教育課程部会 高等学校部会(第4回) 議事録

1.日時

平成28年6月15日(水曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 東館3階 3F1特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 高等学校の教育課程の改善・充実について
  2. その他

4.議事録

【荒瀬主査】    おはようございます。少し時間にはまだ間があるのですけれども、委員の皆様おそろいですので、ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会高等学校部会を開催いたします。本日は、お忙しい中、また、雨の降る中、御参集いただきましてありがとうございます。
  では、最初に事務局から配付資料について確認をお願いいたします。
【西川教育課程企画室専門官】    おはようございます。それでは、配付資料の確認をさせていただきます。本日は議事次第に記載してありますとおり、資料1から資料4-2、その他、机上に参考資料を配付させていただいております。机上の参考資料の中には、黄色い紙ファイルで各教科ワーキングでの審議のまとめの状況を入れさせていただいております。また、後ほど御審議いただきますキャリア・ノートに関係して、3県の教育委員会がお作りになっていますキャリア・ノートの事例を参考資料として置かせていただいております。その他、タブレット端末を置いておりますが、その中に本部会の審議に当たり参考となる関係する審議会の答申等データを入れておりますので、詳細は議事次第の裏面を御確認いただければと思います。よろしくお願いします。
【荒瀬主査】    それでは、本日でありますが、前回に引き続きまして高等学校における教育課程の改善・充実について御議論いただきたいと思います。
  なお、報道関係者より会議の撮影及び録音の申出がありましたので、これを許可しております。御了承よろしくお願いいたします。
  本日は検討事項のうち、残されておりました学習評価の在り方について御議論いただきますとともに、これまでの議論の整理を踏まえまして、高等学校の教育課程及び指導方法の改善・充実につきまして引き続き御議論いただきたいと思っております。二つのことを、大体時間を半分ぐらいに分けまして行いたいと思います。
  それでは、まず、議題の一つ目であります高等学校の学習評価の在り方につきまして議論をお願いしたいと思います。まず、事務局より資料の説明をお願いたします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。資料1-1と資料1-2に基づきまして、本日御議論いただく議論のたたき台となるものを御用意させていただきました。既に学習評価はいろいろ御議論いただいておりますけれども、高等学校教育学習指導要領の在り方とともに極めて重要なポイントになってまいりますので、是非本日、議論を深めていただいて審議のまとめに反映させていただければと存じます。
  まず、資料1-1でございます。高等学校における学習評価について。1ページ目は現状と課題でございます。現行学習指導要領の目標に準拠した評価、そして指導要領の趣旨や改善事項を評価に適切に反映するということ、また、学校や設置者の創意工夫ということが考え方の基本でございます。これに基づきまして、高校の観点別評価でございますけれども、実施状況、実施できていると回答している学校が約7から8割ということでございます。一方で、指導要録に記載をしているというところはごらんのような割合ということでございます。
  高等学校における「目標に準拠した評価」の実施に当たっての課題ということで、「評価技術の問題」「教員の意識や学校の体制の問題」「授業計画・評価計画・評価基準等の作成と活用」等を挙げている教員が多いという調査結果がございます。
  それから、生徒の在学する高校以外の場における体験的な活動の成果をより幅広く評価できるようにしようということもございまして、単位認定でございますけれども、下記のような様々な活動、これを学校長の判断によって単位として認定することを可能としているということも付記させていただいております。
  2枚目でございますけれども、これまでの中教審における検討状況でございます。「論点整理」においてまとめていただいた事項でございますけれども、特に高等学校に関しまして、ペーパーテストの結果、知識量に少し偏った評価になっているのではないかという懸念がありますということ。それから、義務教育までに培われた資質・能力をさらに発展・向上させるような評価の在り方、特に指導要録の様式の改善ということも含めて観点別評価の実施ということをさらに普及させていく必要。また、多面的な評価の実施。それから、総括的な評価の在り方のみならず、一人一人の学びの多様性に応じて形成的な評価ということをしっかりと考え、充実させていくということの重要性なども指摘されたところでございます。
  また、総則・評価特別部会におきましては、観点別評価につきまして、既に御案内のとおり三つの観点ということで定めるということにさせていただいているところでございます。
  それから、高大接続システム会議の「最終報告」でございますけれども、「論点整理」の状況も踏まえながら、多面的評価の充実のための取組として、観点設定の考え方、評価方法について参考となる資料の作成ということが重要ではないか。あるいは、観点別の記載欄を設けた指導要録の様式例ということが必要ではないか。資質・能力を的確に評価していくための総合的な学習の時間なども含め、学校内外の多様な学習活動に対応した評価の在り方の研究開発が必要ではないか。検定試験の活用、基礎学力テストの活用、ポートフォリオ評価やキャリア教育の観点を取り入れた「キャリア・ノート」を参考にした取組などについて提言をいただいているところでございます。
  こうしたことも踏まえながらでございますけれども、3ページ目、4ページ目で改善の方向性ということでございます。今回特に御議論いただきたいポイントを少し並べさせていただいております。各教科等の学習評価ということでございますけれども、観点別評価の一層の推進という観点から、観点設定の考え方や評価の方法について参考となる資料の作成ということ。現在、国研におきましては様々な評価に関する資料の作成を頂いておりますけれども、こうしたことの在り方も含めて、どのようなことに留意する必要があるか。また、指導要録の様式の改善ということでございます。これまで頂いている御意見は括弧書きの中に記させていただいております。
  また、二つ目でございますけれども、これら以外に、各学校における学習評価を充実させる観点から、国としてどのような取組が必要か。多様な多面的な評価の在り方ということを考えたときに、どのような支援方策、参考資料の作成ということを考えていくべきか。あるいは、評価に関する教員の資質の向上ということをどのように考えていくべきかということでございます。
  それから、これは前回も御議論いただきましたが、総合的な探究の時間や理数探究など、探究の過程を重視した学習について、その学習過程の在り方と併せて、その学習過程を経ることが単位認定においても踏まえられるということを含めて評価の在り方を研究、開発していくことの必要性についてどのように考えるかということでございます。
  4ページ目でございますけれども、多様な学習活動の評価ということでございます。導入が予定されております基礎学力テスト、これを活用してより効果的な指導の工夫・充実につなげていくためには、どのような在り方が考えられるかということ。また、現在、特別活動のワーキングチームにおきましては、小学校から高等学校までの特別活動を少し中核的に考えながら、もちろん特別活動のみならず学校教育全体を視野に入れたキャリア教育に関わる活動について学びのプロセスを振り返るということのできるような教材、「キャリア・パスポート」でありますとか「キャリア・ノート」というような名称で呼ばれておりますけれども、この作成が提言されているところでございます。
  本日、お手元に三つほど、後ろの方に「わたしのキャリアノート」という、広島県教育委員会が作成したもの、めくっていただきますと、資質・能力ということを踏まえながら自分の学びが振り返られるようなもの、それから、今後のキャリアの方向性ということを考えるというようなことができるようなものになっております。
  また、愛知県教育委員会の「夢を見つけ夢をかなえる航海ノート」ということも、少しいろいろ記述がございますけれども、読みながら自分の学びも振り返ることができるというような資料になってございます。
  また、兵庫県教育委員会、すみません、これは少し印刷が不備で、片面印刷になっておりますので1ページずつ抜けておる状況で大変申し訳ございませんけれども、愛知県と同様に、こうしたキャリアノートというものを活用しながら、自分の学びとキャリア形成の在り方を関連付けて考えるというような取組がございますので、こうしたものの充実についてということでございます。
  また、先ほどの資料1-1に戻っていただきまして、4ページ目の一番最後でございますけれども、生徒の多様な学習活動を評価していくということを考えたときに、単位認定ということも絡めて、これらが積極的に活用されるようにするためにはどのような方策が考えられるかということでございます。
  資料1-2に学習評価に関する参考資料を付けさせていただいております。おめくりいただきますと、2ページ目、3ページ目、4ページ目、5ページ目、これは既に総則・評価特別部会でおまとめいただいたものでございますけれども、観点別評価を充実させていくということ。また、それを三つの観点で実施していくということでございます。これを踏まえまして現在、各教科の観点のイメージということが6ページ目、7ページ目でございます。全ての教科につきまして、この三つの観点ということでワーキングで整理をいただいております。
  それから、8ページ目以降が、高大接続の関係資料でございます。全体イメージ、スケジュール。それから10ページ目が高校教育の質の確保・向上に向けた全体的な取組、それから基礎学力テストとの関係などでございます。ずっとおめくりいただきますと、14ページ目、15ページ目に多様な学習活動や学習成果を適切に評価する仕組みの構築ということでございまして、14ページ目、下半分、高校時代の様々な幅広い活動、幅広い資質・能力の育成ということにつながるわけでございますけれども、これをしっかりと捉えて次の段階につないでいくというような観点からの評価の在り方、そして入学者選抜の在り方ということがまとめられているところでございます。
  また、15ページ目は、高等学校段階における評価の在り方についてということで、課題として指摘された事項と改善の方向性というところをごらんいただきたいと思いますけれども、生徒の資質・能力の多面的な評価の推進ということ。多面的に資質・能力を見ることができるような評価の場、あるいは活動の場、学習指導の改善ということ。また、アクティブ・ラーニングの視点からの授業改善に対応した評価の在り方ということでございます。また、多様な学習活動の評価の在り方ということでございますけれども、各種検定の活用なども含めて多面的な評価を行う観点からの改善ということでございます。
  また、16ページ目は、生徒の資質・能力の多面的な評価、指導要録の改善ということでございます。観点別評価も含めて、指導要録や調査書の記載事項から子供たちの姿が読み取れるようにしていくべきではないか。それから、評価の妥当性や信頼性の向上ということでございます。各学校がしっかりと学習目標、教育目標ということを定め、それに照らして評価というものの在り方が明確にされるようにすべきではないかということ。また、高等学校基礎学力テストの扱いということ。
  17ページ目には主体的な学びを育む観点からの取組ということで、キャリア実現に向けた検討ということでございます。子供たちが振り返ってキャリア形成を考えていく機会ということを作り出すような、先ほどの「キャリア・ノート」「キャリア・パスポート」のような取組も含めてということでございます。
  また、これに呼応するような形で18ページ目以降、大学入学者選抜等における評価の在り方、高校における学びの成果がしっかりと受け継がれるようなものにしていくという観点からの見直しということでございます。
  20ページ目以降が学習評価に関する基本的な考え方等々、既に御紹介もさせていただきました。
  22ページ目には指導要録についてということもございます。
  また、25ページ目、目標に準拠した評価についてということでございます。
  それから、30ページ目以降は観点別評価の実施状況。高等学校は30ページ目、下半分と31ページ目でございます。
  それから、32ページ目が、多様な評価方法の例ということでございます。ルーブリックなども含めて実例を挙げさせていただいているところでございます。
  また、35ページ目は、キャリア・パスポート、先ほど、我が国のもので御紹介させていただきましたけれども、特別活動のワーキンググループにおきまして藤田先生から御紹介いただいた資料を添付させていただいております。
  また、37ページ目以降は、自校以外の、学校外の学習等の単位認定についての現状の資料を付けさせていただいておりまして、40ページ目に特色のある取組例ということで、幾つか例を掲げさせていただいております。
  以上を踏まえながら、前半、評価について御議論をいただければありがたく存じます。以上です。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。
  それでは、ただいまから、今の説明も踏まえまして、高等学校における学習評価の在り方について意見を交換していただければと思います。いつもながらのことですが、御発言の場合は名札を立てていただくということでよろしくお願いいたします。
  では、浦野委員、どうぞ。
【浦野委員】    資料等を読ませていただいて、特にこのキャリア・ノートですか、こういったもの見ますと、自己評価という視点でしっかり取り組んでいるということが分かっていいなと思うんですけれども、一般的にこういったときに、釈迦に説法ですけれども、評価がもちろん目的ではなくて、評価した先に軌道を修正して目標にいかに近付くかというのがあって、企業の例を出して恐縮なんですけれども、企業の場合ですと、その評価をした結果が単に給与とか賞与の差になるのではなくて、その先に組織としての目標にいかにその道筋を変えていくかということが物すごく大事になるわけですね。したがって、評価者と評価される人との間の会話というものが物すごく大事になってきて、どの企業でも多分、最低年に2回は評価者と評価される人が話し合って、どうすれば自分の今、歩んでいる道が修正できるんだろうか、どうすればその結果、組織の目標が達成できるのだろうかということをやっているわけですね。
  これは今、偉そうに「企業は」って言いましたけど、二十数年前まではそうじゃなかったんですよ。バブル崩壊後の話ですね。バブル崩壊する前までの評価っていうのは、もう本当に一方的な上長者の評価であって、それは給料の差になって表れて、で、何もフィードバックされない。なぜ自分が課長になったのかも分からないみたいなね、そんな時代があったんですね。そのことを考えていくときに、もう本当に50年も前の話になりますけれども、私の高校時代に、例えば通信簿を頂いたときに、先生からそのことについて私と話し合ってもらった記憶は一切ないですよね。結果として数字だけもらうと。そのことが今回、こういう「キャリア・ノート」なんかでは、かなり改善されてきてはいるんだと思うんですけれども、一般的に言って、そこの意識が今、どうなっているかですね。本当にこの評価を通じて生徒が一人ずつが成長していく上で、こういうふうに軌道修正したらどうだろうか、あなたはルーブリックで見るとここができていませんよ、みたいなことですね。企業でいうと、企業の中で仕事をしていく上でのコンピテンシーというのがあって、あなたはこの部分が足りませんとかということをはっきり話し合いをするわけですよね。そこが私は物すごく大事だと思いますので、例えば、宮本先生なんか、今、現場の中でそういったことがどの程度行われているかどうかということもちょっとお聞かせ願えればと思いますし、それから、もう一つは、今までの単純に点数の絶対評価だけではなくて、ルーブリックを作ってみたり、あるいはポートフォリオで評価したり、評価の仕方がかなり多様になってきていますよね。そうすると、いかに評価ということについて慣れているというか、得意な先生方も、新しいことに対する評価軸というものをどんな形で勉強されているかですね。そういった、いわゆる企業で言うと評価者訓練みたいなことを今後どのように考えておられるか。その2点をお聞かせ願えればと思います。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。
  今、お聞かせ願えればとおっしゃるのは、この場で、宮本先生、いいですか。
【宮本委員】    分かりました。
【荒瀬主査】    宮本先生、日本の高校を代表して。
【宮本委員】    いえいえ。
  日本の高校を代表してというのはちょっとつらいですけれども、本校でもキャリア・ノートのようなものは作っています。「進路ノート」と本校では言っていますけれども、1年生用、2年生用、3年生用と各学年度ごとに作成し、例えば1年生の4月にはどういうことを考えていくべきか。5月、6月というふうにして、1年間のサイクルの中で、その時々に子供たちに気づいてもらいたいこと、あるいは調べてもらいたいこと、そういうようなものを1冊の本にまとめて、子供たちがそれを調べながら意識を高めるというふうなことをしています。
  ただ、日本全体から見ると、そういう学校は本当に少ないだろうと、多分これは荒瀬先生の方が詳しいと思いますけれども、本当に少ないと思います。それをすることによって、一つは、学校としては見通しを持った指導ができるということ。生徒の方も見通しを持てるわけです。つまり、いつ、どんなことを考えなくてはいけないのか、どんなことをやるべきなのかというのが分かってくる。それから、クラスの差はなくなります。学校として統一に行いますから、担任が当たり・はずれとかっていうことではなくて、学校としてやっていくということ。ただ、ここまでやるには相当大変で、うちの学校も10年ぐらいかけてそういう体制を作っていきました。ですから、私は多くの学校ではこういう取組を是非行うべきだと思います。学校としてどういう子供を育てたいのかということを、まず学校の中で考えて、その中で、いつ、どういうことを子供たちに考えさせるかということを体系化して共通理解を図るということが大事だと思います。
  本校の場合は、そのキャリア・ノートを作る一方で、年間3回、担任と、それから生徒が面談をするというようになっています。それも「進路ノート」の中に面談シートがあって、そのシートに必要なことを書いてくるわけですね。例えば1年生の最初でいくと、この学校に入ってどういうことをやりたいかとか、あるいは今の日常の生活、1日の活動の中身を見せてくださいとか、いろいろなことをしていきながら、それを基に面談をしていくということで、つまり、そういう形で生徒の実態を見ていきながら適切にアドバイスするという形がとれるととてもいいと思います。ただ、なかなかそこまでできている学校は少ないと思います。
  ただ、今、例えばシラバスを作っている学校は、もう相当あると思います。つまり、この科目、例えば4月はこういうことを教えますよというふうなことやあるいはそれに付随した評価の観点も全部1冊の本にして配っている学校というのが今、相当増えていると思います。そういう意味で、昔に比べるとかなりいろいろな情報を出して、そして子供たち、あるいは保護者の方々にいろいろなものを示していきながら教育活動を行っていく。また、面接とかカウンセリングとか、そういうこともかなり今は多くの学校で積極的に行っているということが実態だと思います。
  以上です。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。
  浦野委員、よろしいでしょうか。
【浦野委員】    はい。
【荒瀬主査】    今のことに関することでも、ほかのことでも結構ですが、いかがでしょうか。
  今、宮本先生がおっしゃいましたように、そういう取組が全国の高校に本当に定着していけば、あるいは全体的な話のみならず、教科の学習についてもきちんとした話し合いができればいいと思うのですが、その辺り、この言葉にまとめてしまうと、何でもかんでもそうなりますが、カリキュラム・マネジメントというのがきちんと機能すれば、そういったことも可能になろうかと思うんですけれども、ところが実態はそうはなっていないと言わざるを得ない現状がありますね。そこの原因というのでしょうか、どうすればそういうことができるようになるかっていうのも考えなければなりませんね。
  髙木主査代理。
【髙木主査代理】    今、お二人の委員のお話、本当に納得しながら、日本中の学校がそういう評価ができるようになっていただきたいという、本当に期待を持ちます。ただ、現状を知っている者としては、頑張ろうねっていうことになるのですが、今のお話を少し、具体的にどうするかという、どうしていったらそれになるかという一つの提案みたいなのを申し上げたいと思っているのですが、一つは、特に高等学校の場合には、学校ごとの特色があるために、評価の観点がきちんと学校ごとに定まっていない。さらには、教科書中心に授業が進むために、各教科・科目の中で育成すべき資質・能力が、先生方に見えていない。それをするためにはどうするかというと、今、主査が言われたように、学習指導要領のカリキュラム・マネジメントというか、各教科の内容をどうやって学校ごとに設定していくかという、その段階がきちんと定着していないとできないだろうと。ですから、基本的には、今回の学習指導要領は今、作っているわけですから、評価の観点とする内容を学習指導要領の各教科の内容、指導事項としてきちんと示しておくと。ある意味ではそれを基に各学校がそれぞれの学校の教科の内容の指導事項をカリキュラム・マネジメントとして作成し、それが実は評価の観点である3観点、知識・技能・思考力・判断力・表現力、主体的に学習に取り組む態度のものとして見える化をして、そしてそれを生徒たちに各学校ごとに示しておくという、評価の中身を明らかにするということが一つ大事だと思っています。是非、これができると変わると思います。
  併せてちょっとこの場で言う話ではありませんが、小中学校は各学校ごとではないので、学習指導要領の内容と指導事項の評価の観点がそのまま評価の観点にスライドできるような形にしておくと、評価はしやすくなってくるというふうに思っています。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。
  是非本当に進めていければと思うのですが、いかがでしょうか。藤田先生、どうぞ。
【藤田委員】    きょう、ポートフォリオですとかキャリア・ノートの御紹介がたくさんあったわけですけれども、きょう、広島県、それから愛知県、それに兵庫県の事例が最後に付けられていますが、やはり広島と兵庫が典型的に、表紙から分かりますように、いわゆるローカライズというかカスタマイズというか、言葉はちょっと適切なものが見当たりませんけれども、各学校が基本的に各学校の育成すべき目標や身に付けさせたい力、あるいはカリキュラムの特徴、そういったものに応じて作り替えることが前提とされている。ですから、私の理解している範囲では、いわゆるワープロソフトバージョンというのはダウンロードできるようになっていて、固定的なPDFではないというところが大きな特徴かもしれません。そういうふうな工夫、これから都道府県単位で作っていくのか、あるいはより小さな範囲で作っていくのか、あるいは国が大きなモデルを示していくのかということについても議論が必要かと思いますが、いずれにしても学校がカスタマイズ、ローカライズしていくことを前提とした枠組としてのキャリア・パスポート、キャリア・ノートというものを作っていくことが、それがすなわちカリキュラム・マネジメントを促していくことになるのではないか。
  今回、26年の11月から、文部科学大臣がおっしゃっていますように、三つの大きな流れで学習指導要領を改訂するとするならば、第1の流れが目標と内容と評価の一体化、そして3番目がカリキュラム・マネジメント、間に新しい科目・教科というのが挟まっているわけですが、1と3というのは実は表裏一体であって、その表裏一体性ということを明らかに学校側にお伝えするためにも、こういったキャリア・ノートであるとかポートフォリオタイプのツールというものを導入することによって、学びのプロセスが評価の対象になってくる。それを見取ることが重要なんだというメッセージの発生にもなりますし、非常に重要な、今回の新しいツールとして前に出すべきだというのが私の個人的な考え方でございます。
  それから、先ほど、浦野委員から、評価者訓練というのが非常に重要ではないかというお話がございました。まさにそのとおりかと思います。様々、今、日本の学校の先生方の多忙さ、あるいは勤務時間の長さということが明らかになりつつある状況ですけれども、やはり省略すべき、あるいはしてもいい、あるいは学校外の力を借り得る業務と、本格的な、中核的な業務とに仮に分けるとするならば、恐らく評価というのは中核的な業務、学校の教員としてどうしても避けられない業務だろうと思います。ですから、そういった中で先生方が専門性の主軸としての評価、行為である、そして子供たちを伸ばす、それが重要な教育活動であるというふうな自覚の下で、子供たちの自己評価と先生方の評価がきちんと融合できるような、そういうふうなシステム作りというのが必要かなと、改めて思った次第です。
  以上です。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。
  本当にここで議論していただいているのを聞いていますと、今にもそのように日本の学校が変わっていきそうな明るい気持ちになるのですが、具体化していくというところに課題があるわけで、教員の多忙化と言ってしまえばそれまでで、事実、多忙ではありますけれども、どんなふうにやっていけばいいんでしょうか。伝わっていないという面も実はあるのかなと思ったりもするのですが。
  松本委員、どうぞ。
【松本委員】    関連しているといいのですけれども、教科書を教えることから脱却すること、それから観点別評価を一層推進するということに関して言うと、何でも大学入試に結び付けるのはよくないかもしれませんが、大学入学者選抜とやっぱり関連して考えていかないとまずいのではないかなと思うんですね。実質的な効果を上げるためには。
  今、推薦入試等が比率が高くなってきていると思うんですね。現場におりますと、うちの大学のフォームが悪いというのもあると思うのですが、どういう活動を高校時代していましたかというと、ほとんどがクラブ活動のことしか書いていないという状況なんですね。ですから、授業の中でどういう体験をしているのかというのは全く見えないというのが問題ではないかと思いますし、それが評価されていないんじゃないかというふうに高校側も、あるいは生徒さんも思っている節があるんですね。ですから、普通の授業科目において、あるいはSHHやSGHの科目においてどういう学習体験をして、成果として何を出してきたかというのを、大学側としては見たいので、藤田委員がおっしゃったように、カスタマイズする中でカリキュラム・マネジメントが推進されるという点もあるかと思うのですが、ある程度、国の方でテンプレートを作っていただいて、ポートフォリオとしてどの授業でどういう活動をして、この子はどういう役割を演じたかという。まあ、先生の負担を増やしてはいけないので、基本的には生徒さんが書くというような形で記録を残していかないとまずいんじゃないか。
  こういう記録を残すことが少なくとも推薦入試あるいはAO入試等においては役に立つというふうに思えば安心するでしょうし、ですから、1年生の最初から社会あるいは企業に勤める場合もそれを企業の方は見ることができますので、ですから就職にしても大学進学にしても、そういうポートフォリオのフォームを、テンプレートをある程度統一したものを作っていただけると、大学に応じていろいろまた新たに書くという必要もないと思いますので、それを提出していただければいいかなと思うので、是非その辺も検討していただければと思います。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。
  では、続いて浦野委員、どうぞ。
【浦野委員】    今の松本先生の御意見も、大学として知識の量だけ見たいんじゃないんだということだったと思うんですね。先ほどの、どうしたらというところで、僣越ながら、企業の経験を言いますと、やはり評価することをどうモチベートしていくかということですよね。語弊を恐れずに言うと、二十数年前まで我々にとって未来というのは希望だったんですよね。まだまだキャッチアップするものがあって、希望だった。ところが、今は未来は不安なんですよ。もう本当に課題先進国で、いろいろな課題を抱えてしまって、未来は不安だらけになっている。これをやはり未来がやっぱり希望なんだというふうに変えていくために今の教育があるし、今の若い生徒たちも20年後には国を支えていく人材ですよね。彼らが今の知識だけに収まっていたら、日本って何も変わっていかないじゃないと。単なるキャッチアップだけでしょう。そのためにこういう総合学習とか課題学習をやるわけですね、今後。
  その中で、やはり知識の量にこだわらなく、知識を応用していく、知識をいろいろな現実の課題に適用していくということを勉強するんだよねということになれば、やはりそこの評価というのは単なる数字ではなくて、先生方と面談することによってお互いフィードバックしながら、今度はこんな観点が大事だよね、みたいなことをやっておくことが日本の未来につながる。要するに、評価というのはイコール日本の未来なんだというぐらいの大きな視点を先生方も、それからフィードバックを受ける生徒も持ってもらうと、この評価がどんどん進んでいくんだというふうに思うんですね。そういう大きな枠組が今、足りないんじゃないでしょうか。
  企業は二十数年前に、その大きな枠組にすることにみんなが一斉に切り替わっていったと思います。今でも企業は決して大したことができているわけじゃないんですが、少なくともそういう大きな変化というのはあったというふうに思っています。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。
  では、佐野委員、どうぞ。
【佐野委員】    今、るるお話があるわけですけれども、結局、浦野委員がさっきおっしゃった、評価というのは何のためにするのかというところの認識をきちんとすることで、それこそ先ほどお話があった、教師の方の、もしかすると本来業務は教えることではなくて、評価をしてアドバイスをして伸ばしてあげるという、その自立を支援する役割を果たすということが本来業務になってくるのだろうというふうに思いますし、私は親もそうだというふうに思うんですね。
  その中で、時間がないよということの中で、前々回だったかお話があった中で、ああ、なるほどと思ったのですけれども、アクティブ・ラーニング的な視点を入れた学習あるいは授業改善というのは、実は教師の手が離れるといいますか、子供たちがみずからやるので、結局、そういう手法を入れることで教員の方たちは評価と、それから、その次の向上に向けての様々なアドバイスができるというふうになってくるのだろうと考えるところです。
  もう一つ重要な点は、面談等もそうなのですけれども、結局、自己評価が非常に重要だというふうに思うんですね。子供たちがみずからのキャリア観に応じて自己評価をきちんとするということが重要であって、それが基になり、そして他者評価と自己評価のすり合わせの中でみずからがその意欲を喚起していくということが重要になってくるだろうと思います。
  それから、評価に関しても、私も会社を経営していますので、浦野委員もお分かりかと思いますけれども、最近、企業の場では、いわゆる評価者は1人じゃなくて、360度評価というような、同僚だとか上司だとか部下から評価を受けるというようなことも出てきますので、そういう意味では、例えばアクティブ・ラーニング的な視点を入れた授業あるいは学習方法であれば、仲間たち、同級生たちからの評価であるとか、あるいはフィールドが校外に広がっていくと、校外の方たちからの評価と、様々な角度からの評価が出てきて、まさしくそれが多面的な評価につながっていくのではないかなというふうに思うところです。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。
  では、橋本委員、どうぞ。
【橋本委員】    ありがとうございます。カリキュラム・マネジメントを考えた場合に、教科横断的な指導計画を作るとか、また、先生方がそこに全員参加して、各学校の目標に応じてどういうふうに展開したらいいかということを話し合うということはあるのですが、実際、この評価という面での情報共有ということが、高等学校の入学から卒業までの間になされながら、生かされているかという視点から考えると、せっかくこういう情報化の時代でもありますし、悪い評価といいましょうか、そういうことはちょっと課題がありましょうけれども、例えば、英語の時間で、主体的な学習の態度も普通で、知識・技能の獲得というのも普通で、そう目立たないというような生徒が、総合的な学習の時間で国際交流というようなところでは、たどたどしい英語ながら非常にコミュニケーションをとろうとして、様々、活躍する。それはとてもすばらしい場面である。それを何らかの形でため込む。そういう姿があったというようなことをため込む。各教科でも、こういう学習活動で、このような進歩の状況が見られたというような事実的といいましょうか、どこまで踏み込めるかというところはあるのですが、そういうものを、実際、授業に参加できるとか、学年会議とか、そういうところでも話し合われるということはもちろんあるのですが、そういうことが学校全体の教員の宝といいましょうか、そういうものとしてため込まれ、それが各自の教員が生かすというようなこともできるようなシステムというのはできないのかなということを感じております。
  以上です。
【荒瀬主査】    ありがとうございます。
  今おっしゃった事柄、例えば会議で、生徒の成長とかについての情報交換であるとか、あるいは評価であるとかといったようなことをやっているという事実もありますけれども、ただ、私の知る限り、例えば職員会議とかでは学校全体のことを、非常に重要なことを確認、共有していくはずではありますけれども、どちらかというと行事の日時の決定とか、何か教育の内容というよりも、外形の部分にどうしても時間が取られていて、それが当たり前になって、ずっとそうしてきたから別に違和感なく今もやっていますということで、本当はそういうところでどんな目標設定を学校がして、そしてそれに向けて各教科はどうするのかとか、総合的な学習の時間ではどんなマイルストーンを作って成長を促していくのかというようなことが本当に具体化しないと難しいのでしょうね。
  それと、佐野委員がおっしゃいました、アクティブ・ラーニング型の授業をしていくと、生徒が自分たちで活動していくので、少し先生は手が離れるというふうな、確かにそういう面はあろうかと思うのですが、ただ、アクティブ・ラーニング型の授業をしようと思うと、シナリオを書くのが相当に大変なので、目に見えている、例えば50分の授業では教員は少し離れているように見えて、もちろんこのときに評価しているわけですけれども、ただ、教員自身の授業にかける時間というのは、これは相当な労力もかかりますし、そこのところは十分御理解いただいた上での御発言だと思いますので、そのことを確認をさせていただきたいと思います。
  では、小林委員、どうぞ。
【小林委員】    先ほど、松本委員からも御指摘がありましたが、大学入学者選抜が全てではありませんが、大学入学者選抜の影響を受けるところは大きくて、受験科目にないから世界史の未履修問題が起こったりとか、総合学習の時間を英語の対策に充てたりということが現場で起こっているということを鑑みますと、やはり高校の教育を変えて、大学の教育を変えて、それをつなぐ入学者選抜を変えていくことで全体の教育を変えていくということであると、やはり入学者選抜にもどのように活用していくかというところも一つ大きな視点になるかというふうに思います。
  その際に、やはり今回は、当初は複数回実施というのが共通試験、見送られましたけれども、本来であれば、従来型の学力と知識、技能というものが、幾つかの能力の中の一つだということであれば、そのほかのところをきちんと見ていくというのが重要になると思います。やはりいろいろな大学さんに伺っていると、一方では10万人受験する大学さんもあるというようなところもありまして、そうすると数万人に対応していくためにどのように多面的な評価を行うかという質問がよく出ます。そのときに、キャリア・ノートというわけではないのですけれども、こういった学習カルテやポートフォリオ、あるいは指導要録みたいなものをきちんと、ある程度電子化して、共通試験の結果と一緒に提出していくということで、大学側の負担を軽くしていくということも検討してよいのではと思います。そうすると、よりこういったものがポータブルというんですか、高校から大学まできちんとつながっていくというような形ができるのではないかというふうに思います。中長期的には電子化というものを含めて考えていった方が、高校現場の先生方の負担も軽くなり、私たち企業ではピュアセールスタイムという表現があります。これは営業が余計な仕事をせずにきちんとセールスに行ける時間を増やすというようなことを示しているのですが、高校に置き換えて考えると、先生方の業務は生徒にきちんと向き合う時間だったり、授業の準備をする時間ということだと思います。先ほど、荒瀬先生がおっしゃったとおり、例えば、アクティブ・ラーニングの問いを考えるというところも非常にピュアな、本来業務としての時間だと思います。そういうところに時間がかけられるように、ICTの力を活用するというのもあるかなと思います。
  そのときに、学習カルテやポートフォリオ、あるいはキャリア・ノート的なところも、この一つの大きな課題である共通性の確保と多様性の対応というところで、共通的なものは何か、あるいは個人個人で多様性を見るところは何かというところをきちんと整理をして、目標準拠になるものと、自分のウイルをどのように達成するかというのを両立できるような形で作られるといいのかなと考えております。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。
  どうぞ、藤田委員。
【藤田委員】    ただいまの共通性と多様性の確保の観点ですけれども、たまたまきょう、資料1-2の35ページから、以前、特別活動のワーキンググループで作成させていただいた資料の一部を掲載していただいているのですが、それもアメリカでやっているからということではなくて、半ば他山の石的なところも含めて若干御紹介したいと思います。
  35ページの下をごらんいただきますと、1990年代の後半から、オハイオ州ではキャリア・パスポートを、日本で言うと高校2年生、3年生の全員に課していたわけです。ですが、当初は進学の際にも就職の際にも、第三者評価を前提としたものとして考えていたわけですが、いわゆるアメリカは国としての全米の統一の枠組というのは憲法上できないことになっているので、どうしても、例えばオハイオ州立大学、全米から学生が参りますけれども、オハイオ州の高校生は持っている。しかし、ほかの州は持っていないということで、どうしても州立大学への進学資料にはなり得ず、進学の資料という観点からは、今、継続していなくなってしまっている状況です。
  次のページを見ていただきますと、現在どうなっているかといいますと、それは職業教育コースの子供たち、いわゆる地元就職を前提とする子供たちに対しての必須要件になってきています。また、デジタル化についても、初めはペーパーで始まったものですけれども、デジタル化をして現在、継続しているところです。
  そういった意味としては、国としてのテンプレートを作っていく、共通性を確保していくということは日本の性質から見てもある程度やむを得ないというか、絶対的に必要なことなんだろう。その中で、各県の多様性、そして各学校の多様性、そして一人一人の子供たちの多様性、そういったものをいかに組み込んでいく枠組にしていくかということが重要だということが第1点でございます。
  それから、第2点でございますけれども、やはりこのオハイオ州でキャリア・パスポートを、たった2年間の実践なのですが、各学校の自主性に任せたところ、例えば文化祭に相当する学校行事の写真、あるいは夏休みの思い出の写真、それから作文、いろいろなものをたくさんファイリングする学校が出てきてしまい、そのファイリングをどう整理していいのか分からず、就職の場面に持っていっても誰も読まないというふうな状況も一部出てきたところです。ですから、そういった、いわゆる終了時、高校卒業時にどういう形に整理し、そして第三者の目に触れさせていくのか。つまり、自分の学びのプロセスをどのように統合していくのかということもデジタルデータであれば、ある程度可能になってくるだろう。そういったことが情報教育の中でも十分な力としてこれから求められていくであろう。そういう観点からも、デジタル化ということは有効な方策かと思います。
  ただ、その一方で、現状の高校段階におけるICTのベースとなるハードウエアの整備、あるいはその他の環境の整備、それから最も重要なのが個人情報の保護、そういったものに対する配慮と同時にこれを進めなければ、恐らくうまくはいかないのではないか。先ほどの評価者の話もありましたけれども、こういったものをどのように整理するかということは、環境と同時に考えていく必要があるのではないか。そのようなことも同時に考えた次第です。
  以上です。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。
  先ほど、松本先生から、また、今、藤田先生から、そういった国としてのテンプレート、あるいは具体的にハードウエアであるとか、環境の整備、あるいは教科情報の中で、特にどのような情報の取り扱いをするのか、あるいは受け取り方をするのかといったことは今後また強めてやっていくということでありますけれども、今の時点で何か事務局としてありますでしょうか。
【大杉教育課程企画室長】    ありがとうございます。まず、キャリア・パスポートのテンプレートにつきましては、それこそ共通性と多様性かもしれませんけれども、国としての調査研究もしっかりと行って、これは審議まとめなり答申を頂いてから実施までの間にということになると思いますけれども、何らかのひな形のようなものを議論しながら、そこにしっかりと各学校でのカスタマイズの可能性ということを取り込みながら議論ができればいいかなと思っておりますので、しっかりとその辺り、審議まとめの中に記させていただければありがたいかなと思っております。
  それから、ICT環境、それから情報活用能力ということでございまして、情報活用能力、子供たちの能力ということにつきましては、今回、情報ワーキングと総則・評価特別部会がかなり連携していただきまして、既にもう各教科の議論の中でもしていただいたものを、まさにカリキュラム・マネジメントの中の一部になるかと思いますけれども、子供たちの情報活用能力としてしっかりと統合していけるような在り方ということをつないでいくというようなことでまとめをさせていただけるような形かなと思っております。
  それにも不可欠なICT環境整備ということにつきましては、別途、学校の情報化については議論する場もございまして、新津室長が事務局にいますけれども、情報教育課とも連携しながらその議論を進めさせていただいております。次期学習指導要領を実現するためには、こういう環境が必要なのだということを中教審としても是非発信していただいて、具体的な環境整備等しっかりと両輪でできればありがたいかなと考えております。
  以上です。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。
  では、清水委員、どうぞ。
【清水委員】    ありがとうございます。伺いたいこともありまして、申し訳ありません。資料の1-2の30ページと31ページの観点別評価の実践状況のことなのですけれども、この中で小中学校については、円滑に実施できているというのが非常に高い割合を示していて、31ページの方には高校の今の現状ということで、円滑にできているというのが非常に少ない状況にあるということでもあります。背景には様々なものがあると思いますし、高等学校については25年度から27年度までが今現在の学習指導要領に切り替わった状態の内容かと思いますけれども、小中学校というのは、今、1クラスの生徒の数というのはどのぐらいの人数であるのかというのを伺いたいなというのが一つあります。
  というのは、高校はおおむね40を大体基準としながらの人数を受け持っていると思いますけれども、その中で適切にこういった評価するにはどのぐらいの人数が適切な人数であるのかということも考えていかなければならないのではないかと考えています。40人と、例えば小中学校では二十数人、30人ということになった場合、その数の差というのはかなり激しいものがあるのかなとも思いますし、その辺の背景を少し伺いたいなと思います。
【荒瀬主査】    いかがでしょうか。
【大杉教育課程企画室長】    すみません、基礎データ集を置いてきてしまいまして、今調べておりますので、お調べ次第、御報告させていただきます。恐縮です。
【荒瀬主査】    じゃあ、清水委員、少しお待ちいただくということで。
  すみません、中井委員、札を立てていらっしゃるのに気が付きませんで、申し訳ありませんでした。
【中井委員】    今の清水委員と同様の趣旨のことになるのですが、浦野委員がおっしゃられた評価のフィードバック、これは極めて重要なことだと私も思います。高校においては定期考査での点数をもって評価するという単一的な評価がこれまで主流であったと。あるいは、フィードバックということ自体、余り念頭にないというのも現実あるわけでございますけれども、そういう中でフィードバックをして、その子供に次の課題を自覚させ、それにトライさせると。こういう連続的な行為を重ねていくということで、それは学習のありようとして非常に重要だと思うわけですが、問題はやはりそれにかけられる時間が現実どれぐらいあるかというところでは、今の教員の現状は極めて厳しい状況があると。
  一方で、評価者訓練のお話もありました。これは意識の問題も当然ありますし、テクニカルな問題もまだまだ未成熟であるということで、いずれの面からしても、体制を整備するという面からしても、そういった評価の訓練をするという点、それから評価の訓練という点でいっても、我々、仕事をしている組織において評価をして、それを評価される方と面談をするということはもう日常的にというか、毎年やっているわけですけれども、やはりそのときってまず職務に関してということで、要は生徒の場合に比べればまだまだ非常に幅が狭くてやりやすいわけですね。生徒に対する評価を人格形成、そういったことも含めて、これから何を目指すんだというようなことも含めて多面的にいろいろフィードバックしていくということについては、評価者訓練においても非常に難しい要素がいろいろあると思うんです。ですから、それを熟達させるということにはかなりの労力と時間も要するということだと思います。
  1人の教員が40人のクラスをそうやってやっていくというのは、通常の組織であれば、係長、課長、部長がいて、直下の部下を見るということで、40人そういった面談をするって、相当な量だと思います。なかなかそんなに、40人もの部下を評価してフィードバックするっていうことは、中身はかなり簡潔に省略する部分もないと、年間2回、3回なんかやってられないというのが、仕事の世界でもそうですから、これを生徒に対して全人格的な側面も含めて、みたいなことで40人やろうと思うと、相当の時間と労力を要するというふうに思います。
  そういう面で、目指すべき方向は全く異論はないんですが、それを学校に定着させていくということにおいてはやはりステップ・バイ・ステップという思考も取り入れないと、学校現場とのギャップが出て、ハレーションみたいなことにもなりかねないかなということで、その辺は十分にステップ・バイ・ステップという方式を念頭に置いて進めるべきではないかなと思います。
【荒瀬主査】    ありがとうございます。
  先ほどの件ですね。
【大杉教育課程企画室長】    大変失礼いたしました。御指摘いただきました1学級当たりの児童数、生徒数、小学校、中学校でございますけれども、平均値でございますので幅がある中での数字でございますので、これだけで一概にということにはならないかもしれませんけれども、小学校で申し上げれば、平成26年で1学級当たり24.2人。それから、中学校で申し上げれば28.5人という状況でございます。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。
  清水委員、よろしいですか。
【清水委員】    ありがとうございます。数字だけでは全ては語れないと思いますが、やはりかなり大きな差があるのは事実かなと思います。この中で、私は工業高校の校長をしておりますけれども、工業高校ですと、実習だとかは非常に細かい生徒に分けて、10人ぐらいの規模に分けて授業を実施したりだとか、テーマによってやはり少人数で対応させていただいております。やはり当然のことながら、少人数の子供たちを見るには、非常に細かい評価だとか、様々な観点で物事を見ることができるのですが、先ほどのグラフだけを示されてしまうと、どうしても高校が明らかに劣ったような形で表れてしまうのは残念なところなのですが、事実上、非常に厳しい状況にあるのはたしかだと思うのですけれども、こういったバックボーン的な対象となる生徒はどのぐらいいるのかだとか、そういうことも踏まえながら、その上でどういう手法が適切であるのかということも考えていかなければならないのかなと感じた次第です。ありがとうございました。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。
  今の件に関しましては、できるだけ細かく見ようとして、ホームルーム担任を複数にしたりとか、教科をティーム・ティーチングにすることによって改善しようとするわけですけど、そういうことをすればするほど、一人一人の教員の仕事量というのが増えることにもなっているという現実がありますね。ただ、だからといって今のままではいいということにはならないので、先ほど中井委員がおっしゃいましたように、方向性としては何とかこの方向で考えていこうということで、ただ、どの順番といいますか、あるいは何からやるかというのは、きっとあるのではないかなということを思います。
  すみません、今村委員、どうぞ。
【今村委員】    先ほどのキャリア・パスポートについてですが、現状、キャリア・パスポートやキャリア・ポートフォリオみたいなものを導入している自治体で暮らす生徒たちと話していると、決して彼らにとって、「大切な自分の宝物」にはなってはいないと、当然ではありますが、感じることがあります。学校で配付されるものは、どうしてもデザイン性の問題もあってか、浸透しづらいところがあります。ですが、これからもし国が何か導入していくのであれば、既に生徒たちが使っている日常と行き来ができるような視点、例えばフェイスブックのようなSNS上で人とのやりとりできるものがあると良いのではないかと思っています。SNSでのやりとりには、同質性の高いコミュニティーの中で生徒同士が不毛なやりとりになってしまうという指摘もあるかと思いますが、生徒の中には自分の探究テーマをSNSを使いながら多様な社会のニュースを獲得したり、大人たちからの関与によって自分のテーマを深めたりしながら、その履歴をAO入試のテーマを書くときに見直したりしている生徒もいます。
  そういう生徒たちは、自分が本当に伝えたいものについてはSNS上とかに自由に書き込んだり、思いを持って行動に移したりしているが、キャリア・ポートフォリオやキャリア・ノートはどうしても学校の提出物が一つ増えたような感覚に位置付けられがちです。現状の生徒にとっての携帯やプリクラ帳と同じぐらい、大切にされるものを目指せると良いのではないかと思いました。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。
  岡本委員、どうぞ。
【岡本委員】    SNSのことはちょっとよく分からないんですけど、ちょっと考えてずっと悩んでいるのは、非常に課題は明らかになっていると思うんですね。一つには、こういう新しいタイプの評価というのは1日じゃもちろん出来上がらないわけで、だからステップ・バイ・ステップということは当然のことだろうと思うのですが、それ以上に、実は恐らく、宮本先生がさっきおっしゃった「進路ノート」という話をされたのですが、それは恐らく先生の高等学校のノートであって、それと同じものを、例えば同じ都立高校であっても、どことは言いませんが、うちの近所の都立高校に持っていっては使えない。そうすると、一方では、いわゆる統一性と多様性の問題なんだけれども、ある程度、大枠はこういうふうにしようよねと言いながら、やっぱり学校の方でそういう体制がじわじわとできていくかどうかということ。
  一方では、それの統一性のところで考えれば、ある程度、テンプレートという言葉でおっしゃっていましたけれども、何らかのこういうことは書いていないといけないなとは思います。ただ、大学にいた立場からすると、全国、多分、今村委員の意見と同じなんですけど、全国一斉同じものが出てきても余り役に立たないだろうなと、逆に思ったりもしているんですね。だから、その辺のところが大学側としては手間がかかるのかなというふうにはちょっと思います。大学としてみれば、考えてみると、大学の附属の高等学校や中学校や初等・中等教育学校というのはたくさんあるわけで、そういうところの生徒さんたちにどういうことを大学として要求されているのかというのはちょっと調べたことがないので分からないんですけれども、そういう積み重ねがやっぱり何年かないと先に行かないんじゃないかなということがあります。
  ついでですからもう一つなのですけれども、ポートフォリオ型というのは、これは教科の中でもやっぱり大事なので、それを実際どう評価するかということはちょっとまたこれは難しいのですけれども、例えば、現実にここに高等学校の指導要領の解説があって、総則編があって、この後ろに中学校の指導要領が参考で出ているんですけど、そこにはやっぱり実際に中学校で学んだことに対して自分が的確に何を学んだかとか、そういうことを表現するということが総則にも書かれていて、現実には各教科ごとに、例えばある単元なり、あるまとまりの中で、この中で自分はどういうことを勉強したのかというのをちょっとレポートでまとめてみようとか、そういうことを中学校ではやっていると信じているので、そうするとそれがどういうふうに高等学校につながり、どういうふうに大学とつながっていくのかというようなこともあろうと思うんですね。だから、中学校で仮にそういうのがずっと積み上がってくれば、恐らく高等学校でも、教科の中の問題ですけど、勉強っていうのはこういうもんだというふうに思っていけば対応も違ってくるのかな。ただ、私が言っているのは、随分時間がかかるんだけれども、どういう形にするか、そこは課題として残っているなということ。ちょっと2点申し上げたいと。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。
  では、藤田委員、どうぞ。
【藤田委員】    情報提供なのですが、1クラス当たりの人数について、先ほど、小学校、中学校、高等学校の比較があったわけですけれども、先ほどから御紹介していますアメリカの事例のカウンセラーが基本的には子供たちの進路相談ですとか、いわゆるキャリア教育に当たるわけですが、日本とは違いまして、授業を持つといってもティーム・ティーチングで1日当たり1時間程度しか授業を持っていない状況ですので、十数時間、場合によっては20時間近く授業を担当する高校の先生とは全く違うわけですが、そういう違いを前提とした上で申し上げますと、全米の小学校、中学校、高等学校全体のカウンセラー1人当たり生徒をどのぐらい担当しているかといいますと、全米平均で457人でございます。それは2011年です。最も多いカリフォルニア州では、1人当たり814人を担当しているということです。年代はずれますけれども、この悪名高いカリフォルニア州では、2003年の段階で高校で1対364に減らそうという目標を立て、全くそれが達成できていないという状況です。
  ですので、高校の先生方のワークロードが非常に厳しいということはもちろんそのとおりで、それを前提としていいわけでは決してないのですが、ただし、1対40というのがべらぼうに、もう信じがたい数かというと、もしかしたらそうじゃないかもしれないという議論はあってもいいのかなという気はいたしました。
  以上です。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。
  なかなか難しいお話。そうですね、今、藤田委員がおっしゃったように、実際に教員がふだんどんな勤務状態かということを差っ引いてということをおっしゃいましたので、そのとおりかと思います。ただ、さっきから出ていますように、だからといって今のままでいいということにはならないというのは、これは共通認識かと思います。
  どうぞ、小松局長。
【小松初等中等教育局長】    参考になる数字をありがとうございました。ただ、今のお話は、例えば我が国で少し引き寄せて考えますと、スクールカウンセラーという人がいますけれども、週に1日2時間で、各校を回ると。それが全校生徒を相手にすることになりますから、掛けると何百人とか1,000人とかとなるという形になるので、やや、いわゆる学級担任とかというものと、そこを混ぜない方がいいかなと思いますね。
  しかし、今度は逆に、そこが何百人かいるという中で、実際にどのぐらいの人が引っかかって、じっくり相談に乗らなきゃいけないかというと、この数がまたぐっと絞られてきます。アメリカのように多言語でバックグラウンドも日本よりはるかに大きいということになりますと、そこをまた比較しなければいけないので、こうした評価とともに指導体制ということは、両輪のようにちょっと整理して話をしていただいたほうがよろしいかなという感じはします。
  ありがとうございました。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。
  よろしいでしょうか。一応、予定していた時間ぐらいになりましたので、また後ほど評価につきましては御意見がありましたら、これ、評価は非常に重要な問題で、先ほども御意見がありましたように、評価が十分にできないと次につなげないということですので、その点は是非、また後ほどございましたらお願いしたいと思います。
  ただ、一つだけ、御議論を伺っていて思いましたのは、例えば、とある県の、アクティブ・ラーニングに熱心に取り組んでいらっしゃる県の先生方とお話をしていて、非常に興味深かったのは、テストの中に活用型の問題を入れることによって、これまでの知識を確認するようなテストからの脱却をしようと思っているんだということなのですね。私は、現状というのは、恐らくそういうところで動いているのではないかと思います。何かといいますと、授業がアクティブ・ラーニング型になっていくということは、それはどんどん進んでいくと思うんですけど、じゃあ、どう評価するかとなったときに、アクティブ・ラーニング型の授業で培った力を使って、テストで活用型の問題が解けるかどうかというところで見るというのが一つ、考え方としてやはりあるのかなということを思います。
  ただ、これは、本来、今、進めようとしていることとは少し違うはずですけれども、しかし、今より進むという点では、これは間違いないわけでして、ですから、そういった現実のある中で、どう評価のことも進めていくかというのを考えないと、先ほど中井委員がおっしゃいましたように、本当にステップ・バイ・ステップで考えていかないと、理想は高く持たなければなりませんが、すぐにそこに行くかどうかというのは、教員の勤務状態なんかも含めて難しいところがあるように思います。
  それと、もう一つは、資質・能力ということでいうと、これは現状、総合的な学習の時間がなかなか定着していないという、まあ、そう言い切ってしまっていいかどうかちょっと問題かもしれませんが、その中で、総合的な学習の時間の評価の仕方というのも、これもまだ定着しているのだろうかと考えると、なかなか難しい問題があるように思います。教科の評価というのは、専らテストでどうも高校は見ているようだということでありますけれども、総合的な学習の時間というのは、テストができるわけではありませんから、じゃあ、何で見るのかというときに、私は、総合的な学習の時間の評価をどうするのかということを一つの軸にして、それは多分、もちろんどういう内容をするかというのは、これは知識・技能と大変深く関わるところかと思いますが、総合的な学習の時間の取組をどうするのかというのは知識・技能とも関わりますけれども、むしろ学習意欲を見られるのではないかということを思っておりまして、そういったことについてもまた考えなければならないということを改めて思った次第です。
  では、次の議題に入りたいと思います。もう一つは、これまでずっと御議論いただきましたことにつきまして、高等学校の教育課程及び指導方法の改善・充実という全般のことであります。事務局の方から資料の説明をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。まずは全体的な中教審の議論の状況と本部会のスケジュールでございますけれども、次回、6月27日でございます。この段階で一定の議論の取りまとめが可能であれば、高等学校部会としてはとりあえず審議まとめの前としては最終回とすることも考えながら進めさせていただきたいと思いますけれども、他ワーキングの状況は、冒頭、西川から御紹介させていただきましたように、お手元の左側の山の中に黄色いドッジファイルがございまして、これが他部会の審議状況でございます。開けていただきますと、目標というのがございまして、これをごらんいただきますと、全ての教科について三つの柱で構造化していくということが小・中・高と一覧になってございます。これらは全て各ワーキンググループの議論の成果をまとめたものでございます。
  また、今回、深い学び、あるいは授業改善の鍵となります各教科で育まれる見方・考え方につきましても、少し細かい資料になりますけれども、各教科ごとに御議論いただいたものを一覧として冒頭にまとめさせていただいております。以下、総則、幼児教育、小・中・高、特別支援とございまして、その後、「言語」からが各ワーキングでございますけれども、例えば「国語」というものをめくっていただきますと、検討事項の表がありまして、その後ろに取りまとめ案というのが付いてございます。文章形式のものがずっと続きまして、その後ろに、文章中にも触れられております目標の構造化、それから資質・能力の構造化、各教科の特質に応じた学びのプロセスの在り方、それから各教科で3観点に基づき整理していただきました評価の観点のイメージ、それから国語につきましては高等学校の教科・科目の構成の新しいイメージということで、これが各ワーキングの取りまとめということになりまして、これらを全てまとめさせていただいているのがこのファイルということになってまいります。
  今後、本特別部会の議論も含めまして、教育課程企画特別部会、あるいは教育課程部会で夏をめどにということでございますので、審議のまとめを行っていただく予定でございます。
  そして、本部会における取りまとめの論点というのが資料2でございます。本日の資料2に少しお戻りいただければと存じます。こうした全体的に取りまとめに向かう中で、前回も御紹介させていただきましたが、高等学校部会における議論、総則・評価特別部会、小学校部会、中学校部会、それぞれにおきましてもやはりカリキュラム・マネジメントの重要性、評価の重要性、これら共通事項でございますので、こうした共通の形でお取りまとめをさせていただければと思います。次回、27日には、この資料2を文章化したもので最後の御議論を頂ければと思っておりますけれども、事務局で文章化したものを御用意させていただくに当たり、盛り込むべきポイントというのを本日の残りの時間で御議論いただければありがたく存じます。
  それが資料の3でございます。高等学校部会における議論を踏まえて取りまとめに盛り込むことが考えられるポイントということでございます。四角で、少し太字で項目立てしておりますけれども、これらが先ほどの資料2の全体の取りまとめの柱立てに対応するものでございます。
  まず最初に、「社会に開かれた教育課程」の実現と相対的構造の可視化というところでございますけれども、これまでの御議論の中で、特に高等学校教育、初等・中等教育最後の機関として子供たちの進路に応じた多様な可能性を伸ばし、その後の生活、活動に接続させていくということが重要ではないかということ。また、学校における学びのみならず、社会で学んだことを実践して取り入れていくというような視点も社会に開かれた教育課程の観点から重要ではないかという御意見を頂いております。こうした御意見を踏まえつつ、本日、こういった観点も必要ではないか、あるいはこういった観点を新たに立てるべきではないかというようなことを御意見頂ければありがたく存じます。
  また、続きまして、「カリキュラム・マネジメント」でございますけれども、各高校で育成する人材像を明確化していく。校是や校訓などの抽象的なまま教育活動を進めるのではなく、より具体的に育成する資質・能力を設定し、カリキュラム・マネジメントをしていく。各教員がプロセスに参加していくことの重要性。あるいは、教科横断的な視点でマッピングしていくことの重要性ということでございます。
  2ページ目でございます。「何ができるようになるか」という教育目標と資質・能力の関係の中では、グローバルマインドの涵養の重要性、学ぶことの意義ということを子供たちが実感できるようにすること。ICTの基礎的な技能、情報活用能力の育成。協働する力の重要性などを御指摘いただいております。
  何を学ぶかという観点からは、基礎的な科目と探究的な学習の関係性、総合的なコミュニケーション能力、自己主張ということ、論理的に議論できる力を教科横断的に育んでいくことの重要性などを御指摘いただいております。
  どのように学ぶかというところですけれども、特にアクティブ・ラーニングに絡めまして知識・技能の習得ということにも深い学びが重要であるということ。学び方に関する知識といった方法知の重要性。3ページ目でございますけれども、合意形成の議論というのは単なる学習というよりはその後の社会形成に直結するものであるということ。アクティブ・ラーニングということについて正しい理解ということ、また、その意義について子供たちが実感できるような授業改善ということの重要性でございます。
  また、何が身に付いたかにつきましては、本日の議論を踏まえて整理をさせていただきたいと思います。
  また、個々の子供の発達・成長をどのように支援するかということにつきましては、単なる職業選択ということだけではなく、自分がいかに生き、自己実現を図り、社会に関わっていくかというキャリア観。狭い進路指導、進路選択にならないようにということ。キャリア教育においては自己省察が重要であるということ。また、基礎的・汎用的能力については各教科の学習というものがつながっているということを明示していくということ。また、職場体験とはまた違う、それぞれの進路に応じたふさわしいインターンシップの在り方ということもあるのではないかということ。また、特別支援教育の観点から通級指導の仕組みということの重要性。また、そういったものに対して体制の整備、保護者の理解、安全性への配慮ということでございます。
  4ページ目、実施するために必要な条件整備等々でございますけれども、先生方が業務や授業準備に集中できるような体制整備ということが求められるということ。また、教科書を含めた教材の在り方。特に新設される理数探究については、具体的な教材、指導方法が提供・共有される必要があるということ。また、ICTの環境整備、単に効果的であるというだけではなく、教員にとって使いやすいものであるということが重要であるということ。また、教員養成につきましても、資質・能力の育成といったような観点がしっかりと盛り込まれることが重要であるということでございます。
  また、こうしたことについて現場の理解ということでございます。校長先生方にどう伝えていくか。また、メディアを通じてどう広報していくかということ。また、企業も含めました社会、地域、家庭との連携ということの重要性も御指摘を頂いています。
  教科・科目の構成及び単位数につきましては、基本的に74単位ということで前回、御承認を頂いております。また、単位認定の適切性ということの担保ということ。また、5ページ目、必履修科目の在り方、現行の単位数ということを前提に、新しい必履修科目の単位数を考えていくということ。また、選択科目については丸1、丸2、丸3のような考え方を基に定めるという方向性を前回、御承認いただいたところでございます。
  また、科目間の関係性、理数探究と総合的な探究の時間の関係性、それから総合的な探究の時間をより活性化するために共通的な教材の在り方というものも議論されるべきではないかということ。専門学科、総合学科につきましては、単位数等については現状を踏まえていくということ。また、「産業社会と人間」ということの科目につきまして、現在議論されているキャリア教育、あるいは資質・能力ということの中でのさらなる充実を図ることの重要性ということでございます。
  それから、カリキュラム・マネジメントの具体的な在り方ということ、6ページ目でございますけれども、教科の専門性を超えて共通に議論するための仕掛けということ。また、各学校における人材像の明確化ということ。地域貢献ということをどのように絡めていくかということ。また、義務教育段階での学習内容の着実な定着ということも含めて重要性ということ。教員養成系の大学の学生たちのリソースということも含めて体制整備を考えてもいいのではないかということでございます。
  また、学校段階間の接続や卒業後の進路につきましては、本日も御議論がありましたけれども、高大接続という中で入試の在り方ということもセットで考えていく必要があるのではないかという御議論を頂いております。こうしたこれまでの御議論を踏まえながら、新たに盛り込むべき視点等、本日御意見を頂ければありがたく存じます。
  以上です。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。
  今の御説明も含めまして、随分とこれまでの議論をまとめていただいたのですが、ほかに盛り込むべきこととか、もっとここのところは強調すべきとか、そういった御意見を頂ければと思います。
  中井委員、どうぞ。
【中井委員】    ありがとうございます。30分でちょっと中座させていただきますので、先に一言申し上げさせていただきたいと思います。
  カリキュラム・マネジメントにおいて校長の役割ということが言及されておりますが、校長をはじめとした学校の管理職が果たす役割というのが、そのカリキュラム・マネジメントがうまくいくのかどうかの最大のポイントではないかというふうに私は思います。やっぱり高校においては、教科の壁というのが現実、まだまだ大きなものがあるわけでありまして、カリキュラム・マネジメントを教科横断的なものにする。そして学校全体から見て最適なものにする。そして教員一人一人に参画をしてもらう。また、作ったカリキュラムと実際の授業に乖離がないようにする。そういったことを徹底できるかどうかということは、やはり校長あるいは副校長、教頭がどこまでこの問題を認識し、自分が自覚をし、そして校内で実行できるかというところにかかっていると思います。それがなかなかうまくいかないという現実もこれまでありますので、ここでは強調し過ぎてもし過ぎることはないぐらい、やはり校長、その他学校管理職の役割の重要性ということを記載していただきたいと思います。
  以上です。
【荒瀬主査】    今おっしゃいましたが、教員一人一人がカリキュラム・マネジメントに深く関わっていくためにも、学校管理職の役割が重要だということをおっしゃっているわけですね。
【中井委員】    はい。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。
  髙木委員、どうぞ。
【髙木委員】    4ページの「実施するために何が必要か」の必要な体制整備の中で少し盛り込んでいただきたいことがあります。4つ目の丸ですが、後半部分に特に教員養成系大学ということがあります。実は、教員養成大学は、私はある意味で高等学校教育においてはまだ授業に関していろいろ考えてくれているなと思うのですが、戦後の教員免許の開放性の中で、いわゆる専門大学といいますか、例えば文学部であるとか理学部であるとか、そういったところの出身の先生方が特に高等学校は多いんですね。そうなりますと、ちょっとこういう場で言うのも何ですが、あえて言ってしまえば、例えば、指導案一つ書けない教員が今、入ってきているのが現状なんですね。それは、じゃあ指導を受けたかというと、大学の教職科目の中ではほとんどそういったことがなされていないような状況も実はなきにしもあらず、というのはちょっとやわらかく言っていますが、そういったことをきちんとしませんと、中学校、高校の教員の在り方そのものが問われてくるだろう。
  ですから、是非その辺りを少し書き込めないのかなという、教員養成に関しての部分をちょっとお願いしたいと思っています。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。
  ほかにはいかがでしょうか。松本委員、どうぞ。
【松本委員】    2ページの「何を学ぶか」あるいは「どのように学ぶか」という点、それから「何が身に付いたか」という点に全て共通していて、入れ込んでほしいことなんですけど、各地で行われている教育研究会等に参加させていただくと、今、アクティブ・ラーニングのことと、教科横断的な指導というのがホットなトピックになっておりまして、どこでも話が出ているのですが、実際に研究授業を見させていただくと、これがアクティブ・ラーニングなのか、これが教科横断的なのかというようなものもございます。それで、現場の先生方は大変苦労されていると思うのですが、私が見ている中では、スーパー・グローバル・ハイスクールの取組がとても参考になるんじゃないかと思います。本格的に教科横断的にやっているところもありますし、それから、アクティブ・ラーニングというのはこういうものだということで、大学の教員とか、あるいは専門家が入って指導しているということもあるかと思うのですけれども、高校の先生方はどうしてもすぐに正解に導きたがるところを、あるテーマの専門家がいると、「どうしてそういうことが言えるの?」とか、「それの根拠は何?」とか、「データはあるの?」とか、そういうふうに、答えをあげるんじゃなくて、質問して深い学び、探究につなげていくというような手法を、先生方は教えながら見ているわけですよね。ですから、そういう取組というのが大事なことだと思いますし、もちろんSGHの中で全てが成功しているわけではなくて、もうストラグルの連続と。ただ、それがすごく大事なことなのかなと。アクティブ・ラーニングに向かって、あるいは生徒の活動をどう評価するのか、何が身に付いたのかということを認識できるのかということをみんなで話しているという。
  ですから、SGHは学校単位の研修になっているように私には思えますので、専門家も入っているので、そういう意味で是非、SGHの知見をほかの教科の指導と評価にどういうふうに反映させていくのかということも含めて、是非ここに書き込んでいただきたいと思います。
  それから、大学教員として現場の先生方からよく聞かれるのは、2020年の入試改革というのは消費税増税のように延期しますということにならないですよねということですね。ですから、この2020年の入試改革というのは問題の質が変わるということと、それから、英語に関しては4技能について入れるということについて、早く正式決定をしていただきたいなと思います。
  以上です。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。
  今おっしゃったことと関連すれば、5ページの「科目間の関係について」というところで理数探究のことが書かれていますけれども、こちらでも、当然のことながらSSHが随分と定着して、いろいろな達成がありますので、SGHとともにSSHも両方ともお書きいただければと思います。
  入試の話もまた出ましたが、基本的には予定どおりいくということを私も思っておりますが。
  ほかにはいかでしょうか。宮本委員、どうぞ。
【宮本委員】    やはりカリキュラム・マネジメントはとても大事だと思います。先ほど中井委員の方からは、まずは管理職のしっかりしたカリキュラム・マネジメントというお話がありました。これは第一だと思うのですけれども、やっぱりこれだけだとだめだと思います。学校としては管理職を中心に、学校としてのカリキュラム・マネジメントをしっかりと確立させる。と同時に、例えば学年ごと、教科ごと、あるいはもっと言えば、個々の教員が一人一人カリキュラム・マネジメントという意識を持たなければ、結局、形だけになってしまうと思うので、そういう意味ではやっぱり一人一人の教員もしっかりしたカリキュラム・マネジメントを考えるという意識を持つということをもっと明確にした方がいいと思います。
  そういうことを考える上で、大事なことは、前半の議論とかぶるのですけれども、教科の中身について教員たちがしっかり振り返る時間、あるいは話し合いができる時間というのを確保する必要があると思います。いわゆる体制整備の中に機材的なものだけではなくて、例えば教科会みたいなものがちゃんと学校の中に置けるような、そういう余裕を生み出してあげるとか、そういったものが必要だと思います。教科の中身についての振り替えりは細切れ細切れに行うものではないと思います。ですので、そういったものがしっかり位置付けられていれば、よりカリキュラム・マネジメントがうまくいくのではないかと思うので、是非、必要な体制整備の中にそういう時間的な確保というようなものも入れていただきたいと思います。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。
  現実問題、クラブが終わって生徒が帰って7時頃から会議をするというのは別段不思議じゃなくありますのでね。本当にそういう時間をどのように確保するかというのは大変重要かと思います。
  松本委員。
【松本委員】    それに関して情報ですけれども、先ほどのSGHの1校ですけれども、毎週1回専門家が入って、そして授業担当されるのはいろいろな教科の先生方なんですけれども、授業が終わると50分間、全ての先生が集まって専門家とともにその日の授業を振り返るということをしていますので、これは理想的なのかもしれませんけれども、週に1回、そういう時間を先生方がシェアできるようにカリキュラム・マネジメントをしていただくということがすごく大事なのかなと思います。
【荒瀬主査】    ありがとうございます。
  これも学校によって相当ばらつきがあるのではないかと思います。
  ほかにはいかがでしょうか。藤田先生、どうぞ。
これも学校によって相当ばらつきがあるのではないかと思います。
  ほかにはいかがでしょうか。内容的にはほぼ全体、今までの議論を盛り込んでいただいているわけですが、ここのところはもう少し強調したいといったような。藤田先生、どうぞ。
【藤田委員】    ありがとうございます。2点ございます。
  今、資料3を拝見しているところなんですけれども、2ページ目の「何ができるようになるか」というところの最初にグローバルマインドが書かれていて、これは是非必要なことだと改めて思ったのですけれども、そういった中で、いわゆる手あかの付いた表現になりますが、グローカルというふうに考えたときに、ローカルに対して社会参画であるとか社会形成とか、そういうところをきちんと織り込んでいくことが必要かなと思います。特に高等学校の場合ですと、高等学校を最後にいわゆる地方都市から流出してしまう若者が非常に多い。そういった若者が戻らない。そういった意味で、地域社会の形成であるとか、地域課題をどう考えるのかということは高等学校の中において極めて重要な要素ではないか。特に教科、新しい科目としての「公共(仮称)」が構想されている中で、やはり社会形成、あるいは地域社会というキーワードで何か盛り込むべきところということを考えておくことが必要なのかなというふうにちょっと思いました。これが1点でございます。
  2点目でございますけれども、これは資料の4-2を見たりこっちを見たりしながら目を通したのですけれども、3ページですね。資料3でいきますと3ページの、「個々の子供の発達をどのように支援するか」というタイトルの付け方と、それから、4ページの「実施するために何が必要か」というタイトルの付け方なんですけれども、この資料3を見ておりますと「実施するために何が必要か」ということで、括弧の中を見ますと、家庭や地域との連携、協働、チーム、学校等で必要な体制整備。あ、これは体制整備、システムのことなんだなということがよく分かります。しかしながら、資料4-2を拝見していますと、資料4-2の第5款のところに多分これは呼応するものだと思うのですが、学習活動充実のための基盤と書いてあります。必ずしもここは体制という言葉になっていないんですね。ということは、何か、ここの体制であるということを明確にした方がむしろ分かりやすいのではないか。なぜこのようなことを言っているかといいますと、学習活動の充実のための基盤としては、資料4-2でいきますと、個々の生徒の発達を踏まえた指導、例えば生徒指導であるとかキャリア教育であるとか、そういったものも基盤になり得るものであり、どうしてもこの基盤性というものが第4款の文言からは余り感じられない。特に、資料3を見てもそうなんですね。何を懸念しているかといいますと、特にキャリア教育、進路指導という文言がありますので、「個々の生徒」というふうにタイトルが付きますと、もしかしたら前回も同じことを申し上げたかもしれないのですけれども、二者面談頑張ろうというふうに単純な理解を導いてしまうのではないか。それは避けなくてはならないと思います。この資料3に書いてありますように、そういった狭い意味での理解、あるいは誤解を助長しかねない可能性が何かここにはもしかしたら残されているのかなと。そういうことをちょっとだけ感じたということを2点目に申し上げて終わりたいと思います。
  以上です。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。
  ちょっとまたお考えいただくということでよろしいでしょうか。
  岡本委員、どうぞ。
  すみません、佐野委員が途中で出られるんですね。佐野委員、先にどうぞ。
【佐野委員】    すみません。
  今の藤田先生のお話、それから先ほど来、お話があった教員の方たちの時間確保というところを考えたときに、4ページの、「実施するために何が必要か」のこの表題の括弧の中には、家庭・地域との連携・協働、チーム学校等ということが書かれているのですが、それにしては内容的には非常に薄いなというところがあるので、今ほどのお話の中で、ここをきちんと強調するという体制整備の中に盛り込んでいくという、その考え方を是非入れていただきたいと思っております。
  その意味で、私も保護者の立場として、まさしく保護者は1対40じゃなくて1対1、あるいは2対1ということですので、ここの理解をきちんと、協力をきちんと得ていくことが、非常にそれこそ国民の理解にもつながる、入口にもなる、大変重要なポイントだろうと思っているところです。
  以上です。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。
  では、岡本委員、お願いします。
【岡本委員】    高大接続に関することです。先ほどちょっと入試の話が出たのですけれども、入試改革が大胆にできるかどうかって、入試やるのは大学側なので、大学側が嫌だと言ったらそれまでみたいなことになっちゃ困るなということなのですが、ちょっとそれと関連して、私としては非常に細かいことを申し上げて申し訳ないのですけど、6ページの最後のところですね、「学習指導要領の理念に対応する大学の入試選抜となってきていなかったために、高等学校教育が入試対策になってしまっている現状がある」というのは、ちょっと常識的な線で文章を書き換えたほうが。別にこれだけが原因ではないと思うんです。
  それから、もう1点なんですけど、高大接続とも関係するのですけれども、高校部会の答申として書くときに、指導要領っていうのは10年に1回ずつ変わっていくわけですけれども、今度、例えばここに書かれている高大接続もそうですし、思考力云々もそうですけれども、今回、初めて出てきたということではないと思うんですよね。幾つかの積み上げでいってやってきたと。割と資料を読むと、過去こういうことをやってきたっていうことは書かれているんだけれども、将来も先ほど来の、時間がかかるんじゃないかとかいう話もありましたけど、これが大きな改革の将来に向けての第一歩と言うと言い過ぎかもしれないから、大杉さん的には最初の3歩ぐらいで、要するにつながっているんだということが出てくるような文言に。だから、中高大もつながっているし、時間的にも過去からつながっているんだっていうようなことを格調高く書いていただけるとありがたいなというお願いです。
【荒瀬主査】    是非よろしくお願いいたします。
  今村委員、どうぞ。
【今村委員】    カリキュラム・マネジメントの実現というところになるのかもしれないのですけれども、カリキュラム・マネジメントを通じた改革の理念の浸透を何よりも大切にするという点を何らかの表記で少し重めに書いた方がいいのではないかと思います。なぜ必要なのかというところがこれまでさんざん議論されていた哲学の部分を何とか盛り込んでいただいて、分かりやすく浸透するための方策を具体的に書くということをよろしくお願いします。
【荒瀬主査】    大変重要なお話です。よろしくお願いします。
  橋本委員、どうぞ。
【橋本委員】    ありがとうございます。
  よく分かっていないで発言しますけれども、高等学校基礎学力テストの具体的な内容というのは把握できないでの発言なんですが、先ほど来、小中学校でB問題というか、活用する力をしっかり入れたことを実施することによって、非常に小中学校の教育の質が改善されてきたというのを受けると、やはり評価にもつながることなんですけど、高等学校でそういうふうな、これから目指す学力をしっかり付けていくためにということになると、それをどのようにして担保していくかというのは、各学校に任せられているということはもちろんなんですけれども、このような基礎学力テストというような形で客観的な学校以外の目で評価を図り、それを改善に生かしていくということも非常に重要であるというふうに認識をしているところなんです。それがこの高大接続のところのきちんとした客観的な評価ということを踏まえながら、学校で評価を充実するということになるのか、あるいは前の、きょう議論したような評価のところに入り込むのかちょっと分からないのですが、せっかく高等学校基礎学力テストということを今やろうとしているわけですから、やはりそれが生きるように教育の充実につながるような仕掛けというか、そういうものを考えるべきではないかと考えております。
【荒瀬主査】    ありがとうございます。
  基礎学力テストは、そもそもの趣旨からすると、生徒の学習意欲の喚起というのがまずあるわけで、当然のことかと思いますが、ただ、その生徒の学習意欲を喚起するためには、やはり指導がどのようになっているのかって、これは非常に重要なポイントであるのは間違いありませんので、今おっしゃいましたように、指導の改善、あるいは評価を考える上での、あるいはまた、先ほどから出ておりました、基礎学力テストの結果をやりっぱなしで返しておしまいではなくて、それに基づいて生徒と話し合う時間とか、そういったことが確保されていくようなありようというのを追求していかなければならないなということを思っております。ありがとうございました。
  では、清水委員、どうぞ。
【清水委員】    ありがとうございます。3ページの上から二つ目の丸のところです。アクティブ・ラーニングの関係のことなんですけれども、今現在、埼玉県においては150校中、大体100校ぐらいの学校から、総勢400名を超える教員が研究開発委員という名前で、三宅先生の知識構成型ジグソー法という型を使った授業研究等を行っております。これは初任者研修等においても活用しているわけなんですけれども、その中で常に言っていることが、ここに書いてあるとおり、その型だけに固執してしまうと、非常に逆に弊害が出てしまうということも心配されるところであるのですが、今ここに書いてある書きぶりだけだと、ある種の型、作法のようなものがあって、それでは深められなくて心配であるというような書きぶりになってしまっているようにも受け取れるかなと思います。
  何事も過ぎたるは及ばざるがごとしなんですけれども、その型だけに執着してしまい過ぎて、ほかが見えなくなってくるような指導方法はよろしくないとは思うのですけれども、こういったものも非常に効果のあることであるということも是非、進めるべき内容かと思いますので、そういったところの書きぶりによって、その活動が止まるようなことがないような書きぶりに訂正いただけるとありがたいなと思います。
  以上です。
【荒瀬主査】    ありがとうございます。
  それこそカリキュラム・マネジメントしていく中で目標設定して、その目標に近付くためといいますか、生徒に力を付けるためにはどういう形がよいのかというのを考えた上で形ができていくというのが望ましいわけで、しかし、型からスタートするというのはどうなのかというのはもちろんあるわけですけれども、両面きちんと見ないといけないということですね。ありがとうございました。
  では、古川委員、よろしくお願いします。
【古川委員】    3ページの「特別な配慮を要する児童生徒への指導等」のところなんですけれども、通級の指導のことを書き込みしていただいているのですが、ややもすると通級の指導だけでやっていればいいんじゃないという意識を持っていくのは危険かなという気がしていまして、そういう意味での、もちろん保護者への理解とか、生徒たちに対する指導ということも含めて書いてあるんですけれども、学級担任あるいは教科担任との、やっていることをどうほかの指導の中に生かしていけるかというところのことを少し、いわゆる学級担任、教科担任との連携ということについて、情報の共有ということについて少し書き込みをしていただくと、学校全体として取り組まなきゃいけない課題だろうと思っていまして、ややもすると通級に行っておけばいいんだよという話にならないような意識で、その連携のことを少し示していただければありがたいかなと思いました。
【荒瀬主査】    ありがとうございます。
  では、松本委員、どうぞ。
【松本委員】    何度もすみません。2ページの「何を学ぶか」というところの三つ目の丸なのですが、「協働的な学びを実現させるためには、論理的に議論できる力が必要」というのはとてもすばらしい文だというふうに思います。その後に、「国語や外国語など」とあるので、ほかの教科もということがここの「など」に入っているのかなと思うのですが、その後に「言葉を扱う教科の中で」というふうにあるので、こう書いていると、国語や外国語だけなのかなというようなニュアンスになってしまうような危険性があるかと思います。これは全ての教科において必要なことだというふうに思いますので、是非、国語や外国語だけにならないようにしていただきたい。特に地歴公民ですね。社会科の授業において扱う内容が、今後18歳選挙権とかいうことになりましたし、今までの教育では社会科の授業で議論を避けていたというようなこともあるかと思うので、是非、社会科の授業などでは積極的に議論をするというようなことを推進するような表現に変えていただければと思います。
【荒瀬主査】    おっしゃいましたように、社会科はもちろんそうですし、全ての教科の活動で協働というのは非常に重要かと思います。
  今のお話でいきましたら、主権者教育をどう進めていくかというのは、高等学校ではこれは現実の問題となってきますので、そこのところも少し厚めに書いて、私たちの議論としてまとめていただくということでお願いをしたいと思います。
  小林委員、どうぞ。
【小林委員】    この中で、カリキュラム・マネジメントのところで書いたらいいのか、あるいは基礎学力テストのところで書いたらいいのか分からないのですが、高大接続のシステム改革会議のところのまとめの中に、高校の質の向上ということで、多面的な評価をしながら、高校の質の向上を図っていくという、PDCAサイクルの図が入っていたというふうに記憶しております。これをここに入れるのかどうかは分からないのですが、PDCAという言葉を使うかどうかも含めて、高校ごとに、学校ごとに目標を設定して、それに対して不断の改善の努力を進めていくというようなものをどこかに盛り込んでいただけたらと思っております。
【荒瀬主査】    ありがとうございます。
  いかがでしょうか。次回で最終回として取りまとめを御確認いただくといいますか、もちろん御議論いただくわけですけれども、それに向けて。
  清水委員、どうぞ。
【清水委員】    6ページの最後のところなのですが、「学校段階間の接続や卒業後の進路」という大きなタイトルを付けていただいていますので、この中で中学校と高校、中高の連携的なもの、高大の接続とあるわけですが、もう一つ、就職についてのことが今、落ちているようにも思いますので、社会に開かれた教育課程という観点から、社会とのつながりを持った進路指導ということの観点も書き込んでいただけるとありがたいなというふうに思います。
【荒瀬主査】    ありがとうございます。
  いかがでしょう。ほかにはございませんでしょうか。
  では、髙木先生から御発言いただきます。
【髙木主査代理】    今、取りまとめということに関して御意見を頂いたのですが、きょう前半の御意見と両方兼ね併せて、大変評価に関しても本質的で、かつ、これからどういう方向を行わなければいけないかという御提案があったと思うんです。御提案を一つ一つお伺いしながら、本当にそうだなと思いつつ伺っていたのですが、それを今度はどう学校の中で具体化していくかという、ここが問われてくるだろうというふうに考えています。特に資料1の1の「現状と課題」の中の、現行の学習指導要領における学習評価ということで丸1、丸2、丸3と、こう書いてある、これを具体的に一つ一つの高校で、一人一人の子供たちに向き合って、これをどうやるかという具体が今後問われてくると、そこのところをどういうふうに示していくかという。さらにそれを、できたら学習指導要領の本体そのものの中で示せることを図っていかないと、具体化がなかなかされないだろう。例えば、国立政策研究所等で現在も出ていますが、「評価基準及び評価基準の在り方等」、これは小中学校は割と読みますが、高校の先生はほとんど、お持ちでもないというような状況もある。そうなると、その辺りの指導要領の具体の示し方というのは今後問われてくる。きょうの御議論を基に、それをどう具体化するかが今後大きな課題かなと思っていますし、そこのところをしっかり私どももやっていきたいと思っています。
  以上です。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。
  今のお話とも関わりまして、先ほど今村委員がおっしゃっていた、現実に、これは高等学校で具体的に進めていく。常に教員側からの視点でもって今、御議論いただいたわけで、これがとても大切なわけですけれども、じゃあ、これを受ける生徒の側からすると、私たちの議論は、当然のことながら教員を通して生徒を見ていたはずなので、生徒にとって意味のあるものにしていかなければならないというふうな基本的なスタンスで表現がされていくといいなということを思いました。
  いかがでしょう。よろしいでしょうか。
  そういたしましたら、少し早めにスタートさせていただきましたということもありますので、いろいろな貴重な御意見を頂戴いたしまして、本日はここまでとしたいと思います。
  これまで頂きました議論をまとめの骨子に沿いまして整理していただいて、それを次回ごらんいただいて、また御議論いただきたいと思いますが、具体的にきょう、御意見頂きませんでしたこととか、もう少し付け加えたいということがございましたら、事務局の方にメールやファックス等でお送りいただきたいと思います。
  では、最後に次回の日程につきまして事務局よりよろしくお願いいたします。
【西川教育課程企画室専門官】    次回は6月27日、月曜日の10時から12時の開催を予定しております。詳細については追って御連絡をさせていただきます。
  また、主査からありましたように、次回を高等学校部会の現時点では最終回とさせていただくことを想定しておりまして、今ございましたように、ペーパー等によりまして意見等を頂ければ準備をさせていただきたいと思っております。
  また、本日の資料につきましては、郵送を御希望される場合は机上に残していただければ、後日お送りさせていただきます。
【荒瀬主査】    それでは、本日の高等学校部会を終了させていただきます。ありがとうございました。

──  了  ──

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