教育課程部会 外国語ワーキンググループ(第7回) 議事録

1.日時

平成28年3月22日火曜日10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省15F特別会議室

3.議題

  1. 外国語教育の改善充実について
  2. その他

4.議事録

<未定稿>
【松本主査代理】  それでは,定刻となりましたので,ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会外国語ワーキンググループの第7回会議を開催いたします。所用により吉田主査が御欠席ということですので,本日は私,松本が主査代理として議事進行をさせていただきます。不慣れですので,御協力よろしくお願いいたします。
本日は,事務局より資料の確認をしていただいた後に,4点について情報共有及び議論をしていただきたいと思います。
まず,先日行われました小学校部会の審議状況について事務局から御説明いただきます。その後,先月のワーキンググループにおいて時間の関係上,余り議論していただけなかった英語以外の外国語教育について,吉田主査からの御意見も頂いておりますので,皆さんと意見交換させていただきたく存じます。続いて,3つ目のポイントとして,学習評価について御議論いただき,総則・評価部会から各教科ワーキンググループで議論いただくよう指示のありました,4つ目のポイントになりますが,アクティブ・ラーニング及びICTの活用等について御議論いただくことになっております。ということで,たくさんのポイントについてカバーしなければなりませんので,御協力よろしくお願いいたします。
それではまず,事務局より資料確認をお願いいたします。
【圓入室長】  おはようございます。それでは,お手元の資料,御確認いただければと思います。議事次第を御覧いただきながら,本日の進行の補足もさせていただければと思います。
資料1は前回までの,いつもの主な御意見を入れさせていただいております。
資料2は,第1回目に配付させていただいて以降,変わってございません。こちらのワーキンググループで想定させていただいている検討事項の例でございます。
資料3は,小学校部会,3月14日に報告,これは案ということでされまして,主査一任ということになりましたけれども,一定のまとまったものを後ほど御報告させていただく資料がございます。
資料4が,本日ワーキンググループで御議論を頂きたい資料になっております。英語以外の外国語教育の,これはデータという吉田委員からの資料が添付されております。
机上のみでございますが,その関連として,赤い色の冊子もお配りしております。外国語学習の目安というものでございますが,後ほど御紹介させていただきます。
それから資料5でございますが,総則・評価部会で各教科のワーキンググループで御審議いただきたいということでお話がありました3点の資料をまとめて置かせていただいております。学習評価,これは前回も教育課程課さんからお話がございました資料と,本日御議論いただく資料,それからアクティブ・ラーニング,ICTの活用について,新たに各教科で御議論いただきたいということで配付されている資料でございます。
資料6は,先ほど資料5の関連でございますけれども,6,7,8と,外国語ワーキングとして御議論いただくためのたたき台というものを,それぞれ御用意をしております。
資料9が,今後のスケジュールということで1枚ございます。
なお,前回の資料につきましては,左上肩のタブレットの中に,お開きいただくと全て入っておりますので,適宜御参照いただければと思います。
なお,本日は教科横断で御議論いただきたいということを中心に御議論を頂くことを予定しております。
また,次回以降はもう少し,全体を一通り御議論いただく予定でございます。本日も,どうぞよろしくお願いいたします。
【松本主査代理】  小学校部会の資料が途中に入っているので,必ずしも番号が連続していないみたいなんですけど,よろしいでしょうか。
次は,先日行われました小学校部会について,西川専門官からお願いいたします。
【西川専門官】  失礼いたします。それでは,3月14日に開催されました小学校部会のまとめについて御報告をさせていただきたいと思います。少し資料多くなっておりまして,資料3という中に5つほどあるんですけれども,まとめについては1つ目の資料3の小学校部会におけるこれまでの審議のまとめ案というものと,特に外国語について詳細を補足していただいております補足資料というものが中心でございます。
1つ目の取りまとめ案に基づいて御紹介をさせていただきたいと思います。まず小学校部会における議論の状況というところでございますが,昨年8月に企画特別部会におきまして論点整理が取りまとめられましたことを踏まえて,小学校部会全体として資質・能力の観点から議論をしてきたということが,これまでの経緯でございます。
その中で,特に外国語教育につきましては,この「とりまとめ」の位置付けというところの1つ目にもありますが,中学校においても外国語教育については,「英語教育の在り方に関する有識者会議」の報告等も踏まえまして,小学校から高等学校まで通じた観点からの議論をするということで,これまで議論されてきましたものを踏まえて,小学校部会でも検討させていただいた状況でございます。
8月の「論点整理」の中では,「国語や外国語を使って理解したり表現したりするための言語に関する能力を高めていくためには,国語教育と外国語教育のそれぞれを充実させ」ることが必要であるということが提言をされております。これを踏まえまして,中学年においては外国語活動を行うことが求められるとされておりまして,実施方法についてはICT等を活用しながら10分から15分の短い時間を単位として繰り返しの教科指導も含めて検討していくという,いわゆる「短時間学習」も活用していくことが提言をされております。
こういったことも踏まえまして,小学校部会におきましては,カリキュラム・マネジメントということも,全体を考えて,各学校において柔軟な時間割を編成していくという観点の下に,国語教育の充実,外国語教育の充実,両方の観点から議論をさせていただいて取りまとめをしたところでございます。
続きまして2ページ。まず「社会に開かれた教育課程」の実現に向けた小学校の教育課程の改善・充実というところについて御説明をしたいと思います。「社会に開かれた教育課程」につきましては,小学校においては,「各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎」を培うこと,「国家社会の形成者として必要とされる基本的な資質」を養うことが目的であるということを踏まえまして,昨年の「論点整理」に基づいて,「社会に開かれた教育課程」という観点から小学校部会における議論を進めてきたところでございます。
大きな観点としては,2ページ下にあります1,2,それから3,3つの観点で,それぞれ整理をさせていただいているところでございます。こうした教育課程の実現に向けて,小学校教育における現状と課題ということを踏まえますと,特に低学年,中学年,高学年という段階において指導法の在り方,そういったことも含めて変わってくるのでないかということを御議論を頂いたところでございます。
具体的な内容につきましては,3ページの「また」以降のところに,それぞれ低学年,中学年,高学年について,こういった観点での指導の充実が必要であるということが議論されたところでございます。
続きまして4ページに行きまして,育成すべき資質・能力と「カリキュラム・マネジメント」の意義ということで御議論いただいた部分でございます。「カリキュラム・マネジメント」については,この中段,3つの側面から捉えるということ,各教科等の教育内容を相互の関係で捉えること,それから学校の教育目標を踏まえた教科横断的な視点で,その目標達成に必要な教育内容を組織的に配列していくというカリキュラムの観点,それから教育内容の質の向上に向けて子供たちの姿や地域の現状に関する調査,各種データ等に基づいてPDCAサイクルを回していくという観点,さらには人的・物的な資源を組み合わせて活用していく観点で捉えるということで御議論いただいておりました。
時間割の編成についても,各学校におきまして子供の生活時間ということを踏まえて,「カリキュラム・マネジメント」を前提に,弾力的に考えていくことは必要であるということをまとめていただいております。
【大杉室長】  失礼いたします。大杉でございます。少し前の打合せが延びまして,途中でバトンタッチさせていただきます。
総合論的な部分は御覧のとおり,「社会に開かれた教育課程」の観点から,また小学校教育全体を一律に捉えるというよりは,低学年,中学年,高学年それぞれの発達の段階の特質に応じて,きめ細やかな指導をしていく必要があるというようなことがまとめられたところでございます。これが後ほどの条件整備,指導体制の整備の在り方ということにもつながってくるところでございます。
それから資質・能力につきましては今後,小学校教育全体でどのような資質・能力を育んでいくのかということを整理していくわけですけれども,本会は,5ページ目にございますように,特に言語能力の観点ということを中心におまとめを頂いたところでございます。これにつきましては,御承知のとおり,言語能力向上のための特別チームも議論を進めておりまして,この議論を受けた形で整理をさせていただいております。
まず言語に関する資質・能力とはどのようなものかということでございます。5ページ目の4つ目の丸にございますように,これは国語力答申でありますとか,言語に関する前回改訂のときの有識者会議の整理をまとめたものでございますけれども,創造的思考(とそれを支える論理的思考)の側面,感性・情緒の側面,他者とのコミュニケーションの側面,この3つから言語の能力を整理していこうという整理でございます。既に本ワーキングにおいても御紹介をさせていただいておりますけれども,こういう整理でございます。
次のページでございます。こうしたことを,言語能力を全体の資質・能力の中での位置付けということで考えておりますけれども,6ページ目上にございますように,資質・能力の3つの柱の育成それぞれについて非常に大きな役割を果たすということでございます。
また,コミュニケーション能力ですとか非言語能力との関係性についても整理をしていただいております。コミュニケーション能力については,特に6ページ目の下から丸2つ目にございますように,文科省のコミュニケーション教育推進会議報告も踏まえた定義ということを置かせていただいているところでございます。
したがいまして,コミュニケーション能力といいましても,先ほどの言語の能力3つに照らせば,他者とのコミュニケーションの側面を軸としつつ,創造的思考や論理的思考,感性と情緒の側面にもしっかりと支えられたものでなくてはならないのではないかということでございます。
7ページ目は非言語能力との関係性について整理を頂いております。
そして(3)にございますように,小・中・高を通じて国語教育の充実でございます。ここにつきましては国語ワーキンググループにおいて,言語能力特別チームの議論を踏まえた整理を行っていただいておりますので,それを踏まえた整理ということでございます。グローバル化する中で世界と向き合うことが求められている我が国において,どのような国語の力が求められているのかということであります。また,国語教育というものが全ての学習においてどのような役割を果たすのかという整理をしていただいております。
7ページ目下にございますように,言葉が持つ力を信頼し,言葉によって困難を克服し,社会や文化を創造していくことなどなどということに向けた国語の能力の育成が必要ではないかということ。
8ページ目にございますように,自己のコントロールあるいは他者とのコミュニケーションという面でも重要であるということ。国語科を学ぶ意義は,そういうことに向けて必要な資質・能力を育成するということでございます。
言語能力特別チームにおきましては,言語を用いたテキストの理解,あるいは文章や発話による表現の過程の中で,どのような資質・能力の要素が働いているかということを整理いただいたところでございます。
こうした各分野の知見を踏まえた整理を踏まえまして,「話すこと・聞くこと」「書くこと」「読むこと」それぞれの領域における指導事項を再整理するということでございます。
また,言葉の働き等々の知識・技能についても,小・中・高を見通して体系的に整理していくという方向性でございます。
また高等学校におきましては特に,8ページ目下にございますような科目構成を書いていくということも考えているところでございます。
9ページ目ございますように小学校の国語科,こうした高等学校の改善・充実も見通しながらということ,また語彙を増やすことの重要性を踏まえて読書活動の充実を図っていく必要もあるということでございます。
先ほどの低,中,高の整理のところで,特に低学年において語彙量を増やしていくことが全ての学習につながるという整理をしていただいたことも踏まえまして,国語においてこういった充実を図っていくということでございます。
それから9ページ目は,小・中・高を通じた外国語教育の充実でございます。これにつきましては,かなり充実した御議論を頂きましたので,なかなかここだけでは整理し切れない部分がございますので,資料2-1という形で補足資料も付けさせていただいているところでございます。中身については,今まで外国語ワーキングでお取りまとめいただいた内容を,それぞれ小・中・高を通じた資質・能力の育成,それから10ページ目でございますけれども,小学校の外国語教育における改善・充実,そして12ページ目は柔軟なカリキュラム設定,短時間学習も含めということでおまとめをさせていただいております。
全て外国語ワーキングでおまとめいただいた内容を再掲しているという状況でございます。
13ページ目は(5)として,国語教育と外国語教育の効果的な連携。これも言語能力特別チームで御議論いただいておりますけれども,(3),(4)のような国語教育と外国語教育のそれぞれの改善・充実,相互の連携ということで,国語で学んだことを外国語の表現活動に生かしたり,あるいは国語を学ぶことに対する関心を,外国語教育を通じて逆に高めていくような,そういった相乗効果が見られるということもございますので,こうした効果的な学習につながるような連携をしていかなければいけないということでございます。
これについては言語能力特別チームで引き続き御議論を頂いておりまして,例えばというところにございますけれども,言葉の働きと仕組みの理解や言語活動を通じて育成される資質・能力といった点から指導の順序性,あるいは言語活動で扱う内容や方法などの具体的な連携の在り方が「カリキュラム・マネジメント」の中で実現されるようにということでございます。
そして,こういったことを,全体を踏まえまして,各学校における「カリキュラム・マネジメント」をどうしていくかということでございます。ここは御覧いただいたとおり,外国語教育だけをどうこうということではなくて,小学校教育全体の中で,どのような「カリキュラム・マネジメント」を行っていくかという観点から,おまとめを頂いているところでございます。
13ページ目,(1)にございますように,現状,小学校において様々な創意工夫が行われているというところでございます。
14ページ目御覧いただきますように,データが少し載せてございますけれども,週こま数の現状,あるいは短時間学習の現状,それから土曜学習の現状ということでございます。
こうしたことを踏まえながらということでございますけれども,14ページ目にございますように,「社会に開かれた教育課程」の理念の下,学びの量と質の双方を充実ということでは,教科学習と教科横断的な学習の双方の充実が必要であるということでございます。そうした中では,指導内容や授業時数の削減という選択肢は今回困難であるということでございます。そういたしますと,外国語教育の充実ということを踏まえまして,中学年,高学年の年間35時間増ということでございます。
しかしながら,これについては現状の枠組みということ,あるいは先ほど御覧いただいたような多様な時間割編成が既に小学校で行われているということを踏まえますと,全小学校における一律の取扱いをしていくことは困難ではないかということ,各学校の実情に応じた「カリキュラム・マネジメント」の視点から考えていく必要があるということでございます。
高学年においてということでございます。短時間学習ということも考えられますけれども,ほかにも60分授業,あるいは夏季,冬季休業期間中,土曜日の活用,週当たりこま数の増,選択肢があるところでございまして,地域や学校の実情に応じた柔軟な時間割編成を可能としていくということではないかということ。
また中学年についても,基本的には同様でございますけれども,外国語活動35時間を短時間学習で行うことや,また発達の段階に照らしますと60分授業の設定は難しいのではないかということ。その他については同様の考え方に基づいて柔軟な時間割設定ということではないかということでございます。
ただし15ページ目,5ポツの最初の丸にございますように,「カリキュラム・マネジメント」を通じて様々な工夫を行っていただくとしても,年間35時間増ということは変わりはなくて,上限であるとされた前回改訂の授業時数を更に上回る改訂ということになるわけでございます。こうした中で現場の負担ということも考えながら充実を図っていくためには,「カリキュラム・マネジメント」の実践に関する知見の共有とともに,外国語教育に関する教員養成,教員研修,教材開発,あるいは先ほどの冒頭にございました低・中・高それぞれの課題に応じた指導体制の整備が不可欠ではないかということでございます。
「カリキュラム・マネジメント」を通じた時間割の編成ということに関しましては,短時間学習の全体的な位置付けも含め,総則や解説において分かりやすく示していくということ。また,外国語教育や特定の学年にとどまらず,全ての教科と学年全体を見通す視点が必要になるということでございますので,国や教育委員会と小学校現場,関係団体が連携して調査研究を行い,その成果を普及させていくという方向性でございます。
外国語教育につきましては,これまで御議論いただきましたように,教材開発,指導者確保ということでございます。そして中で御覧のようなスケジュールで教材開発を進めていくということ,また15ページ下にございますような指導者の確保につきましても,これまで御議論いただいたような内容を,ここに整理をさせていただいているところでございます。こうした内容をしっかりと確保していくということ。
また,一番最後にございますように,英語のみならず,特に高学年の指導課題ということを踏まえますれば,専科指導の充実により学級担任のよさと教科担任のよさを兼ね備えた指導体制を確立していくということでございます。こうした観点から,義務教育学校制度の更なる活用の促進も検討されるべきということでございます。
このように小学校部会,外国語教育の本ワーキングの議論も踏まえながら,あるいは言語能力,あるいは国語ワーキングの議論も踏まえながら,中間的な取りまとめとして,このような取りまとめを頂いたところですので,御紹介をさせていただきました。ありがとうございます。
【松本主査代理】  詳しい御説明ありがとうございました。小学校部会の後にテレビとか新聞の報道もありましたので,非常に社会的注目度も高い点でございます。何か御質問,御意見等ありましたら,お願いいたします。渡部委員ですか,どうぞ。
【渡部委員】  新聞報道されて,様々なところからいろんなお話を伺っております。小学校の時間数のことなんですけれども,このことについては今さら蒸し返すことができないという状況であるかもしれません。ただ,個人的な感想になるかもしれませんが。今後の教育課程を考える上でカリキュラム・マネジメントはとても重要なキーワードになってくると思いますが,何か読んでいると,このカリキュラム・マネジメントという言葉で学校に任せ切りの状況が生まれないだろうかということを危惧しています。
学校によっては15分をきちんととるところもあったり,あるいは2時間で組むところも出てくるかもしれません。学校のカリキュラム・マネジメントによって子供たちに様々な学力差などが生じるとすれば,そういうおそれがあるとすれば,あらかじめ回避する,その策を考えておく必要があるのではないかと思います。
ほかの教科も含めてカリキュラム・マネジメントという発想は,これは十分分かりますが,もうあくまで,ほかの教科は全て枠の中に入っているという状況の中での話です。今,英語だけ入らないから,何かこのカリキュラム・マネジメントで縦にして学校裁量でという議論になっているのではないかという感想を持ちました。
そして,そもそも70時間という内容について,どれだけ議論された上での話かなというところが非常に不安です。もちろん教科化になることに伴って指導内容は増えます。ですが,じゃあ具体的に,なぜ70時間なのかというところは余り十分に協議されていないのではないかと。
例えば,じゃあ,これに従ってどんな教科書ができるかと考えたときに,基本的に小学校,中学校は単元計画というのがあります。単元での計画というのをやっていきます。70時間の単元計画を作るのか。70時間で単元計画を組むとすれば,例えば『Hi,friends!』はこれまで,それぞれ8単元あるいは9単元が,大体1単元当たり4時間から5時間配当で35時間組まれていたと。これは70時間になったときに,中学校のような形で恐らく10単元ぐらいのものが,1単元当たり7時間ぐらいですか,ということが想定されてきます。仮にそういう教科書ができてしまったとき,じゃあ,その中のどこを15分として出すかということの話になったら,これは非常に難しいのではないかと。
単元計画をしているものの70時間にしている計画の一部を出すという発想で短時間学習を行ったときには,恐らく未学習が起こったりとか,あるいは子供たちの学力差に大きな差が出てくるおそれがあるのではないかと。
もしも短時間でやれるとすれば,単元での計画が全体の50時間程度で,プラス20時間が,例えば活用の時間とか,練習の時間とかとして計画されていると。その70時間を授業の中でとっていって,残りの20時間を短時間で充てていくという方法はあると思いますが。これも私も何が正しいか分かりませんが,そういった議論も十分されていないのではないかなと感じているところです。
今さらということは本当に十分分かっておりますが,やはり,ここは学校に下ろすときには十分慎重にやっていかなきゃいけないかなと。思い出しますのは,総合的な学習が入ったときに,かなり学校裁量,任されていたように記憶をしております。結果として学校ではいろんなことが起こってしまったと。結局それに後から教育委員会等が指導するような形になってしまう。それに伴って学校では「何なんだ」という言葉が出てくるようなことになる。
外国語教育において,こんなことが起こってはならないんじゃないかということを強く思っております。非常に個人的な思いになってしまいましたが,申し訳ございません。
【松本主査代理】  ありがとうございました。室長から,もし何かコメントがあればお願いします。
【大杉室長】  ありがとうございます。先生の御懸念,十分に理解いたしておりますし,小学校部会の先生方も安易な気持ちでこの結論に至ったわけではないということは申し添えさせていただきたいと思います。
70単位時間の中身については,このワーキングで御議論いただいた全体像の在り方ということも御紹介させていただきながら議論を積み重ねていただきました。そうしたことも十分踏まえながらのペーパーであることは御承知おきいただきたいということでございます。
一方で御指摘いただいた点については,まさにこれからしっかりと詰めて,お示ししていかなければいけない点であるということで考えております。本ペーパー15ページ5ポツにございます調査研究の在り方,あるいは教科書につなぐための,ここは思い切って年度も入れさせていただいております。調整の過程では,ここまで,年度まで書くべきなのかどうかという議論もございましたけれども,実際の教科書の在り方にしっかりとつないでいくためには,しっかりと工程表も含めて示すべきではないかということで,15ページ目の下から丸2つ目,28年度中から30年度に配付できるような教材ということ。そうした中で,御指摘のような短時間学習の在り方,そして,その上にございますような国や教育委員会と小学校現場,関係団体が連携して調査研究を行いというカリキュラム・マネジメントの具体的なイメージ。もちろん国や教育委員会が各学校の教育課程の在り方を全部縛ってしまうことは,教育課程の在り方から見て望ましくないわけですけれども,一方で御指摘のような丸投げになって様々な混乱を招くということは避けなければいけない。このバランスの中で,しっかりと在り方を示していく。これを改訂に向けて,しっかりとやらせていただきたいというような中身であることを申し添えさせていただきます。ありがとうございます。
【松本主査代理】  ありがとうございました。時間の関係で,次のポイントに移らせていただきたいと思います。
【圓入室長】  短く補足させて……。
【松本主査代理】  じゃあ,圓入室長。
【圓入室長】  すいません。外国語ワーキングの方で1月12日に御議論いただくために御用意していました,きょう資料を付けていなくて申し訳ないんですけれども,5,6年生の年間指導計画のイメージ案をお出しさせていただいておりますときに,年間70単位時間分のイメージということ,御意見も複数の先生から頂いたと思います。全体の議論がまだ4月に続きますけれども,もし差し支えなければ,またこの年間70単位時間,一度提示もしておりますので。本日の会議ではお時間ないので申し訳ありませんが,後日,この会議後でも御意見をお寄せいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。できれば十分御議論いただいて,教材づくり,28年度の検証でございますけれども,29年度に配付させていただくようにつなげていきたいと思っておりますので,先生方の御意見を頂ければと考えております。よろしくお願いいたします。
【松本主査代理】  ありがとうございました。
それでは続いて事務局より,資料4に基づいて英語以外の外国語教育について御説明いただきたいと思います。もう時間,かなり押しておりますので,必ず5分以内でお願いします。
【圓入室長】  資料4を御覧いただければと思います。これは前回も少し御覧いただきましたので,ざっとデータ的なものでございますけど,御覧いただければと思います。最後のページに,現行の高校でございますけれども,学習指導要領の解説も含めた部分を,抜粋を付けさせていただいておりますので,御覧いただければと思います。
本日,吉田主査が御欠席ということで,主査より,「英語以外の外国語教育について」ということで1枚資料を表に御意見として頂いております。後ろの方は参考資料でございます。
まず現状は,今,資料4でお配りしているとおりでございます。708校ということで,前回調査からは1%減になっておりますが,多くの言語の教育が行われているということでございます。
その中で,最近の動きといたしましては,一部の言語の中ではCAN-DOリストの研究,それを活用した研修などが自主的に行われているということでございますが,様々な方,御関係者にお伺いしますと,全国的に新たな例えば指導法,教材研究の成果がなかなか共有できていないという現状の課題について御指摘を頂いております。
今後の方向性のところで御意見2つ頂いておりまして,1つは英語以外の外国語教育の必要性を更に明確化してはどうかということでございます。先ほど資料4の最後のページに,これは本当に抜粋の部分だけでございますけれども,英語以外の外国語のところでの留意点などがまとまっております。そもそもの外国語教育の目標にも重なる部分はあるかと思いますが,もう少し現状のグローバル化の中での目標,目的,必要性というものを整理した方がいいと。
ここに5行ほど書いてございますことは,御説明は省略いたしますけれども,こういったお声をまとめていただいているところでございます。
それから2点目は,次の学習指導要領の改訂に向けたカリキュラム研究,研修,教材開発などの取組の支援が必要ということございます。先ほど課題でも共有できていないということでございましたが,本日は自主的にお取組いただいている国際文化フォーラムさんの外国語学習の目安ということで,中国語と韓国語教育の提言ということを頂いております。中身,御覧いただきますと,CAN-DOのお取組など,評価に関するお取組など,分かりやすくおまとめいただいて,これを今後,研修などに活用されるということも伺っておりますし,また最近ではロシア語につきましても同じくCAN-DOリストを作られているというようなお話もお伺いしております。
以前は文部科学省の方で平成一桁台から英語以外の多言語の地域指定による外国語教育の,例えばカリキュラム開発や教材研究の御支援を数十年続けておったんですが,5年ぐらい前に,その事業が一旦,いろんな行革の流れもございまして,廃止ということになっております。今後,次期学習指導要領の改訂に向けて,今,英語では英語教育の地域強化拠点事業で,指定地域29か所で新たなものに取り組んでいただいておりますが,英語以外につきましても必要ではないかという御意見でございました。
その後ろには,これは学会などでおまとめされたようなこともありますけれども,その中でも先日13日に行われましたJACTFLのシンポジウムの中で,基調講演で森住先生がお話しされた資料も御参考で頂いております。これまでの経緯ですとか,日本以外の諸外国での多言語教育,非常に熱心に取り組まれているというようなことなども添付されておりまして,最後のページを見ていただきますと,これはお隣の韓国の英語以外の外国語教育の状況を付けていただいておりますけれども,非常に第二外国語を履修する方々の人数。例えば日本語であれば55万人ということで,非常に英語以外の言語に対するお取組が熱心であるということ。
それから英語の文章で,机上で,これも吉田先生から頂いたインターネット・ワールド・ユーザー・バイ・ランゲージということで,トップテンのランゲージのデータというのも出ておりますが,非常に英語以外でも,中国語,スペイン語などが挙げられています。このような英語以外の外国語の世界的な動向の中で,どのような方向を目指すべきか。もう少し,その必要性なりを明確にした方がいいのではないかという御意見でございました。
以上でございます。
【松本主査代理】  御説明ありがとうございました。それでは,今の御説明について御意見等,何かございますでしょうか。投野先生。
【投野委員】  私も,この吉田先生がお書きになっている今後の方向というか,そこら辺を見て非常に同意します。CEFRとかを自分が研究していると,間違いなく世界的には多文化,多言語系にどんどんなってきて,非常に人口の流動性というか,そういうもの高まってきますよね。だから日本も恐らく今後の外国語,あるいは言語政策を考えたときに,英語だけという考え方は非常に狭くて,入ってくる人たちの家族のケアとか,あるいは学校とかでどういうふうに,そういう多言語に対応するかとかという視点が多分10年,20年,30年後ぐらいを見越して徐々に準備していく必要があるんじゃないかと思います。
CEFR的に言うと,外国語教育を,そういうCAN-DO的な発想でやるというのは,かなりほかの言語でも進んでいまして,英語だけで何かそういうCAN-DOのことを考えているよりも,外国語を串刺しにして,そのCAN-DOという形で共通枠を利用するということも非常に効果的です。ですので,英語だけととらわれないで,もう少し広く考えていくような方向が望ましいんじゃないかと思います。
それに対する多分,取組の支援というのを書いてありますけれども,予算も全くないということなので,そのあたりはちゃんと今後位置付けるような感じのことが望ましいんじゃないかなと思います。
【松本主査代理】  ありがとうございます。ほかに。佐々木委員。
【佐々木委員】  高校の方から申し上げますと,恐らく英語以外の外国語の講座というのが自由選択なり選択科目の中に設定することが多いかと思うんですけれども。現状からしますと,かなり以前から中国語,フランス語を設定している学校においては継続して講師も確定していて内容も安定しているということですけれども。ここ数年の現状として,新しく設定しようと思ったところ,生徒を集めて講座は成り立ったけれども,講師が見つからずに講座が閉じてしまったというような事例もあるかと思います。
この吉田先生のあれにもありますように,今後,拡充していくに当たって,やはり,その指導法とか,教材だとか,あと今申し上げた人材が確保できる,都道府県だと人材バンク的なものや情報提供等,誰が教えるかというところについてのハードルをクリアできるように整理していかなければいけないなと,現状を見て思っております。
以上です。
【松本主査代理】  ありがとうございます。ほかにございますでしょうか。松川委員,お願いします。
【松川委員】  今の佐々木委員のお考えと同様なんですけれども。この英語以外の外国語教育を行うということの意義については,全く異論はないんですけれども,現実論として指導者を,特に地方では確保するのが非常に難しい。大都市圏はいるかもしれないですけれども,地方でそれをやろうと思うと,なかなか難しい。このことを本格的に進めていくのであれば,英語以外の外国語の教員というのをどう,これから養成していくのかと。
県でも調べてみますと,英語の先生で,フランス語についても教えることができる人とか,あるいは中国語についても教えることができる人というのはいるわけですけれども。免許制度がどうなっているか分かりませんけれども,外国語の複免許制度みたいなもので広げていかないと,やっぱり現実的に,そのそれぞれの都道府県で,そういうものを継続的にやっていくということには,かなりハードルが高いと。
意義は分かりますけれども,一旦ある高校で,そういう講座を作ったからには,ある程度長期にわたってやらないと。今年はやりましたけれども来年はやりませんというようなことではあれですので。このことを進めていくということは,私は大切なことだと思うので,それであるならば,やっぱり教員の確保ということについて本格的に取り組む必要があるのではないかと。
現に日本人の先生でも,英語以外のことについて若干の知識をお持ちで,ある程度初歩を教えることができるという人はいると思うんですけれども,それが資格として,どういう形で作っていくのかという制度設計が私は必要だと考えています。
【松本主査代理】  ほかにございますでしょうか。よろしいですか。
ということで,英語プラス・ワン・オア・トゥーなんですかね。外国語教育の充実,拡大ということについては皆さん御異議ないと。その意義があることについて御異議はないということと,それから,ただ進めていく上で指導者の確保とか養成,その辺のシステムを充実させていくことについて検討していく必要があるということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは次に,学習評価の観点の在り方について御議論いただきたいと思います。前回,江原委員,平岡委員よりも御意見頂きましたが,外国語教育における学習評価について,まず事務局から御説明いただければと思います。お願いします。
【圓入室長】  それでは資料5の1枚を御覧いただければと思います。ばらばらで恐縮でございますが,総則・評価部会の方から頂いている資料,3つございまして,その最初のもの,丸にございます。1つおめくりいただくと番号が,総則・評価部会の3月14日の資料番号2-1と2-2というものが付いてございます。こちらについては前回,大杉室長からも,少し修正入っておりますが,御説明があったと思いますので,この資料についての御説明は省略させていただきたいと思います。
これに関連して,資料飛びまして恐縮ですが6を御覧いただければと思います。総則・評価部会でお示しされた中で御議論いただくということで,まず各教科で評価の観点を,それぞれイメージを御用意させていただいて議論をするというような内容になっておりましたので,これは事務局の方で外国語教育における観点別評価・たたき台。これもイメージ案のたたき台ということで,あくまでイメージでございます。
資料6を御覧いただいておられますでしょうか。1ページ目が最初のたたき台でございますが,2ページ目以降を御覧いただくと。大丈夫ですか。申し訳ありません。外国語教育のたたき台の2枚目を御覧いただくと,観点別学習状況の評価についてという緑色の帯で書いてある資料がございます。これが昨年の論点整理のときにお示しされた資料になってございまして,今まで現行の学習評価4観点から学力の3要素に沿った3つの観点で整理する方向が示されている資料です。
3ページ目は御参考ですが,26年9月に英語教育の在り方に関する有識者会議で整理させていただいたときの資料でございます。これは4つで示しておりますが,これを3つに整理していくということと,御参考までに繰り返させていただきます。
下の3ページ目の緑色の箱の方を御覧いただければと思います。特にこのときにも「関心・意欲・態度」につきましては,従来からも指摘がされております「他の観点に係る資質や能力の定着に密接に関係する重要な要素である」ということで,4つの観点は単元における学習と一体的に評価が行われることが必要であるということを改めて整理をしておったかと思います。例えば,「外国語表現の能力」として「~できる」とする観点から評価の行う事項につきましては,「関心・意欲・態度」の項目として「~しようとしている」という表現に置き換えて,その単元における両面からの評価を行うことによって,生徒がコミュニケーションへの関心を持ち,自ら課題に取り組もうとする意欲や態度を身に付けているかどうかを評価すると。こういったことを何度も整理を頂いておりましたので,これは4観点のときの話ではありましたけれども,参考になると思いましたので添付させていただいております。
1ページ目に戻らせていただきまして,これまでのそういった議論を踏まえて3つの資質・能力。これは以前より御整理する,これもイメージとして整理を1回させていただいているものを参考に,小学校の外国語活動から高等学校の外国語まで縦列と横列でたたき台を作らせていただいております。
こちらの資料は,資料7も御覧いただければと思います。資料7に,1ページお開きいただくと2ページ目に,1月12日の外国語ワーキングで一度御議論いただいた,小・中・高を通じて外国語教育において育成すべき資質・能力の整理のたたき台というものを御用意させていただいておりましたが,これを参考に本日の資料6を「~している」「~しようとしている」という先ほどの態度面の方については,それらも参考にしながら御用意したものでございます。
一つ一つ説明すると大変長くなりますので省略いたしますけれども,今の段階では,こういった3つの要素に沿った,3つの観点別整理ということで,外国語教育の中でどのような方向がよろしいかということで,今日は御意見を頂いて,その後,4月4日には総則・評価部会におきまして,各教科別のワーキンググループの検討状況として,どのような御意見頂いているかということを報告する機会ございます。そういったところでも,本日の御意見等も含めて御報告をさせていただきたいと思っておりますので,御議論の方をよろしくお願いいたします。
【松本主査代理】  ありがとうございました。それでは11時10分ぐらいをめどに皆さんから意見を頂いて交換をしたいと思いますが,髙木委員,最初に何か,これについて補足説明あれば是非お願いしたいんですけど。
【髙木委員】  まず,お話がございましたが,1つは今回,総則・評価部会を含めて,全教科を見通した形の評価項目にするということですので,特に英語ということだけではなくて,少し知識・技能とか思考・判断・表現。これは内容的には外国語若しくは外国語活動に合ったものということになりますが。
1点気になりますのは,今御説明の中にもありましたが,主体的に学習に取り組む態度と。今回これは,前回は関心・意欲・態度という観点であったのが,主体的に学習に取り組む態度と。しかも,それは,その単元に関わる主体的に取り組む態度ということですので,単元以外の内容と,そこが重なり合ってしまいますと,単元で学習する指導事項の枠を超えてしまうと。そのあたりを十分注意しなければいけない。
もう1つ,実は資料1-2を御覧いただきますと,アクティブ・ラーニングの御説明の一番,2ページと書いてあるところなんですが,全体的には,どのように社会・世界と関わり,よりよい人生を送るかということ,ここと主体的に学習に取り組む態度とはレベル差がありますので,ここのところも考えながら,主体的に学習に取り組む態度。
ちょっと言い過ぎますと,有識者会議のときにも御説明しましたが,主体的に学習に取り組む態度というのは,知識・技能,若しくは思考・判断・表現,この内容をその単元で行おうとしているという作りにしませんと。特に小学校の場合ですと,今回9教科になるんでしょうか。先生方が,その単元に関わる主体的に学習に取り組む態度の観点を作成しにくくなりますので,できたら,かなり言い過ぎになりますが,あえて申し上げれば,知識・技能と思考力・判断力・表現力について,コピー・アンド・ペーストして,文末表現を「しようとしている」という形にすると,単元の中の知識・技能と思考力・判断力・表現力とがかなりリンクした形で指導しやすくなると考えております。
以上です。
【松本主査代理】  ありがとうございます。それでは室長の御説明及び髙木委員の解説を踏まえて,きょう江原委員よりペーパーとして意見を頂いておりますので,ここでまず江原委員から御意見を頂いて,それからほかの皆様,御意見を頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。
【江原委員】  失礼いたします。貴重なお時間を頂きまして。私の前回のプレゼンの最後のスライドで,評価について検討事項というところで終わっておりまして,あと前回,本多委員から,現場では観点別評価について,こんなような悩みというか,があるんですよというお話がありましたので,このワーキングでは,もっと大きな枠組みの話というのは承知しているんですけれども,私のここでの提案は,是非この大きな枠組みの議論の中に,現場に下りていったときにはどうなるかということも忘れないで,このワーキングの会議の決定というか,そういうのを出していけたらなと思います。
資料を全部説明していると長くなってしまいますので。表は,私の少ない知識の中で,現状の英語について,この3観点に分けてみると,こんな形になるかなと。そして一番右側のテスト,評価にしたときに,3観点のどれに入るのか。現場の先生方は結局こうなるんです。どれに,どの観点に入れて,この評価が反映されるのかということになるんです。ですから,これが余り曖昧だと,うまくいかない。
まとめますと,私の願いは,この新しい観点にしても,これが導入されることによって先生方が,そうか,これを教えればいいのかと。これを教えれば,よりよい教育,よりよい外国語教育ができるのかというのが分かりやすいように提示したいと思います。
繰り返しますけれども,現場の先生は,じゃあ何をしたらいいのというのが,いつも忙しい中で疑問として持っているんですね。新しい政策が出て,新しい指導要領が出て,じゃあ何をすればいいのということなんです。という観点で整理できればいいなと思っているのが,この表でございます。
実は,この表の3観点というところと,外国語学習の習得の構成要素の間に本当は,先ほど圓入室長から説明がありました,昔の観点別評価の4観点をCAN-DOとリンクさせたところがありましたよね。外国語表現の能力と外国語理解の能力が,今で言うCAN-DOのところとリンクしながら行くんだと。そこを余り急にはしごを外さないようにしたいなと思うんです。
せっかく,特に観点別に興味のなかった高校現場は,ああ,CAN-DOでこうやるんだと。そうか,表現の能力と理解の能力だな,4技能だなというので,やっと少し動き出してきた。ここで梯子を外すと,やっと動き出したものがなくなってしまうというのを危惧しておりまして。だから,なるべく現状,動き出したものの流れを止めないようにしたいなという思いでございます。
もう1つだけ,このプリントの一番下の方の説明をして終わりにしますが,知識・技能と思考・判断・表現の,この分け方が難しいなということで,これも,やっぱり,ちゃんと分けておかないと現場の先生,困ってしまうので,ある程度の共通理解があった方がいいなということで,私の中では知識・技能における技能は音声,語彙,文法に関する基礎的な言語知識の捉えではどうかと。つまり,今,知識・理解というところにきちんと,練習という言葉はよくないのですが,文脈を通したコミュニケーション活動として,あっ,そうかと体で分かるというところまでが知識・技能ではないかと。
それから思考力・判断力・表現力というのは,それをもうちょっと大きな文脈というか,長い文章とか,コンテクストとか,そういうものでやるものかなと思います。
最後,2つ目の丸の小学校でもこのことを有し,とありますが,CEFRを本当にリジッドに適用すると,小学校では知識・技能のところしか英語ではやらなくなってしまう危険性もあるんですけど,本当は思考・判断・表現もクリエーティブなものとか,いっぱいあると思うんですよね。だから,そういうところもうまく,小学校でも思考力・判断力・表現力というのはこういうことをやればいい,何をすればいいかというのが分かるようにすればいいかなと思います。
まとまりませんけれども,何をすればいいのかが分かるような形で整理できればいいということでございます。
以上です。
【松本主査代理】  ありがとうございました。その他,何か御質問,御意見等ございますでしょうか。今の御発表及び室長の御発言,髙木委員の御解説等についてでも結構です。本多委員,お願いします。
【本多委員】  現場ということで,こういう会議に出ている間でも,じゃあ現場ではどのようにしたらいいのかというのを考えながら会議に出席しております。
この表に関して,では知識・技能,それから思考力・判断力・表現力は,これは,このレジュメの中でも不可分ということで,技能に関しては大きく影響しているというところで,どのように分けようか。どのように評価するか,テスト問題を作るか,又はいろいろな評価を行っていくかということと,あと,現在作っているCAN-DOをどのように関連付けたらいいかということを考えながら会議に出ております。
私の今の感覚,今までの議論の感覚から言うと,知識・技能というのは,今,評価基準が作られていますが,正確さと適切さと2つに分けられているところがあると思うんですけれども,どちらかというと知識・技能というのは正確さ。つまり一,二文,3文程度,短いところを正確に聞き取る,話す,読む,書くという感じかな。もうちょっとまとまりのあるものというのを思考力・判断力・表現力。今のに当てはめると,そんな感じなのかなという感じを受けます。それが合っているかどうかが分からないんですけれども,最終的に下りていったときに,そのような具体的なものが欲しいなということを思っています。
CAN-DOに関しては,今,委員からありましたけれども,せっかく作って,それが非常によく機能している,うまくいっているなと思っているので,これは絶対にどこかと関連付けたいなと。そうすると,知識・技能でCAN-DOが作れるのか。思考力・判断力・表現力というところについても作れると思うんですけれども,その4技能というのが今,左側に入って,知識・技能に入っている場合,ここのところにある程度,それに沿ったものも作れるのかなというところで,今ちょっと,正直言って,どうやって作ったらいいかというのを迷っている状況です。
以上です。
【松本主査代理】  現場の声も出てきましたけれども,ほかに何か御意見等ございますでしょうか。投野委員,お願いします。
【投野委員】  この今,本多先生が御覧になっていた資料7の3ページ目。これの3つの要素の個別の知識や技能というところなんですけど,やはり言語の科目ということだと,その言葉の語彙や文法,それから使い方なんかを身に付けるという部分が一番根幹になると思うんですね。ですので,そこを個別の知識や技能という部分が,今までいろんな形で観点別に見ていた部分が,今ちょっとCAN-DO的なもので小・中・高通しで見ようという議論が進んでいると思うんですけれども。やはり,ここで聞くこと,話すこと,知識,技能と,ただ並んでいるだけだと,何か見通しが,どういうふうに力が付いていくのか,とても分かりにくいので,こういう部分は,やはり我々が今まで議論していたようにCAN-DOでちゃんと示せれば,どういうルートで,どういう道筋で力が付いていくのかということを明確に示せると思うんですね。
プラス,それを実際にどういうふうに力が付いたかを見る部分で,この思考力・判断力・表現力,それから使っているときの使い方の様子を見ることによって,どういう積極性でやっているかとかいうことを,パフォーマンスを通して絡めて見るというか,そういう部分が,やっぱり外国語の場合には大きいのかなと思います。
それは多分パフォーマンステスト的なテストで見る面と,授業中にタスクとして課して,タスクをやっている最中で見る面と,そういう両面がありますし,CAN-DO的に絡めれば,見通しを付けて学習していく過程で,こんなふうに自分はなりたい,だからこんなふうに勉強するとか,そういう教科ごとの特性に応じた,何か勉強の仕方とか,学びのプロセスを自分で作っていくような,そういう主体的な学習者になっていくみたいな部分が,やはり,こういう思考力・判断力・表現力とか,そういうほかの観点が育っていくのに非常に関係が深いと思うんですね。
ですので,外国語教育の場合は,そういう部分についてしっかりと位置付けて,その関係を単純に3つの大きな升で均等にほかの教科と比べているよりは,もっと重み付けを重点的に変えて,こういうふうに大きな軸の中で3つの観点が,こんなふうに絡めてみるといいみたいな,そういう姿を先生に示すような感じがいいと思います。
その点で,先ほどの江原先生の具体的にはどうなるかというのは非常に参考になると思って聞いておりました。
【松本主査代理】  ありがとうございます。今,資料7の学習のプロセスの方に,もう話は進んでおりますので,その点について室長から補足説明をしていただいた後に,また引き続き皆さんから御意見頂ければと思いますが,よろしいですか。
【圓入室長】 それでは資料を,資料を御覧いただければと思います。総則・評価部会でいきますと3月14日の資料1-1という資料を配付させていただいておりますのと,それから参考資料も1-2ということで添付されております。
それに関連した資料なども御用意しておるんですが,まず総則・評価部会の資料1-1を御覧いただければと思います。3月14日の総則・評価部会の資料1-1でございます。
ここには,まずアクティブ・ラーニングの視点と資質・能力の育成についてということを最初1番に書いておりますが,これも昨年8月の「論点整理」で「社会に開かれた教育課程」の理念の下で,子供たちに育成すべき資質・能力を総合的に育むための学びの量とともに,質や深まりが重要であるということが指摘を受けておるわけでございます。各教科の中でも習得・活用・探究の学習過程全体を見渡しながら,「深い学び」「対話的な学び」「主体的な学び」,3つの視点に立って学び全体を改善していくことということが提言をされているわけでございます。
次に,2ページ目を御覧いただければと思います。そこで改善の方向性として「深い学び」の視点というところが2ページ目に書いておりますけれども,特にアクティブ・ラーニングの3つの視点のうち「対話的な学び」及び「主体的な学び」が注目され,「深い学び」の視点に基づく改善が図られていないという指摘があるということでございます。そういったものにつきましては,各教科の特性に応じて示される必要があるということで,その具体像について,各教科ワーキングにおいて議論を,ほかの教科の方では既に始まっているということでございます。
外国語の方につきましても,本日御議論いただくわけでございますけれども,そういった議論の中でも,特に資質・能力の育成,学習の深まりの鍵となるものとして,各教科等の特性に応じて育まれる「見方や考え方」が重要であるということが議論されておりまして,本日は,その「見方や考え方」も含めて,外国語教育の中での「深い学び」,どのように示していくのかと。資質・能力の,今,資料7の方にございますけれども,それらと関係して分かりやすく示していくということで,本日御議論いただければと思っております。
2ポツ目以降,こういったアクティブ・ラーニングのことにつきましては以前,資料7の,ページでいきますと資質・能力の関係の資料のかなり後ろになりますが,後ろの方から4ページ目に別添7というのがございます。これが1月12日にお示しをさせていただいたときには,そもそもの教科の目標,それからCAN-DOでございますが,指標形式の目標ということをお示ししておりますけれども,その下に,外国語の学習過程,学習プロセスのイメージということで,この時点でお示しをさせていただいておりました。
先ほど来CAN-DOとの関係の,例えば位置付けもどうするかという御意見も既に頂いておりますけれども,それは参考にさせていただきながら,次のページの別添8というところが,本日後議論いただくための資料ということで,新しく御用意させていただいたものでございます。外国語教育における「見方や考え方」を働かせた深い学びと資質・能力の育成のイメージということでございます。
この表題の下に書かせていただいた,小・中・高一貫した目標。これは目標の中に指標形式の目標を含むということを書いておりますが,その下で発達段階に応じた学習過程,「学習プロセス」を経ることによる,例えば思考力・判断力の深まり,外国語による表現力の向上,主体的・自律的に学習する態度の育成などを通じ,的確に理解し伝え合うコミュニケーション能力を育成するということで,少し関連付けというものを意識して書かせていただいております。
下のところはイメージ図なので,資質・能力の例を小学校から高校まで挙げさせていただくとともに,指標形式の目標の「話すこと」の例を挙げさせていただいております。これがばらばらのものではないということで,今までも御議論いただいておったかと思いますが,それに下段の方に「+」「+」「+」と下にくっつけてありますけれども,一体となって学習過程,お示しをさせていただいております。
こういった上に掲げておりますような資質・能力,それから指標形式の目標ございますけれども,そういったものを下の赤字で書いております目的に応じたコミュニケーションのプロセスを経ると。外国語教育の特性を踏まえまして,まずは1番から4番で柱を大枠で書いておりますが,まずは1番目に目的の設定・理解,目的に応じた発信までの方向性の決定・言語活動等の見通しを立てること,3番目に目的達成のための言語活動。これは技能統合型も含む。それから,まとめと振り返りというプロセスを繰り返し経ていくことで通じて,次の活動へと書いておりますが,外国語教育の中での「見方や考え方」の成長・発展につながっていくのではないかという図にさせていただいております。
最後のページに続けて行きます。これまでも御議論いただいておりました資質・能力を育成する学びのプロセスということで,赤字の左上に書いてあります目的に応じたコミュニケーションのプロセスということを先ほどの続きとして書かせていただいておりますが,そこを右にずっと見通していただくと,目的の設定・理解,目的に応じた発信までの方向性の決定・言語活動等の見通しを立てること,目的達成のための言語活動,それから振り返りと。さらに次の活動へということを上段に書いておりますが,これを資質・能力の例,一番左側から,それぞれの縦の列ごとに目的の設定例ということで小学校から高校,それから学習プロセスも小学校から高校まで,まとめと振り返りまでも発達段階に応じてということで,その振り返りまでのイメージというものをまとめさせていただいております。
こういった形で,とりあえず全体の一体的な姿というものを,あくまでイメージでございますが,細かいところもいろいろ御意見あろうかと思いますけれども,やはり今まで御議論頂いたことのCAN-DO,指標形式の目標も含めた目標や内容,それから学習過程の考え方というものを,総則・評価部会でお示しがありました横軸を通すということでの方向性を踏まえながら,外国語教育の特性も踏まえながら,今後の方向性を御議論いただきたいと考えております。よろしくお願いします。
【松本主査代理】  御説明ありがとうございます。現場でのこれまでの観点,評価の観点を踏まえつつも,新たな観点が提示されて,知識・技能,思考・判断・表現,それから主体的学習に取り組む態度ということを全教科を通して,この枠組みの中で行っていく方向性が示されている中,外国語あるいは英語においての,ある程度の特殊性を考慮しつつ,しかもCAN-DOという指標形式の目標を入れ込みつつ,さらに小・中・高の連携ですね。小学校では新たに英語が教科化されるということを踏まえた上で,一貫した教育内容,子供たちの学習プロセスを考慮してカリキュラムを作り,カリキュラム・マネジメントをし,そして正しく新しい評価システムを使って評価をすると。まとめると,そんなことになるでしょうか。かなり壮大な計画であります。どこまで外国語学習の特別な事情を認めていただけるのかなというところがポイントになるかと思うんですけれども。様々な論点があるので,口火を切っていただくのは難しいかもしれませんけど,酒井委員,どうでしょうか。突然ですいません。
【酒井委員】  大枠のところで今,松本先生がまとめられた部分,そのとおりかなと思うんですけど,別の点でもいいですか。ちょっと細かくなってしまうわけですが。先ほどの髙木委員の御指摘もありましたけれども。主体的に学習に取り組む態度と外国語活動と小学校の外国語についての部分なんですけれども,前段のコミュニケーションを図ることの楽しさや言語を用いてコミュニケーションを図る大切さを知りコミュニケーションを図ろうとしている。ここの部分の前段の「知り」というところが,態度の評価の内容としていいのかどうか。むしろ知識,技能の部分に大きく関わるのではないかと。つまり体験をすることによって,そういう知識ないしは体験を持っているということで,もしかしたら小学生の場合には,相手意識を持って図ろうとしている姿があるというところにとどめておいた方が,実際の評価の場面であるとか,指導の場面では適切かなと思いました。
どういうことかというと,楽しさや大切さを知らずに相手意識を持ってコミュニケーションをしている姿があったときと,楽しさを知りながらコミュニケーションを図ろうとしている姿があったときの違いがなかなか見えづらいのかなとちょっと感じていて,この前段部分の当てはまりが難しいかなと思いました。
思考・判断・表現のところの文言で言うと,どのような形で思考・判断・表現を外国語教育の中で実現していくかということで,ここにある。今資料6を見ています。たたき台(イメージ)案の文言だと,それがちょっと前面に出てこないわけですけれども,先ほど圓入室長から説明いただいた学びのプロセスを照らし合わせたとき,目的に応じたコミュニケーションのプロセスということを考えると,外国語教育における思考が特徴付けられてくるなということが出てきますので,何らかの形でそこが前面に強調されるような形で説明されると分かりやすいのではないかと思いました。
【松本主査代理】  ありがとうございます。発達段階に応じて,どこに分けていくかというのは非常に重要なポイントだと思いますので,御考慮いただければと思います。
ほかにございますでしょうか。渡部委員,どうぞ。
【渡部委員】  これまで4観点でやっていたものを3観点にするというところで,学校の先生方がどういったことを考えるかなと思ったときに,これまでの言語や文化についての知識・理解。この知識・理解という枠組みと,今回の知識・技能という枠組みの整理は非常に重要なところじゃないかなと思います。
これ私見でもあるんですが,今回のこの知識・技能の範疇というのは,これまでの言語や文化についての知識・理解プラス表現の能力,理解の能力を一部分を含んでいるものではないのかなと受け止めています。
今回の3つに分けたときに知識・技能というものを,これまでの知識・理解と同じ内容で,語彙とか文構造についての知識・技能としてしまうと,これまでのCAN-DOの考え方,どう結び付けるかというところで,ちょっと整合性がなくなります。しかし,この知識・技能というところに,これまでの知識・理解と,それから,それを使って活用する力の表現の能力や理解の能力を含めて考えると,この知識・技能のところにCAN-DOがぶら下がってくるのではないかなと思います。
じゃあ思考力・判断力・表現力はどういうところかというと,先ほどお話があったように深い学び,対話的な学び。じゃあ具体的にどういったものかって,なかなか言えないんですが。つまり,外国語学習を通して何を学ぶのかというあたりの少し高次元な内容になるのかなという気がしております。
以上です。
【松本主査代理】  今の点は,江原委員が先ほど発言された点と非常に近いので,コメント頂けますでしょうか。
【江原委員】  恐らく学問的に切っていくと,今,渡部委員がおっしゃったような切り方になると思うんです。私がそこで心配しているのは,今,思考・判断・表現力の中の定義として,教科等の本質に根差した見方や考え方と書いてあるんです。ということは,私たちが思考力・判断力・表現力とは何かということを考えるときに,英語の本質に根差した見方や考え方は何かということを考えることだと思うんです。
といったときに私は,英語という科目には2層構造があって,1つは言語というものを学ぶことについて深く考えて学ぶ。それはストラテジーも入るし,そういうこともある。一方で,言語を使って学ぶという,クリルやコンテントライン,そういう2層構造になっているような気がするんです。英語って何と聞いたときに,言葉を学ぶという側面があるし,言葉を使って生活していくし,クリエートしていくしという側面がある。実は,あるんです。
そうすると,今,渡部委員のおっしゃった,本当にそれがそうなんだなというと,例えば3観点あって,一番最初の知識・技能のところがCAN-DOなんだというと,思考・判断・表現のところが限りなく忘れ去られるような,そういう危険性もあるような気もします。特に小学校は,やはり中・高と違って,教えられる小学校の先生も,どちらかというと教育とか,見取りとか,そういうフレームで,ちょっと違うと思うんです。そうしたときに,思考・判断・表現というのが,そういうものの中に混然一体と入っていかないと,その小学校のよさが出ないなとも思うので。ちょっとうまく整理できないんですけど,その辺が今の。
サイエンティフィックにいけば,知識・技能というのはCAN-DOが入り,表現,理解も入りというのはそうなんですけど,もしそうしてしまうと,じゃあ高次の英語を使った思考・判断・表現のタスクなりパフォーマンスやるのは,スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクールの生徒だけというふうになりはしないかと思っています。
【松本主査代理】  今の点,投野委員,もし御意見があればお願いします。
【投野委員】  知識・技能ということの割り方でいくと,知識といっても,例えば言葉に関する知識を知っているけれども使えないという部分がありますよね。知っているというレベルと,あと実際にそれを使えるかという技能と,両面が必要だという捉え方かなと1つは思います。
それから,バックグラウンドとして様々な文化的なこととか,知っていないと言語運用上,知っておいた方がいいような知識もあると思うんですね。そういう部分で知識・技能というくくり方なのかなと,個人的にはちょっと思っているんですけれども。
ただ,私がここの表とかを見ていて思うのは,本来のCAN-DOリストということの議論から少し,このレベルになってくると結構ほかの力とどう関係付けようかということをイメージ化しようとするので,非常に抽象度が高くなってきますよね。そうすると,やっぱり議論が少し抽象的になってきちゃって。本来的にはCAN-DOというのは,例えば自己紹介する,お互いのインタラクションで何か相手のことを知りたいと思うみたいなことのときに,どんなことを聞くかとかいうことの,非常に具体的なCAN-DOリストを基にして考えたりすると,そこでも,やっぱりクリエーティブに相手のことを考えて,相手のどんなことを知りたいかと思っているかみたいな質問の1個1個に,その子の個性や,あるいは,そこに出てくる思考力・判断力みたいなことも出てくるわけですね。
ですので,やはりCAN-DOリストの部分を明確に階段を作りながら,その階段をどういうふうにパフォーマンスで見ていくかという中に,こういう側面を絡めていくような方が,議論としては,よりシンプルになって分かりやすいんじゃないかと思います。教員研修なんかをするときにも,大きな全体像をもって説明するというのは非常に分かりにくいと思うんですね。
ですので,やはり大きな構造の中での流れを示しつつ,もう少し実際の教材や単元のレベルに落ちていったときのイメージとどうマッチするかということを上手に見せないと,その辺で教員の感覚から非常に離れた議論になってしまうのではないかというのをちょっと心配します。
【松本主査代理】  そうしますと,実際の指導とか評価を考えると,CAN-DOというものと並列させた形で提示しないと現場は混乱すると考えてよろしいでしょうか。
【投野委員】  多分CAN-DO自体がかなり,先ほどの指標形式のものというのが,大きな指標のレベルから,もうちょっと単元レベルのCAN-DOというか,そういうものの階段がちょっとあって,その小さいところに下りていったときにも,やはり大きなところのプロセスや,ほかの分野の力との関連が,こんなふうにパフォーマンステストで実現されて見るといいんだよといった,そこのリンクがちゃんとしていると分かりやすいと思います。
【松本主査代理】  分かりました。ほかに御発言されていない方。
【石鍋主査代理】  校長の立場として,カリキュラム・マネジメントを意識して,いろいろと頭の中まとめているんですけど,まずまとまっていないので,感想で勘弁してください。
1つは,4つの技能と思考・判断・表現の不可分の部分をどのように明確に示していけるのかな。そのあたりは,やはり外国語科の特性の1つになろうなと思っています。
もう1つは,校長として全体のカリキュラムを見たときに,他教科と比べて外国語科の特性からCAN-DOが入ってくる。入ってくるのはいいんだけれども,実際に他教科全部風呂敷を広げたときに,そのCAN-DOってどういう位置なのと。校長がどこまで理解ができるのか。それがないと,他教科との関連,国語科との関連を考えて今後,外国語科も進んでいくわけですから,学校教育として,うまく外国語科が全体の中にはまっていかないんじゃないかなという,ちょっと危惧を今感じています。
ただ,どうしたらいいのかという具体策が出ないので本当に申し訳ないんですが,今申し上げたような4つの技能と思考・判断の部分の不可分の部分の整理と,他教科と外国語科の特性との並べたときに,どのようにCAN-DOを示していったら皆さん,校長を含め全教職員に分かりやすくなっていくのか。そのあたりが視点として持つべきかなと。
すいません,感想しか出せません。
【松本主査代理】  いや,感想じゃなく,きれいに整理していただいたと思います。種村委員,お願いします。
【種村委員】  私も,この評価についてかなり複雑な思いがありまして,十数年以上前に指導主事やっていた頃に,関心・意欲・態度ということで現場に,ちょっと表面的な評価をしていたものですから,しっかり,これは現場に根づかせようと思って,いろいろやったんですが,なかなか根づかない。関心・意欲・態度ということで,もうちょっと何となく現場で具体的に。さっきお話がありましたよね。具体的なこうだという下ろし方をしないと,なかなか根づかない。今回も主体的に学習する態度ということで,抽象的ではなくて,しっかりこういう形だと。これは英語だけではなくて,全教科統一していきますので,それがしっかり固まっていないと,何となく,また主体的に学習する態度というのは,教員それぞれの思いとか,現場それぞれの思いで動いちゃうのが大変心配だなというのを思っています。
これは小学校,中学校,高校の違いで申し上げますと,中・高は教科でいきますので,それぞれの観点でいくんですが,小学校はほとんど全教科教えていきますので,この教科についてはこうだとかないんですね。どっちかというと,3観点目の,例えば今回で言いますと主体的に学習する態度という切り口で全教科を見ていきますので,そこがちょっと落とし穴になる可能性があるかなと思います。中・高では,その教科によった関心・意欲・態度,今回は,その3観点目はこうだなということで理解いくんですが,小学校は,その3観点目を全教科に下ろしていきますので,それを早ければ,ある程度こういう形だということを示さないと。これは英語だけではなくてという表し方をしないと,また小学校の方でかなり難しい,混乱をするなと,お伺いして思いました。
以上です。
【松本主査代理】  髙木委員にお伺いしたいんですが,今までの外国語教育という観点からの評価とかCAN-DOとの関わり等について,全教科を統一的に見られているお立場から何かコメントを頂ければと思います。
【髙木委員】  内容的には各教科で決めていけばいいと思うんですね。それで,本日,この資料6で話している内容は,これは教科の全体構造の中での位置付けであると。この後,小学校外国語活動と中学校外国語活動と高等学校外国語活動,それぞれの恐らく部会が開かれていって,内容が決まっていくと思うんですね。内容が決まるときに,例えば,この知識・技能にどこが入っていくかということを具体化していけば,かなり明示化されたものになっていくだろう。
そこでは,教科によっても,例えば数学なんかだと知識・理解ということが技能と両方を踏まえられて入ってくるようなことも考えられなくはない。そうしたときに知識・技能という項目の中に理解という項目をこの中で,数学なら数学独自に入れていくとか,それから例えば美術で感性なんていったことに,思考力・判断力・表現力の中に感性という項目が入っていくとか,そういったことがないと,教科の独自性は逆に出てこないだろう。だから,これから次の作業として,今お話しになった中身がかなり出てくるだろう。
それから最後に種村先生おっしゃった関心・意欲・態度というのは,今回の場合には,だから知識・技能,若しくは思考・判断・表現,その単元の最重点課題のやっていることをしようとしているという具体的な取組を単元の中で示せばいいので,これも先生方は簡単に作れていくはずだと思っています。
ですから,本日,教科としての評価のことを決めているので,かなり話し合いが,抽象度が高いので,具体性がなかなか見えてこないんですが,今後それが出てくるかなと私はお聞きしながら感じていました。
【松本主査代理】  2点確認をさせていただきたいんですけど,教科独自の話し合いというのは,それぞれのまた今後の部会で話し合われるということで,その中で。
その中で,これは事務局に聞いた方がいいのかもしれません。外国語教育の場合の独自性を考えたときに,指標形式の目標を入れないと現場は混乱するんじゃないかという御意見がきょう多数あったんですけれども,その辺について,いわゆるCAN-DOを入れ込めるのかどうかということについては,もう入れ込めると考えてよろしいでしょうか。それでは,大杉室長。
【大杉室長】  全体的な観点で申し上げますと,観点別評価をこの3つの柱でやっていくということと,CAN-DOがどのような関係にあるのかというのは,他教科も是非知りたいというところであるんですね。ですので,その関係性を是非整理していただきながら,うまく両方が回っていくような形でお願いしたいなと思っています。
そういう議論の中で,この柱の中の様々な整理が教科の特性をしっかり反映したものに是非していただきたいと。3つの柱ということは共有しながらも,その中に教科の特性が反映されている,若しくはCAN-DOとの整理がきっちり,他教科の先生も含めて共有できるような形で是非,事務局も尽力させていただきたいと思います。
【松本主査代理】  このワーキンググループの中での範囲ですけれども,外国語教育の特性とか現場を考慮すると,指標形式の目標を是非入れていただきたいという考えがあったということでお願いしたいと思います。
それから2点目の髙木委員から御指摘のあった主体的に学習に取り組む態度というのは,それぞれの単元において知識・技能とか思考・判断・表現の目標があります。それに対する意欲・態度でよろしいということですか。それについて,非常に重要なポイントだと思いますので,もう一度確認をとらせていただきます。
【大杉室長】  単元ごとに最終的には評価の場面を考えていただくという意味では,一番細かく下ろしていけば単元ごとのイメージになっていくと。ただ,それを,評価の観点のマトリックスとして,これは全体的な話ですけれども,示していくというよりは,指導内容の構造を見ると,自然にそれが作れるような構造を目指していきたいと。各教科の指導内容の単元ごとの構造を先生方イメージしたときに,学習指導要領から,その知識・技能の内容なり思考・判断・表現の内容を引っ張ってこれるようなものを目指していきたいというのが全体の構成ということであります。
そうしますと,その知識・技能と思考・判断・表現を自ら獲得しようとしているかということが,主体的に学習に取り組む態度になってこようかというイメージでございます。
【松本主査代理】  御説明ありがとうございます。まだ具体的にどうするのかというのは,私自身はイメージしにくい部分もありますけれども,方向性としてはそういうことだということで,きょうは御理解いただければと思います。ありがとうございました。
それでは,もう1点,まだ議論すべきポイントがありますので,資料8を皆様,御覧いただければと思います。外国語教育におけるICTの活用についてというポイントが,きょうの最後の議題になります。これについて圓入室長から御説明いただきます。
【圓入室長】  すいません,こちらも総則・評価部会,1月18日に配付されている資料2-1というものがございますが,青い帯で1ページ目,表紙が付いております,こちらを御覧いただければと思います。情報に関わる資質・能力についてということで,これも教科横断的に御意見頂ければということで御提示されているものです。
1ページ目をお開きいただきますと。こちら,総則・評価部会の青い帯のもので,本日御議論いただくために御用意した,ちょっと字が小さいんですが,資料8がセットになっております。申し訳ありません。
資料2-1の方を御覧いただきますと,1ページ目にICT活用の特性・強みについてということで3点書いております。1番目が多様で大量の情報を収集,整理・分析,まとめ表現することができ,カスタマイズが容易であること。薄い字で書いているのは,そのまま御覧いただければと思いますが,マル2 時間や空間を問わずに,音声・画像・データ等を蓄積・送受信できるという時間的・空間的制約を超えること。3番目に,距離に関わりなく相互に情報の発信・受信のやりとりができるという,双方向性を有することということで,下の囲みの方を御覧いただきますと,こちらについても先ほどの御議論いただきましたアクティブ・ラーニングの視点に立った深い学び,対話的な学び,主体的な学びの実現に大きく貢献するものであること。それから2点目に,個々の能力や特性に応じた学びの実現に大きく貢献すること。3番目に,離島や過疎地等の地理的環境に左右されない教育の質の確保に大きく貢献するものであるということが,これはどの教科で活用するにおきましても共通するような方向性として特性・強みというものが提示されております。
その次のページ以降にアクティブ・ラーニングの視点に立った学習プロセスにおけるICTの効果的活用のイメージの図が添付させていただいております。
そしてまた次のページも,より具体の,例えばプロセスの流れからICTの効果的活用の例が具体に示されたものを添付いただいております。
少し飛びますが,8ページ,9ページあたりに各教科における情報に関わる資質・能力の育成ということで,ここに外国語の方が10ページ御覧いただければと思いますが,外国語につきましては,外国語によるコミュニケーションに必要な情報を抽出し,得られた情報を基に自分の考えを構成し,効果的に伝えるために必要な力を育成すること。1点目でございます。2点目に,アクティブ・ラーニングの視点に立った学習活動ということで,効果的に活用することが期待として,総則・評価部会の資料の方で御提示があったところでございます。
資料8に移らせていただければと思います。外国語教育におけるICTの活用についてということで,たたき台でございますが,先ほど御提示があった総則・評価部会のポイントを上の方に書かせていただいております。下の矢印の表は字が細かくて大変恐縮でございますけれども,左側の方に現行の学習指導要領,それから解説に書かれていることが丸とひし形で書いてございます。それに関連して課題ということで,環境整備や教員の先生方のICTリテラシーの差というものを挙げておりますけれども,そういった現状を踏まえながら,横串で総則・評価部会で御提示があったことを踏まえて,外国語教育としてICTの活用をどのような方向性付けをしていくかということを1つの大くくりで真ん中の方に書いております。
方向性ということで,現行も踏まえながらということもありますが,視聴覚教材,パソコン,情報通信ネットワークなど,身に付けるべき能力や児童生徒の現状ございますけれども,に応じて活用すると。これらを通じて児童生徒の興味・関心を高め,指導の効率化及び言語活動の更なる充実を図り,4技能にわたる総合的なコミュニケーション能力向上に資するものとするという大きな方向性をまず書かせていただいておりますけれども,活用例のところを御覧いただきますと,今回の横串でお示しがありました対話的な学び,深い学び,それから主体的な学びと。中には個に応じた学びというのもあると思いますけれども,そういった軸での外国語教育の中での活用の方向性を例示でお示しをさせていただいております。
これが御参考ということで,今後の方向性について,本日御議論いただければと思いますが,2ページ目以降は,現状の補足としてデータを添付させていただいております。2ページ目が小学校,3ページ目が中学校ということで,これは必ずしも1つの教室に1つあるというものではない調査でございますけれども,それぞれ小・中・高を通じまして,何らかの形で,そのICT機器が活用をされ始めていると。これは全ての児童生徒さんに使われているということではないデータではございますけれども,だんだんと機器の整備も意識が高まってきているということではないかと思います。
また,101ページ目以降ということでページが付いております。これは文部科学省の中の学びのイノベーション事業ということで報告書が出ております。これはちょっと飛ばしまして,後ろの方をざっと見ていただきますと,例えば外国語活動や外国語科におけるICTの活用例とその効果などが,他教科の方,交じっておりますけれども,幾つか例示が挙がっておりまして,こういったものも参考にさせていただきながら,1ページ目の活用例をお示しをさせていただいております。
今後についてということで,学習指導要領に書くのか,解説に書くのかということは,まだまだこれからの議論だと思いますけれども,本日は,このような資料なども踏まえまして御意見を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。
【松本主査代理】  ありがとうございました。それでは,この点について御意見頂けますでしょうか。先ほど小学校の英語に関してもICTの活用,開発についてポイントが挙げられておりましたので,小学校に限らず中学,高校の観点から是非お願いします。松川委員,お願いします。
【松川委員】  まずICT以前の問題だと思うんですけれども。ずっと前の有識者会議の頃からずっとされていましたけれども,英語についての教科書ですよね。紙ベースの教科書から,要するに,これだけ4技能で音声を重視すると言いながら,音源の入ったものというのが,生徒個々人のところには届いていないですよね。だから,そういうことを今後もやっていくのかどうかということが大変疑問だと思うんですね。
まず基本的に,紙の教科書でずっと来ているわけですけれども,英語という教科の場合,やっぱり音声ですよね。CDを配ればいいとか何とかということだけをとって見ても,全部の生徒にそういうふうに行き渡っていないわけじゃないですか。だから,そういうことについての基本的なことをどうするかというのが1点です。
それからICTについては,電子黒板とか,いろいろありますけれども,現状で,やっぱり非常に市町村によって格差が出てきているということなんです。要するに電子端末,タブレットであろうが何であろうがいいんですけれども,それを,ある程度財力のある市町村は配っているんですね。だけど,ないところは用意できないわけで。そういう状態について,これは文科省の管轄じゃないかもしれませんけれども,最終的にそういうものが学校に配置される見通しについて,どうなのかということの条件整備が,私は非常に大事だと思うんですね。
最終的には,私は一人一人の子供がそういう端末を持てなければ,何か深い学びだとか,対話的な学びだとか,いろいろ主体的な学びだとかと書いてあるんですけれども,教室に1つあればいいとか,学校に40台あればいいとか,そういう話では,絵に描いた餅というか,だと思うんですが。その条件整備の見通しというのは,どのぐらいあるのかと。
そういう極端な話,タブレットが各学校に,あるいは配れないのであれば,中学生以上であれば,ほとんどの子が持っているスマートフォンというものがあるわけですよね。だから,ああいうものを活用できるような方向というのは考えていらっしゃるんでしょうか。
だから,極端な話を言うと,今の技術をもってすれば,スマートフォンの中に英語のテキストの音声というのは全部入れること可能だと思うんですよね。デジタル教科書なんかを別に作らなくても,小・中学校の教科書に書いてあるような本文と,それを誰かが発音したもののデータなんていうのは簡単に入るはずだと思うんですけれども,そういうことの条件整備を考えないで,こういうICTをどうこうこうというのは,何ていうか全然,絵に描いた餅というか,その辺の見通しはどう……。
【松本主査代理】  それは室長に対する御質問でよろしいですか。
【松川委員】  はい。
【圓入室長】  英語教育の在り方に関する有識者会議で御議論いただいたときの5つの改革でございますときには,4つ目の教科書・教材についてということだったと思います。こちらについては,別の会議でデジタル教材の検討なども進んでいます。その話もございますけれども,通常であれば,今頂いた御意見と有識者会議で頂いた御意見含めて,こちらの外国語ワーキングでも一応整理をさせていただきたいと思っております。それがどうなるかということについては,学習指導要領の改訂の後に,教科書検定の審議会ございまして,そこに報告をつなげさせていただきたいと考えております。さらに重ねて,今回の外国語ワーキングの中でも御意見を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。
【松本主査代理】  じゃあ,松川委員。
【松川委員】  私,室長を困らせるつもりはないんですけれども。要するに,本日の議論を聞いていても,大枠は全部の教科で統一するとかって,こう話はきれいでいいんですけれども。細かいところは,結局のところ,それぞれの市町村任せ,学校任せという方向性が非常に強いように私は思えるんです。そういうことをやっていると,現状でも,やっぱり市町村間でかなり格差が出ていて,もちろん一人一人の子供の家庭は既に格差があるわけです。それをできるだけなくそうと思って学校教育でやろうとしているのに,アクティブ・ラーニングだとか,ICTだとかという,いいんですけれども,そろわないわけですよ。そろわないのに,どんどん深い学びだとか高度化していくということをやっていくと,ただでさえ今,差が開いているところを,ますます拡大するような方向に行くとしか私には思えないんですけれども。
カリキュラム・マネジメントだとか,アクティブ・ラーニングだとか,分かったような分からないような言葉を使って引っ張っていくのは結構なんですけれども,正直,一人一人の先生方はどう思っているかというと,なかなかつらいところがあるわけです。どこに一番力を注ぐべきかというのは,私はちょっと考え方が違うと思いますね。今既にある格差をできるだけ広がらないようにするためには,どういうことが一番大事かという考えをしていくのが大事で,ICTなんていうのは本当に一番大事なので,既に持てるところと持てないところで差が出ているんですよ。これを更に拡大するような方向で行くということについては,私は本当に反対ですね。承服できません。
【松本主査代理】  かなり強い御意見出ましたけれども,大杉室長,お願いします。
【大杉室長】  アクティブ・ラーニング含め深い学びは,ICTがなければできないという御議論ではないと思います。まさに今回のCAN-DOの在り方含め,外国語教育の改訂が目指している方向性,これをしっかりやっていくことこそが深い学びを実現する,こういうような方向性でなくてはいけないということであろうと思います。
ただ,その中でICTを効果的に活用することによって実現できる部分もあるのではないか。今回御議論いただいているのは,そういう中で,そのICTの効果的な活用,ただ漫然と機器を子供たちに使わせるということではなくて,外国語教育の目指している方向性とそぐうICTの活用の在り方を,このワーキングで御議論いただくということであろうと思います。
一方で,松川先生御指摘のとおり,その機器が整備されるのか,あるいは子供たちの諸環境,貧困の格差の問題も含めて,これはしっかり手当をしていかなければいけない。ここはなかなか,中教審の教育課程部会のもとのこのワーキングの中だけでは議論し切れない部分ではありますけれども,教育課程部会としてしっかりとメッセージを発していくということはできる。諮問の中に条件整備の在り方も含めて御議論くださいということは,そういうことでありますので,なかなか国だけでできる部分ばかりではない。地方自治体に頑張って予算措置をしていただかなければいけない部分ということも含めて,しっかりと併せてメッセージを発していけるように。
そういう意味ではICTがあることを当然として,若しくは格差がないようなことを当然として議論するのではなくて,御指摘のような部分も含めて考えたときに,どういう在り方が望ましいかという御意見を是非賜れればありがたいと思っております。ありがとうございます。
【松本主査代理】  ありがとうございます。ほかに御意見,御質問等ございますか。どうぞ,渡部先生。
【渡部委員】  自分も教えるときにICTはなくてはならないもので,ずっと使っておりまして,特に英語を教えるときのICTの活用のこの可能性というのは非常に大きくて,是非,全ての市町の子供たちが同じ条件で使えるような整備を進めていただきたいなと思っているところなんですが。今,仕方ないかもしれませんけど,ICTの研究というのは,例えば総務省であったりとか,学びのイノベーションだったりとか,ああいう形で進めています。
ある授業なんかの話を聞いたり見たりしたときに気になったのは,ICTの使い方の研究になってしまっているという。つまり英語教育の研究ではなくて,ICTの方法論の話が多くて。ICTの推進とか研究を進めていく上では,教科ベースで考えていかないと,一くくりでICTをくくって指定校などで実施してしまうのはどうかと思います。
例えば今,具体的な例を挙げていけないかもしれませんけど。この例として示されている英語の指導案なんかがありますが,例えば単元の目標の設定等,これ本当にこれで英語の指導案として,この単元の目標はいいんですかというところも出てきますよね。やはり英語教育をどうするかというところで具体的に何をICTでできるのかという話をしていかなきゃいけないのかなと。
各教科についてのICTの活用方法がまとめられていますが。だから,これ,もっともっと英語に特化した可能性について掘り下げていくといいのかなということを感じました。
【松本主査代理】  投野委員,どうぞ。
【投野委員】  ICTの活用の資料を見ると,外国語教育として特にそれが有効だと思われるような観点というと,インプット全体に,授業で接している以外のインプットを,そのICT的に増やす。それから,マルチメディアなので,いろいろなメディアを通して4技能のいろんな側面を触れるということ。それから,タスクを実行するときの媒体として,いろんな情報をとってこれるみたいな,そういう部分が強調されていると思うんですね。
ただ,先ほどの公平かどうかという議論は置いておくとして,今後の活用を考えるときには,私は学習プロセスのモニタリングということについて,ICTはちゃんと位置付けをするべきだと思っています。
つまり,今後のICTは,例えば先ほどのCAN-DOリストみたいなのが整備されたらば,CAN-DOリストというのは細かいところまで行くと,特定のパフォーマンスをするための語彙や文法みたいなものが,ちょうど入ってくるんですね。そうすると,そういう語彙や文法などを身に付けるのは,日本では,アメリカ風なイマージョン系のものでは時間が足りないので。ですから当然,個別の語彙や文法の仕込みの時間というのは必要なんです。
ところが,それは,やってはみせるけれども時間数が足りないから,余りちゃんとはできていないんですね。こういうところを,やはりICT的に手当するというのは非常に重要だと,僕個人は思っています。
そういうものというのは個別化できるし,個別のドリルとかそういうものをたくさんやる方がいいんですね。どのぐらいやったかとか,あるいはやった結果,簡単にチェックしてできているかみたいなことは,ICTで全部チェックできるんです。こういうものをモニタリングするようなことを個別の生徒に関してできると,そういう側面のものをもっと考えていって,そういうものが準備できている子がパフォーマンスをすると,どんなふうにいいかということを,因果関係を見ていくような,そういうことをちゃんとやる方がいいと思います。
そういうことができていくと,例えば『Hi,friends!』とかを小学校に入れて改訂して,単元ごとにいろんな教材を作ったときに,1時間はやってみる活動だけれども,短時間学習の方はICTをかませるとすれば,ICTでそういう表現などを,CAN-DOのチャンクを習うとかというようなことをやった場合に,どんな効果があるのかみたいなことを,学習プロセスの検証をしていくようなことができます。
そういう視点とかも今後は入れていかないと,単純に情報をとってくるというだけのメディアとして見ているというのは,余りにICTはもったいないと思いますね。ですので,そういうふうにデータマイニング的な発想をちょっと持っていくというのは必要だと思います。
【松本主査代理】  ありがとうございます。
それでは,そろそろお時間になってしまいましたので,本日の議長として,今回取り上げた4つのポイントについて簡単にまとめさせていただきますと,まず1点目,小学校の英語教育の在り方について御議論いただきました。特に時間の確保について,これから各学校のカリキュラム・マネジメントに負うところが大きいというようなお話がありました。学校,地域の事情が違うということがポイントになっておりますけれども,ただ単に各学校に投げるということではなくて,大杉室長から御説明ありましたように,これから国,教育委員会,現場及び関係団体が連携して調査研究して,その結果を活用していくということ。それから教科書の在り方とかICTの活用について,28年度に検証して29年度に開発して30年度に配付するような工程スケジュールが出ているということを,皆さん御確認いただければと思います。
それからコミュニケーション能力ということについての定義についても,これまでの委員会のものが提示されて確認されましたので,これから,その定義にのっとって,各教科がどのようにコミュニケーション能力を開発していくのかが検討される模様だということですね。
2点目の英語以外の外国語教育については,これを推進していくことについては皆さん反対意見ございませんでしたので,是非その方向でということですけれども,問題となるのは指導者の確保と。特に地方においては,それが重要な問題,課題になっているということで,教員養成のシステムとか教員確保のシステムについて御検討いただきたいということだったと思います。
それから3点目の評価の観点については,これまでの4観点を3観点に全教科はめ込んでいくということについて現場の戸惑いがある。それにどう対応していったらいいのかということについて話をしていただきました。
特に外国語という教育という独自性を考えたときに,これをどう整理していくのかということについては意見が,今回はまとまっておりませんけれども,1点,外国語教育あるいは生徒の学習プロセスを考えたときに,指標形式の目標を是非何らかの形で明確に提示していただきたいという御意見が多かったと思います。
それから4点目,今のICTの活用についてです。これは活用することについて反対される方はいらっしゃらなかったと思いますが,効果的な活用の在り方について,教科ベースの研究をしていただきたいということと,もちろん地域ごと,市町村ごとに格差が拡大しないように,現状の誰でも持っているようなスマートフォンというようなことも活用しつつ開発をしていただけないかという御意見。それから,ICTは,ただ単に情報を収集したり,練習の相手ということだけではなくて,一人一人の子供がどういう学習をしているか,あるいはどういう学びが起きているかという学習プロセスのモニタリングとして活用するべきであるというような御意見,頂いたかと思います。
以上,皆さんの御協力によって奇跡的に時間内に終わりそうなので,最後,事務局の方にバトンタッチしたいと思います。次回の会議等の説明をしていただきたいと思います。
【圓入室長】  ありがとうございます。資料9を御覧いただければと思います。次回,第8回でございますが,4月26日火曜日の10時から12時で,場所が3F1会議室になっております。
今,最終的に調整をさせていただいておりますけれども,次々回,第9回は5月ということで,一通り,まだ抽象度が高い議論も多かったと思いますが,全体を一度見渡して,足りないところ,もう少し他教科等の進み方なども含めながら全体を御議論いただく必要があるようなことがありましたら,この4月,5月で最終的に一旦まとめにしていただくような形を用意させていただきたいと考えております。引き続き,御意見も頂ければというところがございます。特に指標形式の目標の提示は前からございますけれども,本日も御意見頂いてはおりますが,その位置付けの在り方,学習プロセスとの関係をどのように整理すればいいのかということなども,まだ御議論いただくと思います。後日,御意見ございましたらメールや,お電話でも結構ですけれども,お寄せいただければと思います。
以上でございます。
【松本主査代理】  ありがとうございました。それでは今,室長からお話ありましたように,もしきょう言い足りなかったことがありましたら,ファクス又はメールで事務局にお伝えいただければと思います。
それでは,本日の第7回会議,これにて終了させていただきます。ありがとうございました。
―― 了 ――

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