教育課程部会 情報ワーキンググループ(第5回) 議事録

1.日時

平成28年2月23日(火曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省3階3F2特別会議室
東京都千代田区霞が関3‐2‐2

3.議題

  1. 情報教育の改善充実について
  2. その他

4.議事録

【堀田主査】  おはようございます。ちょっと早いんですけれども、五十嵐先生は15分遅れてお越しということになっておりますので、ほかの皆さんおそろいですので、定刻より前ではございますが、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会の情報ワーキンググループの第5回を開催いたします。
本日はお忙しい中、御参集いただきまして、ありがとうございます。
まず、事務局より最初に配付資料の確認をお願いいたします。
【稲葉情報教育振興室長補佐】  それでは配付資料の確認をさせていただきます。本日は、議事次第に掲載しておりますとおり、資料1、参考資料1、それから机上での配付資料、右肩に「回収資料」とございます机上配付資料がございます。そのほか、タブレット端末の方に関連の資料、本ワーキンググループの前回までの配付資料等をデータで入れさせていただいております。不足がありましたらば、お申し付けいただければと思います。
なお、毎回お配りをしております前回の本ワーキンググループにおきます主な御意見につきましては、大変申し訳ございませんが、次回配付させていただければと考えております。
以上でございます。
【堀田主査】  ありがとうございます。本日は、前回に引き続きまして、特に高等学校の教科「情報」の改善について御議論いただくことになってございます。
事務局より、まず資料の内容について御説明をお願いいたします。
【稲葉情報教育振興室長補佐】  それでは、まずお手元に机上配付させていただいております回収資料であります「情報活用能力調査(高等学校)の中間集計」につきまして、簡単に御報告させていただきたいと思います。
情報活用能力調査に関しましては、先生方御承知のとおり、平成25年度に小学校、中学校の調査を実施し、昨年3月にその結果を公表させていただいたところでございます。高等学校の情報活用能力調査につきましては、現在実施中でございまして、中間的に約3割ほど数字が出ましたので、その状況を簡単にお知らせしたいと思います。
高等学校の情報活用能力調査につきましては、高等学校第2学年の生徒150校の約5,000人を対象といたしまして、昨年12月から今年の3月までを予定いたしておりまして、その間に調査を実施することとしております。およそ一月前の1月23日までの実施で、約3割超の学校あるいは対象生徒数の結果をまとめましたので、その結果でございます。
まず、小学校、中学校と同様の傾向が見られたものが幾つかございました。小学校、中学校でも指摘をしておりましたけれども、整備された情報を読み取るということはできるけれども、複数のウェブページから目的に応じて特定の情報を見つけ出して関連付ける、こういったことに課題があるのではないか。また、複数のグラフを対比・対照しながら情報を整理・解釈する、受け手の状況に応じて情報発信をするといったことに課題があるのではないかというふうなこと。また、その右側でございますけれども、自動制御に関する情報処理の手順を考えて、アルゴリズムを用いて表現することに課題があるのではないか。情報の発信、伝達の際に個人の権利を、肖像権や著作権を理解して、それを踏まえて適切に対処することに課題があるのではないか、この辺りのところが見られたところでございました。
また、高等学校の調査で新たに見られました課題といたしましては、具体的な事象を解釈し、その事象の原因や傾向を比較したり、予測したりするのに必要なデータを提示するといったようなことや、表計算アプリケーションを使いまして比較的簡単なデータの処理や統計の解釈をするといったことに、やはり課題があるのではないかというのが見られたところでございます。
まだ実は10校ほど実施が終わっていない学校がございまして、問題の中身を詳しく御説明できなくて大変恐縮でございますが、このような結果が見られたというところを御報告させていただきたいと思います。
では、引き続きまして、本日の資料の御説明をさせていただきたいと思います。
資料1を御覧いただきたいと思います。
本日は資料1の1ページ目にございますとおり、検討事項の1から4までございます。これにつきまして、今から御説明させていただきたいと思います。
まず検討事項の1から3までにつきまして御説明をさせていただきたいと思います。
1ページをおめくりいただきまして、2ページの検討事項1でございます。「情報科において育む資質・能力の『三つの柱』による整理について」ということで、これは少しページが動いて恐縮ですが、4ページから6ページまでに、これは本ワーキンググループで御議論いただきまして、先月1月18日の総則・評価特別部会の方に報告をさせていただきました情報処理の三つの柱から整理した高等学校卒業までの全ての生徒に育むべき情報に関わる資質・能力や、小・中・高等学校の発達段階に応じた資質・能力育成の観点、これを先月の総則・評価特別部会に報告をさせていただきました。
これを踏まえまして、情報科において育む資質・能力、これが三つの柱によってどのように整理されるのか、というものを整理してみたものが2ページの表でございます。これにつきまして、このように整理してよろしいかどうかというところを御議論いただければと思います。
また、これに関連をいたしまして、3ページの論点2でございますけれども、情報科において育まれる資質・能力の中核となる情報科の本質に根差した見方・考え方というのはどのようなものと考えられるのかということにつきましても、御議論いただければと思います。
この見方・考え方は、世界をどのように捉えるのか、そしてそれに対してどのような枠組みで思考するかといったことを各教科で整理をしているところでございまして、情報科の特徴と言えるものをどのような見方・考え方になるかということを、これもたたき台でございますけれども、整理をさせていただいたところでございます。
検討事項1につきましては、以上でございます。
引き続き、検討事項2につきまして御説明させていただきたいと思います。7ページを御覧いただきたいと思います。
7ページに抜粋を掲載しておりますのは論点整理でございます。論点整理では、その下線を引いておりますように、「プログラミングや情報セキュリティをはじめとする情報モラルなどに関する学習活動の充実を発達段階に応じて図る」ということが提言をされております。
これを踏まえまして、高等学校の情報科、これらについての充実を検討していく上で、下の論点に二つ挙げております点を少し御議論を頂ければと考えております。すなわち情報科におけますプログラム(プログラミング)に関する学習の狙いはどのようなものであるか、また指導に当たりましてどのようなことに配慮すべきか。同じく、情報科における情報セキュリティに関する学習の狙い(目的)はどのようなものであって、また指導に当たってはどのようなことに留意するべきか。こういったことにつきまして御議論を頂ければと考えております。
検討事項3でございます。検討事項3は「情報科の各科目の目標・内容の改善について」ということで、これまでの検討事項1、2を踏まえまして、情報科の「情報と情報技術を問題の発見と解決に活用するための科学的な考え方等を育成する共通必履修科目」、この後「情報Ⅰ」と仮称でございますが、呼ばせていただきます。それと発展的な内容の選択科目、これも仮称でございますけれども「情報Ⅱ」というふうにこの後呼ばせていただきます、のそれぞれにおきましてどのような資質・能力を育むべきかということについて、三点目としては御議論を頂きたいと考えております。
9ページ、10ページがそれをたたき台としてまとめさせていただいたものでございまして、前回の本ワーキンググループでの御意見を踏まえまして、このような形に構成をさせていただきました。
内容につきましては後ほど調査官の方から説明させていただきますが、見方でございますけれども、左側の「項目」に対しましてそれぞれの項目でどのような資質・能力を育むということが考えられるかということ、そしてその右側「学習活動の例」というふうにございますけれども、単に知識として習得するということだけではなく、問題解決的な学習活動をどのように課題を設定して展開をしていくかということを、あくまでも例でございますけれども、こういった学習活動を通して真ん中の欄の資質・能力を育んでいく、こういうようなことを考えて作った表でございます。
では、内容のことにつきましては、調査官の方から補足をさせていただきたいと思います。
【鹿野教科調査官】  内容につきまして補足させていただきます。
前回のワーキンググループの指摘を受けまして、例えば(1)の情報社会というところ、これを前の方に持っていくという形。これを導入としまして以下続けていくんですが、一つ一つが問題解決のサイクルになるようにというような形で、こういう整理をさせていただきました。
前回のワーキンググループでは、コミュニケーション、情報デザイン等をⅠの方にというような話もございまして、それは(2)の方に入ってございます。コンピュータとプログラミングにつきましては(3)ということで、問題発見・解決のためにということでございますが、目的としましては、コンピュータ内部の情報であるとか、情報が処理される仕組みであるとか、それからプログラミングの有用性等々についてここでやっていくという形になります。モデル化とシミュレーションの考え方につきましては(4)、そして情報通信ネットワーク、データの利用等の中にクラウドコンピューティング、情報セキュリティなど、情報社会の安全、情報モラルについても入れてございます。
右側にありますのは具体の学習活動でございますが、この一つの問いで全てをということではございません。あくまで例ということで考えていただければというように思います。
続きまして、10ページの情報Ⅱでございますが、情報Ⅰでは、今ある社会について考え、そして情報Ⅱの方では、それを基にこれからということも含めまして(1)ということで、これを以下の導入という形で入れております。
(2)につきましては、コミュニケーションと情報コンテンツとありますが、Ⅰの方で入れました情報デザインを受けまして、こちらの方としましてはコンテンツ、例えば動画であるとか、それから処理、表現であるとか、それに伴うデータの圧縮であるとか展開、あるいは表現方法としましてのバーチャルリアリティー、そして著作権云々についてここに入れてございます。
(3)につきましては情報とデータサインエンスということで、データを扱うという観点からこういう方法について問題解決のサイクルの中で学んでいくと。具体な活動としましてこういうことは書いてございますが、これは一例でございます。
そして(4)につきまして、Ⅰの方では個別のコンピュータのプログラミングをやりますが、ここでは情報システムということで、複数のものが絡んでくるようなところにつきましてのプログラム、そしてそのセキュリティを保つための暗号化、そして目的に応じてこういうシステムを構成するような力というようなところを身に付けていくというようなことを考えております。
前回ワーキンググループでは(5)の課題研究というところについて、これは指導方法であるという話はございましたが、具体の項目として入れるかどうかということはともかく課題研究のような形で習ったことを総合していくと、あるいは深化させていくということは必要であろうということで、これは挙げさせていただきました。
以上でございます。
【堀田主査】  ありがとうございました。
ただいま事務局より情報活用能力調査(高等学校)の中間集計と資料1に関する検討事項の御説明がありました。
中間集計については質問等を受けたところで正確には答えられない、まだ実施中ですので。ただ小・中学校と大体同じような傾向が、程度の差はあれ出ているということが課題として挙げられているということです。
資料1には、本日の検討事項が四つあるんですけれども、そのうちの検討事項1、2、3について御説明を頂いたということです。審議につきましては1から順番にやってまいります。とはいえ2や3と関係するだろうということで、具体的な教科の内容まで今御説明を頂いたということになります。
それではまず、検討事項1からまいります。検討事項1は、小・中・高はもう議論済みというふうに考えて、その中からとりわけ高等学校情報科で育む資質・能力というのを三つの柱で整理するというお仕事となります。これにつきまして、15分ほどのお時間でございます。具体的な対象は2ページと3ページになります。これにつきまして御意見を頂ければと思います。いかがでしょうか。
またいつものように立てていただければと思います。
益川委員。次、小原委員行きます。
【益川委員】  はい、よろしくお願いします。
論点2の、特にこの緑色の部分についてですが、高校の情報科で取り扱う内容について「社会、産業、生活、自然等のさまざまの事象から解決すべき問題を見出す」というふうにあります。ここのところですが、バランスに気を付けなければいけないとは思うのですが、各教科の専門の内容を、この情報科の中で価値ある活動につなげるような、教科とつながる事象から解決すべき問題みたいな要素も入るといいのではないかと思います。
そのようなことをやることで例えばカリキュラム・マネジメントであるとか、教科横断的な内容をきちんとこちらの高校の情報科で扱って、結果、生徒たちは各教科内容をこの情報科を媒介として、いろいろな事象や課題解決や知識につなげたりですとか、または逆に情報科の位置付けを大きくする意味で、先生方がいろいろな教科の先生とコラボレーションしながら授業を展開していったりというような、例えば問題解決のプロジェクト学習の実行には様々な支援も必要になってくるので、そういう視点も多く見据えながら、核となるような内容としてこの緑色の部分を位置付けることができればいいんじゃないかなと思いました。
以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。この緑色の部分は各教科で共通ですか。それとも情報として作っているんですか。
【稲葉情報教育振興室長補佐】  各教科それぞれの教科の特質に応じて作られているというふうに承知をしております。例えば地理歴史科、公民科等でありましたらば、歴史的事象や地理的事象といったような言い方をしております。また理科では、言葉は正確ではありませんが、自然の事象などを扱うというふうになっているところでございます。
【堀田主査】  そうすると情報科としては、情報科らしくここは表してもよいということですね。それを強調する意味で、今益川委員のおっしゃったようなことは一つの考え方としてあり得るということです。ありがとうございます。
小原委員、お願いします。
【小原委員】  小原です。よろしくお願いします。
論点1の(1)思考力、判断力、表現力、2ページになると思うのですが、この三つ、知識・技能、思考力、判断力、表現力、人間性等を見ると、どうも真ん中の思考力、判断力、表現力が見た目にどうしても薄く見えがちになってしまうような気がします。
何がもっと付け加えられる、あるいは何が適切なのかと考えたときに、4ページのところに「新たな価値を創造したり」というのが入っていると思われます。高等学校レベルになると、特にその後から出てくる情報Ⅰ、情報Ⅱのところで「新たな価値を創造する」というのが一つのキーワードになり得るのかなと思われます。これは恐らく高校レベルでないと、小学校、中学校レベルでは少し難しいかなと思われます。そうすると高等学校の情報科においてはやはり「新たな価値を創造する」というような文言を、思考力、判断力、表現力の中に少し意図的に組み入れていってもよろしいのではないのかなという気がします。
以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。貴重な意見です。
ほかにいかがでしょうか。西端委員、お願いします。
【西端委員】  失礼します。論点2の方の図のことについて一言コメントをさせていただきます。
「世界をどのように捉えるか」という青いところが左から右に流れています。そして、緑のところの対象領域になって、今度は「どのような枠組みで思考するか」という、ダイダイ色のところが下から上に流れているので、どうも緑色の上から下の矢印と矛盾というか、対立しているように見えて仕方がないです。
そこで提案としては、どのような枠組みで思考するかというオレンジ色のところ、上から下に流れるようにするか、もしくは緑の中の矢印をちょっと向きを変えるかしないと、なぜここで対立や矛盾のような図式になっているのだろうと思って、少し悩んでしまいました。これはあくまで意見でございます。
以上でございます。
【堀田主査】  ありがとうございます。意外とそういうところは重要ですね。
ほかにいかがでしょうか。柴田委員。
【柴田委員】  大変細かいところですけれども、「システム」という言葉が2ページ、3ページと入っていますが、3ページの方には「有機的な結び付き」という注釈があります。「システム」という言葉は非常にイメージとしてあやふやな、人によっていろいろなイメージを持ってしまいますので、誰もが同じイメージを持てるような言葉に置き換えられるとよいかなと思いました。
以上です。
【堀田主査】  今のは「システム」という言葉を置き換える、それとも「有機的な結び付き」という言葉を置き換える。
【柴田委員】  有機的な結び付きという方はまだ分かるかなと思うんですが、それがシステムというふうにすると、誰もが解釈できるのかなというところで、できれば「システム」という言葉がほかの言葉に置き換えられるとよいのかなと思いました。
【堀田主査】  ありがとうございました。
これは何か事務局……、いいですか。
ほかに。小泉委員、お願いします。
【小泉主査代理】  今二人からいただいた発言についてです。益川委員からの質問と柴田委員からの質問について逆に御質問があるんですけれども、まず益川委員が論点2の緑の部分の表現は、情報科としての特性をどう生かすかという提案をされて、大変重要なことだと思います。これは自分の案ですけれども、例えば社会、産業、生活、自然、更に理科も入っているし、公民も入っているしということ、この部分を、情報社会の様々な事象と言い切っちゃうというのはいかがでしょうか。
もう一つ、柴田委員からの質問で、システムという表現が工夫できないかということなんですけれども、確かにおっしゃるとおりで、システムという言葉自体がそもそも何らかの目的があって、そのためにいろいろな要素が準備されて、それらの要素が有機的に機能して目的を達成するという意味で使うことがあります。なので、情報と情報システムの視点からというふうに言い切ると、情報そのもの及び情報システムという、正に情報科で扱うデジタル化されたデータ、更にハードウエア、ネットワークも含めてという意味で分かりやすい。原案では、この情報と情報システムの視点からという表現にして、あえて補足をしたのだと思われるんですけれども、有機的な結び付きというのを割愛した方がよい。また、この場合、情報の有機的な結び付きも含めたんだと思うんですけれども、そもそも我々が使っている情報というのは、本来有機的な結び付きがないこともあるので、そういう意味で括弧の部分を割愛するのはよいことだと思うのですが、どうでしょう。
【堀田主査】  質問というのは、益川委員の質問。
【小泉主査代理】  そうです。
【堀田主査】  では、益川委員、何かありましたら。
【益川委員】  例えば先ほどの質問について、堀田主査の考え方に基づいてちょっと具体的に考えてみたんですけれども、例えば3段階にして、初めにこの情報社会に基づいてというところが1段目にあって、2段目に各教科にも遠くからつながってくる社会、産業、生活、自然等のいろいろな事象というのがあって、そういうものに対して課題解決をして、先ほど小原委員が言われたような「新しい価値を生み出す」みたいな、何かそういうサイクルを回すというところを、例えばこの緑色の中心部分に持ってくるのがいいんではないかなというふうに思いました。
【堀田主査】  ありがとうございます。
柴田委員、何かありますか。
【柴田委員】  なかなかいい言葉が浮かばないんですけれども、情報技術が果たしている役割のようなものが情報システムなのかなと思います。特にシステムという言葉は教科情報の学習項目の内容にも入っているので、それと混乱しないかなと思いました。
以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。
五十嵐委員、お願いします。
【五十嵐委員】  ありがとうございます。世の中のいろいろな問題というのは、それぞれの教科の枠の中では絶対考えられなくて、全てのいろいろな領域が重なっていると思います。そういう意味から、小学校では広く全部見ますけれども、中・高と行くに従って、それぞれ教科の専門性がどんどん出てくるので、逆の意味でつながりが難しくなってしまうという困った点があります。
そこで、情報科では問題解決の手法をきちんと学ぶのですから、この教科で学んだからこそ、本当に現代のいろいろな課題を解決するということができるようにしなければならないと思います。先ほど益川委員のおっしゃったように、情報科がイメージとしては各教科の上位になるといいますか、各教科の中で狭い問題解決ではなくて、情報科を中心としてそれぞれの教科が一緒になって、現実的な、本当に社会に出たときに生きて役に立つような問題解決の取組が必要だと思うんです。
現実的には教科の時間の制限もあるので、まずは情報科の中で、教科をコーディネートしていくといいますか、横断的に見ていく中心となる教科であるというふうに打ち出した方がいいのではないかと思います。
以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。
野部委員。
【野部委員】  失礼いたします。野部です。
多分後ろの方の教科と関係してくるのかなと思うのですけれども、「問題の解決」という言葉が情報科の中で何回も出てきます。その問題の解決の内容をどこに求めるかということが、実際この論点2のように大きく関係してくるのではないかなと思いました。
前回の話でも出てきていますし、今も出てきておりますけれども、積極的に他教科と関わっていくのか、それとも科学的理解に裏打ちされたという中で、情報社会の中のいろいろなものを考えていくのかというところで、変わってくるのかなと思いました。
ただ、今の書き方は総花的な感じもいたしますので、情報科の特質みたいなものがあるといいなと少し思っております。
【堀田主査】  ありがとうございます。この図については、まだあくまで事務局側のたたき台でございますが、今皆さんの御意見を頂いて、これから修正に入るということになります。緑色の部分をどう書くかという貴重な御意見を頂きましたけれども、それに対して青とオレンジがあって、オレンジの方は物の考え方といいましょうか。つまりそのときに問題を発見・解決するというところに情報技術をうまく使うんだと、そのためにモデル化とかシミュレーションとかプログラミングとかをやるんだというのが、情報科らしい物の考え方ということになります。
左側の青いところは、情報科で学ぶ人はどういうふうに社会を見るか、「世界」と書いてありますけれども、ということで、つまり世の中には情報がいろいろある。あるいはその情報がうまくつながっている、あるいは「システム」と書くかどうか分かりませんけれども、そういうものが処理されていると、そういうふうに物を見るというのが左です。そういう物の見方あるいは考え方で教科情報というのを作るということに対して、細かい言い回しも含めて御意見が欲しいということです。
これはいずれ教科の目標につながっていく話なので、また戻って来てもいいんですけれども、割と重要な話ということになります。
特に御意見がなければ先に進めますが、中川委員、じゃ、行きましょう。
【中川委員】  3ページの下のオレンジのところなんですが、少しリアクティブな印象を受けます。活用するという点に関しては、新たな視点を見出すというのがコンピュータというか、情報科学の一つの特性かと思います。小原委員の「創造的」というところのコメントがありましたけれども、ちょっとそれに近いんですが、創造というと全く新しいものを生み出すとちょっと敷居がひとつ高い印象を私は持ちまして、「同じ物事を違う観点から見る新たな視点を持つ」というような文言が何か入れられないかなというのが一つ。あとはもう一つは、コンピュータ、情報科学の特色の一つとして、最適化という部分があるんですけれども、これがモデル化の中に含まれているということであれば結構なんですけれども、もし含まれていないのであれば、同じことを行うのでもより最適に行うことがコンピュータという道具を使って行う特性の一つになりますので、どこかに最適化、これはプログラミングの中に入れないかなというふうに感じております。
【堀田主査】  ありがとうございます。今のような議論というのは、実は各教科の中にもあって、算数、数学でも算数、数学的な物の見方、考え方というのがあり、その考え方の一つにいかに簡単に、あるいはいかに早く、いかに合理的にという、そういう考え方がありますよね。なので、いろいろな解法があるけれども、これが一番そういう早く簡単に正確にできるねという議論を子供たちにさせることもあります。
今の最適化というのも、専門用語としての最適化というよりも、プログラムなどを組むときに、よりこういうふうにしておいた方が合理的で再利用可能でみたいな話は、考え方に入れてもいいことかもしれません。ありがとうございました。
安藤委員、これでこの1の議論は終わりにします。お願いします。
【安藤委員】  3ページのオレンジ色の部分についてです。これまでの議論の中にも少し出てきて、今の話の最適化にも少し関係するかもしれませんけれども、情報技術の適切かつ効果的な活用というところで、目指すところは活用でいいと思いますが、活用する前に一度評価をするという場面が必要なんじゃないかと思います。情報を特徴付けるという点でいうと、やはり情報は多種多様なものが次々出てくるということや、進展が激しいという特徴の中で、活用する前に一度評価するという思考も大事なんではないかなと思いました。ほかの資料の中にも「評価」という言葉がいろいろ入っておりますので、そのようなものがここの中でも見えるようにするとよいのではないかと思いました。
以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。
ひとまずここまでとさせていただきますが、これは次回まで掛けてしっかりと議論したい内容です。論点2のところの3ページの図もそうですけれども、2ページの1、2、3のこの三つの柱、とりわけ2のところが少し薄く見えるという辺りについては、ちょっと検討が必要かと思っています。
これ、似た図が4ページにあって、4ページの方は小・中・高を通してやっているやつですけれども、これの思考力、判断力、表現力のところには、いわゆる情報をうまく収集して、整理して、発信してみたいな、いわゆる情報活用のプロセスがここには入っていますけれども、それを教科情報では余り明示していないです。今の状況では。むしろそれよりもいろいろな事象を情報やシステムの観点から捉えていくということを前に出していると、そういう考え方でよいかどうかということについても、また継続的に審議しなきゃいけないし、それはこの後の検討事項2や3を議論する上で、また明確になっていくことかなとも思いますので、これできょう検討事項1が終わって、これで決まったというふうには理解しないということの確認だけしておきたいと思います。
ありがとうございました。
それでは、次に、検討事項2に入ります。
検討事項2は、情報科における「情報の科学的な理解」に関わる学習の充実、情報科は今回「情報の科学的な理解に裏打ちされた」という言い方で出てきていますので、情報の科学的な理解の部分をしっかりと充実させなきゃいけないということになります。
その中でも、特に論点整理には「プログラミング」という言葉と「情報セキュリティをはじめとする情報モラル」という言葉があります。このセキュリティをはじめとする情報モラルというのは、情報モラルは今までもずっと議論されてきているわけですけれども、もう少し情報セキュリティ的な観点をしっかりと入れる必要があるのではないか、時代の要請ですね。その情報セキュリティというのは情報の科学的な理解に裏打ちされてないといけないのではないか、プログラミングももちろんそうです。そういう背景で、その下の論点が1と2になっています。一つ目がプログラミング、二つ目がセキュリティで、これがどんな目的で、どんなことに留意して行われるべきかということが7ページに書いてございます。ここにつきまして、これからいろいろな御意見を頂くということになります。
これを議論していくと、その次の教科の内容、科目の内容等に入っていく部分もあろうかとも思うんですけれども、入っても構いませんが、今はまずは検討事項2ということで、後で検討事項3としての議論の時間は、また別途とりたいと思っております。
前置き長くなりましたが、ここにつきまして皆さんの御意見をよろしくお願いいたします。兼宗委員、佐藤委員、野部委員、まずここまで行きましょう。
【兼宗委員】  兼宗です。よろしくお願いします。
小・中・高と見た場合に、高等学校は一番最後のまとめ的な教科になるかなと思っておりますので、大変重要な位置付けと思っています。以前も申し上げたことがあると思いますが、現在の日常生活で役立つということと、それから高校を卒業してからの長い人生でどうやって学んでいくかという二つの観点から考えると分かりやすいように個人的には感じています。
そういう意味でプログラムを見ますと、職業としても役立ちますし、いろいろと仕事で活用することもできます。小・中では、やって楽しいとか、それを通して何かを学べるという活動が合っているとか思いますが、高校では、できればそれだけではなくて、卒業後も、それは進学するかとかというお話とか職業に就くかというお話だけではなくて、自分でプログラムやソフトウエアというものを深めてみたいと思ったら自分で学んでいけるような基礎というものを与えるという、要するに基礎力を付けるというか、可能性を与えるということが非常に重要ではないかなというふうに感じております。
その辺りの基礎的なものは何かということを考えて、きょうは検討事項3になるかと思いますが、考えていただけると非常にありがたいと思います。
その一つが、プログラムだけをやればプログラムが書けるようになるということでは全くありませんので、コンピュータ科学の基礎という、ここでいうと情報の科学的な理解に相当すると思いますが、そういったものも含めてしっかりやっていただければというふうに思います。
【堀田主査】  先生、もう少し詳しく欲しいんですけれども、内容を今議論するに当たりまして、プログラミングがちゃんとできるためのコンピュータ科学の基礎というのは、例えばどういう内容をイメージされていますか。
【兼宗委員】  そうですね。中学まで例えばプログラムはフローチャートに代表されるような手順の処理の流れというものを考えていくことになりますが、それは割と小規模なソフトウエア開発に有効でありまして、イメージでいうと50行ぐらいとか、100行とかまではそれで通用するのですが、それ以上になると処理の流れだけでは処理を表現し切れなくなってきます。
簡単に言うと、我々がスマートフォンやタブレットで使うソフトウエアの中は、処理の流れのフローチャートとして考えられているというよりは、何かボタンが押されたらそこで初めて処理が始まるというように、あらかじめ想定された処理だけで作られているわけではありません。そういう考え方もこれからは必要ということを伝えてあげるということは、中学校の段階のプログラムと高校の段階のプログラムはかなり違うのだろうなと感じています。一例ですとそういう考えです。
【堀田主査】  ありがとうございました。
佐藤委員、お願いします。
【佐藤委員】  佐藤です。よろしくお願いいたします。
まず論点1、2に共通することですけれども、情報科の目標としましては、コンピュータを使って問題解決をするという大きな目標があると思います。その視点から考えてみまして、まず1番、プログラミングに関する学習の狙いということですが、プログラムというのはいわゆる問題解決の手法の一つであるということで、そういったことの狙いで科学的な理解の基礎につながると思っております。その中で、コンピュータの仕組みを勉強したりとか、コンピュータと会話していったりとかというようなことを指導の中に盛り込んでいくと。そのプログラミングということを問題解決の中の手法の一つとすることで、先ほどから言われている判断力、思考力、表現力みたいなところにもつながるということが留意すべき点ではないかと思っています。
それから論点2のセキュリティの方ですが、これも考え方によっては問題解決の手法の一つであるプログラミングでもやっていけるのかなという内容の工夫みたいなものをできるとは思いますが、ここでは私が最初から申し上げているネットワークの理解ですね。やはりプログラミングもそうなんですけれども、ネットワークの仕組みを少し指導の中で理解をした上で、こちらの方はどちらかというとセキュリティですから、具体的に暗号化などいろいろな実習があるとは思うんですけれども、こちらの方は社会と関わる部分ではないのかなと。情報社会と関わっていく部分というふうに捉えております。
以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。
次、野部委員ですが、その後、津賀委員、小原委員、柴田委員で行きます。お願いします。
【野部委員】  野部です。失礼します。
プログラムを教えるときに、よく一番言われているのが論理的思考ということが言われてますが、でも別にプログラムではなくても、数学でもできるのではと思っておりまして、ではプログラムをすることで何かというと、やはりコンピュータとの関わり、コンピュータの仕組み、そういったことを知るためではないかと思っています。
ただ、これが小・中学校からプログラミングをするというような話になってきた場合、高等学校ではそれだけでいいのかという問題です。例えば体育とか音楽とかも全部そうですけれども、日常生活で体を動かすことは大事であるとか、音楽を楽しむことが大事であるということと一緒に、競技人、アスリートになる方であるとかプロの音楽家になる方というのも別にいますよと。同じように、高校のプログラミングを学ぶことで即プログラマーになるわけではないにしても、そのようなことを思考できる子供たちを育てる部分というのもやはりあるのかなと思います。
ですから、進路保証というかその方向に伸びていく子供たちへの興味を伸ばせるようなものというのも、どこかの観点に要るのではないかなと思っています。具体的ではないのですけれども、一つの考え方ということでお願いします。
【堀田主査】  ありがとうございます。今の話、特に前半の論理的思考、プログラミングで伸びる力は何なのかみたいな議論というのはずっとあって、それを主として論理的思考に持ってくると、あるいは創造性に持ってくると、それはほかの教科でもやっていることで、情報科に無理に入れてなくてもいいじゃないみたいな話になるんだけれども、情報社会について理解する、あるいは情報システムについて理解するというのはこの教科の特性だと考えると、そこを中心に持っていくべきではないかという意見と、それだけでは足りない、小・中との接続のところをどうするかという御意見だったというふうに思います。
情報科らしさというのをただしていかなきゃいけないと思うので、そこのところは非常に大事な論点かと思います。
津賀委員。
【津賀委員】  隣の6ページに小学校から高等学校までの情報教育の流れがありますが、その中で技術・家庭科において、計測・制御、コンテンツに関するプログラミングを整理していいただいております。授業時間数としてはそれほど多くないことが予想されますので、教科「情報」としては、できればそういった過去の経験、中学校での既習事項を踏まえまして、それをよりよくするような視点があってもよろしいのかなと思っております。
初回か2回目かのワーキンググループで、プログラミング教育に関して入り口、出口をどうするのかという話をしたかとは思いますが、入り口としては中学校の既習事項の延長上で考えるべきかなと思っております。
一方、出口については、どこまで持っていくのか難しいところがありますが、少なくとも、情報オリンピック等の様々なコンテスト等を踏まえて、御検討いただければと思います。プログラミングの取っ掛かりがつかめなくて、コンテストを受けたくても受けられない子も結構いるのです。その辺をフォローできるようなところまで、教科「情報」におけるプログラミング教育は、持ち上げてあげてもいいのかなと思っております。
以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。今、中学の技術科との関係が出ましたが、上野調査官がいらっしゃいますので、今中学技術でプログラミングについてどういうふうに議論されているかの御紹介を頂けますでしょうか。
【上野教科調査官】  家庭、技術・家庭ワーキンググループで現在までに検討されている状況ということで説明させていただきます。技術分野には4つの内容があり、その一つが「情報に関する技術」です。それぞれの内容は、「現在社会で活用されている技術について学ぶ項目」、「技術を使って問題を解決する項目」、「今後の社会における技術について考える項目」の三つで構成するという意見でまとまりつつあります。そして、唯一「情報に関する技術」のみ「問題を解決する項目」を二つにする案が示されています。他の内容は一つです。この二つというのは、いわゆる計測・制御に関するプログラミングで問題を解決すること、もう一つは動的コンテンツを用いて問題を解決することを想定しています。 以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。途中経過ですが、非常に貴重な情報でございます。
小原委員、お願いします。
【小原委員】  小原です。たびたび恐れ入ります。
野部委員、佐藤委員からもかなりお話があったと思うのですけれども、私はプログラミングを学ぶ一番の理由というのは、やはりコンピュータそのものを知ることだ、これに尽きるのではないかなというふうに思います。コンピュータの中の言葉というのはプログラミングでなされているわけであり、我々が例えば外国の方々とコミュニケーションを取るときに外国語を話すことと同じような形で、コンピュータの中で語られているプログラミングというものは、これからのIoTと呼ばれる時代、この先数十年後にはAIが全人類の知能を超える、と言われている時代では、やはり、ほぼ全員の方が学んでいく必要があるのではないのかというふうに思っています。
そういうような観点では、やはり単純に流れや手順など、問題解決ももちろん大事なのですけれども、やはりコンピュータの言葉をある程度知ることによって、コンピュータの中ではどのように動いているのか、データの形式はどうなっているのか、そういうことを学びながら理解していくことが大切ではないかと考えます。
副次的な要素として、その中で例えば自分が何かをしようとしたときに「トライ・アンド・エラー」が簡単にできるなど、そういうような特徴もプログラミングは持っていると思うんです。そういうような中で、スモールステップの問題解決、いわゆる「小さな課題解決」と言ったらよろしいのでしょうかね、そういうような形もプログラミングを通して行うことができると考えています。
現行学習指導要領解説「社会と情報」の中に「どんなに情報通信技術が進んだとしても、やはり世界は人間が幸せに、幸福に生きるためにある」というような部分があります。そうやって考えると、やはり人間がコンピュータに命令を出す、コンピュータに何か会話をするときに用いるプログラミングというのは、やはりしっかりとした形で扱っていくというのは避けて通れないものじゃないかなと考えます。
以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。今の意見は、ということは、兼宗委員がさっきおっしゃったような、プログラムの書き方あるいは何かそういうもの以外のデータ構造など、そういうこともしっかりと教えていくということですかね。
【小原委員】  そうですね。コンピュータで動いているような仕組みを理解していく上でも、そのような領域のある程度はやはりやっていかないと、中学校でかなりコンピュータを使った解決まで今やれるというお話でしたので、であれば、兼宗委員がおっしゃるような、もっと今後本質的なことをやっていってもよろしいんじゃないかなと考えます。
【堀田主査】  ありがとうございました。プログラミングという言葉は独り歩きしていて、学習活動として、例えばスクラッチみたいなので小学生でもこんなのができましたみたいな。だけれども、それによって何が学び取られたかということを、小学校は体験でいいとしても、高校では少なくとも考えていかなきゃいけないとすると、プログラミングを通して何を理解させ、何が分かって、何が思考できるようになるかみたいな話と、そのために必要なプログラムを組むということ以外の周辺の知識・理解はどういうふうになっているかということは、はっきりさせなきゃいけないところかと思っております。
柴田委員、次、益川委員行きます。
【柴田委員】  野部委員、小原委員の話が大分整理されたので、重なるところが多いんですけれども、やはりプログラミングを学ぶ目的というのは、情報社会の中でコンピュータの仕組みをある程度全ての子供たちが知っておいた方がよいという考え方の真っ向勝負の表現が一番いいのかなと。論理的思考力や創造性というのはプログラミングを学ぶ目的ではなく、メリットに過ぎないのかなというふうに思っています。
もう一つの考え方として意識していただきたいのは、アルファベットのTの字を逆さまにした逆Tの字をイメージしているんですけれども、全ての子供たちが学ぶ底辺の部分、B基準というんですかね、そういうところはある程度、コンピュータとか情報社会の仕組みとかを理解するというところでいいんですが、スペシャリストにつながる土台としてしっかり芽を育むという科目になっていかなきゃいけないのかなと思っています。それが縦の部分ですかね。横の部分の土台がしっかりしないと縦の部分が立たないんだと、そこをイメージして、全ての高校生にどこまで学ばせるのかというのを考えていったらいいのかなというふうに思っています。
それからあとセキュリティの部分ですけれども、これも学ぶ理由は命とか人権とか、財産を守るためと、情報社会の中でそういったものを守るためなのかなと思っていますが、この「留意点」というところの一つのアイデアとしては、自動車で言えば教習所みたいな、安全でありながらいろいろな社会を経験できるようなそういった場所で、例えばあえて相手のサーバーを攻撃してみるという経験をすれば、守り方も分かってくるんじゃないかなと思いますので、そういう学習環境が整うとセキュリティを単なる知識ではなく、体験的、経験的に身に付けられるんじゃないかなというふうに思っています。
以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。
次、益川委員に行きますが、その後五十嵐委員、安藤委員、ここまでとさせていただきます。
では、益川委員。
【益川委員】  主に情報セキュリティ等にも関わる話ですが、留意すべき点として、例えば一番生徒にとって身近な情報端末となりますとスマートフォンなどとなります。なので、学校としての対応の仕方にも関わってくることですが、やはりルール規制してどうとかという形ではなく、実感を持って情報セキュリティであるとか社会に向かう態度とかを育てるためにも、手元に持っている身近なものも活用しながら、いろいろな価値であるとか、大事さであるとか、セキュリティの考え方であるとか、そういうものを育むことができるような視点の枠組みの中で、この情報科の中で核として取り組んでいくような体制がとれるといいのかなと思います。
ですので、機器としても学校が整備するコンピュータ、パソコンだけではなくて、生徒自身が持っている道具自身も使っていくであるなど、そういうような積極的なカリキュラム体系というのが大事じゃないかなと思います。
以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。
五十嵐委員。
【五十嵐委員】  ありがとうございます。全然違う視点からなんですけれども、中ほどに「次期改訂に向けては、幼児期に育まれた言葉による伝え合い等の基礎の上に」という言葉があって、この言葉はとても大事だなと思いました。
私は隣の幼稚園でよく感動するのは、幼児こそ問題解決への塊といいますか、好奇心の塊といいますか、ものすごいんです。いろいろな四季折々の生き物や植物を育てたり飼ったりしていると、えさどうするの、これどうなっちゃうの、死んじゃうのと言って、保育士さんに聞いても分からないので、その辺の図鑑やら絵本やらを必死で調べている姿を見ます。本当に好奇心旺盛ですから、問題を解決しようという意欲の基礎は幼児期にあるなと痛感しております。「伝え合い」だけじゃなくてこういう視点も入れたいなと思います。
以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。この四角の中はもう論点整理で公表されているものですよね。今、五十嵐委員のおっしゃった、そういうことをもっと大事にしたいということと、それと情報活用能力といいましょうか、そういうことはすごく関係している話だというふうに御理解いたしました。
安藤委員、お願いします。
【安藤委員】  論点1についてお話しさせていただきたいと思います。
文科省の情報教育指導力向上支援事業で、プログラミングの実践事例等をまとめられています。そういうものを見る中で、今既に話に出た部分も含めまして、個人的に四つの学習の狙いがあるのかなと感じています。
一つが、小原委員がおっしゃったようなコンピュータを理解するということ。そして2番目は、中学校の技術の接続的なことして、手順の自動化及び最適化。そして3番目は、小学校のプログラミング等で行えるような表現を目的としたプログラミングというのがあると思います。そして4番目は、例えば亀とか猫とかを動かして四角を書いてみることで、四角とはどういうものであるのかを認識をするという、そういった学習があります。高校においてもそういったことの接続を考えた学習の狙いというのを立てるとよいのかなと思っています。
それに当たって、指導に関してどのようなことを留意すべきかということなんですけれども、プログラミングというのは非常に試すコストが低く,結果がすぐに分かるという特徴があります。その特徴を捉えると、やはりこの試行錯誤をするとかデバッグをするとか指導の在り方というのはやはり大事になってくるかと思います。また,先ほどの実践事例の中に多く見られるように、ペアプログラミング等のように協働的に取り組ませるということも指導の方法としては特徴的なものかと思います。
そしてさらに、さっき逆Tの字というのがありましたけれども、先に行くことを許してはどうかなと思うんです。授業の中で最低限の目標というのは必要ですけれども、プログラミングの場合はある程度先に進むことを許していくことで、先ほどおっしゃられたようなある程度進める子というのが育つんではないかと思います。そのためには、先生から全て教わるというよりはプログラミングに関する調べ方・リファレンスの仕方を指導上の留意点として持つといいのかなと思いました。中・高の接続の点では、津賀委員からあったように、中学校でやはりロボット等のハードウエアを使って計測と制御をやっていますので、高校で実際に物を動かすとか制御の手順を自動化するとかの学習も取り入れ,工学的な流れというのも途切れないようにしていただきたいなと思います。
以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。今の時代のプログラミング、これは中川委員もおっしゃっていたことかもしれませんけれども、大体全部自分で一から組むということは多分ないわけで、そういう意味ではリファレンスとかあるいはモジュールを借りるとか、それの著作権がどうだとかという話は、大事なことかなというふうに思います。ありがとうございました。
議論尽きない部分があるんですけれども、一旦検討事項2はここまでとさせていただきまして、続いて検討事項3にまいります。ページで言うと8ページ、9ページ、10ページになります。
ここでの議論は、高校の情報科について今議論してきたわけですけれども、これを今度は科目に分解していくときの必履修科目としての情報Ⅰ(仮称)と、発展的な選択科目としての情報Ⅱ(仮称)の内容について、こういう割り付け方でよいかどうかということについての議論でございます。きょうのこれは一番メインの議論になりますので、できるだけ多くの御意見を皆さんから頂きまして、更に事務局でブラッシュアップしていくということとしたいと思います。
一応最初に前置きで言っておくと、中教審の情報ワーキンググループで出た様々な考え方や方向感や、こういうことに配慮すべきだみたいな意見を基に中教審の答申が作られて、そしてそれを受けて学習指導要領を文部科学省が作っていくわけですから、ここで意見が出なければ、出なかったことを学習指導要領に入れるというのはほぼ無理ということになります。なので、できるだけ幅広に、そして細かい部分も含めて御意見を頂いておいた方が私どもとしてはありがたいという、私どものミッションというふうに考えております。
それでは、検討事項3につきまして、1からでも2からでも、またがるような大きな話でも構いませんので、よろしくお願いします。これは皆さん立ちますね。
まず今早かったのは野部委員で、兼宗委員、佐藤委員、柴田委員の順番でまず行きます。
はい、お願いします。
【野部委員】  失礼します。言いたいことがいっぱいあって整理がついていないところもあります。まず「問題発見・解決のために」というのがかなり多く書いてありまして、問題発見・解決のためにとなっているのでメインではないと思うけれども、問題発見・解決が大きくなってしまうと、何かがぼやけてしまうのではないかなと思います。もっと情報科的なものがメインに来てほしいなというのが感想です。
ただ前回と違いまして、コンピュータのプログラミングという形で項目が立っているので、そこはましになったのかなと思っていますが、「問題発見と解決」という部分を、学習指導要領の解説でされるのか、その辺は分からないですが、先の図にもありましたように、何を問題発見・解決に持ってくるかによって、情報科としてのメインの部分というのが見えにくくなったりするのではというのが、懸念としてあります。
それから、先ほどの中間集計でも実は気になっていたのですが、引用についての理解をというところが22.3%というのが図解で出ておりました。今、コミュニケーションと情報デザインという(2)というのを見ますと、情報Ⅱの方で「著作権や引用の仕方について知り」ということが書いてあります。けれども、これに関して言えば、発展科目でみんながとるようなものではなく、全員知っておいてほしいような内容ですよね。むしろ本当に今いろいろな問題がネットなどでも起こっていることを考えれば、小・中でも取り入れてほしいレベルの問題だと思うので、これはⅠの方に是非持ってきていただきたいなと思いました。
あと、学習活動の方へ少し入っていきますと、情報Ⅰの方のコンピュータとプログラミング、いろいろ学習活動として気になるところがあります。「ワープロや表計算の内部ではどのようなプログラムが働きされているのか、同じ働きをするプログラムを作成」は無理でしょうと思いました。同じ働きをするプログラムというとすごく大きなものに見えてしまいますので、どのようなものをプログラムの狙いとするのかにもよると思うのですが、ここら辺を考えていただきたく思います。逆に5の情報通信ネットワークとデータの利用ですが、これは実は先ほどのセキュリティとも関係してくるかなと思いました。ウェブサイトを作るというのが今の高校のなかなか現場では、難しくなっているのではないかなと思います。
といいますのも、多分都道府県によって違うと思いますけれども、子供たちがいろいろなことをしないようにということで、セキュリティがどんどんきつくなっているのが高校現場のネットワークの現状なので、ネットワークの学習やセキュリティの学習をするときに、実際にいろいろなことを試せないというのが現状だと思います。
私はこういうことをしてもいいかとは思います。その辺りとの関連も含めまして、現場のセキュリティの現状であるなども考えないと、この辺は難しいのではないかなと思いました。
【堀田主査】  一度止めていいですか。
【野部委員】  はい、それぐらいです。済みません。あと、多分ほかの方からも私が思っている意見が出てくると思いますので。
【堀田主査】  はい、ありがとうございました。最後の件は、高等学校の今の与えられた環境の現実という意味で非常に重要なことであると思いますが、逆に言えばこういう学習体験が重要だ、それを現状の環境ではできなくなっているんだけれども、もしそれを変えるチャンスがあるとしたら、こういうときしかないというふうにも考えられるので、どっちを優先すべきかということを冷静に考えなきゃいけない話題かなと思います。
兼宗委員、行きましょう。
【兼宗委員】  私もたくさん言いたいことはあるのですけれども、ちょっと全部しゃべると時間がないので、絞ってまず行きます。
一つは、前回の案からコンピュータとプログラミング等がしっかりと項目に入れていただいて、感謝しております。具体的にどこまでやるかというところが個人的にこのワーキンググループに出ていて非常に分からないことが多々ありまして、その中の一つが、専門家を育てるのではないと言いつつプログラムはやった方がいいということです。その位置付けをどうするかということで考え方を少し変えてみました。専門家の職業訓練や育成ではないのであれば、生きていくための日常生活に困らない範囲のスキルがあればいいんだというように勘違いしがちですけれども、そうではないんだと。
先ほどから先生方が言われていることと深く通じる部分があるように思います。例えば数学で言うと、私は1週間を振り返って、自分が使った数学が日常生活で何があるかと考えると、やはり割り算と掛け算、足し算、引き算しか使ってないという現実はあります。ただし、工学部の教員として見ますと、それ以上の例えば方程式であるとか二次関数であるとか、そういう基礎的なことを知らないと、普通の日常生活を越えて将来何かを学ぼうと思ったときに、自分では学べないという現実が待っているということは強く感じます。
それはコンピュータにとっても同じことが言えまして、日常生活で情報活用というのは、しっかり生きていくために小・中で必要と思いますが、それを越えたものを高校までに体験させてあげないと、その子供たちの将来の可能性を狭めてしまう、若しくは奪ってしまうということにつながるのではないかというように考えております。先ほどはプログラムに関する発言をさせていただきましたけれども、情報科学全般というのがそれに相当するのではないかと、今考えているところです。
振り返ってみますと、例えば日本再興戦略でハイレベルなIT人材の育成が求められているというのもプログラムの理由としてありましたけれども、産業界が求めているのは、実は小・中・高に専門教育をしようということは多分全く思っていないと思うのですが、ただし、自分で学ぼう、やってみようと思ったときに、ITを主体的に活用できる力というのは多分求められていて、それが高校までの情報科学教育、若しくはそれに裏付けられたプログラミング、セキュリティというものなのではないかなというふうに考えております。
以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。
佐藤委員。
【佐藤委員】  失礼します。まずは具体的なところを羅列して申し上げていきます。
まず、情報Ⅰ、Ⅱという切り分けのところは基礎力と応用力と捉えております。そして、この表の資質・能力といいますのは、何を知っているかという部分かと思います。そして学習活動の方で具体的に何ができるかという、今までの議論を整理しながら考えてみました。
資質・能力、すなわち何を知っているかというところでは、コンピュータの仕組み、ネットワークの仕組みと先ほどから皆さんがおっしゃっているような、そもそもコンピュータの内部ではというような学習がベースになってくると。その上で問題解決、すなわち何ができるか、活動の方に入ると思いますが、問題解決の手法としてプログラミングを使ったり、あるいは今実践している内容ではありますが、表計算ソフトなんかも使ったりというようなところが実践例になってくるかと思います。
この中で具体を言いますと、例えば統計的な手法というのも今も取り入れておりますが、高校生、今やっている情報の科学、320人やっておりますが、非常に弱いところはプログラミング以前に、まずはデータを処理してグラフを作って、それから見えてくるものは一体何なのかというようなところ、あるいはその前にどういう表現を、すなわちどんなグラフを作ったらいいなど、そういう自分たちで考える作業というのがなかなかできません。答えが一つであれば簡単にこなしますけれども、自分たちで幾つも答えを作り上げていくような、それがすなわちモデル化とシミュレーションにもつながるとは思うんですが、非常に欠けております。
そういったところをこちらの調査のデータにもあるようなところになってくると思うんですが、そんなところの力をつけていかなければと思う教科かなと思っておりますので、統計的手法というのが非常に重要かなと思っています。それを手段として表計算ソフトを使ったり、プログラミングを使ったりというようなことになるのではないかというふうに、今現状でもやっております。
ここの中身の中で一つ、再度振り返りますが、やはりネットワークの仕組み、パケットの中身が何なのかというようなことも少し触れていただかないと、あるいはネットワークをつないでいるルーターがあったり、間に人が入っているがために情報が漏えいしたりというようなこと、そもそものネットワークの仕組みが分かっていないからいろいろな問題が起こっているというようなのが今の高校生でもありますので、ここにはちょっと書かれていないので、少しはネットワークの仕組みを入れていただいてセキュリティにつなげていくとか、コンピュータの仕組みと絡めていくとかというような具体の学習活動があるかと思います。
それから、モデル化とシミュレーションのところでは、例えば情報Ⅰの方で「数式で表すことができる問題を扱う」と書いておられますが、ⅠとⅡの切り分けの中で、Ⅰで数式ということになりますと、Ⅱの方では例えば数式以外のところで数学と連携したような中身で実習ができると思います。
今本校でやっていますのは、プログラミングでやっているんですけれども、ニュートンの逐次接近法でありますとかユークリッドの互除法とかを使ったものを具体の教材とすることで、数学とちょっと連携がとれた学習内容になっています。具体的なことを言いましたが、そういったことをモデル化とシミュレーションの中、プログラミングの中にどちらに入れるかということで、Ⅰの方はやはり基礎力、Ⅱの方は応用力だと思います。2の方にちょっとないのがデータベースかと思うんですが、ちょっとSQLで呼び出すようなことも絡めて、少しは入れてみられてはどうかなというふうな思いです。
以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。
情報Ⅰの方にネットワークというのは(5)に入っているということですね。ここでは据わりが悪いという御意見でしょうかね。
【佐藤委員】  いえ、先ほどからの議論の中で、ネットワークの仕組みはここに入っているんですけれども、科学的な視点からいうとここでもいいんですが、ちょっと上の方に上げていただいてもいいのかなという。具体的にパケットなど触れていただきたいなと思っています。
【堀田主査】  情報Ⅱでいうと、(4)に動作するシステム、プログラミング、ここら辺もうちょっとSQLなどということですかね。
【佐藤委員】  そうですね、はい。
【堀田主査】  はい、分かりました。字数の問題もあるので、どこまでできるか分かりませんけれども、検討に加えたいと思います。
柴田委員、お願いします。
【柴田委員】  まず最初に感謝したいと思っているのは、これまでのワーキンググループの議論を非常に柔軟に反映していただき、すばらしいたたき台を今開示していただいたなと思って、このワーキンググループに参加している意義を改めて実感している次第です。
特に私がいつもこだわっていたのは、学習指導要領の解説の情報編の55ページに専門教科情報の科目構成があるんですけれども、情報システムと情報コンテンツという二つの大きな柱となるが分野があるというのが今までオーソライズされています。それに対して今回の情報ⅠとⅡでは、そこの根っこになる部分がちゃんと位置付けられているのかなと、情報コンテンツに関する部分、デザインも含めた分野とシステム分野がしっかりⅠにもⅡにもあると。基本と発展が全て二階建てになっているという形が望ましいなと思っていたので、大変ありがたいと思っております。
それからプログラミングや、モデル化とシミュレーションというような情報科オリジナルの項目を全面に打ち出したというのも、教科情報のアイデンティティーというところをしっかり打ち出せる戦略的な部分でも非常によかったのかなと思います。
あと「問題解決のために」という言葉がたくさん使われていますが、私はこれは整理としてはひとつありかなと思ったんですが、今までの教科情報では、問題解決そのものを目的として授業をやって苦しんでいるというケースがよくあったんですけれども、問題解決そのものを目的ではなく、その手法を学ぶという形で授業を組み立てていくのがいいのかなと思っていますので、非常によかったと思います。
改善していただくといいなというところが少しありますが、先ほど鹿野調査官からもありましたけれども、課題研究は、学校としては是非やっていただきたいので、学習項目として置くのもいいんですが、前回も申し上げたんですけれども、ほかの学習項目においても課題研究をやっていただくのが望ましいと思うんです。それを抑制してしまわないかなと思うので、これは学習指導要領の解説の辺りでその辺は書いていただき、全ての項目で探究的な学習をやるような授業展開が望ましいわけですから、課題研究というのはある意味、今までの全部の学んだことの総決算という位置付けで、ほかの学習項目においても探究学習はあるんだよということにしていただくといいなと。
そうすると、これはここの議論じゃないと思うんですけれども、情報Ⅱが2単位から4単位みたいな幅を持たせて、課題研究のボリュームを各学校の実態に合わせて調整できるような、今の専門教科の科目がそうなっていると思うんですけれども、そんなような位置付けにしていただけると、学校の実態に合わせてうちは2単位、うちは4単位と、いろいろな置き方ができて非常にいいのかなというふうに思います。
それからあとモデル化とシミュレーションとプログラミングが別々になっていますけれども、これはモデル化してからプログラミングをするというようなケースもあるでしょうし、ここには、境界線を引かないやり方もあるのかなと。学習項目も5個と増えましたので、学習項目の(3)と(4)については、情報ⅠもⅡも、一緒にできるのではないかなというふうな印象を持っています。
以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。
この後ですが、津賀委員、中川委員、小原委員、益川委員、西端委員、安藤委員の順番で行きます。時間が心配になってきましたので、端的にお願いいたします。
津賀委員。
【津賀委員】  ありがとうございます。今、柴田委員からもありましたが、方向性が大分すっきりしまして、これまでの議論が反映されていると思います。特に情報Ⅰで先の見通しというか、身近なところを取り上げ、情報Ⅱで将来を見通すという、非常にはっきりした位置付けになっていてよろしいのではないかと思います。
一つお願いになりますが、情報Ⅰについては当然この後、専門教科における情報科目での代替が検討されることになります。その際に、この情報Ⅰの内容をほかの教科で担保していることが前提になると思いますが、早めに関連する部会へ情報提供等をお願いして、そちらの部会での対応をお考えいただくような動きもあった方がよろしいかと思います。
以上です。
【堀田主査】  貴重な御意見です。ありがとうございます。
中川委員。
【中川委員】  全般的なところなんですが、「コンピュータの一番のメリットは、高速処理が行えることによって時間が節約できるということを強く実感できる」という内容がひとつ欲しいなと。例えば課題例のところにおきましても、通常人の手でやると何百人で何十時間、何百時間と掛かるようなことが、これぐらいの時間で終わるということを実感してもらえるような内容というのが盛り込まれるといいなと。
それの応用なんですけれども、今の表現だけですとコンピュータ一つの作業ということになるんですが、これがネットワークにつながって、複数のコンピュータにつながることによって、今度は距離が圧縮されるという観点がありますので、時間と距離が圧縮されるということが強く意識できるような内容が盛り込まれ、せっかくやるわけですから、例えばウェブページを作って外に出すのではなくて、連携している他の、通常であれば知り合うことができないような他府県の高校から情報を入手するなどの内容があるといいんじゃないかなと思うのが一つ。あとは情報とデータの部分で、ひょっとしたら10ページの3のところですが、「様々なデータの特性と扱い、処理の表現方法」というところに含まれているのかもしれないんですが、私が実業務でやっていて一番感じることは、圧倒的にデータクレンジング作業が多いんです。処理をするよりも、まずそのデータに含まれる重複など。
【堀田主査】  ノイズなど。
【中川委員】  はい。というところが圧倒的に多いので、そこをまずしっかりやるということが求められるかなと。
これは実は私の業務の日々の反省でもあるんですけれども、大体とる前に仕様をはっきりさせておけば、それは回避できるんですが。
【堀田主査】  それが難しい。
【中川委員】  私は不完全なことが多くて、ついついざっくばらんにデータをとってしまった後で、クレンジングで悩むという始末です。完全な仕様というのはなかなか作るのが難しいんですが、仕様を定義して余計なデータをとらないようにするという観点と、それからそれを、とはいえ発生してしまった潜在的なエラーをどうやって排除していって、正しい事実を見抜くかというデータクレンジングの要素をこの中に、かなり実践的な内容になりますけれども、入れられるといいんじゃないかなというふうに思います。
【堀田主査】  ありがとうございました。
小原委員、お願いします。
【小原委員】  小原です。よろしくお願いします。
私も他の委員の方々と同様に、今回上手に整理されてきたかなという感想を持っていますが、幾つか気になることがあります。
まず一点目ですが、情報そのものについての取り扱いというのがちょっと見えにくくなっているのかなと。恐らくこれは中学校、小学校でひょっとしたらやる、あるいはやる予定の分野なのかもしれないのですが、情報そのものがどういう特徴を持っているのか、データとの違いはどうなのか。例えば前回もちょっと話題になったと思うのですが、大学の先生方の方で情報学分野の参照基準というのが作られていると思われますが、「情報一般の原理」というのがそこに入っていて、「情報が意味、作用を持ち、世界を変化させ、そこに価値と秩序を与える」というようなところから始まっているわけです。
大学との接続ということを考えたときに、やはり情報そのものがどのような価値を持っているのかというようなことにもさらりと触れておく必要があり、そこから例えばメディアの話になったりですとか、記号化の話になったりですとか、そういう形でコミュミケーションの方に例えばつないでいくとか、そうすることによって例えば人によって記号の捉え方が違っていて、情報モラルの上で非常に問題が起きてしまうとか、そういうような形での発展、教育もできるのではないのかなというふうに考えています。
なので、少し「情報そのものの特性」というのは情報科ならではの内容なので、やはり何らか、どこかで簡単でもいいので、少しでも扱うような場面があるといいのかなと思っております。ここで言うと(2)あるいは(1)、情報Ⅰの(1)か(2)かなというのが一点です。
あともう一点なんですが、これはたしかさっき野部委員からお話ししたのかなと思うんですが、情報Ⅱの(2)で「著作権や引用の仕方について知り」と書いてあるんですけれども、やはりこれは情報Ⅰの方でやってほしいなというようなところです。恐らくは(2)のコミュニケーションと情報デザインのところでそういう話題にはまず間違いなく触れると思うので、早い段階から、この部分については触れておくべきかと考えます。
以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。情報科という名前であって、コンピュータ科という名前ではないので、情報そのものの取り扱い、引用もそうですけれども、そういうようなルールをもう少し出していくべきだと。一方で、それは小学校や中学校までである程度やっている部分もあるので、より専門的にするにはどこなのかという話で、例えば引用で言うと、中学校の国語に今ありますので、そことの関係もしっかりと作っていかなきゃいけないということかと。情報学的の引用のルールのところとか、情報社会における引用というのがどういう意味かとかというふうな考察も含めていかなきゃいけないかなと思っています。
益川委員、西端委員、安藤委員の順です。お願いします。
【益川委員】  だんだん具体的な姿が見えつつありますが、この学習活動や課題設定の例のところを丁寧に示すことで、よりこの資質・能力と対応付けていけるのではないかと思います。この例はたたき台なので、これから詳細を詰めていくことになると思うのですが、是非入れていただきたいのが、例えば(2)のウェブページを作るところでは、加えるべき大事な内容は問題の発見・解決という要素をこの例にきちんと入れていくところだと思います。
他の例をみても、単に部活動を紹介しましょうだと、いろいろ程度のプレゼンが出てきて、その子の資質・能力差でそのまま作品が、差がついてしまうということがしばしばあったと思いますので、例えばこれから入部を希望するとか、これからこの学校に来ようとする人を想定してであるとか、何か目標を定めた中で、その中で生徒たちが何を考えなければならないか問題を発見して、それを解決するためにデザインを考えていく、そういうようなものを具体的に入れ込む必要があると思います。
例えばグラフ化だとかモデル化だとかも、どういう目的でだれをターゲットとして、そのために何の問題を発見して、解決しながら意味のあるグラフ化とかモデル化とか、プログラミングの構築とか、そういうような形で生徒が深い学びにつながるような活動として全体が例示されるといいと思います。
以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。
西端委員。
【西端委員】  失礼します。
前回の資料のときにコミュニケーションがないというような指摘をさせていただきまして、入れていただいてありがとうございます。その上で二点ございます。
前回の資料を見てみますと、平成34年の入学者から実施ぐらいかなというふうに、このように記載があるので、平成34年に16歳となると今10歳ぐらいというふうに想定されます。そこからの年数を考えた場合に、やはりクラウドということはもう欠かせないだろうと。そして、クラウドで見えなくなったもの、例えば先ほど野部委員がおっしゃっていましたが、ウェブサーバーの立ち上げなんて、今そろそろやっている方が少なくなったと思いますので、そのように見えなくなったものとクラウドで便利になったものというのを是非1に入れていただきたいと。
反対にⅡの方では、そういうサービスを使って実現。例えばアプリケーションを作ってみようというのが(4)の課題の例にございますが、実際にこれをここの、例えばプログラミングの言語を使ってというのは難しゅうございますので、そうしたアプリもそのころには非常に簡便になっているかと思います。そうしたサービスを使うということも入れていただければなと思います。
そして、先ほどここで言わないと絶対入らないよということにちょっと後押しされまして、ちょっと大風呂敷を広げますが、是非情報Ⅱの方では、週に1回の授業ではなくて、この日一日情報だみたいな情報デーのようなものを作って、ハッカソンではないですけれども、終日もうここでまとめて、チームで開発してみようというような課題の日をとってもいいのかなと大風呂敷広げさせていただきました。
以上です。
【堀田主査】  最後の話はカリキュラム・マネジメントで不可能ではなくなっていくと思うので、貴重な御意見だと思います。
安藤委員、お願いします。
【安藤委員】  まずは資質・能力について一点あります。先ほど著作権、引用の仕方について情報Ⅰへという話と、堀田先生から補足がありましたが、「知り」という表現のがこの高校の段階に入ってくることにちょっと違和感があります。ですので、小学校の国語で既に学習している状況を踏まえると、ここでの「知り」という表現が誤解されないような書き方にした方がよいのではないか,ということが一点です。
あともう一点は学習活動の例についてです。先ほど益川委員がおっしゃったことと関連するんですが、ここに出てくる例というのは非常に分かりやすいので、逆に言うと独り歩きもしやすいのかなと思います。資質・能力が発揮される制約条件が含まれるような書き方にしていただくとよいのかなと思いました。
例えば9ページの(5)の情報通信ネットワークとデータの利用というところで見ますと、「ウェブサイトを設置して実施してみよう」の間に、例えばセキュリティのことを考えると、「安全に」というキーワードが入る方が良いかと思いますし、クラウドというのを使うことで「効率よく」というキーワードが入ることで、より資質・能力が具体化されるのではないかと思います。
そして、この制約条件というのは中学校の技術でひとつ大事にしているところでもありますので、その辺の接続との関係性もよくなるのではないかと思います。
以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。
この後五十嵐委員、兼宗委員に行きますが、野部委員、2周目行きますか。
【野部委員】  もうちょっと整理してからお願いします。
【堀田主査】  分かりました。じゃ、五十嵐委員、兼宗委員の間に希望の方は立てておいてください。時間はあと15分ぐらいあります。
【五十嵐委員】  ありがとうございます。私は情報で全ての高校生が学んでほしいと思うことが二つあります。その一つが、先ほど情報ⅡではなくてⅠの方に戻してほしいと言われたデータの圧縮と著作権や引用です。これは小・中の学校現場でも課題になっています。教員養成とか教員になってからの研修とかではなくて、ここのⅠで学べば、学校現場もスムーズになると思います。是非Ⅰの方にというふうに思っています。
もう一つは、Ⅰの方にあります統計的手法です。先ほど佐藤委員がおっしゃっていて、ちょっと耳が痛かったんですが、中川委員の言うような高度な仕事じゃなくても学校現場で研究や学校評価のエビデンスとして、アンケート等で地域の声を集めることがよくあります。しかし、統計的手法がよく分かっていないので、ただアンケートをとってグラフを示すだけのこともあります。これじゃだめなんですよね。統計的手法、教員に絶対必要だと実感しています。
以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。
兼宗委員お願いします。
【兼宗委員】  大きく二つありますが、具体的な情報Ⅰと情報Ⅱの表の案についてコメントさせていただきます。
一つ、ⅠからⅡの連続性ということです。例えばⅠの方でコンピュータを学んでから、Ⅱの方で複数のコンピュータをつなぎ合わせる情報システムというような展開で、よく考えられているように思いました。
要望としては、学んだことをより深くやるために、コンピュータとプログラムのそのものを、情報Ⅱの方でも扱えるようにしていただけるとありがたい、ということを改めて要望させていただきます。それが一点です。
もう一つ、これは気になった点としては、情報Ⅱの方に新しめの技術が結構ちりばめられていまして、(2)のところに充てたバーチャルリアリティーですとか、(3)のところはもう項目名になっているデータサイエンスですとか、(4)のところでIoTといったものがあります。これは以前の中川委員の御講演にもありましたけれども、ITの世界は日進月歩なので、5年後はともかく15年後にこれがどうなっているかなというのは、ちょっと私でも想像が難しいです。ですから、個人的な感触としては、このバーチャルリアリティーやIoTは資質・能力のところに入っているので問題は少ないかもしれませんが、データサイエンスは項目名にありますので、先ほど出ていたデータベースなどの、必ず残っている基礎的な技術にとどめて、例示としてデータサイエンスにも活用できるとしておくのが安全ではないかという印象を持ちました。
あともう一つは、先ほど小原委員からもプログラムそのものを学ぶ意味というのをお話ありましたけれども、そういう意味で、一つは先ほど柴田委員からありましたモデル化とシミュレーションのためのプログラミングという形とか、ここの情報Ⅰの(3)では、問題の発見・解決のためのプログラミングという形とかで書かれていますが、それを外していただいて、やはりプログラミングはプログラミングのためにやるということを明確にしていただければと思います。
関連して言うと、問題の発見・解決が各項目に挙げられています。全体の考え方として、大方針として問題の発見・解決というのはよいこと感じているのですが、例えば情報Ⅰ(3)のコンピュータとプログラミングに関しては、問題の発見・解決のためにプログラミングをするわけではないと思います。プログラミングを学ぶ上で具体的な問題を設定して学びましょう、という教育方法としては大いにあり得るとは思うのですが、目的にはしない方がよいのではないかという意見です。
【堀田主査】  ありがとうございます。
この後、小泉委員、柴田委員、佐藤委員、野部委員、小原委員、中川委員の順で行こうと思うんですが、入るかどうか時間分かりませんので、入るところまで行きます。できるだけコンパクトにお願いします。
小泉代理、お願いします。
【小泉主査代理】  コンパクトにというので、今議論されている検討事項の3から2、1というふうに逆にたどって感じたことを申し上げます。プログラミングが情報Ⅰ(仮称)と情報Ⅱ(仮称)のいずれもタイトルとして入ってきたのは極めてありがたいことだと思います。このことで、先ほど来議論しているプログラミングということ自体の位置付けが、更に具体として科目の中に入ってくる可能性が高まったと思います。
実は検討事項2の中で、おおむね仕組みを理解する、プログラミングの目的ですね、仕組みを理解するというポイントと、あとは兼宗委員等から発言のあった子供たちの可能性というか選択肢、これは職業ということに限らず、社会において自分がよりよく情報技術を活用するということにおける能力の活用場面での選択肢を与えるというというポイントがあると思います。つまり仕組みの理解力と選択肢の付与という目的があると思うんです。私が思ったのは、10年後にプログラミングというのはどういう意味を持つのかということ。我々の学生時代のプログラミングというのは作業に手間がかかった。コーディングしてコンパイルしてもなかなかすっと通ってくれない。しかし、最近のプログラミングのコンテストで審査していると、多分数理的能力がさほど高くない子供たちが、アイデアと既存のプログラミングライブラリーを駆使して、目にも鮮やかなゲームを作るなど、驚くべきツールをアイデアの実現として生かしています。
何を言いたいかというと、10年、20年になったときに、プログラミングというのがコーディングの問題ではなくて、アイデアや、先ほど兼宗委員がおっしゃったように、フローチャートの時代ではなくてアレンジメントのことになるんだろうと。そういうことを見越せば、初等中等段階で目指すべきプログラミングの学習内容の位置付けが明確になってくるんだろうと。個人的には、最近注目を浴びているスクラッチ自体も、実はライブラリーみたいなもので、子供たちにプログラミングというものを身近に感じさせる一つのツールではあると思っています。
一方のセキュリティについては、これは先ほどの発言のあった、情報社会において生命、財産を守るという点に情報セキュリティを指導するよりどころがある。実は情報セキュリティの知識とか理解とかは、プログラミングの素養ないと獲得できないというのも事実なので、この検討事項2の二つのポイントは極めて重要で、相互に関連性がある。
最後に、先ほど来、検討事項1にあった論点1の、ちょっと(2)が薄めの部分ということと、それから論点2の緑の部分について、正におっしゃった皆さんの発言のとおり、情報そのものとプログラミングを含めた総体としての情報システムというものを通しての社会の見方や関わり方に帰着するのであろうということで、今回皆さんの意見がスムーズに腑に落ちたというか、うまく流れてきたという感があります。
【堀田主査】  ありがとうございました。
柴田委員。
【柴田委員】  先ほど益川委員がおっしゃったように、学習活動の例がこれから教科書を作るような場面で全面に出てきていくのかなと思うんですが、少し改善していただくといいなと思うのは、出てくる例が特別活動や学校行事が多くて、他教科との連携や教科情報の学習内容そのものを題材にするというようなやり方の方がもっとよいのかなと思っています。この例ですと、総合的な学習の時間の学習活動と何が違うのというふうになってしまいますので、是非その辺、今後改善していただきたいなと思います。
以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。
佐藤委員。
【佐藤委員】  失礼します。簡単に申し上げます。
具体の学習例を挙げていただいて本当にありがたいんですが、Ⅱの方で気になったことはコミュニケーションのところなんですけれども、資質・能力のところに画像や音、動画を含む情報コンテンツと書いてしまうと、これ絶対使わないといけないのかなと。だから例の方でいいのではないかなと思っています。情報コンテンツでいいと思うんですが。またこういった事例というのは恐らく小・中でやっているんじゃないかなと。もう少し高等学校の情報科としてということになれば、コミュニケーションの力を育むために情報コンテンツも利用しますけれども、プログラミングもそういうところでは利用できるとは思いますので、もう少し書き方を考えていただければ本当にうれしいかなと思いました。
もう一点だけです。高等学校の教科情報としては、やはり情報活用能力と知識・理解力、思考力なんかを同時に育成していきたいと私は思っていますので、是非理解を深めるために実験検証を伴うようなそういった活動、具体的には工学的な手法や、行動経済学的な手法なんかを具体に取り入れていかれたらいいのではと思います。
以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。
お待たせしました。野部委員。
【野部委員】  失礼します。言いたかったことはほとんど言っていただいたので、別の観点のことを少し話をしたいと思います。これだけいろいろ整理していただきまして、今もいろいろな意見が出て、情報ⅠとⅡがすごくいいものになっていくのではないかなと思っているのですが、せっかくできた情報Ⅱを発展的科目ということで学校で選択していただけないと、意味がないと思うのです。
1段階、2段階と進んで、将来のためにということでそちらの方向に行く生徒のための進路保証など、いろいろな部分があると思うのですけれども、現在情報科が軽視されているような風潮というのは、やはり大学入試に入っていないということが大きい部分もあると思います。
そういった意味で、ほかのワーキンググループのことはでなかなか言えないとは思うのですけれども、情報Ⅱの内容と大学入試でのセンターの入試の内容とか、そういう辺りの関連というのもどこかで考えていただけますと、多分それが教員採用の問題であるとかにもつながっていくのではないかなと思いますので、そのようなことを少しお願いしておきたいと思います。
【堀田主査】  ありがとうございました。今何か事務局は情報提供できますかね。高大接続、入試改革とこの教科情報の辺り。
【稲葉情報教育振興室長補佐】  現在におきましては、年度内を目途に結論を得るということで、御議論いただいているところでございます。
【堀田主査】  検討中ということで前向きに検討していただいているというふうに理解しております。ありがとうございます。
小原委員、お願いします。
【小原委員】  回していただいてありがとうございます。
一番最初のこの会議で私が申し上げた内容が、問題解決のところの問題発見が非常に大事で、うちの学校でもそういうようなことをやっておりますというようなことを御報告いたしました。こちらの活用能力調査を拝見しても、やはり自分で価値を付加するようなそういう部分、何かを見つけるという部分、価値を見出すのが非常に弱い。つまり問題を解決するためには必ず発見がなければいけないのだけれども、問題発見がやはりごくごく非常に弱いです。じゃ、問題解決をどう学校の現場で進めていくのと考えたときに、やはり一番困るのは、それをどうやって進めていいか分からないという現場の先生方が非常に多いということです。
そこで一つお願いというか、できるかできないか分からないんですけれども、カリキュラム・マネジメントという言葉が今かなり出てきますが、問題解決学習におけるカリキュラム・マネジメントというのは、小・中・高で、例えば小学校ではこういうようなところまで問題解決についてはできますよ、中学校ではこうです、高校はこうですというようなことが何となくそれというのがイメージされて、明確化されるものなんでしょうかという点が一点。もしそれが明確化されるんであれば、それは恐らく我々のこの問題解決を直接的に扱う情報科において、極めて重要なポジションになるのかなと思うんです。
なので、是非そういうような方向性があって、何か出てくるものがあれば、是非それは提供していただけると、私たちの会議でも大変参考になるのかなというふうに思います。
以上です。
【堀田主査】  これは、きょうは大杉室長いらっしゃいませんけれども、西川専門官の方から何かお願いできますか。
【西川教育課程企画室専門官】  今、各教科のワーキンググループにおいて検討していただいていることの一つとして、正にここでありますのは、資質・能力といったものをどういう学習プロセスを通じて培っていくのかということ、そのときに学習プロセスの考え方というのは問題解決だということで議論していただいております。
したがって、各教科でそういった小・中・高等学校も含めて各教科でどのような問題解決、あるいは学習プロセスを踏んでいくのかというのは今後出てくるのかなというふうに思っています。そういった意味で、この情報においてもそういった共通的な観点で御議論いただきたいなというふうに思うところでございます。
【堀田主査】  それをまだ今具体的に全体がこうなっているというのは、各教科等で審議中なので、今はまだ整理できてない。
【西川教育課程企画室専門官】  今正に審議中ということで、少しずつ出てきている部分がございますけれども、そういった観点、きょう資料としてお出しいただいている、十分かどうかというお話はあるかもしれませんけれども、資質・能力や学習活動の例といったものは、そういった観点を踏まえて今回の資料としてお作りいただいて、御議論いただいているところだと思いますので、ちょっとそういった視点でも意見を頂けるといいのかなというふうに思います。
【堀田主査】  ありがとうございました。逆に言えば、情報科としてはこういう問題解決を想定しているというのは先出しすることもあり得るし、最初の2ページの資質・能力の思考・判断・表現のところの、ここに問題解決のサイクルがきっとあると思うんですけれども、この辺りを少し明示するというのも可能性としてはあるかなと思います。
中川委員、お願いします。
【中川委員】  二点あります。先ほど言い忘れた二点なんですけれども、学習の活動の例のところで、統計局のデータなどできるだけ大きいデータを使っていただいた方が、先ほど申し上げたような処理の高速化というのを実感できるというのと、五十嵐先生もおっしゃった、どういうデータでどういうふうに表現、エビデンスを示していけばいいのかというのは大きいデータの方がよりやりやすいというか、組み立てやすいと思います。それが一点目。
二点目が、一番大事なことをさっき言い忘れたんですが、問題の発見と解決ということが書かれている問題の発見が、既に理解している問題の根本事象、ルート構図を発見するという意味の問題の発見なのか、そもそも問題とも全く感じていなかったことが実は異なる見方で見た場合に問題だと分かるのかというのがちょっと気になっています。コンピュータは便利なので今不便なことを解決するとか、情報をコントロールすることによって解決するとかの観点もあれば、え、そんなことに価値があったのということに価値が出てくることというのが世の中あります。ちょっと実例を申し上げますと、ツイッターが出た最初、フェイスブックが出た最初、何のことかと思っていたんですけれども、これがこれだけ使われる世の中になっており、新たな価値を生み出す可能性を拡大するというような観点がインフォメーション・テクノロジーには非常に大きな側面としてあるかなと思っています。この9ページ、10ページを見ていると、今ある問題に目の前でどう対応していくという要素がちょっと強いように私は読んで感じ取れましたので、子供たちが全く、大人が想像もしていなかったような新しい価値、可能性を拡大していく可能性があるということを示せるような、済みません、具体性が全然思い浮かばないんですけれども、そういう要素を是非入れていただきたいなというふうに思いました。
以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。たくさんの貴重な御意見を頂きました。皆さん是非メールで、後でまた言われると思いますけれども、是非皆さんの御主張を、代案も含めて、書きぶりも含めてメールでいただいて、きょうの形をまた再修正していただくということにしたいと思います。
その際に9ページ、10ページにある表ですけれども、この資質・能力と学習活動の例で書かれていますが、この資質・能力というのは先ほどの論点1の2ページにあるやつです。だから資質・能力というのは三つの柱で構成されると。つまり知識だけではなくて、思考・判断と、その後の学びに向かう力も含んでいると。これがこの資質・能力というところにちゃんと書かれているか、つまりどんな知識を踏まえ、どんな思考をさせて、どんなことを考えさせるというのがここに含まれているか、そういうことをやらせるための学習活動がちゃんと知識を使うように、そしてそういう思考をするように、そういう生き方につながるような活動例になっているかという観点で見直していただくのも重要なことかと思っております。ありがとうございました。
それでは、続きまして、検討事項4、これはまた御説明からということになりますが、「情報科の指導における障害のある生徒への配慮」について御議論いただきたいと思いますので、事務局の方で御説明をお願いいたします。
【稲葉情報教育振興室長補佐】  失礼いたします。資料の11ページ、検討事項4を御覧いただきたいと思います。
「情報科の指導における障害のある生徒への配慮について」ということで、これは前回の本ワーキンググループで少し多めの資料を付けさせていただきまして、御説明をさせていただきましたけれども、総則・評価特別部会第3回の方に提出された資料を前回少し多めのものを付けさせていただきました。
まずその内容を、本ワーキンググループでこれから御検討いただくことで、関連する事柄を少し簡潔にまとめさせていただいたものでございます。合理的配慮ということが言われておりまして、この定義につきましては、そこの資料に示したとおりでございます。障害者差別解消法が本年4月に施行されることになりまして、国公立の学校につきましては法的義務が課される。また私立の学校に関しましては、努力義務が課されるということになっております。
このことを踏まえまして、学習指導要領でのこのことに関する改訂の方向性といたしましては、総則に加えて各教科等別にこの配慮について示していってはどうかというようなこと、また学習の過程で考えられる困難さごとに示すと。この学習の過程で考えられる困難さの例としましては、そこの下に示させていただいているようなものが挙げられております。
また、一番下のところでございますけれども、学習の過程で考えられる困難さの状態に対する配慮の意図とその手立ての例ということで、障害の種類に対してということではなく、困難さの状態に対してそれに考えられる配慮の意図、手立てを示すということが提案されているところでございます。
これを踏まえまして12ページを御覧いただきたいと思います。高等学校情報科における障害のある生徒に対する配慮の例ということで、先ほどお示しをいたしました最後の部分の「困難さの状態に対する配慮の意図とその手立て」という形で幾つか、事務局の方で整理をして作ってみたものが以下の四つでございます。
最初の一点目から三点目までにつきましては、障害による困難さによりまして、個人が情報を入力したり表したりするというところに困難があるところに対する手立てで、必ずしも情報科に限ったものではないとは思いますけれども、主にコンピュータ等をやはり活用していく教科として挙げさせていただいております。
また、四点目につきましては、いわゆる文字を認識することが苦手な生徒、子供というのがおりますので、そこに対する配慮ということで、これも必ずしも情報科に限ったということでないかもしれませんけれども、やはり同じ理由で挙げさせていただいております。
また、このほか学習の過程で考えられる困難さで、そこで少し示しておりますように、情報のイメージ化等々の困難さに対する配慮につきまして、これはなかなか事務局の方でもちょっとなかなか作りにくい部分もございまして、専門家の知見等も交えながら検討していく必要があるのではないかというふうに考えております。これにつきまして、委員の皆様方の御知見を頂ければというふうに考えております。
以上でございます。
【堀田主査】  ありがとうございました。
この障害のある生徒への配慮についてというのは、情報科のみならず各教科等全てで審議するということになっています。私どもの情報に関する資質・能力のところも、実は同じように各教科のところにこれがまかれて、こういうふうに議論していただいて、それが何らか上がってくるというふうになりますので、そういう意味では私たちもやってもらったので、私たちもしっかりと検討しなければいけないというものでございます。
この特に12ページにある今、四つ白丸がありますが、こういうようなことで、ほかに考えられるようなものはないかということを是非、特に現場の先生方に御意見を頂きたいというのがここの趣旨でございますが、いかがでしょうか。
【小泉主査代理】  一つ質問。
【堀田主査】  はい、お願いします。
【小泉主査代理】  11ページの困難さの例の「触られない」というのが情報入力の欄に入っているのは、これは具体的に……。
【小泉主査代理】  触れられないですね。触れられないというのは、入力とどういう場面が考えられるんですか。
【稲葉情報教育振興室長補佐】  これ、元々作成いたしましたのは特別支援教育課でございますので、ちょっと、私、以前特別支援教育課にいたので、その知識として恐らくこういうことではないかという想像なんですが、例えば化学物質等そういったものに対して過敏な反応を示す子供で、実際に物に触ることができないと、触って体験することができないといったような子供もいるかと思います。そういった子供に対する配慮ということとしているのではないかなというふうに理解をしております。
【堀田主査】  ありがとうございました。
何かこういう事例があるよとか、こういう何か考え方もあるよとかというのが皆さんの知識で頂ければと思うんですが、西端委員、お願いします。
【西端委員】  済みません、先に押してしまいました。
今、週一で奈良県下の特別支援学校に通っております。その中での高等部の生徒の事例という形になるんですけれども、非常に物に対する好き嫌いが激しゅうございますので、好きなものからだんだん一般化していくというような教材を並べるなどしました。
コンテンツに関しても、中身を入れ替えるというか、好きな刺激に加える、若しくは嫌悪刺激は避けるというような順序を、先生の方で入れ替えるような教材というのを配慮があるといいかなと思いました。
また三点目ですが、ジョイスティックというふうにありますが、物理的に触るのがそもそも苦手な子供さんもいらっしゃいますので、そろそろセンサデバイスも一般化してきましたので、そのような形での入力というものもメインで出してきてもいいのかなと思いました。
以上二点です。
【堀田主査】  ありがとうございました。
ほかに今のような具体的な意見が非常に助かるんですけれども、いかがでしょうか。
中川委員。
【中川委員】  私が関わった実証研究で一つあったケースが遠隔授業のケースがありまして、ICTですので遠隔は非常にやりやすいということがあり、学校に物理的に来られないケースでも遠隔でできるということも明示をしていただければなというふうに思います。
【堀田主査】  ありがとうございました。
安藤委員。
【安藤委員】  ここに、12ページに書かれていることを見ると、本当に正にデジタル教科書が拡張すると、非常にこういうことがよくなるんではないかなと思いましたので、是非デジタル教科書の充実を期待したいなということです。
あともう一つは、センサデバイスの話が今ありましたけれども、ジョイスティックももちろんこれまで使われてきていますので、いいと思いますが、もう少しウエアラブルな端末等、そういったものの可能性もあるのではないかと思っています。
例えば,私の方でもスマートフォンのセンサ等を使った教材開発について特別支援の先生たちとお話しをさせていただくと,これを是非使えないかということで非常に高い関心を頂いております。そう考えますと、やはりジョイスティック以外の何らかの先進のデバイスというのを、現場からのニーズというのがありそうですので、是非その辺りも少しリサーチしていただけるとよいのかなと思いました。
以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。
小原委員。
【小原委員】  入力のところでなんですが、そこでは「キーボードによる文字入力やマウス操作等の動作に困難がある場合」とあるんですが、逆に話すことができない生徒もいるわけで、話すことができないけれども、例えばネット越しに何か会話をするようなケースというのは、逆にテキストで打つようなそういう手段も排除しなくてはいけなくなってしまうように読めてしまうと思うんです。
なので、「キーボードによる文字入力やマウス操作などの動作」という形に限定せずに、「コンピュータへの入力」というような形で広く考えた方が、包括的でいいんじゃないのかなと思いました。
以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。
野部委員。
【野部委員】  先ほどの制御のところで出ていた計測・制御ですが高校の事例で、視覚障害がある生徒のときに、普通の制御の機械ではできないということで、音の出るドローンを使ったというのが実例としてありました。そのように視覚に障害がある場合に音の出るものを使ういうことを御報告しておきます。
【堀田主査】  ありがとうございました。
ほかに何か御意見ありますでしょうか。
中川委員どうぞ。
【中川委員】  実際に特別支援が必要な学習者のサポートをさせていただいたときに一番困難を感じたのは、その子が必要としているデバイスを学校に持っていこうとしたときに、学校側が異なるものを学校として教材として認められていないとかというものを持ってきてもらっては困るというので、それが必要なんですよということを説得するのに非常に権威のある学識経験者の先生に出ていただいたりとかということがありました。この中にそもそも必要であれば持ってくることが当たり前だというスタンスで、もちろん変なものを持ってこられても困るので、基本は受け入れるというスタンスの書きっぷり。今ですと、大人が用意してあげる、配慮して用意してあげるというような書きっぷりに見えるんですけれども、持ってきたものを使ってもらえるように検討するというような表現になるといいなと思っております。
【堀田主査】  ありがとうございました。
ここまでとさせていただいてよろしいですかね。もし何かまたお気付きの点がございましたら、事務局にお寄せいただければと思います。
それでは、本議題に関する意見交換はここまでとさせていただきますが、これできょう予定されていた議題は全て終わったということになりますが、どうしてもこれを言わないと帰れないという人いますか。野部委員いいですか、もう。
【野部委員】  きょうのところは。
【堀田主査】  自己実現していただいていますか。分かりました。
それでは、次回の日程等につきまして、事務局よりお願いいたします。
【稲葉情報教育振興室長補佐】  次回でございますが、3月15日、火曜日、15時から17時での開催を予定しております。場所につきましては、現在、調整中でございますので、追って御連絡させていただきたいと思います。
また、今回も、これまでと同様でございますが、限られた時間での御議論でございましたので、御意見、お気付きの点等につきましては、週明けの29日、月曜日までに、事務局の方にメール等でお送りをいただければというふうに考えております。
なお、本日は机上に回収資料をお配りさせていただいておりますので、これにつきましては机上に置いたままにしていただきますようにお願いいたします。
以上でございます。
【堀田主査】  ありがとうございました。少し早いですけれども、これで本日の情報ワーキンググループを終了させていただきます。お疲れさまでございました。
― 了 ―

お問合せ先

生涯学習政策局情報教育課情報教育振興室情報教育企画係

電話番号:03-5253-4111(代表)(内線2090)