参考資料2 中央教育審議会「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について~学び合い,高め合う教員育成コミュニティの構築に向けて~」(答申)(抜粋)

これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について~学び合い,高め合う教員育成コミュニティの構築に向けて~(答申)(抜粋)

平成27年12月21日 中央教育審議会

4 .改革の具体的な方向性
(4)新たな教育課題に対応した教員研修・養成
新たな教育課題への対応に当たっては,以下の方向で教員研修の改善を図ることが適当である。
(略)
・ インクルーシブ教育システムの構築に向けた特別支援教育の充実のため,全ての教員が特別支援教育に関する基礎的な知識・技能を身に付けるための研修を実施するとともに,校長等管理職が特別支援教育に関する認識を持ち,リーダーシップを発揮するための研修を行うことも必要である。また,小中学校等において,特別支援教育推進の中心的役割を担う特別支援学級の担任,通級による指導の担当教員及び特別支援教育コーディネーターの専門性を向上させるための研修の実施に加え,必要に応じて,専門家の活用等により学校全体としての専門性を確保する必要がある。
・ 特別支援学校の教員には,障害の多様化や重度・重複化への対応,特別支援学校のセンター的機能を発揮するための地域における小中学校等との効果的な連携手法等を身に付けるための専門的な研修が求められている。
・ 現在,独立行政法人国立特別支援教育総合研究所において,都道府県等の指導的立場の教員に対する研修を実施し,各地域の教員研修センターの中核的役割を担っている。今後特別支援教育の充実に係る研修の実施に当たって,独立行政法人教員研修センターとも連携し,研修を推進することが期待される。
(略)
また,教員養成段階においても,上記で列挙された新たな教育課題に対応できる力の基礎を育成できるよう,教職課程の科目全体を精選しつつ,新たな科目の創設や既存科目の改善を図るなど,必要な見直しを行うことが必要である。この際,特に初任段階において研修等により学ぶべき内容との整合性にも留意しつつ,検討することが適当である。
・ 発達障害を含む特別な支援を必要とする幼児,児童,生徒に関する理論及びその指導法は,学校種によらず広く重要となってきていることから,教職課程において独立した科目として位置付け,より充実した内容で取り扱われるようにすべきである。また,上記科目のみならず,各教科の指導法や生徒指導,教育相談をはじめとした他の教職課程の科目においても,特別な支援を必要とする幼児,児童,生徒への配慮等の視点を盛り込むことが望まれる。

(6)教員免許制度に関する改革の具体的な方向性
丸4 特別支援学校教諭等免許状の所持率向上
特別支援学校の教員は,幼稚園,小学校等の免許状に加えて,特別支援学校教諭免許状を所持しなければならないが,相当免許状主義の例外として,教育職員免許法附則第16項において,当分の間特別支援学校教諭免許状を所持しなくても特別支援学校の教員となることができるとされている。
そのため,特別支援学校の教員の特別支援学校教諭等免許状の所持率は,72.7%にとどまっている。しかし,特別支援学校の教員は子供一人一人の障害に応じた適切な指導が求められるほか,障害の多様化や重度・重複化への対応,特別支援学校が地域の特別支援教育のセンター的機能を発揮する必要性等から,これまで以上に特別支援学校の教員としての専門性が求められている。
このため,教育職員免許法附則第16項の廃止も見据え,平成32年度までの間に,おおむね全ての特別支援学校の教員が免許状を所持することを目指し,国が必要な支援を行うことが適当である。集中的に所持率の向上を図るためには,都道府県教育委員会等,学校設置者における特別支援学校の教員の採用や配置,研修等を通じた取組を求めるとともに,国においても,現職教員に対する免許法認定講習の開設支援や,独立行政法人国立特別支援教育総合研究所による免許法認定通信教育の実施,養成段階での免許状取得促進等の取組を進めることが考えられる。
また,小中学校の特別支援学級や通級による指導の担当教員は,教育職員免許法上特別支援学校教諭免許状の所持は必要とされていないが,特別支援学級等での指導のみにとどまらず,小中学校における特別支援教育の重要な担い手であり,その専門性が校内の他の教員に与える影響も極めて大きい。
そのため,小中学校の特別支援学級担任の所持率も現状の2倍程度を目標として,特別支援学校教諭免許状の取得を進めることが期待される。


お問合せ先

特別支援教育課指導係

電話番号:03-5253-4111

(初等中等教育局特別支援教育課)