう頂いた意見をどのように反映するかということについては、最終答申をまとめる際に、その辺はいろいろ検討させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 今までの委員からの御発言を聞いて、事務局の方から何かございますか。よろしいですか。
 それでは、もう一つ、きょうの重要な議題が残っておりますので、そちらの方に移りたいと思います。学校の労働安全衛生管理の在り方について議論を進めていきたいと思います。
 最初に、事務局から学校の労働安全衛生管理に関わる基本的な資料を整理していただいておりますので、まずは基礎的な資料について事務局から説明していただいた後に、日本学校保健会の弓倉専務理事から御報告を頂きたいと思います。弓倉専務理事からの御報告に関する質疑応答を受けた後に、全体の意見交換をするという段取りで、これから残り1時間ほど進めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは最初、資料について、健康教育・食育課の三谷課長の方から御説明をお願いいたします。

【三谷健康教育・食育課長】  健康教育・食育課長の三谷でございます。お手元の資料2-1と2-2を準備させていただいております。2-2の方が関係条文、参照となるような条文の抜粋でございますので、私の説明は2-1の方でさせていただければと思っております。
 まず、1ページ目でございますけれども、学校において整備することが求められている安全衛生管理体制ということでございます。最初に申し上げておきますと、これは皆様御案内のとおり、労働安全衛生法は非常に多様な職種を対象としておりますし、また、規模等々も含めて多様な規定の仕方をしております。ですので、本資料では、これまでの御議論等々も踏まえまして、学校において特にまずは取り組んでいただきたい内容ということを中心に整理をさせていただきました。
 まず1つ目の学校において整備することが求められる主な安全衛生管理体制というものでございますが、大きく人数に分けて2つ記載してございます。まず、常時50人以上の労働者を使用するような事業場ということで、衛生管理者、産業医、それから、衛生委員会の整備をお願いしているというところでございます。また、10人以上50人未満というところでございますと、衛生推進者を置いていただくということで、記載のような職務の例というようなことでそれぞれ取り組んでいただくこととなっております。
 また、次ページが具体的にということで、健康の保持増進のための措置の例ということでございます。
 大きくここでも3点記載しておりまして、まずは、定期に行われる健康診断ということでございます。これは1年ごとに1回、定期にやっていただくということなんですが、米印で書いてございますように、労働安全衛生法とは別途、学校保健安全法にも職員の健康診断の規定がございます。これに基づいて、学校では両方の規定が適用されるということに御留意いただければと思っているところでございます。
 また、2ポツ目の面接指導でございますけれども、これは米印にありますように、産業医の有無、常時50人未満の労働者を要するような事業場においても、これは適用されておりまして、例えば、長時間の労働があり、疲労の蓄積が認められる者であるとか、次に出てきますけれど、ストレスチェックを行った上で、高ストレス者として認定された者で面接指導を受ける必要があると認められた者といったところで面接指導を行っていただくということになります。
 3点目でございますけれども、これが平成27年12月から導入されたストレスチェックでございます。一応、法定上では、労働者数が50人以上の事業場ということになっておりまして、50人未満の事業場については、当分の間、努力義務という形になっております。ただ、これまでの御議論の中にもありますけれども、学校現場は非常にストレスが高いということも言われておりまして、我々の通知等によって、米印にありますように、事業場の規模に関わらず、全ての学校において適切に実施してくださいということをお願いしているところでございます。
 具体的には、その下に書いてありますように、頻度でいけば年1回ということでございますし、項目としても心理的な負担、それから、それによる自覚症状、それから、当該労働者への支援に関する項目等々が含まれるように定められているところでございます。
 次の3ページ目が、実際の整備状況、活動状況ということでございます。この中に入る前に2つほど説明をしておきたいと思いますが、まず、この調査でございます。毎年ではなくて2年ごとの調査ということで、5月1日現在の時点でのそれぞれの取組の状況を調査しております。ただ、平成28年度の状況につきましては、ストレスチェック制度が導入されることが分かっておりましたので、29年5月の時点の調査を行いました。現在、集計中でございますので、大変申し訳ございません。きょうまでに間に合わなかったということで、平成26年までの状況となっているところでございます。また、調査の対象でございますが、各教育委員会に聞いているということで、各学校にまでおろしての調査ではないということで、教育委員会として把握しているもののみだということで御了解いただければと思っております。また、最後にパーセントの母数の考え方でございますけれども、選任率とか設置率といったものにつきましては、選任や設置を要する事業場のうちに実際に選任であったり設置をしている事業場の割合ということでございます。
 具体的に、22年度から26年度を経年で見ているところでございますが、いずれの取組につきましても、基本的におおむね改善の傾向にあるというところは読み取れるかと思いますが、他方で、小中学校については、まだ十分ではない状況ということが言えるのではないかと思っております。また、特に、右下のところにありますように、面接指導体制につきましては、整備状況が悪いということが読み取れるのではないかと思っているところでございます。
 最後、4ページ目でございますけれども、こういった状況を受けて、文科省の取組についてまとめておきました。先ほどの3ページ目にもありますように、きちんと調査を行って、これは結果を通知、都道府県別に公表もしているところでございまして、各都道府県に対して、きちんと体制整備を行うよう推進しているところでございますし、また、近年ストレスチェックということもありましたので、27年以降、経年にわたって、随時にわたって労安法の改正等々行われるところを捉えながら、改めてきちんとした体制整備の指導を行っているところでございます。当然、いろいろな各種会議等もありますので、通知のみならず、3番目にあります、表紙をイラストで入れておりますけれども、こういった啓発資料を使いながら、例えば、県の人たちが集まるような会議でありますとか、研修会などを使いながら、こういったもので周知と理解等、また設置の促進を促しているところでございます。
 以上、簡単でございますけれども、事務局からは以上でございます。

【小川部会長】  ありがとうございました。今の事務局からの説明について、質問等々はあるかと思いますけれども、それは後の全体の意見交換の時間にお願いできればと思います。
 それでは、続けて日本学校保健会の弓倉専務理事の方から御報告いただければと思います。よろしくお願いいたします。

【弓倉日本学校保健会専務理事】  ありがとうございます。ただいま御紹介いただきました日本学校保健会の弓倉でございます。
 まず、日本学校保健会はどういう組織かと申しますと、全国の都道府県学校府県会及び学校医の団体、それから、学校歯科医、学校薬剤師会の団体、養護教諭、それから保健主事の会、それから校長会等から構成されている組織でございまして、2年後には100周年を迎えると。基本的に子供たちの学校保健を主にやっている団体でございます。本日は、発言の機会を与えていただいたことに感謝を申し上げます。
 先ほどまでの議論も大変感銘して伺っておりましたが、確かに労働安全衛生という立場から見ますと、労働安全衛生には3管理という言葉がございます。作業管理、作業環境管理、そして健康管理でございます。作業管理は、作業の量ですとか作業の時間が代表的なものでございますし、作業環境管理においては、物理的なものであれば暑さ、寒さ、それから、空気の汚染度でございますし、それから、ソフトなものであれば、人間関係や研修会の準備、整備などだと思いますけれども、それと劣らず大事だとされているのが健康管理でございます。
 きょう、健康管理についてお話をさせていただくわけでございますが、与えられた時間では、健康管理を幅広く説明していくことはなかなか難しいので、きょうは主に文部科学省から出されている資料を利用させていただきまして、教職員の健康管理と労務管理を資料3にまとめさせていただきましたので、それに基づいて説明をさせていただきます。ちなみに、私のバックグラウンドは内科の医者でございまして、公立と私立の2つの学校の学校医と、それから2つの事業所の産業医も現在行っておりまして、現場でやっている人間であることも申し添えます。
 では、1ページを開いていただきまして、公立学校の教職員の健康管理、労務管理の現状をお示ししております。ここには、平成28年度の在職者数と病気の休職者及び1か月以上の病気休暇取得者数、それから、うち精神疾患の患者数を示したものでございます。これはいわゆる病気休職者だけではなくて、1か月以上の病気休暇取得者が混ざっているわけですけれども、後ろの8ページと9ページに参考資料1と2というものをお示ししております。これはそれぞれ単年度ごとに、教職員の病気休職者数と精神疾患の内訳を年度別に示したものでございます。よく報道とかで出てくるのは主にこちらだと思いますけれども、病気休職者数は平成10年度には0.46%でしたけれども、平成20年度から平成22年度が0.94%に増加いたしまして、28年度には0.84%になっている。精神疾患の比率は、平成10年度は0.18%でしたけれども、28年度は0.53%を占める形になっております。ただし、精神疾患は皆さん御存じのように、非常に長期休暇を取りやすく、長期療養になりやすいということもございますので、労務管理という観点から見ますと、この資料よりは、病気休職者プラス1か月以上の病気休暇の取得者数を加えたデータの方が大切と考えましたので、1ページに戻っていただきまして、そちらの数値を挙げております。
 そうしますと、精神疾患の比率等も単年度のものよりも増加している状況が分かります。病気休職者と精神疾患の患者数で、校種別に見ますと、小中学校、特別支援学校が他の校種よりも多く、性別では女性に多い、病気休職者が多いという傾向がございます。職種別では、教諭等が病気休職者及び精神疾患ともに高い比率を示し、養護教諭も教諭並みに病気休職者が多いことが分かります。年代では40代、50代が多いわけでございます。通常、長期間、メンタルヘルスで休職いたしますと、大体復職支援プログラムという段階的に職場に復帰するプログラムが用意されているところが多いのですけれども、平成27年度のデータでは、それにも関わらず、復職できた方は38%にすぎず、44%が引き続き休職、18%が退職をしているという現状がございます。
 2ページ目をごらんください。先ほど三谷会長にお話ししていただいた教職員50人以上、それから、50人未満ということで、図にされたものでございます。学校の教職員も労働基準法の下で仕事しておりまして、労働安全衛生法及び施行規則による労働安全衛生を求められているわけでございます。労働安全衛生法によって、先ほどお話がありましたように、職員が50人以上のところでは産業医を配置することが求められておりまして、学校では衛生管理者、これには先ほどお話がありましたように、衛生管理免許の取得者か保健体育の先生、養護教諭等から選任され、産業医とともに衛生委員会で調査協議をすることになっておりますけれども、50人未満の学校では、学校の設置者の下に衛生推進者というものが置かれるだけで、産業医や衛生委員会は必要とされていない状態でございます。
 次のページをごらんください。ここでは、学校医と産業医の役割とその違いについて、まずお示しをしております。学校医といいますのは、これは学校保健安全法施行規則に役割が記載されておりまして、しかも、学校全てに、学校医1人は置くものとするということで、常に学校医はいるわけなんですけれども、学校医の役割は児童生徒の健康診断や健康相談、保健指導等に携わります。ただし、学校保健安全法施行規則によりまして、教育委員会や学校の設置者が求めるときには、就学時健診や教職員の定期健康診断にも従事するとされております。これは法律に書かれております。これに対しまして、産業医は労働安全衛生法によって規定された医師、これは労働者の健康管理や職場巡視等を行う医師で、産業医になるには必要な研修がございます。
 衛生管理者と衛生推進者につきましても、職員数が50人以上か否かで配置と役割が異なります。先ほど小中学校での産業医の配置率は76.5から80.9%あるという図があったかと思いますけれども、実は、あれは職員数50人以上の大規模の小中学校でございまして、全国の公立小中学校の多くは職員数50人未満でございます。したがって、産業医は配置されておりません。高校は大規模校が多いために、98.6%に産業医が配置されているということで、小中学校と高校は産業医の配置で比べたら非常に対象的であることが分かります。
 次のページをごらんください。文章が非常に多くて恐縮なんですけれども、学校医、特に教職員の健康診断や事後措置については、学校保健安全法と労働安全衛生法の2つが被っているために、どちらがどうなっているのかという役割分担が非常に分かりづらくなっておりまして、ほぼ現場の運用やられているところがございます。そのために、ここでは議論をしていただくために、教職員の健康診断の実施と事後措置についての法律の条文をそのまま提示しながら説明させていただきます。
 労働者は労働安全衛生法による健康診断を受けるわけでございますが、教員の場合は学校保健安全法とその施行規則で教職員の健康診断と内容については規定されております。健診項目につきましては、以前、特定健康診査というものを厚生労働省が始めたときに整理されまして、項目の管理につきましては、健康増進法の健康診査等指針と調和が保たれたものということになっております。
 定期健康診断には2つの課題がございます。1つは受診率の向上でありまして、もう一つは事後措置でございます。受診率の向上はどの企業にも言われることで、大体どこの学校でも、恐らく定期健康診断の受診率は80%台だろうと思いますが、その後の精密検査を受けている方の比率がかなり落ちてしまうことが課題とされております。
 さらに、もう一つ、学校医と産業医の役割分担でございます。定期健康診断に従事する医師は、学校の設置者の下――これは校長ですけれども、その求めによって学校医が従事すると学校保健安全法施行規則に明記されているんですけれども、実際は学校でレントゲンとか心電図があるわけではありませんので、レントゲン検査や心電図検査を受けるためには医療機関に行くか、あるいは、健診機関に行く、そのような形での健診機関に委託されている場合が多いと思います。
 事後措置の教職員の健康診断に当たった医師は、指導検査結果を見て指導区分を決定するという条文があるんですけれども、それに基づくと、特に小中学校のような産業医が配置されていない学校では、指導区分を決定するのが誰なのかということになります。教職員の健康診断を行った健診機関の医師なのか、あるいは、学校医なのか、あるいは、産業医なのかという点が非常に不明瞭でございます。産業医が配置されていれば検診結果を受けて、医療の必要性等を最終的に判断するのは産業医でございます。学校医や健診機関の医師が産業医の資格を持っているかどうかも、必ずしも限らないわけでございますし、法律が求める指導区分を正しく反映できているかどうかということも不明瞭でございます。
 それを衛生管理者や衛生推進者が正しく補完できているかどうかということも課題になります。指導区分判定ができていなければ、学校の設置者は健康診断の結果に基づいて、勤務を軽減する適切な処置を行うことができないことになります。産業医がほとんど配置されていない小中学校の教諭等に病気休職者や1か月以上の病気休暇取得者数が多いことと何らかの因果関係があるかもしれません。ないかもしれませんが、1つの可能性があるのではないかと思います。
 なぜこのような形になっているかということなんですが、私見でございますけれども、学校保健安全法の前身である学校保健法は昭和33年にできております。労働安全衛生法は昭和47年でございます。学校保健法の方が先に教職員の健康診断について規定をしていたために、現在も教職員の健康診断は学校保健安全法の規定に基づいて行われているということになっています。学校保健安全法施行規則によれば、教職員の健康診断に従事するのは学校の設置者から求められた学校医という内容になっていますけれども、実態は違います。健康診断に従事とは診察だけなのか、あるいは、事後措置判定まで含むのか、あるいは、事後措置だけなのか、労働安全衛生法との整合性と衛生管理者、衛生推進者の役割について整理した方がよいのではないかと考えているわけでございます。
 次のページをごらんください。このページは教職員のメンタルヘルスの問題を取り上げております。文部科学省の調査によりまして、これは平成24年度のものでございますけれども、右上のところに一般企業の労働者よりも教職員の疲労度、ストレス度はより強いということが分かっております。その背景因子として、左側に囲っておりますような、様々な背景因子が示されているわけでございます。労働安全衛生法によって、右下にありますようなストレスチェックが平成27年度から開始されましたけれども、ただし、50人未満ではまだ努力義務でございます。平成27年、28年とストレスチェックがそれぞれのところで行われまして、その中のいわゆる高ストレス群につきましても、徐々に何%という数字が出てきておりますけれども、それは恐らく文科全体としてはまだ把握できていないところではないかと思っております。
 健康診断やストレスチェックは1年に1回でございますけれども、日常的にどういう人たちが教職員の健康について相談相手になっているかと申しますと、右の方にございますように、これは平成29年の全国養護教諭連絡協議会の基本調査から頂いたものですけれども、養護教諭が教職員自身の健康相談に乗っている現状がございます。また、養護教諭は衛生管理者を兼ねることも多く、管理職からの相談も多く負担になっているということでございます。これにつきましては、全国養護教諭連絡協議会の会長からも実情を行っております。
 しかしながら、これは1ページに示しておりますが、養護教諭の病気休職率も実は教諭並みに高いということと、更に多くの学校の養護教諭が1人しか配置されていない、1人配置であるということです。それから、教諭並みの研修会の機会が養護教諭には与えられていないという問題がございます。このような3つの問題が養護教諭にとってはかなり辛(つら)い点になっているんだろうと思っております。
 以上のところから、次の6ページと7ページに課題として、私でまとめさせていただきました。まず1つは、教職員の健康診断実施率の向上と適切な事後措置、これは疾病管理を含む、で行っていただきたいということです。それについては、精密検査の受診率の向上と、それから、学校医と産業医の役割が、特に小中学校のように産業医が配置されていないところでは不明瞭なままで運用されておりますので、そこについては明確化をお願いしたいと。
 学校全体、特に小規模校における労務管理の必要性に対する啓発と支援です。小規模校では産業医が配置されていないこと、学校における業務負担はどんどん増加をしております。今、一生懸命業務負担を減らしていこうとしていらっしゃる方に本当に感謝を申し上げます。ただ、一般企業に比し、ストレスの程度が高いのが学校という職場であるということです。
 衛生管理者と衛生推進者の専任率のみならず、実際の活動がちゃんとできているのかと。衛生委員会はきちんと把握を行われて、きちんと活動されているだろうかということの把握も必要ではないかと考えるところでございます。
 次のページをごらんください。衛生管理者、衛生推進者への労働安全衛生に対する研修会の充実も必要だろうと思います。先ほど申し上げましたように、教職員、体育の先生や養護教諭が衛生管理者になっていると。例えば、非常に若い、卒業したての養護教諭が1人配置のままで、こういう仕事をやっていると。しかも、次のところにお示しいたしますけれども、養護教諭は教育公務員特例法による初任者研修とか10年経験者研修の教諭等の枠に入っておりません。したがって、研修会の機会が教諭並みに与えられていないのが現状でございまして、これも地域によってかなりの温度差があるということが分かっております。
 したがいまして、こういう教職員の相談に乗ったり、あるいは、衛生管理者になるような養護教諭に対して、1人配置で、しかも経験の浅い養護教諭にきちんとした研修機会も与えずにいるのでは、なかなかこれは難しいのではないかというのが1つの問題であろうと思います。
 あと、これはどうしても、これだけはお話をしたいのですが、本来業務が増えていると。本来業務がこれだけ増えている中で、確かに作業環境管理の話を一生懸命していただいているんですけれども、抜本的な解決を図るためには教職員定数の補充、拡充が必要ではないかということを申し上げて、私の説明とさせていただきます。どうもありがとうございました。

【小川部会長】  ありがとうございました。
 今の弓倉専務理事からの御報告について、少し時間を取って質疑をしたいと思います。御質問等がありましたら、名札を立てていただければと思います。いかがでしょうか。
 妹尾委員、どうぞ。

【妹尾委員】  どうもありがとうございました。お二人とも大変分かりやすく実態を教えていただいてありがとうございます。うまく整理できていないかもしれませんが、3点ぐらい質問というか意見かもしれませんが、どちらかというわけではないですけど、もし関連することを御存じであれば、特に文科省さんにも考えていただきたいと思います。
 1点目は、先ほども関連する話があったのですが、いろいろな体制整備をしているかどうかという調査はあるんですけれども、実際、やっているかどうかがよく分からないという御指摘があったと思います。それは私もすごく感じていて、この間の主幹教諭の話でも同じような話をしたんですが、文科省さんからやっていますかと聞かれて、正面切ってやっていませんとは普通は言わないもので、なかなか外形的なことだけ調査しても、どこまで意味があるのかなと。かといって、詳細な調査でやると、また負担が増えたと現場からは言われますので難しいところなんですけれども、なので、こういった体制整備はもちろん第一歩だと思いますけれども、実質、実行しているのかどうかもっと注目していただきたいということは、調査するのがいいかどうかは別ですけれども、考えたいと思います。
 それに関連して質問なんですが、産業医の面接指導の話なんですけれども、これは50人未満であっても、月100時間を超える残業なんかの場合は受けなさいということになっているという話なんですが、これも受けなさいと推奨されていても、結局、多くの教員は面倒くさいだとか、あるいは、授業に穴が空けられないとかほかの同僚に迷惑を掛けられないとかでどんどん遠慮して受けないという実態が結構あると聞いております。このあたりも、自治体によるのかもしれませんが、本当に面接とかを受けて、ちゃんと診察とか面接を受けているのかどうかということの実態把握の有無と、面接指導を受けないからといって、教育委員会とか学校側に何かサンクションはあるのかどうかということを、御存じであれば教えていただきたいところが1点目です。
 2点目なんですが、きょうの話にほとんど出ないんですが、あるいは、この部会でも、当初何回か議論はしましたが、なかなか抜本的なことが難しいんですけれども、小中学校では休憩時間がほとんどないことも大きな問題でして、これが健康管理、あるいは、さっきの作業環境管理、3つとも関係するかもしれませんが、非常に45分の休憩すらまともに取れていないことが、特に小中学校では大きいです。給食、掃除、昼休みもずっとやっているからです。このあたりもどうにかしないと、幾ら何か事後的な面接指導だとかをやっても、結局しんどい方、あるいは、休憩できない、リフレッシュできないという方は増えるので、休憩時間の確保に向けて、いろいろなことを考えないといかんのじゃないかと、これは全体に対する問題提起ですけれども、申し上げておきたいと思います。
 あと3点目ですが、メンタルヘルスとかについては、御案内のとおり、やっぱり保護者対応が重たいという――保護者対応という言葉がいいかどうかちょっと、僕も一応保護者としては余り好きな言葉ではないんだけれども、保護者とのコミュニケーションが非常にストレスだという話は聞きます。これは教員勤務実態調査などでは、保護者向けの対応は1日平均七、八分といった非常に少ない時間なんですが、平均で見ると非常に危険で、非常に手間が掛かっているケースもあれば、すごく短いケースもあるし、時期にもよるしということで、これは調査とか統計には出にくいですけれども、長引く保護者対応をどうするか。スクールロイヤーの話なんかも中間まとめだったか緊急提言でも、ここでも出たと思いますが、何かどこかで弁護士とかもプールしておいて、どこかからは学校から離すとか、あるいはせめて一担任からは離した対応をするということも含めて考えないと解決しないんじゃないかなと思ったりします。以上の3つについて、何か関連することがあれば教えてください。

【小川部会長】  最初に、文科省からしますか。

【三谷健康教育・食育課長】  幾つかありました。まず、体制整備と実際の話なんですが、一応建前上から言わせていただければ、これはそれぞれ法定で義務という形になっておりますので、適切にやっていただいているものだと。そういった中で、そう入っても体制整備ができていないというところでいけば、そういった実際のところはやれていないんだろうという判断をしていると。ですので、まずは体制整備からしっかりとやってくださいということを我々としては指導させていただいているところでございます。
 それから、面接指導というお話がありました。これは後で弓倉先生からももしかしたら補足していただけると有り難いかと思っておりますが、先ほど弓倉先生の資料の1ページのところで、実際にいろいろと問題になったときに休職という話があって、そこで復帰のプログラムをやるというような形になります。そういうふうなときには、まずは休むということもそうですし、復帰というところでも、やはりこれは面接指導がないと、こういったステップに行けませんので、実際のところ、十分かどうかは別にして、少なくとも必要な方に対しては行われているのではないかと我々としては思っているところでございます。
 あとは、全体の休憩時間も含めたものにつきましては、今回の御議論を通じて、こういった面からも我々としても取り組んでまいりたいと思っております。

【小川部会長】  じゃ、よろしくお願いします。

【弓倉日本学校保健会専務理事】  ありがとうございます。体制整備が実際どの程度まで行われているかということについては、恐らく文科省で把握できていないのかなと。それはなぜかといいますと、1つは都道府県それぞれに教職員と教育委員会がございまして、しかも学校によって、学校の設置者、いわゆる校長先生と環境衛生推進者の考え等によって行われる内容が違ってまいりますので、それを全国調査するというのはなかなか難しくて、できるとすれば、地方の教育委員会、都道府県か区市の教育委員会単位で調べていくぐらいしかないのではないかなと思っております。
 休憩時間につきましては、働き方改革そのものでございまして、作業管理、作業環境管理の両方が入ってくると思います。休息の取り方になりますので、そこについてはやはりきちんとした体制を作っていただきたいと思っております。
 それから、保護者の対応は、5ページ目の教職員のメンタルヘルス不調の背景と、これは文科省のメンタルヘルス対策検討会のまとめの中にございますけれども、そこで、求められる業務の質の困難さのところに生徒指導や保護者、地域との関係とか、そういうものが出てまいります。ただ、調査の内容によっては、保護者の対応というよりも、むしろ生徒指導の方が大変だという調査結果も出ておりまして、いずれも大切かつ、教員として難しい課題なんだろうというふうに思っております。
 以上でよろしいでしょうか。

【小川部会長】  妹尾委員、何か一言ありますか。

【妹尾委員】  ありがとうございます。ちょっと確認なんですが、丁寧に答えていただいてありがとうございます。面接指導、本来必要な方に対してできていない場合であっても、特に何かサンクションとかはないということでいいでしょうか。

【弓倉日本学校保健会専務理事】  失礼いたしました。面接指導につきましては、基本的にないと思います。これは教職員のプライバシーにも相当する形になってきますので、ある一定時間を超えた教員は産業医との面接を勧められますけれども、それを受ける、受けないは彼らの自由というふうに私は理解しております。
 それから、ストレスチェックの実施が今行われておりまして、私も地元のストレスチェックのデータとか持ってきましたけど、高ストレス者は十数%いらっしゃるようです。私のところは東京都の板橋区なんですけれども、これについては学務課長から各学校に報告していて、個別内容のフィードバックは対象者本人のみとなっていると。ストレスチェックについては、個人情報保護の観点もあるので、詳細については回答できる内容に制限があるというような、私の地元の教育委員会からはそのようなお話を頂いております。

【妹尾委員】  ありがとうございます。一言だけ。質問した意図としては、復職支援プログラムなんかもとても大事だと思いますし、頑張っていただいているんですが、そこまでいくと、復帰させるのは結構難しい。4割しか復帰していないということもありますので、もっと手前の措置とか予防を考えないといけないので、それを考えると、ちょっと危なそうな人には早めの処置をどうするかというのは、この部会とかいろんな関連するところでももっと話し合わないといけないかなと思ったので聞きました。
 以上です。

【小川部会長】  名札を立てている方が多いので、そちらからまた順番にお願いいたします。

【冨士道委員】  すいません、2点あります。
 1つは、感想になるんですが、文科省さんから出していただいた、先ほどの妹尾委員の話にも関わるんですが、面接指導体制の整備状況というのがありますが、現場にいた者としては、この7割というのは大変高いなと思ったんです。ところが、実際に現場では、特に小中学校では勤務時間をしっかり把握していないじゃないかというのがたしか議論になっていたはずなんです。よく時間を把握していないのに、7割のところが100時間超えたら面接指導しますという体制があるというのに私は非常に乖離(かいり)を感じていまして、実際にはどうなのかというのは大変疑問に思っているところです。
 もう1点は、付け加えになると思うんですが、弓倉先生の指導の資料の中で、健康相談ということで、養護教諭の方々が多数応じているという実態があるというお話がありましたけれども、これプラス、実際に学校に来ていただいているスクールカウンセラーさんに直接相談をしているケースも実際にはあるということで、これは付け加えさせていただきます。

【小川部会長】  ありがとうございました。
 相原委員、どうぞ。

【相原委員】  先生、ありがとうございました。この部会では、昨年末に中間まとめをして、それ以外の重要事項についても年明け以降ずっと議論してきているわけですが、私の率直な印象から言うと、きょうは先生からの御報告を頂戴し、この部会として受け止め方は大変重大な今の現実を突き付けられたということを再認識、再確認する必要があると、このように思っています。大変重たい中身について率直に御報告いただいたことを、まず感謝申し上げたいと、このように思っています。
 その上で、私は民間の出身ですので、学校の働き方と私の生身の感覚で比較することはなかなか難しいのですが、数十年単位で職場管理が遅れているというのが私の率直な実感です。先生が最先端で御努力されていることに対して、ちょっと失礼な言い方だったかもしれませんが、民間においてもそれぞれ大企業、中小企業様々ありますから、これも一律な表現はなかなか難しいのですが、産業医の皆様方に自身の健康を委ねるのではなしに、自身の健康は自身が確立するものである。さらには、職場として傾聴のスキルも高めて、身近で困っている人があれば、自らの傾聴のスキルをもって支え合うというところまで努力してきていることが今現実でありまして、人的資源をいかに有効に、そして、その人の生涯をいかに豊かにしていくのかというのは、みんなで支え合い、助け合うものだというふうに理解をし、ここまで来ている民間企業が少なくないというふうに思っております。それは先ほど冨士道先生がおっしゃったような時間管理ができているからです。しっかりとした物差しがあるからです。したがって、そこに尽きるんじゃないかというふうに私は思っておりまして、定数のところについても先生は率直におっしゃっていただきましたが、なかなかハードルが高いこともこれは事実ですから、あらゆる手段を使って日々の職場を変えなきゃいかんということを、部会として決意を固めなきゃいかんと、このように私は思います。

【小川部会長】  天笠委員、どうぞ。

【天笠委員】  御発表いただきましたことについて感謝申し上げたいと思います。1点、ここから感想を申し上げさせていただきます。
 提起していただいた中で、小規模校ということがこの中で提起されているということで、この場における議論、あるいは実態の把握というのを丁寧にやっておく必要が改めてあるんだなというのが。要するに、学校の大きな規模――全体から見れば、そういう意味で言うと小さな規模なのかもしれませんが、でも、学校の規模は大規模校、いわゆる標準規模校、それから小規模校と、こういう分け方でこれまで大体捉えていくということだと思いますので、そういう点からすると、まさに小規模校におけるありようとか、こういうことについての提起ということを踏まえたときには、大きな規模の学校と小さな学校の規模で、まさに働く環境のありようというか、あるいはそこからこういう様々な疾患が発生するということについての相互の関係等々を、データ等取るときにもより丁寧に我々はそれを捉えて、状況把握についての認識を深めていくべきじゃないかなというふうに受け止めさせていただきました。
 その上で、極めて大ざっぱに言いますと、この国は大きな学校が半分、それから小さな学校が半分というふうな整理もできるかというふうに思っておりまして、ですから、そういう点からすると、そこら辺の複眼的な捉え方等々ということの大切さというか必要性ということも出てきているのかなと思いました。先ほど専科云々(うんぬん)ということで発言申し上げたわけですけれども、そういう体制が整えられるところと、片や小規模校の場合というのは、また小規模校なりの協働の在り方ということをやっぱり考えていかなくちゃいけないところというのが、改めて御提案の中にあったかなというふうに受け止めさせていただきましたので、またそんなことを含めて議論を続けさせていただければと思います。
 どうもありがとうございました。

【小川部会長】  ありがとうございました。
 清原委員、どうぞ。

【清原委員】  清原です。弓倉先生、ありがとうございました。学校医として、あるいは産業医としての実践に基づく、とりわけ健康管理の面からの労務管理について御説明いただきまして、理解が深まりました。感謝申し上げます。
 さて、文部科学省の事務局におかれましていただいた資料2-1の4ページ目に、通知等による指導について列挙されています。この中に含まれていないのですが、現場で影響力があったものについて1つ紹介させていただきますと、学校における働き方改革特別部会でも資料として示されたのですが、昨年、平成29年6月22日付で、文部科学省初等中等教育局長、スポーツ庁次長、文化庁次長の連名で都道府県教育委員会等に出された通知で、「教育委員会における学校の業務改善のための取組状況調査の結果速報値及び学校現場における業務改善に係る取組の徹底について(通知)」というものがあります。この中に、本日のテーマとなります「労働安全衛生管理体制の整備について」という内容があります。これはかなり明確に書かれておりまして、「産業医・衛生管理者等の選任、衛生委員会の設置、長時間労働者に対する面接指導やストレスチェックの実施等の労働安全衛生法の規定は、公立学校にも適用されます。このため、各学校におけるこうした法に基づく労働安全衛生管理体制の未整備は、法令違反であり」と、このように明確に書かれているんです。ですから、これまで「速やかに整備するようお願いしているところですが、引き続き、各学校における労働安全衛生管理体制の整備に万全を期していただくようお願いします」。お願いされている文章で、すごく優しい表現の文章なんですけれども、中身は「法令違反であり」とあるものですから、これはかなり痛烈に現場に響いております。これは平成29年6月のことだったので、スポーツ庁次長として髙橋道和さん(前初等中等教育局長)のお名前もある通知なので、あえて紹介しました。実はこういう明確な指導というのが現場に改善を促すので、これからも必要ではないかなというのが1点です。
 2点目は、私の立場では、実は市役所の職員は私が任命の責任、任命権者であり、しかも服務監督責任者なんです。ところが、学校における教員というのは都道府県の教育委員会が任命権者であって、服務監督については市町村の教育委員会がその責任を取るということになっています。ですから、市の職員であれば、市長が産業医を置き、ストレスチェックも50項目程度はして、いろいろできるんですが、学校の教員については、私にはもちろん権限はないわけなので、教育委員会なんですけれども、ここで都道府県の教育委員会が責任を持つ範囲がどこまでなのか、市町村が果たすべきものはどうなのかということについて、やはり改めて労働安全衛生管理体制の整備について、今後、現場の状況に合わせて質を高めていくためには重要なことではないかと思います。つまり身分の取扱いに特殊性がある中で、いかに学校における働き方改革とともに教員の、あるいは事務職員を含めた労働安全衛生管理体制の質の向上を図っていくかということだと思います。私はこれが問題の一つだなと認識している立場ですが、もし弓倉先生に御助言があれば、伺えればと思います。
 以上です。ありがとうございます。

【小川部会長】  全員の発言が終わった後に、課長と専務理事からお答えいただければと思います。
 あとは川田委員と善積委員が残っていますので、最初は川田委員、お願いします。

【川田委員】  本日はどうもありがとうございました。この問題は恐らく、最初は健康被害が生じる可能性がある方をいかに的確に見つけ出すか、次に、その見つけ出した方について健康被害を防ぐための対応をどうとるか、そして3番目に、健康被害が生じてしまった後で、例えば円滑な職場復帰をどう支援していくかという問題に整理できると思いますが、それぞれ検討すべき点はいろいろあると思います。そこはこれからの論点整理の際の課題になるかと思いますが、本日御説明いただきました資料2-1と資料3に関連する範囲で幾つか御質問等をしたいと思います。
 1つは、議論の出発点としては、可能な限りの現状把握が大事だと思います。余りやり過ぎると現場に過剰な負担をかけてしまうという問題もありますが、例えば今お話の中に出てきた中でも、労働安全衛生法との関係では、事業場の人数は50人という数字が大きな意味を持っているわけでして、例えば資料2-1の3ページで安全衛生管理体制の整備状況を見たときに、小中学校と高等学校で差があるのが何でだろうと考えたときに、1つは事業場の規模が影響しているのではないかなど、事業場の規模というのが安全衛生管理体制の在り方に影響を与える面が大きいのではないかと思います。
 例えば学校種ごとに50人未満と50人以上の学校がどのぐらいあるかとか、もうちょっと細かく可能であれば見るなどして、そのあたりは、もし可能であれば、割と基本的な情報として重要なのではないかと思います。
 あと、既に話は出ましたが、今見ている資料2-1の3ページの数字について、可能であれば、実際の運用状況がどうかというのは重要かと思います。先ほど冨士道委員もおっしゃいましたが、例えば面接指導について、時間外労働100時間というときに、そもそもその100時間をカウントできていないケースがこれまで多かったのではないかというのは、率直に私もそう思いますし、そのあたりも含めて、現状、法令で用意されている仕組みがどういう形で機能しているのかということも、可能な限り把握が必要かと思います。
 それから、最後になりましたが、弓倉先生に資料3との関係で2点ほどお考えを伺うことができればお伺いしたいところがございまして、1つは、7ページあたりのところで、衛生管理者が体育教諭や養護教諭である場合が多いということで、制度上可能なことではあるわけですが、そもそも衛生管理者に体育教員とか養護教諭がついているということについて、もし何かお考えがあれば伺いたいというのが1点です。
 それからもう一つは、これはもしかしたらこれからの論点になるかもしれませんが、法律的な観点からは、職場における健康被害を防止するための仕組みとして安全配慮義務という考え方があって、ここでは特に長時間労働による健康被害などのケースと、それは安全配慮義務の考え方の下では、職場における上司が部下等である労働者に健康被害の兆候があるかどうかというのを発見できるような状況だったかどうかという点などが重要なポイントの一つになるわけですが、そういう観点から考えると、学校における校長先生等の管理職の役割について重要な点になり得るかなと思いますので、もし何かこの点についてお考えがあれば伺いたいと思います。
 以上です。

【小川部会長】  最後、善積委員、どうぞ。

【善積委員】  どうもありがとうございました。
 私は学校現場に業務改善のコンサルティングに入らせていただいている立場ですけれども、先ほどおっしゃった養護教諭が1人というリスクについてを目の当たりにいたしまして、インフルにかかられて養護教諭がいらっしゃらないときに、登校した児童がインフルで、養護室にいることもできず、職員室の片隅で親の迎えを待っていたというのを見ました。それ以外にも、給食のときにアレルギーのある児童の食事を担任が見分けてちゃんと運んであげなきゃいけないんですが、それを見落としてしまっていた事例も実は目の当たりにしたことが一度あります。それは校長先生がフォローに入られたので問題なかったんですけれども、全般にリスクに非常に弱い職場なんです。リスク対応がうまくできていないことでいろいろな問題を起こして、そのフォローのために先生方がまた時間を投入してストレスを抱えてしまうという、そういう状況が多々見受けられます。
 また、先般の高槻の壁もそうなんですけれども、もう少しいろいろな観点で日頃チェックをしていくという習慣が身に付いていないというか、定着されていないような職場というところが、いろんな意味で問題を引き起こしているというふうに思います。また、職場の中の人間関係がストレスの大きな要因の一つだと思っております。ここに先生が書いていらっしゃる、どちらかというと外部の要因が多いと思いますが、例えば部活をしたくないけれどもしなければいけない、あるいは慣れていない部活をやることで、ストレスが高いというのは前に筑波の先生が御報告されたと思いますが、そういったことであったり、職場の中のハラスメントではないんですけれども、例えば早めに帰る先生が何となく周囲に遠慮して帰りにくいとか、遅くまでやっていることが非常によく働くような見受けをされてしまう、先ほど先生がおっしゃった風土でしょうか、そういうのがあるということも影響していると思っています。そのあたりはやっぱり校長先生などのマネジメントの力が高まらないと解消しないのかなということも思っておりました。
 ですので、先ほどの体制の話ともつながってしまうんですけれども、校長先生がそういった学校、職場のリスクをどのように捉えて対応されているのか。例えば学校で休職者が出たときに、指揮命令系統とか服務管理は都道府県とか市町村であるというのは分かりますが、一次的には校長先生が管理職にあるわけですから、その責任というのはどうなるのかが正直よく分からないです。やっぱり責任を取らない状況でいると、物事に対する解決する意識や姿勢というのはどうしても及び腰というか弱くなりますので、そこもいろんなものをなかなか前に進めていくのが難しい要因ではないのかなと。そういう責任の所在ですよね。何かそのあたりがはっきりしないところも問題と思っていまして、さっき申し上げなかったんですけれども、校長先生の能力を高めるとか、いろいろ研修ということを書いていらっしゃるんですが、それと併せて組織をマネジメントするための責任であったり、目配り、気配り、そういったところに対してもっと言及した方がいいのかなということを、この場で併せて申し上げたいなと思いました。
 あと、ホットラインのようなものは学校現場にはないのでしょうか。このあたりをちょっとお聞きしたくて。同僚であったり、上下関係で小さな職場というのは人間関係がすごく濃密な状況になって、それを悪くすることにものすごく怖さを感じます。後がどうなるか分からない。それで物が言えなくなってストレスを抱えてしまうということはよくあることだと思います。そのときに、誰が聞いてくれるのか。聞いたものが悪く展開されずに、ちゃんと問題解決につながるかということ、これに確信がないと先生たちは相談できません。そのホットラインの在り方とかも考えた方がいいのかなと思いました。
 以上です。

【小川部会長】  ありがとうございました。今、様々な御質問含めて、意見もありましたけれども、全てにお答えしていただければという気持ちはあるんですが、もう残りの時間を考えると、なかなかそれはできないので、お答えできる範囲で構いませんので、今までの御質問や御意見に何かお答えできることがあれば、よろしくお願いします。

【弓倉日本学校保健会専務理事】  たくさんの温かいコメントありがとうございました。
 本当は、先ほどお話がありました、学校が10年遅れているという、これは1988年からトータル・ヘルスプロモーション・プラン、THPというものが行われて導入されておりまして、いかに健康増進計画を作っておくかとか、PDCAでTHPをいかに動かしていくかということが、一般企業では通常にやられていることなんですけれども、学校現場ではそれが残念ながらされていないというのが恐らく大きな課題でございます。そのためにはやはり、教職員の勤務時間の把握がきちんとされていないということが一番大きな課題の一つであろうと思います。
 あと、学校につきましては、先ほどお話がありました小規模校、大規模校です。確かに大きな学校ほど人間関係が薄くなっていますし、小規模校は逆に濃密になるということもございます。また、地域性の問題もございますので、どれがいいという形にはなかなかなりませんけど、そこに合った形での働き方というものがあると思っております。
 あと、教職員の身分が区市の職員なのか、例えば東京都の教育委員会の職員であるのかということは非常に大きな根本的な問題でございまして、そこで労働安全衛生法がカバーされるのか、学校保健安全法が使われるのか、そこで分かれてくるので、そこで産業医の配置の有無であるとか、産業医がいなくても何とかやってしまっているというようなところが恐らく出てきているんだろうと思っております。
 あと、衛生管理者にどうして体育の先生とか養護教諭が決められているか、これはちょっとそういう決まりになっているので、文科省の方でそう決めているので、こちらはちょっとコメントを差し控えます。
 あと、養護教諭の1人配置は非常にリスキーでございまして、学校に生徒が851人以上いないと2人配置にならないと。じゃ、840人ぐらいはどうなんだとか、800人はどうなのかというと、非常に大変な状況であろうと思います。そういうことが先ほどのリスクマネジメントのところにも影響してくると思いますので、そちらの方は校長のリーダーシップというところも含めまして、できるだけこの働き方改革の中で議論していっていただきまして、よい提言を出していただければと思っております。
 以上でございます。

【小川部会長】  ありがとうございました。
 三谷課長、何か一言ありますか。

【三谷健康教育・食育課長】  2点ほどお話をしておきたいと思いますが、清原委員からお話がありました、例の任命権と学校との関係ということなんですが、安衛法上でいえば、事業者はというような定義の仕方になっています。ですので、弓倉先生の資料の2ページの図にも使わせていただいておりますけれども、基本的には学校の設置者がやっていただくというようなことになろうかと思っております。
 あともう一つ、データの取り方につきましては、いろいろと今後、できる限り検討はしていきたいと思っておりますが、なかなかどこまでできるかという課題もあろうかと思っております。というところでしょうか。

【小川部会長】  ありがとうございました。
 労働安全衛生管理体制の整備について、もう少し意見交換をしたかったんですけれども、時間がありませんので、次回も労働安全衛生管理に関わる議論をする予定ですので、きょう十分に議論できなかったところは、次回の部会で更に引き続き議論を進めていきたいと思います。
 本日は、ちょうど時間ですので、この辺で終わりたいと思いますが、次回の件で事務局から御連絡があれば、よろしくお願いいたします。

【鈴木初等中等教育企画課課長補佐】  本日も長時間ありがとうございました。次回の日程につきましては、追って御連絡させていただければと思います。
 なお、本日の資料につきましては、机上に置いていただければ郵送させていただきたいと思います。

【小川部会長】  ありがとうございました。
 それでは、本日予定した議事は全て終了しましたので、これで閉会いたします。きょうはありがとうございました。

―― 了 ――


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初等中等教育局財務課