教育課程部会 外国語ワーキンググループ(第6回) 議事録

1.日時

平成28年2月23日火曜日10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省15F特別会議室

3.議題

  1. 外国語教育の改善充実について
  2. その他

4.議事録

<未定稿>
【吉田主査】  それでは,定刻になりましたので,ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会外国語ワーキンググループの第6回の会議を開催したいと思います。
本日は,外国語教育における指導改善,学習評価を中心とした御議論を頂く予定でいます。
その前に,まず,事務局より資料の確認後,中学3年生,高校3年生の英語力調査の速報の結果について,また,本日の御議論のための参考資料及び総則・評価部会における学習評価の改善に関する主な論点案等について御説明を頂きたいと思います。
次に,それに引き続きまして,江原委員より,高等学校の指導評価の現状と改善の方向性について,そして平岡委員より,小学校の外国語活動,英語科の評価について御意見発表を頂き,その後,皆さんの御議論を頂く予定でいます。
最後に,本ワーキンググループの論点にも挙がっている英語以外の外国語についても御意見を頂く予定でおります。
それではまず,事務局より資料の確認をお願いいたします。
【圓入室長】  それでは,お手元の資料の御確認をお願いしたいと思います。議事次第を御覧いただければと思います。
資料1は,これは前回までの主な意見ということで配らせていただいております。
資料2が,これは第1回目から同じものを配らせていただいておりますが,2ページ目の,小・中・高等学校の学習評価の在り方と英語以外の外国語の扱いということに議論をスタートさせていただきたいということで,配らせていただいております。
資料3は,中3,高3生の英語力調査速報でございますけれども,概要を配らせていただいております。こちらも後ほどの議論で御参考にということでございます。
それから資料4は,本日御発表いただく江原委員からの御提供いただいている資料でございます。なお,参考として,その次の資料として,SGH(スーパー・グローバル・ハイスクール)の取組事例なども配らせていただいております。
その次に,資料5でございますが,本日御発表いただく平岡委員からの資料でございます。その関係といたしまして,事務局の方で御用意させていただいたのは,広島県の具体的な取組を配らせていただいております。
資料6-1,6-2につきましては,総則・評価部会の今現在御議論をされている主な論点,それから学習評価に関する主な論点,それから参考資料ということで,後ほど教育課程課の大杉室長から少し概略を御説明いただく予定となっております。
資料7は,本日,御議論いただくための指導と評価の改善についてということでの資料を御用意させていただいております。
資料8は,英語以外の外国語教育ということで,現状などの資料をお配りしております。
資料9は,今後のスケジュールということで,1枚配付させていただいております。
それから,委員の先生方に,机上ということになってしまいますが,以前もお配りはしているんですけれども,こちらの外国語ワーキンググループで一旦おまとめいただいた,1月12日の時点でおまとめいただいた外国語ワーキンググループにおける検討事項に関するこれまでの主な意見,先日,小学校部会第3回が開かれまして,第1回が1月20日でございますけれども,1月20日と,それから先日の2月22日にかけて,御説明とともに,いろいろな御意見を頂いております御報告としてお配りしております。
資料がもう1つありますが,これは22日の小学校部会の資料ですけれども,学習指導要領の改訂の内容だけではなくて,例えば,それに伴いまして必要な教材,指導体制の強化ということで,御説明させていただいて,小学校部会,先日も教材,それから指導者の養成,研修,教材の整備などなど,様々な御意見を頂いているところでございます。そのほか,拠点事業の事例集ということで,小・中・高おまとめさせていただいたものも机上に配付させていただいております。
こちらにつきましては,小学校部会,まだ3月にも開催が予定されておりまして,議論をされたものがまとまっていくという形になっていると伺っておりますが,また適宜,御報告などをさせていただきたいと思います。
本日お配りしている資料でございますけれども,次回3月22日ということで御案内しているかと思いますが,本日と次回にわたって指導改善と学習評価の在り方について御議論を頂ければと思っております。
以上でございます。
【吉田主査】  どうもありがとうございました。
資料で不足の分ございますか。大丈夫でしょうか。
それでは,まず,中学校・高等学校の外国語教育における指導改善,学習評価の議論に入る前に,先日公表されました中学3年生,高校3年生の英語力調査速報について,事務局より説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【圓入室長】  それでは,お手元の資料を御覧いただければと思います。資料3ということで,高校と中学校3年生の速報でございます。こちらにつきましては報道もございましたので,御存じの方もいらっしゃるかと思いますが,高校につきましては今年2年目ということで,経年比較という形になっております。
1ページ目は調査の目的です。今回フィージビリティ調査ということで,全国無作為で行ったものです。
2ページ目,3ページ目,4ページ目の方を御覧いただきますと,高校につきましては,総論のところをまず御覧いただければと思いますが,全て4技能につきまして依然として課題があると。それからCEFR,A1レベルの人数が減少ということと,A2レベル以上が増加しているということもございまして,昨年度に比べましたら,ポイントも見ていただければと思いますけれども,英語力の向上は見られる。
それから,書くことにつきましては,得点者全体が80%ということで,無得点者の割合が減少している。ポイントを見ますとかなり増加しているので,まだまだというところもありますけれども,改善が図られたのではないかということで,5ページの方も御覧いただきますと,経年の比較というものがございますので,適宜御参照いただければと思います。
また,18ページ以降に事例を付けさせていただいておりますけれども,特色がある学校を取り上げますと,例えば4番目の丸3,パフォーマンス評価などを学校で組織的に共有しながら行っておられる。教材開発も行っているということで,指導改善につながっている例ということを取り上げさせていただいております。
続きまして,中学校3年生の方,こちらの方は本年度初めてということでございますけれども,1ページ,2ページ目を御覧いただければと思います。4技能全てにおいて課題がある。それから,国の目標はCEFR,A1上位相当レベルということにさせていただいておりますが,達成する生徒の割合は,読む,書く,話すと4技能でバランスよく育成されていない。特に書くことの得点者につきましては,A1上位の割合が43.2と高いが,一方で無得点者が12.6%など,全体にばらつきがあるということでございまして,4ページの方を御覧いただきますと,中学校におきましてもこのような状況であるというデータを付けさせていただいています。
高校と同じように,本日の御議論の御参考といたしまして,その後のデータも適宜御参照いただければと思いますけれども,基本的に活動を行っているところは比較的スコアが高いという相関が見られるというような結果が出ておりますが,教員の先生方の意識の面で見ますと,まだまだであるということと,生徒さんと比べますと,意識にずれがあるというようなことが出ておりました。
12ページ以降に事例がございまして,こちらにつきましても,特に特色がある事例というのを付けさせていただいておりますが,共通項的なところを4番目で取組の内容を挙げておりますけれども,様々な工夫を行っている。目標を設定して,それに準拠した形での,例えばパフォーマンス評価を取り入れた適切な評価を行って,指導改善につなげているというような事例というところでございましたので,本日の御参考にしていただければと思っております。
以上でございます。
【吉田主査】  ありがとうございました。これにつきましては,後ほどの議論の中で皆さん随時参照していただければというふうに思います。
それでは続きまして,事務局より,資料6に基づき,総則・評価特別部会における学習評価の改善に関する主な論点(案)等,資料について御説明を頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。
【大杉室長】  失礼いたします。それでは資料の6-1,それから資料7をお手元に出していただければと思います。
学習評価に関しましては,実はあした総則・評価特別部会開催されまして,各教科別ワーキングにお伝えする全体的な事項を,あす,おまとめいただきまして,おつなぎさせていただく予定でございますけれども,少し先立ちまして,総則・評価の議論の状況を御紹介させていただき,本日の御議論にお役立ていただきたいというふうに考えているところであります。
資料6-1は,そういう意味では,2月23日のものになりますけれども,方向性を少し補足するような形で御説明をさせていただきたいというふうに存じます。
6-1の1ポツでございます。育成すべき資質・能力と学習評価の在り方についてということで,1つ目の丸の括弧の中に目標に準拠した評価のさらなる実質化ということでございます。現行指導要領下におきましても,目標に準拠した評価ということで実施をしていただいておりますけれども,これを教育目標の構造と学習評価の在り方をより一体的に検討することで,さらなる実質化を図っていきたいということでございます。
具体的には,現在,こちらのワーキングにおきましても資質・能力の3つの柱に基づく検討を進めていただいておりますけれども,この3つの柱に基づく教育目標の構造ということと観点別評価を含めて評価の在り方ということを一体化させていくということでございます。
より具体的に,観点別評価と個人内評価とございますけれども,観点別評価の在り方については2ポツで少し詳しく説明をさせていただきます。
また,個人内評価は,特に資質・能力の3つの柱の3つ目,ジョウイ態度に関わるもの,これは観点別評価で捉えられる部分もございますし,一方,個人内評価として,進捗,一人一人のよさを捉えるといった形で評価することがふさわしい部分もあるかと存じます。そういう意味では,3つ目の学びに向かう力,人間性の部分は,観点別評価と個人内評価をうまく両方使いながら,その伸びを支援していくというようなことが必要であろうかということでございます。
また,そういうやり方を踏まえまして,指導要録の在り方も専門的に検討していくということ。また,現在,指導要領,解説,報告,通知,国研の参考資料と,いろいろな評価の資料が出ておりまして,なかなか全体像を捉えにくいというようなこともございますけれども,特に英語はCAN-DOの在り方ということとも密接に絡んでこようかと思いますけれども,こうした在り方を少し分かりやすく整理していけるように,総則・評価部会でも検討いただいているところでございます。
2ポツの観点別評価の在り方についてでございます。これにつきましては,資料7に特別部会の論点整理の抜粋を載せていただいておりますので,少し御覧いただければというふうに存じますけれども,学習評価の在り方についてということで,資料7を1枚おめくりいただきますと,裏面から始まってございます。学習評価の基本的な考え方ということと,3つの観点ということでございます。
現行,4つの観点でございますけれども,これも実は学教法30条2項に定める学力の3要素ということで,元はその3要素から派生している4つの観点ということでございますけれども,今回,資質・能力につきましても3つの柱で整理されたということを踏まえまして,より3観点ということに沿った整理を検討していただきたいということが論点整理の方向性でございます。そして,その観点と目標の在り方ということを表裏一体のものとして御検討いただきたいということでございます。
資料6-1に戻っていただきますと,同じことが記されてございますけれども,現行の4観点,元は3観点ということで,要素としては3つ,これをさらに分かりやすく整理していく必要があるのではないかということでございます。
ここに共通的な考え方の整理,これをまさに明日の総則・評価部会において整理をさせていただく予定でございます。
資料6-1,1枚おめくりいただきまして,裏面でございます。3つの観点で整理することについて考えられるメリットということでございます。昨日,小学校部会におきましても,全ての教科等別ワーキングの検討状況,特に3つの柱に基づく資質・能力の整理ということを御覧いただきましたけれども,小学校部会におきましても,各教科が共通の視点で構造的に整理をされるということについて,各教科等別ワーキングの熱心な御議論に感謝の言葉が述べられますとともに,是非,こういった構造化の方向で進めていただきたいと,オオケツの視点ということについて評価を頂いたところでございますけれども,そうした共通の整理ということで,教科・校種を超えた改善の視点ということが明確になる組織的な取組が行いやすくなるということに加えまして,教員の負担軽減でありますとか3要素のバランスということが実現できるというようなメリットがあるところでございます。
一方で,現在,教科の特性で,表現というものと,例えば体育,音楽の表現ということ,表現の活動ということと,思考・判断したものを表現するということの違いということがまだまだ明確にし切れていないものがあるということでありますとか,言語系教科,芸術系教科におきまして,思考・判断・表現と技術というものがなかなか切り分けにくいというようなものでありますとか,保健分野においては技能が示されていないということや,知識というものを示していない教科があるというようなこと,対応する観点が示されていないものなどがあるところでございます。これら教科の特性について一つ一つお話をお伺いしているところでございますけれども,3つの観点というのがばらばらになってしまうことへの危惧というものが大変強いということでございます。
これにつきましては,3つの観点をそれぞれしっかり視点としては別々に押さえつつも,これらがばらばらに育成されるのではなくて,総合的にはぐくまれていくものであるということは,総則などでしっかりと整理していく必要があるというふうに考えてございます。
つまり,総則においてそれらの3つの観点,3つの資質・能力の関係性,これらが学びのプロセスの中で総合的にはぐくまれていく,相互に関連し合いながらはぐくまれていくということを押さえながらも,観点としてはそれぞれをしっかり押さえる形で整理をしていただく。そういうような方向性で考えていただくというような方向性ではないかというふうに考えているところでございます。
また,知識につきましては,単なる事実的知識のみならず,構造化された概念的な知識の獲得に向かうという視点をしっかり持っていくということ,思考・判断・表現につきましては,パフォーマンス評価なども含めて,それを見取りやすいような指導と評価ということを考えていく必要があるということ。
また,主体的な学習に取り組む態度,現行の関心・意欲・態度の評価ですと,学習マインドの診断的評価によってのみ見ていたり,あるいは挙手の回数でありますとか,ノートの取り方がきれいかどうかといったような表面的な活動で見ていたりということもございますので,これを主体的に学習に取り組む態度として,学習の中での見通し,振り返りの活動を通じて,子供の知識・技能の獲得,あるいは思考・判断・表現をしようとしているかどうかということをしっかりと見取っていくというものとして御説明をしていきたいというようなことでございます。
それから,学習評価の質を高めていくためにということで,これはカリキュラム・マネジメントと一体的に行うということ,また,全ての授業一つ一つにおいてこの3観点を全て見取っていくというのではなくて,単元の組み立ての中で評価の場面を設計していく必要があるということ。また,診断的評価,形成的評価,総括的評価ということの意義を踏まえながら行っていく必要があるということ。多様な学習活動や学習成果の評価についての在り方を考える必要があるということ。アクティブ・ラーニングのプロセスの中で見取っていく必要があるということ。また,先生方の研修の在り方でありますとかICTの活用,こういったことについても引き続き総則・評価部会で議論をしていただきたいというふうに考えているところでございます。
また,最後,学習評価の意義ということを改めてということでございますけれども,子供たちに主体的に学びに取り組む態度,メタ認知をはぐくむために,その学習評価ということが重要であるということの意義の再確認,また指導要録のみならず,何らかの形で子供一人一人がみずからの学習状況やキャリア実現を見通し,振り返ることができるようにするための仕組みの在り方というものも併せて御議論を頂いているということでございますので,議論の状況を紹介させていただきました。ありがとうございます。
【吉田主査】  どうもありがとうございます。これをかなりベースにしながら,きょう,評価について考えていくことになると思いますけれども,今の御報告について何か御質問とかおありの方はございますか。
よろしいでしょうか。それじゃ,後の議論の中でまたいろいろお出しいただければと思います。
続きまして,事務局から資料7に基づき,指導改善,学習指導の在り方についての御説明を頂きたいと思います。
【圓入室長】  それでは,大杉室長の御説明に続けまして,外国語ワーキングとしてのこれまでの経緯と事例などの参考資料を御紹介したいと思います。
資料7を御覧いただければと思いますが,1ページ,2ページ,それから3ページのパワーポイントの絵がありますけれども,4ページにわたりまして,昨年27年8月の中教審の論点整理の資料でございますので,適宜御参照いただければと思います。
資料2の方でも御案内いたしましたように,本日の論点を明確にさせていただきたいと思いますけれども,観点別評価の4つの観点から3つにということに対して,こちらのワーキングでも御議論いただくということ。それから,外国語ワーキングとしては,国の指標形式の目標というものを打ち出させて,議論いただいているところでございますけれども,そういった各学校段階で学習到達目標をこれから策定される場合との関係性ということ。それから,多様な評価方法をということで,先ほど御説明ございましたけれども,今現在,小学校でも英語教育の拠点授業の中では研究開発としてパフォーマンス評価など,多様な評価ということで取組を今始めていただいているという状況でございますので,その中からどのような御意見が出てきているかということをちょっと御紹介もしたいと思います。
御議論いただくときには,1月12日のこちらのワーキンググループで今まで御議論いただいてきた育成すべき資質・能力の整理ということの表を改めてお配りしております。こういったものを参考にしながら,是非御議論いただければと思いますのと,次のページは,26年の9月にまとめていただきました英語教育の有識者会議の資料を付けさせていただいております。
この当時は中教審がまだ始まっておりませんが,当時からCAN-DOとの関係性をどうするか,関心・意欲・態度の評価をどうするかという議論がございまして,この資料の下の段の箱の中の下段のパラグラフを御覧いただければと思いますけれども,観点別学習状況の評価における関心・意欲・態度につきましては,これは現行ということで説明書きしておりますが,他の観点に係る資質や能力の定着に密接に関係する重要な要素であるとされまして,その観点が単元における学習と一体的に評価が行われることが必要とされています。
例えば,能力として評価している,「~できる」という観点につきましては,関心・意欲・態度のときには「~しようとしている」という表現に置き替えて評価を行うことによって,生徒がコミュニケーションへ関心を持ち,自ら主体的に課題に取り組もうとする意欲,態度を身に付けているかどうかをどのように評価するということを,御議論を頂いておりました。
その次のページ以降は有識者会議の抜粋を付けさせていただいておりますが,アンダーラインを引いているところを御覧いただきますと,学習到達目標との関係ということで,例えば(4)のところに,多様な評価というものも,なかなかまだ課題はたくさんありますが,行われている中で,どのような指導と評価の一体的な改善につなげるかどうかという議論が必要ということの御指摘です。
また1ページおめくりいただきますと,中学校・高校の課題というところにも学習到達目標と学習評価の在り方と,最後の頁には,関心・意欲・態度の項目として,「~しようとしている」と表現を置き替えて評価をするというような話ですとか,具体的な評価方法などの提示と,この提示を受けて,例えば今年度でございますけれども,英語教育強化地域拠点事業の中でも取組をしていただいているところでございます。
その例としてお配りしているのが,先ほど資料の御確認のときに御覧いただきました取組の資料です。例えば,6ページ,7ページの研究計画などを御覧いただきますと,カリキュラム開発とともに,評価方法,パフォーマンス課題といったことでお取組をしていただいているという内容が少し触れられております。また,小学校・中学校の年間指導計画というものも添付させていただいております。
小学校につきましては,例えば単元ぐらいの塊で書いておられますけれども,例えば単元名と目標,それからCAN-DOとの関係,モジュール,短時間学習との関係性,それから小学校5年生であれば,外国語活動でこれまでの内容との関係性を計画を立てて,今,実践されているというものがございます。
おめくりいただくと,中学校の例を御覧いただきますと,評価方法も,どのような評価がこの場合は適切かということも年間指導計画の方に例示で書かれております。
こういった取組を今まで拠点事業の資料でも御紹介いたしましたが,机上でお配りしている「小・中・高等学校を通じた英語教育強化に関する取組について」という資料を御覧いただければと思います。
様々な学校の事例というものも紹介しておるものでございますが,例えば6ページ,7ページの方を御覧いただきますと,小学校の取組として,今年度から実質的に始められておりますパフォーマンス評価の」の取組を始めているとのことです。
御意見としても,こういった様々な取組,学級担任の方と専科教員の方での連携を図りながらの評価を実施,例えば,スピーキングテストの内容を,インタビュー,スピーチ,プレゼンテーションというような取組をされているというようなお話でございまして,事例としては,福井県の勝山の小学校の事例も挙げさせていただいておりますが,3,4,5,6年生と様々な工夫をして,新たな評価の取組というものが始められているということでございます。また,今は4観点でやっておられますが,3観点という方向性が出ましたら,そういう方向性もお伝えしながら,来年度以降の取組をしていただくということになろうかと思いますけれども,後ほど江原委員と平岡委員からも御発表ございますが,本日は,そのような取組から現状・課題,それから方向性ということについて是非御議論を頂ければと思います。
以上でございます。
【吉田主査】  どうもありがとうございました。かなりたくさんいろんな資料があるということなので,今すぐどうという質問はないかと思いますが,また後でまた参考にしながら御意見を頂ければと思います。
それでは,引き続きまして,江原委員より,資料4に基づきまして,高等学校の指導評価の現状と改善の方向性について御説明を頂きたいと思います。よろしくお願いします。
【江原委員】  よろしくお願いいたします。15分間,これから私,お話しさせていただきますけれども,忘れないうちに,一番申し上げたいことは,いろいろ私たちが議論していたり,いろんな部会で話されていることが現場にうまく伝わればいいなというような気持ちで話させていただきます。たたき台としてお使いいただければと思います。3つの質問に対する回答ということでお話しいたします。1番目は,これまでの論点整理,これまでのワーキンググループでの議論を踏まえて,改善方策は何か。それから2番目は,私は神奈川県で教員研修を担当しているものですから,そういった状況を踏まえて,高等学校の英語の先生の現状と課題,どういうものがあるのか,それから最後に,ここが私のお話のメーンなんですけれども,今後どうすればよいのかということでまとめてみました。
スライドの3,4,5は一括して御説明したいと思います。これまでのワーキンググループの議論とか,主に27年度の英語力調査の結果を踏まえて,何が分かったか。一言で申しますと,スライド3については,一番下にありますように,英語でできることを考えることじゃないか。
それからスライドの4でございますが,特色ある,先ほども紹介ありましたけど,学習調査の結果が非常に顕著によいという学校の取組に共通することとして,考えながら英語を使う活動がなされているということじゃないか,それから,そういう学校というのは学校環境もきちんとしている。例えば,スクールカラーとして,みんなこの学校の生徒は間違いを恐れずに発表するんだよという,隠れたカリキュラムといいますか,そういうものがある。すなわち,英語を使う環境を作る,こういうことが大事なんじゃないかなということでございます。
次でございますけれども,今までのは全国的なレベルでのお話,これから数分は神奈川県で,神奈川県の中でも1つのケースなんですけれども,25人ぐらい,来年からはちょっと少なくするんですけれども,神奈川県で将来リーダーになってほしいというような先生方が私たちの組織に来ていただいて,年間1年間,通いは9日なんですけど,半日ずつ前期と後期に授業訪問がありますので,10日ということの研修をやっておりまして,その研修の中でちょっと調査をしたんですね。26年度の調査なんですけど,それに基づいて,一体高校の現場では何が起きているのかというような赤裸々な事実をちょっとお話ししたいと思います。
この図は,私たちの理想像は,研修の内容が先生に伝わり,それが生徒に伝わる。世の中そんな甘くありませんで,そのギャップがあるわけですね。それは下にありますように,いろんな社会文化的な文脈の影響を受けるから,これに書き切れないぐらいもっとあるんですけれども,ということで,何が分かったかということで,次のスライドでございます。
プリントを見ていただくと,上と下と比較できますので,併せて御覧いただきたいんですけれど,これは何かと申しますと,6月と11月に研修参加者の先生方の授業に手分けして行きまして,観察シートを使って,いろいろチェックをするんですが,その1つに,どういう活動に何分授業時間を使ったかというのがありまして,このグラフは非常に大ざっぱで,研究発表でこんなことをすると怒られそうなんですけれども,25人を1つの集団として,50分の授業もあれば,70分の授業もあるんですけど,その全部の25掛ける授業時間を100としたときに,特定の活動に何%使われていたかという棒グラフなんですね。
前期6月の場合には大体こんな感じだったと。研修後半の11月にはどうなったかということで,こんな感じなんですね。では,棒グラフだけから見られることとしては,語彙とか文法がかなり時間を費やしていたのがちょっと減り,その分,Sというのはスピーキングなんですが,生徒が話したり,あるいはインターアクションしたり,ペアワークですね,そういう時間が増えている。
そして,ライティングというのが増えている。これは当然,研修でそういうのをやりましょうと言っていますから,これぐらい増えてくれないと困るのですけれども,こうなっている。
ただ,量的調査では分からないことが隠されておりまして,例えば,リーズィングなんですけれど,前後,上と下を先生方のプリントで見ていただくと余り変わらないんだけれども,質的には,例えば,今までは割と解説中心だったのが,ワークシートを使って論理構成を説明するようにしたりとか,リーディングの前にプレリーディングの質問,対極的な質問をしたりとか,生徒のスキーマとか予備知識を喚起するような活動をしたりとか,質的には変わっている。ただ,この棒グラフだけからは見えない。
それから今度,逆に,フルーエンシー(流暢さ)についての指導もしているなというのは見えるんですがた,実はほとんどが音読です。本来,流暢さというのは音読を入れるべきかという議論もありますよね。音読は違うだろうと。本来,流暢さというのは,例えば,リハーサルをして何回か同じことをするとか,あるいは即興的にペアワークをしたりとか,自分の考えを即座に発表したりとか,そういうのが本来の流暢さにつながると思うんですけれども,実際には音読とか,割とメカニカルなものが多かったというのがあります。
ただ,全体的に見ると,研修でやりましょうといったことをまじめな先生方が頑張ってやってくださっているということになっています。
1つだけ,授業観察をしていて感じるのは,やっぱり壁があるんですね。どの壁かというと,先生が自然に英語を話して,生徒とやり取りをして,生徒が発言したことを取り上げて話を転がしていく,それはかなりのやはり力量が必要な能力じゃないかなと思って,ただ,今後,グローバル人材ということで今議論されているには,そういった力量が必要になってくるのではないかな,生徒もそういう授業になれていく必要があるんじゃないかなと思いました。
次のスライドですけれども,次の2枚のスライドは,今申し上げたことにも関係しているんですけれども,自己評価ですから,本当にそうなのという議論はありますが,自己評価のアンケート,5月と1月,研修最終日に取った結果だと,やはり先生方は自分の英語力についても,研修でディベートとかやっていましたから,スピーキング,ライティング能力は自信が付いた,伸びたとおっしゃっているし,授業でも今までオーラルインターアクションやったことがなかったのにやってみたとか,ペアワークをやってみたら生徒が楽しそうだったとか,あるいは生徒の伸びの実感ですよね。これはテストの結果ではないので,客観的ではないんですけれども,ライティングをやってみたら生徒はできるようになってきた。これは当然なんですよね。今までゼロだったものがプラスになっているわけですから,できるようになっている。
多くの先生方が,無理だと思ったけど,やったら楽しくやって,生徒は実力が上がっている,ですから,ちょっとの勇気で随分変わるんだなというのが先生方の声からも分かってきます。
ということで,次のページ,6ページでございますけれども,非常に稚拙な図で恐縮なんですが,この研修,今年で5年を終わるんですけど,大体こういった図柄だなというような図なんですが,例えば研修提案があります。研修をしたり,指導要領に書いてあることはこうですよと指導主事の先生がおっしゃったりします。そうすると,まじめな先生は,よし,やってみようと思うわけですね。ただ,大抵それは活動レベルの授業改善で,ペアワークで即興でやらせてみよう,やってみようとやるわけです。
で,ここからが運命の別れ道で,うまくいくと,それが学校全体,最初は英語科ですよね,英語科全体でそういう取組になってうまくいくということなんですが,いろいろと障害がありまして,例えば誤解。例えば誤解の1つ,アクティブ・ラーニングだ,ペアワークだ,グループワークだ,とりあえずやる。でも,例えば,ペアワークがお互いに音読し合うとか,そういうものだったとする。音読自体は悪いことじゃないと思うんですが,とりあえずやらせる。でも,何のためにやるのか,先生も生徒も分かっていないというと,マンネリ化して,だんだんつまんなくなりますよね。そうすると先生も,何か効果ないな,時間だけ食うな,ペアワークはペアになるのに時間かかるしというと,振り出しに戻る。こういうようなこともままあります。
うまくいけば,先生方が,3人ぐらいリーダーがいるといいなというのは経験則であるんですが,学校の英語科の中で10人中3人ぐらいがスレシホールドかなというのがあるんですけど,そうすると,その先生方が英語力の中身について正しい理解を持っている,そして自分でもそれに基づいて教えて,成功体験がある。そうすると大体仲間に伝わっていく。
ただ,阻害要因がありまして,例えば,まじめにやっている先生に「この学校は受験中心なんだから,3年は教えなくていい」と言われる話などもあります。あるいは,一生懸命やっているのに先輩の先生が「おまえ何やっているんだ。そんなだから成績伸びないんだ」。当然,その先生がおやりになっていることを反映したテストじゃないから,そんなに伸びるわけない。当然のことなんですよね。というようなことが起きている。
正しい理解というのは,実は,うまく現場に伝えるために,2つの要素が必要だと思っていて,先生方にカリキュラムレベルの知識,これはシラバスの改善のために必要なんですけど,ここに書かれていない,実は言語習得とか言語を学ぶプロセスについての知識がないと,あるいは実体験に基づいた知識がないと,なかなかプロセスの指導ができないんですね。
例えばスピーキングといったときに,よくあるのは,よし,単元計画でスピーキングがあるから,じゃ,来週スピーキングテストやるぞと言って,それまで指導があるかというと,余りない。でも,スピーキングというのは,簡単なスピーキングを取ってみても,私だって何年も英語をやっていますけど,例えば,ぱっとしゃべるときに,きょうの日本語でも,まずプランをする。一番思っていることを正しく分かりやすく伝えるために言語を乗せていくという,言語化というのがあります。それを言語化したら,今度は舌をかまないでしゃべるという発話というのがあります。発話しながら,自分が不適切なことを言っていないか,モニターしなければいけない,相当能力を使うんですね。
今,日本の英語教育では,しゃべるということについて非常に格が低い。書かれていることについて格式が高くて正しい,しゃべっている人間は余りちゃんと知らないんじゃないかという。これもこういうことを言っていいのか分からないですけど,英語をALTと話していたら,学校で「江原君は多分英語はしゃべれるけど,文法はできない」。と言われました。そんなことはないんです。文法を一生懸命,私,勉強しました。通信添削もやりましたし,大学に入るのに浪人して勉強しましたので,頑張りましたということで,余計な話ですね。時間が大分過ぎてしまいましたけれども,こういう状態があるので,こういうことを理解しながら,できれば改善提案ができてくるといいなということでございます。
そこで今後の方向性でございますけれども,大きく分けて4点についてお話ししたいと思います。このスライドについては説明しませんけれども,この4点についてちょっと触れていきたいと思います。
次のスライドです。CAN-DOの扱い。これは,是非,最初の2つに関連するんですが,先生方が分かりやすいように,10時間かけないと理解できないようなものではなく,こういうふうにすればいいんだという大枠が分かり,ここは自分たちの学校の創意工夫が使えるんだということが分かるようなものができるといい。なおかつ,CAN-DOがあって,単元タスクがあって,授業がつながるようなものがあるといいと思っています。
さらに,CAN-DOに基づいて学んでいくと,どういういいことがあるのかというのが生徒にも保護者にも分かるようになるといいなと思っています。例えば,みんながみんなグローバルビジネスで成功しようと思っている生徒ではないと思うんです。僕は日本の伝統文化の技術を継承していきたいという生徒もいると思うんです。そういう生徒もCAN-DOでやっぱり英語できるといいなと思えるようなものでないと,伝わらないというふうに思っています。
次ですけれども,教材,教員,生徒の相互作用ですね。これは主に高等学校の英語で申しますと,科目の構成についての議論になります。今,コミュニケーション英語,それから英語表現については,うまく動き始めていると思いますけれども,まだ課題はある。具体的には,英語表現について文法指導に偏りがち,それからコミュニケーション英語については,先ほど申しましたように,実践レベルでの活動はできているんだけれども,表面的になっているから,本当に生徒の言語習得がなされているか分からない。質問についてもファクチュアルな事実質問が多いから,生徒のクリエーティビティーとか本当に内在化を促進するような質問になっていないということになりますので,今後の方向性,右側ですけれども,高次の思考を促す質問とか技能統合型の促進,これがテキストにうまく出て,そこを避けては通れないような,巻末にエクスプレッションとか,そういうのは飛ばされちゃいますから,そこがメーンになるような形にならなきゃいけない。
それから,論理・表現,これは論理という言葉が難しいなというお話がありまして,私もそう思います。でも,恐らくですよ,論理というのは表現するためのつなぎ,流れというようなものじゃないかと思うんです。ですから,この論理・表現という科目をエリートのためだけの特権じゃなく,いろんなどのレベルの生徒でもこの科目を学ぶことによって,自分の言いたいことが言えるなというようなものになるといいなと思っています。
そのためには,これも議論があったと思うんですが,既習の言語材料の活用をメーンにするようなテキストだといいなと思うんですよね。英語コミュニケーションで文法をやって,そして,じゃ,論理・表現では系統的に文法をやるというのは,何か趣旨が違うのではないかなというふうに思っていますので,これが是非,活動中心型のものになるといいなと思っています。
そのためには,一番下にありますけど,英語学習についての考えがこのテキストを通して,ああ,そうか,英語の学びというのは口頭のやり取りがやはり中心的なんだ,そして発表があったり,的確に聞き取ったり,読み取ったり,目的に応じて作文を書いたり,そのための言語リソースなんだなというのが分かるようにするといいなと思います。
それから,評価の考え方ですけれども,この表で私が最も強調したいのは,重箱の隅を突ついて減点,こういう考え方の方は皆さんいい方なんですよ。でも,こういうことから逃れられない。英作文,いっぱい書いた生徒ほど減点されてしまう。趣旨が違うと思うんですね。
ただ,なかなか,今までの学習経験,それから大学入試センター試験,そういうのをくぐり抜けた方にとってみれば,語彙,文法,英文解釈になってしまう。もっと言えば,今のほぼ多くの大学入試は,語彙,文法,英文解釈,少しの英作文で受かってしまうという現状があるので,何とかしなければいけないなと思っています。
それから,学校文化という阻害要因というのがあります。15分になってしまいましたけれども,一番下にありますが,大学の先生が高校を訪問して,この高校はよい実践をしているといったら,優先的にその高校から生徒を取るとか,そういうことをやっていらっしゃる学校もあるように聞いていますが,それは大事かなと。
ここは要検討ということで,ここで私そろそろ終わらせないといけないんですけど,一番議論になるんですが,私の思いは,せっかく動き出した今の方向をなるべく止めないようにしたい。具体的には,外国語表現の理解,能力というので,これはCAN-DOとつながって一番大事なんだよというのが割と先生方には浸透している。そこでもし3つになるとすると,怒らないでくださいね。単純に考えると,関心・意欲・態度,表現,理解,言語,文化,今のところ4分の2,つまり2分の1がCAN-DOなんですね。これ3つになって,どこかにCAN-DOを入れ込んで3分の1になっちゃうのかなとか,いろいろそういう憶測も飛んでしまうので,うまくCAN-DO,それから観点別を先生方が教えやすい,ああ,こういうことを知っているとプロセスが教えられるんだなというような形で作れるといいな,言うは易しというのは分かっていて申し上げたいと思います。
最後,これは神奈川が誇る横浜国際高校が非常にうまく実践していることの絵なので,本当は詳しく説明したいんですけれども,総合的な学習の時間と英語の指導というのがうまく一体された素晴らしい取組です。ホームページにもいろいろ実践ありますので,もし御覧いただければと思います。こちらについてもスーパー・グローバル・ハイスクールの実践が今後の指導改善の先駆けとなるのではないかと思います。
最後でございます。まとめますと,先生方は頑張って動き始めています。これは研修担当としては分かります。分かっています。なので,それをつなぐ,それを後押しするように,この4つの点がありますけれど,こういうつなぐ力というのを学習指導要領の検討でも英語担当指導主事の方も先生方もみんなで取り組んでいけばいいなというふうに思います。
ちょっとオーバーしてしまって申し訳ありませんが,御清聴ありがとうございました。
【吉田主査】  どうもありがとうございました。
時間は時間なんですが,もし今の江原委員の御発表について御質問のある方おられましたら,少し時間を取りたいと思いますが,いかがでしょうか。これ全部,この後の議論につながっているので,特に,後でまた質問していただいても構わないと思いますが,何かございますか。よろしいでしょうか。
それでは,続きまして平岡委員より,資料5に基づきまして,小学校の外国語活動,英語科の評価について御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【平岡委員】  それでは,失礼いたします。広島県神石高原町立油木小学校の平岡です。本当は江原先生の後で自分の時間が後になるからラッキーだなと思っていたのですが,江原先生の大変お上手な発表の後で,先にした方がよかったかなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
私は,実際に小学校の外国語活動でやっていること,その評価の成果と課題についてまず述べた後,研究開発学校が行っている小学校外国語,教科としてやっておりますその評価の実際と,そのよさと課題について触れた後,最終的に,今後どのような評価を行っていったらいいかなということの方向性についてお話をさせていただきたいと思います。
まず,スライドの方を見ていただけたらと思うのですが,現在の外国語活動の評価は,御存じのとおり,学習指導要領の目標及び具体的な活動等に沿って評価の観点を設定することとし,文章記述による評価を行っています。
そして,評価の観点の設定では,平成22年の通知において例示された外国語活動の評価の観点を参考にして,記録については,観点に照らして,児童がどのような力が付いたかを文章記述することになっています。
では,こちらに,Hi,friends!2のレッスン4について,その指導と評価を例示していきたいと思います。この単元では,示しているのは単元の指導計画ですが,学習指導をして評価を進めるに当たって,それぞれの観点,今は3観点で行っていますが,それぞれの観点について子供たちの達成状況を単元のどこの時間にどうやって見取るかということを示しています。
評価の方法としては,右側に示していますように,行動観察,振り返りカードの点検,振り返りカードの分析,そしてワークシートの点検,これを主な方法としています。具体的にどのようなことかということを簡単に触れていきたいと思います。
まず行動観察です。写真に見えますように,児童の活動する様子を指導者が行動観察することが重要な評価方法となっています。評価基準を基に児童の行動を見取っていっています。
今の観点の1つとして挙げられている気付きについては,発言をしている児童は見取ることができますが,発言をしていない子供は見取ることが授業の中でできないために,振り返りカードで状況を捉えることが大切なポイントとなっています。
では,振り返りカードについてです。この点検についてですが,1単位時間の授業の最後に振り返りカードは書かせています。振り返りカードには,本時の活動の目当てに対しての自己評価,そして振り返りを書いています。授業者の点検では,振り返りカードに書いている児童の自己評価と指導者の見取りに相違がないかという点を見ています。これが点検です。
次に,振り返りカードの分析ですが,授業中,たくさんの子供がいますから,実際の授業の中だけでは見取れない場合,振り返りカードに記載されている児童の内容を分析し,児童の様子を捉えています。外国語活動においては,この振り返りカードというのは指導と評価に大変重要なものであるというふうに考えています。
それで最後,今の評価としての最後です。ワークシートの点検です。こちらに示していますように,授業者がワークシートを作成する場合もあります。また,Hi,friendsに書き込む場合もあります。行動観察の見取りと併せて,ワークシートへの記入の点検をし,実際にコミュニケーション活動が行えていたのかどうかということを見て,児童の様子を捉えています。今後,教科化となると,こうしたワークシートの点検も評価の対象として出てくるかと思います。
それでは,今の外国語活動の評価における成果です。評価の点から今,述べさせていただいています。多様な評価方法で児童の様子を捉え,文章記述をしています。今,御説明したように,いろいろな方法によって評価規準に基づき,しっかりと見取りを行い,授業改善につないでいっているということも1つの成果だと思います。
また,通知表には具体的な児童の姿で記入をしています。そういった点は,今の文章記述による評価のよい点ではないかというふうに考えます。
それでは,課題です。スライドの方を見ていただけたらと思うのですが,これは大まかに通知表を示しています。小学校においては文章記述による評価が大変多いです。外国語活動はもちろんです。総合的な学習の時間もそうです。そして,所見欄として,生活全般,学習も文章で記述をしています。ですので,大変ですね。本校は十数人ですけれども,それでも大変です。これが1クラス38名とかになると,記述をするというところにおいても大変な作業になってくるということはあります。
また,学級担任や学年によって文章内容に大きな差異が見られるといったことも課題として挙げられます。
そこで,今言ったことを解消するために取られている方法として,文章の型を決めるということや,例文を作成して,その中から選ぶという学校もあるというふうに聞いています。それは子供たちのためにと思って,されてはいるのですけれども,その子その子の具体的な様子を見取って,付いた力を文章表現するという本来の目的が,今のような状況では,その子の文章表現を例文の中から探し,合わせてしまうということが起きているのではないかという危惧もあります。これは1つ課題として挙げられます。
また,文章記述のみでは,これは,通信欄は子供にも話しますが,児童にとってどのようなことができるようになったのかといった点が分かりにくいために,次の学習意欲へつながりにくいといったことも課題として挙げられるというふうに考えます。
今までお話ししているのが,外国語活動についての評価の成果と課題です。
それでは,研究開発校における外国語,英語科の評価の実際についてお話をしていきます。こちらにお示ししているのは,その学校の英語科の目標をこのように掲げ,学習を進めていっています。もちろん,外国語活動とは異なって,英語科の目標を示しています。
評価の観点も,先ほどとは違って,4つの観点を評価の観点として挙げている,そこが先ほどと異なる点です。
そして,外国語活動を文章記述で評価をしていましたが,目標に対して観点ごとに評価をし,「十分満足できる」「おおむね満足できる」「努力を要する」の3つの段階,そして評定も3,2,1の3段階の評定を行っています。
少し具体的に,単元ごとの目標と評価基準についてですが,こちらに示している1つの単元を挙げていきます。下の方にありますように,4つの観点で,この単元は外国語理解の能力のところは評価をしない。3つの観点で評価をするというふうな単元になっています。先ほど外国語活動の単元の指導計画も示しましたが,この英語科における単元の指導計画も先ほどと似ていると思います。評価方法も,行動観察,振り返りカード,ワークシートとありますが,大きく異なるのが,エのパフォーマンス評価,これを単元の最後に行っています。
こちらの研究開発学校では各単元の終末にパフォーマンス評価を位置付けています。そして,動画を撮って,評価規準に沿って評価を行っています。単元の終わりにプレゼンテーションの単元もありますし,スピーチでパフォーマンス評価をするところもありますが,授業者が動画を記録したのを基に,授業後に視聴分析するという方法を取っています。
撮影については,教師がする場合と,ここの学校はタブレットを児童に二人に1つずつ用いて,子供相互に撮影をしています。こちらの写真の様子は,授業後に指導者が学級全員分のパフォーマンス動画を視聴し,英語表現の能力を評価しているところです。
それでは,実際のパフォーマンス評価における評価のよさについてです。開発学校の先生から聞いた話ですけれども,パフォーマンス評価を行い,3段階の評価をするためには,A基準とC基準を明らかにする必要があるというふうに言われました。なぜなら,先生方が同じ物差しで評価をすることが大切になってくるからです。
そこで,表現の能力を評価する基準を作成し,そのことで目指す子供像の共通理解が図れるとともに,目標に向けた指導が明確になるといった点がこのパフォーマンス評価のよさとして挙げられます。
さらに,授業の中では,表現するという活動は現れては消えていってしまいますので,そういったものが動画によって記録されるために,イメージや一過性のものではない表現の能力を見取っていくという,そういったよさもあると考えます。
しかし,パフォーマンス評価の課題として挙げられるのは,先ほどこの学校は児童相互に録画すると言いました。動画映像の鮮明さとか声のクリアさも大切なポイントになってきます。そうすると,教師が撮影することになり,一人ずつ撮影を行うということになると,相当な時間が必要となってきます。今,新たに小学校の5~6年生,教科化ということで70時間となりつつありますが,でも,その時間の中でパフォーマンス評価,こういった研究開発校のようなパフォーマンス評価を入れるということになると,時間的に厳しい状況になるかなというふうに考えます。
ですから,どこの単元にこのパフォーマンス評価を入れていくか,それを選択するということが必要になるなというふうに考えます。
それでは,最後にまとめです。今後の外国語活動・外国語科の評価の考え方です。今,お話ししましたように,現在の外国語活動の評価の課題と成果,そして,研究開発校の外国語の評価の成果と課題を受けて,今後どのようなことをしていったらいいかというふうなことを考えたときに,まず1点目です。多様な方法で児童を見取るということが大事になると思います。このワーキングで検討されている資質・能力を踏まえて,英語を学んで,子供たちにどういった力が身に付いたかという,そういう成果を捉えること。そして,学習到達目標に対応した学習活動に応じて,先ほどから言っていますように,インタビューであるとかスピーチ等のパフォーマンス評価,そして行動の観察など,様々な評価方法を,場面によってどこに適切に設けたらいいかという方法を選択していくことが必要だと考えます。
また,2点目です。CAN-DOリストの形式での学習到達目標を児童と共有する,そういうことによって児童みずからがどのようなことができるようになったかということを自覚することで,学習意欲を図っていこうとすることが大事だと思います。今の文章記述によると,子供がなかなか分かりにくいといった,そういった課題を解決するためにこういったことが必要だなというふうに思います。そのときに,できるという知識・技能だけではなく,思考・判断・表現,そして主体的に学習に取り組む態度の観点との整理が必要となってくるかなということは思います。
そして,さらに3点目です。CAN-DOリスト形式の学習目標,到達目標を評価に生かしていくということで,先ほどの室長からの整理にもありましたが,これまではCAN-DOリストの目標は,観点別の評価のうち,表現の能力と理解の能力の評価に活用するのに適していると言われましたが,関心・意欲・態度は他の観点に係る資質や能力の定着に密接に関係する重要な要素となるということ,単元における学習と一体的に評価が行えることが必要であるとされています。ということを考えると,主体的に学習に取り組む態度の評価も行っていくことが考えられます。
そのときに,例えばということでお示しをしていますけれども,知識・技能については「~できる」というふうに評価を行う。思考・判断・表現については「~している」という評価で行う。そして主体的に学習に取り組むというのは,「~しようとしている」とすることができるのではないかというふうに考えます。
最後に,こちらにお示ししているのが,今後の評価の考え方として,論点整理において3つの観点で評価をしていったらということが検討されています。その評価の観点について,外国語活動,そして小学校の外国語に当てはめると,このような文言として整理をすることが考えられるのではないかなというふうに思います。これについては,江原委員も言われましたけれども,検討していただけたらいいのではないかなと思っています。
以上で発表を終わります。御清聴ありがとうございました。
【吉田主査】  どうもありがとうございました。今の平岡委員の御発表について何か具体的な御質問とかございますか。よろしいでしょうか。
それでは,これから,今,お二人の委員から発表いただきましたし,それ以前に事務局の方からも今の評価の3観点の問題であるとか,いろいろ資料も頂いていますので,それをベースに,これからの学習指導改善と学習評価の在り方についての議論を行っていきたいと思います。
ここから先は,いつものように御自由に発表していただきたいと思いますので,発言されたい方は札を立てていただいて,終わりましたら,また下げていただければと思います。どなたからでも結構です。いかがでしょうか。それじゃ,本多さん。
【本多委員】  今の発表をお聞きして,今,自分で評価で悩んでいることは何かなということで書きながら聞いていたので,それについてちょっと述べたいと思います。
まず,関心・意欲・態度については,やろうとしているということは分かる,見取ることできるんですけれども,どのぐらい積極的にしているのかというのはちょっと分からないなというのでいつも困っています。
2番目として,現在,外国語表現の能力とか外国語理解の能力等で,4技能に関してははっきりしているのですけれども,統合的な活動の評価,読んで書くとか,聞いて話すとか,それはどこの観点に入れようかというので困ることがある。要素の強い方に入れているのですけれども。
それから3点目としては,特に話すことなんですけれども,例えばスピーチはプリペアードというのが結構中学校1~2年というのは多くなってしまうんですけれども,その場合,努力してきたかどうかを評価してきている。つまり,一生懸命,家で練習して,それをちゃんとやっている子がうまくいくわけですね。どの子でもスピーチができるようにはもちろんするんですけれども,その努力の度合いを評価しているんじゃないか,それが話すことに行ってしまっているなということが3つ目の悩みですね。
それから4つ目は,関心・意欲かな,プリントの課題とか一生懸命やってきたことを,評定には反映する形で評価してあげたいなと思っているんですけれども,現行だと,コミュニケーションへの関心・意欲・態度になりますので,評価できないなということ。それを本来評価するのかどうかというのも含めて,評定に関わらせる形で評価するのかということに対しても,ちょっと今,悩んでいるというか,入れたいなという気持ちが強いなと思っています。
それから5番目として,先ほど平岡委員からありましたけど,パフォーマンステスト,たくさんやっているんですけれども,取り出しで,インタビュー形式でやる場合,時間が足りない,場所が足りない,人が足りないということで,時間に関しては当然パフォーマンス,40人,例えば1時間でやるには一人1分しかできない,十分なことはできない。2回に分けたら,一人当たり2~3分はできるんですけれども,2時間使わなければいけない。それから,場所もない,できないし,例えば廊下でパフォーマンステストを今やって,中で何かが起こらないように見張りながらやることというのは結構あると思うんですけれども,人も足りない。そういう中で十分なパフォーマンステストというのがなかなか,パフォーマンスって今のスピーキングですけれども,できないなというのが悩みです。
それから最後に,基礎的なことと発展的なことってもし分けたとしたら,基礎的なこと,ドリル的なこととか,あと,例えば何か文法的なこととか,そういうことと,それから発展的な活動というので,基礎的なことというのはどの観点に,今度の例えば3要素になった場合,入れるのかということと,発展的なことに関しては多分はっきりしているなというのはあるんですけれども,その両方が現場では考え方があって,そして,それぞれ今行っている,授業で行っているいろいろな活動とか評価,例えば定期テストとか作品とか発表とか,それをどのレベルのこと,基礎的な,発展的なものを分けたとしたら,それをどこに今度入れたらいいのかという,はっきりしたのが欲しいなという気持ちというのを今,持っています。
以上です。
【吉田主査】  ありがとうございました。かなり細かい点までいろいろ御指摘いただきましたけれども,現場の問題としては確かにこういう点があるんじゃないかと思います。
今のことに関してでもいいですし,例えば,私の場合はこういうことをやっているということもあるかもしれませんし,あるいはこういうような問題点はほかにもあるんじゃないかというのでもいいですが,ほかにいかがでしょうか。それでは,酒井委員,お願いします。
【酒井委員】  ちょっと違った観点になりますが,評価のことを検討する際に,総括に関わる課題というか,問題点があるというふうに感じています。この総括の問題点が,今,4観点だったものを3観点にするか否かということに関わりますけれども,今までの4観点の場合に,外国語表現の能力,外国語理解の能力の2観点があります。この2観点はそれぞれ聞くことと読むことを併せて外国語理解の能力として総括をする。そして,話すことと書くことを併せて外国語表現の能力として総括をしています。
この総括のありようを,今度,指導したことを踏まえて,その状況を評価をするという意味では,その総括は特に問題にならないと思うんですが,その指導したことを評価し,さらにまた指導につなげる。つまり,学習評価の意義として,学習者,児童や生徒に還元していく,あるいは形成的評価として次の学年につなげていくということを考えたときに,実は,その総括した評価というのはどういう状況を差すのかが,いまひとつ分からないという問題がある。
これは,4観点を総括して総合的に評価をする,評定についても同じことが言えると思うんですけれども,したがって,何を言いたいかというと,3観点にするときに,思考力・判断力・表現力としてまとめられているところに4技能,今,指標形式の目標で言うと,4技能5領域のところを総括して評価することになりますが,この総括があることによって,指導に生かされないという課題があるのではないかというふうに感じています。
可能性,提案になりますけれども,指導要録の上で3観点ということと,それを形成的評価として指導に生かしていくための評価,例えば1つの形として通知表における観点ですね,これは柔軟に変えてもいいのではないか。むしろ例えば途中段階の評価,あるいは形成的評価は,3観点のうちの思考・判断・表現に関わるところは,CAN-DOの形の目標を生かしたような形で,項目数が多くなったとしても,それぞれの技能の到達具合が分かるような,そして次のステップに進むような観点の設定ができるような,そういう柔軟なありようもあっていいのではないかなというふうに考えています。
以上です。
【吉田主査】  ありがとうございました。
なかなか難しい問題ですけれども,ほかの方で何か御意見ございますか。じゃ,投野さん。
【投野委員】  私も今,評価の話をお聞きしていて,全体的な上で話しているような評価の総合的な扱い方は,それはそれでいいと思うんですが,CAN-DOを今回目標設定として,もし用いていくというふうにここでだんだん具体的になっていくとすると,ほかの観点も大事なんですけど,CAN-DOで実際に具体的にどうするかということをよく話していかないと,ほかの思考力などの部分の大きな枠組は非常に納得いくんですが,そこの詳しい部分で,CAN-DOが実際にどう毎日の授業や中間的な評価とか,そういうものに絡んでくるのか。CAN-DOは何か,お題目のようになって,実際は期末試験みたいなものがそのまま残っていくような感じのギャップがあるみたいな感じではよくないと思うので,全体でのバランスを強調するあまり,またCAN-DOが何かちょっと,入れたはいいんだけれども,どういうふうに活用するのかが,具体的な話ができないまま行ってしまうと,そこは,入れてはみたもののみたいになってしまうのではないかと。その分が少し手薄になることが少し心配であります。
ですから,そこは入れるんだったら,やはりCAN-DO本体が評価の核になるような形で運用を考えて,先ほどの観点別というところにもきちんとCAN-DO的な視点が入るんだったら,どう変えたらいいのかということの議論がきちんとされて,そういうのがやはり外国語の特性として必要なんだというふうに,ほかとはちょっと違う側面を打ち出すように議論していかないと,中途半端な位置付けになったままで行くのは少し心配だなと思います。
以上です。
【吉田主査】  どうもありがとうございました。
確かに,先ほどの発表のお二人もCAN-DOについては触れておられましたので,その点についてはもちろん皆さん考えておられるんだろうけれども,今,投野委員からあったような,もう少しきちんとした形で一貫してちゃんと分かるような,そういう捉え方というのも必要なのかなとは思いますけれども,ほかの方で何かございますか。そででは,渡部さん。
【渡部委員】  私自身がちゃんと理解できないところもあるんですが,CAN-DOリストの形での学習到達目標は,そもそも外国語表現の能力と外国語理解の能力という観点から出てきたもので,言語や文化についての知識・理解ではないと。
先生方にそういう話をしたときに,言語や文化についての知識・理解の中の知識というところは,いわゆる文構造であったり,単語であったりという受け止めをされていると。今度,この3つの観点にしたときに,CAN-DOリストの形の学習到達目標というのはどこにつながるものか。
実際のコミュニケーションにおいて活用できる知識・技能ということだと思うんですが,この知識・技能のところにCAN-DOがつながっていったときには,先生方の思いとしては,知識ということが重なっていて,まだ,このCAN-DOというのは,じゃ,文構造や単語なんかをしっかりさせることなのかなというふうな誤解を招くような気もしています。
要は,今,CAN-DOリストの形の学習到達目標を3つの観点のどこに入れていくのかというのは,非常に難しいなと。英語の場合は,技能と思考・表現というのはなかなか切り離せないところがあって,果たして本当に英語としてこの3つの観点をそのまま使って落とし込めるのかというところは,ちょっと疑問に思っています。
【吉田主査】  ありがとうございました。なかなか難しい問題だなと思いますが,ほかの方で。じゃ,石鍋委員,お願いします。
【石鍋主査代理】  今,渡部委員がおっしゃっていた思考・判断・表現と技能の不可分なところをどうやって結び付けていくか,整理するかというのは全く同感です。現場として,その辺をどのように整理をして評価,3観点になったときに評価できる体制を作るか,ここを明確にするというのは,ここのグループでも話し合いが必要でしょうし,当然,総則・評価部会の中でも必要になってくるんだろうと思います。
いわゆる学力の3要素,3つの柱に従って評価をするという学校全体の考え方としては,校長の立場からしますと,非常にやりやすい,整理がしやすい。全ての教科に共通になってまいりますので,カリキュラム・マネジメントという観点からも非常に学校を経営しやすくなると私は思います。
ただ,今,申し上げたような教科の特性をどの部分まで認めていけるのか,柔軟な対応が取れるのか。はめ込み過ぎちゃうと,今,申し上げたような2つにまたがる部分がうまく評価できないし,かといって,はめ込まないと,学校全体の中で1つの方向に向かっていこうというところにちょっと難しさが出てくる。ここは本当に悩みを今言っているだけなんですけれども,そんなところを今,お話を聞いていて思いました。
あともう1点だけですが,今,現場を見ていますと,それぞれありますけれども,単元等の学習目標と評価規準が割と整合されていないというものがよくあるんですね。ですから,今回,評価を変えていくということですので,そういったつながりについてもきちっと示す。
そして,実は評価規準まできちっとできているんだけれども,授業の実際を見たときに,じゃ,子供たちに声掛けをしている声掛けが,その評価規準に基づいた声掛けになっているかというと,全く違っていて,オー,ベリーグッド,何がグッドか分からないというようなところがあって,子供は自分で今回の発表はよかったと思っている。でも,教員が言っていたグッドは,ただ立ち姿勢がよかったとか,とんでもないのもあるわけです。
ですから,そういったつなぎ,目標があって,規準があって,それを実際に授業にどう落とし込むか,そういった視点での話し合いというのもやはり十分やるべきじゃないかなと思っています。
以上です。
【吉田主査】  ありがとうございます。何かますます難しくなってきたという気がしないでもないですが。
ほかの方,とにかくきょうで終わるわけじゃありませんので,できるだけいろんな観点で皆さんのお考えを出していただいて,それを今後まとめていくということになると思いますので,御自由に発言していただければと思います。いかがでしょうか。それでは,渡部さん。
【渡部委員】  違う話なんですが,実際に学校現場で先生方といろいろお話をしたり,指導案なんかを一緒に作っているときに感じるのは,評価という言葉はよく知っておられますけど,いろんな評価があるんですが,それがもうぐちゃぐちゃになっているなという印象を受けます。形成的評価も総括的評価も何もかもが一緒になって指導案の中に出てきている。
例えば,単元計画を立てるんですが,1時間目の評価,2時間目の評価というのがあって,1時間目の評価と2時間目の評価を全部集めて総括で評価するという考え方なんですけど,実際やられていることは,1時間目,文構造や単語を勉強しました。この子は文構造ができていません。だから,1時間目のこの評価はCですというような言い方なんですよね。1時間目,そもそもやったばかりでCと評価されるのは,本当はあってはならないことなんですけど,それをもって総括的評価につなげていくというふうなやり方。そういった先生方が一体どこに子供たちを連れていこうとしているかというのが,本当に分からないまま評価というのを形式的にやっているなという思いがします。
ですので,その評価というのは総括と形成的評価があって,それぞれちゃんとした意義があるんだということをかなり強く押さえていく必要があるのではないかなという気がしています。
例えて言うなら,先生方と話をしていて感じるのは,富士山の頂上に向かって1つの目標があるとしたら,先生方は,ずっと子供たちは1合目,2合目,3合目と上がってくるんですけど,3合目の子供たちに向かって,あなたはまだ3合目だからCですとか,あなたは4合目だからBですとか,そういうふうな発想になっているんじゃないかなと。
そうじゃなくて,上の道をきちんと示してあげて,上まで上がるように,今は3合目だけど,次こう行こうねというところを示していく必要があるんだけど,そういった発想がない。特に中学校や高等学校では,富士山の登山の道さえ分からず,富士の樹海をさまよい,どこに行くか分からないけど,とりあえずこっちへ向かいなさいというふうな形でやられている。そこの中で評価をされているような,そういうイメージがあって,要は,先生方が,目標がしっかりしていないというところがかなり大きな問題で,目標に合わせた評価の方法ということを,評価の話ばっかりをしていると,結局,目標を忘れてしまって,パフォーマンス評価の方法とかやり方とか,そういったところに話が行ってしまうんじゃないかなということをちょっと心配に思いました。
【吉田主査】  ありがとうございます。
ほかの方で何かございますか。髙木委員,お願いします。
【髙木委員】  これまでの先生方のお話を伺っていまして,私は英語が専門ではありません,評価の方からお話しいたしますが,今度,小学校に英語が入るんですよね。小学校の先生方って,言っちゃ悪いけど,そんなに得意じゃない人も多分たくさんいるだろうと。そういう人たちが,評価ができるためには,実は学習指導要領の内容のところに,どういうことをやったらいいかということをきちんと書き込んでおくことが一番大事になってくるだろうと。要するに指導と評価の一体化というのはそういうことだと思うんですね。
ですから,例えば,きょう出てきた中でいうと,知識・技能というのには,小学校3年生の外国語活動ではこういうことをやる,4年生ではこうやる,5年では英語になったらこうするということを知識・技能として書き,それから思考・判断もそこのところにある程度のやるべき,到達点という言い方をすると,ちょっといろんな問題はあると思いますが,あえて言えば,そういった到達点をきちんと示しておいて,何をやったらいいかというのを明確にしておく。それがあれば,主体的に学習に取り組む態度も,先ほどの平岡先生の御発表にもありましたが,最後のところに出ていますが,ああいう形で「しようとしている」という主体的に学習に取り組む態度を単元で見ていくということは可能になってくると思うんですね。
併せて,もう1つは,見通しを持たせる,到達点があれば当然,見通しがあるわけだから,どういう順序でやっていったらいいかということもやっぱり示してあげないと,これできないだろう。さらに,その順序は,もっと言えば,子供にも示して,子供も見通しを持てるような指導要領の内容というか,書きぶり,今までのように内容のところの指導事項だけでなくて,そこの書きぶりが今回の正否に関わっているなというふうには私は思っています。
だからこそ,指導と評価の一体化ということが言えるんだし,そのところを示さない限りは,先生たちは路頭に迷ってしまうかなというふうに思いました。
併せて,もう1つ,きょうの御発表の中でルーブリックが出てきているんですが,私はルーブリックは,小・中はちょっと難しいかなと。実は今の目標準拠評価もA,B,Cだから,これある意味でルーブリックなんですよ。それ,段階を細かく分ければ分けるほど,先生たちは大変になってくるんで,B基準というのをどういうふうにきちんと私たちが示せるか,そこに行くためにどういうことをやっていったらいいかということが,今回の,全ての教科が全部,私そうだと思っているんですけど,学習指導要領,これまでの指導要領って,そこを変えていかないと,結局,先生たちが,評価ができないという話になってしまうというふうに思っています。
以上です。
【吉田主査】  ありがとうございます。長谷川委員,どうぞ。
【長谷川委員】  私も全然,英語の専門家ではないので,今のこの評価の議論,なかなかついていくのが大変だなと思いながらラ聞いていたんですけれども,素人的な感想ということになってしまうかもしれないんですが,渡部委員のおっしゃっていたことに非常に同意するなと思いました。
やはり評価というときに,何のためにその評価をしているのかと。ですから,最初に戻って,英語教育の目標,目的は何かという,まさに英語のコミュニケーション能力を付けるということなんだということに立ち返って,あくまでも評価というのはあるべきではないか。ですから,生徒のコミュニケーション能力が向上するような形での評価という在り方を検討していくべきではないかというふうに感じております。
先ほど,御発言の中にも,例えばプリントとか家庭学習のようなものをどう評価するか,評価に入れるのかというような御意見もあったんですけれども,アクティブ・ラーニングについて聞いておりますと,基本的にはアクティブ・ラーニングというのは,教室でやった方がいいものは教室で,つまりペアワークとかインターアクションとか,そういったことは教室でやるけれど,その代わり家でやってきた方がいいことは家でやっていくという,そういう棲み分けもしないと時間的に難しいということも聞いておりますので,そうすると,やはり家庭学習でドリルをやるとか,いろんな単語を覚えてくるとか,そういったことも評価の対象に入れないとおかしいんじゃないかという気もいたしますし,また,そういう努力をすることが生徒の英語の能力が上がるということにもつながりますので,そういった観点も検討する必要があるんじゃないかなと思いました。
以上です。
【吉田主査】  ありがとうございます。それでは松川委員,お願いします。
【松川委員】  先ほどの平岡先生の御発表についての感想も含めて,ちょっとお話をさせていただきたいと思うんですけれども,平岡先生の御発表を伺って,本当に現在の外国語活動の評価について,小学校の先生たちが大変な御努力をしていらっしゃるなというのが改めて分かったわけです。
文章の記述による評価を行うがために,そこに至るまでに,先ほど見せていただいただけでも行動観察やら振り返りカードやら,そういうものの積み重ねでやっていらっしゃるということですよね。しかも,小学校の先生というのは外国語活動をやっているだけじゃなくて,ほかの全教科もやりながら,こういう形で評価をやっていらっしゃるということを改めて,すごく大変なことをやっていらっしゃるなというふうに感じました。
私,評価は大事だと思うんですけれども,一番大事なのは何かというと,やっぱり指導の充実でありまして,そのための評価なので,こう言うと大変語弊がありますけれども,私は評価が現在の教員の多忙化に拍車を掛けていると。客観的な評価をするがために,それの根拠となるようなデータをいっぱい用意しておかないと,情報公開じゃないですけれども,保護者の様々な意見に対応できないということで,データを蓄積していくという体制ができていますよね。そのことが非常に教職員の仕事を大変にしていて,特に小学校を現在の体制でやっていって,しかも高学年を教科にするということを考えたときに,今まで以上に評価を複雑にしていくということは,私は現実的ではないというふうに思います。
できるだけ多面的な評価というのもそのとおりなんですけれども,多面的な評価を通常の授業の中でもやる,パフォーマンス評価もやる,あれもやる,これもやるって,そういうふうにやることを増やしていくということではなくて,できるだけシンプルにする方向で行くというのが私はベースだと思います。何に一番注力していただくかというか,力を注いでいただくかということの優先順位を考えると,私は評価ではないというふうに思いますので,できるだけシンプルにしていただくということ。
それから,大きな枠組についていろいろ議論がありましたけれども,私は基本的に外国語というのは技能教科だというふうに思っているので,先ほどの3観点の1番目の個別の知識や技能,何を知っているのか,何ができるのかということと,それから思考力・判断力・表現力等の知っていること,できることをどう使うかということの間には,非常にグレーゾーンもあるし,英語に限ったことじゃないですけれども,グレーゾーンがもともとあるんですよ,そこのところは。個別の知識・技能と思考力・判断力・表現力というのは,すぱっと切れるわけではないわけで,当然そこのところはダブっているところもあって,なおかつ,英語という技能教科の場合は,それがどっちとも考えられる。
思考力・判断力・表現力の方の表現力というのを,個別のスキルではなくて,もう少し総合的なもの,スキルを使って何をするか,言ってみれば,英語の個別に何が言えるかではなくて,それを使って,例えば学校に訪問に来た外国の人を学校案内するという,そういうような大掛かりな場面を考えて,表現として見ることもできるので,そういうことを考えていくと,学習段階というか,発達段階でどこにどれだけ比重を置くべきかというのは,おのずと出てくると思うんですね。
だから,私はそこのところは,きょう,1月12日のたたき台というのを出していただいていますけれども,これをベースにしながら,そんなに凝って作る必要はないのではないかなというふうに思っています。
一番考えたいのは,外国語の場合,他教科と違って,1時間できっちりと決着が付くとか,1単元で全て習得されてしまうということではないんですよ。だから,中長期的に長いスパンで横に見ていかなくてはならないので,毎時間,毎時間の振り返りというのをそうも細かくやる必要があるのかというふうなのが,私の率直な感想です。
だから,長いスパンを掛けて徐々にできるようになる,そういうことを考えると,学期に1回とか年に2回とかっていうぐらいの大ざっぱなところで,何ができるようになっているのかということの正確なチェックというのは,やっぱり教科になる以上はすべきではないかなと思います。
そういうものと,毎時間子供たちがどう意欲を持ってやっているのかというのは,別の手法で計ればいいので,全てのものについて多面的に多様な手法で,多面的な観点で評価していくということは,私は学校の現実から言って,全く実際的ではないというふうに思っていますので,特に小学校においてはこれ以上,先生のやるべき仕事を複雑にしないような形で最終的にまとめていくということが一番大切に考えるべきことではないかというふうに思っております。
【吉田主査】  ありがとうございます。じゃ,松本委員。
【松本主査代理】  松川委員の今のお考えは全くそのとおりだと思うんですけれども,だからこそ,先ほど髙木委員がおっしゃったような指導と評価の一体化ということが重要で,何をするということを学習指導要領に書き込むということは大切だと思うんですけど,イメージを共有するために髙木先生にお伺いしたいんですけど,小学校の英語で例えば技能を評価するのに何を,技能との関連で指導として何かをするのか,表現力では何をするのか,何か簡単な例があったら教えてほしいんです。
【髙木委員】  全ての教科でちょっと考えていきますね。評価の方が私,専門なので,評価から話すと,先ほど出たように,スキルで与えて,繰り返し練習してできるようになることって,やっぱり一般的には知識・技能ですよね。それで習ったこと,先ほど松川委員もグレーゾーンとおっしゃっていましたが,そのとおりで,それを使いながら何かできるようになっていくということがあるわけだから,それを英語の内容論としてうまく書き分けることができれば,先生たちは,学習指導要領を見れば知識・技能はここをやろう,それから思考・判断はここをやろうというところが見えてくるのではないのかな。
できれば,対応関係で知識・技能と思考・判断・表現,裏表でできるようなことがあれば,そういうことを具体的に指導要領の内容として書いておくということです。
【松本主査代理】  それは分かるんですけど,具体的にイメージすると,例えば平岡委員にお伺いしたいんですけど,今のお話を受けて,例えば小学校だと,話すとかいう表現力について言うと,ある単語が発音できるかというのが技術になって,自己紹介ができるというのが表現力とか,そういう棲み分けになるんでしょうか。
【平岡委員】  難しいですよね。「~できる」という技能的なものに係っては知識・技能の技能かなというふうに思うんです。そこは私が言ってしまってはなんですけど,どうですかね。難しいですね。
【吉田主査】  それでは,投野さん。
【投野委員】  今の話と関連しての話なんですけど,CAN-DOの記述を詳しく見ていくと,今の話に似たようなことは結構出てきまして,例えば,最初は自分の名前を自己紹介で言っただけでも,表現力という意味でいえば,例えば自分の名前を言って,出身地を言って,それからあとは,例えば家族が何人いてとかというふうに,自己紹介というふうなラベルで張れるようなことも,表現を覚えていくと,いろいろに言うことができますね。ですから,1つのことを詳しく言うというようなことが言語的に可能になれば,それ自体は表現力と言っても僕はいいと思うんですよね。ですから,多面的に,1個だけ何かぴしゃっと言うんじゃなくて,それを詳しく言えるような力とか。
それは,身の回りのことを言うようなCAN-DOを1個1個こなしていくと,より具体的に言えるようになってきますので,そういう点で,表現力というのの定義にもよると思うけれども,そういうことを具体化していくルートというのは,Aレベルの技能でははっきりと示されています。
それからあと,思考力とか何とかというのも,よく考えてみますと,B1ぐらいから上のCAN-DOを見ますと,だんだんと個別の言語機能というよりかは,大体そういうものを習った後,どういうふうにそれをまとめて使うかみたいな,大体何か統合的な力になり,それについて自分の意見や考えを,理由を付けて言うとか,あるいはそういう反対,賛成みたいなことを言うみたいなことも全部出てきますから,その辺は論理性みたいなものと関係してきますので,だんだん上の方の技能になっていけば,CAN-DO的に,先ほど言ったような目標を組み込んだようなものができるようになるという点を見るようになると思うんですね。ですので,言葉の力としてCAN-DO的な発想のきちんとした目標設定をしていく中で,先ほどの要素は別の側面から見ると手当てがされるように目標設定をしていくというようなのは1つやり方としてあると思います。
【吉田主査】  ありがとうございます。酒井委員どうぞ。
【酒井委員】  今の表現力に関わってですけれども,外国語表現の力といったときと思考・判断・表現の表現力というときは,異なった使い方を多分現行の学習指導要領からはしっかり明確にしていると思うんですけれども,小学校・中学校の現実の教室場面を見たときに,例えば小学校の場合に,何らかの言語使用をしていて,いろいろ考えて判断をして発話をしているということは小学生でもあるわけです。そういうものを指導していくことは可能であるし,そういうものをはぐくもうという,そういう単元構成あるいは指導目標の設定の仕方というのも可能だと思うんですが,それを自分の考えたことや判断を英語によって表現をする。つまり,外国語表現と思考・判断・表現の表現を同時に行うような形というのは,やはり小学生は難しくて,そこは日本語になってしまうことがある。
ちょっと具体的に言うと,つい最近,道案内をする場面があったんですけれども,小学生が,あそこは雪が今積もっているので,別の迂回路を通って道を案内したと。これは予定を変更して,そちらの方を選んでいくわけです。そういうことを相手意識に立ちながら考えて,どういう表現をしたらいいかを考えて,言語使用しているわけです。それを英語で語る部分というんですか,いわゆる思考・判断・表現力の表現力というのは,どうしても日本語に頼っているというのが小学校の場合の現状かなというふうに思っています。
これを中学校の段階,つまりA1からA2ぐらいのところでは,自分の考えを理由とともに述べたりするというようなところが外国語でできるようになるというようなことが期待されますので,そこの思考・判断・表現の表現をしている部分の自分の考えを述べる部分も外国語で実現をしていくということは可能と思うんですが,そのあたりぐらいはもしかしたら小学校段階,中学校段階で発達段階を考慮して設定をする必要があるのかなというふうに伺っていて思いました。
【吉田主査】  ありがとうございます。それでは,松本さん。
【松本主査代理】  投野委員に確認ですけれども,そうすると,CAN-DOということを例えば今度の学習指導要領に書き込むとして,それは新しい3観点のうちの少なくとも2観点に関しては,整理してCAN-DOで書き込めるというふうに理解してよろしいですか。
【投野委員】  どこからどこまでが表現力だとか何とかという力の側面を,CAN-DOで分析的に,ここがそうだということをやるのがいいかどうか,ちょっと私はよく分からないんですが,少なくともそういう統合的な力を,言葉が身に付いてくると当然それを使うときには,ほかの認知的な力を一緒に使わないと,言葉のいろんなパフォーマンスができませんので,そういうふうな記述に自然になっていると思います。そこのどこが思考力に当たるかはちょっと読んでみて,解釈の問題になりますから,ここからここまでと切れないかもしれないんですけど,そういう要素をどんどん含んだものに,上の方に行くとなってきますよね。
【松本主査代理】  分かりました。
【吉田主査】  藤森委員。
【藤森委員】  すいません,ちょっと頭の中が混乱しているのですが,小学校でCAN-DOというふうに考えたときに,例えばアルファベットの文字を読むことができる,書くことができるということについては,すごく誰が聞いても分かりやすい部分であると思うんですけれども,先ほどから出ている思考・判断・表現,既習事項を使って,あるいは即興的に何か自分の思いをそこで相手に伝えることができるという,そういうことであるならば,それも1つ考えられるかな。その場面設定なんかどういうふうにしていくのかなということが,ちょっと私の中ではまだ十分理解できていない。具体性がもう1つよく分からないなというふうに思って聞いていました。
先ほど松川先生がおっしゃっていましたけれども,例えばCAN-DOもそうなんですけれども,難しい評価をするようなことになる,あるいは担任が,これどういうことなんかなということをよく考えながら評価しなきゃならんということになると,本当に小学校だったら教科も全部評価をしなきゃなりませんので,シンプルとおっしゃいましたけれども,私もシンプルに,例えば小学校では,ここに書いてある知識・技能的な部分をCAN-DOにするとか,思考・判断・表現については違う,例えば記述式も含めたような形にするとか,何か混乱が起こらないような,書きぶりもあろうかと思うんですけれども,評価の仕方というのも大事なんではないかなというふうに思っています。
【吉田主査】  まだ,ようやくかなり大事なところにどんどん入っていっているかなと思うんですが,もう1つテーマがありますので,最終的には次回まとめていければと思います。
私の方から1点だけちょっと,先ほど松川先生,ほかの方もおっしゃっていますけれども,私もあまり細かくボトムアップ式に評価規準を作るのは反対なんですね。むしろ,きょう,ありましたけど,英語力の調査結果というのがありますが,高等学校ではこういう英語力が身に付けばいいねというのはあるわけで,中学校もあるわけだから,じゃ,小学生は何と作れば,それで見ていると,いろんな取組をしているところはいい成績を取っているということであれば,結局,そういう取組というものが求めている英語力につながっているということになるわけですよね。だとしたら,やっぱり同じように,こういう能力が,こういうテストでこういうような,こういう評価のバッテリーでこういう成績を取れるとか,これだけの成果が出せるというものがあれば,そこからおりてきた方がいいんじゃないかという気がするんだよね。
そうしないと,下からやっていったって,何がどこにつながっていくか,さっき,どこか森の中に入っちゃって分かんなくなっちゃうというのがありましたけれども,僕はそのとおりだと思うんですね。これをやっていったら,どこにつながっているのか分からないんで。だから,一番上から見ていったら分かりやすいんじゃないかなという気がするので,ちょっとその辺のところを考えた上で,松川先生おっしゃったように,私も毎回毎回細かいことを見ていくことは,授業の中での評価は別の問題として,英語力そのものの評価というのはもっと大胆に,こういう能力が5年生で付けばいいねとか,6年生で付けばいいね,小学校を出たらこのぐらいという,そういうもうちょっと大きな視点から評価できればいいのかなと。一言だけちょっと付け加えさせていただきます。
それじゃ,もう1つの問題なんですが,これは英語以外の外国語についてもやはり議論する必要があるだろうということで,事務局の方からまずお願いいたします。
【圓入室長】  残りの時間が少ないので,本日は導入だけということでもお聞きいただければと思います。
資料の8番を御用意しております。英語以外の外国語の科目を開設している外国の状況ということでございまして,こちらの調査は隔年で文科省の方で調査をしているものでございまして,全体で国公私15言語ということで,開設の状況と受講されている方,延べの部分もありますが,それを一覧でお示ししております。
2ページ以降にもっと詳しいデータをお付けしたりしているので,適宜御参照いただければと思いますが,そもそものところで言いますと,中教審の論点整理の中で2行ほど書いてあるんです。御意見としてございまして,そこをもう一度繰り返し読み上げさせていただきますと,「新興国をはじめとする非英語圏の国々とつながる重要性は増しており,英語以外の外国語についても引き続き専門的な検討を行うことが求められる」ということだけ書いておりまして,そこからスタートしますときに,現状はどうかということなんですが,本日はお時間ないので省略いたしますけれども,その他の外国語に関する科目につきましては,学習指導の中に,例えば高校の指導のところにもその他の外国語ということで,その扱いを書いてあるということで,特段,それぞれの外国語,言語の指導要領の内容を書いているものではなく,あくまで英語に準じてという形でまとまっておると思います。
ただ,一方で,今,御議論いただいているような新しい次期改訂の方向性というものがございますけれども,以前は5言語ぐらいでございます。中国語,韓国語,ロシア語,フランス語,スペイン語というところでの,例えば指導改善のお取組というようなことを,英語でやっておられるようにカリキュラム開発や教材作りなどということを地域の取組を支援させて頂いておりましたが,財政状況の観点から平成21年度以降,国の支援はない状態です。ただ,これまでの取組から,どのように改善につなげていくか,まずは必要性というところも含めて,御意見いただきたいと思いますが,本日はお時間ないものですから,次回でも少しまた御意見いただければと思っております。
以上でございます。
【吉田主査】  ありがとうございます。これはかなり私が以前からずっと言い続けていることで,アジアの中の一員ですので,英語だけというのでは今後は絶対もたないと私ははっきり思っていますので,ですから,今後はほかの近隣諸国を含めた外国語もやはりやっていく必要があるだろう。
中には,英語さえできないのにという話がありますが,それは日本語さえできないのに英語を何でやるんだというのと同じような議論になりますので,英語をやるんだったら,ほかの外国語をやったって英語もできるようになるんだという,当たり前だと思うんですよね。ですから,いろんな言葉ができるんだという,そういう観点で我々としてはもっとは幅広く目を見開いて入れていく必要はあると思います。次回,少し具体的にそういう議論も皆さんから頂ければいいかなというふうに思います。
本日,特に後半の部分,かなり具体的にいろんな問題点が少しずつ絞られてきているのかなというふうに思います。しかし,これで終わりではありませんので,もし御意見などございましたら,次回に向けて事務局の方にまた皆さんの方の御意見をお寄せいただければと思います。
最後に,次回以降の日程などについて事務局の方から説明をお願いしたいと思います。
【圓入室長】  では,資料の9を御覧いただければと思います。次回でございますが,机上にも開催の御案内を置かせていただいておりますけれども,3月22日の10時~12時ということで,場所はこちらの15階の15F特別会議室でございます。きょうの御議論を少しまとめさせていただいて,方向性などの事務局の資料も御用意させていただいて,御議論を頂きたいと思っております。
また,最終的には4月,5月に議論をまとめさせていただくことになると思いますが,そういった動きとともに,今,小学校部や,総則・評価部会なども御議論がありますので,そこでの御議論を,例えば総則・評価部会で方向性を示されたものは,次回の外国語ワーキングでも御報告して,それを踏まえた御議論を頂くということで議論を進めて,4月以降に全体のまとめに入っていくことになると考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
【吉田主査】  どうもありがとうございました。
それでは,本日の中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会外国語ワーキンググループ,本当に長いですね,第6回を終了させていただきます。ありがとうございました。

―― 了 ――

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