教育課程部会 高等学校の数学・理科にわたる探究的科目の在り方に関する特別チーム(第5回) 議事録

1.日時

平成28年5月30日(月曜日) 17時30分~19時30分

2.場所

文部科学省 東館3階 3F1特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 高等学校の数学・理科にわたる探究的科目の在り方に関する特別チームにおけるとりまとめについて
  2. その他

4.議事録

【岡本主査】    定刻でございますので、始めさせていただきます。
  お忙しい中、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。これから、中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会高等学校の数学・理科にわたる探究的科目の在り方に関する特別チームの5回目を開催させていただきます。よろしくお願いします。
  最初に、事務局から配付資料について説明をお願いします。
【金城教育課程課長補佐】    失礼いたします。それでは、配付資料の確認をさせていただきます。本日は、議事次第に記載しておりますとおり、資料1、資料2、及び参考資料1から4、その他、机上に別途参考資料を配付させていただいております。不足等ございましたら、事務局にお申し付けください。
  なお、机上にタブレット端末を置いておりますけれども、その中には本特別チームの審議に当たり参考となる関連資料等をデータで入れております。詳細はタブレット端末の下に置いています目次をごらんください。
  なお、5月1日より、軽装によるクールビズの取組を政府全体で実施しておりますので、御了承ください。
  以上でございます。
【岡本主査】    早速議事に入りたいと思います。なお、いつものように、本日は報道関係者から会議の撮影及び録音の申し出があり、許可しておりますので、御承知おきいただければと思います。
  本日は、これまでの御意見を踏まえ、本特別チームとしてのとりまとめ文案など、意見交換を行いたいと考えております。議事の流れといたしましては、事務局から資料に基づき説明をいただいた後、議論の内容ごとに御意見を伺うという、そういう方向で進めさせていただきます。
  これに先立ちまして、事務局から、各学校段階の総則の改善イメージなどについて、この特別チームにおける審議を深めるために、この状況について事務局からの説明をまずお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。参考資料の2と参考資料の3についてまず御説明をさせていただきます。まず参考資料の3からでございますけれども、先日馳大臣のほうから「教育の強靱化に向けて」というメッセージを発表させていただいたところでございます。これは、大臣就任半年という一つ節目のタイミングであるということ、本特別チームも含めて、中教審の議論がとりまとめに向かいつつあるという段階であるということ、そして、そうした中で、アクティブ・ラーニングというものが、ともすれば、学校で教える内容を減らして活動のための時間に充てるというようなことで誤解されるおそれがあるのではないかという一部の御指摘をいただいたことを踏まえて、中教審において御議論いただいている内容をしっかりとお伝えしていくために発表させていただいたメッセージでございます。
  「強靱化に向けて」という、大臣自らの命名でございますけれども、これから予測が困難な時代をたくましくしなやかに生きていく、そのために必要な資質・能力をしっかりと育んでいく学校教育ということで、「強靱化に向けて」ということでございます。
  1ページ目は、本特別チームを含めまして、これまでの審議の状況を簡単にまとめさせていただいたものでございます。
  2ページ目が、学習指導要領の改訂のポイントということでございますけれども、本特別チームで御議論いただいております理数探究も含め、未来の作り手となるために必要な知識や力をしっかりと育んでいくということでございます。ゆとり教育か、詰め込み教育かという2項対立的な議論に戻らないということ、資質・能力をバランスよく育むということの中で、学習内容の削減を行うということではないということ。現在、高大接続改革の中では、一部、歴史や生物などについて、少し細かい事実的知識の暗記が入試で問われることが課題になっているのではないかということで、こうした点については、用語の整理、重点化、知識の構造化ということをもとにした整理ということをしていく必要がございますけれども、そうしたことについては少し付記をさせていただいております。
  そして、2点目でございますけれども、学校教育を通じてどのような力を育むのかを明確にし、それを育んでいく学習課程の質的改善というのがアクティブ・ラーニングの視点であるということ。知識が生きて働くものとして習得され、必要な力が身に付くということを目指す学習課程の質的な改善であり、知識の量を削減したりということではないということでございます。
  そして、これらと併せて、次世代の学校・地域創生ということを3ページ目のように行っていくということで、学校の指導体制の充実、教員の資質・能力の向上、チーム学校の実現、地域との連携・協働ということをセットで進めていくということを今回大臣メッセージとして改めて発意させていただいたところでございます。
  以上、御参考でございます。
  次に、参考資料の2でございます。総則・評価特別部会等における議論を参考までに御紹介をさせていただければと思います。まず先ほども出ましたアクティブ・ラーニングの視点でございますけれども、おめくりいただいて1ページ目のとおり、主体的・対話的で深い学びの実現ということでございます。深い学び、対話的な学び、主体的な学びに関しましては、それぞれ論点整理で、この1ページ目の上の半分のような整理をいただいておりますが、関係ワーキングのこれまでの議論を踏まえまして改めて再整理をさせていただいたものでございます。
  まだまだ文言等、調整中でございますけれども、最新のものが2ページ目でございます。2ページ目、左側から右側へ矢印が伸びておりますけれども、これが子供たちの学びの過程であるとしますれば、この過程を質的に改善し、深い学び、対話的な学び、主体的な学びとして実現することによって、右側にございますような知識・技能が生きて働くものとして習得され、思考力・判断力・表現力が未知の状況にも対応できるものとして、また、学びに向かう力・人間性も、人生や社会に学びを生かそうとするというものとして獲得されるということでございます。
  そして、それぞれ、深い学び、対話的な学び、主体的な学びにつきましては、論点整理の内容を現在のワーキングの審議状況を踏まえて再整理をさせていただいております。
  例えば深い学びにつきましては、各教科で御検討いただいている見方・考え方を働かせて学習を行うということ。
  そして、対話的な学びにつきましては、子供同士の協働、教員や地域の人との対話、先哲の考え方を手がかり考えることと、少しかみ砕いた説明にさせていただいているということ。
  それから、主体的な学びにつきましては、自己のキャリア形成の方向性と関連付けながらということで、キャリア教育の観点から、自らの学びと自分のキャリア形成の方向性を関連付けるということを主体的な学びの重要な要素として加えさせていただいたところでございます。
  そして、3ページ目でございますけれども、「資質・能力の育成と各教科等の関係」ということでございます。特に総合的な学習の時間や特別活動につきまして、それぞれの教育課程内での意義ということに関する議論を進めていただいていることを踏まえてでございます。
  各教科におきましては、それぞれの見方・考え方を働かせた学びを通じて資質・能力を育んでいくということ。
  そして、総合的な学習の時間や特別活動におきましては、各教科の見方・考え方を相互的に活用しながら、資質・能力を育んでいくということ。
  特別活動におきましては、学習の基盤となる学校生活全体の基盤作りを学級活動などを中心に行っていくということ。また、キャリア・パスポートやキャリア・カルテという議論を進めていただいておりまして、こうしたものを使いながら、自分の生活やキャリアに学びをどう生かしていくかというような振り返りを行うというような時間だということでございます。
  また、総合的な学習の時間につきましては、各学校が育成すべき資質・能力を考えていくことになりますので、そういう意味では、教育課程全体で身に付けさせたい力ということ、これをある意味まとめ上げていくというような時間としての意義付けということでございます。
  今後、特に高等学校につきましては、この総合的な学習の時間と理数探究、そして課題研究の関係性ということが必要な整理になってまいります。本特別チームの提言を受けて、高等学校部会で整理をさせていただきますけれども、現在、総合的な学習の時間ワーキングにおきましては、高等学校段階では総合的な探究の時間という名称に変更してはどうかという議論もいただいております。そういたしますと、総合的な探究の時間と理数探究、課題研究がある意味並び立つような形になってくるということ。そういたしますと、理数探究、課題研究につきましても、こうした総合的な学習の時間が狙う学校教育目標の実現ということとの関係性ということも問われてくるというようなことになってまいろうかと思います。
  それから、4ページ目以降は、カリキュラム・マネジメントと総則の構造でございます。4ページ目は、何ができるようになるかを目指し、何を、どのように学ぶか。諮問でも示されております構造でございまして、今回、改訂の大きな方向性ということでございます。
  そして、この構造を各学校で実現できるようになるということがカリキュラム・マネジメントということではないかということ。もう少しかみ砕きますと、5ページ目のように、各学校において、学習指導要領を踏まえながら何ができるようになるかをイメージし、それをもとに何を学ぶかということを組み立てて、どのように学ぶかという具体化を行い、そして、その成果として何が身に付いたかという学習評価を行っていくということ。そして、これら全てを実施するために何が必要かという視点で支えていくということ。そして、その全てにおいて、個々の子供の発達をどのように支援するかという特別支援教育や日本語指導、あるいは生徒指導、進路指導、キャリア教育の観点ということが全体を通じて必要になってくる。これをしっかり各学校で意識しながら、教育課程を軸とした学校教育の改善・充実を図っていただくということがカリキュラム・マネジメントではないかということでございます。
  総則部会におきましては、この構造をそのまま総則の構造に反映すべきという御議論をいただいておりまして、現在、6ページ目のような教科共通の留意事項をお示ししているような総則でございますけれども、これを少し構造を見直しまして、7ページ目にございますように、まず前文のようなものを置いて社会に開かれた教育課程の考え方を分かりやすく示してはどうか。また、その後の構造についても、第1、小学校教育の基本のところで、資質・能力、何ができるようになるか。第2の教育課程の編成、何を学ぶかの組立ということでございますけれども、そして、どのように学ぶかの具体化、及び何が身に付いたかという評価という部分を第3で、また、個々の生徒の発達をどのように支援するかを第4で、第5以降で、実施するために何が必要かということを示して、総則の構造を見ただけで各学校で行うべきカリキュラム・マネジメントの構造が見てとれるというような構造にしてはどうかという御議論をいただいております。
  8ページ以降、中高でございますけれども、基本的には同じ考え方で総則の構造化が図られる見込みでございますので、御議論の参考まで、紹介させていただきました。
  以上です。
【岡本主査】    ありがとうございました。ただいまの御説明いただいたことについて、御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。特に。
  それでは、内容に移っていきたいと思います。大杉さん、ありがとうございました。では、まず、議題について、事務局から説明をお願いします。
【平野教育改革調整官】    失礼いたします。それでは、お手元配付資料、資料1に基づきまして御説明をさせていただければと思います。資料1が、本日御議論をお願いしたいと考えております本特別チームにおける「とりまとめ(案)」ということでございます。先週事前に送付させていただきまして、何名かの委員の先生方から御意見をいただきまして、可能な限り反映させていただきましたが、全部は反映し切れておりませんので、その点について、本日また御意見を賜れればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
  まず、私のほうから、全体の概要について説明をさせていただきます。まず、1ポツ、「現行学習指導要領の成果と課題」、1ページ目でございますが、ここでは、OECD・PISA調査などでは、数学的リテラシー、科学的リテラシーのみならず、読解力も含めた3分野全てにおいて成績が向上しているというような状況。
  ただ一方で、数学・理科を学ぶ楽しさですとか、その学ぶ意義というものについての日本の子供たちの意識というのが低く、これが学年を、学校段階を経るごとに低くなっていくというような傾向にあるということ。
  それから、探究的な学習の成果というものが考えられるわけでございますけれども、残念ながら、高等学校で開設を期待されていた「数学活用」ですとか、「理科課題研究」というものがなかなか開設されていないというような現状にあるということ。
  それから、こういった中で、スーパーサイエンスハイスクールなどの一部の学校におきましては、「課題研究」などの探究的な科目というものを設定し、これに意欲的に取り組んできていて、一定の成果が上がっているというようなことを書かせていただいております。
  こういった点を踏まえまして、昨年8月にまとめられました教育課程特別部会の論点整理において、こういったSSHにおける成果等も踏まえながら、数学と理科にわたる探究的な科目について新設するという方向で検討すべきだというようなことが提言されたわけでございまして、本特別チームにおいては、この内容について御議論をこれまでいただいてきたというところでございます。
  2ページ以降が具体的な新科目の内容等についてということでございます。2ページの頭、(1)「新科目の基本原理」というところでございます。これにつきましては、新しい科目でございますので、どういうような基本原理を据えるかということについて最初に整理させていただいております。この点につきましては、特に高校生の段階で、スーパー高校生というようなものを目指すのではなくて、将来活躍できる人材、その基礎を育成するのだというようなことを初めに書かせていただいております。その上で、将来、学術研究などで活躍する人材ということでございますので、今の学術研究が向かっている方向性というものを三つ目の白丸で簡単に書かせていただいております。
  四つ目の白丸では、こういった学術研究における方向性を踏まえながら、では、高等学校段階で子供たちに身に付けさせるべき資質・能力という観点からこの新科目について考えた場合、どういった基本的な原理が考えられるのかということを述べさせていただいた上で、これまで御議論いただいてきた新科目の基本原理について、丸1から丸4まで書かせていただいております。
  なお、基本原理の丸2に関しましては、実は前回、第4回までは、「科学的な見方・考え方」と「数学的な見方・考え方」ということで書かせていただいていたんですけれども、別途やっております理科のワーキンググループにおきまして、今回、全教科共通で見方・考え方を整理するという過程の中で、従来理科の中では、科学的な見方・考え方というものを学習の視点と思考の枠組みに加えまして、それによって育成される資質・能力まで含めた形で「科学的な見方・考え方」という用語を使っていたんですが、今回、基本的には思考の枠組みと学習の視点だということで、見方・考え方を整理するという方針がございましたので、改めて理科のワーキンググループで御検討いただいた結果、従来は「科学的な見方・考え方」と言っていたものと内容的に違うものを指すことになるので、現場が混乱しないように、「理科における見方・考え方」ということで、改めて用語を定義し直そうという方向性が出ております。これを踏まえまして、ここで働かせる見方・考え方につきましても、「理科における見方・考え方」ということで訂正させていただいております。
  それから、3ページ目、(2)「育成すべき資質・能力について」というところでございます。これについては、後ろのほうに付けてございます資料1、「育成すべき資質・能力」についての三つの柱に沿ってこれまで御議論いただいた内容をもとに文章化させていただいたものです。ここでは全部は書いておりませんで、ポイントだけを抜き書きさせていただいているというところでございます。
  これに関しまして、特に研究倫理についての基本的な理解のところでございますけれども、これにつきましては、本特別チームの委員からの御意見も幾つかございましたし、他の先ほど御紹介させていただいた理科ワーキンググループですとか、算数・数学ワーキンググループのほうでもこちらの検討状況を御紹介させていただいたんですが、その際にも、研究倫理について取り上げるべきというのと、あるいは、ちょっと高校生では難しいんじゃないかというような両面の御意見もあったところでございまして、ここではやはり大学レベルのような研究倫理を求めるのではなくて、あくまで研究倫理についての基本的な理解だということを強調させて書かせていただいているところでございます。
  それから、3ページ目の下のほう、(3)のところでございますけれども、4ページにわたりまして、基礎を学ぶ段階と探究を進める段階の2段階構造で考えるのがよろしいのではないかというこれまでの御意見を踏まえて整理させていただいております。
  4ページ目の二つ目の白丸が「基礎を学ぶ段階」ということでございますけれども、この基礎を学ぶ段階では、探究の進め方等に関する基礎的な知識・技能ですとか、新たな価値の創造に向けて挑戦することについての意義、主体的に探究に取り組む態度等、こういったものを育成するということを目的とするということについて書かせていただいております。
  それから、「基礎を学ぶ段階」、上から四つ目の白丸になりますけれども、先ほども触れましたが、研究倫理について、高校生の段階で学ぶ必要性について少し丁寧に書かせていただいております。
  それから、上から五つ目の白丸、実際の指導に当たって、教科書等の適切な教材というものの必要性とともに、これが座学中心にならないように、きちんと探究の流れの体験を通して学ぶというようなことの重要性について触れさせていただいております。
  それから、その後、下側が「探究を進める段階」ということでございます。ここでは、探究の一連の過程を主体的にやり遂げるということを重視するということと、それに当たりまして、課題を設定する際の考え方、あるいは探究の学習対象とする領域、用いる手段・手法についてというところの考え方を書かせていただいております。
  おめくりいただきまして5ページでございますけれども、一番上の白丸、これも先行研究については、この特別チームでも何度か御議論ございましたけれども、先行研究についての考え方。特に御指摘が今回ございまして、その際、インターネットなどを通じて情報を収集する際の情報の信頼性についての吟味というものにも注意が必要だと御意見いただきましたので、そういったところを加えさせていただいております。
  それから、四つ目の白丸以降につきましては、その他、指導に当たって留意すべき点ということで、これまで委員の皆様方から御意見いただいたものの主なものをここに書かせていただいているところでございます。
  それから、5ページ下のほう、(4)「高等学校における評価の観点について」ということでございます。高等学校での評価の在り方については、観点別評価ということを前提に、その観点について、これも別添の資料4でございますけれども、議論をいただいたところでございます。前回の御指摘、前回、特に評価の場面について御指摘を、御議論をいただきましたので、その御意見を踏まえて修正した部分が赤字ということになっております。この資料の4についての考え方を6ページ以降書かせていただいております。
  その評価の観点を前提に、実際に評価をする際の留意事項というようなことについても御指摘をいただいておりますので、6ページ目の最初の白丸から三つ目の白丸まではその点について言及させていただいております。特に、今回の新科目の内容、あるいは育成すべき資質・能力を踏まえますと、ペーパーテストのようなやり方では評価は難しいだろうというような御意見もいただいておりまして、具体的に「探究ノート」というようなものを生徒に作らせた上で、そういったものを使いながら、ポートフォリオ的評価のような手法を使って成長の過程を見ていくということの重要性について御指摘をいただいたところでございますので、そういった点について書かせていただいているという状況でございます。
  それから、6ページの真ん中、(5)「科目の位置付け、単位数について」というところでございまして、これについては、前回御議論いただいた内容を踏まえて記述させていただいております。新科目については、現行で理科と数学にまたがる科目として、教科「理数」というものがあるわけでございますが、その科目として位置付けること。それから、新科目としては、基礎部分と探究を進める段階の部分と、それぞれ分けて二つの科目として構成するということ。それから、総合的な学習時間との読み替え等の可能性についても言及をさせていただいております。
  なお、科目名称については、前回、事務局として御提案させていただきました「理数探究(仮称)」とさせていただいているところでございます。
  それから、7ページ目、3ポツでございますけれども、「理数探究(仮称)の質を高め、普及させるための方策について」ということで、幾つか条件整備的なものを書かせていただいております。まず(1)「実施に必要な体制の整備について」というところでは、まずは全校的な指導体制を構築することの必要性と。それから、教科書等の適切な教材というものの作成の必要性。あるいは、ノウハウを共有するための指導事例集等の作成。それから、探究を指導する際の教員の指導力というものの向上の必要性。それから、ICTも含めた設備整備の必要性。それから、大学との連携の必要性といったようなものについて言及させていただいております。
  それから、(2)、7ページ下のほうでございますけれども、「成果の評価・顕彰の仕組み」ということでございまして、学校における、高校における評価とは別に、大学入試も含めた社会的な評価ということでございますけれども、優秀な成果を上げた生徒について、発表の場ですとか顕彰の機会を付与するということについての御指摘が前回ございましたので、それを書かせていただいておりますのと、あとは、個人の表彰だけではなくて、学校として組織的な取組、グッドプラクティスとして表彰するのが適当なものについても表彰していくような取組を進めてはどうかという御意見をいただきましたので、そういったものを加えさせていただいております。
  それから、8ページ目になりますが、一番最後でございますけれども、大学入試との関係ということでございまして、入試については、センター試験の後継となっております大学入学希望者学力評価テストにおいて、新科目、この科目に対応するような科目を作るという方向性でございますけれども、そういった際に、この科目の趣旨・目的を踏まえた適切なものとなるということについて留意していただきたいというような内容と、併せまして、個別入試においても、この学習成果が、実際にはAOや推薦という形でということだろうとは思いますが、そういった中で適切に評価されるよう求めているというような内容でございます。
  「とりまとめ(案)」の全体については以上でございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
【岡本主査】    ありがとうございました。これから意見交換の時間とさせていただきます。きょうの議題は、「高等学校の数学・理科にわたる探究的科目の在り方に関する特別チームにおけるとりまとめについて」ということで、これが議題で、御意見、御議論をいただくということなんですが、今、資料1、説明いただいたんですけれども、この資料の中で議論を便宜的に二つに分けまして、まずは1ポツの「現行学習指導要領の成果と課題」、2ポツ、「育成すべき資質・能力を踏まえた教科等目標と評価の在り方について」のうちの1から3までの部分に主に議論を集中してまず御意見、御議論をいただきたいと思います。
  いつものように御意見のある方はあらかじめ名札を立てていただきますと、私のほうで順次指名するというふうにさせていただきます。また発言が終わりましたらもとに戻していただかないと、また何度でも当たってしまうということになると。御発言の際には、マイクのスイッチをオンして、発言後はオフをしていただければ聞きやすいかなと思っております。
  それでは、いかがでしょうか。どうぞ御自由に御意見をいただければと思います。今回、これ、とりまとめということなので、活発な御議論をということなんですが、いかがでしょうか。まず、小林先生からどうぞ。
【小林委員】    とりまとめ、大変上手にまとめていただいて、感謝しております。これから国際的にいろいろと外国に行ったりしたときに、自分はどういう科目、どういう教育を高校のときに受けたのかというふうなことを英語で表現するという場面があるかと思うんですね。そうすると、「理数探究」という言葉は、英語表記ではどういうふうになるのかというのは、何かアイデアはあるのでしょうか。つまり、理科の考え方と、それから科学の考え方を整理するとおっしゃったんですけれども、なかなか難しくて、理科という科目は英語ではやっぱりサイエンスになってしまうので、それで、今回のやつも、2ページのところで「理科における見方・考え方」というので統一したいと、整理したいとおっしゃっていて、それはなるほどと思っていたのですが、4ページのSSHというののSはサイエンスですね。これはスーパー理科とは今までは言っていなかったんですけれども、4ページの下の丸、「探究を進める段階」のところの下から4行目は、「用いる手法については数学・理科に係るもの」という形で整理されているんですが、5ページの五つ目の丸、「科学的・数学的な手法により」というようにここは「科学的」になっているんですね。見落とされたのかもしれないんですが、このあたり、なかなかこれ、整理しようとすると難しい問題だということはよく分かっているんですけれども、もう一度、理科と、それから科学の使い分けのニュアンスをちょっと整理していただいて、そして、この科目は英語名称としてどうするのかということについて何かお考えがあれば、伺いたいと思います。
【岡本主査】    難しい質問ですけど、どうぞ。
【平野教育改革調整官】    すいません。用語の整理についてまだ徹底できていない点、ある点については、最終的な、「案」がとれるまでの段階で整理させていただければと思います。
  それから、英語名称については、実は今のところ、まだそこまで考えが至っていないというところでございますので、何かアイデアがあれば、是非いただければと思っております。
【岡本主査】    だけど、理科もサイエンスなんですよね。
【小林委員】    そうなんです。
【岡本主査】    算数、数学も全部マスマティクスですね。だけど、教科としては別の名前を使っていると。
【小林委員】    これ、いつも困るんです。
【岡本主査】    だけど、サイエンスというのは、普通サイエンスといったらナチュラルサイエンスを指すのかもしれないけれども、科学というのはもっと広いですよね。ソーシャルサイエンスとか、ヒューマンサイエンスとか、いろいろある。確かに英語で何と言うかというのは、これは……。
【小林委員】    決めとかないといけない。
【岡本主査】    決めとかないといけないですね。サイエンスはサイエンスなんですかね。どうなんですかね。英語の人にサイエンスと言ったらどういうイメージなんですかね。多分、外国の教科書なんかも、理科に当たるのはサイエンスですかね。
【小林委員】    英語的にはサイエンスが学問全般をカバーするというのが、特にアメリカなんかはそんな感じがしますね。だから、人文学、ヒューマニティーズというのは、人文科学と日本は訳さないし、ヨーロッパも余り訳したがらないですし、政治学なんかのポリティカルスタディーズというのとポリティカルサイエンスという言い方と、使い方が区別があって、アメリカはポリティカルサイエンスと言いたがりますが、イギリスはポリティカルスタディーズとか、そういうふうに言いたがるとかですね。そこにサイエンスに対してちょっと距離感を置きたがるカルチャーと、学問は全部サイエンスだというふうに使うカルチャーとがあるわけで、日本でも人文科学という言葉遣いを相当嫌がる人文学者というのが結構おりますけれども、社会科学と言うと、抵抗感が少なくて、しかし、社会学の人が社会科学かと言われると、ちょっと違うような気がするという人もいるだろうしという、非常に難しい言葉。科学とサイエンスというのはなかなか1対1対応しない言葉だとは思います。
【岡本主査】    これは少し考えましょう。余り議論して結論が出ることではないと。そうすると、大体サイエンスが単数か複数かという問題もあるんですよね。
  ほかの点でも結構ですけれども、いかがでしょうか。どうぞ、西成さん。
【西成委員】    簡単な点で、今のお話につながるんですけれども、数学的な見方・考え方と理科における見方・考え方と。配付物にもそう書いてあるんですけれども、「数学的な」と「おける」という言葉があって、例えば「数学における見方・考え方」とやれば、理科と数学、対等なんですけれども、この辺は何か使い分けているんでしょうか。
【岡本主査】    これね、悩ましいんですよね。
【西成委員】    悩ましいですよね。
【平野教育改革調整官】    きれいに同じような表現に整えられればよかったのだと思いますが、それぞれ、理科ワーキンググループ、算数・数学ワーキンググループで議論していく中で、この表現がいいだろうと。それぞれの教科における見方・考え方の表現としてこれがいいだろうということになっております。
  理科については先ほど御説明したとおりでございますが、算数・数学におきましては、数学における見方・考え方というような案もあったんですけれども、それだと何か数学のすごく狭い世界に閉じた、純粋数学の中だけの考え方のような受けとめ方もあるのではないかといことで、少し幅を持たせた表現で、「数学的」というふうに使わせていただくのと、あとは、算数・数学の分野で、現行学習指導要領上の表現としてはないのですが、前回までは「数学的な見方・考え方」というような表現を使っていたという経緯もありまして、こちらのほうがなじみがあるということで、算数・数学ワーキングとしてはこの表現がいいだろうということで今落ちついておりまして、並べてみると、うまくとれてないというところがあるんですが、それぞれの教科の御意見というものを尊重させていただいて、今はこういう書き方にさせていただいております。
【岡本主査】    今のこともね、視学官いらっしゃるので、余り余計なこと言うと怒られるかもしれないけれども、数学的と言わずに数理的という言い方もありますからね。でも、これ、英語にすると両方ともマスマティカルなんですよね。ただ、そういう言い方もあるかなと。
【小林委員】    もし英語にするならば、何となくこの使い方のニュアンスというのは、英語だとナチュラリスティックアプローチという感じなんです。ヒューマニスティックアプローチと違って、ナチュラリスティックアプローチというのが一番しっくりくるような感じがします。どこにしわを寄せて言葉を使うかですけれども。
【岡本主査】    アイデアが出てきた。いかがでしょうか、このところ。きょうは最後のとりまとめなので、発言ないとどんどん当ててしまおうと思っているんですけど。どうぞ。
【牧田委員】    ありがとうございます。非常によくまとめられていると思います。もし仮に現場の先生がこれ見たときに、きっと一番思うのは、数学と理科を融合したことによって何が生まれるのかなということが見えにくいような気がするんですね。2ページのところには、2ページの上から三つ目の丸に、「革新的な価値は、多様な学問分野の知の統合」によって生まれると、こう書かれております。ところが、新科目の基本原理の今お話しになっている、数学的な見方・考え方や理科における見方・考え方を活用したり、組み合わせたりすると。そこのところが、新しい教科に二つのものを持ち込んで対等に話をすると。ただ単に場所を、同じ場所に別なものも持ち込むというイメージがするんですけれども、これ、次の段階かもしれませんが、何かそこで融合的に化学変化が行われて、新しい教科の内容といいますか、新しい教科としての考え、思考の進め方といいますか、探究の進め方といいますか、そういうことがもしかして生まれるといいのかなと思うんですけれども、なかなか難しいので、私も具体的には言えないんですけれども、それが1点と、テーマ設定のときに、やっぱり数学の先生が困るのは、ずっと今まで話してきた話と同じかなと。理科の先生は、大体今やっているようなことに数学の見方・考え方というのが少し入ってくるのかなというイメージかもしれませんが、数学の先生にとってテーマ設定というのはなかなか難しいので、どういう形で数学の教諭が関わっていけばいいのかなというのが、ちょっと悩みの種が消えていないと思いました。これもどうすればいいかという対案浮かばないんですけれども、できたらこの場で、こういうイメージがあるというのがもしお聞かせいただけると、これが教科書に何かなってくるのかなと思うんですけれども、具体的に言うとどういうことなんだということが数学科の教員にも分かりやすく伝わるのかなと思いました。
  もう1点だけお願いします。知的好奇心というのが書いてあるんですけれども、知的好奇心を持つということが大前提で書かれているんですが、これ、このままとると、もともとちゃんと知的好奇心というのを持っていて、それを持ち続けて、この探究している間、持ち続けて活動するんだというようにとられるんじゃないかなと思うんですが、これ、私、知的好奇心の種は義務教育時代に幾つもあって、それを持っているんですけれども、種を持っていて、それをだんだん膨らますというか、増幅していくというか、大きくしていくというか、この活動を通して、この探究のこの科目を履修した後に、やる前よりももっと知的好奇心が増したんだというようなことを狙っていくというようなイメージが少し出てくるといいのではないかなと思いました。
  以上です。
【岡本主査】    上田先生、どうぞ。
【上田委員】    今の牧田委員の御発言って非常に重要なポイントだと思います。それで、私の個人的意見では、数理探究というのは何かというと、今回の学習指導要領の改訂の一番重要なポイントである、主体的・対話的で、深い学びの実現とは何かというのは、ここもかなり議論のあるところだと思うんですけれども、それを科目として具現化するようなパイロット的な科目ではないかと思います。
  具体的に深い学びとは何かというと、どういうときに深いと私たちは感じるかというと、今まで別々なものだと思っていたものが実はつながっているということに気づいたときには、深い学びを実体験できるわけですね。例えば今まで物理と数学の教育を科目として別々に、例えば、今、一つの例ですけれども、分けていたために、物理の教育をするときに、それに本来必要な数学を使わないで、台形公式からいろんな物理の公式を導いたりするわけですね。それを数学のもう少しアドバンストな、しかし高校の範囲内の数学を使うと、いろんな物理の事項がつながって見えると。同じこと、これ、生物にも言えるんですね。生物は暗記かというと、そんなことはないんですね。非常に基本的な数学を組み合わせることによって、いろんな生物学的な事象が非常に美しく統一的に理解できると。こういうことは理科の科目にはたくさんあって、今までは科目の縛りがあるために、お互いに少し遠慮していたようなところを、一歩踏み込んで、それぞれの体系の中で深い学びが実現できるような、そういう科目を作っていくことじゃないかと思います。
  以上です。
【岡本主査】    牧田先生おっしゃった最初のところなんですけれども、私も数学の教員なので、考えてしまうんですけれども、要するに、いろいろSSHとか見ていて、本当は私が期待したいのは、例えば、私、自然科学、物理の一部ぐらいしか分からないけれども、例えば自然というのがあったときに、それを数学的な手法を使ってどういうふうにモデル化してやっていくかというようなのも一種非常に深い探究で、これは数学の先生なんかが出るところがいっぱいあると思うんですね。
  ところが、数学というのは、なかなかこれ、古い学問なので、高校生の範囲で、高校生が自ら問題を見つけようとすると、自然科学の中で問題を自分で見つけるというのは大変なんだけど、数学の中だったら、結構高校生ぐらいになると、深いことをやっているので、おもしろい問題がごろごろ転がっちゃっていると。結構数学そのものの問題としてというのはよくあるんだけれども、そこはそれでいいんだけれども、そればかりではないだろうと。そこを、何とか学校の先生、生徒を含めて伝わるといいなということはいつも思っています。
  だから、数学の探究だからといって、ほんとうにピュアなマスマティクスでやらなきゃならないことっていっぱいあるんですよ。それはおもしろいことっていっぱいあるんだけど、そればっかりではなくて、そこを何かできるといいなと。これは本当は大学の仕事かもしれないですけどね。
【上田委員】    今の関連したことで、恐らく数学の先生と科学、物理とか生物とか、いろんな先生のコラボレーションがどうしても必要だと思います。例えば、私は物理ですけれども、物理で学んで、生徒さんに聞いて、何が一番つまらないと思うかというと、本来数学で理解できることを、数学を使うことに対して遠慮しているために、例えば高校2年の段階では、例えば微分はまだ学んでいないところもあるとかというので、先ほどの面積を、小学生的な面積を計算して答えを出さないといけないとかということがあるんですね。それを少し数学を学んでいくと、それが全てきれいに実は理解できるということを、自分でいろんなことを勉強して学んだときに物理が好きになるんですね。
  そういう意味で、従来型の例えば物理の教科書、体系を理解するために必要な、遠慮がちに使っていた数学を、もう少し一歩踏み込んで、しかも無理のないような数学を使うとどういうことになるのかということを、それは専門の高校の数学の先生、物理の先生が協力をして、この探究的数理の教材を作る必要がある。あるいは、同じことが生物にも言えるし、科学にも言えると思うんですね。そういう意味で、少し一歩、本当に従来の科目的な学びから科目間の関連を理解するような深い学びに

すはどうしたらいいかというのを、協力して教材を作っていくことが非常に重要じゃないかと思います。
【岡本主査】    ありがとうございます。では、熊倉先生。
【熊倉委員】    私は数学のほうの立場の人間ですけれども、今、いろいろお話を伺いながら、そういうものが進んでいくことがもし可能であれば、それはすばらしいなと思います。ただ、SSH校なんかの研究テーマなんかを見ていますと、例えば物理なら物理だけに特化したテーマで研究しているようなテーマ、科学なら科学だけというようなものももちろんありますし、純粋に数学だけを追究したようなテーマもあるかと思います。もちろんその一方で、物理と数学が融合されたようなテーマもあります。今回のこの新しい科目、理数探究において、全ての研究テーマが理科と数学を融合したようなテーマにしなきゃいけないというふうに、そういうふうに規定してしまうと、それはかなりハードルが高くなって、しんどいなというのを印象としては持ちます。そういうものももちろんあっていいし、それはこの先どんどんどんどんそれが増えていくといいなというふうには思うのですが、そこに特化してしまうと、すごくやりにくくなるものですから、私自身は、数学なら数学だけのテーマがあってもいいと思いますし、むしろ探究というところに焦点を当てた中で、数学を突き詰めていくというテーマがあって全然私はいいと思います。
  ただ、それを理科の教員や数学の教員が一緒に、しかも発表会なんかでは、ある発表は理科の発表だったり、ある発表は数学の発表だったり、そこら辺が一緒になって一つの科目の中で活動をしていく中で、そういうような研究テーマもあって、そういうような手法もあるのだということを互いに学び合うというところにこの科目の価値があるかなというふうに思えば、融合ということで言うならばちょっと弱いかもしれませんけれども、活動としての融合というところで、必ずしも内容に融合にならないものもあるかもしれないんですけれども、そういう形でこの科目を捉えればいいのではないかと考えます。
【大路委員】    先ほど上田先生が言われた、科目間の壁をある種取り払って、相互の関連性が分かるようなことで深い学びが非常に味わえるというのは非常にそのとおりだと思いますし、それができるというのは非常にいいんですけれども、そこに至る基盤的なものがまだなかなか難しいというのも現実問題であって、1回か2回前の委員会に紹介で話が出たような、例えば今学術会議から出ている理科基礎みたいな、科目を全部、その科目を取り払って、本当に基礎的な理科を相互に関連させながら教えていくみたいなことが実現していけば、上田先生が言われたようなこともかなりやりやすくなってくるんだろうなと思います。ただ、現段階では、ちょっとそこまでのハードルは難しいことはよくわかるので、それを将来見越して、これはもちろんこの科目のほうが先に始まりますので、試行錯誤的にもこういう形でやり始めて、将来的にはそういう理科が再編されるならば、そういった科目間の壁を取り払った、より総合理解が進むような形がもちろん望ましいと思いますので、何年先になるか分かりませんけれども、それを目指すような形が将来出来ていけば、ますますすばらしいものになっていくんだろうなと私は感じます。
【岡本主査】    ありがとうございます。次、大島先生。
【大島委員】    ありがとうございます。このたびのこの理数の探究科目は、次期指導要領が目指している深い学びというものを科目で横断しながら具現化するという一つの非常にいい科目の例だと思うんですね。先ほどの議論から出ていますように、教科の枠にとらわれないということは、実際にこの3ページの「思考力・判断力・表現力等」のところにも書かれていて、そういうふうな設定、実際に科学的・数学的な課題として設定することができる力を一つの力として挙げているんですけれども、先ほどもちょっとありましたように、これ、実際に受け入れる生徒さん、及びそれを指導する理科の先生、及び数学の先生がなかなかこれを教科横断でできるかというと、難しい状況にあるというのも現状だと思うんですね。
  その中で、これ、一つ提案なんですけれども、5ページの「その他、指導に当たって留意すべき点」というのは、どちらかというと、生徒側はグループになってやりなさいということがあって、あと、大学は研究機関と、外と連携しなさいということは書いてあるんですけれども、なかなか学校間、内での教員の、それこそ教科の枠にとらわれずに教員が一緒に協働していく、この教科を指導していくということが少し、書かれているのかもしれないんですけれども、すいません、私はそういうふうに読み取れなかったので、それを一つ加えていただくと、やはり自分たちの教員は、数学及び理科の自分の専門を生かしながら、そして学校内で協働することによって、こういうグループ研究で生徒向けに指導するということもできると思うので、そういうことも加えていただけるといいのではないかなと思いました。
【岡本主査】    ありがとうございます。今のところは、事務局のほうとしても。
【平野教育改革調整官】    書き加えさせていただければと思います。
【小玉主査代理】    小玉です。よろしくお願いします。今大島先生がおっしゃったのは、7ページの上の丸のところにちょっと記載してありますよね。複数の教員が協働して指導に当たるというふうなことと関連するのではないかと思いますけれども、実際、佐倉高校の課題研究のときには、特に物理的・地学的な内容になってくると、物理・地学の先生も若干数的処理が手に負えなくなることがございます。そのときにやっぱり数学の先生のところにどうしても訪ねていきます。訪ねていって、教えを乞うて、生徒と一緒に理科の教員が学ぶという場面もありまして、必然的に数学と理科の教員が協力をする体制をとらざるを得ない。でないと解決ができないということがあろうかと思います。
  それから、もう1点は、生徒のほう、生徒の言葉なんですけれども、数学と理科は別物じゃないと。理科のいろんなものを表現、今研究していることを表現するには、数学的手法を使わないとどうしても表現ができないというふうなことを生徒が気づいて、それを例えば数式で表したり、数的モデル化をしたりとか、そういうふうなことで発表にこぎ着けるという場面が非常にありますので、数学と理科の融合という観点でいろんな御発言がありましたけれども、実は融合しないとある課題を解決することができないということに生徒が気づく。そのことを、この基礎の部分ですね、特に理数探究の基礎の部分では、いい事例を挙げてあげるといいのではないかなと思います。
  以上です。
【岡本主査】    今の点は、指導の方法としてやるということと、多分大島先生がおっしゃっているこれは、科目、構造等の在り方というところだから、両方に書いても別に。
【大島委員】    そうですね。確かにおっしゃるように、7ページに必要な体制として書いてあります。ただ、一方で、一応指導に当たっての留意すべき点ということで申し上げたかったのは、外部との連携は書いていらっしゃるので、是非内部での教科間というのもちょっと強調していただければということなので。文言に関しては、あと、入れるかどうかはお任せしますけれども、一応留意すべきという点で申し上げました。
【岡本主査】    ありがとうございました。お待たせしました。塩瀬先生、お願いします。
【塩瀬委員】    塩瀬です。よろしくお願いします。先ほどの大島先生とかのお話にも通じると思うんですけれども、僕自身が加えたらいいなと思ったのは、5ページ目のところの(4)の「高等学校における評価の観点」についてなんですけれども。
【岡本主査】    それはちょっと後で議論するところ。
【塩瀬委員】    数学と理科にまたがるところ。
【岡本主査】    もちろん構いません。どうぞ。
【塩瀬委員】    先ほどの「数学的」なのか、「理科における」かなんですけれども、現場の高校の先生とお話ししていつも議論になるのは、これはどっちの先生が担当すればいいのかという、理数探究って。今までは総合の時間にできていたので、逆に言えば、数学の先生も、理科の先生でも、探究に関心のある先生だったら関われたのが、理数探究と言われたときに、理数以外の探究に関心のある先生はどう関わればよいのかというのと、理と数とどちらにケイトウするのかというところが少し悩ましいということをお伺いしたので。やっぱり高校の場合は特に科目ごとに分かれてしまっていて、横断でできる機会がとても少ないので、そういう意味で理数探究と書き込まれたこと自体は、それを狙いたい人にとってはすごくチャンスだけど、そうじゃない人にとっては押し付け合いになってしまうところがあるので、それをどういう態度で表すのかというのが態度表明としては欲しいというのをおっしゃっていて、そう考えると、5ページ目の丸4の評価の観点、細かいところは後でいいと思うんですけれども、ここの中に一言も「数学における」と「理科的」なのが出てこないので、評価において数学とか理科をどう位置付けるかを全く書いていないことになる。ここになると急に探究だけの話になってきます。そこが多分さっきから出てきている、数学と理科と両方やらないとこの科目の成立としないのか、数学でも理科でも、どちらかが入っていればよいよとするのかという、多分評価への態度が、「数学的な」、「理科における」をどう位置付けたいのかを表す場面になるのかなと思ったので、ここの文言に何がしか、数学か理科の言葉が入らないと、理数探究としては態度を示せないことになるのかなと。そこに先生が協働して挑戦してほしいから、評価の中でもそういう一面が入ることは大事。でも、全部を融合しないといけないというのは、先ほど先生がおっしゃったみたいに、敷居が高くなり過ぎるので、オワとして入っていても構わないとか、多分それも態度の表れがここに来るのかなと思いました。
【岡本主査】    ありがとうございます。では、小林先生。
【小林委員】    先ほど英語だとナチュラリスティックアプローチという言い方をちょっとしてみたりしたんですが、それは探究の方法だろうという今の塩瀬さんの議論になるのかもしれないし、数学と理科のコンテンツのレベルでの融合だけではないだろうという先ほどからの議論もあって、そうすると、大島先生おっしゃっているように、数学と理科の先生だけではなくて、もっと広い協働がなかったらできないだろうと。この書きぶりを見ていると、やっぱり素材そのものは、数学、理科に限らないと明記してある。
  実際、例えば、理科教育の世界では結構有名なのかな、板倉聖宣さんなんていう方は、歴史検証に関する科学的・数学的アプローチみたいなことをやっているわけですね。そうすると、例えば江戸時代に農民は米を作っているけれども、自分たちはアワとかヒエとか食っているというようなイメージがあると。例えば高校生とか中学生にそういうイメージがあると。そうすると、作られた米は誰が食っていたんだという問いを立てて、当時の石高と、それから食べていたであろうと思われる侍の給料とか、人数とか、そういうものを分析していくことを通じて、彼の議論としては、農民も食べていたに違いないというふうなことをデータ的に導き出すみたいなことをやったりとか、そういう頭の使い方なんですね。
  私、この科目の一番大事なところというのは、数学という科目の分野と理科の分野という、その枠を超えた頭の使い方の柔軟さみたいなものをできるだけ作りたいということが狙いで、コンテンツだけだったら別にそれぞれの教科でやればいいわけですから。だから、ナチュラリスティックアプローチという、そのアプローチの手法に関しては数学とか理科で蓄積されたものがいっぱいあるので、それを動員しながらいろんな問題に対してやってみましょうよと。その中では、もちろん数学に特化したものをやっても構わないし、理科のものをやってもいいんだけれども、頭の使い方をやわらかくする、広げるということが一番大事という問題の立て方じゃないかと、そう理解しているんですが、書きぶりはそうですよねという確認です。
【平野教育改革調整官】    御指摘のとおりでございます。
【石井委員】    京都大学の石井です。今議論されていることは私も非常に同感で、この間、この理数探究は触媒的な科目であって、教科ばらばらになっている高校の先生方の意識であるとか、生徒の学びの意識を転換する一つの重要なきっかけになるのではないかなというふうなことを述べさせていただいてきたかと思うわけですけれども、それはやはり具体的に進めていく上では、ちょっと先走って7ページの部分、複数の教員が協働してというふうなことですが、前にも少し述べさせていただいたように、やはり数学と理科、教科をまたいだチームを組むというふうなことをマストにするとしんどいですけれども、そういうことが望ましいというぐらいの文言があってもいいのではないかなと思ったりしました。
  もう一つは、深いというふうなことと関わって、結局、深いと感じるのはどういうことかといえば、今まで分かっていたものが分からなくなるとか、違った見え方ができてくるというふうなことかと思うんですね。ですから、探究的に学んでいって、複数の、理科で学んでいたものが数学的な見方からしたときに全く違ったように見えてくる。そういうふうに知識が、もう一度学び直したときに統合されていく。そういう学びを大事にしていくということを資質・能力の中身の部分でも具体的に記していく必要があるのではないかなと思うんですね。それは、思考・判断・表現のところに入るのか、あるいは知識・技能のところに入るのかは分かりませんけれども、結局探究の手法を学ぶというのが知識・技能のところに入っていますが、そういうのを通じて、統合的な、知識が統合されるであるとか、あるいは横断的な知識になっていくというふうな、そういう部分ですね、知識の新しいつながりが生まれていくというあたりが示されてもいいのではないかなというふうな気がします。
  だから、入り口の課題の部分で統合的に横断的に考えるということと、その後、探究ということがあるんですけれども、出口のところで認識自体が統合されていくというニュアンスが、余りこの資質・能力の三つの柱で整理されている中では出てこないので、そういうニュアンスがもう1回、知識や技能のところに書き込まれるといいのかなというふうなことを思いました。
  以上です。
【岡本主査】    かなり実際にどうやって授業をやるかまで踏み込んだ議論になってきているような気もしますが、いかがでしょうか。特に皆さんが御意見が違っているということではないような気がするので、まずは報告書としては、これで今御指摘の点を書き加えていくということでやっていけばいいと思うんですが、今のところについていかがでしょうか、ほかに。岩田先生、どうぞお願いします。
【岩田委員】    岩田です。現場のほうで私自身、たまたま中教審のこの委員を引き受けるということで、いろんな先生と意見交換しているんですけれども、そうすると、やはり一番数学の先生が全て引き気味なんですよね。これは相当現場のほうに根深いものがあるかなという気がします。例えば全部の絡みの中で、先ほども総則あたりからもあったと思うんですけれども、総合的な学習の時間はまだいいにせよ、例えばこの理数探究といのにはどうしても実行するにおいては時間がかかる、そういうものというのがあるんですね。そうすると、理科の教員のほうは、多分特別活動で、理科部、特に物理、化学、生物、そういうふうな分野で放課後ずっと生徒を教えて部活動を指導しているという意識があって、その延長上で普通に乗れるかなという気がするんですよ。だけれど、数学の先生方、確かにある面では古典的なところで、高校の範囲で教えるものはここの範囲に狭めたいという意識が非常にあって、それが広範な範囲に広げられるかどうかということで非常に疑問を持っていらっしゃるというのが、これが多分現場の実感です。
  ですから、ちょっと私自身思っていたんですけど、理数探究になったこと自身が、自分としては、数理探究のほうがまだ数学が上に来て、数学の先生の活動の場というようなところでなっていて、よかったかなというぐらいに思っているぐらいなんですね。
  ですから、それがまず非常に、先ほどの牧田先生じゃないですけれども、やっぱり高校現場のほうで、横断的な科目の実際の実行する段階で、かなり数学の先生方のバリアといいましょうか、牙城的なところというのは、これをもっと開かれた目のほうに、例えば数理探究の基礎的なところにいかに文言で書いていくかがまず重要かなと思います。
  あと、7ページのほうにいっちゃうんですけれども、現在、私、最終的に高校現場のほうもこの理数探究のほうが、これ、本当に開かれる方向で最先端のほうにいければいいなと思うんですね。今、たまたま部活動を指導していて、国際的な、インテルの国際科学技術フェア、IESF、これ、行ってきたところだったんですけれども、やはり日本のこの理数探究に相当する取組というのがやっぱり世界からちょっと遅れているかなというところを感じるのはどこかなというと、全ての国際コンクールの審査の学生の分野の審査対象が、これは国の公的機関か何かの研究を継続的にやっているかとか、そういうふうな文言を入れられるんですね。そのときに、今、日本自身がそういうふうな形のフォロワーになっているかどうか。それがなかなか、例えばこれが、今、ちょうど高大連携というようなところで考える上においては、もうちょっとこの科目が設定されるからには、国策として、そういうふうな最先端の領域を目指すようなことを生徒さんに保障する立場というのもあってもいいかな。
  例えばたまたま留学生で、本校、結構交換があるんですけれども、シンガポールのラッフルズ校とかってありますけど、あちらのほうは、総合的な学習の時間といいましょうか、数理探究の公的な立場で、水曜日の1時半以降は全部学校が国の研究機関のほうに、希望者、こういうふうにやって行けるとかというふうな時間を設けて、午後全部そういうふうな組織機構があるんですね。だから、世界的にこういうふうなトップレベルを保つとかということがあるんですけれども、なかなか日本のほうはそういうふうな現場のほうが非常にがんじがらめの教育をしているわけで、この科目を本当に抱いてやるには、ある程度その辺の敷居を、高大、国、そういうふうなところが開かせたところがないと、なかなか普及の方向には行けにくいのかな。
  だから、是非、高校現場の意見としては、そういうふうなところまで本当に次に立ち入って、これを実施する上においては、国が一斉に例えば水曜日の午後はある程度この研究に充てるぐらいまでにいかないと、ちょっと今、日本の理科教育とか、そういうふうなところを見ても、私自身、不安なことが、国際コンクール等では感じるものがあります。参考までに。
【岡本主査】    難しいところですね。今のはパッとは答えられないんですけど。先生、どうぞ。
【大路委員】    時間も押しているので、あまり言いませんけど、インテルの国際科学コンクール、高校生のやつですけれども、それ、私、オフィシャルジャッジとして行っておりまして、先生のところのチームも目にしたんですけれども、おっしゃるとおり、応用的な、大学と組んで本当に最先端の研究をやっているというのは数多くアメリカでも見られるんですけれども、私は先生とちょっと考えが違いまして、やはりその中で基本的なサイエンスがしっかりしているかどうか、ちゃんと理解しているかどうか、それから、大学と組んでいても、進んだ先端的なことをやっているんですけれども、その基盤となるべく、やはり知識とかがかなりの生徒が理解できていない場合もあるんです。むしろ、インテルはどちらかというと、応用面にかなりシフトした評価をしていると思うんですが、やはり将来的なことを考えると、基礎的な物理、数学、化学、生物、地球科学を有機的に結合させながら理解していくということが本当は大事で、その後にそれが大きな力になっていくと信じていますので、先生がごらんになって、先端的に進んだものが評価されていると思うかもしれませんけれども、後々考えると、本当にそれがいい方向かというのは私はかなり疑問に思っていますので、ちょっと御意見させていただきました。すいません。
【岡本主査】    いろいろ御意見のあるところだと思うんですけれども、ちょっと時間もあるので、ここで、今、2ポツのところで、1、2、3に限っていたんだけれども、4と5ですね、後ろのどうやって指導するかとか、科目の名前というのは既に議論出ているので、そっちとか、3ポツの「理数探究の質を高め、普及させるための方策について」等々、こっちまで広く議論をしてみたいと思いますので。当面後ろのほうに重点を置いて、また、本当に最後のところで全体をまとめて議論すればいいのかなと思うので、このところは、4並びに5のところに関係する議論をしてみようと思います。いかがでしょうか。では、上田先生どうぞ。
【上田委員】    「理数探究の質を高め、普及させるための方策について」ということで、今までの議論がありまして、いろんな融合させるために一体具体的にどうしたらいいかというのは極めて重要な点で、それで、あと、もう一つ、大臣プランの中の、まさにこの科目というのは、2番の次世代の学校の実現のまさにパイロットプランで、そのために大臣ペーパーには何が書いてあるかと。学校の指導体制の充実と。そのために、教員定数の戦略的な充実を通じて学校の指導体制を充実させますと。戦略的な充実の一つの重要なトピックになるんじゃないかと思います。
  具体的に言いますと、こういう科目的には異なったものを融合させるというのは、大学ではどのレベルでやっているかというと、博士課程ですね。Ph.D.の学生の研究というのはまさにそれをやらないとPh.D.が取れないんですね。一つのアイデアとしては、そういう人たちの中で、学校教育にものすごく熱意のある方、実はたくさんいます。それは教育学部に所属していない人たちの中に非常にたくさんいるということは私は実は知っています。ただ、いろんなシステム上の問題があって、なかなかうまくスムーズにいかないんですね。いろんな特区というものがありますけれども、これはまさにそういう資質を持った方が1人学校にいるかいないかで、学校のカリキュラム・マネジメントの方針を立てる上でも非常に有益じゃないかと思うんですね。そういう意味で、もし可能であれば、やはり国がそういうことをサポートして、Ph.D.を持っていて、こういう探究的なことの教育に熱意のある方を思い切って学校に投入してはどうかと思います。それがまた高大接続のための一つのかけ橋にもなりますし、それを基軸にして大学側もいろいろ協力するチャンネルは、具体的なチャンネル、情報のやりとりも含めた具体的なチャンネルも出来ますので、是非こういうことの支援をするというような一文が入ると大変有益じゃないかと思います。
  以上です。
【岡本主査】    具体的に言うと、今ここに書いてあるのは、大学との連携とかいうのは書いてあるわけだけど、もう少し、大学のほうも、既にエスタブリッシュな大学ではなくて、人材の投入ということを考えろということで理解していいわけですか。
【上田委員】    Ph.D.を持った教員を中高のこういう教育に充てるためにもっと投入すると。
【岡本主査】    教員というのは、だから、その場合は、もちろん年には関係なく。
【上田委員】    年は関係ないです。
【岡本主査】    関係ないですね。
【上田委員】    高校教員の中におけるPh.D.を持った人の割合を増やすということです。
【岡本主査】    増やしていくと。それも大事です。いかがでしょうか。
【小玉主査代理】    今御指摘いただいた件ですけれども、SSH校では、お声をかけると、大学の先生方が本当に積極的に御協力いただいて、ものすごく助かっています。ですから、今回、文科省のほうでも書き込んでいらっしゃいますけれども、高校と外部の機関、これ、大学だけではなくて研究機関ですね、公的研究機関と、あるいは企業等も含めてすごく積極的に今そういう気運が高まっていて、御協力いただける。直接出向く場合もありますし、お出でいただく場合もありますし、テレビ会議をするというふうな場合もございますけれども、本当にそういうものなくしてはなかなか理数探究はできないと思いますし、そういうのがもしうまくできれば、ものすごく効果を上げれる。ものすごく質が高くて、ものすごく深い学びにつながる画期的な科目になるというふうに考えておりますので、今の御指摘の点はすごく大事だと思います。
  それから、ちょっと違う視点なんですけれども、まず質問なんですけれども、6ページのところに、6ページの(5)の二つ目の丸のところに、名称については、教科「理数」の科目であることというふうに書いてあるんですけれども、教科「理数」というのが出来て、そこに理数探究という科目が出来るんでしょうか。
【岡本主査】    答えていただいてよろしいですか。
【平野教育改革調整官】    高等学校の教科として既に理数というものがございまして、きょうの補足で説明資料として用意させていただきました参考資料4をごらんいただければと思います。参考資料4の11ページに位置付けについて書かせていただいております。現在、教科「理数」というものはあるんですけれども、実際理数を構成している科目としては、主として専門学科、いわゆる理数科と言われるものですけれども、理数科において開設が予定されている科目だけでございまして、今回は、理数科に限らず、普通科、それ以外の学科全てに共通する科目として、教科「理数」の枠ではあるんですけれども、理数探究、理数探究基礎については位置付けてはどうかということでございます。
【小玉主査代理】    そうしますと、教える側としての免許は理科でも数学でもよいということになりますか。
【平野教育改革調整官】    はい。今の理数科についても、基本的には数学か、理科、いずれかの免許状を持った教員の方が担当されているということでございますので、基本的には数学、または理科の教員が中心になってやるということになろうかと思います。
【小玉主査代理】    最後に、6ページのところに、下から二つ目の丸の下のところなんですけれども、まず理数探究基礎と、それから活用部分の理数探究というのは、本当にこれは佐倉高校と全く同じなので、すごくすばらしいやり方だと思います。特に理数探究基礎については、総合的な学習の時間や他の教科、科目で十分に習得していると判断される場合には、直接基礎を経ずに理数探究に行っていいというふうに書いてあるんですけれども、実施率を上げるという観点からすると、総合的な学習の代替として理数探究基礎が出来るというふうなことができると、本当にこれはありがたいと考えております。
  実際、佐倉高校の理数科においては、ほぼこの形でやって、非常に効果を上げているということで、前にも申し上げましたけれども、佐倉高校の場合は、これがうまく回って、進学率が本当に驚くべきほど上がっている。例えば千葉大学ですと、現役24人だったのが43人ということで、倍以上に増えたというふうなことで、波及効果がすごくあるというふうなこともございます。是非この科目を普及させるための手立てをまた工夫していただければと思います。
【平野教育改革調整官】    失礼いたします。今、ちょうど御指摘ございました6ページ目の下から二つ目の白丸の次の白丸が、現行学習指導要領の表現を引っ張ってきているので分かりにくいかとは思うんですが、これは今、職業系の科目でやっております課題研究などを履修した場合、総合的な学習の時間を履修したものと見なすというような単位の読み替えができる規定があるんですけれども、同じような措置ができるような方向で検討してほしいということをここに書かせていただいております。
  ただ、最終的には、高等学校部会のほうで単位数ですとか、そういったものの結論は出すということになりますので、ここは要望的に書かせていただいているということでございます。
【塩澤委員】    SSHの成果をというところがあちこちに出てきているんですけれども、これまでの課題研究の成果ということと、数理探究という、多分学校現場が、これが出てきたときに、これまでの課題研究と数理探究の違いみたいなものが非常に混乱する可能性がやっぱりあるのかなと思っています。これまでの課題研究の事例集とか、そういうものは作れると思うんですけれども、数理探究にダイレクトにそれが反映できるかという部分で言えば、なかなか難しい部分があるのかなと。
  小さな例ですけれども、50校ぐらいと昨年やりとりしたときに、50校ぐらいの先生方にSSHの中で数学とのコラボをやっているところありますかと言ったら、大体約半数弱ぐらいはあったんですけれども、そのうちのほとんどがデータ処理に関する取組ということで、限定的な内容で、本当に数学と理科が融合している取組というのは二、三校、先進的にあるかないか。しかも、その二、三校の中の全てと言っていいぐらいが物理と数学ということで、他分野のところでいうとなかなかその辺のところがないという。むしろ、工業高校とか、そういったところのほうがまだ融合的なものをやっていると。それは一つは防災の問題だとか、ビッグデータの問題だとか、極端に言えば、大阪のある学校なんかは、文系の子供が写楽なんかの取組を数学的な手法を用いて斬新な取組をしたとか、かえってやりやすいところがあって、理科と数学が融合して何かするというのは、なかなかそれぞれの先生方のコラボもできないし、それぞれの深度が全然違った中で、課題研究の中にすとんと落ちていくタイミングがなかなか難しい。特に1年生の段階でやろうというのは非常に厳しい状況にあるということがあります。
  だから、その辺のところ、少し考慮していただいた上で、数学と理科の融合的なものをどういう形で各学校にインフォメーションして、先行的な取組をこれから先、意図的にしていただけるのかなというところを誘導していただければありがたいなと思っています。
  それと、最初のほうでいうと、理数探究基礎となるわけですけれども、名称としては非常に魅力的な名称なんですけれども、同じような視点で、1年生を想定したときの、それぞれ手法の問題だとか、倫理の問題とかというのは取り入れられるけれども、いわゆる探究的な側面でのテーマ設定のところで、数理的な理数的な内容をどういう形で提供していくのか。地域素材というのはあるんだろうと思うんですけれども、そういったより学校が取り組みやすい内容を少し提示していただけると、そういうことをやりながら基礎的な内容を学習していくということが次の応用のところにつながっていくのかなと思っています。
  いずれにしても、200校あるんだろうと思いますけれども、その中で、理科と数学の融合的なものを、先進的な取り組み紹介してくださいと言っても、なかなか出てこないという、この現状の中で、今の200校の中でどう処理していくのかということ、それを更に拡大していく、この作業を僕らが少しイメージ持たないと、なかなか切り込みが難しいかなと考えています。
【岡本主査】    ありがとうございます。続いて御発言いただきましょう。塩瀬先生、お願いします。
【塩瀬委員】    7ページ目の普及方策の点に関してなんですけれども、普及方策の7ページ目の下から二つ目のポツのところで、大学や研究機関などから助言が得られるような体制をというところに関するんですが、それは先ほど例えば岩田先生がおっしゃっていたシンガポールの水曜日の午後の話にも通じるんですけれども、結構現場で探究の科目をするときに、いろんな科目を調整して時間を確保するのが結構難しいというのが先生の現場の課題の一つにあって、例えばそれこそ本当に水曜日の午後みたいなのを、探究デーみたいなところをうたってしまうと、先生、そこで一緒に並べるということが言い切れるので、それに例えば大学とか企業とかも、水曜の午後と言えば探究の日なんですなというふうに。どの曜日が最適かというのは、どこで調整してもみんな文句が出るので、言い切ったほうが多分強くて、それがうまくできている学校さんは、この曜日に探究があるので、みんな時間調整もそこに合わせて徐々にしていけるので、結果、足並みそろって動きやすいんだと思うんですね。この理数探究という授業を通じて、さっきの先生方がまたがる一度のチャンスだと考えると、多分そこは何か取組ができるというふうにさえまいてしまえば、探究の理念さえ保っていれば、本当はほかの科目も調整できると思うので。それが多分さっきの助言が得られるような体制という、お金が付くとか、いろいろあると思うんですけれども、体制の一つとして、音頭をとってしまう、タイミングさえ合わせてしまうのが多分一つで、そうすると、今度は、大学側も受けるときに、大学内にも理数探究の受け方って、もし大学側にもガイドラインが出せれば、先生たちが一々説明しなくてもよくて、SSHがうまくいっている仕組みの一つって、多分SSHにはこう関わるんだというのが大学側に伝わったことだと思うので、大学と高校が接続するときの一つの手段が、大学側も、あのSSHで受ければいいんだ。実際、高校生は、SSHで来ている先生って何の先生かよく分からんまま受けているんですね。科目とテーマが合っている先生のときは、この科目で来たんだとなるけど、そうじゃないときは、何しに来たのかよく分からないまま高校生は授業を聞いていたりする。でも、おもしろいからその内容を受け取るんですけれども、理数探究みたいな方策で、探究として先生がいらっしゃるんだとなれば、多分探究の方策に関して教わっているということは学生も消化しやすくなると思うので、理数探究という科目を通じて、探究活動に高校も大学も周囲の大人も関われるという音頭がしっかりととれると、多分支援体制となるのかなと思うので、それがうまく明示できるとよいなと思いました。
【岡本主査】   続いて石井先生。
【石井委員】    先ほどPh.D.を持った方がその学校にというふうなこと、これは教員養成の段階において、探究的な学習を実施するための指導力の育成が大事じゃないかというふうな、そこと関わってくるように思うんですね。具体的に言えば、今、実は教員養成改革の中でいうと、教職大学院卒でなければなかなか修士号が出ないというのがね、修士レベルというのはそこに一本化されるところがあるんですけれども、うちの京都大学もそうですし、一般私立大学とかもそうなんですけれども、いわゆる開放制のもとで、理学であるとか、工学とか、情報学とか、そういったものの修士号であるとか博士号を持った教員をこういった理数探究をやっていくというのであれば、そういった専門性を持った教員を輩出していくことが大事なのではないかなと思うんですね。そのあたりの条件整備として、教員養成の在り方として、むしろこれまでの開放制の中でなされていた、そういった理学であるとかの専門的な学位を持った高校教員を育てていく。そのルートをよりバージョンアップする形で励ましていくというふうなことも大事なのではないかなということを感じました。
  そのときにも、ただ、探究的な学習をやっていくというときに、理学とか工学とかの専門研究ができるということが、その探究的な学びを指導できるとは限らないところもありますし、更にカリキュラム全体を活性化していくというふうな観点からすれば、まさに教科横断的に考えるといったときに、それを促すような、まさに探究的な学習を実施するための力量の形成というのも、これから教員養成段階において、指導の在り方であるとか学習支援の在り方が考えられなくてはいけないのではないかなというふうなことを思います。
【岡本主査】    ありがとうございます。いかかでしょうか。
【若山委員】    今回の肝の一つはプロセスだと思っているんですね。ここの教科のところで、例えば6ページで、「探究の過程における観察・実験の内容やその中で生じた疑問、それに対する自らの思考の過程などを『探究ノート』等として記録させ」ていく。これ、一つ、こういうのは考え方としていいと思うんですけれども、ちょっと分かっているけど、分かっていないというのをどれだけ持続させるかという、そういうのをエンカレッジするみたいなところが欠けているような気がするんですね。高等学校だけじゃないと思うんですけど。
  例えば数学ですが、数学って、積み重ねの学問だと言われていますけれども、実はきっちり分かって、次きっちり分かって、分かってというふうには恐らくなっていないような気がするんです。あるところで、大体分かったとかいう感じで進んでいって、あるとき、何か自分で発見すると、今まであやふやだった積み木がきちっと立つというか、そういう分かり方をしていると思うんです。例えば私たちは論文を書く。定理を証明して論文を書くんですけれども、そしたら、それが非常に深く理解できているかというと、それは必ずしもそうではなくて、証明はできる。答えは出せるけれども、それが本当に理解したことになっているかどうか、やっぱり疑問なところがあるわけです。そういうふうに、分からないという面をすごく大事にしていくというのが、評価もそうですし、大事かなと思っています。
  それと、先ほど岩田先生がおっしゃった、数学の教員がちょっと引き気味というのは、うなずいてしまうのが実際ですけれども、ただ、高等学校の中には非常にポジティブな先生方がいらっしゃることも事実なので、全員の先生にというわけでなくても、そこは、難しいことあると思いますけれども、せっかくここでの、成功か、成功しないかというのは、そういうところに大きく関わっているような気がいたします。
  それと、博士課程の学生が高等学校の先生というのは、今のこととちょっと裏腹なんですけれども、日本の理学部の数学科だと、わりと将来の自分のキャリアパスというのが不明確というか、非常に限定的で、博士課程に行っても、大学の教員になる以外に、最近だと例えば情報系の会社の研究職というのがあると思いますけれども、やっぱりそこに思いをやる人は少なくて、むしろ中高一貫の学校に就職したいというふうな人も結構います、気持ちとしては。やっぱり数学そのものから離れたくないという。それがちょうど引き気味だというのと裏腹のようなところもあると思うんですけれども、そんなことを、これを拝見していたり、先生の先ほどの話をお聞きしていて思いました。
【岡本主査】    丸山先生、お願いします。
【丸山委員】    最終的な文言の案としては非常によくまとまっていると思います。最初に申し上げますが、私自身、高校の教育現場、余り知らないものですから、先ほどの先生の態度とかね、知らないもので、ちょっと発言を控えておったんですけれども、この理数探究の一番大きな点は、生徒自身が常に興味を持ってということで、楽しみながらやるところで身に付くということだと私は思うんですね。そういう現状のことがあるからこういう文章に一部なるのかもしれませんけれども、数学的な考え方、捉え方、それから理科のというのは、現実にあるものをどうやって、二つが一緒になったときにいい教育ができるかというのが余りにも前提にあり過ぎるような気がいたします。どんなものでも、例えば自然現象にでも興味を持ったというのを、自然現象というのも最初から、社会現象もそうですけれども、融合的なものであって、それを理解する上で、従来の数学があり、物理があり、化学がありで、それをどんどんどんどんかみ砕いていくところで、今の従来学問を使うということだと思うので、数学の先生と理科の先生が協力してといったときに、労働がこっちが多いんじゃないかとか、そういう話になると、恐らく生徒さん自身もやる気なくなる。先生の顔見ていれば、やる気なくなるのではないかと思います。
  だから、そういう意味でいうと、当然テーマは生徒さんをまず立てて、何か興味を持たせて、それに対してどういうふうに理解してくかということをサポートするのが先生で、テーマによっては、かなり数学の先生が主体的になる部分があったり、理科の先生が主体的になる部分があったり、結果的に労働は半々にならないかもしれませんけれども、そういうようなちょっとざっくりしたサポート体制という形がこの文章に見えるといいんじゃないかと感じております。
【岡本主査】    ありがとうございます。では、竹内先生。
【竹内委員】    竹内です。まだ発言していないという点もありますし、申し上げたいと思います。今回の「とりまとめ(案)」、すごくみんなで、みんなでという言葉使いますけれども、みんなで話し合って、こうあってほしいという教育のイメージ、発見のイメージが、なるべくこうあってほしいというのが本当に文章になっていて、もちろん現場の段階では、本当にこれから試行錯誤、いろいろあると思うんですけれども、やっぱり理念の点は非常にきれいに、いい意味できれいにまとめていただいて、ありがとうございます。すごくうれしいなという気がします。
  例えばですけど、非常にいいなと思ったのが、6ページの上から3行目のところに書いていただいた、探究を進める段階の評価に当たっては、6ページ3行目ですけれども、「探究の成果における新たな知見の有無や価値よりも」と、ここまでしっかり、「よりも」次のようなことを重視しようとしっかり書いていただいて、これ、やっぱりこの挿入句ですね、「探究の成果における新たな知見の有無や価値よりも」というのはなるべく消さないでいただきたいなというのはやっぱり思います。
  ともすると、探究的と言っているのに、知見がないようなものを、別にそのままでいいのかという突っ込みがあり得るとは思うんですけれども、これをなくしちゃうと何が起きるかというと、5ページの上から5個目の白丸、「探究の課題の設定に当たっては、生徒の主体性を尊重しつつ」とあって、「その際、生徒が既に身に付けている手法を前提に」、これならできそうだなという課題を上から与えるのはやめようとしっかり書いてくださっている。これはすごくうれしいです。だからこそ、そのすぐ上の、「常に知的好奇心を持って」という姿勢を尊重できるわけです。それは6ページのさっき言った、知見なんてそうそう簡単にあるものじゃないんだから、それを高校段階で無理にやると、どうしても筋書き立てちゃうので、それは本当しなくていいんですよとしっかり言ってくれたというのは、すごくうれしいなと思います。
  私も本当に狭い経験、身の回りであれですけれども、ゼミの卒論指導。経済というのは本当にある意味何でもありで、それこそ、小林委員おっしゃったみたいに、昔の米は誰が食っていたのかなんて、まさに経済学が最近好きなトピックでもありますし、あと、一つ注意したいのは、やっぱりこらえて待つんですよね。「本当にそれ、君、好きなの?」と、私はよく聞くんですけれども、就職活動もかかっていないし、卒論の単位はそれなりのことをやれば出るので、せっかくだから、会社勤めする、何十年する前に本当に自分の好きなこと、本当にそうなのとやっていくと、2カ月ぐらいすると、出てくる人は出てくるんですね。出てこない人はしょうがないんですけど。このこらえ。出てこない人に関しても、その人なりの学びはあるわけで、横では出てきた人が、がんがんおもしろいことやっているので、そのインタラクションの中で、教員側としても、そんなに求めない。むしろぐっと待つ。で、ここに書いたものは、それで先生いいんですよと書いてくれたのは心強いなと思いました。ありがとうございます。
  もう1点、理科と数学をまたぐことに関して、やはり塩澤先生おっしゃっていたとおり、数学ってなかなか出てこないんですね。あっても、物理との接点ということで、やっぱりそうだったのかなと思いまして、塩澤委員がおっしゃっていたのは、文系のほうがかえって数学の手法にとっつきやすいのは、おっしゃるとおりかなと思いました。
  今さらですけれども、私の例ですけれども、経済学の場合、例えば前も言いましたガフトムシの角の長さというのは、ゲーム理論のナッシュ均衡の実証にすごく最適な例なので、ゲーム理論、すぐ数学でしょうし、あるいは貨幣の話をやりたいという人がいますと、取引のネットワーク、グラフ理論というのは当然出てきますし、ベンチマークやるときには、ベルマン方程式で貨幣の保有することのコストとベネフィットを出さなきゃいけないので数学使いますし、あるいは、ネットオークションにすごく興味ある。データはいっぱいとれますよね。でも、いわゆるベンチマーク、理論予想はどうするかというと、ゲーム理論、ナッシュ均衡がまずベンチマークになりますし、それを解くために、難しくするつもりなくても、すぐに偏微分方程式が出てきちゃって、難しくしたくないんですけど、偏微分方程式解かなきゃいけないと。
  経済というのは、そういう意味で数学、逆にデータがないので、ものがあまり、とにかく数学にある意味頼ってきた。そういう感じからすると、逆に、生物のほうが数学、いい意味で要らなくてうらやましいなという感じが私はあって、学術調査官しているときに、生物学のカンファレンス行きますと、本当に発見がたくさんいっぱいあって、ああ、いいなと思いまして、数学要らない、これという。侮辱ではないですよ。観測技術が上がるだけで、「だけで」と言っては失礼かもしれないけれども、発見があって、それがどんどんリポートされていく、とてもうらやましいシーンでした。
  ですから、逆に私、申し上げたいのは、別に数学、学校にあるのは、いい意味で何でもありなんですよという一つのポーズであって、これ、数学がなきゃいけないということでは決してないので、現場の数学の先生がちょっと身を引いてしまうというのは、やっぱり分かる気がするんですね。もういっぱい標本あるのに、何で数学要るのという感じが、私なんかも、経済からもそう思いますので、理科、数学をわたることに関していえば、広い意味で、逆にいいんですよ、それでと文科省のほうで言ってくれているんじゃないかという意味でポジティブに捉えています。ありがとうございました。
【岡本主査】    必ずしも私はポジティブに捉えたくないんだけれども、それはそれとして、この後、西成委員、それから大島委員、井上先生、熊倉委員、最後に小玉委員という順番で発言していただいて締めていきたいと思います。
【西成委員】    簡単なコメントなんですけれども、7ページで、どうやって普及させるか、質を高めるかというところで、最後の丸が、大学や研究機関、企業というのがありますけれども、大学も相当忙しいんですよ、基本的には。高校生、SSH含めて、高校生から質問が相当来まして、忙しくないときにはボランティア等で答えています。私の周りの先生もそうですが、忙しくなると答えられないんですね。メールが来るのは特定の先生です。大体ネットで検索すると出てくる先生とか、そういう方にばんばん質問のメールが来たりします。私の知っているところでは、そういう先生がボランティアで、自分の研究室の学生より丁寧に教えているという例もありまして。
  要するに、大学でこれをどう扱うかというのも、大学のほうも議論しないといけないと思うんですね。大学のほうにも周知して、こういう科目ができたならば、大学の先生、教員はこう関わろうというふうにしていかないと、多分大学にそのまま来ても、あまり協力が得られない場合も多いんじゃないかなというのをちょっと危惧します。だから、最後のところ、「国等においても検討すべきである」というプラス、大学においてもこれを検討すべきであるみたいな、そういうのが必要かなと思いました。
【岡本主査】    続いて大島先生、お願いします。
【大島委員】    ありがとうございます。2点あります。1点目は、西成先生が今御指摘した点と近いんですけれども、連携していくというのは非常に大事なんですけれども、連携をどうしていくかって、多分非常に難しいところだと思うんですね。先ほど出ましたIESFの話なんですけれども、IESFは実を言うと裏にエデュケーショナルプログラムというのがあって、そこでは、高校の教員と、あと大学であったり、国の方が集まって、そのときはSTEM教育だったんですけれども、それをどうするかという話だったんですね。やはり教員側としては、こういう探究活動、STEM教育をまず生徒にどうやってモチベーションさせるかということと、あと、先生方でどうやってノウハウを共有するかということがやはり悩みでありますし、大学側としても、例えばSTEM教育は非常に大事なんだけれども、それを、どういう形で大学がサポートするかということの話し合いであったりとか、国はそれをどうやってサポートするか。あと、そこに企業も入ってくるんですけれども。なので、ややある程度いろいろな方々がそういうふうな形で集って、お互いに情報を共有しながら進めていくという機会を設けるというのが必要なのではないかというのが1点目ですね。
  あと、2点目、先ほど博士課程の話が出てきたんですけれども、博士課程の学生にとって、大学教育がもしアカデミアに進むとなったら非常に大事なんですけれども、一方で、教えるということをどうするかというのも、今、一つのクオリフィケーションになっているので、そういう意味で、博士課程の学生をいろいろな形で巻き込んでいくというのは非常に大事なのかなと思っています。
  その中で是非工学部を入れていただけるといいのかなと思っていて、なかなか工学部は、もともと教員養成のプログラムがないということもあるんですけれども、なかなか工学部の卒業している、学部も含めて、修士もそうなんですけれども、なかなか教員養成のチャンスがないと。ですけれども、一方で、実を言うとやっていることは理数探究に非常に合ったことを研究していることもありますし、それを土壌として持っているので、工学部の学生、非常に多いので、そういうことも含めて、是非工学、あと、農学も含めて、いわゆる理学系だけではない別の観点での博士課程の学生も何かこういうプログラムに乗れるような形も考えていただけるとありがたいなと思っています。
  以上です。
【岡本主査】    ありがとうございます。全くそのとおりだと思います。では、井上先生、是非。
【井上委員】    読ませていただいて、すばらしいまとめができたなと思っております。
  1点だけ、全体で気づいたところは、国際性という言葉が余りにも少ないと思っております。と申しますのは、ここで議論しておられる先生方、または教育者の方は一流の研究者であり教育者であるわけですので、当然理数だったら国際性は当然だろうというのが前提かもしれませんけれども、まだまだ高校では国際性というのが当然ではございませんので、そういうところの文言を落とし込んでいただきたいと。どこでも構わない。評価のところでも構わないと思いますけれども、そういうところで、世界的な学外での研究成果の発表とかというところに、例えば国際的なところですね、そういうところの一言があるだけで、今からこれ、十数年の理数の高校のビジョンを示していく内容でございますので、是非そこらあたりをどこかで一文だけあればいいかなと思っております。
  以上でございます。
【岡本主査】    ありがとうございます。
【熊倉委員】    2点ほどお願いします。1点目は、6ページの下の丸の二つ目のところになります。理数探究基礎と理数探究に分けるというところ、これは現実のSSH校なんかでもよく行われて、大変すばらしい仕組みだということは、先ほど小玉先生が言われた、私も同じ意見を持っています。なおかつ、理数探究のみの履修を認めることも可能だということで非常に柔軟な対応ができるようになっているということも大変すばらしい仕組みだなと思うんですが、一つ、ここのところがはっきり分からないんですが、一方で逆に理数探究基礎のみを選択するということはありなのかどうなのか。本来の趣旨からいうと、理数探究でやっぱりやってほしいということを考えたときに、理数探究基礎しかやらないというふうな学校が万が一出てきてしまって、それは余り望ましいことじゃないなと正直思うわけです。ただ、一方では、もしかすると、理数探究基礎、たとえそれだけであっても、こういうものを、選択率を、少しでも多くの高校生に認めたいという考え方もあるかもしれません。どちらの考え方も成り立つんですが、もし、理数探究基礎のみの選択も可とするならば、なおさら理数探究基礎の中身、ほんの少しでもやっぱりいいので、探究の基礎的な活動を学ぶということもあるんですが、そこの内容を充実させるということも大きなことなのかなと。そこら辺の選択の在り方、それから、内容の、特に基礎の在り方というところはやはり検討をする必要があるかなと思ったことが1点目です。
  それから、2点目は、全体に関わることなんですけれども、私もこの文章読ませていただいて、本当によく出来ているなと思っていまして、是非理数探究がよい形で、私も先ほどの竹内先生と同じで、ポジティブに捉えているんですけれども、いい形で発展していくといいなと思っています。
  たまたまなんですが、きのう数学の教員の前で、理数探究について少し話をする機会がありまして、また、数学の教員と直接いろいろ意見交換をする場もあったんですけれども、やはり最初、数学の先生は、今まで出てきたように、かなりこれに対して警戒感を持っていまして、それに対して、私、個人的な意見ですけどという前提を付けながら、もっと積極的に数学が、これ、学校体制で行うんですが、理科の教員だけがやるということじゃなくて、数学の先生も積極的に関わって、そこで思う存分いろんな探究活動を生徒にやらせたらいいんじゃないでしょうか、数学の教員がやる気になって、とにかく自分も一緒に楽しみながらやるということが大事なんじゃないでしょうかみたいなことも話をしたんですけれども、そんなような中で、あまり理科と数学を、最初の議論に戻っちゃうのかもしれませんが、必ずくっつけなきゃいけないというふうにしてしまうと、なかなかそこのところがハードルが厳しいんですけれども、そうじゃなくてもうちょっと広く捉えていけばいいんだというふうになると、結構それなりに気が楽になるというんですか、そういう形になるのかなと思ったものですから、これが導入がある程度進んでいくと、どんどんどんどんこれから先、高校の教員に対して、この科目の趣旨であるとか、そういったものをどんどんアピールして、この科目がうまく進むようになるといいなと思いました。以上です。
【岡本主査】    ありがとうございました。多分科目のところは、要するに、理数探究ということでいろいろ探究的なことを学校現場でいろいろやっていくんだけれども、そのときの基礎科目というのは、基礎だけとってみたら、別に数学や理科ばっかりではなくて、もっと広く、例えば総合的学習の時間の中でそういうのを教材にして勉強するということもあっていいんじゃないかというようなことで、こういうふうに書かれてきたと思うのです。それはいいんですけど、これは全体として教科は理数ということなので、私は個人的には、理数探究基礎のほうは単に探究基礎でもいいのではないかなと思うんですけれども、あまりそれ言うと議論が混乱するので、今まで黙っていたんですけどね。だって、科目は理数なんだから、探究基礎、それで理数探究と、いいのではないかなと思うんですけど、言ってみただけですが、そういう考え方もあるんじゃないかなと思っています。
【小玉主査代理】    最後の発言、何か重大になってきましたけれども、本当にこの中身は非常にすばらしいし、これから本当に求められている内容であり、それを本当に大変よくまとめていただいているということで感謝申し上げたいと思います。
  この新科目を生かすも殺すも、今議論出ましたけれども、教員次第なんですね。本当に教員次第。佐倉高校の場合も、SSHを成功させるために、教員をどんどん採りました。手を挙げて、進学指導重点校になっていますので、手を挙げて来てもらうことができるんですね。佐倉高校で教えたいという人を、こちらからも突ついて、手を挙げさせて、採って、いい教員が集まったら、本当に加速度的にいい指導ができるようになったということで、教員次第ということになります。
  理科の先生方については私は余り心配していないんですけれども、岩田先生とかほかの先生が御指摘されたように、数学の先生。数学の先生は、本当に言っちゃなんだけど、腰が引けているし、最初は腰が引けているし、それから、部活動、数学研究のような部活動がほとんどないので。理科は部活動、物化生地、大体ありますけれども、放課後も指導している。その延長上でいけるんですけれども、数学の先生は、なかなかそういう経験もないので、目覚めていないと思っております。でも、生徒とともに理科の先生方がいて、目覚める数学の先生がいます。ああ、こういうところで実際に自然科学で使える。では、おいでよ、教えてあげるからというふうな形になるといいなということで、目覚めさせる指導資料なんかも作れるといいなと思っております。
  基本的に生徒を見ていて感じたのは、生徒は基本的に知的好奇心をとても持っております。その持っている知的好奇心に火をつけられるかどうかが教員の力量なんですね。多分岩田先生はがんがん火を、どんどん焚いちゃっているとは思うんですけれども、火をつけることができれば、生徒はどんどん行きます。
  例えば潮汐、潮の満ち引きがありますけれども、潮汐なんかも、みんな知っているよと言うんだけど、地球の反対側でも潮が満ちているんだよ、なぜだと思うというふうな問いかけをすると、本当は分かっていなかったと、自分が分かっていなかったということに気づいて、何だろうと思った瞬間に調べ始めたりする。それを解決するためには数学的手法が絶対不可欠。最終的にそれが解けた生徒はとても喜んでいました。
  ですから、生徒の知的好奇心に火をつけて、なおかつ、特に数学の先生の、そういう生徒が喜ぶ姿を見させるような指導に火をつけるための指導資料というか、そういうものが出来れば、すごくいいチャレンジになるんじゃないかなと思っております。
  以上です。
【岡本主査】    ありがとうございました。いろいろ御意見を伺いました。それで、ちょっと私、ひがんでいるんですけれども、でも、数学の先生がちゃんと頑張るといいこともあるので、それは若山先生と長尾先生が頑張ってやっていただくことを大いに期待して、お手伝いに行くということになります。
  「とりまとめ」資料についてはたくさん御意見いただきました。それを入れてまとめていきたいと思います。大筋では了解されたんだなと思っております。いただいた意見につきましては、事務局でまとめていただくわけですが、各教科の議論や学校段階の議論も踏まえますと、またいろいろなことがあると思うんですが、その辺は私のほうに御一任いただいて、それで小玉先生と相談して決めていくということでさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。また、何かのときには先生方にまた御意見を伺うこともあろうと思いますので、よろしくお願いいたします。
  また、きょう、どうしても言い尽くせなかったことや、後で気がついたということがございましたらば、是非事務局のほうにお送りいただければと思います。これも私と小玉先生とで調整しながら取り入れていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  本日の議論はこれまでということなんですが、きょう、5回にわたりまして議論やってまいりました。本当にありがとうございました。今回で一応のめどということを付けさせていただきます。委員の皆様におかれましては、お忙しいところ、お集まりいただき、また積極的に議論に参加いただき、誠にありがとうございました。主査として改めて御礼を申し上げます。
  では、事務局のほうに。
【金城教育課程課長補佐】    皆様、誠にありがとうございました。最後に事務局を代表いたしまして、大臣官房審議官の浅田のほうからお礼の御挨拶を申し上げます。
【浅田大臣官房審議官】    一言だけお礼の御挨拶をさせていただきます。岡本主査、小玉代理をはじめ、先生方には大変お忙しい時間を5回にわたって割いていただいて、おかげさまでとてもいいとりまとめをいただけそうかなと思っています。
  私、実は、六、七年前ですかね、中学校の校長していたときに、大島先生のところの未来の科学者のためのリサーチキャンパスとか、アウトリーチ活動とか、そのころから参加させていただいたりしているんですけれども、その思いというのは、簡単に言うと、理数に限らないんですけれども、子供たちに何とか勉強、学習をおもしろいとか楽しいと思わせてやりたいなということです。よく引用されますけれども、OECDのPISAの調査なんかでは、日本の子供たち、理科も算数、数学もできるんですけれども、好きかと聞くと、ほかの国よりも好きじゃない。あるいは、役に立つと思っているかというと、思っているという率はとても低い。頑張ってはいるんだけど、ちょっとかわいそうだなという思いもありまして、何とか、勉強って本当はおもしろいんだよと、できるようになるって楽しいことなんだよと思わせてやりたいなとずっと思ってきました。とりわけ、子供たちの状況を考えると、理数科関係というのは特に強くそう感じるところです。
  今回の御議論、きょうもそうですけれども、このとりまとめの案については、私の場合、4月からこの仕事していますので、途中からということになりますけれども、率直に言って、結構おもしろくなるんじゃないのかなという感想やら期待やらを持っています。もちろんこれ、実際にやるときは、どんな教科もそうですが、教える人の力量とか、熱意とか、そういうことに当然支えられなきゃいけないんですけれども、それにしても、新しい探究的科目というものの構想を先生方にしていただいたわけですが、非常にいい、将来、今後が楽しみな形にしていただけたと思っています。
  今後は、教育課程部会でまた議論をして、最終的には年度内に答申という形になると思います。答申がもちろんゴールではなくて、実際にそれがちゃんと子供たちを相手に学校現場でどういうふうに生きたものとしてやっていけるかというのは、これはまだまだ長い話ではありますけれども、是非とも今後とも、そのなりゆき、推移は是非御注目もいただきたいですし、応援も引き続きしていただきたいなと思っています。
  いずれにせよ、これまで5回にわたって大変なお力をいただきまして、どうもありがとうございました。
【岡本主査】    では、事務局のほうから。
【金城教育課程課長補佐】    失礼します。主査からもお話がございましたように、本特別チームにおけますとりまとめの議論につきましては、本日で一端終了させていただきます。今後、各教科等では、報告書を出す観点や、各学校段階別の部会等の状況を踏まえつつ、全体をまとめる部会に上げていきたと考えております。その状況に応じまして、本特別チームでの調整が必要になった場合には御参集いただくこともございますので、その際は別途御連絡させていただきます。
  また、今回、どうしても言い尽くせなかったことやお気づきの点等ございましたら、事務局まで御意見よろしくお願いいたします。いただきました御意見は、主査、主査代理と御相談させていただきます。
  なお、本日の配付資料につきましては、封筒にお入れいただき、机上に置いていただければ、後ほど郵送いたします。
  以上でございます。
【岡本主査】    ありがとうございます。では、これで本日の会議を終了させていただきます。また集まることがあるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
  どうもありがとうございました。

――  了  ――

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