資料2 産業教育ワーキンググループ(第1回)における主な意見

産業教育の改善充実について

 

○ 資格取得や技術検定などに取り組む中で、例えば段取り力、そして集中力、あきらめないで粘り強く取り組む力などが育まれている。

 

○ どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るかというところについて、教科活動の中でどのように落とし込んでいくのか。例えば、水産の分野で言えば、里海、あるいは里海資本論というような形で、身近な海をきれいにしていこう、あるいはアマモを増殖していこうという環境改善のこと、あるいは持続的な漁業資源の安定的な供給のこと、いわゆる道徳心、そういう部分を含めて教科活動にうまくはめ込めないか。

 

○ 最近、日本の大企業で不祥事が相次いでいる。正しいことなのか、正しくないことなのかは、学校時代に倫理観として身に付けておくべきなのに、なぜそういう不祥事が起きてくるのか。知識があり、読み解く力があっても、生かす能力がないというところに問題がある。

 

○ 専門高校卒業生は、半分が就職、半分が進学ということから、専門高校の中で、進学する者には学ぶ覚悟、就職する者には働く覚悟、社会に出る覚悟というか、その辺のところがいかにきちんと育てられるか。

 

○ 知識だけではなくて、その背景にある考え方ということも教えていくことが必要。


○ 「課題研究」については、一生懸命やっているところとそうでないところとの差がまだ激しいことから、「課題研究」の充実の仕方について、今後、力を入れていく必要がある。

 

○ 専門高校は、中には学力的にはそれほど高いレベルではない生徒もいるけれども、自信のなさそうな生徒が1年から2年、それから3年になるにつれて顔つきが変わるほど自信に満ちていく。これは、普通科高校はある意味で頭で覚え、専門高校は実験・実習が多く、体全体を使って体験的に学ぶということから体全体の学びという仕組みがあり、そしてもう一つは、資格取得を目指すために細かい行動目標が設定されて、一つ一つクリアすることによって自分の達成感が得られるという学びの仕組みによってどんどん自信を深めていく。

 

○ 教育課程の中にいかに企業を巻き込んで授業が推進できるかということが重要であり、明確な目標設定をすることで生徒はどんどん伸びていく。昭和53年告示の高等学校学習指導要領において、工業の教科目標の中から「科学的根拠」という文言がなくなり、基礎・基本という表現に変わっており、何をやっても基礎・基本と言われるようになっている。しかし、基礎・基本だけをやり続けたら、興味・関心が低下してしまうおそれも多分にあるのではないか。今生徒が何に興味を持っているかということを考えながら、高いレベルのものをしっかり見せて、そういった体験をどんどんさせていくことが必要。

 

○ 現行学習指導要領、そして前学習指導要領でも産業界との連携、それから地域連携という開かれた学校作りはうたわれているので、現場では十分やっているが、内容の充実という点で課題がある。どう生活に生かすか、そして、就職してそれをどのように使っていくか、そこの指導がまだまだ不十分である。 

 

○ 企業と連携してはいるが、なかなかうまくいっていないというところが正直なところで、カリキュラムをしっかり組んでいかなければいけない。

 

○ 専門高校における共通教科の学習の仕方が、生徒たちに合っていないのではないか。例えば、農業や工業の科目などでは、1年生から三角関数を使う。あるいは、橋桁、橋を架けるときにひずみがどう起きるかという、ある意味で構造計算をする。1年生からそういう高度な学びがあるにもかかわらず、実は専門高校の1年生では、詳しい論理的なことは分からなくても、数値を代入することによって、その計算の仕方はどんどんやっていく。普通科の先生は、まだ三角関数を教えていないのにそんなことやっていいのかということを言っている。

 

○ キャンパスだけにおける教育、オンキャンパスだけじゃなくて、オンコミュニティーということで、社会の中でいかに教育していくかが重要。

 

○ 工業高校では、実験・実習を中心として「課題研究」もあり、この中には3つの大きな学習スタイルがある。実験をする前の理論的な説明や実験方法の説明などの一斉学習、それを基にしながら、生徒が協力をしながら実験・実習を行う、まさに協働学習。そして、最後にレポートという形でまとめ上げて、そのレポートによって振り返りをするとともに、先生方にレポートを提出するときに質疑応答するなど、個別学習的なことをしっかりとやっている。こういった一連の流れの中で生徒はしっかりと育っており、非常に充実した取組が行われているが、ともすると、教員が教え込みをし過ぎてしまって、生徒の考える場面を奪ってしまっているということも考えられる。

 

○ 専門高校では、15歳から18歳という感性の豊かな時期に、体験的・実践的な学習を展開し、大きな成果を上げており、その教育的な意義は高いと思う。また、農業高校では農業クラブ活動というものがあり、教科活動と部活動が一緒になった活動で、その中心的な活動がプロジェクト活動である。それぞれ地域の課題を見つけながら、その課題解決に向かって探究学習をし、その成果を社会に発信するという学習が行われており、この活動を教育課程の内外にしっかりと位置付け、より充実させていくことが重要である。

 

○ 会社で勤めた経験のある教員は少ないのが実情であるので、インターンシップ先の開拓、生徒が実習をやっている姿を一緒に見させる、そういったところから教員に実際の企業の経験を積ませている。

 

○ 地域創生のことを考えた場合、地域の企業と連携し、地域産業を育成する生徒を育てたい。もう一つは、どんどん技術が進歩していく中で、設備がどうしても間に合わない。そうした場合に、地域の企業と連携しながら、そこを学びの場としてやっていくということが必要になってくる。 

 

○ 情報に関する学科の課題として、IT技術者不足と言われているにもかかわらず、専門高校の情報科から輩出する生徒数があまりにも少ないこと、情報科で採用した先生の数が全国であまりにも少ないこと、技術革新に対応した教員研修を実施していく必要がある。

 

○ 高等学校の看護に関する学科については、臨床の現場の方たちの意見を聞くと、若くして教育を受けてきている、高校に入るときから看護に進みたいという目的意識があること等があり、臨床で働く上で地域で非常に活躍してくれる人になっている、何といっても素直であるといったこともあり、非常に看護の多様なコースの中でも私は重要な位置を占めていると思う。

 

○ 地域連携というのは、1つは地域産業の実践的ですばらしい専門的な技術を学校の生徒に身に付けさせるとともに、そこで活躍する生徒を育てるという両面がある。

 

○ 専門高校は、早くからそういうところに行きたいと思った人たちが選ぶ学校であるから、中学校時代ぐらいに、もっと夢をきちんと作れるような教育が必要ではないか。

 

○ (中学校の)先生方が職業の多様性、本当の楽しさなどの社会のことを知らないと同時に、一般の方々が専門高校のことを知らなさ過ぎる。

 

○ 新規採用又は2年目までの中学校の教員の初任者研修を農業高校と工業高校にお願いしている。まず専門高校を見てもらう、その中で生徒がどういう学びをして、生き生きとした姿かということを教員が感じなければ生徒と対話ができない。

 

○ 全日本中学校技術・家庭科研究会では、全国中学生創造ものづくり教育フェアを開催しており、中学生は、そのコンテストに出てくるまでに、考えたことを形にする設計をして、実際やってみて、評価を受けて、改善して、それを繰り返し学ぶことで力を付けていく。

 

○ 日本全体の専門家とか職人に対する社会的評価が低過ぎる。社会全体として社会的地位を上げる、そういう風潮ができない限り、どんなに教育のところだけで充実させたとしても、専門高校が5割から2割に減ったという現実はなかなか変わらない。
 

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