資料3-1 教育課程部会情報ワーキンググループ(第2回)における主な意見

○ 情報の分野は特に変化が激しく、高校卒業までに何を学ぶべきかを具体的なところまで全ては予見できないという特徴が強くある。変化していく個別の知識・技能に対して、学びの本質としてどのような知識やものの見方が残るのかという整理が進むとよい。本質的なところで情報のどういうことを分かっていると新しいものに適応的な理解ができるかを踏まえて、学び直して適応的に自分の知識や技能の質を上げていこうとする態度を身に付けることが情報の科学的な理解の中でしっかりできると良いのではないか。

○ コンピューター技術の根底には数学的・物理的な基礎があり、普遍的なものがあるということを意識する必要がある。学んだことを社会に出てから生かし応用できるよう、情報の科学的な理解の基礎を身に付けさせなければならない。それをどのように社会に当てはめていくのか、活用していくのかが、情報活用の実践力と情報社会に参画する態度に相当するのではないか。

○ コンピュータは、ノイマン型で作られてから大きくは変わっておらず、原理・原則をしっかり押さえていれば、新しいものが出てきても、理解し使っていくことができる。そうした工学的な基礎知識と、統計的なアプローチも含めてコンピュータに計算させた結果をどう分析し生かしていくのかということが重要な部分ではないか。

○ イメージとしては、情報活用の実践力は思考力・判断力・表現力等に、情報の科学的な理解は知識・理解に、情報社会に参画する態度は学びに向かう力、人間性のところに深く関連しているが、それだけでなく、知識が更に態度を生み、それがまた考えを呼び起こすというように、これらは密接に関連していく。一方で、科学的な理解が個別の知識・技能に深く関わっているというのはごく自然な考え方であり、科学的な理解を足がかりとして、知識・技能、思考力・判断力・表現力等、態度の互いの関連を考えていくと、うまく整理できるのではないか。

○ 思考力・判断力・表現力等について、情報活用の実践力、情報の科学的な理解、情報社会に参画する態度の具体を、思考・判断、その結果の表現という並びの中で展開するかということに留意して整理する必要があるのではないか。

○ 「個別の知識・技能」と「学びに向かう力、人間性等」の整理についてはある程度の合意ができているかと思うが、「思考力・判断力・表現力等」が課題。「個別の知識・技能」を使ってどのような力を付けるのか、どのような力が付いているから「学びに向かう力、人間性」につながるのかは重要である。

○ 「思考力・判断力・表現力等」は他の2つが要素的な、学力の目標論の話であるのに対して、学習の過程に絡んでいるのが特徴であろう。情報技術を使いながら子供たちが実際に情報を使っていくというような学習のプロセスに基づいた目標になるとよいのではないか。

○ 「知識・技能」に関して、問題を発見し解決するための知識については、人間自身がどのように情報を処理しているか、どう考えているかという視点もある。学習者自身の学び方に対する理解にも通じるのではないか。また、「思考力・判断力・表現力等」や「学びに向かう力、人間性等」に関して、情報の背景にある「他者」であるとか、「対話を通して」といったプロセスに関連するキーワードが入ってくると、より具体的に各教科における情報活用能力育成にも広げていくことができるのではないか。

○ これまで、各教科の目標の中でさりげなく情報活用能力を育んでいたようなところがあった。きれいに整理することによって各教科の目標に上乗せするように見えてしまわないように、今後うまく説明していく必要があるのではないか。

○ 「三つの柱」で整理された資質・能力を、「三つの柱」、3観点、小・中・高の段階で区分した枠に入れると、どこがメインか、どこが薄いかといったことが分かるのではないか。

○ 「三つの柱」、3観点、発達段階、各教科の4つの軸で考えなければならないというのが大きな課題である。

○ 知識を組み立てて表現するときにも、ソフトを組み上げるときと同じように、既に作られているものを積極的に活用するという側面があるのではないか。また、協働で何か物を作るというようなことも、情報においては必要となるスキルなのではないか。

○ 子供にとっては体験せずに基礎だけ学んでもおもしろくない。まず活用して、今使ったものの裏にはこういう科学や技術があるとか、小・中学校で活用してきたものがどういう原理で動いているのかを高校で知るであるとか、科学的な理解は今まで学んできたことの種明かしという整理にするとよいのではないか。

○ 先行的に体験があって、それを後追いで知識で強化していくような考え方は重要であり、高等学校で全てを種明かしするのでは遅く、小学校、中学校で種明かしできる部分はあるのではないか。

○ 例えばスマホのゲームはプログラムからできているというような、現実のものとコンピュータの中のものを見せながら行っていく科学的な理解に関する学習は、小学校でこれをやったから終わりということではなく、何回もスパイラルとして学んでいくことが必要ではないか。

○ 小学校においても、問題解決的な学習をすればするほど、情報活用能力が必要となっていくので、基本的なスキルの指標が必要ではないか。また、小学校においては、情報の科学的な理解があまり重視されていないが、情報の基本的な知識や概念は、小学校のうちから学んでおくべきであり、問題解決的な学びと情報活用能力が密接に関連すること、現代的な課題について学ぶときこそ情報活用能力が大きく関連することを示していくべきではないか。

○ 小学校から、楽しく協働的にICTを使って学び、それを小学生にも分かる言葉で、「3観点から見てみたら」ということが伝えられるとよいのではないか。例えば、実践力については「情報を使ったらどんな問題が解けるのかな」、科学的な理解については「情報って何だろう?」、態度については「情報の向こうにいる人とどういうふうに付き合うといいのかな」というような、情報の観点を鮮明に出していき、繰り返し学ぶことで、いろいろなものがつながっていくのではないか。

○ スキャモンの発達・発育曲線のようなものが情報活用能力にもあり、情報の科学的な理解は、小学校で全くないわけではないが、実践力や態度と同じではなく、高校ではウェイトが高くなるといった曲線が、実践力や態度は直線的にあるいは小学校の段階で高くなるような曲線が描けるのではないか。

○ 教科「情報」においては、情報学の基礎的な部分として、コンピュータの仕組み、ネットワークの仕組み、セキュリティを必履修科目に、応用の部分を選択科目にと分けることができるのではないか。問題解決についても、プログラミング、モデル化とシミュレーション、データベースといった手法が加わった必履修科目が考えられるのではないか。

○ システムを作る立場でなくても、いろいろなことができる、どういうことが危険であるか分かるなど、よいユーザーを育てるために情報科があるのではないか。どのようなユーザーになって欲しいかということを前提に、高等学校卒業段階で必要な資質・能力を検討すべきではないか。

○ 必履修科目の方では、よいユーザー、自分ではできなくてもプログラマーに対してこんなふうにしてくださいと言えるインタープリターを育てていきたい。

○ 高等学校でやっていることをそのまま中学校に降ろすというよりは、現在、中学校で行われている学習を少し引き上げるような形も考えられるのではないか。中学校では、ハードウェアの計測・制御のほか、アプリケーションソフトの作成についても扱えるようにして、バランスを取っていくことが必要ではないか。

○ 中学校技術・家庭科の「情報に関する技術」と高等学校情報科の学びの連続性をどのように実現していくかが重要。高等学校情報科を学ぶときに、中学校ではこんなことを学んだということが思い出せるような内容でなければ、子供たちは全く別なものを学んでいるような感覚になる。連続性を実現し、12年間継続して、また、繰り返して学んでいくことで、子供たちにハイレベルな内容を身に付けさせることができるのではないか。

○ コンピュータを使ったりプレゼンテーションをしたりするのは、情報以外の教科でもできることであり、情報の科学的な理解を教科「情報」のコアの部分としてくことが必要なのではないか。

○ 情報の科学的な理解については、かなり抽象的で人間工学的な内容まで言及されており、全ての教科・科目、小・中学校も含めて考えるとしっくり収まるが、反面、情報科学が少し抜け落ちているようなイメージがあり、情報科の内容に特化して考えたときには少し足りないのではないか。その一方で、小・中学生には難しそうな物事の考え方の手法についても、情報科において子供たちに示していけるとよいのではないか。

○ 共通必履修科目の履修を前提とした選択科目の内容について、別な内容の積み上げにするのか、同じ内容の高度なものにするかについて、十分議論する必要がある。

○ 小学校から高等学校までを見通し情報活用能力を体系的に示す必要があるのではないか。高等学校においては、情報以外の教科においても、子供たちが問題解決していくような学びを行っていく必要があるのではないか。

○ 「情報手段」という言葉について、必ずしも「情報技術」を意識しなくても情報を活用できるのではあるが、「情報手段」という言葉で曖昧になっているところがあり、学年・校種等によるかもしれないが、「情報技術」という言葉に代えることも検討する必要があるのではないか。

○ 言葉の理解で混乱が生じないようにする必要がある。例えば、「社会の中で」と言ったときに目の前にある社会だけではなく、ネットの社会やサイバー空間をイメージすることもある。最終的にまとめるときまで整理が必要である。


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