資料3-2 情報ワーキンググループ(第3回)における主な意見

(アクティブ・ラーニングの視点に立った学習プロセスにおけるICTの効果的活用)
○ 従来の教育から何をICTに置き換えるか、例えば、掛図が実物投影機にというような少しずつの置き換えがあったはずであり、そうしたことがスタートになるのではないか。いきなりアクティブ・ラーニングにということではなく、一斉学習におけるICT活用が基本として重要になってくるのではないか。

○ ICTと板書など、今までのものとどのようにつなげていけば子供たちの学びを深められるのかを示していくことも重要ではないか。

○ アクティブ・ラーニングの視点に立ったICT活用という意味では、課題解決の授業や知識創造の授業という新しい授業形態を基に整理しないと、これまでと変わらない使い方にとどまってしまうのではないか。アクティブ・ラーニングによる知的創造や課題解決を引き上げていくような使い方を各教科に提案できるとよいのではないか。

○ 原則レベルにとどめ教員がそれぞれのステップで使い方を考えるか、活動レベルまで示していくかの整理が必要である。原則のレベルでは、考えを外に出す「外化」をして、それを互いに「共有」する、それを「再吟味」するという3つの原則でまとめられる。ICTの活用により、それぞれ、考えを外に出しやすい、遠くの子供などとやりとりできる、記録の強みを生かすということがやりやすくなる。活動レベルで、ICTを使うとよいと教員が感じられるように仕組んでいくとすると、1.問題の定義、解決の方向性、解決方法の提案などでの情報提示、2.問題を解いていく過程での足場掛け、スキャフォールドとしてのシミュレーション、3.人間の記憶の制約を超える意味で効果的な記録の活用(資料では深い学びの方にあるが、主体的な学びにも関わるのではないか。)、4.調べ学習の4つが、効果的な活動として挙げられるのではないか。

○ 情報の保存、情報処理に関わるルーチン、シミュレーションという3つのツールが、いろいろな場面で生きるのではないか。特にICTを活用した場合の特性をまとめておくと、各教科で共通理解をして展開できるのではないか。

○ ICT活用は、ある学習活動で行われるが、それは単発ではなくつながっていくということをどのように表すかが重要。このことは、アクティブ・ラーニングにおいて「対話的な学び」が起こりつつ「深い学び」になったり、「主体的な学び」になったりすることとも関連するのではないか。

○ ICTをうまく活用している事例では、問題発見・解決のそれぞれの段階で、情報を収集し、加工して、発信するというプロセスを繰り返しながら深めていくという学校が多い。問題解決のプロセスの一つ一つがサイクルになっているのではないか。

○ 子供たちは、ビデオに対して親和性が高く、自分のペースで学習できる、繰り返して見られる、分かるところは飛ばすなど、個に応じた活用が簡単にできるという特性がある。また、写真を撮ることにも親和性が高く、写真をうまく整理したり、記録を振り返ったりという活動が容易になる。さらに、百科事典の代わりにインターネットを通じて簡単に「調べ学習」ができるというのも、大きなメリットである。資料では、「問題の発見」は教師から課題が与えられているイメージだが、「問題の発見」等の場面でも、「調べ学習」は必ず必要になるのではないか。

○ ICT活用の一番の強みは、シミュレーションであり、数学と理科とが連携したデータ分析などが実践されている。全体的には、LMSを使って意見を出し合い、情報共有し、評価を皆でフィードバックして再吟味するといったことが、全ての教科で活用できるのではないか。

○ 資料の挿絵は、コンピュータや電子黒板を使うものだが、全教科に諮るのであれば、センサーや制御系のものがあってもよいのではないか。

○ 例えば、縦3×横4の壁をつくるという課題でプログラミングを行うと、縦3個を作って4回ループする、横4個を作って3回ループする、向きをどうするかといった、複数のアプローチがあるが、子供たちがそれぞれの考えで実現しその記録を取って発表することができるので、いろいろな考え方があるということを理解させるツールとして有効であり、プレゼンテーション能力にも寄与している。また、問題を解いていくプロセスの筆跡を全て記録すると、ここでペンが止まったのでこういうタイプの計算が苦手だと、スキルアップの課題を出すなど、記録から個別学習にもつながっている。

○ ICT活用には機器を使うというイメージが強いが、情報のディジタル化の側面もあり、ディジタル化された情報の特性を生かして授業の中で使うという視点も重要ではないか。

○ 一番重要なことは、問題をいかに発見できるかであり、各教科において、いかに適切な課題、テーマを設定して子供たちに与えていけるのかが重要になるのではないか。

○ 巨大なリソースとしてのインターネットの活用はほとんどの教科に関わってくると思われるので、明示的に提示するのがよいのではないか。

○ 現実の世界とディジタルの世界とで子供たちは行動が少し異なるが、初期の段階から、プログラムは壊してはいけないとか、ディジタルの世界であっても人は傷つくといったことを学ぶために、ソーシャルやバーチャルの空間で協働的にコミュニケーションするような学習も必要なのではないか。

○ 例えば、紙の辞書と電子辞書など、媒体やデバイスは、あるものを使って自分の問題解決が進められればよく、子供たちが自分で、この場合は何が適切な媒体なのかを考えながら活動できるようにするとよいのではないか。

○ インフラ整備を進めることを前提としつつ、整備が十分ではないところでも、このように使えば子供の学びを深められると示していくことが重要。

○ ICTの整備状況によって、ICT活用もおのずと変わってくる。例えば、クラウドが使えれば「記録の活用」は対話的な学びにもなっていく。整備状況によってイメージは相当変わってくるが、やはりあるべき姿を基に作り、整備が十分でないところもこの姿に近づけていきましょうという発想の方がよいのではないか。

(資質・能力の「三つの柱」による整理)
○ 情報ならではの観点を明確にして、かつそれと教科との絡みを実現していけるとよい。例えば、クレジットが「三つの柱」のそれぞれでこういうふうにつながっているとか、発達段階に応じて、小学校低学年では「人に物を借りるときにはちゃんと断る」といった目標がクレジットの出発点になる、というようなものを出していけるとよい。「三つの柱」、小・中・高を一貫してデザインしていけると強力なのではないか。

○ 身に付けさせたい情報手段の使い方と、例えば小学校段階でキーボードをしっかり使うような表現活動が入っているかといった、学習活動とをうまくマッチングできるようなかたちで各教科に提案できるとよいのではないか。

○ 個別の知識・技能が、ある教科のある単元だけ当てはまるというかたちになるともったいない。各教科のいろいろな単元にうまく散りばめられるような提案ができるとよいのではないか。

○ 個別の知識・技能について、「情報でやればよい」と言われそうだが、10年後ということであれば、各教科で使ってもらえるような表現ができるとよい。

○ 教科等の学習を通じて身に付ける知識等は、当然、必要になってくるものであるが、情報活用能力はそうした知識の上に乗るものではないか。教員の情報活用能力のとらえ方が広すぎると思うが、さらに広くなりすぎるのではないかと懸念される。

○ 個別の知識・技能に教科等の学習が入っているのは、整理・検討が必要ではないか

○ 情報モラルは思考・判断・表現の重要なところであり、資質・能力の「三つの柱」の全てにあるというメッセージが必要ではないか。

○ 思考力・判断力・表現力等の中に情報モラルも入っているだろうと思われるが明確なものが分からない。小・中・高の段階でこれぐらいのことといったことをもう少し明確に示すとよいのではないか。

○ 情報モラルについては、どうしても道徳的な情報モラルに終始しがちであるが、情報を科学的に理解した上での情報モラル、情報セキュリティということにも触れていく必要があるのではないか。

○ 「情報セキュリティ」がキーワードとなっていないが、情報セキュリティは情報モラル以上に科学的な理解が必要とされるので、情報モラルと情報セキュリティとを区別して、明示的に示してもよいのではないか。

○ 受け手の状況などを踏まえた情報発信は重要であるが、思考力・判断力・表現力等にしか関わらないようにも見えるので、工夫が必要ではないか。

○ 情報をどのように消費していくのか、情報が社会の中にどう溶け込んでいるかを学ぶというように読めるが、IOTが進み、これから学ぶ子供たちは、知らないうちに行動の中で情報を提供する主体になっていくと想定される。自らが提供した情報をどう分析するかも重要であり、情報を出している主体であることを認識するような内容も必要なのではないか。

○ 小学校の段階でも、プログラミングを通じて子供たちは、自分がコンピュータに働きかけるというのが分かると、工夫して創造したり、自然と協調したりする場面が見られる。使うだけでなく、コンピュータに働きかけることのおもしろさは、小学生のうちに体験的にできるのではないか。

○ プログラミングは、1980年代にも流行し、そのときは、抽象的な概念であるとか論理的な思考力を育むためのものであったが、現在のプログラミングは、コードの学習ではなく活用、ツール単体ではなくコミュニティへの参加、0から作るのではなくリミックスであり、コンピュータの社会にどのように参加するかという一手段として位置付けられている。子供たちが社会に出るときのサイバー空間を前提として、今、そのような方向に行くべきかという判断も必要ではないか。

○ 例えばキーボードの操作など、基礎的なコンピュータの操作能力がどこで培われるのか、トレーニングは不要なのか考えておきたい。また、情報セキュリティや情報モラルについても、高等学校卒業までに全ての生徒にというのは同意するのであるが、小学校低学年からそれらは関わってくるのではないか。

○ 機器が操作できないことには活用のしようがなく、小学校の段階で、段階的に機器操作がきちんとできるようにするべきではないか。

○ 機器を使って問題解決しようとするときの、支えとなる操作技能はどこまでかは見極めにくい部分があり、キーボード入力は不要になる、いや、レポートを書くときなど当面必要であるといった議論がある。どこまでを教育内容として入れるかは、本ワーキンググループからしっかりと提言しておかないといけない。

○ 文字入力や簡単な検索、倫理、シミュレーションなど、教科を指定してやってくださいとお願いすることも本ワーキンググループで議論できるとよいのではないか。

○ 中学校の技術分野では、ディジタルに特化した情報を活用するというところを深めることができ、その中で情報技術やプログラミングが入ってくる。他教科では情報を幅広く捉えてもらい、専門性の部分と幅広い部分とのバランスがとれるような見せ方ができるとよいのではないか。

○ 情報科は、高等学校で身に付ける情報活用能力を全て包含するものであり、さらに、他教科では学ばない情報科のアイデンティティーと言えるコアな部分が上積み、上乗せされるようなイメージである。また、中学校の技術分野の役割も示し、小・中・高の発達段階に応じ、いろいろな教科・科目で育成するというイメージが広がるよう、見せ方の工夫も必要である。

○ 小・中学校までで知識と経験はほぼ完結、ある程度できあがってて、その上で高校で科学的な知として体系化していくとなると、高校としてはやりやすくなるのではないか。

○ 情報の科学的な理解が高校で中心になり、そこから一部の内容を前倒しでということになれば、例えば小学校の副読本でといったデザインもできるが、そこまで踏み切ってよいのかという判断は大きなものとしてあるのではないか。

○ 情報学につながっていく部分もあり、日本学術会議の参照基準との関連も、ある程度明確にしていく必要があるのではないか。

○ 「情報手段」の用語について、各教科で特別なものと捉えられてしまってはもったいない。例えば21世紀型スキルの整理であれば、情報と情報手段は情報リテラシーとICTリテラシーといった切り分けをしており、検討が必要ではないか。


お問合せ先

生涯学習政策局情報教育課情報教育振興室情報教育企画係

電話番号:03-5253-4111(代表)(内線2090)