教育課程部会 理科ワーキンググループ(第3回) 議事録

1.日時

平成28年1月14日(木曜日) 16時00分~18時00分

2.場所

文部科学省 東館3階 3F2特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 理科教育のイメージ及び理科において育成すべき資質・能力について
  2. アクティブ・ラーニングの三つの視点を踏まえた、資質・能力の育成ために重視すべき理科の指導等の改善充実の在り方について
  3. 現行学習指導要領における現状と課題について
  4. その他

4.議事録

【大島主査】    では、定刻になりましたので、また、皆様、おそろいのようなので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会理科ワーキンググループの第3回を開催いたします。本日は、お忙しい中を御参集いただきまして、まことにありがとうございます。また、平成28年度の一番最初の会議ということで、今年もどうぞよろしくお願いいたします。
  では、まず最初に、事務局から、前回欠席された委員の紹介及び配付資料について御確認お願いいたします。
【米原教育課程課長補佐】    それでは、まず、委員の御紹介をさせていただきます。
  西原寛委員でございます。
【西原委員】    よろしくお願いします。前回、第2回と欠席しまして、今日が初めてでございますので、何とかついていけるように頑張りたいです。よろしくお願いいたします。
【大島主査】    よろしくお願いいたします。
【米原教育課程課長補佐】    続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。
  本日は、議事次第に記載しておりますとおり、資料1から8、参考資料1から3、そのほか、机上に参考資料を配付させていただいております。不足等がございましたら、事務局にお申し付けください。
  なお、この後、同じように、机上にタブレット端末を置いております。その中には、本ワーキンググループの審議に当たり参考になる、関係する審議会の答申であったり関係資料等を入れておりますので、必要に応じてタブレット端末を御活用ください。内容につきましては、タブレット端末の下に置いております目次をご覧ください。
  以上でございます。
【大島主査】    ありがとうございます。
  では、これより議事に入ります。なお、本日は報道関係者より会議の撮影及び録音の申出があり、これを許可しておりますので御承知おきください。
  それでは、これより議題1として、前回からの論点整理を踏まえた「理科教育のイメージ及び理科において育成すべき資質・能力について」、そして、議題2として、「アクティブ・ラーニングの三つの視点を踏まえた、資質・能力の育成のために重視すべき理科の指導等の改善充実の在り方について」、議題3として、「現行学習指導要領における現状と課題について」の自由討議を行います。
  本日は、まず、議題1、2を中心に御議論いただきまして、残りの時間を議題3について意見交換を行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  では、まず、事務局から資料に基づき説明をいただいた後、自由討議とさせていただきたいと思います。では、よろしくお願いいたします。
【米原教育課程課長補佐】    それでは、御説明をさせていただきたいと思います。
  議題1の説明に先立ちまして、資料3をご覧ください。今回御議論いただきたい事項につきまして、ここに簡単に整理をしてございます。
  まず、議題1として掲げておりますけれども、一つ目のポツ、二つ目のポツ、こちらについて御議論いただきたいと考えております。
  まず一つ目が、「理科を学ぶ本質的な意義について」ということ、二つ目が「三つの柱に沿った育成すべき資質・能力の明確化について」でございます。こちらにつきましては、前回、資料を提示させていただきまして、いろいろと御意見を頂きましたので、それで修正をしております。その修正した箇所を中心に御議論いただきたいと思いますし、また、四角囲み、「理科の4分野を学ぶことによって身に付けさせるべき資質・能力とは何か」という箇所でございますけれども、これにつきましては新しい資料を作成してございますので、これについての御意見をまた頂ければと思っております。
  続いて、議題2として、「アクティブ・ラーニングの三つの視点を踏まえた、資質・能力の育成のために重視すべき理科の指導等の改善充実の在り方について」ということで資料を用意してございますので、また御意見を頂ければと思います。
  最後に、前回、資料だけの御説明をさせていただきましたけれども、「現行学習指導要領における現状と課題について」ということで御意見を頂きたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  続きまして、議題1について説明させていただきます。資料4をご覧ください。資料4ですけれども、前回お示しした資料を修正したものでございます。修正した箇所は赤字で示しているところでございまして、前回御意見を頂いての修正になります。修正箇所を中心に御説明させていただきますけれども、まず、小学校でございますけれども、赤字のところ、「観察・実験の結果を整理し考察し表現する学習活動を充実する」ということに加えまして、「また、日常生活や他教科との関連を図る」ということを加えているところでございます。
  次に、中学校ですけれども、中学校も同じように、「また、日常生活や他教科との関連を図る」というところを加えてございます。
  次に高等学校でございますけれども、高等学校は、小学校、中学校と資料の作り方に平仄が取れていないという御指摘も頂きましたので、いわゆる必履修で身に付ける資質・能力というところを中心にですけれども、小学校、中学校と平仄を取って、三つの柱に沿って、マル1、マル2、マル3と整理をしているところでございます。
  マル1が、「自然に対する畏敬の念を持ち、科学の必要性や有用性を認識するとともに、科学的根拠に基づき、多面的・総合的に判断する態度を養う」ということ。マル2が、「自然の事象を目的意識を持って観察・実験し、科学的に探究したり、科学的な根拠をもとに表現したりする力を養う」こと。三つ目が、「基本的な概念や原理・法則の体系的理解と科学的探究についての理解や、探究のために必要な観察・実験等の基本的な技能を養う」ということ。こうした資質・能力を示しているところでございます。
  また、応用、高度のところにつきましても、平仄を取って修正をしているところでございます。
  理科教育を通して、どういった資質・能力を身に付けさせて、どういう人材を育てていくのか。どういうプロセスを経て、どういう人材を育てていくのかということを整理した資料でございます。これにつきましては、後ほど御意見を頂ければと思います。
  続きまして、資料5でございます。こちらも前回お示しした資料でございますけれども、赤字が御意見を踏まえて修正した箇所でございます。まず下からでございますけれども、この資料自体は、三つの柱に沿いまして、理科を通じて、どういった資質・能力を育むかということを整理したものでございます。
  まず、一番下の小学校でございますけれども、「個別の知識や技能」というところで、「理科を学ぶ意義の理解」というものを加えてございます。
  次に、小学校の「思考力・判断力・表現力等」という箇所で、「各学年で主に育てたい力」というところを書き加えてございます。この趣旨としましては、3年、4年、5年、6年と各学年で身に付けさせるべき、育成すべき力というのを書いてありますけれども、これだけではないというところがございますし、例えば、3年であれば、比較を通して問題を見出すというような形がありますけれども、必ずしも比較で問題を見出すだけではないと。場合によっては考察においても比較をするとか、そういったこともございますので、主に育てたい力を示しているということで、そこを明示しているところでございます。「学びに向かう力、人間性等」ということで、小学校の箇所でございますけれども、「自然に親しむ態度」「失敗してもくじけずに挑戦する態度」「科学的な根拠に基づき判断する態度」というのを加えているところでございます。
  続きまして中学校でございますけれども、「個別の知識や技能」ということで、高校との差異化を図るために、「中学校理科における基本的な概念や原理・法則の体系的理解」という形に、「中学校」という文言を追加してございます。
  二つ目の丸ですけれども、「科学的探究についての理解」となっておったのですけれども、これも高校との差異を出すために、「基本的な理解」ということで修正をしているところでございます。中学校の「学びに向かう力、人間性等」というところでございますけれども、「自然の事物・現象にすすんでかかわる態度」であったり、「粘り強く挑戦する態度」「科学をすることの面白さや有用性の気付き」であったり、「科学的根拠に基づき的確に判断する態度」というところを加えているところでございます。
  高等学校につきましては、前回お示しした資料では2段階に分けておったのですけれども、資料4との整合性を取ってはという御意見ございましたので、資料4では、基礎、応用、高度という3段階、基礎というのが必履修まで学ぶ生徒、応用というのが、いわゆる理系の生徒、高度というのは、理数科であったり「数理探究」、今検討している箇所でございますけれども、「数理探究」という科目までやった生徒というところで、この3段階に分けてしておりましたので、こちらの資料5につきましても3段階に分けて改めて整理をし直してございます。
  高等学校の一番下のところでございますけれども、「個別の知識や技能」というところで、「高等学校理科における基本的な概念や原理・法則の体系的理解」ということを加えてございます。「学びに向かう力、人間性等」というところでは、「自然の事物・現象に対する畏敬の念」「果敢に挑戦する態度」「科学の必要性や有用性の認識」「中学校で身に付けた課題解決の力などを活用しようとする態度」というものを加えてございます。
  高等学校の真ん中にございます、いわゆる応用と整理しているところでございますけれども、そこでは、「個別の知識や技能」として、「知識、技能の深化」「高等学校理科における概念や原理・法則の体系的理解」。「思考力・判断力・表現力等」としまして、「課題解決能力」「新たなものを創造しようとする力」。「学びに向かう力、人間性等」としまして、「科学的に探究する態度」「科学に対する倫理的な態度」を示してございます。
  さらに、高度、一番上でございますけれども、「個別の知識や技能」としまして、「知識・技能の深化・統合化」「課題研究を遂行するための知識・技能」というものを記載してございますし、「思考力・判断力・表現力等」というところでは、「高度な課題解決能力」「新たな発見をしたり、創造したりする力」というのを明示してございます。
  「学びに向かう力、人間性等」というところでは、「科学的課題や事象に徹底的に向き合い、考え抜いて行動する態度」「自発的、創造的に取り組む態度」「研究に対する倫理的な態度」というものを明示しているところでございます。
  続きまして資料6でございますけれども、こちらは今回新しく示している資料でございますが、今の理科の指導要領の解説等では、大きく分けて、エネルギー、粒子、生命、地球という4分野に分けて系統立てて内容を整理しているところでございますけれども、この4分野に整理する理由というのを、資質・能力の観点からも明らかにしていくことが必要であろうということで、理科の内容における分野ごとの主な見方や考え方の整理の例ということで、こういう形で示させていただいてございます。もちろん、これはいろいろな整理の仕方があると思いますし、当然ここで書いている内容、かなり代表的な部分だけをとらまえていますけれども、おおよそこういう整理ができるのではないかというところで、また御意見を頂ければと思います。
  まず分野別ですけれども、大きく、見方・考え方ということで、どういう違いがあるかということに着目してみると、まず、エネルギーについては、「自然の事象・現象を関係的かつ量的にとらえる」という見方・考え方になっているのではないかと。粒子については、「自然の事物・現象を実体的かつ質的にとらえる」、生命については、「自然の事物・現象(生物)を全体と部分という関係でとらえる」という見方・考え方。地球につきましては、「自然の事物・現象(地球と宇宙)を全体と部分という関係でとらえる」ということで、こういう4分野、4領域の物の見方・考え方の整理が大きく分けてできるのではないかということを整理しております。
  それを、学校種ごとではどう整理するかというところを、以下、整理しておりますけれども、小学校においては、まず、4領域の内容は整理しておりますけれども、実際にはこれをそれぞれで分けるというよりも全体として整理してございますので、それを更に直感的にとらえるというような形で行われていると思います。
  エネルギー分野に関しては、「物体を関係的かつ量的にとらえ、それらを規則性とする」というような考え方、粒子については、「事象や気体などを実体的かつ質的にとらえる」という考え方、生命については、「個体レベルにおいて全体と部分の関係でとらえる」という考え方、地球については、「事象どうしを全体と部分の関係でとらえる」というような考え方になっているかと思います。
  次に中学校ですけれども、中学校は主として、1分野、2分野という言い方をしておりますけれども、エネルギーと粒子と生命と地球という形でカテゴライズされているかと思います。それらの違いとして、事象の分節化ということでとらえたときに、主として可逆的なものを扱う領域がエネルギー、粒子でありましょうし、主として不可逆的なものを扱う領域が生命、地球であろうということで、まず、大きくそういう2段階に整理ができるのかなと思っています。
  それを分野ごとに、どういう物の見方・考え方かというところでございますけれども、エネルギーについては、「関係的かつ量的にとらえ、それを法則とする」というのが考え方、粒子につきましては、「原子・分子レベルで実体的かつ質的にとらえる」というような考え方、生命については、「細胞レベルにおいて全体と部分の関係でとらえる」。もちろん細胞だけではないのですけれども、例として細胞を挙げておりますけれども、そういう生命の細胞レベル等で全体と部分の関係でとらえるという考え方。地球についても、「事象どうしを分析的に全体と部分の関係でとらえる」という考え方があるのではないかと考えております。
  高等学校につきましては、もうエネルギー、粒子、生命、地球と、それぞれの形で整理してありますし、それを本質的にとらえるところが特徴であろうと考えます。その上で、エネルギー分野におきましては、「法則どうしをより包括的(高次の法則)にとらえる」というような考え方、粒子については、「原子・分子レベルで物質の様相を統一的にとらえる」というような考え方、生命については、「原子・分子レベルにおいて全体と部分の関係でとらえる」といったような考え方、地球につきましては、「事象どうしを統一的(法則)に全体と部分の関係でとらえる」というような考え方ということで整理ができるのではないかと考えております。これにつきましては、御意見を頂ければと思っております。
  事務局からの説明は以上でございます。
【大島主査】    ありがとうございました。それでは、これより意見交換の時間とさせていただきます。
  まず、議題1として、論点整理を踏まえた理科教育のイメージ及び理科において育成すべき資質・能力について御意見を頂きたいと思います。大体目安といたしましては30分ほど、今からですと50分ぐらいですかね、までを議論の時間にさせていただきます。今回3回目ということで、前回までの議論を踏まえていただき、また、前回、松浦委員から御意見がありましたように、意見に対する質疑、討論などもできればと思っております。よろしいでしょうか。
  では、早速、これから議論に入りたいと思います。御意見等のある方は、あらかじめ名札を立てていただけますでしょうか。そして、私の方で指名させていただきます。また、発言が終わりましたら、この札を元に戻していただくようにお願いいたします。あと、発言の際には、皆さんの手元にありますマイクのスイッチをオン、発言後には、お手数掛けますけど、オフをお願いいたします。
  それでは、御意見、よろしくお願いいたします。では、松浦委員と川村委員、よろしくお願いいたします。
【松浦委員】    前回まで2回で、小・中に比べて、やっぱり高校が問題だなというのをすごく強く感じております。それで、今日見せていただいた資料4、資料5の高校の部分で、正直言って、これだと現行のと、現行の目的にこういうのがちゃんと書いてあるので、具体的には少し変わっていますけれど、基本的には同じで、これじゃ高校は変わらないんじゃないかなというのが正直なところです。
  それで、何が足りないかというのが、何度もここで発言しているように、今回の諮問にあったとおり、そもそも生徒が自分から学びたいというところから始めてないという。始めるのもそうだし、実際それを通して育てたいのも、そこから入りたいという。だから、後の方の資料でも出てきますけれど、理科、数学が嫌いで必要だとも思ってないという、それを続けるような高校理科教育をしたってしょうがないわけで、それを大幅に改訂する必要があるわけで、そういう意味では、この資料4や資料5の高校のところの一番大事なところとして、生徒が自分から理科を学びたいと。全体として理科を学びたいのもあるし、各項目を自分から学びたいという。それが今回うまく入れば大分改善されるだろうし、今回の諮問に入れるアクティブ・ラーニングも、そういう形で高校理科でもかなりできるんじゃないかなというのが一つです。
  もう一つ、ちょっと各論になっちゃうのですけれど、資料6の生命のところは結構違和感があって、やっぱり全体と部分というのが通してあるのですけど、生命で小・中・高で教えたいことは、全体と部分の関係というのは僕は結構違和感があって、もし似たような感じで使うのだったら、機能と構造の関係。やっぱり生命は機能が大事なところで、ただ、それを支えている分子とか細胞とか個体とかがあるわけで、やっぱり全体、部分という関係の言い方をしてしまうと、そこが曖昧になっちゃう。例えば、機能と構造の関係で通すというようなのが一つかなというのがあります。
  最後、高校の生命のところだけですけれど、原子、分子のレベルというのは、生命をやっている立場からすると、すごく違和感があって、ここに原子は出てこない。分子レベルと、もちろんどういう書き方があるか、機能との関係というのを、分子がいろんな生命の機能の一番元であるというのが、ここ四、五十年、明らかになったことだから、高校レベルでは、生命の機能は分子に基づいているのだという、それが高校レベルでは必要で、ただ、それだけじゃ足りなくて、分子、細胞、個体、生態系、それぞれのレベルでの相互作用。もちろんレベル間の関係、上のレベルと下のレベルの関係も大事なのだけど、高校生でそこまでやっていたら時間がないから、レベル間の関係は、少なくとも高校ではやらなくてもよいから、分子レベルの相互作用、細胞レベルの相互作用、個体レベルの相互作用、生態系での、生態系というよりは、集団間の相互作用かな、その四つのレベルで相互作用というのは必要な見方や考え方の要点になるんじゃないかなと思います。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございました。高校については、特に自分から理科を学びたいということの観点が入ってないのではないかという点の御指摘でした。今のことに関連して、何かございますか。今、川村委員と小林委員から名札が上がっていますが、そのことについて何かコメントございますか。
【小林委員】    後で。
【大島主査】    後でですか。もしあれでしたら、今の観点で、何か御意見ありますか。後半は具体的な内容に入った話だと思います。そのことに関連した御意見であれば、今伺いたいと思います。
【小林委員】    じゃ、一部重なりますので。今日配付されている資料1の1枚目の一番下に、松浦委員が御発言になったような、高校を例に挙げられましたが、生徒が自ら学びたいという気持ちを大事にする必要があるというようなことをおっしゃいましたが、前回も同様のことを発言されています。
  かいつまんで読むと、自分の問いをみんなに説明したいのだというために、実験・観察するというところまで追い込まないといけないと。これはもう小・中・高一貫して指導に当たらなければならない重要な観点かなと思います。
  関連しての発言は以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。
  何か、ほかにございますでしょうか。よろしいですか。
  それでは、川村委員、小林委員、また次によろしくお願いします。
【川村委員】    失礼いたします。川村です。前回、あまり発言するチャンスがなかったので、今回は早めに、先手必勝ということでよろしくお願いします。そういったことで、前回の議論に一部戻っているところがあるかもしれません。復習ということで御容赦ください。
  前回のところで、角屋委員や小林委員が発言された理科の学力論というのは基本的に賛成でございます。今日は、私が手元に持っているデータを元に、現行の教育課程、もう一つ前の教育課程、最後の部分につきまして、今日の議題の1番目と2番目、併せて意見を述べさせていただければと思います。
  まず、一つ目の理科を学ぶ本質的な意義について気になっていることでございます。アンケート調査を高校生と中学の理科教員を対象に実施しました。狙いとしましては、中学校理科の地震の学習に関する内容を、学習を終えた高校生と指導を担当した中学校の理科の先生に尋ねたわけですが、ここで生徒と教員の間でギャップが見られたわけです。高校生に何を学びたいか聞くと、地震防災のことを学びたい。どのようにして地震の災害、あるいは津波の災害から逃げるかということ。一方、中学校の先生は、地震のサイエンス(科学)を教えたい。理科を何のために学ぶのか。中学校の先生は、よく御理解されて当然のことなのですが、そのことが実は中学の理科を学んだ高校生たちには伝わっていなかったのだ、これが大変気になっているところです。理科を学ぶ意義を、どの時点で子供たちに認識させるかということが、これは旧課程の場面ですけれども、気になりました。
  三つの柱に関してになります。まず、学びに向かう力に関して、これは公立の中学校5校、全校生徒に、理科の大項目の学習ごとに理科の有用性についてのアンケート調査を行いました。第1分野、第2分野だけでなくて、物理、化学、生物、地学の領域に分けて比較をしてみたわけですが、結果として地学領域に対して肯定的な反応が高い。内容は、やはり1年生で地震について勉強したこと、2年生で気象について勉強したときに、理科は大事であるという考えだろうと想像します。さっきの高校生の反応と一緒で、防災に役立つから理科は大切だと考えている節があります。
  続きまして、三つの柱の知識に関してになりますけれども、この結果は、今、論文を印刷中なのですが、全国の高校生を対象に中学校理科の実施に関するアンケート調査を行いました。先ほど同様、高校生が中学生のときに勉強した内容、3年前、5年前に高校生が学習した内容についてです。残念ながら、教科書に書かれていた内容を理解していないか、あるいは、全くアイデア、概念を持ってないという割合がかなり高い割合として出てきました。数年たつと、学習内容を忘れている。中学校のときには、短期的に知識として持っているのかもしれませんが、それが高校生まで理科の学力として受け継がれていないのが大変残念に思います。これが、思考、判断、探究活動を通じて、地震に関する概念を身に付けるということを理科の教員としては期待するのですが、そこら辺がうまくいかない場面が、もしかしたら見られるような気がします。
  地学だけに限らず、ほかの領域もそうなのですけれども、理科の授業というのは、子供たちに素朴概念ではなくて、科学的な概念に変容させることが大事だと考えております。その中で、役に立つ指導の方策の一つがアクティブ・ラーニングであると。秋田県の先生方、小学校、中学校もアクティブ・ラーニングを積極的に取り入れた授業展開をされていらっしゃるのですが、やはり本質的に子供たちが概念を変えているかどうかといったところ、まだ検証は必要かと思います。是非将来、国際的に活躍する高校生、中学生、小学生を育てるとき、科学的な概念がきちんと身に付くような、そうした指導をしたい、そのように考えております。
  ほかにもいろいろ申し述べたいことはあるのですが、時間もありますので、一旦これでマイクを置かせていただきます。ありがとうございました。
【大島主査】    ありがとうございます。幾つか御指摘がありましたけれども、まず、生徒と先生の間でギャップがあり、先生が教えるサイエンスをどのような時期に学ばせるのが大事かという、また、科学的な概念をきちんと身に付ける必要があり、教育をしていく必要があるという点についての御指摘だと思います。ただいまの御意見に関連して、何か御意見ございますか。
  じゃ、古田委員から。
【古田委員】    古田でございます。よろしくお願いします。先ほど、松浦委員から発言がありました、なぜ学ぶのかということが具体的ではないというお話に対して、今の川村委員の事例の発表というのは、ある一つの答えがあるように思います。
  というのは、高校生が防災について学びたいと考えている。理科の先生は、地震のメカニズム、サイエンスについて学ばせたいと考えている。ここは、やはり防災、これは恐らく3・11も大きく関連していると思うのですけれども、社会的に非常に大きなエポックな出来事がある、あるいは身の回りに起こっている現象、使用している技術といったものが目に見えるような形になって、非常に大きなインパクトで子供たちの心に響いたところが、学びたい、これについて知りたいということを喚起したと読み取ることが可能だと思います。
  それは、防災ですとか地学分野に限らず、様々なところにそういうものがあるわけで、そういった、なぜ学びたいのかということを、その先にある、自分の身の回り、自分の将来といったものと結び付けられるような表現が教員や教科書や学習指導要領の中にあることが必要だということの御示唆なのだと思います。
  前回と余り変わらないというようなお話もありまして、私も何となくそういうふうに思っていました。ただ、それが、この資料5のスペースに社会との関連ですとか、自分の将来とか身の回りの現象について知りたいと思わせるような表記がどういうものなのかというのは、事務方の方にも工夫していただきたいですし、私どもも、どんな表記だったら、ここにいる方々だけじゃなくて、全国の先生方に伝わるような文言になるのかということは工夫が必要なのかなと思います。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございました。なかなか難しい課題ではございますが、おっしゃっていることは非常に大事だと思います。皆様はこれを見て、ある程度理解して進んでいくため、必要と思われます。この点に関して事務局から何か御意見ありますでしょうか。
【米原教育課程課長補佐】    御意見、我々も受け止めさせていただきたいと思います。
  一応、科学の必要性とか有用性の認識とか、そういうところまで今、書いてはいるのですけれども、じゃ、それをもう一歩踏み出して、理科を学びたいというところまで、どういう形で、この学びに向かう力、人間性というのが記載できるのかというところは少し検討していきたいと思います。
【大島主査】    松浦先生、お願いします。
【松浦委員】    これを残して、そのまま新しく加えたって、薄まっちゃって。だから、この中で、より優先度が低いのは半分ぐらい削って、今言ったことを入れていかないとインパクトがない。
【合田教育課程課長】    主査、恐れ入ります。子供たちの興味、関心を引き出すのは大変重要なことだと思っておりまして、そのための工夫は、我々も是非後押しをさせていただきたいと思っておるのですが、それと同時に、先ほど御議論もございましたけれども、私どもが、大人が子供たちに科学的な物の見方・考え方、どういうものを育てようとしているのかと。恐らくそこに、子供たちの関心を引き出す重要な要素というものがあるんじゃないかなと思っております。特に今日、資料6ということで、いわゆる物化生地という、それぞれごとに物の見方・考え方、先ほど松浦委員からも御指摘ありましたけれども、整理をさせていただいておりますが、こういった固有の、理科でなければ育めない物の見方・考え方と、それから、子供たちの関心、意欲、態度をどう引き出すかということについての関連も是非御示唆を頂けるとありがたいと思っております。
  済みません。失礼しました。
【大島主査】    ありがとうございました。あと、まだほかの委員の方から手が挙がっていますので、御意見を伺いたいと思います。違う観点でも結構でございます。
  先ほど御意見をいただいた、小林委員ですね。よろしくお願いします。
【小林委員】    それでは、三つの柱に沿った育成すべき資質・能力の明確化という観点から。三つ柱が立っていますが、一つ目の何を知っているか、何ができるか、それから、二つ目の、知っていること、できることをどう使うかということを考えたときに、子供たちが、これは小・中・高の子供たちですが、問題解決の仕方、あるいは中・高であれば探究の仕方になると思うのですが、どういう問題についてどのように考えて解決していけばよいのかという、そのプロセスを、やはりメタ認知的に見えるような指導をしてやらないと、子供自身がなかなか一般化できない。一般化できないと、リフレクションして語れない、説明できない、他者にも説明できない、そういう気がするわけです。
  この三つの柱が明確に打ち出されたということは、内容理解、あるいは科学的な概念の理解、もちろん重要なのですが、更にそれに加えて、問題解決をするときの問題の立て方、解決の仕方ということを、いま一度整理する必要があるのではないかなと思います。
  例えば、資料4あたりに、小・中・高、幼稚園からずっときれいに整理されておりますが、中学校のところについては、マル2として、「自然事象の中に問題を見いだして」云々と。これ、中学校のところだけにあるのですが、これはひょっとしたら幼稚園から高等学校までずっと続く大事な視点ではないかと思います。繰り返しになりますが、資料1の下の方に書いてある、みんなに説明したい、そのために観察・実験を行うのだと、そこのところが今回の指導要領改訂の非常に大きなポイントになるのではなかろうかと思います。
  これは、要は、極めて単純化すると、自然の事物、現象に子供たちが関わる。関われば、物を見る。そうすると、おのずから比較する、比べる。共通点、あるいは差異点が見える。ひょっとしたら、そこには原因と結果の関係があるかもしれない。原因と結果の関係、原因が実験の条件として制御できれば、実験で確かめることができる。因果関係がありそうだけど、人間がコントロールできない。これは野外観察とか天体観測につながっていく。それを克明に観察して記録していく。大きくは、子供たちが、ああ、今日取り組むことは、何か原因と結果の関係がありそうだから実験で確かめるのだ。ああ、今日のはちょっとなさそうだから、よく色や形や性質を調べるのだねと腑に落ちたときに、子供たちの取組は変わるはずなのです。そのあたりが、この三つの柱に非常に大きな可能性を秘めているのではないかなと思います。
  参考資料の2をご覧ください。事務局の方でこれを準備してくださいました、資料4などに非常に丁寧に、幼稚園から高等学校まで、どういう資質・能力が必要なのかということが整理されていますが、それを支える一番要素になるようなものを洗い出したら、ゴシックで示しているような「観察する技能」とか「分類する技能」とか「仮説を立てる技能」「変数を制御する技能」「測定する技能」「解釈する技能」「推論する技能」、ここに尽きるんじゃないかなと思います。これ、うちの研究室で整理したものなのですが、現代化運動のときのものです。そんな時代遅れのものと思われるかもしれませんが、不易ではないでしょうか。
  アメリカのプロセススキルズの中には、伝達するというのもプロセススキルズの中に入っておりましたが、他者に伝えるということは、先ほど申し上げたローマ数字の1から7まで全てに関わりますので、そういうことで独立させて、「伝達の技能」と示しております。事務局の方で整理していただいているものを支える要素として、こういったものを横目でにらむことによって、小学校、中学校、高校、全てを貫く問題解決、探究する技能の整理ができるのではないかなと思います。
  済みません、ちょっと時間を取りました。
【大島主査】    ありがとうございます。三つの柱を明確化する際に、問題の立て方、問題の解決に際して考えていく必要があるが、このような点を理科の枠組みでどのように体系化していくかという御指摘だったと思います。今の御意見に対して、田代委員からも上がっていますが、何かございますか。
  今の点の関連については、角屋委員からお願いいたします。
【角屋委員】    小林先生のおっしゃったことを、私、ある程度補充することがあると思います。といいますのは、科学のプロセスのスキルを踏んだだけで、本当に松浦先生がおっしゃったような問題を発見する力が付くのかというと、今までの、いわゆる理科教育の歴史をたどってみますと、問題解決というプロセスを重視してやってきたのです。プロセスを重視してやってきたならば、本当に問題解決をする力が付いているのか、仮説を設定する、あるいは予想を設定する力が付いているのかと言われると、付いてないという現状があります。
  したがって、そのために必要なのは何かというと、問題の立て方を育成するには、どの立て方のスキルを探さなきゃいけないのですね。だから、問題を問題として把握するためには、一体どういう心的状態、あるいは、どういう教材とか環境を設定してやるかということを作ってやらなきゃいけないと思うのですね。それが、いわゆる松浦先生がおっしゃる、今までの理科教育とは違った形の理科教育を提案するんじゃないかと思います。ただ、私自身もある程度考えているのですけども、その答えはまだ持ってないのです。ただ、言えることは、問題を問題として意識するためには、認知的なズレということ、つまり、知っていることと知らないことを明確にすることが必要です。あるいは、認知的不協和理論という心理学者たちが言っていることを考えなきゃいけない。これが一つの手掛かり。だと思います。今、そのようなことを探す時代に来ているんじゃないかと思います。
  以上です。
【大島主査】    川村委員も上がっていますが、今の件に関してですか。では、お願いします。
【川村委員】    じゃ、短くお願いいたします。教員養成系の大学におりまして、小学校及び中学校理科の教員志望の学生のに、学習指導要領解説の理科の目標のところを使わせていただいて、話をしています。
  今のような、いわゆるプロセススキルズあるいは問題解決の力を子供たちに身に付けさせるというのが、小学校、中学校それぞれの解説に書いてあるのですが、書きぶりの印象がちょっと違っております。教える方としては、小学校の解説があり、更にその上位の校種の中学校の理科の解説へとつながったような解説の書き方をしていただくと、学生の方は、小学校でどのような探究の能力あるいはスキルを身に付けさせ、それを更に中学校でどのように伸ばしていくかというのが分かりやすいので、議論の本質ではないのですけれども、次の解説のときに、そこら辺、御留意していただくと、学生も読みやすいし、教える方もやりやすいかと思うので、よろしくお願いします。
【大島主査】    ありがとうございます。解説で、小学校から高校までの課程をある程度連続的につなげていくという点については、恐らく、前々回でも御意見があったかと思います。ありがとうございます。
  田代委員と、議題1に関して御意見のある方は、鮫島委員ですね。あと、ほかにございますか。西原委員ですね。あと、小田委員と江崎委員ですね。議題1について御時間があると思いますが、一旦議題1については、今、名札が上がっている方で議論を収束したいと思います。
  では、田代委員、よろしくお願いします。
【田代委員】    田代です。資料4で、理科教育のイメージということで、事務局の方が苦労されて作られたのがよく伝わってきます。しかし、理科を学ぶ本質的な意義について、柱を立てて考えていただくとよいと思います。具体的には、人生とかキャリアに生きるという観点からすると、大きく二つの柱があると思うのです。私が思うに一つは、観察と記録です。観察の力とか観察の質というようなもの、それから、記録の方法というようなものが一つです。人生やキャリアに生きる能力やスキルで理科教育として大事なのではないかと思っています。
  つまり、私の知っている料理人は専門は和食ですが、洋食の全てのレシピ等を頭の中にたたき込むために何十冊にも及ぶノートの記録を作ってまとめています。そういうのが力になって、新しい料理ができたりするようなことがあるので、やっぱり観察するのと記録することをしっかり学んでおくことは、キャリアにおいてもすごく大事なことだと思っています。もちろん自分の問いを立てる、学ぶ楽しさを持つ、これも大事なのですけど、これは理科だけじゃなくて、全ての教科で必要なことなので、理科としては観察の質、記録の仕方、これが一つ、大事な柱だと思っています。
  もう一つの柱としては、理科なので、普通、実験・観察をします。その際「条件を意識して仮説検証をする」という見方がすごく大事なのではないかと思います。これも、具体的に言えば、新たに農業をしようとした人は、おいしいお米を作ろうとするときに、いろんな条件を制御しながら、どういう条件だったらおいしいお米ができるのかというようなことを、条件を意識しながら、実際に育てて、おいしいかどうかというのを自分で決める。こういう生き方というか考え方は、自分が会社を起業して何かをやろうとするときにも必ず生きる方法です。そういう観点から整理した後に、再び校種ごとに見ていただくとよいのではないかと思います。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。今の点に関して、何かございますか。よろしいですか。
  では、鮫島委員、お願いいたします。
【鮫島委員】    よろしくお願いします。今回、資料4に、最初、事務局から説明があった赤字で書かれている部分で、小学校、中学校で「日常生活や他教科との関連を図る」という部分が加わったとか、高校生のところで、「科学の必要性や有用性を認識するとともに」という文言が入ったということ。この部分について、一番最初に松浦委員から出た、自分から学びたいという気持ちにさせるというところにつなげて、現場の教員として一つ意見を言わせていただきたいと思っています。
  多分、これまでの傾向からいくと、もちろん今までの学習指導要領にもこのようなことは書かれていたかと思うのですけれども、授業設計として、学習してから、この学習内容は日常生活のこの問題の解決につながるのだよとか、ここにつながるでしょうという持っていき方をしていく部分が、教科書にもすごく多かったと思うのですけれども、そうではなくて、日常生活の中にはこんな問題があるのだよと、これを解決するためには、こういう理科の知識が必要だよねという形で授業設計をしていくことによって、日常生活の中の問題を解決するために必要な理科の知識、もちろん理科も必要だけれども、理科だけで解決できる問題なんていうのは、きっと世の中にはないので、もうその時点で他教科とのつながりも必ず出てくると思うので、そういう授業設計のヒントみたいなものが学習指導要領の中にも、あるいは解説の中にも表れてくると、少し変化が生まれるのではないかなと現場の教員としては思います。
  多分、今ここの議題には上がっていませんけれども、今後話されることだと思いますけれども、授業設計だけではなくて、評価課題の設定の仕方なんていうのも具体的に授業設計とともに示されると、より、そういう道筋を教員が立てやすくなるのではないかと感じております。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。授業設計をしていく際に、今までは比較的ボトムアップ的であったところを、課題からの視点でブレークダウンしていく必要があるとの御指摘だと思います。そして、それらの点を学習指導要領解説にも、ある程度分かりやすく記述するということだと思います。
  西原委員、よろしくお願いします。
【西原委員】    初めてなので、ちょっと緊張していますけど、前の2回の議事録も読ませていただいて、今、私、大学の教員なので分からないところもあるのですけど、ちょっと思ったのは、課題を設定して解決する、これは非常にすばらしいことで、それは柱だと思うのだけど、例えば、小学校のときに解決する課題、中学校のときに解決する課題、高校のときに解決する課題というのは違うのでしょうか。多分、小学校のときは、課題に対して、課題があれば、こういうことをやったら、こういうふうな結果が出ますよ。そうすると、こう解釈できますねというのをやると思うのですけど、それを同じ課題を中学校でもう一回やったときに同じ答えだろうかというと、多分違うと思うのです。それはなぜかというと、それまで得た知識とか、それを調べる技術というか方法とか、そういうものがどんどん深化していますから、いろんなことがあると、あれっ、小学校のときにこう思っていたけど、実はもうちょっと深く考えると、こういうふうに違うよねみたいなことは絶対出てくると思うのですね。
  高校、また、しかりで、実はさっき松浦委員の、なぜ理科を学ぶのかといったときに、知識を増やせば、それだけいろんなことがもっと分かってくる、もっと課題が解決できる能力があるということが多分出てくると思うのですね。ですから、多分、同じ課題解決と書いて、それをちょっと文言を変えているけれども、実際には同じスパイラル的に、もっと深く学んでいくと。そのための、いろんな知識だとか方法だとかを教えていくというのが、それぞれの段階であると思うのですね。
  そこで私が一番言いたいのは、そのときに、1回解決したと思ったことを、もうちょっと深くやると、違う見方ができるのだというようなことを分かるのが、私は実は科学の一番大事なところだろうと思うのですよね。それは自分だけじゃなくて、ほかの人が違う見方で、こういうふうなことを言ったと。それを自分の主張だけをずっと貫かないで、科学的に、そっちが正しいということが分かったら、それを素直に認めて、自分の考え、変えてもよいと思うのです。変えるべきだと思うのですね。それが割と世の中にはなくて、そのことは、多分、理科だけじゃなくて、科学的なサイエンスに基づいた考え方は、社会のいろんなところで大事なことで、要するに、相手の言ったことは非常に論理的で正しければ、それを素直に認めていく。これが理科で科学的な考え方を教えるという、これの意味じゃないかなと私は思うので、そういう意味で、社会、世界との関わり、よりよい人生を送るかというところにつながるのではないかなと思います。
  済みません、これでよいのか分からないですけど、以上です。
【大島主査】    どうもありがとうございます。済みません、先ほど、私、オダ委員と言ってしまいましたが、小田(コダ)委員ですね。お願いいたします。
【小田委員】    前回のこのワーキングで、私、やはり理科が生活経験とか日常生活と関連するということが、子供たちの興味、関心を高める上でとても大事であるというようなことを述べさせていただいたと思うのですが、今回のこの資料の中に、小学校、中学校に、先ほど鮫島委員もおっしゃいましたけれども、日常生活や他教科との関連を図るという項目が入ったこと、とてもよいなと思っています。
  そのことについてですけれども、資料4には、中学校に「日常生活」という言葉があるのですが、もう一つの資料5ですけれども、小学校の方には、「学びに向かう力」のところに、「日常生活などに適用する態度」というのがございます。けれども、中学校の方には「有用性の気付き」という言葉がございますけれども、やはりまだまだ中学校でも「日常生活」という言葉を使った方が分かりやすいのではないかなと感じているところでございます。
  日常生活との関連ということで、もう一つ。本当に子供たちの生活体験というのは乏しくなってきております。御承知のように、電化されて、お家で火を使わないという生活が普通になって、人類の進化のあかしであった火が、もう子供たちの周りになくなっているというようなこともございます。理科とは関係ないのですけれども、本校なんかで子供たちに聞きますと、お節料理、食べたことがないとか、あるいは、トイレで水を流す習慣がなくて、お家のトイレがオール電化なのでトイレで水を流さないとか、そういうことが低学年になるほど強くなってきています。なので、そういう子供たちにとって、日常生活との関連というところと、それから理科を学ぶ意義というところ、すごく深い関係があると思います。
  前回の会で、理科を学ぶ意義というところで、科学の有用性、科学の限界という御意見が出たと思います。私はそれに加えて、理科を学ぶことによって、子供たちの生活体験が豊かになるというようなところも大事なのではないかなと思っていますので、小学校にある理科を学ぶ意義の理解というところを、もう少し詳しく入れていただいたら、項立てをするとか例を入れるとか、もう少し丁寧にするとよいなと思っています。
  それが1点目で、もう1点ございます。資料5の各学校段階にございます「科学的に問題解決を行うために必要な観察・実験等の基礎的な技能」というところでございます。実は、全国の学力調査でも課題になっているのが、器具の操作の意味理解というところだったと思います。操作の手順は分かっているのだけれども、それが実際の実験・観察の場面で意味が理解されていないので、うまく使えていないという課題がございます。なので、括弧の中に、操作の意味理解というところを小学校のところからしっかり位置付けておく必要があるのではないかなと思います。特に操作ができるということは、子供たちが予想や仮説を持って、それに基づき実験や観察を計画するときに、操作のイメージがないと、計画の具体的なイメージがつかめないと考えていますので、そこにも、もう一つ加えていただきたいなと思っているところです。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございました。資料5を中心に、日常生活と理科の関係と器具の操作の意味理解の御指摘をいただきました。
  最後に、江崎委員からお願いいたします。
【江崎委員】    具体的な方法の提案ではないのですけれども、幾つか課題ということで、まず大事なのは、高校の生徒たちが、ほかの教科に比べて理科が大切だというのが少ないとか、あるいは、小・中・高となるにつれて、理科の有用感がどんどん減ってしまっている。つまり、理科というのはそんなに学ばなくてもよいんじゃないと思う反面、OECDの調査で、なぜあれだけの高い結果が出てくるかという、その落差を見たときに、子供たちは理科は勉強しているのだけども、それほど大切とは思ってない。じゃ、何が彼らを勉強に向かわせる力になっているのかと見たときに、ちょうどうちは今、中3の子たちを見ていると、やっぱり入試が一つ大きいなとは思うのですけれども、そういうことを除いた上で、子供たちに、ここで出ている、理科を学ぶ本質的な意義を、我々は理解しているけれども子供たちが十分つかんでない。そのためにどうすればよいのかということを、やはりこの後の科学的な探究云々も含めて、まず最初に詰めておかないと難しいんじゃないかなと思います。
  学ぶ意義が分かれば、極端に言えば、ほっておいても子供たちは調べていく。例えば、中学生なんかでは、ゲームについては、すごく探究的に取り組んでいくわけですよね。それは多分、面白いからだろうとか、有用感はないにしても、彼らの魂を揺り動かす何かがあるのだろう。そういうものを理科教育の中でも、ある程度明らかにしていかないと、日常生活の関連だとか有用感だとか、今までずっと議論し、現場の先生方もよく分かっているのだけども、それをどう授業で実際に反映するかというところで悩んでいるわけだと思うのですね。ですから、そういう具体的な方法、最初にお話ししたように、私はまだ持ってはいないのですけれども、何らかそういうものを伝えていかないと難しいんじゃないかなということがあります。
  その中で、中学の場合だと1分野、2分野という分け方をしていますが、子供たちに聞くと、1分野は何か難しい。特に物理の電気はもう二度と見たくないみたいな感じになる反面、星の話になると結構乗ってきたりする。そういう中では、星のことを知っていたから有用感を持っているというよりも、星に対して何らかの興味を持っていくとか、生物についても非常に持っていく。そのときに、理科は暗記科目と思っているケースが多いですよね。そうではないのだよと言っても、やはり教材に対する面白さというものが一つあるのだろう。ですから、学習指導内容に関して、子供たちの関心とか意欲が持てるような整理を一つしていくのが必要なのかなということ。
  それから、もう一つ、やはりこれまでの御指摘にあるように、探究の過程の面白さ、こういうふうにやっていくと、考えることは面白いじゃないということをどういうふうに伝えていくのかという、二つのことが重要なのかな、解決の方策になるんじゃないかなと思います。やっぱり現場の先生は、例えば、観点別評価の場合でも、関心、意欲、態度の評価に非常に悩むわけですよね。どうやって関心、意欲、態度を評価するか。それは、関心、意欲、態度を引き出す方法とか、子供たちがそれを身に付けたというものをどうやって測るかというのがなかなか見づらい。それは、理科を学ぶ本質的な意義を引き出す、子供たちに与えることの困難さが非常に多い。これをまず最初に解決していかないと、2番目の「育成すべき資質・能力の明確化」というところに行くのが難しい。具体的な探究の方法を子供たちに伝えたからといって、それで子供たちが積極的に進むかというと、やっぱりそうではない。その子供の心を突き動かす部分をどうするかというのは、一つ、何らかの提案があるとよいのかなと思います。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。理科の本質とそれを学ぶ意義、問題提起について御意見をいただきました。まだいろいろ御意見があるかと思いますが、時間になりましたので、議題1についてはこれで終了とさせていただきたいと思います。様々な御意見を頂きまして、ありがとうございました。
  それでは、議題2に移りたいと思います。では、事務局から議題2について説明をお願いいたします。
【米原教育課程課長補佐】    それでは、議題2、「アクティブ・ラーニングの三つの視点を踏まえた、資質・能力の育成のために重視すべき理科の指導等の改善充実の在り方について」につきまして御説明をさせていただきます。資料7をご覧ください。
  資料7でございますけれども、今まで御議論いただきました理科で育成すべき資質・能力ございますけれども、それを身に付けさせるためにどういう学習過程を経るかというところの例をこちらで整理しております。当然、下の方で、なお書きで書いておりますけれども、学校種、小学校、中学校、高校によって学習活動例を示しておりますけれども、これが全て適用されるわけじゃないし、全ての授業でこういったプロセスを経るわけではないということでございますけれども、基本的な学習過程の例ということで示しておるものでございます。
  まず一番左の「学習活動例」ということでプロセスを示しておりますけれども、まず、「課題把握」として「自然事象の把握」「情報収集と分類」と経て、「課題探究」として、「課題・予想・仮説の設定」「検証計画の立案」と来て、「観察・実験の実施」、それで得た結果を処理・整理すると。最終的に「課題解決」として、「考察・推論・結論の導出」から表現・伝達をするということで、その過程で見通し、振り返りをしながら、このプロセスを経て、最終的には、その次の課題解決、問題解決のプロセスに行くというような形の学習過程が想定されるかなと考えております。
  そのプロセスそれぞれで、どういった資質・能力が身に付くだろうかということの例を真ん中に書いてございますけれども、まず、「自然事象の把握」においては、「抽出した情報から共通点や相違点に気付き、問題を見いだす力」といったものが身に付くのではないかと。
  「情報収集と分類」というところでは、「必要な情報を選択する力」「抽出した情報に基づいて課題を理解する力」「課題発見・課題解決に必要な新たな知識・技能を獲得する力」といったものが身に付けられるのではないかということ。
  次に、「課題・予想・仮説の設定」というプロセスでは、「知識や情報に基づいて明確な課題や予想や仮説を設定する力」。「検証計画の立案」という段階では、「観察・実験の計画のために知識・技能を活用するとともに、計画を評価・選択・決定する力」というものが身に付くのではないかと。
  「観察・実験の実施」という段階では、「観察・実験の実施のために知識・技能を活用したり実行したりする力」。次の「結果の処理・整理」という段階では、「観察・実験の結果を処理・整理するために知識・技能を活用する力」というのが身に付くのではないかと。最終的に「考察・推論・結論の導出」の部分では、「結果を分析・解釈する力」「結果の妥当性を判断し、結論を導き出す力」「新たな知識やモデル等を創造し、次の課題解決に向けた展開を創造する力」というものが身に付くのではないかと考えられるのではないか。
  最後、「表現・伝達」の部分でございますけれども、「考察・推論したことや結論を発表したり、レポートにまとめたりする力」が付くのではないかと考えております。
  一番右側ですけれども、これを「協働的な学び」としてどういう形で取り組んでいくかというところの例を示したものが一番右でございます。
  事務局からの説明は以上でございます。
【大島主査】    ありがとうございました。それでは、議題2として「アクティブ・ラーニングの三つの視点を踏まえた、資質・能力の育成のために重視すべき理科の指導等の改善充実の在り方について」、御意見を頂きたいと思います。1と重なるところもあるかと思いますが、目安としましては20分ほど、できたら25分にしたいと思います。この時計で言いますと、5時25分ぐらいから30分を目安にしたいと思います。
  できましたら、先ほど御意見をいただいていない方よりお願いいたします。
【筒井委員】    ちょっと気になっていたのですけれども、この段階で質問というか、お伺いしたいことがあります。資料7を見ると、真ん中に「理科における資質・能力の例」というのがあって、この学習過程でこのような力が付くということが書かれているのですが、必ずしもこれは、先ほどの資料5の中に全ては登場していないというのが、資料間の整合性としてはどうもおかしいなという感じがしています。
  特に違いが大きいなと思ったのが、課題の把握に関する部分が、資料7にはあるのだけれども資料5の中にはその点が書かれていないので、それはどういうふうに理解したらよいのかが分かりづらい。「資質・能力の育成のために重視すべき学習過程」の例ですから、この学習過程を経ることで理科における重要な資質・能力が付くという、そういう説得力のあるようなものにまとめていく必要があるかと思いました。
  あと、もう一つは、今、探究活動というのがなかなか学校でやられていない現状があって、それは、指導の方法が分かりにくいのが一つの大きな原因だと思うのですね。ここでは、右の方に「協働的な学びの例」ということで、学習の活動として、生徒同士の意見交換や議論が学習のスタイルになるというようなことが書かれていると思うのですけれども、いわゆる指導者の関わり方とか、指導する者がこの中でどういうふうに生徒たちに何を提示していくのかという部分が書かれていないので、学習活動としての探究活動というものの流れは、この表で整理されていると思うのですけれども、実際、教員がどのように生徒に関わっていく、あるいは授業を展開していくことが重要な資質・能力を高めるような、いわゆる探究活動になるのかが、この資料からでは必ずしも明らかでないのが非常に気になるところです。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございました。資料5と7の整合性など、幾つか御指摘ありました。ほかに何か御意見ございますか。松浦委員、お願いいたします。
【松浦委員】    僕は、この資料7は画期的だと思いました。私がさっき指摘したことが、今、筒井委員からの指摘もあったように、一番上の方に大事に入っているわけで、やっぱりこれを良くしていくのがとても大事だなと思いました。
  それで、もう一つ、とてもすごいなと思ったのが、これ、生徒の視点で書かれているでしょ。今まで、こういうのって教師の視点で書かれるのが多くて、やっぱり学習する生徒の視点が、特に薄い黄色のところでなっているのがとても画期的で、やっぱりこういうのをしなくちゃいけないし、前回の学習指導要領で僕もやったけど、「理解させる」とか書いたのはちょっと違うよねって。理解させるというのは、理科全体とかは、もちろん教師とか文科省とかの立場で何かを、目標があってよいのだけど、個々の単元まで教師が全部教え込む作りになっているのは、この紙はそうなってないのがすごくて、是非、今、資料7に合うような学習指導要領とか解説にしていければよいなと思います。
  あと、もうちょっと各論の資料7ですけれど、自然事象の把握が大事なのは筒井委員の指摘どおりだけれども、少なくとも高校に関しては、「情報収集と分類」をこの場所に置いちゃうと旧態依然になっちゃう。だから、ここからは、「情報収集と分類」は外してほしいという。最後に問題解決のところで、「情報収集と分類」を場合によっては入れて、それを自分がやったことと統合するという、そういう作りにしてほしいというのが一つです。
  もう一つは、ここでは途中が探究、実験・観察する探究だけれど、少なくともここだと、実験・観察できて探究できるところは限られるので、実験・観察による探究と、もう一つ違う柱を立ててほしい。例えば、「思考による探究」でもよいけれど、つまり、実験・観察はしないけれど、今まで習ったこととか自分の経験とか、そういうことを踏まえて探究する過程というのがきっとできると思うのですよね。だから、例えばそれを2本柱にすれば、場合によっては、全部それで済んじゃうよね。だから、こういう場合もあるというんじゃなくて、こういうのも使ってねじゃなくて、全部の授業をどっちかでやってねということで通せるんじゃないかなと思いました。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。具体的な御指摘ありがとうございました。
  じゃ、次に川村委員、お願いいたします。
【川村委員】    よろしくお願いします。資料7に関してになります。現行の学習指導要領、その前もそうですが、高校の理科に限りますと、今も出ましたが、探究活動がこういった学習過程を経るかと思いますが、現行の地学基礎を教えている高校の理科の先生、三つの県に対してアンケート調査をしたデータを今まとめているところで、指導に困難を感じる場面というのは実は探究活動のところでした。当然のことながら、地学専門でない先生、地学が専門の先生、両方いらっしゃるのですが、地学を大学で専攻した教員でも、この探究活動のところが最も苦手だと回答しています。ですから、いわゆる教材として探すところに、もしかしたら非常に困難を感じて、なかなかうまくできないというところが現行の地学基礎ではあるのかなと想像しますので、こういったプロセスを議論すると同時に、また学習指導要領に落とし込むときに、どのような教材が可能なのか。今、松浦委員がおっしゃったようなことも含めて、現場の先生がやることも含めて、想定しての議論が、地学の基礎からは欲しいなと考えております。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございました。やはり教材も、ある程度視野に入れて考えていく必要があるという御指摘かと思います。
  小林委員、お願いいたします。
【小林委員】    二つ。一つ目は、「課題把握(発見)」の段階なのです。この課題解決、問題解決の過程の出発点として非常に大事な段階で、ややもすると、ここのところが学校現場の授業ではスキップされてきたのではないのかなと。今は、この資料では、「抽出した情報から共通点や相違点に気付き、問題を見いだす力」となっております。これに加えて、私の研究室の現職の院生さんの実践研究を踏まえますと、やっぱり実験と観察を区別する視点を子供たちに持たせることで随分変わってくる。探究の仕方が、実験と観察ではやはり異なる。言い方を変えると、問題解決に必要なスキルを使う、仮にスキルを道具とするならば、使う者が異なるわけなのです。
  先ほどの発言でも申し上げたように、子供が一生懸命関わった、何でだろうねと持った疑問の中に、原因と結果の関係、因果関係がありそうなのか。因果関係がありそうだったら、それを実験の条件として変えていけば、結果はこうなるだろうねという見通しが立つ。一方、観察の方は、やはりよく見て特徴を記載して、共通点あるいは相違点を見つけていく。大きく、ざっと視点を、今のような因果関係があるかないかというところで、もう一度小・中・高の教科書に書かれている観察・実験を見直すと、おのずから指導の方略が変わってくるというのが明確に指導者に見えてくると思います。
  ということで、本当に個人的な意見なのですけど、「課題把握(発見)」の「自然事象の把握」の中に、因果関係があるか、原因と結果の関係があるかないかというような文言をちょっと入れていただけると、先生たちの理科指導、理科の観察・実験の指導が随分やりやすくなるんじゃないかなと。それを踏まえますと、この資料7は、観察も実験も観測も全部入れちゃって一本化、直線的なフローになっている。全部要素を集めればこうなるとは思うのですが、観察と実験の問題解決の方略が違うという前提を置くならば、少なくとも観察の系統と実験の系統と2系統になるはずなのです。
  私どもの研究室は、8の字を横に寝かせまして、8の字のクロスしたところに、「事象の関わり」というキーワードを入れまして、そこで何でだろう、不思議だねというところから問題を見出し、因果関係があれば、8の字の左の方で作業仮説を立ててという一般的な問題解決の流れに入っていく。
  とりあえず因果関係なさそうだから、よく色や形や特徴を調べてみましょうねということで解決できそうだったら、右の観察のプロセスに入っていきましょうと。このモデルを小学校5年生ぐらいに与えて実践をしますと、子供たちは本当にびっくりするほど見方が変わってくる。結果として子供たちが、「先生、僕たち、理科ができるようになったのかも」と、普通の会話で言ってくれる。レアケースかも分かりませんけど、そういう視点を指導者が持つことによって子供は変わる可能性があると思います。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございました。
  ここで米原さんから、お願いいたします。
【米原教育課程課長補佐】    いろいろと御意見ありがとうございます。先ほど、筒井委員から御意見を頂いておりましたけれども、資料5と資料7の整合性についての箇所なのですけれども、これ、可能な限り取っていきたいとは思うのですけれども、これは例ということもあり、また、例えば、資料5で言うところの高等学校の一番上のところとか、これは自分でこの全てを回すような、プロセスを回すような生徒の資質・能力であったりとか、資料の考え方が少し違ったりもしておりますので、あくまで全学校種を統一的に資料7の方は整理してしまっているので、そこ、必ずしも厳密に整合性は取れないということは御理解いただきたいと思います。ただ、可能な限り、整合性を取るように工夫していきたいと考えております。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございました。少し時間が押していますが、赤石委員、お願いいたします。
【赤石委員】    赤石です。よろしくお願いいたします。
  理科教育は、まず実験があって、観察があって、児童・生徒は目で見た事象を自分たちで考えることからスタートをするのだと思います。理科の授業というのは、文字どおり、理科室若しくは観察の場である教室の外で行わなければいけないと思っています。この話とはちょっと違うのですけれども、小・中・高共通して、先生が実験しやすい、あるいは生徒が学びやすい、そういった理科室の環境を整備する必要というのは並行して必要なんじゃないかと思っています。
  高校の実験に限定するかどうか分からないのですけれども、実験において、グループで実験をしたときに、代表が実験を主導して結果を短く述べる、こういうような形の実験が多いのではないかなと想像されるわけですけれども、ここで言われている資質・能力の育成を図るためには、当たり前なのですけれども、グループ全員で協力して取り組むというようなことや、あるいは、話し合いでは、結論ではなくて理由を考えることを指導する教師が明確に意識して、毎回の実験・観察の中で周知徹底していくことで授業そのものが変わっていくんじゃないかなと思っています。本校でも、探究活動において、すぐに答えを教えることなく、新たな課題が見つかるような問い掛けをすることで思考力の深化が図られていると思います。
  問いについてなのですけれども、内容を、資質・能力の育成を図るための問いというのが非常に重要だと思います。最前、ずっと話されているような教科内容と日常生活や実世界との関連を深めるような問い掛けや、あるいは教科の系統性の中で中心的な内容の理解を深めるような問い掛け、あるいは、これら二つを融合するような形のもの、こういったものがあるかと思うのですけど、こういった本質的な問いについては、指導書とか、あるいは様々な教科内容の中で事例を示していくことで、指導の中で生かされていくのではないかなと思っています。どちらにしても新しい教育内容ですので、指導書であったり事例集というものの充実を図っていくことが大事だと思います。
【大島主査】    ありがとうございます。現時点で、今、古田委員、角屋委員、鮫島委員から上がっています。塚田委員もですね。では、今、名札が上がっている方々で一旦終わりにさせていただきます。また、御意見を頂いてない飯田委員、塚田委員、片平委員で何かございましたら、是非この機会に御発言をお願いいたします。一旦、ここで閉じさせていただければと思います。
  では、古田委員、お願いします。
【古田委員】    この資料7ですけれども、ようやく理科というか、科学らしくなってきたなという印象を持ちます。「自然事象の把握」というところから入っているところは私も非常によいなと思うのですけれども、それをするのには、理科の時間になったから、はい、考えましょうということにはならないはずなのですね。私、ライターですけれども、編集や企画の指導なんかをするときに、そういうことを学びたいと言ってやってきた子たちであっても、「じゃ、企画を考えなよ」と言いますと、やっぱり自分の中から何が企画なのか、何が言いたいのか分からない。思っていることはいっぱいある。でも、何が言いたいのか分からない。ましてや、それを企画にする技術もないということになりますと、日常的に問題意識を持っていなければならない。つまり、ここでは日常的に何か観察するような視点を持っていて、そういう態度で暮らしていることが必要で、そこのところの指導が必要なのだろうなと思います。
  それと、これ、科学の営みではあるのですけれども、ここであえてアクティブ・ラーニングであるということの意義をもう少し明確にする必要があって、意識のある先生方は、これも今まで自分が思ってきた、やってきたことだよねと思われる方は非常に多いと思います。科学というのはこういうものだし、こういう営みでやってくるのだけれども、なかなかできないかどうかは別にして、ただ、新しくアクティブ・ラーニングという概念を導入するのであれば、何をもってアクティブ・ラーニングで、そして、これ以上のどの自由度が先生たちに与えられるのか、どういった時間が与えられるのかということまで考えないと、やはりこのフローにやっていけばよいのだねというようなマスな方たちが出てきてしまうのは残念だなと思いますので、そこのところは注意が必要だなと思います。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。何をもってアクティブ・ラーニングなのかということを、もう少し明確化する必要があるのではないかという御指摘だったかと思います。
  では、次、角屋委員、お願いいたします。
【角屋委員】    先ほど、松浦先生がおっしゃったように、この議論の中で新しさが出たということで、資料7で出たということで、その新しさは何かというと、左側のプロセスから能力・資質に移したということですね。これは大きな一つの成果だと思います。
  ただ、そのときに、古田先生がおっしゃったように、アクティブ・ラーニングというのだったら、今までのものと何が違うかというのをはっきりさせなきゃいけない。アクティブ・ラーニングというのは、大きく問題を発見することと解決方法を明確にすることと協働的学習という、この三つぐらいのものが大きなものと、今までのものと多少違ってくるんじゃないかと思います。
  となると、問題発見するためにはどんな能力を育成しなきゃいけないのか。あるいは、解決方法を自分で見出すためには、どんな能力を育成しなきゃいけないのか。あるいは、協働的学びだったら、みんなで役割を分担したり話し合ったりするときに、どんな話し合い方をしなきゃいけないのかを論じないと、先ほどおっしゃった新しさは出ません。ただ、それをこの会議でやるのか、あるいは、もっと具体的なレベルでやるのかという問題ですね。それは赤石先生がおっしゃったように、どこまで、ここで何を出すかということです。松浦先生が言われたように、新しさは何だということですね。何が新しいのかということを明確にしないと、はい回ってしまう。これは松浦先生が2回目の会議のとき、はい回っているというような御意見だったのです。私はまた同じような形になるんじゃないかと思います。
【大島主査】    ありがとうございます。事務局から何かありますか。
【米原教育課程課長補佐】    どこまで御議論いただくかというところはありますけれども、今回、改訂に向けて、アクティブ・ラーニングという新しい考え方も入ってきてございますので、どういう形でそれに応じた考え方を示していくのかと。特に今回、資質・能力ベースで各教科の内容を考えるということもございますので、それとまたプロセスを結び付けていくところが、また新しい、今回の取組、検討だと思いますので、そのあたりの整理を是非しっかりお願いしたいと思います。
  また、細かい指導方法とかそういったところについても、当然、課題、いろいろとあると思いますので、そういったところについても御指摘いただければ、最終的に、まとめであったり答申であったりとか、そういうところにどう反映するか、また、その後の具体的な解説を書く上でどう反映していくかというところになってくるかと思いますので、是非そういった御意見も含めて頂ければと思います。
【大島主査】    ありがとうございます。やはり細かいことは大事ではありますけれども、一旦整理をして、今後どうするかということも含めて、ここで議論するということではないのかなと思います。よろしいでしょうか。
  では、次、鮫島委員、お願いいたします。
【鮫島委員】    私、古田委員がおっしゃられたことと多分共通のことになるかと思います。本校でも課題研究をカリキュラムの中に位置付けておりまして、やっておりますが、一番最初の「課題把握(発見)」のところに大きなハードルがあることは事実です。今、この資料7を拝見していて、一番最初に「自然事象の把握」と来るところが、生徒にとってみればとても大きなハードルになっています。今、現時点でもなっていると思います。自然事象の中から問題を発見するのは、中学生、高校生にとっては非常にハードルの高いことだと思うのですけれども、多分、これ、アクティブ・ラーニングの議論であるのであれば、自然事象の把握の前に、もうワンステップあるとよいのではないかなと。それが多分、日常生活の中からの問題発見等につながってくるのではないかと。ちょっと最初の発言ともかぶりますけれども、日常生活にこんな問題がある、その中にどういう自然現象が含まれるのかというところにつながると、ここにつながっていくのではないかなと。
  結局、今、こういう形でやっていくと、生徒が課題発見できないから、教員が課題を提示し、あるいはお勧めするような形でスタートしてしまうことになると、大きな変化につながらないのではないかなと、ちょっと危惧しております。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。時間になっていますが、議題2を延長するか議題3に入るか、どういたしましょうか。
【米原教育課程課長補佐】    御意見あるようでしたら、議題2を引き続きやっていただいて構いませんので。議題3はまた次回にということでも構いませんので、そういう形でお願いいたします。
【大島主査】    よろしいですか。ちょうど今、塚田委員、飯田委員、あと田代委員も上がっています。できましたら45分で切らせていただきたいと思います。では、今上がっている方と、あと片平委員からということで、議題2は一応まとめさせていただきたいと思います。
  では、飯田委員、お願いいたします。
【飯田委員】    失礼します。ちょっと体調が悪くて、声がこんなで申し訳ございません。
  私から簡単に、先ほどの角屋先生のお話ともかぶるわけですけれども、資料7というのが、資質・能力とそれを育成するための活動という形で示されているところが非常によいと考えております。ただし、少し心配なのは、静岡の場合も例外ではなくて、今、若い教員がどんどん増えておりまして、資質・能力を育成するためにこういう活動をするというふうに明確に何か示されたものがないと、この活動をやればよいのだというような向きに行きはしないかなと心配しているところが実はあります。
  というのは、本県の場合も例外ではなくて、「アクティブ・ラーニング」という言葉が非常に躍っておりまして、特に若い教員がこれに非常に敏感に反応しております。そういう状況で、こういう活動が資質・能力の育成にどう結び付くのかというのを、こういった資料でできるだけ分かりやすく示していく必要があるのではないかと考えます。
  こういった場で非常に高尚な議論がなされているわけですが、特に若い教員にそういった内容が、本質が伝わるような表現の方法を工夫していく必要があるのではないかと感じております。
  以上になります。
【大島主査】    ありがとうございます。
  では、塚田委員、お願いいたします。
【塚田委員】   
  資料7は、大変分かりやすくてよいと感じました。また、資質・能力の視点も新しさを感じたところです。しかし、学習過程だけを見てしまうと、この形が、形骸化して伝わってしまうのではないかと思われます。どのように教えるのかといった教師の指導方法のメッセージとして伝わってしまう可能性も考えられるので、出し方を慎重にしなければならないと思いました。
  また、この学習過程が何をもってアクティブ・ラーニングかという視点がなければ、これまでの学習過程と同様に感じてしまうことになると思います。これまでの学習過程とは違い、形骸化しないためは、アクティブ・ラーニングの視点として、子供がどのように学ぶのかという視点が大切だと思います。例えば、その視点のキーワードとして、子供自身が学習に対して、何のために行うかという必然性、それから自覚化。もう一つが、自分の考えたことや行動について責任を持って行っているかという、自己責任です。このような視点が学習過程に示されたならば、子供の視点に立ったアクティブ・ラーニングになるのではないかと考えます。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。アクティブ・ラーニングとは何かという、本質的な議論にもなるかと思いますが、その点をきちんと考えていくことについての問題提起はされたのではないかと思います。
  では、田代委員、お願いします。
【田代委員】    資料7についての意見です。「自然事象の把握」のところについてなのですけど、まず、用語の整理をしていただきたいです。疑問と問題と課題です。これは学校現場でも混乱があるところです。「問題」という言葉が子供の疑問のことを指しているのか、すでに課第化されているものを指しているのかが曖昧です。資料7では、「課題解決」となっていることからすると、「問題を見いだす力」は「疑問(問題)を見いだす力」となるべきところです。実は、子供たちは結構いろんな疑問を持っています。でも、それを理科の時間で扱えるような問い(課第)に変えることができないので、観察や実験が進まない部分があると思います。ですので、ここの「自然事象の把握」のところに、「疑問(問題)」を課題に置き換える力」というのが必要なんじゃないかと思います。このことを加えると、課題発見で、今まで余りなかった視点が一つ明確になるのではないかと思います。
  それから、四つ目というか三つ目、「課題・予想・仮説の設定」のところに、一番後ろに、資質・能力の例として「結果の予測」と書いてあるのですけど、これは「検証計画の立案」の方に「実験結果の予測」を移動してほしいというのが一つです。
  それから、「考察・推論・結論の導出」のところには、「次の課題を発見する力」というのを置いていただきたいと思います。なぜかというと、下の方に、次の課題の「プロセス」とは書いてあるのですけど、「力」が書いてありません。課題を一生懸命に探究していくと、多くの場合次の課題が自然と出てくるものです。ですので、「次の課題を発見する力」というのを「考察・推論・結論の導出」のところに入れていただきたいと思います。以上3点です。
 
【大島主査】    ありがとうございました。では、一応議論はここでまとめさせていただきたいと思います。皆様、活発な御議論をいただきまして、ありがとうございました。
  最後に片平委員から頂ければと思います。
【片平主査代理】    今回も前回以上にいろいろな議論が出てきて、それぞれ協議できたことがすごくよかったと個人的には思っています。ただ、それがどの方向に行くかというのは、なかなか今の時点では見えないのですが、それぞれの考え方を闘わすことができたり、小・中・高で考え方が違うことが分かったりと多くの委員の方々で共有できたのがよかったと思います。
  私としては、今までの話の中で、飯田先生から出てきた、若い先生たちに対する資料というものを、やはり我々は考えていかないといけないと思いました。文部科学省は、あるパターンで資料を作られます。それを解説するいろんな本が出版され、また、いろんな資料が出てきます。それはそれでよいとは思うのですが、特に図は独り歩きしてしまうので、その図のブラッシュアップがすごく大切な作業となります。
  アクティブ・ラーニングに関しても、アクティブ・ラーニングの本質論を議論したい気持ちは重々分かるのですが、この会議では、それが昔やっていた理科の問題解決とどこが違うのか、探究とどこが違うのかを見極めることが課題です。理科としては、ここが違うのだというのを示しながら、1回1回の会議を積み重ねて、これもまた分かりやすい図にして育必要があります。さらに、いろんな先生方の意見を集約し、その図自身、独り歩きしても誤解が生じないような図にしていくことも大切と考えます。
  とりわけ今回は、児童・生徒の立場から描かれた図があったのですが、そういう図の場合は、やはりタイトルに、そこを明記した方が良いと思います。図のタイトルと図の中心に誰がいるのか。例えば、「教師がいるのか、児童・生徒がいるのか。」あるいは、「両者がアクティブにやっているのか、両方が混在しているのか。」そういうところがうまく分かるような資料にしていくとよいと思います。
  それから、先ほど少し触れたアクティブ・ラーニングに関しては、角屋先生がおっしゃっていた「問題解決」、「解決の方法」、「共同学習」に関して、どんなふうにとらえ直すのか。違いは何なのだろうか。これが次の会議とかその次の会議でもどんどん明確になっていくとよいと思っています。
  最後ですが、「学習に対する責任」ということを、先ほど塚田先生がおっしゃったのですが、日本は、学習することに対する学習者の責任を余り強調していません。一方、欧米の研究では学習者の責任ということがすごく問われています。「自分は今、何を勉強しているのだろうか。」、「自分が分かったことは何なのだろうか。」そして、それをどう評価してあげると、そこがうまく明らかになっていくのか、そんな研究も行われています。我が国でも学習している本人に学習の責任を持たせて、それが学習する際の、例えば「理科を学ぶ意義」とか、あるいは「自分がどれくらい変わっていったのだろうか」に結びつけられると良いと思います。そもそも自分は何を学習しているか、どう学習しているかということを考えさせるきっかけをきちっとどこかで与えておく必要があると思いました。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございました。皆様から様々な御意見を頂きまして、次回に向けてまとめていくことになるかと思います。いろいろ御協力いただきまして、ありがとうございました。では、ここで一旦事務局にお返ししたいと思います。議題3はもうやらないということで、よろしいでしょうか。
【米原教育課程課長補佐】    議題3につきましては、次回に回させていただきたいと思います。ですので、議題4のその他ということでお願いしたいと思います。
【大島主査】    では、議題4といたしまして、そのほかですね。教育課程部会特別教育支援部会の検討事項のうち各教科で検討が必要な事項についてということで、事務局から御報告をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    それでは、資料2-1及び2-2をご覧いただければと思います。年末に開催されました総則・評価特別部会におきまして、特別支援教育部会における検討事項が報告され、これを各教科のワーキングにおつなぎするようにとことづかっておりますので、これを御説明させていただきます。ここの議論に何らかの形で生かしていただければと存じます。
  資料2-1をご覧いただきますと、特別支援教育部会における検討事項について、1、2、3、4とございますが、特に2ポツの幼稚園、小学校、中学校、高等学校、「各教科等の目標を実現する上で考えられる困難さに配慮するために必要な支援の改善・充実」という観点からも御議論をいただいたところでございます。
  1枚おめくりいただきますと、1ページとページ数がございますところに、マル1という形でございますけれども、これにつきましては、ちょうど資料2-2に基づきまして御説明をさせていただきます。
  そのほか、例えば、マル2「通級による指導や特別支援学級の意義、それらの教育課程の取扱いについての改善・充実」。これにつきましては、例えば、学習指導要領と省令なので告示で書き分けられている部分がございまして、なかなか指導要領を見ただけでは、こういった特別支援教育の全体像が分かりにくいことが現状の課題としてございます。したがいまして、2ページ目の「主な意見」という真ん中ほどにございますように、「通級による指導」「特別支援学級」、それぞれについて考え方、編成の方針等を具体的に示していくことが必要ではないか。特に今回は、高等学校における通級による指導についても、別途、調査協力者会議で検討されておりますので、これも引き取る形で総則において検討してまいります。
  また、マル3にございますように、合理的配慮の提供ということが、障害者差別解消法の施行に伴い、教育現場におきましても求められるということになってまいりますので、3ページ目にございますように、合理的配慮ということの観点でありますとか考え方をしっかり総則においても示していくということでございます。
  それから、マル4にございますように、特別支援教育コーディネーター、これは小・中学校でおおむね100%の配置になっていることを踏まえながら、この役割を中心とした校内体制の在り方、それから、マル5、「共生社会の形成に向けた障害者理解の促進、交流及び共同学習」ということも教育課程と関連付けた形でしっかりと明記していくという方向性でございます。
  続きまして、資料2-2でございます。これが各教科の御検討に関係してくる部分でございますけれども、各教科等における障害に応じた配慮事項について、これまでの示し方、黄色い部分にございますように、総則におきまして障害別の配慮の例を示していたところでございます。これを近年の傾向等を踏まえまして、小学校学習指導要領総則、各教科等とございますけれども、これは小学校のみだったのですけれども、中・高についてもでございますけれども、総則に加え、各教科別に障害別の配慮のみならず、学習の過程で考えられる困難さごとに示していくということでございます。
  困難さとしましては、そこに記しておりますように、情報入力、情報のイメージ化、情報統合、情報処理等々における様々な困難さとが考えられるわけでございますけれども、ページをおめくりいただきますと、具体的な配慮の例の示し方ということで、教科別におまとめいただいているものがございます。2枚目の表面、「理科の例」ということが一番上に示されてございますけれども、赤字の部分のような困難さの状況に対して、緑字の部分のような配慮の意図を持って、青字のような手だてを講じていく、こうしたような形で学習指導要領及び解説を含めて配慮の例を示していくことを御検討いただきたいということでございます。これは小学校の例でございますけれども、今後、中学校、高等学校につきましても、関係教科の方々及び特別支援関係の専門家と協力して整理をしてまいりたいと考えているところでございますので、以上、御報告をさせていただきます。
【大島主査】    大杉室長、どうもありがとうございました。ただいまの御報告に関連しまして、何か御質問とかございますでしょうか。よろしいでしょうか。
  どうぞ、お願いします。
【松浦委員】    難しいと思ったのは、生徒主体で、先ほど図7とかでやると、やっぱりそこが難しくなりますよね、障害の。それから、今の例で言うと、かなり介入しちゃっているわけです。今までのように、やることが決まっている場合には、障害のある子には、ある程度介入すれば済むけれど、プロセス重視でそこを生徒主体でとなると、ちょっと思ったのは、先ほど言った、理科における資質・能力のところ、プロセスは同じプロセスをいろんなレベルの子がやるにしても、やっぱり同じ資質・能力を求めようと思ったら、生徒主体と合わないと思うのね。だから、むしろ黄色で書いたところを生かしつつ、場合によっては、配慮が必要な方に関しては、そこで求める資質・能力の方を変えていくというのがアクティブ・ラーニング的なやり方と今の合理的配慮の整合性がよいんじゃないかなとちょっと思いました。
【大島主査】    大杉室長、お願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    ありがとうございます。今回、各教科ごとにこういった子供主体の学習プロセスを、ある意味、検討していただいているからこそ、こういった困難さが議論できることでもあり、一方で御指摘のとおり、資質・能力という面での難しさも両面あることであろうと思います。
  これにつきまして、資料2-1をおめくりいただきまして、4ページ目まで文書がございますけれども、その裏面に青いバーで少し、先ほど、全体像が見えにくいということで申し上げたような特別支援教育に関わる教育課程の全体像がここに記されてございます。このように、通常の学級において適切な配慮を行うというような段階、それから、通級による指導によって特別の教育課程を編成しながら実施していくという段階、あるいは、特別支援学級としての特別の教育課程を編成していくような段階、こういったことが、ある意味、連続性を持って考えられなければいけない。そういう中で資質・能力の在り方ということもしっかり考えていきたいと思っております。ありがとうございます。
【大島主査】    ありがとうございます。
  ほかに何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。特にございませんでしたら、皆様、いろいろな御意見を頂きまして、ありがとうございました。時間も参りましたので、本日はここまでにしたいと思います。本日お出しいただいた御意見については、事務局で論点ごとに、その趣旨を整理していくよう、お願いいたします。
  また、限られた時間内での討議でしたので、更に御意見やお気付きの点などがありましたら、ペーパーで事務局にお送りいただければと思いますので、その点、よろしくお願いいたします。
  では、本日予定されていた議題はここまでとさせていただきたいと思います。
  最後に、次回以降の日程などについて、事務局より説明をお願いいたします。
【米原教育課程課長補佐】    次回は、2月5日、金曜日、17時から19時の開催を予定しております。場所は、文部科学省15F特別会議室。こちらじゃなくて、15階の会議室で開催を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。
  また、主査からお話がありましたけれども、ペーパーによる御意見等も頂戴したいと考えております。ファクス、メール、郵送でも結構でございます。特に今日、資料6につきまして松浦委員等から御意見は頂いたのですけれども、余り御意見が出てなかったかと思います。特に分野別の物の見方・考え方を整理していくということ。特に高校は分野別で、今、学びの系統、指導要領はなっているということもありますので、そこでのアクティブ・ラーニングをどうしていくかというところの検討等に、この資料、しっかりブラッシュアップしていかないとつながっていかないと思いますので、是非資料6につきましては、積極的に、こういう整理もあるんじゃないかとか、こういうところを付記した方がよいんじゃないかとか、そういった御意見がありましたら、お願いしたいと思っております。
  なお、本日の配付資料は机上に置いていただければ、後ほど郵送させていただきますので、どうぞよろしくお願いします。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございました。先ほど、ちょうど資料6について御意見を頂きたいということで、もし何かございましたら、事務局にペーパーで提出いただければと思います。
  それでは、本日の理科ワーキンググループを終了させていただきたいと思います。本日はどうもありがとうございました。次回も是非よろしくお願いいたします。

――  了  ――

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