生活・総合的な学習の時間ワーキンググループ(第8回)の主な意見(未定稿)

【生活科について】

(育成すべき資質・能力を踏まえた教育内容の構造化について)
○ 資料2-6について、生活科は他教科以上に感性、思いや願いという言葉に重きを置いている。方向性としてはこの基本線を大切にしつつ思考も大事にするといったバランスが大事ではないかなと思う。

○ 現行の内容項目の分析が出ていたが、単純に三つに分けて判断するのがよいのかどうかという問題はあるが、総じて緑色、つまり思考、判断、表現の基礎というところが、少なかったということを改めて感じた。「知識、技能」、「思考、判断、表現」、「学びに向かう力、人間性等」がそれぞれ重なっている部分もあり、はっきりと分け切れないところがあるのが生活科の特徴ではあるが、もう少し、思考力・判断力・表現力の基礎ということをしっかり言葉として盛り込んでいくことが必要だと感じた。

○ 現行の内容項目の分析について、「思考、判断、表現」が明確に示されていないと見える一方で、「思考、判断、表現」ばかりでは生活科のみずみずしさが損なわれてしまうのではないか。

○ 生活科で一番大事なのは、物事を一体的に感じ取り、自分との関わりの中で社会的な見方とか、理科的な見方について、総合的な学習の時間で統合することにつながるようになることではないか。文系、理系という分け方は受験でしか意味がない。高校まで見通した上でこの一体的な学びということは重要。

○ 生活科は目標・内容を2年間で示しているが、子供たちは2年間ですごく成長し、発達し、力を付けていく。そういった書きぶりも、これは解説レベルかもしれないが、例えば1年生ではこのような活動が考えられるであるとか、2年生ではこういった活動が考えられるなど、もう少し意図的に入れていってもいいのではないかと思う。

(特別支援教育の視点について)
○ 特別支援教育の充実ということで具体的な例が四つ出ている。そこには、何々をするのが困難な子に対してこのような配慮をしたいと書いてある。これは少し書きぶりを変えて、例えば絵で描くのが得意な子は、文章だけではなく、ちょっとイラストを付けてみてもいいよといった「得意」という言葉を入れると自己有用感の醸成にもつながるのではないか。

(条件整備について)
○ スタートカリキュラムの条件整備というときには、学校だけではなく、自治体全体で取り組まなければいけないなということは感じている。現在、私の区では幼児教育プログラムというのを作っているが、今までは公立だけで行っていたものを、私立幼稚園や、保育園、学校全てで新しい体制をとろうと取り組んでいる。

○ 例えば動物関係の病気など、教員ではなかなか扱いが難しいものもある。チーム学校の視点や、地域との連携など、学校の先生方をサポートしていく体制の構築が必要ではないか。

(普及啓発について)
○ 頂いた資料は非常に分かりやすい。私自身、教員研修をさせていただく場面でこういった資料をできるだけそのままに使わせていただいている。そういった、今後これらの資料がどういった使われ方をするかということも視野に入れて資料の作成をすることが求められる。

【総合的な学習の時間について】

(高等学校の総合的な学習の時間について)
○ 高等学校について、総合的な探究の時間とするという案が示されていることについて、小・中・高等学校は原理は共通であるが、小中と高校とで編成の仕方を区別していくことは、非常によい試みではないか。

○ 高校の教員養成がどの程度実質的な教育課程の編成の力を育てるものになっているか非常に心配。教員養成の段階だけではなく、教員になってからの研修の在り方の問題とも関連しているが、高等学校のカリキュラム開発、あるいはカリキュラム・マネジメントへの支援ということが重要であり、そこで総合的な学習の時間の果たす役割は大きいと思われる。

○ 高等学校における探究の意義や価値についての理解、つまり学ぶとはどういうことか、私たちはなぜ学んでいるのか。高等学校の段階でここを通り抜けることによって次の生涯学習への展望を開くことになる。学び続けることの意味、専門職として、それから一市民として学び続けることの意味をここで学ぶ。そこに新しく高等学校の総合的な学習の時間の意義や役割を強調できるのではないか

○ 高校はそれぞれ学校の目標が違ったり、学科が違ったりするが、その中で総合的な学習の時間の目標というのは、その学校のミッション・ステートメントであるべきだと考える。これは総合的な学習の時間の大きな機能だと思う。総合的な学習の時間は、探究的な学びの時間としてリニューアルしてキャリア教育につながるようにすべきだと考える。

(中学校の総合的な学習の時間について)
○ 次の指導要領は高等学校の総合的な学習の時間をいかに実質的に質の良いものにするかというところが非常に大きな課題ではあるが、同時に、小中ではややもすると10年前、15年前に設定された枠組みをそのまま「生かす」のもいいが、そこに拘泥するあまりなかなか新しい実践に取り組めないという事例もあるのではないかと考える。

○ 高等学校のこの探究の質、あるいは内容的なレベルが上がっていくことを踏まえると、中学校の探究もそれに接続するという意味では、やはり考えていかなければならない。

(資質・能力の整理を踏まえた教育内容の構造化について)
○ これまで、この会議では総合的な学習の時間において地域課題に向き合うことの大切さについて、多くの先生方から御指摘を頂いてきた。学校側が地域課題に立ち向かっていくことの意義、意味、そういう力を付けることの必要性を認識していれば、各学校に委ねるという形でよいのかなと思うが、残念ながら、今、そういう安心ができる状況にはない。したがって、この学校で定める目標のところに地域課題に立ち向かっていくという要素を書き込めないものかと考えている。

○ 高校レベルにおける具体的な内容の例示について、地域の課題というのは何らかの形できちんと書いておく必要があると思う。たとえ情報であろうと、福祉であろうと、地域を飛び越えてというように考えてもいいのだと思うが、できることなら、地域の課題の延長線上として捉えた方がより理解は深まるのではないか。

○ 教育内容の見直しのところで事例に挙がっている国際理解、情報、環境、福祉・健康であるが、これまでどおり同じように示してしまうと、先生方はそこに引っ張られてしまう。表現の工夫が必要ではないか。

○ 主体的な学びでは、課題設定、情報収集、思考、表現、というプロセスの中に、総合的な学習の時間については、評価や、振り返りというスキルが必要ではないか。

○ 現在、思考力・判断力・表現力のところがかなりあっさりと表現をされている。もう少し、各学校に対して、ここで育てていく力の大切さが伝わるような具体的な書き込みができないものか。例えば思考のスキルを何か例示してはどうか。また、何と表現していいか分からないが、思考の体力というか、表面的にぱっと考えて、分かる、分からないではなく、粘り強くその課題に取り組む力というのは、やはり総合的な学習の時間で探究をする中でしか身に付かないなと実感をしている。

(現代的な諸課題を踏まえた教育内容の在り方について)
○ 具体的になってしまうかもしれないが、ESD(持続可能な社会のための教育)といったことについても示していただけると有り難い。

○ 総合的な学習の時間が、リーダーだけが汗をかくようなグループワークであったり、雑談ばかりで議論にならなかったり、全てお膳立てしてくれるというふうに生徒が期待するような時間であったりしてはならないと思っている。したがって、探究を指導する教員のスタンスというのは、やはり生徒の研究を面白がり、指導も必要だが、教え込まないようにするといったスタンスだと思う。

(条件整備)
○ よく研修会とかをやっても、体験のやりっ放しで終わってしまう。しかし、1年間ないし3年間、研修生として派遣する都道府県があり、それは本当にすばらしい取組だと思う。こういう高校間の横の交流というのはどんどん広げていくべきではないか。設置者の志にもよるが全国ネットワークで活用すべきじゃないかなと思うし、是非後押ししてほしい。

○ 総合的な学習の時間を指導するに当たっては、他の教員や、ティーチングアシスタントといった外部の力も必要。

○ 各学校における体制のところで、カリキュラム・デザインができるミドルリーダーが活躍できるようにということがあり、このことを位置付けていただいたのは大変有り難いが、ミドルリーダーは毎日何かに忙殺されていることが多く、どう時間を取ったらいいのかということは悩みの種になっているということも考えなければならない。

○ 保護者という言葉が子供と対話するという意味で出てくるが、学校の持つ教育のリソースとして書いておいてもいいのではないか。保護者は特に関係しなくてもいいと思われてしまう。

○ 地域との連携のところで、首長部局との連携というのは、生活科と同じく書き込んでいただきたい。

(その他)
○ このたびのまとめ案は、現場の先生が見て今重要となっている総合的な学習の中身を理解できるものである必要があるのではないか。そういった視点で今一度全体を見ていく必要があると思う。

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