学校安全部会(第8期~)(第5回) 議事録

1.日時

平成28年10月17日(月曜日) 15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省 東館3F2特別会議室 【東京都千代田区霞が関3-2-2】

3.議題

  1. 安全教育・安全管理を適切に行うために必要な組織体制の在り方と教員が身に付けるべき資質・能力について
  2. 特別支援学校における安全教育・安全管理の充実方策について
  3. 意見交換
  4. その他

4.議事録

【小原部会長】  定刻となりましたので,ただいまから第5回中央教育審議会初等中等教育分科会学校安全部会を開催いたします。
本日は,皆様,お忙しい中,御出席いただき,誠にありがとうございます。
審議に入ります前に配付資料の確認を事務局からお願いします。
【中村健康教育・食育課課長補佐】  それでは,議事次第に従いまして配付資料の確認をさせていただきます。まず,資料1,中央教育審議会答申と今後の教員育成施策についてということで,当局の教職員課の方から今後の教職員育成の制度的な方向性等について御説明申し上げる資料でございます。資料2,佐々木委員からの御提供資料ということで,大学における教員養成の実践例などを御説明いただく資料でございます。資料3,戸田委員からの御提供資料ということで,こちらも先生の大学の御説明いただく資料となっております。資料4でございますけれども,安武委員からの特別支援学校における安全教育・安全管理の問題についての資料でございます。資料5が前回の先生方からの主な御意見の概要。資料6が今後の日程についてでございます。参考資料1といたしまして,渡邉委員から東京学芸大学のシラバスについて御提供いただいております。参考資料2,藤田委員は本日御欠席でございますけれども,大阪教育大学のセーフティプロモーションスクール関係の資料を御提供いただいております。参考資料3が,遠藤委員から,第3回学校安全部会でもお配りいただきましたけれども,宮城県における人的体制整備等の関係についての資料を頂いております。参考資料4と参考資料5は,毎回お配りしておりますデータ集と委員名簿でございます。
以上でございます。
【小原部会長】  ありがとうございました。
また,本日は,報道関係者より会議の撮影及び会議内容の録音を行いたい旨のお申出があり,これを許可しておりますので,御承知おきください。
それでは,議題に入ります。最初に中央教育審議会答申と今後の教員育成施策について,教職員課より10分程度で御説明いただいた後,5分程度で質疑といたします。その後,佐々木委員,戸田委員から,各大学での教員養成課程における学校安全について,それぞれ10分程度で御発表いただき,その後,5分程度で質疑といたします。
まず,教職員課からよろしくお願いします。
【山下教職員課教員免許企画室長】  教職員課の教員免許企画室長の山下でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
皆様のお手元に資料1といたしまして,中央教育審議会答申と今後の教員育成施策についてという資料を本日配付させていただいております。こちらの資料でございますけれども,まず1ページを御覧いただきたいと思います。
中央教育審議会におきましては,一昨年の7月に文部科学大臣から教員の養成・採用・研修の一体的な改革に関します諮問を受けまして,昨年の3月からその具体的な方策について検討を開始いたしました。そして,昨年の12月に中教審として答申を取りまとめました。特に,本日の部会長をお務めいただいております小原委員に部会長もお務めいただいた教員養成部会で議論をし,このような形でまとめたものでございます。
今回の答申におきましては,学校を取り巻く様々な教育上の課題等々が生じてきているという問題,例えば,新指導要領の検討の中でアクティブ・ラーニングの問題であるとか,カリキュラム・マネジメントといったようなことが重要視されてきているという話であるとか,あるいは,英語教育の充実であるとか,そういったような新たな課題が生じてきていることへの対応,それから,大量退職・大量採用の時代を迎えていて,今その教員の年齢構成等を見たときに,50代のベテランの先生と20代の若手の先生が多くなってきていて,その間の30代,40代のミドルリーダーと言われるような中堅層の先生方の層が薄いと言われている,そうした中で,若手の先生方の育成をどのように進めていくのかといったような問題がございました。そうした中で,教員の養成・採用・研修の接続を重視して体系的に取り組むようなシステムを提言していこうということで議論を進めていったというようなことでございます。
この答申の中で,下半分に具体的方策ということで,現職研修の改革,それから採用段階の改革,養成段階の改革ということで,主に3段階にわたりまして提言が出されているところでございまして,例えば,現職研修というところでは,初任研あるいは十年研の見直しを進めていこうということが提言されております。そして,採用段階のところでは,教員採用試験の共同作成みたいなことも将来必要になってくるのではないかということで,そういう調査・研究に着手をするということが提言されております。養成段階におきましては,先ほど冒頭申し上げましたような,学校を取り巻く新たな課題,英語,道徳,ICT,特別支援教育等々といったような,そういう課題に対応できるような養成課程の構築というようなこと,あるいは,教職課程の質の保証であるというようなこととかが提言をされているところでございます。
そして,今回の答申において,学び続ける教員を支えるキャリアシステムの構築のための体制整備ということで,養成・採用・研修というところの一体的な取組をより一層進めていくために,各都道府県,それから政令市の単位で,教育委員会と大学が教員の育成について議論できるような場として教員育成協議会というものを必置の組織として置く。そして,教員育成協議会におきまして,現職の教員の方々のステージに対応したような能力,あるいは資質能力に関する指標ということで教員育成指標というものを整備し,それに基づく研修計画を整備していく。そして,各都道府県等がそういった教員育成指標を作成する際に参考となるような指針を国が示すというようなスキームが提言されたというところでございます。
そして,1枚めくっていただきまして2ページのところに,特に昨年12月の答申におきまして,学校安全に関連するような記述がございまして,アンダーラインでお示しをしておりますけれども,研修,それから養成段階,いずれにおきましても学校安全について,そのステージに対応したような形で教えるようにしていくべきではないかというようなことが提言されてございます。
それから,その次の3ページから6ページ目にかけましては,この昨年12月の答申におきまして,学生が教員となるために大学で学ばなければいけないというような科目等を示した教職課程,その教職課程の見直しのイメージというものも示されてございます。3ページは小学校の見直しのイメージでございますけれども,現行の方が左にございまして,右側にその見直しのイメージがございますが,その上から2段目の教育の基礎的理解に関する科目というところのハの部分に,教育に関する社会的,制度的又は経営的事項というものがございまして,その後ろに括弧をして赤字で「学校と地域との連携及び学校安全への対応を含む」というようなことが盛り込まれておりまして,このハの内容を今後取り扱っていただく場合には,学校安全への対応というような事柄も取り扱ってもらうこととなるということを示しているところでございます。
以下,中学校,高等学校,幼稚園におきましても,教職課程の見直しのイメージについては同様の内容が提言をされているところでございます。更に少し先に進んでいただきまして7ページを御覧いただきたいと思います。
こちらの7ページのところが,先ほど言及いたしましたけれども,今後,各都道府県,それから政令市単位で教員育成のための協議会,教員育成協議会というものを置いていただき,そこで大学の関係者とか市町村教育委員会の関係者等々も入りまして,各都道府県,政令市単位で定める教員育成指標の在り方について協議をしていただくという,スキームを示しているものでございます。
育成指標については,どういうものがイメージされるのかということは次の8ページを御覧いただければと思いますけれども,今回の提言を受ける以前から,都道府県,政令市レベルでは,かなりの自治体でそういう指標あるいは研修計画というものを整備されておりまして,その中の代表的な例でございます横浜市の例をここでは付けさせていただいておりますけれども,この横浜市の指標のイメージを見ますと,横軸の第1ステージというものが若手,第2ステージが中堅,第3ステージがベテランというふうになりまして,縦軸の方に教員として必要な資質・能力等について事項が並べられていて,そして,第1ステージではここまでできるようになるというような形で示されてございます。
この横浜市の例でも一番下の方にマネジメント力という欄がございますが,その一番下のところに危機管理ということで,学校安全に対応したような指標が既に整備をされているようでございます。先ほどの話に戻りますけれども,今後,今回の中教審の答申におきまして,育成協議会が各全国的に整備をされ,そこで育成指標が策定されるというようなことになった場合には,今御覧のような育成指標というものを各自治体で整備され,それに対応したような形で体系的な研修計画というものも作っていくことになるのではないかと考えているところでございます。
最後でございますけれども,9ページでございます。今回の中教審の教員の育成に関します答申で提言をされております,各種の事項について,今後のスケジュール感みたいなものも9ページに配付をさせていただいております。ただ,これは若干古くて,1年ほど前に当時の審議の中で使ったものでございますけれども,おおむね今もそういうふうなスケジュール感で進んでいると思っています。その中で,例えば,このスケジュールの真ん中あたりに養成の改善というものが示されていて,その一番上の欄に教科に関する科目と教職に関する科目の統合などとされておりますが,ここが教職課程の見直しのスケジュール感でございますけれども,必要な制度改正というもの,それから施行前の諸準備というものを平成28年度中に行っていくというところは今でも変わっていないと考えております。その上で,再課程認定という手続に平成29年度,30年度にかけて,平成31年度から新しい教職課程が始まるというようなイメージでございます。
それから,それ以外の教員育成指標の策定等については,そのすぐ下の養成・採用・研修を通じた改革の一番上の段でございますけれども,ここも同様に平成27年度から28年度にかけて法改正等の必要な制度改正を行い,その上で平成29年度以降,各都道府県,政令市等の単位で今申し上げたような協議会を設けていただいて,育成指標の在り方等について協議をしていただくようなイメージで今進捗をしているという状況でございます。
私の方からの説明は以上でございます。
【小原部会長】  ありがとうございました。
ただいまの説明を受けて御質問等がございましたら,どなたからでも結構ですので発言をお願いいたします。なお,発言の際には,机上の名札を立てていただきますようお願いいたします。
どなたか御質問はございませんでしょうか。どうぞ。
【中川委員】  中川です。御説明,ありがとうございます。現行との対比のところで「学校と地域との連携及び学校安全への対応を含む」ということが書かれています。私が住んでいる横浜市の事例を紹介いただき,危機管理というお話だったんですけれども,チーム学校という視点で考えると,危機管理だけではなく,ふだんからのいろいろな地域防災との連携とか,もう少し幅の広い話になるのではないでしょうか。この週末も,内閣府の「防災教育チャレンジプラン」の中間報告会にあわせた「防災教育フォーラム」で,和田健康教育・食育課長にも来ていただいて,いろいろ議論をさせていただきました。チャレンジプランの審査委員もやっていただいている戸田委員とも,話を伺いながら意見交換をさせていただいたのですが,防災教育や自主防災の活動で,地域と学校のつながりは結構やっている学校が増えてきている感じがあります。その辺,教員養成の課程で,学校がある地域を理解するとか,PTAだけではなく地域住民の方と一緒に動くとか,そういうようなことも自分の仕事だというイメージを持ったような教員が養成されてくると,いろいろなことがスムーズに動くのではないかと思いますので,その辺までイメージをされているのかどうかを伺いたいです。単に,地域と少しお付き合いをするというような程度なのか。その辺,この学校安全部会の議論とどう絡むのか十分見えなかったので,もう少し分かっているところがあれば教えていただければと思うのですが。
【山下教職員課教員免許企画室長】  恐れ入ります。1枚前に戻っていただいて2ページのところに,当時の中教審の答申の中で,学校安全について,教員養成段階においてはどのように取り扱うかというようなことが下線部のところで少し説明がされてございます。そもそもこの答申におきましては,教職生涯にわたる教員の育成ということにつきましては,養成段階だけで全てが完成できるというものではなくて,養成段階においては,教員として必要最小限の基礎というところはここでしっかりと身に付けていただき,その後,現職教員になった後も引き続き体系的な研修を受ける中でその資質能力を伸ばしていくという認識に立っています。そうした中で,学校安全について,具体的な中身としてどこまでをやっていこうとか,先ほど先生がおっしゃったように,その地域の課題の中でどういうふうに取り扱っていこうというようなことまでは,部会で詳細の議論はなされておりませんので,今後恐らくこの部会,あるいは教職課程の中身としてどういうものを取り扱っていくのかということについて,教職課程のコアカリキュラムの検討というようなものも今着手をされておりまして,そういうところの議論を待つ必要があるのかと思っています。いずれにしても,御指摘のような観点も重要だろうと思いますので,我々,是非参考にさせていただければと思います。
【中川委員】  ありがとうございます。実際には,そういうことに日頃から取り組んでいる学校は,例えば校長先生とか副校長先生とか特定の教員とか,そういう方の熱意で進んでいるので,そういうものが制度的に担保されて,養成段階や中間研修とかで担保されてくると,皆さんはそれが役割だと考えるようになると思いますので,是非期待したいと思います。ありがとうございました。
【小原部会長】  山下室長,どうもありがとうございました。
それでは,次,佐々木委員から資料の説明をお願いいたします。
【佐々木委員】  本日は,発表の機会を与えてくださいましてありがとうございます。北海道教育大学札幌校の佐々木でございます。北海道教育大学における防災教育に関する授業,「子供・地域と防災(防犯)教育」の実践についてこれから発表させていただきます。お手元に授業のシラバスがあるかと思いますので,御参照ください。
まず初めに,この授業を開講するまでの経緯について述べたいと思います。この授業は,4人の専門が異なる教員が中心となりました。1人は,地理学を専門とする釧路校の酒井教員です。彼は,関西出身者であり,阪神・淡路大震災では御両親が地震に遭っています。地理学の専門家として,阪神・淡路大震災以降,学生たちに現在の地図と古地図を比較させ地形の見方などを理解させるなど,防災に関する授業を釧路校で実施していました。
2人目は,土木工学を専門とする今教員です。彼は,当時旭川校で,防災におけるハードの限界からソフト面に力を注ぐ必要性を感じ,防災の視点を取り入れたまちづくりに関する研究と授業を実践していました。
3人目は,社会学を専門とする小松教員です。彼は,当時釧路校で,地域住民が主体となる自主防災組織に関する研究をしていました。
4人目は,家庭科教育を専門とする私です。私は,阪神・淡路大震災を機に「防災の視点を取り入れた新たな家庭科教育のあり方」に関する研究に着手し,防災教育を行っていくための手段として,当時普及し始めていた災害図上訓練を取り入れたワークショップを実施していました。2000年に函館校に着任し,その年の後期の授業に「生活と防災」を位置付け,災害図上訓練やまち歩きなどを取り入れた授業を実践していました。
2006年,北海道教育大学は,道内に5つのキャンパスがあるのですが,その5つのキャンパスの再編・統合が行われました。私と今教員は札幌校へ,小松教員は函館校へ異動となりました。なお,この後,小松教員は東北大学へ異動したため,現在は関わっていません。また,この年から5キャンパスをつないで授業ができる双方向遠隔授業システムが導入されたことから,全学連携授業科目が位置付けられました。そこで,私は,全学連携授業の「現代を読み解く科目群」の中で防災の授業をしようと他の3人に呼び掛けをし,「子ども・地域と防災(防犯)教育」という授業が,札幌,釧路,旭川,函館をつないで開講することとなりました。防犯を入れたのは大阪教育大学附属池田小学校の痛ましい事件があったからですが,防犯の内容はほとんど扱いませんでした。また,この授業に関しては,昨年度に札幌校の改組があり,今一時中断しているところでございます。
2006年当時は,防災教育を行っている大学が富士常葉大学,千葉科学大学であると知り,私たち4人は,教員養成大学としての防災教育の在り方を追求しようと考えました。そこで,本授業の狙いを,災害で多くの人々の命が失われているが,それは防災という視点が薄く,自助の意識や,それに関する知識が十分に教えられていなかったことに起因する。子供たちに命の大切さ,人と人とのつながり,絆の必要性を教え,子供自身はもとより,家族,そして地域の人々の生命や生活を安全に守るために必要な能力や態度を育成することがこれまで以上に求められている。そして,学校は地域の中に存在することから,災害時には地域の人々の避難場所となる。そういうことから,私たち教員を目指す者は,教師として子供の命を守り,地域の安心・安全確保へのまなざしを持つことが必要なのだ。だからこの授業を通してそういうことを学んでほしいということを狙いとして学生たちに話しました。
授業は,Aパートの講義を10回と,Bパートの演習,フィールドワークとして5回分を設定しました。まず,Aパートの講義は,札幌管区気象台や国立寒地土木研究所の外部講師の方にも御協力を頂きました。3週目の「災害と地域や子どもたち」は,2000年の有珠山の噴火後に,洞爺湖小学校で緑の再生事業に取り組んでいる実践例などを寒地研究所の方にお話しいただきました。また,ほかに理科教育,社会科教育の教員にも協力を得て,それぞれ教科の学習内容に関連付けて,自助,共助,公助を意識してシラバスを作成し,授業を行いました。
その後,10週目が終わったときに中間試験を行い,試験後にフィールドワークの事前授業と地図作りをさせ,そしてBパートへと移っていきます。Bパートに関しては,各キャンパスにおける地域事情もありますので,その地域に合ったものといたしました。
これは,防災まち歩きの様子で,釧路校での授業の風景です。付箋を使ってのイメージ訓練をしたり地図上訓練をしたりした後に,実際にフィールドワークに出ていきます。
この授業の特徴は,立ち上げた4人が必ずフィールドワークを学生たちと一緒にするということです。先ほどのAパートの講義はオムニバス方式で行われます。そうすると,先生方は,自分の講義だけしか責任を持たなくなります。本授業は,双方向遠隔システムを用いますので,授業発信をしていないキャンパスには誰も教員がおらず,学生だけで授業を受けることになります。きちんと授業を聞いてくれれば良いのですが,監視の目が届かないと学生たちはどのような状況になっているか分かりません。これは,正しい評価にもつながっていかないと考え,私たちは,キャンパス責任者を決め,責任者はたとえ自分が授業を担当しなくても全ての授業に立ち会うことにいたしました。そして,フィールドワークには,この責任者たちが自分の所属するキャンパス以外のキャンパスへ赴き,実際に学生と触れ合い交流することをしてきました。
これは,学生たちがまち歩きをしている写真です。釧路校の学生たちは,津波のときの避難経路になっている坂の周辺を確認していました。
このまち歩きの後に,学生たちは撮ってきた写真を加工したりしてプレゼンテーションをするためのポスターを作成し,発表をするということになります。
これは,釧路校の学生の作品になります。
この授業は土・日に行いますので,大変なのは授業担当者の教員たちです。札幌,釧路間は310キロメートル離れています。JRでは4時間ほどかかります。この日も土曜日の釧路での授業を終えて,すぐに列車に乗って札幌に帰り,翌日,朝から授業を行いました。
札幌では,56災害と呼ばれる水害に見舞われた地域に当たりますので,水害を視点にしたまち歩きを行いました。まち歩きの最中に地域の方と学生たちがお会いして,防災倉庫の鍵を開けてもらって中の備蓄品を見せてもらうというようなこともしていました。
札幌は,80名以上の学生たちが受講しますので,釧路と比べ,少し多くの学生がいるような感じがあるかと思います。
授業後の感想の一部です。防災・減災の教育は何も特別な教育ではありません。ふだんの生活の中で,安全・安心に暮らすために自分ができることは何かを考え,その対応をしていくことです。そのために必要な知識を獲得したり訓練をしたりすることになります。本授業を通して,学生たちは防災教育が命の教育であること,また本授業が防災という視点からあらゆる教科やフィールドで行われたことにより,教科をつなぐことの大切さや,教師間の連携,更に地域の人々に対するまなざしを持つことの必要性を実感してくれたように思います。また,講義だけではなく,仲間と一緒にイメージ訓練をしたりフィールドワークをしたりすることによって,自分では気付かないところに気付かされ,互いに学び合うことの必要性も理解したように考えています。
この授業の課題は,半期間でこれだけの内容を入れて行うため,広く浅くなってしまったということです。大学の中で行われている災害や防災に関する内容を扱う専門の講義科目と連携する,つまりチーム大学として取り組む必要性があるのではないかと考えますが,なかなか大学では難しいようです。さらに,防災教育に関する教材開発を行う授業も必要ではないかと考えます。釧路校では,実際に学生たちが津波の実験装置を作り,それを用いて小・中学校で実際に授業を実践したりして効果を上げている例もございます。この「子ども・地域と防災(防犯)教育」の授業は,学生たちへの意識付けができたのではないかと自負しますが,更にもう一歩,実践力を養成するところにまでは至っていない,そういうところを今後目指す必要があるのではないかと考えています。
また,実践力が養成段階で担えていないところは,現場教員へのアプローチをすることによって補おうということで,今は,教員免許状更新講習や各教育委員会等での研修等に積極的に我々が参加して,現場教員への防災教育を担当しているところでございます。
以上で発表を終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
【小原部会長】  ありがとうございました。
それでは,次,戸田委員からの資料説明をお願いいたします。
【戸田委員】  10分間で私に与えられた課題は,私の大学で「学校とスポーツ安全」というものをやっているのですけれども,それをどのようにやっているかという中身と狙いは何かということを話ししてくださいということです。
学校安全関係の中では,特に現職教員の研修その他も含めて,学校や地域間格差や内容の偏り,例えば防災教育だけは熱心にやるけれども,他の内容な扱わないか,軽く扱うなどがあり,課題です。また,担当する先生がなかなかいない,指導できる先生がいないなどの問題もあります。それで,震災が起こると一生懸命防災の方をやるのだけれども,もう3年もたつとほとんどやらなくなるというような,何かふけさめのある継続性のない内容になっては困るではないかということで,結局,学校,家庭,学校地域間格差も含めて,オールジャパンでどんなことが教員になるために必要なのかということをいろいろ考えてみました。そんな考え方で,内容や項目を構成しています。
平成24年に調査をした結果を少しだけ入れさせてもらいます。教員養成課程での安全教育が必要かと。いろいろな項目の調査をしたのですけれども,教員も学生も,もう圧倒的に是非教員養成の中で安全教育というのは必要だということを言っております。
必要な理由については,教員としては,安全教育は学校教育の重要な内容だとか,事件・事故,災害が多いとか,それから,6番目の教員の職務として重要だからというような答えをしているのですが,学生の場合は,1の安全教育は学校教育の重要な内容だからということのほかは,余りそれほどの認識は深くないということです。
では,内容にはどんなものが必要かということについては,今非常に注目されている防災がありますけれども,そのほかにも交通安全も極めて重要な内容でありますし,学校生活での事故とか,あとスポーツ事故とかがあります。そういうもの,その基本的な物の捉え方とか,学校で何が必要なのかということが必要になってくるのかなということで,内容を少し調べてみましたら,同じ調査ですけれども,教員の場合は,実際に多様な内容の安全で困っていらっしゃって,みんなとても重要であるという言い方をしていまして,幅広く安全については基礎的な内容を学んでおく必要があるのではないかと答えています。学生は,4番の地震などの防災が圧倒的です。確かに東日本大震災が終わって間もなくみたいなところがあるので,その場に関わる課題が非常に印象として強いようですが,それだと継続性が課題になると思います。
それから,例えば薬物とか,感染症とか,そういう保健の問題ではあるのだけれども,幅の広い意味での危機管理という問題も非常に重要であるということで,学校保健そのものは,うちの大学は中高の保健体育の教員免許を取る者が大半ですので,救急法や学校保健をこの前の段階で学習をしていまして,学校保健安全法の基礎とか,危機管理で感染症病法とか,いろいろな問題については学習した上でのここということになっております。
必要な安全教育の内容はどんなことなのだろうかというと,簡単に言うと,今課題になっているところは,学校(園)生活や教育活動での安全,地震などの防災,交通安全,誘拐などの犯罪被害の防止,避難訓練の方法とか,感染症の防止とか,様々な形で非常に種々雑多に要求があるわけですけれども,それを何とか養成課程でうまく構成できないだろうかということで,私は本学に平成22年からお邪魔したんですけれども,そこから学校保健Ⅱという内容があって,Ⅰは通常の教育職員免許法に基づく学校保健の内容でしたけれどもⅡは教員の裁量で自由にやっても良いということでございますので,私は安全と危機管理を中心な内容としました。その後,正式には24年度からカリキュラムの名称も「学校とスポーツの安全」でやっております。
大体どんなことをやっているのかというと,とにかく安全は大事だと,教師としてもそうだけれども,国民にとっても必須な事項ということで,教員にならない学生たちにとってもとても重要なので,全員が選択できるよう選択科目に位置づけています。例年,在籍者の9割以上の学生が履修をしております。大事だということは,学生自身も肌で感じているということなのでしょう。そういうことで幅広くやっています。
幅が広いとわけが分からなくなるんですけれども,学校保健安全法の趣旨や内容と学校安全及び危機管理の基礎的な事項,これを縦軸にしまして,様々な学校生活や教育活動での安全と危機管理に関する意識を高めるような内容と基礎的な知識で,必要な資質や能力を身に付けるということで丁寧にやっています。
何しろ15コマしかないので,初めに学校保健安全法の趣旨や内容など総合的な内容を中心にしながら,総説の中では,ここにきちんと学校保健も学校安全も含めて非常に重要な内容が定められていて,ここのところを基礎にしながら,実は学校の教員も子供たちのためにいろいろな活動をやっているのだと。簡単に言えば,教育と管理と組織活動をしっかりやっていく。先ほど,中川委員からもありましたけれども,組織的な活動の中では,特に保護者とか地域の方々との様々な連携などもそれぞれの活動であるのだと。交通安全にもあるし,防災でもあるし,登下校の様々な防犯などでもあるし,非常に重要なのだということは内容に入れています。
あとは,文部科学省の学校安全の参考資料などを基に,これまでも文部科学省等でも進めてきた3領域というのをきちんと念頭に置きます。各論は,自然災害と,学校生活,スポーツ,教育活動等による傷害の防止,交通安全,犯罪被害。それから,高等学校あたりでもよく勉強していますし,これから学生さんは,今でももうアルバイトで一生懸命働いていますけれども,働くということと安全ということもとても大事だということで労働と安全も取り入れています。それから,日本スポーツ振興センターの災害共済給付制度,学校安全支援事業等をやっていますけれども,ここのところも,学校の先生になったときには,特に大事です。すぐに実務で関わることなので,基礎的な理解をしておいた方が良いということで扱っています。自然災害があろうとなかろうとこのぐらいの内容をやっておけば,学校の先生になったときに,あっあれだということを思い出して,必要な資料を探せるのではないかということです。
各回の授業シラバスでございますけれども,総論が1回目と2回目。3回目からは,総論の中身も絡め合わせながらやるんですけれども,自然災害を3コマ,学校生活,スポーツ,教育活動等における傷害の防止も3コマ,それから日本スポーツ振興センターの災害共済給付,あと交通安全,犯罪被害防止というようなことで,大体こんな内容をやっているということです。
ただ講義や解説だけではつまらないので,学生自身も授業に参加してもらおうというので,例えば,講義をやると,その講義の内容について,反省と感想などを書いてもらって,そこから気になったこととか,もう少し自分で調べてみたいことという簡単な課題を設定して,それで次の時間にグループ内,120人から140人ぐらいの受講者ですけれども,基本は6人グループということで,1人は先生役で,進行役,評価役も兼ねてということで,発表させて,相互評価をさせて,自分たちの中で少し安全について深めていく,広めていくという作業をしながら,その後,私が,パワーポイントとか私の指定する教科書,印刷資料などで講義をして,最後は,安全というのはどうしても言葉では分かりにくいので,課題になっている様々な問題,例えば文部科学省で体育活動の安全のDVDを出していますし,それから安全点検その他のもの,それを長くても20分を程度のもの,短いと10分とかあるんですけれども,それを必ずまとめで,この講義内容と関連する内容などを必ず入れて視聴覚教材を視聴させます。でないとなかなか90分の一方的な講義は学生にはもたないという部分もあって,そういうことで変化を持たせながら進めています。その後に自分で課題を決めさせて,次の時間には,健康観察・出席確認をしながらグループ内での課題発表,評価ということをして進めていくという形をとってあります。
そういうことで,例えば私の方では,そんなふうに継続性とか様々な格差,内容の偏りとか,そういうことがないような形で,幅広くいろいろな,日本全国の学校では様々な課題がたくさんあるわけなので,先ほどの教員の調査にもあったように,幅広く基礎的な内容は理解させておく必要があるのではないかなと思っています。ただ,問題は,指導者が今のところは少ないので,実務家教員,当面安全に詳しい校長のOBとか指導主事で安全を担当した方とか,適当な方はたくさんいらっしゃいますので,そういう実務家の方々をお願いしてやっていったらどうだろうかと思います。それから,もう一つ,私は幸い使わせていただいていますけれども,文部科学省の資料はとっても良いものがたくさんありますので,それを教員養成課程を持つ大学に,世の中にうまく生かしてもらうために提供できないだろうか。インターネットからの入手というと現実になかなか難しいので,例えば,参考資料二百何十ページ,研究室からダウンロードして印刷というわけにはなかなかいかないので,その辺,アナログとデジタルとをうまく使い分けたり,あるいは,教員養成をやっているところには,全て基本的な資料は,有料か何か分かりませんけれども,手に入って,それをうまく活用できる仕組みを考えることで担保できないかなと思っているところです。
御清聴をありがとうございました。
【小原部会長】  どうもありがとうございました。
ただいま,北海道教育大学,それから東京女子体育大学,2つの取組の説明を受けたことになりますが,御質問等がございましたら,どなたからでも発言をお願いいたします。
清水委員。
【清水委員】  本当にありがとうございました。
お話や配付資料を見ていて思い出したのですが,私立学校の方では,初任者の先生方を集めてこういう防災に関する取組もしばらくやっておりました。これは非常にうまく作られていて,両方すばらしいなと思っているんですけれども,参加されている学生さんが行動を伴うような講座というのはあるのでしょうか。何を申し上げているかというと,先ほどの取組をお話しますと,初任者の先生方50人に集まってもらって,体育館に一晩泊まってもらいます。もちろん寝袋までは用意するんですけれども,何をどうしたら良いかを皆さん自身で考えろという場面設定をいたします。そうすると,誰かがリーダーになり,サブリーダーを決めて,問題点は何かを皆で話し合っているのです。それから,非常食が必要ですが50人分は用意しない。30人分ぐらいしか用意しないで知らん顔をしています。場面設定はいたしますが,あとは自分の問題として何か取り組ませるような講座がこのプリントからはなかなか読み取れなかったのですが,何かもしやっていらしたら,教えていただきたいんですけれども。
【小原部会長】  どなたか今の御質問にお答えはございませんでしょうか。
佐々木委員。
【佐々木委員】  私たちの方の授業の中では,ハイゼックスを使って御飯を炊くとか,それから,もしも避難所になったときに毛布が100しかない,そこに200人の人が来たときにどういうふうに対応するかとか,風邪を引いた赤ちゃんを連れてきた人が避難所に来たときに,その人を避難所の中に入れるか入れないかとか,そういうようなことを考えさせたりする授業はするのですが,1日泊まらせるとかはしていません。
以上です。
【小原部会長】  戸田委員。
【戸田委員】  私の方は,先ほど御覧いただいたように,基礎的なところをずっとおさらいをするという形なのですが,それでも一方的に解説をするという形はとりたくないということで,先ほど申し上げましたけれども,学生自身がその講義内容について,ある意味宿題になるんですけれども,自分で課題を設定して,それで調べてくる。だから,防災について講義をこの時間でやったとすると,その中で様々な広がりがあるわけですけれども,私は避難所について調べてくるとか,私は別な内容,トリアージについて調べてくるとか,そういうふうに広げて,次の時間は,15分ぐらいかかりますかね,グループ内で発表させながら,相互評価させて,意欲を高めています。
それから,体験的なところとか具体的なところで何がどう行われているかというのは,最後でDVDとか動画とか資料を見せる中で,実は学校の先生はこんなふうにやっていて,訓練はこんなふうにこんなポイントでやっているという動画を見せて,そういうところでまとめていくという形をやっています。視聴覚教材は,毎回,毎時間必ず関係のあるものを視聴させております。
以上です。
【小原部会長】  今村委員。
【今村委員】  私の方から,今の清水委員からの質問で,講義ではなく,イベントの情報になってしまいますが提供させてください。1泊2日の防災キャンプというのを実際させていただいて,場所も渋谷と仙台というところで,大体20名,実際にテントでサバイバルをするという体験プログラムです。前半が基礎知識と,あとは実践です。参加する前に必ずアンケートといいますか,チェック項目に答えていただいて,終了後も実施し,体験プログラムによる効果,さらには変容の変化というのも調べさせていただいております。
1つ,佐々木委員に質問ですけれども,資料2の別紙,実際のシラバスがございまして,非常に参考になります。その中で,1ページに到達目標が1から6がございまして,特に○6に関しては,なかなか評価が難しい内容ではないかなと思っております。知識は恐らく中間試験とかいろいろなあれでチェックできるのですけれども,6番に対してどんなところを視点に評価をされるか,教えていただきたいと思います。
【佐々木委員】  このまち歩きのフィールドワークは,教員も一緒にまちに出ていって,学生たちがどのような態度で調べているか,そういう姿勢をチェックしたり,それから,その後に感想を書かせますので,その感想を事前に私たち教員の方で考えていた視点が入っているかチェックしたりします。そして,あとは学生同士の自己評価,相互評価,そういうものを全部総合した形で判断をしています。これはすごく大変な授業なのですが,学生たち自身は,評価に対して不満足ということはなく納得しています。中間試験も行いますので,中間試験にクリアしないとフィールドワークに出られませんから,フィールドワークに出るためには中間試験の勉強も必要です。そうすると,授業を聞いていないと何が出てくるか分からないという,おどしも半分入っているかもしれないのですが,そういう点では,授業中はよく話を聞いているかなとは思っています。
以上です。
【小原部会長】  渡邉副部会長,お願いします。
【渡邉副部会長】  ありがとうございました。先ほどの戸田委員に授業の御紹介を頂きまして,私どものやっているのと戸田委員の授業と非常によく似ているところがございまして,今日,参考資料の1のところに付けさせていただいたんですけれども,私のところでは2つ安全に関する授業をやっていまして,1つは,1年生を対象にして,一般教養ですけれども,ごくごく簡単に,広く浅くという授業ですね。この参考資料1でいくと「学校の安全と環境」という授業です。もう一つはその裏ですけれども,「学校安全と危機管理」という授業で,これは養護教諭の養成の学生と,あとは選択制ですけれども,保健体育の学生がかなり受けに来ているというもので,より実務的な内容といいますか。例えば,危機管理マニュアルの作り方であるとか,避難訓練の進め方とか,そういうことを入れてあるんですけれども,先ほどの戸田委員の授業と,私のこの「学校安全と危機管理」の中に,大事な問題で1つ入ってないものがあると思うんですね。それはほかでやっているから恐らく入れてないんだと思うんですけれども,それは何かというと応急手当ですね。応急手当,救急措置の授業。これは,保健体育では学生とかは別個にやっていますから。
【戸田委員】  保健体育の免許取得に関連して,他の科目で,実習を含めて応急手当,救急処置などは,既に学習していますので,この科目では内容に入れていません。
【渡邉副部会長】  そうですよね。ですから入ってないんですけれども。参考資料1の「学校の安全と環境」の中で,実は1回「応急手当の実際」というのを入れています。普通,通常のほかの教科の学生などですとこれをやる機会がほとんどないということがありまして,実は,この授業を始めたときは,前は消防署の方に来ていただいて2回ぐらい実際に実践をやっていたんですけれども,このカリキュラムを組むのが少し難しいということで,時間の組み方が難しくなってしまったので,今は,どちらかというとビデオを見せるというやり方に変えたんですけれども,保健体育や養護教諭になる学生というのは,授業が必修で入っていますからやる機会もあると思うんですけれども,どこかで応急手当のことを先生に,教員になる人はやるべきだと思うんですね。できれば実際にやって実践するというのが良いんですけれども,そうでなくても,少なくとも今はとても良い映像や,教材などもありますので,心肺蘇生やAEDの使用法,またその他の簡単な止血法とか,そういったものに関しても,是非それを全ての先生になる学生に学んでほしいという,時間を是非設けられればと思っております。
以上です。
【小原部会長】  次,小川委員,お願いします。
【小川委員】  教員養成のどの段階で,こういう学校安全の問題を導入していくべきなのかということを考えながらお話をお伺いしておりました。1年生が良いのか,2年生が良いのか,あるいは教育実習に行く前なのか,後なのかということも考えていました。大変すばらしい教育を実践されておられましたので,恐らく学生さんはすごく興味を持ったのだろうと思います。学生さんの気持ちに立てば,まず自分の防災意識の問題として受けとめると思います。では,教える立場として,防災教育に参加できたのかどうかということになると,また少し検討の余地も多々あるようにも思います。
私は,今の大学で2年生に対しては職業指導の授業を担当しているのですが,まだ2年生ですので,キャリア形成が不十分な状態で,自分のキャリアの問題として授業に参加はしますが,教える立場としてどこまで参加できているのかというと,少しクエスチョンマークが付きます。授業の最後で,高校生のキャリア教育プランを立案してみなさいという課題を出すと,少し深みがないんですね。なかなか難しく,学生の発達の問題もあるなということを感じますし,また教員としての自覚とか意識の問題も多々あるように思います。
この学校安全の問題につきましては,私の大学では,試しに教育実習が終わった後,教職実践演習の中で30分ほど時間をとりまして,先日,話をしてきたところです。4年生に対して話をしたら,教育実習が一通り終わっておりますので,教科指導の問題については,ある程度めどが立って,自分の課題が何であり,次の目標は何であるかということの意識を深めたところです。この段階で学校安全の問題もあるのだよと,子供たちの命を守る義務があるのだよと,教員としての使命感,また今後求められる能力という位置付けで話をすると,すごく関心を持って聞いてくださったんですね。だから,どの段階で説明をするかによって,心にすっと入っていく,その程度が違うのかなと思った次第です。ありがとうございます。
【小原部会長】  次,尾上委員,お願いします。
【尾上委員】  私は,戸田委員に質問をさせていただきたいと思います。6ページなのですが,アンケート調査ということで,現職教員と学生,教員養成課程におけるアンケートですが,例えば,学校安全計画の作成については,学生は少し反応を示しているのですが,教員に関しては,その部分が少し低いという評価からしますと,全体に網羅するのは,被害が大きいとか頻度が高いというところをしっかりやるという意味合いでそうされているのだとは思うのですが,学生がこの安全計画の作成について少し関心があるというのは,作成自体に見解があったのか,計画自体の内容に重きがあったのかということの部分を確認したいということと,教員に関しては,当然ながら作成に関しては誰かにやっていただけるという部分があるかもしれませんが,自ら作ることによってもっともっと展開があるのではないかと思いますので,その辺の意識の差を少し教えていただけたらと思います。よろしくお願いします。
【戸田委員】  ありがとうございます。結論から言って,そこまでは調査しておりません。ただ,これは推測になりますけれども,学生の中で,その学校安全計画作成というのは,いろいろなところで,例えば自分のお父さんやお母さんが先生をなさっていたりとか,学生がアルバイト的,サポート的に,学校に関わっている中での関心を持っている者も少しはいるのではないかと思います。
先生方のところの学校安全計画作成への回答では,当然学校の中では,名称は違いますけれども,安全主任等が中心になって作られるわけですけれども,それ以外の方は余り関心がないということももしかするとあるのかなということで,棒の高さが低いという具合になっているのではないかと思います。
以上です。
【尾上委員】  ありがとうございます。
【小原部会長】  次,五十嵐委員,お願いいたします。
【五十嵐委員】  ありがとうございます。本校では毎年初任者が二,三人入ってきます。いつも次の二つのことを困ったなと思っています。一つは,学校安全について学んでいないということ。これについては,今お二人の先生から,その取組を聞かせていただいたので,全ての大学でこのようなことを行われてほしいなと思いました。
二つ目は,受け身であることです。これからは子供が主体の対話的で深い学びを展開していく必要がありますが,大学は人数の関係で講義が中心。評価も,恐らくペーパーやレポートなどですので,若いのに挑戦できる機会が少ない。そのあたりは大学の学びを変えていただきたいと実は思っていたところです。先ほどの佐々木委員の実践は,私は物すごく感動しました。まず学生がフィールドワークをしていること。いろいろ大変だと思うのですが,小学校では各教科においてこのようなことはよくあります。実際に自分で体験するような経験があると,指導者になったときに必ず生きると思うのです。
そこで,先ほど佐々木委員のお話を聞きましたら,地理学と土木工学と社会学と家庭科教育の先生が一緒にやっているとのことでした。今,本校では「生き抜く科」をやっているのですが,同じように,いろいろな専門家に力を頂いています。今の事例に,地学関係と,先ほどお話に出ましたが,救急救命的な先生が加わっています。このようなあらゆる専門家の先生のお力を頂きながら,今カリキュラムを作っているのですが,大学でもそれぞれの専門の先生が,専門分野を超えてつながって,この科目を作っていただいているというのは,私は物すごくすてきだなと思いました。
苦労はあると思います。しかし,このように教科をつなげて,もちろん教科の基礎知識も大事にしつつ,それを応用して実際に生きる力にするという経験は絶対に大事だと思うのです。カリキュラム・マネジメントと言われていますが,このような経験をした学生は,必ず現場で活躍します。教科にこだわらず全てをつなげていく指導ができると思います。
ですから,是非佐々木委員のような取組を,教員養成大学においては,是非やってほしいと思います。今やっていることは,必ず未来に直結していますので,北海道教育大学の学生さん,本校に先生としてきてほしいと思いました。
ありがとうございました。
【佐々木委員】  ありがとうございます。是非。
【小原部会長】  野津委員,そして中川委員,お願いします。その後に安武委員の発表の方に移りたいと思います。
【野津委員】  ありがとうございます。今日,3人の先生に実践を御報告いただきまして,本当にすばらしいなと思いました。さて,2点意見を述べたいと思います。会議の初めの事務局からの説明で,教職課程のカリキュラムに学校安全が位置付いていくということが言われたわけですけれども,そのための大学の養成教育における指導者,担当者の確保ということが課題としてあるのではないかと思いました。教員免許を取得する学生たち全員に教えるとなっていったときに,指導者の確保という見通しを持つ必要があるのではないのかなというのが1点。
それからもう一つは,教員養成としては,大学の中での講義,演習,実習等々という教育と,もう一つ両輪である教育実習というところでの実践的な力を付けるということがあります。教育実習においては授業力を養うといいますか,教科担当というところが中心になってやられることが多いのですが,それのみならず学校安全に関わる教育実習の工夫ということも視野に入れていく必要があると思います。
もちろん,教育実習の期間,単位数が,日本はOECDの中でも非常に少ない。そうした教育実習の制度自体を見直していくことが必要だと思いますけれども,現状でもできる工夫,取組が推奨される必要があるのではないかと思います。
【小原部会長】  それでは中川委員,お願いします。
【中川委員】  中川です。私の方は,佐々木委員や戸田委員のお話に関連して,1点だけ御紹介させてください。山形に単身赴任したときに仲良くさせていただいた,山形大学の地域教育文化学部の村山先生の教員養成課程での防災教育を御紹介したいと思います。昔,今村委員の東北大におられた方です。児童教育課程では,全員必修として「教員になるための学校防災の基礎」2単位と,大学院のコースでも2単位の必修を作られています。私の手元には,企画段階のシラバスしかなかったので,是非次に資料として参考にお配りさせていただければと思います。ここでやっていることの特徴の一つとして御紹介したいのは,大学の地理学の村山先生が御自身で教えるだけではなくて,地元の気象台の方と連携して2コマをお願いしたり,大学の中の地質学の方とか,ほかにも自然地理の方にお願いしたり,小学校の校長先生のお話もコマの中に入っている実践的な形でやっておられるということで,それを必修にしているところが面白い。かなり地球科学的な内容が多いので,受けている学生のアンケートなども頂いているのですが,地球科学的なところは少し難しかったけれども,そこをちゃんと理解できていると実際の学校防災の現場の話とか,防災教育のいろいろなツールも実際に使ってみようという意欲を持たせるような内容になっていると,受けた生徒たちも実感しているようなアンケートの結果もありました。
御紹介でした。以上です。
【小原部会長】  それでは,続きまして特別支援学校における安全教育・安全管理の充実方策につきまして,安武委員から御意見を伺います。
【安武委員】  安武と申します。よろしくお願いいたします。私は,特別支援学校における安全教育ということで,少し話をさせていただきます。7月13日津久井やまゆり園で重度知的障害者の方が19名殺害されたという事件のことは記憶に新しいと思います。犯人は以前やまゆり園で働いていたとはいえ,簡単に施設へ入れるという意味で,防犯はどうなっていたのかが非常に大きいことだと感じています。
次に,これは点字ブロックというものですが,点字ブロックの問題ではなくて,向こうの横断歩道が問題だと思っています。視覚障害者は白杖を持って点字ブロックを頼りに行動しますが,横断歩道も白杖で白いところはすべすべしているので分かるそうなのです。いつもきれいに塗っている状態にしておかないと危険です。歩道も斜めになっているところでは,車椅子の方は非常に押すのも押しにくいし,自分で電動のもので通られるのも危ないと思います。本当に,まだまだ障害者に対する理解が進んでいないというのが私の思いであります。
本題に入りますが,特別支援学校では,どのような時間に安全に対する授業を行っているかといいますと,知的障害の場合ですが,安全教育は全体を通じて行うことになっていて,特にやっているのが特別活動です。特別支援学校は準ずる教育というものがありまして,準ずる教育は普通の学校の授業と一緒の授業です。ただ,障害があるために障害に合わせた工夫をしながらやっていいます。また,準ずる教育は「自立活動」の時間を組み込んでいます。知的障害者の教育課程の方は知的障害のある方向けにあります。知的障害のある児童・生徒は,準ずる教育のように通常の授業ではついていけないので,独自の授業を行います。中には,生活単元学習や,作業学習のように教科の授業を合わせて行っていることもあります。
次に,障害のある児童生徒が陥りやすい支障という例を出してありますが,特に生活行動支援の,長い時間の停電によって肢体不自由の方が呼吸困難になったりすると大変だと思っているところです。見ておいていただければと思います。
次に,特別支援学校は,単独校,それから複数の学部のある学校,併置校,また,現在高校の敷地に特別支援学校があるようなところもできてきています。先ほどの障害の図ではありませんけれども,知的障害の丸の外側は準ずる教育をやっているのです。知的障害の丸の中の人たちは肢体不自由にいても視覚障害,聴覚障害,病弱にいても,知的障害の授業,教育を受けているというようになります。
複数の学部の設置校では,同じ時間に,避難訓練をやっています。例えば,肢体不自由と知的障害の方が一緒に避難訓練をする場合,右側は肢体不自由の方が通る,左側は知的障害の方というように,移動するスピードが違うので,このような工夫をしながらやっています。
次に,これは知的障害の年間計画図ですが,障害のある特別支援学校の安全指導も,年間指導計画を作成し,計画的に行っています。
実際,安全教育,先ほども自立活動とか特別活動の中で実施すると言いましたが,避難訓練,防犯訓練,セーフティ教室,総合防災訓練,通学指導,あいさつ運動,平成25年から宿泊防災訓練も始まっていますが,これらを,年間の計画の中で時期を考え実施しています。通学指導では,一人通学の指導について,東京都では,個別指導計画の中に載せることになっています。障害の程度はそれぞれ違いますが,その子に合った,一人通学指導があるので,目標と評価を入れることになっています。
次に,知的障害の小中高の特別支援学校の避難訓練の例を示しました。13項目まであるということは,1か月に1回以上避難訓練等をやっているということになります。高所への避難訓練で分かったことは,屋上のドアが狭くて,児童生徒が長くつながり,避難するのに時間が予想以上にかかったことでした。屋上が各校舎にあるのですが,マスターキーは一つで,ドアの鍵を開けるのに時間がかかってしまうことも判明しました。やってみるといろいろな支障が出てきました。避難訓練は,火災,地震,不審者,爆発物など形態を考え計画的に実施することが必要で,訓練を重ねることによって,自閉症や発達障害の児童・生徒が,「放送が入った」避難しないといけないのだなと理解ができてきます。実際に災害が起きたときに,スムーズに安全に避難できるように多くの時間を使って訓練をしています。
教員の方も安全教育はやっています。シャッター通過訓練や,刺す又訓練など通常の学校でやっているようなことはやっています。スクールバスの連絡会やスクールバスの避難訓練のようなものが特別支援学校にはあります。東京都は,生活指導主任研修や安全教育プログラムを区立学校と都立学校が協力して作成しています。区の方にも生活指導主任会や自立支援協議会などは出向いております。自立支援協議会は,各区市町村に障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するために設けられている協議会ですが,自立支援協議会の中に専門部が設けられています。相談支援部会や就労支援,子供部会などの中に大田区は防災部会を持っていいて,そこには,障害福祉課,防災課,障害者施設や親の会,特別支援学校などが招集されています。また,特別支援学校によっては,区や警察署,消防署と連携して,福祉避難所開設の訓練をやっているところもあります。
次に,平成24年から都立高等学校が,平成25年からは特別支援学校も宿泊防災訓練が徐々に入ってきていますので,ねらいと実施内容を入れておきました。これは,ほとんどの学校が高等部を中心に実施しています。下校後,宿泊しながら防災研修や訓練を行います。写真は,都立足立特別支援学校ですが,3方を川で挟まれているということで,ボートを下ろす訓練とか,下に挟まれたという想定で救助をしている写真や停電になったということを想定して,発電機をたいて学習している写真を掲載しました。
次に,特別支援学校は実際には1,114校あって,その中でも児童生徒数は男子が圧倒的に多いというのは,皆さん御存じだと思いますが,教員の方は女性が62%ということで,女性が非常に多くなっています。特別支援学校には特別支援の免許を持っていない教員3割くらいはいてまだ十分ではありません。特別支援の免許がない教員は,特別支援学校の教員に採用されてから,認定講習を受けて免許を取得するように指導しています。特別支援学級の先生は特別支援免許の保有率が30%程度です。試験の組み方が違うので,小学校とか中学校の枠で試験を受けると特別支援学級には行けますけれども,特別支援学校には行けないという状況になっています。
課題に入ります。個別指導計画の中に,安全教育の欄を設けたらどうかと思っています。一人通学も安全教育の中の一つですので,広げて設けると評価もあって,安全に関する教育が特別支援学校の中でも進みがよくなるのではないかと考えます。
先ほど大学の話も出ましたけれども,先生が教員になる前に特別支援の安全教育を十分受けていないのか,分かっておられない方が多いので,大学時代にどこかで受講できるシステムを作ってほしいです。
それから認定講習のような,特別支援免許を取得するための講座は,東京都でもどこでもやっていると思うのですが,特別支援学校で入られたら,3年の経験と講習を受けて特別支援の免許が取れるようになっていますので,その中でも安全教育のこと,特別支援学校での安全教育の講義も入れてほしいです。教員研修の充実ですが,先生方は自分の担任した児童・生徒の教育に一生懸命で,そこまで広げられないというのが現実だと思っています。教員研修の中に安全教育を毎年いれていただければと思っています。
次に,寄宿舎の安全について話します。これは,全国的には特別支援学校は学区域が広く寄宿舎をもっている学校はかなり多いと思います。東京都の場合は,寄宿舎を「縮小しており,現在盲学校に4か所の寄宿舎が残るのみとなっております。次にお伝えする例ですが,都立文教盲学校に関するものです。文教盲学校の寄宿舎では,年間に6回程度の避難訓練を実施しております。寄宿舎には一度に15人くらいの生徒が宿泊するそうですが,舎監1名(教員)と5~6名の寄宿舎指導員が泊まるということですので,防犯体制としては,津久井やまゆり園の事件は,20名に1名の指導員の当直ということだったので,十分な体制で実施されていると考えます。防犯体制も,防犯カメラは4台設置していますが,モニターは経営企画室にあるだけです。校舎の出入口は3箇所で,それぞれにカメラ付きインターホンがついています。インターホンの受信機は,経営企画室,職員室,寄宿舎職員室にあり,訪問者を確認した上で,これらの受信機でドアの開錠をすることができます。校舎内から外へ出ることは24時間可能ですが,7時50分~17時以外は全てのドアに電子錠がかかるため,外部から入ることはできません。
また,特別支援学校の防犯ですが,池田小学校のことがあって,防犯カメラを付けるようになったのですが,実際にはなかなか子供たちが出てしまうことがあるので,鍵をしていて,上から越されると,追いかけていく先生が子供の方が運動神経がよかったりするので逃げられてしまうということもあって,閉めていないところもあるということも伺っていますので,その学校の特徴はそれぞれで,いろいろ違っています。閂(かんぬき)や,蝶番(ちょうつがい)など複数開けないと通用門はすぐには開かないなど,工夫はされています。
すみません,長くなりました。ありがとうございました。
【小原部会長】  ありがとうございました。
それでは,ただいまの安武委員の説明を受けて,御質問等がございましたら,どなたでも結構ですので御発言をお願いいたします。
太古委員,どうぞ。
【太古委員】  どうもありがとうございました。本校は昨年から県の指定を受けまして,近隣の視覚特別支援学校と教育課程に位置付けて,共同学習を実施しています。平成27年度以前にも防災に関する交流を,希望する生徒で行っていましたが,昨年からは教育課程に位置付けての実施とし,環境防災科の専門科目の中に時間を取りまして,更にお互いの学校を行き来しながら実施することで,お互いの防災に対する知識,理解が高くなったことや,それを行動に移すことができるようになったと思っています。
昨年初めて共同学習を実施したということで,防災訓練のお手伝いというテーマで特別支援学校に行かせていただきましたが,特別支援学校の防災訓練はとても丁寧にされていて,いろいろな場面を先生方が考えられていることを実感しました。
本校の生徒も,東日本大震災でも障害のある方々が多く被害を受けられたことを学習し,一緒に勉強することは本当に大事なことだと思っています。
また,特別支援学校との共同学習を進めるようになって,3年生の専門科目「課題研究」の研究テーマとして取り上げる生徒が増えてきました。小中学校までは一緒に学校生活をおくりますが,高校生になると機会が少なくなります。一緒に学習することでお互いの状況の理解が進みます。先生のお話をお伺いし,いろいろと考えていきたいと思っています。ありがとうございます。
【小原部会長】  それでは,中川委員,お願いいたします。
【中川委員】  中川です。私が実行委員に関わっております内閣府の防災教育チャレンジプランでは,最近は特別支援学校とか,盲学校などの活躍が目立っています。去年は,香川県立盲学校が防災教育大賞で,埼玉県立日高特別支援学校が防災教育優秀賞,その前年は香川県立盲学校と日高特別支援学校が優秀賞,以前には2011年度に神奈川県立高津養護学校,2012年に千葉県立東金特別支援学校が優秀賞と評価されています。特別支援のような学校だからこそ,子供たちがより当事者になってできること,彼ら自身の能力開発にもつながるようなことができているのではないでしょうか。一般の学校とは違うカリキュラムだからこそできる点もあるし,また,東金とか香川県立盲学校もそうなのですが,地域の防災ネットワークのハブになるぐらいの活動までできているという学校もあるんですね。ある意味,いつもそのような学校が出てくるたびに勇気付けられております。それぞれ学校によって来る子たちが違って,地域とのつながりも違うとは思うのですが,そのような学校にはいろいろな可能性があるということを実感していることを御紹介したいと思います。
以上です。
【安武委員】  ありがとうございます。特別支援学校のもっと研究をしていかないといけないとは思っていて,東金特別支援学校も実際には研究指定校になって,防災の研究をしていた学校なので,研究をすると防災に関してのこととか,教育に関して特別支援学校も向上していくのではないかと思っています。
【小原部会長】  それでは,国崎委員お願いします。
【国崎委員】  私が特別支援学校様から全国で依頼されて,安全教育の中で地震防災であったり,犯罪防止などの講演依頼を受けて話をすることがあるのですけれども,今,中川委員がお話しされたように,防災に関しましてはチャレンジプランを含めて,皆さんいろいろな事例というものを共有するようなことができているように年々思っております。
ところが,例えば知的障害の子が高校生になりますと,性犯罪に遭ってしまうとか,そこをどうやって防ぐのかとか,それから健常の子供と同じように携帯電話を持ってSNS等で被害に遭ってしまう。危険の判断が甘くて被害に遭ってしまうというような,防犯面に対しての対策事例がまだまだ少なくて,知的障害の子供たちにどうやって自分の身を守ってもらえるように指導していくのか,性犯罪に遭わないためにはどうしたらいいのか,ネット犯罪に巻き込まれないためにはどうしたらいいのかという教育がカリキュラムとしても浅いような気がいたします。
そして,また専門家も少ないような気がいたしてなりません。このような点で,改めて御苦労されている点があれば教えていただきたいと思います。
【安武委員】  知的障害の方の性犯罪というのは,巻き込まれることもあるのですけれど,同じところで,同じ生徒同士で妊娠するようなことも実際にはあって,それが知的障害のある方の場合は十分に,相手が特定できず分からないこともあるのです。結局,指導していいかというところが曖昧になって,結果的に血液検査をすることになったこともあります。
それからSNSのことについても,携帯電話の使い方などの指導をするのですが,携帯電話の使い方を逆に知ってしまうのです。知ると,使いたくなる。そこの制御がきかない場合もあります。指導の方法がその生徒によっても違うこともあるので警察署の方をお呼びして全体指導も実施していますが,個別の指導が重要になってくると思います。
【国崎委員】  ありがとうございます。現場におけるこういった悩みは本当に深刻で,それに対して指導をどうしたらいいのかという課題が置き去りです。特に特別支援学校の生徒さんは個別に対応していくという難しさもありますので,そういった安全教育に対する偏りがないように,防災だけでなく,こういった犯罪に対しても,どう対処していくのかという問題は社会がしっかりと向き合っていかなくてはならないのではないかと思っております。
ありがとうございました。
【小原部会長】  それでは,桶田委員お願いします。
【桶田委員】  ありがとうございました。公立幼稚園では特別支援と認定されている幼児が6,7%,認定されていないお子さんも入れると1割以上いるのではないかという中で日々の保育も避難訓練をやっています。幼くて,また,障害のある子を抱えての大変さを思うと,きっと安武委員は本当に御苦労なさっているのかなと思ってお伺いしました。
ですから,このような障害のある子供に対しては,このようなことに気を付けるといいというポイントがありましたら,是非周りに広めていただきたいと思います。障害児を抱えている各学校,幼稚園がそれを参考にしながら,避難訓練での個別の配慮ということを考えていけるのではないかと思いました。
それともう一つ,先ほど,学生への授業の話がありましたが,先生たちが目の前に子供たちがいるときに,何が危ないと思うということを察知する力がないと,防災だけではなく,生活安全も含めて,子供たちを守ることができません。そのために学生さんたちも,できれば各学校に回って避難訓練や防災合宿を実際に経験してみるなり,この場面で何が危ないのだろうという,知識を座学で与えられることばかりではなく,危機を自分で探すような力を付ける授業もやっていただけたら有り難いと思いました。
以上です。
【小原部会長】  次,遠藤委員お願いします。
【遠藤委員】  ありがとうございました。スクールバスの訓練というか,連絡会議をされているということで,宮城県でも特別支援学校でスクールバスの訓練,乗車中の災害発生の訓練が始まっているのですけれども,特別支援学校以外の小学校とか中学校も統廃合が進んで,非常にスクールバスを運行する学校が増えてきております。
そういった中で,特別支援学校のそういった取組などを小学校の先生方と共有をして,スクールバス乗車時の対応について研修を図るというところも,宮城県でもすごくニーズとしては高くなってきておりましたので,そういったところも今後必要かと思ってきておりました。
以上です。
【小原部会長】  それでは,これまでの発表3件ありましたけれども,受けて意見交換を行います。御意見,御質問等がございましたら,どなたからでも結構ですので,名札を立てていただければと存じます。
中川委員。
【中川委員】  ありがとうございます。教員養成を考えたときに,どこの大学で養成されても日本中の地域で教員になるわけです。例えば,先ほど紹介した山形大学では,どちらかというと地元の子供たちを育てる先生として育てられているところも多いとは思いますけれども,免許的にはオールジャパンになっている。
ところが,子供たちを実際に育てる上では,学校の周辺地域に特徴的な様々な自然災害についての知識とか認識をより求められる。その辺の知識をどう身につけていくかといったときに,大学だけではなく,山形の例であるように,地元気象台の知恵を借りるとかいうことができます。また,ある程度の全国共通の知識を持った上で,それぞれの赴任先でその場所の自然災害リスクや交通リスク,繁華街のあるところでは犯罪リスクだとかを見極めて教える材料にできる力を,共通に養成することが必要なのではないかと思いました。
子供たちにとっては,ローカルなことの方がより身近なので,そのようなローカルな事柄から教科で学ぶべき共通解につながる材料を見いだしていく力も,教員養成の課程で養えないか。学校がある場所のローカルの材料を基にして,日本中どこに行っても,その場所ごとのリスクなどを認識できるようなプログラムがあるといいと思いました。
以上です。
【小原部会長】  国崎委員。
【国崎委員】  本日のテーマが,これからの学校教育を担う教員の資質・能力の向上についてということでいうと,少しテーマから外れてしまうのかもしれませんが,次第の議題(1)にあります,安全管理を適切に行うために必要な組織体制の在り方と教員が身に付けるべき資質・能力について,どのタイミングで話していいか分からなかったので,ここで話をさせていただきたいのですが,私は熊本地震における益城町の防災アドバイザーとして,益城町の職員とともに災害対応を現在もしております。
今,益城町では,職員に対して災害対応の行動を時系列でヒアリングをしています。学校が避難所になった教職員にも災害時の対応についてヒアリングをしているところなのですけれども,学校が行政や地域,保護者と深く関わる事案というのは,学校が避難所になるときでもあります。学校が生活の場となったときの学校側の物的支援,例えば用紙をくださいというような細かい協力依頼から,教職員の人的支援としての協力依頼,それから体育館が人であふれた場合にどの教室を開放するかのマネジメントをしながら,休校措置のあとの学校再開や学習時間の確保,子供の心身のケアを同時に考えていかなくてはなりません。
ある学校では対外的なメディア対応や,ボランティアや物資の受付窓口,ペット等の相談にも対応してきた教職員もいます。内閣府では避難所運営のガイドラインを策定しておりますけれども,そこに学校としての役割についてもしっかりと記載されておりますが,学校ではガイドラインの存在さえも知らないという状況の中,できるだけのことをするという姿勢で対応をされていました。子供への防災教育も重要ですが,いざ災害が起きて学校が避難所になったときに教職員側に避難所の運営についての知識やマネジメント能力がなければ,被災した地域住民を前に大きな負担を強いられることもあるため,そのような教育又は研修内容についても一度議論しておくべきではなかろうかと思います。
もし,テーマが外れていたら申し訳ありません。以上です。
【山下教職員課教員免許企画室長】  今,お二方から御質問あるいは御意見等頂いたと思います。それで,一つは,今回のテーマになっております大学における教職課程といったときに,中川委員がおっしゃいましたように,教職課程で教えるべき科目等の事項の基本は確かに法令で定められておりまして,それは全国一律というような考え方もございます。
その一方で,それぞれの事項の中身,つまり具体的にそれぞれの大学でどのような授業内容で,何を取り扱って教えるのかというようなところにつきましては,私も冒頭申し上げましたけれども,コアカリキュラムというものを今整備中ではございますけれども,それだけで全てを押さえるというような発想ではなくて,多分そこにそれぞれの大学におきますある程度の地域のニーズを踏まえたような教育内容を行うとか,あるいはそれぞれの先生方の専門とされております研究分野の内容も取り扱っていただくのかと思います。
そうしたときに,それぞれの大学におきまして科目を開設するというところに当たりまして,地域のニーズ,あるいは特性も踏まえたような,例えば学校安全に関しましても,そのような内容も取り入れていただくというようなことは,とても必要かつ重要なことではないかと思っております。
それから,もう一つでございますけれども,学校が最終的に何か自然災害等があったときに避難場所になる。そのときの地域,あるいは様々な機関,あるいは住民の方々との協働と申しますか,連携協働というような在り方というような部分につきましては,それも教職課程の中で捉えるかどうかというところは,議論としてあろうかと思いますが,いずれにいたしましても,教員の育成ということでいえば教職課程のみならず,その後の現職教員になった後の様々な研修といったような段階で身に付けていくべき事柄も多数ございますので,現職研修というような中で扱っていくというようなこともあり得るのではないかと思ったところでございます。
以上でございます。
【小原部会長】  それでは,戸田委員,お願いいたします。
【戸田委員】  先ほど申し上げたことで,少し付け足しますが,渡邉副部会長からもありましたように,うちの大学の方では,体育大学ですので救急医学であるとか,スポーツ運動論とか,そのような様々なところを全て実習も含めてやっている,学校保健も履修している段階で,3年生の後期でやっており,次に教育実習を4年生でやるのですけれど,それに向けてかなり意識が高まってきたところでやるというようなことで,今位置付けています。
それから全体的なところでいいますと,学校安全の科目の中で,一つの視点としてはグローバルな視点というのと,ローカルで具体的な視点と内容と両方あると思うのです。それは基本的には私の考えでは,オールジャパンであるとすると,指導要領と同じように共通的な,先ほどコアカリキュラムとおっしゃいましたけれど,そのような部分で,グローバルな視点をきちんと示しながら,それをローカルな視点で応用するとどうなるかということは各大学などで工夫されていいと思うのですけれど,基本的なグローバルな視点というのは外せないものというのはあるのではないか。それは学校保健安全法の理解だと思います。
それに加えて,それを教育的に行うための,それがどのように指導要領などで位置付けられるかという基礎の部分は絶対省略できないとも思います。それから学校安全の領域と構造の中で,先ほども申し上げましたけれど,生活安全,交通安全,防災というような3安全というような領域の内容を,防災だけでうちの大学はやりますというのだと,どうもオールジャパンではないだろうと思っています。
そのようなことがありまして,オールジャパンはグローバルな視点と内容ということで基本とコアを決めて,あと若干のものは各大学で工夫するというのが必要なのかなと思います。
それから二つ目は,地域と連携というようなものをどうするのかというのですけれど,地域の連携が大事だと講義する内容も確かにあるのでしょうけれど,実は防災についても,交通安全についても,防犯も全てそうですけれど,全て家庭や地域と連携しないと,この時代では成り立たない内容になっています。だから個別の内容で,内容の一つとして,重要な視点として入れ込むということで,全体の視点というよりは,むしろ取組の中で絶対ここは外せないという視点を持っておかないと,言葉だけ地域連携が大事だといって1回で終わりというのでは,どうもなさそうだというのが二つ目です。
それから受け身な授業ということで,五十嵐委員から大学の授業を変えろと言われますけれど,それこそアクティブ・ラーニングというのは,そのようなことで始まったわけです。それは全く重々承知していますが,ただ,大学では講義,演習というのが基本的には中心ですので,そこの中でも学生にどのようにアクティブな姿勢をということで,私は先ほど,A4サイズの毎回の課題を作って調べて,宿題を出して発表させて,お互いに自己評価し合ってというレベルでやっているのですけれど,そのようなことだけではなかなかうまくいかないかもしれませんけれど,ただ,学生が主体的になるような仕掛けというのは,科目の中でも絶対に必要だろうと思っています。
それから三つ目は,先ほど中川委員から話のあった,大学で基礎的なものを教えるということと,現職の教員が研修をするという,先ほど山下教職員課教員免許企画室長からもお話がありましたけれど,それはとても大事で,いろいろなことをやるときに,ある学年で全て教えろと,よく安全で言われるのです。例えば小学校1年生に防災でとにかく自助,公助,共助まで全部教えろというような,細かいところ全部1年生で教えなさい,あれも足りない,これも足りないという言い方をされるのです。そこで大事なのは受け止める子供とか,この場合は学生の能力とか,これから教育実習とか先生になるという中で,どのような視点が最低必要かということは絞り込んでいって,そのような意味ではグローバルで,もしかすると,ある人からは足りないという内容になるかもしれないけれど,幅広く教員養成の段階ではしっかり教えて,基礎基本で,それこそ危機管理の原則である危険予測とか危険回避をどのようにするのかとか,地域連携をどうするのかということを含めて学んでいく必要がある。
あとは現職研修の中で,具体的には初任者の場合には自分の目の前の学級の子供たちをどのように避難訓練で指導するのかとか,あるいは,この地域は非常に海の近くだから,津波がとても心配だから,そのことを重点にしながら教えるという研修というのは,地域性があったり,それからベテランのところ,また中堅はベテランとニーズが違うわけです。だから研修の基礎となる幅広い知識,理解ということを含めて,教員養成課程の安全の科目では,教える先生の興味関心だけで進めないことも,最低限必要かと思っております。
以上です。
【小原部会長】  佐々木委員,お願いします。
【佐々木委員】  戸田委員と重なる点もあると思いますので端的に申します。中川委員から,日本中の教員になるのだという御指摘がありました。私も,そう思います。ただ,私は,大学時代は学び方を学ぶのだと考えています。例えば,私のところでは地域が違うキャンパス間との交流によって,自分が赴任した先の場所に対して目を向けられるように指導しています。飽くまでも学校というのは地域の中に存在するということを学生時代に意識させ,そしてあらゆる教科をどのように子供たちに教えていけば,それが実際に身に付くのかということが大切になってくるのではないかと感じております。
先ほど小川委員が,教える立場としての力を付けていく必要性をおっしゃっていましたが,先生が教職実践演習を活用しているということで,これはとてもいいなと思いました。4年生の実際に教職を目指していく段階のところで,1年生や2年生のときにやったことを,今度は教師としてどうやっていったらいいだろうということを実際に考えさせて,指導案を作成させたり,模擬授業をさせたりというのを,いいなと思いました。ありがとうございました。
以上です。
【小原部会長】  尾上委員,お願いします。
【尾上委員】  今までのお話の中で,教員養成の在り方等,今後これから学校教育の中での必要性とかはいろいろ確認はできましたが,今すぐやらなければいけないこと,必要な組織体制の在り方ということからしますと,学校安全計画にこだわるわけではないのですが,学校の中で作られているものに関しては,地域とか保護者は関われていない部分がたくさんあると思います。
特に今,コミュニティ・スクールであったり,いじめ防止基本方針であったりという,保護者も地域も入って地域ぐるみでどうにかしようということに関しては,当然ながら浸透していく部分があると思いますが,学校安全に関しては,例えば不審者が出たら立ち当番をしてくださいとか,そういった依頼はあるのですが,安全項目に関して,関われる,関われないがあることに関しては,区分して関わっていくことが必要なのではないかと思います。
地域にはいろいろな資源があり,特に消防団関係者の方は地域で根付いて,そういった活動も進められていますし,そこの地域で店を開かれている方や,いろいろな人がいるので,そういった人たちと一緒に,例えば地震が起きたときの対応策はどうしましょうという形で,安全計画の中にもそういった意見が入り込むようでないと,地域の資源はすぐには活用できないのではないかと思われますので,項目を絞ってでもやるべきことを明確に地域に伝えておくということも大事でしょうし,そこに人が入っておくことも本当は大事ではないかと思います。
私は保護者の立場でいろいろな会であったり,場所等に行かせてもらうのですが,安全に関する情報は少ないです。多くは入ってこないです。起こってしまった後の話の方が多くて,もっと防止策等々,我々も研究していかなければいけないと感じていますし,地域に浸透するためには一緒にやりましょうというところが必要ではないかと思います。
以上です。
【小原部会長】  渡邉副部会長,お願いします。
【渡邉副部会長】  今日の議論の中で何度も出てきたと思いますけれど,教員養成課程で学校安全を指導しようとすると,授業担当者がいるかどうかというような課題が出てくるわけです。ただ,授業担当者がいないから,学校安全の内容を減らそうとか,時間数を減らすというのは,それは間違った方向性だと思います。学校安全や危機管理は絶対必要なことですし,特に先ほど戸田委員がおっしゃいましたけれど,学校保健安全法のことは必ず学ばなければいけないことなのです。そのようなことが,人がいないからやめるという方向は,これは間違った方向であって,これを大学で教えなければいけない。教えなければいけないのであれば,工夫をしてそのような指導者を育てたり,例えば現職の管理職であれば,そのようなことをよく御存じなわけですから,手伝ってもらったり,そのような工夫をしながら,そして徐々に授業ができる人を育てていくという方向が正しい方向であって,人がいないから,やらないという方向には絶対なってほしくないと思いますので,そこも考えていただきたい。文科省に考えていただければと思っております。
以上です。
【小原部会長】  五十嵐委員,お願いします。
【五十嵐委員】  日々の学校の中では,多かれ少なかれいろいろな危機に接します。学生は,4月に教師として意識を変えます。しかし,本当に大事なことは危機に接したときに,どうなるのか瞬時にシミュレーションして,その場でどうしたらいいか考えて判断して行動できる力だと思うのです。それはベテランであっても,若手であっても,全部共通する教員に必要な力です。小さな怪我から,災害などの大きなことまで,危機に接したときに,五感をフルに活用させてシミュレーションして,どうしたらいいのかを,慌てずに,冷静に,子供の前では笑顔で行動できる力がすごく大事だと思うのです。そのような力を絶対に身に付けなければいけないのです。
それはどうやったら身に付くかというのは,それほど簡単なことではないと思うのですが,私は経験が大事だと思っています。学生の間にいろいろな経験を積んでほしいと思います。例えば,学校では栽培活動がありますが,土をいじった経験が少なかったり,キャンプをしたことがなかったりというのは結構あるのです。ですから,私の学校では,初任者は夏休みに数日間,地元の農家の方に預けます。研修の一環です,朝早くから通って,作物を育てて売るところまでやり,そのような経験から学ぶものはたくさんあるのです。
都心の教育委員会にいたときには,夏休みの合宿で信州の農家の方に研修することを計画しました。そのような体験の中から五感を研ぎ澄ませて,いろいろなことを学びます。安全に関する知識や技能,見方や考え方も身に付きます。そういったものをフルに活用して,この場合どうするかという応用力が養われ,実際に行動できるようにならなければいけません。大学の中で大事な講義もあり,それを否定しているわけではないのです,それを生かす演習の場といいますか,実践の場といったものを是非用意をしてほしいと思います。
例えば学生がボランティアでいろいろ出るというのも一つです。実はこの土日に本校では地域のお祭りがあったのですが,地元の大学生が,この祭りの運営を手伝ってくれました。その中でも学ぶことはたくさんあるのです。そういった仕組み,インターン制度なども大事です。しかし,学生をたくさん集めても,学生によってそれぞれで,全然気付かない人もいれば,細やかに動く人もいます。既にそこで差が付いています。とにかくたくさんの経験を積んで教員としての資質を身に付ける,そのようなチャンスが必要だと思います。そのようなカリキュラムをお願いします。
以上です。
【小原部会長】  それでは,今村委員と中川委員の順番でお願いします。
【今村委員】  私の方は,本日,教員養成大学の実態,また様々な意見・コメントを頂きまして参考になりました。その中で,改めて我々のような総合大学の役割も考えております。総合大学では専門家を育成はさせていただいているのですけれども,今もう一つ,実は重要な軸がありまして,それは各学部,大学院まで行きまして,更に大学院のマスター・ドクターでの教育があり,そこでの人材育成というのを学際的研究から総合化をしようという試みです。その一つは安全安心であったり,又は医学・医療だったりしています。そのような学生たちが,将来社会に出るのですけれども,今の話題のような学校安全に対して,少しでも貢献できるような場があるといいなと思っていました。具体的なキャリアパスについてはまだ情報がありませんが,現場,学校というよりも,もう少し違う立場で,研究所なのか,教育委員会というのも,そのような方は受け入れられないのかなと思っております。またいろいろな情報がありましたら頂ければと思います。
【小原部会長】  中川委員,お願いします。
【中川委員】  中川です。コミュニティ・スクールという考えの中に防災が入っていると思うのですが,次の教育課程の中でどうやって位置付けられていくのでしょうか。教員養成の中で,コミュニティ・スクール的概念を理解して積極的に関わることができる教員を養成するというような視点が入ってくると,先ほどの御指摘も随分解消できていくのかなと。コミュニティというのはローカルですから,ローカル的な視点を知っていることの重要さのようなことも反映されていくのかなと思いました。
もし,何か今お伺いすべきことがあれば教えてください。
以上です。
【中村健康教育・食育課課長補佐】  ありがとうございます。第1回の資料で,37ページのところに,昨年,中教審3答申がありました中の,地域連携・協働の在り方と今後の推進方策についての答申について,抜粋をしておる資料を付けてございます。
こういった中で,安全に関する観点なども出ておるところで,今,この答申が出る際に,コミュニティ・スクールを取り入れることによって,どのような効果があったのか,どのようないいことがあったのかというような調査も答申の中で触れられておるわけですけれども,安全に関しても効果があったというようなことが7割,8割ぐらいの数字と記憶しております。
こういったことをいろいろな観点から広めていくというのも,安全とコミュニティ・スクールをつなげて進めていく上での一つの方法になるかとは考えております。
【小原部会長】  ありがとうございました。時間が参りましたので,このあたりにいたします。なお,追加で御意見のある場合は,10月24日月曜日まで事務局の方にメール又はファックスにて御連絡いただければと思います。
最後に,次回以降の予定について,事務局からお願いします。
【中村健康教育・食育課課長補佐】  資料6を御覧ください。今後の日程(案)ということで,次回は11月9日水曜日,10時からということで,場所がここと同じ3F2の特別会議室でございます。次回以降は,ヒアリング等々に関しましては,一応今回で諮問事項に関しては一通り扱ったということで,次回以降は,これまで頂いた御意見などをまとめまして,答申に向けたたたき台の御議論をいただければと思っておりますので,よろしくお願いいたします。
【小原部会長】  それでは,本日予定した議事は全て終了いたしましたので,これで閉会いたします。
ありがとうございました。

お問合せ先

初等中等教育局健康教育・食育課防災教育係

(初等中等教育局健康教育・食育課)