教育課程部会 家庭、技術・家庭ワーキンググループ(第8回) 議事録

1.日時

平成28年5月11日(水曜日)13時00分~16時00分

2.場所

文部科学省旧庁舎6階 第二講堂
初等中等教育局教育課程課

3.議題

  1. 家庭、技術・家庭の改善充実について
  2. その他

4.議事録

【橋本主査】  定刻前でございますけれども、本日、御出席予定の委員が全部おそろいになりましたので、ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会家庭、技術・家庭ワーキンググループの第8回を開催いたします。
本日はお忙しい中、御参集いただきまして、まことにありがとうございます。
まず会議に先立ちまして、先月14日より続く熊本県を中心とした九州地方での一連の地震によりまして尊い命を落とされた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災地の皆様に心からお見舞いを申し上げます。
現在、我が国では被災地において昼夜を分かたず救命救助活動を行っておられる関係機関の方々をはじめといたしまして、国を挙げて多くの人々がおのおのの持ち場で支援に当たっておられます。被災者の方々の一刻も早い救援を心からお祈り申し上げます。
では最初に、事務局から配付資料について御確認をお願いいたします。
【大内学校教育官】  配付資料の確認をさせていただきます。
その前に、済みません、ちょっと会場が暑いものですから、上着の方など適宜、お召し物を脱いでいただいて、クールビズでもございますので、御対応いただければと思います。
配付資料ですが、議事次第に基づきまして、資料1から資料14が本日の配付資料になります。また、参考資料といたしまして、資料1から資料5でございます。また、机上の方に関連する資料、それから過去の資料等につきまして、タブレット端末の方に掲載しておりますので、目次の次第に沿いまして御確認、適宜いただければと思っております。
以上でございます。
【橋本主査】  それでは、議事に入ります。
本日は、報道関係者より会議の撮影及び録音の申し出があり、これを許可しておりますので、御承知おきください。
さて、本日はこれまでの御意見を踏まえまして、本ワーキンググループとしての取りまとめ文案などについて意見交換を行いたいと考えております。議事の流れといたしましては、事務局から資料に基づき説明を頂いた後に、議論の内容ごとに意見を伺いたいと思っております。
これに先立ちまして、教育課程部会の下に置かれております学校段階等別部会における議論につきまして、事務局から御紹介いただきます。小学校部会における授業時数増を踏まえた今後の時間割設定の在り方に関しての議論や、各学校段階の総則の改善イメージなどについて御紹介いただきます。
また、プログラミング教育に関する有識者会議が設置されると伺っておりますので、本ワーキンググループにおける審議を深めるために、これらの状況について事務局から説明をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】  失礼いたします。それでは、資料3、ちょっと飛びますけれども、資料14、それから参考資料2、それから追加で参考資料5というものが配られております。これらにつきまして、冒頭、順次御説明をさせていただきます。
まず資料3でございます。「小学校部会におけるこれまでの議論のとりまとめについて」という資料をごらんいただければと存じます。小学校部会におきましては、言語能力の育成、特に外国語教育の充実ということも含めて、授業時間に関わる議論がございますことから、少し各教科の議論にも役立てていくために、先んじて中間的な取りまとめをいただいたところでございます。その中間的な取りまとめがこの資料3になります。
お開けいただきますと、これまでの議論の取りまとめということでございまして、議論の現状、それからこの取りまとめの位置付けということでございます。
2ページ目に、社会に開かれた教育課程の実現に向けた小学教育の在り方ということで、特に3ページ目にございますように、小学校6年間という期間は子供たちにとって大きな幅のある期間でございますので、低学年、中学年、高学年それぞれの教育上の課題に対応した対応が必要ではないかということをおまとめいただいております。
また4ページ目には、育成すべき資質・能力とカリキュラム・マネジメントについての考え方、論点整理と同様でございますけれども、整理いただいております。
それから5ページ目でございますけれども、特に言語能力の育成ということ、語彙の形成ということも含めて、小学校段階、極めて重要でございますので、それについておまとめいただいております。言語能力ワーキング特別チームの議論も踏まえながら、言語能力、創造的思考とそれを支える論理的思考の側面、感性・情緒の側面、他者とのコミュニケーションの側面、3つの側面からおまとめいただいております。
そうした言語能力が6ページ目のとおり資質・能力の育成の基盤となるということ、各教科も含めた学習の基盤となるという整理を頂いております。
そして、それらの基盤を形成する7ページ目、国語教育の充実、小中高を通じてということ、そして併せて9ページ目以降が外国語教育の充実ということでございます。これも小中高を通じてということでございますけれども、特に小学校段階、子供たちの知的欲求が高まる段階であること、あるいは小中高を通じた生徒の英語力の国として達成すべき目標ということを踏まえた場合に、小学校の外国語教育を充実していく必要ということが11ページ目以降に記されてございます。
高学年において、聞く、話す、読む、書くの4技能ということを扱う教科学習が必要であるということ、そしてそれにつなげるために中学年から外国語学習ということでございまして、それぞれ年間35単位時間の増ということが必要になってくる。これにつきましては、中身についても積み上げていただいた上で、この時数を出しているというところでございます。
12ページ目にございますように、これらを一律に例えば週29こまというような形で小学校に実施していただくということは、小学校の多様な時間割編成の状況を踏まえれば難しいということ、そうしますと、13ページ目にもございますような短時間学習あるいは様々な柔軟なカリキュラム設定ということが必要ではないかということでございます。
13ページにございますように、小学校においては、例えば14ページ目にあるようなデータにも見られるように、様々な短時間学習を含めた時間割上の様々な創意工夫が行われているということ、こうしたことも生かしながら、今回の授業時数増ということを、柔軟なカリキュラム・マネジメントの中できちんと整理して充実させていくということでございます。
具体的には、15ページ目にございますように、これは外国語に限らずということでございますけれども、短時間学習の設定や、あるいは逆に長時間ということで、60分授業の設定、夏期・冬期期間における学習、土曜日の活用や週当たりこま数の増など、こうした選択肢の中で、地域や学校の実情に応じた柔軟な時間割編成を可能としていくということでございます。
いずれにしましても、小学校にとっては授業時数の増という負担の増ということは変わりませんので、こうしたことに対してカリキュラム・マネジメントの具体例でありますとか教材開発、指導者の確保についての見通しということをしっかりと国としても考えていく必要があるということでございます。
この柔軟なカリキュラム・マネジメントということに関しましては、外国語教育のみならず、時間割全体を見通した対応が必要になってくるということでございます。そういたしますと、教科ごとに、例えば短時間にはなじまないでありますとか、長時間であればこういう工夫ができるというようなことも考えていく必要がございますので、これに関しましては、別途、有識者会議を設けまして、小学校教育における柔軟なカリキュラム・マネジメントの在り方を中教審の議論と同時並行で進めていくという予定にしているところでございます。
続きまして、資料14でございます。これは教育課程部会、教育課程企画特別部会や各小学校部会、高等学校部会において現在、御議論いただいております各学校段階ごとの総則の改善イメージでございます。
1枚おめくりいただきますと、少し赤字で見にくいかもしれませんけれども、左側の黒字が現在の総則の構成でございます。そして真ん中の四角い枠囲みで並べてあるものが、今回、論点整理等を踏まえて総則に追加あるいは充実していくべき事項でございます。特に資質・能力でありますとか、それを育成するための学習課程の在り方、教育課程全体のカリキュラム・マネジメントの在り方など、教科横断的に先生方一人一人にしっかりと押さえていただくべき事項ということが今回たくさんございますので、そうした構造が総則を見たときにすっきりと分かるということ、あるいは学校だけではなくて、社会に開かれた教育課程という観点から、誰が読んでも教育課程の構造が分かりやすくなるということが重要であるということを御指摘いただいております。
それを踏まえまして、例えば小学校におきましては、右側にございますように、例えば前文のようなものを設けて、社会に開かれた教育課程の理念等を示していくということ、そして総則についても、まずは小学校教育の基本ということで、育成すべき資質・能力を関係法令や生きる力等の関係を整理しながらまず示すということが重要ではないかということ。そして、それらを育成するためのカリキュラム・マネジメントの在り方や学校種の接続、教科横断的な視点ということもまとめておく。あるいは第3として、教育課程の実施上、学習改善の在り方でありますとか評価の重要性ということの整理。あるいは第4といたしまして、特別な配慮を必要とする児童への指導。第5といたしまして、学習活動の充実のための基盤ということで、学級経営やキャリア教育などの視点ということ。こうしたことを分かりやすく構造的に示していけるような総則にかなり抜本的に見直すという方向性でございますので、共有をさせていただきたいと思います。
なお現在、御検討いただいております各教科の見方、考え方につきましては、この総則に別表で全ての教科の見方、考え方が一覧的に分かるというような姿を目指していきたいと考えております。
次のページは、少し細かい点も含んだものでございます。
3ページ目は、高等学校の改善のイメージで、4ページ目が具体的な改善内容でございます。高等学校、単位に関する事項等、少し小学校とは異なる部分もございますけれども、基本的には同じような考え方に基づいて構造を考えていくという方向性でございますので、こうした次の総則の姿ということも念頭に置きながら、本日、御議論いただければと存じます。
それから、アクティブ・ラーニングに関しまして、5ページ目でございますけれども、今回、様々な、特に総則・評価部会における議論がアクティブ・ラーニングに関しましては進んでおりますことを踏まえ、例えば深い学びの中に、教科等の特質に応じて育まれる見方や考え方を働かせてということを盛り込むということでありますとか、対話的な学びの中身として、他者との協働や外界との相互作用を通じてということでございましたけれども、これを少し分かりやすくかみ砕いているということでありますとか、主体的な学びの重要な要素として、自己のキャリア形成の方向性と関連付けるということを新たに盛り込んでいるという見直しを図っているところでございます。
そして6ページ目、これもまだまだ御議論いただいている最中でございますけれども、この右側に伸びている矢印が学習過程のイメージでございまして、この学習過程に3つの資質・能力が絡まり合いながら成長していくということで、深い学び、対話的な学び、主体的な学びということが実現することによって、3つの柱が例えば生きて働く知識・技能になったり、未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力として育成されたり、学びを人生や社会に生かそうとする学びに向かう力・人間性という形で資質・能力が成長していくというような、資質・能力とアクティブ・ラーニングの関係性のイメージを示したものでございます。まだまだ御議論いただいている最中でございますけれども。
そして次のページが、教育課程の構造と各教科の関係性を示したものでございます。各学校が学校の教育目標とそれに基づき育成すべき資質・能力ということを自分たちの学校で設定していくということ、そしてそれらを育む教育課程の構造の中で、各教科の学びと総合的な学習の時間や特別活動、特別な教科道徳の学びがつながり合っていくということ、そしてそうしたものと教育課程以外の教育活動、あるいは家庭や地域とのつながりというものが保たれるということ、こうしたことが少し各教科の意義ということを議論する中で関係性を示すものとして整理させていただいているところでございます。
続きまして、参考資料2になります。プログラミング教育でございますけれども、中学校においては技術分野におきまして、高校におきましては情報科におきましてプログラミング教育、教科の中で実施されますが、小学校段階におきましては特定の教科がない中で、プログラミング教育の充実ということをどのような方向性で図っていくかということを御議論いただく場を設け、13日に第1回を開催させていただく予定でございます。
おめくりいただきますと、小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成とプログラミングに関する有識者会議の趣旨としてですけれども、下の方をごらんいただきますと、プログラミング教育、様々な資質・能力を育むという側面と、プログラミング言語による記述方法を学ぶという両側面があるわけでございますけれども、様々、小学校段階でも現在、民間と連携した意欲的な取組が広がりつつございます。その一方で、学校教育として仮に実施する場合に、社会教育と同様の進め方でよいのか、小学校段階で子供たちにどこまでの力を育むということを目指すべきなのか、コーディングなど時代とともに変化しても生かせる能力というものはどのようなものなのか、また日本のカリキュラムに合った教材というものを新たに考えていく必要はないのかなど、様々、課題も多いところでございますので、こうしたことを少し御議論いただきながら、世界に誇れる日本の小学校教育の強みを生かしながらプログラミング教育をうまく取り入れていくということを目指して御議論いただく予定でございます。
一番後ろのページにございますようなメンバーで御議論いただく予定としております。議論の結果は、適宜、中教審の議論の方につながせていただくという予定でございます。
そして最後に、参考資料5でございます。教育の強靭化に向けてということで、きのう大臣から発表させていただいたメッセージでございます。
改めまして、諮問を受けてアクティブ・ラーニングなどに関しまして積極的な取組が進む一方、それに関する様々な誤解ということも生じているのではないかというような指摘もあったところでございます。その中で、改めて今回、改訂の方向性を、8月の論点整理ということを踏まえながらしっかりとメッセージとして伝えるというということの必要性が中教審の様々な部会でも指摘されていたところでございます。そうしたことを踏まえまして、改めて今回、改訂の目指すところということを少し整理して、大臣名で発表させていただいたところでございます。
1枚目は、社会に開かれた教育課程を目指したこれまでの中教審における議論の状況でございます。5月9日現在で、本ワーキングも含め126回、260時間――もう日にちが過ぎておりますので、かなりこれより伸びておりますけれども――にわたる議論を積み重ねていただいているところといったこれまでの議論の経緯でございます。
そして2枚目が、今回の指導要領が何を目指していくのかということでございます。ともすればアクティブ・ラーニングの導入により、知識というものが軽視されるのではないかというような懸念もあったところでございまして、今回は資質・能力の3つの柱、知識も含む3つの柱をしっかりと育んでいく、そのための教育課程の質的改善ということ、学習過程の質的改善ということがアクティブ・ラーニングであるということ、ゆとりか詰め込みかといった二項対立の議論に戻るのではなくて、資質・能力を育んでいくための学習過程の質的改善であり、学習内容の削減を行うということではないということでございます。こうした方向性をしっかりとメッセージとして伝えさせていただいたところでございます。
まず私からは以上でございます。
【橋本主査】  ただいまの説明につきまして、何か御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、本日、御議論いただく内容に移りたいと思います。本日の進め方なんですけれども、4つほどに区切りまして意見交換を行いたいと考えております。まず初めが、育成すべき資質・能力や見方・考え方、目標に関わる事項というところまでで意見交換を行いたいと思います。
家庭科、技術・家庭科において育成すべき資質・能力等に関わるこれまでの議論を取りまとめのたたき台案として整理していただいておりますので、事務局からこの資料に関連するこれまでの資料について、変更点を中心に説明をお願いいたします。
【大内学校教育官】  失礼いたします。それでは、お手元に、資料5、次期学習指導要領の改訂に向けた検討の進捗状況についてという資料をお手元の方に御用意いただければと思います。
こちらの資料5でございますけれども、4月の中旬に開催されました教育課程企画特別部会の配付資料といたしまして、次期学習指導要領に向けた検討の進捗状況ということで、昨年の夏に示された論点整理における指摘事項から、現在の検討の進捗状況ということで、右側から左に現時点での学校段階別部会、あるいは各教科等別のワーキンググループにおいての検討事項を整理したものが右側に載っております。
これにつきましては、本ワーキンググループにおけます検討事項、従来より示しておりましたが、資料4で示しております検討事項と対になるような形で、この柱に沿ってそれぞれの教科ワーキングにおいて検討が進められてきているということがございますので、この柱に沿った形で今回、資料6ということで、これまでの御意見を資料に基づいて整理させていただき、本ワーキンググループにおける取りまとめたたき台案ということで整理がなされているというものでございます。
今ほど橋本主査から御説明ございましたとおり、資料5のところでございますけれども、まず初めに、現行学習指導要領の成果と課題、それから2のカリキュラム・マネジメントにつきましては、先ほど大杉の方からも説明ありましたとおり、各学校段階別部会あるいは企画特別部会等において検討がなされておりますので、こちらは飛ばしまして、1、3、4、5と、育成すべき資質・能力、あるいは教育内容の改善・充実、必要な条件整理等について本日、資料6として取りまとめているということでございます。
この後、御議論いただきますのは、1の現行学習指導要領の成果と課題、それから3の(3)まで、育成すべき資質・能力を踏まえた教科等の目標と評価の在り方のうちの見方・考え方、それから資質・能力の整理、学習過程の在り方のところまでを整理したところについて御議論いただくということでございます。順次、この後、この資料5の柱立てに沿った形で御議論いただくということでございます。
本日の資料で、前回資料からの主な変更点だけ簡単に御紹介させていただければと思います。資料7-1から資料10-2までがこの後、御議論いただく関連する資料でございます。なお前回の資料につきましては、資料2の23ページ目以降が家庭、技術・家庭の前回第7回、4月13日に開催されました第7回が資料2の23ページ以降にございますので、こちら、適宜、御参照いただければと思います。
資料7-1でございますけれども、まず初めに、家庭、技術・家庭(家庭分野)における見方や考え方ということで、こちらの資料につきましては、前回、御議論は頂きましたが、主な意見としてはほぼ修正なしでよいかなと考えておりまして、表現の適正化を図るような修正を一部、例えば「見方や考え方」の「や」を補うとか、そういった、従前「・」だったんですけれども、そういうような修正を図っているということで、ほぼ前回同様の資料となってございます。
また、見方や考え方につきましては、従来より申し上げておりますとおり、様々な事象等を捉える各教科等ならではの視点や、各教科等ならではの思考の枠組みということで、そこにつきましては、黄色枠で一番上のところで家庭科としての視点という形で整理しているところでございます。
また、資料7-2でございますけれども、技術分野における見方や考え方、こちらも前回の御意見を踏まえて、表現自体を若干修正しております。例えばですけれども、技術分野の一番上のところで、見方のところですけれども、材料、生物、エネルギーや情報の特性に着目する視点として、物質を従来示しておったんですが、材料の方がいいのではないかとか、あるいはその下の内容Aのところの材料の組織や特性といった着目する視点、あるいは考え方のところの製造方法、さらには内容のAの見方以降で出てきます費用の視点も入れたらどうかというような御意見を頂戴しまして、表現ぶりの修正を図っておるところでございます。ただ、構造につきましては、家庭科家庭分野、それから技術分野につきまして、基本的には従来の形で整理させていただいております。
なお、この見方・考え方をはじめ、この後に御議論いただく資料なんですけれども、今現在、各教科等のワーキンググループというのが動いておるところでございまして、それぞれの教科で、先ほど御紹介したような視点から整理を進めているというような状況でございます。したがいまして今後、横串の視点も踏まえて、いろんな教科での表記の仕方、あるいは整理の仕方も参考にしながら、調整を図った上で、再度、見方や考え方につきまして示し方が今後、修正されるというような可能性もございますので、現時点におきましては、前回までの御意見を踏まえた形で、そのままの構造を踏襲した形で示させていただいております。
ただ、今後は各教科等の御議論を踏まえて、整理の仕方が若干変わってくる可能性もございますので、その点、御承知おきいただければということでございます。
それから、資料8-1でございますけれども、こちらにつきましては、家庭科(家庭分野)において育成すべき資質能力の整理ということで、育成する資質・能力を今回、知識・技能、思考力・判断力・表現力等、学びに向かう力、人間性という3つの柱に沿って、これまで御意見を頂き、整理を進めてきたところでございます。特に前回、御意見を頂いた際に、前回資料で申し上げますと、資料2の25ページのところで、中学校の技術・家庭科(家庭分野)、それから高等学校の家庭科において、技術というような表現を従来使っておりましたので、この表現を技術と技能というような形で、育成すべき資質・能力の3本柱に沿った形で再整理をするという観点から、例えばですけれども、衣食住に関する技術についての技能というような表現の仕方で整理させていただいておりましたが、そこについて種々御意見、頂戴いたしまして、分かりにくさであるとか、それから技能のままでも十分理解はできるのではないかというような御意見、頂戴いたしましたので、今回の資料8-1におきまして、知識・技能のところの枠組みの中で、「技能」という言葉を、前回用いておりましたような技術についての、丸々に関する技術についての技能というような表現を改めて、「技能」というような形で整理させていただいております。
また、併せてこの育成すべき資質・能力が知識・技能という枠組みの中で整理しておるところでございますけれども、この知識の中には、従来から御意見ございましたとおり、事実的な知識の部分と概念的な知識の部分があるということから、この中の表現で、具体的には知識と理解とが並置されていた部分も前回資料にはございましたけれども、そういった点も含めて再度、修正・見直しを図ったというようなところがございます。
その他の関連する箇所につきまして、いただいた御意見を踏まえ、表現ぶりの修正というのが8-1では図られております。
また、8-2の方でございますけれども、こちらは技術分野における育成すべき資質・能力の整理ということで、こちらも同じ3本柱で整理してきたところでございますけれども、技術分野における見方・考え方、家庭科も同様なんですが、これは前回の資料の際に、思考力・判断力・表現力の枠組みの中に、これまで見方・考え方というふうに位置付けて整理してきておったところでございますけれども、前回の会議の際に、見方・考え方が思考力・判断力・表現力に作用することはもちろんなんですが、それ以外の知識・技能、あるいは学びに向かう力、人間性にも働くものだというような整理が総則部会の方でも議論が行われていたことも踏まえまして、前回資料におきまして、見方・考え方を1つ外に出して整理したところでございました。
その際に、見方・考え方の中に従来ございました評価の部分の位置付けということを、思考力・判断力・表現力の中で整理してはどうかという御意見を頂戴しましたので、今回そういった形での修正、具体的には真ん中の部分の思考力・判断力・表現力等の中で示す生活や社会における問題を、技術を評価・選択・管理・運用・改良・応用するなどして解決できる能力という形で再度、整理させていただいております。また、その他、御意見頂戴しましたので、その意見を踏まえましての所要の修正というのを図っております。
それから、資料9-1でございます。こちらは家庭科、家庭分野における教育のイメージということで、目標、この後、文章で整理されている目標に関わる規定の基礎になるような部分として、教育のイメージを小中高の発達あるいは幼児教育から小学校も含めまして整理させていただいたところでございまして、こちらについては、表現の適正化の修正箇所のみで、資料9-1、及び技術に関わる資料9-2につきましても、構造それ自体に変更はございません。
例えばですけれども、9-1でございますと、高等学校以降の二重丸のところで示されておりますところで、「消費や環境に配慮した」というようなところの表現があるんですが、そちらを「消費生活や環境に配慮した」というような修正でございますとか、中学校の3つ目の丸、具体的には学びに向かう力、人間性のあたりで記載されている地域の人々との協働し生活を工夫し創造しようとする実践的な態度の育成というような課題があるんですが、こちらにまずは発達を踏まえて家族から入れてはどうかとか、そういった点の修正を図ったところでございます。技術についても同様に御意見を踏まえて表現の適正化を図ったということでございます。
最後に、資料10-1と資料10-2、学習過程の資料でございます。こちらにつきましては、従来「学習プロセス」というような言い方をしておりましたけれども、今回、ワーキンググループの取りまとめとしての項目を「学習過程」という形で、「プロセス」を「過程」という表現で統一することといたしましたので、資料の表題の修正を図っております。
また、家庭科、家庭分野につきましては、育成する力の部分が中央の部分に従来、入っておりましたけれども、こちらについては、下段に示す目指す資質・能力の部分と重複するところもございましたので、この資料からは削除するようにいたしました。
他方で、資料10-1の裏面の方にもございますけれども、思考力・判断力・表現力と関わって、その流れということは参考で、これも従来、御議論、御意見頂戴していたところですけれども、思考・判断・表現する流れの資料を裏面に参考として付けさせていただいております。
また、資料10-2につきましては、技術分野における学習過程ということで、こちらについてもこれまでごらんになっていただいた資料との関係で、表現ぶりを同じような形で、資料9までの表現と整えるような形での所要の修正を図ったということで、内容・構造につきましての変更点というのはございません。
頂いた御意見につきましては、資料1のところで示しをさせていただいておりまして、家庭科につきましては、教育のイメージについては10ページを中心に、それから資質・能力については20ページから21ページを中心に、プロセスにつきましては24ページを中心に記載させていただいております。
また技術につきましては、イメージについては36ページ、資質・能力については41ページから43ページ、プロセスについては47ページを中心に、前回の御意見を記載させていただいておりますので、後ほどごらんになっていただければと思います。
それでは、資料6の方でございます。資料6をお手元に御用意いただければと思います。こちらが前回までの御意見を踏まえまして、家庭、技術・家庭科ワーキンググループにおけるとりまとめということで、今ごらんいただきました資料に基づいて文書化したたたき台案ということでございます。
既に先週の時点で各委員の先生方に文書の方の案を、未定稿でしたが送付させていただいておりまして、その後、てにをは等も含めた変更を若干しておりますけれども、内容的な大きな変更はございません。事前にお送りさせていただいた資料からの大きな変更はございません。1カ所、変更点がございまして、大きな変更点はそこだけがございまして、具体的には、15ページの4の(1)というところで、特別支援教育の充実というところがございます。こちらにつきましては、特別支援関係のワーキンググループが変更で動いていることもございましたので、そちらの進捗状況も踏まえまして、再度、今現時点のもので最新の形での修正が図られております。後ほど御議論いただきますが、この15ページの4の(1)の部分は多少、お送りした資料からは変更がございます。それ以外についてはてにをは等の修正で、内容的に大きな変更はないと考えてございます。
それでは、資料6でございますけれども、まず1ポツ目のところですが、現行学習指導要領の成果と課題ということでございます。こちらにつきましては、昨年の夏に出されております論点整理、それから第1回のワーキンググループの際に配付しておりまして、この際に、現状あるいは成果と課題というのを配付資料として整理させていただいておりました。それに基づいて、こちらの方の執筆をしたところでございます。
具体的には、1つ目の丸、2つ目の丸において、現行学習指導要領で重視して改訂を行った点、あるいはその内容改善を図った点、それらを踏まえて、3つ目の丸のところで課題ということで、例えば家庭科、家庭分野につきましては、子供たちが家族の一員として協力することへの関心が低いこと、あるいは家族や地域の人々との関わり、社会に参画する力の育成、家庭での実践は不十分であること、こういったことが課題として整理したところでございます。
また、それを踏まえての改善の視点、充実を図る点ということで、次の丸のところで、関係機関等との連携あるいは人と関わる活動を充実していくということ、さらには原理原則の科学的な理解を深めさせるというようなこと、さらには問題解決的な学習をより充実させていくというようなことが考えられるのではないかというような形での整理を行っております。
また、1ページ目の下から3つ目の丸以降は、美術分野に関わることでございます。同様の構成になっておりまして、現行指導要領における内容改善の充実の視点、それから下から2つ目の丸のところで、産業構造の変化を背景とした求められる力というような形で、今後、必要とされるような資質・能力を整理し、併せて、次のページに参りますけれども、その資質・能力の育成の必要性というのを記載するような形での整理をしたところでございます。
それから、2ページ目の2ポツ目のところですが、育成すべき資質・能力を踏まえた教科等の目標と評価の在り方ということで、(1)のところでは見方や考え方、教科等の特性に応じて育まれる見方や考え方ということで、資料7-1を中心に整理したものでございますけれども、1つ目の丸で、家庭科、家庭分野においては、自立し共に生きる生活を創造することを重視していると。人の生涯において必要な家族・家庭、乳幼児や高齢者、衣食住の生活、消費生活や環境など、多様な生活課題を学習対象としており、これらの課題の解決に向けて見方や考え方を用いるという整理でございます。
次の丸で、具体的には「家族や家庭、衣食住、消費や環境などに関わる生活事象について協力・協働、健康・快適・安全、生活文化の継承・創造、持続可能な社会の構築、そういったような視点から解決すべき問題を捉え、よりよい生活の実現に向けて考察すること」と整理してはどうかということでございます。
また、これらの視点につきましては、学習する対象である内容に関わって、その考察するような視点というのがそれぞれ重点を置いたりすることを適切に考える必要があるのではないかということを、その後段の方で示しております。
また、2ページ目の下から2つ目の丸が、技術についてでございます。技術については、安全性も含めた社会的条件あるいは環境的条件、経済的条件などを踏まえて、適切に知識や経験を組み合わせて最適化するということで、今現在もその技術というのが生み出されてきておるということを踏まえまして、技術における見方や考え方としては、一番下の丸でございますけれども、「「材料、生物、エネルギーや情報の特性といった科学的な原理・法則に着目するとともに、問題を見出し、解決するに当たって、倫理観をもち、安全性、社会からの要求、環境負荷、費用等の様々な条件を踏まえつつ、材料の生成・成形、エネルギーの変換・伝達、生物の育成環境、情報の処理手順等を最適なものとなるよう考察する」という技術ならではの視点や思考の枠組みが用いられていて、これを技術分野における「見方や考え方」として整理」してはどうかというような整理をしたところでございます。
3ページ目以降でございますけれども、育成すべき資質・能力の整理と教科等の目標の在り方ということで、まず資質・能力について、3ページ目以降で整理がされております。
1つ目の丸、2つ目の丸につきましては、資料にもございましたけども、幼児教育あるいは小学校低学年の生活科等における資質・能力として、家庭科あるいは家庭分野に関わっての関連する資質・能力を整理させていただき、その幼児期あるいは小学校における学習の上に積み上げる形で、高学年の家庭科あるいは中学校技術・家庭科家庭分野等における育成すべき資質・能力を、3つの柱に沿って整理したというところでございます。
なお、中学校、高校におきましては、上から3つ目の丸のところですけれども、これまで用いておりました技術というのは、知識を含む技能と捉えることができることから、家庭科や技術・家庭科においては「知識及び技術」を「知識・技能」として整理するということとしてはどうかということで、技術・技能の整理について言及しているところでございます。
また、3ページ目の1、2、それから次ページの3でございますけれども、これらは育成すべき資質・能力の柱のまず知識・技能、何をしているか、何ができるかについて、それぞれの校種ごとに整理したもの、2については、思考力・判断力・表現力と知っていること、できることをどう使うかについて、小中高の発達を踏まえて整理したもの、3が、学びに向かう力、人間性等情意、態度に関わるものとして、どのように社会・世界と関わりよりよい人生を送るかという観点から、小中高で整理したものを示しているところでございます。
4ページ目の一番上の丸、技術分野に関する丸のところでございますけれども、技術分野についても家庭科と同様の構成でございまして、幼児期あるいは小学校における教科との関連、さらには高等学校情報科あるいは職業に関する教科等への接続と、そういったことにも配慮しながら、中学校段階における技術分野において育成すべき資質・能力というのを3つの柱に沿って整理しているということでございまして、こちらも家庭科と同様の構造になっているということでございます。
また、一番下の丸のところで、こうした育成すべき資質・能力を育む視点から、その目標の設定ということで、先ほどごらんになっていただきました資料9-1あるいは9-2の教育のイメージのところに関わる記載を基にして、小学校の家庭科、5ページには中学校の技術・家庭科、それから各分野ごと、技術分野、家庭分野ごと、さらには6ページにおいて高等学校家庭科における目標に関わる育成する資質・能力の設定というのを、イメージに基づいた形で文章化しているというところでございます。
6ページの(3)でございますけれども、資質・能力を育む学習過程の在り方ということで、こちらについては資料10-1及び10-2を基にして、家庭科家庭分野、それから技術・家庭科技術分野において、これまで資料に基づいて整理してきたものを文章化したということでございます。その際には、1、2、3、4というような形で、問題解決の過程において各学習場面をそれぞれ、家庭科であれば生活の課題発見、解決方法の検討と計画、3として問題解決に向けた実践活動、4として実践活動の評価・改善という形での整理を図っておりまして、技術分野についても同様に1、既存の技術の理解と課題の設定、2として技術に関する科学的な理解に基づいた設計・計画、3が課題解決に向けた製作・制作・育成、4が成果の評価と次の問題の解決の視点という形での問題解決的な学習過程において育成する力と合わせて文章化したというところでございます。
なお、技術分野の7ページに示しております下から3つ目の丸のところで、技術分野について、学習過程が一方向的・一意的に進むものではなくて、各過程間を往来するものであることでございますとか、それからこうした学習過程の中で、技術の概念を深く理解するということや、知的財産を創造・保護・活用しようとする態度、あるいは倫理観、他者と協働して粘り強く物事を前に進める態度というような態度形成とも関わって育成されるというようなことを記載するとともに、7ページ目の一番下から2つ目の丸でございますけれども、既存の技術を評価・選択・管理・運用することで解決できる問題から、改良・応用しなければ解決できないような問題に、このプロセスを通して進んでいくということから、3年間を見通して計画的に設定するということの大切さであるとか、指導要領における内容の示す順序性、あるいは内容指導時期についての検討の必要性ということも併せてこちらに記載させていただいているというところでございます。
資料6について、現行指導要領の成果と課題、それから育成すべき資質・能力、見方・考え方、目標の整理、それから学習過程まで、7ページまでになりますけれども、これまでの配付資料から文章化させていただいたということで説明させていただきました。
以上でございます。
【橋本主査】  ありがとうございました。それでは、この資料6の7ページの下から3つ目の(4)の手前のところまでと、図の方の7-1から10-2までを出していただきまして、これにつきましての意見交換を20分程度行いたいと考えております。
今回は、事務局より事前にたたき台の原案を送付していただいておりますので、それからまた御説明があったように、この後、全体の様々な部会からの調整という可能性もあるということをお含みおきいただきまして、特にこれは課題というか問題がある、明らかに修正した方がいいというような点につきまして、具体的に何かこういうふうにすべきであるとか、どうしてもここは文意が通らないのでこのようにしたらどうかというふうな形で御意見を頂ければと思っております。
意見のある方は、いつもどおり名札を立てていただきますと、順次、指名させていただきます。どのことにつきましても、この7ページのところまでのことでいいと思いますので、御意見を頂きたいと思いますので、いかがでしょうか。
橘川委員、お願いします。
【橘川委員】  内容的なことではないんですが、3ページの(2)の上から3つ目の丸3の4行目なんですが、「学びに向かう力、」それで「人間性等」の間にこれは点が入ると思うんですが、この後、何カ所かこういう表記のところがあるものですから、ここは恐らく点が入ったものになるのではないかと思います。
【橋本主査】  ありがとうございます。どんどんこのように気付いたところを。古川主査代理、お願いします。
【古川主査代理】  資料7-2をお開けいただきたいと思いますが、前回の池田先生からの御指摘もありまして、技術分野、この表の左から3つ目の欄、一番上に、「物質」となっていたんですが、これを「材料」ということで変えていただいて、それから内容Aのところ、下の段ですが、加工の技術について、これを「構造」というふうに修正いただきました。ありがとうございます。
右側の方、一番右、考え方のところですけれども、上から2つ目、「材料の製造方法」というふうに修正していただいております。これは「材料の生成方法」ということだったんですが、それを「製造方法」と変えていただいております。この方が分かりやすいかなと思います。
それに合わせて、上の考え方のところも「材料の生成」ではなくて「製造」の方が、生成というと、自動詞も他動詞も入りますが、製造というと、人間の手が入るという、そういうところですので、「製造」にしていただいた方がいいのかなと思います。
それから、考え方の上から3つ目のコラムですが、「材料の必要な形状・寸法への成形方法」、その後、「材料の構造等」とまだここはなっておりますが、この「材料の」というのを取っていただいて、「構造」という、それだけにしていただいた方が、「材料の構造」といいますと、以前から指摘しておりますように別の意味になりますので、お願いいたします。
以上です。
【橋本主査】  ありがとうございます。どしどしここをこういうふうに直した方がより文意が通るとか、ここはちょっとよく分からないのでとか、何かありましたら出していただきたいんですが、いかがでしょうか。
長澤委員、お願いします。
【長澤委員】  4ページから5ページにかけて、小学校、中学校技術・家庭、高等学校というふうにそれぞれの目標が具体的に示してありますけれども、ここの示し方は、それぞれ同じような形になっていまして、一番最初に2行又は3行ほどのリード文があって、黒ポツが3つという形で整えられています。例えば小学校の4ページ、5ページの一番上を見ていただきますと、「家庭科の見方や考え方を踏まえ、生活の中から問題を見出し云々」という文章が黒ポツの中にも「生活の中から問題を見出して課題を設定し」と示されていて、同じ文言が繰り返されています。多分、黒ポツの中はイメージの中の文言と同じだと思いますので、最初のリード文をもう少し育てたい人間像を前面に、例えば「社会の形成者としての生活者の基礎を養う資質・能力を付けるために、家庭科の見方・考え方を踏まえ、以下3つの資質・能力を育成する」とかいうふうに、もっと大きい家庭科として目指したい人間の育成像があって、それを養うために見方・考え方を踏まえて、以下の3つの資質を育成するというふうに、もう少しシンプルな形に整えていただいた方が分かりやすいと思います。御検討いただけたらと思います。
【橋本主査】  ありがとうございます。ここにつきましては、前回も長澤委員から提起があったと記憶しております。
続けて、中原委員。
【中原委員】  資料の6以外にも、先ほど御説明があった馳文部大臣の教育の強靭化に向けてとか、いろんなところで、社会について書かれていますが、資料6でいえば、「持続可能な社会」という記述になっていますが、持続可能な社会のイメージが全く湧かない。この馳さんの中に具体的に私たちが社会の一員となる2030年頃はどんな社会になっているんでしょうかというポンチ絵がありますが、家庭科にしても技術・家庭科にしても、2030年のイメージというのがどういうふうになるのかというものを、逆にさかのぼってこれからどういうふうに教育で準備していくのかというバックキャスティングで考える部分がないと、単なるお題目だけで、持続可能な社会、持続可能な社会といっても、教える方も教えられる方も分からないのではないでしょうか。
それともう一つは、2030年という、これがたまたま偶然なのかも分かりませんけれども、SDGsのいわゆる17の目標と同じ期限です。そうすると、SDGsの中の169の1つの提案が具体的に例えばこういう技術・家庭の中で、若しくはほかの教科の中でもそれが生かされているのかどうなのか検証する必要がある。国際的な公約でもありませんけれども、一応、国連を中心にして、ESDの後にSDGsという形が出てきた以上、日本国としてもそれにある程度、共感していく必要があるんだろうと思いますけれども、そういう具体的なバックキャスティングになるような目標の、若しくは言葉の表現をした方が理解しやすいのではないのかと思います。
以上です。
【橋本主査】  ありがとうございます。これにつきましては、先ほど申し上げましたように、この後、全体を通してというような中で調整が図られることもありましょうし、また「持続可能な社会」という表現にはなっていても、具体的な解説などの中で、家庭科においてはこのような具体的な視点の見方を働かせて、学習を進めるというような記述になるのかというようなところで、もうちょっと調整ということも、各教科並びでのことも必要ではないかなと私としては思っております。
では、中林委員、お願いします。
【中林委員】  お願いします。5ページ、6ページあたりの目標のところの表現ですけれども、例えば5ページの4行目に、「基礎的・基本的な知識・技能を習得する」と、小学校の家庭ではこんな書き方がございまして、その次の中学校の技術・家庭4行目のところは、「基礎的・基本的な知識・技能を習得させ」云々という文章が続きます。技術分野は、同じ構造で「習得させ」と。家庭分野の場合は、少し表現は違いますけれども、同じパーツで「習得する」というのが5ページ、それから6ページの高等学校家庭では、「知識・技能を習得する」とあります。同じことを多分、言いたい部分ではあるだろうと思うのですが、「する」と「させる」が交じっているのはいかがなものかと思いました。
以上でございます。
【橋本主査】  この辺は整理が必要だということだと思います。
鈴木明子委員、お願いします。
【鈴木(明)委員】  済みません。2ページ目の2の(1)のところの見方や考え方の一番最初の白丸の2行目ですけれども、「人の生涯において必要な家族・家庭」、ここの表現がちょっといま一つ曖昧なのではないかなと。「生涯において必要な」と、ちょっと何か断定感があるような、もう少し、生涯発達に影響を与えるとか、この「必要な」という形容詞がどこに係るのかということにもよるんですが、ちょっとそこの検討が必要かと思います。
それから、先ほどから長澤委員、中林委員もおっしゃっておられる目標の表現なんですけれども、小中高と改めて見てみますと、家庭科、家庭分野、見てみますと、先ほど長澤委員が言われたように、最初のリード文とその下の黒ポツをどんなふうに表現していくかという問題もあるんですけれども、リード文のところで、小中については2行目の「実践的・体験的な学習活動を通して」の前に「衣食住などに関する」という表現が小中ともにありますが、高校に関してはそれがない。もう少し全体的なことが目的語になるのかとも思うんですけれども、例えば中学校ではもう少し、この衣食住「など」ということで表現されているのかもしれませんが、人と関わる実践的・体験的な学習活動も盛んに行われておりますので、もう少しその辺の表現も加えて、さらに高校でも体系性を取って、何らかの表現があってもいいのかなと思います。
あと中と高の表現を見たときに、高校の家庭科では、「生活を科学的に理解し」とか「生活を科学的に探究し」というような言葉が黒ポツの中に見られるのですけれども、中学校にはそれがない。ただ深い学びのところの表現、まだ先になるのでしょうか、深い学びのところでは、中学校でも「科学的な理解」というような言葉も見られますので、突然、高校で「科学的」という言葉が入ってきているということで、ちょっと表現的に異端さを感じるなとも思いました。
以上です。
【橋本主査】  ありがとうございます。ここは非常にたくさん御意見を頂きたいところでありますので。はい、荒井委員、お願いします。
【荒井委員】  資料7-1の家庭分野における見方や考え方の文章で、下の線を引いてあるところは、「視点から解決すべき問題を捉え」と書いてあるんですが、これまでのほかの資料で見ますと、「解決すべき」という言葉のところは全て「課題」となっていますので、ここは「視点からの解決すべき課題」かなと。また、その上の行の「生活事象」という言葉も少し漠然としていますので、ここは「生活問題について」でいいのかなと思いました。
もしそのように変えますと、資料6の2ページ目2(1)の2番目の丸ですけれども、「生活事象について」と「解決すべき問題」の部分も変わってくるかなと思います。
それから、資料6の3ページ目の下から3行目ですけれども、ここで「課題を多角的に捉え、解決策を構想し、計画する力」という表現になっていますが、ここは、やはり「計画」だけでなく、「計画・実践する力」の文言が必要かなと思います。最後のところで「計画・実践等について評価・改善する力等が挙げられる」とありますので、それに対応させる必要があると思います。
以上です。
【橋本主査】  ありがとうございます。同じところでも、私はこういうふうに考えますというような御発言もまた、先ほどの目標のあたりの整理についてとか、あると思いますが、いかがでしょう。
それでは、藤木先生、お願いします。
【藤木委員】  失礼します。2ページ目の一番上、1行目になるんですけれども、前のページからの続きになりますが、ここはイノベーションに関する記述のところだと思うんですけれども、「技術革新を牽引することのできる、創造的な力の素地」、「創造的な力」というのが、創造力ではないのかな、それとも創造的な力というのはまた別のものを指すのか、ちょっと意味が捉えにくいので、むしろ独創性とか創造力とか何か、そういう言葉に置き換えた方が、中身の把握が楽になるかと思いました。
以上です。
【橋本主査】  ありがとうございます。
荒井委員は、今よろしいですか。はい。
【荒井委員】  資料8-1の育成すべき資質・能力の整理というところの高等学校の段階、特に学びに向かう力、人間性等のところの共生の部分で、「男女が協力して主体的に家庭や地域の生活を創造しようとする態度」というのが入っております。それから、これまで頂いた資料の中でも、家庭科が参考にする資料として、小中高ともに、男女共同参画社会の法律等について挙がっていますが、こういう文言を家庭科として入れておく必要があると思います。
今回の資料6を通読しまして、そこの部分がちょっと抜けているかなと思います。
目標、そのほか内容のところも、少子高齢化の部分はあるのですが、男女共同参画の部分が入っておりません。これまでの学習指導要領にも入っていたと思いますので、引き続き、その視点を入れていくということが大事かと思います。
以上です。
【橋本主査】  ありがとうございます。
奥山委員、済みません。
【奥山委員】  ありがとうございます。私も、細かいところというよりも、1ページのところなんですが、多分、全体の取りまとめの中でもいろいろこれからも検討される部分だろうと思うんですけれども、1ページ目の3つ目の丸のところなんですけれども、科学技術の発展等により人々の生活は豊かになったが、家庭や地域の教育力の低下等に伴い、子供たちが家族の一員として協力することへの関心が低いことや云々、今の家庭や地域の課題というのがここに書かれているわけです。
しかしながら、例えば子供たちが家族の一員として協力することへの関心の低下ということは、例えばお手伝いをするにしても、今はもう家電等々あって、なかなか手伝いをさせるということが難しかったり、また親の就労等々でなかなか難しいというような社会構造的な問題というのもかなりあるということで、何か全てそれを教育力の低下というところで持っていくというのも、なかなか難しいなということを感じておりますし、それから家族の捉えも、もちろん皆さんもよく御存じのとおり、かなり多様な家族観や、それからひとり世帯も多いという中で、家族の捉えもかなり多様になっているということを踏まえた表現にしていかないと、何となくこれは従来型の家族や地域の教育力の低下というような捉えだなという思いがありまして、私も文章を考えたいと思いますが、もう少しこれからに向けての新しい家族や地域の捉え、社会の捉えというのを出していけたらいいなと思って見ておりました。
以上です。
【橋本主査】  ありがとうございます。確かにちょっとステレオタイプ的なイメージというのは免れないわけですが、このあたりは、これまでの様々なものに記述されていたものを写したというようなことで、実際には「等に伴い」というふうに「等」の中に実はその社会構造の様々な変化というようなこともあるんでしょうけれども、やっぱり確かにおっしゃる部分があるんじゃないかと思いました。
長谷川委員、お願いします。
【長谷川委員】  5ページの(中学校 技術・家庭科 技術分野)の黒ポツ3つ目「よりよい生活や持続可能な社会を構築するために」、に続く「適切かつ誠実に技術を工夫し創造しようとする」の中の「誠実に」という文言は、従前からこのワーキングで検討してきたが、昨今の様々な社会問題を見たとき、非常に重要なキーワードだと思う。
【橋本主査】  ありがとうございます。またこの目標のところ、戻りますけれども、先ほど長澤委員から、この総括的に書いている以下の資質・能力を育成するというところと、具体的な資質・能力のところの表現がダブって記述があるということについて、例えばこのような形はどうか、さっき長澤委員からの御提案は1つありましたけども、何かありますでしょうかね。どうですか。またちょっと小中と高校が違いますし、ちょっと複雑なところがございますが。
藤木委員、お願いします。
【藤木委員】  失礼します。7ページの最後のところです。下から3つ目の丸の1個上の4のところですけれども、成果の評価と次の問題の解決の視点、ここでまとめられているのが、「この過程では」の後ですね。「解決結果及び解決過程を振り返る中で」という文言と、その後の「課題の解決結果及び解決過程を評価し」ということは、同じようなことを言っているのかなと。振り返るということが評価するということにかなり近いのかなという印象を受けております。
それとともに、その見出しが、「次の問題の解決の視点」ですよね。成果の評価と次の問題の解決の視点。次の問題の解決の視点のところに関する記述がちょっと弱いような気がしておりまして、少しここは文章をいじった方がいいのかなと考えました。
以上です。
【橋本主査】  ありがとうございます。
長澤委員、お願いします。
【長澤委員】  今の6ページと7ページのところの学習過程の在り方についてですけれども、家庭分野について、4まで順番に示してあります。資料の先のことに関連しますけど、今回は資料を前もってお送りいただきましたので、整合性で気になるところがございました。
例えば11ページの、先の方に行きますけれども、下から2つ目の丸に、構造化のところで、「第三には」というところの下から2行目に、「その際、家庭や地域社会における実践についても一連の学習過程として検討することも考えられる」という文言があります。この文言を4にプラス、これは5にする必要はないと思うんですが、なお書きでもいいと思いますけれども、家庭・地域での実践に係って一言加えていただいた方が整合性を図れるのではないかと思いました。
それからもう一つ、一番最初、(3)の1つ目の白丸になお書きが4行目と5行目にありますけれども、7行目の技術の部分を拝見しますと、4の下の白丸になお書きが入っていて、同じような内容がここに記述されていますので、上の白丸のところになお書きをくっつけた方が、家庭科と同じ形になるのではないかと思います。
【橋本主査】  ありがとうございます。確かに初めのところの御指摘は、家庭科、家庭分野の方の大きな特徴でもありますし、なおといってもかなり実生活に活用する実践という部分というのは、非常に大きい重みがあると思います。学習過程というのをどう捉えるかということはありますけれども、やはり教育内容としてきちんと位置付けられているということであれば、そういう考え方もあるなと思います。
それから、7ページの方の技術分野の方でのところも、確かにこれも家庭科でも共通に重要な視点と思います。
それでは、予定された時間が大体迫って……。
はい、荒井委員、お願いします。
【荒井委員】  6ページ目の(3)資質・能力を育む学習過程の在り方の①生活の課題発見というところですが、「知識・技能を基に生活を見つめ課題を設定することを通して、」「生活の中から問題を見出し」とありますが、課題を設定することを通して次があるわけではないので、ここは抜いていいのではないかと思います。
それから、長澤委員がおっしゃった各小中高の家庭の最初の前書きという部分は、これは大事なことだと思いますので、少し工夫した方がいいかなと思います。
【橋本主査】  ありがとうございます。
それでは、きょうは4つの区切をやらなければいけませんので、次の方へ進めさせていただきたいと考えております。2つ目の区切は、目標に準拠した評価に向けた評価の観点の在り方等についての議論ということでございます。
事務局から資料について説明をお願いいたします。
【大内学校教育官】  それでは、資料11-1、11-2、その後の11の補足資料というのがございます。評価の観点とその趣旨ということで、前回、御意見を頂戴した際に、資料11-1の方の資料で前回、御意見を頂戴いたしまして、それを踏まえて、表現ぶりを修正しております。
具体的には、例えばですけど、たり、たりの表現が結構あったりしたものですから、そういうものの所要の修正を図ったということと、それから評価の観点が、特に高等学校のところの評価の観点で、主体的に学習に取り組む態度に関わる観点について、小中学校と同様な形での修正を図りました。
なお、資料11-2の方なんですけれども、こちらの資料は、資料11-1と内容的には全く同じものでございますけれども、本日、今回のワーキンググループにおきまして初めて示させていただくもので、その趣旨は何かといいますと、資料11-2は、縦と横のつながりをちょっと分かりやすくする観点で、一番左側に小学校、中学校、高等学校の家庭科家庭分野に関わる観点とその趣旨、また真ん中のところに、真ん中といいますか、小中高の中学校のところの右隣の方に、中学校の技術・家庭科の教科としての観点とその趣旨の案、それからその右側に、中学校の技術・家庭科技術分野の観点とその趣旨ということで、11-1に示されている項目と内容的には同じなんですが、学校種ごとの縦のつながり、あるいは中学校技術・家庭科としての横のつながりというのを見やすくする観点で整理したものでございます。
なお、資料11の補足資料につきましては、前回と同様で、現行の指導要領下における観点とその趣旨でございまして、こちらの方のスタイルと合わせたものが11-2ということでございます。
これを受けまして、本文の方でございますけれども、資料6ですが、資料6は7ページ目以降、今ほど御議論を頂戴しました7ページ以降から10ページまでがそれぞれその目標に準拠した評価に向けた評価の観点の在り方ということで整理させていただいております。
小学校家庭科について8ページ目から、中学校技術・家庭科、それからその後に教科として中学校の技術・家庭科、その後に中学校技術分野、9ページに家庭分野、高等学校の家庭科という形での整理でございます。基本的には、資料11-1を基にした形で文章化しているということでございますので、そういった観点から再度、御確認を頂戴できればと思っております。
なお、前回、御意見頂戴した際の意見といたしましては、資料1の方の51ページに評価の関係の御意見、整理させていただいておりますので、後ほど御参照いただければと思っております。
以上でございます。
【橋本主査】  ありがとうございました。
それでは、資料6の7ページから10ページのところを中心に、資料の11-1から補足資料についてを出していただきまして、20分ほどで意見交換をしたいと思います。どの点からでも結構ですので、よろしくお願いいたします。
縦横を見ていただきまして、これもこういうふうに直した方がいいというようなことがあれば、頂ければと思いますが。
中林委員、お願いします。
【中林委員】  これもきっと言葉、この表と、それから資料6の違いなんですが、資料6でいいますと10ページに、高等学校の家庭科の方の部分で、3の関心・意欲・態度を読み替えて、今度は主体的に学習し実践する態度というふうに本文の方では入っておりますが、表の方では「学習し」というのが抜けていまして、多分、統一していった方がよろしいかなと思いました。
以上でございます。
【橋本主査】  ありがとうございます。高等学校は何かすごく教科に特徴というよりも、何か非常にシンプルな表現になっておりますけれども、この態度の部分だけは主体的に実践する態度で家庭科、技術・家庭科は統一しているというスタイルになっておりますが、そっちの方でいいのではないかということですね。
【中林委員】  何かルール上のものがあれば別です。ただ、小中高のつながりというものを大切にしているというところであれば、学習するのは、どの学校段階でも学習はしますので、なくてもいいのかなと思いました。
以上でございます。
【橋本主査】  高等学校の方はまた横串ということから見て、この評価の観点もどうなのかということもまたあるのかなとは思いますので、また現在の案ではそれで、このワーキンググループでは「主体的に実践する態度」でそろえる案ということでよろしいでしょうか。
はい。
【大内学校教育官】  誤植です。申し訳ございません。「学習する」という本文中の10ページの「主体的に学習し」の「学習し」は削除でお願いいたします。失礼いたしました。申し訳ありません。
【橋本主査】  荒井委員、お願いします。
【荒井委員】  資料11-2の高等学校家庭の評価の観点の趣旨の一番左側の知識・技能の上から4行目に、「生活に必要な技術についての知識・技能を身に付け」とありますが、この「技術についての」というのは、前回、たしか省いていただいたのかと思います。きょう頂いたもう一つの部分では「技術についての」は抜けておりますので、ここは抜くということでよろしいんでしょうか。
【橋本主査】  そうですね。事務局。
【大内学校教育官】  ありがとうございます。本当に申し訳ございません。こちらも誤植でございますので、削除させていただきます。
【橋本主査】  鈴木佳子委員、お願いします。
【鈴木(佳)委員】  授業レベルで考えたときのことで確認ですけれども、「主体的に実践する態度」というところですが、例えば中学校の技術・家庭の家庭分野のところで見ると、まず「衣食住や家族の生活などに関する知識・技能を身に付け」で点があって、「生活を工夫し創造し」で点があって、最後に「主体的に実践しようとしている」と書いてあるんですけれども、これは、「何か身に付けて創造して主体的に実践しようとしている。」だから、何か身に付けていないとだめで、創造できていないとだめで、それができた上で、主体的に実践しようとしているというようなことを示しているのではなくて、「知識・技能を身に付けようとしている。」「家族や地域の人々と協働して生活を工夫し創造しようとしている。」、さらに「主体的に実践しようとしている」というような解釈でよろしいのでしょうか。
つまり、一番左の「生活や技術についての知識・技能」という観点のところで、「基礎的・基本的な知識・技能を身に付けている」とあるわけですから、身に付けているかどうかは、この「知識・技能」という観点で見ているわけなので、授業レベルで考えたときに、もしかしたら実際の形としては身に付いていないかもしれないけれども、生徒が一生懸命身に付けようとしているという状況があれば、この「主体的に実践する態度」というところは評価できるという、そういう解釈でよろしいのでしょうか。
【橋本主査】  この辺は、例えば教科を全て終わった後の態度というレベルもあれば、途中、途中でそれなりに身に付けているというか、その学びに向かう態度としてどうなのかというふうなことを重ねていって、最終的なものに持っていくということですから、どこまでというのを、その段階によってそれは指導者のここまでという目標に子供たちがどうなのかということにもありますので、具体的には様々なレベルのものがあるのではないかと考えますが、皆さんいかがでしょうか。どなたか実践をされているような方、何か御発言いただければと思いますが、曽我部委員、どうですか。
【曽我部委員】  橋本先生のおっしゃるとおりだと思います。子供たちの学習の仕方は様々ですが「実践しようとする」姿勢に主体的が付いているので、知識と技能がないと実践には結び付かないと思いますが、「身に付けようとしている」主体性と「実践しようとする」主体性は、段階が違うので、それぞれの段階で指導者がどう評価していくのかという観点が定まっていればよいのではないでしょうか。
【橋本主査】  ありがとうございます。ほかにここのところでいかがでございますか。
長澤委員、お願いします。
【長澤委員】  9ページの技術分野の3の下に、なお書きがあって、観点別評価になじまない部分については個人ない評価云々という記述がありますけれども、これは家庭科でもやっぱり同じことが言えると思います。例えば小学校でいいますと、家族を大切にしようとする心情とか、中学校でいえば家族・地域との協働、高等学校でいえば地域社会への参画は態度として評価するとしても一部にやはり心情的な部分があり、何かその辺はやはり観点別評価になじまない、個人内評価の対象になると思いますので、同じようになお書きを検討していただきたいと思います。
【橋本主査】  ありがとうございます。特に今回、主体的に実践する態度をみるためには、この辺の工夫ということが非常に大事にはなってくると思いますので、是非、家庭科でもということになると思います。
それでは、まだたくさん課題がございますので、また最後に時間があれば全体をということで、次の区分に入らせていただいてよろしいでしょうか。
それでは、続いて資質・能力の育成に向けた教育内容の改善・充実についての議論に移りたいと思います。
事務局から資料について説明をお願いいたします。
【大内学校教育官】  それでは、資料12-1からになります。前回も御議論いただきましたけども、小中高等学校家庭科及び技術分野についての改訂の方向性ということで、4枚の資料から成ってございますけれども、こちらについての主な修正箇所といたしましては、これまで資質・能力等の配付資料と関わって、修正をいたしました箇所と同じような観点からの修正が施されていると。資料としての統一性を図る観点からの表現の修正を図った箇所のみということでございます。家庭科についてはそのような感じになってございます。
それで、技術分野、資料12-4なんですが、技術分野も基本的には同じ、これまでの資料との整合性を図っての修正なんですが、ちょっと分かりやすさの観点から、12-4の内容のところに従来、丸で示しておったんですけれども、一番右側のところなんですが、一番右側のA、B、C、Dのそれぞれの中に1、2、3という番号を付させていただきました。これはその番号に対応するものとして、その下のところに、学習過程と内容、教育の構造化のところで出てくる話でもあるんですが、学習過程、これまで学習プロセスと言っていた4つの課題を設定し、設計・計画し、製作・制作・育成し、振り返りをするというような、この学習の過程、旧学習プロセスと技術分野に示す内容が学習プロセスに全て位置付くということにより、分かりやすく示す観点から、今回、今後の方向性のところで、内容のところに番号を振るとともに、学習過程と内容のところにも同じように1、2、3と振ったということでございます。すなわちこの学習プロセスに基づいて、学習過程に基づいて、技術分野についての内容は構築されるということを分かりやすく示すという観点での修正を図りました。その他については、表現の適正化を、あるいは他の資料との整合性を図ったということでございます。
これにつきましては、資料1で申し上げますと、方向性については、家庭分野については28ページを中心に、技術分野については50ページを中心に整理しておりますので、後ほどごらんいただければと思います。
なお、本文の方でございます。本文が資料6の方の10ページからでございます。こちらについては、いきなり改訂の方向性には入らず、まず3の(1)ということで、高等学校の家庭科の科目構成の見直しと。その後に、今、少し御紹介しましたけれども、学習過程の在り方あるいは資質・能力の整理と、これらを踏まえた教育内容の構造化ということが(2)で示された後に、(3)として、現代的な諸課題を踏まえた教育内容の見直しという構造になっておりまして、これが14ページまで続くということでございます。
順に確認をしていただければと思いますが、まず初めに、10ページの3ポツのところなんですが、(1)高等学校家庭科の科目構成の見直しということで、これまで資料12-3の部分に基づきまして、現行の科目構成が今回の今後の方向性で2つの科目でその内容を示させていただいておりましたが、こちらについて文章化を図ったということでございます。
具体的には、1つ目の丸で、「高等学校家庭科については、自立した生活者として必要な生活を科学的に理解することや、生活課題を解決する能力を育成することについて一層の充実が求められている。また、選挙権年齢が18歳以上に引き下げられること等も踏まえて、共に支え合う社会の実現に向けて、家庭や地域の生活を創造しようとする態度や主体的に地域社会と関わり、参画しようとする態度の育成をすることが一層求められている」という観点から、科目の方向性と内容といたしまして、共通教科としての家庭科は、現行の「家庭基礎」2単位、それから「家庭総合」4単位及び「生活デザイン」4単位の3科目という形で構成されておるわけでございますけれども、それでこの中から必履修科目として1科目を選択的に履修するという選択必履修の形になっているわけでございますが、今回の改訂におきまして、各科目の履修状況なども踏まえまして、現行の選択必履修3科目を改めまして内容を再構成するという形で、「家庭基礎(仮称)」と「家庭総合(仮称)」の2科目としてはどうかということで整理させていただきました。
その下に、「家庭基礎(仮称)」でございますけれども、高等学校卒業段階において、自立した生活者として必須となる基礎的な内容構成とするということと、人の一生を見通して自立して生活する力を身に付けることができるように、生涯の生活を設計するための意思決定や異なる世と代関わり共に生きる力を育成することを一層明確にし、内容の改善を図ってはどうかということです。
また、「家庭総合(仮称)」につきましては、従前の家庭総合の内容を引き継ぎつつ、人の一生という時間軸、それから生活の営みに必要な生活資源と生活活動に関わる事柄である空間軸と、この2つの関連を明確にして、調査・研究、観察・見学、交流活動等の実践的・体験的な学習を充実してはどうかという形で、高等学校の家庭科の科目構成を見直してはどうかということで整理させていただきました。
また(2)でございますけれども、資質・能力の整理と学習過程の在り方を踏まえた教育内容の構造化ということで、今回、3つの柱に沿ってその資質・能力を整理したこと、あるいは学習過程の在り方を踏まえて教育内容を構造化してはどうかということで、11ページ以降に家庭科家庭分野について、まず3つ示させていただいております。
1つは、内容の系統性に基づいた枠組みの構造化ということで、内容枠組みで整理していったらどうかということでございます。児童生徒の発達の段階を踏まえまして、小学校、中学校、高等学校の各内容の接続が見えるようにするということと、小中学校において、1、家族・家庭生活、2、衣食住の生活、3、消費生活と環境というこの3つの枠組みに整理してはどうかと、整理することが考えられるのではないかということでございます。
この枠組みの構成は、2の(1)で述べた家庭科の見方や考え方とも関連しておりまして、それぞれの枠組みに関わる知識・技能については学校段階に応じて概念化・体系化されて身に付くことから、それぞれを適切に関連付けながら教育内容を構造化するということが考えられるのではないかということです。
さらに、先ほど御指摘もございましたけれども、家庭・地域社会との連携を図り、学校での学習を家庭や地域社会における実践として生かすことに留意し、各学校段階に応じて内容を改善するということも考えられるのではないかということで、第一としては、内容・系統性に基づいた枠組み、これによる構造化ということで整理いたしました。
2、第二にということでございますけれども、学校段階に応じた学習対象の構造化ということです。具体的には、家庭科家庭分野においては、空間軸と時間軸、これまでるる御議論、頂戴しましたけれども、空間軸と時間軸という2つの視点を設定していますので、この空間軸の視点では、例えば学校段階に応じて、家庭、地域、社会という空間的な広がりを持って学習対象を捉えると。具体的には、小学校では自己と家庭、中学校では家庭と地域、高等学校では家庭と地域と社会というような形で空間的な広がりを持って関わっているということを意識させるということが考えられるのではないかという整理の仕方でございます。
また、時間軸の視点では、生涯を見通すという時間的な広がりを持って学習対象を捉えておりまして、小学校では自分自身の現在、あるいはこれまでの生活ということを対象とし、また中学校では、これからの生活を展望し、現在の生活を見ていく。さらに高等学校においては、生涯を見通した生活と。人の一生の生活の営みというライフステージで捉えるということを考察の対象とするという形で、学習対象に基づく、空間軸と時間軸に基づいて構造化していってはどうかというのが第2点目でございます。
また第三といたしましては、家庭科、技術・家庭科家庭分野の学習過程を踏まえた構造化ということで、従来、学習プロセスと呼んでおりました学習過程に基づいて、生活の中から問題を見出し、課題を設定し、解決方法を検討し、計画・実践、評価・改善するというような一連の学習過程を重視しておりますので、この学習過程の中に衣食住などの学習を適切に位置付けることによって、構造化を図っていってはどうかということでございます。
また、技術・家庭科技術分野については、11ページの一番下の丸でございますけれども、先ほど資料12-4でごらんいただいたとおり、技術分野については旧学習プロセス、現在の学習過程に基づいて項目を構成する形の構造を図っておりますので、それが12ページ以降に示されておりまして、学習過程の中に指導する項目を大きく3つに分けまして、1つは生活や社会を支える技術に関わる項目、2つ目が技術による問題解決に関わる項目、3つ目が社会の発展と技術に関わる項目をそれぞれの学習過程の例えば1の生活や社会を支える技術に関わっては、学習過程のうち、主に既存の技術の理解と課題の設定という冒頭の部分で位置付けてはどうかということ、さらに2、技術による問題解決については、各学習過程全体を通じて、学習過程の4つの全てを通して適切に扱うこととしてはどうかということ、3の社会の発展と技術という項目については、主にその成果の評価と次の問題の解決の視点ですね。失礼しました。「解決に視点」になっておりますが、次の問題の解決の視点という学習過程の最後の部分を中心に扱ってはどうかという形での整理をしたところでございます。
12ページの下から2つ目の丸ですけれども、これにつきましても、12-4の資料の中に記載は従来からございましたけれども、技術に関する教育を体系的に行うために、第1学年の最初に扱う内容の、今申し上げました1、生活や社会を支える技術、この項目においては、小学校での学習を踏まえた中学校における学習ガイダンス的な内容として指導してはどうかということで整理しております。
また、教育目標の実現に向けて、高等学校との連携を踏まえるとともに、現代社会で活用されている技術がシステム化されているという実態に対応するために、今度は第3学年、最終学年においては、取り上げる内容の2の部分、すなわちその学習過程の全過程を通じて行う技術による問題の解決の部分、この項目を取り上げる場合には、他の内容の技術、すなわちA、B、C、Dの例えばですけれどもDのみではなくてCやBと合わせてというような形での他の内容の技術も含めた統合的な問題について取り扱うというような形で整理してはどうかということを記載しております。
最後に、12ページの(3)のところでございますけれども、現代的な諸課題を踏まえた教育内容の見直しということで、先ほどの資料12-1から12-3、家庭科家庭分野に関する項目について、12ページ以降から整理させていただいております。済みません、小学校の家庭科については12ページから、また13ページ以降が中学校の技術・家庭科技術分野、14ページにかけて、同じく中学校の家庭分野、最後、高等学校の家庭科という形で、資料12-1から12-4に示す内容の改善の方向性につきまして文章化させていただいたということでございます。御確認の方、御審議の方、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
【橋本主査】  ありがとうございます。
それでは、ここの14ページまでのところ、10ページの3(1)から、この間について御意見を頂きたいと思います。
橘川委員。
【橘川委員】  10ページのところで、選択必履修科目、3科目が2科目になるということにつきましては、生活デザインがやはり設置している学校数が少ないということと、あと家庭総合の内容が、これまでの内容を引き継ぎながら、実践的体験の学習を充実させるという意味では、この2科目になるということはむしろいいのではないかなと思っています。
それから、14ページの高等学校の家庭科のところで、少子化社会対策大綱ということで閣議決定されている内容を見ますと、やはりこの少子化の中で非常に家庭科教育の役割は大きいものがあると思っております。やはりここのところのどこかに、男女が共同して次世代を育む喜び、プラスのイメージになる、何かそういった文言がどこかに入ってもいいのではないかなと思っています。
【橋本主査】  ありがとうございます。私もこれを見させていただいて、生活デザインは少ないといって、少ないから、じゃあ、ないのかというとそうではなくて、やはり生活デザインの科目のよさ、実践力を付けるんだという狙いが、家庭総合とはまた違った狙いがあって科目ができているわけですから、むしろ4単位科目が1つになるということであっても、(仮称)家庭総合というのは従前の家庭総合だけじゃなくて、生活デザインの内容も、いいところを引き継いでいくということが必要なんじゃないかなと思った次第です。
ほかにいかがでしょうか。はい、古川主査代理。
【古川主査代理】  12ページですが、その前の見方・考え方、育成すべき資質・能力、目標、そういったところには、技術の場合に問題を見出し課題を設定するというのがその前には加わっているんですが、この部分にその文言が必要ではないかと思っております。
これまで相当、技術にとって一番重要な部分というのが、まず問題を見出して課題を設定するということですので、12ページの一番上の1の文章の中にそのことを含めていただけたらと思います。
【橋本主査】  ありがとうございます。
荒井委員、お願いします。
【荒井委員】  高等学校の科目構成ですけれども、3科目から1科目減ということがきょう初めて出てまいりまして、ちょっと驚いております。私たちはこれについて、今、橋本主査がおっしゃったようなことも含めて、全く議論していないと思います。
生活デザインが4単位で、履修校が少ないということが大きな理由だということは分かるんですけれども、全国的な履修状況を以前、私どもの研究仲間で調べましたら、高等学校ではかなり、3単位を扱っている学校がございます。それは家庭基礎では足らない。でも4単位は取れないときに、もう1単位、何とかという工夫をしながら、やっているというような学校もありますし、実態としてはそういう柔軟な内容の捉え方というのもできるかなと思います。このまま決まってしまうのは非常に残念であるなと思います。
それから、11ページの上から3つ目の丸、学習対象の構造化の空間軸と時間軸の視点のところですが、小学校が自分の生活とこれからの生活、中学校が現在と地域、高校はさらに社会となっております。しかし、例えば中学校の食糧問題などですと、各国との自給率の比較やマイレージなども扱っていたり、生活文化の食文化のところで他国のことを話題にしたりというようなこともございますので、なお書きのところに、例えば「空間軸の視点は社会や、国や世界へ、また時間軸の視点は、人の一生を越えて過去や未来への広がりも視野に入れ」とか、そういう一文が入っていますと、現場の先生は授業が作りやすいですし、視野を広げた授業が行いやすいかなと思います。
それから、14ページ、高等学校家庭のところですが、小学校には「家族の一員として家庭の仕事に協力する」、中学校には「家庭の機能を理解し」というような、「家族や地域の人と協働する」という意味の文言が入っておりますが、高等学校には、家族の協力、男女が協力して家庭を築くというような内容が全くありません。少子高齢化については入っておりますが、先ほども申しましたけれども、ここにもそういう文言を入れる必要があるかなと。あるいは今、社会的な課題となっている家庭と仕事の両立、ワーク・ライフ・バランスなどについても今までの資料の整理の図表の中にも入っておりますので、そういう文言を入れていただくといいかなと思います。
【橋本主査】  ありがとうございました。先ほどの2単位科目、4単位科目のことについては、改訂の方向性の図の中で、幾つということは出ていなかったんですけれども、基本的に2単位科目と4単位科目を置くということは共通認識ということであったのではないかなと思いますので。
中原委員、お願いします。
【中原委員】  資料12ですが、高等学校の家庭科、そして中学、小学校とありますが、例えば現行の学習指導要領では、家庭科基礎では人の一生と家族、家庭及び福祉とこうあって、右側に、今後の方向性とありますが、この中に、どの学年見ても社会的な費用というか社会コストのところに触れていないのは、意図的なのかなという感じがしてならない。
どうしてかといいますと、例えば今後、経済の活性化というのはほとんど望むことができないような低成長に入っていると思いますけども、例えば年金どうするのかとか、介護保険はどうなるのかとか、国民皆保険はどうするのかと、そういう公共財、公共サービスを充実させることによって個人消費を抑えて、さらに生活の質を高めるという、そういう問題点が今日的な話題としてあるにもかかわらず、全くそういうものが抜けている。社会費用に対する家庭経済の視点がないと、生活設計も恐らくライフデザインというのも考えることはできないんだろうと考えます。
まして、前のこの指導要領を見ますと、「共に支え合う」というわけですから、まさに納税の意思と、どういうふうに社会をみんなで創り出すのかという部分がやっぱりどこかで今後の方向性の中に触れておいた方がいいんじゃないのかと。私の専門分野でいったら、物を一人一人が所有することから、公共財、公共サービスを充実させることによって、共有していくという1つの新しい考え方もあるわけですから、是非そういう部分を考慮して、今後の方向性の議論に入れていただければと思います。
【橋本主査】  このことについては、前にも中原委員から御指摘もあったんですが、今、(仮称)公共の中身もまた詰めていくということもありますし、他教科とすみ分けというふうにはならない……、やはりお互いほかでもこういうふうに学びますよというような視野というのは必要なんですけれども、限られた時間の中で、どのように展開するかという問題もまた1つあると思いますので、この辺はまた事務局の方でも検討していただきたいと思います。
それでは、お待たせしました。鈴木明子委員、お願いします。済みません、曽我部委員からお願いします。どうぞ。
【曽我部委員】  荒井委員とも重なりますが、時間軸と空間軸は、小学校の発達段階で考えると、時間軸の設定は適切だと思いますが、空間軸は、選挙年齢が18歳以上に引き下げられたという点からも、小学校から地域・社会への広がりは他教科でも家庭科でも学習しているので、高等学校の主体的に地域社会と関わり参画しようとする態度は、小学校でもその素地は養えるので空間軸を拡げることもよいのではないかと思ったことが1点です。
それから2点目は、現代的な諸課題を踏まえた教育内容の見直しというところで、小学校の子供たちの現状を見ていると、消費生活が大事になり、鉛筆や消しゴムでもいっぱい持っていて、必要なものと欲しいものと子供がどういう考えをもって買っていくかがとても重要になります。結局、買ったものがごみになってしまうので、物を買う時から捨てる時のことまで考えていく学習を深めることが必要です。中学校では金銭管理が出てきますが、小学校では「消費生活」という言葉ですので、もう少し具体的な言葉が入るといいのではないかと思ったことが2点目です。
3点目が、同じく「日本の生活文化の大切さに気付く」という表現が小学校では書かれていますが、中学校は、その生活文化を「継承する」まで書いてあります。そのつながりからいくと、小学校は「気付き、継承しようとする」といった言葉がここに入ってもいいのかなと思いました。
また、家庭の仕事を家族の一員として、「人とよりよく関わる能力の育成」という言葉が小学校では出ていますが、その前に「異世代の人々と関わる」と書いてあるので、中学校のように幼児とか高齢者という言葉が、小学校でも出てきてもいいのではないかと思ったことが3点目です。
最後に、日本の生活文化を継承するということは、何が日本の生活文化なのかというモデルを明確に示していくことも大事で、教える教師の認識を共通にするためにも、研修と題材指定はこの現代的課題には重要ではないかと思います。
【橋本主査】  ありがとうございます。
お待たせしました。鈴木明子委員、お願いします。
【鈴木(明)委員】  失礼します。3点ございます。
1点目は、先ほど荒井委員がおっしゃった高校の共通教科の選択科目が1つ減るという方向についてなんですけれども、やはり様々な地域、様々な学校実態の中で、選択肢は多い方がいいかなと、近くの高校の実態とかを見ていて思いますので、慎重にそこは検討していただきたいなと思います。
2点目なんですが、12ページの現代的な諸課題を踏まえた教育内容の見直しのところの家庭科家庭分野の小中高をちょっと見渡してみますと、キーワードとして、最初にその見方・考え方で出てきていました解決すべき課題を捉える視点、4つ挙がっていますけれども、その中の2つ目、健康・快適・安全に関わる現代的な諸課題という内容がどこにも見られない。健康については、高等学校家庭のところで、1つ目の丸の3行目に「健康な食生活の実践」という、1カ所「健康」という言葉が出てくるんですが、快適・安全については見られないので、今、現代的な諸課題として、安全ということも非常に家庭の中でアプローチすべき重要な視点だと思いますので、何かどこかに挙がるといいかなと思いました。それが2点目です。
それから3点目ですが、最初に申しました「生活の科学的な理解」という表現なんですが、この14ページの中学校の家庭分野のところの3個目の丸の1行目に、中学校でもこのように「生活の自立を促すための基礎的な技能の習得や生活の科学的な理解を深めるための実践的・体験的な学習活動を」という表現がここに出てきています。こういうことが教育内容の見直しとして挙がっているとすれば、やはり最初に申しましたように、高校だけではなく、中学校でも同じ表現にするべきなのかどうかちょっと迷いますけれども、評価の観点の思考・判断・表現のところで、高校では「生活を科学的に探究し、生活を創造する」という、そういう基準、表現が見えるんですけれども、中学校では、単にその課題を設定し、工夫し、創造しているというような表現になっていまして、やはり何がしか根拠を持って、科学的な理解に基づいて、思考・判断・表現が行われるという、そこのところを基準として、小中高のすみ分けの中で中学校でも何がしかそこを求める必要もあるのかなと考えます。
以上です。
【橋本主査】  ありがとうございます。
奥山委員。
【奥山委員】  ありがとうございます。私も3点ほどあります。
まず11ページのところですけれども、皆様、他の委員からも出ております空間軸と時間軸のところですけれども、空間軸というところで、この捉えでは非常に分かりやすいとは思ったんですけれども、小学校で自己と家庭というところで、ただ中学校になっても、ある意味、もちろん自己と家庭というのを踏まえた上での家庭と地域ということではあると思いますが、やはり自分の家庭だけではなくて、よその家庭との、何と言うんでしょうかね、今のお子さんたちを見ていると、自分が育った家庭のことしか分からないという中では、本当は多様な家庭がクラスの中にもある中で、自分というところをまさに感じるのが、中学校でありますし、より中学校で自分ということを意識するということが大きいのではないかと思いますと、これをこの文章で書くということよりも、むしろ包括的に小学校での自己と家庭を、さらに中学校ではそれを包括した地域も含めた形であるとか、もっと高校では広がるというようなのが、なかなか文章にするのは難しいと思いますが、そういうことだろうなと思いつつ、この空間軸ということを捉えなくてはいけないかなと感じました。
2つ目なんですが、13ページの上のところなんですけれども、ここに「家族の一員として家庭の仕事に協力する」という表現があるんですが、こちらの資料12-1の内容のところの一番上のコラムのところ、ここにも同じように「家庭の仕事」と書いてあるんですが、これはかぎ括弧付きになっているんですね。それで何かこれ、家庭の仕事というの特出し、かぎ括弧しなくてはいけない何か理由があるのか、ちょっとその家庭の仕事って、以前でいえば家事・育児みたいなことだと思うんですが、ここで「家庭の仕事」という表現が、家庭科で取り上げる通常の表現なのかどうかというのを少しお聞きしたかったなと思っております。
それと最後、14ページの高等学校の家庭科のところですけれども、14ページの下に2つ丸があるんですけれども、「家庭基礎(仮称)」、家庭基礎の方で、「乳幼児期における内容を充実し、子供を生み育てることや子供と関わる力を身に付けること」と、ここには表現が入っております。それで、下の丸の「家庭総合」のところでは、「乳児との触れ合いや子供とのコミュニケーションに係る内容」ということで、ここは表現が分かれているんですけれども、このあたりも分かれている理由のようなものがあれば教えていただきたいと思います。
以上です。
【橋本主査】  ありがとうございます。事務局の方、何か今の時点ですぐに回答。
【筒井教科調査官】  ありがとうございました。家庭の仕事は、今の現在、家庭生活と家族の中にそういう指導項目があります。家庭の仕事と分担という指導項目があって、この協力というのは、小学校の実施状況調査から導き出されたことになっています。よろしいでしょうか。
【望月視学官】  それでは、「子供を生み育てることや子供と関わる力を身に付けること」というのと、家庭基礎と家庭総合の表現ぶりの違いなんですけれども、家庭基礎の方は、どうしても単位数が少ないものですから、乳児期における内容を充実し、特にこのあたりを重視したいということでちょっと書かせていただきました。
家庭総合の方は、少し単位数も大きいので、それももちろん家庭基礎でやっている内容も含むんですけれども、もっとコミュニケーションを取るというか、もっと育てる視点なんかも踏まえながら入れてはどうかというようなことを書きました。
ただ、非常に読みにくい部分もあったようで、またちょっと表現ぶりについては検討させていただきます。ありがとうございました。
【橋本主査】  ありがとうございます。
それでは、予定されている時間が4時ということでございますが、またきょうも休憩も取らずにやっておりまして、少しでも早く終わるということで御了解を頂いて、よろしいでしょうか。
それでは、きょうまだ御発言がない委員が何人かおられますので、その方には是非ここのところで、現代的な諸課題を踏まえた教育内容の見直しとかという部分もございますので、是非、御発言を頂きたいと思いますので、神山委員、お願いします。
【神山委員】  技術のところなんですけれども、ちょっと前回のところのディスカッションのところから何となく自分で言葉にできなくてもやもやしていたところがありまして、資料12-4のところで、目指す資質・能力等のところの最後のところの振り返りに関わるところなんですが、全体的に振り返りというのが、今までのイノベーションというキーワードに基づいて、みずから問題を見つけ出す力だったりとか問題を解決する力、それを実践していくというところでは、非常に組み込んでいただいて分かりやすくまとめていただいていると思っているんですが、それを振り返るというところの段階ですけれども、全ての言葉の表現が、過程を振り返り、今、資料12-4のところのピンクのところなんですけれども、「その過程をふり返り改善・修正しようとする態度」という言葉になっています。
この言葉が、先ほどのページ7のところの成果の評価と次の問題の解決の視点のところ等にも使われているんですけれども、技術でやっぱり大事なところということとしては、試行錯誤して自分で問題を見つけて、また間違いだったらもう一回繰り返すというところの試行錯誤を繰り返すというところだと思うんですね。
そうすると、その改善をして修正するというところで終わってしまうと、ここはだめだったねということで、次に続くというニュアンスがちょっと導き出せないのかなということで、新たなる提案をするというような言葉を御検討いただけるとありがたいなと思っています。
【橋本主査】  ありがとうございます。
指名させていただいてよろしいでしょうか。池田委員、お願いします。
【池田委員】  この辺のところは特に私、気になっているところはないんですけれども、13ページのところの丸の2つ目です。3行目、4行目、粘り強く進める態度であるとか倫理観であるとかということについては、これ、重要視していく必要があるのであろうと思います。併せて、プログラミングについてもそれと大変関わってくるところなんだろうと思います。
併せて、資料12-4ですが、これは先ほど古川委員からも提示ありましたけれども、検討事項の一番上のところ、「物質、生物、エネルギー」となっていますけど、これは「材料」ということで、また訂正をお願いできればありがたいかなと思います。
以上です。
【橋本主査】  ありがとうございます。
中林委員、お願いします。
【中林委員】  私の方は、技術・家庭が同一教科であるというところで、今、技術分野と、それから家庭分野の書きぶりを見ていて気になっているところがあるのですが、技術分野の12ページのところのなお書きになっている1つ目の丸ポツですけれども、第1学年の最初に扱う内容で学習のガイダンス的な内容を指導するということがうたわれております。現行でも、小学校の家庭科、それから中学校の家庭分野の方も最初にガイダンス的な機能というものが入っていて、学習の見通しを立てるという部分で非常に大切だと思っているのですが、並行して見比べますと、その記述が家庭科の方には入っていないのですけれども、これは今もあることなので、特出しをして改善を図るというような、そういう表現がなくても入っていくものなのか、あえてそういったものは構造上、家庭分野の方は11ページになろうかと思うのですが、第三までで、なお書きという丸ポツがないので、そこのところで見通しを持ったガイダンス的な学習が最初に必要だといったことを、書いておいた方がいいのかと気になりました。
それからもう一点。13ページのところに、小学校の家庭の方で、現代的な諸課題ということで、丸ポツの4つ目でございますけれども、3行目のところに「一部の題材を指定する」というふうに、育むべき知識・技能の確実な習得というところで入れていただいて、よかったと思います。小学校は、全教科を持っている担任の先生が家庭科の指導をなさることが多いので、特に限られた授業時数の中でしっかり身に付けさせるべきものは、今以上に題材の指定という形が必要なのではと感じております。
以上でございます。
【橋本主査】  ありがとうございます。技術分野と家庭科家庭分野のできるだけすり合わせができる部分はした方がいいとは感じております。例えば家庭科の方は、11ページの第三に書いていますが、学習過程を踏まえた構造化というところで、例えば衣食住などの学習などについては、割に同じようなパターンというか、学習過程を描けるんじゃないかなと思いますが、これが家族とか家庭生活分野とかそういうところになりますと、1つのひな形では語れないというか、行きつ戻りつというか、そういうようなことも起こってくると思いますので、どこまですり合わせができるかという点はあるのかなと思います。この辺もまた事務局の方でも御検討いただければと思います。
私から1つ事務局の方に質問させていただくんですけれども、12ページの技術の方の2、技術による問題解決のところの最後のところなんですが、「この項目は、学習過程の4つ全ての過程を通して」という、この4つというのは、内容のことを指しているんでしょうか。
【大内学校教育官】  先ほども口頭で御説明しましたが、資料12-4のところに示されておりまして、学習過程、従来、学習プロセスとこのワーキングで御議論頂戴しておりましたけども、学習過程と内容で、今回、教育内容を構造化する際に、学習過程の中に技術分野につきましてはA、B、C、Dに示すそれぞれその内容を位置付けるという形で整理してはどうかということで、この図を示しておりました。
今、橋本主査から御指摘いただきました12ページの2のところの「学習過程の4つの全ての過程を通して」というのは、この12-4の数のところで示しております、学習過程が上に実は書いてありまして、課題の設定、青字と赤の矢印で結ばれているところが学習過程で、資料で申し上げますと、それを子細に示しておりましたのが、本日の資料でいうと資料10-2で学習過程を例示しておりまして、この資料10-2で示した学習過程の上の部分と、12-4で示している内容の部分をセットで学習内容を構造化しようということを示したのが資料12-4の図になりまして、それで先ほどの橋本主査から御指摘のありました12ページの2、技術による問題解決という部分については、今回の今後の改訂の方向性に示す内容の2で、それぞれA、B、C、Dの中で示している内容になりまして、これを学習過程、先ほどの資料10-2で示している学習過程の中の全ての部分に結び付いて内容が展開されるということを文章で書き表したのが、「この項目は、学習過程の4つの全ての過程を通して適切に扱うことが考えられる」ということでございます。
【橋本主査】  その辺がちょっと誤解が生まれやすい表現かなと思ったのと、それから「学習過程」という言葉が、指導過程と、多分、教員としては指導過程ということが先に頭にあるものですから、子供たちの学習のプロセスというか、学習過程というところとの何か混乱みたいなのがちょっとあるのかなということで、そこは適切にはっきりできるようになればいいなと思ったんですが。
では調査官の方から。
【上野教科調査官】  「学習プロセス」が「学習過程」に変更となりましたので混乱しているかと思います。全部が学習過程であり、その中に「既存の技術の理解と課題の設定」という枠、「設計・計画」という枠があって、これら一つ一つの枠も過程とここで書いております。例えば頂きました御意見のように、全体が学習過程であり、それぞれの枠としての段階、ステップは、過程と呼ぶのか、それとも別の呼び方の方が分かりやすいのか、ほかの教科等も含めて調整させていただけたらと思います。
【橋本主査】  ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。鈴木佳子委員。
【鈴木(佳)委員】  まず11ページの、上から2つ目の丸の3行目ですけれども、小中学校においては今まで内容がA、B、C、Dという4つのところを3つにするということが書かれております。今まで衣食住は、「食」が別にあって、「衣と住」という形で4つになっていましたが、見方・考え方に示されている資料などからも、3つでということが示されておりますけれども、それでいいのではないかと思っております。
特に中学校は衣と住が一緒に今、示されているわけですけれども、なかなか関連した題材とかもできていないのが現状ですので、衣食住という形でまとめていただいた方が、この見方・考え方等も踏まえて分かりやすい枠組みになっていると思いました。
それと、13ページのところに、例えば一部の題材を指定するとか、日本の生活文化の大切さに気付く学習活動であるとか、あるいは家庭や地域と連携を図った生活の課題と実践に関する指導事項を設定するというようなことが書かれていて、書かれている方向としてはすごくありがたいなというか、いい方向だなと思っているんですけれども、やはり先生方が、特に小学校は免許を持たないいろいろな方が教えるということとか、中学校でも、非常勤の人とか、免許外の人が教えている、そういうような状況がありますので、できるだけ具体的な例といいますか、どういうものが、日本の生活文化の大切さに気付く学習活動なのかとか、家庭や地域と連携を図った生活の課題と実践に関する学習活動というのはこういうものだという例を具体的に示していただけたらありがたいなと。
もっと言うならば、育むべき知識・技能というのも、できるだけ具体的に、それはもしかすると学習指導要領レベルのことになるのかもしれませんが、書いていただけると、すごく現場としてはありがたいなと思っています。
よろしくお願いします。
【橋本主査】  大変難しい問題というか、学校や教員の実際の児童生徒の実態・状況に応じて様々、教材を設定するというようなことからすると、ある程度こういうものは柔軟な部分というのが必要だということにもなるので、なかなか難しいこともあると思います。
荒井委員、どうぞ。
【荒井委員】  14ページの高校の家庭科の部分です。内容が書いてございますけれども、これまでの改訂の方向性、目指す資質・能力等を見ますと、例えば生涯を見通して生活を創造する力とか、地域の生活を創っていく力ですとか、それから科学的な理解ですとか、そういうようなことが特に高校では出てきているかと思います。しかし、ここでの内容をみますと例えば家庭基礎ですと、乳児期における内容を充実し、子供に関わる力を身に付ける、それから高齢社会を支えるのに必要な生活支援技術の基礎に関わる内容の充実という文言になっておりますが、新たな学力観が十分反映されているとは言えないと思います。もう少し家庭科ならではの生活理解、科学的な理解ですとか、それから制度の理解、先ほど中原委員からも出ましたけれども、新しい科目「公共」とは違う意味で、やはり生活に必要な制度の理解というようなことも大事だと思いますので、何かそういう内容にかかわる文言を盛り込んでいただければと思います。よろしくお願いします。
【橋本主査】  ありがとうございます。
それでは、最後の区切であります学習指導の改善充実や教材の充実や条件整備等というところの意見交換を行います。
では、事務局から説明をお願いいたします。
【大内学校教育官】  それでは、お手元に資料13を御用意いただければと思います。
こちらにつきましては、前回のワーキングの際にも、これまでの御意見の中から必要な支援、条件整備等に係る部分を抜粋したもので、前回、時間が十分でなく、御議論頂戴できませんでしたので、その後、ペーパーによる御意見を頂戴しておりまして、多くの委員の先生方から御意見頂戴しまして、本当にありがとうございました。
それらを踏まえて、資料13、リバイスしておりまして、1ページ目から3ページ目にかけまして、参考の手前までですけれども、こちらの方を全て先生方からお寄せいただいた御意見の方を整理させて、示させていただいております。
具体的には、例えば1ページ目の下のところの丸でございますけれども、小中学校の連携により複数の教員による指導の可能性のことでありますとか、それから自習等で危険を伴う道具を扱うような技術・家庭科でございますので、実習等を行う際の支援員の配置、あるいは校区の中学校の専科教員との小学校とのティームティーチングの在り方の可能性とか、そういったものについて、指導体制等に関わっては御意見を頂戴いたしました。
また、他教科との連携、カリキュラム・マネジメントの話もございますけれども、そういったことの重要性について、特に今日、技術分野におきまして、プログラミング関係の、あるいは本日も御説明ございましたけれども、プログラミング関係の指導の充実の観点から、その際に関連する教科との連携、あるいは指導できる教員の指導力の向上、さらにはICT環境整備というような形についての御意見を頂戴しておりました。
それから、教員の研修あるいは配置の関係で、経験年数や専門性を考慮した研修の充実でありますとか、それからその配置の関係で、校区内での教員の定数外としての特別配置ができるような可能性、そういったことについての御意見も頂戴いたしました。
これらの中から、もともと整理しておりました項目に沿った形で、資料6の本文の方に適宜、整理させていただいているところでございます。該当する箇所といたしまして、その前に資料6の15ページのところでございますけれども、4、学習・指導の改善の充実や教材の充実というところが、3つの項目から成っておりまして、その後の18ページ以降、5、必要な条件整備等についてということで、この2つの中にそれぞれ一部反映させていただいております。
まず15ページの4の学習・指導の改善の充実や教材の充実のところの(1)のところでございます。こちらについては、冒頭、御紹介、御説明しましたとおり、特別支援関係のワーキンググループが別に動いておりまして、こちらの意見を踏まえた形で、お送りしたものからリバイスをさせていただいております。時点修正をさせていただいております。
その中で、例えば家庭科、技術・家庭科において障害のある児童生徒に対しての配慮として、以下のことが考えられるということで、中点として4つ示させていただいておりまして、1つは、例えばですけれども、学習に集中したり、持続したりすることが難しい場合、学習環境を整理・整頓することや活動のルールや手順を視覚的に明示して学習の見通しを持たせるということでありますとか、見る、触る、あるいは体感するということができるような教材・教具を活用すること、さらには小まめに努力を認める声掛けをすること等でありますとか、スモールステップによる学習の進め方や、ペアやグループでの学び合い等についての検討などの配慮ということが1つ目の中点で書かれております。
また2つ目については、同時に行うような作業あるいは事項を減らしたり、視覚的な補助を用いたりするような配慮について触れられております。
また3つ目については、技術・家庭科特有の包丁、アイロン、ミシンあるいは加工工具、電動加工機器というような用具、あるいは機器の安全使用、こちらに関わっての留意点として、手元に集中して安全に作業に取り組めるよう、個別的な対応ができるような作業スペースの確保であるとか、集中できる時間に配慮して作業時間を設定するというような配慮が必要なのではないかというような御指摘がございます。
さらに最後に、生徒が自分で設計・計画、考案することが難しい場合には、生徒が考えやすいように選択肢を設けて選ばせるというような視点でありますとか、あるいは難易度を調整したり段階的に指導を行うなどの配慮をすると。さらに設計・計画等の場面におきましては、立体を平面に書き換えることが難しいような場合に、必要に応じてICT機器、ソフトウエア等を用いるなどして、分かりやすさを分かりやすくするなどの配慮を行ってはどうかというような形で、特別支援教育の充実の箇所については修正を図っております。
また、個に応じた指導の充実ということで、15ページの一番下の丸でございますけれども、こちらについては、個に応じた指導の、個に応じて対応して行うような部分と、16ページの上のところの「また」以下のところは、いわゆる個を生かす部分という形で、個に応じる部分と個を生かす部分から、内容を構成・執筆したところでございます。
それから、16ページの(2)「深い学び」「対話的な学び」「主体的な学び」に向けた学習・指導の改善充実であります。こちらについては、家庭分野については、1つ目の中黒のところでございますけれども、深い学びを進めるためには、これまで御議論いただきました計画、実践、評価、改善の一連の「学習プロセス」になっておりますが、学習過程において、見通しを立てたり振り返ったりする学習活動を取り入れるというような指導の展開を工夫することと。またその際には、これまで、こちらも御意見頂戴いたしましたけれども、家庭科家庭分野における見方や考え方を通して、児童生徒の思考を深めることが重要であることと、さらには衣食住など生活における様々な事象や科学性を説明する活動や、判断が必要な場面、こういったものを設けて、理由や根拠を論述したり、正解が1つに絞れない課題を設定し、最適な解決方法を探求したりするなどの活動を取り入れることによって、「深い学び」を推進していってはどうかということで整理しております。
また「対話的な学び」につきましては、他者とのコミュニケーションを深める活動、あるいは他者との会話を通して考えを明確にしていく、意見を共有し互いに考えを深めるというような協働的な関係を築く学習活動を積極的に設けることの重要性に鑑みまして、活動例として、グループ活動やペア学習、討議、ディベート、ロールプレイングと、そういったものを示させていただいております。
「主体的な学び」につきましては、児童生徒が様々な生活課題の解決に向けて解決方法を考える際に、見通しを持たせるということ、あるいは主体的・協働的に課題の発見・解決に取り組み振り返るというような活動を重視していくということについて整理したところでございます。
16ページの一番下の丸は、技術分野に関わってでございまして、1つ目の中点のところでは、深い学びとして、技術分野においては問題解決的な学習を通して、生活や社会の中から技術的な問題を見出し、課題を設定し、技術が持つ特性に着目して、最適解を導くというような見方や考え方を働かせながら設計・計画、製作・制作・育成していくというような課題解決の過程を通して振り返って評価していくことが「深い学び」になるのではないかという整理でございます。
「対話的な学び」については、特に技術の特徴として整理させていただきましたのが、「また」以下のところで、もちろん生徒間あるいは教師との対話、学校外の人材はそうなんですが、また、直接、他者との対話を伴わなくとも、既製品の分解等の活動を通して、その技術の開発者が設計に込めた意図を読み取る学習活動、こういったことによって、見方や考え方を成長させるということも考えられるのではないかというような整理をさせていただいております。
「主体的な学び」につきましては、家庭科の整理と同様の観点から記載したところでございます。
それから、17ページの(3)教材の在り方のところですけれども、1つ目の丸のところ、家庭科家庭分野については、生活事象の原理・原則を科学的に理解させるという観点から、例えばICTを活用することの充実、また実物や標本、高齢者疑似体験、そういったことなどが可能となるような教材の充実ということを示させていただいております。
2つ目の丸においては、用具、ミシン等の数、適切な個数の確保、こうすることによって安全の確保や作業効率、事故防止にも大きく影響するのではないかということから、学習環境を整備していってはどうかということで整理させていただいております。
17ページの下から2つ目の丸からが技術分野でございまして、技術分野に関しては、具体的に情報に関する技術を今回、充実を図る観点も1つとしてあるわけでございますけれども、その際に、授業で用いる情報端末、模型等の計測・制御機器の選定、プログラミングに関する内容の充実に対応した必要な機能を持ったプログラムの開発環境の整備というようなことが必要なのではないかということ。
さらに17ページから18ページに関わりまして、例えばですけれども、分解用の機器等を適切に整備したり、3DCAD、あるいは3Dプリンター、そういったものなどのモデルを設計・試作するための教材を必要に応じて整備したりすることについても検討することが必要なのではないかという形で整理させていただきました。
次に、5、必要な条件整備等のところです。こちらは(1)で他の教科等との連携、カリキュラム・マネジメントの視点でということでございますけれども、家庭分野については、例えば他教科等で行う実践的・体験的な学習との関連ということから、指導の時期等について検討していくという必要性、あるいは食育の推進に関わって、小学校低学年の生活科や体育科、あるいは特別活動、道徳、総合的な学習の時間における学習ということも行われておりますので、こうしたものを踏まえながら、それぞれの特質に応じた連携の在り方について検討することが考えられるのではないかという点。
さらに、消費生活、環境、伝統文化、防災等、教科横断的に取り上げられる教育に関しましては、総合的な学習の時間等、関係する教科等とそれぞれ特質に応じた連携の在り方について検討してはどうかと。
また、校外での学習といったこともありますので、生徒の安全確保、あるいは校内の指導体制の充実、そういった計画を立てる必要があるのではないかというような点をカリキュラム・マネジメントの他の教科との連携の視点で盛り込んでおります。
ほかにも外部との連携の必要性、あるいは家庭科でございますので、実習室あるいは実習環境の整備という観点から、先ほども御意見として頂いておりましたが、中学校の家庭分野の担当教員と小学校の学級担任との連携した指導というようなことが考えられるのではないかということで整理しております。
18ページの一番下の丸ですけれども、技術・家庭科技術分野に関わっては、小学校の図画工作科における道具の操作に関する技能、様々な材料に触れる体験、工夫して製作する力、理科における技術に関係する科学的な原理・法則の知識等々、関連する教科において行われる、例えばですけれども、コンピューターの基本的な操作技能、あるいはものづくりや作物の栽培体験、そういったものを技術分野における問題の解決に必要な知識と技能の習得状況、あるいは生徒の興味・関心の方向性等を考慮いたしまして、技術分野において取り上げる題材というのを、関連する教科での取り扱いを踏まえながら検討していく必要があるのではないかというような点。
また、技術分野の内容が、高等学校を念頭に置き、共通教科の情報でありますとか職業に関する科目等への学習につながるということを意識した指導が必要ではないかということを整理しております。
次の丸ですけれども、中学校における他教科との横の連携については、例えば中学校技術・家庭科技術分野における指導と、数学科における投影図と設計図、あるいは理科における電気・運動の内容とエネルギー変化における設計等を、技術分野における問題の解決に必要となる知識・技能の他教科の指導の状況等を踏まえまして、技術分野に関係する内容の指導時期というのが、それぞれ関係する教科の指導を踏まえて、技術分野における指導時期を検討する必要があるのではないかというような点がございます。
その他、総合的な学習の時間等、教科横断的に捉えられる事項については、家庭科と同様で、検討する必要があるのではないかとしております。
また、技術分野の内容に応じて、工業試験場、農業試験場、民間企業、博物館、科学館等、関連する分野の専門高校との連携、こういったことも考えられるのではないかということで整理しております。
19ページの下から2つ目の丸の他教科との関連のところで、最後のところでございますけれども、近年、科学、技術、工学、数学の分野を総合的に取り扱ったSTEM教育の例のようなものもございますので、そういったことも念頭に置きながら、技術分野で育成された資質・能力を関連する教科等において活用するという機会の設定、これについて、関連する教科等においての検討の必要性ということにはなってまいりますが、そういったことも考えていく必要があるのではないかということで整理いたしました。
最後に、(2)の教員の資質向上のところでございますけれども、こちらについては、指導対象である生活や技術が変化するというのが家庭科、技術・家庭科の教科の特質であるということを踏まえまして、教員が常に新たな情報を入手し、教材の研究や指導力の向上、こういったことを図ることができるような研修の充実と、またあるいは臨時免許状での担当教員に対する研修の充実や非常勤講師の確保などによりまして、質の向上に努めるということが考えられるのではないかということで整理したところでございます。
以上、4の学習内容の指導の充実改善、教材の充実と必要な条件整備等について、よろしく御審議のほど、お願いいたします。
【橋本主査】  それでは、残り15分ほどになってしまいましたけれども、15ページ以降ということで、資料13にも様々な御意見を伺っているところでありますけれども、例えば19ページの教員の資質向上のところは1つしかないじゃないかという見方はありますけれども、各教科に全般に通じることであると、多分、総則・評価部会とかそういうところでもうたわれるのではないかなと思いますので、特にこのワーキンググループで是非ともこういう点はやはり課題でもあるし、是非というようなことからの御発言を頂ければありがたいです。いかがでしょうか。
橘川委員。
【橘川委員】  生活経験が不足しているということで、TTとか少人数による指導の配慮ということを入れていただいて、ありがとうございます。
19ページのところなんですけれども、教員の資質向上というところで、ここは質の高い家庭科、技術・家庭科教育を進めるということで、全体的に教員の資質向上となるわけですから、あえてここで「臨時免許状の担当教員の研修の充実」という文言は入れなくてもいいのではないか。やはりむしろ臨時免許状の教員の授業が、いろいろな問題も現場では抱えておりますので、あえてここで入れる必要はないのではないかなと思いました。
【橋本主査】  ありがとうございます。
ほか、いかがでしょうか。荒井委員。
【荒井委員】  ここの部分の内容の括り方についてですが、(1)のなかに特別支援教育の充実と、個に応じた学習の充実が並列で一つに括られています。しかし、この個に応じた学習の充実のティームティーチングの指導、少人数による指導、これは非常に重要なところなので、特別支援教育の充実とは別に、独立した項目としていただいた方がいいかなと思います。
それから18ページの、5「必要な条件整備等について」の下から2番目に「小学校家庭科においては、実習等の安全の確保や実習室等の環境の整備と管理のため、専門性の高い教員による指導が効果的」とあるんですが、これは小学校だけではなくて、中高全く同じことが言えると思います。この専門性の高い、しかも実習もある教科には、小中高校を通して常勤講師が必要であるということは、どこかではっきり書いていただきたいと思います。
このことと関連して、(2)の教員の資質向上のところの非常勤講師の確保というのは、これは授業があれば当然のことなので、それではなくて、やはり常勤講師の確保が必要であるということを入れていただければと。幾つかにまたがっておりますけれども、それらをまとめて入れていただければいいかなと思います。
以上です。
【橋本主査】  ありがとうございます。
続いて池田委員、お願いします。
【池田委員】  17ページの下から2つ目の丸です。「各内容に応じた教材の整備について検討することが求められる」ということなんですけれども、特にこれ、情報については、急激に発達していくと思われます。20年後、今あるものは、多分、おもちゃ以下のものになっているだろうと思われます。
そういった意味では、そういった計測・制御用の機器を選定していただいたり、教育委員会等に御指導いただいて、こういったものは最低、準備しなければいけないというものを指示しないと、現在でも計測・制御のところで、ロボットさえ購入できないという学校も結構ありますので、ほかで一応、済ませてしまうというところがありますので、是非この辺、環境の整備をお願いしたいと思います。
併せて、プログラミング学習についても充実させるということになっておりますので、この環境につきましても、最低こういったものができる環境であるということは指示していかなければ、今、セキュリティの関係で、各教育委員会でかなり対応が違ってきていますので、全くプログラムを入れられないという、そういう組織もありますので、その辺は対応が必要なんだろうと思います。
それから、19ページ、一番上のポツ、技術分野の内容におけるということで、高校の情報ということですけれども、高校の情報も10年前の情報の内容を見ると、かなり今見るとどうなのかなというような内容になっております。高校とのやはり連携を考えると、中学校での指導内容も十分考慮しながら、子供たちは学びの連続性というのが大事ですので、そういったことを考慮しながら入れていく必要があるんだろうと思います。
最後、教員の資質向上。あえて臨時免許状という話もあるんですけど、現実には臨時免許で動いている県がたくさんあるわけですので、この人たちの指導力がなければ、変な言い方をしますけども、のこぎりは誰でも持てるけどプログラミングは教えられないよと。持っていれば教えられるかというものでもないですので、その辺のことも考えて、しっかりとそういった方たちにも指導を悉皆でやるぐらいなことをしていかなければ、多分、指導が行き渡らないだろうと思います。
非常勤講師についても同じような状況だと思いますが、しっかりと新任を採用していくのは当然のことだろうと思いますけれども、採用する、しないは各自治体の判断ですので、ない袖は振れないといえばそれまでになってしまいますので、少なくとも指導できる教員、指導する教員にはしっかりとした研修をさせるということを条件付けるべきだと思います。
以上です。
【橋本主査】  ありがとうございます。
ほかにいかがですか。鈴木佳子委員。
【鈴木(佳)委員】  今のことに関連して、学校の規模がどんどん小さくなってきていますが、学級数によって教員の数が決まってきてしまうので、例えば3学級しかないと、何人というふうに決まってきてしまいます。そうすると中学校の技術・家庭は、授業時数が少ないものですから、非常勤講師対応、もしくは免許外で、音楽の先生が臨時免許状で家庭科を持つようなことが実際、現状としてあります。
そういう中で、やはり今おっしゃられたような、確かにここに書くと、それでよいみたいな話にもなってしまうところもあるかとは思いますが、是非そういった先生方への研修を充実させていただきたいというのが1つあります。
それと、他教科との関連とか、あるいは地域の人材の活用とか、あるいは関係機関との連携ということを書いていただいているんですけれども、そういうことができるのも結局、本務者の常勤の免許を持っている人がいてこそなんですね。やっぱり非常勤の人とか免許外の人が、じゃあ、そういうふうに他教科との関連を図ったカリキュラムを組もうとか、非常勤の人がその授業しか来ないのに、地域の人材を活用しようとかというのはなかなか難しいので、こういった他教科等との関連を図るとか、地域人材を活用するためにも、是非、先ほど荒井委員がおっしゃったように、常勤を確保したいというようなところを書いていただけると、本当にいいと思いました。
それともう一点なんですけれども、小学校と中学校の連携として、中学校区の先生が小学校に指導に行くということを、具体的に書いていただいていて、そうするととてもイメージがしやすいと思いました。15ページにある少人数による指導というところでも、技術の先生と家庭科の先生が1クラスを2つに分けて、技術分野と家庭分野を教える。そうすると持ち時数は増えますが、実際に少人数による指導というのが現実にできるので、例えばそういった例みたいなのを具体的に書いていただけると、すごくイメージができるのではないかなと思いました。
あと、特別支援教育の充実というところはまさにそうで、特に3つ目の黒ポツの安全に使用するということが大事かなと思います。支援員さんとか介助員さんのような方を、場合によっては配置するというようなことは、こういう中には、意図的に書いていないのでしょうか。ちょっとそこがよく分からなかったのですが、人が付いていただけると、やはりありがたいのかなと思ったのですけれども。
以上です。
【橋本主査】  ありがとうございます。多分、特別支援教育の方にはそういう記述があるのではないかと考えます。これは特に家庭科、技術・家庭科での配慮というか、そういう点で記述されていると思います。
では、曽我部委員、お願いします。
【曽我部委員】  家庭科の見方や考え方では文章の中に、この家庭科の見方や考え方を用いるとか、働かせつつとか、基づいてとかと、いろんな表現が見方や考え方の後について出てきますが、家庭科では、「深い学び」、「対話的な学び」も「考えられる」と文末が終わっています。技術・家庭科は、「見方や考え方を成長させる」という言葉が、書かれています。家庭科にもこの「見方や考え方を成長させる」という言葉が必要なのではないかなと思いました。
関連して、食育の推進でも、教科のそれぞれの特質に応じて、家庭科の見方・考え方に基づき、関連付けていくことを検討するとした方がよりよいのではないかと思いました。
【橋本主査】  ありがとうございます。
奥山委員、中原委員、藤木委員の順序で行きたいと思います。
【奥山委員】  ありがとうございます。18ページの他の教科等との連携のところの下から3つ目、乳幼児との触れ合いや高齢者との交流等と書かれていますけれども、どちらかというと、私自身はこの関係機関、地域の関係機関や人材を学校側に送り出すまたは受け入れる側の立場ですけれども、やはり鈴木委員からも御指摘がありましたとおり、毎年、常勤の家庭科の先生と連携して計画を立てて、じゃあ、今年はどうする、来年はどうするという広がりの中でやれるというのは非常に重要だなと私自身も感じております。
今後、支援の在り方については検討が必要ということですが、高齢者施設についても、子育ての支援施設についても機関連携になりますので、一度しっかりと構築していけば、継続していけるものでもありますので、是非この機会にこの連携・協働ができるような体制を作れるためにも、やはり常勤の先生方の確保というのが重要であろうと思っております。
また17ページに、教材の在り方のところに、いろんな標本や実物、それから高齢者の疑似体験キット、これは実は妊婦キットもございますし、赤ちゃん人形もあるんですが、これを学校がそのものが持つというのは、高額ですし、むしろこういう機関連携した先にいつも貸していただくという関係性を作るということで充実を図ることができるのかなと思いました。
以上です。
【橋本主査】  ありがとうございます。
中原委員。
【中原委員】  ありがとうございます。まず15ページの特別支援教育の充実のところですが、これは障害を持っている人たちと考えていいのでしょうか。というのは、例えば適応障害の子供たちというのもこの中に入れて、きちっとやっているのかどうなのかと、分けた方がいいだろうという感じがします。
そのためには、障害を目に見える形で持っている人たちに関してはそういういろんな対応ができると思いますが、心の方の問題の適応障害というのは、かなりこれは見ていかないと分からない。大学に入っても、研究をやらせていて初めて、これはちょっとおかしいなというので気が付くときが結構ありますので、そういう意味で言うと、そういう認識を持たせる意味では、19ページの教員の資質向上、先ほど荒井さんが言ったのと全く同じです。わざわざ我々が非常勤講師の確保なんてうたうのは、何か我々自身の、これを今、議論している内容を軽視しているんじゃないかと思います。むしろ常勤できちっとそういう子供たちの資質や、そういう社会不適応の問題も含めて、見る力を持った人たちをやっぱり先生として採用していかないと、ノーマライゼーションにはほど遠いことになるのではないのかと思います。
そういう意味では、18ページに、他教科との連携ということで、特に消費生活からと書いているのがありますけれども、私、大分県から戻ってきたばっかりで、毎日、地震で、熊本地震というから大分は揺れないみたいに思われていたんですけれども、1,000回超えると、家にいたら危険なんですね。ですから政策的に考えると、地震が起きたら防災上、家の中にいてくださいなんて、今回の場合は全然そんなことは言えない。家の中にいたらもう死んでしまうかもしれないというおそれがある。それで少しずつ緩んでいくと、たががだんだん外れて、余震の震度2か3ぐらいで家が壊れるということもある。
そういう意味では、この他教科との連携の場合、特にリアリティというのが一番大事なんですね。そういうものを大事にしながら、他教科との連携、そしてまた元に戻りますけれども、特別支援教育、ダウン症の子供たちは料理をすることも恐らくできません。恐らく買い物に行ったときにお釣がもらえるようになったら、親は安心できるだろうと思います。そういうためのきちっとした校外学習の時間が本当に保てるのかどうなのかというのがあって初めて、私は特別支援教育、もしくは個別の状況に応じた学習の充実となるんだろうと思いますので、是非お考えいただければと思います。
【橋本主査】  ありがとうございます。
それでは、時間がちょっと過ぎておりますけれども、藤木委員、長谷川委員の順でお願いします。
【藤木委員】  要点のみ。19ページです。教員の資質向上の1個上の丸のところ、STEMという言葉が出てきていますが、もう一つ、ESDも技術には非常に深い関係するものかなと思いますので、その記述も入れていただけると、大変助かります。
それともう一つ、16ページにアクティブ・ラーニングのところがずっと書かれていますけれども、考えてみたら、アクティブ・ラーニングについてのポンチ絵みたいなものが今まで見たことがないですので、例えば12-4あたりの資料を拡張するような形で、1枚にアクティブ・ラーニングも含めた形で説明していただけると、現場の先生方に説明するときにも非常に楽かなと思っております。
よろしくお願いします。
【橋本主査】  長谷川先生。
【長谷川委員】  同じく16ページ下の「深い学び」に関する部分ですが、技術・家庭科は、「思考による問題解決」と、「実践による問題解決」という2つの問題解決を融合させることにより、「深い学び」につながると思います。また、「深い学び」を実現するためには、その両者のバランスが大切です。今後、こういった考え方等を周知していく際に、学習課程でいえば、「設計・計画」と「製作・制作・育成」のバランスを大切にする必要があることをしっかりと示すことが必要になるのではないかと感じました。
以上です。
【橋本主査】  ありがとうございました。
それでは、時間が過ぎてしまいましたので、最後に古川主査代理の方に一言言っていただいて、終わりたいと思います。
【古川主査代理】  皆さんにいろいろ検討していただいて、内容的には非常に充実したといいますか、私自身、勉強にもなりましたけれども、1つ、教員の質の向上ということにつきましては、私ども大学におりまして、大学の中での教員養成の質の向上というのも、ここのワーキングの範囲を越えておりますけれども、平成18年に、教員の質の向上についての答申というものがなされて、その後、制度的なものがどんどん実施されていっておりますけれども、技術・家庭という、こういう内容、非常に変化が激しい。そして多岐にわたると。そういう内容のことに関しましては、やはり大学教育の中で、ここでは先生となられた後のことについて研修というようなことで議論をたくさん頂きましたけれども、出すところについての、ここで議論されているような学習指導要領の内容を十分踏まえた教育をしていただくということが非常に重要ではないかなと。制度とは別にして。ということを強く感じているところです。
【橋本主査】  ありがとうございます。情報は知識を取り入れながら、日々、自分を豊かにしていく教員にならなければいけないということで、私たちのそれは求める姿だと思いました。
それでは、時間も参りましたので、本日はここまでということにさせていただきます。お出しいただきました意見につきましては、事務局の方で整理していただくようにお願いいたします。
また、きょうもまた限られた時間で大変恐縮でございました。十分できなかったと思いますが、さらに御意見、お気付きのことがありましたら、ぜひペーパーで事務局のほうにお送りいただきたいと思います。
それでは、最後に、今後につきまして、事務局のほうから説明をお願いいたします。
【大内学校教育官】  本日も長時間にわたりまして、ありがとうございました。
今後の予定でございますけれども、冒頭、本日の会議の際にも申し上げましたが、今現在、他教科等においても同様の検討がなされておるところでございます。
教科等での横串を刺す観点もございますし、それから小中高の学校種別の部会というのも並行して動いております。
したがいまして、今後の予定につきまして、これらの状況も踏まえまして、本ワーキンググループの開催の仕方も含めまして、再度、御連絡させていただきたいと考えております。各委員の先生方につきましては、この後、日程調整のメール等を送らせていただきたいと思っておりますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
以上でございます。
【橋本主査】  それでは、これで第8回のワーキンググループを終了させていただきます。ありがとうございました。

―― 了 ――

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