教育課程部会 算数・数学ワーキンググループ(第8回) 議事録

1.日時

平成28年5月24日(火曜日) 17時00分~19時00分

2.場所

文部科学省 東館15階 15F特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議事録

【小谷主査】    それでは、少し早いかもしれませんが、御出席の皆さんおそろいですので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会算数・数学ワーキンググループの第8回会合を開催いたします。本日は、お忙しい中御参集いただき、まことにありがとうございます。
  まず最初に、事務局から配付資料について御確認をお願いいたします。
【岡村教育課程企画室専門官】    配付資料の確認をさせていただきます。本日は、議事次第に記載してありますとおり、資料1から資料3、それから参考資料1から参考資料7、その他机上に参考資料を配付しております。不足等がございましたら、事務局までお申し付けください。
  また、机上にタブレット端末を置いておりまして、その中に、本ワーキングの審議に当たり参考となる関係する審議会の答申や関連資料をデータで入れております。
  以上でございます。
【小谷主査】    これより議事に入ります。初めに、本ワーキンググループの審議等については、初等中等教育分科会教育課程部会運営規則第3条に基づき、原則公開により議事を進めさせていただくとともに、第6条に基づき議事録を作成し、原則公開するものとして取り扱うこととさせていただきます。よろしくお願いします。
  なお、本日は報道関係者より会議の撮影及び録音の申出があり、これを許可しておりますので御承知おきください。
  第8回のワーキングの議題は、算数・数学ワーキンググループにおけるこれまでの議論の取りまとめについてを予定しています。
  まず初めに、総則・評価特別部会に関する資料について、事務局より御説明を頂きます。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。参考資料の7という資料が後ろの方に付けてございますので、お手元に御用意いただけますでしょうか。参考資料の7、総則・評価特別部会関係資料ということでございます。主に、今後の総則の姿がどのようになっていくのかということを共有させていただきたいというふうに思います。
  1枚おめくりいただきますと、資質・能力の育成に向けた各教科等の関係ということで、各ワーキングでの議論を少し整理させていただいているものでございますけれども、各学校が学校教育目標を定め、それに基づきどのような資質・能力を育成するかということを設定していくわけでございます。資質・能力の三つの柱で申し上げれば、知識・技能の部分のようなところは、それほど学校ごとに大きく変わるというようなものではないと思われますけれども、例えば学びに向かう力、人間性のようなところは、学習指導要領の各教科の柱等を踏まえつつ、学校が、子供たちの姿や地域の現状に応じて様々な資質・能力をしっかりと考えていくと。もちろん学習指導要領を踏まえてということでございますけれども、そういった中でカリキュラム・マネジメントを実施していくわけですけれども、その中で各教科と様々な領域等との関係性をしっかりと捉えていくということになろうかということでございます。改めて、総合的な学習の時間が、各教科の見方や考え方を総合的に活用しながら探究することを通じて、各学校が設定する資質・能力ということを育成していくというものであるということ。あるいは、特別活動が様々な学習の基盤となる学校生活ということの全体の基盤づくりということでありますとか、キャリア教育の観点から、自分の学びが生活やキャリアにどう生きていくのかということを振り返っていく。今回、キャリアカルテやキャリアパスポートということを特活の中で振り返りに使っていこうというような議論もされているところでございますけれども、そういった意義ということがあるということ。また、特別の教科道徳、小中学校におけるというものが、各教科で育成する人間性の基盤として働いていくものであるというようなこと、こうした教科、領域間の関係性ということを少し今回明示していくということをさせていただいているところでございます。
  こうしたことを踏まえながら、次のページでございますけれども、これはもう既に論点整理にも記載させていただいておりますが、何ができるようになるかということを念頭に置きながら、何をどのように学ぶかということを実現していくということ。各学校がこうしたことを念頭にカリキュラム・マネジメントを実現していくということが、今回改訂のかなりの要になってくる部分であろうかと思われます。より、少し詳細に見てまいりますと、次のページでございますけれども、カリキュラム・マネジメントのイメージということで、各学校が指導要領を踏まえながら、何ができるようになるかということを考え、それを基に何を学ぶかという教育課程の内容を編成し、それを具体的にどのように学ぶか、教えるか、指導するかという指導案ということ、その中でのアクティブ・ラーニングの視点からの学習の実現ということ。そして、その成果として、上に戻りますが、何が身に付いたかということ。そしてこの全体を、下の部分にございますけれども、家庭・地域との連携、協働により支えていくという、実施するために何が必要かというようなこと。そして全体を通じまして、真ん中にございますような個々の子供の発達をどのように支援するか、特別支援教育でありますとか、海外から帰国した子女あるいは外国人児童生徒への指導、あるいは進路指導、キャリア教育、ガイダンスというようなことからも、しっかりと子供たちの一人一人の発達を支えていくという視点、これらがしっかりと各学校でマネジメントされるということを目指していくということでございます。
  そして、こういうことを踏まえまして総則の構造を変えていくということでございまして、その次のページが現行の小学校の指導要領総則の構造でございます。各教科の実施に当たって共通に留意すべき事項というようなことを書かせていただいているというようなことでございますけれども、これを抜本的に見直しまして、次のページでございますが、第1のところで、先ほどの何ができるようになるか、第2のところで何を学ぶか、そして第3のところで、それをどのように学び、何が身に付いたかということを学習評価を通じて見ていくということ。また、特別な配慮を必要とする児童生徒でありますとかキャリア教育の視点など、個々の生徒の発達をどのように支援するか。そして、家庭・地域と連携しながらということでございますが、実施するために何が必要かということで、総則の構造を一目見ただけで、今後のカリキュラム・マネジメントとして考えるべきポイントが分かるというような方向性で、抜本的に総則の構造を変えていくということを検討いただいているところでございます。
  次のページは中学校でございますけれども、さらに1枚おめくりいただいた次のページが、同様に中学校教育についても構造を変えていくということ。さらにその次のページは高等学校でございますけれども、次のページにございますように構造を変えていくということで、全体といたしまして、各教科で御議論いただいた資質・能力の育成につながるようなカリキュラム・マネジメントということが教育課程全体で実現されるように、総則の在り方を抜本的に見直すという議論がされておりますので、御参考までに御紹介をさせていただきました。
  以上です。
【小谷主査】    ありがとうございました。それでは、議題に入ります。
  議題1では、資料3の取りまとめ案について御検討いただきたいと思います。取りまとめ案は本文と添付資料とから構成されており、添付資料は、これまで御議論いただいてきた資料になっています。前回までのワーキンググループでの議論を踏まえ、資料3の添付資料の方にも修正が入っていますので、まず資料3の添付資料について、事務局より御説明願います。
【岡村教育課程企画室専門官】    お手元の資料3、算数・数学ワーキングにおけるこれまでの議論の取りまとめ案を見ていただきますと、めくっていただいて11ページの次のページから、この資料3の添付としての資料1、資料2ということで、資料5まで添付してございまして、こちらについて、前回までのワーキングでの議論を踏まえた修正点について御説明いたします。
  まず資料1の、幼・小・中・高等学校を通じた算数・数学教育のイメージですけれども、こちらの小・中・高とも、例えば高校でいいますと、1のところで「数学的に解釈したり表現したり」とあったのですけれども、こちらに「処理」というのを入れた方がいいということで、これは評価の方での御指摘があったのですが、それに合わせまして、こちらに処理という文言を追記してございます。あともう一つは小学校のところ、1、2、3とあって、その次にポツが三つございますが、こちらは前回までポツ二つで表示していたのですけれども、一番最後のポツの「友達の考えから学び合ったり、学習の過程と成果を振り返り、よりよく問題解決できたことを実感したりする活動」というのを、取りまとめ案の方の御意見を事前に各委員から頂く中で、そういった修正案が出てきていましたので、その取りまとめ案に合わせた形でこちらも修正をしております。
  資料1は以上でして、1枚めくっていただきまして資料2の「資質・能力の三つの柱に沿った、小・中・高等学校を通じて算数・数学科において育成すべき資質・能力の整理」につきましては、修正部分は赤字で示しているところですけれども、こちらは前回までは数学的な見方や考え方となっていたのですが、今回、従前の算数・数学における見方や考え方と、ちょっとその位置付けが変わったということで、再定義するということで、今回「数学的に考えることのよさ」ということで表現を改めております。
  次のページで、参考ということで、高等学校の理数において育成すべき資質・能力が付いてございますが、こちらも前回ワーキングでお諮りした資料のうち、赤字のところを修正しておりまして、修正した点は、一つは、前は科学(理科)と書いていたんですが、こちらを理科にしたという部分と、あとは真ん中の思考力・判断力・表現力等の欄のところ、「しようとする力」という文言が一部あったのですが、そこを「する力」というふうに表現を統一しております。
  また1枚めくっていただきまして、資料3ということで3枚続いてございますが、こちらは特に、従前御確認いただいているものから変更ございません。
  次の資料4で、資質・能力の育成のために重視すべき算数・数学の評価の在り方についてということで、こちらも修正部分を赤字で示しておりますが、先ほどと同じように処理という文言を高校、中学で追加してございます。
  資料5については特に修正はございません。
  取りまとめ案の添付となる資料1から資料5の説明につきましては、以上でございます。
【小谷主査】    どうもありがとうございました。
  それでは、これより意見交換の時間とさせていただきます。今御説明のありました資料3の添付資料について御意見のある方は、あらかじめ名札を立てていただきますと、私の方で順次指名させていただきます。発言が終わりましたら名札を元に戻していただきますようお願いいたします。また、御発言の際にはマイクのスイッチをオンにし、発言後はオフにしていただきますようお願いいたします。
  それでは、御意見等お願いします。いかがでしょうか。
【中川委員】    失礼します。資料3の下の帯の部分、「事象を数理的に捉え、数学の問題を見いだし、問題を自立的、協働的に解決することができる」ということで議論を進めてきたわけですが、この協働的という言葉を、「対話的に」というふうに後半改めてきた経緯があると思うので、ここはどっちがいいのかなということを少し悩みます。次のページにも同じものがそのままあります。
【小谷主査】    「協働的に」という言葉と「対話的に」という言葉をどのように使い分けるか、若しくは統一するかという御意見でございますが、取りまとめいただいた事務局から何かございますか。
【笠井教科調査官】    自立的、協働的ということですが、協働的という言葉と対話的という言葉は似たような言葉なのですが、捉え方が違うだろうというふうなことを思っております。それで、ここの部分につきましては自立的と協働的を並べて書かせていただいておりまして、ここの部分を自立的、対話的ということにすると少し合わないのではないかなということで、この部分は自立と協働でそのまま統一させていただければということを今提案させていただいているところです。御意見がありましたら、お願いしたいと思います。
【長尾視学官】    続いて、ちょっと。自立的と協働的は、自立的は個人でしっかり考えていく、協働的というのは、またグループのようなもので考えていくということで、算数・数学では、そこのところは問題を自立的、協働的に解決することができるということの方が言葉として合うのではないかなということで、そのままにしているところです。
【小谷主査】    いかがでしょうか。自立的、協働的ということについて今まで議論してきたと思いますので、特に御異論なければこのままにさせてください。
  ほか、ございますでしょうか。資料は、今まで議論してきたことでございますので、修正点を御確認いただいて、特に問題なければこのような形にしたいと思っておりますが、いかがでしょうか。
  それでは藤井委員、どうぞ。
【藤井委員】    資料1の小学校のところの1ですが、上の中学校と高等学校が表現・処理というふうにセットになっています。その目で小学校の1を見ると「処理」だけで、ここに「表現」がないことが気になる。下の黒丸には「表現し処理し」と入っているのですけれども、1のところに入れておかなくていいかなということが少し気になりました。
【小谷主査】    入っていない理由は何かあるのでしょうか。なければ、入れていただければと思いますが、よろしいでしょうか。では、検討いただければ幸いです。
  ほかございますか。
  では清水主査代理、お願いします。
【清水(静)主査代理】    多分どこかで話題になると思うのですが、参考資料3のアクティブ・ラーニング絡みで、前回の会議で示され、先ほどもちょっと話題になりましたが、深い学び、対話的な学び、主体的な学びの関係を構造的にそろえていただいていますね。この資料はどこに入るのでしょうか。それだけ確認をしていただけるとありがたいと思います。参考資料の3です。
【岡村教育課程企画室専門官】    こちらは後ほど御説明いたしますが、資料3の取りまとめ案の本文の9ページのところで具体的に記述が出てきますので、そちらを御検討いただくときに併せて御確認いただければと思っております。
【小谷主査】    それでは、皆さん御意見いただきましたと思いますので、続いて資料3の取りまとめ案本文について御議論いただきたいと思います。取りまとめ案の本文は、1、現行学習指導要領の成果と課題、2、育成すべき資質・能力を踏まえた教科等目標と評価の在り方について、3、資質・能力の育成に向けた教育内容の改善・充実、4、学習・指導の改善充実や教材の充実、5、必要な条件整備等についてという五つより構成されていますので、区切って御議論いただきたいと思います。
  それでは、1、現行学習指導要領の成果と課題、及び2、育成すべき資質・能力を踏まえた教科等目標と評価の在り方についてを事務局より御説明お願いいたします。
【岡村教育課程企画室専門官】    資料3の最初のページより御説明いたします。
  まず1ポツ、現行学習指導要領の成果と課題につきましては、丸が五つございまして、こちらは前回お示ししたのとほとんど一緒で、3番目の丸だけ少し記述が追加されてございます。
  最初の丸では、算数・数学科においては、発達の段階に応じて、算数的活動・数学的活動を充実させ、基本的な知識・技能を確実に身に付け、数学的な思考力・表現力等を育て、学ぶ意欲を高めることなどに重点を置いて、現行の指導要領が改訂されたこと。次の丸では、その結果、PISAにおける数学的リテラシーが、平均得点が比較可能な調査回以降、最も高くなっているなどの成果が見られること。また、文科省においてはスーパーサイエンスハイスクールなどによりまして成果を上げているということを記載しております。
  次の丸で、その一方で、PISAでは、学力の上位層の割合はトップレベルの国・地域よりも低く、全国学力・学習状況調査では、学力の底上げは進展しているものの、数学を学ぶ楽しさや学習する意義を実感している中学校の割合も、国際比較で見て低い結果となっていること。また、小学校と中学校の間で算数・数学の勉強に対する意識のギャップがあり、小学校から中学校に移行すると、数学の学習に対し肯定的な回答をする生徒の割合が低下する傾向にあることを記載してございます。
  次の丸では、全国学力・学習状況調査等の結果からは、小学校では、基準量、比較量、割合の関係を捉え、基準量を求めること、中学校では、数学的な表現を用いて理由を説明することに課題が見られること、高等学校では、数学の学習に対する意欲が高くないことや、事象を式で数学的に表現したり論理的に説明したりすることが課題として指摘されているということで、最後の丸では、今回の指導要領の改訂においては、これらの課題に適切に対応できるよう改善を図っていくことが必要としてございます。
  続いて2ポツ、育成すべき資質・能力を踏まえた教科等目標と評価の在り方についてでございますが、まず(1)の教科等の特質に応じ育まれる見方・考え方は、「見方・考え方」という記述を整理してございますが、それ以外は前回とほぼ同じ記述となってございます。
  最初の丸は、各教科の特性に応じ育まれる見方・考え方が重要であること。次に2ページ目に参りまして、一番上の丸では、算数・数学において育まれる見方・考え方については、これまでの指導要領において「数学的な考え方」として示されておりまして、そのときから、評価の観点名として数学的な考え方という言葉が定着していることなどありますが、今回、育成すべき資質・能力の三つの柱を明確化したことに合わせて、改めて「数学的な見方・考え方」として整理することが必要であるというふうにしてございます。
  次の丸では、算数・数学の学習においては、この数学的な見方・考え方を働かせながら、知識・技能を習得したり、習得した知識・技能を活用して探究したりすることにより、知識の習得・構造化が図られ、技能の習熟・熟達にもつながるとともに、より広い領域や複雑な事象を基に思考・判断・表現できる力が育成される。このような学習を通じて、数学的な見方・考え方がさらに発展としていくと考えられるとしてございます。
  次の丸では、算数・数学において育成すべき「学びに向かう力や人間性等」についても、数学的な見方・考え方を通して社会や世界にどのように関わっていくかが大きく作用しており、この数学的な見方・考え方が、資質・能力の三つの柱である知識・技能、思考力・判断力・表現力、学びに向かう力や人間性等の全てに働くものであり、かつ全てを通して育成されるものとして捉えられるというふうにしてございます。
  次の丸では数学的な見方について、その次の丸では数学的な考え方について、最後の丸で、これらを踏まえると、数学的な見方・考え方については、事象を数量や図形及びそれらの関係などに着目して捉え、論理的、統合的、発展的に考えることとして再整理することが適当というふうにしてございます。
  次に、(2)の小・中・高を通じて育成すべき資質・能力の整理と、教科等目標の在り方につきましては、最初の丸では、育成すべき資質・能力を、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力、人間性等」の三つの柱に沿って明確化し、各学校段階を通じて、実社会との関わりを意識した数学的活動の充実を図っていくことが求められること。次の丸で、「そのため、本ワーキンググループにおいては、算数・数学において育成すべき資質・能力について、学校段階ごとに以下のとおり整理した(資料1)」ということで、ここで先ほどの添付の資料1を引用してございます。
  次の丸については今回新たに追加してございますが、「また、高等学校においては、数学と理科にわたる教科として『理数科』が設定されているところである。教科『理数科』において育成すべき資質・能力については、本ワーキング及び理科ワーキングにおける検討の状況を十分に踏まえつつ検討することが求められる」としてございます。
  次に、学校段階ごとの、小学校、中学校、高等学校と書いてございますが、こちらは資料1に記述していることをそのまま写してございますので、説明は割愛させていただきまして、4ページの方に参りまして、次に資質・能力についてということで、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「学びに向かう力や人間性等」の三つの柱に沿った整理について、本ワーキングとして資料2のとおり取りまとめたということで、ここで今度は添付の資料2の表を引用してございます。「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力」ということで、それぞれ次の丸から記述してございますが、こちらは資料2の記述を写している文言ですので、説明は割愛させていただきます。
  (3)資質・能力を育む学習過程の在り方ということでは、最初の丸が今回事務局で追記しているところでして、上記(2)に掲げた資質・能力を育成していくためには、学習過程の果たす役割が極めて重要である。算数・数学においては、「事象を数理的に捉え、数学の問題を見いだし、問題を自立的、協働的に解決し、解決過程を振り返って概念を形成したり体系化したりする過程」といった数学的に問題解決する過程が重要であり、この過程を遂行することを数学的活動と改めて位置付けるということで、ここで数学的活動というのを再定義してございます。
  次の丸では、資料3に示したとおり、日常生活や社会の事象を数理的に捉え、数学的に表現・処理し、問題を解決し、解決過程を振り返り得られた結果の意味を考察するという問題解決の過程と、数学の事象について統合的・発展的に捉えて新たな問題を設定し、数学的に処理し、問題を解決し、解決過程を振り返って概念を形成したり体系化したりするという問題解決の過程の二つのサイクルが相互に関わり合って展開するということで、資料3で3枚お示ししているポンチ絵を引用しつつ、記述してございます。
  5ページ目一番上の丸ですが、自己の考えを持ち、それを意識した上で主体的に取り組むことが求められるというふうにしてございます。
  次の(4)「目標に準拠した評価」に向けた評価の観点の在り方についてですが、こちらは前回お示ししたものと同じですけれども、最初の丸では観点別評価の観点については、資質・能力の三つの柱を踏まえたものとすることが求められている。次の丸では、これまでのワーキンググループで整理した資料4の観点、それから資料5で中学校の例として、引用してございます。
  次の丸では、この観点に関することで、事実的な知識のみならず、構造化された概念的な知識を含み、さらなる概念形成に向かうものであることなど、広範な意味でこの知識・技能が用いられているということに留意することが必要というふうにしております。最後の丸では、資質・能力のうち「学びに向かう力、人間性等」については、主体的に学習に取り組む態度として、観点別評価を通じて見取ることができる部分、観点別評価や評定にはなじまず、個人内評価を通じて見取る部分があり、ここでは観点別評価として見取ることができるものを掲げていることに留意する必要があるというふうにしてございます。
  1ポツ及び2ポツの説明につきましては、以上でございます。
【小谷主査】    ありがとうございました。1ポツ、2ポツについて御説明いただきました。この前に確認いただきました資料1から資料5を適宜引用する形でまとめてございます。
  それでは、これより意見交換の時間とさせていただきます。ただいまの説明につきまして御意見をお願いします。いかがでしょうか。
  では、清水主査代理、お願いします。
【清水(静)主査代理】    大変うまく、構造的に整理をしていただいていると思います。細かなことですけど、また直し忘れるといけないということで、5ページの上から4行目、評価改善、ここは間に中黒が入りますね、こんな細かなことはここで言うことでないと思いますけれど、よろしくお願いします。
【小谷主査】    ほかございますか。細かい点でもお気付きのことがあれば、この機会に御指摘いただければ直せると思いますので、よろしくお願いします。
  では、真島委員、お願いします。
【真島委員】    5ページ、今挙がったその一つ上、プロセスというのと過程というのとどう違うのかなとちょっと思いまして、資料の方では確かにプロセスという感じで、図とかそういうのを作ってあるのですけれども、過程という言い方とどう違っていたのかなと。済みません、今どきに申し訳ないですけれども、ちょっと御説明がありますでしょうか。
【小谷主査】    では、事務局から御説明、お願いできますか。
【平野教育改革調整官】    済みません。表現については統一させていただきます。
【小谷主査】    それでは、網羅的に御確認をお願いします。
  では、齊藤委員。
【齊藤委員】    今回のこの算数・数学の改訂で、この間議論されてきて、私なりに理解はしてきたつもりですが、2ページ目の数学的な見方・考え方についてです。先ほどの事務局の御説明の中でも、「数学的な見方・考え方」という表現が、従前のものと混乱してしまう危険性があるということで、「数学的に考えること」ということで整理をされたというお話がございました。私は、そういう意味からも、今後この新しい基準の中で、学校現場がこの「数学的な見方・考え方」をどのように捉えていくのかというのは、非常に大きな意味があると思います。その中で、2ページの上から四つ目と五つ目の丸のところで、「数学的な見方」とはこういうことです、「数学的な考え方」とはこういうことです、そしてそれを合わせてということで六つ目の丸のところでまとめられていて、今回のこの資料5までの中では、「数学的な見方・考え方」について一定の表現がされているというふうになると思います。
  その中で、まず「数学的な見方」については、前回までの資料の中にはなかった「概念等に着目して」ということを入れていただいて、私は、大変分かりやすくなったと思います。ですから、「数学的な見方」というのは、例えば単位の考え方とか割合の考えとかいったキー概念のようなものをしっかりと捉えることが大事なんだということがよりはっきりとしてきたなと思います。その一方で、「数学的な考え方」については、この3行の文章を読めばおよそ分かると思うんですけれども、数学的な認識であったりとか数学的な表現方法であったりを指し示すんだということが、少し表現の中に入ってもいいのではないかなというような感じがいたします。
  と申しますのは、私のように小学校現場を預かっている者としては、先生方が実際に授業をする上で「見方」と「考え方」とは同じなんですか、違うんですか、これまでのいわゆる「見方・考え方」のことですかというような議論をしてくるように感じます。そこでは、やはり数学の内容というものを押さえるとともに、数学らしい認識又は表現方法、解決方法というものがあるということをしっかりと伝わっていくことが必要だと思います。このような意見を述べさせていただいていながら明快な代案がなくて大変申し訳ないですが、そのようなところが加わるといいのかと感じたところです。
  以上です。
【小谷主査】    ありがとうございました。
  では、藤井委員、お願いします。
【藤井委員】    私も2ページについてです。この2ページの2番目と3番目の文章は、大変すばらしいと思う。そのよさがもっと前面に出てもいい。といいますのは、私は、見方・考え方は、どちらかというとセットで捉えようという立場ですけれども、要するに内容(コンテンツ)に対して過程(プロセス)というか、コンテントフリーのところです。諸外国のカリキュラムを見ますと、そのプロセスのところが、例えばアメリカのコモン・コア・ステート・スタンダードなどでは8つに列挙してあって、詳細に細分化して記述してあるので、独り歩きしてしまう。イギリスのナショナルカリキュラムもそういう傾向ですけれども、日本は伝統的に、非常に賢くて、わざとざっくりと、見方・考え方という一言でくくっているよさが本当はあるんです。
  では、その見方・考え方をどう育てようかといったときには、知識だとかそういうコンテンツと一緒になっていくんだということが、2ページの丸2、丸3で的確に書いてある。特に2番目のところで、算数の学習においては「数学的な見方・考え方を働かせながら、知識・技能を習得」という記述はすばらしいと思う。是非このよさが伝わるようにしたい。逆に言うと、見方・考え方は単独では学習できないと、必ず内容と絡んでいくんだというようなことがもう少し強調されると、もっと日本のよさがはっきり出ると思っています。教育現場に対しては指導資料等で具体的な事例を出して、見方・考え方は、内容とともに深まっていくので、単独に見方・考え方だけ取り出して育成することはできないということがはっきり分かるようにすると良いと思いました。
  以上です。
【小谷主査】    どうもありがとうございました。ほかございますか。
  では、清水委員、お願いします。
【清水(宏)委員】    私は、まず1ページの現行の学習指導要領の成果と課題のところで、全国調査等での課題等が挙がっているのですが、前回第7回の記録の9ページにもありますように、全国調査が現在の評価基準のコンセプトを先取りして、その問題作成の方針として数学的プロセスを設定し、それで評価を試みるということを今の現行学習指導要領が始まる前の平成19年度から取り組んできて、それが少しずつ広がってきている。全国調査などの仕組みをうまく使い、具体的に啓発をすることが必要ではないかということが、前回清水主査代理の方からお話があったと思うのですが、そういった数学的プロセスの評価の試みがなされてきており,それが少しずつ広まってきているという成果の方もここに挙がっていていいのではないかなということを感じました。
  それから、もう1点は4ページです。私は、このワーキンググループに全て参加させていただいて、大変印象深かったのは、第3回のワーキンググループのときに、ここでいいますと資質・能力の整理の資料2の思考力・判断力・表現力等の欄に、数学的な表現を用いて協働的に問題解決する力というのが提案されていて、ここにいらっしゃる委員の方々の、協働的にやることだけが思考力・判断力・表現力を育てることではないという議論があり、この記述が欄外に行ったことでした。私も、なるほどと納得できた議論だったのですが、そのことをここに書いていただいていると思うのですが、非常に大事な議論であったと思いますので、その議論になったことが、学習過程の在り方等でもう少し強調されるといいかなと思います。学校現場では、協働的な学習をすれば思考力等が高まるというふうに少し誤解をしている部分があると思いますので、このワーキンググループで議論したことが強調されるといいなと感じました。ありがとうございました。
【小谷主査】    どうもありがとうございます。
  それでは、大谷委員、お願いします。
【大谷委員】    今の清水委員の、1ページ目の全国学力・学習状況調査のところなんですけれども、これはもう既に議論されていらっしゃることではあろうかと思いますけれども、課題の取り上げ方が小と中高は細かさが少し違うような感じがいたしまして、小学校の方はある特定の問題についての課題を非常に強調されていて、その課題に適切に対応するように指導要領を改善していこうということになりますと、特定のことから指導要領全体ということの流れが気になるところでありまして、場合によってはもう少し一般的な課題ということにそろえるということもあり得るのかというふうに考えます。
  もう1点、お時間を頂いて恐縮ですけれども、先ほど来の2ページの見方・考え方の新しい捉え方につきましては、前回資料として御提示いただいた見方・考え方についての参考資料2のところで、見方・考え方の例示が明確に出ておるような気がいたします。見方というのは一つの視点であり、考え方というのは、どちらかというと推論の方を強調されていて、その両方がセットになっているという意味でしょうけれども、この資料の部分をうまく反映することによって、今回の見方・考え方に対する捉え方が明確になるのではないかというふうに感じております。
【小谷主査】    どうもありがとうございました。ほかございますか。
  では、中川委員、お願いします。
【中川委員】    念のため、細かいことを申し上げます。4ページなんですが、丸がずらっと並んでいて読みにくいのですが、例えば9ページに行きますと、9ページの一番下の丸は、「具体的には」という具体を示すときは中黒にして、1桁落としています。そうすると、4ページに戻って、知識・技能について語って、その後の具体を語るところ、思考力・判断力・表現力についてその後具体を語るところ、学びに向かう力、人間性等について語って、その後具体を語るところについては、9ページのような形にしたら読みやすいのではないかなということを思います。
  それから、これも念のために申し上げますが、5ページの、先ほどプロセスということで御指摘があった、新たに書き加えられた部分ですが、句点がほかのものと違ったものが混じっておりますので、最後に一括変換していただければと思います。
  済みません。念のため申し上げました。
【小谷主査】    どうもありがとうございました。ほかございますか。
  では、主査代理、お願いします。
【清水(静)主査代理】    先ほど話題になりました数学的な見方・考え方は、多分、これまでの経緯とこれからのことを考えると、世の中で一番関心が向けられるのではないかと思います、特に評価と関わっておりますので。となりますと、2ページで話題になったことについて、お手元に配付していただいています参考資料2、この全てではなくても、骨太の部分だけ、何か参考の資料として付け加えていただくようなことは可能でしょうか。もし可能であれば、こういうものがあった方が、現場の多くの先生方はイメージを描きやすいのではないかというように思います。
【平野教育改革調整官】    全部ではないと思いますけれども、重立ったところは、この本文の参考資料としても添付させていただければと思います。
【清水(静)主査代理】    お願いします。
【小谷主査】    では、そういう形で入れていただければと思います。
  では引き続き、3ポツの資質・能力の育成に向けた教育内容の改善・充実について、事務局より御説明をお願いします。
【岡村教育課程企画室専門官】    資料3の5ページ目の3ポツ、資質・能力の育成に向けた教育内容の改善・充実について、御説明いたします。こちらは、(1)科目構成の見直し、次の(2)資質・能力の整理と学習過程の在り方を踏まえた教育内容の構造化、それから(3)、それぞれ前回の議論等を踏まえて新たに記述したところでございます。
  まず(1)科目構成の見直しについてですけれども、最初の丸では、数量や図形に関する知識・技能は、生活や学習の基盤となるものであり、数学的な思考力等は根拠に基づき考察を深めたり意思決定をするために欠かせないとしてございます。次の6ページに続きまして、欠かせない能力であるということで、児童生徒がこうした算数・数学のよさを認識し、学ぶ楽しさや意義等を実感できるよう各学校段階を通じて数学的活動を一層充実させていくことが必要であるとしています。
  次の丸ですが、数学と日常生活や社会との関わりや、探究する学習を重視して開設された数学活用については、開講されている学校が少ないことや、スーパーサイエンスハイスクールなどの取組において、数学と理科で育成された能力に基づき、課題の発見・解決に探究的に取り組むことで教育効果を上げている学校もあることから、理数探究(仮称)の創設に伴い廃止し、数学Cを新たに設置し、数学1、数学2、数学3、数学A、数学B、数学Cに再編するのが適当と考えられるとしてございます。ちなみに、この理数探究(仮称)については、米印で下の方に注書きをしてございます。
  次の丸ですが、高等学校の多様な履修形態に対応し、他科目の内容の理解を深める観点から数学Cを新たに設置し、「複素数平面」や「データの活用(仮称)」などの内容で構成することが適当と考えられる。次の丸では、「なお、高等学校の統計的な内容については、特に情報科などとの連携を重視することが求められる」としてございます。
  (2)資質・能力の整理と学習過程の在り方を踏まえた教育内容の構造化につきまして、まず最初の丸では、上記2.(2)に掲げた学校段階ごとの育成すべき資質・能力、これらを「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力や人間性等」の三つの柱に沿って整理したもの、及び上記2.(3)に掲げた学習過程の例を、学習指導要領の構造に適切に反映させることが必要としています。次の丸では、各学校段階ごとに育成すべき資質・能力については、教科の「目標」に反映させることが必要であること、また、各学年の「目標」についても主な資質・能力を反映させることが適当であるとしています。
  次の丸では、「内容」に関しては、育成すべき「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」及びそれらを育成するための学習過程の関連がより明確となるよう、どのような数学的な見方・考え方を働かせて数学的活動を行い、どのような「知識・技能」及び「思考力・判断力・表現力等」を身に付けさせるのかを示していくことが必要ということで、その上で、7ページに参りまして、内容の系統性、内容と育成される資質・能力とのつながり、及びこれまでに明らかになっている課題などを意識した内容の構成、配列となるよう検討することが求められるとしてございます。
  次の丸は「学びに向かう力、人間性等」についてですが、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」とは異なり、それぞれの内容に応じて大きく異なるものではないことから、内容項目ごとに整理するのではなく、各学年の「目標」等において示されたもを全ての内容項目について共通的に扱うことが適当としています。次の丸では、三つの柱に沿って整理された資質・能力を総合的に育成する観点から、実際の指導場面において留意すべき点については、「指導計画の作成と内容の取扱い」において示していくことも必要としてございます。
  次の丸で、各学校段階において、以下のような学習活動が充実されるよう、学習指導要領の記述について考慮していくことが必要であるということで、小学校、中学校、高等学校と記載してございますが、こちらの内容につきましては資料3の別添の資料1にあります各学校種ごとの黒ポチがそのまま引用されているので、ここでは説明を割愛させていただきます。
  下の方に行って、(3)現代的な諸課題を踏まえた教育内容の見直しということで、最初の丸は、前回のたたき台ですと、ちょっと統計関係の記載のみになっていたので、記載を追加しているところですけれども、算数・数学を学ぶことは、問題解決の喜びを感得し、人生をより豊かに生きることに寄与するものと考えられる。このため、数学と人間との関わりや数学の社会的有用性について認識が高まるよう、十分に配慮した内容としていくことが求められるとしてございます。
  次の8ページに参りまして、四つ丸がございますが、こちらは前回と前々回で御検討いただきました統計に関する内容を踏まえたものですけれども、最初の丸では、社会生活などの様々な場面において、必要なデータを収集して分析し、その傾向を踏まえて課題を解決したり意思決定をしたりすることが求められており、そのような能力を育成するために、高等学校情報科等との関連も図りつつ、小・中・高等学校教育を通じて統計的な内容等の改善について検討していくことが必要というふうにしてございまして、その次に小学校、中学校、高校、それぞれ丸でお示ししていますが、こちらは別に付けております参考資料4の「小・中・高等学校を通じた統計教育のイメージ、内容等の整理」ということで、これまでのワーキングで御検討いただいている資料の、参考資料4の2ページ目にある小・中・高等学校を通じた統計教育の改善の方向性の内容を、そのままこちらに記述しているものでございます。
  3ポツの説明につきましては、以上でございます。
【小谷主査】    ありがとうございました。3ポツにつきましては前々回の統計の議論、そして前回の科目構成の議論を踏まえてまとめていただいたものでございます。御意見、よろしくお願いいたします。
  では、真島委員。
【真島委員】    7ページですけれども、高等学校の科目構成に関するところで、内容に関して言い過ぎているところがあるのではないかと思っています。ほかのところには構成に関する項目的なことを明示していないのに、そこだけが明示的になっているというところがちょっといかがかなというふうに思いました……、済みません、ページ間違えました。6ページです。6ページの2番目の丸です。「高等学校の多様な履修形態に」から始まるというところなのですけれども、ほかのところの書きぶりとちょっと異質に、踏み込み過ぎているのではないかというふうに思います。
【小谷主査】    何かございますか、事務局。
【長尾視学官】    ここに書いたのは前回お示しした内容だったのと、それから新しく作るということがあったので、書いているんですけれども、もし不都合であるようでしたら、削除するのは特段問題にはならないんですけれども、また検討させてください。よろしくお願いします。
【小谷主査】    はい。それでは、ここは検討、お願いいたします。
  では、宇野委員、お願いします。
【宇野委員】    やはり高等学校のところです。一つ目は、先ほど真島委員がおっしゃったことと重複しますが、6ページ目2番目の丸で、「他科目の内容の理解を深める観点から数学Cを設置し」と、その後の、こういった内容で構成するというところについて、文章の繋がりを考えると、意味が通じるかなと感じます。何らかの観点で、数学Cを設置するというぐらいでとどめるべきではないかという気がいたします。
  もう一つは、従来からも述べていますが、高校の場合は必履修と、そうでない科目がありますので、先ほど参考資料7として事務局からお示ししていただいた総則・評価特別部会のところでも、整理すべき視点の中に、18歳の段階や義務教育段階で身に付けておく力の共有というのがありますので、そういった観点から数学1、2、3、数学A、B、Cの再編を検討するとかも、もし可能であれば書くべきではないかと思います。御検討いただければと思います。
  以上です。
【小谷主査】    数学Cは新たな科目ですので、少し議論を整理していただいて、検討いただければと思います。ほかは。
  では、真島委員、続きの御意見で。
【真島委員】    7ページの下のところからなんですけれども、先ほど中川委員もおっしゃったことになりますけれど、3の最初の丸というのは数学全般で、次の8ページに行って最初のところは特に統計に関することで、その後というのはやはり、小学校では、中学校では、高校ではという、より具体的なことなので、中黒ぐらいにしていただいた方が、数学として。その中の統計だけれども、重視するのであるけれども、もう少し数学のところを具体的に。今後もっと、すぐに入れる文は言えないのですがというのはちょっとあれなんですけれども、膨らませる可能性もありますけれど、この対比だとちょっと統計が突出している、そういった印象を受けますので、少なくとも中黒ポチに落とすとか、そういった感じにしていただいた方がよろしいかと思います。
【小谷主査】    よろしくお願いします。ほかには。
  では、山田委員。
【山田委員】    先ほどの話に少し戻ってしまいますが、6ページ一つ目の丸ポツのところで、数学活用は次のところではなくなるということに触れるということですけれども、ちょっと私は欠席していたんですが、議論の記録で第7回のところで、数学活用については、目標で示されている数学と人間の活動との関わりとか、あるいは社会生活における数理的な考察の必要性あるいは意義といったことは大事でありということと、中学校段階でつまずいた子供たちに対して、そういうことができるようなものを何らかの形で残してほしいというような議論もあったと聞いておりますが、実際、前の改訂のときの数学基礎でしたか、あれを多くの、定時制課程とか、そういう学び直しの必要な学校さんは採用されていて、本来は趣旨は違うんですけれども、やはり数学1や数学Aよりはもう少し、日常生活と社会生活と結び付いた内容を取り上げて、生徒に興味を湧かせようという趣旨で数学活用を使っていた学校もありました。
  そういう意味で、数学活用のそういう部分のよさを数1か、あるいは数Aの中に入れ込むという形で残しますよみたいなことも、ただ単に廃止ということを書くのではなく、少し伝えてもらえるとありがたいかなと思いました。
【小谷主査】    数学活用は廃止して、理数探究が創設されるわけですが、理数探究がここのワーキングの担当でないので、少し皆さん不安に思われるところもあるかもしれませんので、このあたり、やはり丁寧に御説明いただければと思います。
  ほかございますか。
  では、椿委員。
【椿委員】    全くエディトリアルなことで申し訳ないので、言うのも恥ずかしいのですけれども、全般的に付着の「付」という、「付く」という字が随所にあるのですね。「身に付ける」とか「見付けた」とか、今の範囲ではないですが「気付ける」というところに全部、付録の「付」というか、付着の「付」というのが使われていて、そういう部分で、本当に付着させると。これは元々そういう言葉遣いならばいいのですけれども、少し抵抗があったということです。平仮名でもいいのではないかというふうに思っただけです。
【小谷主査】    御検討ください。
  では、中川委員。
【中川委員】    7ページの3番、現代的な諸課題を踏まえた教育内容の見直しの1番目の丸ですが、当初頂いた文を少し変えて、さらに1文付け加えられて、とても格調高い、よい文になっているなというふうに思います。この最初の文の「人生をより豊かに生きることに寄与」という中に全て含まれているわけですが、算数・数学はこれからのAI社会を生き抜く思慮深い人間を作ることに大きく貢献するというような、人生をより豊かに生きるというざっくりとしたことだけでなく、もう少し書いてもいいのかなと。この委員会で少し話題になった、だまされない日本人づくりという、そういう言葉は使わないんだけれど、人間を思慮深く成長させるというような具体が少し入ると、さらにこの文が重要に、よい文になるのではないかなというふうに思います。
【小谷主査】    そうですね、この3のところで「現代的な諸課題を踏まえた」と書いてあって、真島委員からも御指摘あったように、最初の方は算数・数学全般ですが、その後の統計のところに比べてちょっと内容が薄いような気もするので、御検討いただければと思います。
  では、藤井委員。
【藤井委員】    8ページの高等学校の統計のところですけれども、必修科目、選択科目というふうに明記してあって、選択科目の中に統計が位置付くということが決定されているように読めます。実は日本学術会議の数理科学委員会の数学教育分科会の提言が5月19日付けで公になったんですけれども、そこでは、統計教育の充実といったときに、統計の内容を選択科目に置いておくと、いつまでも履修されないので、むしろ思い切って必修科目の中に位置付くような仕組みを作れないかというような提言も出されております。統計の内容の充実と、使える統計となるように改善を図るというぐらいにしてはどうか。【小谷主査】    何かございますか。
【藤井委員】    この段階で決定されてしまうような書き方がちょっと気になります。
【大杉教育課程企画室長】    表現ぶりはいろいろ工夫は必要だと思うんですけれども、このワーキングの方向性というのは、単に方向性を決めるだけではなくて、実際に指導要領をどうしていくかという段階に入ってまいりますので、余り曖昧な表現ぶりでいけるというようなものでもないということは少しお含みおきいただければなというふうに思います。もう具体的にこういう指導要領を目指していくということを提言いただく段階でございますので、そうしたことを踏まえながら、少し御相談をさせていただきたいというふうに思います。
【小谷主査】    それでは、よろしくお願いします。
【長尾視学官】    ちょっと書き方がよくないのかもしれないですけど、統計の必履修科目の内容を充実させる、統計の選択科目の内容を使えるものにするという書きぶりなんですね、これ。
【小谷主査】    私も実はそういうふうに読みました。統計を必修と選択と両方にというふうに書かれているというふうに私は読んだんですが。
【藤井委員】    現状を見ますと数学Bの中にある統計がほとんど履修されていない。その実態を踏まえると、幾らカリキュラムがよくなっても結果的には統計は履修されないまま終わるのではないかということが危惧されるという意味です。
【長尾視学官】    それでさっき数Cにというふうなことを書いたんですけれども。
【藤井委員】    分かりました。
【小谷主査】    必修科目ということが書かれていることと、数学Cのこともございますので、このような形でまとめさせていただければと存じます。
  ほかございますか。
  では、齊藤委員。
【齊藤委員】    先ほど大杉室長から、具体的な指導要領への記述について、少し話題になりましたけれども、私はその視点で、6ページの教育内容の構造化のあたりが、このワーキングで余り突っ込んだ議論がされてきていないと思っていますが、(2)番の三つ目のポチと四つ目のポチというのは非常に重要なことを書き込まれていると思いました。
  と申しますのは、三つ目のポチでは、数学的な見方・考え方を働かせて数学的活動を行うことによって知識・技能や思考・判断・表現力を身に付けさせていくという、これまでの内容ベースというか、コンテンツベースから、資質・能力ベースで、基準というものをしっかりと明示していこうということが示されていると思います。その上でさらに読み進みますと、三つ目のポチでは「知識・技能」又は「思考・判断・表現力」という、いわゆる数学的な資質・能力の三つの柱の二つについて守備範囲としているわけですが、四つ目の丸で、いわゆる学びに向かう力や人間性という三つ目では、それとはちょっと異なっていて、もう少し大きく捉えていく必要があるというような表現がされていると読み取りました。
  この考え方自体は非常によく分かって、学校現場でも、やはりこれまでの関心・意欲というようなものを、いわゆる1単位時間の中に押し込んではぐくむのではなくて、この三つ目の柱は、大きな単元全体であったり、さらには1年、2年という長いスパンで育成していくべきものであると考えるべきであり、ここで言われている部分というのは非常に分かります。その一方で、これは違うものだというふうに逆に捉えられてしまわないかということです。違うものというのは、別扱いになってしまっていて、知識と思考・判断・表現というのは数学的活動でやるんだけれども、この三つ目の柱というのはもうちょっと大きな目で見ていきましょうというような。そうなると次第にそれが空洞化してしまって、結局、この三つの柱というのが非常に今回の重要なキーワードであったはずだったんだけれども、具体的にこの教育内容の構造の中ではそれが見えてこないという危惧をいたします。
  特に指導要領での表現の仕方ということから考えたときに、これが外に出されてというか、この三つ目の丸の中で示されているものと別物というような形になってしまうのか、それとも、学びに向かう力や人間性というのは、もう少し高い視点から、それぞれの中に入っているというふうに書かれていくのか。このあたりについては、このワーキングでどこまで示していくのかはよく分かりませんけれども、事務局の方でこのあたりについてのお考えがあるようであればお聞きしたいと思います。
  というのは、最終的にはこの指導要領での表記の仕方、示し方ということによって、これまでの内容ベイスから、いわゆる資質・能力論ベイスで展開していくという強いメッセージを出していく上で、ここの部分の表記の仕方を現場も非常に注目しているところですので、この取り扱いというのが非常に大切ではないかなと感じました。もし現段階で分かっているようであれば、お聞かせいただけるとありがたいと思った次第です。【小谷主査】    何か事務局の方からございますか。
【平野教育改革調整官】    知識・技能ですとか思考力・判断力・表現力については、今の指導要領の構造でいいますと、内容のところの図形ですとか、そういったところにある程度書き込みやすいだろうと思っているんですけれども、学びに向かう力とか人間性というのは、なかなかそういったものと1対1で対応させていくのはちょっと難しいだろうというのがございまして、もっと全体に関わるものとして学年目標ですとかそういったところ、あるいは教科目標のところで、できるだけ反映をしていくと。当然、知識・技能とか思考力・判断力・表現力のようなものと全く別のものというふうにするつもりはないんですけれども、反映できる範囲で、その内容構造にも反映させていきたいとは思うんですが、主としては教科目標なりのところに反映させていくのが妥当ではないかというところで書かせていただいております。
【大杉教育課程企画室長】    済みません、一言だけ補足させていただきます。ここは、かなり多くの教科で共通の課題になってまいりますが、性質としては、平野調整官の方から御説明申し上げたようなことなんですけれども、ただ、先生方が単元ごとの指導案の中で具体化していく際には、しっかり内容と絡めて一体的に育まれるというような形は、しっかりと担保していく必要があるというふうに思います。そういう意味では、少しここの表現は、ほかのワーキングと同じような表現になってくるんですけれども、単に扱いが違うということだけではなくて、ただ指導の際にはそれが一体的に、しっかりと知識・技能などの内容と絡め合わせて具体化されて、先生方の指導の中で育まれていくようにというようなことが必要かと思いますので、その点は少し横串で表現ぶりを調整させていただきたいというふうに思います。失礼いたしました。
【小谷主査】    齊藤委員。
【齊藤委員】    ありがとうございました。基本的な方向性については理解したつもりでおります。その上で、私はこの三つ目の丸は非常に重要な意味があると思います。文章を丁寧に読みますと、育成すべきこういった力と学習過程との関連を明確にするんだと突っ込んで表記されているわけ。どのような数学的活動を行って、どのような知識・技能や思考・判断・表現力を身に付けていくのかが必要であると書かれているわけです。これ、逆じゃないんですよね。どういうことかというと、どのような知識・技能や思考・判断・表現力を身に付けさせるためにどんな活動をしますかという、そういう書き方ではないわけです。私は、ここに大きな意味があると思います。これまでは、どうしても内容を、算数・数学のように系統性が強い教科の場合は内容を外すわけにはいきませんけれども、あえてここに、どのような数学的な見方・考え方を働かせて数学的活動を行い、その上でという、この一連の文脈というのが今回の改訂での重要なポイントになるのではないかなというふうに思います。
  この一連のプロセスの中で三つ目の柱のようなものも当然育っていくわけですから、私は、三つの柱のそれぞれが、どういった形で数学的活動の中で育まれていくのかというあたりが非常に大きなポイントになると思います。これはこの次の段階での仕事になるのかもしれませんけれども、この丸の三つ目、四つ目というあたりの意味合いが、捉えがしっかりと次につながっていくことを期待したいと思いました。
【小谷主査】    清水主査代理、お願いします。
【清水(静)主査代理】    齊藤委員の御心配はよく分かりますけど、多分ここの部分は学習指導要領の条文、記述をどうしていくかということからで、文脈が若干違うのではないかと思います。私も昔、お世話をさせていただいたこともありますので、結局ダブりがあるのでまとめたいということだろうと思います。汎用性の高い内容は繰り返しが増えてきます。
ただ、繰り返しが多いからといって、どこかにまとめてしまうと、先生方は指導事項とか能力のところしか見てくれないので、吹っ飛んでしまうのではないかというのが齊藤委員の懸念だと思うのです。そうなると、「指導計画の作成と内容の取扱い」のところでしっかり書くということで、これも横並びでまた調整が大変かもしれませんけれども、7ページの二つ目の丸のところに「この他」と書いてありますよね。「この他」と書いてあると、上の丸が外れてしまいますので、これを取ってしまうと、上に書いてあるいろいろなことについて必要はなことは「指導計画の作成と内容の取扱い」でしっかり書くという流れになるかと思います。やはり条文で整理するときは、ダブりを少なくするというのは多分一般的に行われます。しかし、そのことによって肝心なところが見えなくなってしまうと困るので、例えば内容の取扱い等で留意すべきことを明記していただくというようなことで調整していただければよろしいのかなと思いました。
【小谷主査】    では、ということでよろしくお願いいたします。
  ほかございますでしょうか。
  それでは続きまして、4ポチの学習・指導の改善充実や教材の充実、及び5ポチ、必要な条件整備等についてを、事務局より説明願います。
【岡村教育課程企画室専門官】    お手元の資料3の8ページからになります。8ページの下の方で4ポツ、学習・指導の改善充実や教材の充実ということで、まず(1)特別支援の充実、個に応じた学習の充実ということで、最初に丸が二つございますが、ここの記載は各ワーキングで横並びの記載となってございまして、最初の丸では、現行指導要領総則において記載されている内容を踏まえて、今後は各教科等における指導の場面における適切な配慮が一層充実されるよう工夫を講じる必要があるとしていまして、二つ目の丸で、具体的な例を次のような形で明示していくことが適当ということで、9ページに、算数・数学における配慮の例ということで四つほど挙げてございます。
  一つ目のポツが、「商」「等しい」など抽象度の高い言葉の理解が困難な場合は、児童生徒が具体的にイメージを持つことができるよう配慮するとしています。二つ目のポツでは、目的に応じて折れ線グラフで表すことが難しい場合ということで、そういった場合には読み取りやすさ、読み取りにくさを強調したグラフを見比べたりするなどの活動を通して、よりよい表し方に気付けるように配慮するとしてございます。その次のポツでは、文章を読み取り、数量の関係を文字式を用いて表すことが難しい場合については、児童生徒の経験に基づいた場面や興味のある題材を取り上げ、解決に必要な情報に注目できるようにしたり、場面を図式化したりするなどの工夫を行うとしています。その次のポツでは、空間図形の持つ性質を理解することが難しい場合ということでは、例えば立体模型の特徴のある部分を触らせるなどして、見取り図や投影図と見比べて位置関係を把握したりするなどの工夫を行うというふうにしてございます。
  次の(2)「深い学び」「対話的な学び」「主体的な学び」に向けた学習・指導の改善充実につきましては、最初の丸では、アクティブ・ラーニングでは「深い学び」「対話的な学び」「主体的な学び」の実現が大切ということで、画一的な指導にならないように留意しつつ、指導内容や児童生徒の実態に応じた指導方法の不断の見直し、改善を求めていることを踏まえることが大切であるとしてございます。
  次の丸から、「深い学び」「対話的な学び」「主体的な学び」につきまして、その内容と具体例について、先ほど主査代理からも御指摘ございましたが、参考資料3の方で、前回の御意見を踏まえて、赤い字で追記してございます。特に「対話的な学び」と「主体的な学び」の内容について記述しているのですが、その参考資料の内容を踏まえて記述したものが9ページ一番最後の丸からでございまして、まず最初の丸の「深い学び」につきましては、前回お示しした内容がそのまま入ってございまして、ただ、4行目のところで「『深い学び』を実現することが求められる」というふうに、言いぶりを変えてございます。
  10ページに行きまして、最初の丸が「対話的な学び」についてですが、こちらについては、算数・数学では、事象を数学的な表現を用いて論理的に説明したり、よりよい考えについて話し合ったり、事柄の本質について話し合ったりするなどの「対話的な学び」を実現することが求められるとしてございまして、具体的には、数学的な表現を用いて説明することで、簡潔・明瞭・的確に自分の考えを表現できることを実感する活動を設けることや、児童生徒一人一人の表現を教室全体で数学的に洗練することにより、客観的で合理的な説明に高め合う活動を設けることなどが重要であるとしてございます。
  次の丸が「主体的な学び」についてですが、「主体的な学び」については、算数・数学では、児童生徒みずからが問題解決に向けて見通しを持ち、粘り強く取り組み、問題解決の過程を振り返り、よりよく解決したり、新たな問いを見出したりするなどの「主体的な学び」を実現することが求められるとしてございまして、具体的にはということでは、児童生徒一人一人が考えを持ち、その考えを受け入れ、お互いの考えのよいところを認めながら、それぞれの考えがよりよくなる活動を設けること、問題解決の過程を振り返り数学的に考えることのよさなどを見出す活動を設けることや、新たに見出した事柄を既習の事柄と結び付け、概念が広がったり深まったりしたことを実感できる活動を設けることなどが重要であるというふうにしてございます。
  次の丸では、このような数学的活動については、現行の指導要領においても位置付けられており、既に多くの学校で取り組まれていること。今後は、このような活動を通して児童生徒の「深い学び」「対話的な学び」「主体的な学び」が実現できているかどうかについて確認しつつ進めることが重要であり、身に付けさせるべき資質・能力及びその評価の観点との関係も十分に踏まえた上で指導計画等を作成することが必要であるということ。
  次の丸では、主体的な学びや対話的な学びの課程でICTを活用することも効果的であるということで、例えば電子黒板に複数の児童の解答を写して、それを、その後の振り返りのときにはタブレットコンピューターに整理して記録し、一定の内容のまとまりごとにさらに振り返って、どのような学習が必要かを考えたりするというような機会を設けることで、よりよい数学的な表現を考えたり、算数・数学の学びを振り返り、数学的な見方や考え方の成長を実感したりすることの指導を充実することもできるとしてございます。
  次の(3)教材の在り方につきましては、前回のワーキングでの御意見を踏まえつつ新たに記述したところでございますけれども、最初の丸では、前述のように、ICTは積極的な活用が求められる一方で、ICTを活用して得られた結果から新たな疑問や問いを発して考えを深めたり、ICTを効果的に活用して対話や議論を進めたりしなければ、算数・数学のおもしろさなどを味わうことも、数学的な見方・考え方を成長させることもできないということで、この点に留意することが重要としています。
  11ページ目ですけれども、最初の丸では、算数・数学の内容は、児童生徒にとって時に抽象的で分かりにくいこともあるということで、児童生徒の発達段階や個に応じた教材、教具の工夫も必要であることに留意することも重要ということを記述してございます。次の丸では、算数と数学の学びの連続性や累積性に配慮し、用語や図式等の指導に留意する必要。それから、例えば整数や比例などの用語は、算数科での意味が数学科では拡張されたり、算数科で計算の意味理解や演算決定の根拠として用いられている数直線図が数学科では用いられていなかったりしており、指導に当たって留意することが必要という記述になってございます。
  次に5ポツ、必要な条件整備等についてですが、こちらも前回のワーキングでの御議論等踏まえて、新たに記述しているところでございます。
  最初の丸では、2ポツで述べた資質・能力の育成を図り、児童生徒の興味・関心を高めていくために、指導体制の強化や教員研修の充実、ICT環境の整備などの条件整備が求められること。次の丸では、探究的な学習を深めていく上で、必要なデータや資料を収集して整理、分析したり、シミュレーションしたり意見交流をしたりする活動を一層促す観点から、ICT環境の整備が重要であること。また、例えばタブレット型のパソコンやグラフが表示できる電卓を用いて関数式の係数の値を変化させたときにグラフがどのように変化するかを調べたりするようなことも考えられるとしています。
  次の丸では、今回の改訂が目指す三つの柱に沿って整理された資質・能力を児童生徒に十分に身に付けさせるためには、それぞれの教員が改訂の趣旨や狙いを十分に理解し、児童生徒の実態を十分に踏まえた指導計画等を作成することができるようにすることが必要であるということで、そのために教員研修の充実等を通じて指導力の向上を図るということと、あとは改訂の趣旨等について十分に周知を行っていくことが必要というふうにしています。さらに、統計的な内容を充実させる方向で検討していることも踏まえ、指導内容・方法に関する研修等の充実の必要性についても記述してございます。
  最後の丸ですけれども、短時間学習の導入に当たっては、授業時数や学習内容が維持されることはもとより、学びの質が低下することのないよう、各学校において適切に実施されることが必要である。特に朝の計算ドリル等の学習を容易に授業時数にカウントしないようにすることが大切であり、例えば短時間学習の実施の際のガイドライン等を示すことも検討することが求められるというふうにしてございます。
  4ポツ、5ポツの説明につきましては、以上でございます。
【小谷主査】    ありがとうございました。
  それでは、これより意見交換の時間とさせていただきます。ただいまの説明につきまして御意見等、お願いいたします。
  それでは宇野委員、お願いします。
【宇野委員】    9ページ目の(2)からのアクティブ・ラーニングに向けた学習・指導の改善充実は、参考資料3で非常によくまとめていただいていると思っております。特に、「よりよい」という表現で、一旦答えが出てしまったり、分かってしまえば、もうおしまいというような考え方が時折見られますので、さらにそれを深めていくという観点が非常によく表現されていると思います。
  しかし、前に言うべきかどうか迷っていたのですが、2ポツのところの(3)資質・能力を育む学習過程の在り方の最後の丸には、「また、これらの問題解決の過程においては、よりよい解法に洗練していくための」、「対話的な学び」等の言葉が出てきます。ここの部分は、アクティブ・ラーニングのところをまとめて付け加えたというイメージがあります。そのような理解でよろしいのでしょうか。その場合、どこをどうまとめて、ここに持ってこられているか、どのような観点でそうなっているのかについて、御説明いただければと思います。
【小谷主査】    事務局の方でお答えいただけますでしょうか。
【大杉教育課程企画室長】    少し空いている時間に解説をさせていただきながら、少し整理していただきたいんですけれども、アクティブ・ラーニングの視点ということ自体が、資質・能力を育む学習過程が、モデル的にどうあるべきかというようなことと、それに基づいて具体的に指導がどう変わっていくかという、少し両面を含んでいるような形なので、ここは少し両方に掛かっているということで、それを踏まえながら、御指摘のとおり、どこをどうつないでいくかということを整理していく必要があるかなと思っております。
【平野教育改革調整官】    書いている場面が違うんですけれども、プロセスのところでもやはりアクティブ・ラーニングを通じた三つの視点を働かせた学習過程がなされないといけないので、そこのつながりが見えるように「後述するように」とか、ちょっと引かせていただきながら、2ポツの(3)の最後のところは表現を整理させていただければと思います。
【宇野委員】    はい。ありがとうございます。
【小谷主査】    よろしく御対応お願いします。
  では、大谷委員、お願いします。
【大谷委員】    2点ございます。1点は4の(1)の部分で、9ページの「算数・数学における配慮の例」の二つ目ですけれども、文章を、場合によっては、代案なのかもしれませんけれども、例えば、「データを目的に応じてグラフで表す場合」という感じの表現に、シンプルにできるのではないかというふうに考えます。折れ線グラフだけではない、棒グラフのことでも可能だと思いますので、そういった表現もあり得るのではないかというふうに感じました。
  2点目は、(2)のアクティブ・ラーニングの件ですけれども、最後の丸で、ICT活用が「主体的な学び」「対話的な学び」というふうに取り上げられておりますが、そこに「深い学び」ということも、ある意味で入り得るのではないかというふうに感じました。その具体的な内容は、(3)の教材の在り方の最初の丸のところで、ICT利用と考えを深めるという部分があるように思いますし、他方で(3)の丸、最初のものは、教材の在り方と少し違うような内容が書かれているような気がして、その最後の方で「できない」というふうに断言されているのも少し気になりますので、教材の在り方の最初の丸を、一つ上のICT活用の部分に、三つのアクティブ・ラーニングの視点で取り混ぜて合わせることもできるのではないかというふうに思いました。
【小谷主査】    ありがとうございます。ほかにございますか。
  では、椿委員。
【椿委員】    前回の第7回のときの議論の若干確認です。やはり9ページの「深い学び」「対話的な学び」「主体的な学び」ということについてです。内容は、私はこれは非常にすばらしいということなのです。けれども、前回、私の発言ではございませんけれども、「対話的な学び」「主体的な学び」を通じて「深い学び」が実現するという、つまり、「深い学び」はwhat to doだけれども、「対話的な学び」「主体的な学び」は、それをどうやって実現するかということだという議論が若干あったかと存じます。今回どちらかというと、この部分については並列的な書き方になっているのです。一応この3者についてはとりあえず平等に扱っておくという形で、このワーキンググループとしては、確認しておくということでよろしいのでしょうか。
  以上、確認までです。
【小谷主査】    今の件に関して。では真島委員、お願いします。
【真島委員】    前回ちょっと、これに関連して発言させていただいたと思うのですけれども、アクティブ・ラーニングの方もちょっと勉強いたしましたけど、ディープラーニングという形のものが元々のアクティブ・ラーニングというところから出てきていると。やはり深い学びでないといけない、表面的なアクティブ・ラーニングではいけないという、そういった考え方がたしか出てきているはずで、本来、主体的に、そして協働的あるいは対話的に学ぶもの、それが表面的であってはいけなくて、深い学びでなくてはならない、そういう考えで全体に、この全てのところでこういう、深い学び、対話的、主体的というふうな並びになっているのかもしれないですけれども、アクティブ・ラーニングというものの位置付けというのかな、それがちょっと、先ほど椿委員もおっしゃったのですけれど、本来主体的に、対話的、協働的に学ぶものが深い学びでなくてはならないという、そういう感じに書くべきではないのかなというふうに思います。
【小谷主査】    この件についての御意見でしょうか。では主査代理、お願いします。
【清水(静)主査代理】    今の件につきましては、たしか3月14日の総則・評価特別部会の資料で、三つの学びを考えたときに、対話的、主体的学びへの関心は高くていろいろ工夫されて行われているのだけれども、深い学びとの関わりが心配だというような趣旨のまとめがあったかと思います。そのことについては、この委員会の中でも懸念の発言が幾つかあったと思いますので、もし可能であれば、9ページ(2)の最初の丸が、型ではないという話なので、その後ろあたりに、やはり中核は深い学びの実現だというようなニュアンスのことを、場合によっては教科共通に入れることができれば、うまくつながっていくかなというようなことを思いました。その可能性は、横並びのこととかいろいろありますので、この最初の丸のところにくっつけるか、あるいはもう一つ丸を起こして、やはり中心は深い学びだというようなことができるとよいかなという要望です。
【小谷主査】    工夫いただけますでしょうか。
  中川委員、この件でございますか。
【中川委員】    違います。
【大杉教育課程企画室長】    一言だけ。この件は是非、企画特別部会の方でしっかり議論をさせていただければと思います。深い学びが重要であることは間違いないということは各ワーキングの議論で、ありがたいことに見えてきたということでございますけれども、一方、なぜアクティブ・ラーニングがということが出てきた背景で申し上げますと、深い学びの深さというのが、その内容的な深さを追求する余り、子供たちのキャリア形成と学びの関係、主体性でありますとか、そういったところに目が行っていないのではないかというような課題意識から出てきたところでもございますので、そういう意味では、その主体的な学びがエンジンとして重要だというような議論もあるところでございますので、数学ワーキングの議論をしっかり伝えさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
【小谷主査】    はい。是非全体のところにつなげていただければと思います。
  では、関連で。清水委員、お願いします。
【清水(宏)委員】    私も関連して、先生方の御意見と私も同じなのですが、ここの9ページ以降を読ませていただいて、その深い学びが大事だということは非常によく分かるのですが、私、先ほどの発言でもこだわっているのは、算数・数学においてはこれまで、子供が自立的に、個々で考えるということを大切にしてきたと思うのです。その思考が対話や協働的な学びによってさらに深まるというふうに思うわけですので、そのことを述べているというふうに理解はできるのですが、それがあまり文章として出てきていないという印象があります。もう少しそのことを表に出るような形で入れていただけるといいなというふうに思ったところであります。
【小谷主査】    是非よろしくお願いいたします。では、この件、よろしいですね。
  では中川委員、お願いします。
【中川委員】    全然、また細かい話で申し訳ありません。事前に資料を頂いて、子供とか児童生徒とかという表現のぶれを御指摘させていただいたんですが、一つ漏れがありました。済みません。8ページ、4ポツの(1)の丸の二つ目です。最後に「以下のような形で学校現場に明示していくことが適当である」とありますが、ほかのところは「各学校」とか「学校段階」とかいうふうに言葉を使っていて、学校現場という言葉は使っていません。ちょっと口語表現、話し言葉っぽい表現ですし、この文章の中に学校現場という言葉を入れると別の意味が発生する可能性があるので、「以下のような形で明示していくことが適当である」で十分でなかろうかと思います。
【小谷主査】    よろしくお願いします。ほか、ございますか。
  では、清水主査代理。
【清水(静)主査代理】    事前に資料をお届けいただいていて、別のところに気が取られて、気が付きませんでしたけれども、8ページの4ポツの(1)のところです。見出しが「特別支援教育の充実、個に応じた学習の充実」ということですが、この内容は、特別支援の充実に関わることだけになっていますので、もしこのことだけですと「個に応じた学習の充実」は要らない、なくてもよいかなと思います。ただ、個に応じた学習の充実というのは総則の方でも多分話題になりますし、算数・数学ではずっと長いこと話題になってきていますので、可能であれば、この(1)の前に、個に応じた学習の充実というような新しい項目を起して、算数・数学の学習では、理解とか学力についての幅が学年進行とともにどんどん広がっていくというようなことがありますので、それらに対応していくために、補充的な学習、発展的な学習、あるいは学び直しの機会の提供とか、繰り返すことの必要性とか、あるいは、先ほど教材にかかわるところに書かれておりましたけれども、11ページのところで、「抽象的で分かりにくい」の中身に、式を用いて表すことができても、それを基に考えを進めることが苦手な子がいるとかということがあります、また、算数・数学の学びにおける固有な問題とも言えますので、この個に応じた学習の充実というような項を起こして、黒ポチが二つくらいあるといいかなと思いました。これまでの議論でそういうことが話題になっていないので項を立てられなかったというのは申し訳ないことでありますけれども、もしそれが難しいようでしたら、この「個に応じた学習の充実」というのはなくてもよいかなということです。
【小谷主査】    この件に関して何か御意見ございますか。特に反対の御意見はないようですので、事務局の方で御検討いただけますでしょうか。
  では齊藤委員、お願いします。
【齊藤委員】    、10ページの「深い学び」「対話的な学び」「主体的な学び」のところで、先ほどその3者の関係については、今後企画特別部会の方でもいろいろ議論されるということでしたが私も、それらの関係性が明確になるといいなと思いました。しかし、文章の中では、数学的な活動は現行の指導要領においても位置付けられており、既に多くの学校で取り組まれていると考えられると示されています。実際、確かにそうなんですけれども、今度は実現できているかどうか確認しつつ進めることが重要であるとなってしまうと何を一番ここで主張したいのかというのが非常に曖昧な部分があるなというふうに感じました。
  すなわち、どのような視点から確認するかという部分が抜けているように思います。やっている、もう既にやっているのだけれども、これからもう1度確認するという話になると、では実際問題として、今までのものと同じものでいいのか、違うものを求めるのかが文章を読んでみてもわからない。もう既にやっているから同じなんだ、だけどもう1回確認していかなければならない、そういった意味で指導計画をしっかり作っていきましょうということではないのと思います。今回はその三つの柱での資質・能力の育成が重要だとうたわれているわけですから、資質・能力の育成に向けて、アクティブ・ラーニングの三つの視点から新たな指導計画というものの作成が必要だという部分を少し強調してもいいのではないかなと思います。
  そうしませんと、何変えればいいんですかという話になりかねなくて、これは先ほどの内容の構造化のところにも関わってきてしまいますが今後の現場での作業イメージを持ちやすくするような、文言も少し入れたらどうかと感じました。
【小谷主査】    ありがとうございました。ほかございますか。
【清水(静)主査代理】    細かなことで一つだけ、是非確認したいことがあります。深い学びがここで、アクティブ・ラーニング絡みで話題になっていますが、一方で、AI絡みでディープラーニングが話題になっていて、文脈で考えればそれほど混乱はないと思いますけれど、このアクティブ・ラーニング絡みでいったときの深い学びというのは、ディープラーニングと訳されるのですか。あるいは、もっと別な、格好いい訳になるのでしょうか。これがもし混同されてしまうと、また別な問題が起こってくるかなという懸念はございますけれども。
【大杉教育課程企画室長】    まだ英文まで、整理をこれからしていきたいと思いますけれども、そこはしっかり考えていかなければいけないと思っています。ある意味では、このディープラーニング革命の中で起きていることというのは、人間がどのように物事を理解して概念を獲得して、今まで知らないことにも適応していくかいうことをAIでやってみると、物すごく進んだということでありますので、人間の学習のよさということが、ある意味再確認されたと言ってしまうと言い過ぎだと思いますけれども、そのようなつながりは恐らくあるのであろうと、人間の考え、思考の深さということのよさ。ただ一方で、そのディープラーニングという言葉自体がどのぐらい、今はかなりはやりでありますけれども、どのくらい続いていく言葉なのであろうかということも見極めていかなければいけない。一方で、私たちが論じているのは、そのはやりのことではなくて、学習そのものの本質を論じているわけでございますので、その辺の誤解がないように是非していきたいというふうに思っております。
【小谷主査】    お願いします。ディープラーニングは深層学習と訳すようです。
  では、ほかにもし御意見なければ、これまでの議論を踏まえまして、資料3の全体を通して何か特段の御意見はございますでしょうか。御意見頂きましたでしょうか。
  それでは、取りまとめ資料につきましては、おおよそ合意が得られたと思います。活発な御議論ありがとうございました。本日はここまでにしたいと思います。
  お出しいただいた御意見につきましては、事務局でその趣旨を整理し、まとめていくようお願いいたします。最終的な表現ぶりにつきましては、各教科の議論や各学校段階別の部会の議論も踏まえまして、主査代理と調整しながら、主査一任でまとめさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
  本日どうしても言い尽くせなかったことやお気付きの点がございましたら、事務局にお送りいただければ幸いでございます。主査代理とも調整をさせていただきます。
  最後に、議題2として、その他御意見、ございますでしょうか。こちらでは特に議題は用意してございませんが。
  ないようでしたら、時間、少し早いですけれども、本日はここまでにしたいと思います。本日を含めまして、8回にわたり議論を頂き、ありがとうございました。算数・数学ワーキンググループとしての取りまとめにつきましては、今回一応のめどを付けさせていただきます。今後について、事務局より説明をお願いいたします。
【岡村教育課程企画室専門官】    8回にわたりまして貴重な御審議を頂きまして、まことにありがとうございました。先ほど主査からも御発言がありましたとおり、今回で算数・数学ワーキンググループにおいて取りまとめを頂きました。今後、各教科等で、横串を刺す観点や、各学校段階別の部会等の状況も踏まえつつ、全体をまとめる部会に上げていきたいと考えております。その状況に応じまして、本ワーキンググループでの調整が必要になった場合には御参集いただくこともございますので、その際には別途御連絡させていただきたいと思います。
  また、主査からお話がございましたが、今回出し尽くせなかった意見等がございました場合には、事務局まで御意見頂ければと思います。また、頂きました意見等につきましては、主査、主査代理とも御相談させていただきたいと考えてございます。
  なお、本日配付しました資料につきましては、机上に置いていただきましたら、後ほど郵送いたします。
  以上でございます。
【小谷主査】    これまで8回のワーキンググループがございました。様々な、深い、いい議論ができたかと存じます。
  これをもちまして、第8回の算数・数学ワーキンググループを終了いたします。ありがとうございました。

──  了  ──

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