教育課程部会 理科ワーキンググループ(第2回) 議事録

1.日時

平成27年12月14日(月曜日) 15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省 東館3階 3F2特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 理科教育のイメージ及び理科において育成すべき資質・能力について
  2. 現行学習指導要領における現状と課題について
  3. その他

4.議事録

【大島主査】    では、皆様おそろいになりましたので、定刻より若干早いですが、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会理科ワーキンググループの第2回を開催いたします。
  本日は、師走のお忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。
  まず最初に、事務局から前回欠席された委員の紹介及び配付資料について確認をお願いいたします。
【米原教育課程課長補佐】    それでは、前回御欠席された委員の紹介をさせていただきます。
  まず、角屋重樹委員でございます。
【角屋委員】    よろしくお願いします。
【米原教育課程課長補佐】    小田通委員でございます。
【小田委員】    よろしくお願いいたします。
【米原教育課程課長補佐】    なお、西原寛委員は本日、御欠席となっております。
  続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。
  本日は、議事次第に記載しておりますとおり、資料1から8、そのほか机上に参考資料を配付させていただいております。不足等ございましたら、事務局にお申し付けください。
  なお、机上に前回と同じようにタブレット端末を置いておりますが、その中には、本ワーキンググループの審議に当たり参考となる関係する審議会の答申等のデータを入れております。詳細は、タブレット端末の下に置いております目次をご覧ください。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございました。
  では、早速これより議事に入ります。
  初めに、本ワーキンググループの審議等については、初等中等教育分科会教育課程部会運営規則第3条に基づき、原則公開により議事を進めさせていただくとともに、第6条に基づき、議事録を作成し、原則公開するものとして取り扱うこととさせていただきます。よろしくお願いいたします。
  なお、本日は報道関係者により会議の撮影及び録音の申出があり、これを許可しておりますので、御承知おきください。よろしいでしょうか。
  それでは、本日は議題1として、論点整理を踏まえた理科教育のイメージ及び教育において育む資質・能力について、議題2として、現行学習指導要領における現状と課題についての意見交換を行います。
  議事の流れとしましては、本日は議題1を中心に御議論いただき、残りの時間を議題2について意見交換を行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  まず、事務局から資料に基づき説明を頂いた後に自由討議を行いたいと思います。
  それでは、事務局より説明をお願いいたします。
  まず初めに、教育課程部会総則・評価特別部会における状況の報告を頂き、その後に議題1について説明をお願いいたします。では、よろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。それでは、私の方から、先日開催されました第2回総則・評価特別部会における主な意見ということを御紹介させていただきたいと思います。
  第2回の総則・評価特別部会におきましては、本理科ワーキングの状況も含めまして、各教科特別ワーキングの議論の状況を御報告をさせていただいたところです。特別部会におきましては、各ワーキングにおいて、論点整理に基づいた議論の方向性を御議論いただいていることに感謝の意が表されますとともに、以下5点について各ワーキングにお伝えいただきたいということで言付かってまいりましたので、羽入主査に代わりまして御報告を申し上げます。
  1点目、これは理科ワーキングではないかとは思いますけれども、他の教科にも関わるような重要な内容につきましては、可能な限り早い段階で議論を行い、総則・評価特別部会若しくは各教科特別ワーキングにおいてもしっかり御議論できるようなスケジュールとしていただきたいということでございます。これが1点目。
  それから、2点目でございますけれども、今回社会に開かれた教育課程ということでございますので、例えば教職課程で教師を目指している学生さんたちでありますとか、地域で学校に関わっている関係の方々が読んでも分かるような学習指導要領の法的な性格を踏まえつつも、そういった方々に読んでもらって、その趣旨も十分伝わるような構成と文章とするということを考えていただきたいということでございます。
  それから、3点目でございますけれども、各教科ワーキングにおきましては、発達に応じた目標や内容の系統性という縦の軸と、様々な課題やテーマに対応した教科横断的な横の軸ということを意識しながら、それぞれの教科がどんな位置付けでどのようなことができるのかという視点から御検討を進めていただきたいということでございます。
  それから、4点目でございます。子供たちが卒業後、特定の学問分野や職業に進むという場合だけではなく、どのような職業等に就くとしても生かすことができるような教科の本質的な学びということを重視して、資質・能力を育むということを踏まえて御検討を頂きたいということでございます。
  それから、5点目でございますけれども、各教科ワーキングにおいて、各教科の特性や独自性を踏まえた御検討を頂きつつ、一方で総則・評価特別部会、あるいは校種別部会も年明けからは徐々にスタートいたしますので、そういった場における全体的な構成に関わる議論の状況も踏まえながら御議論を進めていただきたいということでございます。
  私からは以上になりますので、以下、資料の説明を米原補佐からさせていただきます。
【米原教育課程課長補佐】    続きまして、議題1につきまして、資料等の説明をさせていただきたいと思います。事前に資料につきましては送付させていただいておりますので、かいつまんで説明させていただきたいと思います。
  まず、資料1でございますけれども、前回11月10日に御議論いただいたものについて、主な意見をまとめたものでございます。闊達な御意見、ありがとうございました。
  この内容につきましては、本日作成した資料におきましても、適宜反映させていただいて、作成させていただいているところでございますので、御参考まで、提示させていただいております。
  次に資料2をご覧ください。本日、議題1につきまして、御議論いただきたい事項について整理したものでございます。まず、「理科を学ぶ本質的な意義について」ということで、前回の検討事項においても提示いたしましたけれども、理科の学習を通じて児童生徒に身に付けさせるべき資質・能力とは何か。小学校、中学校、高等学校それぞれの修了時点で身に付けさせるべき資質・能力についてどのように考えるか。
  また、三つの柱に沿った育成すべき資質・能力の明確化についてということで、何を知っているか、何ができるか。個別の知識・技能、知っていること・できることをどう使うか。どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るかということです。
  小学校、中学校、高等学校それぞれの修了時点で身に付けさせるべき資質・能力について、三つの柱に沿ってどのように整備できるかということを本日は御検討いただきたいと考えております。そもそも前回も御説明しましたけれども、論点整理におきまして、社会に開かれた教育課程を実現するという理念の下、指導すべき個別の内容事項の検討以前に、学習する子供の視点に立ち、教育課程全体や各教科の学び等を通じて何ができるようになるかという観点から、資質・能力を整理する必要があると論点整理でも示されたところでございます。
  したがいまして、今回、御議論いただくような資質・能力の議論というのが改訂の肝になると思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思っております。
  なお、今回御議論いただく際、真ん中から下に書いてございますけれども、先ほど総則・評価特別部会の御指摘等がございました。特に理科に関して、総則・評価特別部会におきまして指摘されたことが2点ございまして、まず一つ目が、理科が全ての子供たちにとって重要なのは、科学的な物の見方や考え方を身に付けさせることであると指摘されております。また、理科で身に付けさせるべき資質・能力については、ある程度領域やコンテンツに依存してしまうということは前提としつつも、そこに共通する科学的な物の見方、考え方の観点から、資質・能力を明確にしていく必要があるということの指摘がございましたので、この点を踏まえて御検討いただきたいと考えております。
  また、丸2に書いてございますけれども、現状の理科における課題。前回も御説明しましたけれども、「理科の勉強が好きだ」という質問に対しまして、肯定的に回答した児童生徒の割合というのが、小学校、中学校、高校、学年、年齢が上がるにしたがって、非常に下がっていくという実態がございます。そういった実態を踏まえた資質・能力の視点というのをどういう資質・能力を設定するかという視点が必要であるということです。
  こうした大きく分けて二つの視点を踏まえまして、小学校等では現行指導要領でも比較、関連付け、条件付け、推論等の整理がされておりますけれども、それが適当かどうかということについて、引き続き御検討いただくとともに、中学校、高等学校においても、身に付けさせるべき資質・能力について、より一層明確化していく必要があり、また、個別の領域やコンテンツの関連付けについても検討していくことが必要ではないかということで、本日の検討の際にはこういったことも踏まえて御意見を頂ければと考えております。
  続きまして、資料4について御説明をさせていただきたいと思います。ご覧ください。資料4は、幼稚園から高等学校までの各学校段階を通じて、理科教育によってどういった活動により、どういった力を身に付けさせるか。すなわち、理科教育によってどういった人材を育てることを想定しているのかということについて、前回の御意見を踏まえながら、事務局において簡潔にまとめたものでございます。
  資料は下から上に年齢が上がっていくということで、一番下が幼稚園からになってございますけれども、幼稚園とその上にある小学校の低学年におきましては、理科という教科科目はございませんけれども、それに関連する事項として、まず幼児教育では、物との多様な関わりの中で、物の性質や仕組みについて考えたり、気付いたりする。身近な物や用具などの特性や仕組みを生かしたり、いろいろな予想をしたり、楽しみながら工夫して使うということが考えられるかと思っております。
  また、小学校ですけれども、小学校低学年におきましては、もちろん生活科だけではないのですけれども、主として生活科が理科に関連の深いところが多いかと思いますので、例えば生活科では、身近な自然を観察したり、季節や地域の行事に関わる活動などを行ったりして、四季の変化や季節によって生活の様子が変わることに気付き、自分たちの生活を工夫したり楽しくできるといった点等の活動を行って力を身に付けていくということが言えるかと整理しております。
  また、小学校、中学校でございますけれども、それぞれ一つ目の丸におきましては、これは資料7の方でも整理していますけれども、資質・能力について丸1、丸2、丸3という三つの柱に沿って整理をしております。その上で、その下、小学校でしたら三つ、中学校では一つですけれども、どういった学習活動等によって、資質・能力を身に付けさせるか、また学年ごとに整理するとどうかということで整理をしているものでございます。
  小学校につきましては、理科として、資質・能力としては丸1、丸2、丸3ということで、自然を大切にし、生命を尊重する態度、科学的に探究する態度を養うこと。また、見通しを持って的確に観察、実験などを行い、問題解決の能力とその妥当性を検討する力を養うこと。三つ目として、自然の事物・現象についての理解を図り、科学的な見方や考え方を養うことを資質・能力として整理してございます。また、上から三つ目の丸ですけれども、学年ごとに解決能力で求められる力というのを整理しているところでございます。
  中学校におきましても、資質・能力として一つ目の丸でございますけれども、自然の事物・事象に進んで関わり、科学的に探究する態度と根拠に基づき判断し表現する態度を養うこと。自然事象の中に問題を見出して仮説を設定し、計画を立て、目的意識を持って観察・実験し、得られた結果を分析・解釈する力を養うこと。三つ目として、基本的な概念や原理・法則の体系的理解や観察・実験等の基本的な技能を養うことというのを資質・能力として掲げており、また、下の丸の「例えば」以下ですけれども、学年ごとにどういった取組や活動をするのか。その資質・能力を身に付けさせるためにどういった活動をするのかということを整理しているところです。
  次に、高等学校、一番上でございますけれども、ここは学年別という整理ではなくて、小・中学校と異なりまして、生徒によって履修する内容も異なるということでございますので、大きく「基礎」「応用」「高度」ということで、今回、三つの整理を試みたところでございます。
  「基礎」と申しますのが、基本的には基礎を付した科目、物理基礎といったものだけを取る生徒、主としていわゆる文系の生徒をイメージしたものでございます。
  次に「応用」というのが、基礎を付していない科目、物理、化学、生物、地学を履修する生徒ということで、主として理系の生徒ということになろうかと思います。
  最後に「高度」としているところでございますけれども、こちらはより探究的な活動まで行うということで、理数科であったり、今回検討しております数理探究というところまで行う生徒ということになってございます。
  この数理探究についてですけれども、前回も少しお話ししましたが、高等学校の数学、理科に当たる探究的科目の在り方に関する特別チームというのを別途設置し検討することとしております。10月20日に第1回を開催して、前回の理科ワーキングと同じような形で自由に御議論いただいたところでございます。御案内のとおり、本ワーキングにおける検討等も密接に数理探究の検討が関連しますので、数理の特別チームの検討状況につきましては、また随時御報告させていただきたいと考えております。なお、特別チームの第2回は1月21日に開催予定となってございます。
  資料4につきましては以上です。
  すみません。資料3の説明を飛ばしてしまいましたけれども、資料3につきましては、前回も御説明しました、現在の小・中・高等学校の目標であったり、特徴的な記載事項について示しているものでございます。
  続きまして、資料5をご覧ください。資料5と併せて資料6ですけれども、こちらの論点整理の補足資料から抜粋したものでございますが、学習指導要領の構造化のイメージということで、資質・能力の三つの柱に従って整理をするとどうなるかということを、それぞれ整理したものでございます。
  三つの柱と申しますのは、「個別の知識や技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力、人間性等」ということで、まず教科学習については、「知識・技能」としては、各教科に固有の知識や個別のスキル。「思考・判断・表現力等」としましては、各教科の本質に根差した問題解決の能力、学び方や物の考え方。「学びに向かう力、人間性等」としましては、各教科を通じて育まれる情意、態度等が示されているところでございます。
  続きまして、資料6をご覧ください。先ほどの資料5の教科学習で整理した考え方を踏まえて、では各教科単位でこの三つの柱に沿って整理をするとどうなるかというのがこちらの資料6でございます。理科につきましては、2ページ目にございます。
  「個別の知識や技能」としまして、理科における基本的な概念や原理・法則の体系的理解、探究のために必要な実験・観察等の技能が知識・技能として示されており、「思考力・判断力・表現力等」として、自然の事象を目的意識を持って観察・実験し、科学的に探究する力、「学びに向かう人間性等」としまして、科学的な自然観、科学的に追究する楽しさや科学の果たす役割の認識、科学的根拠に基づき判断する態度などとして示されているところでございます。
  これらを踏まえまして、資料7でございますけれども、理科におきまして、小学校、中学校、高等学校、高等学校におきましては、必履修科目と選択科目でございますけれども、それぞれでこの三つの柱に沿って整理をするということで示したものが資料7でございます。教科全体から、理科全体、各学校種ということで、少しずつブレークダウンしてきているものと御理解いただければと思います。
  また、一番右のセルでございますけれども、資質・能力を育成するために重視すべき学習過程等の例ということで示しているのが一番右の箇所でございます。
  縦に説明した方が分かりやすいかと思いますので、「個別の知識や技能」についてという縦で下から説明していきたいと思います。小学校ですけれども、自然事象に関する性質等の体系的理解をするということだったり、科学的な問題解決を行うために必要な観察・実験等の基礎的な技能がまず知識・技能として求められる。
  その上で、中学校ですけれども、小学校の基礎の上に、理科における基本的な概念、原理・法則の体系的理解であったり、また科学的な探究についての理解。その探究のために必要な観察・実験等の基礎的な技能ということが求められてくるであろう。
  さらに、高等学校になると、必履修科目については、中学校の資質・能力と同じでございますけれども、選択科目におきましては、知識・技能のさらなる深化、総合化というところが要るかと考えています。
  次に、「思考力・判断力・表現力等」ですけれども、小学校におきましては、学年ごとに整理しておりますけれども、下からいかせていただきますが、3年生では比較を通して差異点、共通点に気付き問題を見出す力であったり、4年生では予想や仮説を発想する力、5年生では、様々な変化等に着目して、解決の方法を発想する力、6年生では、規則性や関係を多面的に分析して考察して、より妥当な考えを創り出す推論という力を思考・判断・表現として示しています。
  その上に中学校ですけれども、自然事象の中に問題を見出して仮説を設定する力であったり、計画、目的意識を持って観察・実験する力、その得られた結果を分析して、解釈するなど、科学的に探究する力と科学的な根拠を基に表現する力、問題解決の過程における妥当性を検討するなど、総合的に振り返る力ということを示しています。
  次に高等学校ですけれども、必履修の部分です。科学的な見方や考え方、自然に対する総合的な物の見方であったり、また自然の事象に対して科学的に探究したり、科学的な根拠を基に表現したりする力というところがございます。
  また、選択科目においては、高度な問題解決能力、新たな発見をしたり、創造したりする力、徹底的に向き合い、考え抜いて行動する力ということを示しております。
  幾つか付言させていただきますけれども、総合的にという表現、総合という文言をたくさん使っていて、なかなかここは分かりにくいところではあるのですけれども、一応我々の整理といたしましては、プロセスや全体を通して複数の視点で見ると。一つの考え方、視点だけではなくて、様々な観点、視点からその対象について検討するということを意味して用いているところでございます。
  次に「学びに向かう力、人間性等」でございますけれども、小学校においては、自然に対する畏敬の念であったり、果敢に挑戦する態度、科学することの面白さ、問題解決の過程に関してその妥当性を検討する態度等々を資質・能力として整理しております。
  中学校ですけれども、小学校で身に付けた問題解決の力などを活用しようとする態度であったり、小学校と同じ自然に対する畏敬の念等々で、最後の科学的根拠に基づき判断する態度というのを加えているところでございます。
  また、高等学校でございますけれども、必履修の部分につきましては、同じく自然に対する畏敬の念であったり、科学の必要性、役割の認識、科学的根拠に基づき、多面的・総合的に判断する態度であり、選択科目においては、果敢に挑戦する態度、自発的・創造的な態度というものを資質・能力として整理させていただいているところでございます。
  また、一番右の学習過程の例でございますけれども、それぞれの学校段階に応じて、事象を把握して、問題を見出して、仮説を立て、計画を立てて、観察・実験を行い、結果を表記し、結果を導き出すということを整理しているところでございます。それを見通しを持って行い、かつ最後に振り返るということで整理をしているところでございます。
  学習過程の例につきましては、必ずしも全てのプロセスを各単元や内容ごとにやるということではないわけですし、その一部だけを取り扱うこともあるということは御留意いただければと思います。学習過程につきましては、次回の主たる議題として取り上げていきたいと考えているところでございます。
  事務局からの説明は以上でございます。
【大島主査】    御説明いただきまして、ありがとうございました。
  それでは、今までの御説明と資料に基づきまして、これより意見交換の時間とさせていただきたいと思います。
  まず、議題1として論点整理を踏まえて、理科教育のイメージ及び理科において育む資質・能力について御意見を頂きたいと思います。あらかじめ御協力いただきたいのですが、御意見のある方は名札を立てていただき、その後、私の方で順次指名させていただきますので、御協力いただけたらと思います。また、発言が終わりましたら元へ戻していただくようにお願いいたします。
  また、御発言の際にはマイクのスイッチをオンにしていただいて、発言後にはオフをお願いします。
  また、今日はたくさんの方がいらっしゃいますので、なるべくたくさんの方から御意見を伺いたいので、なるべく要件をコンパクトにまとめていただいて発言いただければと思います。
  それでは、既にもう上がっていらっしゃる方がいらっしゃいます。小玉委員と松浦委員ですね。あと小林委員ですね。失礼いたしました。では、よろしくお願いいたします。
【小玉委員】    小玉でございます。トップバッターで最初に話せば、後でゆっくりできるかなということで、きょうは意を決してやってまいりました。
  今、事務局からも御説明があったり、資料の御提示もありましたけれども、小・中・高、たくさん書いてあると、なかなか本質が見えないという部分があるのですけれども、簡単に言ってしまえば、理科の場合は高校が最終的に資質・能力の総仕上げになるのですけれども、課題を科学的に解決する力、これに尽きると思います。課題を科学的に解決する力。その際に非常に大事なのが、科学的な物の見方、考え方ということになります。
  では、この科学的な物の見方、考え方というのは何なのかと聞かれたときに、やはり課題を解決するプロセスを考えると、どういう見方をすればよいのか、どういう考え方をすればいいのかというのが明らかになると思います。
  例えば、プロセス順に課題を解決する力を見ていきますと、まず課題を見つける力。課題を見極めると言った方がよいかもしれないです。きちんと課題が見えない人も結構いますけれども、ちゃんとしたそういうトレーニングを積むと、課題がきちんと見極められるということになります。課題設定能力がまず最初にあるのだろうと思います。
  次には、その課題、あるいは自然全体を偏りのない目で見る。偏らない目で見るというのが理科ではとても大事ではないかなと思います。観察する力と言えるかもしれません。それから、更には自然の事物、現象を見極めるために実験したり、観察したり、調査したり、いろいろな理科的な手段を使って調べる力。調査実験能力という感じですかね。そういう力、そして更には仮説を立てることが必要な場合も結構ありますので、仮説を立て、その仮説を検証する力。その次には、どんどん調べていきますけれども、調べた結果を論理的に考える力ですね。論理的に思考、判断する力。更には図、表、グラフによって表現する力、あるいは数式化する力。更にはモデリング、モデル化する力。最終的には、まとめた結果を人に伝える力、表現する力というプロセスをずっと辿りますと、自分で課題を解決し、人に伝えることができるという一連のプロセスになろうかと思います。
  とにかく、理科の場合はこういう課題を科学的に解決する力を育成するというところに、多分尽きるのだろうなと思います。それを小・中・高、順番に発達段階に応じて、指導要領で目標を設定してやってきているということかと思います。
  短くでしたね。
【大島主査】    どうぞ。
【小玉委員】    何を学ぶかというところもすごく大事なのですけれども、いろいろな自然の課題について最低限必要なものを精選して、学習指導要領に内容として盛り込んでおりますけれども、もう皆さん御案内だと思うのですけれども、指導要領には特に高校なのですけれども、こういう力を身に付けるために探究活動というのが必ず入っております。大きなまとまりの最後に必ず探究活動が入っている。ただ、それをやっているかどうかというのはまた別なのですけれども、かなりこの流れを実践しているということになりますので、何を学ぶかについては、今後時代の変化も研究の進化もありますので、見直していきつつ、今説明しました身に付けるべき資質・能力、課題を解決する力を構造化して折り込んでいくことが必要かと思います。そのためには、現行の学習指導要領を更に探究活動などを充実したものにする必要があると思います。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございました。
  課題を科学的に解決する能力が必要だということで、各々のプロセス順にきちんとブレークダウンするということと、実際の探究活動については、もう少し具体的な内容を絡めテイク必要があるということかと思います。ありがとうございました。
  では、次に松浦委員、よろしくお願いします。
【松浦委員】    資料の御説明を聞いていて、資料2、4、7にかなり違和感を持ちました。それは何かというと、今回の諮問のキーワードが、新しい時代とか、アクティブ・ラーニングとか、何を教えるかよりもどのように学ぶかということをかなり集中的に検討してほしいと理解しているのです。
  例えば、資料2の三つの柱に沿った育成すべきこと、これを全部三つ並べて重要視しているという、これはそのとおりでよいのですけれども、何が少し違うのではないかと思うのかというのは、修了時点で身に付けさせるというところで三つ、それはそれで何も問題ないのですよね。ただ、修了時点で身に付けさせるのに加えて、学ぶプロセスでどのようにやるか、アクティブ・ラーニングかと、それが今回の諮問の一番のキーポイントだと捉えていたのです。しかし、小学校、中学校、高校で学んだ後、結果のところに重きが行き過ぎてしまっている。だから、せっかくトライをしようというのに、この結果のところを主な目的とした検討をしていたのでは、なかなか変えるのが難しい。やはり学ぶプロセス自体、三つの柱を同じようにやる。ただ、同じようにやるとは言っても、学習のプロセスの中でこの三つの柱をやるとなると、どういう順番かというと、前回も発言したのですけれども、この3、2、1という順番を使いながら、子供たちが教室で学んでいくことによって結果として三つの柱が修了時点で身に付くというものが、今、日本で求められているのだろうし、それを今回の諮問は大変タイムリーに指摘してきた。
  だから、これは結果をどうするかよりも、学ぶプロセスをどうするかということを中心に検討していかないと、諮問の趣旨を生かしたまとめができないのではないかというのが1点です。
  そういう点で、資料4、資料7を見ますと、小玉先生が御指摘のとおり、僕も前回の学習指導要領にも関わりましたから分かるのですけれども、少なくとも高校は、基本的にこういうふうにできていたのですよね。小・中は済みません、よくは知らないのだけれども。しかも、小玉先生の御指摘のとおり、それがうまく行っていないわけです。同じようなことをやったらうまく行くのですか。普通、考えるといかないよね。だから、3回前ぐらいから探究活動や課題研究を高校理科では強調していたのに、教科書と現場では無視されてきたわけでしょう。それを、今回また同じことをやったって、また無視されてしまうのだから、そうではないものができる、そうではない教科書ができて、そうではない先生の学校での毎日の活動が行くように、どう学習指導要領を作り込むか。とても難しいのだけれども、それが今回の諮問が大変生かせる、今回の諮問を正面からやれば、教科書会社も現場の先生も、今までみたいに無視できないのだと持っていけるのではないかと思うので、少し本日の議題に直接ではないかも分からないけれども、そこをやらずして、何を我々がやるのだというのが正直な気持ちです。
【大島主査】    学ぶプロセスの中での、三つの資質・能力についての御指摘が1点目と、2点目については、現場において現行の指導要領を実践していくうえで問題があるということですね。
【松浦委員】    指導要領は問題ない。指導要領はこんなふうにできているのに、実際の教科書、実際の現場の教育活動がこうなっていないところが問題なので、同じことを繰り返してはいけないのだろうと。
【大島主査】    という御指摘ですね。
  プロセスに関しては、次回でまた特に議論するということだと思います。。
【松浦委員】    ではないでしょう。今日は資料7とか資料4、こんな方向で行くのではまずいわけですから。
【大杉教育課程企画室長】    主査。
【大島主査】    どうぞ。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。御指摘御もっともでございまして、ただプロセスだけでもだめだと。プロセスを通じて、どういった力を育むかということと、資質・能力のお話とプロセスがしっかり関連しているということが大事だということかと思います。
  そういう意味では、今日は、まずは資質・能力の部分を少し御議論いただいて、次回以降プロセスをという段取りで考えておりますけれども、恐らく密接に関連する部分があると思いますので、適宜御発言を頂ければと思います。ありがとうございます。
【大島主査】    ありがとうございます。
  もちろん学ぶプロセスも大事でございますが、本日の議論は理科教育のイメージ及び理科について育む資質・能力についてということで、御発言いただければと思います。
  では、3番目、小林委員、よろしくお願いいたします。
【小林委員】    上越の小林です。
  小玉委員の御発言とかなりかぶります。それから、松浦委員がおっしゃった学ぶプロセス、これも若干かすります。理科の学習を通じて、児童生徒に身に付けさせるべき資質・能力とは何かと。これを問われたときに、学習指導要領の方でうたわれていますように、小学校では問題解決の能力、中・高においては探究の能力の育成ということになりますが、その際、自然の事物・現象への働きを通して感じた疑問、不思議だなという疑問。問いはなぜという問いになると思うのですが、このなぜという疑問を観察・実験で解決できる問題に作り替えなければいけないわけです。いくらなぜ、なぜと問うても、解決の手立ては見えてこない。「何が」とか、「どのように」という問いに作り替える力。このことについては、資料7などにも、「自ら問題を見つけ」という文言にあるように、重要視されております。改めて、このことを忘れてはならないと言いたい。
  ちなみに、中谷宇吉郎が寺田寅彦に東大の学生時代に実験の指導を受けるときに、寺田寅彦は、「ねえ、君、これ、不思議だと思わんかね」と言っていた。これは、中谷宇吉郎の随筆の中に残されています。それで、中谷宇吉郎はそれを思い出して、回顧して、「不思議だと思わなければいけないのだ」と、そんなことを記しているわけです。
  それで、話をまた元に戻しまして、理科は観察や実験で問題解決や探究を行うわけです。しかし、観察と実験とでは、用いるスキルと言いましょうか、技能と言いましょうか、まだどちらの言葉がよいのか分かりませんが、とりあえずスキルと言っておきたいと思いますが、異なるということに着目する必要があると思います。
  つまり、問題解決や探究における観察と実験の違いを明確にしておく必要があります。実験は、原因と考えられる要因について、条件を制御して変化を確かめます。実験は、因果関係を前提として、これは小・中・高の内容です。学者が研究するような事象については、因果関係だけでは対応できないのは承知しております。しかし、小・中・高の理科で取り上げる実験というものは、因果関係を前提としていると捉えて問題ないと私は思っております。それを前提にして、問題解決に取り組みます。
  それに対して観察は、対象とする事象に因果関係を前提とすることができたとしても、条件を制御して変化を確かめることはできないわけです。ここが実験と観察で違う。したがって、実験では原因と結果の関係について、何々の条件を変えると、結果はこうなるだろうという仮説、もう少し正確に言うと、作業仮説を立てて検証を行うわけです。
  一方の観察は、条件は制御できないので、自然の事物の形や作り、現象の変化の様子を言葉やスケッチで記載して、その後、考察する。観察では、説明的な仮説、説明仮説は設定することができることもありますが、作業仮説は立てられない。このように実験と観察では、問いの立て方や問題解決等のプロセスが違ってきますので、それぞれで育成できる資質・能力は異なってくると考えます。
  私が言いたいことは、今後、このワーキングにおける議論がある程度煮詰まってきたら、観察・実験とひとくくりにしないで、両者を分けて、それぞれどのような資質・能力が育成できるかを検討する必要があるのではないかということです。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございました。観察・実験はスキルとして異なるので、それを分けてきちんと認識した上で考えていく必要があるという御指摘だったと思います。
  ほかに何かございますでしょうか。では、古田委員、手が掛かり始めている三浦委員、ほかは田代委員ですね。古田委員、三浦委員、田代委員、小田委員ですね。では、その順番でよろしくお願いいたします。
【古田委員】    古田です。よろしくお願いします。
  私は、資料7の表の中にある総合的なという文言が多く使われているという御説明の中でも注を入れていただきましたけれども、やはりここに非常に大きな悩みがあるのだなと感じました。それは、いろいろな事象、総合的なほかの教科の領域の横断ですとか、いろいろな視点を取り入れるのだということを目指してはおられますけれども、その方法論ですとか、プロセスですとか、それが実際、具体的にどのようなことを指していることが具体的にイメージできていないままこういった言葉で、でも、やはりそちらは目指さなければいけないよねというような表現になっていて、非常に悩みを感じました。
  ここにいらっしゃる方、あるいは学校の理科の教員、学校の現場の先生方も、やはり理科が好きで、理科で成功してきた方々だと思いますけれども、まず理科が大事だということは皆さん共有されていると思うのです。しかし、そうではない人たちもたくさんいて、例えば子供たちの中に、小学校3年生から中学に上がると、理科が好きで理科が大切だと考えている子供の人数が減るということを考えますと、やはりなぜ理科を学ぶのかということを丁寧に、学年を追っても盛り込んでいく必要があるのではないかと思います。それは、探究的な学習が楽しいよね、なぜ、疑問を解決することは楽しいよね、知的だよねということは、それはそうなのですけれども、それが本当に沸き上がってくるような、子供たちの中の動機となるような指導のプロセスが必要なのではないかなと思っています。
  それをやっていらっしゃる方もいるかもしれませんが、私は非常に足りないなと思っておりまして、それが理科、あるいは科学技術が役に立つとか、立たないとか、役に立たない研究にお金は出さないとかと、何のためにやっているのですかとか、そういった非常に浅い議論になり得る。理科に対する社会全体の認知も上がらないし、子供たちが学ぶためのインセンティブもできないということが起こっているのではないかなと思っています。
  現行では、中学の第7単元それぞれと、それから高校の科学と人間生活で、やはり自分たちの生活に即した科学、あるいは理科の学び方ということが示されておりますけれども、中学校の第7単元は、本当にやられているのだろうか。科学と人間生活をどのくらいの子供が学ぶのだろうかということを考えますと、理科全体でそういった問題を内包していくようなプロセスが必要なのではないかと考えます。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。
  総則・評価特別部会でも、理科の現状として、だんだん年齢が上がるにしたがって、理科に対する好きだという割合が減っているとの御指摘があっやと思います。ありがとうございます。
  では、三浦委員、よろしくお願いします。
【三浦委員】    三浦です。よろしくお願いします。
  私は今、高3生の担任なので、日々生徒を前にしているのですけれども、生徒たちになぜ理科を学ぶのかというのは、当然今の時期、聞いてきません。受験に必要だということも、もちろん言わないわけですけれども、では、なぜ理科が必要なのかと考えて、日々授業をしているかと言いますと、やはりこれからあなたたちがよりよく豊かに生きるために理科が必要なのだという思いを心の中で思いながら授業をしています。
  今、古田委員からあったように、それを日々の授業の中で積極的に話していないというのは、少し反省をしているところなのですけれども、心の中ではそういうことを思いながら授業をしていると思っています。ほかの先生方もきっとそう思っているのではないかなと思うのですけれども、一つは理科の教員ですから、自然の不思議さとか、面白さとか、そういうものを伝えたい。こういうことを知識として持っていたら、豊かな生活になるよねというのを伝えたいというのが一つあります。
  それから、もう一つは、ほかの小玉委員などもお話しされましたけれども、課題発見する力とか、あるいは科学的な思考力とか、そういうものが今から社会に出て、あるいはいろいろな人生を送っていく中で、未知の課題が出てきたときに、観察・実験を通して得てきたいろいろな解決していく能力というのは、そこできっと発揮されるのではないだろうかという期待も実は持ちながら、私は授業をしています。
  それから、私が今向かっている高校生たちは、もう15、16、17歳なのですけれども、本当に申し訳ないのですが、私的なことで、私、つい最近、孫が生まれまして、今生まれた孫たちが、80年とか生きていく中で、やはり何を理科として残していきたいかなと言ったら、地球が平和で存続していくようなものであってほしいなと、それを強く思うようになりました。だから、理科はそういう意味でもここの中にいろいろな大切なことが書かれているのですけれども、科学の必要性とか、そういうことも年代を追って最終的に地球人として、生きていく者として必要なのだということを大事にするようなものであってほしいな、ありたいなと思っています。
【大島主査】    ありがとうございます。
  科学の必要性を盛り込むということかと思います。
  では、田代委員、よろしくお願いいたします。
【田代委員】    それでは、まず要望を2点言わせていただきますが、資料7をご覧ください。そこの、個別の知識や技能のところなのですけれども、ここに「科学とは何か」ということを入れていただきたいというのがあります。欧米等の学習指導要領、スタンダードと比較したときに、日本で科学とは何かという部分が学習指導要領には余り書かれていなくて、教科書等では多少書いてあるのですけれども、このことは日本もちゃんと扱った方がよいというのが要望の一つです。
  それから、2点目の要望が、資料7の一番右端の「資質・能力の育成のために」云々のところで、小学校では「仮説」という言葉が難しいので、「予想や仮説」と書いてあるのですけれども、中学・高等学校になった場合は、「予想」と「仮説」という言葉をきちんと分けて使っていただいた方がよいと思います。仮説はあくまで仮説であって、予想というのは自分の仮説ができてきて、いよいよ実験をする。実験をするときに、「自分の仮説が合っているとすれば、こうなるはずだ」と実験の結果を予め考えるのが予想なのです。多分、自分の仮説だったら、この実験をすればAという結果が出るはず。Aという結果が出なければ、自分の仮説は外れていると考える。その予想と仮説を分けて書いていただいた方がよいと思っています。これが、要望の2点目です。
  それから、資質・能力の部分ですけれども、現行では小学校で比較、関係付け、条件制御、推論、そして中学校で分析、解釈となっております。今回、資料7の方では、例えば小学校3年で「差異点や共通点に気付き問題を見出す力」ということで、限定した書き方をしているのですが、このように学年レベルで限定してしまうのには反対です。比較というのはとても便利な言葉で、そこに書かれているように、課題や問題を比較することで見出す、あるいは条件の比較をする、出てきた結果を比較する、それから、自分の立てた仮説と実験結果とを比較するというふうに、い比較する場面がたくさんあるのに、小学校3年に問題を発見する力に限定してしまうと比較というすごく大事な資質・能力が4年生以降の学習に生きなくなってしまうと考えるからです。
  第一、小学校3年で問題を見出すと書いてありますけれども、この見出す力が付いているとすれば、4年、5年、6年ではそれができなければいけないのですけれども、多分、先生が文脈を用意して、問題を見出させているだけで、子供たちに肝心の「問題を見出す力」は付いていないと思います。だから、小学校3年生という学年全体では「比較」のままにして,例えば単元レベルで具体的な能力を書き込んでいくのがよいと思います。そうしておけば、4年生、5年生、6年生で、例えば「ほら、みんながやった方法で問題を見出す方法があったんじゃないかな」と先生が促し、「あったね、そういえば、比較すればいいんだ」と子供たちに気付かせることもできるのではないかと思います。
  理科は、それをやる気になればできます。だから、そういうメッセージを先生方に伝えていくのがよいので、学習指導要領の学年レベルの目標に具体的な書き込みをせずに、これまでどおり比較、関係付け、条件制御だけを書き込んだ方がよいと思います。
  ただし、小学校6年の「推論」とか「分析・解釈」については、もう少し具体的にどういうことを行うのか書いた方がよいと思っています。例えば、分析・解釈というのは、分析と解釈が一緒なのか、それとも分析と解釈は違うものを指しているのかが分かりづらいですという指摘を受けたことがありますし、分析するというのは何か、解釈するというのは何かというのを単元レベルや解説等できちんと書いた方がよいのではないかと思っております。
  それから、もう一点、最後に付け加えをします。実験についてですけれども、科学で扱うときには、問いの変換というのがとても大事だと思っています。つまり科学で扱う、理科で扱う以上、科学的に扱える問いに変えなければいけないというのが大事なのですね。
  具体的に言うと、「なぜインゲンマメは成長するか」という問いをすると、生き物だからとか、春だからとか、水を掛けたから、土に植えたからというようないろいろな解答の仕方があって、中には理科では解決できないものもあります。しかし、「何がインゲンマメを成長させるか」という問いに変えると、例えば日光がある・なしとか、肥料がある・なしで、条件設定すれば、子供たちでも、実験結果から「ああ、やっぱり肥料が必要なんだね」とか、「光がないと枯れちゃうね」というふうに、科学として扱える問いになるわけです。
  だから、問いの変換をきちんとするということがすごく大事です。そのことを現場の先生方にメッセージとしてうまく伝えることが大切と思います。そうすると、それぞれの学年の問いが少しずつレベルアップして、それに追随して能力も少しずつ伸びていくのではないかと思います。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございました。
  要望が2点と資質・能力について、二つ御指摘がございましたけれども、要望に関しては、何か事務局からコメントございますでしょうか。
【米原教育課程課長補佐】    頂いた要望につきましては、こちらで受け止めさせていただいて、この資料に反映させていきたいと考えております。よろしくお願いします。
【大島主査】    ありがとうございました。
  では、続きまして、小田委員、よろしくお願いします。
【小田委員】    失礼します。高知県の小学校から参りました、小田通と申します。前回、欠席しておりましたので、今回が初めての発言になります。どうぞよろしくお願いいたします。
  まず、私、小学校に勤めておりますので、先ほどから小学校高学年になると理科が嫌いになるというお話がありますが、それをひしひしと目の前で感じているものでございます。3・4年生に聞くと、8割から9割ぐらいが手を挙げて「理科大好き」と言いますが、5・6年生になると、「理科は好き」と言うと、「うーん」としばらく考えて、半分ぐらいが手を挙げるという状況になります。では、「なぜ嫌いなの。なぜ好きではないの」と聞きますと、「うーん、よく分からないから」と言います。だから、よく分からなくなるのですね。そこのよく分からなくなるというところで、やはり分析して、何が必要なのかというのを考えていくことが大事ではないかなと思います。
  まず、理科に対するイメージですけれども、私は小学校という立場で、理科は自然の事物や事象を対象として、そこから課題を見つけて、子供たちが主体的、協働的に課題を解決していくという教科だと思っております。
  小学校で大事にしないといけないのは、私は四つだと思っています。まずは、子供自らが主体的に問題解決をする力を付けるということ。それと、仲間、他者と協働して問題解決をしていく力を付けるということ。それと、探究することの面白さを感じる。そういう態度、心を身に付けるということ。最後に、自然を愛するという環境保全の態度を養うということ。その四つが大切だと思っています。
  その問題解決のために必要な素養、要素としまして、三つの柱に沿って整理をするということでございますので、私がふだん、小学校の現場ではできていないなと思うことで、特に大切だなと思うことを三つの柱に沿って述べさせていただきます。
  まず1本目の柱の個別の知識や技能では、小学校の先生は学びのプロセスというのはすごく大事にするのですけれども、知識やスキルに弱い傾向があります。科学的な概念として高まったのかというと、少し疑問が残る場面がよくありますので、やはり科学的な用語や概念をしっかり理解するということ。それから、数理的な力、算数で使ったことをしっかり理科で生かしていくということ。それと、実験の操作や技能を身に付けるということが大事なのではないかと思っています。
  2本目の柱の思考・判断・表現では、まずは先ほどから話題になっていますけれども、身近な自然や生活の中から問題を見出す力、これがすごく大事です。本当に先生が「今日の課題はこれです」と黒板に貼って授業が始まります。それでは、子供たちは理科の楽しさというのは味わえないのではないか、ずっと追究はしていけないのではないかなと感じているところでございます。
  そして、二つ目は、粘り強く課題を追究していく力。そして、先ほど言いました、他者と協力して課題を解決していく力。学んだことの根拠を示して他者に説明する力。学んだことを使って、新たな課題に挑戦していく力。さらには、学びのプロセスや成果を振り返って、メタ認知できる力。そういった力が必要ではないかと感じているところでございます。
  3番目の学びに向かう力では、二つあります。一つは学んだことを生活の中に生かしていこうとする態度。もう一つには、道徳性にもつながりますけれども、生命尊重であるとか、環境保全の態度、そういったことが大事なのではないかということを感じております。こういった力を育成するには、教室を社会に開いていくということが非常に大事なことであろうと感じております。理科の学習内容を純粋に科学の系統性に沿って学ぶということだけではなくて、社会や生活と関係付けて構成していくということが大切なことではないかと思います。
  そして、その理科の学習と社会や生活がつながっているということを、子供自身が見えるように、感じられるようにしていくという教材の在り方、指導方法の在り方というものが求められているのではないかと思っております。
  以上でございます。
【大島主査】    ありがとうございました。
  四つの点を挙げていただきまして、それを三つの柱の観点で御説明いただきました。ありがとうございました。
  では、次に川村委員、よろしくお願いいたします。
【川村委員】    よろしくお願いいたします。秋田大学の川村と申します。
  また話が高校の現場に関してに戻るのですけれども、1番目の議題の理科を学ぶ本質的な意義について、資質・能力に関してです。私の意見というよりは、複数の県の高校の教員と意見交換を教育課程においてしたところ、特に40代後半、50歳代の教員が、かつての教育課程だったら理科1のことを言われる方が多いように思われました。御存じのとおり、必修科目として課す理科1があって、当時は事情があって、次の学習指導要領改訂では消えてしまったのですけれども、かつてそれを指導した経験のある教員は、現在の高校の進路指導の実態を考えたときに、1年生はカリキュラム上、同じような科目を履修させ、高校2年生以降、進路を興味に応じてコース分け等をしているということを考えたときに、いろいろな意味でよかったということをおっしゃっていました。
  そのことを思い出したわけですけれども、現在の学習指導要領の高校の理科は、一つで書かれておりますが、高校で必修科目というのを設定するのか、しないのか。次回の議題と関連するのかもしれませんが、本来は資質・能力を明確にしてから教育課程の科目というものを考えるべきなのでしょうけれども、資質・能力の在り方を考えるときに、高校の理科であれば、必修科目、あるいは必履修科目というのをどうするのかを踏まえて考えていきたいなという感想を持っております。
  以上でございます。
【大島主査】    ありがとうございました。
  高校において必修科目をどう考えるかという御指摘だったと思います。
  では、赤石委員、よろしくお願いします。
【赤石委員】    高校の化学を担当しておりました。赤石です。よろしくお願いします。高校の理科教育のイメージということですが、資料4の高等学校の基礎・応用・高度に書かれている力を養うということで、言葉は尽くされているのではないかと、読ませていただいて思いました。また、皆さん方の意見を聞きながら、小・中・高と理科において育む資質や能力が段階ごとに高まっていくような形ができていくとよいと感じました。
理科において育む資質・能力についてですが、特に高校では、「根拠に基づく結論や意思決定を導き出すことができる力」が重要だと思います。言い方を換えると判断できる力とか、意思決定ができる力が重要で、そういう力を全員が理科の授業を通じて身に付ける必要があると思います。理系に行くとか文系に行くとかに関わらず、資料4の全体に書かれているような科学的な知識や技能を使って、状況を理解して意思決定ができる資質・能力、自分で判断できる資質・能力を身につけるということが非常に大事だと思います。
  そのためには、科学的な知識や、あるいは世の中との関わりといったものも当然学んでいかなければいけないのだと思います。また、理科教員の専門性が確保されていることも重要だと思います。そして、根底にあるのは、前回も話したのですけれども、自然が好きであったり、世の中が好きであったり、人が好きであったり、そういう子供を育てていく必要があるということだと思います。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございました。
  筒井委員、よろしくお願いします。
【筒井委員】    幾つかあるのですけれども、資料4と資料7を見比べながら考えたらよいのかなと思って見ていました。私は高校なので、高校のところが気になって、そこを見ると、余り対応がちゃんとしていないですね。これは良くないと思います。
  資料4の「基礎」というのが、多分、資料7の「必修科目」に対応しているのでしょうね。その上の「選択科目」というところに書かれている知識・技能とか思考力・判断力・表現力というのは、資料4の「高度」という科目に対応しているような気がします。「果敢に挑戦する」とか、「徹底的に向き合う」という表現があるので。そうすると、資料4のいわゆる「応用」の部分の知識・技能とかが、資料7の表には欠けているように思えて、どうもそこが非常に考えづらかったところです。
  それと関連するのですけれども、高校で言うと、いわゆる必修科目があり、その次に選択科目があるのですが、多くの学校が学習内容の順序や取り扱いの程度の工夫に苦労しているというのが現状です。カリキュラム・マネジメントということも言われますが、今、学校はそれぞれの学校の課題に応じて、目の前の生徒に相応しい教育を展開しようということをいろいろと考えているわけです。そうすると、この表の作りそのものが、非常にざっくりとし過ぎていて、生徒や学校が多様化している現状に対応しきれないのではないかという気がしました。
  特に物理の場合は、物理基礎と物理に分断されていることに対する違和感が非常に強いということもあります。物理基礎から必ず始めないといけないのですけれども、体系的に物理を学習する中で、いわゆる理系に、応用のレベルに進もうと思う子たちにとっても、目標としているような内容の全体が身に付けばよいわけで、学習内容や項目がもう少し自由に構成や展開ができて、自分の学校の生徒に相応しい到達目標が設定できるような学習指導要領にならないのかなという気はします。
  それともう一つ気になったのは、「総合的な」という部分のコメントというか表現なのですが、これが何を意図したものかが非常に分かりづらくて、一つの科目を学ぶ中で総合的な物の見方が身に付くのか、あるいは必修の科目を複数学ぶ中で、総合的な物の見方が身に付くのかが明らかでないので、コメントしづらいということがあります。
  気にしているのは、先ほど理科1という話が出ましたけれども、私の身の周りでは、理科1がよかったという人はほとんどいないのです。授業をして非常に困ったと。1人の人間が物化生地の全部の領域を担当しないといけないので現実的に無理で、2人で分けたとか、学年を分けて教えたとかで、実質成功しなかったというのが、今日までずっと記憶として残っています。私は今まで10年以上いろいろな場で議論してきましたけれども、安易な総合科目の創設には慎重であるべきだと思っています。今後、そういう科目の検討をするときがあれば、非常に慎重に議論をしていただきたいと思います。
  そういう点で、高校の部分というのは非常に課題が大きいのですけれども、一番重要なところの、いわゆる文系と先ほどおっしゃられたかもしれませんが、人間生活への関わりへの理解というところが、もう少しはっきり分かる形で、先ほど誰が見ても分かるという話がありましたけれども、そこが強調されてもよいのかなという部分。それから将来の研究者、技術者になる子たちにとってみると、ここに書かれているのは非常に先端的な研究者のことがイメージされているのかもしれませんが、まず基本的な、科学的な思考力を付けることと、科学的に探究する態度と能力の育成ということが明記されれば、ある意味ではそれで十分なのかなと思っています。
  中学校の部分は、高校で授業をしていて、「中学生のときにこれやった?」と聞くのですが、以前に比べて実験を経験している量は減ってきていると思います。中学校の授業そのものが、学校にもよるのでしょうけれども、実験されていないところが増えているということなので、そこをもう少しきちんと実験を通した授業になるような目標に変えていくというのは、高校入試も変わらないといけないのかもしれませんが、非常に重要だと思います。
  小学校ですけれども、理科は3年生からなのですかね。理科を2年生からにするとかしないと、小学校の先生から私が聞いているのは、小学校3年から理科の学習を始めて、3、4、5、6の4年間で小学校の内容をやろうとすると非常に厳しいのだと。3年生の導入は緩やかでも、5年、6年になると急激に小学生にとっては内容が難しくなるので、初めは好きだった子が嫌いになっているのではないですか。
  だから、そういう意味で言うと、2年生から、あるいは1年生からになればもっとよいのかもしれませんけれども、徐々に科学的な物の見方が身に付くような科目にこの際変えていく。緩やかに小学生に理科を学ばせていくことを考えてもよいのではないかなと思います。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございました。
  高校から小学校まで全般にわたってコメントを頂きました。ありがとうございました。
  では、次に鮫島委員、よろしくお願いいたします。
【鮫島委員】    よろしくお願いします。
  今日の議論も前回の議論も含めて感じることですけれども、今回、この議論の中で一番特徴的だなと思っているのは、この三つの柱の中で、一番最後の3番ですね。「学びに向かう力、人間性等」ということで、「どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか」。これが一つの柱として確立されたということが今までから見て大きな変化なのではないかなと思います。そんな中で、一番最初に松浦先生がおっしゃられていた学びのプロセスの中で、この三つの柱を実践するときに、3、2、1の順でとおっしゃった。あれがまさに今求められているものではないかと感じています。
  今回、ここで議論しなければいけない資質・能力に戻るのですけれども、そうなったときに、一番最初におっしゃられていましたが、理科を専門に学ぶ子たちだけではないので、どんな将来の子にでも対応できる資質・能力をここで設定するべきだというお話があったと思うのです。その中で求められる資質・能力の中で、ずっと議論の中で挙がっている科学的な物の見方、これをどう捉えるかというところが大事だと思うのですけれども、私個人の意見としては、科学的な根拠を持って判断できるということ。ただ、その判断というのが、特に理科の教科書で扱われるような課題研究とか、そういうものだけに限らず、社会問題であったり、日常生活の中で種々、問題になるような小さなことも含めて、科学的に判断ができることというのが求められているのかな。そういう資質・能力を身に付けさせていくということが理科に託されているのではないかなと思います。
  その中で、「どのように社会・世界と関わりよりよい人生を送るか」ということが、どう授業の中で扱われていくかというときに、論点整理の中でも言われている文脈の設定ということが多分求められているのだと思います。多分、この科学的な判断というのは、いろいろな問題があると思うのですけれども、情緒的な面から考えなければならないこととか、倫理的な判断が必要なものとか、いろいろな判断がある中で、一つの視点として科学的な判断というところを、能力を育成させてあげるための教科になると望ましいのではないかなと思います。
  この資料5に理科だけではなくて、国語から始まって、いろいろな教科の資質・能力が挙げられている中で、ほかの教科でも課題を解決していく力ということが挙げられています。それらの教科で育てていく資質・能力はまた別だと思うのですけれども、問題というのは科学の問題とか、社会の問題とか、区別できるものではなくて、それこそ一番最初の資料5の総合的な学習の一番右端に、「実社会における横断的・総合的な問題解決に取り組む態度」というものがあるように、きれいに分類されるわけではないと思いますので、どんな問題に対しても、これから生きていく上で解決していく、チャレンジしていかなければならない場面が出てくる。そのときに、一つ科学的な視点を持って、科学的な根拠に基づく判断ができる力を一つの要素として取り入れられるということが望まれているような気がします。
  あともう一点、これは先ほど来の要望になるような気がするのですけれども、資料7の、それこそ「学びに向かう力、人間性等」のところに書かれているいろいろな項目があるのですけれども、多分もう既に議論されていることかもしれません。一つキーワードとして、科学にも限界があることを認識してというような要素を組み込んでいただけると、科学が全てではないというところをやはり子供たちにも、あるいは私たちも意識していかなければならないことかなと思っております。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございました。
  何人かの先生の御指摘もありましたが、科学とは何か、科学的な見方は何かということを、ある程度定義していく必要があるのではないかという御指摘と思います。
  では、飯田委員、よろしくお願いいたします。
【飯田委員】    静岡県総合教育センターで教員の研修を担当しております、飯田でございます。
  私の方からの話も、今までの委員の方々と重複する部分もあるかと思いますが、今考えていることをお話ししようかなと思います。理科における資質・能力で必要なものと聞かれたときに、やはり現行の学習指導要領にあります問題解決の能力ですとか、探究する能力、態度が挙がるのではないかなと思います。現行の解説で、小学校の各学年で位置付けられている、これはもう今までも幾つか出ているものなのですが、比較ですとか、関係付けたり、条件を制御したりしながら調べていくという力。こういったものが小学校の先生方に、特に理科の免許を持っていない方にも浸透していっているのではないかなという実感が私はしております。これらの問題解決の能力というのが、比較をしたり、関係付けたり、条件に目を向けたりといった思考の方法というものが小学校の先生方にとって分かりやすいからではないかなと感じております。
  しかし、6年生になりますと、推論しながら調べるということが出てきますから、このあたりから、特に理科の免許を持っていない方がはてなになってくると感じております。やはり分かりにくさというものがあるのではないかなと思います。
  以前の学習指導要領では、ここが「多面的に追究する」という表現だったと思うわけですが、この分かりやすさという点から言えば、こちらの方が分かりやすいのかなと。資料4の「思考力・判断力・表現力等」の欄の6年生のところにも同様な記述がありますけれども、そういったことで前の学年の問題解決の能力を基盤としながら、多面的に分析・考察するという表現が小学校の先生方にとっては受け入れられやすいのかなと感じます。
  次に、中学校ですけれども、これも御指摘があったとおり、結果を分析、解釈、表現。これももう少し具体的にする必要があるのではないかなと思いますが、それよりも資料4にありますように、小学校からの接続を意識して、小学校を基盤としながら、資質・能力の系統性というものを表現していく。これはやはり分かりやすさに一つ寄与するのではないかなと思います。
  そうなりますと、高等学校ですけれども、現行の探究する能力と態度。これはなかなかイメージしにくいのではないかなと思います。小・中学校を基盤とするような表現にするとしたならば、例えば帰納、演繹、類推、こういった推論の形式というのを明確に扱うことによって、それを探究活動などの実験の中に埋め込んで扱うような表現というのが一つ分かりやすさに寄与するのではないかなと思います。これについては、既に先生によっては実践されている方もいるかと思いますが、教師が資質・能力の育成というのを意図して明確にと思って、この探究活動の中で行っていくと。その中に埋め込んでいく必要があるのではないかなと感じております。
  これについては、高校の基礎からにするか、応用課題にするか、いろいろ議論は分かれるかと思いますが、少なくともこれでいきますと「高度」の部分ですとか、現行で言いますと理数の中にある課題研究といった中では、内容として位置付けてもよいのではないかなと感じております。特に将来理系に進む高校生にとって、自然科学の理論というのは不変ではないということを実感することにも役立つのではないかなと感じています。
  ところで、資料4の各学校種の段階をずっと見たときに、他者と共同して取り組む力というのを資質・能力に加えるとよいのではないかなと考えています。これは、私、今研修所で教員の研修を担当しておりまして、実は社会人の学びも同様なことが言えるのではないかなと感じているからです。
  この表の左側にありますPDCAのサイクルを回転させる。その回転を促進させる要因として、この他者との関わりというのが重要ではないかなと考えるからです。この他者と共同する力というのは、多様性を尊重する態度ですとか、互いのよさを生かして、共同するために必要な力というのは、論点整理の中でも指摘されているところですけれども、それに加えまして、探究などの過程で他者の視点を入れるということで、自己の振り返りが促されていく。そして、持論化が促進されるということによって、資料7の一番右にあるように、見通しを持つことができるようになるのではないかなと思うわけです。
  例えば、振り返りの中では、自己評価をしていくわけですが、そこに他者評価を入れたり、相互に評価をするようなことを入れることによって、この振り返りというのが促されていくのではないかなと思っております。
  この理科というのは、観察・実験がありますので、他者と共同するシーンというのは多いかと思いますので、扱いやすいのではないかなと思います。ただし、やはりそのときに、教師が明確に資質・能力の育成の意図を持って、観察・実験の場面でそういった手立てを埋め込んでいくという必要があるのではないかなと感じているところであります。
  以上になります。
【大島主査】    ありがとうございました。
  小学校から中学校、高校はある程度整合性を考えながら、年齢の発達に応じた学びのイメージを資料4に少し反映した方がよいのではないかという御指摘であったと思います。
  塚田委員、あと後藤委員ですね。あと江崎委員、角屋委員ですね。最後になって御意見が出るようになってきました。では、今、札の挙がった方をもちまして、議論1を終えたいと思いますが、よろしいですか。では、塚田委員、よろしくお願いします。
【塚田委員】   
  まず、理科を学ぶ本質的な意義ということですけれども、先ほどの科学的な物の見方や考え方をどう捉えるかということにもつながるのですが、子供たちが自然事象に働き掛けることを通して、実証的に考えるということ。それから、根拠を基にして考えるということ。それから、方法的に妥当であるか考えるということ。論理的に矛盾がないか考えることなどということが、特に大切にされていることだと思っております。
  このような科学的な見方や考え方を養ってあげることで、これから子供たちがコミュニケーションをしていく中で、ある程度意見が違っても、権威ではなく、好き嫌いではなく、事実に基づく論理で話を進めていける態度ということも、育成できるのではないかなと思っております。こういったことが、理科を学ぶ意義ということになると思っております。
  次に、理科の学習を通して、児童生徒に身に付けさせるべき資質・能力ということですけれども、前回の話、議論を踏まえて、資料4に提示されたこと。結論から申しますと、私は基本的にはたたき台の案で賛成です。
  その理由が3点あります。一つ目が、小学校段階では、学年目標に位置付けられている比較や関係付けなどということは、問題解決の過程において、自然事象に働き掛ける視点として、かなり小学校理科では先生方に根付いているという点が1点目です。
  2点目ですけれども、前回の議論の中で、中学校の中では、特に分析・解釈という文言が独り歩きしているといった御意見が出されておりました。そういったことを通じて、今回の資料4は、学び方の視点というつながりが明確に示されているという点で、賛成でございます。
  3点目ですけれども、小学校で育成すべき資質・能力ということを、学習活動に埋め込んで意識して指導を行っております。何のために比較するのかとか、比較することでどのようなことが明確になるのかということで、比較すること自体が目的となっていたということがあります。そういった点で、今回の資料4では、3年生で比較することに関しては、問題を見出すことを育成することなのだということ。それから、4年生で既習学習や経験と関係付けることは、予想や仮説を発想する力につながることなのだと。このように、何のために比較するのかということが明確に示されたことは、私は賛成できる点でございます。
  ただ、比較ということが限定的に扱ってよいかどうかということは、今後、また議論の余地があるかと思いますが、基本的に事務局案でございます。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございました。
  では、江崎委員、よろしくお願いいたします。
【江崎委員】    よろしくお願いします。
  探究に関しては、私が初任の頃から言われ続け、永遠の課題ではないかなと思います。指導の面では、科学的に探究するということをもう少し具体的に示して、小学校での比較や条件制御と同じようなレベルで、中学校・高校の内容を示していかないと、現場の先生が分かりにくいのではと思います。
  子供たちにとっては、自然体験が減少してきていますので、家庭でもなかなか体験を深められない。それを学校でどう補完していくかというのが、特に小学校低学年では、科学の学習の入り口としては大きな課題になっていると思います。
  また、先ほど科学の限界ということの話がありました。もちろん科学には限界があるのだけれども、地球が抱えているさまざまな課題を解決する上で、科学は有用なのだというメッセージも加えていかないと、子供たちが科学に目を向けていくのは難しいでしょう。科学の有用性では、科学技術がこれだけ発達して、便利になったねという視点を認識させる。もう一つは、科学的な物の見方や考え方というのは理科だけでなく、皆が大人になって、社会で生活していくときの課題解決で役立つという視点とがあるのではないかと思います。そのあたりを教員は子供たちに伝えてきたのではないかと思います。
  子供たちが探究的に学習をしていく場合、どういうふうに探究すればよいのかという方法がなかなかつかめないし、教員の方も伝え切れない。論理的な思考、順序立てて説明したり、考えたりするのが苦手な子供がいる。そこで、小学校では発言するときに結論をまず言って、その後、理由として何々だからですと述べるような発表形式を立て、そこに内容を組み込むような形で発表させることもある。子供たちに科学的な探究活動をさせるなら、教員自身が、論理的に考えるというのはどういう活動なのかということを押さえていかないといけないと思います。3年生で比較、4年生で関係付けという順序で私もよいと思うのですが、論理的な思考にどう位置づけていくのかをおさえておかないと、一つ一つの具体的な資質・能力の項目が関連なく独り歩きしてしまう恐れもあると思います。
  今回の改訂では、小学校・中学校の連続性は付いてきたと思うのですが、次の改訂では、高校とのつながりが大きな課題になると思います。高校の場合、習熟度的に見ると基礎的な学力を付けることが課題となる学校もあれば、SSHのように研究者に直結するようなところもありますが、共通なことは、科学は学ぶ価値があることだということを理解させること、科学的な探究の方法を身につけさせることです。そのための指導を小学校・中学校、高校でどうするかという議論が今回大切ではないかと思います。
  なお、現場の先生方は、自分が行っている指導でよいのかどうかと考えます。ですから、特に若手の先生には、子供たちがこのように変容していたら指導の成果があったとか、こういう授業技法をもちいるとよいなどのアドバイスが必要です。日常の教材研究や研究授業で培っていくのですが、どうも自信が持てないということがある。
  そういう中では、前回にもお話ししましたけれども、指導要領の解説は、ある程度法的な制約があると思うのですが、それとは別に指導方法や評価技法について、子供たちがこういう姿になっていたら、その手法はよいのですよというふうに、先生方が自分の実践に自信が持てるようなメッセージ性のあるものも必要なのではないかなと感じます。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。
  では、角屋委員、後藤委員。ちょっと済みません。時間が押していますので、できましたら簡潔にお願いします。よろしくお願いします。では、後藤委員から。
【後藤委員】    では、簡潔にします。2点です。
  一つ目は、「思考力・判断力・表現力等」のところに関してなのですが、これはやはり小学校では問題を見出すとか、実験を企画する前に、方法論に近いものが出ていますね。学び方とか、教師からすれば学ばせ方なのですね。比較をするとか、先ほどから出ているように、「既習事項や生活経験を基に根拠のある予想」。つまり、ここにこの言葉があることで、どんな予想の立て方をさせるかとか、どんな問題を見出させるかということが、ここ20年ぐらいの理科教育の流れの中で、小学校の先生たちに定着してきていると思うのです。
  したがって、私は小・中・高と800人ずつぐらいの先生方の東京都のアンケートを取って、分析をして、そして何が指導に課題があるのかということを2年前にやったときに、小学校の先生は考察をするとか、あるいは仮説を立てるとか、こういうものに抵抗感がなく、指導法とリンクしているのですね。
  ところが、中学校や高校の先生は、その割合が2割から3割ずつ減っていくのです。お話を聞くところによると、やはりそういう手法と問題解決の能力とがリンクしていないのだと。それは、個人個人に任せられて、今まで明示もされてきていないし、どうしても任せられていると。一つは、小学校の学び方を、直接中や高の先生たちも知っていて、一緒に小学校の授業スタイルを生かして、中学校でどう使うかということを知っていらっしゃれば、それが基礎基本の学ばせ方の力だということで使っていけると思うのですけれども、もう別なのですよね。小学校の授業は小学校、中学校は中学校、だから、共有化が図られていないということが、やはりここに能力を整理していても、今後、それがちゃんと伝わっていったり、どういうふうにすれば、子供からすれば学び方がつないでいけて、教師からすれば、共有した学ばせ方が身に付いていくということは、1点目の重要なポイントだと思っています。
  2点目です。「学びに向かう力と人間性等」の中で、理科の特性としてどうしても知識に裏打ちされた感性があるような気がするのです。つまり、同じ対象を見ても、知識を得たもので見ていけば、どんどん進化したり、発展したりしていく。新しい物の見方を創っていけるのに、ここにある自然に対する畏敬の念だけですと、道徳とどう違うのだと捉えたのですね。理科なりの感性の扱い方があるのではないか。やはりこれも私は特に日本の教育を考えるとき、日本人の特性を考えるときには、非常に重要なキーワードではないかと思います。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございました。
  では、角屋委員、よろしくお願いします。
【角屋委員】    時間がなければ、次の課題に移っていただいてもよいですよ。
【大島主査】    どういたしましょうか。議題2は、一応位置付けとしては1が中心となり、2はその後と言うことになっていますが。
【米原教育課程課長補佐】    今日、議題2を設定しておりますけれども、議題1の方でいろいろ御意見があるようでしたら、議題2は次回以降に回しても全然構いませんので、むしろほかにも御意見があれば、議題1について、冒頭申しましたけれども、今回の改訂の肝でございますので、むしろ今、御意見を聞いて、また追加の御意見がある場合も、積極的に御発言していただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
【角屋委員】    ありがとうございます。
  私から二つの視点に分けてお話ししたいと思います。一つは教科の本質、理科の本質とは何かということです。それに基づいて、能力・資質をどうすればよいかということです。まず、考えなければいけないのは、古田委員がおっしゃったように、理科の人は、みんな理科が好きなのだと。その前提でやっているのですね。だから、理科の嫌いな人に理科の授業をやってもらうとよく分かるのですよ。
  どういうことかと言いますと、これは例えば理科の授業を理科たらしめているのは一体何かということです。それは、観察・実験なのですよね。そのときに、この観察・実験ということが、一体何を意味しているのかということです。それは、過去の科学史をひもといても分かるように、自分の考えたことを現象に置き換えて、それが妥当かどうかをチェックしているのですね。だから、そこにいわゆる実証性というのが出てくるのですね。かつ、実証性から再現性が保証されるわけです。再現性が保証されたら、これが客観性になるわけです。これが科学の本質ですね。これは、池内了先生の本にもちゃんと明記されています。現行の指導要領にも明記してあります。そういうものが一つの科学の本質だと思うのです。
  どういうことかというと、仮説を立てさせる、予想を立てさせることではなくて、自分の問いを何か現象でみんなに説明したいのだというために、そういう実験・観察するというところまで追い込まないと、先ほどから言っているように問題を発見して、仮説を立てて、実験してというのは、あくまでもプロセスなのですね。そうではなくて、子供自身がアクティブ・ラーニングで言われているように主体的になるということは、自分はこんなことを説明したいのだ、こんなことをみんなに知ってほしいのだというところまで追い込まないと、多分どれだけ問題解決のプロセスを緻密にしても、私はだめではないかと思います。
  だから、これからは指導法においてそのような工夫をしなければいけないとなると、今度、必ず出てくる問題が、顕微鏡を使うとか、あるいは科学の場合は顕微鏡を使わなければいけないと言うのですね。だから、小学校ですぐ「顕微鏡を使いましょう」と言うのですね。顕微鏡を使うためには、顕微鏡を使う必然性があるのですよ。まず、目で見て分からなかったら、今度は虫眼鏡にするわけですよ。虫眼鏡で分からなかったら顕微鏡を持ってくる。こういうふうに段階を踏まえないと、その器具を使うという意味が出てこないのですね。私は、そこら辺が今まで欠けているところではないかと思います。
  したがって、そういう科学の本質とか、科学の科学たるゆえんのところを戻さなければいけないということが言えます。1番目がこれです。
  2番目が、それに基づいて、能力・資質はどうすべきかとことです。これは資料4とか7に書いてありますように、おおよそこれでよいのではないかと思います。ただ一つ、能力・資質論としては、どう考えなければいけないかというと、例えば3年生は比較とか、関係付けとか、条件制御という形で来ますけれども、中学校でも分析・解釈というような、小学校と同等なものを出す必要はないのです。資料4で見ていただくと分かりますように、中学校の一番最後に「例えば」と書いてありますね。1年生は、自然事象に進んで関わり、その中から問題を見出すという形の資質・能力レベルでよいのではないかと思います。
  なぜこんなことを言うかというと、確か、ロバート、M.ガニエという人が『学習の条件』という本で、まず問題解決を8つぐらいのスキルに分け、次にそれ以上のスキルを、八つのスキルを統合し、統合的スキルとして扱っています。ということは、中学校の場合は、小学校で扱ったものを統合スキルとする方法が一つのやり方ではないかと思います。そういうふうに考えるならば、この資料4というのは非常にうまくできていると私は解釈いたしました。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございました。
  すみません。先ほど後藤委員を急かしてしまったみたいですが、何か加えることはございますか。
【後藤委員】    もう大丈夫です。
【大島主査】    よろしいですか。どうもありがとうございます。
  あと、大体一巡いたしましたので、もし付け加えることがありましたら、是非この場で言っていただきたいと思います。また、片平委員、何かございましたら、是非一言よろしくお願いします。
【片平主査代理】    先生方の御発表を聞いて、それぞれ小・中・高・大学の立場で、同じテーマに向かっているのですが、かなり意見がばらばらなのだと感じました。でも、向かっているところは、やはり科学的な見方、考え方をどう子供たちに育てようか、身に付けさせようか、そこに向かっていることは共通だと思います。
  ただ、先ほど松浦先生がおっしゃったように、探究に関しても、これまでずっとやってきて、それが現実問題としてなかなかうまく機能していない。そういう機能していないところを、どこかでしっかり議論し、あるいは、小・中・高・大の接続で、それぞれ問題だというところを、例えば、下との接続はどうなのだろうか、上との接続はどうなのだろうか、というところの議論に、具体的な改善の芽を見つけられるのではないかと思います。このような論点を意見の最後に付け加えていただくと、それが、よりよい改訂の方向に結び付いてくるのではないかなと思いました。
  それから、今回のようにまず教育課程を考えて、どのようにするかというときに、先ほど川村委員から出てきたように、理科1がどうだったか、こうだったかというのは、それぞれいろいろな考え方があると思います。初めに科目をどのようにするのか、そこに何を求めるのか。こういう議論も、当然今回の新しいワーキングの中で検討されているとは思うのですが、筒井委員がおっしゃられたように、拙速にそこでの議論で全てがクリアできるというのではないと考えます。今までない科目の中に、新たな可能性を明示しながら、これまでの理科との接続を考えていかないといけないのだなと感じました。
  いずれにしても、小・中・高の接続をこのように議論する機会というのは、多分今までの教育課程の改訂の中ではなかったことなので、多分、最初のあと何回かは結構ばらばらな意見が出てくるのではないかなと思います。そして、そのうちにどこに集約していくのだろうかと考えます。このようなことをそれぞれ考えていただいて議論が進んでいくとよいのではないかなと思いました。
  以上です。
【大島主査】    片平委員、ありがとうございます。
  では、松浦先生、よろしくお願いします。
【松浦委員】    いろいろな意見を聞いて、今、片平先生もおっしゃったように、どう議論をこの場でしていくかというのが結構難しいような気がするのですね。勉強にはなるのだけれども、限られた時間の中でどう議論していくのか。それで、多分いろいろな先生がコメントしたい、もう少し質問したり、もう少し反対したいというシチュエーションが何回もあったと思うのですよね。それを今後、限られた時間の中で、よっぽどテーマを絞らないと議論に持っていけない。場合によっては、一旦小・中・高でグループに持っていってしまって、それでもう一回持ってくるとか、それぞれ意見をしゃべるだけだともったいないなと。それをどうするのかが結構難しいなと、済みません、感想ですけれども、それを考えていかないと、せっかく集まっているのがより効果的にならないのではないかな。
【大島主査】    ワーキンググループも含めた会の運営の仕方に対するコメントでございますかね。
【松浦委員】    そうです。それが、今、片平先生が言った議論というのが、まさにそこが今日はできなかったね。
【大島主査】    田代委員も、今のことに対するコメントでいらっしゃいますか。
【田代委員】    そうです。
【大島主査】    はい。
【田代委員】    同様に、今、理科の方から資質・能力についてボトムアップしましたけれども、多分総則のワーキンググループ等で教科全体に横串になるような資質・能力を考えていると思うのです。例えば、私が思い付くのでも、課題を見出す力というのは、多分全教科でやることでしょうし、これからの時代で言えば、構想力やデザイン力みたいなものがきっと出てくると思うのですけれども、そういうものが出てきたときに、理科の場合は構想力であれば、観察・実験を自分で計画するというのは、理科でできる構想力を育てる大事な活動ですという議論も、多分どこかでやらなければいけないのではないかなと、これは全体の教科と理科の関係のことでの補足になります。
【大島主査】    前から縦串と横串の議論はございましたが、大杉室長、よろしくお願いします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。そういった横串と教科別の御議論と全体をまとめ上げる御議論というのは、御指摘ありましたように、各小学校部会、中学校部会、高校部会というのもございますので、そこで縦横を考えていく必要があるわけでございます。現時点は、教科の御議論をじっくりやっていただくという段階であろうかと思います。横串を通した議論につきましては、今回、いつもとは少し違うのは論点整理というものがあることだと思います。御指摘のような創造性でありますとか、課題解決能力全体として目指すものがある程度論点整理に示された上で、今回は教科の御議論を頂いているということで、教科の中でもこれを踏まえた御議論を今まさに頂いているということで、大きな方向性はそちらに向かって、最終段階でまた微調整をさせていただくところはあろうかと思いますけれども、そういうことかと思います。
  それから、今後のワーキングの進め方でございますけれども、場合によっては小さなグループというものも御相談させていただきたいと思いますが、ただそのときには小・中と高を分けるということではないのではないかなと思っております。例えば、小・中・高一貫した科学的な物の見方は何かということを少し分野別に考えてみるでありますとか、そういうところで少し御専門の先生方ごとに分かれてみるというのはあり得るかと思いますけれども、今回大事なのは、やはり小・中・高を通じた観点ということではないかなと思っております。これにつきましても、今後また御相談をさせていただきたいと思います。
【大島主査】    ありがとうございます。
  ほかに何か御意見ございますでしょうか。
  では、議題1について皆様より本当に多様な、様々な御意見を伺いまして、ありがとうございました。これらを整理しながら、次回にまたつなげていきたいと思っております。
  では、一旦事務局にお返しいたします。よろしくお願いいたします。
【米原教育課程課長補佐】    では、議題2についてでございますけれども、もう時間も押しておりますので、簡単に資料の説明だけさせていただいて、具体的な議論は次回ということにさせていただきたいと思います。
  議題2でございますけれども、現行の学習指導要領の現状の課題についてということで、御議論いただきたいと考えております。今回も資料8ということで配らせていただいておりますけれども、もう現行の指導要領が実施されて、小学校・中学校・高校、それぞれ数年間たっておりますけれども、学校現場で実施をするに当たっての課題等も出てきていると思われます。もう既に議題1の議論の際にも、幾つか必履修の話であったり、御意見を頂いているところでございますけれども、そういったこと等について、それ以外にも生じている課題があれば、次回、御意見を頂きたいと考えております。
  資料としましては、前回もお配りしているものでございますけれども、資料8の1ページでございますが、今の学習指導要領はどうなっているかということで、前の学習指導要領から現行の学習指導要領におきまして、指導内容を充実して、授業時間数も小学校・中学校ともに大きく増やしているというところ。
  また、観察・実験の充実であったり、課題学習の導入、日常生活や社会との関連性の重視といったことをうたっているところでございます。
  また、高校理科の科目の構成については、物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎というものを新設して、このうち3科目を必履修とするという形で設定しているところでございます。授業時数につきましても、先ほど増やしたと申し上げましたけれども、小学校・中学校、学年ごとには、この1ページ目にあるような形になっているところでございます。
  めくっていただきまして、次のページでございますけれども、理数教育の現状としまして、先ほど申し上げたとおり、物理、化学、生物、地学、それぞれに基礎科目があるという形で、それ以外に科学と人間生活と理科課題研究という科目があるという構成に現行の指導要領はなってございます。
  丸2でございますけれども、基礎を付した科目については、履修率は上昇しているということがございますし、丸3については、理科の教科書のページ数、高校ですけれども、大きく増加したということが挙げられております。
  また、丸4ですが、SSHみたいな取組というのも成果を上げてきているところでございます。
  ページをめくっていただきまして、高校の課題ですけれども、冒頭の検討事項のところで申し上げましたけれども、数学や理科の勉強が好きだと答えた高校生の割合は非常に低いということが言えます。また、学年が上がるにしたがって下がっていくということが言えます。また、丸3にございますけれども、社会に出たら理科が必要なくなると答えた高校生の割合も、国際比較で日本は非常に低いという結果になっています。
  また、理科の自由研究等の実施についても、小学校5年生が一番多いのですが、そこからどんどん下がってきている。また、右の表で見ていただければと思いますけれども、高校生になるとほとんど行われないという実態がある。
  そういうことがございますが、これはデータ等で我々が把握している課題でございますけれども、またそれ以外に学校現場で今の学習指導要領でこういう課題が発生しているということがあれば、是非それぞれの立場でいろいろと御知見があるかと思いますので、御意見を頂ければと考えております。それにつきましては、次回またよろしくお願いしたいと思っております。
  説明は以上です。
【大島主査】    ありがとうございました。
  議題2について御説明を頂いたところです。議題2も非常に重要な観点ですが、時間の関係上、本日ではなくて次回にするということで、是非よろしくお願いしたいと思います。
  では、そのほかとして事務局からはございますでしょうか。特によろしいですか。
  では、議題1に関しましては、本当に皆様から様々な御意見を頂きましてありがとうございました。議題2は次回に回すということで、議題1で、本日はここまでにしたいと思っております。
  本日お出しいただきました御意見については、事務局で論点ごとにその趣旨を整理してまとめていただきますように、是非よろしくお願いいたします。
  あと、限られた時間内での討議でしたので、更に御意見やお気付きの点などがありましたら、是非ペーパーにておまとめいただきまして、事務局にお送りいただければと思っております。
  では、本日予定されていました議題はここまでとさせていただきたいと思います。
  最後に、次回以降の日程などについて、事務局より御説明をお願いいたします。
【米原教育課程課長補佐】    次回は1月14日、木曜日ですけれども、16時から18時の開催を予定しております。場所は文部科学省の3F2特別会議室、ここと同じ会議室で開催を予定しております。
  また、先ほど主査からもお話しいただきましたが、ペーパー等による御意見も頂戴したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  また、本日の配付資料は机上に置いておいていただければ、後ほど郵送させていただきますので、そのまま置いておいてください。よろしくお願いします。
  以上です。
【大島主査】    では皆様、本日のワーキンググループをこれで終了させていただきたいと思います。
  今年最後のワーキンググループになり、次回は来年1月早々の開催となります皆様よいお年をどうぞお過ごしくださいませ。
  本日はどうもありがとうございました。

──  了  ──

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