教育課程部会 理科ワーキンググループ(第4回) 議事録

1.日時

平成28年2月5日(金曜日) 17時00分~19時00分

2.場所

文部科学省 東館15階 15F特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 理科において育成すべき資質・・能力について
  2. アクティブ・ラーニングの三つの視点を踏まえた、資質・能力の育成ために重視すべき理科の指導等の改善充実の在り方について
  3. 現行学習指導要領における現状と課題について
  4. その他

4.議事録

【大島主査】    では、定刻になりましたので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会理科ワーキンググループの第4回を開催いたします。本日は、お忙しい中、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
  では、まず最初に、配付資料について確認をお願いいたします。
【米原教育課程課長補佐】    それでは、配付資料の確認をさせていただきます。
  本日は、議事次第に記載しておりますとおり、資料1から8、参考資料1から3、その他、机上に参考資料を配付させていただいております。不足等がございましたら、事務局にお申し付けください。
  なお、机上にタブレット端末を置いていますけれども、その中には、これまでのワーキンググループでお配りした資料であったり、その他関連資料をデータで入れてございます。詳細はタブレット端末の下に置いてあります目次をご覧ください。
  以上でございます。
【大島主査】    ありがとうございます。
  では、これより議事に入ります。なお、本日は報道関係者より会議の撮影及び録音の申出があり、これを許可しておりますので、御承知おきください。
  では、これより議題1として、「理科において育成すべき資質・能力について」、議題2として、「アクティブ・ラーニングの三つの視点を踏まえた、資質・能力の育成のために重視すべき理科の指導等の改善充実の在り方について」、そして議題3として、「現行学習指導要領における現状と課題について」の自由討議を行います。
  まず、本日は各教科等のワーキンググループ等で検討事項について御報告をいただいた後に、議題1、2、3を中心に御議論いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  では、まず、事務局から資料に基づき御説明をいただいた後、自由討議を行いたいと思います。では、事務局、御説明の方、お願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。それでは、本日の中心的な御議論の資料ではございませんけれども、資質・能力、あるいは学習過程の在り方ということにも少し関わってくる他のワーキングにおいて議論された事項につきまして、前回、特別支援教育について御報告させていただきましたけれども、今回、資料8について情報に関わる資質・能力、健康、安全等に関わる資質・能力に関する議論についてを御報告させていただきます。
  まず情報に関わる資質・能力についてでございます。資料8、1枚おめくりいただけますでしょうか。これにつきましては2点ございます。1点目は、各教科で御検討いただいている学習過程という中で、より今後積極的にICTを活用していくという方向性でございます。もう一つは情報活用能力をしっかりと各教科の資質・能力と関係付けをしていく、この方向性でございます。
  1点目のプロセスの中でICTをということでございますけれども、情報に関わる資質・能力の2ページ目でございます。ICT活用の特性・強みについてということで、カスタマイズが容易、時間的・空間的制約を超える、あるいは双方向性を有する、こういったメリットをアクティブ・ラーニングの視点に立った深い学び、対話的な学び、主体的な学びの実現、あるいは個々の能力や特性に応じた学びの実現、あるいは地理的環境に左右されない教育の質の確保、こういったことに活用していくという方向性でございます。
  3ページ目をお開きいただきますと、理科の例ということで、現在検討していただいております学習過程の在り方を例として載せさせていただいておりますけれども、こういった学習のプロセスの中でICTを効果的に活用することにより豊かな学習を実現していくということ。また、それが情報活用能力の育成にもつながっていくということであります。
  4ページ目には情報ワーキングの方で整理していただきましたICTの効果的活用の具体的な例でございます。他校との交流でありますとか、海外との交流、あるいは協働での意見の整理やプレゼンテーションなど、対話的な学びをより促進するというような側面、あるいは課題の把握をしやすくしたり、データ分析等の補助としてICTを使っていくということで深い学びを促進する側面。あるいは自らの学び、振り返りに使うということで主体的な学びを促進する側面。それから、4ページ目左下にございますような個に応じた学習や遠隔教育というようなことでも活用できるということで、こういったことの具体的な活用の在り方、今後各教科の中でも視点として持っていただきたいということでございます。
  続きまして、5ページ目、これはかなり字が小さくて、見にくくて、恐縮なのですけれども、5ページ目、資質・能力の三つの柱から整理した情報活用能力でございます。情報活用能力、これまで情報活用の実践力、情報の科学的な理解、情報社会に参画する態度、この三つの観点から整理をされておりましたけれども、これを8月の論点整理を踏まえまして、情報ワーキングにおいて、各教科で関連付けをしやすいように再整理していただいたものが5ページ目の下の整理でございます。これは単にICT活用の力ということだけではございませんで、情報をしっかりと活用して問題を発見・解決していく力、こういったものも含んだものとして整理をいただいているところでございます。
  より具体的に7ページ目が発達の段階に応じました資質・能力の育成のイメージでございます。幼児教育の基礎の上に小学校、中学校、高等学校とございますけれども、今回特に高等学校におきましては、情報化において、現在の情報の科学における問題解決の手法として情報やプログラミングなどを活用していく。この共通必履修科目を新たに作っていくということでございますので、これが一つ大きな核になってくるということ。
  また、中学校におきましては、技術科におきまして計測制御のみならず、コンテンツに関するプログラミングも学べるようにしていこうという方向性でございます。こういったことを核にしながら、小中高、全ての教科を通じて情報活用能力ということを意識しながら育んでいけるようにしていきたいということでございます。
  具体的には8ページ目でございます。上に全体の方向性、総則などとございますけれども、教育課程全体を通じて、情報に関わる資質・能力を発達の段階に応じて育成することができるよう教科の特性に応じた指導内容の充実、それから先ほどのアクティブ・ラーニングの姿勢に立った学習活動におけるICTの効果的ということでございます。
  また、特に小学校段階の課題といたしまして、現在も情報手段の基本的な操作はできるようにということは学習指導要領にも位置付けられてはいるのですけれども、様々な調査では、例えば1分間に5文字程度というのが平均であるというようなことも含めて、まだまだ課題があるのではないかということでございます。これを今後国語におけるローマ字学習でありますとか、理科における観察・実験の記録等の学習とも関連付けながら、カリキュラム・マネジメントの中で小学校段階でしっかりと育めるようにしていくということ。また、プログラミングを含め、なかなか学校だけでは対応が難しい課題もございますので、社会との連携という視点も重要であるということでございます。
  理科につきましては、9ページ目でございます。上から三つ目の枠になりますけれども、まさに今回御議論いただきます学習過程の中で、自然事象の中から必要な情報を抽出したり、それを基に課題や仮説を立てたり、データを処理したりしていく。これがまさに情報活用能力ということになってまいりますので、こういったことを教科横断的な視点を持ちつつ育んでいただくということ。
  また、情報化と社会の在り方ということで科学技術の発展と日常生活、社会との関連について理解するということ。
  また、アクティブ・ラーニングの視点に立った学習活動におけるICTの効果的活用ということで、特に観察・実験の計測や記録、データの処理等にコンピューターを積極的かつ適切に活用すること。これは現在の学習指導要領にも少し書かれている事項でございますけれども、これをより意識的に取り入れていくということをできればということ。
  また、観察・実験レポートの作成、発表などについて参考文献や引用部分の明示など、知的財産の保護や活用の意義を理解し、行動できるようにすること。こういったことも重要であろうかと思います。
  引き続きまして、健康、安全に関する資料を御説明させていただきます。情報関連が47ページ目までございまして、この後をお開きいただきますと、健康、安全関連でございます。健康、安全に関わる指導ということも、これも総則に位置付けられてございまして、今後、東日本大震災等も受けた防災を含む安全に関する記載の充実も含めて教科横断的にその充実を考えていく必要があるところでございます。
  具体的な資質・能力といたしましては、4ページ目の上にこれも論点整理の三つの柱に沿ってこういった力を育むべきではないかという整理を、これは体育・保健体育、安全ワーキングにおいて整理をいただいたところでございます。これがまさに教科横断的にということでございますので、5ページ目の下にございますように、理科における自然現象の理解も含めた様々な教科の位置付けの明確化、それから、全体としての安全に関する教育の充実を学校現場にも分かりやすいように示していく必要があるのではないかということでございます。
  同様に6ページ目以降の食育に関しましても8ページ目の上にございますような資質・能力を9ページ目の上にございますようなカリクュラム・マネジメントの中で、また、保健につきましても11ページ目の上にございますような資質・能力を12ページ目の上にございますようなカリキュラム・マネジメントの中でということでございます。今後の議論の中でこういった点も踏まえながら御議論を進めていただければありがたく存じます。
  私からは以上です。
【米原教育課程課長補佐】    続きまして、資料の御説明をさせていただきたいと思います。まず資料2をご覧ください。今回御議論いただきたい事項についてということで、三つ、議題に合わせて掲げてございますけれども、まず一つ目が、三つの柱に沿った育成すべき資質・能力の明確化についてということで、前回もお示しさせていただきましたけれども、理科の4分野を学ぶことによって身に付けるべき資質・能力とは何か。点線囲みにありますけれども。ここを中心に、またこれまでも併せて示させていただいておりました理科教育のイメージであったり、3本柱に沿った資質・能力の整理といったところに御意見を頂ければというふうに考えております。
  二つ目がアクティブ・ラーニングの三つの視点を踏まえた、資質・能力の育成のために重視すべき理科の指導等の改善充実の在り方についてということで、これも前回資料をお示しさせていただいておりますけれども、資質・能力の育成のために重視すべき学習過程について理科におけるアクティブ・ラーニングの見通しを踏まえた資質・能力の育成のために充実すべき指導等の改善策についてということで御議論いただきたいというふうに考えております。
  三つ目が現行学習指導要領における現状と課題についてということで、こちら第2回、第3回とここまで時間がなくて、御議論いただけませんでしたけれども、今回もお時間があれば御議論いただきたいというふうに考えております。学校現場において授業を実施していく中で、学習指導要領の記載内容との関係で困難が生じていたり、改善を要すると感じるような点があるかということについて御意見を頂ければというふうに考えております。
  まず、資料3をご覧いただければと思うのですけれども、一つ目の議題でございますが、理科の4分野を学ぶことによって身に付けさせるべき資質・能力とは何かということについて御議論、御意見を頂きたいというふうに考えております。前回も資料3につきましては御提示させていただきましたけれども、前回ワーキンググループで頂いた御意見、また、ワーキング後にも複数の委員の方から御意見を送っていただきました。改めて御礼を申し上げます。それを踏まえまして、資料の方は少し大きく修正しているところでございます。
  御議論いただく前にこの資料の趣旨をもう一度御説明させていただきたいというふうに考えております。この資料は教科を資質・能力の観点から整理していくという作業を今しておりますけれども、理科においては、各領域、4領域に分けて整理しているところがございますので、領域ごとに身に付けるものの見方について違いを整理する必要があるだろうということで、整理を試みているものでございます。したがいまして、ベースとなるような各学問分野の本質とか特色とか、それを示したものというものではなくて、各領域を学ぶことで子供たちに身に付けさせたい自然の事象に対する視点というものを書き分けたいというふうに考えておるものでございます。
  したがいまして、各領域の違いに着目して、領域ごとの特徴的で、かつ領域をおよそ示すことができるようなものの見方ということを簡潔に示したものでございます。当然、各領域ごとに相互に関連する部分というのは多々ございますけれども、もちろんそれを踏まえつつも、違いに着目しているということを御理解いただければというふうに思っています。ひいては各領域ごとに違いがないということになってしまいますと、各領域を学ぶ必要がない、どれかでよいということになってしまいますので、そういう意味で違いがあるということをきちんと示していく必要があるということによるものでございます。
  また、実際に学ぶ学習者、特に高校生レベルの、高校生が読んで自らが身に付けようとしているようなものの見方というものが分かる程度に分かりやすく示したいと思っておりますので、どうぞ御理解のほどよろしくお願いしたいと思います。
  資料についてですけれども、まず表1でございますが、前回と同じように各領域ごとに見方ということで整理をしているところでございます。前回いろいろと御議論いただきましたけれども、現行の学習指導要領解説等を踏まえまして、もう一度整理をしたところでございます。エネルギーにつきましては、見方としましては、自然の事物・現象を主として量的・関係的に捉えるということ。粒子であれば、自然の事物・現象を主として質的・実体的に捉えるということ。生命の領域につきましては、生命に関する自然の事物・現象を主として多様性と共通性の視点で捉えること。地球領域につきましては、地球や宇宙に関する自然の事物・現象を主として時間的・空間的な視点で捉えるというようなことで整理をしてはどうかというふうに考えてございます。
  真ん中から以下に各学校段階によって内容の階層の広がりにも違いがあるというふうに考えますので、それを少し整理しております。例えばエネルギーであれば小学校段階では、当然見えるレベルでありますし、中学校になると見えるレベルのものから見えないものに広がっていく。高等学校においても見えるものから見えないものに広がっていくということですけれども、更に内容が包括的・高次的なものに広がっていくということ。こういった形を各領域整理してございます。
  続きまして、表2でございますけれども、そこの表1の理解をより分かりやすくするために表2の方では各領域のものの見方を各学校種ごとに整理をし直しまして、更に各学校種ごとで例示を示させていただいております。小学校であれば、エネルギーにつきましてはまず見えるレベルにおいて量的・関係的に捉えるということ。例示として電気の明るさ、電池の数や直列・並列つなぎの関係で捉えることを掲げております。中学校になると見えるレベルから見えないレベルまでに広がって、高等学校になると見えるものから見えないものレベルを扱いつつ、より包括的・高次的に捉えるということにしてございます。
  次に粒子につきましては、小学校レベルでは物レベルにおいて主として質的・実体的に捉えるということになりますが、中学校では物レベルから物質レベルというところになって、質的・実体的に捉えるということ。高等学校になりますと、更に物質レベル、かつより包括的・高次的に捉えるというような整理になろうかというふうに考えております。
  生命領域につきましては、小学校では個体から集団レベルにおいて多様性と共通性の視点で捉えるということですけれども、中学校になると個体、集団レベルに細胞というものが加わって、これを主として多様性と共通性の視点で捉えるということになり、高等学校になれば、分子というものが加わるということで整理してはどうかというふうに考えております。
  地球領域につきましては、小学校では身のまわり(見える)レベルにおいての時間的・空間的な視点で捉えるということと整理していますが、中学校になると、見えるレベルに加えて地球周辺のレベルにおいて主として時間的・空間的な視点で捉えるということ。高等学校になると、宇宙レベルのものまで主として時間的・空間的な視点で捉えるということに広がっていくというような整理ができるのではないかというふうに考えております。ここについてまた御意見を頂ければというふうに思っております。
  続きまして、資料5につきましても簡単に御説明させていただきたいと思います。こちらも第2回からお示しさせていただいておりまして、様々な御意見を頂いてきておりまして、前回頂いた御意見を踏まえて、2か所、修正してございます。中学校のところの資質・能力のところのマル2でございますけれども、「自然事象の中に、問題を見いだして課題を設定し、仮説をたて、計画を立案し、」というところの文言を加えてございます。同じ趣旨で、高等学校の基礎の部分でございますけれども、ここに「問題を明確にして課題を設定し、」という文言を加えているところでございます。
  続きまして、資料6でございますけれども、こちらの赤字の部分が修正箇所になってございますけれども、まず個別の知識や技能のところにつきまして、実験のデータとか、そういったものを記録等するところも大事だという御指摘もありましたので、中学校ですけれども、「安全への配慮、器具などの操作、測定の方法、データの記録処理等」というのを加えまして、小学校では「器具などの操作、」という文言を加えているところでございます。
  また、学びに向かう力、人間性等というところでございますけれども、こちらの「日常生活との関連」というものを中学校、高等学校にもという話、御意見ありましたし、また、身の回りの現象について知りたいと思わせるような、そういう動機付け、表記ができないかという御意見もありましたので、中学校、高等学校というところに日常生活との関連、科学の必要性、有用性の認識ということで記述を追加しているところでございます。
  事務局からの説明は以上でございます。
【大島主査】    ありがとうございました。
  それでは、これより意見交換の時間とさせていただきたいと思います。まず議題1として、理科において育成すべき資質・能力について、御意見を頂きたいと思います。更に御意見に対する質疑など討論ができればと思います。御意見等のある方はあらかじめ名札を立てていただきますと、私の方で順次指名させていただきます。また、発言が終わりましたら、もとに戻していただきますようお願いいたします。本日、マイクの調子が悪いようなので、別のマイクにてお願いいたします。
  では、討論に入りたいと思います。よろしくお願いいたします。先に赤石委員で、松浦委員、よろしくお願いいたします。
【赤石委員】    赤石です。よろしくお願いします。資料3の文言のことです。生命と地球の領域には具体的な階層性の記述があります。対応してエネルギーと粒子の領域では高等学校では事象をより包括的・高次的に捉えると記述されているのですが、少し分かりにくいと感じました。特に粒子の領域では中学校から見えないレベルの原子、分子レベルで事象を捉え、高等学校ではより包括的・高次的に捉えるとあるので、次の2枚目のところに書いてあるような電子配置や分子の構造、あるいは量的な関係などから捉えていくのだということは読み取れたのですけれども、できれば、生命、地球に書かれているような形の表現が工夫されてあると分かりやすいと思いました。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。
  では、松浦委員、よろしくお願いします。
【松浦委員】    資質・能力なのですけれど、今日、最初に御紹介いただいた情報のところの資質・能力の中で使えるかな、やっぱり同じなのだよねと思うところがあったので、ちょっと意見を述べようと思ったのですけれど、理科のところに自然事象の中から必要な情報を抽出しというのがあって、ほかのところでも問題発見と解決というのが割と強調されているという。今回のアクティブ・ラーニングの流れの中では自然現象の中から生徒自身が問題を発見するという、そこがかなり中心にうまくいけるとよいのではないかなと思いました。
  それで、先ほどの資料5を見るとか、結果として最終的に問題発見能力ができるというふうにだけ捉えられちゃうと、ちょっとアクティブ・ラーニング的には弱いと思うのですね。だから、全ての授業、全ての単元が自然現象の中からの問題発見から始まるような。最終的に何を目指すかというのと、何回も発言して同じなのだけど、プロセスの中でそれを達成するという、これが一体化するようなものになるとよいな。結果として問題発見能力が付くのではなくて、毎時間毎時間、問題発見的なところから始まるようなことを目指すという。そういうことになれば、今までと違うやり方というのがある程度進みやすいのではないかなと思いました。
【大島主査】    ありがとうございます。赤石委員からは資料3について、粒子、エネルギーの部分の表現に関する御指摘で、松浦委員は問題発見から始まり、プロセスも含めたことについての御指摘だったと思います。
  では、川村委員、お願いいたします。
【川村委員】    失礼します。資料3の地球領域について、意見というよりは皆様に投げ掛けて、皆様の御意見を、御議論いただければと思いまして、最初に発言いたします。まず、前置きなのですけれども、国際的な場面で語られる、地学教育の最近の傾向です。学校理科で、地学、ほかの国では地学という科目は単独でなかったりしますが、地学の領域の内容構成について、地球システム的な見方というのがよく話題になるようになりました。国際学会などでは中等教育レベルの地学の在り方について、例えば従来型の天文学や地球科学の各領域を集めた、集合させた科目としての地学なのか、あるいは地球システムを身に付けさせること、理解させることをねらいとした地学なのか、議論になって、決着はついてなくて、それぞれの国の状況が浮き彫りになっています。
  今後、我が国の地学教育、いろいろな課題を抱えておりますけれども、どういった在り方でいくのかというのを私も悩んでいるところで、義務教育における地学領域、その延長としての高校の地学をどう持っていくのが今の子たちにとって必要なのか、悩んでいるところでございます。
  そういったことを踏まえまして、資料3の地球領域の見方のところについて、少々お時間を頂戴します。前回のワーキンググループのものより、表現においては随分改善されたなという印象を持っております。下線が付された「時間的・空間的な視点」で捉える。地学の科目の中で扱う特徴をよく表しているなと考えて、読ませていただきました。ただ、読み方としてこういうふうに読めるのかなと思うのですけれども、時間的視点及び空間的視点で捉えるのか、時間と空間の関わりといった視点で捉えるのかといったことになります。時間的な視点が必要なもの、例えば地層が重なっている。これは1枚地層ができて、時間がたつと、更にその上にも重なって、地層が累重した様子になっていく。空間的な視点だと、広がり、地球を離れて遠くまで行くと、また違った天体が見えていくというような、地学で学ぶ事物につきまして、時間的な視点で見たり、空間的な視点で見たりするのが皆さん御存じのとおり、出てきます。
  それと同時に、時間と空間の関わりが関係するのが現象だろうなと考えております。よく知られているのは大気中の現象、気象でして、小規模な現象は寿命が短く、大規模な現象は寿命が長いというのは気象学の基礎であります。地学はそういったところを扱うということで、ほかの領域とは特徴的ではありますが、見方を変えると、時間と空間の関係は結局エネルギーや物質の流れから出てくる特徴であって、地球システムを結局は理科の中で教えるということに考えてもよいのか。皆さんの御意見を頂戴できたらと思います。
  一旦これでマイクは置かせていただきます。
【大島主査】    ありがとうございます。今、問題提起がされましたが、今の川村委員の御発言に関して何かございますでしょうか。
  では、江崎委員、お願いします。あと小玉委員ですね。
【江崎委員】    江崎です。今日頂いている資料の中で、現場の先生方から見たとき、どのように授業を組み立てていくかという点では資料3が一番重要な資料になるのかと思います。特に小中高のつながりや、どのような視点で見るかという系統性では、資料3は重要であると考えます。前回にもお話ししていますように、現場の先生には具体的にどのように授業を進めれば、指導要領に沿った授業になっているのかの判断が難しい。指導に関する資料を読んだときには、なるほど、そういうふうにやるのだなということは分かるのだけれども、実際自分の授業がどのように組み立てられていれば、それに合致しているのかと判断できるような示し方をしないと、分かりにくい。資料3の場合に、例えばエネルギーと粒子は、個人的にはエネルギーが物理的な内容、粒子は化学的な内容かなと思うのですが、そのようには書いていない。他方、生命、地球では、生命に関するとか、地球や宇宙に関するというように絞り込んでいると思います。これは、エネルギーに化学的な内容も入り込んでいるので非常に記述しにくいだろうとは思います。しかし、現場の先生から見ると、何で生命、地球については具体的な領域を絞り込んでいながら、エネルギー、粒子のところは物理とか化学とかというのが入ってないのだろうというように、理解しにくかったり、迷ったりすることがあると思います。
  次に、エネルギーの場合で、見えるレベル、見えないレベルと言ったとき、現場の先生は、粒子のところだって、見えるレベル、見えないレベルが入ってきている。それをどう区別するのだろうかという疑問になるだろうと思います。その場合、豆電球の明るさという例のように、小学校では具体的な例に沿って、個々の事例を解釈していく。これに対して、中学校では個々の様々な結果を包括的な、あるいは一般的な法則化していくという部分があるだろうと思うのです。ですから、本来意図しているものが現場の先生方に誤解されないような記述の仕方をしないと趣旨が伝わらないのではないと思います。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。
  小玉委員も今のことに関連してということでしょうか。
【小玉委員】    小玉です。川村委員が御指摘されたこと、私も全く同感でございまして、地学の場合は時間的・空間的な視点を関連させて捉えるというのがとても大事で、それなくしては正しい理解につながらないということが言えるかと思いますので、川村委員の御指摘、ごもっともだなというふうに思っております。
  それから、更にそれに関連して資料3なのですけれども、資料3の今エネルギー、粒子のところはちょっとというふうな御意見がありましたけど、地球の領域に関してはかなりよくできているのではないかなというふうに思っております。ただし、時間的・空間的な視点というふうに並列よりは、個人的にはですけれども、時間的な視点、空間的な視点を関連させて捉えるということがよりシステムとして捉える場合には重要かなと思っております。
  めくりまして、次のところですね。表2のところですけれども、表2の地球のところ、これも地球に関してはよく整理できていると思います。ただ、中学校のところなのですけれども、中学校のところ、地球や宇宙に関する自然の事物・現象を「身のまわり(見える)レベル」から「地球(地球周辺)レベル」においてというふうな記述ですけれども、現行の中学校の学習の場合には太陽系までやっていますので、「身のまわりのレベル」から「太陽系(太陽系周辺)レベル」というふうにした方が適切かな。現行が太陽系の取り扱いが苦しくてできないということは聞いておりませんので、現行を尊重する形でやるならば、「太陽系(太陽系周辺)レベル」においてというふうな表記がより適切かなというように思っております。
  それから、高等学校は、実はこの流れでいくと、高等学校は身のまわり(見える)レベルから宇宙レベルということでよいのですけれども、現行の地学基礎は、実は意図がありまして、宇宙の誕生から地球までという逆の流れをたどっているのです。といいますのは、もしこの表現のとおりですと、身のまわりのレベルから宇宙ということになりますと、宇宙が誕生してから現在までというのを大きく捉えた場合に歴史をさかのぼっていくことになるのですね。身のまわりから宇宙に行っちゃうと、歴史を遡る。日本史で言いますと、現代をやって、どんどんもとに戻っていくというふうな学習になりますので、現行の地学基礎は、宇宙の誕生から現在の地球までを一連の時間の流れの中で捉えるという表記に学習指導要領がなっているのです。ですから、この議論を今後するときにおいて、現行はちょっと流れが逆ですよということを踏まえた上での御議論を是非お願いしたいなというふうに考えております。
  最後にもう1点なのですけれども、机上資料、現行学習指導要領にも載っているやつなのですけれども、系統表があります。この系統表、とてもよくできております。系統表を是非小中は小学校、中学校しか載ってないのですけれども、難しいかもしれないのですけれども、義務と高校は違うと言われればそうなのですけれども、できれば小中にも、小中高この流れで一応完結なのですね。ですから、小中の学習指導要領にもこの表を載せていただきたいということと、もう1点は、今各分野ごとにまとめていただいた資料3のところですね。例えば地球ですと、地球や宇宙に関する自然の事物・現象を主として時間的・空間的な視点で捉えるというのも、この大きなねらいも表に是非表記してほしい。一番上のところに表記してほしい。そうすると、内容と身に付けるべき資質・能力のねらいが明確に見えるということになりますね。それもお願いしたいなと思っております。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。地球の部分について、地学と関連して様々な具体的な御指摘を頂きました。また、江崎委員からは特にエネルギー、粒子を中心に、現場の先生にも誤解を与えないような記述が必要ではないのかという御意見を頂きました。また、小玉委員からは小中の学習指導要領には記載されていないので、記載する必要があるのではないかという御提案かと思います。ありがとうございます。
  では、飯田委員、上がっていたと思います。よろしくお願いいたします。
【飯田委員】    失礼します。私の方も資料3を眺めまして、思ったこと、感想を述べさせていただきます。幾つか今出ておりますけれども、特にエネルギーと粒子のところで、階層が余りはっきりしていないですとか、文言が難しいというような御意見があるようですが、特に私が見ていますのは、粒子領域です。粒子領域は、物レベルから物質レベルへ移行していくに従って物質を巨視的な視点から微視的な視点にだんだん移していくというような段階があるように思います。そのように考えますと、例えば小学校については物レベルですので、言ってみれば巨視的な視点で見ていくということになろうかと思いますが、実際の小学校の先生方の授業を見てみますと、既に微視的な見方を子供たちがしている場面が結構ありまして、そういう意味では小学校段階では物レベルにおいてというふうに置くとするならば、中学校でより微視的な視点で捉えていくというような文言にしてみてはどうかというふうに思います。
  そうしますと、高等学校については巨視的かつ微視的な視点で捉えていくと。行ったり来たりするような、そういうイメージがよいのではないかと。そうしますと、何となくこのような階層みたいなのが出来上がりまして、少し他の領域と整合性をとれるようになるのではないかなというふうに思います。ただし、表2にありますような文言ですと、特に若い教員は理解が不十分になる可能性もございますので、少し分かりやすい表現にしていく必要はあろうかと思います。
  以上になります。
【大島主査】    ありがとうございます。粒子を中心に若い先生にも分かるような表現が必要だという御提案だと思います。
  ここで事務局からコメントがございましたらお願いいたします。
【米原教育課程課長補佐】    いろいろと御意見ありがとうございます。先ほど小玉委員の方から、学習指導要領解説、系統表について、小中にも高校のを載せてほしいというお願いがありましたけれども、なかなか技術的な問題がございまして、解説を作るタイミングが小中で先にやって、そこで1回固めますので。小中を作るときに高校のものがまだできていないという状態になっているので、今こういう形になっています。小中の方には小中しか載ってないですし、高校の解説の方には小中高の固まっているので、系統表を載せているという整理になってございます。技術的な問題で、どういう案があるのか苦しいところであるのですけれども、解説レベルでどうできるかについて考えていきたいと思っておりますので、今の点は御理解いただければというふうに思います。
【大島主査】    ありがとうございます。
  では、次、塚田委員、お願いいたします。
【塚田委員】    塚田です。資料3についてということですが、理科の各領域ごとの身に付けるものの見方の違いについて、明確に示されていると私は感じました。大変分かりやすく整理されていると感じます。しかし、それぞれの領域の特徴を捉えるためには対象をある視点から比較して捉える必要があると私は考えております。例えば粒子の領域で、小学校では水の状態変化というのを4年生で学習しますが、水や氷を温度という視点から状態を比較して物質を分類していくという質的かつ実体的に対象を捉えるといった資質・能力と捉えることができると思います。
  生命、地球についてはそれぞれ多様性、共通性、時間・空間的といった視点から捉えることが示されているのですけれども、エネルギー、粒子のところは視点という文言が示されていません。エネルギー、粒子の特徴的なものの見方というのを捉えるためには、例えば性質や働き、規則性といった視点みたいな、そういった文言がどこかに入ると、どのように捉えるかということがより明確になるのではないかと思って、ひとつ提案させていただきます。
【大島主査】    ありがとうございます。
  では、次、筒井委員、お願いいたします。
【筒井委員】    資料3の表を見させてもらって、今回は前回よりも理解しやすくなったので、示そうとする内容はかなり伝わってくると思います。私、物理なのですけれども、先ほどお話がありましたが、エネルギーとしてくくられているところがいわゆる物理に相当するのだと思いますが、物理ではなくエネルギーですので、そのようにこの表を見ればよいと思っています。ここで物理のことを全て表現しようとはしていないと思えば、これはこれでよいかなと思います。
  ちょっと気になるのが、表2の方の中学校のところに事象を主に可逆的なものと不可逆的なものに分節化するということが書かれていることです。例えば粒子のところで、ものの燃焼とかを扱うと、これは可逆的ではない。これは理科の第1分野と第2分野ということの区別に相当すると思いますけれども、それをこの表現で分けてしまうと、かえって理解しづらくなってしまうのではないかと思うので、何かよい区分の仕方がないのかなと。私は中学校の分野の分け方に余り詳しくないのですが、エネルギー・粒子分野だと保存量が非常に重要な内容になってくるので、その辺が特徴的なのかなと。あと、生命・地球に関してはシステムとしての理解が重要なのかなと思うのですが、それは今思いついただけですので、もう少しよい表現でここを明確に分けられたら、よりよくなるのではないかと思いました。
  以上です。

【大島主査】    ありがとうございます。表2について具体的な御指摘でした。可逆的及び不可逆的について、などの御指摘がございました。
  では、次、後藤委員。
【後藤委員】    ちょっと視点が違うのかもしれないのですが、理科として各領域に対して、その領域特性の見方をこういう整理をされているのはとてもよく分かります。必要なことだと思うのです。でも、私は小学校ですから、思うのですが、理科の授業だけやっているわけではないのですね、学校は。全ての教科の授業を通して人間形成をするために、その教科特性を生かしながら、どこに子供の生き方というか、人間形成の視点を持っていくかと考えなきゃいけないのではないかと思っています。そうなると、ここにある理科の各領域の分野から出てくるものは、その上位概念、上にどんな子供の育成を図るために理科特有は出てくるのだ。今まではほとんど理科という自然対象から全部引っ張り出してきて、子供がどんな人間に育ってほしいかというようなことでの整理をした対象の見方で区切ってないような気がしているのですね。今回の教育課程は、教科全体は単独でなくて、貫くのだと。もちろん、これは資質・能力の点だと思いますね。でも、これは当然概念形成だってそう考えるべきなのではないかと思うのですが、何かそのようなことについては御検討されるかどうか。理科は理科特性だ、だから、理科の中で閉じるものなのか。理科で育成する、例えば時間的・空間的な視点というのはスケール観を育てるわけですね、徐々に小中高でものの見方として。他の教科とか、分野でもあるのですね。例えば量的なものも、算数や数学の世界だってあるじゃないですか。そういうものをくっつけていかないと、多分教育は、その教科からはみ出ずにというか、その中で閉じてしまって、それが好きか嫌いかになってしまう。少なくとも私は小学校の先生たちは、何のためにこの対象を勉強しているのだ。今までは、理科の内容があって、生物がいるからやっているのだ。だけど、これが子供を育てるのにどんな意味があるのだというような語れる教師になっていけば、教育は変わっていくのではないかと期待しているのですが、そのような点について、何か事務局か、どちらか分からないのですが、もしあればお教えいただきたいと思います。
【合田教育課程課長】    今、後藤先生が全くおっしゃったとおりだと思っております。このような作業を全ての教科でやらせていただいております。算数、数学でもやらせていただいておりますし、社会科でもやらせていただいております。今おっしゃったように、例えば時間的・空間的な捉え方ができるというものは、各教科にも出てきておりまして、当然、歴史的なものの見方、考え方の中にもそういう見方というのが出てきてございます。我々、それを全部並べてみまして、今先生がおっしゃったように、それぞれの教科の指導というのは何のためなのかと。しかも、それが1人の子供の中で、重なり合い、統合されて、必要な資質・能力というものに向かっていくためにはどうすればよいのかという議論を、最終的にこういう各教科の議論を教育課程企画特別部会ですとか、教育課程部会全体で統合していった上で、今回の三つの資質・能力という柱を整理させていただきたいというふうに思っております。
  ただ、これは私ども、今日のような理科でも四つの領域ごとにどういうものの見方、考え方があるのか、それが子供たちにとって、社会で次代を担うに当たってどういうふうに必要なのかという具体的な議論の足場の上に整理をしていく必要があるというふうに思っておりますので、今先生がおっしゃったことの大事な足場として今日の議論があるというふうに御理解いただければというふうに存じます。
【後藤委員】    ありがとうございます。
【大島主査】    よろしいでしょうか。ありがとうございます。
  今、現段階で名札が上がっているのが小林委員、小玉委員、角屋委員、田代委員ですね。今、名札が上がっている方で、一旦この議論を締めさせていただきたいと思います。
  では、小林委員、お願いいたします。
【小林委員】    それでは失礼します。育成すべき資質・能力についてという議題でございますので、この点について述べます。資料3の各領域の特徴的な見方が、エネルギー、粒子、生命、地球と記されておりますが、それぞれの見方を育むのは観察・実験を通してということになろうかと思います。それで、今までの議論とちょっと視点が違ってくるのですが、参考資料の2-2をご覧ください。これは、ある論文に掲載したものなのですが、エネルギー、粒子、生命、地球というものを、これが物化生地の区分ではなく、自然事象に関わる問題について観察や実験を通して解決していくというふうなことを考えたときに、どういうふうに考えると物化生地というような切り口でぶつ切りにしないで子供たちに科学的なものの見方、考え方が育めるか、あるいは問題解決の能力が育めるのかということを、小中学校、もちろん高等学校も入りますが教科書に掲載されている観察・実験について、フローとして作ってみたものなのです。
  まず参考資料の2-2の左の方ですが、問題とする事象に因果関係がどうもなさそうだなというものは観察で取り組んでいくことになります。これは表1に基づきますと、生命のところに記されているようなものの見方の育成につながります。事象に因果関係がありそうで、しかも、測定できそうな問題で、条件が人為的にコントロールできそうだというようなものは図の右端の位置づけになります。これについては、実験に載せられる作業仮説が立てられます。これは物理とか、化学とかではなく、エネルギー領域という括りに関わる問題のときには自然の事物・現象を量的・関係的に捉えて解決していくことができるということです。あと、参考資料2-2の真ん中のフローになるのですが、定性的な実験というものがございます。これは生命の領域、あるいは粒子の領域で、かなり多くなっているのではないかなというふうに思います。
  こういうふうに、疑問、問い、解決の仕方、これを3点セットとして捉えることによって、エネルギー、粒子、生命、地球で掲げられている見方の育成につながるのではないのかなというふうに思います。
  ついでに資料ナンバー2-1を見ていただけたらと思います。これの3枚目です。図3というのがあります。この図にこだわるつもりは全くないのですけれども、自然に関わる事象を観察によって問題解決するか、あるいは実験によって問題解決するかというふうに大きく分けたときに、例えば月の満ち欠けは、観測、観察して規則性を見いだすことができます。これは右のサイクルになるわけです。そして、何が原因でそうなるのか、新たな疑問が生じ、その要因と満ち欠けの関係に問題が移れば、モデル実験で確かめることになる。この問題解決の流れは、左のサイクルに入るわけです。モデル実験ですから、人為的に条件を制御できるわけです。こういうふうに捉えていきますと、物化生地によるものの見方とは違うものの見方が、エネルギー、粒子、生命、地球というふうに分けることによって可能になり、これからの次の時代の子供たちに要求される問題解決のための、ものの見方の育成ができるようになるのではないかなというふうに思います。
  ちょっとうまく説明できませんでしたが、以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。観察・実験も含めた御意見でした。ありがとうございます。
  次に、角屋委員、お願いいたします。
【角屋委員】    これ、領域を分けているということは、領域を扱うことによって何らかの教育的価値が違うのだろうというのを大前提に放り込んでいるわけですね。もし領域を分けて、同じものが子供たちに獲得されるならば、統合してもよいわけですね。先ほど事務局の方から御提案がありました。ということは、どういうことかというと、我々がやらなきゃいけない仕事は、エネルギーとか、粒子とか、生命とか、地球というものに固有の一つの基本的価値があるだろう。基本的価値というのは、見方、考え方がとにかく違うだろうという大前提を放り込んでいるわけですね。それが一つですね。
  もう一つ、エネルギーといって物理とは言ってないのです。化学の領域を粒子と言っているわけですね。それはなぜかといいますと、物理の扱い方を通して、何らか子供たち、育つものが化学や生物、地学とは違うだろうということを前提としています。物理の一番大きな捉え方で、古典的な物理の捉え方かも分かりませんけれども、物理の一番大きな基本は何かといいますと、エネルギーという概念なのです。それはなぜかといいますと、ニールス・ボーアが、一時エネルギー保存則が成り立たなくなったときに、パウリが救ったのですね。それで物理学はいままできていると言われています。これは科学の歴史から明らかにされていることです。ということはどういうことかいうと、物理の一番根幹はエネルギーという概念に帰着するわけです。となれば、エネルギーの概念に何らかの意味があるだろうというのが一つの考え方です。そうしたら、エネルギーの概念の本質は何かと捉えるならば、エネルギーというのは、例えば位置のエネルギーを考えていただくと分かりますように、上と下の関係で、その間の量的ものが結び付いているのだと。だから、関係と量という概念で説明がつくのではないかということです。
  今度、粒子というのは、どういうことかといいますと、例えば小学校3年生で、形を変えても重さは変わらないとやります。小学校4年生で空気を扱います。空気というのは目に見えないです。目に見えないのだけど、何かの袋に閉じ込めて、押さえつけてやると、手応えがあるわけです。ということは、目に見えないのだけど、そこに実体としてあるという考え方ですね。その実態としてあるというのを、究極的に保存則を使って攻めていくと、いわゆる原子、分子になって、その原子、分子が、いろいろな物質の結びつき、あるいは要素を全部説明できるだろうということで、粒子としているわけですね。
  つまり、これは概念を構成していくとき、あるいはその領域を見る見方を構成していくときの非常に大きな基本的なものとして捉えたわけですね。だから、先ほど出ましたように、対象を何とかしてほしいと言ったのですけど、対象よりも、対象を通して子供が獲得するものの方がウエートが掛かっているのですね。
  これ、生命もそうなのですね。生物とは言っていません。平成元年までの学習指導要領は、生物とその環境という形で、生物を物としてある程度捉えています。ところが、今度は生命として捉えたということはどういうことかというと、生き物全体として捉えるという形の主張をしたわけですね。それで、この生命という概念を構成概念として生んでいたわけですね。
  地球というのも、これはどういうことかといいますと、イギリスの地球科学に関するプログラムといいますと、天体は全部物理の方に入っているのです。日本の場合は、アメリカ型のESCPのものだから、どうしても天体も放り込んだ形でいっているわけですね。その基盤は何かというと、自分の住んでいる地球を確認して、そしてものを見ようという。先ほどどなたかおっしゃったのですけど、そういうふうなものとしてこれは入っているわけですね。そういう見方を、地球で獲得してほしいという形で、エネルギーとか、粒子とか、生命とか、地球とかいう概念をそれぞれ配置したわけです。これが一番大きな特色なのですね。
  だから、それに伴って、どうやって子供たちは到達していくのだ、獲得していくのだという見方が実体的に捉えるとか、質的に捉えるとか、量的に捉えるという捉え方になるわけですね。生命と地球は視点というのを入れて、捉え方の更に大きな視点を放り込んで説明していこうという一つの説明の仕方なのですね。ところが、エネルギーとか、粒子というのはどういう視点かというと、量的、実体的というのが一つの視点だと捉えた方が、私はうまく説明ができると思います。これを今まで以上に強調することによって、授業はどう変わるかというと、授業の組み方が変わってくるのですね。つまり、根本原理で教育課程部会がはっきりさせたように、教科の本質とは何ですかというのを考えなさいと言っています。その教科の本質は具体的に言えば、領域の本質に基づいた授業の仕方を考えなさい。どういうことかというと、量的、関係的にものを捉えるのです。そういうふうにすると、例えば明かりを小学校3年生で電気の通り道、あるいは小学校4年生で直列と並列の場合の豆電球の明るさの違いという形で、これは明らかに量的な関係で、関係的に、かつ量的な関係で捉えられるというのが、量的、関係的という意味で、授業を組めるだろうというわけですね。
  そういうふうに変わってくることが大きな一つの提案なのですね。だから、それをまず大前提で、先生方、御理解していただいて、その上にこの中で足らないものをどんどん提案していただければというふうに思います。
  済みません。学習指導要領に携わって歴史が長いものですから、ちょっと要らぬことを言いましたが。済みません。

【大島主査】    ありがとうございます。
  では、田代委員、お願いいたします。
【田代委員】    4点述べます。まず、理科という教科なので、先ほど小林委員が言われたように、理科としての共通性というのも大事ですし、今、角屋委員が言われたように、それぞれの領域の固有性、多様性の価値を考えるのも、大事で、それらをうまく整合していくことが必要と思いました。
  次に、小玉委員から地球の話が出たのですけど、地球のところで時間的・空間的な視点で捉えるということで、できれば時空の関わりまで捉えたいということだったのですけど、例えば、高校になったら基本的に時間と空間を関わらせるのが前提で、小学校であれば、時には時間の軸で見て、時には空間的に見ることを主とする。中学校であれば、教材によっては時空を関わらせるといったように、それぞれの校種段階でどこがポイントなのか示すと分かりやすいのかなと思いました。
  3点目に、生命の柱の視点は、多様性と共通性ということなのですけど、共通性がおもしろいと感じるためには、多様性がたくさんあるということが分かっていることが前提となるので、小学校で言えばどちらかというと多様性をしっかり理解させ、中学校あたりで共通性が出てきて、高校あたりは逆に共通性のことが中心になるというように学習指導要領が整理されていると、校種のすみ分けがすっきりするという気がしました。
  それから、4点目ですが、エネルギー、粒子は、角屋委員から視点を出さなくてもよいという発言がありましたが、エネルギーの方が量的、粒子の方が質的ということで意図的に分けているという前提が分からない、例えばエネルギーの方はエネルギーに関する事物・現象を主として量や関係についての規則性の視点で捉えるとか、粒子の方だったら、物質の事物・現象を主として性質や働き(反応)の視点で捉えるというように視点を示す形にしておいた方がよいと感じます。その上で、先ほど後藤委員が言われたように、小学校では主として巨視的に見、中学校では微視的に、高校になると、巨視と微視が行ったり来たりするというようなすみ分けをするというのも一つの考えと思いました。

  以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。具体的な言葉についても言及いただきました。時間になりましたので、議題1に関連してはここで議論を終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
  それでは、議題2に移りたいと思います。では、事務局より議題2について、説明をお願いいたします。
【米原教育課程課長補佐】    それでは、議題2について御説明をさせていただきたいと思います。資料4をご覧ください。
  議題2はアクティブ・ラーニングの三つの視点を踏まえた、資質・能力の育成のために重視すべき理科の指導等の改善充実の在り方についてということで御議論いただきたいと考えておりますけれども、資料4は、前回もお示しさせていただいたものを御意見等踏まえまして、修正したものでございます。修正箇所としては赤字になってございます。
  これも再度、この種の趣旨について御説明させていただきたいと思いますけれども、この資料は学習過程と過程の各段階で身に付けるような資質・能力を整理したものでございますので、資料4としてお示しさせていただいているのは高等学校の一つの例ということでございます。高等学校で観察・実験を行うということを前提にした場合の、行う場合の学習過程ということで例示しているものでございます。したがいまして、他の学校種とか、取り扱いの内容によってこの過程でないことは多々ありますけれども、主な例として示したものだということを御理解いただければというふうに思います。
  あわせまして、左側に冊子があって、その一番上に「机上配付資料」と書いて、「資質・能力の育成のために重視すべき学習過程等の小・中・高の関係(たたき台)」というのをお示しさせていただいておりますけれども、こちらでございますが。プロセスの部分だけ、小中高で、かつ高校で観察実験がある場合、ない場合というものを少し整理してみたものでございます。小中学校においては主としてある学年で身に付けさせるべき力というものを、今の資料6の方で整理しておるところでございます。こちらでございます。主として小中高校ごとにプロセスだけを整理してみるとどうなるかというのを整理して、かつ資料6の一番右に書いております学習過程の例と整合性をとって整理しておるものでございます。これも併せてご覧いただきながら御議論いただければというふうに思っております。
  戻りまして、資料4でございますけれども、資料4の修正箇所としましては、先ほど少し御説明しました、資料6との整合性をとるということで、学習過程の流れを「課題の設定」、「仮説の設定」というものを追加して、「考察・推論」という表現に直してございます。それの理科における資質・能力の例、真ん中のところでございますけれども、自然事象の把握のところの資質・能力の例としまして、「観察したことや既習の知識・技能を活用して」というところを加えてございます。
  課題の設定と仮説の設定を、これまでまとめていたものを分けましたので、資質・能力の方も分けまして、課題の設定の方を知識や情報に基づいて課題を設定する力、仮説の設定の方に知識や情報に基づいて検証できる仮説を設定する力というふうに整理してございます。下の方の考察・推論という過程のところについては、次の課題を発見する力というのを加えているところでございます。
  もう一度机上配付資料の方をご覧いただければと思いますけれども、右側の高等学校の方を観察・実験できるもの、観察・実験できないものということで、二つ整理してございますけれども、この違いとしまして、観察・実験できるものの上から二つ目に情報収集と分類というものを加えてございますけれども、観察・実験できないものというものでは、それが上から5番目に入ってきて、観察・実験の実施というところに入ってくるという、こういうふうな流れにそれぞれ違いが出てくるのではないかというふうに整理をしてみたところでございます。
  こういう形で今回机上配付にさせていただいておりますけれども、余り細かく示し過ぎると、学校現場の方で、このプロセスさえやればよいとか、特に小中学校で主にこういった力をというのを、場面と比較であったりとか、プロセスのある過程の部分で示しておりますけれども、ここだけだというふうに誤解されても困りますので、今回、机上配付という形でさせていただいておりますので、御理解いただければというふうに思います。
  事務局からの説明は以上でございます。
【大島主査】    ありがとうございます。
  それでは、議題2といたしまして、アクティブ・ラーニングの三つの視点を踏まえた資質・能力の育成のために重視すべき理科の指導等の改善・充実の在り方について、御意見を頂きたいと思います。大体目安として、6時25分ぐらいまでといたしたいと思います。御協力のほどお願いいたします。
  では、お願いいたします。早速、小田委員ですね。お願いいたします。
【小田委員】    失礼します。今、現行の学習指導要領の中で小学校では問題解決の力として学年を追って比較する、関係付ける、条件に目を向ける、推論するということが示されています。それが小学校の先生方には結構根付いていて、理科がだんだん充実しているのではないかなというふうに思っているところです。今回、それを問題解決の中に主にという形で位置付けていただいたということは見方によってはすごく理解しやすいのではないかなというふうにあります。一方、さっき説明されたように、そこだけしかやらないとなると、非常に変な形になりますので、そこのただし書きというか、そういう問題解決の力の捉えをなぜここに位置付けたかというような説明が必要かなというふうに思います。それが一つです。
  それから、現行の学習指導要領では言葉と体験ということが一つのキーワードだったというふうに思います。それを理科では、問題解決の過程の中に位置付けて取り組んでいます。例えば自然現象へ働き掛けるという体験を通して、問題把握とか、予想仮説を立てる、検証計画を立案するという言語活動を行っています。また、観察・実験という体験を通して、結果の整理、考察、結論の導出を行うという言語活動を行っています。そういうことによって問題解決の質を高めていっているというのが現状だと思います。
  次の学習指導要領ではアクティブ・ラーニングというキーワードがございますけれども、それは問題解決の過程の中に位置付けていくということが大事だろうと思っています。じゃ、これまでと何が違うのかということが現場の先生に分かりやすいように伝わらなければ少し混乱を生じるのではないかと思います。私は、そこはアクティブ・ラーニングで大事なのは、ひとりではなくて、他者と協働して行う。問題解決、集団解決を行うということを強く意識するということが大事なのではないかなというふうに思っています。
  そういう目で見て、資料4の一番左の方に協働的な学びの例というのが示されているということはすごくよいなというふうに思いますので、もう少し具体的に例えば情報収集であったら他者からの多様な情報収集を行うとか、伝達であったら他者に伝達することによって知識や情報を更に構造化するとかいうような、もう少し詳しい説明があって、協働的な学びというところがもう少し強調されると、今までと違うということが浮き彫りになってくるかなというふうに思いました。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。特にアクティブ・ラーニングの観点における協働的な学びについて、前回の学習指導要領と違うので、強調していくという点は大事なことだと思います。
  では、次、三浦委員、お願いいたします。
【三浦委員】    失礼します。私は高校の現場の教員なのですけれども、探究の過程とかについても、ずっと古典的な、昔からあるものですし、新たに出てきたアクティブ・ラーニングのすばらしさというのも、すごく現場の教員たちは理解していると思います。ただ、今ここのたたき台等に出ている一連の過程を授業の中で取り組んで、じゃ、できるかということを言われたら、実際には非常に難しいものがあると私は思うのですね。今のままの状態でこれがおりてきた場合には。前回の学習指導要領の改訂でも、当然観察・実験がとても大事なので、それをやりましょう、探究の過程にのっとってやりましょうというふうに出たのですけれども、最後に一文として途中のプロセスの一部を扱ってもよいというのがありまして、それが入ったのはすごく現場の教員としてはありがたかったのです。それがまたここに残っているのがすごくありがたいなというふうに思うのですけど、全てを授業の中でやり切れるというのは、恐らく年の中で何回あるかなというのが特に高等学校の現場ではあるのではないかなというふうに思います。
  ですから、もしもこれを本当にアクティブ・ラーニングの手法を使いながら、こういう過程を使って、今、まさに先ほどの議論の中にありましたような目標について、生徒たちに示していこうと思うならば、もっと教えるべき内容を整理するというか、次の現行の学習指導要領の課題にもつながるかもしれないのですけど、中身をもっと軽くしていただかないと、恐らくアクティブ・ラーニングの手法を使ってこういうふうにしていくというのは、とても現場の教員としては難しいと考えています。特に高校では課題そのものが、かなり難易度の高いものになってしまうので、それを生み出す。そして、それに対して情報収集する。それについてどんな実験ができるかと考えていくだけでもものすごい時間が掛かりますので。ですから、例えば課題の設定まででよいよとか、あるいは結論が出てきたところから処理するだけでもよいよという、一文があるのはすごくありがたいことですし、アクティブ・ラーニングの手法を使って、まさに大改革が行われようとしているので、大賛成なのですけど、そのためには教える中身の方も同じように変えていく必要があるのではないかなというふうに思っています。
【大島主査】    ありがとうございます。実際に取り組む中で、授業の中でどのように取り組むか、取り込んでいくかという観点と、その際の内容について検証していく必要があるという、問題提起かと思います。ありがとうございます。
  では、次に、赤石委員、お願いいたします。
【赤石委員】    資質・能力の育成のための学習過程では、特に子供の思考が活性化して、集中して問題に取り組む状況があること、こういうことが重要だと考えます。授業中に積極的に自分の考えを他者に伝えたり、また、他者の考えを聞いたり、一緒に学び合う。そういった場面があることが重要だと思います。そのための指導法の一つとしてアクティブ・ラーニングというのがあるのだと思うのですが、生徒が思考し発信する、そういった生徒中心の授業に改善することが重要だというふうにこの会で話されていると思います。
  論理的な思考力やコミュニケーション能力というのは、主体的・協働的に学ぶ過程で身に付くものと様々な調査等で示されていると思います。この資料4の例ですけれども、4の課題発見の学習活動の流れの中で、最初の課題把握のところは何が分からないかということを明確に意識するといった過程でもあると思います。理科における資質・能力の例に書かれているような力を身に付ける様々な活動の中で、漫然とした個別の知識とか情報が主体的・協働的に学ぶ過程の中や他者との対話の中で問題が整理され、見えてくるのだと思います。更にそのような他者との対話によって新たな発見や学ぶ喜びというものが感じられて、また頑張ろうといった意欲もそこから生まれてくるのだと思います。様々な学びの過程を通すことによって、こういった資質・能力というのは高まると考えています。
  最後に、資料6ですけれども、学びに向かう力という欄の中で、小学校は失敗してもくじけずに挑戦する態度、中学校では粘り強く挑戦する態度、高等学校の必履修科目の欄のところに果敢に挑戦する態度と書かれています。段階によって態度が高められていると思うのですけれども、高等学校の必履修科目の欄ですので、果敢に挑戦する態度ではなくて、あきらめずに挑戦する態度の方が学びに向かう力としては大事ではないのかなと思います。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。具体的な御提案をいただきました。ありがとうございます。
  では、次、飯田委員、お願いいたします。
【飯田委員】    失礼します。小田先生がおっしゃっていたこととちょっと重複しますけれども、私も他者との協働というのが一つ重要じゃないかなというふうに考えています。理科の場合は、小学校から高校まで数人のグループを作って、観察や実験を行うことがほとんどであると思いますので、意見交換ですとか、議論、また、発表の場面で他者と協働して何々する力というようなものを資料4の真ん中のところに入れていただくのがよいのではないかなというふうに思います。このようにして、明確に他者との協働を意識した資質・能力の育成というのを理科の方で打ち出すということが、これまでとは違うという何かアピールになるのではないかなというふうに感じます。
  それから、例えば資料4の観察・実験の検証計画の立案というところでございますが、こういったところで先ほども申し上げた他者との協働というのが関連しまして、例えば観察・実験の実施に向けて、計画に対して合意を形成する力というようなものを入れたらよいではないかというふうに考えます。といいますのは、私、ふだん教員の研修をやっておりまして、グループワークをよくやるわけですけれども、そこで教員ですので、合意形成が非常に上手なのですね。そういった場面を見ておりますと、合意を形成した上で、何か次のステップに進むというのが非常に重要ではないかというふうにふだん感じておりまして、これは一般的に社会人でも重要であるというふうに言われているものであると思いますので、理科の場合にはグループで取り組むことが多いかと思いますので、そういった際に、例えば実験の内容ですとか、役割分担などを合意を形成した上で取り組むというようなことを意識して扱うということで、将来必要となる資質・能力の育成につながるのではないかというふうに考えます。
  そういたしますと、例えば資料6の学びに向かう力、人間性等の欄のところの中にも、例えば他者と合意を形成しようとする態度のような文言を入れていただくのも手ではないかというふうに考えます。さらに、先ほど赤石先生から御指摘がありました、果敢に挑戦する態度というところも、ひとりではなく、他者と協働して果敢にあきらめずに挑戦する態度というような文言にすることによって、何か日本人の強みが生かせる。そういったことになるのではないかというふうに考えます。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。協働的な学びの中で、他者という観点を入れる。いわゆるチームワークという点について、強調したらいかがでしょうかという御提案かと思います。ありがとうございます。
  では、次、後藤委員、お願いいたします。
【後藤委員】    アクティブ・ラーニングのアクティブというのは、何がアクティブに一番なるべきかというのは、私は考えといいますか、子供の思考が深まったり、転換したり、変化したりして、重み付けになったり、新たなことを発見したり、新たなことを感じたりするのでしょうけど、そこがおもしろくなるような授業をしないとアクティブじゃないような気がするのです。つまり、問題解決のパターンを先生が決めたとおりにやっていけば、それはアクティブか。実験をやっていたり、話し合いをやっていたりすれば、アクティブか。そういう目で見るのではなくて、それは子供たちが当然やっていくことなのですけれども、どう考えを自分で実感して、変容を感じたりしているかというようなことをやらないと、資質・能力の点では恐らく問題解決の資質・能力と私が言う意味の思考力のところというのは、一致するところと違うところがあるのかもしれませんけれども、そこが重要な気がするのです。
  そうなると、今回振り返りを入れている意味をもっと解釈した方がよいと思います。振り返りというのは、最初に自分が持った考えが、それが仮説であったりして、立てて、それが検証する中で自分の考えが変わっていくわけですね。最終的にそれが結論で出たときに、最初と違ったり、重み付けて、確かに強くなったりする。そこにもう一回振り返って、比較して、自分の変容を捉える。自分の考え方の価値観を感じる。だから、ともすると、最初に立てた仮説が違ったとか、正解したとかという言い方をする子供が多いのです、小学校は。そういう価値観を持たせるのではなくて、最初は自分の実体験や既有経験や既有の学習の知識だったらこう思っていたけれども、今回の実験をやったり、友達とこうやって話し合ったり、深め合ったり、人のことを考えたりしたら、こういう新たな自分の考えに変わったのだ。そういう自分作りができているのだというのがアクティブな気がするのです。
  したがって、振り返ることの意味をもう少しこのプロセスの中に入れた方がよいのではないか。確かに妥当性を判断しという言葉の中には入っているのかもしれませんけど、振り返って自分の考えをどうだったのかという。もうちょっと強く出した方がよいのではないかというふうに思いました。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。振り返りをもう少し重点を置き、強調していただきたいという御提案かと思います。
  では、次、田代委員、お願いいたします。
【田代委員】    次の改訂で大きく変えなきゃいけないと思うところは、付けた能力を活用する場を作るということですね。事務局が作ってくれた机上配付資料を見てもらうと、小学校の3年では「差異点や共通点に気付き問題を見いだす力」というふうに書いてあります。「問題を見いだす力」と書いてあるのですけど、実際には問題を見いだす体験をしているのであって、問題を見いだす力を付けたという実感は、児童にはほとんどないのではないかと思います。条件制御の能力をつけるということで、「電磁石」とか「植物の発芽、成長、結実」とか、「振り子」の学習を行っているのですが、これらの単元では指導の工夫により子供たちが自ら問題を見いだすことができます。このとき、3年で育てた「問題を見いだす力」というのを、例えば5年生のところで活用するように設定する、すなわち、身に付けた力を発揮する場面を意図的につくるというのが、次の改訂ではすごく大事なのではないかと思っています。
  国語でも、物語を読むときに、主人公の気持ちを追い掛けながら読むという経験をした児童に他の単元の物語でも同じ読み方を試してごらんといって、やってみたら、なるほど、物語がよく理解できましたというのと同じです。理科でも、3年生で付けた「問題を見いだす力」というのは、5年生でこういうふうに発揮できるのだね、と子供に意識させることが重要なのではないかと思っています。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。身に付いた能力をいかに発展させていくかということかと思います。ありがとうございます。
  では、次、松浦委員、お願いいたします。
【松浦委員】    資料4なのですけれど、一番上の方の課題把握、発見のところが本当に生徒が自分からできれば、今回の趣旨に沿った方向に行けるのではないかなと思うのですね。そうすると、生徒が本当にできるようにどうしたらよいかというところが考えどころだと思うのですけど、真ん中の資質・能力のピンクのところを見ると、一番上はこれでよいと思います。観察したことや既習の知識・技能を活用して、共通点や相違点に気付く力、これは生徒、できるよね。ただ、少なくとも高校で扱うことと高校生の力から見ると、二つ目と三つ目は、これをやっちゃったら、結局受け身的に知識を勉強することになっちゃう。だから、前回も言ったように、二つ目はここに入れちゃまずくて、もっと下の方に下げなくちゃいけないよね。ある程度自分がそのテーマについて考えた後、調べに行かなかったら主体的な学習にならない。
  それから三つ目も難し過ぎる。知識や情報に基づいて課題を設定する力は高校生にはありません。ここも観察したことや既習の知識・技能を活用して、その範囲で課題を設定するのだったら生徒自らができる。中身は今後いろいろ考え方があるだろうけど、この課題把握、発見を本当に生徒が主体的にできるようにするということが、ここで考えていかなくちゃいけないことじゃないかなと思います。
【大島主査】    ありがとうございます。
  では、時間が迫ってきています、次、川村委員、お願いいたします。
【川村委員】    じゃ、手短に申し上げます。中学生の希望者を対象に、最近、アクティブ・ラーニング的なものを月に数回、発展的な内容でやっての乏しい経験に基づいてです。例えば資料4に見られるような学習過程をすらすらと取り入れながら、グループでやっていくところもあれば、行ったり来たりしながら最終的にこのプロセスを経ていくようなグループもありました。結果的に試行錯誤する中で話し合いがなされているようで、課題の達成度は行ったり来たりした方が高くて、このプロセスを一筆書きのように後戻りしないでやった方が完成度が低かった例がありました。誰がキーパーソンで、どういった議論が巻き起こったかというのは、実は、ビデオ分析までして、初めて、この子がこの場面でこういった力を発揮したというのが分かったのです。20人弱のクラスです。チームティーチングでやりました。これはあくまでたたき台なのでしょうが、先ほども高校の先生からありましたけれども、学校現場で年1回、2回とはいえ、やろうとしたときに、40人というクラスサイズで、1人の理科教員がやるというのは非常に厳しいなというのが中学生を対象にしてやった実感になります。クラスサイズを小さくする。あるいはチームティーチングする。時間も掛けるといったことがないと、しかも年に何回もやらないと力は着実に身に付かせることはできないかなというふうに感じています。
  以上、感想でした。
【大島主査】    ありがとうございます。実際の現場の中でどうやって取り組んでいくかということかと思います。
  では、次に筒井委員、お願いいたします。
【筒井委員】   
本日、事務局の方から参考資料3というのが配られています。資料4の内容と基本的には同じものですが、一応、これの説明をさせていただきたいと思います。これは資料を読んで、示されようとしたものを私なりに解釈していく中で、どのような表現が可能かということで、自分なりに描いたスケッチを事務局にお送りしたものが本日配られているものです。結局、重視すべきプロセスというものを、仮説の設定、自然現象の把握から自分で調べて、調べた結果を表現するというプロセスを、循環的な流れで示すのがよいだろうと思いました。
  それと、私自身は資料4にあるような、個別のそれぞれの過程で一つ一つこれこれの力ということで書き出すよりは、トータルとして、活動全体を通じて、このような力が付くというふうにまとめた方が、このプロセスの重要性がより分かりやすくなるのではないかと考えたということです。また、このプロセスを実際に授業で行うのに生徒に全て任せるわけではないわけですから、必ず指導者がそこに関わって、生徒と一緒になってそれを進めていくときに、指導者の役割というものが資料4には書かれていないので、どういう形があり得るか、どのタイミングでどのような関わりがあり得るかということも重ねて示してはどうかと思いました。だから、図は大変見にくくなっていて、よい方法ではないのですが、こういう関わりがあるのではないかということを上に赤く網掛けみたいなもので示しているのがこの参考資料3です。これに置き換えてくださいということではないのですが、私が頭の中を整理する中でこのように考えたということの御紹介です。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。参考資料3について御説明いただきました。ありがとうございます。
  では、最後に西原委員、お願いいたします。
【西原委員】    資料4について一言だけ大学で研究とか、実験をやっている立場でお話しすると、多分ほとんどのところはよいと思うのですが、最後のところでレポートをまとめたりする力、それで本当に最後だろうかというのがちょっと思っています。多分その右側に研究発表、総合評価というのがあるのですが、総合評価でお互いに議論して、その中で出てきて、自分が発表したことに、例えば間違いがあったりとか、もっとすごい考え方がある、解釈にということが分かったときに、それをちゃんと自分の中に組み入れて、それで修正していくような力というのが実は非常に必要なのではないかなと思います。それが例えばこの間もちょっと発言したのですが、小学校から中学校、高校、大学と行くに従ってだんだん知識が深まって、同じ現象でも違う解釈で、もっと深い議論ができるというところにつながっていくのだろうと思うので、それこそ結論を出すまでにグループでいろいろなディスッカョンをするというのが必要かもしれないと思うのですけれども、そこは案外一人でやってもよいところもあるのではないかなと思っていて、ただ、最後に結論を発表した後にいかに自分のことが正しいかということを納得させる。若しくはそこで修正していくという、そういう力を是非ちょっと書き足していただければというふうに思います。
  以上です。
【大島主査】    ある意味、振り返りについて、きちんとするということが大事との御指摘かと思います。ありがとうございます。
  あと角屋委員、お願いいたします。
【角屋委員】    私、前々回ですかね、松浦先生がおっしゃった、私大いに印象的に残っています。なぜかといいますと、これを見ていただくと、左側から見ていくのですね。松浦先生が、今回、新しさは何かというと、左のプロセスを形作る資質・能力で見なさい。それが正しい提案ですよというふうにおっしゃったのですね。私は、それに戻さなきゃいけないのではないかというふうに思います。ということは、プロセスを議論するのではなくて、そのためにどんな能力を付けるかということですね。だから、資質・能力論というのはそこにあるのだと思うのですね。それが一つですね。
  それからもう一つ、これを出すと、これの目的は一体何だったのですか。アクティブ・ラーニングの目的は何だったのですかというわけです。つまり、アクティブ・ラーニングというのは基本的には先ほど後藤先生が言われたように、子供にとって学びを豊かにする。より深い学びにする。それが人生の豊かさにつながるのだという大前提があるのですね。そこに戻さないと、プロセスばかり言って、それを修正しても、どんなことをやってもやっぱり今回と変わりません。そこをもう一回みんなで再確認しながら、新しい、そのためにどんな能力を付けたらよいのだというふうな議論を是非していただきたいと思います。
  済みません。老婆心ながら。
【大島主査】    ありがとうございます。貴重な御意見いただきまして、ありがとうございます。
  では、時間がオーバーいたしましたが、議題2についてはこれで終わりにしたいと思います。
  それでは、時間が押していますが、いつもやり切れなかった議題3に移りたいと思います。事務局から議題3について説明をお願いいたします。
【米原教育課程課長補佐】    それでは、議題3についてご説明をさせていただきたいと思います。時間がないので、簡単に御説明させていただきたいと思います。
  議題3は現行学習指導要領における現状と課題についてということですけれども、先ほども少し御説明しましたが、学校現場において授業を実施していく中で、学習指導要領の記載内容との関係で困難が生じたり、改善を要すると感じる点はあるかということで、先ほど三浦委員の方からも御指摘がありましたけれども、ああいうふうな形でいろいろと御意見を頂ければというふうに考えております。
  資料としては資料7を用意してございますけれども、こちら、これまでお配りさせていただいた中身でございます。1枚目が現行学習指導要領における理科の改善。前回から現行の改善内容。2枚目が理科の授業、24年と27年、全国学力・学習状況調査によりますと、他者との協働であったり、観察・実験の量とか、そういうのも少し増えてきているということ。3枚目が観察・実験をしっかりやる方が正答率が高いというような傾向があるということ。4枚目が全国学力・学習状況調査において見られた理科の課題ということを示してございます。5枚目が高等学校の理科教育の現状と課題ということで、現行の学習指導要領によって履修率の向上であったり、教科書のページ数の増加等があったということ。最後のページが、とはいえ数学や理科の勉強が好きだと答えた高校生の割合が低かったり、大切だと答えた高校生の割合が低いこと、社会に出たら理科は必要なくなると答えた高校生の割合が国際的に多いということ等の課題があるということを踏まえて、先ほど申し上げたような現行学習指導要領の課題について御議論いただきたいというふうに思っております。
  また、資料1-2で、これまで出た主な御意見の中で、資料1-2の1ですけれども、現状における課題についてというところで出た御意見については資料1-2の方にまとめてございますので、こちらも御参考にしていただきながら、御議論いただければというふうに思います。
  以上で説明を終わります。
【大島主査】    ありがとうございます。
  では、議題3といたしまして、現行学習指導要領における現状と課題について御意見を頂きたいと思います。目安としましては、できましたら55分ぐらいに収束できるとよいかと思います。よろしくお願いいたします。
  では、御意見ございますでしょうか。では、三浦先生。
【三浦委員】    現場の教員がここは出るべきところだと思うので、小中のことについてはほかの先生に委ねさせていただいて、高校の現場のことについてお話をさせていただこうと思います。この資料の高等学校の理科教育の現状と課題、マル1のところにありますように、現場の我々教員としては、一応、今までやった理科総合A、Bではなくて、基礎科目が付されて3科目履修になったということで、非常に喜ばしく思っている教員の方が多いと思います。ただし、マル3のところなのですけれども、生物基礎、地学基礎、それぞれ基礎の科目に対してはそれほどでもないのですが、選択の科目につきましては、容量が、ボリュームがすごく出まして、それについて、ある面から見ると、いろいろな教科書を採択することができるから、教員のやりやすいようになったというのが一つあります。
  ただし、今度は、どうしても高校というのはほとんどの学校が進学のことに絶対絡んできますので、今回のセンター試験等見ましても、いわゆる参考となっているところが教科書の中にたくさんあるのです。参考、発展となっているところ。その部分が底なしになったというのがありまして、そこの分野から出題されたものが実はあります。そのために、そうなってくると現場の教員としてはどうなるかというと、やっぱりこれは観察・実験どころではないねと。やっぱり参考のところまで全部網羅した授業をしなければいけないのだというふうに多分思ってしまうと思うのですね。そういうことも考慮した上で教科書を作成していただきたい。そして、センター試験そのものが廃止されて、どのような方向になるのか分からないのですけれども、是非今討論されているような、そういう資質・能力が高校の現場でも引き続きつながっていって、本当に観察・実験をやって、探究活動をやって、今、先生方と一緒に討議させていただいている能力が育つような、そういう授業ができるようなシステムを是非作っていただかないと、永遠に高校の現場の方ではもがき苦しんで、進路と教えたいものとの間のはざまに立ってしまうのではないかなという思いがすごくあります。このことだけは、是非3番が早く来ないかなと思っていたのですが、今日ようやくしゃべることができました。ありがとうございます。
【大島主査】    ありがとうございます。3番について、きちんと考えていく必要があるということかと思います。
  では、次、田代委員、お願いいたします。
【田代委員】    教育課程上の問題ではなくて、外的条件の話になるのですが、教育課程が円滑に進む上では非常に大事なことなので、お話しさせていただきます。「教科書どおりに行っても実験がうまくいかない」という学校現場の声があります。もちろん教科書に問題がある場合もあるのですけど、実験をちゃんとしたことがない先生は、やろうとしてもできないということがあります。つまり、この料理にはレシピがあって、おいしい料理ができると言われても、レシピどおりにやったつもりでもおいしくできない人がいるのですね。なので、どういうことを言いたいかというと、観察・実験については先生方もそれ相当の技能を要するので、しっかりとした研修をしなければいけない。そこを担保しないと、なかなか観察・実験が広まらないということがあります。
  研修の機会を確保するモデルケースとしては、新潟県の例があります。新潟県は縦に非常に長いので、県全域から新潟県立教育センターに集まるのは大変です。そのため、昔からそれぞれの地区に小さな教育センターがあります。今は独立した教育センターをなかなか置けないので、学校が教育センターの代わりをしていることもあります。そして、新潟県立教育センターで学んだ人たちがそれぞれの地区のセンターに異動して、実験の手法等、学んだことを地区の先生方に指導するということをやってきています。このような仕組みがあると、通勤している学校の割と近くに研修したり相談したりする場所があるので、旅費もかからずに研修ができるのです。こういう意味でモデルケースだと思います。このような仕組みを作っていかないと、幾ら観察・実験と言っても、先生方ができなければ、子供たちが観察・実験の授業を受けることはできないので、外的条件も整えないと、机上の空論に終わるのではないかと思い、一言意見を言わせていただきました。

【大島主査】    ありがとうございます。観察・実験をする際にいかに経験値を上げるかについて、研修も充実していく必要があるのではないかという御提案だと思います。ありがとうございます。
  次、小田委員、お願いいたします。
【小田委員】    すみません。それでは、ちょっと高知県で感じている小学校と中学校の課題について述べさせていただきたいと思います。
  まず小学校の課題ですけれども、先ほど申しましたように、問題解決の比較とか、関係付けとか、そういうことを意識した取組というのは、小学校の先生方は今回の学習指導要領になってすごくできていますが、前回の中でも話題になりましたが、理科という教科は素朴な概念を科学的概念に上げていくという、レベルアップする、そこがうまくできていないなと。しっかり実験・観察はやっているのだけれども、最終的な結論のところが初めと変わっていないなというような授業が往々にしてあります。
  それともう一つ、やはり小学校は専科教員の問題です。高知県は割合大きな学校では専科教員が入っていることが多くて、大規模校ばかりで、しかも5、6年生、高学年ばかり持った人は、採用になって30年ぐらいたつのに、理科は1回か2回しかやったことないとかいう人が現実にいます。そういう人がいるという、そういう現実も踏まえて、学習指導要領というのは考えて書いていかないといけないのではないかなというふうに考えていますし、今田代委員がおっしゃったように、研修の在り方ということ。それから、専科と担任がやるかという、そこのところを小学校は考えていかないといけないというふうに思います。
  中学校の課題ですが、中学校の先生、実は私、中学校の教師なのですけれども、中学校の教師は、小学校の問題解決の力というのは余り理解してなくて、本当に先ほど言われたような実験・観察をレシピのようにするような授業というのが割と高知県ではあります。
  実は、中学校の学習指導要領解説の初めの方に小学校で培った能力を更に高めという文言が1行か2行で書いてあるのですが、そこに気付いている中学校の教員はほとんどいなくて、本当に小学校と乖離した実験・観察というか、問題解決をやっているという現状がありますので、先ほど田代委員さんが今回の何が違うかというところは、前に培った力を次の学年で活用していくこととおっしゃいましたが、小学校で培ったものを中学校で活用していく、中学校で培ったものを高校で活用していくというスパイラルなつながりというのがすごく大事になるのではないかなというふうに思っています。
【大島主査】    ありがとうございます。
  じゃ、次、江崎委員、お願いします。
【江崎委員】   
中学校の厳しい御指摘を受けましたけれども、それでも以前に比べると中学校でも実験・観察をやりますし、先生方の意識は高まっていると思います。ちょっと言い訳めいていますが。
  現行中学校の1年生では時間数が3時間のままで、歯止め規定がなくなったことにより内容が実質増えているというとらえ方があります。現場では1年生の学習内容を週3時間の授業で終わらせることに、四苦八苦しているのが現状です。その中で、問題解決的な学習展開を進めるのは至難の技と思われているようです。その結果、生徒にとっては実験や観察がやらされ感になってしまう。実験・観察ではなくて、作業の時間となりかねない。何度もお話ししますが、現場の先生方にそういう具体的なにこのように進めればよいというようなモデルプラン的なものを学習指導要領と別枠で示していく。それによりこの内容に関しては自分の授業はオーケーなのだなというような、先生自身が自己評価できるようなものというのが大事なのではないかなと思います。
  更に卒業生の話では、高校では中学校の授業から急に難しくなる。別の機会に高校の先生と話をした中では、高校で問題解決的な授業を展開しようとしても、その後の大学の入試に役立たないというような指摘もされる。例えば若い先生が授業をこのように改善していこうとしたら、年配の先生からそんなことをやっても大学合格の実績がとれないと言われた。高校の実態を把握していないので的外れかもしれませんが、高校の授業の改善をしていかないと小学校・中学校だけでは難しいのかなと思います。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。三浦委員もおっしゃっていたような、システム的なことも含めて、考える必要があるということかと思います。ありがとうございます。
  では、最後に、角屋先生。
【角屋委員】    私、広島大学附属福山中・高等学校長を4年やりました。福山附属というのは、受験体制は絶対とってないのですね。普通の授業なのです。中学校も高等学校も、見ていただくとすぐ分かります。その中で一番感じましたのは教材解釈が違うのですね。先生方の教材解釈が違うということは、どういうことかいうと、いろいろなものを教えようとしないのですね。その中で、一番エッセンスは何かと捉えるのです。それに基づいて教材を解釈して、それを高等学校から中学校におろしているのですね。中学校がものすごく教材が豊かなのですね。フルーティーなのです。これが私は本当の学力に高めているのではないかというふうに思います。だから、今三浦先生から御提案いただいたものは、教材のエッセンスは何かという捉え方で内容を整理する必要があるのではないかと思うのですね。余り減らすと、また3割削減とか何か言われるのですけれども、その辺は注意しながら、本質に基づいた解釈をし直さなきゃいけないと思います。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。内容を何らかの形で検証していかないといけないということですが、本質を見極めて検証していく必要があるということだと思います。ありがとうございます。
  最後、片平委員、お願いいたします。
【片平主査代理】    今回、我々は資質・能力観から学習指導要領を考えていかないといけない。そうだとすると、至るところに無理があり、とてもできないとか、昔とどう違うのだとかということについて今後も更に検討を続けなければならないと思います。更にそこでは、こういうふうなやり方があるというモデルを示さないといけない。モデルを示すと、それだけやればよいのかと捉える人も多く存在するという指摘もあったのですが、でも、それが新しい考え方なら、モデルを提示しても良いと考えます。例えば、アクティブ・ラーニングに関しては、活動面、行動面、態度面だけじゃなくて、先ほど三浦先生が御指摘になったように、内容とリンクして取り上げないと、形だけがひとり歩きしてしまいます。大学の研究者の一部、もうアクティブ・ラーニングじゃなくて、ディープ・アクティブ・ラーニングなのだと言っています。何がディープか。それはもっと吟味しないといけないのですが、やはり内容と連動したアクティブ・ラーニングを考えていかないといけないと思います。アクティブ・ラーニングを総論だけで語り過ぎると、袋小路に陥ってしまうのではないかなと思います。
  次に、皆さんの御意見を踏まえると、協働の学びが確かにアクティブ・ラーニングを支える一つの基盤だとは思うのですが、私は、先ほど西原先生がおっしゃったように、1人でやってもよいようなところは1人に任すべきと思っています。協働の幻想、グループ学習の幻想もあり、みんなでやっているから分かっているのだとつい考えてしまう。しかし、いざ子供達に問うてみると、意外と分かっていなかったりする。後藤先生がおっしゃっていたように振り返りとかで、1人に返して、一人一人がもう一回自分の学習を考えてみる。そういうところにも配慮したアクティブ・ラーニングを今後検討していく必要があると思っています。
  最後に、高校の先生方は、アクティブ・ラーニングは、結構大変だな、どのようにしようか等々、悩んでいると思います。全部の内容をアクティブ・ラーニングでなんてとてもできるわけはないのです。そこで、赤石先生が指摘されたように「果敢に」を「あきらめない」気持ちで臨んでほしいと思います。三浦先生の「もがき苦しむ」もなかなかよい言葉だと思います。今後の具体的な議論の中で、その難しさをより深く検討し、発信していければよいのではないかなというふうに思いました。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございました。そろそろ時間がまいりましたので、議題3はここで終わりにしたいと思います。
  そのほか何か御意見ございますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。
  では、本日、皆様活発な御意見を頂きまして、ありがとうございました。時間も参りましたので、本日はここまでにしたいと思います。本日お出しいただいた御意見については事務局で論点ごとにその趣旨を整理していくようにお願いいたします。
  また、限られた時間内での討議でしたので、更に御意見やお気付きの点などがありましたら、ペーパーで事務局にお送りいただければと思います。
  では、本日予定されていました議題はここまでとなります。最後に次回以降の日程などについて事務局より説明をお願いいたします。
【米原教育課程課長補佐】    本日は遅くまで熱心な御議論ありがとうございました。
  次回でございますけれども、3月9日水曜日、10時から12時の開催を予定しております。場所は文部科学省の3F1特別会議室で開催を予定しております。
  また、先ほど主査からもお話がありましたが、最後駆け足になったこともございますので、ペーパーによる御意見等も是非よろしくお願いしたいと考えております。ファクス、メール、郵送でも結構でございますので、どうぞよろしくお願いします。
  なお、本日の配付資料は机上に置いていただければ、後ほど郵送させていただきますので、どうぞよろしくお願いします。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございました。
  それでは、本日の理科ワーキンググループを終了させていただきたいと思います。長い時間、遅い時間にお越しいただきまして、本日はどうもありがとうございました。

――  了  ――

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