教育課程部会 高等学校部会(第1回) 議事録

1.日時

平成28年4月13日(水曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 東館3階 3F1特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 高等学校の教育課程の改善・充実について
  2. その他

4.議事録

【西川教育課程企画室専門官】    おはようございます。それでは定刻になりましたので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会高等学校部会を開催いたします。開会に当たりまして、文部科学省初等中等教育局長の小松より御挨拶を申し上げます。
【小松初等中等教育局長】    失礼いたします。本日はお忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。きょうは、教育課程部会に新たに設置されました高等学校の関係、第1回の開催ということでございますので、御挨拶ということですけれども、ごく簡単に趣旨を御説明して、御挨拶に代えさせていただきたいと思います。
  まず、いろいろ御審議いただきます次期学習指導要領でございますが、この全体の方向性につきましては、これ全体の親会になります教育課程部会の教育課程企画特別部会において議論をしていただいて、昨年8月に論点整理という形で取りまとまっております。これが全体の方向性ということですね。それで、それを受けまして今現在の進み具合は、この論点整理を踏まえて、例えば各教科等別のワーキンググループを同時並行でずっと走っていただいて、それぞれの教科等について専門的な検討を深めているということになります。そこで、全体の方向とそれぞれの教科等について検討が進んで、この時期になっておりますので、学校段階について、今度、更に横串を刺して全体像を見ると、どういう形にしていかなければいけないかということを御議論いただくということが是非とも必要ということになり、高等学校についても、この場を設けさせていただくということになった次第でございます。
  高校でございますけれども、言わずもがなのことかもしれませんが、位置付けといたしまして、一つは中学校卒業後の約98%の方が進学をされるという意味で、言わば皆教育に近い機関であるということ。それからまた、最近の動きといたしまして、高等学校に就学支援金制度が発足しているわけですけれども、これによりまして、更に生徒の学びは社会全体で支えるという合意となって、そういう位置付けになっているということがございます。こうした中で、社会で生きていくために必要となる力を共通として身に付ける初等中等教育の最後の機関として、その教育を通じて、一人一人の生徒さんの進路に応じた多様な可能性を伸ばして、その後は高等教育機関等で学ばれるか、あるいは直接社会で活動されるか、こういったところへ接続するというものとしてどういう教育がいいかということを考えていただきたいと思っております。
  もう一つは、昨年の6月に公職選挙法が改正されまして、選挙権年齢が18歳以上と引き下げられることになりました。このこと自体は公職選挙法の世界のことではありますけれども、そもそも教育基本法において、教育の目的としては、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた、そういう国民を育成していくんだということが掲げられております。このこととは、もとより深く関係するものでございますので、こうした意味でも高等学校教育の役割は一層重要になっているということも、視点として大事かと考えられます。さらに、高校の関係につきましては、高大接続システム改革会議という高大接続の関係の会議がずっと動いてまいりまして、この3月末に最終報告が取りまとめられたところでございます。
  以上のような動きを踏まえていただいて、高校教育、社会で生きていくために必要となる力を共通して身に付ける共通性の確保の観点と、それから一人一人の生徒の進路に応じた多様な可能性を伸ばす多様性への対応の観点から、育成すべき資質・能力を明らかにしていくことが求められております。こうした観点から、高等学校における教育課程全体の充実の方向性をお示ししていただくべく、御検討いただきたいと思っております。
  きょう、これからの審議の中で、事務方からも、今までの審議状況とかそういったものを、全体を御説明することになろうかと思います。委員の皆様方におかれましては、大変お忙しいところでございますが、是非それぞれの御知見や御経験をおかしいただきまして、様々な観点から忌憚のない御意見を頂いて意思形成ができていけばと考えますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
【西川教育課程企画室専門官】    議事に先立ちまして、本部会の主査及び主査代理について御報告をいたします。初等中等教育分科会教育課程部会運営規則に基づきまして、本部会は教育課程部会の決定により設置されており、主査及び主査代理は教育課程部会長が指名することとされております。荒瀬克己委員に主査を、髙木展郎委員に主査代理をそれぞれお願いしておりますので、よろしくお願いいたします。
  それでは次に、委員の皆様を御紹介いたします。資料の1-1として本部会の名簿を配布しておりますので、名簿順に御紹介をいたします。荒瀬克己主査でございます。
【荒瀬主査】    荒瀬でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【西川教育課程企画室専門官】    今村久美委員でございます。
【今村委員】    今村です。よろしくお願いします。
【西川教育課程企画室専門官】    岡本和夫委員でございます。
【岡本委員】    岡本でございます。よろしくお願いいたします。
【西川教育課程企画室専門官】    黒上晴夫委員でございます。
【黒上委員】    黒上です。よろしくお願いします。
【西川教育課程企画室専門官】    小林浩委員でございます。
【小林委員】    小林でございます。よろしくお願いいたします。
【西川教育課程企画室専門官】    佐野元彦委員でございます。
【佐野委員】    佐野でございます。よろしくどうぞお願いします。
【西川教育課程企画室専門官】    髙木展郎主査代理でございます。
【髙木主査代理】    髙木でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【西川教育課程企画室専門官】    中井敬三委員でございます。
【中井委員】    中井でございます。よろしくお願いいたします。
【西川教育課程企画室専門官】    橋本都委員でございます。
【橋本委員】    橋本でございます。よろしくお願いいたします。
【西川教育課程企画室専門官】    藤田晃之委員でございます。
【藤田委員】    藤田でございます。お願いいたします。
【西川教育課程企画室専門官】    古川勝也委員でございます。
【古川委員】    古川でございます。よろしくお願い申し上げます。
【西川教育課程企画室専門官】    松本茂委員でございます。
【松本委員】    松本です。よろしくお願いいたします。
【西川教育課程企画室専門官】    見上一幸委員でございます。
【見上委員】    見上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【西川教育課程企画室専門官】    宮本久也委員でございます。
【宮本委員】    宮本でございます。よろしくお願いいたします。
【西川教育課程企画室専門官】    吉田晋委員でございます。
【吉田委員】    吉田でございます。よろしくお願いします。
【西川教育課程企画室専門官】    なお、本日御欠席でいらっしゃいますが、浦野光人委員、清水雅己委員、土井真一委員、堀田龍也委員が、本会の委員に就任されております。委員の御紹介は、以上でございます。
  次に、文部科学省の関係者を御紹介いたします。小松初等中等教育局長でございます。
【小松初等中等教育局長】    どうぞよろしくお願い申し上げます。
【西川教育課程企画室専門官】    清原主任視学官でございます。
【清原主任視学官】    どうぞよろしくお願いいたします。
【西川教育課程企画室専門官】    梶山主任視学官でございます。
【梶山主任視学官】    よろしくお願い申し上げます。
【西川教育課程企画室専門官】    平野教育改革調整官でございます。
【平野教育改革調整官】    よろしくお願いいたします。
【西川教育課程企画室専門官】    大杉教育課程企画室長でございます。
【大杉教育課程企画室長】    よろしくお願いいたします。
【西川教育課程企画室専門官】    小林国際教育課長でございます。
【小林国際教育課長】    よろしくお願いいたします。
【西川教育課程企画室専門官】    私、教育課程企画室の専門官、西川でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  それでは、議事に入ります前に、荒瀬主査、髙木主査代理から一言ずつ御挨拶を頂ければと思います。よろしくお願いします。
【荒瀬主査】    主査ということで、大変重い責任を頂戴したわけですけれども、皆様の御協力を頂きまして、高等学校教育のこれからにつきまして、是非精力的に検討してまいりたいと思っております。
  先ほど初中局長から共通性と多様性のお話がございましたが、実は10年前も、私、教育課程に関わらせていただいておりまして、そのときにも共通性と多様性をどう図るかということで、なかなかこれは答えが出にくいといいますか、非常に難しい問題であろうと思います。今回、それがはらりと解決するのかどうかというのは、なかなか難しいかもしれませんが、少しでも前に進むようにということで、是非よろしくお願いいたしたいと思います。
【西川教育課程企画室専門官】    髙木主査代理から一言お願いします。
【髙木主査代理】    髙木でございます。微力ではございますが、荒瀬主査をお助けしながら、この会の滞りない進行をと考えております。今、高等学校はいろいろな問題がございまして、私の周りにいる高等学校の先生方も、先生方のお仕事が、部活であるとか生徒指導であるという面が大変強くなっているとも言えなくもないと思っております。本来の学習、学びの楽しさ、学ぶことの喜び、そういったことが、今回、この学習指導要領改訂で少しでも前に進むと、大変うれしいなと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
【西川教育課程企画室専門官】    どうもありがとうございました。それでは、以後の進行については、荒瀬主査にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【荒瀬主査】    それでは、本当に皆さん、よろしくお願いいたします。では、これより議事に入りたいと思います。
  初めに、本部会の審議につきましては、資料にも教育課程部会運営規則がありますけれども、その第3条に基づきまして、原則公開ということで議事を進めさせていただきたいと思いますのと、第6条に基づきまして、議事録を作成し、原則公開するものとして取り扱わせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  なお、本日は、報道関係者から会議の撮影及び録音の申出がありまして、これを許可しておりますので、御承知おきいただきたいと思います。
  それでは、事務局より配布資料の説明をよろしくお願いいたします。
【西川教育課程企画室専門官】    それでは、配布資料の確認をさせていただきます。本日は、議事次第に記載しておりますとおり、資料の1-1から資料7、その他、机上の参考資料を配布させていただいておりますので、不足がございましたら事務局までお申し付けください。
  なお、机上にタブレットの端末を置いておりますが、その中には、本会の審議に当たり参考となる関係する審議会の答申ですとか、関係資料、データ等を入れております。詳細は、議事次第の裏面に目次がございますので、御覧いただければと思います。
  また、本部会の設置に係り、新たに中央教育審議会初等中等教育分科会の委員になられました先生方におかれましては、机上に辞令の入った封筒を置かせていただいておりますので、御確認を頂ければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。それでは、配布資料に基づきまして、まず事務局から説明をよろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。それでは、各ワーキングの審議状況等も含めまして、現在の状況を御説明させていただきたいと思います。資料がたくさんございますけれども、何とか30分程度に収めたいと思っております。最低30分はかかろうかと思いますので、気を楽にしてお聞きいただければと思います。
  まず、先生方の冊子の束の中に、緑色の冊子がございます。8月に企画特別部会でまとめられた論点整理でございますけれども、これに諮問というタグが付いているかと思います。諮問の部分、再度御覧いただければと思いますけれども、これからの社会的な変化の中で、教育は普遍的に大切にしていくことということを厳守しながらも、社会の変化を柔軟に受け止めた教育課程の在り方、子供たちにどのような資質・能力を育んでいくのか、そのためには、何を学ぶか、どのように学ぶか、そしてどのような力として身に付けるのかという観点が必要ではないかという諮問でございます。
  諮問文、三つの柱になっておりまして、第一にというのが諮問文の理由の2ページ目にございます。教育目標・内容と学習・指導方法、学習評価の在り方を一体として捉えた、新しい時代にふさわしい学習指導要領等の基本的な考え方についてということでございます。この基本的な方向性を8月までにおまとめいただいたのが、この緑色の冊子ということになっております。
  そして、めくっていただきまして、理由の3ページ目なんですけれども、第二にということでございます。育成すべき資質・能力を踏まえた新たな教科・科目の在り方や、既存の教科・科目等の目標・内容の見直しについてということでございます。これが、この論点整理に基づいて、現在、各ワーキングで検討いただいている内容ということでございます。
  そして、更にその次にページの下に、学習指導要領等の理念を実現するためのという、第三にというところでございますが、理念を実現するために、各学校におけるカリキュラム・マネジメントや学習・指導方法、評価方法の改善を支援する方策ということでございます。この第三のポイント自体は、学習指導要領にそのまま書き込もうという内容ばかりではございませんけれども、指導要領の実現に必要なことを指導要領の改訂の在り方と一体的に御議論いただきたいということで、この第三のポイントがあるということで、この三つの柱が諮問されたということでございます。
  これに基づきまして、現在、資料の1-5を御覧いただけますでしょうか。資料の1-5でございますけれども、教育課程部会の御了承の下、学校段階等別・教科等別ワーキンググループを設置いただいておりまして、この高等学校部会もその一つでございますけれども、現在、22の専門部会が検討を始めております。
  1枚おめくりいただきますと、検討体制ということで、教育課程部会企画特別部会の下に、こうしたワーキング専門部会が設置されているところでございます。4月6日時点で、延べ106回、審議時間227時間を超えておりますけれども、延べで500人ぐらいの先生方に御協力いただきまして、正に日本の英知を結集したような形で御議論いただいているところでございます。
  そうした中で、教科等別の議論がかなり進んでまいりました。そうしたことも踏まえまして、本高等学校部会におきまして、資料の2のような点について御議論を頂きたいと考えております。論点整理を踏まえて、一人一人の生徒が義務教育を基盤としながら必要な資質・能力を身に付けていくということ、共通性の確保と多様性への対応という観点を軸としながら、今後の教育課程の在り方について御議論いただきたいということでございます。大きく四つでございますけれども、資質・能力の在り方と、それに対応した教育課程の構造の在り方、カリキュラム・マネジメントについて、学習指導の改善、アクティブ・ラーニングの視点、それから学習評価の在り方についてということでございます。
  資料の3-1を御覧いただけますでしょうか。資料の3の束が、現在の検討状況の資料でございます。まず資料の3-1から御説明申し上げます。資料の3-1、左側が、先ほどの緑色の冊子、論点整理において指摘された事項のポイントでございます。新しい学習指導要領が目指す姿、社会の変化を柔軟に受け止めながら、子供たちに社会に出て必要な資質・能力をしっかりと育み、また、それを学校だけに閉じずに、地域社会と連携しながら実現していくという、社会に開かれた教育課程の実現ということが、今回、共通に目指される理念として打ち出されているところでございます。
  また、そうした理念の下、育成すべき資質・能力の明確化、そして、それに基づく教育課程の構造化ということでございます。また、そういう資質・能力を育むためには、どのように学ぶかということにも目を向ける必要があるということで、深い学び、対話的な学び、主体的な学びというアクティブ・ラーニングの視点から、学習指導方法の改善を図っていこうということ。また、目標に準拠した評価ということで、学習評価も、資質・能力の在り方とセットで改善していこうということでございます。
  また、二つ目が、そうした理念を実現するために必要な方策ということで、教科横断的な視点で様々な資源を活用しながら教育課程の改善充実を図っていくという、カリキュラム・マネジメントの実現ということ。また、指導要領、教育課程の実現に必要な教員の資質・能力向上、地域との連携・協働、チームとしての学校の在り方、これは既に中教審として3答申を年末にお出しいただいておりますけれども、こうした流れも、社会に開かれた教育課程の実現ということと連動して議論されたところでございます。
  そして最後に、各学校段階、各教科等における改訂の具体的な方向性ということでございますけれども、各学校段階の教育課程の基本的な枠組み、学校段階の接続の在り方、そして具体的な各教科・科目等の構造・内容を、マル1、マル2の視点を踏まえながらどのように見直していくかということ。これについては、高等学校の科目構成の見直しも含まれるところでございます。
  こうした指摘事項を受けまして、先ほどのワーキンググループにおいて右側のような点について検討しており、今月、来月、集中的に審議状況をまとめていくという段階にあるところでございます。
  一つ目は、それぞれの教科・学校段階における現行学習指導要領の成果と課題を、一度しっかりとまとめておくということ。そしてそれを踏まえて、育成すべき資質・能力の明確化、そして、それを教育課程の構造にしっかりと反映させていくということ。それに基づくカリキュラム・マネジメントということを確立していくということ。これは主に総則・評価部会において御議論いただいているところでございます。
  また、3番目、育成すべき資質・能力を踏まえた教科等目標と評価の在り方ということでございます。今回、資質・能力の育成の鍵になるのが、教科等の特質に応じ育まれる見方や考え方、これが各教科を学ぶ意義や本質に関わってくるものではないかということで御議論いただいております。また、そうしたものを踏まえた、小・中・高を通じて育成すべき資質・能力の整理と教科等目標の在り方、これも各教科ごとにおいて、小・中・高を見通しながら作っていただいているということでございます。そして、それらを育む学習過程の在り方、目標に準拠した評価に向けた評価の観点の在り方、これらを一体的に御議論いただいて、おまとめいただきつつあるところでございます。
  そして、資質・能力の育成に向けた教育内容の改善・充実ということで、特に高等学校につきましては、科目構成の見直し、そして資質・能力の整理と学習過程の在り方を踏まえた教育内容の構造化、また、様々、グローバル化、情報化等を踏まえた現代的な諸課題がございますので、そうしたものを踏まえて、具体的に教育内容をどのように見直していくのかということでございます。
  そして、これらを実現するための学習指導の改善・充実や教材の充実、特別支援教育の観点、個に応じた学習の充実、深い学び、対話的な学び、主体的な学びというものが、各教科において具体的にはどのように在るべきか、そして、教材の在り方ということでございます。そして、それに必要な条件整備、ICT等も含めまして、これらを一体的に御議論いただいているところでございます。
  それでは、資料3-2以降を御説明させていただきます。ポイントのみに絞ってと思っております。それから、各教科、これから横並びを取っていく段階ですので、まだまだ少しばらつきがあるということは御了承いただければと思います。それぞれの教科の特質・特性を踏まえながら議論いただいておりますので、まだ少しばらつきはございますけれども、これからしっかりと横並びを図っていくという段階のものでございます。資料の3-2が、総則・評価部会、それから学校種別部会の議論の状況、3-3が、教科等別の状況、3-4が、その中から新科目関係を抜き出したものでございます。
  まずは資料の3-2からでございますけれども、総則・評価部会の状況から御説明を申し上げます。少しページ数が目次とずれているところもございますけれども、私の方でページ数も申し上げながら御説明をさせていただきます。
  目次をおめくりいただきまして、1ページ目でございます。総則・評価特別部会、ここにおきましては、各ワーキングの主査等からのヒアリングも行いながら、横串を通す役割を担っていただいております。指導要領全体の構造の在り方、そして総則の構造の在り方、そして評価の在り方、これらを司令塔として御議論いただいているところでございます。
  3ページ目が、今後の総則の構造の改善の在り方でございます。総則の構造が現行のものが載ってございますけれども、論点整理にもございますように、社会に開かれた教育課程という理念を踏まえますと、総則を見て、学習指導要領全体の構造が分かる、あるいは学習指導要領全体で目指している資質・能力の在り方が分かるという構造を目指すべきではないかということでございます。そうした観点から、教育課程の意義ですとか、教育課程を通じて育成する資質・能力の全体像、あるいは学校種間の連携、教科を学ぶ意義とは何か、カリキュラム・マネジメントやアクティブ・ラーニングの視点、そして教科と共通に重視すべき学習活動等の在り方、個に応じた指導の在り方、特別支援教育の在り方、接続キャリア教育、生徒指導、進路指導等の視点、これらをより分かりやすく構造化していくべきではないかという御議論いただいているところでございます。
  それから、6ページ目以降は、各教科共通にこういう視点でということでございますけれども、アクティブ・ラーニングの視点についてでございます。論点整理で、主体的な学び、対話的な学び、深い学びという、この三つの視点が提示されておりますけれども、7ページ目にございますように、深い学びという点については、まだまだ議論を深めていく必要があるということ。特に各教科の特質に応じて育まれる見方や考え方を働かせながら思考・判断・表現し、資質・能力を獲得していくということが深い学びではないかということで、総則・評価部会でこうしたおまとめいただき、現在、各教科において更に御議論をいただいているところでございます。
  見方や考え方という概念自体は、現行の学習指導要領においても使われている用語でございますけれども、その内容が必ずしも具体的に説明されているものではないということ。8ページ目にございますように、見方や考え方とは、事象を捉える各教科ならではの視点や思考の枠組みではないかということ。こうした見方や考え方を働かせながら思考・判断・表現していく学習活動を行っていくということにより、知識・技能を構造化して身に付けたり、思考・判断・表現をより豊かなものにしたり、学びに向かう力や人間性をより深めていったりということにつながっていくのではないかということでございます。そして、それらを統合していくために、総合的な学習の時間といった教科以外の領域ということが必要になってくる、そうしたことが、教育課程の構造として重要ではないかということでございます。
  それから、11ページ目は学習評価についてでございますけれども、14ページ目のように、学習評価の改善に関して一定の方向性をおまとめいただいております。特に観点別評価につきましては、17ページ目にございますように、知識・技能、思考・判断・表現、主体的に学習に取り組む態度ということで、今回の資質・能力の三つの柱ということが整理されてございますけれども、これに沿わせた形で整理をしていこうということで、現在、各教科で御検討を頂いております。
  それから、総則・評価部会におきましては、いわゆる○○教育と言われることもございますけれども、現代的な課題に対応した教科横断的に取り組むべき課題についても、横断的なお取りまとめいただいております。例えば18ページ目は情報活用能力でございますけれども、各教科においてICT活用の特性や強みや生かしながら、学習過程の中で活用してくださいということ。また、22ページ目にございますように、情報活用能力を、今回の資質・能力の論点整理の三つの柱で整理をし直し、その上で25ページ目以降にございますように、各教科において情報活用能力をこのような視点で育んでくださいということを、整理いただいております。これを既に教科別ワーキングにつながせていただいておりまして、議論をいただいております。
  また、例えば健康・安全に関する資質・能力ということ、安全教育、食育、保健教育なども教科横断的な事項でございますので、29ページ目にございますように、教科横断的な視点で、30ページ目、上にございますような資質・能力の整理を行い、各教科との関連性をカリキュラム・マネジメントの観点で、その下の段のような形で構造をお示ししているところでございます。こうした形で教科横断的な育成ということを図っていくということでございます。
  続きまして、幼児教育部会でございます。33ページ目にございますけれども、幼児教育部会におきましても、資質・能力の三つの柱ということを考えながら、そして幼児期の終わりまでに育ってほしい姿ということを今回初めて明確にするということを通じて、小学校教育との接続をより図っていくということでございます。
  幼児期の終わりまでには育ってほしい姿の具体的な記述が37ページ目にございますけれども、健康な心と体、自立心、それから次のページに、協同性、道徳性、規範意識の芽生え等々ございますけれども、これを小学校にもしっかりと共有していくということで、幼児教育と小学校の接続を図っていくということ。そして、42ページ目にございますような、幼児教育と小学校教育の接続期におけるスタートカリキュラムということを、改めてしっかりを位置付けていくということでございます。また、44ページ、45ページ目にございますような、幼児期の学びの中でどのような力が育まれているのかということを改めて図に整理しながら、今後のおまとめに向けた御議論いただいているところでございます。
  46ページ目、小学校部会でございます。小学校部会は、今回、言語能力の育成、特に外国語教育の充実という観点もございますので、少し中学校部会、高校部会に先立って議論を進めていただいておりました。途中段階でおまとめいただいたのが48ページ目以降でございますけれども、49ページ目、社会に開かれた教育課程の実現に向けた小学校の教育課程の充実、そして52ページ目に、特に言語能力の育成と国語教育、外国語教育の改善・充実ということ。そして54ページ目には、小・中・高を通じた国語教育の充実ということで、これからを生きる子供たちが、言葉が持つ力を信頼しながら、言葉によって様々な困難を克服して社会や文化を創造していくということ。そのために、小学校教育、中学校教育、高等学校教育を通じた国語教育の充実を図っていく必要があるということ。55ページ目の下には、後ほど御説明申し上げますが、現在、国語ワーキングで議論をいただいております高等学校の教科の見直しについても記述を頂いております。
  こうした全ての言語活動、言語能力育成の基盤となる国語教育の充実と併せて、56ページ目にございますような外国語教育の充実を図っていくということ。そして、小学校高学年段階の知的欲求でありますとか、あるいは高等学校卒業時に育んでおきたい英語力ということを踏まえた小・中・高を見通した外国語教育の充実ということを考えますと、58ページ目にございますように、小学校高学年において、例に小さい字でありますような姿を描きながら、4技能を扱う教科型の学習、外国語活動ということを導入していく必要があるのではないかということ。そして、その中で、59ページ目にございますような時数の増ということも必要になってくるのではないかということ。
  60ページ目、下にございますように、現在、小学校では、様々な時間割の編成の工夫ということをしていただいておりますけれども、そうした柔軟なカリキュラム・マネジメントの中で、今回、61ページ目にございますように、全ての教科を通じて、指導内容や授業時数を削減するという選択肢を取ることは困難でありますことから、この授業時間増分を、何とか柔軟なカリキュラム・マネジメントということの中で確立していただくという方向性であるということ。ただ、いずれにしましても、62ページ目にございますように、教育現場にとっては大きな負担の増になりますので、国としてもしっかりと具体的なカリキュラム・マネジメントの在り方を調査研究し、それを普及し、そして、それに必要な指導体制、教材の在り方ということをしっかりを整備していくということでございます。
  それから、64ページ目は特別支援教育部会でございます。特別支援教育部会につきましては、総則のみならず、各教科において、今回、学習の過程で考えられる困難さに対する配慮の例を示すということを目指しまして、また、総則におきましても、これまで告示等々で書き分けられている部分を、学習指導要領で一覧性の高いものにしていくということを目指しまして、様々な学びの場の連続性ということを視野に入れて御議論いただいております。
  少し資料が多いので割愛させていただきますけれども、例えばということで、86ページ目にございますように、これは小学校の例でございますけれども、各教科ごとに、学習過程の中でこのような困難さが考えられる、そのときには具体的にこういう配慮と手立てを行ってくださいということを、解説も含めて示していけるような具体的な検討いただいているところでございます。ここまでが、資料3-2でございます。
  続きまして、資料の3-3を御覧いただければと思います。こちらは教科等別ワーキングの議論の進捗状況でございます。先ほど資料の3-1でも御説明申し上げましたように、資質・能力の三つの柱、知識・技能、思考力・判断力・表現力、学びに向かう力、人間性ということを、全ての教科において明確にしていこうということで御議論いただいているところでございます。先ほど申し上げましたように、まだまだ横並びは取れておりませんけれども、そういうものとして、少し御覧いただければと思います。
  目次をおめくりいただきまして、ページ番号1ページ目でございます。今回、先ほどの小学校部会でもございますけれども、国語教育、外国語教育、それぞれを充実させながら子供たちの言語能力の向上を図っていこうということで、言語能力の向上に関する特別チームというのが立ち上げられているところでございます。
  おめくりいただきますと、2ページ目でございますけれども、このフォーマットは全ての教科に共通するものでございますけれども、言語に関する資質・能力の要素というものをおまとめいただいております。言語の能力、創造的思考と、それを支える論理的思考の側面、感性・情緒の側面、他者とのコミュニケーションの側面、真ん中にございますけれども、これが言語の役割として重要な三つの側面でございますので、これを中心におまとめいただいております。
  そして、3ページ目にございますように、人間がテキスト(情報)を理解して文章や発話で表現する際に、どのような資質・能力の要素が働いているのかということを整理していただいたものでございます。これを、それぞれ関係する教科の内容事項の見直しに、現在、役立てていただいているところでございます。
  先ほど申し上げた言語の働き、役割につきましては、4ページ目、5ページ目のような整理いただいておりまして、国語学習において、言葉の働きというものにしっかりと気付いていくこと、そして、言葉には共通の働きや仕組みの違いがあることを、国語教育、外国語教育を通じて、しっかりと子供たちに認識を促していくことが重要ではないかということでございます。
  6ページ目は言語ワーキングでございます。先ほど小・中・高を通じて目標の構造をということでございますけれども、7ページ目にございますように、幼児教育から高等学校教育までを通じてどのような力を育むかということを、整理をいただいているところでございます。マル1、マル2、マル3、それぞれが資質・能力の三つの柱に対応してございますけれども、こういった形で、現在、各教科の議論を進めていただいております。
  1枚おめくりいただきますと、8ページ目に三つの柱、国語科で育成すべき資質・能力でございます。そして、それを更に小・中・高とブレークダウンいたしましたものが、9ページ目、10ページ目でございます。そして、それをどのような学習活動を通じて育んでいくのかというのが11ページ目でございますけれども、国語科、話すこと、聞くこと、書くこと、読むことの領域がございますけれども、それぞれの領域に指導事項がございます。それらの指導事項を、先ほどの言語能力の特別チームでおまとめいただいたことも踏まえながら、このように改めて再整理をしていくということでございます。
  以下、それぞれの教科も、ほぼ同じような方向性で御議論いただいておりますけれども、13ページ目、外国語ワーキングでございます。外国語ワーキングは、小学校における充実の方向性ということもございましたので、少し先んじて、15ページ目のような文書形式でおまとめを頂いているところでございます。ごく要点は、先ほど小学校部会のところで御説明させていただきましたけれども、小・中・高を通じて、国としても指標形式の目標ということをしっかりと打ち立てながら、各学校で、CAN-DO形式、到達目標ということをしっかりと明確にして、英語教育の充実を図っていくということ。そして、そうした小・中・高を通じた見通しの中で、小学校教育教科化、中学年からの外国語活動の充実ということも図っていくということ、また、柔軟なカリキュラム設定ということについても、おまとめをいただいているところでございます。
  同様に、37ページ目のような資質・能力の柱の整理、それから39ページ目のような学習過程の在り方の整理、そして41ページ目のような小・中・高を見通した目標の在り方の御議論、そして指導内容とプロセスということをどのように関連付けていくのかという43ページ目のような整理、そして45ページ目のように、これから始まる三、四年生の外国語活動、そして46ページ目、五、六年生の教科学習で、具体的にどのような内容を実施していくのかということ、そして国が示すべき指標形式の目標というのは、48ページ目以降のように、どのように在るべきかということを、詳細に御議論をいただいているところでございます。また、53ページ目のような評価の柱ということも御議論いただいております。54ページ目のようなICT活用の方向性ということについても、御議論いただいているところでございます。
  55ページ目は、地歴・公民の高等学校の新科目の在り方に関する御議論と、それから56ページ目は、小・中・高を通じた社会・地歴・公民ワーキングの検討状況でございます。今回、57ページ目のように、小・中・高を通じて育むべき思考力・判断力・表現力を、マル1からマル4のような形で整理いただいております。小・中・高を見通した思考力・判断力・表現力の育成のイメージ。そして58ページ目のように、それをどのような問題解決的なプロセスの中で育んでいくのかということ。
  そして59ページ目が、社会科における技能ですね。調べたりまとめたりする技能ということは具体的にどのようなものであるかということの明確化。そして60ページ目にございますように、育成すべき資質・能力、思考力・判断力・表現力、知識・技能、それから学びに向かう力、人間性が、相互にどのように関わっているのかということ。そして61ページ目は、評価の三つの柱の整理ということを、少し整理を頂いております。63ページ目は、小・中・高を通じて目標をどのように見直していくか、三つの柱を踏まえてという御議論いただいております。
  また、より踏み込んで、64ページ目のような、社会科における見方や考え方というものを活用しながら、どのように社会的事象の追究を行い、概念的知識をしっかりと育んでいくかということ。単なる事実的知識の記憶ということではなく、社会で活用できる概念的知識ということを育むための見方・考え方を使った学習過程の在り方ということを、小学校、それから中学校の地理分野、歴史分野、公民分野、そして高等学校のそれぞれの科目においてどのようにあるべきかということを、整理いただいております。そうしたことと資質・能力の三つの柱ということが、67ページ目以降が関係してくるということでございます。これから、こうした詳細な議論を、全体像をまとめていくという段階でございます。
  そして71ページ目が、数学・理科にわたる探求的科目の在り方に関する特別チームでございます。これにつきましては、後ほど、次の3-4の資料で御説明をさせていただきます。
  それから77ページは、数学・算数でございます。これも他教科と同様に、78ページ目にございますような、幼・小・中・高を見通した中での三つの柱に基づいた教育目標の整理。そして79ページ目にございますような、三つの柱に基づく資質・能力の内容の整理。そして80ページ目、81ページ目が、数学的な活動、算数・数学の問題発見・解決というものが、真ん中に数学的に表現した問題、焦点化された問題、結果とございますけれども、それぞれ現実の世界の中から事象を数学化したり、あるいは、そういう数や式に表されたものを問題解決を行ったりというような、二つの矢印がございますけれども、これら双方をしっかりとできるようにしていくということが重要であるということ。そして、次のページ、81ページ目にございますように、そのプロセスの中で、どのような思考力・判断力・表現力が働いているのかということを、整理いただいているものでございます。そして、数学的な見方や考え方がどのように成長していくのかということを整理いただいたものが、82ページ目でございます。
  83ページ目は理科でございます。これも同様に、84ページ目にございますような、幼・小・中・高を見通した目標の整理、85ページ目、資質・能力の三つの柱、そして86ページ目、理科における科学的な見方や考え方ということを、エネルギー・粒子・生命・地球、それぞれの領域に応じて整理を頂いております。そして、それを育むプロセスの在り方が88ページ目、評価の構造が89ページ目でございます。
  芸術ワーキングも同様でございますけれども、91ページ目が、三つの柱、それぞれ小・中・高、音楽について、続いてまいります。そして94ページ目が、幼・小・中・高を見通した資質・能力の教育目標の整理、そして95ページ目が、音や音楽の出会いの中から、鑑賞領域、表現領域、それぞれにおいて、思考・判断・表現、知識・技能、そして豊かな情操を育むプロセスの構造的なイメージでございます。
  同様に、図画工作・美術、96ページ目以降、そして100ページ目が、幼・小・中・高を見通した目標、そして101ページ目が、発想や構想の能力と鑑賞の能力、創造的な技能がそれぞれどのように働くかということを、構造的に示した図でございます。
  それから103ページ目以降が、これが書道でございます。これも同様に、104ページ目が幼・小・中・高、105ページ目が、書道においてどのような資質・能力の要素を働かせながら育んでいくかということでございます。
  106ページ目も、家庭、技術・家庭、同様でございます。107ページ目が幼・小・中・高を見通した教育目標、三つの柱。そして109ページ目が、家庭科においてどのような思考力・判断力・表現力を育むか。見方・考え方が110ページ目、協働・協力、快適・安全等の、家庭科ならではの見方や考え方。そしてそれを育む問題解決的なプロセスが、111ページ目でございます。112ページ目は、具体的にそれらを踏まえて、内容・構造をどのように図っていくかということでございます。
  115ページ目からは技術分野でございまして、これも同様に、116ページ目が三つの柱、117ページ目は、社会と技術の在り方を考えるために必要な、技術分野ならではの見方や考え方、118ページ目はプロセス、そして、具体的にそれらを踏まえてどのような内容の改善を図っていくかというのが、119ページ目でございます。
  120ページ目は情報ワーキングでございます。情報ワーキングにおきましては、122ページ目のように、小・中・高を通じた情報活用能力と情報科の位置付けということを整理を頂いております。123ページ目は、情報科において育む能力、それと情報活用能力の関係性。そして126ページ目におけるような、アクティブ・ラーニングのイメージ。127ページは、具体的なプロセスということでございます。
  128ページ目は体育・保健体育、これも129ページ目にございますような幼・小・中・高の見通し、そして三つの柱が130ページ目以降、体育のプロセスというのが133ページ目以降ということでございます。
  138ページ目、総合的な学習の時間、生活科。生活科につきましては、139ページ目のような幼稚園教育との接続、そして141ページ目にございますような資質・能力の整理、142ページ目にございますような、生活科の学びの中でどのような力が育んでいけるかという整理、そして144ページ目以降は、総合的な学習の時間におけるプロセスと資質・能力の関係の整理。
  149ページ目は特別活動でございますけれども、幼・小・中・高を見通して、150ページ、人間関係形成、社会参画、自己実現ということを柱に据えた151ページ目の概念的整理。152ページ目のような三つの柱の整理。そして153ページ目のように、特別活動のそれぞれの活動の関係性、学級活動というものを基盤としながら、それぞれがどのような役割を果たすのかということ、それが社会生活とどのようにつながっていくのかということを、155ページのような議論を頂いております。そして、特別活動において育むべき資質・能力のイメージ、プロセス図が159ページ目以降でございますけれども、また154ページ目のような三つの柱、キャリア教育との関係性についても整理を頂いております。
  165ページ目が産業教育でございます。166ページ目にございますように、産業教育共通で育むべき資質・能力の整理というものを頂いております。そして、それぞれの分野に応じて167ページ目のような整理、そして168ページ目のような、既に産業教育ではかなり充実した活動が行われておりますけれども、課題探究のイメージでございます。それぞれ分野に応じて、169ページ目以降のような改善を図っていこうという整理がなされているところでございます。
  長くなりましたけれども、教科・科目については以上でございまして、続きまして3-4でございます。3-4につきましては、教科等別ワーキングの議論の状況でございます。現在、1ページ目のような教科・科目構成でございますけれども、今回は、特に国語、地歴・公民、それから数・理にわたる科目、外国語、それから家庭科につきましても、今回は資料はございませんけれども、生活デザインの履修率が低いということを踏まえて、科目構成の見直しを検討中でございます。
  あとは情報でございますけれども、2ページ目にございますような、国語の御覧のような科目構成、そして数・理にわたる数理探究の科目、それから外国語の科目構成の見直し。地歴・公民につきましては、そのような新科目の設置。そして情報につきましても、共通必履修科目、情報1の設置ということが検討されているところでございます。
  これらは全て、資料の6にございますけれども、高大接続システム改革会議最終報告の流れとも連携した、資料の6の方には、中教審における議論の状況もかなり記載いただいておりますけれども、これらと足並みをそろえた科目構成の検討であるということでございます。
  より具体的には、3ページ目に国語科、それぞれ、国語を通じた表現でありますとか、話すこと、議論することということの活動が低調ではないかということなども踏まえながら、共通必履修科目を現代の国語と言語文化、そして選択科目を御覧の四つの科目に再構成していくということでございます。
  それから4ページ目、英語でございますけれども、4技能総合型と発信能力を更に強化するという観点から、英語コミュニケーションという科目の柱と論理・表現という科目の柱でございます。
  それから6ページ目が地理総合でございますけれども、地理的な見方・考え方を育むための地理総合。7ページ目のように、問いというものを大事にしながら授業展開を図っていくということ。そして次のページにございますような、選択科目ということ。
  そして、9ページ目にございますような歴史総合、近代化・大衆化・グローバル化という歴史の転換点をしっかりと捉えながら、歴史の見方・考え方を育んでいく科目ということ。そして、それと、10ページ目のような選択科目との関係性ということでございます。より詳細には、11ページ目に、世界史に関わる探究科目、歴史総合の学びを生かしながら、より歴史の学び方を活用しながら追究・探究を深めていく科目ということ。そして12ページ目にございますように、日本史、これも歴史総合で育んだ力を生かしながら、更に追究・探究を深めていく科目であるということでございます。
  13ページ目が、公民科の公共でございます。公共の扉というところで、様々な社会の関係性を捉えていくために必要な共通的な概念的な枠組みをしっかりと学びながら、14ページ目にございますような、それぞれの分野における必要な知識・技能、思考・判断・表現を深めていくということ。そして15ページ目にございますように、最後に持続可能な社会づくりの主体となるためにということで、より探究的な学びを深めていくということでございます。そして、それらと公共と新選択科目、倫理・政経との関係性が、16ページ目でございます。17ページ目、18ページ目が、選択科目の詳細でございます。
  そして19ページ目が、数学・理科にわたる探究的科目ということでございます。今回、新たに、20ページ目のように、様々な事象を多角的・複合的に捉えるという総合性、理科の見方や考え方と数学的な見方や考え方を融合して活用するということ、探究的な学習を行うということ、新たな価値に向かう創造性、アイデアの創発ということを大事にしながら基本原理を構成していくということ。21ページ目にございますような、探究に必要な知識・技能、思考・判断・表現、そして科学に向かう態度ということを育んでいくということ。
  それぞれの学習過程のイメージが、次の22ページ目でございますけれども、23ページ目にございますように、様々な探究活動の基礎を学ぶ段階と、より自分で発見した課題を追究する実施段階という、この2段階で考えていくということでございます。
  実施に当たっての留意事項や評価の観点も、おまとめいただいております。指導の視点等も、26ページ目以降、おまとめいただいておりますけれども、そうした中で、34ページ目にございますように、具体的には、理数科の中に理数探究、理数探究基礎というものを置いていくことが考えられるのではないかということ。これは、きょうの午後、具体的にまた御議論いただくことになっておりますけれども、そういった方向性が考えられているところでございます。
  そして現在、理数科に置かれている課題研究というものがございますが、これは廃止することになりますが、現在、総合的な学習の時間と、この課題研究を読み替えが可能ということになってございますので、この理数探究についても同様に考えるべきではないかという御議論も頂いているところでございます。
  ここまで、以上が現在の状況でございますけれども、資料の2にお戻りいただけますでしょうか。資料の2にお戻りいただきまして、本日は、1ポツの高等学校教育を通じて育成すべき資質・能力について、御議論いただければと思います。
  おめくりいただきますと、資質・能力について、現状ということがございます。これまで様々、高大接続関係の議論でございますとか、キャリア教育、高等学校部会の審議まとめにおけるコアの議論などございましたけれども、こうしたことを踏まえながら、検討事項というところでございますけれども、共通性の確保という観点から、高等学校教育を通じて共通に育成すべき資質・能力の明確化、それから次のページでございますけれども、多様性への対応ということで、各学校・学科によって、育てようとする人材像に応じて資質・能力を明確化し、示していくこと、また、大学入学時点で求められる資質・能力との関係性ということでございます。
  また、もう1枚おめくりいただきますと、裏面に、教科・科目の構成及び単位数についてということでございます。先ほど資料の3-4で御紹介をさせていただきましたけれども、このような構成の在り方。そして検討事項というところにございますけれども、特に多様性への対応ということの中では、先ほどの数理探究と総合的な学習の時間との関係性、専門教科の科目の代替についての考え方や学校設定教科・科目の在り方、学校外における学習等の単位認定についての考え方、こうしたことを改めて整理していく必要があるかと考えますので、本日は、こうした資質・能力の在り方ということを、各ワーキングの状況も踏まえながら御議論いただければと存じます。
  大変長くなりましたが、以上になります。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。流れるような御説明でありまして、約500人もの方が参加なさっている議論を、今、一気に私たちは体験したということでありますが、最後に大杉室長からお話がありましたように、資料2の1枚目のところに、1ポツといたしまして、高等学校教育を通じて育成すべき資質・能力ということで、まず(1)で、高等学校教育を通じて育成すべき資質・能力についてということを、今の御説明を踏まえまして、資料も御参照いただきながら、御意見を頂きたいと思います。時間は約30分ほどということを考えております。後半は(2)の教科・科目等の構成及び単位数についてということで、こちらも30分程度、議論ができればと思っております。
  ただ、時間のこともありますけれども、そこの部分が重なっても混じり合っても結構かと思いますので、どなたからでも結構ですので御発言を頂ければと思います。御発言いただきますときは名札を立てていただきますと、私の方が分かりやすくなりますので、御協力を頂きたいと思います。いかがでしょうか。圧倒されたという感じもあるかもしれません。
  では小林委員、よろしくお願いいたします。
【小林委員】    御説明、どうもありがとうございました。高大接続システム改革会議との関係性で御質問させていただきたいと思うんですが、この御説明の中に資質・能力の三つの柱というのが出てきて、これは非常に重要だと思います。こちらを高大接続答申あるいは接続改革会議の中では学力の3要素という言葉で使われていて、多分、同義のような気がします。これから大学は、この学力の3要素に合わせてアドミッション・ポリシーを策定して、入学者選抜を変えていくと。これが高校との多面的な評価と教科を変えることに接続していくという流れだと思うんですが、私が分からなかった、この学力の3要素と学教法で書かれているものと、この資質・能力、三つの柱と言葉を変えているのは、何か意味があるのでしょうか。何か接続の観点からお伺いできればと思います。
【荒瀬主査】    どうぞ。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。論点整理の考え方でございますけれども、生きる力を構成する三つの確かな学力と健やかな体、それから豊かな人間性、豊かな心ということを、総体的に捉えて構造化しているのが資質・能力の三つの柱であるという整理でございます。恐らく高大接続の場面ですと、接続のところにおける評価ということが絡んで、それをある意味、学力と呼んだ方が評価の場面ではふさわしいということで、内容的には一致しているということは御指摘のとおりかと思いますけれども、教育課程で育んでいくという視点の中では、学力ということだけではなくて、生きる力の三つの要素を全て総合的に育む、そのための視点として捉えて言葉を使っているということかと思います。
【小林委員】    ありがとうございます。そうしますと、確かな学力と生きる力、これを併せて、育成する資質・能力とここでは呼んでいるということですね。これ、育成する力と評価は違いますよという捉え方でよろしいんでしょうか。多分、いろいろ接続していくときに、見方が違うと分からない方も出てくるような気がします。そういった理解でよろしいでしょうか。ありがとうございます。
【荒瀬主査】    その辺りのところはどうなんでしょうね。全体で共有されているという御判断ですか。
【大杉教育課程企画室長】    言葉の整理としては、まだまだ共有……。中教審の御議論、企画特別部会なり総則・評価部会の中ではこういった整理で進んでいただいていると思いますけれども、また審議のまとめの中で、しっかりと整理していく必要があるかと思います。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。では見上委員、どうぞ。
【見上委員】    やや具体の意見になってしまうかもしれないんですが、教科・科目等にも関わるかと思いますが、まず資質・能力という観点からですね。今、御説明いただいた資料の中で、3-4の説明いただきましたけれども、そこの34ページでしょうか。そこで、右側の真ん中のところに、理数探究基礎の学習内容を総合的な学習の時間や他の教科・科目において十分に習得している場合には、理数探究のみを履修することを認めることも考えられるという表現になっております。それで、私も正しく高校の方の状況を認識しているかどうか分からないんですが、総合的学習の時間から考えますと、小学校は割と、お一人の先生が全教科を教えることも多いということもあって、総合的な学習の時間がうまくいっているように思うんですが、高校に上がるに従って、教科ごとの壁が高くなると。それで、今度の高校でも、理科のこういった探究の時間が独立するというのは、これはとてもいいことだと思うんですけれども、従来でも、そういう教科の理科で言う壁が高くなって、総合的学習の時間の良さを十分生かし切れないのではないかという、今、取り越し苦労というか、したものですから、その辺りについても御意見頂けると有り難いなと思います。
【荒瀬主査】    今のことに関して。黒上委員、どうぞ。
【黒上委員】    全く同じ危惧を僕も持ちましたけれども、とても重要で、数理探究というのはどういう学科というか、簡単に言うと、普通科のかなり進学校なんかで重視される教科・科目になってくるのかなという感じがしますが、総合的な学習も、現時点では、そういう学校では、ややおざなりな感じで行われているということですよね。でも、次の指導要領全体の中で、総合というのは非常に重要な位置付けを持ってくる、ある意味、中核的な学習領域であると。
  そこでまた、これはここには載っていませんけれども、総合・生活の部会で、総合的な学習に特有な見方・考え方というのは何かという話をしていまして、それはいろいろな教科・科目で学習したことをメタに俯瞰的に状況に応じて使うような、それをコントロールするような、そういう能力、思考・判断ですよね。そういうことかなと僕は個人的に思っているんですけれども、そういうことはどの子にとってもとても大切で、それを数理だけの領域に限定してしまうことの危険性というものについては、僕も見上先生と同じように危惧を持つということなんですね。だから恐らく書きようなんですけれども、数理探究の内容がどんなものであるかということとのバランスで、その辺を考えていかないといけないかなという感じはしています。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。岡本委員も同様のことでしょうか。
【岡本委員】    同様というか、私は数理探究の主査をやっているので、ここで黙っていてはいけないというだけのことで。
  おっしゃるとおりだと思います。ただ、探究というのは、黒上委員のおっしゃるとおり、最初の出発点は、非常に進んだ子たちの探究的活動を助けるというところから当然に出てくるわけですけれども、議論していくと、探究活動としてはいろいろな探究活動があるわけで、そうして見ると、はっきり言うと、総合的学習みたいなところで基礎的に身に付けなきゃいけないゼネラルなスキルってありますよね。そういうものとだんだん似てくるところもあるわけですね。例えば探究するためには、どういう調査の調べ方をしなきゃいけないかとか、どういう例えば表現ですね。例えばこれは研究のモラルなんかにも関わってくる、あるいは情報のモラルとか、そういうものに関わってくると、だんだんバンダリが曖昧になってくるということなんですね。
  ただ、もともとこの探究科目というのは、数学と理科という中でそれぞれやるということはともかくとして、そこで既にある意味で教科の壁を何とか抜けて、もう一つ新しいものを作ろうということをしているところなので、今まで頂いた御意見を真摯に受け止めてというか、実はきょうのこれからこの後、議論するので、ここで結論は申し上げられないんですけれども、ただ、趣旨としてはそういうことなんです。
  だからここに書いたのは、例えば数理探究みたいなものを、数理探究科目というのが厳とあって、その中だけで勉強するものなのかと。あるいはもっと総合的学習で、必要があれば、そういうファンダメンタルなところ、表現の仕方とかそういうのは、そっちで勉強したら、それはそのまま探究活動やったという。これを科目では、そこが曖昧なところですけれども、そんな考え方もあり得るんじゃないかという趣旨であるということでございます。
【荒瀬主査】    では黒上委員、どうぞ。
【黒上委員】    今のお話を聞いていると、割と総合的な学習で身に付けるスキルとか能力というのが、ICT、情報活用能力の感じがするわけですね。次の指導要領のイメージですけれども、共通性と多様性というところで話をすれば、共通性で全ての子供が持つべきものというのは、それぞれの教科の本質的な見方・考え方で、それを運用する能力はレベルの差があるかもしれませんけれども、それは一様に持ってほしい。それプラス、恐らく情報活用能力ですよね。ICT絡みのことも含めて、情報を活用する能力というのが基礎・基本というところに置かれて、教科の学習がその上に乗っかって、それを運用したり活用したりする具体的な場面、本当に社会とつながるところを総合が担保するというイメージを持つといいんじゃないかと私は思っていますけれども、だから数理探究も、恐らくそこだと思うんですよね。同じような位置付けで、その領域が数理的なことと、もっと社会科学的なところとという住み分けをしながら、そこにまた社会科学系の総合の話が絡んでくるのでややこしいんですけれども、カリキュラムの構造のイメージとしては、そのように持つと分かりやすいんじゃないかなと僕は思っています。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。この件に関しまして、ほかに御意見ございませんでしょうか。
  では、またございましたら後ほどおっしゃっていただくということで、これ、本当に説明の仕方が難しくて、そもそもが総合的な学習の時間というのが高等学校段階でどれぐらい定着しているかということは、宮本先生も今うなずかれましたけれども、本当になかなか難しいところがありますので、本来、社会に出ていって一人一人が生き生きと幸せに生きていくということと、この社会を成立させていくという、その両方に関わる大変重要な取組が総合的な学習の時間かと思いますし、実はそれぞれの学校の教育目標を具体的に身に付けていく、そういう意味でも総合的な学習の時間の位置付けというのは大切だと思うんですけれども、それがなかなか定着していないという現実で、さっきもお話がありましたように、この数理探究というのが、ややもすると進学のための道具として使われるだけで終わってしまうとしたら、そんなことはないかもしれませんけれども、そういう危惧があるということは十分お含みいただいた上で、午後、岡本委員を主査とする会議で、黒上委員もお入りかと。あ、入らないんですか。是非よろしくお願いしたいと思います。この件、よろしいでしょうか。
  済みません、どうぞ、お願いいたします。
【橋本委員】    ありがとうございます。高校の場合、なかなか、教科の指導計画がばっちりあって、同じ生徒が関連する内容を違う教科で学んでいても、先生の方は数学だ理科だということでずっとやるわけですけれども、生徒の中では、それを膨らませていくと、総合的な学習の時間の目標にかなうように展開できることがあるわけですけれども、教科の壁を開いていく、横断するということでは、まずは数学的な見方と理科的な見方のところで突破してなさるということは、広がりにつながるのではないかということで、私はその辺で是非充実ができれば変わるということにもなるのかなとも思います。なお、例えば○○教育ということがあるわけですけれども、それがうまくいっていないというのも、この辺に突破口があるのではないかと考えております。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。今のような形になると本当にすばらしいなと思います。よろしゅうございますでしょうか。
  では、ほかの件でも結構です。どうぞよろしく。では藤田委員、どうぞ。
【藤田委員】    今の御議論に直接は関わってはこないんですが、若干関わりますところもあるかと思いまして、直後に発言させていただきます。
  今、資質・能力の3本柱ということで議論を進めているということは、十分理解したつもりではいるんですけれども、資質・能力を考えるときに、この資料の2では1ポツと4ポツの関係にはなってはいるんですが、そもそもの諮問が、第一項目として、目標・内容・指導・学習評価の在り方の一体化ということを考えるときに、その目標である資質・能力の文言をどう考えていくかということが非常に重要になってくるのではないか、つまり学習評価を前提とした文言をどう示していくのかということが、一つポイントになってくるのではないかと思うんですね。
  そのときに、例えば今回の御説明では、外国語ではCEFRを前提としたCAN-DO形式の議論というのが進んでおりますし、また、社会科においては、技能を中心とした目標設定、資質・能力という議論が、かなり詳細に進んでいる。つまりこういうことを考えてみますと、3本柱と言われているところの知識・技能、思考・判断・表現くらいまでは、きちんとした議論ができそうだということが分かりますが、主体的に学習に取り組む態度、これをどのように資質・能力として打ち立て、それを評価の在り方と一体化していくのかということの困難さということを、改めて課題として認識し、この部会でも、高等学校を前提として、特に大学との接続との関係でそれを議論していくということが求められるのではないかなと思いました。
  特にその限界性ということで例に出してしまうと、非常に語弊があって恐縮なんですけれども、これは英語科に限らず、全体のことだと思いますので、資料3-3の53ページなんですけれども、例えばここでは三つの観点別評価、たたき台ということでお出しいただいているわけですが、この主体的な学習に取り組む態度、こういったところが、どうしても抽象度の高い、心の持ちようの問題なので、結局は、これも言葉を選ばなくてはいけないんですが、お題目になってしまう危険性がある。そういったところを、この部会でどうしていくのかということになるかと思います。
  先ほど御議論があった問題もそうなんですけれども、高等学校の年間指導計画あるいは全体計画を拝見しておりますと、全体計画ではある程度抽象度の高い目標がありますが、全体計画ではない年間指導計画では、育成すべき資質・能力のない年間指導計画というのが非常に多くて、結局、それぞれの教科は単元がリストアップされているけれども、それぞれどのようにつながっているのかが分からない。ですから、先ほど橋本委員が御指摘になられた、ほかの教科では何をやっているかということの目の付け所が分からないわけですね。
  つまり、この1年間、どういう能力を高めていくのか、資質を高めていくのかという共通理解があって、その中の要素として各教科等がどういう役割分担をしていくのか、そういった年間指導計画の示し方の基本として、具体的な資質・能力を各学校が設定するという文化を、まず高等学校の中で作っていき、それが各学校のカリキュラム・マネジメントにつながっていくのではないか、そういう議論を、これからここで深めていく必要があるのではないかと感じました。
  以上でございます。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。では、続いて松本委員、よろしくお願いいたします。
【松本委員】    私はもうちょっと基本的なことで、先ほど来お話ありました共通性の確保というところなんですが、グローバルマインドの涵(かん)養というのを強く打ち出していただきたいなと思っています。諮問の第二のポイントの最初のマルのところに、グローバル化する社会の中でという書き出しの部分があります。そこでは、外国語で躊躇せず意見を述べ、他者と交流していくためとか、我が国の伝統文化に関する深い理解、他文化への理解とあるんですが、この文脈から読み取れることは、今後、どのように社会・世界と関わり、より良い人生を送るかということを考えたときに、外国語と、それから社会科、地理・歴史、公民というような、国レベルのことも含めて、知識として大事だ、あるいはスキルとして大事だということは言えるんですが、これから日本国内がグローバル化していくということを考えると、別に世界に出ていく人だけではないという発想が、今回の改訂において重要なのかなと。市民レベルでどのように世界の人たちと関わっていくかという。そう考えると、外国語とか社会だけじゃないよというメッセージを何とか打ち出してほしいなと。
  例えば家庭科とか道徳とか、そういう中で、自分の文化的な枠組みについて、思考の枠組みについて気付くとか、どういう問題がコミュニティーに起きているのかということに対して考え、そして課題を解決していくアクティブ・ラーニングというものが、教科を越えて行われるということを、是非盛り込んでいっていただきたいなと思います。
  以上です。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。今のお話も、先ほどの藤田委員のお話も、全体に関わるお話ですが、それに関して。
  佐野委員、ではどうぞ。
【佐野委員】    全体に関わることでいいですか。今のと直接関係がないかもしれません。
【荒瀬主査】    はい、どうぞ。
【佐野委員】    ありがとうございます。全国高P連の佐野と申します。私は高校生の保護者の立場で本会に参加させていただいているわけですけれども、結局保護者の願いというのは、自分の子供あるいは子供たち全体が幸せな人生を送ってほしいということで社会に送り出すわけですけれども、結局この教育自体も、社会で生き抜いていってほしいという願いがあろうかと思いますが、社会自体がどのようになっていくんだろうと、どういう社会で子供たちは生きていくんだろうというところを踏まえておく必要があるんだろうと思います。ただ、それは私は分からない世界、どう変わるか分からない世界、社会というのが、これからの社会なんだろうと思います。
  特に日本は、成長から成熟へという、成長自体も大幅な成長はできない、着実な緩やかな成長、成熟の社会になってきたわけですから、そうなってくると、当然、知識化社会となるでしょうけれども、一方で、人工知能の発達によって、今の人間の仕事の47%は人工知能あるいは機器等に置き換えられると。人間は今、週40時間だけれども、17時間の労働でいいんだよという社会になると予測されている、そういうことをおっしゃっている学者の方もいらっしゃるわけですね。じゃあそうなってきたときに、今の子供たちは次にどう変わるか分からない社会に飛び出ていくということを考えたときには、自分で考えて、その決断に沿って行動して、そしてその結果責任は自分で取るという、大変厳しい社会に出ていかざるを得ないんだろうと思うところであります。
  そのときには、育てるべきは、思考力・判断力というところをきちんと育てるような教育をしていただきたいと思いますし、それをやっていく上で、私自身は一番重要だなと思っているのは、身に付けるという、学びを修めるという意味の学習が必要だと思っています。じゃあ学んだことを修めるためにどうするかというと、それは試してみなければ分からないわけで、そして試してみて、失敗をしたり成功したりして、またそれが身に付くということになるわけで、失敗したら、また学びに戻るということで身に付くということになりますので、そういう意味では、方法として、アクティブ・ラーニングの視点を生かした学びを深める、それから修めるという意味で定着させる、そういう方法を取っていただきたいと思っているところです。
  ディベートであるとか、グループ学習であるとか、自らインプットしたことを発表するということで、アウトプットして学びを修めていくと。あるいは、もう一つは、社会で学んだことを実践してみるという手法も取り入れていただきたいと思っていますし、それがまさしく社会に開かれた、あるいは社会全体で人材を育てていくという教育というところにつながっていくんだろうと思います。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。今の佐野委員のお話でも、自分で考えてとか試してみるとかいうことになりますと、これは先ほど藤田委員がおっしゃった、まさしく主体的に学習に取り組む態度ということで、これは高大接続システム改革会議でも、この部分の評価をどうするのかということが出ていまして、ここのところ、なかなか難しい点があろうかと思うんですけれども、これは当然、高等学校部会はもちろんのこと、各教科のワーキングとかでも議論を頂かないといけないわけですが、その辺りのことにつきまして、御意見。
  中井委員、失礼しました。どうぞ。
【中井委員】    まず主体的な学びについては、私は、非常に重要なこの三つの要素の中でも、これからの時代を考えると、小・中・高、そして大学も含めて、しっかりとこれを定着させる必要があるんだろうと思います。それは、これからの将来、我が国、人材しか資源がないという中で、技術開発にしても、その他、文化やそういったソフトの面も含めて、日本独自の日本人しかできないような、そういったことをやっていかないと世界から取り残されてしまうというのが我が国の将来だと思いますので、そういう面では、主体的に学んでいく、そして探究を続けていくという、この資質は、これからの日本人にとって、なくてはならない、そういったものだと思います。
  今、藤田先生おっしゃるとおり、それをどう評価するのか難しい、形骸化するのではないかということについては、私もその懸念は持つわけですけれども、これは大学入試とか、その他いろいろな仕組みを、意識的に構図の中で、これはしっかりと定着すべき資質であると思います。
  それから、松本先生のおっしゃるグローバルマインド、これもおっしゃるとおりで、単に語学力を付ければいいという、そういう技術的な問題ではなくて、人間と人間との関わりの問題であるわけですから、どのようにコミュニケーションを取るのか、どのように積極的に対外的な関係を作るのかといったこと、そして自分たちの日本人としてのアイデンティティーといったものはしっかりと身に付けることが、まず前提になるんだと思います。
  そういうことなんですが、そういう中で語学教育というのはどうなんだというと、よく出るのが、日本語が先だ、日本語を優先すべきだと。いやいや、そんなことを言っていると、いつまでたっても英語下手の日本人でしかないという、この議論がよくあるわけですけれども、そういう中で、言語活動、国語そして外国語を通じて育成すべき言語能力という、この考え方は、非常に重要な考え方ではないのかなと思います。
  さらに、要は語学力というのは、脳科学的な側面が多分にあるわけで、脳科学の面から見ると、言語能力というものをどのように身に付けていくのがいいのか、何歳ぐらいからどういう形でやっていくのがいいのかみたいなアプローチも併せてやるべきではないのかなと思うわけでありまして、要は日本語と外国語と二者択一ではなくて、両方が相まって相乗作用的に教育効果が高まるような、そういうアプローチというのがあれば、それが最もいい教育方法というか、教育効果を生み出すものだと思いますので、そういう面で、こういった言語能力を、国語、外国語、両側面から見ていくと。そこにもうちょっと科学的なアプローチが更に加われば、何かいい成果が出るのではないかなと思うところです。
  以上です。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。では橋本委員、どうぞ。
【橋本委員】    ありがとうございます。今回の検討事項の一番先に、育成すべき資質・能力についてというところがありますけれども、ここで皆様方も、この委員の方は、皆さん、そういう認識でいらっしゃると思いますけれども、共通性と多様性と示されていますが、いずれにしても、それは資質・能力というところから見ると、共通性の確保というのはどのようなことなのかということでの三つの学びということで、主体的な学びと対話的な学びはそうですが、深い学びも、それぞれの生徒なりに深い学びを共通性というところでもやるということが、共通認識なのかなと思っております。
  その辺を踏まえたときに、先ほど松本委員から、グローバルということについても、本当に身近な中でのそういう異文化というか、様々な考え方の方々とのコミュニケーションということがあって、それが多様性ということになってくると、実際、様々な場所とか時間とか、様々なところでの子供たちが成長していくというところでの課題ということはあるんでしょうけれども、それの基礎になるようなものは、共通性という中にも含まれていなければならないということではないかという認識でおります。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。では黒上委員、続いてお願いいたします。
【黒上委員】    主体的な学びの評価に関してですけれども、形骸化した評価の典型というのが、多分、挙手の回数とか提出物の回数とかですよね。そういうのから離れて、じゃあどのように評価できるのかというときに、これ、本当は多分、4番目のだから、今言うべきかどうか分からないですけれども、そうじゃない知識・技能の方は、課題別というか、単元ごとに細かく評価をしていきますよね。そういうことが、主体的学びにおいても多分必要で、つまり子供が当たっている課題に即した主体的な学びとは何かということが、きっと重要なんですね。
  これまでそういう考え方を余りしていないんですけれども、だから年間を通した漠然としたやる気みたいなものというのは、心理学上の質問紙だと測れますけれども、測れるというか、それで測ったものをやる気というという、そういう操作的定義をしていますよね。だけれども実際には、我々、いろいろなことに当たっていると、あることについてはやる気あるけれども、あることについてはないみたいなことが、でこぼこがあるわけですよね。
  そういった形で、課題に即して、この課題を主体的に行うというのはどういう姿なのかということで、例えば外国語の話で言えば、外国の方に対して、相手の立場をちゃんと考えながら、どのようにしたらコミュニケーションができるかということを積極的に考えているかどうかみたいなことを、どうやって見取るかみたいな話だと思うんですね。それがたまたま天気の話であればどうかとか、食事の場面だったらどうかと、細かく課題別に想定されていくということですよね。
  それが高等学校でこれまでどのようにあり得たかというと、そんなことはあり得なかったんですよ。なぜかというと、高等学校では、観点別評価は大事と言われながら、観点別評価をしたところでどこにも書き出すところがなかったから、全くやっていないわけですよね。それに対して、これからは観点別に、少なくともこの三つの観点で書き出す場所がちゃんと保証されて、書くためには、何らかの形で具体的にその課題に即した主体的な学びとは何かということを記述して、その記述、評価後、記述するということだと思いますけれども、それに即して評価をしていくというルーブリック評価ですよね。そういうものが具体的な形で示されて、実際にいろいろやりながら徐々にそれが洗練されていくということが、本当は期待されるのかなと思っています。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。学習評価につきましては、これはまた後日ということに本来はなるのかもしれませんが、評価抜きでは話せない内容ですので、どうぞ御懸念なくおっしゃっていただければと思います。
  では佐野委員、どうぞ。
【佐野委員】    ありがとうございます。高大接続システム改革会議でも、一番最後の方のまとめの最終報告、まとめのところで、主体的に学ぶ態度、態度を評価できるのかという議論が相当ありました。私はその議論の中で思っていたのは、評価をする人は誰なのかというところを考えることが、形骸的な評価じゃなくなっていくのではないかと考えていたところです。
  すなわち先ほどお話ししたような、学びを深めていく、あるいは修めていく場が、教室の中だけではなくて、例えばグループ学習であるとかディベートであるとか発表ということであれば、評価をするのは同級生の同じ生徒同士でもいいし、あるいは社会でそれを実践していくのであれば、そういう社会活動、あるいはインターンシップとかの企業の方、あるいは一緒の地域奉仕活動とか社会活動だとか福祉ボランティアとかに行った先の皆さんたち、あるいは家族でもいいかもしれません。そういうところの方の評価を入れていくということが、私は形骸化をさせないことになっていくんだろうと思っているんです。
  私自身は荒瀬先生と、高大接続の最後が終わってから喫煙所で少しお話をさせてもらいましたが、主体的学び、主体的に取り組む源は何かというと、一人一人のキャリア観だと思うんですね。キャリア観というのは、職業選択という狭い意味のキャリア観じゃなくて、いかに生きるかと。自分はいかに生きて、自己実現を図って、社会の役に立つかと。そこのところが一番重要なポイントで、それがきちんと育っていくと、主体的な学び、主体的に生きるということにつながっていくんだろうと考えております。
  そういう意味では、キャリア観、いかに生きるかというところを育てていくという意味では、私たち家庭教育、PTAもそうですし、それから地域社会全体で、そこをきちんと確立していかなければいけないと思っているところです。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。では小林委員、どうぞ。
【小林委員】    最初に三つの学力要素と資質・能力の三つの柱、どう違うのかとお伺いしたのは、正にその点でございます。高大接続システム改革会議の中でも、育成すべき資質・能力の点と、それをどう評価するのかという点を、どう接続していくのかというのが議論となっていました。例えば、今度、新しい大学入学希望者学力評価テストでは、記述式をかなり無理をして入れていくという判断をしたと思います。これは何のためかというと、高校までの教育の中に、言語活動とか、あるいは探究活動を、もっと教育として充実させ、実質化していこうということです。これを更に定着していくために、入試の中身を変えていこうという議論がされていたと思います。
  今までの学習指導要領でも、良い理念、すばらしい理念の下に作られていました。総合学習の時間もそうです、しかし大学の入学者選抜がそうなっていないために、先ほど議論に出たような、総合学習の時間を数学に充ててしまうとか、英語の時間に充ててしまうとかということが出てきたりしています。1年生の夏休みが終わったら文理選択の紙が配られて、高校1年生の子にインタビューすると、この段階でどうやって文系か理系かを選択するんでしょうかといったような状況になっています。世界でも珍しい、教育というよりは入試対策の授業になってしまっているというのが現状だと思います。
  なので、今回、入試あるいは入学者選抜を変えることで、高校までの教育も一体的に変えていこう、もちろん大学もですが、という形でいく中でいくと、この評価と育成すべき資質・能力のところは非常に連動していますので、ここをどう接続していくかというのは、この会議だけではなくて、きちんと別々の会議が並行して進んでいるのは理解しましたので、ここをどう接続していくか、言葉も含めて、そういうところが非常に重要になってくるんじゃないかと思います。
【荒瀬主査】    ありがとうございます。藤田委員、どうぞ。
【藤田委員】    先ほど佐野委員からキャリア観のお話がございました。そこについては私も重要だなと心から思う者の一人として、若干発言したいなと思って、今、ボタンを押したところなんですけれども、キャリア観を考えるときに、今回、新たな教科目の一つとして、公民科の中に、仮称ですけれども、公共というのがございます。資料3-4の15ページにもございますように、キャリア教育の観点というものが、この公共の中で生かされていく、それを考えていったときに、資質・能力の3本柱である主体的な学び、これはいかに社会・人生に関わっていくかということと直結する領域かと思うんですけれども、こういったものの在り方、それから、この新しい(公共)と同時に、資料の3-2の155ページを御覧いただきますと分かりますように、特別活動も正に社会との接続関係にある。
  こういった、高等学校の中に既にある、あるいはこれから構想されていく、そういった要素を、どう切り結んでいき、キャリア観に発展させていく可能性を持っているのかという俯瞰する作業というのを、この高校部会ではきちんとしておかないと、これまでも学習指導要領の中に、そういった要素がきちんと散りばめられていたわけですけれども、その俯瞰する作業というのは抜け落ちていたのではないか。それは先ほど私が発言したこととも重複しますけれども、育成すべき力という観点から各要素を見てこなかったのではないか。そこのところが大きな問題だと感じているということを再び申し上げたいということが、1点目でございます。
  2点目でございますけれども、先ほど黒上委員からルーブリックというお話がありましたけれども、正にルーブリックこそが、育成すべき資質・能力と評価を一体化するものだと思うんですね。結局、いかに目標を設定して、それがそのまま評価の基準になっていくわけですから、そういった場合、生徒と保護者、それから教員が、それぞれルーブリックを共有することによって、目指すべき方向性が共有できる。そういった中で、自己評価も含めて、それぞれの高校生活、若しくは中学まで遡ってもいいかもしれませんが、そういったものを記録しながら、自己評価、他者評価も含めながら、自らの成長を感じ取っていくような、そういった自己成長のシステムというものを考えていく必要があるのではないか。これは正に4ポツで考えなくてはいけないことですけれども、例えばポートフォリオのようなものも、これから育成すべき資質・能力とともに考えていく必要があるのではないか。そんなことを感じました。
  以上でございます。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。では、宮本委員、吉田委員の順でよろしいでしょうか。
【宮本委員】    ありがとうございます。高等学校の現状について、様々、今、御意見が出てきたところは、かなり当たっているわけで、まずは教科というのがどうしても高校の場合はあって、教科に関することは、もちろんしっかり学習指導要領に沿って指導していくのですが、それ以外の例えば総合的な学習の時間などについては、今、いろいろな方から言われた実態があるところは事実だと思います。もちろん学校によって様々実態は違ってきているところがある。
  ただ、ここに来て、例えば高大接続の議論もそうですし、それからこの新しい学習指導要領改訂の動きもそうですけれども、こういう状況の中で、かなり学校現場の中でも、認識は随分変わってきたのではないかと私は思います。例えば高大接続の問題でもそうですけれども、これだけ話題になって、そもそも高等学校でどういう力を育てなくてはならないのかということが非常に大きなテーマになってくる。あるいは今回の学習指導要領の改訂に際しても、まず論点整理が示されたように、まず全体としてどのように変えていくという方向性を出した上で、今、教科のそれぞれのところでの検討が始まっているというように、今までとは違う形で学習指導要領の改訂も進んでいるわけで、そういう意味では、そもそも高等学校でどういう力を付けなくてはいけないのか、つまり今ここで議論しているようなことに対する認識というのが、かなり高校の教員全体の中でも浸透しつつあると思っています。ですから、こういう議論を学校の中でそれぞれやっていくような、動きが出てくれば、非常にうまく変わっていくのではないかなと思います。
  例えばアクティブ・ラーニングのことにしてもそうですけれども、何かの形で指導方法を変えていかなくではならないという認識は、今、高校の教員にもかなり出てきていますし、いろいろな研修をしたり、関心を持ったりという動きが出てきていますので、そういうものとうまく連動させられることができるといいかなと思います。
  それから、主体的に学習に取り組む態度ですけれども、確かにこれを評価するのは難しいと思います。私は、これをそれぞれの学校の中で、うちの子供たちの態度をどのように評価しようかという議論や検討を、まず始めていくというところが大きいと思います。ただ、問題は、それをじゃあ日本全国共通にして、ある基準で測るのかというところが非常に難しいと思うのですけれども、まず学校の中でそれぞれの基準を教員が話し合って、議論をしていって、うちの子供だったら、このぐらいまで来たらこれはいいよねというところができてくることは、比較的難しくないと思います。ですから、そういうことからまず始めていくということが大事じゃないかなと思っています。
  以上です。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。では吉田委員、どうぞ。
【吉田委員】    ありがとうございます。この膨大な資料というか、各ワーキンググループで、本当に皆さん、すごく考えに考え抜いていただいて、内容的には各教科ともに私はすごいとは思うのです。
  ただ、すごいとは思うのですけれども、今回の教育課程の改訂というのは、今、変わったばかりですよね。まだ数年前に変わってスタートして、今度、これが、高校だと35年からですか、ということですけれども、またその後、先を考えたときに、今回の教育課程の改訂というのは、今までの10年ごとの改訂とは違う、非常に大きな意味があると思うんです。
  その基にあることは何かというと、先ほど来お話のある高大接続の問題であり非常に大きいのではないかと。今、接続システム会議で、あれだけいろいろな試験のこととかやっているわけですけれども、はっきり言って、どのように大学が変わってくれる、ここは大学の先生がたくさんいらっしゃるので失礼ですけれども、大学がどう変わってくださるのか分からない。来年、いろいろなポリシーを全部発表なさるという、今年度中でしたか、各大学が出さなくてはいけないということになっているはずですけれども、それに対して、我々高等学校以下のサイドで教育課程をここまで変えることが、本当に望まれることなのかどうなのか。それとともに、ここに書いてあることを全部やるとしたら、私は、子供たちはパニックじゃないかと。こんなにたくさん、各教科でこれだけのことをやったら、無理だと思います。
  もともと今回の高大接続の中でも出てきましたし、他にもいろいろ出てきましたけれども、グローバル化の問題とか、それから外国語教育の問題とかって出てきていますよね。そういう中で文科省としても、例えばIBを進めようと。それからSATとかGCSEとか、ああいうアメリカやヨーロッパのシステムというものに学んで試験を変えていこうというお話だったと思うのですけれども、にもかかわらず、例えば3-4の資料の、これは2ページになるのですか、高等学校教科の科目構成についてというのが、これは新しい教科のある国語とか数理のことを書いてあるわけですけれども、今までの前のページにある教育課程、例えば国語だったら、国語総合、表現、現代文どうのと細かく分かれて、それが毎学年、何教科もあってやってきている。それを、例えば今度は、じゃあこれで言うところの共通必履修の現代の国語と言語文化とか数理探究とか、そういうものにしていくということで本当に進むのなら分かるのですけれども、これを見たら、多分、大学サイドは、うちの大学は、例えば理数系の大学であれば、数A、数Bは絶対必要だ、やれ物理と化学、生物は取らなくては駄目だ、うんぬんということになっていくようになったら、海外の制度をまねするうんぬんとは全くまた違う方向というか、元に戻るだけじゃないかと。
  それだったら、思い切って高校サイドが変わっちゃえば、大学入試も変えられちゃうわけですよね。今まで我々は、大学入試が変われば高校入試が変わるということを言っていましたけれども、大学が変えてくれないんだったら、高校以下の教育を変えてしまおうよと。今、すばらしい三つの要素に基づいた教育をしていこうという判断があるのだとしたら、思い切ってそれぐらいのことをやっていただけないかなと。各教科の相乗効果というのも、英語と国語などは特に言語という面ではそうだと思いますけれども、先ほども松本先生がおっしゃったように、教科同士を越えてやらなくてはいけない。例えば今、イマージョン教育の必要性とかいうことも言われているわけですけれども、その話も全くない。
  それから私は数理の件で評価したいというか、これは進めてほしいなと思っているのは、実際に今、アメリカでは、あれだけ女性のリーダーシップ取っている人がたくさんいる。日本も今後、取らせなくてはいけない。そのアメリカが、STEM教育について欠けていると。特に女子のSTEM教育が欠けているということで、大統領が2013年に教書で発言したぐらい、30億ドルか何か付けてやろうとしているわけですよね。そういう意味では、日本においてもSTEMみたいな教育が絶対必要だし、それから今、はっきり言って、数年前に、一人1台、生徒たちにタブレットを持たせてどうのこうのという話がありましたけれども、一切お金が付かないで進んでいません。で、ICT教育だ何だ言われていますけれども、もうすでにタブレットの時代ではなくて、高校生になったらノートを持たなくては無理である。そういういろいろなバックグラウンドを総合的に判断して、アメリカとかの教育に負けないためには、今後、プログラミングだって必要になってくるだろうし、そうすると、もっと教科全てが、お互いに譲り合うではないですけれども、協力しながら、合教科型の話とかイマージョンの話とかIBとか、そういう今まであったものをもう1回戻さないと、ここで各教科ごとのすばらしさは分かるのですけれども、それを全部課すということが本当に子供たちに可能かどうか、そしてそれを大学がどう判断してくれるのか、そういう意味で、思い切った改革をお願いしたいという思いを述べさせていただきました。
【荒瀬主査】    大変力強い御発言、ありがとうございました。今の吉田委員のお話、これは先ほど松本委員がおっしゃったこととも関わるんですが、各科目の在り方というんでしょうか、単位数を具体的にここでこれは何単位にしなさいとかいう話は無意味かと思うんですけれども、おっしゃるとおり、どの教科・科目もそれぞれのワーキングで議論がなされて、どんどん内容が深められていくと、当然のことながら膨大な時間を要するようになっていくというのが、これは高等学校の縮図ですよね。高等学校内では正にこういうことが行われてしまっていて、よって、カリキュラムの話というのは時間数の取り合いの話ということになってしまっているので、そうならないような横串の刺し方というのを、この部会では提案をしていければなと思いますので。
【吉田委員】    済みません、追加でございます。今、ここに書いてあることというのは、そういった割と進んだ方向なのですけれども、基礎的な要素、例えば地歴一つ取っても、本当に小学校なら小学校のときに日本地図なり世界地図なりが頭の中にきちんと収まっていて、中学・高校と地歴科目をやっていけば分かるかもしれませんけれども、今の日本の高校生の実態でいうと、98%が進学しているせいもあるかもしれませんけれども、はっきり言って日本の地図ですら分かっていない。それが日本史やったって難しいわけですよね。それから英語も、4技能ということで今進んできていますけれども、これではまだ単語数の問題とかも出てきていません。そういう基礎的にどうしても覚えなくてはいけないところと、それがあって初めて、こういったアクティブ・ラーニングにしても何にしても始まるという部分というのも、少し何かはっきり出していただけるといいのかなという気がいたしております。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。では見上委員、どうぞ。
【見上委員】    今、吉田委員の方から大学のあれも出たものですから、一言だけ。
  おっしゃるとおりで、とにかく大学は頑張らなきゃいけない。今、正に大学改革進んでいるところなんですが、まず小・中と変わってきた。ここでいよいよ高校が変わろうとしている。大学の方も、今、非常にどの大学も必死で変わろうとしておりますので、まず高校の方は大胆に信ずる道を進んでいただき、大学もしっかり取り組みたいなと思っているところでございますが、特に大学は、ポートフォリオにしてもルーブリックにしても、実際の学生たちの評価に、教員養成系の大学は特に、そういうものを取り入れるようになりました。随分変わってきたと思います。ですので、特に教員養成系の大学の場合は、先生を養成するので、例えば先生自身がグローバルな視点を持っていなくて、それで生徒にグローバル、グローバルと言っても、なかなか始まりません。そういう意味で、教育大学の使命は非常に強いと思っていますので、頑張りたいと思います。どうもありがとうございました。
【荒瀬主査】    是非よろしくお願いいたします。さっきおっしゃったこと、STEMのこととかは、工業科の在り方とかこういったところにも必ずしも出ていないようですけれども、多分これ、工業科なんかは、今後、STEM教育というんでしょうか、重視していくという方向で、恐らく動いているんですよね。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。3-3の一番後ろに、産業教育の各学科別の見直しの方向性がございますけれども、人材像でありますとかグローバルな視点を取り入れた学習の充実ということも含めて、現在、御議論を頂いているところではございます。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。では今村委員、済みません、お待たせしました。
【今村委員】    話が戻ってしまったら申し訳ないんですけれども、私も1点だけ、全体に関わるところで発言させていただきます。
  私も藤田委員がおっしゃっていた観点と近いんですけれども、子供たち、特に高校生たちが、これを最終学歴にする子たちもまだたくさんいるという中で、子供たちに最低限に保証してあげたい、学ぶということは楽しいということを、もう一度取り戻していくチャンスを高校段階できちんと作っていくということを、全体としてどう意識するのかということが大切で、何を盛り込むかというよりは、何の余白をどう子供たちに考える機会を作るのかということを、どのように検討・議論していけばいいのかなと思いながら考えておりました。
  その上で、全体的に、世界又は国内で言うと東京を向いた学力のといいますか、方向性といいますか、学ぶということの最高レベルといいますか、高いレベルのものは都市にあるという前提の中で、地方にいる子供たちが、その地域社会をどのように捉えていくのかということを、もっと高校の先生方が取り入れていけることに、一つヒントがあるのではないかなと思っています。
  高校の先生方が地域社会の基礎自治体の方々となかなか結び付かない構造にある中で、探究というものが、決してハイエンドな進路を歩む子たちだけではなくて、むしろ基礎的なところに立ち戻らなければいけない大半の子たちにとっても、もっと地域社会の中で起きていることと、例えば数学や理科、公共という教科だけではなくて、数学的なことに関しては、もっと地域社会の中で起きていることと教科というものが結び付くようなことが、高校の中で、各教科、少しでも起きていけば、そこで生徒たちが、その学びをやる意味を、小学校段階でやる意味を見失っている子たちも、高校段階で小学校のところに戻って、そして地域で起きていることとつないで、実は掛け算できなかった子たちも、地域の中の何らかのこととつなぎ合わせることで、ああ、そういう意味があったんだということを例えば感じられるとか、衰退産業の中でも、実は学校の学びとつなげることで新しいアイデアが生まれて、そこに自分の学ぶ意欲がまた取り戻せるとか、そういったことがあるような気がしています。
  なので、探究というキーワードを決してハイエンドな子たちだけに置いたものではなくて、詰め込み教育をしてドリル学習をやった後に探究があるのではなくて、もっと前段階から探究的な要素を、特に先生方が取り入れられるような、地域との結び付けた関わりをどう保証していくのかということについて、発言させていただきました。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。藤田委員、では。
【藤田委員】    短くいきます。今、今村委員から御指摘、非常に重要だと私自身も考えております。そのことにつきましては、御存じのとおり、特別活動の中に学校行事という大きな重要な要素がございます。その中では地域社会との連携ということが当然求められる、これは現行の学習指導要領でもそうなんですけれども、高等学校での特別活動の扱いが、これまで十分ではなかった。例えば平成10年版の学習指導要領の定着調査、平成15年だったでしょうか、行われたものによりますと、ホームルーム活動、年間35時間が必要なんですが、それが平均値で満ちていない状況がございます。
  ですからそういった意味では、特別活動の中における高校生の地域社会との連関性、あるいは先ほど佐野委員がおっしゃってくださったこととも関わるんですけれども、地域社会を変えていく、社会を構成しながら自ら作り上げていく、そういう効力感というのが、特別活動の中で、生徒会活動やホームルーム活動の中で課題を解決した事実、それに基づく自己の効力感であるとか、そういったものが必要なのではないか。そういったところが特別活動の中だけに収まらず、きょうの資料の3-3の163ページにございますように、各教科等との往還関係をどう作っていくのか。
  つまり、地域課題を発見し、それを数学や、あるいは地歴・公民科ですとか、あるいは自然科学、その他、全体の学習の成果を生かして解決する主体としての高校生が、特別活動の場を通して実態を通すわけですけれども、それは各教科の学びを基盤とした貢献活動になるような、そういう仕組みを作っていくということが今後求められていくのではないか、そんなことを感じた次第です。
  以上です。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。まだまだお話しいただかなければならないかと思いますが、時間のこともございますので、最後に髙木主査代理から御発言を頂きたいと思います。
【髙木主査代理】    きょうは1番の話でしたが、2番、3番、4番というところで、これ、関わってくるんですが、きょうの話の中で申し上げますと、高等学校教育を通じて育成すべき資質・能力、これ、主語が誰かということだと私は思っております。ここの会でできることは、学校の主役は私は子供だと思っていますが、子供が自分でどういう資質・能力を育成しようかなんていうことは、ゆめゆめ思っていないわけで、これはある意味では、大人の責任、社会全体の責任。もっと現実的に近く言えば、高等学校の先生方が、これからこの資質・能力をどのようにお考えになっていただくかという、そこのところが一番問われてくるのではないのかなと。
  先ほど宮本先生も、高等学校が少しずつ変わった、確かにアクティブ・ラーニングという言葉で少しずつ変わりつつありますが、本当の意味で、子供たちにどういう資質・能力を高等学校教育で付けていくのか、これまで言ってきた学力ではなくて、資質・能力というところに焦点を当てながら、これからの日本の子供たちの未来を作れるような教育課程になっていけばいいかなと、今、お話を伺いながら感じていたところです。
  以上です。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。そういたしましたら、様々御意見頂戴いたしましたが、本日はここまでとさせていただきたいと思います。
  なお、初めの方に御意見がありました数理探究に関しまして、総合的な学習の時間との関わりというのを今後十分に考えていかなければ、高等学校教育の非常に大きな柱の部分に関わりますので、例えば総合的な学習の時間という名前自体は定着しているわけですけれども、実態が、なかなか高等学校、定着していない面も、これは本当に残念ながらありますので、そういう名称のことなんかも含めて総合的な学習の時間をどうしていくのかということを、関係のワーキンググループで御議論いただければということを思います。
  本日お出しいただきました意見につきましては、事務局の方で論点ごとにまとめて、その趣旨を整理していただくということで、よろしくお願いしたいと思います。また、きょう御発言になれなかったことにつきましては、メールですとかペーパーですとかを事務局の方にお送りいただければと思います。
  それでは、次回以降の日程などにつきまして、事務局から御説明をよろしくお願いいたします。
【西川教育課程企画室専門官】    本日はありがとうございました。資料7にありますが、次回、第2回は、5月9日月曜日の10時からとさせていただきます。場所は調整中でございます。また、内容としましては、特に高等学校における必履修教科・科目の在り方、それから本日も少し御議論ありましたが、高等学校における評価の在り方について御議論いただきたいと考えております。
  主査からもお話ありましたように、ペーパーによる御意見等も頂戴できればと考えております。ファックス、メール、郵送でも結構でございます。
  なお、本日の資料につきましては、郵送を御希望される場合は、机上に残しておいていただければ、こちらから後日お送りさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
【荒瀬主査】    ありがとうございました。それでは、本日の高等学校部会を終了させていただきます。本当にありがとうございました。

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