小・中学校学習指導要領(平成20年3月告示)における世界に関する学習の記述例

小学校 社会

第1 目標
 社会生活についての理解を図り,我が国の国土と歴史に対する理解と愛情を育て,国際社会に生きる平和で民主的な国家・社会の形成者として必要な公民的資質の基礎を養う。

第2 各学年の目標及び内容
〔第3学年及び第4学年〕
  2 内容
 (2) イ
 (6) 県(都,道,府)の様子について,次のことを資料を活用したり白地図にまとめたりして調べ,県(都,道,府)の特色を考えるようにする。
  エ 人々の生活や産業と国内の他地域や外国とのかかわり
(内容の取扱い)
 (2) ウ
 (7) 内容の(6)については,次のとおり取り扱うものとする。
  イ エについては,我が国や外国には国旗があることを理解させ,それを尊重する態度を育てるよう配慮すること。

〔第5学年〕
  2 内容
 (1) 我が国の国土の自然などの様子について,次のことを地図や地球儀,資料などを活用して調べ,国土の環境が人々の生活や産業と密接な関連をもっていることを考えるようにする。
  ア 世界の主な大陸と海洋,主な国の名称と位置,我が国の位置と領土
 (2) 我が国の農業や水産業について,次のことを調査したり地図や地球儀,資料などを活用したりして調べ,それらは国民の食料を確保する重要な役割を果たしていることや自然環境と深いかかわりをもって営まれていることを考えるようにする。
    ア  様々な食料生産が国民の食生活を支えていること,食料の中には外国から輸入しているものがあること。
 (3) 我が国の工業生産について,次のことを調査したり地図や地球儀,資料などを活用したりして調べ,それらは国民生活を支える重要な役割を果たしていることを考えるようにする。
    ウ 工業生産に従事している人々の工夫や努力,工業生産を支える貿易や運輸などの働き
(内容の取扱い)
 (1) 内容の(1)については,次のとおり取り扱うものとする。
  ア アの「主な国」については,近隣の諸国を含めて取り上げるものとすること。その際,我が国や諸外国には国旗があることを理解するとともに,それを尊重する態度を育てるよう配慮すること。

〔第6学年〕
  2 内容
 (1) 我が国の歴史上の主な事象について,人物の働きや代表的な文化遺産を中心に遺跡や文化財,資料などを活用して調べ,歴史を学ぶ意味を考えるようにするとともに,自分たちの生活の歴史的背景,我が国の歴史や先人の働きについて理解と関心を深めるようにする。
    ウ 源平の戦い,鎌倉幕府の始まり,元との戦いについて調べ,武士による政治が始まったことが分かること。
    オ キリスト教の伝来,織田・豊臣の天下統一,江戸幕府の始まり,参勤交代,鎖国について調べ,戦国の世が統一され,身分制度が確立し武士による政治が安定したことが分かること。
    キ 黒船の来航,明治維新,文明開化などについて調べ,廃藩置県や四民平等などの諸改革を行い,欧米の文化を取り入れつつ近代化を進めたことが分かること。
    ク 大日本帝国憲法の発布,日清・日露の戦争,条約改正,科学の発展などについて調べ,我が国の国力が充実し国際的地位が向上したことが分かること。
    ケ 日華事変,我が国にかかわる第二次世界大戦,日本国憲法の制定,オリンピックの開催などについて調べ,戦後我が国は民主的な国家として出発し,国民生活が向上し国際社会の中で重要な役割を果たしてきたことが分かること。
 (3) 世界の中の日本の役割について,次のことを調査したり地図や地球儀,資料などを活用したりして調べ,外国の人々と共に生きていくためには異なる文化や習慣を理解し合うことが大切であること,世界平和の大切さと我が国が世界において重要な役割を果たしていることを考えるようにする。
  ア 我が国と経済や文化などの面でつながりが深い国の人々の生活の様子
  イ 我が国の国際交流や国際協力の様子及び平和な国際社会の実現に努力している国際連合の働き
(内容の取扱い)
 (1) 内容の(1)については,次のとおり取り扱うものとする。
    エ アからクまでについては,例えば,次に掲げる人物を取り上げ,人物の働きを通して学習できるように指導すること。
     卑弥呼,聖徳太子,小野妹子,中大兄皇子,中臣鎌足,聖武天皇,行基,
      鑑真,藤原道長,紫式部,清少納言,平清盛,源頼朝,源義経,
      北条時宗,足利義満,足利義政,雪舟,ザビエル,織田信長,豊臣秀吉,
      徳川家康,徳川家光,近松門左衛門,歌川(安藤)広重,本居宣長,
      杉田玄白,伊能忠敬,ペリー,勝海舟,西郷隆盛,大久保利通,木戸孝允,
      明治天皇,福沢諭吉,大隈重信,板垣退助,伊藤博文,陸奥宗光,
      東郷平八郎,小村寿太郎,野口英世
 (3) 内容の(3)については,次のとおり取り扱うものとする。
   ア アについては,我が国とつながりが深い国から数か国を取り上げること。その際,それらの中から児童が一か国を選択して調べるよう配慮し,様々な外国の文化を具体的に理解できるようにするとともに,我が国や諸外国の伝統や文化を尊重しようとする態度を養うこと。
   イ イの「国際交流」についてはスポーツ,文化の中から,「国際協力」については教育,医学,農業などの分野で世界に貢献している事例の中から,それぞれ選択して取り上げ,国際社会における我が国の役割を具体的に考えるようにすること。
   ウ イの「国際連合の働き」については,網羅的,抽象的な扱いにならないよう,ユニセフやユネスコの身近な活動を取り上げて具体的に調べるようにすること。
   エ ア及びイについては,我が国の国旗と国歌の意義を理解させ,これを尊重する態度を育てるとともに,諸外国の国旗と国歌も同様に尊重する態度を育てるよう配慮すること。


中学校 社会

第1 目標
  広い視野に立って,社会に対する関心を高め,諸資料に基づいて多面的・多角的に考察し,我が国の国土と歴史に対する理解と愛情を深め,公民としての基礎的教養を培い,国際社会に生きる平和で民主的な国家・社会の形成者として必要な公民的資質の基礎を養う。

第2 各分野の目標及び内容
〔地理的分野〕
  2 内容
 (1) 世界の様々な地域
    ア 世界の地域構成
       地球儀や世界地図を活用し,緯度と経度,大陸と海洋の分布,主な国々の名称と位置,地域区分などを取り上げ,世界の地域構成を大観させる。
    イ 世界各地の人々の生活と環境
       世界各地における人々の生活の様子とその変容について,自然及び社会的条件と関連付けて考察させ,世界の人々の生活や環境の多様性を理解させる。
    ウ 世界の諸地域
       世界の諸地域について,以下の(ア)から(カ)の各州に暮らす人々の生活の様子を的確に把握できる地理的事象を取り上げ,それを基に主題を設けて,それぞれの州の地域的特色を理解させる。
    (ア)アジア
    (イ)ヨーロッパ
    (ウ)アフリカ
    (エ)北アメリカ
    (オ)南アメリカ
    (カ)オセアニア
    エ 世界の様々な地域の調査
       世界の諸地域に暮らす人々の生活の様子を的確に把握できる地理的事象を取り上げ,様々な地域又は国の地域的特色をとらえる適切な主題を設けて追究し,世界の地理的認識を深めさせるとともに,世界の様々な地域又は国の調査を行う際の視点や方法を身に付けさせる。
(内容の取扱い)
 (1)内容の(1)については,次のとおり取り扱うものとする。
    ア アについては,学習全体を通して,大まかに世界地図を描けるようにすること。
    イ イについては,世界各地の人々の生活の様子を考察するに当たって,衣食住の特色や,生活と宗教とのかかわりなどに着目させるようにすること。その際,世界の主な宗教の分布について理解させるようにすること。
    ウ ウについては,州ごとに様々な面から地域的特色を大観させ,その上で主題を設けて地域的特色を理解させるようにすること。その際,主題については,州の地域的特色が明確となり,かつ我が国の国土の認識を深める上で効果的であるという観点から設定すること。また,州ごとに異なるものとなるようにすること。
    エ エについては,様々な資料を的確に読み取ったり,地図を有効に活用して事象を説明したりするなどの作業的な学習活動を取り入れること。また,自分の解釈を加えて論述したり,意見交換したりするなどの学習活動を充実させること。

〔歴史的分野〕
  2 内容
 (2) 古代までの日本
   ア 世界の古代文明や宗教のおこり,日本列島における農耕の広まりと生活の変化や当時の人々の信仰,大和朝廷による統一と東アジアとのかかわりなどを通して,世界の各地で文明が築かれ,東アジアの文明の影響を受けながら我が国で国家が形成されていったことを理解させる。
 (3) 中世の日本
   ア 鎌倉幕府の成立,南北朝の争乱と室町幕府,東アジアの国際関係,応仁の乱後の社会的な変動などを通して,武家政治の特色を考えさせ,武士が台頭して武家政権が成立し,その支配が次第に全国に広まるとともに,東アジア世界との密接なかかわりがみられたことを理解させる。
 (4) 近世の日本
   ア 戦国の動乱,ヨーロッパ人来航の背景とその影響,織田・豊臣による統一事業とその当時の対外関係,武将や豪商などの生活文化の展開などを通して,近世社会の基礎がつくられていったことを理解させる。
 (5) 近代の日本と世界
   ア 欧米諸国における市民革命や産業革命,アジア諸国の動きなどを通して,欧米諸国が近代社会を成立させてアジアへ進出したことを理解させる。
   イ 開国とその影響,富国強兵・殖産興業政策,文明開化などを通して,新政府による改革の特色を考えさせ,明治維新によって近代国家の基礎が整えられて,人々の生活が大きく変化したことを理解させる。
   ウ 自由民権運動,大日本帝国憲法の制定,日清・日露戦争,条約改正などを通して,立憲制の国家が成立して議会政治が始まるとともに,我が国の国際的地位が向上したことを理解させる。
   エ 我が国の産業革命,この時期の国民生活の変化,学問・教育・科学・芸術の発展などを通して,我が国で近代産業が発展し,近代文化が形成されたことを理解させる。
   オ 第一次世界大戦の背景とその影響,民族運動の高まりと国際協調の動き,我が国の国民の政治的自覚の高まりと文化の大衆化などを通して,第一次世界大戦前後の国際情勢及び我が国の動きと,大戦後に国際平和への努力がなされたことを理解させる。
   カ 経済の世界的な混乱と社会問題の発生,昭和初期から第二次世界大戦の終結までの我が国の政治・外交の動き,中国などアジア諸国との関係,欧米諸国の動き,戦時下の国民の生活などを通して,軍部の台頭から戦争までの経過と,大戦が人類全体に惨禍を及ぼしたことを理解させる。
 (6) 現代の日本と世界
   ア 冷戦,我が国の民主化と再建の過程,国際社会への復帰などを通して,第二次世界大戦後の諸改革の特色を考えさせ,世界の動きの中で新しい日本の建設が進められたことを理解させる。
   イ 高度経済成長,国際社会とのかかわり,冷戦の終結などを通して,我が国の経済や科学技術が急速に発展して国民の生活が向上し,国際社会において我が国の役割が大きくなってきたことを理解させる。
(内容の取扱い)
 (3) 内容の(2)については,次のとおり取り扱うものとする。
   ア アの「世界の古代文明」については,中国の文明を中心に諸文明の特色を取り扱い,生活技術の発達,文字の使用,国家のおこりと発展などの共通する特色に気付かせるようにすること。(中略)「大和朝廷による統一と東アジアとのかかわり」については,古墳の広まりにも触れるとともに,大陸から移住してきた人々の我が国の社会に果たした役割に気付かせるようにすること。
 (4) 内容の(3)については,次のとおり取り扱うものとする。
   ア アの「東アジアの国際関係」については,元寇,日明貿易, 琉球の国際的な役割などを取り扱うようにすること。
 (5) 内容の(4)については,次のとおり取り扱うものとする。
   ア アの「ヨーロッパ人来航の背景」については,新航路の開拓を中心に取り扱い,宗教改革についても触れること。
 (6) 内容の(5)については,次のとおり取り扱うものとする。
   ア アの「市民革命」については欧米諸国における近代社会の成立という観点から,「産業革命」については工業化による社会の変化という観点から,「アジア諸国の動き」については欧米諸国の進出に対するアジア諸国の対応と変容という観点から,それぞれ代表的な事例を取り上げるようにすること。
   イ イの「開国とその影響」については,アの欧米諸国のアジア進出と関連付けて取り扱うようにすること。「富国強兵・殖産興業政策」については,この政策の下に新政府が行った,廃藩置県,学制・兵制・税制の改革,身分制度の廃止,領土の画定などを取り扱うようにすること。「新政府による改革の特色」については,欧米諸国とのかかわりや社会の近代化など,それ以前の時代との違いに着目して考えさせるようにすること。「明治維新」については,複雑な国際情勢の中で独立を保ち,近代国家を形成していった政府や人々の努力に気付かせるようにすること。
   ウ ウの「日清・日露戦争」については,このころの大陸との関係に着目させること。「条約改正」については,欧米諸国と対等の外交関係を樹立するための人々の努力に気付かせるようにすること。「立憲制の国家が成立して議会政治が始まる」については,その歴史上の意義や現代の政治とのつながりに気付かせるようにすること。
   エ エの「我が国の産業革命」については,イの「富国強兵・殖産興業政策」の下で近代産業が進展したことと関連させて取り扱い,都市や農山漁村の生活に大きな変化が生じたことに気付かせるようにすること。「近代文化」については,伝統的な文化の上に欧米文化を受容して形成されたものであることに気付かせるようにすること。
   オ オの「第一次世界大戦」については,日本の参戦,ロシア革命なども取り上げて,世界の動きと我が国との関連に着目して取り扱うようにすること。「我が国の国民の政治的自覚の高まり」については,大正デモクラシーの時期の政党政治の発達,民主主義思想の普及,社会運動の展開を取り扱うようにすること。
   カ カについては,世界の動きと我が国との関連に着目して取り扱うとともに,国際協調と国際平和の実現に努めることが大切であることに気付かせるようにすること。
 (7) 内容の(6)については,次のとおり取り扱うものとする。
   ア アについては,国民が苦難を乗り越えて新しい日本の建設に努力したことに気付かせるようにすること。「第二次世界大戦後の諸改革の特色」については,新たな制度が生まれたことなどに着目して考えさせるようにすること。
   イ イについては,沖縄返還,日中国交正常化,石油危機などの節目となる歴史的事象を取り扱うようにすること。

〔公民的分野〕
  2 内容
 (1) 私たちと現代社会
    ア 私たちが生きる現代社会と文化
       現代日本の特色として少子高齢化,情報化,グローバル化などがみられることを理解させるとともに,それらが政治,経済,国際関係に影響を与えていることに気付かせる。また,現代社会における文化の意義や影響を理解させるとともに,我が国の伝統と文化に関心をもたせ,文化の継承と創造の意義に気付かせる。
 (4) 私たちと国際社会の諸課題
    ア 世界平和と人類の福祉の増大
       世界平和の実現と人類の福祉の増大のためには,国際協調の観点から,国家間の相互の主権の尊重と協力,各国民の相互理解と協力及び国際連合をはじめとする国際機構などの役割が大切であることを認識させ,国際社会における我が国の役割について考えさせる。その際,日本国憲法の平和主義について理解を深め,我が国の安全と防衛及び国際貢献について考えさせるとともに,核兵器などの脅威に着目させ,戦争を防止し,世界平和を確立するための熱意と協力の態度を育てる。また,地球環境,資源・エネルギー,貧困などの課題の解決のために経済的,技術的な協力などが大切であることを理解させる。
(内容の取扱い)
 (5) 内容の(4)については,次のとおり取り扱うものとする。
    ア アについては,次のとおり取り扱うものとすること。
    (イ)「世界平和の実現」については,領土(領海,領空を含む),国家主権,主権の相互尊重,国際連合の働きなど基本的な事項を踏まえて理解させるように留意すること。
    (ウ)「国家間の相互の主権の尊重と協力」との関連で,国旗及び国歌の意義並びにそれらを相互に尊重することが国際的な儀礼であることを理解させ,それらを尊重する態度を育てるよう配慮すること。
    (エ)国際社会における文化や宗教の多様性

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