小学校学習指導要領における「幼児教育との接続」や「スタートカリキュラム」に関連する主な記述

総則

第4 指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項
1 各学校においては、次の事項に配慮しながら、学校の創意工夫を生かし、全体として、調和のとれた具体的な指導計画を作成するものとする。
(4)児童の実態等を考慮し、指導の効果を高めるため、合科的・関連的な指導を進めること。


 (参考)小学校学習指導要領解説総則編

学校教育において目指している全人的な生きる力を児童にはぐくんでいくためには、各教科等の間の連携を図った指導を行い、横断的・総合的な指導を推進していくことが必要である。
このため、総合的な学習の時間と連携しつつ、小学校低学年においては生活科を中核とした合科的な指導を一層推進するとともに、中学年以上においても合科的・関連的な指導を進めることを重視する必要がある。
…(中略)… 低学年では特に生活科を中核として合科的・関連的な指導の工夫と進め、指導の効果を一層高めるようにする必要がある。特に第1学年入学当初における生活科を中心とした合科的な指導については、新入生が、幼児教育から小学校教育へと円滑に移行することに資するものであり、幼児教育との連携の観点から工夫することが望まれる

2 以上のほか、次の事項に配慮するものとする。
(12) 学校がその目的を達成するため、地域や学校の実態等に応じ、家庭や地域の人々の協力を得るなど家庭や地域社会との連携を深めること。また、小学校間、幼稚園や保育所、中学校及び特別支援学校などとの間の連携や交流を図るとともに、障害のある幼児児童生徒との交流及び共同学習や高齢者などとの交流の機会を設けること。

 (参考)小学校学習指導要領解説総則編

  学校同士が相互に連携を図り、積極的に交流を深めることによって、学校生活をより豊かにするとともに、児童の人間関係や経験を広げるなど広い視野に立った適切な教育活動を進めていくことが必要である。その際には、近隣の学校のみならず異なった地域の学校同士において、あるいは同一校種だけでなく異校種間においても、このような幅広い連携や交流が考えられる
学校間の連携としては、例えば、同一市区町村等の学校同士が学習指導や生徒指導のための連絡会を設けたり、合同の研究会や研修会を開催したりすることなどが考えられる。その際、幼稚園や保育所、中学校との間で相互に幼児児童生徒の実態や指導の在り方などについて理解を深めることは、それぞれの学校段階の役割の基本を再確認することとなるとともに、広い視野に立って教育活動の改善充実を図っていく上で極めて有意義であり、幼児児童生徒に対する一貫性のある教育を相互に連携し協力し合って推進するという新たな発想や取組が期待される
学校同士の交流としては、例えば、近隣の小学校や幼稚園、保育所、校区の中学校と学校行事、クラブ活動や部活動、自然体験活動、ボランティア活動などを合同で行ったり、自然や社会環境が異なる学校同士が相互に訪問したり、コンピュータや情報通信ネットワークなどを活用して交流したり、特別支援学校などとの交流を図ったりすることなどが考えられる。これらの活動を通じ、学校全体が活性化するとともに、児童が幅広い体験を得、視野を広げることにより、豊かな人間形成を図っていくことが期待される。


生活

第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(3)国語科、音楽科、図画工作科など他教科等との関連を積極的に図り、指導の効果を高めるようにすること。特に第1学年入学当初においては、生活科を中心とした合科的案指導を行うなどの工夫をすること。

 (参考)小学校学習指導要領解説生活編

生活科の学習は、教科の性格上、国語科、音楽科、図画工作科など他教科等との関連が深い。したがって、その指導に当たっては、低学年教育全体を視野に入れて、他教科等と関連を図りながら進めていくことが求められる。このことは、児童の意識に沿った充実した活動を展開する上からも、積極的に取り組む必要がある。これにいては、学習指導要領の第1章総則の第4の1の(4)でも、「児童の実態等を考慮し、指導の効果を高めるため、合科的・関連的な指導を進めること」が示されている。
…(中略)…ここでいう合科的な指導とは、各教科のねらいをより効果的に実現するための指導方法の一つで、単元又は1コマの時間の中で、複数の教科の目標や内容を組み合わせて、学習活動を展開するものである。また、関連的な指導とは、教科等別に指導するに当たって、各教科等の指導内容の関連を検討し、指導の時期や指導の方法などについて相互の関連を考慮して指導するものである。
国語科、音楽科、図画工作科など他教科等との関連を図った指導の在り方として、具体的には次のようなことが考えられる。
第1は、生活科の学習成果を他教科等の学習に生かすことである。
生活科の内容には、他教科等へ発展する可能性をもっているものが多い。例えば、季節の変化と生活に関する学習活動では、身近な自然を観察したり全身で感じたりする。そうした活動を通して、自然の変化や四季それぞれの美しさを強く感じ取ることが、言葉や絵、歌などで表現したくなる気持ちにつながる。それは、国語科、音楽科、図画工作科などにおける学習活動の動機付けとなったり、格好の題材となったりする。
特に、国語科との関連では、見たり、探したり、育てたり、作ったりしたことが、書こうとする題材に必要な事柄を集めること、事柄の順序に沿って簡単な構成を考えること、つながりのある文や文章を書くことなどへ発展することが考えられる。生活科における豊かな体験を、国語科における、報告する文章や記録する文章などを書く言語活動、説明する文章を書く言語活動、伝えたいことを手紙に書く言語活動などの題材として活用することは、表現することへの有効な動機付けとなろう。
また、音楽科との関連では、身近な自然を観察したり身の回りのものを使って遊んだりすることが、歌詞の表す情景や気持ちを想像して歌うこと、音の面白さに気付いて音遊びをすることなどに発展する可能性をもっている。
指導に当たっては、他教科等には、それぞれの目標や内容があるので、生活科の目標や内容の実現とともに、関連する他教科等の目標や内容が一層効果的に実現できるよう配慮する必要がある。
第2は、他教科等の学習成果を生活科の学習に生かすことである。
生活科の学習効果をあげるためには、児童が他教科等において既に習得した知識、技能、能力等を適切に生かして活動を展開する必要がある。これによって、児童は既習事項の応用範囲を広げ、一層確かなものとして身に付けることになる。
例えば、国語科では、相手に応じて話す事柄を順序立てて話すこと、互いの話を集中して聞き話題に沿って話し合うことなどの能力を育てる。こうした学習の成果が、生活科における、生活の様子や地域の出来事を伝え合う活動において発揮され、互いに交流する活動が充実していく。また、図画工作科では、絵や立体工作に表す活動を通して、身近な材料や扱いやすい用具を手を働かせて使うことができるようにする。ここで十分に扱い慣れた土、粘土、木、紙、クレヨン、パス、はさみ、のり、簡単な小刀類などの用具は、生活科での遊びや遊びに使うものを工夫してつくる活動に生かされ、その技能や能力は確かなものとして身に付いていく。
このように、他教科等の学習成果を生活科の活動の中で適切に生かすためには、相互の関連について検討し、指導計画に位置付けておく必要がある。
第3は、教科の目標や内容の一部について、これを合科的に扱うことによって指導の効果を高めることである。
生活科においては、生活科の特質や低学年の児童の発達の特性などを考慮して、単元又は1コマの時間の中で、複数の教科の目標や内容を組み合わせて、児童が具体的かつ総合的に学習できるように工夫することが考えられる。その際、関連した教科の目標が、生活科の目標とともに実現されていくように配慮しなければならない。例えば、児童が生活科における活動を歌や踊り、劇によって表現する単元の展開が考えられる。生活科の活動を基に発表内容を創り上げる際に、国語科、音楽科、図画工作科、体育科等の目標も効果的に実現され、効率的な授業時数の活用を図ることなどが考えられる。
今回の改訂において加えられた、「第1学年入学当初においては、生活科を中心とした合科的な指導を行うなどの工夫をする」とは、上記の第3と関連が深い。児童の発達の特性や各教科等の学習内容から、入学直後は合科的な指導などを展開することが適切である。例えば、4月の最初の単元では、学校を探検する生活科の学習活動を中核として、国語科、音楽科、図画工作科などの内容を合科的に扱い大きな単元を構成することが考えられる。こうした単元では、児童が自らの思いや願いの実現に向けた活動を、ゆったりとした時間の中で進めていくことが可能となる。大単元から徐々に各教科に分化していくスタートカリキュラムの編成なども効果的である。
このように総合的に学ぶ幼児教育の成果を小学校教育に生かすことが、小1プロブレムなどの問題を解決し、学校生活への適応を進めることになるものと期待される。
入学当初の生活科を中核とした合科的な指導は、児童に「明日も学校に来たい」という意欲をかき立て、幼児教育から小学校教育への円滑な接続をもたらしてくれる。
生活科では、合科的な指導の推進とともに、前述の第1、第2の扱いも取り入れた合科的・関連的な指導を展開することが求められている。そのことにより、児童の思いや願いを生かし、主体的な活動を重視した低学年教育をこれまで以上に充実させていくことが実現できるからである。なお、こうした学習が、第3学年以降の総合的な学習の時間において、更に発展させられることにも配慮する必要がある。

国語

第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(6)低学年においては、生活科などとの関連を積極的に図り、指導の効果を高めるようにすること。特に第1学年においては、幼稚園教育における言葉に関する内容などとの関連を考慮すること。

 (参考)小学校学習指導要領解説国語編

低学年の児童の特性を考慮し、他教科等との関連を積極的に図るようにすること及び幼稚園教育の言葉に関する内容などとの関連を図ることについて示している。
幼児期は体験活動が中心の時期であり、周りの人や物、自然などの環境に体ごとかかわり全身で感じるなど、活動と場、体験と感情が密接に結び付いている。小学校低学年の児童は同じような発達の特性をもっており、体験を通して感じたことや考えたことなどを、常に自分なりに組み換えながら学んでいる
このような発達の特性を生かし、生活科など他教科等との関連を積極的に図ったり、幼稚園、保育所、認定こども園における言葉に関する内容などを参考にして国語科の指導計画を作成したりすることが必要である。例えば、育成を図る資質や能力を明らかにした上で、教材についても他教科等と関連付けたり取り上げる時期を合わせたりすることが考えられる。

音楽

第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(4)低学年においては、生活科などとの関連を積極的に図り、指導の効果を高めるようにすること。特に第1学年においては、幼稚園教育における表現に関する内容などとの関連を考慮すること。

 (参考)小学校学習指導要領解説音楽編

この事項は、低学年の児童の表現の特性や傾向を考慮し、他教科等との関連を積極的に図るようにすること及び幼稚園教育の表現に関する内容などとの関連を図ることについて示したものである。
幼児期は体験活動が中心の時期であり、周りの人や物、自然などの環境に体ごとかかわり全身で感じるなど、活動と場、体験と感情が密接に結び付いている。小学校低学年の児童は同じような発達の特性をもっており、体験を通して感じたことや考えたことなどを、常に自分なりに組み換えながら学んでいる
このような発達の特性を生かし、生活科など他教科等との関連を積極的に図ったり、幼稚園や保育所、認定こども園における表現に関する内容などを参考にして低学年の題材を検討したりする工夫が必要である。例えば、育成を図る資質や能力を明らかにした上で、題材を選択する時期を他教科等の関連的な題材と時期を合わせることが考えられる。音楽科における歌唱の表現活動において、生活科など他教科等で学習した内容を関連付けることにより、歌詞の表す情景や気持ちをより豊かに感じ取って歌うことができるようにしたり、季節や地域の行事にかかわる活動と関連した表現を工夫するようにしたりするなどして、より広がりのある表現活動を楽しむことも考えられる

図画工作

第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(4)低学年においては、生活科などとの関連を積極的に図り、指導の効果を高めるようにすること。特に第1学年においては、幼稚園教育における表現に関する内容などとの関連を考慮すること。

 (参考)小学校学習指導要領解説音楽編

(5) 生活科など他教科等や幼稚園教育との関連を図ることに関する事項
この事項は、低学年の児童の表現の特性や傾向を考慮し、他教科等との関連を積極的に図るようにすること及び幼稚園教育の表現に関する内容などとの関連を図ることについて示している
幼児期は体験活動が中心の時期であり、周りの人や物、自然などの環境に体ごとかかわり全身で感じるなど、活動と場、体験と感情が密接に結び付いている。小学校低学年の児童は同じような発達の特性をもっており、体験を通して感じたことや考えたことなどを、常に自分なりに組み換えながら学んでいる。
このような発達の特性を生かし、生活科など他教科等との関連を積極的に図ったり、幼稚園や保育所、認定こども園での表現に関する内容などを参考にして低学年の題材を検討したりする工夫が必要である。例えば、育成を図る資質や能力を明らかにした上で、題材を選択する時期を他教科等の関連的な題材と時期を合わせることが考えられる図画工作科の時間につくったものを生活科で紹介するなど、他教科等の時間に使うことや、他教科等における自然や社会などの経験を造形的な発想に生かすことなども考えられる

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