教育課程部会 理科ワーキンググループ(第6回) 議事録

1.日時

平成28年3月29日(火曜日) 14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省 東館3階 3F2特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 資質・能力の育成のために重視すべき理科の評価の在り方について
  2. 高等学校理科の履修科目について
  3. その他

4.議事録

【大島主査】    皆様、こんにちは。定刻となりましたので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会の理科ワーキンググループの第6回を開催いたします。本日は、年度末の大変お忙しい中、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
  まず最初に、配付資料について確認をお願いいたします。
【米原教育課程課課長補佐】    それでは、配付資料の確認をさせていただきます。本日は議事次第に記載しておりますとおり、資料1から6、及び参考資料1から2、その他、机上に別途参考資料を配付させていただいております。不足等がございましたら、事務局にお申し付けください。
  なお、机上に、いつものとおりタブレット端末を置いてございます。その中には、本ワーキンググループの審議に当たり参考となる関係する審議会の答申、関連資料等をデータで入れております。タブレット端末の下に置いてあります目次を御覧ください。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございました。では、これより議事に入ります。なお、本日は、報道関係者より会議の撮影及び録音の申出があり、これを許可しておりますので、御承知おきください。
  それでは、これより議題1として「資質・能力の育成のために重視すべき理科の評価の在り方について」、議題2として「高等学校理科の履修科目について」の自由討議を行います。まず、事務局から資料に基づき説明を頂いた後、自由討議を行いたいと思います。
  それでは、前回余りお時間が取れませんでした議題1について、事務局より御説明をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。それでは、資料の3を御覧いただければと存じます。総則・評価特別部会におきまして、学習評価の在り方について横断的におまとめいただいた資料でございます。
  1枚おめくりいただきますと、2月24日付ということで、学習評価の改善に関する今後の検討の方向性ということで、共通の考え方でございます。現在、各教科ワーキングに順次おつなぎして、御検討を賜っているところでございます。考え方でありますけれども、「目標に準拠した評価」ということを実質化していくということ、その観点から学習評価の改善について御検討いただきたいということでございます。
  まず一つ目のまとまりは、育成すべき資質・能力を踏まえた目標や指導内容の明確化でございますけれども、これにつきましては、もう既に御検討を頂いております資質・能力の三つの柱に基づく構造化、見方・考え方の明確化。また、指導内容についても、この三つの柱に基づき構造化を図るということ。そして三つの柱でございますけれども、それぞれ整理はしていただいておりますけれども、それぞれの相互の関連性ということもございます。見方や考え方ということを中心につながってくるというところがございますけれども、こうした関係性については総則などで示していくという方向性でございます。
  こうした整理ということが、単なる資質・能力の整理ということを超えて、評価の充実ということにつながってくる。目標に準拠した評価をより実質化していくということにつながってくるということでございます。
  そして、観点別評価についてでございます。現状でございますけれども、前回改訂において、学力の3要素と評価の観点の関係性が整理されているということ。そして、観点別評価の実施率自体は高いという状況で、様々な調査であるということ。そして、思考・判断・表現の評価の在り方ということも、様々な試行錯誤の仲で実践が進展しているということでございます。
  一方で、子供たちに資質・能力をしっかりと育んでいくという観点、指導と評価の一体化という観点から、こうした観点別評価がしっかりと質的に高いものとして行われているかどうかという観点からは、まだまだ改善の余地があるのではないかということ。そうしたことを踏まえながら、目標に準拠した評価の実質化、あるいは教科・校種を越えた共通理解に基づく組織的な取組を促していく必要があるのではないかということでございます。
  こうした考え方に基づきまして、5ページにございますような、知識・技能、思考・判断・表現、そして主体的に学習に取り組む態度、この三つの柱に沿って観点を整理していってはどうかということ。具体的なタイトルの書きぶり、観点の書きぶりでございますとか、趣旨のイメージということは、それぞれの評価の特質に応じて御整理を頂きたいと存じますけれども、こうした共通のイメージの下に整理していってはどうかということでございます。
  1ページ目でございますけれども、一番下の丸でございますが、観点別評価、毎回の授業で全てを見取るのではなく、単元を通じたまとまりの中で、評価の場面ということを設定していくということを改めて確認しているということでございます。また、次のページにかけましてですけれども、現在御検討いただいている学習プロセスというものと評価の場面の関係性ということも、明確にしていただくように工夫していただきたいということでございます。
  次からは、それぞれの観点と資質・能力の三つの柱の関係性について、整理をしていただいております。「知識・技能」につきましてはということで、概念的な知識の獲得に向かうことの重要性や技能の習熟・熟達ということ。一方で、発達の段階に応じて実質的な知識をしっかり押さえるということが必要な段階もございますので、そうした知識・技能を、どのような段階でどのような知識・技能を獲得することが求められるのかを、現在行っていただいている目標の整理、指導内容の構造化という中で工夫していただきたいということでございます。
  「思考・判断・表現」につきましても同様に、どのような思考・判断が求められるのかということを明確にしていくということでございます。こうしたことが指導内容や目標の中でしっかりと整理されてまいりますと、評価の基準作りということに当たって、指導内容を見れば、その評価の基準が作れるということにつながるのではないかということで御意見を頂いているところでございます。
  そして、「主体的に学習に取り組む態度」でございますけれども、これにつきましては、資質・能力の三つ目の柱、「学びに向かう力・人間性」との関係性を整理していただいております。「学びに向かう力・人間性」には「主体的に学習に取り組む態度」として観点別評価を通じて見取ることができる部分と、評定等になじまず、個人内評価を通じて見取る部分、これがあるのではないかということ。観点別評価におきましては、このうち、「主体的に学習に取り組む態度」の部分を見取っていくということでございます。
  また、今回、「関心・意欲・態度」を改めるということでございまして、意思的な側面を捉えられるようにということでございます。こうした評価ができるように、見通し・振り返りの場面を適切に設定していくということ。そして、観点別評価の観点において、現在示し切れていない要素がある教科等については、教科の特質に応じて御検討を頂きたいということでございます。
  3ページ目、指導要録の在り方、そしてキャリアノートのような、子供たちが自分の学習状況やキャリア形成を見通し振り返ることができるようにするための仕組みの在り方。そして、そうした学びのポートフォリオや個々の学びの特性が、校種を越えて共有されるような仕組みの在り方などについても御提言いただいておりまして、引き続き総則・評価部会においての検討ということでございます。
  それでは、米原さんの方から。
【米原教育課程課課長補佐】    続きまして説明いたします。資料4を御覧ください。前回御意見頂きました資質・能力の育成のために重視すべき理科の評価の在り方についてということで、赤字部分が修正箇所でございますけれども、修正箇所の説明の前に、この資料4、御意見を前回頂いたこの資料の位置付けといいますか、取扱いについて、若干説明不足のところもございましたので、もう少し丁寧に説明させていただきたいと思います。
  今回、この中で、小・中・高の理科の評価の在り方ということで、「知識・技能」、「思考・判断・表現」、「主体的に学習に取り組む態度」ということでそれぞれ整理をして、こういった形で文言を整理してございますけれども、左側の机上配付資料の方に、「評価基準の作成、評価方法等の工夫改善のための参考資料(中学校理科)」というのを配付いたしております。この冊子でございますけれども、こちらを少し御覧いただければと思います。学校関係の方はもう重々御承知かもしれませんけれども、改めて、今御議論いただいているものがどういう位置付けでこれから利用されていくものなのかというところの説明を、少しさせていただきたいと思っています。
  基本的には、評価を行っていくための基準というものは各学校が作っていくということになるのですけれども、このような形で前回改訂では、国立教育政策研究所の方から「評価の基準の作成、評価方法等の工夫改善のための参考資料」というのが示されているところでございます。各学校は、こういうものを参考にしながら評価の実際の基準を作っていくということになるのですけれども、例えば7ページを御覧いただければと思います。
  第2章の1のところですけれども、ここに三つ目のパラグラフですけれども、この評価基準というものが各学校で設定するものであるということ。その次のパラグラフですけれども、学習評価を行うために評価基準を設定することは、生徒の学習状況の判断をする際の目安が明らかになって、指導と評価を着実に実施することにつながるということが言われています。
  そこのページの一番下でございますけれども、この参考資料であったり、各教育委員会が作成した学習評価関係資料などを参考に、各学校で適切な評価基準が設定されることが期待されるということが言われております。ですので、そういう形で各学校が評価基準を作る際の参考になるものを、今回はこういう形、資料4の形で大ぐくりなものを御議論いただいていますけれども、その後の作業で示していくということになるということになります。
  続きまして21ページを御覧ください。21ページからが、この基準を作成するための具体的な事項等とか評価の観点の例とか、そういったものを示していっているものでございますけれども、この第1の2、評価の観点及びその趣旨というところ、ここに、例えば理科全体の評価の観点というのが整理されてございます。前回改訂では4観点でということなので、こういう形で四つに、関心・意欲・態度、科学的な思考・表現、観察・実験の技能、自然事象についての知識・理解ということで整理されておりますけれども、前回から御議論いただいております資料4については、この理科全体の評価の観点になってくるというものになるかと思います。
  それは、最終的には22ページにございますけれども、中学校で言えば1分野における評価の観点というものになり、その3のところにありますけれども、内容ごとのまとまりごとの評価の観点というものに更にブレークダウンされて、さらに、51ページ以降を見ていただければと思いますけれども、各単元だったり、事象の目標・評価基準というものに、だんだんブレークダウンされていくと。その大本になるものを、今、御議論いただいているという位置付けになろうかと思います。
  前回、御質問で、中学校・高校は5段階に評定ですけれども、この観点別評価は3段階でございますので、その関係はどうなっているのかということについては、例えば15ページ、16ページ、17ページ辺りに書いておるのですけれども、17ページを御覧いただければと思いますが、必ずしも3段階がそのまま5段階になる際の考え方というのは一つではないのですけれども、様々な観点別の評価を積み重ねていくことで、それをうまく整理をして最終的には5段階の評定にしていただくという作業を、各学校の基準でもってしていただくということになってございます。それは必ずしも機械的に評定を算出するということだけではなくて、評定に結び付けるようにということになっているのですけれども、そういったことが、3段階の観点別評価の評定、5段階の評定というところの関係性があるということを御理解いただければと思います。
  戻りまして資料4でございますけれども、前回いろいろ御意見いただいて、修正をしているところでございます。まず上から、高等学校の理科の知識・技能でございますけれども、中学校との差別化をするというところもありまして「概念や原理・法則を体系的に理解し」と、「体系的に」という文言を加えてございます。中学校の方では、それを「基本的に理解し」ということで、差別化、段階の違いを表してございます。次に高等学校の思考・判断・表現ですけれども、「目的意識を持って観察・実験などを行い」ということで、これは中学校の部分と並びを取って修正をしているところでございます。
  次に小学校の理科でございますけれども、前回、中学校と高等学校と比べまして、かなり細かく記載があったということもございますので、少し中学校・高等学校と並びを取って記述の整理をしたところでございます。小学校の理科では、知識・技能の部分では、赤字でございますけれども、「観察・実験を行い、器具や機器を目的に応じて扱うとともに、それらの過程や結果を的確に記録している」ということに直してございます。思考・判断・表現につきましては、「自然の事物・減少から問題を見いだし、見通しを持って事象を比較したり、関係付けたり、条件に着目したり、多面的に分析したりして、得られた結果を考察し表現したりしている」という形に修正をしているところでございます。
  評価に関しての説明は、以上でございます。併せまして、これまで御議論いただいてきております理科教育のイメージ、また、資質・能力の3本柱の整理等々についても、前回から少し修正しているところがございますので、御説明させていただきたいと思います。資料6-1を御覧ください。
  資料6-1ですが、高等学校の一番上、今、「発展」と赤字で書いてございますけれども、前回、「高度」という表現をしてございました。ここにつきましても御意見ございましたので、「発展」という形で表現を修正してございます。高等学校の基礎の部分、中学校の一重丸のマル3のところ、こちら、先ほどの評価の話と共通するのですけれども、「概念や原理・法則の体系的な理解」と高等学校をして、中学校の方は、それと段階を付けるということで、「基本的な理解」という形の整理をしているところでございます。
  続きまして資料6-2でございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、中学校のところの知識・技能のところで、「原理・法則の基本的な理解」ということで修正をしているところでございます。また、小学校の思考・判断・表現力のところで、各学年で主に育てたい力というところ、こちらにつきまして、少し難し過ぎないかという御意見もあったのですけれども、ほかの委員の方にも別途御意見等を確認したところでございますが、必ずしも難し過ぎるものではなく、こういう形で目指していくということが大事ではないかということもございましたので、そのままとさせていただいているところでございます。
  次に資料6-3でございますけれども、こちらにつきましては特段修正をしてございません。御意見あったところではございますけれども、各領域の違いに着目して、その違いの主なものを表記するというところで、やはりこういう形が適切ではないかということで考えているところでございますので、御理解のほど、よろしくお願いいたします。
  続きまして資料6-4でございますけれども、こちらもいろいろと御意見頂きましたけれども、表の下の方の※の三つ目です。こちら、前回の資料では、後段の方で「合意形成」という形で記述がなされておったのですけれども、そこにつきましては、合意を形成するものではなくて、妥当な考え方に最後たどり着くというところが、この他者と協働していく、関わっていくというところの意義であって、多数決等で合意を得るということが目的ではないということでございましたので、「他者との関わりの中で自分の考えをより妥当なものにする力を求められる」という表現にしているところでございます。
  また、※の4ですけれども、プロセスの中で観察・実験の実施ということがございますが、必ずしも観察・実験ができない場合、特に高等学校の場合等、単元によってはあるということもありますので、そういった場合であっても、論理的に検討を行うなどの課題解決の過程を経ることが重要であるということを、ここで述べているところでございます。
  資料6-1から6-4までの説明は、以上でございます。
【大島主査】    ありがとうございました。それでは、これより意見交換の時間とさせていただきたいと思います。まず議題1として、資質・能力の育成のために重視すべき理科の評価の在り方について、御意見を頂きたいと思います。また、事務局より、これまで議論してきました資料6-1から資料6-4についても、もし御意見がございましたら頂ければと思います。その際、資料の6-1から4については、たびたび議論してきてございますので、今までの議論を踏まえて特段何かありましたら、申し上げていただければと思います。また、訂正がある場合は、なるべく具体的に申していただければと思います。
  では、御意見がある方については、あらかじめ名札を立てていただきましたら、私の方で順次指名させていただきたいと思います。また、発言が終わりましたら、元に戻していただきますようお願いいたします。あと、発言の際にはマイクのスイッチのオン、発言の後にはオフをお願いします。それでは、御議論のほど、よろしくお願いいたします。
  では早速、松浦委員、よろしくお願いいたします。
【松浦委員】    資料の4と6、ちょっと質問と意見なのですけれども、個別の知識・技能の「個別の」というの、前から書いてあったと思うのですけれども、今、引っ掛かっちゃって、やっぱり「ばらばらの」と誤解されかねないので、もし特別にここに「個別の」という理由があればお聞きしたいのですけれども、そうでなければ、中身としては、高等学校に「体系的に」とか、小学校に「相互の関係」とかというのが入っているのですから、「個別でないことも含めた」と言ってもよいかなと。そうすると、中学校のところにそれに対応するのがないのが若干気になって、そうすると中学校のところにも、「自然の事物・現象と概念や原理・法則の関係の基本を理解し」とか、やっぱり関係性が入ってもよいのではないかなという。高校は体系があるからよいかなと。
  それからもう一つは、言わずもがななのですけれども、主体的に学習に取り組む態度のところで、「獲得した知識・技能を日常生活や社会に生かそうとする」のの、この獲得した知識・技能が、どういう過程を通して獲得した知識・技能かというのが、もうひと押ししておくとすると、「それらを科学的に探究しようとするとともに、探究を通して獲得した知識・技能」とすれば、より明確になるのかなと思いました。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。何か事務局の方からございますでしょうか。
【平野教育改革調整官】    失礼いたします。最初の方の御質問の関係で、資料4の方の評価の観点、個別の知識・技能、思考・判断・表現のところは、これまで御議論いただいた資料6-2の方の個別の知識や技能という表現に、ちょっと引きずられてしまった部分がございまして、ここは落とすことも可能でございます。
  それからまた、特に本日、評価の観点で先生方の御意見を賜りたいというポイントの一つでもあるのですけれども、資料3-2を御覧いただけますでしょうか。資料3-2の19ページを見ていただきますと、現行の評価のそれぞれの観点を、各教科ごとに並べたものがございます。
  19ページ、一番上は国語で、理科が4番目になっているわけでございますが、実はこの評価の観点が、必ずしも全教科統一的に設定されていなかったという課題がありまして、今回は、これまで御議論いただいた育成すべき資質・能力の三つの柱の線で、できるだけそろえていこうと。理科の場合ですと、従来は、この3観点と4観点の知識・理解と技能というのを分けてあったものを、今回、一つの枠の中で、一つの観点、第一観点としてまとめるという案を事務局としては提示させていただいたので、本日は、まずこの点について御議論を頂きたいと思っております。
  それから、その際に評価すべき主な視点として、今、黒ポツで幾つか、それぞれの観点ごとに示させていただいておりますけれども、大枠こういうような項目でよろしいかというところでございまして、細かい表現自体は、当然これからまた、評価のための部会なりを動かしていく中で検討していきますし、実際、国研の方で、先ほど見ていただいたような資料を作っていく中で、更に細かいところは詰めていくということでございますので、大枠を本日は御議論いただきたいというものがございます。
  それから、先ほど大杉室長から説明させていただいた、同じ資料3-2の5ページ目、見ていただければと思うのですけれども、今、松浦委員から御指摘がありましたように、観点の示し方については、それぞれの教科の特性を踏まえて、若干表現を加えたり変えてもよいということでございますので、そこの部分についても御意見を賜れればと思っております。理科ですと、知識のところについて言えば、自然事象に対する知識・理解という形で書いてあったわけでございますけれども、そういう枕といいますか、修飾語的なものを置くかどうかというところも含めて、御意見を賜れればと思います。
  以上でございます。
【大島主査】    ありがとうございます。何かございますでしょうか。前回までは四つの内容であったのを、特に知識・技能というものが分かれていたのを、今回は合わせているということですね。それに関連してということと、あと、この教科の特性ですね。やはり理科の特性を踏まえて御議論いただきたいということだったと思いますけれども、何か先生方の方から御意見ございますでしょうか。
  小玉委員、お願いいたします。
【小玉委員】    小玉です。よろしくお願いします。今の資料4に関連してなのですけれども、従前もそうなのですけれども、理科の特性としては、原理・法則を理解するというのが非常に重要な部分となります。その原理・法則を理解した上で、それに付随する様々な知識を身に付けるという段階が非常に重要だと思いますので、この資料4の一番上のタイトルなのですけれども、「個別の知識・技能」となっていて、「理解」という言葉が出てきていないというのが、ちょっとこれは残念なので、是非とも「理解」という言葉を入れていただきたいと思っております。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。川村委員、お願いいたします。
【川村委員】    川村です。資料4につきまして、評価の枠組みについて意見をということですので、ちょっと狭い見方かもしれませんが、思ったことを述べさせていただきます。
  個別の知識・技能、知識・理解と技能を一緒にしたということですけれども、幾つかの現場の先生が、理科の学力として評価しようとするときに、割と知識を重点的に評価をする傾向が一部にあるようにも思えます。このように知識と技能を同じ評価の観点としたときに、もしかすると知識に偏った評価の観点がなされることが心配ではあります。知識と技能、どの程度の重み付けというのを想定されつつ、ここを同じ項目にされたのか、ほかの委員の方の意見も含めて、意見の交換ができたらよいかなと考えて発言いたしました。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。知識と技能ということで、評価する際に知識に偏った評価になる可能性があるのではないかという点なのですけれども、何か先生方の方から御意見、今のことに関してございますでしょうか。
  では、特にないということで、次、田代委員、お願いいたします。
【田代委員】    まず枠組みについてですが、これは平成20年度の学習指導要領改訂のときにも、もともと3観点にしてはどうかという意見もあったので、うまく整理して収める努力は必要かと思いますが、この方向でよいのではないかと思います。
  次に、少し細かいことになるのですけれども、4点お伝えしたいと思います。まず1点目ですが、高等学校の観察・実験のところに、「など」と赤字が入っています。これは恐らく、観察・実験だけではなく思考・実験のようなものを含めているので、「など」と入っているのではないかと思われるのですが、実は小学校とか中学校でも、ものづくりなどが入っており、小学校や中学校にも、「など」があった方がよいのではないかなと思います。
  2点目が、中学校で「概念や原理・法則を基本的に理解し」と書いてあるのですけれども、「関係性を理解し」とか、「概念や原理・法則の基本を理解し」とした方が、日本語として分かりやすいと思います。これが2点目です。
  3点目は、主体的に学習に取り組む態度のところで、先ほど松浦委員も言いましたけれども、獲得した知識・技能のところですが、「探究を通して」とすると強い縛りになるので、「自然の事物・現象に主体的に関わり、それらを科学的に探究しようとするとともに」という前の記述を受けて、「その中で獲得した知識・技能を」とすると、主体的に関わっている中、探究しようとする中で知識・技能を獲得したという意味になるのでよいと思いました。これが3点目です。
  4点目は、その文末で「日常生活や社会に生かそうとしている」と書いてあるのですが、これは広い意味で学習にも関わっていると取ればよいのですけれども、理科の中で、あるいは算数や数学の中で、理科の知識を使ったりすることもあると思うので、そういう意欲が出ているときに、それを日常生活や社会だけに限定してしまうと少し狭いと感じます。ですので、「教科の学習はもとより日常生活や社会」とするなど、教科の中でも生きるようにするとよいのではないかと思いました。
  以上です。
【大島主査】    具体的な御提案を頂きまして、ありがとうございます。ほかにございますでしょうか。本日はなかなか皆さん、いつも活発な御議論なのですけれども。
  では、松浦先生、よろしくお願いいたします。
【松浦委員】    3観点か4観点かというのを、川村先生のおっしゃったこと、理科の中では、とてもよく4観点というのはあり得ると思うのですけれども、今回、3要素に合わせて全体を縛るというのは、すごく意味があることなので、理科の中で一つの枠になるけれども、その中で知識と技能をどう強くするかと、中でやった方が僕はよいと思います。全体は、同じ全体に合わせて3観点というのは、今回重要な方向性だと私は思いました。
【大島主査】    ありがとうございます。知識・技能ということで、3観点という形でまとめられているということで、川村委員は、やはり知識に偏ったところになるのではないかということで、技能の方も、ある程度きちんと、そちらも言っていただきたいということかと思います。
【川村委員】    おっしゃるとおりです。
【大島主査】    ありがとうございます。ほかに何かございますでしょうか。
  では、江崎委員、お願いいたします。
【江崎委員】    私の方も細かいことですけれども、資料4の小学校理科の主体的に取り組む態度で、高校・中学校の方は学習したことを日常生活や社会に生かそうとしているかという点でみると、自分の行動やキャリアに生かすという読み方ができます。しかし、小学校では自然の事物・現象に生かすというとき、事物・現象の何に生かすかというのが分かりにくいと思います。「自然の事物・現象の把握」とか、何らか子供の行動を示す表現などを入れておくとよいと思います。  以上です。
【大島主査】    具体的な御提案、ありがとうございます。
  鮫島委員、お願いいたします。
【鮫島委員】    意見というより質問になるかもしれないのですけれども、今回のこの話の一番最初のところで、評価・指導一体型だというお話があったと思うので、評価の観点が3要素に合わせて三つになることには、私はとても賛成しているのですけれども、これがアクティブ・ラーニングや3要素と絡んでくるということは、どこかに偏ることなく、全てがバランス良く評価されて初めて、生徒の資質・能力の育成につながると思うのですけれども、この三つの評価の観点の重み付けみたいな方向性というのは、現在見えているのか、あるいはどうかというところをお伺いしたいところなのですけれども。
【大島主査】    事務局の方、何かございますでしょうか。
【大杉教育課程企画室長】    それぞれが全て重要だという意味では、どれか一つの特定の観点が掛け2でとかいうことではなくて、それぞれをバランス良く見ていただく。先ほど全体的な整理として御紹介させていただいた中で、一つ一つの授業で見取るのではなくて、単元を通じたまとまりの中でということは、総則・評価部会でも整理を頂いておりまして、その単元の中で、この三つの観点がしっかりバランス良く見取れるようにデザインしていくということが、単元ごとの指導計画の設計ということで、先生方に併せて求めていくということになろうかと思っております。
【大島主査】    ありがとうございます。このたびの指導要領改訂は、知識の偏重から深みと、そういう点も非常に重要だということなので、やはりバランス良く見るということだと理解しております。
  では次、小玉委員、よろしくお願いいたします。
【小玉委員】    後藤委員の方が、若干早かった。
【大島主査】    そうですか。では、後藤委員、お願いいたします。失礼いたしました。
【後藤委員】    私、前回も意見として言ったことなのですが、実は主体的に学習に取り組む態度の部分の今回示されたものが、現行の観点の書き方と余り違いが大きく感じられなくて、やはりそこには、先ほどの資料の6-2にあります学びに向かう力・人間性の中に、一番上の青い字で整理している中に、「見通しを立てたり振り返ったりするなど内省的な態度」という項目があるように、こういう部分を少し強調した方がよいのではないかという考えを持っています。
  例えば小学校ですけれども、「自然に親しみ、積極的に自然の事物・現象を、自ら見通しを持ったり振り返ったりして調べようとするとともに」などのように、中や高は、例えばそこを「自ら目的意識を持ったり、あるいは振り返ったりする」などの言葉を入れて、態度の面に、子供が主体的にする部分の「自ら行動を起こして、それを見通しを立てるのだ」とか、あるいは「目的意識を持つのである」とか、「振り返ってそれを見直すのである」などの文言を入れることによって、これまでとは違う学びに向かい方が明らかになるのではないかと思っているのです。そのような点をこれから評価するのだよと強調することが、資質・能力育成のための評価の観点としてクローズアップされるのではないかと期待しているところなのです。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。学びへの向かいということで、自ら行動したりとか、振り返ってみるなどの文言を加えてみた方が、前回の指導要領との違いも更にハイライトするのではないかという御提案かと思います。ありがとうございます。
  では、小玉委員、お願いいたします。
【小玉委員】    小玉です。先ほどの件とちょっとかぶるのですけれども、先ほど、是非「理解」というものを入れてほしいとお願いしたのですが、実は評価をする場合でも、知識ということになると、知っているか知らないかということで、本当にクイズ番組のようなことになってしまいます。実はある物事について、この項目について知識があって、更にそれをちゃんと理解しているかどうかを測るというのに注力をそそぐというのが、あるべき姿だと思います。
  ですから、理解しているかどうかを測る、評価すると。あるいは、理解するためにお互いに学び合いをすると、主体的な学びになってくる、あるいは相談したりする、結論を導いたりする、それからきちんとみんなに向かって説明できるというのは、全部理解につながっているものだと思いますので、そういう面も含めまして評価の重要な部分になりますので、理解というのは絶対抜いてはならないと思いますから、知識・理解・技能と是非してほしいと思いますし、指導要領の表記でも、必ず「原理・法則を理解し」というのが先に来ておりますので、そこについて、是非いろいろな委員の御意見を承りたいと思います。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。
  小林委員、お願いいたします。
【小林委員】    資料4の評価の3観点、基本的にはこれでよいのかなと個人的には思います。それで、この3観点を示した表の中央の思考・判断・表現が、これが次期学習指導要領の評価における中核、今も多分同じだとは思うのですが、重要な観点だと思います。
  小・中・高、それぞれ思考・判断・表現が明記されていますけれども、学習の過程を、つまり観察・実験の過程を、きちんと評価しながら授業を展開すると、結果として知識・理解・技能もくっついて上がってきます。観察・実験のプロセスを大事にした授業を行うことによって、理解も深まれば、その獲得した習得した知識などを次の学習につなげようとしたり、日常生活に活用したりしようとする力も、同時に育むことができます。
  繰り返しになりますが、この思考・判断・表現のところを、現場の日々の授業の中で評価できる枠組みとその手順というものを、我々がどうシミュレーションできるのかということも、大事になってくるのではないのかなと思います。
  それで、もうちょっとしゃべらせてください。先ほども申し上げましたが、学校現場で日々の授業の中で、先生たちが観察・実験の指導を行う場面で評価できるようにするには、どう考えておけばよいのかということについて、個人的な意見を申し述べます。
  各学年で主に育てたい力ということが、特に小学校では明文化されております。5年生の場合であれば、予想や仮説などを基に質的変化や量的変化に着目して解決の方法を発想する力。では、こういう力を育てる際に、言い方変えると、この力を支える要素となるような能力とは何かということを、我々はきちんと見据えておかなければ、文言だけが踊るということになるのではないかと思います。
  以前のワーキンググループで発言したことがあるのですが、事象を理解・把握するために観察する技能とか、あるいは、ある観点・基準に基づいて分類する技能とか、観察・実験のための仮説を立てる技能といいましょうか、能力ですね。あるいは、観察・実験で変数を制御する能力。観察・実験で測定する能力。データを解釈する能力。それから要因の抽出や観察・実験の結果について推論する能力。今、七つ挙げましたけれども、この七つの下に、より具体的な下位項目がぶら下がってくるわけです。この下位項目が明文化されたときに、一つ一つの観察・実験の評価の規準、基準が明文化できる骨格ができることになります。
  今、手元に自分が書いた資料を持ってきているのですけれども、小学校3年生から中学校3年生までの全ての観察・実験についてある基準を決めて、評価の思考・判断・表現に該当するような観点で明文化していきますと、本当に見事に、エネルギー、粒子、生命、地球における特徴的なものの見方・考え方が浮き彫りになってきます。言い方を変えると、可視化されてきます。そのように可視化されてくると、いろいろたくさん評価しなきゃいけないのだねということではなくて、生命については、これはきちんと今やっておかなければ、3年間の授業の中で、この実験しかないではないのかということが見えてきます。あるいは、どの観察・実験でもかんでも仮説を立てるのかというと、そうではないことや、中学校の1年生の物理では、仮説を立てて行うものとして重要なのはこの実験とこの実験の二つしかないではないかというようなことが見えてきます。意外にそういうものなのです。
  本日は大枠の議論ということなのですが、その大枠の議論の後のこと、少し先走った意見を申し上げたかなと思うのですが、必要ではないかと思ってしゃべりました。以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。大枠で三つの枠の中で、特に思考・判断・表現、これが非常に重要な役割を果たすのではないかということで、実際の枠組みと、あと現場で評価する場合に、手順などをブレークダウンして、それを可視化していくということが必要なのではないかという御提案かと思います。ありがとうございました。
  では次に、筒井委員、お願いいたします。
【筒井委員】    見せてもらって、三つに分けるというのは当然の流れかなと思うので、その点では何も問題ないのですけれども、「個別の知識・技能」のところに、高校とか中学校の場合、「科学的に探究する技能」というのが入っています。探究というのは、技能でもあるのですが、当然、思考力や判断力を活用してどのように探究するかという、方法を工夫していくことを含むので、探究する技能というのが「個別の知識・技能」の中に分類されているということに、少し違和感があります。探究に関する技能というものの一部は、思考力や判断力を含んでいるのではないかという気がします。
  現状は四つの観点になっているので、実験・観察の技能と科学的な思考・表現になっているので、そこが分かれていたときは余り違和感がなかったというか、それぞれでよかったのかもしれないのですが、今回、ここに個別の知識・技能として一体化した中に、探究する技能という言葉一つでそれがまとめ込まれてしまうと、探究に関する部分が技能だけでよいのかというのが、少し気になっているところです。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。探究する技能について、御指摘を頂きました。
  次、では、江崎委員、お願いいたします。
【江崎委員】    知識・技能の趣旨、資料4のところで、内容を見ると、「理解し、知識を身に付けている」と理解と知識の二つが示されています。観点のイメージ案のところでは、書きぶりは教科の特性を踏まえて検討となっていますので、「理解」という言葉を何らかの形で入れるとよいと思います。
  また、ここに示されているのは全体的な趣旨ですので、この後、全体的な評価規準が入り、更に学習内容に沿った規準を設定するというように構造化されると考えます。今回の改訂では、ルーブリックが大きく採り上げられていると思います。以前は、評価規準、評価基準と分けていた時代がありました。それが、基準の方がいつからか扱わなくなりました。今回、ルーブリックが示されたとき、現場の多くの先生方は、評価基準的にとらえ、ルーブリックに沿った評価していくことになると考えます。
  その点で、ルーブリックをつくるための基盤となる考え方、各学校でつくるときの視点などを、何らかの形で示すことが必要になると思います。また、振り返りなど、様々な取組が示されていましたから、それらをどのように扱っていくかを示すことも必要です。まずは、抽象的な全体的な内容から、個別な項目や観点で示していき、構造化を図っていく。現場の先生方がルーブリックを作りやすくなるためのハンドブック的なものがあるとよいかなと思います。
  それからもう一つ、本日の資料である、平成23年11月の評価方法の工夫改善についてですが、これを作成している中で、いわゆる評定のために用いる資料という、観点別評価も含めて評定のために用いる評価という視点と、新たに指導のための評価という視点を入れていたように記憶しています。授業における子供の行動や発言などを指導のために評価する。間違っている発言だったら正したり、実験方法や器具の操作が間違っていたら指示したり方法を示したり、授業の場面で、指導をするために行う評価というのがあったと思います。この辺りで、多分現場の先生方は、十分理解されていないのだろうと思います。評定のための評価と、もう一つは指導改善のための評価という視点を再度扱っておくとよいと思います。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。理解についての文言の話と、あと、やはり現場を考えて、指導という点も考慮する必要があるのではないかという御提案かと思います。
  では次、三浦委員、お願いいたします。
【三浦委員】    失礼します。私も今までの話の流れのように、必要とされている資質・能力の三つの視点にのっとった、この評価の三つというのは非常に納得できるので、このままこれでいっていただいてよいなと思うのですけれども、その一方で、やっぱりまず2番目のところの思考・判断・表現のところは、是非これまでのように、今までの4観点のときに出てきたように、「科学的な」というのを是非入れてほしいなと思っています。
  それから三つ目は、意見というか、ぼやきになってしまうかもしれないのですけれども、この三つの観点にしたとき、やはり現場の、先ほどの委員さんからも出ましたけれども、教員としては、最後の観点の主体的に学習に取り組む態度という、これをどう評価するかというのは非常に厳しいところがあると思っています。
  生徒一人一人の内在的なところを評価するわけですから、そこをどのように評価するのかというのは、いつも議論となるところであって、今までのほかの資料の中にも、ここは難しいところで、これからの検討を要するということが書いてありますけれども、まさにそこで、それをどのようにして現場の教員たちが分かりやすくするか、さっき御意見も出ていましたけれども、そこをしっかりやっていかないと、先ほど事務局の方から、この三つの観点それぞれが大事なんだよというお話も頂きましたし、それは分かるのだけれども、何となく評価するのが難しいので、その部分がおざなりになってしまうのではないかなという、ちょっと不安もあります。ですから、どのようにして、この後の流れになっていくと思うのですけれども、そこをすごく検討していただきたいなと思っています。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございました。
  では次、角屋委員、お願いいたします。
【角屋委員】    それでは、私は全く違ったアスペクトから、少し提言したいと思います。これ、評価の観点として三つを挙げているのですけれども、三つ挙げれば、みんな分節化するのは当たり前なのですね。それで、その中で細かい議論に全部走るのですね。一番大前提は、評価というのは子供の変容を捉える視点であるということに大前提を置かなきゃいけないのですね。それは理科の評価の在り方のところに、これら三つは相互に関連していて、子供の変容を捉えるための視点であるということは、やっぱり明記しておかなきゃいけないと思うのですね。それが第一の大前提になっていると思うのです。
  その次、今度は、そこに細かな議論が、いろいろなものがたくさん、字句訂正したら、めちゃくちゃこれは増えるのですね。こうしたらこんなもの、いわゆる現場に出したら、めちゃくちゃもうやりたくないと言われるのが当然出てくるのですよ。だからやっぱり圧縮版の方が、簡潔版の方がよいのだと思うのですね。ただ、簡潔版なんだけれども、関係はきちっと捉えているということが、非常に大事だと思いますね。
  そうすると、例えば知識とか技能とか思考・判断・表現とか主体的に取り組む態度、これ自体が、例えば思考し判断して表現するということが理解なのですね。そのような捉え方をしないと、全くこれ、分節化してしまって、訳分からなくなると思うのですね。そこはやっぱりきちっと踏まえておくべきではないかと思います。1個だけ字句を訂正したって、現場が受け入れなかったら変わらないのですよ。これは何回も我々は教育課程の改訂のときに大失敗しているのは、そこなのですね。
  だから余り細かいのを出し過ぎるということは、一見分かりやすいのですけれども、何も、みんな疲労感に浸るだけなのです。だから私はその辺はもう少し、このぐらいの程度で、ただ必要なのは、この3観点の意義みたいなものが、一体何を目的としているのかというのを付加させれば十分ではないかと思います。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございました。
  では川村委員、お願いいたします。
【川村委員】    本質的な議論になりそうなところで、ちょっと戻るかもしれませんが、私は理科教育を教えていますので、例えばプロセス・スキルズというのが、小・中・高、それぞれの校種で含まれてくるだろうなということを想像しながら資料4を見ています。
  一方、資料4に絡めて資料6-1も見ておりまして、例えば理科の完成版として、高等学校の発展というか、応用辺りが、子供の到達が期待される能力であって、例えば資料6-1の高等学校応用のところ、黒丸のところですと、科学的な探究能力(課題解決能力)の育成を図ると。そのために小・中・高校の基礎があって、応用で完成すると読み取っていました。
  課題解決能力、あるいは科学的な探究能力というのが、その前の段階でどういう出方をするのかなというのを見てみると、今の資料4で言うと、思考・判断・表現、この評価の観点で取り上げているのが科学的な探究能力なのかなと見ていました。科学的な探究能力とは別に、評価の観点では個別の知識・技能も身に付けさせ、かつ、探究に取り組む、主体的に取り組む態度と身に付けていました。
  どうしてもプロセス・スキルズというのが頭にありますので、プロセス・スキルズが、さっき筒井委員がおっしゃったのと全く同じような感想を持っていたのですけれども、もしかしたら知識・技能の技能と、この思考・判断・表現の方に分かれて入っているような気がします。一緒にしろということではなくて、もし分かれて入っているのだったら、次の学習指導要領の中で言う課題解決能力というのは、解説はレベル辺りできちんと書いておかないと、大学で理科教育を教えるときも、もしかしたらちょっと最初は混乱するかもしれないなと思っておりました。
  ちょっと短い質問よろしければ、科学的な探究能力は思考・判断・表現の観点で見取る、それとは別に、知識・技能、態度というのも子供に身に付けさせる、そういった読み取り方で間違っていないのかどうか、教えていただければと思います。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。済みません、今の御質問は、事務局にということでございますか。
【川村委員】    はい。
【大島主査】    何かございますでしょうか。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。この応用の部分が、これ、三つの柱が最善と分かれた整理というよりは、三つの柱それぞれが少し融合した形になっておりますので、これが知識・技能で、ここまでが思考・判断・表現でというのは、申し上げにくい構造に、少し応用の部分はなってございます。
  そういう意味では、基礎の部分で御覧いただきますと、これはもう当然のことながら、1、2、3の構造、そしてその上にございますのは、それらが総合的に育まれることによって育まれる力というのを、少し総合的に置いているという構造になっているということであるかと思います。科学的に探究する能力といったときに、御指摘のように技能の部分と思考力・判断力・表現力の部分、これは本日の資料で申し上げますと、6-2では、少し技能の部分と思考力・判断力・表現力、意識的に仕分けながら御議論を頂いております。それが、少し本日の資料4の評価の観点には反映し切れていない部分があるかと思いますので、今一度資料の6-2も踏まえながら、資料4を見直す。逆に、資料4を本日御議論いただいたことによって、資料6-2を見直す部分も出てまいるような、本日議論を承っておりますけれども、そういう作業をさせていただきたいと思います。
  それから、ついでに先ほど知識と理解の部分について御指摘を頂いております。恐縮ですが、先ほど御説明させていただいた資料3をもう一度御覧いただければと思います。資料3の2ページ目の一つ目の丸でございます。「『知識・技能』については」ということでございまして、事実的な知識のみならず、構造化された概念的な知識の獲得に向かうという整理。すなわち、知識という言葉の整理が一つ一つの個別的な知識ということのみならず、それらがつなぎ合わされ、構造化された知識、むしろ理解と呼んだ方がふさわしいような知識についても含まれているというような整理を総則・評価部会で頂いたところでございます。それを踏まえますと、当然のことながら資料4の「個別の」というのは外すべきであるということが一つでございます。その上で「知識・理解」とすべきなのかどうか。これは理科のみならず、全ての教科、共通的にこういった整理をしておりますので、理解を入れるのであれば恐らく全てについて入れるべき。逆に入れてしまうと、そこで指し示す知識というのが事実的な知識を指すことになってくるような読み方もできますので、それは少し横断的に整理を考えさせていただきたいと思っております。失礼いたしました。
【大島主査】    ありがとうございました。
  では、時間の関係上、今、札の上がっている委員に限らせていただきたいと思います。今、飯田委員、田代委員、鮫島委員なので、では、飯田委員、お願いいたします。
【飯田委員】    失礼します。普段研修所で勤めておりまして、学校の先生方とよく接するわけですが、その中で評価について話すこともあるのですけれども、その中で私の感想等を述べさせていただこうと思います。
  まず、小中学校の先生は、非常に真摯にこの観点別学習状況の評価にどなたも取り組んでいらっしゃると感じています。ただし、何のために評価するのかというのを、特に若い教員なのですが、はっきりとらえて評価に向かっているというものが何か少ないなという感じを受けております。このなぜ評価するのかという視点で見たときに、私自身は、子供たちの資質・能力の育成に役立つから評価すると、そんなふうに実はとらえております。そういう視点でとらえますと、指導と評価の一体化という視点もありますけれども、例えば、教師以外のフィードバックというのは、割と教師も感じているわけですが、これを児童・生徒にフィードバックして子供の力を向上させるという視点で、なかなか実感がわきにくい状況があるのではないかなと思います。単に今回、4観点が3観点になったということで、この三つについては私、全く異論はないわけですが、単純に4観点が3観点になったと、観点が減ったと、特に若い教員がとらえるのではなく、子供たちの資質・能力の育成に役立つという考え方で評価をしてもらいたいなと感じています。子供の資質・能力の育成に役立つことが実感できれば、先生方の評価の取組も変わっていくのではないかと思います。特に高等学校の先生方、私から見ても正直十分ではない部分も実態としてはあるように思います。そういう方々、特に高等学校の先生は、子供の力が伸びることに役立つことが実感できると分かれば、かなり取組も良くなるのではないかと感じているところです。そういうことですので、やはりこの示し方も重要ではないかと思うわけですが、一方では、評価について過度に負担にならないという配慮もする必要があるかと思いますので、その示し方等には十分に留意をしていく必要もあると感じております。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。
  では、田代委員、お願いいたします。
【田代委員】    先ほど角屋委員から、できるだけシンプルにすることが大事だという話がありました。同感です。評価については、新しい三つの観点をそれぞれ個別に見ていく部分と、総合的に見て評価するという部分があり難しいところですが、そこら辺をうまく整理してもらわないと、ここに文字を書いただけで終わってしまうことになる可能性があると思いました。
  2点目ですが、思考・判断・表現のところで、先ほど小林委員から、この部分が中核になるという話がありました。学習指導要領に書くか、解説に書くか分かりませんが、小林委員が言われたように、もう少し科学的な思考をブレークダウンして、学校現場の先生方に具体的に伝えるようなことができると、評価の観点等も見やすくなるのではないかと思ったところです。これが2点目です。
  3点目が、小学校の理科の思考・判断・表現を見て少し安心したのですけれども、前回の議論を蒸し返してしまう部分があるのですが、資料6-2に小学校の「思考力・判断力・表現力等」のところで、「各学年で主に育てたい力ということで、四つ載っているのですが、この「主に」というところがすごく引っ掛かるのです。どちらかというと、「主に」ではなくて、ゴールというか、究極的に目指すような内容になっているのではないかと思います。小学校6年、5年、4年、3年のところを見ると、高等学校の生徒でも、これぐらいのことができれば、「おおむね満足な状況」になってしまうのではないかと感じます。ですので、平成10年のときに角屋委員が、小学校3年生が比較、4年生が関係付けとか要因抽出、5年生が条件制御、6年生が多面的追究ということで、シンプルに現場に示したことで、ある程度定着してきている部分があります。是非この言葉をうまく活かしながら、この3年生、4年生、5年生、6年生を通じて、「各学年で主に育てた力」に示された方向にもっていくのだということを意識させながら、これまでの比較とか、関係付けとか、条件制御とか、多面的な追究を、それこそ追求していってもらうように、学習指導要領で書いてもらえればと思うのです。結論としては「各学年で主に育てたい力」ではなくて、「主に」を取って、「各学年で目指す力」とか、「小学校全体を通じて育てたい力」などとして、方向目標として示してもらうと、現場の先生が何のために比較をしているのか、何のために関係付けをしているのかということが、より分かりやすくなるのではないかと思っています。今回、アクティブ・ラーニングですごく大事なのは、つけた能力を発揮する場面を作ることがすごく大事だと思っています。自転車に乗る能力をつけました。つけた後は技能になります。技能は使うことで洗練されます。だから、小学校中学年でつけた能力は、高学年になったときに、あるいは中学校、高等学校に進学したときに、つけた能力が使える技能になっていないといけないと思うのです。小学校3年で、こういう力がついた。そうしたら、ほかの単元でも使えた。小学校4年の単元でも、3年生のときにつけた力が使えたとすることが大切なのです。それを子供たちに認識させるように学習指導要領を作っていくというのが非常に大事なのではないかと思っています。
  以上です。ありがとうございました。
【大島主査】    ありがとうございました。
  では、鮫島委員、お願いいたします。
【鮫島委員】    今回のこの評価のところで、思考・判断・表現が中核になるという話が先ほどからあったと思いますが、まさに私もそう思うのですけれども、是非そういう指針を出してほしいと思っています。この思考・判断・表現を評価するためのものが、思考・判断・表現が知識にすり替わらないようにというところは、すごく注意して見ていきたいなと思っているところです。資料6-2に、思考・判断・表現に関する能力が縦にずっと並んでいるかと思うのですけれども、この能力を諮るための評価になるはずなので、例えば、実験、観察に関わる出題があって、それで思考・判断・表現をテストのような形で○×の問題で評価しようという形では、多分ここに書かれている能力は評価されないと思うので、では、どうやって現場の先生にその能力をどう評価させる、評価する、評価課題を設定するとか、ルーブリックを作成するとか、そういう部分をどう作っていくかという部分が示されると、このせっかくの3要素が生かされる気がします。資料の3の2ページにも書かれているとおり、思考・判断・表現というのは、一定の時間をかけて成長していくもの。まさにそのとおりだと思うので、本当に1学期のこの単元で学習したもので思考・判断・表現が評価できますとか、そんなに簡単なものではない気がするので、その部分の方法論というか、この思考・判断・表現の意義がどこにあるかというのを是非強調していただきたいなと思います。
【大島主査】    ありがとうございました。
  いろいろな御意見を頂きまして、大体資料4の総意としては皆さんの合意を得られたのではないかと思います。あと実際に資料の6-1から6-4も含めて、文章の細かい部分もあるかと思いますけれども、それは主査に御一任いただきたいと思います。よろしいでしょうか。
  では、議題1については、これで終了とさせていただきたいと思います。
  議題2に移りたいと思います。事務局より議題について、説明をお願いいたします。
【米原教育課程課課長補佐】    それでは、資料5を御覧ください。議題2につきましては、「高等学校理科の履修科目について」ということで御審議いただきたいと考えているところでございます。
  まず、資料5で、これまでお示ししたような理科の今の状況等を示しているものでございますけれども、3ページを御覧ください。3ページには、「理科に関する学習指導要領改訂の経緯等について」ということで、昭和35年から平成21年までの指導要領の改訂における理科の科目の構成について整理しているものでございます。本日、高等学校理科の履修科目で御意見いただきますけれども、過去、御覧いただいたら分かりますとおり、毎改訂ごとに必履修科目を大きく見直して、科目構成を見直してきているところが理科についてはございます。
  昭和35年には4科目必履修であったところですけれども、昭和45年には「基礎理科」というものができて、「基礎理科」と各4領域の2科目が必履修。
  昭和53年では「理科1」というもの、4領域をまとめた科目でございますが、必履修。
  平成元年になると、「総合理科」ないし各領域の科目の5区分から2科目必履修。
  平成11年になりますと、「理科基礎」、「理科総合A、B」、物化生地のうちから2科目の必履修。
  現在の平成21年改訂を書いてございますけれども、「科学と人間生活」に加えて、基礎科目の一つとするか、若しくは基礎科目のうちから三つを必履修という形となっているところでございます。
  今回、特に必履修科目、科目構成中心に御議論いただきたいと思っているのですけれども、その前に参考資料2を御覧いただければと思います。参考資料2は、日本学術会議の「科学者委員会・科学と社会委員会合同  広報・科学力増進分科会」というところが出した提言でございますけれども、こちらについても参考に見ていただきながら御検討いただきたいと考えております。
  2枚めくっていただき、「要旨」というところがございます。目次の3ページを御覧いただきたいのですが、2の「現状及び問題点」、この提言を書くに至った問題意識ということでございます。一般の国民の科学リテラシー及び科学に対する興味・関心が国際的にかなり低いということで、高校理科教育の在り方を再検討する必要性を強く示唆するということ。
  ただ、現行が、理科が物理・化学・生物・地学の4領域に分けられておりますけれども、この全てを学ぶ方向性というのは極めて例外的であるということ。
  2の最後の行でございますけれども、「それらの基礎的な概念を全ての高校生が学べるような理科の基礎教育が不可欠である」ということを問題意識として御定義をされています。
  具体的な提言の内容といたしまして、3で(1)の最後にございますとおり、「現在の領域別の四つの基礎科目を再編し、『理科基礎(仮称)』という必修科目を新設すべきである」という御提言でございます。
  さらに(2)でございますが、この「理科基礎(仮称)」に6単位ないし8単位を割り当てるべきであり、そのためには4領域の基礎事項をまんべんなく教えることのできる高校理科教員の養成体制を早急に整えるべきであるということ。また、大学入試センター試験等における必受験科目として位置付けるべきであるという御指摘がなされているところでございます。
  この「理科基礎」の中身でございますけれども、本文の8ページを御覧いただければと思います。日本の「これからの高校理科教育のあり方」というところの、下の方にd)とございますけれども、この内容が、単に物理・科学・生物・地学の基礎的事項の独立したものの集合にとどまらず、それらを有機的に融合させた内容に再編する。寄せ集めではなくて、広く科学の基礎が学べるようにするということは言われているところでございます。
  ただ、どういう観点で融合させるのかについては、必ずしも示されているわけではないのですが、まさに融合科目としての「理科基礎」の必要性について提言がなされているところでございます。
  こうしたものを踏まえまして、事務局でもいろいろと検討させていただいているところでございますけれども、資料5に戻って2ページをご覧いただければと思います。左側に「科目構成」としまして、現行の科目構成がございますけれども、事務局の案といたしましては、右側にありますとおり、「新教科・科目が入った科目構成(案)」ということで、基本的には現在の科目構成を引き継ぎながら、「理科課題研究」を廃止して、そこが今ずっと検討してございます「数理探究」というものに変わるような形。そして、必履修としましても、今の考え方を踏襲するというところでいってはどうかと考えてございます。
  理科課題研究につきましては、下の履修状況を見ていただければと思いますけれども、一番右が理科課題研究になりますが、非常に履修状況が悪い。普通科でも0.7%、トータルでは0.5%となってございますので、そこは増やしてしていくことが必要ということと、同じ探究的科目である「数理探究」というものを今検討してございますので、そちらで対応していくことでよろしいのではないかと考えているところでございます。
  今回、こういう形で科目構成を余り見直さないということの趣旨でございますけれども、本日お示しした資料の6-3でもお示ししておるところでございます。各領域、エネルギー、粒子、生命、地球ということで整理してございますが、ごとに違った物の味方であったり、考え方であったりということがあるということで、当然発達段階、内容の難しさ等々に応じて、小学校ではそれを大くくりにして学んでいくことで、中学校では1分野、2分野ということで学んでいくことだと思います。高等学校では、学び方、考え方の違いをきちんとそれぞれの領域ごとに見つけていくというところで、今の各領域の基礎を分けて学んでいくところが、一つの必要なことであろうと考えておるところでございます。もちろん、4科目という御意見もあろうかと思いますけれども、中学校段階では、第1分野、第2分野ということで大きく2分野に分けておるということで、3科目の必履修にすると、少なくとも1分野であったり、2分野であったり、そういった大くくりのところの両方を学ぶことにもなってくるということ。ただ、現実的に、理科8単位、4科目やるところが、学校現場の教育課程の編成上の難しさもあるということから、現在の形、資質・能力の面からも、現状、実際の面からも、教育課程の編成上の面からも、そういった形の方が適切ではないかということで、こういった案を提示させていただいているところでございます。この点につきまして、御意見を頂ければと考えております。
  説明につきましては、以上でございます。
【大島主査】    ありがとうございました。
  それでは、議題2といたしまして、「高等学校理科の履修科目について」、御意見をいただきたいと思います。
  その前に、先ほど米原補佐からも御説明がありました参考資料2について、これは本年2月に出されました、日本学術会議の提言でございます。この提言の作成の際に、ワーキンググループに検討メンバーとして西原委員が関わっていただいているということなので、西原委員より、本提言について補足説明若しくは意見がありましたら、是非お願いしたいと思います。
【西原委員】    振っていただいてありがとうございます。
  実は私がこの説明をするのに適した人間かどうか分からないところがあるのですけれども、というのは、この小委員会の委員の中にいわゆる多数派と少数派というのをして、実は私は少数派の方だったので、余り委員長のお考えそのまま申し上げられないかもしれません。ただ、これが独り歩きしてある意味ラジカルなというか、エスカレートしてしまうのは非常に危惧しておりますので、私としては少数派だったということを踏まえて、少し経緯と御意見を述べさせていただければと思います。この学術会議のワーキンググループは、もともとCSERSという理科の連合会と地学の教育学会が総合理科をしたいというところから多分スタートしているのではないかなと思います。私も化学の観点で知り合いの先生から入ってくださいということで入ったのですが、最初に大ざっぱに言えば、結論に書いてある「総合理科」「基礎理科」を設けようというところからスタートしているのですけれども、私自身は、それは今まで失敗してきた歴史もあるし、それとどう違うのかということをはっきりさせないと意味がないということで、かなり突っ込みました。2年間にわたって二つの案が並行して出されて、最終的には最初に学術会議に出したときには、その二つの案も並行でいきましょうということで出したのですけれども、学術会議の方から「では、どちらを優先するのだ」という回答があって、それで多数派の方ということで、今話題になっているかもしれませんが、「基礎理科」を作るという方向にシフトしているのが現状です。
  それで、もう一つの案は何かというと、8ページの真ん中のa)にありますけれども、「とりあえず、現行の『物理基礎』、『化学基礎』、『生物基礎』、『地学基礎』の4科目をそのまますべて必修とするところから始める」という案です。それで、この多数派、少数派、全く反駁しているわけではなくて、もちろん共通な意識もあるわけで、それは何かというと、一つは、今、地学の基礎が3割取っている。これは昔よりは大分よいのですけれども、1人の生徒から見れば、地学を取っていない生徒が7割いて、別の生徒はまた物理を取っていないけれど3割いる。要するに3科目しか学んでいないというのは、やはり少し足りないかなという感じはするわけです。ですから、それはなぜかというと、将来生きる力というか、それを豊かにするためには、ある程度生活とか社会、産業、それから、もちろん、自然をきちんと理解して、その中に必要なものは採り入れることは必要で、それは四つの教科にそれぞれ要素として入っているだろうということはあるわけで、それをなるべく取り入れてほしいというのがあります。その中で、ここでも議論されていますけれども、各教科間の連携をきちんとやる。同じ題材についても、ほかの教科ではどうしてやっているかということを連携してやればよいのではないかと私たち少数派は思って、それで「物理基礎」「化学基礎」という基礎に分けながら、かつお互いの連携を取るというやり方で教育ができるのではないかなと思いました。一番、その四つの基礎に分けるということと、「基礎理科」を作ることの違いは、我々少数派の意見というか、今、やはり教員の問題なのです。それで、ここから言うと私の意見になってしまうのですが、教員は深い知識を持っている方が基礎科目というか、簡単なことを教えるのが生徒にとってはかなり印象的になるだろうと思います。それで、全て四つの基礎を全部教えられる先生を創るというのが、ここの提言の最後の方に書いてあるのですけれども、本当にそれができるのかなというのが我々少数派の疑問であったわけです。私は、それはまだ難しいのではないかと個人的には思っています。ただ、それを最後まで主張はしたのですけれども、携わりにならなかったのは、この委員会に入っている現場の先生たちの中には、四つの教科を教えられるのではないかという先生も結構いらっしゃるのですね。それで、実は委員長と私だけが大学の教員で現場を知らないということで、その辺で現場の先生がどのくらい教えられるかということは、ある程度僕らには分からないということであって、そこはあくまでも私たちは照査はできにくいのではないかということを思っているのですけれども、やはりそれは現場の先生の御意見を重視すべきであろうということで、そこは、それ以上はディスカッションにならなかったのですが、そういう意味で二つの意見が併記されていました。それを先ほど言ったようなその後の学術会議等の意見も踏まえてこういう形にまとめたというのが現状です。ですので、根底にある四つの教科の非常に大事なところは入れ込まないといけない。それはどういう形で教えるか、一つの教科にして教えるのか、それとも各教科を分けて、その中でもう少しうまい連携を取りながら教えるのかというところが大きな違いなのですけれども、それは最終的には専門の教員が、深い教員が身に付けながら教えていくのか、それとも四つの基礎強化を全部教えられる教員を創るのか。そこに焦点があるのではないかと思います。
  もう一つ付け加えると、ここでは高校理科の問題だけなのですけれども、私もこの委員会で申し上げたのは、まさにここで話しているように中学とか、全ての中等教育の連携を踏まえないと話にならない。ここでは、結局は中学のことは一応そのままにして、高校に入ったときの理科のことだけを考えているところが、また私としては問題かなと思っています。ですので、済みません、余り委員会の御意見そのものを踏まえた形ではないのですけれども、ある程度委員会の多数派の意見のことも御理解いただいているのではないかなと思いますので、あとは特に現場の先生とか、関わってこられた先生方の御意見を踏まえてディスカッションいただければと思います。もちろん、委員長をはじめ、これがすぐに今度の学習指導要領に反映されることまでは実は期待していないということがあるのですが、例えば、その先の指導要領で、こういう考え方をいかに取り入れてくれるのかというところで提言を出したというのが実情だと思います。
  以上です。
【大島主査】    詳細な経緯を御説明いただきまして、ありがとうございました。また、率直な御意見も頂きましてありがとうございました。
  それでは、議題2について意見交換を行いたいと思います。時間の関係上、できましたら25分間、55分を目安に意見を申していただければと思います。
  では、角屋委員、お願いいたします。
【角屋委員】    私は高等学校を見ていますが、校長としてしか見ていないものですから、余りえらそうなことは言えないのですけれども、高等学校の科目を考える場合に、その科目を四つ設定するということは、その科目に特有な能力とか知識体系があるだろうという大前提を掘り込んでいるわけですね。それで科目を設定させているわけです。その四つを全部やらなければいけないということはどういうことかというと、多分、それぞれの独立したものを全部やらせることによってトータルとして分かるのだという発想なのですね。
  ところが、今回の学習指導要領の大きな特徴は、能力・資質で物を見ましょうと。そうしたら、科目固有の能力・資質とは何ですか。だから、科目を共通する汎用的な能力・資質とは何ですかという議論になってくるのですね。ということは、内容をこれから科目として設定していくときに、その二つの視点で内容を構成していくことができるならば、今、いろいろ提案されているものに対して、我々が応えることはできるのだと思うのです。だから、科目を全部学ばせることではなくて、科目を通して育成されるものの固有なものは何ですか。あるいは、共通するものは何ですか。汎用するものは何ですかという形の二つの視点で科目の内容構成ができれば、こういう疑問に一つ対応できるのではないかと思います。
  以上です。
【大島主査】    貴重な御意見をありがとうございます。
  では、小玉委員、お願いいたします。
【小玉委員】    小玉です。まず、学術会議の提言ですけれども、私も趣旨としては非常に賛成でございます。趣旨としては賛成なのですが、実態としては現行のままでよいという考えを今から述べたいと思います。私は地学ですけれども、従来は数%しか日本国民が地学を学んでいないという状況がありまして、これを非常に憂慮しておりました。例えば、私の授業では、地震のときに「津波てんでんこ」とか、そういうのを全部教えますし、地震があった場合は、皆がまず真っ先に自分の身を守るために高台に逃げるのだということは徹底して教える。火山のときも地震動、微動があった場合にはすぐに建物に避難するとか、そういうことをきちんと教えてきたわけです。それが、多くの国民が学んでいないという状況を非常に憂慮しておった。それで、改訂になりまして、4分の1の日本国民、高校生が学ぶようになったということは非常に良かったなと思っておりますが、それが3.11に間に合わなかったということでございます。今回の改訂では、地震災害についても、あるいは環境についてもきちんと学ぶように織り込んである地学基礎の内容となっておりますので、できれば全てを学んでほしいという気持ちは非常に強くあります。その物化生地全部学んでほしいというのは、実は中学校までは専門家が必ずしも教えていないのですね。高校になって初めて専門家がきちんと深い理解のもとに教えるということです。例えば、いろいろな県で話を聞いていますけれども、地学を物理化学の先生が教えるのは極めて難しいのです。地学の先生は、私もやりましたけれども、物理も化学も基本的に教科書の内容は教えられます。ところが、地学、あるいは生物の内容を教えるには、相当深い理解がないと教えられないということです。例えば、ビッグバンのことについても、あるいはプレートの運動についても本当の原動力が何かというのは、相当深く知っていないと教えられない。そういうことがありますので、専門家がきちんと教えるのは、高校になって初めてなのです。ですから、そういう専門家がきちんと教える4科目を全部学んでほしいという気持ちはあるけれども、現在の状況を考えますと、どの教科もそれは思っていますので、膨大な単位数になってしまう。そういう中で、ぎりぎりのところを現行の教育課程はやっているのではないかと思いますので、現行の科目構成のまま、文科省の提案のとおりで、今度は資質・能力、あるいは学び方に着目をして、きちんと学ぶのがよいのではないかなと思っております。
【大島主査】    ありがとうございます。
  では、赤石委員、お願いいたします。
【赤石委員】    まず、私の意見ですが、今、小玉委員がお話しされた内容と同じでございます。趣旨としては非常に大事な内容が含まれているように思いますが、現状としては、非常に難しいだろうと思います。理系の大学に進まない生徒への理科教育の在り方ということで、エネルギー、新素材、医療、宇宙、防災、そういったことが理解できるようにする、理科教育が必要だと書かれていたかと思います。こういった高い専門性のある内容を教えるには、その領域の専門性を持った理科の高校の教員が授業を進めていかないと、生徒の興味、関心はなかなか育ちにくいのではないかと思います。
  また、日常生活と社会と関連付け、そういった理科の有用性を実感させるような深い学びを行うためにも、先ほど小玉委員がおっしゃったように、その分野の中身を深く理解している教員が教えていくことが重要だと思います。自然の事象の、「なぜ」に気づくような実験・観察を行う際には、そういった実験をたくさん行っていないと、まず、気づきにもいかないと思います。対象となる領域の専門性が、生徒の仮説を立てるときには非常に大事だと思います。
  また、別の視点ですけれども、今回、4科目のうち3科目を必履修とする現行の学習指導要領になったおかげで、地学基礎の履修者が東京の場合、非常に増えました。結果、東京都の地学の教員の採用が何十年ぶりにあったということがあります。現行の4領域の基礎科目を履修させていくことで、地球の領域の専門性の高い高校の教員の確保にもつながっていくのではないかと思います。
  別の視点ですが、今回、この日本学術会議の提言を受けまして、日本理化学協会という、高等学校の主に物理と化学の教員の研究団体の事務局で、全国にある北海道、東北、関東、東京、東海、北信越、近畿、中・四国、九州と9つのブロックのまとめ役をされているブロック長、副会長の方ですけれども、その先生方の意見を集約しました。提言と理科の学習指導要領の編成についての資料を基に、ブロックでの状況を踏まえて個人的な意見を自由に記述していただき、事務局が取りまとめたものです。主に4点に集約することができました。
  まず、現行の学習指導要領に対して、全員の先生方が評価をしていました。具体的な意見としては、基礎科目とはいえ、理科3科目が履修できること。理科の各科目の履修率が大幅にアップしたこと。物化生地の基礎科目をそれぞれの専門性を持つ教員が指導できることが良いという意見でした。
  次に、「基礎理科(仮称)」の設置に対しては、考え方や趣旨に賛同される方が数名いましたけれども、ほとんどの方が反対の意見でした。具体的な反対意見としては、「基礎理科(仮称)」の設置が教える教員の専門性と意欲を失わせること。以前行った「理科Ⅰ」などの反省がきちんとなされていないこと。実施するなら、6~8単位必要であるけれども、そのような大きな単位数の科目は非常に困難であること。現時点では、教える教員の確保は難しいこと。こういった意見がありました。また、総合科目を次期学習指導要領に反映することに対しては、趣旨は分かるけれども、時期尚早だという方が数名いますが、その方を含めて全員の方が、次期学習指導要領の総合科目の設置には難しいだろうという意見でした。教員養成が間に合わないことや、あるいは、提案された内容自体がまだ十分には統合されていないのではないかという意見でした。最後に、理科教員に対して、総合科目が指導できる教員が必要かということに対しては、そういった点が必要だという方は数名いますけれども、中身は非常に深いということで、各科目の専門性を持つ教員であることが必要だという意見がほとんどでした。
  全体としては、以前、「理科Ⅰ」を指導された先生で、その経験を通して総合科目の意義については積極的に認めるという方がいらっしゃいましたけれども、理科総合科目の設置には反対という先生が多数で、次期学習指導要領ですぐに設置することへの賛成意見はありませんでした。参考までにまとめたことを発表させていただきました。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。具体的に御意見をまとめていただきまして、ありがとうございました。
  次、筒井委員、お願いいたします。
【筒井委員】    今、赤石委員が言われたので、私は補足するほか、何もなくなってしまったと思っています。総合的な科目を創設する動きというのは、10年ほど前に非常に活発で、様々な団体が様々な案を提案して、もう一つ前の課程の問題を克服していこうというときに、盛んに議論されました。具体的なものがいろいろと提案されたのですが、結局、それぞれの領域の基礎が十分理解できる、総合的に自然を見る力をつける観点や探究的な活動ということも盛り込むと、とても高校生全員にやらせるのは難しいという結論に多くの方の考えが至った結果、現行のものが作られてきたと私は認識しています。現状の基礎4科目のうちから3科目履修ということで、物理も履修者が増えていますし、ようやく2単位の科目としてそれぞれの領域の基礎をどう教えるかということが、今定着しかけている時期にかかっていると思います。今回は更にこれをより深い学びとか、探究的な学びにさらに良くしていく方向で改訂が進むのが望ましい方向だろうと思います。安易に総合的な科目にしてしまうと、指導者の力量が伴わない結果、学びが深まらないということに非常に懸念されますので、今回は現状の科目構成のままで、中身を更によくしていくことに注力するのが最善だと思います。

  以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。
  では、田代委員、お願いいたします。
【田代委員】    発言すると後でまとめるのが大変になるので、どうしようかと思いますが、一応発言します。参考資料2のローマ数字の小文字の3という、本当にすぐのところに提言の内容(1)(2)とありますが、(2)の下から3行目の部分は賛成です。読み上げると、「さらにこの『理科基礎(仮称)』は大学入試センター(あるいはその後継として想定されている統一試験)における必受験科目と位置づけるべきである」と書いてあるのです。実は今回の基礎を付した科目も、そういう意味では大学入試センターで課してほしい科目だったのです。これだけにしてほしかったのです。でも、大学の入試の状況が当初予定したものとは全く違っていて、大学入試センターが、本来の基礎的な能力を試す試験ではなくて、選抜のために必要な試験となってしまっているために、基礎だけで止まらなくなってしまった。もし基礎だけで止めてくれていれば、今よりも物理基礎も地学基礎も更に履修率が高まって、かなりの生徒が四つの領域を学べたはずだったのですが、そうなっていないという現状がまず一つあるので、ここについては提言に非常に賛成するということがあります。
  2点目は、領域を超えた総合的な視点はとても大事だということはよく分かります。ですが、現行でも中学3年生は第1分野、第2分野を超えた総合的な視点を入れていますし、今予定されている新しい科目の「数理探究」というのは、数学と理科も超えた意味で領域を超えた総合的な学びをしております。それから、新しい学習指導要領では、それぞれの中でも資質・能力に着目しろということになっているので、当然、物理、化学、生物、地学の中でも、似たような概念とか能力については、横軸を通す形で改訂を諮ることになっているので、そういう点でも領域を超えた総合的な視点は意識せざるを得ないと思っております。
  3点目です。参考資料2の6ページを開けてもらって、一番下を読み上げると、「膨大な知識を習得するのではなく、個人では獲得することが難しく、かつ大人になっても必要不可欠な基礎概念・技能の獲得を目指す」と書いてあるのです。これが具体的にどういうものなのかというのを示してくれれば、それについては学習指導要領を作る際に意識しなければいけないと思うのですけれども、具体的には挙げられていないので、それがどういうものなのか分からないというところです。
  それから、4点目が、あちこちいって申し訳ないのですが、同じ資料の2ページ目の一番上で、これも読み上げます。「むしろ、事実に基づいて論理を組み立て、議論し、判断に導く実証的態度を身につけることこそが求められている」。知識よりもこういうことが大事だと言っているのですが、これは、物理、化学、生物、地学、違う領域で違う学びをしているにもかかわらず、理科の態度としては、事実に基づいて論理を組み立て議論し、判断に導く実証的態度は同じだと気づくことが大事なので、一つの科目でやるよりはほかの科目でやりながら実はやっていることは同じだと意識することが、この理科の領域を学んで理科という考え方を学ぶという点ではすごく大事だと思うので、その意味でこの違う科目の中で同じことを学ぶことがすごく大事なのではないかと思っております。ということで、事務局案が出した科目構成の方が、アクティブ・ラーニング等を考えてもよいのではないかと思っています。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。ほかに何かございますか。
  三浦委員、お願いいたします。
【三浦委員】    失礼します。私も現場の教員として一言言いたいと思います。事務局の意見に賛成です。今まで理科というのは、説明にありましたように、結構な頻度で科目構成などが変わってきたという歴史があったのですけれども、ここでやはりじっとお尻を据えて、今のこのせっかく3科目必履修になったところをしっかりやって、今求められている資質・能力をどうやったらつけられるのかというのを、1回時間を置いてやらせていただきたいなと私は思っています。ですから、今回また変えるのではなくて、現行のままで是非いっていただいて、先ほどいろいろな先生から意見がありましたけれども、まさに現場の方は、ようやくこれがどうなっていくかというのが、先が少し見えてきて、アクティブ・ラーニングを入れてどうするのかというところまできているので、もう少し時間をもらってもっともっとここを進めていくことをやらせていただきたいので、今回については、是非事務局のままいってほしいと思っています。
【大島主査】    ありがとうございます。
  では、松浦委員、お願いいたします。
【松浦委員】    私も多くの委員と同じ意見です。違う視点で一つ。前の理科総合のときに、私、2年間高校の校長をやっていたのですが、未履修問題のようなところで若干ひやっとしたことを思われます。だから、少し気をつけないとそういう問題がどうしても総合科目は、4科目を同じようにきちんと教えることは、実態上かなり難しい。それに比べて今の状態は大変よいと思います。今の方がよいと思います。
  でも、趣旨を若干生かす必要はあるので、二つ意見を言いますと、一つは、今でも基礎を普通科で4科目やっている学校も多くはないですよね。それがよりやりやすくなり、よりプッシュするような文言が入る。だから、3科目以上、4科目必修にすることは他教科との関係で無理だと思いますけれども、4科目という文言を入れて、3科目でもよいけれど、4科目の方が推奨されているのだというのだったら、他教科との調整もいけるのではないかというのが一つの意見です。
  もう一つ、「科学と人間生活」がうまくいけば、33%取っているのですから、この趣旨がいけると思うのですけれども、これは公開されているからよいと思うのです。私は「科学と人間生活」の教科書を見させていただく方をやっているのですけれども、これが本来の趣旨になっていないというのが私の意見です。だから、「科学と人間生活」が、今回の提言の趣旨のようなものを一部かもしれませんが、活かせると思うので、そこで若干それの要素が入るのではないかと思います。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございました。そろそろお時間になりましたけれども、よろしいでしょうか。ワーキンググループとして提案している現行の科目構成でいくということですけれども、その際に今期の趣旨である資質・能力の育成を特に重視しながら、現行を深い学びなどにどういう形で結び付けるかなどについて、アクティブ・ラーニングを含めて改善に注力していくことが皆様のワーキンググループとしての総意ではないかと思っております。いろいろと御意見いただき、ありがとうございました。
  片平委員、何かございますか。
【片平主査代理】    本日の2点に関してですが、評価に関しては、主査の大島先生が指摘されているように、バランス良く単元の中で三つの観点を見ていくことが大切です。トータルなものとして全体的なところから評価をしていくことが大切だと思います。そして、後藤先生がおっしゃってたように、「学びへの向かい方」、「自らの行動を振り返る」ための評価であることが重要です。
  続いて、江崎委員がルーブリックを作るための基盤となる何らかの考え方や基準が必要だとおっしゃっていた点についてです。日本の観点別評価に関しては、有識者の先生方が観点を考え、更に国立教育政策研究所等の協力を得て細かい観点が作られています。しかし、外国で作られているルーブリックは、グループグレーディングといって、何人かの評価者たちが、ある子供たちの作品、成果物、発表等を見て、得点を付けます。その際、それぞれの評価者は相手が付けた得点を知らない状況で作業をします。最終的に得点が出そろったら、それぞれの得点を見比べ、「これは4、高い評価にしよう」「これは3だね」「これは2だね」「これは1だね」と言って、それぞれの評価の観点とルーブリックができあがるのです。これからのアクティブ・ラーニングのルーブリックを作る際も、単純にこうしたら「アクティブ・ラーニング4だよ」「アクティブ・ラーニング2だよ」というのではなくて、子供たちの活動を見ながら、かつ、教師側が求めているものも踏まえながら作っていくことが大切だと思います。また、欧米諸国で使われているルーブリックを用いた評価が全て優れているというわけではありません。日本では、小学校・中学校・高等学校の実情に合わせながら使っていくのがよいと思います。
  2点目の高等学校の履修に関しては、すごく難しい問題があるなと考えます。私も前回、化学の学習指導要領作成に携わったのですが、これまでの何回かの改訂を経て、現在は、扱う内容や単元も定着してきていると思います。今回は、前の改訂で良くなったものを更にどう良くするかという点に力点を置き、更にそれにアクティブ・ラーニングをどう加えていくかを検討していくとよいと思っています。高等学校の科目の問題は、大学入試センター受検科目との連携が大きなネックになっています。さらに、既に皆さんの共通理解もできているようですが、実際には教員養成の影響をすごく受けています。どういう先生を育てていくかが大きな問題なのです。一般の大学では、高等学校の物理・化学・生物・地学の得意な先生をつくっています。更に大学院に入り、専修免許を取る際には、物理の大学院に行った人は物理だけを学んで、高校の先生になっているのです。化学の人は化学だけを学んでなっているのです。生物・地学も同様です。物理・化学・生物・地学を広く勉強して専修免許を取っているケースはまれです。今後も一層専門に特化した高校のみが生まれてくる可能性が大きいのです。そのような先生方は、専門教科の深い指導はできると思うのですが、自分の専門以外の教科を教えられるかというと、そこには、限りなく難しい現実があるのです。今日の議論を通して、教育課程改訂の問題というのは、根本では教員養成深く関わっており、そこをどうするかじっくり考えていかないといけないのだと痛感しました。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。皆様にいろいろな御意見を頂きまして、ありがとうございました。特に議題2、学術会議から御提案がありましたけれども、学術会議も教科間の連携は必要だということは西原委員からも御説明があったことでございますし、多分、学術会議として言いたいのは、各領域を有機的に結び付けて理解していくことが必要であって、そういうことは多分本質的なことだと思いますので、それを今期の学習指導要領の特徴であります、特に能力・資質でこのたび整理していますので、そういうことも含めて整理していくことが今後必要になってくるのではないかなと思っております。
  以上、本当に皆様、いろいろな御意見を頂きまして、ありがとうございました。時間も参りましたので、本日はここまでにしたいと思います。本日お出しいただいた御意見については、事務局で論点ごとにその趣旨を整理していくようにお願いいたします。また、限られた時間内での討議でございましたので、更に御意見やお気づきの点などがありましたら、改めてペーパーで事務局にお送りいただければと思います。
  では、本日予定されていました議題はここまでです。最後に次回以降の日程などについて、事務局より御説明をお願いいたします。
【米原教育課程課課長補佐】    次回は4月26日火曜日でございますけれども、16時半から開催を予定しております。場所はこの会議室ではなくて隣の会議室であります3F1特別会議室にて開催を予定しております。また、毎度のことでございますけれども、主査からもお話がありましたように、ペーパーによる御意見等もちょうだいしたいと考えておりますので、ファックス、メール、郵送等でもお願いいたします。
  なお、本日の配付資料は机上に置いていただければ、後ほど郵送させていただきますので、御希望の方はそのまま置いていただければと思います。
  以上でございます。
【大島主査】    ありがとうございました。
  では、本日の理科ワーキンググループを終了させていただきたいと思います。ありがとうございました。

――  了  ――

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