教育課程部会 情報ワーキンググループ(第1回) 議事録

1.日時

平成27年10月22日(木曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省東館3階3F1特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 情報教育の改善充実について
  2. その他

4.議事録

【稲葉情報教育振興室長補佐】  それでは、定刻となりましたので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会情報ワーキンググループを開催いたします。
開会に当たりまして、文部科学省生涯学習政策局情報教育課長、磯より御挨拶を申し上げます。
【磯情報教育課長】  情報教育課長、磯でございます。本日は、御多忙の中、第1回中央教育審議会教育課程部会情報ワーキンググループに御出席いただき、ありがとうございます。また、情報ワーキンググループ委員の御就任について御快諾いただき、感謝申し上げます。
社会の情報化は急速に進展しており、スマートフォンやSNSが急速に普及するなど、子供たちを取り巻く環境は前回の学習指導要領改訂時から劇的に変化をしております。また、あらゆるものがインターネットで結ばれるIOT型未来社会が到来しようとしております。こうした社会の変化を踏まえ、先般、中央教育審議会教育課程企画特別部会において取りまとめられた論点整理においては、情報や情報手段を主体的に選択して活用していくために必要な情報活用能力を各学校段階を通じて体系的に育んでいくことの重要性や、ICTを理解し、使いこなす科学的素養を全ての子供たちに育んでいくことの重要性について御指摘いただいたところです。
具体的には、学校外の多様な教育活動とも連携しつつ、プログラミングや情報セキュリティをはじめとする情報モラルなどに関する学習活動の充実を発達段階に応じて図ること、高等学校情報科においては、情報と情報技術を問題の発見と解決に活用するための科学的な考え方等を育成する共通必履修科目の設置を検討すること等の御提言を頂きました。本ワーキンググループにおいては、これらの視点からの情報教育の充実について御議論いただくとともに、各教科等の学習をICTの活用により充実するという観点からも御意見を頂ければと存じます。
高大接続システム改革会議においても、大学入学希望者学力評価テスト(仮称)において情報を対象科目とすることが検討されるなど、これからの社会を生きる子供たちに情報活用能力やICTを使いこなす科学的素養を育んでいくことは各方面から強く求められているものと受けとめております。文部科学省としては、委員の皆様の御議論を踏まえ、学習内容、方法の充実はもちろんのこと、それを実現するために必要な教員の指導力向上やICT環境の整備も強力に進めてまいる所存です。
学習指導要領が変われば先生方の授業も変わっていき、ひいては子供たちの未来を拓くことにもつながります。情報化社会の中で子供たちが力強く生き抜いていくことができるよう、また、各学校で頑張っておられる先生方を後押しするような学習指導要領にしていきたいと考えております。幅広い観点から、忌憚のない御意見を頂けますようお願いを申し上げまして、甚だ簡単ではございますが、私からの挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
【稲葉情報教育振興室長補佐】  では、議事に先立ちまして、本ワーキンググループの主査及び主査代理につきまして御報告をいたします。お手元の資料2の初等中等教育分科会教育課程部会運営規則に基づきまして、本ワーキンググループは教育課程部会の決定により設置されております。主査及び主査代理は教育課程部会長が指名することとされております。教育課程部会長と御相談し、堀田龍也委員を主査に、小泉力一委員を主査代理にお願いをしておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、まず堀田主査、小泉主査代理から、一言ずつ御挨拶を頂戴できればと思います。
【堀田主査】  皆さん、こんにちは。教育課程部会の無藤部会長の御指名によりまして主査を務めることとなりました、堀田でございます。よろしくお願いいたします。私は中教審の幾つかの委員をさせていただいておりますけれども、下村前大臣からの諮問理由でありますとか、教育課程企画特別部会の論点整理-ー今日、この後御説明いただきますが、そういうところにも急速な情報化、あるいは技術革新について触れられてございます。
その情報化が進むことによりまして、たくさんの情報の中から何が重要で、自分にどれが必要かということを主体的に判断し、それを自己の問題解決に、あるいは社会の問題解決に用いていく。それを他者と協働しながら新しい価値を生み出していく、そういう人材が求められているところでございます。
こういう社会におきまして学習指導要領の在り方が検討されていく中で、一つのキーワードは、学校教育を通じて育むべき資質・能力というのがどういうものかということ、これを教科等を超えた視点でどうやって育成するか。そのために各教科はどういう役割を担うかという構造的な、社会に開かれた教育課程という言い方をされていましたけれども、そういう社会全体のトータルデザインというのも非常に重要であるかと考えているところでございます。
私どものこの情報ワーキンググループでは、このような視点を踏まえまして、情報活用能力の育成という立場から、資質・能力としては何ができるようになればいいのか、そのためにどんなこと、何を学ぶのか、そして、それをアクティブ・ラーニングに代表されるように、どのような形で学べばそういう能力が身に付くのかと、そういう視点で次期学習指導要領に向けて審議をしていきたいと思っております。
委員の皆様の御協力を頂きながら精一杯務めてまいりたいと思いますので、是非幅広い観点から忌憚のない御意見を頂けますよう、よろしくお願いいたします。以上でございます。
【小泉主査代理】  同じく主査代理を御指名いただきまして、務めさせていただきます尚美学園大学の小泉と申します。私は、ちょうど10年前に当時の中教審の情報及び技術・家庭、そして家庭の専門部会のメンバーとして、その三つに共通するテーマについて議論させていただきました。その後、先ほど磯課長から御紹介がありました、高校の情報科という必履修教科の第1回目の改訂に関わりました。
御承知のとおり、当初の情報A、B、Cという三つの科目は、生徒が自分の趣味、嗜好、意思に応じて選べるという科目構成ではありましたけれども、前回の改訂で情報C及び情報Bがそれぞれ現行の「社会と情報」「情報の科学」という形で新たな2科目構成になりました。情報Aは発展的解消ということで、小・中学校の情報活用能力に関わる内容が変わったことも影響しまして、現行2科目構成になっております。
さらに、先ほど磯課長から御指摘がありましたように、次の改訂では情報の科学的な理解の側面に重点を置いて、高校の情報科が晴れてという表現もおかしいかもしれませんけれども、日本の高校生全員が同じ教科の同じ科目を履修し、科学的な理解という視点での実践的な情報活用能力、そして情報活用に係わる態度も身に付けるということになることと思います。
したがいまして、高大接続の議論にある大学入学希望者学力評価テスト(仮称)の中身も、これから高校の情報がかなり注目を浴び、かつ重要な学習内容になると思います。一方、小・中学校におきましても、高校における新たな情報活用能力の学びに向けてどういう形で小・中・高の連携があるべきかということも議論しなくてはいけないと思います。
ということで、前回の高校の情報科の改訂におきましては、一応立場上はまとめ役として活動させていただきましたが、今回もこの流れで私が関わることになりますと、次の高校の情報科の中身をさらに精査し、かつ実践的、かつ現実的なものになるように努めさせていただくことになろうかと思いますので、是非この場も含めて先生方の忌憚のない意見を頂きまして、活動及び作業に反映できるようにしたいと思いますので、堀田主査の下頑張りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。以上です。
【稲葉情報教育振興室長補佐】  ありがとうございます。それでは、本ワーキンググループの進行につきましては、これより堀田主査にお願いをいたします。
【堀田主査】  それでは、議事に入ります前に、まずは事務局より委員の紹介をお願いいたします。
【稲葉情報教育振興室長補佐】  それでは、委員の皆様を御紹介させていただきます。
資料1といたしまして本ワーキンググループの名簿を配付させていただいておりますので、この名簿順に御紹介をさせていただきます。安藤明伸委員でいらっしゃいます。
【安藤委員】  よろしくお願いします。
【稲葉情報教育振興室長補佐】  池田敦彦委員でいらっしゃいます。
【池田委員】  よろしくお願いいたします。
【稲葉情報教育振興室長補佐】  小原格委員でいらっしゃいます。
【小原委員】  小原です。よろしくお願いします。
【稲葉情報教育振興室長補佐】  兼宗進委員でいらっしゃいます。
【兼宗委員】  よろしくお願いします。
【稲葉情報教育振興室長補佐】  小泉力一委員でいらっしゃいます。
【小泉主査代理】  よろしくお願いいたします。
【稲葉情報教育振興室長補佐】  佐藤万寿美委員でいらっしゃいます。
【佐藤委員】  よろしくお願いいたします。
【稲葉情報教育振興室長補佐】  柴田功委員でいらっしゃいます。
【柴田委員】  よろしくお願いします。
【稲葉情報教育振興室長補佐】  清水雅己委員でいらっしゃいます。
【清水委員】  清水です。どうぞよろしくお願いします。
【稲葉情報教育振興室長補佐】  白水始委員でいらっしゃいます。
【白水委員】  よろしくお願いします。
【稲葉情報教育振興室長補佐】  津賀宗充委員でいらっしゃいます。
【津賀委員】  よろしくお願いします。
【稲葉情報教育振興室長補佐】  中川哲委員でいらっしゃいます。
【中川委員】  中川です。よろしくお願いします。
【稲葉情報教育振興室長補佐】  西端律子委員でいらっしゃいます。
【西端委員】  西端でございます。よろしくお願いいたします。
【稲葉情報教育振興室長補佐】  堀田龍也主査でございます。
【堀田主査】  よろしくお願いします。
【稲葉情報教育振興室長補佐】  益川弘如委員でいらっしゃいます。
【益川委員】  よろしくお願いいたします。
【稲葉情報教育振興室長補佐】  なお、本日御欠席でございますけれども、このほか五十嵐俊子委員、野部緑委員が本ワーキンググループの委員に就任されていらっしゃいます。
委員の皆様の御紹介は以上でございますが、続きまして、文部科学省の関係者を御紹介させていただきます。先ほど御挨拶申し上げました、文部科学省生涯学習政策局情報教育課長、磯でございます。
【磯情報教育課長】  よろしくお願いいたします。
【稲葉情報教育振興室長補佐】  情報教育課情報教育振興室教科調査官、鹿野でございます。
【鹿野教科調査官】  鹿野です。よろしくお願いいたします。
【稲葉情報教育振興室長補佐】  初等中等教育局教育課程課教育課程企画室長、大杉でございます。
【大杉教育課程企画室長】  よろしくお願いいたします。
【稲葉情報教育振興室長補佐】  私、本日の進行を担当いたしております情報教育振興室長補佐、稲葉でございます。どうぞよろしくお願いいたします。以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。それでは、これより議事に入りたいと思います。
初めに、本ワーキンググループの審議等につきましては、先ほどの資料2の初等中等教育分科会教育課程部会運営規則、これの第三条に基づきまして、原則公開により議事を進めさせていただくということになっております。また、第六条に基づきまして議事録を作成し、原則公開するものとして取り扱わせていただきます。よろしくお願いいたします。なお、本日は報道関係者より会議の撮影及び録音の申出がありまして、これを許可しております。なお、カメラ撮影につきましては、申し訳ございませんがここまでとさせていただきます。
それでは、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。
【稲葉情報教育振興室長補佐】  それでは、配付資料の確認をさせていただきます。本日は、議事次第に記載しておりますとおり、資料の1から資料の8、その他、机上に参考資料を配付させていただいております。不足等がありましたら、事務局の方に申し付けいただければと思います。
また、机上にタブレット端末を御用意させていただいておりますけれども、その中には本ワーキンググループの審議に当たりまして、参考となる関係する審議会の答申、関係資料等をデータで入れてございます。御参照いただきます場合には、お手数でございますが、机上に配付しております使用方法を説明したペーパーの方を御覧いただきたいと思います。
また、本ワーキンググループの設置に係り、新たに中央教育審議会初等中等教育分科会の委員になられた先生方におかれましては、机上に辞令をお入れしました封筒を置かせていただいておりますので、御確認をお願いいたします。
【堀田主査】  ありがとうございました。それでは、最初に諮問、あるいは教育課程企画特別部会の論点整理、学習指導要領改訂の今後の検討体制、今度のスケジュールにつきまして、大杉室長に、お越しいただいておりますので、御説明をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】  失礼いたします。改めまして、教育課程企画室長の大杉と申します。本ワーキンググループにつきましては、情報教育課と教育課程課、局を超えた連携体制をとりまして事務局に当たらせていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、これまでの本ワーキンググループの議論に至るまでの経緯を、主に教育課程企画特別部会論点整理、お手元に緑色の冊子がございますけれども、これを中心に御説明をさせていただきます。また、全体の体制という中での本ワーキンググループの位置付けなどを、資料の5、資料の6を基に御説明をさせていただきますので、お手元にお出しいただければと存じます。
それでは、まず資料5、資料6の方から御説明申し上げます。資料5の方は、各種ワーキンググループの設置についてということで、資料の5、一枚おめくりいただきますと、次期学習指導要領改訂に向けた検討体制という組織図がございます。次期改訂に向けた検討を行います教育課程部会の下に、教科横串で様々な議論を行いました教育課程企画特別部会、そして、その下に今回、22の専門ワーキンググループ等を設置させていただいているところでございます。
これから、このそれぞれの部会におきまして、学校段階別、それから教科等別の議論を開始していただくことになります。その中で、情報ワーキンググループ、下の右から六つ目にございますけれども、ここにおきましては高等学校の情報科のみならず、各教科の情報活用能力に関わることについてもおまとめいただき、それを私どもで適切に各ワーキンググループの議論につないでまいりたいと考えているところでございます。
今後のスケジュールでございますが、資料6を御覧いただければと存じます。今後のスケジュール、ここに至るまでの経緯でございますけれども、昨年11月に文部科学大臣から次期改訂に向けた諮問ということで出されております。後ほど触れさせていただきます。それに基づきまして、先ほどの組織図、上の方にございました教育課程企画特別部会におきまして14回にわたる議論が重ねられ、まとめられたのが今回の緑色の冊子の論点整理ということになるわけでございます。これを受けまして、まさにこのワーキンググループ、第1回目でございますけれども、これから年度末、それから年度明け頃をめどに、それぞれの議論を取りまとめいただきたいということでございます。これを、平成28年とございますけれども、教育課程部会又は教育課程企画特別部会における議論の取りまとめ、審議のまとめ、そして来年度内に答申という段取りが予定されているところでございます。
少し真ん中あたりに授業時数の在り方ということで、これは今回小学校について少し議論がございますけれども、これにつきましては年内から年明けをめどにまとめることといたしております。こうしたスケジュールを踏まえました場合に、実際の幼・小・中・高の現場における実施ということは、下の丸のところにございますようなスケジュールで実施されるというようなことが予定されているところでございます。
それでは、緑色の冊子の方に移らせていただきたいと存じます。緑色の冊子をお開けいただきますと、論点整理ということで目次がございます。本文、これが53ページまでずっと続いてございます。その53ページの次をお開けいただきますと、企画特別部会の委員名簿、それから、一枚、緑色の紙をおめくりいただきますと、教育課程企画特別部会における14回にわたる審議状況、論点整理の取りまとめに至るまでの状況を整理させていただいております。その後の緑色の紙を一枚おめくりいただきますと、これが昨年11月の下村前大臣からの諮問内容ということになります。
次をおめくりいただきますと、理由ということで、諮問理由、簡単に御説明させていただきます。今の子供が成人して社会で活躍する頃、どのような社会となり、子供たちにどのような力が求められていくのかということ。その中で教育の在り方がどのような進化を遂げていくべきかということ。前回改訂におきましては、学力のバランスのとれた育成、言語活動も含めた様々な重視ということが提言され、様々な各学校現場における真摯な取組の成果として学力の改善傾向ということが言われているということ。
一方で、例えば様々な物事に関して根拠を示しながら自分の考えを説明していくことでありますとか、社会参画、新たな価値を創造していくという観点では、まだ課題があるのではないかということ。
次のページですけれども、こうした状況を踏まえながら一人一人の可能性をより一層伸ばし、新しい時代にふさわしい学習指導要領の改善ということを図っていく必要があるのではないかということ。ESDなど様々な取組の成果も踏まえながら、子供たちに何を教えるかという知識の質や量の改善はもちろんのこと、どのように学ぶかという学びの質や深まり、そして、どのような力が身に付いたのかということを考えていく必要があるのではないかということでございます。
具体的には、その下の方にありますけれども、第一にということで、教育目標・内容と学習・指導方法、学習評価の在り方を一体として捉えた、新しい時代にふさわしい学習指導要領の基本的な考え方、これが今回冊子になっておりますが、この論点整理でまとめていただいているところでございます。
それから、次のページ、第二にということでございますけれども、資質・能力を踏まえた新たな教科・科目の在り方、既存の教科・科目の見直しについて、これをまさに今回ワーキンググループ等で御議論をいただくということでございます。
そして、最後に次のページの下の方ですけれども、学習指導要領の理念を実現するためのカリキュラム・マネジメント、学習指導方法、それから様々な条件整備ということについてどのような支援が必要かということでございます。こうした諮問を受けまして、企画特別部会におきまして14回にわたり御議論をいただき、おまとめいただいたのが、この冊子の冒頭に戻っていただきまして論点整理ということになります。
限られたお時間でございますけれども、時間の範囲内で、特にこのワーキンググループに関連深いところを中心に御説明をさせていただきたいと思います。目次をおめくりいただきますと、1ページということで、2030年の社会と子供たちの未来。これにつきましては、先ほどのスケジュールにございましたように、例えば小学校におきまして次期学習指導要領、2020年からの実施が予定されているところでございます。おおむね10年に一回の改訂ということで考えますと、10年間、2030年ぐらいまでその役割を担うということが考えられている。
その頃の社会ということがどのような社会になっているかということ。様々な変化の予測が難しいというような時代になっているのではないかということでございます。そうした中で、各教科共通に学習指導要領全体で目指していくべき方向性として今回打ち出していただいておりますのが、3ページ目の社会に開かれた教育課程ということでございます。これを全体として目指していこうということでございます。
社会に開かれた教育課程、3ページ目の一番下にございますが、社会や社会の状況を幅広く視野に入れ、よりよい学校教育を通じてよりよい社会を創るという目標を持ち、教育課程を介して、その目標を社会と共有していくこと。
次のページになりますけれども、これからの社会に出ていく子供たちが、社会の中で必要な人生を切り開いていくための資質・能力をしっかり育んでいくということ。それから、地域も含めて様々な方々と連携しながら、学校教育を学校内に閉じずに目指すところを社会と共有、連携しながら実現させること。これを学習指導要領、教育課程全体で目指していこうということでございます。
こうした方向性の下、5ページでございますけれども、前回改訂の成果と次期改訂に向けた課題ということで、前回改訂の成果、学力をバランスよく育むということ、言語活動などを踏まえて、現場では真摯な取組が重ねられているということ。その成果として、学力調査の結果等、学力の向上ということも指摘されているということ。これを踏まえれば、前回改訂において重視された学力の三要素のバランスのとれた育成、言語活動、体験活動の重視等についてはしっかりと成果を受け継いで充実を図ることが必要であるということ。
一方で6ページでございますけれども、子供たちに指摘されるような判断の根拠や理由を示しながら自分の考えを述べたり、社会参画の意欲、自ら能力を引き出し、主体的に判断し行動するまでに達しているのかどうかという課題があるということ。それを踏まえますと、学力のみならず豊かな心、健やかな体なども含めた、生きる力を総体的に捉えて各教育課程、各授業への浸透や具体化を図るということには、まだまだ課題があるのではないかといこと。
一番下にございますように、前回改訂の一定の成果を踏まえながら、さらに教育課程の全体像を念頭に置いて見直しを図っていく、さらなる具体化や浸透を図っていく、こうしたことが求められるのではないかということでございます。
7ページ目が新しい学習指導要領が目指す姿ということでございます。下にございますように、何ができるようになるのかという観点から、8ページ目上にありますように、何を学ぶのか、どのように学ぶのかという視点を持っていくということ、特に学習プロセスということでございますけれども、子供たちの真の理解、深い理解を促すための学びや知識等に関する様々な科学的な知見の蓄積なども踏まえながら、各教科の在り方も考えていく必要があるのではないかということでございます。
このような中で、どのような資質・能力の育成を目指すのかということでございますけれども、12ページになります。将来の予測が困難な複雑で変化の激しい社会、グローバル化が進展する社会、情報化が進展する社会、これにどのように向き合い、どのような資質・能力を育成していくべきか。例えば変化の中に生きる社会的存在として様々な情報や出来事を受け止め、主体的に判断しながら、自分を社会の中でどのように位置付け、社会をどう描くかを考え、他者と一緒に生き、課題を解決していくための力。
このページの上から三つ目の丸になりますけれども、急速に情報化が進展する社会の中で、情報や情報手段を主体的に選択し、活用していくために必要な情報活用能力の育成も含めた力を育んでいく必要があるのではないかということ。
また、13ページ、グローバル化する社会の中でということですけれども、言葉や文化に対する理解を深めて、しっかりと異文化との理解、協働ということも考えていくということが必要ではないかということ。
こうした様々な資質・能力が考えられるところでありますけれども、学習指導要領を考えていくに当たっては、それをある程度構造化していく必要があるのではないかという議論がなされたところでございます。その視点が、これは冊子の少し後ろの方にカラーで何枚かスライドを付けさせていただいているところですけれども、ページ的には大体この冊子の中頃、この補足資料のスライドの27ページというところになります。
27ページ、育成すべき資質・能力の三つの柱ということが下の方に書かれてございます。何を知っているか、何ができるか、それから、知っていること・できることをどう使うか、そして、どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか、この三つの柱で各教科の在り方、教育課程全体の在り方をしっかりと構造化していこうということでございます。
こうした構造についてですけれども、本文の方の15ページにお戻りいただければと思います。各教科と教育課程全体構造の関係でございます。15ページの教科等の本質的意義というところの三つ目の丸に「思考力は」ということがございますが、思考力というものが、例えば国語や外国語を御覧のような課程、社会科の課程、様々な各教科における課程を通じて育まれていくということ。一番下の丸になりますけれども、このように各教科の文脈の中で指導される内容事項と関連付けながら育まれていくということ。
ただし、これからをしっかりと実社会の様々な場面で活用できる汎用的な能力にさらに育てていくためには、総体的な観点からの教育課程の構造上の工夫が必要になってくるということ。
したがいまして、16ページの丸にございますように、各教科等を学ぶ本質的な意義ということと、各教科で育成される資質・能力の間の関連付け、内容の体系化-これは特に情報活用能力ということも同様であると思いますけれども、これを双方をしっかりと整理していく必要があるということは御提言いただいているところでございます。
こうした方向性が大体総論部分になります。こうやって総論部分につきましては22ページからありますように、学習指導要領の在り方にとどまらず、その理念を実現するためにどのような方策が必要かということ、カリキュラム・マネジメントも含めて整理をしていただいているところでございます。
特に25ページには、環境の整備ということがございます。環境の整備、二つ目の丸にございますように、ICTも含めた必要なインフラ環境の整備、下から二つ目の丸にございますように、教科書も含めて必要な教材や情報機器ということ、こうしたことについても学習指導要領の在り方と一緒に考えていく必要があるということでございます。
ここまでが総論でございまして、以下26ページ以降が各教科、各学校段階における具体的な改訂の方向性ということになりまして、そこから幼・小・中・高、特別支援、各教科の在り方ということで展開されております。特に本ワーキンググループに関連の深いところを拾い上げるような形で御説明させていただきますと、34ページ、総則でございますけれども、今回こうした各教科の意義をしっかりと関係付けてつないでいくという意味では、かなり総則というものが持つ意味というのはこれまで以上に大きくなってくるということでございます。
この中にも総則の中の四つ目の丸の中に、情報機器やネットワークの活用ということ、また、それを超えた様々な資質・能力の育成ということの結節点ということもそうでございますけれども、こうしたことで別途、総則・評価特別部会というのもございますけれども、情報ワーキンググループの議論とも整合性をとりながら進めていくということでございます。
また、各教科におきましても様々な情報をしっかりと活用していく。例えば国語におきましても、35ページの一つ目の丸の7行目あたりになりますが、国語における情報活用能力の育成、こうしたこともしっかり図っていくということを論点整理で御提言を頂いている。国語に限りませんけれども、各教科においてこうしたことを意識しながら、ワーキンググループにおける議論を進めてまいるということになっております。
本ワーキンググループの中心的な議論に関わる部分では44ページになってまいります。44ページ、情報というところです。情報、これまでの充実、改善を踏まえつつ、さらに加速度的な情報化の進展ということ、こうした社会の在り方を踏まえると情報活用能力につきまして、量のみならず質の変化が激しいことなども視野に入れた一層の充実、これを幼児期に育まれた言葉による伝え合いというような基礎の上に、しっかりと小・中・高、各教科を通じた育成ということ、先ほどの資質・能力の三つの柱ということを意識していく必要があるのではないかということ。
また、様々なプログラミングや情報セキュリティをはじめとする情報モラルなどに関する学習活動の充実ということも、発達段階に応じて図っていくということ。そして、今回、特に高等学校における共通性を明確にし、様々統計的な活用の手法や情報と情報技術を問題の発見と解決に活用するための科学的な考え方を育成する、共通必履修科目の設置を検討するということも示されているところでございます。
これにつきましては、先ほどの後ろの方のスライドのカラーのものになってまいりますが、スライド番号で申しますと128になってまいります。カラーの方の補足資料の128になりますが、情報科学の今後の在り方についてというところです。新科目のイメージということで、共通必履修科目の在り方と選択科目の在り方ということ、これをこうした方向性についてさらに中身を詳しく御議論をいただければというふうに思っております。
そして、本文の方、最後の48ページ、今後のスケジュールにつきましては先ほども御説明申し上げたとおりですが、この論点整理を踏まえながら、今回は各教科、各学校段階別の議論も、それぞれに閉じた議論ではなく、カリキュラム全体を見通しながら議論をしていくということでございますので、そうした意味では、この情報ワーキンググループの持つ意味というのも大変大きくなってきているというふうに受け止めているところでございます。
以上、大変長くなりましたけれども、論点整理の御説明をさせていただきました。ありがとうございます。
【堀田主査】  ありがとうございました。
続いて、稲葉補佐、お願いします。
【稲葉情報教育振興室長補佐】  それでは、引き続きまして、本情報ワーキンググループの今後の検討事項につきまして、また、情報教育の現状等につきまして御説明させていただきたいと思います。
資料でございますが、資料7と資料8を御用意いただければと存じます。まず、資料7の情報ワーキンググループの今後の検討事項について(案)でございます。こちらにつきましては、先ほど御説明を申し上げました論点整理、こちらの方から、この本ワーキンググループで御検討いただく内容であろうということを整理させていただいたものでございます。順番に御説明させていただきます。
まず一点目といたしまして、ローマ数字の1、小・中・高等学校を通じた情報活用能力の育成について。まず、その中での一点目といたしまして、①小・中・高等学校の各教科等を通じて育まれる情報活用につきまして、先ほどの育成すべき資質・能力の三つの柱に沿いまして、どのように整理をするのかというところがあろうかと思います。情報活用能力、長い歴史があるものでございますけれども、これと、この三つの柱と、どのように整理をしていくのかというテーマでございます。
次に、②のところにございますように、特にプログラミングでございますとか、情報セキュリティをはじめとする情報モラルなどに関する学習活動、これを学校外の多様な教育活動とも連携しつつ、発達段階に応じてどのように充実を図っていくべきかという点でございます。
また、三つ目、これは直接に情報教育というわけではないかもしれませんけれども、各教科等におけるICTを活用した学習指導に関しまして、アクティブ・ラーニングの視点に立った学びを推進すると、そういった視点を踏まえましてどのように充実を図っていくべきかという点ではないかと考えております。
また、二つ目、ローマ数字の2でございますけれども、高等学校情報科、これは各教科に共通する教科、共通教科の情報科でございますけれども、これの改善に関しまして、これもやはり論点整理で御指摘いただきましたとおり、情報の科学的な理解に裏打ちされた情報活用能力を身に付けさせるために、情報科の科目の構成、目標、内容、それから学習指導方法等につきましてどのように改善を図るべきかという点が、二点目ではないかと考えております。
三点目、ローマ数字の3でございます。これは、直接的に教育内容に関わるところではございませんけれども、やはり、この学習指導要領の理念を実現していくために必要な方策といたしまして、情報教育やICTを活用した学習・指導を充実するためのカリキュラム・マネジメント、これをまさに情報教育等の観点からはどのように確立していくべきかという点。それから、さらに教員の指導力の向上、ICT環境の整備等をどのように進めるべきか。ここには書いてございませんけれども、小学校の場合と中・高の場合とで違うのではないかという御指摘も頂いているところでございます。こういった点も併せて御検討をいただければと考えております。
順番につきましては、おおむねⅠ、Ⅱ、Ⅲの順番に検討してはどうかとは考えておりますけれども、こういったことも含めまして、本日様々な御議論をいただければというふうに考えているところでございます。
引き続きまして、資料8、情報教育に関する資料につきまして御説明をさせていただきます。委員の皆様方は情報教育の御専門の先生方ばかりでございますので、今日の説明といたしましては、先ほどの教育課程企画特別部会での議論の背景にございました情報教育の現状でありますとか、論点整理で提言されました情報教育の今後の在り方等を中心に御説明させていただきたいと思います。
1ページ目、情報科目、情報教育に関連いたします学習指導要領改訂の経緯等でございます。これは先生方、御承知のとおり、臨教審の答申におきまして情報活用能力の育成を図るということが示されまして、その後、学習指導要領にコンピュータに関する内容等が取り入れられたところでございます。
2ページ目でございます。平成11年の改訂におきまして、高等学校に普通教科「情報」が新設をされまして、必履修となったところでございます。さらに平成21年の改訂におきましては、「社会と情報」の「情報の科学」の2科目から1科目を選択必履修するというふうになったところでございます。また、20年の改訂になりますけれども、中学校の技術・家庭におきましても、「プログラムによる計測・制御」を全ての生徒に履修させるとなったところでございます。
3ページ目は、高等学校の前回改訂のポイントのところをお示ししたものでございます。学習指導要領の改訂後につきましても、文部科学省におきましては、初等中等教育段階において教育の情報化を総合的に進めていくということで、資料の方には4ページの教育の情報化ビジョンでございますとか、5ページのICTを活用した教育の推進に関する懇談会、こういった報告書等に基づきまして、教育の情報化の推進をさせていただいているところでございます。
続きまして、子供たちの情報活用能力の現状等についてでございます。6ページ、こちらは情報教育の目標としましての情報活用能力が3観点、8要素に整理されるということとともに、その情報活用能力は小・中・高等学校の各教科等を通じて育まれるものであるということ。また、その3観点は相互に関連を図りながら、バランスよく指導することが重要であるということを示したものでございます。
7ページでございますけれども、こちらは教育課程企画特別部会で御審議いただく際に、情報活用能力の育成が具体的にどのような内容の学習を通じて行われるのかということをイメージしていただけるようにお示しをしたものでございます。学習内容を全て網羅しているわけではございませんけれども、あくまでもイメージでございます。おおむね逆三角形の左側が情報の科学的な理解、右側が情報活用の実践力、情報社会に参画する態度に対応したものとなっております。
8ページでございますけれども、こちらは平成25年度に実施しました小・中学校の情報活用能力調査の結果をまとめたものでございます。小学生、中学生とも整理された情報を読み取ることはできますが、複数のウェブページから目的に応じて特定の情報を見つけ出し、関連付けること等に課題があるということが見出されたところでございます。
9ページでございますけれども、これは小学生につきましては、他人の情報の取り扱いについての理解に課題があるでございますとか、下の方になりますけれども、中学生につきましては、SNSの特性についての理解でありますとか、自動制御に関する情報処理の手順についての理解に課題があるというところでございました。また、文字入力に関しましても課題が見られるという状況でございます。
高等学校段階における情報活用能力に関しましても、10ページにございますとおり、全国、約150校の高校2年生を抽出いたしまして、本年度中に調査を実施することとしているところでございます。
続きまして、子供たちを取り巻く情報IT等の環境についてでございます。11ページでございますけれども、内閣府の調査によりますと、10歳から17歳の青少年の約66%、高校生に限りますと95%が携帯電話、スマートフォン等を利用しておりまして、その利用者の中でスマートフォンの普及が急激に進んでおります。今日、高校生の約9割がスマートフォンを所有しておりまして、この点は前回改訂時からの大きな変化と言えるのではないかと考えております。
12ページは、青少年のインターネット利用状況についてでございます。こちらのデータは携帯電話、スマートフォンのほかにパソコン、ゲーム機器、音楽プレーヤーなどの機器を通しましてインターネットを利用している青少年の割合でございますが、小学生の53%、中学生79%、高校生の96%がそういった形でインターネットを利用しているというものでございます。
13ページはインターネットの利用時間でございます。平成26年度の調査におきましては、インターネット利用者の約半数が2時間以上使用しているという状況でございまして、特に高校生の67%、3人に2人が何らかの機器で2時間以上使用している。また、3時間以上という人も47%という状況になっているところでございます。
14ページ、これは下段の左側のところでございますけれども、警察庁の調査によりますと、出会い系サイトの被害児童、減少しておりますが、コミュニティサイトの被害児童が増加している、そういった状況が見られるところでございます。
続きまして、15ページでございますけれども、こちらは教科「情報」をはじめとした情報教育に関する現状について御説明させていただきたいと思います。子供たちの情報活用能力を育成すること、とりわけプログラミングでありますとか、情報セキュリティを含む情報モラルに関する教育の重要性、そのほか、ICTを活用した教育を充実すること、さらにそうした教育を可能にするためのICT環境の整備を進めること、ICT支援員、外部人材の活用等により、教員の教育活動を支援すること等々の必要性が各種の政府方針におきまして指摘をされております。
次ページ以降、個々の方針ごとの資料を載せております。こちらの説明は省略させていただきますけれども、日本再興戦略、世界最先端IT国家創造宣言、教育再生実行会議第七次提言等々におきまして、そうした指摘がなされているところでございます。そのようにプログラミング、あるいは情報セキュリティなど、情報の科学的な理解の重要性が指摘されております一方で、高等学校における各科目の履修の割合を見てまいりますと、これは教科書の需要数ですので正確な履修率ではございませんけれども、社会と情報が約8割、情報の科学が約2割というふうになっております。
さらに、高等学校で情報科を担当される先生方の約3割が免許外で指導をされているという現状がございます。また、情報科の免許をお持ちでいらっしゃるけれども、数学、理科等々の他教科との兼任で指導されている、そういう先生も全体の約5割という現状になってございます。
ページが飛びますけれども、19ページ、諸外国におけます情報教育の現状についてでございます。教育制度は国、地域によって様々でございますが、初等教育段階からコンピュータサイエンス、あるいはテクノロジー、あるいはそういった情報機器を活用する技能についての教育が積極的に導入されている国、地域もあるところでございます。諸外国の情報教育の状況につきましては、次回以降さらに詳しい資料を御用意させていただきまして御議論の参考にしていただきたいと考えております。
20ページでございます。ここまで御説明してまいりました情報教育に関する現状につきまして、教育課程企画特別部会にお示しをした資料がこの20ページの資料でございます。情報技術が高度に進展いたしまして、子供を取り巻く環境が前回改訂時から劇的に変化しているとの現状でございますとか、子供の情報活用能力の現状を踏まえまして、情報の科学的な理解に裏打ちされた情報活用能力を身に付けることが重要と考えられること、また、各種の政府方針におきましてもそういった重要性が指摘されていることを示したものでございます。
21ページの情報科目の今後の在り方等について、検討素案でございます。先ほど教育課程企画室長からも御紹介がありましたけれども、そういった情報教育の現状を踏まえまして、高等学校情報科の今後の在り方について、検討の素案として、教育課程企画特別部会にお示しをした資料でございます。左側が現行の情報科でございます。社会と情報、情報の科学の2科目から、いずれか1科目を選択必履修するということになっておりますけれども、いわゆる文理の別でございますとか、卒業後の進路を問わずに情報の科学的な理解に裏打ちされた情報活用能力を身に付けることが重要であり、改訂の必要があるのではなないか。
そのために、右側でございますけれども、情報と情報技術を問題の発見と解決に活用するための科学的な考え方等を育成する共通必履修科目を設けますとともに、さらにこの科目の履修を前提とした発展的な内容の選択科目を設けることを検討してはどうかということ。
また、関連いたしまして、中学校の技術・家庭科の技術分野の情報に関する技術の指導内容の充実でございますとか、小・中学校段階からの各教科等における情報活用能力を育成するための指導の充実についても検討が必要ではないかというものでございます。
22ページは参考でございますが、中学校技術・家庭科の技術分野につきましても同様に課題があるということの現状を示したものでございます。そのような現状を、あるいは検討素案を踏まえまして教育課程企画特別部会におきまして御審議いただきまして、おまとめいただきました論点整理の情報教育の関係部分を抜粋したものが23ページ以降となっております。先ほど、教育課程企画室長より御説明いたしましたので、個々の点は省略させていただきますけれども、後ほど御参照いただければと考えております。
幾つかのテーマに関しまして、現状等の御説明をさせていただければと思います。29ページを御参照いただければと思います。プログラミングに関する教育の現状でございます。プログラミングに関する教育につきましては、小学校では総合的な学習の時間等において実施されている例がございます。また、中学校では、技術・家庭科において必修となっておりまして、コンピュータを利用した計測、制御、簡単なプログラムにつきまして指導がされておりますし、高等学校におきましては、情報の科目において指導がされているところでございます。
おめくりいただきまして30ページでございます。中ほどにございますようにプログラミング学習を担当する教員の指導力、あるいは適した教材等々の課題がございますので、文部科学省におきましてはプログラミングに関する教育を推進するために事例集や手引書を作成する等の支援を行っているところで、その概要を示した資料でございます。
続きまして、31ページ、情報モラルについてでございます。31ページのこれは携帯電話や、インターネットをめぐる問題に関しまして文科省で種々の取組を行っているという全体像を示したものでございます。次の32ページの方が学習指導要領の規定でございまして、総則、道徳、あるいは中学校の技術・家庭科、高等学校情報科等におきまして、表に示しておりますような形で情報モラルに関する指導が行われることとなっております。
33ページでございます。情報モラルに関する指導を充実するための手引書でございます。こちらの手引書の方におきましても、単に行動面での指導だけではなく、情報技術の特性など、情報の科学的な理解に基づく指導が行われるような配慮をさせていただいているところでございます。
34ページでございますが、情報教育に関連いたします研究開発学校の取組をまとめたものでございます。小学校、中学校におきまして情報科等の教科を設けることにつきまして、その目標、内容等の在り方について研究をされたものでございます。これにつきましても、次回以降、資料を追加いたしまして御議論の参考とさせていただきたいと考えております。
35ページ以降は、関連する事項について簡単にまとめたものでございます。35ページ、36ページは授業におけるICTの活用についてまとめたものでございます。37ページ、38ページ、教員のICT活用指導力についてでございます。ICT活用指導力につきましては年々着実に上昇しておりますけれども、児童・生徒のICT活用を指導する能力、あるいは授業中にICTを活用して指導する能力につきまして、まだ十分とは言えないという状況でございまして、各種の研修等を通じまして全国的に指導力の向上を図っていきたいと考えているところでございます。
38ページは、中央教育審議会の教員養成部会におきまして、やはり教員の資質・能力の向上について提言がされたところでございます。
39ページからは高等学校教育・大学教育・大学入学者選抜の一体的改革についてということで、こちらの方も中教審の答申を踏まえまして、現在、高大接続システム改革会議におきまして検討が行われているところでございます。この中身は少し省略をさせていただきますけれども、この中で43ページ以降にございますとおり、高等学校基礎学力テスト(仮称)、それから、大学入学希望者学力評価テスト(仮称)、こういったものの導入が検討されているところでございまして、この中で教科「情報」の取り扱い、導入することについてでありますとか、あるいはCBTを導入することなどにつきましての検討がなされているところでございます。
最後、47ページ以降は、関連する予算等をまとめたところでございます。こちらは説明を省略させていただきます。長くなりまして申し訳ございません。よろしくお願いいたします。
【堀田主査】  ありがとうございました。短い時間でたくさんの資料を御説明いただいたわけでございますけれども、この後、皆さんにいろいろな御意見を頂きますが、ちょっとだけ付け足しをさせていただきます。大杉室長がおっしゃったように、次の学習指導要領に対して今かなり重要な時期であります。ですので、この次の学習指導要領の方向といいましょうか、そういうことを十分に承知した上で、私たちは検討する必要があるというのが一つでございます。
それに対して、稲葉補佐がおっしゃったように情報活用能力の育成については以前から取り組まれているところではございますけれども、先ほどのスマートフォンの急速な発展とか、タブレットが出てきたとか、家庭に入っているとか、あるいはそれが学校にも、教室にも入ってきたりとか。恐らくそれは、各教科でアクティブ・ラーニングのようなものをやられるときにもICTの活用として多分使われるだろう。それが、子供たちが全く操作できないとか、情報を適切に取り扱えないようでは教科の学習すらうまくいかない可能性もある。
こういうことをどういうふうに未然に防ぐかという観点から、情報活用能力は非常に重要になると考えられるわけです。そうすれば、どの教科で何年生頃にはどういう力をというようなイメージを各教科とすり合わせながら進めていただく必要があるということになりまして、私たちはそういう能力のイメージ、発達段階に応じた育成のイメージと、それが高等学校の教科「情報」、これをどちらかというと情報の科学的な理解のところにきちっと、しっかりと知識に基づいて、理解に基づいて判断できるような人になっていただくための教科内容の再編成ということを検討するということになります。この小・中・高の接続のところについて議論していくということになりますので、次の学習指導要領に向けたワーキンググループであるということを踏まえて、情報活用能力の育成について議論していきたいというところでございます。
本日は第1回目でございまして、初めての顔合わせでございますので、今の御説明を踏まえた上でそれぞれの先生方の御専門のお立場から、今まで取り組んでこられたことを含めて御発言いただければと思います。残り時間が1時間を切っております。できれば、初回ですので全ての方に何らかの御発言を頂きたいと考えておりますので、手短にお願いしたいと考えているところです。
御意見を頂く順番は決めませんが、早い者勝ちということにしまして、名札を立てていただいたところに指名していくという形でやらせていただきます。限られた時間ですので、御協力をよろしくお願いいたします。
それでは、自由討議に入ります。どなたからでも結構ですが、御意見よろしくお願いいたします。
では、佐藤委員、どうぞ。
【佐藤委員】  失礼いたします。兵庫県立川西緑台高等学校で、今情報の科学を教えております。僣越ながら、現場の意見、それから、これまで現学習指導要領の委員をさせていただいておりましたので、そのことを踏まえながら現状はどうであるかということを手短に御説明させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、現状の課題を優先的にお話をさせていただきます。今日の資料の中の御説明にもございましたように、五つほどございます。まずは、現行の学習指導要領においては「社会と情報」と「情報の科学」という2科目の設置の状況の偏り、先ほど8割と2割とおっしゃっていましたが、4対1の割合になっているということでございます。二つ目は、そのことを踏まえまして、教育課程上に問題があるということ。それから、三つ目は、先ほどの説明もございましたが、教員の指導力、教員養成並びに教員採用、そして大学入試、そして最後、環境整備、この五つの点につきまして少し御説明をさせていただきたいと思います。
まず、一番の科目の偏りの方でございますが、現状のところは4対1。すなわち、私たちが取り組むと言われております科学的な視点、すなわち「情報の科学」の恐らく延長上にあるかと思われる科目につきましては、やはり「情報の科学」を現行の課程で教えている教員が不足しているという事実、そこが非常に問題になると思います。この点を解決しなければ、新しい学習指導要領で非常に困ることになるということです。
それから、二番目は、教育課程上にも問題がございます。現行の学習指導要領では、例えば共通科目として必履修、どちらかを一つということで、2単位を設置することになっております。しかも、分割履修と申しまして、例えば一年生で1単位、二年生で1単位というような分割は基本的にはやめようというのが、今回の学習指導要領での改訂点でございました。しかしながら、やはり学校の都合により1単位ずつ置かれている現状がございまして、学習内容の定着においては少し不安が残るところでございます。
それから、もう一つ、生徒選択制というものを導入しました。私どもの学校、それから前任校で早々と選択制を実施しましたところ、やはり生徒が主体的に選択すると、少し「情報の科学」の方の履修が増えているなという傾向を、私のアンケートに基づきまして各方面で発表させていただいております。
すなわち生徒は小・中・高で発達段階に応じて学んできている内容を踏まえて、新しい教科「情報」ではございますけれども、少しずつ、やはり科学的な視点に興味を持つ生徒が増えてきたのではないか。しかし、一方では、学校側が教育課程上に「社会と情報」を置くということを決めて教育課程をオープンにしますので、やはりこの選択制というものが導入されていない状況がこの偏りをさらに加速化させているのではないかという問題点がございます。
それから、今回の改訂に是非提案させていただきたいのは、このたび共通教科「情報」を必履修としておくのであれば、やはり低学年に置くべきではないかと考えております。現状でありますと、場合によりましては、3年生に置いている学校もございまして、できるだけ早い段階で小・中・高の学びの延長上に、すなわち1年生のところで「情報の科学」の延長上にあるような新しい科目、科学的な視点に裏打ちされた科目をできるだけ早い段階で置くことによって、今日の論点にもございましたように、全ての教科における情報教育というもの、情報活用能力を育成するというところを、高等学校の教科「情報」がベースとなり、さらに広がりを見せるのではないかと思っております。
あとは、その辺につきましてはやはり教員の指導力が必要でございますので、高大接続の部分で大学における教員養成課程につきましても、やはり見直し、あるいは充実を図っていただければと思います。それから、やはり教員採用の問題、そして大学入試、そして環境整備。特にWI-FIクラウド化というのが学校に必要ではないかと思います。一方で、セキュリティも必要になってまいりますので、アクティブ・ラーニングという学習指導法にICTを活用できるような環境整備を是非進めていただければと思います。以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか、今の件で。
【小泉主査代理】  今の件で、ちょっと質問をしていいですか。簡単な質問ですけれども、事前にどのような情報を提供した結果、生徒は「情報の科学」の方に興味を示したのかというのと、あとは、1年で開講しているとすると、中学校卒業時点で情報を提供しないといけないと思うのですけれども、そこをどのようにしているか教えてください。
【佐藤委員】  はい。まず一つ、どのように生徒に情報を提供するか。これは、一年生で開講する場合は、入学前にアンケートをとらなければなりません。現行の学習指導要領上に芸術科がございます。これは、入学前にアンケートをとりますので、同じような形でとります。
しかしながら、問題点は小学校、中学校に情報科がないということです。ですから、高等学校で初めて学ぶ教科ですから、当然中学生から高等学校に入るに当たっては芸術との違いは中身が分からない。それで、内容を教科書展示、それから説明会などを設けます。それから、先生とQ&Aということで中学3年生、合格者の保護者の皆様とディスカッションをするという場面も設けます。以上です。
【堀田主査】  では、兼宗委員。
【兼宗委員】  兼宗と申します。よろしくお願いします。いろいろな立場の方がバランスよく委員になられて、とても心強いと思っています。私は、中教審の委員は初めてになりますので、とても楽しみにしております。自己紹介と期待を述べさせていただければと思います。
私は主に大学の工学部でコンピュータとか、電気とか、機械とか、そういったものを教えていますので、それをどうやって小・中・高の児童生徒に楽しさを知ってほしいかということに一番興味を持っています。特に今回は大きな方針としまして、「情報の科学」を伝えられるかとか、プログラミングを実施できるかという話になっていますので、ここら辺はとても有用な、日本には蓄積されたノウハウとかがあると思いますので、そのあたりが生かせればと考えております。
個人的には、プログラミング言語がどれぐらいの年齢に、若しくは初心者がどこら辺でつまずくかということを研究テーマにしていたり、それから「情報の科学」につきましても結構幅が広いのですけれども、どの分野の科学が何歳ぐらいから思考的に理解できるのだろうかということに興味を持って研究を進めています。そのあたりのことを具体的に報告できる場があるかはわかりませんけれども、必要に応じて議論に参加させていただければと思っております。どうぞよろしくお願いします。
【堀田主査】  ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
中川委員。
【中川委員】  私、日本マイクロソフトに所属をしております中川と申します。子供たちの通常教室における1人1台ICT端末整備の事業に多く携わらせていただいております。まず環境面の方から感じていることでございますけれども、当初、学校に敷設されているネットワークというのが1人1台環境を想定されていません。大体これまでしっかり整備されていなかった学校にお邪魔すると、教卓の後ろにLANのジャックの口があって、以上といった状況です。そこからネットワークを引きましょうということでワイヤレスのネットワークは敷くんですけれども、学校のネットワークというのは大体教育委員会で取りまとめられまして、教育委員会のネットワークは、教育委員会は行政の一部でございますので、行政のネットワークを通じて外に出ていくということになります。
そうしますと、もし学校で1人1台、通常教室で全ての子供たちが端末を持ち、教育委員会の中にネットワーク上にぶら下がる学校が全部一斉に、始業と同時に先生が何かページを開きなさいと、こんなページを見ましょうというと、当然ネットワーク的には破綻をするというような問題がある。根本的な解決はされないまま、学校にネットワークだけが、無線LANの環境だけが敷設されていくという状況がありまして、ネットワークのトポロジーも含めて環境面は一度見直す必要があるのではないかというのは、いつも教育委員会と行政の皆様とお話をさせていただいている点になります。これが環境面のポイント。
あとは、指導内容につきましては、私どもは総務省ドリームスクールに参加させていただいておりまして、プログラミング教育の実証研究校を一つやらせていただいているのと、それから関連学校様との連携をしている観点からお話をさせていただきます。通常教室で1人1台コンピュータを持ち込んだだけでも設定調整とか、つながらないというので、ICT支援員という方が必ずサポートについていただきます。英語の授業ですとALTの方がいらっしゃいますけれども、ICT支援員というような方がいらっしゃる。これを、プログラミングをやるとどうなるかというと、さらに実はコンピュータの業界ではインフラのネットワークをやる人と、それからコンピュータのプログラミングをやる人は全く違います。ネットワークエンジニアでプログラムを書けない方はたくさんいらっしゃいます。
ですので、プログラミングの授業をやるから、ICT支援員さん、サポートをお願いしますというのは、実はこれは機能しない、スキルが違うんです。という問題があり、プログラミング教育をするには、それ相応のサポートが必要です。若しくは、教員養成大学の方でそういった人材をしっかりと育成していくということが求められるかと思うんです。この日本再興戦略の中で、プログラミングであるとかサイバーセキュリティと言われている一方で、そういった気配を私は現場では全く感じませんので、多分短期的には、もしプログラミング教育を実装するのであれば、プログラム支援員というようなプロのプログラマが、先生方をサポートし、プログラムはプロのプログラマが作るような少しハイブリッドな体制でやりながら、中長期で……。そんな体制というのは多分ずっと機能しないと思いますので、大学の方でプログラミングを教育的観点から教えられる人材の育成というのを行っていかないと、ここに書かれている政府の戦略というのはなかなか達成できないのではないかなと考えております。
あとは、どうしても私も元プログラマで、できるだけ低級言語が書ける方が偉いというのがプログラムの世界で、Cとか……。低級、高級というのは、皆さん、勘違いされるといけない。高級言語はビジュアルプログラミングとか、割とドラッグ・アンド・ドロップで作れて、高級の方が実はスキルとしては低級なんですという変わった世界なんですが、できるだけコンピュータに近いところで言語を書く方が偉いとされるプログラムの世界なんです。
発達段階に応じまして、子供たち、例えば小学生なんかで例えば固有名詞でスクラッチとかありますけれども、ああいったビジュアルプログラミング、コードを一切書かないプログラミングでプログラムを作る楽しさを学んでいくというようなこともありますので、こういったものも発達段階に応じてどういうスキルを得てほしいかという観点で取り組んでいくというのが必要になってくるのではないかなというのが、IT屋として今現場で感じていることでございます。すみません、長くなりました。以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。
では、小原委員、白水委員、清水委員の順番でいきます。どうぞ。
【小原委員】  小原でございます。初めましての方もいらっしゃるので、簡単に私自身のことについて御説明させてください。私は現職講習で平成12年度に情報の免許を取得いたしました。元教科は数学です。それで平成15年から、情報科の1年目からずっと、情報科の教員として本校、町田高校で12年ほど教えております。
二つの面で簡単に御説明したいと思います。一つが、まず情報科という側面なのですけれども、東京都は情報の専任を置いておりますので、私は基本的に情報しか教えておりません。いろいろな御意見があるとは思うのですけれども、私はこのシステムは至極当然で非常にありがたいと感じております。教科教育について深く考え、いろいろなことについて研究できる状況で、情報科に専念できるということは非常にありがたいことだと感じております。
平成15年の当初から私は、プロジェクト学習を取り入れておりますが、プロジェクト学習は本当に子供たちを変えます。年度末に、3学期いっぱいかけて行います。自分たちで情報社会に関連するテーマを見つけて、それについて課題を発見していくような学習方法なのですけれども、本当に子供たち、楽しそうに学習をしています。
そこで、今回の三つの大きな学力の要素にも入ってくるのですけれども、その中で子供たちは基礎基本がまだまだ不十分であるということを思い知ることになります。やはり1年生で行うこともポイントです。そうすると、情報の内容はもちろん、やっぱりもっといろいろな教科の勉強をする、数学の勉強、理科の勉強、もっと幅広い知識や考え方を身につけるべきだ。もっと必要だという形で私も帰着させ、子供たちもそれに納得しているような、そのような情報の授業を目指しております。
もう一つの面が、「アクティブ・ラーニング」です。これは重要なキーワードだと感じており、これも教科「情報」と非常に相性がいいのかなと思っています。ですので、アクティブ・ラーニングについても、このワーキンググループの中でいろいろ検討が進んでいくのかなと思うのですけれども、是非情報で積極的に取り入れるような方向でいくといいのではと思っています。
反面、やっぱり御指摘されているとおり人の問題というのは非常に大きいです。先生方の中にはどのようにアクティブ・ラーニングを進めてよいか悩まれている方ですとか、元教科が情報ではなかったからということでどのようにスキルアップを進めていけばよいのか迷っておられる先生方もいらっしゃるかと思います。やはり、これらの先生方に対するフォローアップをどうするか、さらには、新しい知識を持つ若い学生が新規採用になるようなことについてどうするのかというのは、やはり直接内容とは関係ないかもしれないですけれども、切っても切り離せない問題になっていくのかなとも思っています。
それから、ICTの活用についてなのですけれども、本校は東京都のICT活用推進校に指定されております。そのこともあり、本年度タブレットPCが配備されましたが、やはり先ほど佐藤委員のお話にもあったように、1年生で情報科を置くということは、非常に効果的だと思っています。例えば今日も、保健体育の先生が「こういう形で使いたいのだけれども、先生、どうしたらいいでしょうか」という形で相談にいらしたので、「先生、是非使ってください、生徒は1年で学習していますから、こんなふうにできるのですよ」といった形で紹介することができました。このようにコミュニケーションが広がり、ICT活用が活性化し、授業がより充実したものになっていくという意味で、これが2年生、3年生だったら、ちょっと生徒へのフォローが厳しいというところがあるかと思います。やはり情報科は、情報活用能力を高める、という意味で、他教科をサポートするような側面もあるのかなと思っております。
もちろん情報科は他教科のサポートだけではなく、情報科独自の内容に関する議論もあると思うので、この点もしっかりと検討する必要があると思っております。以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。
白水委員。
【白水委員】  国研の白水と申します。よろしくお願いします。教科「情報」についてはそれほど詳しくないんですけれども、情報活用能力調査の委員というのもやっておりますので、その結果も踏まえて二点、こんな問題について考えられるといいのではないかというお話をしたいと思います。
一つは、情報活用能力の中でも情報を統合する力というのを集中的に考えていけるといいのではないかということ。もう一点は、情報の科学的な理解の方に子供たちを持っていきたいんですけれども、そこにどうやって子供たちを引き込んでいくかというのは非常に難しいのかなと思っていますので、そこの問題というのを二点目でお話ししたいと思います。
一つ、情報の統合能力と言われるようなものなんですが、情報活用能力調査で複数の資料をまとめることが、子供たちは大変というのが出ておりました。これは世界的にも結構大きな傾向で、高度情報化社会で情報量が増えてくると、子供たちの反応というのは、情報を収集するんですが、見ては捨て、見ては捨てというのを繰り返していくので、なかなか複数の情報を時間を掛けてまとめるというのは逆にしにくくなっています。
ですので、情報活用能力調査でいい成績を収めた学校が、実は総合的な学習の時間の情報の整理・分析までしているかどうかで分かれたということで分かるように、この複数の情報をまとめるような力というのを、情報活用能力の中でも特に子供たちができるようになってほしいこととして目標に据えていくといいのではないかと思います。
この観点から、情報機器の使い方も論点整理のどのように学ぶかという三つの視点と連動して考えることができます。論点整理一点目の「問題の発見と解決」に情報機器がどう使われるか。最初はアナログでもいいんですけれども、アナログで複数の情報を、例えば付箋で整理しているところからどうやってデジタルに持っていくか、ここをうまくデザインできるか。
論点整理の二点目の「他者や外界との相互作用」というのは、もちろんネットワークも使えますし、様々なモデル化、シミュレーションのツールも使えます。論点整理の最後の「主体的に見通して振り返る」というところに情報機器の記録をとるという機能が非常に役に立ちますので、これを小・中・高の間で発達段階に応じて、アナログからデジタルにどんなふうに子供たちを引っ張り込んでいくかというのが、一つ目に大きくデザインできるといいところではないかと思いました。
以上の情報統合に向けた機器の使い方という一点目の論点は、アプリケーションのレベルでどんな使い方をするといいかという次元なんですが、二点目の情報の科学的な理解が難しいのは、今のアプリケーション(どうやって使うかの機能のレベル)をどうやって掘っていくかという、機構の問題が絡むからだと考えます。本来、ソフトウェアでこれがどうやって動いているかと興味が出てくるとOSに行って、OSからさらにハードの方に行くというのが理想ですけれども、この深堀りにどうやって興味を持ってもらうかをうまくデザインできるようになるといいのではないかと思います。
情報の科学的な理解でいろいろ出ているプログラミング、あるいはネットワークというのが、いろいろな実用的な問題を解決するためのテクノロジーとして紹介されるような科目になってくると非常に魅力的なのではないかと思います。具体的には、先ほど小原委員がおっしゃっているような、テクノロジーの相談を受けたときに、その使い方を話すとすごく分かりやすいというのと同じようなレベルで、例えばプログラミングやネットワークが不得意な先生方がいたら、その先生方が出しそうな質問に対して教科「情報」の知識というのは答えになるというような構造で子供たちの科学技術に関する興味も引っ張っていくとよいかと思います。科学的な理解と小・中・高で子供たちが使っているそのツールの利用やユーザビリヒット理解というのを関連付けていければいいのではないかと思っております。以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。
清水委員、お願いします。
【清水委員】  こんにちは、埼玉県の川越工業高校の清水と申します。どうぞよろしくお願いします。私自身は工業系の人間ですので、教科「情報」そのものは工業高校の場合履修はしておりませんので、直接的なお話ができるかどうか分かりませんが、工業高校においては工業の免許で情報技術基礎という教科をもって代えている学校がほとんどでます。
そのため免許の関係では余り大きな問題は起こってはいませんが、普通高校においては、やはりこの整理のスライドの15ページの一番下にあるような教科「情報」の担当の教員が非常に少ないと。埼玉県においても、一時期は情報専門で採用していましたが、最近では残念ながらほかの教科と併せた形の条件で、複数科目を持っていて初めて採用試験を受けられるというような資格に変わってきてしまっております。
というのは、高校全体が今、学年で6クラスから7クラスが大体標準であろうと思います。そうすると、2単位の科目を7クラスで持っても14単位にしかならない。そうなると、持ち時数的には不足をしてしまっていますので、ほかの科目を教えなければならないとか、選択科目を作らなければならないというような傾向に、どうしてもあるというのが現状です。
そのために、やはり専任の人間をしっかり置くということができるのは、8クラス以上のある意味大規模の高校しかあり得ないということ。そして、この免許の関係等もございますので、それに専任の人間をどこまでしっかり養成できるかというと、やはり難しいところがどうしても出てきてしまっている。その学校そのものの構造の問題も拭わなければならないというか、考えなければならない部分がどうしても出てきています。
この15ページにある、私自身は日本再興戦略が出たときに、非常にいい方向の御意見が出たなと思いました。プログラミングの部分については特に興味を持っているところです。以前、私自身は工業の情報技術科というところで務めていましたけれども、プログラミングを通すと、一つのプログラムを完成させるにもやはりいろいろなことを考えます。例えば、エラーデータを投入したときにどんな結果が得られるのか、正規の正しいデータを入れて正しい答えを得るのではなくて、様々なデータを入れて、いろいろな結果が出てくる。それをどう解決していくのかだとか、非常に解決をするための問題解決能力というのが付くのではないかなと。
さらに、一つのプログラムを作るにおいても、一人で作るという形ではなくて、必ず3人ぐらいのグループで作らせるような活動をさせることによって、プログラムとモジュールとの間をどう連携させるのかだとか、しっかりとした話し合いを経ていかなければ、当然のことながらプログラムはできないということ。となってくると、ある意味、このアクティブ・ラーニングにもしっかりつながっていくような活動を起こしやすい。
先ほど、情報というのは今回のアクティブ・ラーニング等と関連が強いという話もありましたけれども、まさにそのようなことが実際に起こり得るということ、非常にそういったところを経験していきますと、物事を考えたりとか、筋道を考えたりとか、論理的思考力を持った子供たちの育成が、正直言ってプログラミングだけであればお金の掛からない状態で、ただの処理系でプログラムを作るのも可能になりますので、一つのコンピュータがあれば、複数の人間で一つのプログラムを作っていくということもできてくるということで、非常に効果的な内容が学べるのではないかなという形で非常に期待をしているところです。そちらの方の観点から、今後またお話をさせていただければありがたいなとも思います。
また、先ほど環境のことでお話がありましたけれども、大体教育委員会を中心としながら全ての学校がぶら下がる構造をとっていますので、どうしてもインターネットを中心としたものに持っていってしまうと、速度的な問題であるとか、容量的な問題であるとか、すごいお金が掛かっていく。この予算をどこからどう捻出していくのか。また、学校においては、平成21年度に大量にウィンドウズのVISTAを投入しましたが、これがそろそろ期限切れになるため、これをどう更新をしていけばよいかなど環境的な問題が出てきているということも含めて、情報提供をさせていただきます。以上でございます。どうぞよろしくお願いします。
【堀田主査】  ありがとうございます。それでは、柴田委員、津賀委員、池田委員の順番でいきます。お願いします。
【柴田委員】  神奈川県教育委員会の柴田です。私も、小原委員と同じように、もともとは理科の教員なのですが、15日間の講習を受けて情報の免許を頂いて、それで情報の授業をやっていた者の一人です。その後、長いこと指導主事をやっていまして、教育委員会として様々な学校の情報の授業を見てきました。非常に魅力的な授業をやっている先生、それから、一方でコンピュータにしがみついた授業というのでしょうか、そういった授業を行っている先生、本当に指導力に差があるな、授業の取組に差があるなというのを目の当たりにします。
特に魅力のある授業というところでは、神奈川は埼玉県と同様で、ほかの教科の免許を持っているというのが条件になっているのですけれども、2教科の免許を持っている方を若干名採用しております。そういった方は、やはり、もともと情報の教員になりたいという情熱を持って授業に取り組んでいますので、教材研究とか、ほかの授業を見たりするなど、大変熱心で、そこが今、神奈川の推進力になっているのかなと思います。残念ながら、もともと数学とか、理科とか、いろいろな教科の方が、にわかに情報の免許を持たされているというような現状も、一方であるのかなと思います。
あと、教育行政の立場で神奈川が取り組んでいることを御紹介しますと、今、県立高校改革というのに取り組んでいます。生徒数がこれから減っていくということで、学校の再編も含めて、学校の魅力や特色を打ち出す改革をしていき、来年度から12年間の改革になりますが、その中でICT利活用授業研究推進校というものを5校、それからプログラミング教育研究推進校というのを5校指定することになっております。
これからどの学校を指定するかというのを進めていき、こういった指定校を作ってプログラミング教育を神奈川としても力を入れていくのだというのを、我々は国家戦略等に基づいてやっていたところなのですが、議会とか様々な場面で、プログラミング教育をなぜ推進するのかという説明をする際に、国の国家戦略というのはちょっと強すぎるなという感じを持っています。
今、清水委員がおっしゃったのを、すごく自分では納得したのですけれども、やはり生徒に論理的思考力を身に付けさせるのだと。全ての生徒にプログラミング教育をやることが大切で、思考力を付けさせる学習手段、学習内容なのだというのを打ち出して、スチューデント・ファーストの発想でプログラミング教育を推進していくということを、この場で協議していく必要があるのではないかなと思います。以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。
津賀委員。
【津賀委員】  茨城県教育委員会の津賀と申します。お願いします。
二つほどお話しさせていただければと思っています。一つ目は、本県、決して教える教員の方の環境については、恵まれていない県の一つでございます。教科「情報」は、約100校の県立高校のうち約70校ぐらいが開講しております、残りは代替等で対応しております。その中で、専任で採用している者は6名、ほかは複数の免許を持っている者であったり、一部代替が入っておりますけれども、非常勤講師等で対応しております。
日々教育委員会で苦労しているのは、今いる教員を大事にしなくてはならないことから、彼らのスキルをどう上げるか、特に、今一番苦労しているのは非常勤講師です。彼らは、我々の手が及ばないところにいるので、それをどうするかというのが課題となっております。
もう一つ、内容的なものをお話しさせていただければと思います。「情報の科学」をベースとした新しい科目というのは非常にありがたいというか、私もそれは大賛成です。プログラミングの導入も大賛成です。しかしながら、そうなったときに、プログラミングの初歩的なというか、入門編のところはいろいろな教材がありますので、これらを切り口に入っていくのはいいかなと思っているのですが、最終的にどこをゴールとするかというのがなかなか私自身の中で整理がついていないところがございます。その辺は新しい科目を作る際にどう考えるか、大事になってくるのかなと思っております。
教員の方も、聞いていますと、なかなかその辺で、最終的なところの捉え方で賛成とか、ちょっと疑問を感じるとか、いろいろあるものですから、その辺をこれからの議論の中で出てくればいいかなと思っております。以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。
それでは、池田委員、お願いします。
【池田委員】  中学校籍の校長でございます。中学校で行う技術・家庭科の授業は、技術分野については1・2年生が1時間、3年生が0.5時間、3年間で87.5時間という時間です。技術分野の四つの内容のうち、情報に関しては、大体4で割っていただければおわかりになりますが、指導時間は20時間前後ということになると思います。その中で、例えばプログラミングに関するものということになると、全国で調査した結果を見ると6時間程度指導している学校が3割ちょっとというところです、ですから、よりよいプログラムを検討してみましょうなどについては厳しい状態ではあります。特に3年生は、0.5時間、2週間に一度の授業でありますので、モチベーションの維持も厳しいというところです。
また、教える側の教員のスキルの問題もあります。学年指定がありませんのでどの学年で指導してもいいんですけれども、生徒の発達段階によってはどこまでできるのかというところもあります。実際、中学生の授業をやっていてフローチャートが作成できないであるとか、実生活の中でも、例えばSNSでトラブルを起こしたりなど、自分が発信した情報の責任がどうなっているのか、そういったモラルの点などについてもしっかり指導していく必要があるだろうと思います。
高大接続の部分もありますけれども、高校でしっかりやるためには中学校でもそれなりの時数を確保してしっかり指導をしていかなければなりません。一方、地方では免外の教員が結構教えています。免外の教員が情報を教えるというのは、厳しいものがあると思います。
特に、小学校では今総合的な学習時間の中で行われていますけれども、これも学校、要するに人の問題になっていきます。できる人がいる学校はできますけれども、そうでない学校では外部の力をおかりしないとできないような状態ではあろうと思います。そういった意味では、教員の指導力をどうやって付けていくのか。教員をどう確保していくのか。授業時数の少ない、例えば中学校では技術・家庭科の教員を確保したくても、授業時数が少ないので確保できないという、そういう問題もありますので、その中でどうやって指導を進めていくかなどということが課題であろうと思っております。以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。
では、続いて、安藤委員、益川委員、西端委員の順番でいきます。お願いします。
【安藤委員】  宮城教育大学の安藤と申します。13年前までは中学校で技術の教員をしておりまして、今は宮城教育大学で技術科教育の情報教育を担当している立場になります。スマートフォンとかタブレット等のアプリケーション等も開発したりしています。また、先日公表されましたICT教育アドバイザーや仙台市の情報モラルのアドバイザー等もやらせていただいております。特にプログラミングに関して言いますと、去年と今年と、プログラミング実践調査プロジェクト、国内調査の方のグループに参加させていただきました。
その調査の中で、いろいろ小・中学校、高校も含めて、大体50くらいの事例を調査したわけです。日本中に、プログラミングを熱心に研究し実践されている先生がいらっしゃって、その成果をまとめたプログラミング教育実践ガイドの方にも書かれていますけれども、先生が見とった生徒の変容として、プログラミングをすることでコンピュータのことが分かったという話や、目的を分解して理解できるようになったこと、生徒同士が提示されなくても協調的に、協働的にプログラミングというものに対して問題を解決する姿勢が見られたとか、あと、間違いを恐れずに取り組むようになった等の生徒の変容というのを先生たちが感じているという実態が分かりました。先生たちの御指導の効果というのがすばらしいなという反面、今の学習指導要領の枠の中でやっていますので、例えば小学校にはプログラミングを目的にする時間が設けにくいことや、中学校の技術でもプログラミングを含めて、指導内容を高度にしようと思っても、なかなかそこでは扱い切れないというようなことも少し見えてきたのかなと思っております。
例えば、先ほど、ちょっと技術の話があったのですけれども、技術・家庭科では平成20年のときからプログラミングが既に必修にはなっているのですが、それは計測と制御のためのプログラミングという位置付けです。そのため、アプリケーションソフトを作るということ自体はなかなか目的にはできないという状況もありますし、先ほどから話題に上がっていますように、情報を科学的に理解するための時間というのもなかなかとりにくいという現状が見えてきました。
ICT活用というと、どうしても機器を使うイメージがあるのですけれども、そういったコンピュータに働き掛けることができるのがプログラミングですので、プログラミング教育実践ガイドでの報告にあるように、作りながら学ぶというスタイルで、情報を科学的に深めることができるのではないかなということを、最近私も考えているところです。
特に論点整理の中にも出てきましたように、例えばセキュリティの問題に対しても、やみくもに怖がってしまうようなことだとか、情報モラルに関しましても、単に気をつけましょうということに対して、しっかりその情報の特質とか、コンピュータの特質というものを踏まえた上で理解が進むことが期待されているのではないかなと思っております。
あとは、小学校にかなりタブレット端末が普及してきましたので、先ほどデジタルネイティブという言葉があって、子供たちが生まれたときからデジタル機器やインターネットに囲まれているという中で、中学校の技術科を考えますと、小学校でパソコンをある程度操作できるようになっていることを踏まえて、中学校の技術の教育課程がある程度スタートしやすいという状況があります。ですが、タブレット端末の普及によってキーボードやマウス操作への慣れなどが、これまでと変わりつつあるのではないかなということを、私自身は少し懸念しているところです。
そして、アナログとデジタルという話も関心があります。ICT活用、プログラミングというのも、結局デジタルになったということを相手にしているということを少し意識した方がいいのかなというふうに思っています。ちょうど先ほどの資料にも載っていますが、現在、宮教大の附属中で研究開発指定校として技術・情報科という教科を創設しました。プログラミングを柱としたカリキュラムを開発しながら、他教科と相互に関係性を持たせて、アナログ的なものと比較しながらデジタルな手段としてICT機器や情報をというものを見ていこうと取り組んでいます。そういう趣旨で現在やっているところもありますので、今後こうした観点からお話しできればなと思っております。以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。
益川委員。
【益川委員】  静岡大学の益川です。私は、普段は小・中・高の学校で先生方と一緒に、ICTを活用した授業づくりに一緒に関わらせていただいて、また、その評価づくりみたいなものにも関わらせていただいております。あと、本務としては、今教職大学院に所属していまして、現職の先生を受け入れながら、一緒にICTの活用あり、なしに関わらず、いろいろな授業づくり、研修づくりにも関わらせていただいております。
情報、単体の議論だけではなくて、各教科とのつながりとか、広く見ていったときに、これからの検討事項の第一案に出ているような、小・中・高等学校を通じた情報活用能力の育成というのはすごく大事な視点だと思っております。特にこういう情報活用能力、先ほど白水委員の方から情報統合能力みたいなキーワードも出てきていましたが、大きな視点で見ると、まさに子供たちが社会に出てから必要な大事な力で、本当に学ぶ力そのものみたいなものだと思うんです。そういう中で、特に情報というものは学びに不可欠で、ICT機器、インターネットなどを通していろいろ情報が手に入る世界の中で、様々な情報と相互に作用しながら、また多様な他者といろいろ相互作用しながら、自分の学びを広げていけるような、情報活用能力はすごく大事な基礎的な学ぶ力だと思っております。
そういう中で、小・中・高を通じて、例えば各教科の中でICT機器を活用していくということも、いろいろな学ぶ力と同時に各教科の深い学びを実現していくために欠かせない道具だと思っております。
現場の先生と一緒にICTを活用した授業づくりをさせていただいていますと、先生方が授業の中で、子供たちにもっとICTを使わせていきたいというふうに思っているときには、深い学びを引き起こしているようないい授業実践とセットになっているときです。そのようなときには、ICT機器を先生方はどんどん使いたくなって、学校の中で機器利用が順番待ちになっていくような、そういうケースがあります。今回の議論では、最終的にいい授業実践づくりにつながっていくような整理に、僕自身、今回の会で貢献できるといいなと思っております。
例えば「育成すべき資質・能力の三つの柱」という形で今回論点整理が出ていますが、その三つの柱の真ん中にある、どのように学ぶかというアクティブ・ラーニングの視点からというところにICTというのは深く関わっていきますし、あとは、もう一つの学習評価の充実でのICT活用とか、カリキュラム・マネジメントの充実でのICT活用にも深く関わってくるところと思っております。何かそういうところも意識し合わせていきながら、効果的な授業づくり、多様な学習評価、教科間の接続など、総体として子供たちの情報活用能力を育てていく方向性について議論できればと思います。
そういう意味では、今回どの学年で、どのぐらい情報活用能力が育っているとよさそうかという、発達段階に基づいた議論もされるとお伺いし、逆にそれが制約にならないように、子供たちの学びを広げていくような、前向きな形での整理できるといいのかなと思っております。
あと、高校の情報化の方ですが、幾つか情報の授業とか参観させていただく機会もあった上での考えですが、例えば次の新科目のイメージの中に問題解決の考え方と方法とか、そういう手法についての学びの機会があります。また、プログラミングもそうかと思うのですけれども、問題解決やプログラミングそのもののスキル自体を学ぶ上で、何をプログラミングするか、何について問題解決をするのかというような、扱う内容についての議論も入ってくると、各教科で「何を学ぶか」というものがあると同様に、何か教科「情報」ならでは得ていくものが充実して、もしくは教科横断的・合科的な内容にもつながって、社会に出て使えるスキルと中身の知識とがセットになって、いい形でカリキュラムが回るようになるのではないかなと思っております。以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。
西端委員。
【西端委員】  失礼いたします。先ほどから教員養成のお話もございますので、教員養成系大学として弊学の取組を御紹介させていただきます。弊学は、ICTに強い教員養成を目指しまして、学部、新入生全員にタブレットPCを貸与いたしました。工場出荷状態で手渡しまして、入学式の翌日から自分の環境は自分で整備するということをやってまいりました。また、包括契約を行いまして、アプリケーションは全てダウンロード、また、データは全てクラウドへということになりまして、学生は自分のツールは自分で管理しなければならないということを最初からずっとたたき込んでまいりました。また、今までいわゆるスキルの授業を情報処理演習でやっていたのですが、それをやめよう、各自でそれは自習すべきだということになりまして、授業では、実際に「情報の科学的な理解」分野に特化した授業をやってまいりました。
そうして1年半がたちましたので、その成果を二点、御紹介させていただきます。まず、効果的かどうかはちょっとまだ分かりかねますが、ICTを用いまして学生自身が指導案を作成するようになり、模擬授業も一部やっております。また、二点目は、今までできないことは環境のせいにしていたところもございます。大学の環境はこうだから自分はできなかったのだということがあったのですが、これだけ環境を整備して与えたことにより、できなかったのは自分のせいだと。自分できちんとツールを整備してやらなければいけないという自立心が芽生えたように思います。
弊学の学生は、3分の2以上がいわゆる小学校の先生になります。こうした小学校の先生を養成するという面で弊学の取組が一助になれば幸いでございます。以上でございます。
【堀田主査】  ありがとうございました。一応、全員お話しいただいて、小泉代理にはまた後で一言頂きますけれども、あと5分ぐらいあります。2周目、どうしても言いたいなという人は、このあと言ってくださいね。
今、やっぱり多くの意見は、今話題ですからプログラミングのことが多かったのと、もう一つは、現場の心配といいましょうか、人がいないんだとか、環境がないんだとか、みたいなですね。そんなに心配なら、このワーキンググループは新しい学習指導要領には入れられませんねというふうになっても困るので、これは第一義的には教育内容の検討をする会議ですので、一体何を教えればいいのかとか、そのためには高校ではどうで、中学ではどうで、小学校ではどうでというところに、今後話を展開していきたいと思っているところです。
何か、2周目、是非行きたいという人。あと2人ぐらいいけるかなと思うのですけれども、では、佐藤委員、小原委員、どうぞ。
【佐藤委員】  失礼いたします、佐藤です。先ほど、ちょっと早口で急いでしまったところがありますので、今の堀田先生のお言葉を受けまして、あと二つだけ詳しく説明させていただきたいと思います。
まず一つは、おっしゃるとおり、教科「情報」では何を学ぶのかということを10年間ずっと考えてまいりました。それが明確になるような次の科目を作っていきたいと思っています。私どもの学校は今「情報の科学」を全員履修しております、320名です。生徒選択制は前任校、それから来年度、本校でも取り入れます。その中で私どもの学校の「情報の科学」で何を学んできたのかと質問されたときに答えられますかということを、3月の最後の目標としています。そんなところです。
具体的には、コンピュータの仕組み、ネットワークの仕組み、それから健全な倫理観を育成するための情報モラル、情報セキュリティという、この三本立てになっています。そんなところがこのワーキンググループの大きなテーマの一つではないかと思っています。
二つ目です。教員養成も含めてなんですが、やはり教科「情報」というのは絶対なくてはならない教科であるということは間違いないということをお伝えしたいと思います。先ほどからの議論の中で、私も最初申し上げましたが、一年生に置く意味というのは、やはり、一年生の早い段階で生徒全員が科学的な理解に裏打ちされた状況でICTまで使えるとなると、例えば保健の授業、それから総合的な学習の授業、全ての授業において、本校では生徒が主体的にICTを活用すると。先生、教員の方は、情報科の先生に聞いていらっしゃいと。それで、今のところは生徒と情報科の連携により、学校全体の情報教育を推進しているような状態にしております。
ですので、そういった意味でも、教科「情報」はなくてはならないというところは、学校全体の情報教育の基盤となる教科でもあると。この二点ですね。教科「情報」として何を学ぶかは大事なこと。それと、学校全体の情報教育もリーダーシップをとっているのだという、この二点で、たくさんの教員を養成し、採用してもらいたいなと思っているところでございます。以上です。
【堀田主査】  力強い意見、ありがとうございました。
小原先生。
【小原委員】  小原です。先ほどは、ちょっと時間が短かったので言い切れなかったことで、もう一つ、私が最近強く感じていることが問題解決というところです。今回の「情報の科学」、現行の学習指導要領の中の大きな四つのうちの内容の二つを占める、「情報の科学」の中では中核を占めると言ってもいい内容だと思うんですけれども、なかなか現場の先生方は、この問題解決というのをどうやっていいのか分からない、何を教えていいんだか分からないとおっしゃる先生が多くいらっしゃるのも事実です。
私も問題解決、どうしたらいいんだろうと、問題の考え方とか、捉え方とか、そのような研究や実践を随分ここ何年もやってきました。やっぱり問題解決、何をどのように教えるのかというのは、今の段階でもまだなかなか浸透し切れていない、明確でない、教科書によっても随分ばらつきがある状況なのかなというふうに思います。
今度の学習指導要領の中では、その辺の問題解決の中、例えば考え方をどの程度入れるのかとか、その辺のところまで少し突っ込んだ議論ができると、今の子供たちはなかなか考えるというやり方を知らない子たちが多いので、その辺のところまで突っ込んで考えられるといいのかなというふうに考えております。以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。皆さんの御協力で順調に進んでいますが、もう一人、二人可能ですけれども。
中川委員。中川委員の次は、あと小泉代理にお願いします。どうぞ。
【中川委員】  私、マイクロソフトでウィンドウズXP、ウィンドウズVISTAを担当していました。お使いいただいて、ありがとうございます。あとウィンドウズ7の担当もしておりました。その後、文教に来た経緯がありまして、OSは私の専門領域でございますが、子供たちにオペレーティングシステム、コンピュータを使い、OSを触るというところにも直結するのだと思うのですが、ちょっと私の立場から言いにくいんですが、あらゆるOSを触っていただいて、コンピュータに慣れ親しんでいただくことが重要かなと思っております。
というのが、今、特にスマートフォンに代表されるような、いわゆる電子レンジとか家電のような扱い方で、確かに情報には触れていて、情報端末には触れていらっしゃるんですけれども、リテラシーが余り高くないということを、実は就職、採用活動をしておりまして感じております。大学生がしっかりとコンピュータを使えるかどうか、コンピュータの仕組みを理解し、アプリケーションを適切に使えるかどうかというと、少し自分が使っているものだけ使えるというような側面があります。基礎、基本ができていないがゆえに、OSやハードウエアというのはどんどん変わりますから、そのときに全くゼロの発想から覚えていくのではなくて、過去の延長線上に基本が理解できているというのはとても重要かなと。
ひいて言いますと、コンピュータは必ずインプットがあり、アウトプットがあるという世界ですから、これは物の道理にもなると思いますけれども、何を入れて何を出そうとするのかというのを理解してコンピュータを使える、これは社会に対する問題解決能力というところにも連動するのではないかなというふうに思っております。ここは重要なポイントだなと思っております。
もう一つが、プログラミングは、先ほど先生からもありました、コラボレーションをする側面というのがありまして、どうしてもプログラマというと、根暗で自分一人でやっているというようなことを想像される方も多いと思うんですが、そんなことは社会では決してあり得ません。私どもは、ウィンドウズは一人では書いておりません。大規模分散プログラミングで、たくさんの人間が連携しながらやって、連携ミスが起こって皆様に御迷惑をお掛けすることがまれにあるのではないかなと思うんですけれども、一緒にプログラムを作る仲間がコミュニケーションをとりながらインターフェースを合わせていき、データがスムーズに流れるようにすることは非常に重要ですので、いわゆる21世紀型スキルのコラボレーションに寄与する部分というのがあるのではないかなというのは、私も非常に賛成するところです。
そこで、もう一つ、突っ込んで言いますと、実はドキュメンテーション能力というのが非常に重要になります。その書かれたプログラムはどういうことをしようとしているもので、どういうインターフェースを持っているか、後から回収をする際に必ずドキュメント起こしていかないと、これはプロがお客様にコードを買っていただいたときに、プログラムを買っていただいたときに、後でメンテナンスというのは必ず発生して、ドキュメントがしっかりしていないと大体トラブルが大体起こるんです。つまり、ものにしっかりと記述していくという部分が、実はプログラミングをやると並行して養われる力になってきます。
さらに、もう一つ突っ込んで言うと、実社会でよくある話が、お客様がこうしなさいと言ったから、こういう造りにしましたというような問答が、お客様と我々コンピュータ屋の間でよくあります。お客様が必ずしも全てを見通して、全てのケースにおいて指示を口に出していただけるケースは非常にまれでございまして、そのとき、たまたまこうしたいからボタンはここというふうにおっしゃったので、ボタンをここにするんですが、実はお客様がボタンをここにしてくれと言ったのは意図があって、その意図を聞かずに、ただボタンをここ配置すると、後で「(そんな事細かく言わなくても)分かるだろう」「いや、分からないです」みたいな取組がよくある。
実は、コードを描く側には、質問力と、それからお客様を理解する共感力というものが必要になってきます。ちょっと、お客様と言うと教育の現場と離れるのですが、これを子供たちが学ぶ世界で、子供たち同士、それから社会との関わりという観点でいうと、分からないことをしっかり質問していって、明確化していき、かつ、相手が言い切れていない部分を共感する共感力というのを、実はコンピュータのプログラムを書く上において、レベルの高いプログラマが実装している能力になりますので、こういった部分も、教育にプログラミングを持ち込むことによって得られる効果かなというふうに思っております。以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。
それでは、小泉主査代理、お願いします。
【小泉主査代理】  大変貴重な、かつ、深堀りした意見を頂きまして、私も大いに同意するところであります。もう時間が余りないので、今回、皆さんの意見を聞いて思ったところを二、三申し上げます。
まず、2030年とはどんな年か、どういう状況か、子供が、教員が、親が…ということを念頭に置きながら、このワーキンググループは考えていかなくちゃいけないのだろうと思っています。これは、先ほど、冒頭に紹介があったとおりです。今から12年前に高校の情報科が始まりました。そのときの教科書の内容を今見ると、極めて陳腐に見えます。2030年に、今回の議論成果を振り返ったときどう見られるかということを考えながら、教科書を作らなければいけないと思っています。幸か不幸か、今日、プログラミングとか、教科「情報」とか、兼任、兼担とかいう話で大盛り上がりになったのですけれども、制度の問題とか、あるいは今の現状の未成熟な部分について、こう言うと失礼ですけれども、愚痴とか文句ばかりを言っていても始まらないと思います。
なので、我々がやるべきミッションは、今申し上げた2030年のときに、次の次の改訂で、今回の改訂が、あるいは今回の教育課程の見直しが本当にうまくいって、上昇させるかということを意識しながら進めるべきだと思っています。今回は、資料7のⅠ、Ⅱ、ⅢのうちのⅠのマル数字の三つの柱の、2、「プログラミングや情報セキュリティ」について、今日は妙に盛り上がってしまったのですが、ある意味で次回の布石ができたと思うのです。ここで一つだけ申し上げたいのは、情報セキュリィティというキーワードがきちっとコンセンサスを持たないといけないと思います。
つまり、情報セキュリティがニアリー・イコール情報モラルとか、情報安全とか、コンピュータの正しい使い方とかではないと思います。情報セキュリティの技術者になる必要はないんですけれども、そのベースには今、今回皆さんが議論していたプログラミングとか、プログラムの概念がないと情報セキュリティは理解できない。つまり、プログラム抜きで情報セキュリティに対する力、理解、知識が身につかないということを意識しないといけないなとは思っています。
ということで、あとはまとめていただくと思うんですけれども、三つの柱がございます。知識、理解、思考力、表現力、判断力、そして人間性、学びに向かう力、これは幸い次のギアチェンジで重視されることになりますが、こういう形にチェンジされたことは、現場の先生方はかなり戸惑われるかもしれませんけれども、このワーキンググループにとっては幸いだと思っています。
その理由は、もう既に議論されているので言うまでもないと思いますので、是非そこら辺をベースに、制度とか、未成熟な部分は置いておいて、どういう形に2030年、次の次の改訂にこの情報、あるいは情報活用能力、そして情報教育というものが根づいていき、多分そのころはほとんどの教員がデジタルネイティブですが、その現実を意識した上で、設計、あるいはビジョンをつくれたらと思います。以上です。
【堀田主査】  ありがとうございました。様々な御意見を頂きましたが、私も一言だけ申し上げます。多分、今ICTを使う、あるいはそういうものを使っていろいろ問題を解決していく能力を子供に付ける、そういう指導力が教師にないといけないということを反対する人は多分、ほぼいないと思うんですけれども、学校現場ではなかなかそれがうまくいかない。そこには様々な環境の整備の不備とか、それがなぜかというと、説得力のある予算要求がうまくできていないんだとか。
それらは、全て僕は大体いつ頃に何ができていないといけないのかみたいな、つまり指導すべき内容が漠然としていて、全体として何かICTが使えるようになっておかなきゃいけないみたいなスローガンだけが前に出ているからではないかと。もうこの時代ですので、諸外国のように、何年生ではどういうことができていないといけない、どういう知識がないといけないという部分の組み立てと、それを活用していろいろな問題を解決するような指導場面、それが情報という教科の中にとどまり切れないものもたくさんあると思うんです。
例えば基礎的なものというのはどういうものがあって、応用的なものというのはどういうものがあってみたいなことをしっかりと区分けする、そういう時期になっているのかなと。それが文部科学省から提言され、学習指導要領に載っていくということによって、それなら急いで整備しなきゃいけないという説得力になると思うし、そういう指導力がある教師を育てなければいけないというふうにつながるかなと思っております。ですので、そういう観点からも、教育内容を明確にするということがとても大事で、これが新しい時代の資質・能力とどう関係するかということを明確にするのが私たちの仕事かなというふうに思っておりますので、皆さんも御協力いただければと思うところです。
本日は、時間も参りましたので議論はここまでにしたいと思うんですけれども、皆さんの出していただいた議論は、論点を事務局に今後整理していただきながら、次回にはこんな意見が出ていましたという整理をお見せし、そこにいろいろな意見を足していただく形でずっと組み上げていきたいというふうに思います。
ただし、今日は1回目でもありましたし、1周とちょっとしかできませんでしたし、言い足りないこともあろうかと思います。そういう意見につきましては、遠慮なく事務局宛てに電子メールでいただくと、反映できる範囲で頂いた意見を反映するというシステムになっておりますので、遠慮なくメールで頂ければと思います。
本日、予定されていた議題はここまでですので、最後に次回の予定などにつきまして、事務局より説明をお願いいたします。
【稲葉情報教育振興室長補佐】  では、次回でございますけれども、11月24日、火曜日、遅い時間で恐縮ですが、17時、午後5時から開催を予定しております。場所については現在調整中でございます。
また、次回御検討いただきます事項といたしましては、本日お示しをいたしました情報ワーキンググループの今後の検討事項(案)に基づきまして、関係団体等からのヒアリングを行うとともに、これに基づきまして御意見を頂戴したいというふうに考えております。
なお、先ほど堀田主査からお話を頂きましたとおり、メールその他によりまして御意見等も頂戴したいと考えております。メールのほかの媒体でも結構でございますので、よろしくお願いいたします。
【堀田主査】  ありがとうございました。今、事務局からあったヒアリングです。いろいろなこの分野について実践や研究、検討されている団体に御意見を頂こうと思うわけですけれども、皆さんの今日の御意見を踏まえまして、ヒアリングをどの団体から頂くかについては、私と、小泉主査代理と、そして事務局の方で検討させていただいて決めさせていただきますが、よろしいでしょうか。そのようにさせていただきます。
それでは、お時間になりましたので、本日の情報ワーキンググループをお開きとさせていただきます。どうも皆さん、御協力ありがとうございました。

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