教育課程部会 高等学校部会(第3回) 議事録

1.日時

平成28年6月1日(水曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 東館3階 3F1特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 高等学校の教育課程の改善・充実について
  2. その他

4.議事録

【荒瀬主査】    皆さん、おはようございます。少し時間にはまだあるのですが、委員の皆様がおそろいですので、始めさせていただきたいと思います。
  中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会高等学校部会を開催いたします。本日は、お忙しい中、また少し蒸し暑い中、お集まりいただきましてありがとうございます。
  それでは、最初に事務局から委員の御紹介と配付資料について確認をよろしくお願いいたします。
【西川教育課程企画室専門官】    それでは、今回始めて御出席いただく委員の方を御紹介いたします。浦野光人委員でございます。
【浦野委員】    浦野でございます。よろしくお願いします。
【西川教育課程企画室専門官】    次に、配付資料を確認させていただきます。本日は、議事次第に記載していますとおり、資料1から6-4、その他机上に参考資料を配付させていただいております。不足等がございましたら事務局にお申し付けください。
  なお、机上にタブレット端末を置いておりますが、その中に本部会の審議に当たり参考となる関係するデータを入れておりますので、詳細は議事次第の裏面にあります目次を御覧いただければというふうに思います。よろしくお願いします。
【荒瀬主査】    本日は前回に引き続きまして、高等学校における教育課程の改善・充実について御議論をいただきたいと考えております。
  なお、本日、報道関係者から会議の撮影及び録音の申出がありまして、これを許可しておりますので、御承知おきいただきたいと思います。
  それでは、今日は二つのことについて御議論いただきますが、一つは、高等学校教育を通じて育成すべき資質・能力、それからもう一つは、まとめの文案と高等学校学習指導要領総則の改善イメージ、この二つにつきまして御議論いただきたいと思っています。
  まず一つ目の高等学校教育を通じて育成すべき資質・能力に関係して議論を行いたいと思います。
  それでは、事務局より資料の説明をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。それでは、順次、資料を御説明申し上げます。
  まず、資料の1でございますけれども、これまでも御覧いただきました検討事項、少し記載等を充実させておりますけれども、資料の1、1枚目を見ていただきますと、1ポツ、高等学校教育を通じて育成すべき資質・能力についてということで、括弧が二つございます。(1)高等学校教育を通じて育成すべき資質・能力について、同じでございますけれども、(2)が教科・科目等の構成及び単位数についてということでございます。一つ目の議題といたしましては、この双方について総合的に御議論賜ればと思いますけれども、ちょっと順番が前後いたしますけれども、まずは(2)に関する資料から御説明を申し上げたいというふうに思います。
  主に資料の2-1と2-2、2-3を少し使わせていただきたいというふうに思います。
  まず、資料2-2からでございます。教科等別ワーキンググループ等の議論の進捗状況の中から、この進捗状況自体は、お手元、一番下の方に参考資料3-2、3-3マル1、マル2、マル3とかなり分厚い資料がございまして、これが全ての検討状況をまとめたものでございますけれども、この中から高等学校の新科目関係のものを抜粋させていただいたものでございます。
  おめくりいただきまして、何度も御覧いただいておりますけれども、1ページ目が現行の教科・科目構成でございますけれども、2枚目にございますように、新しく教科・科目構成を考えていくということでございます。少し付け加わりましたのは、数学の科目構成でありますとか、あと一番下に総合的な探究の時間ということで置いてございます。それから、右上に家庭科の構成も少し付け加えさせていただいております。
  3ページ目以降がそれぞれ細かい資料になりますけれども、もう何度か見ていただいている資料もたくさん含まれてございますけれども、3ページ目以降は、国語ワーキングのまとめの全体イメージでございますが、この中に新科目関係の記載が含まれておりまして、これを図示したものが22ページ目の構成でございます。国語の科目構成ということで、論点整理の方向性に沿ってこういう構成でということは既に何度か御覧いただいているところでございます。
  それから、34ページ目が数学の科目構成の見直しということでございます。理数探究の新設に伴い、数学活用の趣旨を少ししっかりとそれぞれの科目に位置付けつつ、科学的な見方・考え方、理科的な見方・考え方と総合的に探究を行うという部分は、理数探究の方でしっかりと受け継いでいくということで、数学活用から水色の矢印が点々で伸びているかと存じます。また、今回、高等学校の数学で統計的な内容を使える統計となるように改善していくということを見込んでおります。そうしたことを含めて、少し内容構成の見直しを行った結果、右側にございますような「新」というような科目構成となっているところでございます。新たな学習内容を追加するというものではございませんので、全体としての単位数は増加しない見込みでございますけれども、例えば各科目の中にしっかりと数学的なものを活用する場面を充実したり、先ほど申し上げた統計ということの充実を図ることの一環で、このような見直しが検討されているところでございます。
  それから、理数探究についてはもう既に何度か御覧いただいておりますけれども、44ページ目にございますような様々な事象を数学的な見方・考え方、あるいは理解における見方・考え方を豊かに組み合わせて探究していくということでございます。その探究の過程をしっかりと重視していくということでございます。
  それから、家庭科でございますけれども、おめくりいただきまして、78ページ目に家庭科の改訂の方向性ということでございます。78ページ目の左側に生活デザインも含めた3科目と今なってございますけれども、生活デザインにつきましては履修率が低いというようなことも受けまして、右側にございますような2科目ということでの再編を検討しているところでございます。
  それから、外国語科につきましては97ページ目にございますような、既に御覧いただいた4技能統合型の科目、それから発信能力を高める科目ということの2本柱で考えていくということ、また、地歴・公民につきましても既に御覧いただいていますが、124ページでございますけれども、地理総合、歴史総合、公共というものの共通必履修科目の新設ということで共通性を明確にしつつ、選択科目の見直しも図っていくということでございます。
  また、152ページに情報科の新科目ということで、情報1ということで問題解決に情報技術をしっかりと活用できるようにしていくということを共通的に育んでいくということ、これら全体をまとめたものがこの資料の2ページ目の全体の教科・科目構成ということになってくるわけでございます。
  また、加えまして、産業教育ワーキングにおきましては、後ろの方の資料の3-3の丸3というものがございまして、かなり資料がいろいろで恐縮でございますけれども、3-3の丸3の91ページ目を御覧いただきますと、ここは農業科から始まっておりますけれども、それぞれの専門学校におきまして、右側におけるような現代的な課題を踏まえた科目構成、あるいは指導内容の見直しということをそれぞれ図るということで、91ページ目以降のような資料としておまとめをいただいているところでございます。
  こうした新科目の構成の在り方ということを踏まえながらということでございますけれども、資料2-1を御覧いただけますでしょうか。
  資料2-1でございます。教科・科目構成及び単位数についてということでございますけれども、論点整理で示されましたのが、論点整理の方向性に沿って必履修科目・教科の改善ということ、教科・科目間の可視化、共通必履修科目の設置や科目構成の見直し、選択科目や専門科目についての現代的な課題を踏まえた内容の改善ということでございます。その検討の精査が先ほど御覧いただいた構造ということになるわけでございます。
  単位数の現状につきましては、1ページ目中ほどから下においてまとめさせていただいているとおりでございまして、履修の現状等については2ページ目に資料を付けさせていただいておりますけれども、3ページ目にこうした新たな科目の設置等を踏まえた教科・科目の構成及び単位数についてということで御議論を賜ればというふうに思っております。
  まず、卒業までに修得させる単位数につきまして、これは現行の74単位を変える必要があるという状況ではないのではないかということで、引き続き74単位ということでどうかということ、それから、必履修科目の在り方につきましては、先ほど御覧いただいたような構成ということで、高等学校教育を通じて育む共通的な力ということをしっかりと共通必履修科目、あるいは選択必履修科目を通じて育んでいく、そして単位数につきましては、現行を全体の構造として維持していくということでございます。
  また、選択科目の単位数につきましては、御覧いただいた丸1、丸2、丸3のような視点を踏まえて単位数を定めるというような共通の方向性を持っていってはどうかということでございます。
  そうしたことを考えていただく際には、資料の2-3にございますような、資料の2-3は少しいろいろな学校の科目構成をモデル化したものでございますけれども、1ページ目、2ページ目が、主に大学進学希望者の多い普通科文系の履修パターンでございます。濃い青い部分が必履修、黄色い部分が学校が定める必履修となってございますけれども、選択科目、そして赤い部分が学校設定科目ということでございます。学校設定科目は主に選択科目の部分に活用されている部分でございますけれども、それから、まだここには出てきてございませんけれども、水色の部分は専門科目、白い部分が選択科目ということでございます。
  そして、3ページ目、4ページ目が主に理系の履修の現状でございます。
  それから、5ページ目、6ページ目が主に就職を希望する生徒がおる普通科の履修イメージの現状でございます。
  そして、7ページ目、8ページ目がそれぞれの専門学科ごとに、履修イメージの現状を少しモデル的に示させていただいたものでございます。9ページ目まで続いております。
  それから、10ページ目が総合学科でございます。白い選択履修の部分は行ってございますけれども、総合学校の履修イメージ、そしてその下の部分が主にチャレンジスクールでありますとか学校設定科目等により学び直しを行う履修のイメージの現状でございます。お伺いしたところ、幾つかいろんな工夫がされておりますけれども、例えば一番上のように、学び直しの基礎科目を学校設定科目として設定した上で必履修科目を履修していくというようなパターン、あるいは真ん中のように、教科を超えた、教養ということにここではなってございますけれども、学校設定科目を設置して必履修科目と併せ履修していくパターン、一番下のように数学のみに学び直しの学校設定科目を設定しまして履修していくというようなパターンがございますということであります。
  こうしたことも踏まえながら、単位数の在り方について忌憚のない御意見を頂ければというふうに思います。
  それから、資料をお戻りいただきまして、資料2-1の3ページの下の部分でございます。理数探究の新設に伴う総合的な学習の時間及び専門学科における課題研究との関係についてということでございます。これにつきましては図示したものがございますので、先ほど御覧いただいた資料2-3の11ページを御覧いただけますでしょうか。
  11ページ目でございますけれども、理数探究の新設に伴いまして、探究ということの関する科目がまた一つ生まれてくるということになりますけれども、その際に総合的な学習の時間と課題研究、理数探究の関係については既に少し御議論もいただきましたが、これらは自分たちの、高校生自身のキャリア形成の方向性と関連付けながら様々な見方・考え方を統合的、総合的に活用して探究していくということ、小・中・高の探究活動の総仕上げということで、自分の生き方やキャリア形成の方向性と、そうした探究を行うということをしっかりと関連付けていくということ、そしてそれを自分の人生や社会作りに生かし、また生涯学び続けるということにもつなげていくというような総仕上げ的な科目としての位置付けがあるのではないかということでございます。
  一つには、こうしたことを踏まえまして、高校部会においても御議論いただいたように、総合的な学習の時間を理数探究の創設等も踏まえながら、総合的な探究の時間ということで高等学校においては名称を考えていってはどうかということをワーキングにおいて御議論をいただいております。
  また、こうした3者がそれぞれの高校生のキャリア形成の方向性に沿わせながら存在していくということ、比較的、科学的な分野におけるキャリアということを志向するということでは理数探究ということになってまいりましょうし、専門分野におけるということでは課題研究を通じてということ、また、幅広く総合的な探究の時間を通じてということという、これら3者の共通性とそれぞれの意義ということを踏まえながら検討していくということが必要であろうかと思います。
  そして、科目構成の全体像といたしましては、それぞれしっかりとした意義をしっかりと実現していただく必要があるわけでございますけれども、これら3者については相互に読み替えということができるように考えていってはどうかというようなことが議論されているところでございますので、御意見を頂ければというふうに思います。
  また、資料2-1の4ページ目でございますけれども、総合的な探究の時間におきましては、共通に活用できる教材の開発を考えていくということでございます。理数探究につきましては教科の中の科目でございますので、特に理数探究の基礎部分につきましては教科書が用意されるということを想定しながら議論を進めているところでございます。総合的な探究の時間につきましても、教科書というわけではございませんけれども、共通に活用できるような教材の開発ということを考えていってはどうかということでございます。
  また、(4)専門学科における各教科・科目の履修についてということで、先ほど見直しの方向性を御覧いただきましたけれども、ポツ三つございますような点について引き続き現行と同様の取り扱いということで考えてはどうかということでございます。
  以上が、少し幅広になりましたけれども、資料1の(2)の教科・科目構成ということについて主に触れさせていただいたものでございます。
  それから、(1)の資質・能力についてということでございますけれども、資質・能力につきましては資料の3にございますように、まだ中身はこれから検討した上で入れさせていただいて御相談をさせていただければというふうに思いますけれども、幼児期に育む10の姿ということが小学校、中学校、高等学校、それぞれ三つの柱に沿ってということになりますけれども、資質・能力の全体像ということを明確化し、積み上がっていくということをしっかりと示していってはどうかということでございます。これが全体像でございます。
  また、そうした中で少しキャリア教育について既に幾つか御議論をいただいているところでございます。資料2-3の18ページ目を御覧いただけますでしょうか。
  資料2-3の18ページ目でございますけれども、キャリア教育における資質・能力の在り方、それからカリキュラム・マネジメントということが極めて重要になってまいりますが、キャリア教育の、まず中教審で示されている基礎的・汎用的能力というものと、今回の論点整理の資質・能力の三つの柱の関係性ということを示したものでございます。基礎的・汎用的能力は四つの能力でございますけれども、これを統合的に捉えながら三つの柱で分類していきますと、この下半分にございますような、知識・技能としては、学ぶこと・働くことの意義の理解等々。思考力・判断力・表現力等としては、問題を発見・解決したり、多様な人々と考えを伝え合って合意形成をしたり、自己の考えを深めたり表現したりすることができる力。あるいは自分ができること、意義を感じること、したいことを基に、自分と社会との関係を考えキャリアを形成していくこと。学びに向かう力・人間性としては、キャリア形成の方向性と関連付けながら成長のために学びに向かう力といったこと。キャリア教育の文脈においては、こうした三つの柱の資質・能力が必要ではないかということの整理をしたものでございます。
  また、これを教育課程全体の中でどのように育んでいくかということ、19ページ目でございますけれども、もちろん各教科の学びも直接的に関わってくる、今回、公共も整理していただいておりますので、公共における学びと自分が働くことの意義ということをつなげていくということも重要であるということ、そして、総合的な学習の時間、小・中においては道徳というものもございますけれども、それぞれの意義の中で関係付いてくるということ。そして、今回、特別活動におきまして、特にキャリア教育の位置付けということの明確化を御議論いただいております。
  20ページ目が特別活動の内容の構成の現在の改善イメージ案でございますけれども、現在、ホームルームや学校の生活作り、適応と成長及び健康安全、学業と進路という学級活動の構成を少し見直しまして、右側にございますような(1)、(2)、(3)ということでございます。(3)につきましては、一人一人のキャリア形成と実現ということで位置付けていってはどうかということ、そして、その中でキャリアカルテなどを活用しながら、自分の学びと自分のキャリアの関係性について振り返るという時間をしっかりとホームルームの中で位置付けていくということを指導要領上も明確にしてはどうかという御議論をいただいているところでございます。もちろん特別活動のみにおいて行うことではございませんので、こうしたことと他教科との学びがしっかりとつながって、キャリア教育が全体として実現できるというような方向性、あるいは各学校において設定する資質・能力に基づくカリキュラム・マネジメントということが極めて重要になってこようかと思います。
  それから、21ページ目、22ページ目はアクティブ・ラーニングについての現象でございます。
  23ページ目は、産業社会と人間について抜粋させていただいておりますけれども、特に総合学科におきましては選択科目が多くなってくるという中で、先ほど申し上げたような各学校がしっかりと設定する資質・能力の育成に向けたカリキュラム・マネジメントということが総合学科においてはさらに強く求められてくるということも考えられるところでございますので、そうしたことも踏まえた総合学科の在り方、産業社会と人間という科目の在り方についても併せて御議論いただければというふうに存じます。
  少し情報量が多くて恐縮ですけれども、最後に資料4に基づいて、通級による指導について、西川より御説明をさせていただきます。
【西川教育課程企画室専門官】    失礼します。幅広くなって恐縮ですが、資料4、高等学校における「通級による指導」について御説明をさせていただければと思います。
  本件については、特別支援教育部会におきまして御議論いただいておりまして、それのまとめも踏まえて、本部会においても御確認いただき、御意見を頂ければというふうに思っているものでございます。
  1ページおめくりいただきまして、通級による指導とは、そもそもということについて、2ページの部分で御説明できればと思います。
  現在、小・中学校におきまして、通常の学級に在籍をしている障害のある児童生徒に対して、普段の授業については通常の学級で行いながら、一部の授業について、通級指導教室という別の教室において授業をするということをしております。その授業の時間としましては週1から8単位時間となっておりまして、LD・ADHDについては月1から週8単位時間程度というふうに定めております。これは特別の教育課程を編成することによってできるというような仕組みを設けております。小・中学校については平成5年度に制度化をしているところでございます。
  実際の指導、内容につきましては、特別支援学校小学部・中学部の学習指導要領を参考にして、いわゆる自立活動の内容というのを取り入れております。障害による学習上又は生活上の困難の改善・克服を目指した指導ということになりまして、個々の児童生徒の障害の状況に応じて具体的な目標であったり、内容を定めて学習活動を行っております。現在、小・中学校の通級による指導を受けている児童生徒数、年々増加をしておりまして、平成27年度には約9万人という状況になっています。
  こうしたことを踏まえて、課題としましては、中学校卒業後におきまして通級による指導が制度化されておりませんので、障害のある生徒の学びの場というのは、高等学校に関係しては通常の学級、若しくは特別支援学校の高等部に限られているという状況があるのではないか、この点を課題というふうに考えてまいりました。
  実際に通級による指導というものを高等学校においてやる場合、具体的にどういうことができるのか、研究指定校におきまして実践的な研究開発をしてきているところでございます。
  3ページが1例でございます。対象生徒の確認の流れとしまして、まず観察・チェックリストによって実態把握をする、これは主に学級の担任が行うことが多いです。自立活動の視点で実態把握をしていく、これには特別支援教育コーディネーターも関わっていただきながらやっております。対象生徒を検討していく、その上で保護者への説明・合意確認をした上で、学校側としてどの生徒が通級の指導を受けるのかということを決定していくという流れをとっております。
  具体的指導の実践例ということになりますが、4ページを御覧いただければと思います。生徒の障害や特徴に応じてそれぞれによって異なる指導をしていきますが、例えばこのケースだと生徒A、B、C、それぞれ違う学習上、生活上の困難があるというふうにしたというふうにした場合に、その生徒の状況を収集した上で、自立活動には6区分26項目というものが整理されておりますので、そういったものを参考にしながら具体的な指導をしてまいります。例えば生徒Aについては、他者の意図や感情を理解する手掛かりとなるスキルを高めるであったりとか、生徒Bについては、対人場面におけるストレスや緊張への対応を身に付けるといったこと、こういったものをそれぞれの生徒の状況に応じて指導していくということになります。
  先ほど小学校については週1から8コマというふうに申し上げましたけれども、高等学校においてどの程度実践研究としてやられているのかということで、5ページを御覧いただければと思います。こちらの例は週2単位時間を使って、年間70単位時間を通じて指導しているケースでございます。このケースは自校での通級というふうになりますけれども、目標としては、御覧いただいていますとおり、個々の生徒が自立を目指して、障害による学習上又は生活上の困難をどのように克服していくか、そのために必要な知識、技能、あるいは態度だったり、そういったものを育成していくというものでございます。週2単位ということになりますので、月によって時間数が異なってきますけれども、教室における指導であったりとか、さらには自分で発表するといったことも含めて、コミュニケーション能力の育成ということをしている例でございます。
  こうした実践例も踏まえまして、教育課程上の位置付けということについて特に御確認いただきたいというふうに考えております。6ページでございます。基本的な考え方としましては、小・中学校と同様というふうにしたいというふうに考えておりまして、その中で特に高等学校については単位の在り方という関係で整理が必要だというふうに考えております。
  まず、教育課程といたしましては、特別の教育課程の編成ということになりますので、通級による指導を高等学校の通常の教育課程に加えて、又はその一部に変えることができるというふうに位置付けるという方向。
  単位につきましては、単位の履修・修得、卒業認定について、それぞれ四つほど整理をしております。まず、生徒が学校の作成する個別の指導計画に沿って履修をして、その成果が個別に設定された目標から見て満足できると認められた場合には、通級による指導について履修した単位を修得したことを認めていく。通級による指導に係る修得単位数については年間7単位を超えない範囲で卒業認定単位に含めることができる。これは中学校の時数と同程度にする考え方でございます。また、実際の運用を考えた場合に、通級による指導についても、2年以上の年次にわたって授業時数を合算して単位認定を行うことができるようにする必要があるだろう。また、学期の区分で単位認定をしていくということもあるかと思っています。これは現行の他の教科科目においても同様な扱いをしております。さらに、高等学校の生徒指導要録におきましては、通級による指導の時数、あるいは期間、指導内容、修得した単位数について記入していくというふうにしてはどうかというふうに整理をいただいております。
  なお、必履修教科・科目等の関係につきまして、通級による指導については、必履修教科・科目及び総合的な学習の時間、また専門学科における全ての生徒に履修させる専門教科・科目、あるいは総合学科における産業社会と人間のそれぞれ科目を変えることはできないというふうにする必要があるというふうに考えております。
  また、全日制、定時制、通信制の課程においては、いずれの課程にも進学していることが想定されますので、全ての課程において制度化をしていくという方向で御議論いただきたいところでございます。
  以下、参考資料として、現在の通級による指導の規定、あるいは生徒数の状況等について添付をさせていただきました。よろしくお願いをいたします。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。大変資料も多いですし、あちらこちらに忙しく動いていただいていたかと思いますが、御意見を頂戴したいと思います。大変たくさんありますので、今お話いただいた資料に基づく御議論は大体1時間程度ということを考えております。最後御説明いただきました高等学校における通級による指導についてというのは、基本的にこういった方向で動いていくということでありますので、このことにつきまして、まず御意見がございましたら頂戴しまして、あとその他の内容について話し合えればと思いますが、通級指導に関しましていかがでしょうか。
  どうぞ、中井委員。
【中井委員】    通級指導については、小・中学校にあって高校にないというところで、小・中の通級、発達障害への対応というのが強化されている中で、高校の部分だけが抜け落ちているということについては、教育課程全体を通しても非常に違和感があるところなわけですが、保護者や生徒自身からもそういった声があるということで、しかしながら、なかなか高校の教育現場においては今までやってきていなかったということで、教材もしかり、それから指導者については、さらに、非常に手探り状態で、実際に通級を設定していくということについては、それなりにしっかりした時間と人材、教材を準備していかないとなかなか満足な受け入れ体制ができないというところがあって、その点について、文科省さんの方にサポートをしっかりとお願いできればというふうに思っております。必要性については論を待たないと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。では、橋本委員、どうぞ。
【橋本委員】    ありがとうございます。きょう、大杉室長から御説明があって理解をしたところなんですけれども、資料2-2の……。
【荒瀬主査】    申し訳ありません。通級指導のことではなくて。済みません、じゃ、ちょっと後ほど。通級指導につきまして、まだ……。
  では、髙木先生、どうぞ。
【髙木主査代理】    失礼します。今、中井委員が言われたように、実は神奈川県では、高校改革の中にインクルーシブ教育を主とした高校を作ろうとしております。それから現行も、学習になかなかついていけない子供たちの学校が3校できておりまして、そういう中で、さらには特別支援学校が足りない部分、分教室という形で支援教育をその中に入れております。現状を見ますと、やはり今、中井委員が言われたように、どうしても通常級の教育が主に置かれていて、例えば分教室でも交流授業とか交流学習を多くやるようにということを言われているんですが、なかなか実態的には、文化祭とか、体育祭とか、そういった行事的な部分でしかの交流が行われていない実態が多くあります。小・中学校へ行きますと、取り出し指導であるとか、学習面に関しても一緒にやっているケースが随分ありますので、ここは高等学校の先生方の意識改革、どういうふうにこういった障害のあるお子さんたちと向き合うかということ、これをきちんとやっていきませんと、特に研修面も今まで以上に是非行っていただいて、大変いいことですので、是非定着するような形でこれが実行されることを期待しております。
  以上です。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。
  はい、古川委員、どうぞ。
【古川委員】    失礼します。私、長崎県の教育センターにおりました関係で、長崎県の取組を御紹介したいんですけども、実態を把握してみますと、文科省で示されたような数の子供たちが高等学校に上がってくるわけです。現実的に98%の子供たちが高校に進学するわけですから、となると小・中学校で言われている、いわゆる6.5%のうちのほとんどの子供たちが上がってきます。その中で学校として高校でどうそういう子供たちの対応をしていけばいいのかということで、数年前から各先生方の研修を含めて、ずっと先生方に教育センターを軸として研修を含めて先生方の、いわゆる組織としてまず動かなきゃいけないよという話の中で先生方に研修をしていきながら実際取り組んできたわけでございますけども、それで一定の校内委員会を開いて、サポートをする、通常学級の指導の中での配慮であったりとかいうことを、先生方に御苦労していただきながら対応してきていただいているところがございます。そういう意味で、先生方の研修ということで、学校全体で取り組まないといけない問題なので取り組んできているんですけども、ただ、どうしてもそれだけは充足できない子供たちが、現実問題として、今、通級の子供たちがかなり増えてきているわけですよね。小・中学校合わせて9万人という今数が出ましたけども、中学校はもう少し数は少ないんですけれども、実際に通級を受けて高校に上がってこられる子供たちがいるわけで、その子供たちが来たときに、通常カリキュラムをこなしていく上でも、どうしても特別な指導というのが必要になってきます。そういったことをきちっと枠として作ってあげないと、全体で見ていく必要もあるんですけども、それプラス、そういったフレームを作っていかないと、なかなか今から対応できない子供たちがまた増えてくるんじゃないかなというふうに思っておりますので、是非そういう通級、中身につきましては、子供たちが、教育課程上は普通の教科と言われている通常学級の教科で履修できるとしても、対人関係上の問題があったりとか、コミュニケーションに問題があったりということで、そこの中でほかの子供たちとうまく関係性がとれないという部分があったりとか、授業の中、少し認知面で問題があるというのがありますので、そういうのは通常学級の中でだけはカバーできないところがあります。そういうことを是非、通級というフレームの特別な指導の枠ということで、軸になるのは、自立活動の指導が軸になると思うんですけれども、そういった指導をしていくようなフレームを作って、そこでしたことが通常学級の中で生かしていくようなことも含めて必要だと思うんですけれども、そういったことの時間の通級の指導というのは、今、高校でも同じように必要になってくるんじゃないかなというふうに思っています。平均的に大体1時間から2時間ぐらいの、2単位ぐらいの数になってくるかと思うんですけれども、想定されるのは中学校で1時間から8時間といって、高校では7単位ということで今示してあるんですけれども、現実的な状況としては、それは子供さんのケースによって違うので枠は幅広にとっていただいて結構だと思うんですけれども、1時間とか2時間ぐらいの時間が比較的多いんじゃないかなと思いますけれども、そういったことで必履修教科科目としては必要な科目があるので、それとは並行しては無理だと思うんですけれども、選択教科的な入れ方をするなり、あるいは週の時間外に、放課後等にとるなりという形で工夫はあるかと思うんですけれども、そういった形で是非入れていただきたいなというふうに思っているところです。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。この件、橋本委員、どうぞ。
【橋本委員】    ありがとうございます。実は大学でもこのような課題が先生方の間でも様々討論されているような時代になっておりまして、こういう通級による指導の考え方というのは非常に重要だというふうに思うわけですけれども、実際問題として、よく課題になりますのは、保護者の理解ということで、個別のそういうふうな、どのような教科・科目をとっていくかということで、そのハードルが一つあるのかなということを感じております。それから、実際問題として、そういう指導の時間割をどのように入れていくかというのは、タイトな高等学校の教育課程の中でなかなか難しいという問題がありまして、この辺を具体的に実践されている例などがもう少し紹介されるといいのかなというふうな理解でおります。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。よろしいでしょうか。はい、どうぞ。
【松本委員】    この点については現状をよく分かっていないんですが、今のお話を聞いていると、各年次に5~6%の生徒さんがこういう状態で、かつその数が増えているということですね。であれば、この子たちをどうするかも大事ですけど、その他の生徒がこういうお子さんたちとどう触れ合うのか、助け合うのかという指導がかなり重要になると思います。髙木先生が先ほど神奈川の例を出されましたけども、そういう指導についてもかなり真剣に考えていく必要があるのかなという感想です。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。もちろん皆さんおっしゃいますように、大変重要なことであることは間違いないわけでありまして、この御説明のあった方向で進めていただくということに異論は当然ないかと思うのですが、具体的には、中井委員からもありましたように、条件整備とか、あるいは髙木委員がおっしゃったように研修をどうしていくのか、そして教員のきちっとした対応をどんなふうにして実現していくのか、あるいは保護者の理解、それからまた、生徒全体ですよね。最後、松本委員もおっしゃいましたけれども、そういったことを含めて、先行例というんでしょうか、具体的にやっていらっしゃるところでの、よい例もそうですし、どんなところでいろいろと課題があるのかといったようなことも含めて、丁寧にやっていく必要があろうかと思いますので、よろしくお願いいたします。
  この件、一旦ここで、じゃ、お願いいたします。
【太田特別支援教育課課長補佐】    特別支援教育課の太田と申します。きょうは貴重な御意見を賜りましてありがとうございます。ちょっと補足をさせていただきたいと思います。
  この高校における通級による指導につきましては、別途、協力者会議を立ち上げて、これまで議論してきたところでございます。13ページ、14ページにその資料を載せさせていただいております。本日は、特に通級による指導に係る教育課程の部分について御議論いただきましたが、この協力者会議におきましても、そういう通級による指導を行うためには指導体制ですとか、そういったものが非常に重要だということがございます。ということが取りまとめられてございます。文部科学省といたしましては、一番最後の14ページに掲げさせていただいておりますが、平30年度からこの制度を実施したいというふうに考えておりますが、それまでに各国公私立含めまして、高等学校の現場におきまして円滑に実施できますよう、現在行っておりますモデル事業の成果などをきちんと分析して、こういった取組をすれば取り組みやすいですとか、校内の体制ですとか、学校を支える体制ですとか、教員の指導力の向上ですとか、そういった事例を収集して各学校の参考にしていきたいというふうに思っておりますので、着実に進めていきたいと思っております。
  また、先生から御案内があった障害のない子供たちとの交流を通じた障害者理解ということも非常に大事な観点だと思っておりますので、そこもしっかり進めていきたいとうふうに思っております。
  以上でございます。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。養成段階も含めて、本当に受け入れ側がきちっとできないと、いいものを作っても中身が入らないというのは本当に困ることですので、よろしくお願いいたします。
  それでは、この件につきまして、はい、どうぞ、清水委員。
【清水委員】    済みません、遅くなりまして失礼しました。
  今、資料4の6ページを見ていたところなんですけれども、卒業認定等に関わることと、丸2のところと丸3のところなんですが、通級指導に係る修得単位数は年間7単位を超えない範囲で卒業認定単位に含めることができるというようなことと、その下に、私、工業高校におりますものですから、どうしても丸3の二つ目のポチのところ、専門学科、特に職業においての生徒について、これが変えることができないという項目の中に、全ての生徒に履修させる専門教科・科目という書きぶりがございますので、今の専門高校の多くは大体25単位は下らないということで専門科目の学習を行っています。基本的にかなり厳しい状況の中で今行っていますので、これを変えることができないということになると、この科目はしっかりとっていくということになっていくと思いますので、その場合、一番気にするのが、特に大型の産業機械を使ったりだとか、どうしてもけがをする危険性のあるもの、そういったものだとかがかなり工業高校の場合には設置されている。ほかの学科もそういったものはあると思うんですけども、そういったものに取り組む場合の、かなり人の手を必要とするのではないのかなということだとか、先ほどの研修も重要なんですけれども、そういった配慮をしていただかないとなかなか厳しい面がある、子供たちのけがだとか、そういったことにちゃんと着目をしていかないと、安全面のことを配慮していただく必要が出てくるのかなと思いますので、制度そのものは非常によい話だと思いますので、そういったところの観点のこともお願いできればありがたいなというふうに思いました。
  以上です。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。大変重要なお話です。よろしいでしょうか。
  はい、黒上委員、どうぞ。
【黒上委員】    余り詳しくないのですけど、小・中学校においてこういう話は授業のユニバーサルデザインと多少手垢の付いた感じがしますが、そういう言葉で先生方の授業改善という形でいろいろ取り組まれていると思うんですけど、高等学校ではほとんど見ない感じがするのです。制度が整ってから、もっと先の話かもしれないんですけど、先生方がそれぞれ自分のクラスで、全員の子供が分かるようにするという授業改善をするというような授業研究そのものが余り高等学校で行われていないということを、多少なりとも改善していっていただくという視点で、そこに必要であればICTをふんだんに使うというようなこともからめて、方向性を何か示していただくといいのではないかなというような気がいたしました。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。もちろんこれは通級指導のことですけれども、個々の生徒へのどういうふうに丁寧に対応していくかというのは全体にも関わる話でありますので、よろしゅうございますでしょうか。
  では、また御意見ございましたら後ほど言っていただくといたしまして、それでは、この件は一旦ここで切らせていただきまして、最初に御説明のありました単位数のことなんですけれども、このことにつきまして御意見をと思いますが、橋本委員が先ほど。
【橋本委員】    ありがとうございます。室長からの御説明で理解をしたところですけれども、資料2-2の、1枚めくっていただきまして、高等学校の教科・科目構成についての案のところでの家庭科の色の付け方なんですけれども、私は技術・家庭ワーキンググループに所属しておりまして、そこの議論のところでは、先ほど御説明があったように、4単位科目の家庭総合と家庭基礎を共通科目として置く。これまでも選択必履修というような形で、学校によっては4をとる学校、2をとる学校があるという現実で、最小限は2であるという認識は同じでございますが、そういうことからすると、これはブルーが二つ付いて、そこから選ぶということなのではないかなというふうに思っております。私の認識が違っているかどうかということを御質問させていただきます。まずとりあえず。
【荒瀬主査】    いかがでしょうか。
【大杉教育課程企画室長】    私どものミスでございます。大変失礼いたしました。ブルーで横並びというのが正しい姿でございます。
【荒瀬主査】    続けて、どうぞ。
【橋本委員】    ありがとうございます。前回までの議論の中でコアの考え方、進路にかかわらず共通に学ぶべきものということで、共通性の確保というところでは、深い学びまでを含んだ、思考・判断・表現力も含んだ、そのところもきちっと共通性として学ぶんだということであります。一方では、教育内容は減じないでやるということは大変ありがたい考え方ではありますけれども、家庭科について言えば、社会の要請も大変ありまして、例えば乳児との関わりとか、高齢者の生活支援についても踏み込むべきだというようなこともありまして、この必履修ということがうまくはまるのかなということが一つ思っております。
  それから、家庭基礎は現実に6割を超えて7割近い学校が履修しているという現実がございますけれども、一方で、2単位に、本来とは違うのですが、専門科目としてフードデザインとか子供の発達と保育というようなものを加えて履修をしているという現状もございますので、それはその学校の実態に応じて様々な履修が考えられるという点ではいいのではないかというふうに考えています。
  以上です。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。単位数と言いましたけれども、全体の単位数を74単位以上とするということにつきましても、この件は各教科のワーキンググループで具体的に取組も行われていまして、基本的には妥当な線かなと思うんですけれども、そういったこととか、今のような教科・科目のこととかも結構でございます。それからまた、それ以外に資質・能力の話も出ていますので、それと教科・科目との取組と全体像というのは非常に深く関わっておりますので、御意見ございましたらお願いいたします。
  吉田委員、どうぞ。
【吉田委員】    ありがとうございます。私、前にもお話ししたんですけども、先ほどの2-2の資料の時間割といいますか、構成の件なのですけれども、現在の高等学校の単位数等はこうやって細かく出ております。新しい高等学校の教科・科目構成について、先ほど橋本委員からお話があった表ですけども、これで見ていった場合に、選択科目の在り方というか、例えばの話、今、共通必履修がそれぞれ何時間ぐらいになっていくものなのか、そして選択必履修がどうなのか、また、たしか前に出た資料のときには、数学の細かい科目とか物・化・生・地等については理数専門学科においては云々というようなことが書いてあったような気もしたのですけれども、それがなくなってきていますけれども、そういう中で、大学サイドが今度どこまでのものを望んでくるのか。逆に、それによって受験に対しての思考力云々というようなことを言ったときに、従来どおりの科目がたくさんあるので、そういったものがどのように子供たちが勉強していかなくてはいけないのかというのが分からないのですね。今回の進捗状況にも、理数探究ができたことによって、数学とか理科の細かい科目というのがどうなるかということは余り具体的にも出てきていませんし、そういう意味でも、変化というものがどういうふうになっていくのかなというのが、1点質問でございます。
  それと55ページに、これは理数探究のところの諸条件の整備についてで、必要経費の確保という言葉がここでだけ出てきているのです。ほかの教科はみんなICTの整備とか云々とかいうようなことが書いてありますけども、こういう費用の問題とか、そういうこともしっかりと含めていきませんと、学習指導要領がただぽんと変わって、こういうものを使って、こういうことをやりなさいと言われても、公立学校はできるかもしれませんけれど、私立学校の場合には保護者負担がどうなるのかということも考えなくてはいけないので、やはりこれを変えるときには、是非それをしっかりとしていただきたい。
  総合単位数74単位というのを変えないのだとすれば、この74単位をどういうふうに振り分けるかという表を早く出してみていただきたいなという思いでお願いがございます。
  以上です。
【荒瀬主査】    御質問、御要望もございましたが、御質問につきまして。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。共通必履修科目につきましては、先ほどの論点ペーパーにも少し書かせていただいておりますけれども、選択必履修、共通必履修それぞれの教科の中で必要な単位数が変わらないようにするというような方向性でいかがかということでございます。例えば、国語総合4単位が現代の国語と言語文化ということに論点整理を踏まえてなっていくということでございますけれども、トータルが4単位を超えるということではなく、足し上げて現状と同じ4単位ということで考えていってはどうかというようなことでございまして、それぞれの教科の中で共通必履修科目の単位数が変わるということではないというようなことでいかがかということが、先ほどの論点の資料2の3ページで御議論いただきたい内容として提示をさせていただいております。選択必履修科目につきましては、これは高大接続の文脈の中でもこちらの状況をお伝えしながら進めておりますけれども、多様性ということの中でこれらの科目ということになっているということ、また、先ほど資料2-3、1ページ目以降、それぞれの多様な進路ということと、高校のカリキュラムということの関係を御覧いただいたところでございますけれども、その中で黄色の部分のような選択科目に基づき各学校がカリキュラムを組んでいくということでございますけれども、この中で大きな負担になる。先ほど数学も全体としては単位数を増やさないということでございますけれども、そうした意味で、基本的に現行の単位数をベースに考えていくということでいかがかということが、先ほどの資料2-1の3ページとしてお諮りをさせていただきたいということでございます。
  それから、先ほどの必要経費の部分、御指摘をいただきました。諮問において、諮問がもともと3本柱でございまして、三つ目の柱、指導要領の在り方のみならず指導要領の理念を実現するために必要な条件整備についても併せて御議論いただきたいというのが諮問の趣旨でございますので、こうしたことも含めて審議まとめ及び答申にしっかりと含められるように、ワーキングにおいても各ワーキングのまとめの中で触れていただいているような、一応、状況報告としてはそのようなところでございます。
【荒瀬主査】    はい、どうぞ。
【吉田委員】    ありがとうございました。僕がお尋ねしたいのは数理のところなのですけれど、理数探究が入ることによって、そうすると単位数がどうなってくるのか。それから、数理一緒になるのに、また逆に物・化・生・地・科学と人間生活というのを選択していくという、その辺の具体的なことというのは、ちょっと私もまだよく読み込んでいないので申し訳ないのですけれど、よく分からないので教えていただきたいのですけれど。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。理数探究自体が、先ほどの資料で申しますと44ページ目以降にございますように、自分で課題を見いだして、それを探究していくという時間でございまして、教科書ベースに内容と学習を組み合わせながらという通常の……。
【荒瀬主査】    資料2-2ですね。
【大杉教育課程企画室長】    済みません。失礼いたしました。資料2-2の44ページ目以降が理数探究の詳細でございますけれども、みずから問いを見いだして、それをしっかりと探究して、それをまとめて上げていくという、ある意味、プロセスを大事にする科目でございますが、内容的なことと学習面を組み合わせていくという通常の数学の科目、理科の科目とは少し異なる部分であろうかと思います。探究をしっかり深めていくという部分、それを踏まえまして、もう一度同じ資料の1ページ目を御覧いただけますでしょうか。
  そういったことを踏まえまして、同様の趣旨を有する数学活用というもの、それから理科の理科課題研究というもの、これらは廃止をいたします。そして、数学の学び、理科の学びということをしっかりと土台としながら探究を深めていくというようなものとしての位置付けでございます。そういう意味では、2ページ目を御覧いただきますと、そうした総合的な探究の時間も探究する能力を育むための総仕上げと下の方に書いてございますけれども、同様に理数探究も科学的に探究する能力を育むための総仕上げとしての位置付けということでございます。
  一方、科学と人間生活につきましては、基礎科目として身近な生活と理科の学びということを結び付けながら学習していくという、理科の科目の中の位置付けというようなことでございまして、このような整理をしっかりと分かりやすくお伝えしていくように工夫したいと思います。
【荒瀬主査】    はい。
【吉田委員】    ということは、1年生で数1や物・化・生・地等をやって、理数探究というのは3年生とか2年生でやるということですか。
【大杉教育課程企画室長】    理数探究、基礎部分と本当に自分で探究を見つけて探究する部分という、2段階の構造ではないかということになっておりまして、そうしますと、例えば2年生、3年生でやるということも考えられますし、基礎部分を理科の学び、数学の学びと併せて1年生のうちにやっていくというようなことも、高校の判断でパターンとしては考えられるというようなことで御議論を今いただいているところでございます。
【吉田委員】    ですから、思考力とか、そういうのをやるときに必ず基礎のものって必要になってくるわけですよね。例えば中学校の教育課程の中でしっかりと基礎ができていて、その上でやっていくのか、それとも高校に入ってから新たにということなのだとしたら、高校で各教科の基礎をしっかりやった上で統合的なものをやらなくてはいけないのかなと思うので、その辺のところを一度しっかりと学年配当等にして見せていただければと思います。ありがとうございました。
【荒瀬主査】    どうもありがとうございました。具体的にどんなふうな取組をしていくのかという、まさにカリキュラム・マネジメントをどうしていくのかということが非常に重要になってくるということかと思います。
  では、黒上委員、どうぞ。
【黒上委員】    ちょっと最初に今の基礎と発展の話をちらっとしておくと、最近出た国県の資質・能力の本の中でうまくまとまっていますけど、知識とそれを運用する力というのが、必ずしも知識がなければ運用する力がその後に、その順番でなければいけないということはなくて、それが円滑的に変わることに基礎的な知識も確実になるし増えていくという、そういう考え方を今とるべきだということだと思うので、そういう点では、基礎的な科目を履修した上でなければ探究的な学習ができないということはないだろうと思うし、それは実際に総合的な学習なんかでもはっきり見られることかなというふうに思っています。問題は、科目の順番というより、そこで何が行われるかということの担保かなというふうに思っています。
  資料2-2の2ページに各科目が四角で囲まれてはっきり分かるようになっているんですけど、何となく前の指導要領の総則のような感じで総合的な学習の時間が外に囲われずにちょろっと出ているわけです。これも外にちゃんと出るときには四角で囲んでほしいというのと、その中で3から6単位ということがあるので、その3のところには色付けをするとか、そんな形でほかのと全く同じように見えるようにしないと、何となく危険を感じるということです。
  その中で、今の理数探究の時間の取り方なんですけど、総合的な学習との取り合いで全体の単位時間数が調整されるという感じがするんです。つまり理数探究をしっかりやろうと思ったときには、総合の部分がそこから減るということになるわけですよね。そういうことを四角の横に付記する感じのイメージの方がいいのかなというふうに思います。
  その理数探究にしても、総合的な学習にしても、単位数ということと単位認定の在り方ということについても、どこかで言及してほしいと思いまして、単位認定は基本的に各教科、今のところ目標準拠をどのようにするかみたいなことが書いてあって、それが3-3の総合的な学習のところだと35ページになります。ここでどんなふうに評価するかということなんですけど、当然、総合というのは各学校で目標を決めたりするので、それに直接関わる形では目標準拠を書けないから、こういうふうな書き方に、曖昧になってしまうんですけど、これは多分、理数探究も同じだと思うんですね。だけど、その探究のプロセスに関わる目標準拠評価の視点のようなもの、あるいはルーブリックのようなものは、もしかすると示せるのではないかというような感じがするんですね。そうすると、そこをしっかり書くことによって、総合的な学習と理数探究の内容が変な方向に引きずられないと。それが担保されていなければ認定できないという形にすることで、双方の探究の内容までは規定できないけど、探究のプロセスを踏むということは規定できるというような、そんな仕掛けができないかなと今聞いていて思いました。
【荒瀬主査】    なるほど。岡本委員、うなずいていらっしゃいますが。
【岡本委員】    幾つか要素があると思うんですけど、今の最後のところでいうと、探究的科目というのは、基礎と実際にやる部分と分けているわけですね。基礎の部分は実際に手を動かしながらいろいろ勉強していく、理解していくということだろうと思うんです。それを学校でどういうふうに評価していくか。基本的には、実は2-2の35以降にある取りまとめの中でも述べられているんですけれども、端的に言えば、ポートフォリオ的なルーブリックをきっちり決めて、そういう評価をしていくということにもなっていくんじゃないかなと思っています。だから、実際の議論でも、高等学校の方でどうしても生徒さんたちの達成度を評価するときに、そういうポートフォリオ型の評価が、そんなに普通ではないと思っていますので、今度はそういうところもきっちりとやっていかなきゃいけない。そういう中で、大学の方はかなりポートフォリオ的な評価って進んできているので、それがだんだん全体、高大接続でつながっていくのかなというような視点は持っています。だから、今のは全然矛盾していないので、おっしゃることはよく分かっていますということです。
  それからもう一つ、せっかく発言したのであれなんだけど、探究的科目をやろうとするときに、恐らく一番問題になってくるのは、生徒さんたちの現状がどうなっているか、どういう顔して生徒がいるかということですから、そうすると、高等学校の現場というか、学校ごとに探究科目をどう位置付けるかということも含めて、高等学校の教育目標が明確にあって、うちはこういう生徒を大学、必ずしも大学に行くとは限らないんだけど、社会に送り出すんだという目的がはっきりした上で設計されるのかなというふうには思っています。指導要領上、学校の目的はこうしなさいとかいうわけには、生徒さんのあれも違うので、それは先ほどの評価も含めて、その点も高等学校から見ると、きっと新しいのかなというふうに思ってはいます。その点は非常に重要な点だろうと、むしろ思っています。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。髙木委員、先にどうぞ。
【髙木主査代理】    意見、ちょっとほかに二つあったんですが、今のことに関して一つだけ確認しておかなきゃいけないのは、評価の問題なんですね。現状の目標準拠評価というのは、ある意味でのルーブリックなんですね。新たにルーブリックを作って5段階にするというよりも、今3段階のルーブリックだということを確認しておきませんと、各学校で学校に併せた教育課程の中でルーブリックというか、5段階の評価というのはしなければいけないんだけど、大前提には目標準拠評価で、今回の指導要領の指導事項に示されていること自体がB段階であると。そこを抑えておかないと、何か評価論がまた新たな評価論を生み出してしまう、混乱を生むというふうに思っていますので、今までの話でいうと、ここの確認をしておいた方が私はいいと思っています。
【荒瀬主査】    ありがとうございます。
  続いて、浦野委員、どうぞ。
【浦野委員】    今のお話、全体的に伺っていて、少し産業界の方から心配事といいますか。今回、いろいろな部分で企業の協力というか、産業界からの関わりということを言われているわけですね。例えばこの数理探究の場合に、現実に社会にある課題を捉えて研究されるような場合に、非常に大学とか企業からの協力は大事だと思うんです。これを大学の場合ならまだしも、企業に対してどういう今後働きかけでやっていけるのかというのは非常に重大な問題だと思うんですね。最初に障害者の方々の通級の問題を言われていましたよね。この問題も、最終的には彼らがいかに社会で活躍できるかというところまで課題が上がっていかないといけない。障害者の問題についていうと、企業も今やっと始めたところなんです。いわゆる純粋に視覚障害とか聴覚障害の方以外に多様な方々がいらっしゃってという部分でいくと、企業の受け入れということもものすごく大事になってきていて。したがって、文科省全体としてこういう探究学習とか、あるいは障害者の方々の教育とかいろいろ出てきたときに、社会全体として企業にどういう働きかけをしていくかというのを、今回の学習指導要領の改正に併せて具体的に何かアクションプランとしてお持ちかどうか。それについて企業側も積極的に協力していくというか、今の段階からやっていかないと、この指導要領がせっかく動き出しても、その部分で詰まってしまう部分も考えられますよね。是非そこのところを、今の段階で、これは商工会議所ベースなのか、経団連なのか、何か分かりませんが、企業側とも是非連絡をとっていただいけるようなことをお願いしたいと思いますが、その辺いかがでしょうか、現状では。
【荒瀬主査】    すいません。当然のことながら、先ほど岡本委員がおっしゃいましたように、各学校の目標に照らしたところの探究学習ということになっていくんだと思うんですけれども、そういうことが前提にあるということを踏まえた上でお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    ありがとうございます。今回、社会に開かれた教育課程を具体化していく部分での要だと思っております。まだ今回の改訂の中では広報活動にとどまっておりまして、具体的に、全体的にというところの動きはまだこれからでございますけれども、ただ、根っこは全くないかというと、そうではなくて、例えば理数探究であればSSHにおける様々な連携の実績でありますとか、全体で申せば、例えば土曜学習における連携・実績等々ございます。こうしたことをつなげていって、理数探究もそうですし、また、今回、英語教育ということでも外部との連携が必要であったり、情報教育ということも必要であったり、様々な場面で必要なところが出てきておりますので、そういったところを総合的につなぎながら進めていくためのお知恵を是非頂ければというふうに存じます。理数探究のチームでは、少し冗談ということを言ってしまってはあれですけど、例えば水曜日の午後は探究デーとかにして社会ぐるみで子供の探究を支えるという日を作ったらどうかなんていう御発言もございましたけれども、是非先生方のお知恵を頂ければと思います。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。
  浦野委員、よろしいでしょうか。
【浦野委員】    はい。
【荒瀬主査】    では、小林委員、藤田委員の順にお願いいたします。
【小林委員】    私も高校、大学、社会をつなぐという視点から一つ申し上げたいんですけども、今、日本の若者は、大学に行くときに受験対策、就職だと就職対策ということで、いずれも対策を乗り切っていくような形になっているという残念な部分があると思います。そうしたときに、大学に入ってミスマッチ、あるいは就職活動に入ってからの気づき、ミスマッチというのが出てきてということが多いと思っています。そこで、日常から自己省察というか、自分をきちんと振り返っていくというのが非常に大事だと思っています。この資料2-3の18ページのところにキャリア教育について、お示しいただいています。その中で思考力・判断力・表現力のところに「できること」「意義を感じること」「したいこと」みたいなことを通じてまとめていくと。これは、私たちは「will」「can」「must」と言っていて、やりたいことに対してやるべきことをやっていって、できることを増やしていって向かっていこうというふうに言っているんですが、これを特別な総合学習の時間とかだけではなくて、先ほど大杉室長もおっしゃいましたけども、教科を通じて、教科と特別な時間を別々にやるのではなくて、それを一緒に連動してできるようにしていくというのが非常に大事ではないかなというのが1点です。
  それから2点目は、この知識・技能、思考力・判断力・表現力、学びに向かう力・人間性というのは、いわゆる学力の3要素ということで、義務教育段階から、これは高大接続でも非常に課題になっていますけれども、つないでいこうというふうになっているんですが、学習指導要領に書いてあって先生方が理解しても、これを生徒たちがきちんとこの能力を身に付けるかどうかというところ、認識できるかどうかというところが非常に重要になってくるというふうに思います。専門的な知識は、勉強すると、テストがあって分かるというふうになるんですが、こういった生徒たちに三つの学力要素をきちと認識させるかというのは、小学校、義務教育段階から大学まで含めて、きちんと意識しながら教科に向かっていく、あるいは学生生活を送るというのが重要かなというふうに思います。
  そうした観点でいうと、先ほどの資料2-3の20ページの下の方の(3)で、一人一人のキャリア形成と実現というところで、カルテとかポートフォリオという言い方をされていましたけれども、そこでどのように自分自身で自己省察、自己内省をしていって、それを付けていくかというのが、これは教える側だけではなくて生徒側が自分でどう自己省察していくかというのを、きちんと教科であったりとか、あるいはボランティア活動だったりとか、高校でも多面的・総合的な評価というふうに変わってきますので、これをきちんと付けていくのが非常に大事かなというふうに思います。
  先ほど通級のお話もありましたけど、個に応じた学習の支援とかというところも含めて、自分で付けていく、自分で考える力を育んでいくというのが非常に全体を通じて重要になるんじゃないかなというふうに考えております。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。教科のみならず、全体を自分でしっかりと見るということですね。大変重要であろうと思います。
  それでは、藤田委員、よろしくお願いします。
【藤田委員】    ありがとうございます。今の小林委員の御発言とも重なるところが非常に大きいんですけれども、先ほど浦野委員から産業界との連携が非常に重要になるというお話があり、また室長からは、社会に開かれた教育課程が今回重要だというふうな御指摘もあり、また小林委員から、高校・大学・社会をつなぐ、そういった御指摘を受けて、私も全く同じことを繰り返すことになってしまうことを恐れるんですが、資料2-3の18ページ、そして19ページにございますように、キャリア教育の視点を今回の高等学校、もちろん高等学校に限らず小・中・高をもって見直していくということが非常に重要かというふうに思います。多くの皆様、御存じのとおり、例えば新入社員に期待する能力としては、コミュニケーション能力が過去12年にわたって第1位を占めていて、それを上げる企業の数も年々増えている。そういったいわゆる基礎的・汎用的能力、横文字で言えばジェネリックな力というものが日本の企業では特に求められている。そういうふうな汎用性の強い力をどう付けていくのかということをキャリア教育という視点で見直したときに、18ページのような整理ができるのではないかということを可視化していただいたことは非常に重要なことだと思っております。
  また、小林委員も御指摘のように、そういった力が、19ページに示されておりますように、特別な教科道徳、総合的な学習な時間、特別活動のみならず、各教科を通して付けていくことができるんだということも明示すべきでありますし、その中で公共であるとか、この19ページには御指摘がございませんでしたけれども、理数探究、基礎も含めて、あるいは産業社会と人間、そういった各教科等との関係もここで将来的には整理されるべきなんだろうかというふうに感じました。ですから、そういった意味では、この18ページ、19ページにお示しいただいたことで、各教科が果たすべき教科としての役割と同時に、汎用的な力を養っていく教育活動全体のイメージということがここで見てとれるようなものになったのではないか、非常に分かりやすい図を作っていただいたなというふうに感じました。
  ただ、19ページに関しましては、1点誤解というか、混乱を招くようなところが残っているように思います。19ページのちょうど真ん中、右端でございますけれども、学校外の教育活動というのが特出ししてございまして、職場体験活動、インターンシップ、ボランティア活動など、そこまではいいんですが、教育課程外の活動も含むというのもいいんですけれども、そこに例示されている個別の進路指導、恐らく進路相談の時間とか二者面談、三者面談のことをイメージするかと思うんですけれども、これが学校外のところに入っていると、ちょっとイメージが逆に混乱してしまう。ですから、教育課程外ではあるんだけども、学校内なので、まずここのところの整理が必要だろうということが1点でございます。
  次に、これも重箱の隅をつつくようなんですけども、キャリア教育、小学校・中学校・高等学校、特に中・高においてはキャリア教育と進路指導との理念としての差がないという説明をしてまいりましたので、そういった中でこのキャリア教育という大きなタイトルの付いているポンチ絵の中に進路指導という言葉を使うときには、よほど気を付けて使わないと、やはりここでも混乱が生じるんではないか。例えばここを進路相談とするとか、あるいは横文字を開いてしまってキャリアカウンセリングとするとかということも考え得るのではないか、そういったことを感じた次第です。
  次にもう1点、20ページに関してですけれども、先ほど小林委員も御指摘になりました20ページの右下のポートフォリオですけれども、特別活動の部会ではキャリアパスポートというふうな仮称も一度、案が出された経緯があり、活発な意見があったかというふうに記憶しておりますが、今回の議論を含めて改めて考えますと、このポートフォリオ、仮称が仮にキャリアパスポートだとするならば、そういったものが教育活動全体を通じて活用されるべきものだというのは、先ほど岡本委員のお話を聞いて改めて感じた次第です。特に理数探究ですとか、産業社会と人間であるとか、そういった学び、深い学び、探究的な学びというものが今後大学受験であるとか、就職活動であるとか、そういったものに結ばれていくような可能性を秘めている。それをもちろん第一義的な目的とするわけではないんですが、みずからが積み重ねてきたものを振り返り、みずからの自信とし、そしてみずからの付けた能力を自覚していく、そういう手段として、ツールとしてのポートフォリオというもの関しては、本格的に高等学校を含め、高等学校に限らず初等中等学校教育の中でどう活用していくかということを今後真剣に考えていくべきだということを改めて思いました。
  特に今後の評価のことを感じますと、資料1、かつてから言われておりますように、共通性の確保と多様性の対応、資料1の10ページにございますように、先ほどの通級のことも含めれば、高等学校の多様化というのは今後避け得ないことだと思います。国民的な教育機関として授業料の減免措置をとっている以上、多くの子供たちに対して開かれていく学校であるべきだと。そうなってくれば、多様性というのは当然広がってくるわけですが、そこで共通のコアをどのように見定め、また、その多様な学びをどのように評価していくのか。特に12ページに示されておりますような、これまでのいわゆる筆記試験や実技試験ではカバーできない学びをどう評価していくのかといったときに、やはりポートフォリオのようなツールがどうしても必要ですし、それをどのように記載し、また、それをどのように自己評価をし、また第三者評価をどのようにしていくのかという議論、これを今後積み重ねていかないと、学校現場には大きな負担と混乱が生じる恐れがあるということも同時に考えていく必要がある、そのように思った次第です。
  以上です。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。まとめていただいたような感じもいたしましたが、本当に今までの御意見、全て非常に高校のカリキュラムを考える上で重要な点ばかりですので、どうぞしっかりとそれが盛り込まれますようによろしくお願いします。
  髙木委員、どうぞ。
【髙木主査代理】    今までの議論の中で理念的なものが非常にきちんと整理されてきたというふうに感じているんですが、実はこれまでにもありまして、高等学校の指導要領というのは、ちょっと揶揄的な言い方になりますが、学習指導要領はさざ波だと言われてきた。それはなぜかというと、波紋も立たないというぐらい、高等学校の現実の授業の中にはなかなか生きて働くものになっていない。是非今回の指導要領がそういったことから離陸できて、学校教育にきちんと関わっていくこと、それを願うと、2点、具体性、実効性の中で考えていかなければいけないことがあるだろう。
  一つは、教科書の問題が教科の具体的な指導の中にはどうしても出てくる。ですから、この指導要領の教科・科目の構成内容に即したものということが是非実現されることが望まれますし、指導要領が変わっても内容が新しい内容になることのできる教科書検定の在り方が大事になってくる。学習指導要領に書かれている内容に即した教科書ということ。先生方が今までされてきた授業をずっと引き続いてやるだけではなくて、新しい理念や考え方が盛り込まれるような教科書というものが使われていくようなものになりませんと、これは実行が不可能だというふうに思っております。
  2点目は、これは単位認定に関係することですが、卒業に必要な単位、74単位ということで、それぞれの各高等学校が特色を出すということは大変いいことだと思っていますが、実は実行する段階において、本当に単位認定ができているのかどうかという現実の問題を考えていかなきゃいけないだろう。1単位50分で35週、1,750時間をきちんと実行できているかどうか。近年、高等学校においても90分授業、これは45分掛ける2時間が行われていますが、これだけで35週だと、当然、未履修になります。そういった時数の問題、さらには高等学校3年生1月以降の授業時間の確保、特に大学受験との関係でこれは考えておきませんと、この74単位という単位認定が非常に曖昧になってしまうことがありますので、そういうことも実効性として考えておく必要があるというふうに思っております。
  以上です。
【荒瀬主査】    ありがとうございます。その点も非常に重要かと思います。まだ御意見おありかと思いますが、中井委員が公務のために少し早めにお出になりますので、後半の話題になりますけれども、お考えをどうぞお願いいたします。
【中井委員】    ありがとうございます。その点も非常に重要かと思います。まだ御意見おありかと思いますが、中井委員が公務のために少し早めにお出になりますので、後半の話題になりますけれども、お考えをどうぞお願いいたします。
【中井委員】    ありがとうございます。済みません、所用で中座させていただきますので、まだ御説明がございませんが、学習指導要領の総則についてのイメージについて資料をあらかじめ頂いておりましたので、それについて意見を2点申し上げさせていただきたいと思うんですが、1点は、総則のイメージを見させていただいたんですが、国際化に対応した今後の教育のありようというのは、当然しっかりやっていかなければいけないということだと思うんですけど、それは英語、語学ということにとどまらず、総合的なコミュニケーション能力、自己主張をしっかりできるようにするとか、国際感覚をしっかりと身に付ける、あるいは日本人としてのアイデンティティも培っていくというようなことで、科目横断的な取組も必要でしょうし、授業以外の学校活動の中でも必要だということで、そういったことをしっかりとやっていかなければいけないわけですけど、なかなか学校現場においては、その辺のところがまだ手探り状態のところもありまして、是非今回の改訂においては、ここの総則の部分において、そういったことをしっかりと書き込んでいただきたいなというのが1点でございます。
  それからもう1点は、義務教育の学び直し、授業になかなかついていけない子への配慮ということでございます。従来からもここの部分については要領で記載があったわけでありますけど、教育には、私は伸ばす教育と支える教育、二つの面があるんではないかと思うんですが、学習指導要領では、その性格上、伸ばす教育についてはしっかりとこれまでも書かれていると思うんですけど、支える教育の方は、どうしても小さくなってしまうというところがあります。でも、学校においては支える教育という部分が非常に重要なところがあるわけでございまして、そういった意味で、イメージにも入ってはおりますが、本体を書く場合にも、これまで以上に強調して書いていただきたいなということと、この部会の領域を超えるわけではありますけど、小・中についても学習に遅れをとる子というのは必ず出てくるわけでございますので、小・中においても同様にそのことをしっかりと書いていただければと思います。今、社会的な課題になっております貧困の連鎖、子供の貧困といった問題の対応というようなことからも必要なことではないかなというふうに思っております。
  以上でございます。ありがとうございました。

【荒瀬主査】    ありがとうございました。申し遅れました。資料6-4のイメージについて今お話をいただきました。
  それでは、前後いたしますが、先ほどの件もまだ御意見はおありかと思うんですけれども、総則の改善のイメージにつきましてお願いをしたいと思います。
  では、事務局から資料の説明をよろしくお願いします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。資料5、資料6-1、6-2、6-3、6-4、それから途中でまた先ほどの資料2-3を少し使わせていただきながら御説明をさせていただければというふうに思います。
  まず、資料5でございますけれども、表題を見ていただきますと、総則・評価特別部会、小学校部会、中学校部会、高等学校部会における取りまとめの案ということでございます。これは御相談もさせていただきながらなんですが、各部会、カリキュラム・マネジメントということを軸にして学校教育の改善・充実の好循環を生み出していくということが重要ではないかという議論が共通した議論でございます。それを踏まえまして、1、2、3、2枚目の部分、8まででございますけれども、ここにつきましては、これら表題にございます部会共通の事項としてそれぞれの御議論を取り入れながら一緒におまとめさせていただいてはどうかということ、そして一方で、それぞれの学校段階ごとの課題もございますので、それにつきましては2ページ目、3ページ目のように学校段階別にまとめさせていただくということでいかがかということでございます。
  そして、資料5の具体的な中身のイメージでございますけれども、まずは「社会に開かれた教育課程」の実現と総則を軸とした教育課程の総体的構造の可視化ということでございます。論点整理におきまして、教育課程の総体的構造を可視化していくということが重要であるということを御提案いただいたわけでございますけれども、企画特別部会におきましては、総則を見たときにそういった総体的構造、あるいは各学校がカリキュラム・マネジメントとして実施していくことがひと目で分かるようなものとすべきではないかというような御指摘を頂いたところでございます。そうしたことを踏まえながら、総則を軸としながら教育課程の総体的構造を可視化していくということ、また、各教科とのつながりということもございます。今回は各教科の議論の前に論点整理をまとめさせていただき、その中で各教科を学ぶ意義ということをしっかりと明らかにするようにというような御指摘を頂いた上で各教科ワーキングを進めさせていただいたところでございます。
  後ろの方に参考資料の2というものがございますけれども、1枚紙でございます。参考資料の2というものが、各教科等の見方・考え方というものでございます。御紹介させていただく時間がございませんので、御参考までということでございますけれども、このように各教科において育む見方・考え方、また、これを使いながら学習を進めていくということ、また、その結果として育む三つの柱に沿った資質・能力の明確化という形で、各教科を学ぶ意義ということの明確化も進んできているところでございます。
  こうしたことを全体的に捉えながら、総則ということをしっかりと位置付けていくということではないかということをおまとめさせていただければというふうに考えているところでございます。
  また、2ポツは、そうしたことも踏まえながら、各学校のカリキュラム・マネジメントの充実ということでございます。これにつきましては、資料6-1を御覧いただけますでしょうか。資料6-1、この1枚紙が今回の学習指導要領改訂の方向性ということでございますけれども、諮問にもございましたように、何をどのように学び、何ができるようになるかということの構造で教育課程の在り方を考えていくということでございます。
  そして、カリキュラム・マネジメントという観点からは、これをしっかりと各学校で考えるようにしていくということが重要ではないかということで、2枚目に少しかみ砕いておりますけれども、2枚目のように、何ができるかという各学校の教育目標を明確にし、そして、それを基に何を学ぶかという教育課程の内容の編成を行い、そして、それをどのように学ぶかという指導案の具体化を行う、そしてその結果として何が身に付いたかという学習評価を充実させていくということ。そして、それらを一番下の実施するために何が必要かという、連携・協働ということで支えていくということ、そしてその全体を通じて個々の子供の発達をどのように支援するかという特別支援教育の観点でございますとか、日本語指導、あるいはキャリア教育、進路指導、生徒指導という観点で、このような柱でまとめてはいかがかということでございます。
  それを踏まえて、現在、共通に検討させていただいているのが資料6-2、6-3、6-4でございますけれども、6-4を少し御覧いただければと思います。柱立てに沿ってリバイスを図りながらでございますけれども、1枚目のような現行を2ページ目以降にということでございます。前文のところで「社会に開かれた教育課程」の実現ということなどを明確に示してはどうかということ、そして総則以下ですけれども、第1として、高等学校教育の基本ということ、ここで教育関係法令ですとか、生きる力、資質・能力という観点から何ができるようになるかということの重要性、そして何を学ぶかというところを教育課程の編成というところで第2、それから第3のところで、次のページが教育課程の実施と学習の評価、そして第4のところで個々の生徒の発達を踏まえた指導、第5のところで学習活動の充実のための基盤ということで、まだまだ洗練させていく必要はございますけれども、このように各学校が行うカリキュラム・マネジメントをイメージしながら総則の構造を抜本的に変えていくというような方向性でございます。
  資料の1ページ目にお戻りいただきますと、それが2ポツの最初の丸のところに書かせていただいている内容でございます。
  そして、二つ目の丸にございますように、総則についてはこれに沿った構造とすること、また、カリキュラム・マネジメントは管理職だけということではなくて、全ての教職員に関わるものであるということを明確にしたらどうかということでございます。
  3ポツにつきましては、先ほどのカリキュラム・マネジメントそれぞれについて、それに沿う形で整理をしておりますけれども、何ができるようになるか、資質・能力の三つの柱でございますとか、知識につきまして今回改めて、様々な個々の知識をつなぎながら概念的な知識としていくことの重要性も議論いただいておりますので、そうしたことも踏まえて整理をさせていただければというふうに思います。
  それから、2ページ目の4ポツ、何を学ぶか。ここについては、先ほど御覧いただいたような教育課程編成の留意事項、また、先ほど中井先生からも御指摘いただいたような教科横断的に育む資質・能力との関係について分かりやすく示していくということ。
  そして、5ポツは、どのように学ぶのかということで、「主体的・対話的で深い学び」について考え方の整理を記載していくというようなことでございます。先ほどの資料2-3で申し上げますと、21ページ目、22ページ目、特に22ページ目でございますけれども、こうした左から右に走るような子供の学習課程のイメージでございますけれども、この子供の学習課程を主体的・対話的で深いものにしていくという質的改善を図ることで知識・技能を生きて働くものとし、思考力・判断力・表現力を様々な状況に対応するものとし、自分の人生や社会作りに学びを生かしていこうとする、そういうことを目指していくということを示していくということでございます。
  また、先ほどの資料の方にお戻りいただきまして、こうした主体的・対話的で深い学びの意味を明確にしつつ、言語活動、体験活動等との関係を整理していくということでございます。
  何が身に付いたかという学習評価につきましては、既に御整理をいただきました内容を整理させていただければと思います。
  また、7ポツの部分、特別支援教育でございますとか、日本語指導等につきましても、それぞれ関係する部会のまとめをここに整理をさせていただければと思います。
  8ポツにつきましても、馳プラン、中教審の3答申をベースに、家庭・地域との連携・協働でありますとか、チーム学校についてということでございます。
  そして9ポツからは、それぞれの学校種ごとにということでございますけれども、ここにつきましては、3ページ目の(3)でございます。先ほど御議論いただきましたような新科目の構成、あるいはカリキュラム・マネジメント、高校の視点から見て特に重要なポイント、学び直しということも含めて。あるいは高大接続、中高の接続、進路、社会への接続ということも含めて、そういった接続について、あるいは先ほど髙木先生から御指摘いただいたようなことも含めて整理をしていく必要があると思いますけれども、そういった高校特有の御議論につきましては、ここにおまとめをさせていただければというふうに考えているところでございます。
  以上、現時点では骨子でございますけれども、是非御意見を頂ければ幸いに存じます。ありがとうございます。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。時間が余りありませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
  はい、黒上委員、どうぞ。
【黒上委員】    カリマネと評価に関わって、学校にはまた大変たくさんの仕事がおりるんだなと思うわけですけど、カリマネそのものはいいんですけど、これを実際にやろうと思うと、しかも、全ての教員が関わろうということだと、例えば年度当初に年計を作って、それを出してそれっきりというのは、カリマネはうまくいかない状況になってしまうと思うんですよね。それをずっと年間通して見直していくというようなことが、例えばオーストラリアの学校なんかだと、週案をずっと見直す、それをいわゆる教務の担当の副校長と一緒に見直すというようなシステムがあるんですけど、そういうものが動かないとだめなのかなという感じがあります。それをやろうと思うと時間がいるでしょう、人がいるでしょう。評価の方もそうで、多面的な評価をしようと思うと、今の授業を持っている以外に特別な時間を作らないと不可能ですよね、200人とか300人相手に評価しようと思うと。そういうことをどこに書くのか分からないんですけど、どっかで明示しておく必要があるのではないか。非常にこれは重要だと思っています。
【荒瀬主査】    ありがとうございます。絵にかいたもちにしないためには、実質、先ほどからいろいろ出ていることも全てそうかと思いますが、条件的な整備が本当に重要かと思います。
  ほかにはいかがでしょうか。藤田委員、どうぞ。
【藤田委員】    資料6-1の2枚目と資料6-4の2枚目以降を拝見して思ったことなんですけれども、資料6-1の2枚目の図ですと、個々の子供の発達をどのように支援するかというのが第4と第5の1が一つくくりに真ん中に置かれています。5の2の家庭と地域の連携・協働というのが全体を支える基盤のような図になっているんですが、6-1を見ながら全体を聞くと、なるほどなというふうには思うんですけれども、いざ6-4だけを見ると、こういう構造を思い浮かべにくい、特に第4と第5の1が一つのくくりだよというふうに見るというのは、ちょっと見にくいな。少なくとも、この6-1を前提とした場合、そう読み取ることはこの構造からは難しいなというふうなことをまず印象としては思ったということです。ですので、総則評価特別部会でもちろん御議論いただくところかもしれませんが、1点感想でございます。
  同じような観点からキャリア教育のところを眺めさせていただきますと、2点、これから懸念されることが想定されます。この資料の6-4、ページとしては薄く右下に2と書いてある第4款のところですが、個々の生徒の発達の支援というふうなところにキャリア教育を充実することという現在の文言が載せられているわけですけれども、懸念材料の(1)としましては、やはり何だかんだいっても個人面談だよねと、面談をちゃんとやって大学にきちんと合格させて、親御さんも本人もうれしいことがいいんだよというような理解を助長してしまわないかということが1点でございます。
  次に、文言なんですけれども、現在の学習指導要領は、御存じのとおり、平成20年7月の教育振興基本計画が出た後に、平成21年3月に告示されたものかと思うんですけれども、教育振興計画でキャリア教育が盛り込まれたことを受けて、中学校の学習指導要領にはキャリア教育という文言がなく、高等学校のみにキャリア教育という文言が入っている、そういうふうな全体の構造からすると変わった経緯でキャリア教育というのが高等学校に盛り込まれているわけですが、その関係上、中学校の並びをとるということで進路指導をキャリア教育というのは並び称する形になったわけですけれども、並び称することのメリットとデメリットをもう一度御検討いただきたいということ、それから、現在の文言ですと、生徒が自己の在り方、生き方を考え、これが今日でいうとキャリアプランニング能力のところ、そして主体的に進路を選択する、これもキャリアプランニング能力なんですけれども、いわゆる幅広い資質・能力を養う、培っていくキャリア教育という位置付けではなくて、やはり進路を考え選択していくというところに標準化される、どちらかというと狭い進路指導、進路選択の教育のように読めてしまう。ですから、この文言のところも是非御検討いただくと同時に、ガイダンス、カウンセリング、両方含んで教育活動全体の質を向上させるキャリア教育というものの意義が全面に出、なおかつ、それが個々の生徒の発達にもつながっていくんだというような構造が見てとれるような位置付けにしていただけると、今後、キャリア教育も含め、高等学校教育全体の改善につながるのかなと、そんなことを感じました。
  以上でございます。
【荒瀬主査】    ありがとうございます。今、藤田委員のおっしゃったことは、現実に高等学校現場での誤解といいますか、十分に浸透していない部分をおっしゃったように思いますので、是非よろしくお願いいたします。
  ほかにございませんでしょうか。橋本委員、どうぞ。
【橋本委員】    ありがとうございます。資料6-4の1枚めくっていただきまして、総則第1款の4のカリキュラム・マネジメントの実現のところなんですけれども、実際、高等学校は、基本、単位制であるわけですけれども、非常に一般的には学年進行という縛りがあるような感じがいたします。教科横断的な視点ということが非常に重要ですけど、一方で、入学から卒業までを見据えたという視点でカリキュラム・マネジメントを考えていくのは非常に重要だというふうに思うのですけれども、その突破口として、これはある学校の例なんですけれども、総合的な学習の時間をキャリア教育とも結び付けて、3年間にわたって追求するようなテーマを設けて、部活動のように1年から3年が同時に出会うような、そういう時間も設けてやっているということで、非常に効果を上げているということです。それは教師が教えるというんではなくて、子供たちが先輩たちの探究する調査とか本を読む姿を、あるいは討論をするという姿を見聞きしながら、自分もさらにその上の学年、そして社会へというところも見据えながら学習するという姿が作られている。それを教えることについても、教員は自分の教科・科目に縛られないで、そのテーマに沿ってこれを少し勉強して、このテーマを支えましょうというようなことでやっているということで、カリキュラム・マネジメントの効果を上げるのにも非常に効果があったというようなお話を聞きまして、横断的な側面と、高校内においてもそういう成長というか、そういう側面が充実できるように是非総則でも考えていただければと思います。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。縦と横ということでしょうか。
  ほかにはいかがでしょう。全体を通じましてでももちろん結構ですので。
  そうしましたら、少し確認をさせていただきたいと思います。前段で御議論いただきました教科・科目の構成及び単位数についてというのが資料2-1でありまして、ここで具体的に、先ほどの御議論の中でもありましたけれども、総単位数74単位以上とするとか、あるいは各教科・科目の単位数について、各ワーキングでいろいろと検討をしていただかなければならない課題とか、全体をまとめるときにお考えいただかなければならないという点はありましたけれども、そのような数字のこととか、あるいは理数探究(仮称)に関する総合的な学習の時間との読み替えといったようなこと、これも十分に注意しなければならないということが何度も何度も御指摘あったわけですけれども、これらにつきましては、基本的に今日御説明いただいて御議論いただいた方向でよしということでよろしゅうございますでしょうか。
  では、それはそのようにまとまったということでお願いをいたします。
  それからまた、今、後半の部分のイメージのたたき台でありますけれども、具体的な文言はこれからまた入っていくわけですが、藤田委員から、ちょっと分かりにくいんじゃないかという御指摘がありましたので、またこれはこれで小・中・高全体を通してどのようにつないでいくのかということも踏まえながら考えていただくことになろうかとは思いますが、これも大体こういった形でよろしいということで御確認いただけますでしょうか。ありがとうございます。
  それでは、先ほど髙木委員がおっしゃいましたけれども、理念の部分は随分と整理されてきて深まってきたと。ただ、具体的な中身でということで御指摘いただきましたようなことも踏まえて、今後、高等学校部会のまとめとして作っていくということにさせていただきたいと思います。
  どうぞ、古川委員。
【古川委員】    済みません、仮称ということで教科・科目の名称が入っていますので、そこら辺で分からないので教えてほしいんですけれども、資料の2-2の2ページ目、新しい教科・科目の構成ということで、先ほど理数探究ということで、数学・理科の中で理数探究というのがあるんですけども、それにつきましては、いわゆる総合的な学習の時間との読み替えができるということで、位置付けが少し違うのかなというふうに思うんですが、教科の中でも探究する力というのを育てていこうということで、国語なんかで古典探究とか、あるいは地歴の中で日本史に関わる探究・科目という、仮称なので分かりませんけれども、探究という言葉が使われているんですね。そうすると、現場サイドから見たときに、理数探究と、名称はどうなるか分かりませんので何とも言えないんですけども、古典探究とかいうことがあったときに、どう捉え方を考えていくのかというのが何となく分かりづらいなというふうに思って、先ほど見せていただいたんですけども、極端な言い方をすると、理数探究は分からずに見ていくと、理数探究は総合で変えられるのであれば古典探究だって総合で変えられるんじゃないという理屈って成り立つ、もし名称をそういう形にすれば、ちょっとそこら辺がぐちゃぐちゃとならないかなという感じがしたんですけど、この辺の名称については、まだこれから検討されるということで考えてよろしいんでしょうか。ちょっと教えていただければと思います。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。資料2-3の、先ほど少しだけ御紹介させていただきました。済みません、時間がなくて余りじっくり御紹介させていただけなかったんですけれども、11ページを御覧いただければと思います。
  資料2-3の11ページでございます。探究ということ自体は、修得・活用・探究という各教科の中で使っておりますように、全てに関わる重要なものでございます。11ページ目、もともと総合的な学習の時間における定義等を踏まえますと、物事の本質を探って見極めようとする一連の知的営み、これ自体は当然のことながら、先ほどの古典でございますとか、日本史、世界史等も含めてあるわけでございます。ですから、探究という呼び名自体だけで仕分けるということではない、探究という言葉はある意味、教育課程全体にわたって行われるものであろうかと思います。その中で、探究の意味合いの違いをこの図で何とか説明をしようとしているものでございますけれども、各教科の方には、先ほどのような、各教科の特質に応じて育まれる見方や考え方を活用しながら、各教科の内容的な理解ということに向けて探究していく、物事の本質ということが各教科の文脈の中での追究ということであろうかということであります。また、問いということはいずれの場面においても重要でございますけれども、総合的な学習の時間や理数探究と比べますと、割と学習者が問いを見いだすような環境設定ということを教師が意図的に行うということの色合いは、各教科の方が比較的強くなってくるということかと思います。
  一方で、総合的な学習の時間、探究の時間でありますとか、課題研究、理数探究においては、本当に子供たちが豊かな発想で好奇心を持って問いをみずから見いだしていくという色合いがより強いというようなことかと思います。
  また、違いの一つといたしましては、各教科の文脈における見方・考え方のみならず、各教科の見方・考え方を総合的に活用していく、その中で数学的な見方、理科的な見方を総合的に活用したり、あるいは総合的な探究の時間であれば、文理を超えて見方・考え方をフル活用していくというようなことも、この上の三つについては考えられるということでございます。そして、そのこと自体が自身のキャリア形成の方向性でありますとか、自分の生き方ということとしっかりとつながっていくということ、探究の能力の総仕上げと先ほど書いてございましたけれども、教科横断的な視点も含めて総まとめをしていくようなものが、総合的な探究の時間と課題研究、理数探究のこの三つであるということで、この三つと他の探究という科目の違いということを明確にしていく必要があるというふうに考えているところでございます。
【古川委員】    ありがとうございました。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。ただ、現実問題としてなかなか難しいことが起こり得るのではないか。例えばキャリア教育という言葉の意味が、藤田先生の御懸念もありましたけれども、なかなか伝わらなくて、職場体験教育であるというふうな見方に、ともすればなる可能性といいますか、なっている部分があろうかと思いますし、あるいはまた、総合的な学習の時間というのが高等学校においてしっかりと定着して、その土台に乗った上で新しい展開をするということには、必ずしもまだ、残念ながらならないところがある中での探究という言葉の独り歩きというんでしょうか、誤解を伴ってしまうと大変なことになりますので、先ほどの評価のこととかも含めて、きちっとした周知徹底、共有を図っていく必要があろうかと思います。
  ほかには。はい、松本委員、どうぞ。
【松本委員】    この仮称というのは、どのタイミングでとれるのかというのを教えてください。それから、教科の名称ですが、英語の名称というのは各部会で考えていらっしゃるのですか。要するに、一般には、日本語よりも英語にしたときにどのような内容になるのかが分かりやすくなると思いまして。その2点についてお願いします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。仮称につきましては、今後、指導要領、省内の法令審議室による法令審査等も含めてクリアしていかなければいけませんので、そういう意味では、審議まとめの段階では恐らく仮称のままであろうかと。答申の段階で、どこまでいけるかなということを少し御相談しながらというふうに思います。
  英語名称は、まさに前回、理数探究のチームでも議論になりまして、理科ということそのものも含めて、どういうことなのか。サイエンスということなのか、アプローチということなのかとかいうことも含めて議論がございましたけれども、正直申し上げて、英語名称と同時並行で議論している状況ではございませんけれども、英語にしたときにしっかりと趣旨が伝わるような訳文というのは、是非先生のお知恵も頂きながらしっかり一覧を作り上げていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【松本委員】    個人的には、公共をどう訳するのかというのがすごく重要だと思います。
【荒瀬主査】    是非、松本先生、よろしくお願いします。
  これもある意味、カリキュラム・マネジメントの発想からすると、どのような力を付けようとしているのかということで探究ということの解釈が学校によって少しずつ違って、したがって英語名称も異なるというのもあり得るのではないかと思いますが、そういったことも含めてまた検討をお願いいたします。
  それでは、まだまだ御意見もおありになろうかと思いますが、時間がまいりましたので、本日はここまでとさせていただきます。限られた時間内での御議論でありましたので、さらに御意見、あるいは御質問等おありの方はメールとかファクスとかで事務局の方にお送りいただきたいと思います。きょう頂きました御意見、あるいはまた追加の御意見含めまして整理していただくことになりますので、事務局の方、よろしくお願いいたします。
  では、本日はここまでといたします。次回以降の日程につきまして、よろしくお願いします。
【西川教育課程企画室専門官】    次回は6月の15日水曜日、10時から12時の開催を予定しております。詳細については、また追って御連絡をさせていただきます。
  また、主査からありましたように、追加の御意見等頂けましたら幸いでございます。ペーパー、ファクス、メールでも結構ですので、頂ければと思います。
  また、資料につきましては、机上に残していただけば郵送でお送りさせていただきます。
  以上です。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。
  それでは、本日はここまでといたします。お疲れさまでございました。

――  了  ――

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