教育課程部会 算数・数学ワーキンググループ(第7回) 議事録

1.日時

平成28年5月13日(金曜日) 13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省 東館3階 3F1特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 科目構成の見直しについて
  2. 必要な支援・条件整備等について
  3. 算数・数学ワーキンググループにおけるとりまとめイメージについて
  4. その他

4.議事録

【小谷主査】    それでは定刻になりましたので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会算数・数学ワーキンググループの第7回会合を開催いたします。
  それでは、事務局から配付資料について御確認をお願いいたします。
【岡村教育課程課専門官】    配付資料の確認をさせていただきます。第7回の配付資料は、ちょっと先ほどのと混同しないようにクリップ留めのまま配付させていただいておりまして、議事次第に記載してございますとおり、資料1から資料5、それから参考資料1から参考資料6、それから机上に参考資料を配付させていただいております。それからタブレット端末等も先ほどと同様に、関係する審議会の答申や関係資料等をデータとして入れてございます。
  以上でございます。
【小谷主査】    それではこれより議事に入ります。初めに、本ワーキンググループの審議等につきましては、初等中等教育分科会教育課程部会運営規則第3条に基づき、原則公開により議事を進めさせていただくとともに、第6条に基づき議事録を作成し、原則公開するものとして取り扱うこととさせていただきます。よろしくお願いします。
  なお、報道関係者より会議の撮影及び録音の申出があり、これを許可しておりますので御承知おきください。
  第7回ワーキングでは、議題1として科目構成の見直しについて、議題2として必要な支援・条件整備について、議題3として算数・数学ワーキンググループにおける取りまとめのイメージについてを予定しています。
  それでは、議題1につきまして、事務局より御説明をお願いします。
【岡村教育課程課専門官】    お手元の資料2に基づきまして御説明いたします。お手元の資料2は科目構成の見直しについての案ということで、高等学校数学科における現行の科目構成を左側、それから見直しの案としての科目構成を右側に青い枠で示してございます。その図に示している内容の内訳については、下の方のポツで記載してございますが、まず理数探究(仮称)の創設に伴い、現在の数学活用を廃し、それから数学Cを新たに設置し、数学活用の内容を数学A、数学B、数学Cのいずれかに移行、次に数学Cは平面上の曲線と複素数平面やデータの活用(仮称)などで構成、それから数学Bの統計的な内容を数学Cに移行することについて検討、次に統計的な内容については特に情報科などとの連携を重視としてございます。
  その後ろに参考ということで、平成28年3月7日付けで文部科学省が公表しております「平成27年度公立小・中学校及び高等学校における教育課程の編成・実施状況の調査の結果について」からの抜粋資料でございまして、科目の開設状況ということで、数学についても上から四つ目にありまして、数学1・2・3、数学A・B、数学活用の各年次ごとの開設状況が取りまとめられております。
  その次のページは数学A、数学Bを開設している場合の履修内容ということで、数学A、それから数学Bの中で全て履修しているかどうか、又はいずれかの内容のみを履修しているかどうかということを取りまとめております。
  以上、資料2につきまして御審議のほどよろしくお願いいたします。
【小谷主査】    ありがとうございました。それでは、これより意見交換の時間とさせていただきます。御意見等のある方はあらかじめ名札を立てていただきますと、私の方で順次指名させていただきます。発言が終わりましたら名札をもとに戻していただきますようお願いします。あと御発言の際はマイクのスイッチをオンにし、発言後はオフにしていただきますようにお願いいたします。
  それではどなたか。
  最初にちょっと私の方で確認させていただきたいんですが、この理数探究(仮称)(新設)と書いてあるのは、従来数理探究と書かれていたもののことですよね。これはもうこちらの方向に名前が変わることになってこう書かれているのか、もしそうでないのであれば、現状ではまだ数理探究と書くのがふさわしいように思うんですが、いかがなんでしょうか。
【平野教育改革調整官】    数学・理科にわたる探究的科目の在り方に関する特別チームで、前回理数探究という形で事務局から御提案させていただきました。その際の、特に御意見としては異論がなかったものですから、とりあえずこれで今のところは置き換えさせて、ほかの資料も含めて今置き換えさせていただいているところでございまして、確定したわけではないんですけれども、今の段階ではこの理数探究のほうに置き換えさせていただいているということでございます。
【小谷主査】    確定したら名前を書き換えるのは結構だと思うんですが、それが確定するまでは数理探究として最初考えられていたものなので、確定するまではこの名前でいくのかなと思っていたんですけれども、どちらでもいいことなのかもしれませんが一応。
  そのついでに御説明いただくとすると、「理数探究の創設に伴い数学活用を廃止」とかかれていますが、従来数理探究と呼ばれていたものを理数探究に置き換える際に、数学活用で行っていた科目内容が行えるのかどうかということも確認しないと議論できないのではないかと思います。数理探究についてはたしか説明が以前あったので、皆さん御了解されていて、数学活用との関係も御理解されていると思いますが、理数探究という名前が変更されたことに伴い、内容は変わっているのかどうかということは確認しておく必要があるかと思います。
【平野教育改革調整官】    理数探究(仮称)の内容につきましては、名称変更に伴って内容の見直しを行ったということはございませんで、前回、前々回になりますか、第5回にこちらの方に御紹介させていただいた教育内容、科目の内容、構成については変更ございません。
【小谷主査】    どうもありがとうございます。それでは、この科目構成の見直し案につきまして、御意見いただければ幸いです。
  それでは真島委員、お願いします。
【真島委員】    もう少し情報が欲しいのですけれども、現行数学1、必履修3単位とか、単位数がありますよね。そして新になったときにどうなるのかという、もちろん時間数は決められないんですけれども、決められないのかもしれないのですが、およそといいますか、そういったこと。
  それから、何単元のうちから幾つ選択するとか、そういったことがあるわけですけれども、ここに書かれている情報ではちょっと議論するのに不足のような気がいたしますので、ここら辺のところをどのようになっているのかお示ししていただければと思います。
【小谷主査】    事務局からお願いします。
【長尾視学官】    答えられる範囲でお答えしたいと思うんですが、確かに現行の単位数を書いてなかったのはちょっとよくなかったかなと今思っています。数1が3単位、数2が4単位、数3が5単位、数A、数B、数学活用が各2単位になっています。新しいところの単位数はまだ全然決まっていないので、この段階で申し上げるのはちょっと難しいことだと思っていますけれども、大体現行と大きくは変わらないだろうなということで考えています。
  内容についても、三つのうちから二つ選ぶとか、せいぜいその程度だと今は思っています。これ確定ではありませんので、よろしくお願いします。
【小谷主査】    確認ですけれども、大きくは変わらないだろうという見込みというのは、合計が大きくは変わらないということですね。
【長尾視学官】    そうでした。済みません。数学3の5単位というのは、5単位のままではいかないだろうと思っています。総額は理数探究まで含めるとほぼ同じか、増えるかぐらいではないかなと思っていますが。
【小谷主査】    どうもありがとうございました。
  それでは大谷委員、どうぞ。
【大谷委員】    現行の科目、今の指導要領の解説にもあるんですが、教科の基本的な性格みたいなものを書かれていらっしゃると思うんですけれども、そのような形で数学活用をある程度分けていかれるときに、そのA、B、Cの性格みたいなものは現行のAやBの性格付けのようなものを利用と考えていらっしゃるんでしょうか。
【長尾視学官】    おおむねそうなんですけれども、数学活用の要素を入れるということになると、若干修正は必要かもしれないですね。まだ具体的に中身を確定しているわけではないので、そこまではちょっと同じだ、全く一緒だというようなことは、今この段階ではちょっと申し上げにくいところはあります。
【小谷主査】    では宇野委員、どうぞ。
【宇野委員】    幾つかあります。1点目は大谷委員と重なりますが、1、2、3という流れとA、B、Cという流れが二つある以上、1、2、3が、コアであるとか、そういった意味付けは現行どおり堅持するというようなお考えであると思います。
  2点目は、今現行では必履修は数学1の3単位ですが、これについても今は何も決まっていないとは思いますが、必履修の単位数についてはこれからも検討を重ねていかれるのかどうかという点を、もし何かありましたら教えていただきたいと思います。
【長尾視学官】    単位数については、各教科高等学校会で最終的にはお示しすることになると思っています。必履修についてもそういうことになっていますので、申し訳ございません。単位数についてはまだ、今段階では申し上げにくいところはあります。
【小谷主査】    済みません。恐らく皆さんちょっと戸惑われているのは、割と情報が漠然としているので、ここで我々がどこまでの権限を持ってどこまでのことをお話しすべきなのかということ、若しくはここで決めなくてはいけないことは何なのかということを、もう少し詳しく教えていただいた方が議論しやすいかと思うんですが。
【長尾視学官】    科目構成の見直しについては、この委員会に出すことになっています。それで、この委員会でこういうことにしたいということをお示しした上で、もしそれに対して御意見があれば頂きたいということです。現行のことを考えたときにこういうことがあるんだけれども、こういうことは入れておいてほしいとか、こういうことは改めてほしいとか、そういう御意見を頂きたいということです。
【小谷主査】    そうすると、この委員会で責任を持って何かを決めるというよりは、今動きがあるので御紹介いただいて、それに対して意見を述べるということですね。
【長尾視学官】    はい。それでお願いしたいと思います。
【小谷主査】    ということでございますので、自由にお願いします。
  では宇野委員ですかね。
【宇野委員】    意見の前に一つ質問です。2ページ目の表の見方は、例えば数学1のところは、普通科で見ますと1年次に開設しているのが普通科の中で94.6%で、2年次が2.4となっています。この3年の合計が100を超えるのは、両方で開設している学校があるという解釈でよろしいですか。
【長尾視学官】    そうですね。
【宇野委員】    ありがとうございます。では意見です。1点目は数学3の5単位というのは、現場の先生に話を聞く限りでは、5単位をするかしないかという選択になるので、できれば5ではなく、もう少し少ない単位に分けて欲しいという意見はよく聞くので、そのあたりが反映できたらなと思います。
  それともう一つ、これは私を含めて近い人の意見が主ですが、現行では、数学AとBは全ての単元をしなくていいとなっていると思いますが、例えば数学Aだけでも、教科書にあるものは全部学ぶような形の科目になればいいと思っております。
  以上です。
【小谷主査】    ほかございますか。
  では真島委員ですね。済みませんが。
【真島委員】    数学3に関することは、今宇野委員もおっしゃったことなのですけれども、数学活用が幾つかにばらけるというところで、例えば数学史的な話であるとか、そういった内容がAとかBとかに行って、理科というか、そういったところに活用される部分が理数探究にこう行くという、そういうイメージなんでしょうか。ちょっと漠然としているわけですけれども、理数探究の方の前回の資料とかをこう見ると、そういった理科のいろいろな科目とか、それからあるいは数学、それらに偏らないで方法論的なそういったことを学ぶような科目という位置付けで、黄色になっていますけれども、数学の範囲、高等学校数学科の中に入るものという位置付けとはちょっと違う感じのものになってきているわけですよね。それを数学の範囲でやるべきこととしてこういう構成でいいのか、もしかしたらやっぱり数学活用的なものというのが残るべきではないか。この表だけ見る限りではそんな感じもいたします。
【小谷主査】    それでは清水主査代理、お願いします。
【清水(静)主査代理】    今の「数学活用」に関することと、もう一つ述べます。
  「数学活用」については「数学A、B、C」に分けて、内容として移行するということは理解できます。ただ、「数学活用」の現行のものについて、目標で示されている「数学と人間の活動との関わり」、あるいは「社会生活における数理的な考察の必要性あるいは意義」といったことは、今回の趣旨である深い学びもそうですし、その動機付けとしての主体的な学びを促す意味で大変重要な要素だと思います。ので、小学校の算数と中学校の数学と必履修の数学1くらいのところで、「内容の取り扱い」というくくりがありますので、各学習指導要領の後ろ側に。今回それがどういう位置付けになるか分かりませんけれども、そこで「主体的な学び」を促すためのポイントの一つとして、これらのことに触れるというか、配慮するというようなことを明確に示す必要があるのではないかということを思います。教える内容としてとなると重たくなりますけれども、共通に全て学ぶのは「数学1」までですので、そのところで内容の取り扱い、配慮事項として明示するということを検討していただけたらと思います。
  それから二つ目は、今の基準が作られたときに、たしか離散数学的なものをどうするかということが話題になったかに聞いています。その基には、中学校3年までの数学に不安を持っていたり、一部の生徒によっては数学に対する嫌悪感を持っていたりするようなこともありまして、その前提をできるだけ少なくする、ハードルを低くして学べる数学のまとまりを例えば「数学A」あたりにセットできないか。選択的にそれが選べるということになると、そのことをきっかけに数学への学びがより積極的になる可能性が生まれるのではないかと思いますので、中学校までの数学にやっぱり不安感なり、苦手感を持っている生徒でも、高校に入ってスタートするときの内容としてチャレンジできるようなきっかけを与えるくくりを是非「数学AないしはB」のところに入れていただけないかということです。
  以上です。
【小谷主査】    どうもありがとうございます。何かございますか。
【真島委員】    もう一つ、「統計的な内容について特に情報科などと連携を重視」、それで情報科に関する動きといいますか、必修になって、その中に必ず統計的な内容がしっかりと入るとか、そういった情報についてもう一度御説明いただければと思います。
【小谷主査】    では、事務局の方からお願いします。
【長尾視学官】    今朝の第6回の情報の資料ですね。統計の資料は資料6、資料6の3ページを見ていただけますと、「高等学校統計教育の充実(たたき台)」というのがございます。そこに情報科の内容を、統計に関わる部分を大体抜き出しをしています。統計については必履修科目、それから選択科目、両方で扱うということになっています。現在情報科もワーキンググループを開いていますので、そちらの方の資料で会を重ねるごとに詳しいものになっているのではないかなと思っています。
  以上です。
【小谷主査】    情報科の方では、その数学との連携について、例えばこんなふうに役割を分けたい、若しくは協力したいというような御意見というのはございますか。
【長尾視学官】    情報科とは定期的といいますか、期間を置いて意見交換をしていて、それで「情報科と」と言いましたが、情報科の担当者とはそういうことをしていまして、こういう方向でいくということはお互いに了解しているということです。
【小谷主査】    藤井委員、お願いします。
【藤井委員】    情報科との関係がどうあるにせよ、きょうの午前中で出た資料6の統計教育のイメージのところで出ていた、高等学校の必修科目の内容は、小・中・高の内容を踏まえて充実するということと、問題解決で使える統計になるよう改善するという、この二つを是非数学科の中できちんと実現する形をとる方向で考えていただければと強く希望いたします。
  以上です。
【小谷主査】    ほかございますでしょうか。
  それでは、なければ本日頂いた御意見を事務局の方で取りまとめたいと思います。修正等については主任に御一任いただきたいと思います。よろしいでしょうか。
  それでは議題の2につきまして、事務局より御説明をお願いします。
【岡村教育課程課専門官】    お手元の資料3と資料4に基づきまして御説明いたします。
  まず資料3の方ですが、これまでの算数・数学ワーキングの第1回から第5回までの必要な支援・条件整備に関する主な意見に関連するものをこちらで取りまとめたものでして、まず一つがアクティブ・ラーニングの三つの視点を踏まえた、資質・能力の育成のために重視すべき算数・数学科の指導等の改善充実の在り方に関して、1ページ目、それから2ページ目にわたって御意見をまとめてございます。あとは3枚目の方では教材についての御意見、それから情報教育、ICTの活用についての御意見、それから入試に関することについての御意見、その他の御意見ということで、これまでの主な御意見をまとめたものが資料3になります。
  それから資料4になりまして、算数・数学  小・中・高等学校におけるICTを活用した効果的な実践例の案ということで作成してございます。まず小学校の算数の方での活用の実践例ということでは、「例えば好きなスポーツ調べをクラスごとに調査した結果を、コンピューターを用いて棒グラフや帯グラフなどいろいろなグラフを作成し、自分が主張したいことを表すのに適切なグラフを選ぶ。(第5学年など)」。次に、「図形を動的に動かすことで、平行四辺形と長方形など図形の相互の関係を実感的に理解する。(第4学年など)」。「円を直径で切って移動して長方形のように並べるとき、より細かく切ることで長方形にどんどん近づいていくことを理解する。(第5学年)」。「教材提示装置により手元を大きくうつすことができるので、コンパスの使い方を分かりやすく示す」。次に、「教室内のネットワークの活用により、タブレットに書いてある考えを、クラス全員のタブレットに表示することで、全体で共有する」ということで、以上が小学校算数の例です。
  次は中学校数学の例としては、「図形ソフトを用いて、同一円周上の点を動かしたときの円周角と中心角の大きさを調べるなどして、いつでも成り立つ関係について予想を立てる」。それから「グラフが表示できる電卓を用いて関数式の係数の値を変化させたときにグラフがどのように変化するかを連続的に調べたり、方程式の解を簡単に求めたりする」。それから「関数の学習で、表、式、グラフの関連を有機的に示したり、センサーを取り付けて動的な事象に対する資料の収集に利用したりする」。それから「ヒストグラムから目的に応じて資料の傾向を的確に読み取る際に、階級の幅の異なる複数のヒストグラムを作り検討する」。次に「標本調査において母集団から標本を抽出する際に必要な乱数を簡単に数多く得る」が中学で、次に高校の方ですけれども、「数学1「二次関数」で二次不等式の解法を考察する場合、対応する二次関数のグラフを表示して生徒の解法の誤りなどを議論させ理解を深める」「数学2「図形と方程式」で、例えば2直線の交点の軌跡を求める場合、実際に交点の軌跡を表示することによって軌跡を求めるときの留意点を確認するなど、その方法の理解を深める」。次に「数学3「極限」で、複雑な数列の極限を実際に各項の値を表示し値の変化の様子を確認することを通して、極限を求める方法の理解を深め、その方法のよさを実感する」。次に「統計的な内容で、生徒が自分が設定した問題を解決する際に必要なデータを安全なサイトから収集し、それを分析・解釈し、分かりやすく結論をまとめて発表する」ということで、以上の資料3、資料4が必要な支援・条件整備に関しての資料ということになりますが、これはこの次の議題の資料ですね。資料5にも出てくるんですけれども、資料5の一番最後のフェーズで、必要な条件整備等についてということで、ここは今まで議論されていないので、ここにどういったことを入れ込んでいくかという前提を踏まえて、今回この議題において御意見を頂ければということで、資料3と資料4について御説明いたしました。
  以上につきまして御審議のほどよろしくお願いいたします。
【小谷主査】    はい、ありがとうございました。それではこれから意見交換の時間とさせていただきますが、私自身もよくポイントは分かっていないんですけれども、必要な支援・条件整備についてということで、資料4をお配りいただいていますが、これは必要な支援や条件整備が行われた上で、このような実践例ができるという御参考として送られているのか、それともこのような実践例についてもう少し御意見を頂くのか、ちょっとそのポイントがいま一つ分からなかったんですが。
【岡村教育課程課専門官】    その次の議題の資料5のところでも御検討いただくことになるとで思うのですが、今のこの例を見て、こういうのがもっと要るんじゃないかというふうに頂いてもいいですし、現在の例の中からもっとこういうのを追加した方がいいんじゃないかというのを頂いても、どちらの観点で御意見頂いてもいいかと思います。
【小谷主査】    分かりました。では広く捉えて、必要な支援・条件整備について御意見をお願いいたします。
  では、宇野委員、お願いします。
【宇野委員】    資料4の実践例についてのことです。例えばコンピューターとか、タブレットとかで視覚的なことを通じて理解を深めるのは非常に意味があるし、効果もあると思いますので、そういうことは重要だと思いますが、危惧するのは、すぐにできてしまうことで、勉強したとなってしまうことです。そうならないようにしていただきたいと思います。
  例えば、高校の数学1の二次関数、中学の2番目の丸にある、グラフがどのように変化するかを連続的に調べる、関数のグラフの理解については意味があると思いますが、そういった機器を使うことによって、機器がなくてもこの式のグラフはこういうふうなことを表しているのだということの理解につながらないと、分からなかったらパソコンに聞けばいいとなってしまうので、その辺のことがうまく伝わるような実践例の書き方にしていただければありがたいなと思います。
【小谷主査】    ありがとうございます。ほかございますでしょうか。
  主査代理、お願いします。
【清水(静)主査代理】    今までの議論はどちらかというと目の前にいる児童・生徒にどういう資質・能力を育てるか、またそのために先生方に何をお願いするかというスタンスでしたけれども、やはり必要な支援・条件整備という視点に立つと、日々努力されている先生方に対するお願いも述べるべきかなと思っています。一つは、今回は資質・能力並びに見方・考え方という新しい概念でのくくりなど、新しい枠組みが提案されていますので、今までの続きでそのまま理解されると困るかなということがあります。ので、意識改革を先生方にしてもらわなくてはいけない。となりますと、昔は結構指導資料のようなものが計画的に出版されて、先生方どのくらい関心を持って読まれているかはともあれ、情報の提供は結構頻繁に行われていたように思いますので、その辺の意識改革のための適切な情報の提供をしていくということが一つでます。
  それから二二つ目は、先ほど来アクティブ・ラーニングにまつわる懸念とか、あるいはその本質に関わる議論がありましたけれども、やっぱりそれを実際の授業改善を通して先生方に実感をしてもらわないと、それぞれの先生方がそれぞれの御理解に基づいての授業改善だと、やっぱり効果が出てこないという懸念がございますので、その辺の授業に基づく授業改善、いわゆる世界的に今有名になっている授業研究を、特に高校、中学などを中心に、先生方も頑張るし、教育委員会もサポートするような、そういうメッセージを発していただかなくてはいけないかなと思います。
  最後三つ目ですけれども、中学校とか高校で数学を教えている先生、あるいは小学校で算数を教えている先生方の中には、数学の勉強は暗記だと思っている人が結構いるのですね。でもこれまでの議論からすると、その数学観はほぼ否定されていると思うのです。となると、やはり算数・数学の授業をしている先生方の持っている数学的な素養についても、生涯学習社会という視点から見て、日々努力をしてその点検とその補充といいますか、そういうことに努めることが必要ということで、数学的素養の点検と充実の必要性というようなことを、是非子供に対してのことではなくて、教える先生方自身に対する条件整備といいますか、啓蒙、奨励といいますか、そういうことを是非加えていただきたいと思います。
  以上です。
【小谷主査】    どうもありがとうございました。ございますか。
  真島先生。
【真島委員】    教育支援ということですけれども、ここに挙げられているのは既存のものをそのまま使うというか、そういった感じなのですが、あと情報科とも関連するんですけれども、プログラミングをするというか、プログラミングをしつつ、算数・数学の理解を深めるというか、そういった類いの利用の仕方というんですか、それも入ってくるのかなという気がいたします。
  例えば小学校の早い段階で演算の仕組みとか、そういったものをプログラミング的に解読するといいますか、そういったようなこともあり得るだろうし、小学、中学、高校に上がるにつれて、既存のものだけではやりにくくて何か開発するということがあるので、そういったことも含めて効果的な利用というのがあるのだと思いますけれども、それはちょっと書いていないような気がいたします。
【小谷主査】    どうもありがとうございました。
  では中川委員、お願いします。
【中川委員】    お二人のおっしゃったことに尽きるのですが、ICTを活用することによって教えるべきところを手っ取り早く教えて、子供たちが主体的で対話的で深い学びを生み出す時間を確保するというスタンスであればこれでいいんですが、主体的で対話的で深い学びを作り出す上にもICTをうまく使えるという事例を示すことができたらすばらしいなと思います。
  例えば小学校の方で、一番下のタブレットに書いてある考えをクラス全員のタブレットに表示して全員共有するというのはそれに近いかと思います。逆にその上にあるコンパスの使い方を分かりやすく示すというのは、ちょっと余りここに例に示すのは、事柄をインプットすることに過度にそういった例を余り挙げ過ぎない方がいいかなということを思います。
【小谷主査】    ありがとうございます。
  清水委員、お願いします。
【清水(宏)委員】    私はこの資料4を見せていただいて、これが表にどの程度出るかは分かりませんが、もう少し簡単な使用としてはやはり電卓があるかと思います。我々がこれまで議論してきた問題解決を行うときの日常事象等の数学化というときには、整数値だったり、有理数の値だったりというきれいな数値だけではなく,やはり数値が複雑になって手に負えないような場面が出てくるかと思います。そういう場面で、そういうときにこそ電卓等を使って計算をして処理する、問題を解決するということも、特に小学校算数や中学校数学での例としてあるとよいと思います。
  その電卓さえも今余り普及していない現状があります。先生方の中には電卓を使うことによって計算力が劣ってしまうというふうに思われている方々もいらっしゃると思いますので、もちろん計算はしっかりやるという前提のもとに、日常事象の問題を解決するときに数値が複雑になったとき、電卓等を使って解決することを積極的に取り入れたい。こういうところに、このICTを使うよさが出ると思いますので、電卓を活用する例も入っているとよいかなと思いました。
【小谷主査】    ありがとうございます。ほかにございますでしょうか。
  どうぞ。
【板垣委員】    私も中学校の現場では、ここに書いてあるような、例えばセンサーを取り付けて動的な事象に対する資料の収集をすると。具体的に言うと、例えばそのセンサーの前で複数の子供たちが動いたり、あるいは1人が動いたり、速さと距離との関係をグラフに、それが表示できるような、そういう教具を使ってやったりしたことがあります。非常に教科書や問題集等でイメージするのとは違って、自分が動いたものがそのままグラフとして視覚化されるので、子供たちも主体的に学習に取り組んだということが印象に残っています。
  ただ、この教具自体は非常に高価で、それを自分の場合は個人的に購入しましたけれども、そういうものは実際に余り現場には普及していません。それ以外でも、以前も私はここで申し上げたと思うんですが、やはり何をやるのでも、コンピューター室が一つしかなかったり、ソフトが思うようにインストールできなかったり、35人、40人で授業をやろうと思うと、そのうちの3人分ぐらいがコンピューターのぐあいが悪かったりと。現実的には非常にICTを使う授業というのは困難を伴っているのが事実です。
  子供たちは非常にICTを使いこなします。大人よりもはるかにそういうことは使えるんですが、それを使う環境を整える方が苦労しているという状況ですので、せっかく社会に開かれた教育課程ということでいくのであれば、是非そういうことへ協力的な企業とか、民官が一緒になって子供たちを教育していくという視点を持って、今後の教育活動の方に生かしていければいいなと思っています。
  以上です。
【小谷主査】    事務局への質問ですけれども、後で取りまとめに反映させる際に、例えばICTの環境もどれぐらい整っているかというようなことも載せたりすることができるんでしょうか。
【平野教育改革調整官】    文章の流れで言及が必要であれば、そういったバックデータ的なものも記載するということは可能でございます。
  今ちょっと御指名いただきましたので、これから次の議題で御議論いただく取りまとめのイメージ案がございますが、そこに書き込む内容として、できるだけ幅広いアイデアを出していただければと思っておりますので、この環境整備、特にこのアクティブ・ラーニングの三つの視点ですとか、今まで御議論いただいた資質・能力のこの三つの柱を数学・算数の授業で実現していくために必要と思われる環境整備的なものとしてどういうものが考えられるのかというのを幅広く御意見を頂ければと思います。
  また、そのICTの活用に関して言えば、先ほども御指摘ありましたように、ICT自体の環境整備も必要でございますけれども、ではそれを整備することによって、どういったような授業展開が可能になるのかと。それは先ほど二つの視点がございましたけれども、時間を短縮することによってアクティブ・ラーニング的な深い学びが実現できる時間を確保するという観点と、ICTを使うことそのものによって学びを深めていくことができるような実施の仕方、そのためには実際にICT環境としてどういうものが必要なのか、みたいなところについて御意見を是非賜れればと思います。よろしくお願いいたします。
【小谷主査】    ありがとうございます。
  藤井委員、お願いします。
【藤井委員】    この資料ですと、教師の提示用に見える。先ほど清水委員が指摘したように、電卓を、子供に探究の道具として与えるという立場に立つと別の例示が可能となる。、きょうの午前中の技能の議論も、その処理のところどの程度テクノロジーに任せればいいか、どこまで紙と鉛筆できちっとやるか、その辺の議論も連動してくると思う。地球規模で見ると、日本の場合は子供たちにテクノロジーを委ねて探究の道具として使わせるということについては非常に消極的な国なだと思います。
  例えば大学入試に、センター試験でもそうですけれども、グラフ電卓を持ってこないと受けられない科目を作るという発想は、日本はとてもないと思うんですよ。でもグラフ電卓を使えば、いわゆる計算問題の類いはそれでできてしまいますので、計算問題などは入試に出てこなくなります。入試がガラッと変わると思う。ICTの活用に関して言えば、もう少し地球規模で全体を見た上で、どの程度学校教育の中に子供が探究の道具として使うものを用意するかということを一度踏み込んで議論しないと、旧態依然の態勢のままになる。教師の提示用を豊かにしても、本当の活用にはならないのではないか。諸外国を見るとそういうことを強く思います。
【小谷主査】    ありがとうございました。
  椿委員。
【椿委員】    この資料4に書いていただいたことの中で、ICTの活用という観点でいいますと、もう既にいろいろな議論ありましたけれども、統計分析で手計算の範囲で、問題を作ることは、ほとんど実際にはナンセンスではないかと思うくらいなのです。そのような計算を補助する、人間ができない部分までの計算をやっていくという活用と、それからアクティブ・ラーニングにおける生徒さん間のコミュニケーションのためのツールとしてICTを活用するという場合と、あと、数学の基礎的な概念を生徒が知っていれば、今ある公式とか何とかは別として、ICTの活用によって本来教えてもらっていないようなところに関してもいろいろなことができるというような場合があります。例えば、小・中・高の範囲でいえば、最大化とか最小化ということがきちっとできる、あるいは根をきちっと計算できるというようなことは、やれることは限られてしまっているわけです。けれども、先ほど御指摘があったグラフ機能みたいなものが日常的に使えるのならば、根という概念だとか、最大値という概念に対しては非常に広い範囲で生徒は自主的にいろいろなことをやれるようになるわけです。その特別な場合にきちっとした理論があるというやり方にすれば、数学的活動が広がると思うのです。
  むしろそのようにICTの活用をまず幾つかのパターンに分類する。コミュニケーションのツール、あるいはそれを加速する可視化のツールなのか、あるいはさっきの計算とか分析というものの機能を、人間がやっているのでは限りがあるのでそこを広げるのか、あるいはむしろ数学の本質的な部分というものをもより直感的に分かるような形にするツールなのかとか、幾つか小・中・高の段階に応じて分類して示していくと、先生方もそういう形でICTをこういう場面ではこう使ってみようというような形になるのではないかなとつくづく思います。
  それから、先ほどの話の重複で恐縮なのですけれども、統計という分野ですと、本当に実際の入試で、藤井先生のおっしゃられたような形でツールを使えるか使えないかで、出せる問題のおもしろさとか、バラエティーが全く変わってくるのではないかという印象があります。今はセンター入試にしても、もうグラフは出来合いのもので、それを見せて解釈しろというようなやり方になっているのですけれども、本来はこういうデータがあったときにどういうグラフ化がいいのかとかということを自分みずから分析する力量を評価しなければならないのです。むしろそういう入試にしてもそういうツールを、これから前提とするのかしないのかということも非常に指導要領においては重要だと考えます。
【小谷主査】    ありがとうございます。
  では宇野委員。
【宇野委員】    藤井委員、椿委員と重複します。機器を使うことが今、話の中心になっているのでまたその話をさせていただきたいと思います。人間が手計算でしているところを補うとか、すぐにグラフ化して見られるとか、そういったことは非常に便利になって、それで理解が深まるという面もあります。しかし、ボタン一つ押せば答えが全部出てくるというようなツールを与えてしまわれると、結局それがないと何も考えられない、何もできないとなってしまわないかと非常に心配します。ですので、今持っている機器にこの機能がなくても、数学的な見方・考え方を使えばそれを補えるとか、そういった組み合わせをうまく提示して、アクティブ・ラーニングのいう深い学習や、主体的な学習とかにつなげていけるように、機器の進歩の度合いも激しいですから大変難しいと思いますが、やはり教育という面ではそこを決して忘れてはいけないと思いますので、それをうまくどこかで押さえるべきではないかと思います。
  以上です。
【小谷主査】    どうもありがとうございます。
  続きまして大谷委員、お願いします。
【大谷委員】    ICT、皆様がおっしゃっていらっしゃることと本当に重複して恐縮なんですけれども、アクティブ・ラーニングのそういう三つの観点、数学らしい三つの観点に持ち込む際にも、やはり新しいことを見出していくときの有効なICTの不偏な性質を見出していくような在り方とか、あるいは藤井先生がおっしゃっていたように、本当に現実の対数の底が小数のような場合を平気で現実の中にあるものを実際に扱っていくようなこと、実社会に役に立つということを分かっていくようなこと、あるいはグラフィックなどを使って考え方を非常に説得的に伝え合うというような、そういう関わりの中で使うという、そういうアクティブ・ラーニングの三つの視点ということに寄り添ってICTの在り方ということを整理するというのも、一つの手なのではないかというふうに考えます。
【小谷主査】    ありがとうございます。ほかは。
【戸谷委員】    ICTの同じ問題なんですけれども、個人的な経験からいいますと、入試に出ないことは勉強しないというのが基本的に高校生なんかだとあると思いますので、入試でどういう問題が出るのかということと、出すのかということかもしれないですけれども、併せて考えないと、どちらが先かということはありますが、現実には勉強されないような気がします。先ほど科目の開講しているかどうかのパーセンテージもありましたけれども、あれは実際には人数はどれぐらいなのかということを併せて見ると、きっと科目によっては非常に少ないというようなことになるのではないかと思います。
  もう一つ、ICTとか分析のツールとかということに関していうと、乱用するかどうかというのは、もうほっといても子供は使うので、彼らの方が先生よりもはるかに早く習得して使いますので、そのときに凶器にならないというか、使い方を間違えないように、現実に合わせて教えられるようにならないと、使うものはもう使っている、実際使っていますし、使えるので、使ってしまうということですね。それの体系をちゃんと教えるであるとか、それを使ったときに出てきた数字はどう見るのかというようなことがちゃんと同時に教えられるような形が必要があるなと思います。
【小谷主査】    どうもありがとうございます。ほかございますか。
  齊藤委員、お願いします。
【齊藤委員】    先ほど藤井委員の方から、ICTの活用ということからすると非常に日本は遅れている、後進的な部分についてのお話があったわけですが、ではなぜそのように、学校現場では電卓一つにしても余り使わないかということですが、それはやはり教師のそれまでの経験則であったりとか、意識であったりとか、必要感であったりが影響していると思います。ですからいくら条件整備といって、それらを予算化して送り込んでも、例えば、学校には大型テレビもいっぱいありますし、パソコンもいっぱいあるわけですが、なぜそれが動かないでほこりをかぶっている状態です。きっとICTがどのような授業に対して貢献をするかとか、又は何まで人が考えて、その先の何をICT、機械に何を任せるかとか、そのICTからどのような支援を受けるということが、今回話題になっている「深い学び」、又は「主体的な学び」に貢献するかということについて提示しないと、算数・数学を専門にしている先生であったとしても、なかなかそれまでの経験を超えていくのは難しいと感じます。
  冒頭に主査代理の方から、この必要条件整備の中にモデル事例のようなものを出す必要性のお話がありましたが、いわゆる資質・能力のとらえ、それからアクティブ・ラーニングといったようなことの具体がどういうことなのかというものについての例示を必要があると思います。例えば全国の学力テストの後に用意していただいているような授業アイデア例のようなものです。余り縛りをかけてしまうと、今度は逆に全部それに右へならえみたいになってしまうので微妙なところはありますが、現場の先生方が、そのようににやっていくということが必要なんだと思える環境を作るということも非常に大事だと思います。
  学校に電卓はいっぱいあります。子供たちも1人1台ぐらい使える環境にはあるけれども、むしろ電卓は出してはだめというようなことを平気で言う先生も一方ではたくさんいるという、このような意識を変えることをしていかないと、どれだけ立派な基準ができても、それが授業という場面で実現していかないと思ったところです。
  以上です。
【小谷主査】    はい、ありがとうございます。
  主査代理、お願いします。
【清水(静)主査代理】    たびたび済みません。あることを導入しようとすると、よいことばかり情報として提供されるのですね。そうするとやっぱり伝統に乗っかって頑張ってきた先生は躊躇するのですね。30年前のコンピューターが入るときも全く同じような状況があったと思います。やっぱり目的に応じて上手に使うというのはいつでも大事なことで、こういう使い方はいいけれどもこういう使い方はだめですよ、こう使うんだったらこうした方がいいですよという、つまり、光と影の部分の両面を見せてあげないと、先生方はやっぱり慎重ですので、新しいものに積極的に関わらないのではないかと思うのです。なのので、その辺のところは是非いいとこ取りではなくて、その後ろの陰の部分もセットで示していただくということが必要かなと思います。是非その辺の事例も含めて、情報の提供をしていただきたい。
  最後に二つですけれども、今の基準ができる前、全国学力・学習状況調査というのは19年から実施されていまして、19、20、21、22、23年と、23年は全面実施の年ですので、4年間は今の基準のコンセプトを先取りして、前の基準の基で学習した子供たちに新しい基準の考え方から問題を作って協力をしていただく対応をしています。それでようやく少しずつ世の中に理解が広がっていったという経緯があると思いますので、今回の資質・能力とか、プロセスについて、今の議論が固まった段階で、今の問題作成の枠組みを作り変えて、次期学習指導要領の全面実施を待つのではなくて、できるだけ早い時期から全国調査などの仕組みを上手に使っていただいて、具体的に啓蒙といいますか、啓発をしていただく。それがかなり重要な意味を持つのではないかと思います。ので、これを検討するのは別な会だと思いますけれども、是非このワーキングとして、算数・数学についてはそういうスタンスで、できるだけ早く対応していただきたいというようなことを、まとめの中にどこかできちっと述べていただけるとありがたいなと思います。
  以上です。
【小谷主査】    どうもありがとうございました。皆さんからいろいろな御意見頂きましたが、およそ皆さんがおっしゃっていることは同じ方向を向いているかと思います。事務局の方で取りまとめていただければ幸いです。
  ほか何かございますか。なければ次の議題に移りたいと思いますけれども。
  それでは議題3につきまして、事務局より御説明をお願いします。
【金城教育課程課課長補佐】    はい、失礼いたします。それでは、資料5をお開きください。算数・数学ワーキンググループにおける取りまとめのイメージ案でございます。全部で7枚ございますけれども、こちらこれまでのワーキングで配付した資料ですとか、頂いた御議論を文章化したものでございます。最終的に、今回第7回でございますけれども、次回の第8回で最終取りまとめるイメージで作成をしております。本日と次回でまとめたいと考えております。
  大きくは5項目で整理しておりまして、まず1項目めとしましては、1枚目にございますように、現行学習指導要領による成果と課題、2点目としましては育成すべき資質・能力を踏まえた教科等目標と評価の在り方、3点目といたしまして、資質・能力の育成に向けた教育内容の改善充実、4点目に学習指導の改善充実や教材の充実、最後に必要な条件整備等という5本柱で整理をしてございます。これは多分きょうのワーキングでも同じような形で整理をしております。
  それでは1枚目でございますけれども、1ポツの現行の学習指導要領の成果と課題でございます。まず1ポツ目以下ですが、基本的にこれは昨年8月の企画特別部会の論点整理の中で示された内容を参考にまとめております。まず1点目といたしましては、「算数科、数学科においては、発達の段階に応じて、算数的活動・数学的活動を充実させ、基礎的・基本的な知識・技能を確実に身に付け、数学的な思考力・表現力を育て、学ぶ意欲を高めること等に重点を置いて、現行の学習指導要領に改訂され、その充実が図られてきている」ことを書かせていただいています。
  2点目としましては、成果として、その結果国際的な調査、PISA2012等で数学的リテラシーなど、この調査回が最も高くなっているといった成果が見られる。また、スーパーサイエンスハイスクールにおいても、指定校において非常に成果が上がっているといった意見も報告されています。その一方で課題といたしましては、「学力の上位層の割合はトップレベルの国・地域よりも低く、数学を学ぶ楽しさや学習する意義を実感している中学生の割合も国際比較で見て低い結果となっている」と。また、小中学校の間では算数・数学の勉強に対する意識のギャップがあり、中学校に移行すると数学の学習に対して肯定的な回答をする子供の割合が低下するといった課題、また、これは全国学力・学習状況調査の結果からでございますけれども、小学校では「基準量、比較量、割合の関係を捉え、基準量を求めること」であったり、中学校ですと、「数学的な表現を用いて理由を説明すること」などに課題が見られております。また、高等学校段階を見ますと、数学学習に対する意識・意欲が高くないといったこと、また、「事象を式で数学的に表現したり論理的に説明したりすること」において課題が指摘されているところでございます。こういったもの、現状、成果、課題をこのように表現してございます。
  次に2ポツ目の育成すべき資質・能力を踏まえた教科等目標と評価の在り方でございます。これは本日の午前中の会でお示ししました資料3を文章化したものでございますけれども、まず(1)でございます。教科等の特質に応じ育まれる見方や考え方でございます。この重要性をまずは1ポツ目で書かせていただきまして、2ポツ目といたしましては、これはまた午前中、資料7の2ページ目から4ページ目に参考資料を付けておりますけれども、これまでの学習指導要領におきまして、小学校、中学校、高等学校において数学的な考え方という形で示されております。
  1枚おめくりいただきまして、また小学校では、これまでの学習指導要領改訂の中で「見方や考え方」という表現が「数理的な処理のよさ」であったり、中高では「数学的な見方や考え方のよさ」といったような形で、表現を変えながらもこの見方・考えたという、その重要性が指摘されたところでございます。また今回、育成すべき資質・能力の三つの柱を明確化してございますので、これに併せて改めて整理が必要であるというふうに記述させていただいております。
  次のポツにおきましては、算数・数学の学習においては、この数学的な見方や考え方を働かせながら知識・技能を習得したり、習得した知識・技能を活用して探究したりすることにより知識の定着・構造化が図られ、技能の習熟・熟達へもつながるといったこと、これらを踏まえまして、数学的な見方や考え方がさらに成長して、重要な資質・能力として獲得されていくといったことを書かせていただいています。
  また、次のポツにおいては、数学的な見方や考え方は資質・能力の三つの柱である知識・技能、思考力・判断力・表現力、学びに向かう力や人間性等の全てにおいて働くものであるということを書かせていただいています。
  次のポツにおいては、その数学的な見方につきましては、事象、数量や図形及びそれらの関係等に着目して、その特徴や本質を捉えることであるというふうに整理がされるんじゃないかというふうに書かせていただいています。
  また、数学的な考え方につきましては、次のポツで目的に応じて数、式、図、表、グラフ等を活用し、論理的に考え、問題解決の過程を振り返るなどして既習の知識・技能等を関連付けながら、総合的・発展的に考えることではないかというふうな整理をしております。
  これらを踏まえまして、午前中の会議資料にもございますように、数学的な見方、考え方といたしましては、事象を数量や図形及びそれらの関係などに着目して捉え、論理的・統合的・発展的に考えることという形で再整理ができるんじゃないかというふうに書かせていただいています。
  それから(2)の小・中・高を通じて育成すべき資質・能力の整理と、教科等目標の在り方でございます。これは本日の午前中の資料の7に該当いたしますけれども、今回の学習指導要領の改訂に際しましては、幼児期に育まれた数量・図形への関心・感覚等の基礎の上に、小・中・高等学校教育を通じて育成すべき資質・能力を三つの柱に沿って明確化し、各学校段階を通じて実社会との関わりを意識した数学的活動の充実等を図っていくことが求められているといった前提に立って、このワーキンググループにおきましては、資質・能力について学校段階ごとに整理をしていると。
  1枚おめくりくださいませ。
  3ページ目に挙げております小・中・高のこの整理につきましては、午前中の配付資料をそのまま張り付けたものでございます。
  一番下のポツでございますけれども、これらの資質・能力につきましては、三つの柱に沿った整理を行い、また、次のページになりますけれども、午前中の資料の7-2に該当いたしますが、これ別添で添付されておりますが、ワーキングの取りまとめをまた張り付けて御説明するというものでございます。
  それから1枚おめくりいただきまして4枚目でございます。(3)でございますが、資質・能力を育む学習過程の在り方でございます。これは午前中の資料の参考資料4に該当するものでございます。日常生活や社会の事象を数理的に捉え、数学的に表現・処理し、問題解決し、解決過程を振り返り得られた結果の意味を考察するという問題解決の過程と、数学の事象について統合的・発展的に捉え、新たな問題を設定し、数学的に処理し、問題を解決し、解決過程を振り返って概念を形成したり、体系化するという問題解決の過程の二つのサイクルが相互に関わっているというもの、これはポンチ絵の矢印が二つに伸びているサイクル表がありましたけれども、これを文章化したものでございます。
  また次のポツでは、意見交換や議論など協働的な学びを適宜取り入れていくことが必要であるけれども、その際にはあらかじめ自己の考えを意識した上で、主体的に取り組むようにすることが求められるというふうに書かせていただいております。
  続きまして(4)でございますけれども、「目標に準拠した評価」に向けた評価の観点の在り方というものでございますが、これも午前中の会議の資料の5に該当いたします。「目標に準拠した評価」の実質化を図るとともに、教科・校種を越えた共通理解に基づく組織的な取組を促す観点から、観点別評価の観点については資質・能力の三つの柱を踏まえたものとすることが求められているということを書かせていただいております。この2ポツ目にありますように、本ワーキングで御議論いただいた資料については、また添付をする予定でございます。
  それから3ポツに参りまして、資質・能力の育成に向けた教育内容の改善充実でございます。(1)の科目構成の見直しでございますが、これは先ほど御議論の中で資料2でお示しした内容を、きょうの御議論を受けて記載するようにしております。
  1枚おめくりいただきまして、資料の5でございます。(2)の資質・能力の整理と学習過程の在り方を踏まえた教育内容の構造化でございます。こちらは午前中の会議の資料7に該当するものでございますけれども、基本的な方向性についてはまた別途次回までに記載する予定でございます。またこの資質・能力を育成する観点から、今後充実していく内容について午前中の資料7には黒ポツで書かせていただきましたけれども、これは学校種ごとに重点強化していくポイントについて書かせていただいております。
  それから同じページの(3)の現代的な諸課題を踏まえた教育内容の見直しでございます。こちらにつきましては、企画特別部会の論点整理の中にも記述がございますが、統計の内容についての記述を記載していただくとともに、また午前中に配付した資料6に、その統計教育の充実についてのポンチ絵があったと思いますけれども、そこの書きぶりなどを引っ張っております。
  1ポツ目では、社会生活の様々な場面において必要なデータを収集して分析し、その傾向を踏まえて課題を解決したり、意思決定をするということが求められると。また、こういった能力を育成するため、高等学校情報科等との関連も図りつつ、小・中・高等学校教育を通じて統計的な内容等の改善について検討していくことが必要であるという前提を書かせていただいております。
  2ポツ目、3ポツ目では、学校種ごとの重点とする観点としまして、小中学校においては、例示として日常生活や社会などに関わる疑問をきっかけにして問題を設定し、それを解決するために必要なデータを集めて表現・処理し、現状や傾向を把握したり、二つ以上の集団を比較するなどして、問題解決に向けた活動を充実することが適当であるということ。
  1枚おめくりいただきまして、ここも御議論いただきましたが、他教科等との関連についても留意することが望まれるというふうに書いております。
  また、高等学校におきましては、統計をより多くの生徒が履修できるよう、科目構成及びその内容について見直すとともに、必履修科目の内容を充実させるといったこと、また、様々な場面で統計の内容を反映して、使える統計となるように改善を図るといったことを記述させていただいております。
  4ポツの学習・指導の改善充実や教材の充実でございます。(1)でまず特別支援教育の充実、個に応じた学習の充実ということで、これは中ほど下の米印の配慮の例については、特別支援教育部会の資料から引っ張っております。
  まず1ポツ目の方では、現行学習指導要領において個々の児童の障害の状態等に応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的・組織的に行うことが規定されております。個々の学習場面での配慮の事例といたしましては、全ては御紹介できませんが、1ポツ目としまして、読み取りにくい場合には罫線の色を変更するとか、マス目を大きくするといった配慮があるんじゃないかといったこと。また、子供たちがイメージを持つことができるように、用語などについていろいろ分かりやすい言葉に置き換えるといった配慮が求められるのではないかといったような例示を、全部で四つほど挙げさせていただいております。
  最後のページでございますけれども、(2)のアクティブ・ラーニングの視点の「深い学び」「対話的な学び」「主体的な学び」に向けた学習・指導の改善充実、これにつきましては午前中の資料の4に該当いたしますが、本日の議論を踏まえまして、次回までに記述を充実させたいと思っております。
  また、(3)におきましては教材の在り方ということで、これも御議論を受けて記述する予定でございますけれども、学習プロセスに対応したような形で教材はどういうふうにあるべきかといった観点で記述する方向でございます。また本日の議論を受けて記述したいと思っております。
  最後に5ポツ目の必要な条件整備等でございますけれども、つい先ほど御議論いただきました資料3、4に基づいての記述ということで、今項目だけでございますが、指導体制に関する考え方、またICT環境の整備等、入試の在り方、最後のポツの短時間学習の実施に係る留意点につきましては、前回のワーキングの中で委員から御意見ございましたので、このポイントも書かせていただいてございます。
  雑駁でございますけれども、説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。
【小谷主査】    どうもありがとうございました。本ワーキンググループでの議論を取りまとめる方向で、きょうは議論を開始したいと思ってございます。これまでの議論に沿ってまとめていただいておりますが、大きな枠組みがこれでいいかというような観点、若しくはそれぞれの項目について、今まで議論してきたことが十分生かされているかというようなことについて、そのどちらでも結構ですので議論をお願いいただければ幸いです。
  この取りまとめは、今後どういうスケジュールで進みますでしょうか。皆さんちょっと考えている時間もあるので、分かったら説明していただけたらと思います。
【平野教育改革調整官】    この算数・数学ワーキングにおける取りまとめといたしましては、できれば次回、第8回目でワーキングとしてのおおむねの了解を頂ければと思っております。その後、若干全体の横並びの調整が必要な部分もございますので、そこの調整は主査に御一任いただいた上で、少し文言とか、構成の調整というのが入る場合があろうかと思っております。最終的には、ワーキングとしての取りまとめ案を組織評価部会なり、学校種別の、学校段階別の部会なりに提示させていただいて、今度はそういったものを踏まえて、全体については教育課程部会の方で最終的には答申に向けた議論に向けて、さらにまとめていくというような流れになろうかと思っております。
【小谷主査】    ということでございます。これまでの議論を踏まえまして、今説明いただきました。なかなか長文ですので細かいところまでごらんになるのは難しいかと思いますが、何か御意見頂ければと思います。
【平野教育改革調整官】    今回文章化させていただいた部分につきましては、これまで御議論いただきました、この算数・数学教育のイメージ、幼・小・中・高と段階別になったものですとか、資質・能力の三つの柱に整理させていただいたもの、それから学習過程について、この青いものと赤いものの二つの矢印で示させていただいたもの、これを踏まえて書かせていただいております。
  これを全て全部文章に落とし込むということはできませんでしたので、基本的にはこれを見ていただくという形で書かせていただいておりますが、どうしてもやっぱり文章に落としておいた方がいいであろうというような部分ですとか、あるいは逆にこのおまとめいただいた図表では言い尽くせなかったような部分があれば、是非この文章の中に記述していきたいと思っているので、またそういった点についても御指摘いただきたいと思います。
  また、こういった図表をみるときに、きちんとしていただくためには留意してほしい点ですね。そういったようなものがあれば、是非書き込んでいきたいと思っておりますので、そういった観点から、是非御意見を頂ければと思っております。よろしくお願いいたします。
【小谷主査】    これまで皆さんに大変御尽力いただいて、活発な御議論いただきましたことのまとめでございます。大切な論点が漏れていないか、大切なキーワードが漏れていないかというようなことについては確認いただく必要があるかと思います。特にそれぞれ御関心の高いところから見ていただければと存じますので、よろしくお願いします。
  主査代理、お願いいたします。
【清水(静)主査代理】    皆さんお考え中ですので、ちょっと確認ですけれども、先ほどの会議のときの参考資料3に4月18日付けで配付されました資料7-2というのがあります。小・中・高等学校を通じて算数・数学科において育成すべき資質・能力の整理(案)、7-1の資料は目標のところで反映されますけれども、それを少し細かく要素を整理した表が7-2だと思います。これはどこのところに反映されるのでしょうか。
【金城教育課程課課長補佐】    失礼いたしました。この資料5の3枚目、3ページ目でございますけれども、小・中・高を通じて育成すべき資質・能力の整理と、教科等目標の在り方というところの一番下にポツを掲げておりますけれども……。
【清水(静)主査代理】    ああ、ここに入るのか。
【金城教育課程課課長補佐】    ここで資料丸のとおり本ワーキングとして取りまとめているところであるということで、このあらわにするものは後ろに添付するイメージでございますけれども……。
【清水(静)主査代理】    ここに入る。
【金城教育課程課課長補佐】    ここに対応してございます。
【清水(静)主査代理】    ああ、そうですか。この表の形で入るわけですか。あるいはこれを文章化した形で入る。
【金城教育課程課課長補佐】    一応現状では表で添付する形でございますけれども、文章に反映した方がよろしいという御意見がありましたら、またこちらでやります。
【清水(静)主査代理】    今後、多分作業の中で調整とかいろいろあると思いますけれども、この参考資料3のところで、この前の議論で結構時間はかかって調整をしていただいて、まとまった部分として、資質・能力の育成のために重視すべき学習過程の例、米印というところで、小・中・高、若干のグレードをつけて整理をしていただいている、疑問や問いの発生から次の問いの発生へという一連のところがありますね。また、それについて欄外で、この学習過程については、自立的に、ときに協働的に行い、それぞれに主体的に取り組めるようにする、いわば算数・数学におけるアクティブ・ラーニングの典型をもし数学的活動とするのであれば、それの重要な要素をここで整理して説明をしていますので、これは表として示されると同時に、やっぱり文章化していただいて、しっかりと位置付けていただく方が、現場の先生方は努力目標がはっきりしてよろしいのではないかというように思いますので、その辺の御検討を是非お願いします。
【小谷主査】    ありがとうございます。ほかございますか。
【清水(静)主査代理】    続けて申し訳ないですね。細かなことですけれども、1枚目のところで3番目の丸、これは論点整理でも話題になっていたと思います。いつもこのことが話題になりますね。多分残さざるを得ないと思いますけれども、それに先立って、たしか全国調査の質問項目をみると、算数とか数学の学びに肯定的な反応を示している子供は少しずつ増えていたかと思いますね。最近はちょっと停滞していますかね。最初の段階より少しずつ伸びてきたように思いますので、ちょっと資料を確認していただいて、現場の先生方の御努力により少しずつ改善の兆しは見えているけれども、国際的な視点で見るとまだ努力をしなくてはいけないというような感じで、先生方がもう少し気楽な気持ちで取り組めるような雰囲気を出していただけないかということを思います。
【小谷主査】    よろしくお願いします。ほかございますか。何か急に細かいところまで見るのは大変かと思いますので。
  では中川委員、お願いします。
【中川委員】    本当に細かいところで恐縮です。2枚目のポツですね。2枚目の中の一番最初のポツ、算数・数学の学習においては、午前中藤井委員御指摘のように、知識の定着という、知識は定着させるというのは教える教師側の論理の言葉で、ここは習得とか、子供の側で書かれているので、かつては知識は定着するものだったんだけれども、これからの時代においては子供の側から見て知識は獲得するものであり、構造化するものであり、さらに再構成していくものであると。知識はあくまでも暫定解であり、それを常にリニューアルしていく人間を育てていくんだという、藤井委員おっしゃったような哲学がそこに盛り込まれたらいいのかな、そのためには知識は定着という言葉をやめて、獲得にすればいいのかなということを思います。
【小谷主査】    ほかございますか。
【清水(静)主査代理】    では、3ポツの資質・能力の育成に向けた教育内容の改善充実のところですけれども、これまで議論の中で明確には話題になっていなかったかもしれませんが、このタイトルでいくと(1)に高等学校の科目の見直しというのが最初に来るのは、何かちょっとぶっきらぼうかなという感じがしますので、小・中・高を通じて、このタイトルの視点から共通に配慮すべきもののようなことが数行入るとよいかなと思います。今までそれに対応する内容が少なかったり、なかったりしたとすれば、ちょっとこれ考えた方が形式的にはいいかなというのが一つです。
  それから(2)のところの構造化というタイトルから見た場合に、その下の小・中・高の例示は7-1の資料の黒ポチが反映されているのですかね、雰囲気としては。黒ポチというのはたしか二重丸の総括と1、2、3の具体の枠組みを実践していくための今日的な課題が多分学校種別で整理されていたというふうに思いますので、そこだけ突出してしまうと全体の構造というか、枠組みが見えにくくなってしまいますので、この構造についてのところを最初の黒ポチの丸との関係で、キーワードを上手に使って整理をしていただく必要があるかなというのが二つ目です。
  それから同様に(3)も、現代的な諸課題というところの中で統計的な内容だけになっていますが、これでよろしいのかということで、もうちょっと高い立場からの議論も一つ二つあって、その個別・具体の当面の緊急の課題として統計というような感じでまとめていただくことはできないかなということを思いました。
  以上です。
【小谷主査】    ありがとうございます。何かございますか。
【金城教育課程課課長補佐】    今御指摘いただきましたけれども、まさに現代的な諸課題を踏まえた教育内容の見直しの部分につきましては、論点整理から統計教育を引っ張っておりますけれども、このほか算数・数学においてこういった点が考えられるんじゃないかといったものがありましたら、是非この場でも御意見を賜れればと思っております。
【小谷主査】    真島委員、お願いします。
【真島委員】    前回の学習指導要領、高校の部にちょっと関わっておりましたけれども、そのときに数学活用を作るというところは、割と数学というのは汎用的にいろいろ使われる、いろいろな問題解決に寄与できる、そういった科目である。しかし先ほども挙がっていましたけれども、実際に生徒たちのアンケートをとってみると、そういう認識が余りに低いと。OECDの中でも低いと。そういったようなこともあって、数学活用というものを立てて、そういったことを見せるというか、そういったことがあったわけですよね。
  今回、先ほど科目の構成の見直しというところで、それを崩して理数探究の方にある程度、そういう実際に使う部分が吸収されるからということなのですけれども、先ほど清水主査代理からも御指摘ありましたように、統計だけではなくて数学自体が本当に様々な問題解決に寄与できる、そういった科目であるといったことをもっと書きたいなと思います。
  先ほどもちょっと言ったんですけれども、理数探究という、ちょっと資料だけさっと見て、議論の流れがどうも何か数学、理科とか、そういった各科目に偏る、あるいは数学を言っているのかもしれないんですが、そういった科目によらないような、そういった科目として理数探究というものを設定するみたいにちょっと私は読めてしまったので、数学の中での位置付けというのが、本当に前から引きずってきて考えている方向性になっているのかなというところはちょっと疑問に思っているところです。ということなのですけれども、要するに繰り返しになりますが、統計だけではなくて数学自体がもっといろいろなところで問題解決に寄与できる、もちろん単に問題解決というか、そういっただけではなくて、人生を豊かにするとか、様々なものがありますが、そういったことを通常語られる数学の効用とか、そういったものが何か今回のまとめでは落ちているなという、そういう感じがいたしますので、できれば先ほどのこと、現代的課題という形ではちょっと古いというふうに言われるのかもしれないですけれども、そういったところも補えたらと思います。
【小谷主査】    ありがとうございます。ほかございますか。ちょっと急に長文ですので、なかなかこの場で御意見頂きにくいかと存じます。また後ほど繰り返させていただきますが、御確認いただいて、文章でいろいろ御意見を後ほど頂ければと思います。それも含めまして、本日頂いた御意見等を事務局の方で取りまとめていただきますようお願いします。
  それと、もし次回ある程度形にするのであれば、少し早めに文書を皆さんにお送りいただけますか。資料どんというよりは、こんな形でということを少し早めにお送りいただいて、あらかじめ皆様読んできていただけるようにしていただければ幸いです。あと添付資料も文書の中に引用するのであれば、番号も付け、仮番号で結構ですので、どのように資料が反映されるかというようなことも重要ですので、なるべく早く、大変とは思いますけれども、事前に皆さんが御確認できるようにお願いしたいと思います。
  それでは議題4ですが、その他御意見ございますでしょうか。
  なければ、それでは最後に事務局より参考資料についての御説明をお願いします。
【西川教育課程企画室専門官】    はい、失礼します。それでは併せてお配りをしている参考資料について御説明ができればと思います。参考資料、幾つかございますが、参考資料2から6までについて御紹介をさせていただきたいと思います。内容としましては、きょうのワーキングとは別に動いております学校種別の部会の議論の状況、あるいは企画独立部会での議論の状況、総則等に関わる部分について御紹介できればと思います。
  まず参考資料2、3、4を中心に御説明できればと思いますが、初めに順序が変わって申し訳ありませんけれども、参考資料の4を見ていただきますと、総則部分についての議論を、これは小学校部会におきまして御議論いただいたときのものでございます。1ページ目にございますのが、左にございますのが、現在の小学校学習指導要領の総則の構成になっておりまして、中段に囲っているところが今回の論点整理等を踏まえて追加、整理すべき視点ということで、総則についても各教科の御議論等を踏まえながら見直しをしていく部分があろうかということで、例えば小学校の関係で申し上げますと、小学校の教育課程全体を通じて育成する資質・能力であったりとか、あるいはカリキュラム・マネジメントであったりとか、アクティブ・ラーニング視点、こういったものについては総則の方にきちんと位置付けていくべきであろうということで、御議論を頂いてきました。
  そういったことを踏まえまして、具体的な総則の構成イメージということで、右側の前文から始まりますようなイメージを先日御議論いただいたところでございます。右側が項目になっておりますので、2ページ目を見ていただきますと、少し詳細も含めたイメージになっております。
  赤字が現在の組織では書いていないといいますか、そこが新たに位置付けてはどうかと考えている部分でございますけれども、現在第1として教育課程編成の基本というのがあるわけですが、そこを小学校教育の基本というような形にして、各教科で御議論いただいているような資質・能力といった観点を踏まえて、3として小学校教育を通じて育成すべき資質・能力、学校種を通じて育成すべき資質・能力といったものを総則に位置付けていってはどうかというような話をさせていただいております。その際に各教科等との関係ということについてもきちんと分かるようにする必要があろうかと思っております。
  また、第2として、ここから教育課程の編成、第3として実施・評価、第4として特別な配慮を必要とする児童への指導、第5として学習の基盤というようなことが順に出てくるわけですけれども、第2におきましてカリキュラム・マネジメントの実現ということを位置付けてはどうかというものが挙げられています。具体的には、各学校において学校教育目標、あるいは育成すべき資質・能力ということを明確化していただき、それを踏まえた教育課程の編成をするというようなことを総則の中において位置付けるといったこと、あるいは小学校におきましては、幼児教育、あるいは中学校教育との接続ということで2、3、さらには横断的に育成すべきというのは、いわゆるマルガミ教育と言ったりもしますけれども、各教科固有ではない、幾つかの教科にまたがって育成していくような資質・能力といったことについて、4として位置付けてはどうかという御議論を頂きました。また従来的な教育課程編成に関わる具体的な指針といいますか、共通的事項について、例えば時数であったりとか、内容の取り扱いについては、引き続き位置付ける必要があろうかと考えています。
  また、第3として各教科において御検討いただいています面でもありますが、アクティブ・ラーニングの視点というのをこの総則においても位置付けようというような御議論を頂いています。見方・考え方を働かせた学習指導の充実というふうな項目立てをしておりますが、アクティブ・ラーニングの視点、さらには現在ありますような言語活動の充実とか、こういった部分については少し構造的には整理が必要だろうという御意見を頂きましたけれども、こういった指導の在り方等々についても整理をしていく。さらに学習の評価については、現在評価に関しては評価による指導の改善、学習意欲の向上といったことが記載がございますけれども、さらにそもそもとして各教科等の目標に応じて評価を行うんだということ、あるいは観点別に評価を行うということを総則によって位置付けてはどうかという御議論を頂きました。当然各教科等の観点そのものは総則には示さないというような感じでございます。
  さらに障害のある児童への配慮、あるいは外国籍の子供を含めた、海外から帰国した児童等への適切な指導といったことについても位置付ける方向で御議論いただいております。
  また、小学校の学級経営ですとか、生徒指導といったことは今記載がございますが、そういった学習活動の充実のための基盤といった形で、第5として記載をしていくということを考えています。学校における学習活動の基盤ということと、家庭・地域との連携といったことがあろうかと考えています。
  こういった構成の中で、さらに別表として各教科のワーキングにおきまして御検討いただいております見方・考え方については、一覧としてお示しをしていくといったことをさせていただくような御議論をしているところでございます。
  今のは小学校の総則のイメージを御紹介させていただきましたが、ちょっと戻って恐縮ですけれども、参考資料の3が高等学校になっておりまして、基本的は小学校のイメージと共通ではございますけれども、高校特有の話として単位のことがございますので、高校については参考資料3、2ページ目を見ていただきますと、第2款として単位に関わることを記載しています。いずれにしても、こういった総則についても各教科のワーキングでの御議論等を踏まえながら、構造化を図っていきたいということで御議論をさせていただいているところでございます。
  また順序がちょっとさかのぼって恐縮なんですが、その中で参考資料2に戻りますけれども、御紹介できればと思っています。先ほどの小学校の総則でいえば、第2としてカリキュラム・マネジメントの視点という言葉を総則に位置付けてはどうかという議論をしておりますということを御紹介申し上げましたが、その中で学校教育目標、それに基づき育成すべき資質・能力の設定ということをお話をさせていただきました。現在でも各学校においては学校教育目標を定めて、その中でカリキュラム・マネジメントをされているわけでございますが、そういったものを各教科、あるいはいわゆる領域といっています総合的な学習の時間、道徳活動、あるいは特別教科道徳、そういったこと全体を関連付けながらどのように整理をしていくのかといったことのイメージということで、御議論を頂いたものでございます。こちらの方御紹介までとさせていただきます。
  以上がこのワーキングとは別に動いております学校種別部会での検討状況の御紹介でございます。
  あと2点、追加での説明ができるかと思いますが、参考資料の5についてでございます。小学校段階における、いわゆるプログラミング教育に関係しまして、有識者会議を設置させていただき、ご議論を頂いております。実は朝、本日この会議と並行して議論させていただいているんですけれども、少し背景について御説明できればと思います。これは設置紙になっているんですけれども、2ページ目に設置の趣旨を記載したものがございますので、ここを基に御紹介できればと思います。
  幾つかの政府の決定等も見ても、第4次産業革命といったことが何回も指摘をされているところでございます。趣旨の中段あたりに今後の社会の在り方として、在り方についてはというところがございますが、そういった中で身近なものの動きがインターネット経由で最適化されたりする時代が到来していると。さらに社会の在り方が大きく変わっていくとの予測がされているところでございます。その中で教育界におきましても、そういうような変化の中で子供たちが自信を持って自分の人生を切り開き、よりよい社会を創り出していくことができるよう、必要な資質・能力をしっかりと育んでいくことが求められると。そういった大きな方向性の下、プログラミング教育ということについてどのように考えていくのかということを、ちょっと専門的な御議論を頂いている場でございます。というのが、プログラミングについては中学校におきましては技術家庭科で、高等学校におきましては情報科でそれぞれ扱われるわけですけれども、小学校においては、現在教科の中で固有に扱うということはしておりません。そういった中でこのプログラミング教育をどのように進めていくのかということを御検討いただくという場でございます。
  一番下の部分になりますけれども、学校内外で実施が進められているプログラミング教育には、論理的思考力や創造性、問題解決能力といった資質・能力を育むという側面、それから具体的な、技術的な部分という両側面があると。そういったことについて、当然その学校の方だけではなくて、民間とも連携しながら、社会教育と同様に一体として進めていく必要があるだろうというふうなことが御議論されているわけですけれども、その中で、例えば先ほども少し御意見があったかもしれませんが、教材を新たに作るとか、そういったことも含めて御議論いただいているところでございます。ここの有識者会議での御意見なんかも整理をいたしまして、今後教育課程部会、教育課程企画特別部会において集約をしていくということを想定しております。
  最後に参考資料6でございます。既に報道等ございましたので、先生方もお聞き及びかというように思いますけれども、去る10日の日に「大臣のメッセージ」という形でお配りしております「教育の強靱化に向けて」というのを公表させていただきました。こちらの内容については大きく二つの柱でできておりまして、一つがまさに御検討いただいています学習指導要領の改訂に向けた検討の状況、さらにはもう一つ、3ページ目になりますけれども、それを支えると言ってもいいかもしれませんが、体制の在り方、次世代の学校・地域創生の実現と、この二つの柱でできております。
  これが出された経緯についてでございますが、馳大臣が文部科学大臣に就任して約半年がたっているという状況の中で、これまで、昨年12月に中央教育審議会におきまして、いわゆる3答申と呼んでおりますが、教員養成あるいは地域連携等々を含めた答申が出されておりまして、それを踏まえて「次世代の学校・地域」創生プラン、通称馳プランと呼んでおりますが、そうした実行計画なんかも定めているところでございます。
  さらに、まさに今御議論いただいています学習指導要領の改訂に向けた議論というのがある中で、それらを一体的に、さらに促進をしていくという観点から、今回こういったメッセージを出させていただきました。特に学習指導要領の改訂に関わる背景としまして、今回議論の中でアクティブ・ラーニングということを第1に御議論いただいているところでございますが、中でもアクティブ・ラーニング、型という誤解ということと併せまして、それを進めていくに当たっては内容を削減する必要があるのではないかといった御議論が出ているところでございます。そういった意味で、ゆとり教育というようなこと等の御心配といいますか、御批判というようなことが、結構御議論で御指摘が出るところでございますが、そういったことというのが今教育課程部会、あるいは教育課程特別部会でお示しいただいた方向性とは違いますので、それをきちんと周知をさせていただくという意味で、今回まとめている部分がございます。
  具体的には2ページ目に学習指導要領改訂のポイントというところがございますが、こちらをごらんいただきたいと思います。
  大きくは三つございますが、学習指導要領の改訂の方向性として、ゆとり教育か、詰め込み教育かといった二項対立の議論には戻らない。知識と思考力の双方をバランスよく確実に育むという基本を踏襲して、学習内容の削減を行うことはしないということをいっております。企画特別部会の論点整理においてこれまで議論され、方向性としてはさようということを踏襲しているわけですけれども、その点は改めて記載をしているところでございます。
  さらにアクティブ・ラーニングに関しては二つ目の囲みでございますが、学校教育のよさをさらに進化させることを目指し、学校教育を通じてどのような力を育むのかを明確化して育成すると。その中でアクティブ・ラーニングの視点というのは、知識が生きて働くものとして習得され、必要な力が身に付くことを目指すものであると。したがって知識の量を削減するのではなく、質が高い理解を図るための学習過程の質的改善を行っていくものだということを改めてここにも記載をしているところでございます。
  さらに、こうした方向性の下、教科の再編ですとか、小学校における外国語教育の教科化等々についても記載をさせていただいています。こういったメッセージを去る10日の日に公表しておりますが、今後文科省としましてもいろいろな場でこの方向性、メッセージについて、これまで教育課程特別部会、あと教科の御議論というのが間違った形で周知されることがないように、きちんとお伝えしていきたいと考えております。
  以上、学校種別の部会、それからここ数日の動向についての御報告でございました。以上でございます。ありがとうございました。
【小谷主査】    どうも御説明ありがとうございました。本日様々な御意見頂きましたけれども、時間ですので、本日ここまでにしたいと思います。本日お出しいただいた御意見につきましては、事務局で論点ごとにその趣旨を整理していただくようお願いいたします。また、限られた時間内での討議でしたので、さらに御意見やお気付きの点があれば、ペーパーで事務局にお送りください。
  本日予定されていた議題はここまでです。最後に次回の日程について、事務局より御説明お願いします。
【岡村教育課程課専門官】    本日は長時間にわたりまして御審議いただきまして、まことにありがとうございました。次回、第8回につきましては5月24日火曜日、17時から19時を予定してございます。場所については追って御連絡いたします。また主査からお話がありましたとおり、ペーパーによる御意見等も頂戴したいと考えております。ファクスやメール、郵送でも結構です。なお、本日配付いたしました資料は、机上にございます封筒に入れてそのまま置いていただければ後ほど郵送いたします。
  以上でございます。
【小谷主査】    それでは、本日の算数・数学ワーキンググループを終了いたします。どうも長時間ありがとうございました。

──  了  ──

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